説明

光源モジュール、光源モジュールの製造方法および液晶表示装置

【課題】 LED光の光取り出し効率を向上した光源モジュール、光源モジュールの製造方法および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 光源モジュール7は、赤色、青色および緑色をそれぞれ発する複数の発光ダイオード12〜14を有する発光素子1と、発光素子1を搭載した金属基板2と、発光素子1を取り囲む枠として金属基板2上に配置された光散乱反射部材3と、光散乱反射部材3と金属基板2との間をシールするシール部材4と、光散乱反射部材3の枠内に充填された透明樹脂5とを備える。さらに透明樹脂5上に透明材料で形成された光学部材6を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)を光源として用いた光源モジュール、光源モジュールの製造方法および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは冷陰極管のように水銀を使用しておらず、しかも小型で低電力駆動が可能であり、近年ではその発光効率の向上が目覚しい。従来のLEDモジュールの形状は砲弾型が主流であったが徐々に面実装タイプが増え、LEDモジュールが小型化することで、その利用が幅広く期待されている。また、近年では液晶テレビや携帯電話機の急速な普及やパーソナルコンピュータの小型化に伴い液晶表示装置の高性能化が推進され、バックライトの光源にLEDを使用することでその要求を満たしている。特に色再現性については、LEDを用いることで蛍光ランプでは再現できなかった色が表示できるようになり、濃い赤色や濃い緑色の表示が可能となる。
【0003】
しかしながら、現在のところLEDは、冷陰極蛍光管よりも低い発光効率しか得られていない。このため、LEDを高密度に実装し、LEDに大電流を投入して発光量を増やすとともに、光の利用効率を上げることによって冷陰極蛍光管と同等レベルの輝度を引き出している。このように、LEDに大電流を投入した場合、LEDは投入された電流に応じた発熱を生じる。この発熱による温度上昇は、LED自体および周辺部材の性能を劣化させ、光源モジュールの長期信頼性に影響を及ぼす。
【0004】
そこで、この種の光源モジュールではLEDの放熱構造が必要となる。例えば特許文献1では、放熱構造として、LEDチップを金属基板上に搭載する構造が示されている。この放熱構造では、LEDの発熱を金属基板が吸収・放熱することによってLEDの温度上昇が抑えられている。
【特許文献1】特開2002−299697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薄型の液晶表示装置に適合する赤青緑のLED光源モジュールを形成するためには、上記特許文献1の構成のようにLEDチップを金属基板に直接搭載する必要がある。しかしながら、前記構成では赤青緑のLED光の混合については考慮されていない。光の混合距離は、LEDチップを覆う透明封止樹脂と導光板入射面の間に空隙を設けてもよいが、この場合、透明封止樹脂と空気、および空気と導光板の各界面における光透過率の変化によって反射が起き、LED光の取り出し効率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、LED光の光取り出し効率を向上した光源モジュール、光源モジュールの製造方法および液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、異なる色を発する複数の発光ダイオードを有する発光素子と、前記発光素子を搭載した金属基板と、前記発光素子を取り囲む枠として前記金属基板上に配置された光散乱反射部材と、前記光散乱反射部材と前記金属基板との間をシールするシール部材と、前記光散乱反射部材の枠内に充填された透明樹脂とを備えた光源モジュールにより、達成される。
【0008】
ここで、前記シール部材は好適には光散乱反射機能を有し、また弾性材料で構成することができる。また、前記透明樹脂は弾性材料で構成することができる。前記発光素子は、赤色、青色および緑色をそれぞれ発する複数の発光ダイオードを有することができる。さらに、前記透明樹脂上に透明材料で形成された光学部材を備えることができる。
【0009】
本発明に係る光源モジュールの製造方法は、金属基板上に異なる色を発する複数の発光ダイオードを有する発光素子を搭載する工程と、前記発光素子を取り囲む枠として前記金属基板上に光散乱反射部材を配置する工程と、前記光散乱反射部材と前記金属基板との間をシール部材でシールする工程と、前記光散乱反射部材の枠内に透明樹脂を充填する工程とを備える。前記透明樹脂の硬化温度は、前記光散乱反射部材の軟化点温度よりも低くすることが好ましい。
【0010】
本発明に係る液晶表示装置は、前記光源モジュールと、前記光源モジュールから入射した光を導く導光板と、前記導光板の一方の面に対向して設けられた光反射シートと、前記導光板の他方の面に対向して設けられた液晶パネルとを備えて構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LED光の光取り出し効率を向上した光源モジュール、光源モジュールの製造方法および液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係る光源モジュールの一実施例を示す斜視図である。図2は、図1の光源モジュールを用いられる発光素子の構成例を示す図である。
図1に示すように、光源モジュール7は、異なる色を発する複数の発光ダイオードを有する発光素子1と、発光素子1を搭載した金属基板2と、発光素子1を取り囲む枠として金属基板上に配置される光散乱反射部材3と、光散乱反射部材3と金属基板2との間をシールするシール部材4と、光散乱反射部材3の枠内に充填された透明樹脂5とを備えて構成される。さらに、透明樹脂5上に透明材料で形成された光学部材6を備えることができる。以下、各部の詳細を説明する。
【0013】
発光素子1は、図2に示すように、青色発光ダイオード12と、緑色発光ダイオード13と、赤色ダイオード14と、これらの発光ダイオードを実装するサブマウント基板15とを備える。金属基板2は、発光素子1の発熱を効率よく熱伝導するために、基板の母材にアルミニウムや銅のような金属材料を用いる。光散乱反射部材3は、発光素子1の発光を拡散させ、青色発光ダイオード12と、緑色発光ダイオード13と、赤色ダイオード14の発光色を混色し、白色光を作り出すものである。そのため光散乱反射部材3は好適には少なくとも内面が光散乱反射機能を有し、例えば白色とされる。シール部材4は、金属基板2と光散乱反射部材3を接合するために用いられるものであり、光散乱反射部材3と同様にLEDの各発光色の混色性を高めるため好適には光散乱反射機能を有し、例えば白色とされる。透明樹脂5は、発光素子1の発光を効率よく後述する導光板9へ伝えるために用いられる。これにより、LED光の高い光取り出し効率を得ることができる。光学部材6は、光散乱反射部材3での混色性をさらに強化し、または導光板9への光の伝達性能をさらに向上するために必要に応じて用いられる。
【0014】
図1において、発光素子1より射出される青色発光ダイオード12と、緑色発光ダイオード13と、赤色ダイオード14の発光は、透明樹脂5を介して後述する導光板9へ入射される。発光素子1の配光は集光していないため、発光素子1の横方向への発光は散乱反射部材3の内壁面にぶつかる。散乱反射部材3にぶつかった光は、散乱反射され、青色発光ダイオード12と、緑色発光ダイオード13と、赤色ダイオード14の発光の混色性を高めることができる。一方、一部の発光はシール材4にぶつかるが、シール部材4も光散乱反射機能を付与し、例えば白色とすることにより、ここでも同様に散乱反射が生じ、前述の混色性をより一層高めることができる。
【0015】
また、透明樹脂5が大きなブロックで構成されることにより、透明樹脂5と金属基板2が大きな面で接合され、これによって大きな熱応力が発生し反りや接合界面の剥離を引き起こすおそれがあるが、これに対しては、例えばシール部材4、透明樹脂5またはその両者を弾性材料、例えばシリコーンあるいはシリコーン・ゲル等で構成する。これにより、LEDの発熱による光源モジュールの熱変形を吸収し、反りや界面剥離を抑制する構成を実現することができる。また、これにより、薄型・長尺の複数の発光ダイオードを搭載した光源モジュールを形成することが可能になり、さらに高寿命な液晶表示装置を提供することができる。
【0016】
図3(a)〜(d)は、本発明に係る光源モジュールの製造方法の一例を示す図である。まず、図3(a)に示すように、金属基板2上に異なる色を発する複数の発光ダイオード12〜14を有する発光素子1を搭載し、発光素子1を取り囲む枠として金属基板2上に光散乱反射部材3を配置する。次に、図3(b)に示すように、光散乱反射部材3と金属基板2との間をシール部材4でシールする。続いて、図3(c)に示すように、光散乱反射部材3の枠内に透明樹脂5を充填する。この充填は、光散乱反射部材3の枠の上端まで一杯にしてもよいが、図示のように枠の上端より下の部分で止めてもよい。また、図3(d)に示すように、必要に応じて、透明樹脂5上に透明材料で形成された光学部材6を設ける。以下、詳細に説明する。
【0017】
青色発光ダイオードと、緑色発光ダイオードと、赤色ダイオードとをサブマウント基板に実装した複数の発光素子1は、金属基板2に銀ペーストまたは半田などで実装する。この発光素子1が実装された金属基板2上に白色のポリカーボネート、ABS、セラミックなどを材料として構成された枠材としての光散乱反射部材3を載せる。金属基板2と光散乱反射部材3を接合するために、光散乱反射部材3の内壁面と金属基板2の接地面に全周にわたってシール部材4を塗布する。このときシール部材4は白色シリコーンなどを用いる。シール部材4を加熱硬化、UV硬化、自然硬化などで硬化させた後、金属基板2と光散乱反射部材3とシール材4によって構成された容器上の空間、すなわち光散乱反射部材3の枠内に、透明シリコーン、透明エポキシ樹脂などの透明樹脂5を充填する。この後、加熱等によって透明樹脂5を硬化させる。このとき透明樹脂5の硬化温度は、光散乱反射部材3とシール材4の軟化点温度よりも低いものを用いる。
【0018】
ここで用いる透明樹脂5は硬化前の粘性が低く、密閉性の高い容器状のものへの充填が好適である。密閉性が悪いものへの充填では、透明樹脂が漏れだしてしまうことが想定されるからである。上記構成とすることにより、透明樹脂の充填作業が容易となる。
【0019】
このように本発明は、発光素子1を搭載する母材として金属基板2を用い、その上に、発光素子1の出射面での輝度均一性を持たせるために、複数の発光ダイオード12〜14の発光を拡散させるための光学機能を有した光散乱反射部材3を配置する。金属基板2と光散乱反射部材3の接合にはシール部材4を用いてシールする。光散乱反射部材3は枠形状を有し、金属基板2と合わせて容器を成し、光散乱反射部材3の枠内、すなわち容器内に透明樹脂5を充填し、硬化させる。以上のようして光源モジュール7は構成されるが、上記のとおり好適には、透明樹脂5の上にさらに、透明ガラス、ポリカーボネート、環状ポリオレフィンなどを材料とした光学部材6を取り付ける。
【0020】
図4は、本発明の光源モジュールを用いた液晶表示装置の一例を示す図である。本図は、液晶表示装置のバックライトシステム部の分解図を示すもので、光源モジュール7、液晶パネル8、導光板9、光学シート10、および光反射シート11を備える。本液晶表示装置は、光源モジュール7の発光素子で発光した光が、導光板9を通して伝わり、光反射シート11によって液晶パネル8の方向に反射され、光学シート10を介して液晶パネル8を照らすように構成される。上述のように、光源モジュール7の透明樹脂5により、発光素子1の発光が効率よく導光板9へ伝えられる。これによりLED光の高い光取り出し効率を得ることができる。また、光学部材6を配置することにより、光散乱反射部材3での混色性をさらに強化し、または導光板9への光の伝達性能をさらに向上することができる。これにより、発光効率のよい液晶表示装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、発光ダイオードを光源として用いた光源モジュール、光源モジュールの製造方法および液晶表示装置に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る光源モジュールの一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の光源モジュールに用いられる発光素子の構成例を示す図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明に係る光源モジュールの製造方法の一例を示す図である。
【図4】本発明の光源モジュールを用いた液晶表示装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1…発光素子、2…金属基板、3…光散乱反射部材、4…シール材、5…透明樹脂、6…光学部材、7…光源モジュール、8…液晶パネル、9…導光板、10…光学シート、11…光反射シート、12…青色発光ダイオード、13…緑色発光ダイオード、14…赤色発光ダイオード、15…サブマウント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色を発する複数の発光ダイオードを有する発光素子と、前記発光素子を搭載した金属基板と、前記発光素子を取り囲む枠として前記金属基板上に配置された光散乱反射部材と、前記光散乱反射部材と前記金属基板との間をシールするシール部材と、前記光散乱反射部材の枠内に充填された透明樹脂とを備えたことを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
前記シール部材が光散乱反射機能を有することを特徴とする請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記シール部材が弾性材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記透明樹脂が弾性材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記発光素子が赤色、青色および緑色をそれぞれ発する複数の発光ダイオードを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記透明樹脂上に透明材料で形成された光学部材を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項7】
金属基板上に異なる色を発する複数の発光ダイオードを有する発光素子を搭載する工程と、前記発光素子を取り囲む枠として前記金属基板上に光散乱反射部材を配置する工程と、前記光散乱反射部材と前記金属基板との間をシール部材でシールする工程と、前記光散乱反射部材の枠内に透明樹脂を充填する工程とを備えたことを特徴とする光源モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記透明樹脂の硬化温度が、前記光散乱反射部材の軟化点温度よりも低いことを特徴とする請求項7に記載の光源モジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の光源モジュールと、前記光源モジュールから入射した光を導く導光板と、前記導光板の一方の面に対向して設けられた光反射シートと、前記導光板の他方の面に対向して設けられた液晶パネルとを備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−329394(P2007−329394A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161069(P2006−161069)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】