説明

光源装置及び画像投写装置

【課題】主光源からの光を無駄なく合成して出力することができること。
【解決手段】白色光を出射する主光源と単色光を出射する副光源と、副光源の照明光に比べて、主光源の照明光の光量が少ない所定の波長領域の光束を反射させて、それ以外の波長領域の光を透過するダイクロイックミラー8と、主光源の照明光の内、ダイクロイックミラー8により反射される照明光を集光するコンデンサーレンズ10と、コンデンサーレンズ10により集光された光を副光源の照明光と合成する位置に導光するための光ファイバ11と、光ファイバ11からの出射光を略平行光束に変換するコリメートレンズ12とを備えることにより、主光源の照明光の内、ダイクロイックミラー8によって反射された光を有効に利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形成した像を拡大投写する画像投写装置等において使用される光源装置および画像投写装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像投写装置であるプロジェクタは、光源より出射される照明光を赤色、青色、緑色の波長帯域(波長領域)に分離して液晶パネル等の光変調素子によりそれぞれ変調した後、これら光変調素子の出射光をスクリーンに投写して重ね合わせることにより、カラーの表示画像を形成する。このようなプロジェクタ用の光源として、可視光の波長帯域で発光効率の高い超高圧水銀ランプがある。しかしながら、超高圧水銀ランプは、緑色の波長帯域である550〔nm〕近辺の波長帯域においては、十分な光量を確保できるのに対し、赤色の波長帯域である600〔nm〕以上の波長帯域においては、この緑色の波長帯域に比べて、十分な光量を確保することができない。このため、従来は、白色表示時の色度を適正値近くに保つため、弱い赤色波長帯域に合わせて緑色波長帯域の光量を低下させるという措置を採っていた。
【0003】
しかし、このような措置を採るとすると、全波長帯域の光量を強度の弱い赤色波長帯域に合わせるので、その分、表示画面が暗くなることを避けられない。また、光源から出射される照明光の一部が無駄に消費されるという問題がある。これに対して、特許文献1では、超高圧水銀ランプからなる主光源と半導体レーザー等からなる副光源を設け、副光源の照明光に比べて主光源の照明光の光量が少ない所定の波長帯域において、主光源光を副光源光に置き換えるようになされた画像表示装置に関する発明が提案されている。
【0004】
この従来構成によれば、副の照明光に比して主の照明光の光量が少ない所定の波長帯域において、主の照明光を副の照明光に置き換えることにより、主の照明光の発光スペクトラムの波長帯域を副の照明光により強調して照明光を生成する照明光合成手段を有するようにしており、これにより副の光源の選定により、主の照明光の損失を抑圧して、主の照明光で光量が不足する波長帯域の光量を補うことができ、良好な色再現性が可能となるといった利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−296680号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような従来の光源装置は、主光源の照明光の一部の波長帯域を副光源光と単に置き換える構成となっているので、主光源の照明光の一部の波長帯域は原理的には光損失となっており、光利用効率の更なる向上のためには阻害要因となっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、主光源からの光を無駄なく合成して出力して光利用効率を向上させることができる光源装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる光源装置は、白色の照明光を出射する主光源と、第1の波長領域の光を分離及び合成する光分離合成手段と、前記第1の波長領域に含まれる第2の波長領域の照明光を前記光分離合成手段の合成入力側に出射する副光源と、前記光分離合成手段の分離出力側から出射された前記主光源光の第1の波長領域の照明光を前記光分離合成手段の合成入力側に導く導光手段とを備え、前記光分離合成手段は、前記主光源光の第1の波長領域以外の光と、前記副光源から出射される第2の波長領域の照明光と、前記導光手段により導かれた前記主光源光の第1の波長領域の照明光を合成して出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る光源装置によれば、主光源の照明光のうち光分離合成手段において反射により損失された波長領域の光を再度照明光として有効に利用するようにしたので、主光源と副光源の照明光を無駄なく利用でき、特定の光源だけでは得られない所望の波長特性を持つ効率の良い光源装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる光源装置および画像投写装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
以下、本発明に係る実施の形態1の構成および動作について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る光源装置の構成を示す図である。図1において、主光源3は、超高圧水銀ランプを用いたランプ光源1と放物面リフレクター2を備え、略平行光束を出射する。図1に示すように、リフレクター2からの出射光の光軸をAxとし、それに対して直交する方向の光軸をAyとする。副光源としての複数のLED光源17は光軸Ayの方向に赤の波長領域の照明光を出射する。この副光源照明光はコリメートレンズ18によって略平行光束に変換される。
【0012】
光分離合成手段は、所定の波長領域の光を分離及び合成するものであり、光分離合成手段としては、ダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムが用いられる。以下では、ダイクロイックミラーを用いるものとして説明する。ダイクロイックミラー8は、光軸Axと光軸Ayが交差する位置に、光軸Axと光軸Ayに対して45度の角度に配置され、副光源の照明光(赤)の波長領域の光をほぼ反射し、それ以外の波長領域の光を透過させる。ランプ光源1の照明光の内、ダイクロイックミラー8によって反射される光をコンデンサーレンズ(集光レンズ)10によって光ファイバ11の入射端に集光する。光ファイバ11の出射端を光軸Ay上の所定の位置に配置し、光ファイバ11からの出射光をコリメートレンズ16によって略平行光束に変換して光軸Ay方向に出射する。
【0013】
コリメートレンズ16とコリメートレンズ18から出射された略平行光束はダイクロイックミラー8によって反射され、ランプ光源1の照明光の透過光と合成される。ランプ光源1からの照明光とLED光源17からの照明光が合成された光はコンデンサーレンズ13によって光軸Ax上の所定の集光面14に集光される。
【0014】
以下、光の合成方法について詳しく説明する。図2はランプ光源1としての超高圧水銀ランプのスペクトル、図3はLED光源17のスペクトルを示している。図3に示したLEDのスペクトル特性は、中心波長650〔nm〕、光強度が最高強度の半分になるスペクトル幅(半値幅)は30〔nm〕である。一般に、LED光源17は中心波長において平均±10〔nm〕のばらつきがある。本実施の形態においては、複数のLED光源17を用いるので、ばらつきのある特性のLED光源を効率良く反射してランプ光源1の照明光に重畳させるために、ダイクロイックミラー8の特性を図4のように波長650〔nm〕を中心に50〔nm〕の反射波長領域を持つものとしている。すなわち、LED光源17から発生される照明光の波長領域は、ダイクロイックミラー8が反射する波長領域に含まれることとなる。
【0015】
ランプ光源1から出射された光束は、ダイクロイックミラー8において透過光と反射光とに分離される。透過光は光軸Axに沿って直進し、コンデンサーレンズ13に入射する。この時のスペクトルはダイクロイックミラー8における反射により波長650〔nm〕付近の一部のスペクトルが欠損し、図5のようになっている。LED光源17から出射され、コリメートレンズ18によって略平行光化された光束は、ダイクロイックミラー8において損失なく反射され、光軸Ax上に光路が変更され、ランプ光源1からの光束に重畳される。ランプ光源1の光束にLED光源17からの光束が重畳された光束のスペクトルは図6のようになる。
【0016】
一方、ランプ光源1から、出射した光束の内、ダイクロイックミラー8において反射された光束は光軸Ay上に光路を変更し、コンデンサーレンズ10に入射し、光ファイバ11に結合される。そして、光ファイバ11内部を伝播し、LED光源17側に配置された出射端から出射し、コリメートレンズ16を介してダイクロイックミラー8に再度入射する。この入射光は、ダイクロイックミラー8によって光軸Ax方向に反射され、ランプ光源1からの光束とLED光源17からの光束と重畳される。この時のスペクトルは図7の実線のようになり、図6(図7の点線)よりもさらに、赤色の光量が増加している。
【0017】
従来の方法では、ランプ光源からの光束のうちダイクロイックミラー8で反射される光はそのまま損失となるので、効率の良い重畳を実現するためにはダイクロイックミラー8の反射波長領域を狭帯域にし、中心波長を揃えたLED光源のみを選別して使用する必要があった。しかし、特に、複数のLED光源を用いるような構成では、このようなLED光源の選別は実現的でなく、コスト高になっていた。
【0018】
本実施の形態において提案した構成によれば、ダイクロイックミラー8で反射されたランプ光源1の光束を利用できるため、ダイクロイックミラー8の反射特性を狭帯域にする必要が無く、安価に赤色の光量を増加させた光源装置を得ることができる。
【0019】
また、製造上ダイクロイック膜を構成する蒸着膜の膜厚のばらつきにより、ダイクロイックミラー8の反射する波長特性がばらつくことを考慮し、ある程度反射波長領域に余裕を持たせる必要がある。本実施の形態の光源装置によれば、反射波長領域を大きくした場合においても、主光源の照明光の内、ダイクロイックミラー8によって反射された光が有効に利用されるので光の利用効率を向上させることができる。
【0020】
本実施の形態において、LED光源17を複数個用いることが望ましく、多くのLED光源を用いることにより、LED光源17のいくつかが発光しなくなっても、副光源としての機能が保たれるので、信頼性を向上することができる。
【0021】
また、多くのLED光源17を用いることにより、個々のLED光源17の光出力を制御し、主光源の照明光の配光分布に合わせることが可能となり、色むらを発生しにくくすることができる。
【0022】
本実施の形態においては、主光源と副光源の照明光を無駄なく合成し、特定の光源だけでは得られない所望の波長特性を持った照明光を得ることができる。また、本実施の形態においては、主光源の照明光のうちダイクロイックミラー8によって反射される赤色波長領域の光を照明光として有効に利用するので、副光源に要求される光量が従来の光源装置に比べて少なくて済む。
【0023】
本実施の形態における光ファイバ11としては、ガラス材料、プラスティック材料の他に液体を材料とするものも使用することができる。また、これは、コアに透過率の高い液体を用いるものである。このような液体を用いた光ファイバは、コア径が太いので入射損失を小さくすることができる。光ファイバの入射端、出射端に反射防止膜を施すことにより、光の利用効率をより向上させることができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、副光源としてLED光源を用いたが、図8に示すように、LED光源の代わりに、半導体レーザー光源5やEL(エレクトロルミネセンス)等、可視光を出射する半導体発光素子や固体レーザーを用いても同様の効果を得ることができる。なお、図8において、9は半導体レーザー光源5からの光を平行光に変換するコリメートレンズである。
【0025】
また、本実施の形態において、副光源の中心波長を650〔nm〕としたが、副光源の中心波長を600〔nm〕以上にした場合においても、ダイクロイックミラーの反射波長領域を副光源の波長領域に対応させることにより、同様に赤色の光量を増加させた光源装置を得ることができる。
【0026】
実施の形態2.
本発明に係る実施の形態2の構成および動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態2に係る光源装置の構成を示す図である。図9において、主光源3は、超高圧水銀ランプを用いたランプ光源1と放物面リフレクター2を備え、略平行光束を出射する。図9に示すように、リフレクター2からの出射光の光軸をAxとし、それに対して直交する方向の光軸をAyとする。副光源としての半導体レーザー光源5は赤の波長領域の照明光を出射する。コンデンサーレンズ6によって半導体レーザー光源5の出射光を光ファイバ7の入射端に集光する。
【0027】
光分離合成手段としてのダイクロイックミラー9は、光軸Axと光軸Ayが交差する位置に、光軸Axと光軸Ayに対して45度の角度に配置され、副光源の照明光の波長領域の光をほぼ反射し、それ以外の波長領域の光を透過させる。ランプ光源1の照明光の内、ダイクロイックミラー9によって反射される光をコンデンサーレンズ10によって光ファイバ11の入射端に集光する。光ファイバ7の出射端及び光ファイバ11の出射端を近接させて光軸Ay上の所定の位置に配置し、光ファイバ7及び光ファイバ11からの出射光をコリメートレンズ12によって略平行光束に変換して出射する。
【0028】
コリメートレンズ12から出射された略平行光束はダイクロイックミラー9によって反射され、ランプ光源1の照明光の透過光と合成される。ランプ光源1からの照明光と半導体レーザー光源5からの照明光が合成された光はコンデンサーレンズ13によって光軸Ax上の所定の集光面14に集光される。
【0029】
以下、光の合成方法について詳しく説明する。図10は半導体レーザー光源5のスペクトルを示している。図10に示した半導体レーザー光源5のスペクトル特性は中心波長650〔nm〕、光強度が最高強度の半分になるスペクトル幅(半値幅)は5〔nm〕である。一般に半導体レーザー光源は中心波長において平均±5〔nm〕のばらつきがある。また、温度による波長シフトが0.3〔nm/℃〕であり、動作温度範囲を0〜50〔℃〕とすると、変動幅が15〔nm〕発生することになる。本実施の形態において、発光波長のばらつき、及び温度による変動を考慮に入れ、半導体レーザー光源5を効率良く反射し、ランプ光源1の照明光に重畳するため、ダイクロイックミラー9の特性を図11のように波長650〔nm〕を中心に波長30〔nm〕の反射波長領域を持つものとしている。
【0030】
ランプ光源1から出射された光束は、ダイクロイックミラー9において透過光と反射光とに分離される。透過光は光軸Axに沿って直進し、コンデンサーレンズ13に入射する。この時のスペクトルはダイクロイックミラー9の反射により波長650〔nm〕付近の一部のスペクトルが欠損し、図12のようになっている。半導体レーザー光源5から出射され、コンデンサーレンズ6を介し、光ファイバ7の出射端から出射された光束はコリメートレンズ12に入射される。コリメートレンズ12によって略平行光化された光束は、ダイクロイックミラー9において損失なく反射され、光軸Ax上に光路が変更され、ランプ光源1からの光束に重畳される。ランプ光源1からの光束に半導体レーザー光源5からの光束が重畳された光束のスペクトルは図13のようになる。
【0031】
一方、ランプ光源1から出射された光束の内、ダイクロイックミラー9において反射された光束は光軸Ay上に光路が変更され、コンデンサーレンズ10に入射し、光ファイバ11に結合される。そして、光ファイバ11内部を伝播し、光ファイバ7の出射端に近接させて光軸Ay上の所定の位置に配置した光ファイバ11の出射端から出射し、コリメートレンズ12を介してダイクロイックミラー9に再度入射する。次いで、ダイクロイックミラー9によって光軸Ax方向に反射され、ランプ光源1からの光束と半導体レーザー光源5からの光束と重畳される。この時のスペクトルは図14の実線のようになり、図13(図14中の点線)よりもさらに、赤色の光量が増加している。
【0032】
従来の方法では、ランプ光源1からの光束のうちダイクロイックミラー9で反射される光はそのまま損失となるので、効率の良い重畳を実現するためにはダイクロイックミラー9の反射波長領域を狭帯域にし、使用環境温度が変化しても半導体レーザー光源5の温度が一定になるように制御する必要があった。しかし、このような半導体レーザー光源の温度制御は、コスト高になっていた。
【0033】
実施の形態2において提案した構成によれば、ダイクロイックミラー9で反射されたランプ光源1の光束を利用できるため、ダイクロイックミラー9の反射特性を狭帯域にする必要が無く、安価に赤色の光量を増加させた光源装置を得ることができる。
【0034】
また、製造上ダイクロイック膜を構成する蒸着膜の膜厚のばらつきにより、ダイクロイックミラー9の反射する波長特性がばらつくことを考慮し、ある程度反射波長領域に余裕を持たせる必要がある。本実施の形態の光源装置によれば、反射波長領域を大きくした場合においても、主光源の照明光の内、ダイクロイックミラー8によって反射された光が有効に利用されるので光の利用効率を向上させることができる。
【0035】
本実施の形態における光ファイバ7、及び光ファイバ11としては、ガラス材料、プラスティック材料の他に液体を材料とするものも使用することができる。また、これは、コアに透過率の高い液体を用いるものである。このような液体を用いた光ファイバは、コア径が太いので入射損失を小さくすることができ、光ファイバの入射端、出射端に反射防止膜を施すことにより、光の利用効率をより向上させることができる。
【0036】
本実施の形態において、ダイクロイックミラー9により反射される主光源3の照明光の内、コンデンサーレンズ10によって光ファイバ11の入射端に集光され、光ファイバ11内を伝播し、光ファイバ11からの出射光をコリメートレンズ12によって略平行光束に変換して出射され、ダイクロイックミラー9によって反射され、コンデンサーレンズ13によって集光面14に集光される光の割合を光再利用効率とする。また、ダイクロイックミラー9により反射される主光源3の照明光の内、コンデンサーレンズ10によって光ファイバ11の入射端に集光される割合を光ファイバ集光効率とする。光再利用効率は光ファイバ集光効率に大きく依存する。ランプ光源1の大きさ1.0〔mm〕、光ファイバ11のコア径3.0〔mm〕の組合せにおいて、光ファイバ集光効率は約65〔%〕となる。光ファイバ11の透過率が約95〔%〕、光ファイバ11からの出射光のうち、集光面14に集光される割合が約96〔%〕であるので、光再利用効率は最終的に約60〔%〕となる。ただし、光ファイバ11のコア径を最適化したり、コンデンサーレンズ10、コリメートレンズ12、及びコンデンサーレンズ13のレンズ形状を最適化したり、ランプ光源1の大きさを小さくしたりすることにより、光再利用効率をさらに大きくすることができる。
【0037】
本実施の形態における光ファイバ7と光ファイバ11の出射端を一体化して、主光源の光束のうちダイクロイックミラー9により反射される光束と副光源の光束とを混合できるものとしてもよい。
【0038】
本実施の形態2においては、実施の形態1と同様に、主光源と副光源の照明光を無駄なく合成し、特定の光源だけでは得られない所望の波長特性を持った照明光を得ることができる。また、本実施の形態2においては、主光源の照明光のうちダイクロイックミラー9によって反射される赤色波長領域の光を照明光として有効に利用するので、副光源に要求される光量が従来の光源装置に比べて少なくて済む。
【0039】
本実施の形態2においては、副光源として半導体レーザーを用いたが、半導体レーザーの代わりに、LED光源やEL(エレクトロルミネセンス)等、可視光を出射する半導体発光素子や固体レーザーを用いても同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、本実施の形態2において、副光源の中心波長を650〔nm〕としたが、副光源の中心波長を600〔nm〕以上にした場合においても、ダイクロイックミラーの反射波長領域を副光源の波長領域に対応させることにより、同様に赤色の光量を増加させた光源装置を得ることができる。
【0041】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3は、実施の形態1または実施の形態2に係る光源装置を用いた画像投写装置に関するものである。図15は、本発明の実施の形態3に係る画像投写装置の構成を示す図である。この画像投写装置において、実施の形態1に係る光源装置と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。この画像投写装置は、実施の形態1に係る光源装置15と、光源装置15からの出射光を均一化する光均一化素子20と、この光均一化素子20の出射面21からの出射光を伝達するリレー光学系22と、リレー光学系22からの光を光変調する光変調素子23と、光変調素子23からの出射光をスクリーン26に拡大投写する投写光学系25と、光変調素子23における映像の輝度又は色度をモニタし、副光源の光出力を調整するための出力制御装置27を備えている。なお、光均一化素子20及びリレー光学系22は、光源装置からの光を光変調素子23に照射する照明光学系24を構成している。
【0042】
光均一化素子20は、光変調素子23の表示エリアと略相似な断面形状を有する角筒状体の内周面全体に反射膜を設けたライトパイプで構成されている。このライトパイプは、その一端の入射面から入射した光を、内周面の反射膜で全反射しながら出射面21に導き、出射面21から均一な強度分布の光として出射するものである。
【0043】
なお、光均一化素子20は、光変調素子23 の表示エリアと略相似な断面形状を有する透明な角棒状体からなるロッドインテグレータであってもよい。ロッドインテグレータは、その一端の入射面から入射した光を、側面(すなわち空気層との界面)で全反射しながら出射面21に導き、出射面21から均一な強度分布の光として出射するものである。
【0044】
リレー光学系22は、光均一化素子20と光変調素子23との間に配置され、光均一化素子20の出射面21と光変調素子23とが共役な関係となるように結像させる機能を有する。
【0045】
投写光学系25は、光変調素子23とスクリーン26との間に配置され、光変調素子23とスクリーン26とが共役な関係になるように結像させる機能を有する。
【0046】
リアプロジェクションタイプの画像投写装置の場合、スクリーン26は透過型となる。この場合、スクリーン26は、投写光学系25側に配置されたフレネルレンズおよび観察者側に配置されたレンチキュラーレンズを有し(図示せず)、観察者側に映像を映し出す。フレネルレンズは投写光学系25からの投写光を略平行光として出射する作用を有する。レンチキュラーレンズはフレネルレンズで略平行光となって入射した投写光を、並列されたシリンドリカルレンズ群の特性により視野角を広げて、観察者側に映像光として出射する作用を有する。
【0047】
フロントプロジェクションタイプの画像投写装置の場合、スクリーン26は反射型となる。この場合、スクリーン26が略完全拡散面を有するようにし、投写光学系25からの投写光を視野角を広げて、投写光学系25側に映像光として反射するようにしてもよい。
【0048】
図15では、光変調素子23として反射型のDMD(Digital Micro−mirror Device)を用いた場合の構成を示している。これに限らず光変調素子23として透過型の液晶パネル、または反射型の液晶パネル等を使用することもできる。また、光変調素子23を1枚使用した単板式の他、3枚の光変調素子23を使用した3板式等、複数の光変調素子23を使用する構成が可能である。
【0049】
出力制御装置27は、光変調素子23における映像の輝度又は色度をモニタし、ランプ光源1の光出力の経時変化に応じて、LED光源17の光出力を増加又は減少させ、常に一定の色調に保たれた映像を表示できる機能を有する。
【0050】
かかる構成において、光源装置15の集光面14に集光された光は、集光面14に置かれた光均一化素子20の入射面に入射し、光均一化素子20の内部で反射を繰り返すことにより均一化され、出射面21から出射される。出射面21から出射された光は、リレー光学系22により屈折や反射作用を受け、光変調素子23に照射される。光変調素子23は、入力された映像信号に応じて照射された光を変調し、その変調光は投写光学系25により屈折や反射作用を受けて拡大され、スクリーン26に投写されて、映像が映し出される。
【0051】
なお、集光面14よりも前(光源装置15側)、あるいは出射面21よりも後(スクリーン26側)のいずれかの位置に、カラー画像を表示するためのカラーホイールや、特定の波長領域の光を透過あるいは反射させるダイクロイックフィルター、異なる波長領域の光を合成するための合成プリズム等を設けてもよい。
【0052】
本実施の形態の画像投写装置では実施の形態1で説明したように、光源装置15の主光源の照明光の内、ダイクロイックミラー8によって反射された光が有効に利用されるので光の利用効率を向上させることができ、その結果、スクリーン26に表示される画像の明るさを改善することができる。
【0053】
また、本実施の形態の画像投写装置では、実施の形態1で説明したように、主光源と副光源の照明光を無駄なく合成し、特定の光源だけでは得られない所望の波長特性を持った照明光を得ることができ、その結果、色再現範囲の広い画像投写装置を得ることができる。また、本実施の形態においては、主光源の照明光のうちダイクロイックミラー8によって反射される赤色波長領域の光を照明光として有効に利用するので、副光源に要求される光量が従来の光源装置に比べて少なくて済み、その結果、副光源に必要な電力が少なくて済むので、従来の光源装置に比べて低消費電力の画像投写装置を得ることができる。
【0054】
本実施の形態の画像投写装置では実施の形態1に係る光源装置を用いたが、実施の形態2に係る光源装置を用いてもよい。
【0055】
上述した実施の形態1〜3では、ダイクロイックミラーにより反射された主光源の波長領域の照明光を再びダイクロイックミラーに導く導光手段としてコンデンサーレンズ、光ファイバ、コリメートレンズを用いたが、これに限定されるものではなく、導光手段としては、例えば、反射ミラーを複数用いる方法や、光ファイバの代わりに内周面全体に反射膜が設けられた角筒状体であるライトパイプを組み合わせたものを用いてもよい。
【0056】
なお、上述した実施の形態1〜3では、主光源として超高圧水銀ランプを用いたが、これに限らず、例えば、キセノンランプや、メタルハライドランプ、無電極放電ランプ等を用いてもよい。また、副光源として赤色の波長領域の半導体発光素子を用いたが、主光源のスペクトル分布において不足している波長領域の光を出射する半導体発光素子を用いてもよい。また、光軸Ayは光軸Axに対して直交する方向に規定され、波長合成手段は、光軸Axと光軸Ayに対して45度の角度に設置されると説明したが、光軸Axと光軸Ayとのなす角度に対し、波長合成手段の設置角度が適切に定められていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明にかかる光源装置は、プロジェクタなどの画像投写装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光源装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1〜3に係る超高圧水銀ランプの発光スペクトル分布を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るLED光源の発光スペクトル分布を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るダイクロイックミラーの透過特性を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る超高圧水銀ランプのダイクロイックミラー透過光のスペクトル特性を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る超高圧水銀ランプのダイクロイックミラーの透過光とLED光源の照明光を重畳した場合のスペクトル特性を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る照明光を重畳した結果のスペクトル特性を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光源装置において、副光源に半導体レーザー光源を用いた構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る光源装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る半導体レーザー光源の発光スペクトル分布を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係るダイクロイックミラーの透過特性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る超高圧水銀ランプのダイクロイックミラー透過光のスペクトル特性を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る超高圧水銀ランプのダイクロイックミラーの透過光とLED光源の照明光を重畳した場合のスペクトル特性を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る照明光を重畳した結果のスペクトル特性を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る画像投写装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ランプ光源
2 リフレクター
3 主光源
5 半導体レーザー光源
6 コンデンサーレンズ
7 光ファイバ
8 ダイクロイックミラー
9 ダイクロイックミラー
10 コンデンサーレンズ
11 光ファイバ
12 コリメートレンズ
13 コンデンサーレンズ
14 集光面
15 光源装置
16 コリメートレンズ
17 LED光源
18 コリメートレンズ
20 光均一化素子
21 出射面
22 リレー光学系
23 光変調素子
24 照明光学系
25 投写光学系
26 スクリーン
27 出力制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色の照明光を出射する主光源と、
第1の波長領域の光を分離及び合成する光分離合成手段と、
前記第1の波長領域に含まれる第2の波長領域の照明光を前記光分離合成手段の合成入力側に出射する副光源と、
前記光分離合成手段の分離出力側から出射された前記主光源光の第1の波長領域の照明光を前記光分離合成手段の合成入力側に導く導光手段とを備え、
前記光分離合成手段は、前記主光源光の第1の波長領域以外の光と、前記副光源から出射される第2の波長領域の照明光と、前記導光手段により導かれた前記主光源光の第1の波長領域の照明光を合成して出力することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記主光源は、平行光を出射し、
前記導光手段は、前記光分離合成手段の分離出力側から出射された前記主光源の第1の波長領域の照明光を前記光分離合成手段の合成入力側に導光するための光ファイバと、前記光分離合成手段により分離された前記主光源の第1の波長領域の照明光を前記光ファイバの入射端に集光するレンズとを備えることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記副光源から出射される照明光および前記光ファイバから出射される前記主光源の第1の波長領域の照明光を略平行にして前記光分離合成手段の合成入力側に出射するレンズをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記副光源はLED光源またはレーザー光源であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光源装置。
【請求項5】
前記副光源の照明光を前記光分離合成手段の合成入力側に導光するための副光源側光ファイバと、
前記副光源の出射光を前記光ファイバの入射端に集光するレンズと、
前記副光源側光ファイバの出射端から出射される照明光および前記ファイバの出射端から出射される前記主光源の第1の波長領域の照明光を略平行にして前記光分離合成手段の合成入力側に出射するレンズをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項6】
前記副光源はレーザー光源であることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記主光源が、ランプ光源であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光源装置。
【請求項8】
前記ランプ光源が、超高圧水銀ランプであることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記副光源の中心波長が600〔nm〕以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記光分離合成手段が、ダイクロイックミラー又はダイクロイックプリズムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の光源装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかひとつに記載の光源装置を有し、照明光を出力する照明光学系と、
該照明光学系から入射した照明光を制御して画像を形成する光変調素子と、
前記光変調素子からの光を拡大投写する投写光学系と、
を備えたことを特徴とする画像投写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−158107(P2008−158107A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344973(P2006−344973)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】