説明

光源装置

【課題】 波長変換部材の部分的な温度上昇を防止し、所望な光学特性を有する光源装置を提供すること。
【解決手段】 光源装置1は、励起光を出射する励起光光源10と、励起光が入射する入射端面20aと励起光が出射する出射端面20bとを有し、入射端面20aから出射端面20bに励起光を導光する光ファイバ20と、出射端面20bが当接し、出射端面20bから出射した励起光を、所望な波長を有する波長変換光に変換する波長変換ユニット40とを有している。波長変換ユニット40は、光軸20c上に配設され、出射端面20bから出射された励起光が全体に照射され、励起光に対して反射を行う光学素子41と、光学素子41によって反射が行われた励起光の光路上に配設され、励起光が全体に照射され、励起光を波長変換光に変換する波長変換部材43と、波長変換部材43によって変換された波長変換光を外部に向かって出射する出射開口部45とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光を対象物に照明する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源と光ファイバとが組み合わさっている細い構造物の先端から光を出射する照明装置が提案されている。このような照明装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1において、励起光源はライトガイドの一端と接続し、ライトガイドの他端は波長変換部材上の一部と当接している。励起光源は励起光を出射し、ライトガイドはこの励起光を波長変換部材上の一部にまで導光する。そして波長変換部材は、この励起光を吸収し、吸収した励起光の波長を変換して、照明光を出射する。
【0003】
なお上述したようにライトガイドの他端は、波長変換部材上の一部と当接している。そのため、ライトガイドによって導光された励起光が波長変換部材を照射する照射領域は、波長変換部材上の一部に集中する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−220626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
波長変換部材は、励起光を吸収し、吸収した励起光の波長を変換して、照明光を出射することで、発熱する。上述したように照射領域は波長変換部材上の一部に集中しているため、発熱もこの一部に集中する。これにより波長変換に伴う発熱が部分的となり、結果的に波長変換部材の一部の温度が上昇し、波長変換部材の一部は高温になる。
【0006】
一般に波長変換部材が部分的にであっても高温になると、波長変換部材の波長変換効率は低下したり、波長変換光のスペクトルが変化する。この結果、照明装置から出射される照明光の輝度(光量)が低下し、照明光の色が変化してしまい、所望な光学特性を得られない虞が生じる。
【0007】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、波長変換部材の部分的な温度上昇を防止し、所望な光学特性を有する光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、励起光を出射する励起光光源と、前記励起光光源から出射された前記励起光が入射するファイバ入射端面と、前記励起光が出射するファイバ出射端面とを有し、前記ファイバ入射端面から前記ファイバ出射端面に前記励起光を導光する光ファイバと、前記ファイバ出射端面から出射した前記励起光を、所望な波長を有する波長変換光に変換する波長変換ユニットと、を具備し、前記波長変換ユニットは、前記光ファイバの光軸上に配設され、前記ファイバ出射端面から出射された前記励起光が全体に照射され、前記励起光に対して反射と散乱と回折とのいずれかを行う光学素子と、前記光学素子によって反射と散乱と回折とのいずれかが行われた前記励起光の光路上に配設され、反射と散乱と回折とのいずれかが行われた際に、前記励起光が全体に照射され、照射された前記励起光を前記波長変換光に変換する波長変換部材と、前記波長変換部材によって変換された前記波長変換光を前記波長変換ユニットの外部に向かって出射する出射開口部と、を有していることを特徴とする光源装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、波長変換部材の部分的な温度上昇を防止し、所望な光学特性を有する光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る光源装置の外観図である。
【図2】図2は、波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図3】図3は、波長変換ユニットの正面図である。
【図4】図4は、第1の実施形態の第1の変形例における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図7】図7は、第3の実施形態の変形例における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第4の実施形態における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図9】図9は、第5の実施形態における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図10】図10は、第5の実施形態の変形例における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図11】図11は、第6の実施形態における波長変換ユニットの内部の構成を示す図である。
【図12】図12は、光ファイバ側から見た際の回折型の光学素子の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1乃至図3を参照して第1の実施形態について説明する。なお以下において、光ファイバ20の光軸20cは、光ファイバ20の中心軸である。また図3において、図示の簡略化のために、透明保持板47の図示を省略している。
【0012】
図1に示すように、光源装置1は、励起光を出射する励起光光源10と、励起光光源10から出射された励起光を集光するレンズ11と、レンズ11によって集光された励起光が入射する入射端面20aと励起光が出射する出射端面20bとを有し、入射端面20aから出射端面20bに励起光を導光する光ファイバ20と、光ファイバ20の出射端面20bが当接し、出射端面20bから出射した励起光を、所望な波長を有する波長変換光に変換する波長変換ユニット40とを有している。
【0013】
励起光光源10は、波長が例えば400nm付近の青紫色のレーザ光を出射する半導体レーザである。このレーザ光が励起光である。
【0014】
光ファイバ20には、開口数NAが略0.22、コア径が50μmのマルチモードファイバが用いられている。図2に示すように、光ファイバ20は、フェルール21によって保持されている。このフェルール21は、出射端面20bが後述する光学素子41に対向するように、後述する保持部材49に固定されている。
【0015】
図2に示すように、波長変換ユニット40は、光学素子41と、波長変換部材43と、出射開口部45とを有している。
光学素子41は、光ファイバ20の光軸20c上に配設され、出射端面20bから出射された励起光が全体に照射され、励起光に対して反射と散乱と回折とのいずれかを行う。波長変換部材43は、光学素子41によって反射と散乱と回折とのいずれかが行われた励起光の光路上に配設され、反射と散乱と回折とのいずれかが行われた際に、励起光が全体に照射され、励起光を波長変換光に変換する。出射開口部45は、波長変換部材43によって変換された波長変換光を波長変換ユニット40の外部に向かって出射する。
【0016】
また波長変換ユニット40は、光学素子41を保持し、波長変換部材43によって変換された波長変換光が波長変換ユニット40の外部に向かって出射するために透過する透明保持板47と、波長変換部材43と透明保持板47と出射開口部45とを保持する保持部材49とを有している。
【0017】
本実施形態の光学素子41は、励起光を例えば正反射する鏡面である。つまり本実施形態の光学素子41は、励起光を反射する反射型の光学素子である。また光学素子41は、励起光と共に、波長変換部材43によって変換された波長変換光も反射する。このような光学素子41は、図2に示すように、励起光と波長変換光とを反射する反射面41bを有している。反射面41bは、出射端面20b側の光学素子41の全面を示す。この場合、反射面41bは、出射端面20bに対向している。
【0018】
図2に示すように、光学素子41は、励起光の出射方向において、出射端面20bに対向するように出射端面20bの前方に配設されている。詳細には、光学素子41の中心軸41aは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。光学素子41は、出射端面20b側の透明保持板47の端面47aに直接配設されている。
【0019】
なお光学素子41(反射面41b)は、出射端面20bよりも大きい。また光学素子41は、例えば平板である。光学素子41は、例えば円形形状を有している。
【0020】
図2に示すように、波長変換部材43は、波長変換部材43が励起光を照射された際に励起光が入射する入射端面43aと、波長変換光を出射する出射端面43bとを有している。本実施形態において、入射端面43aには、光ファイバ20の出射端面20bから出射され、光学素子41によって反射された励起光が入射する。入射端面43aと出射端面43bとは、同一面であり、保持部材49の内周面49h全面配設されており、後述する貫通孔49aに接している。入射端面43aと出射端面43bとは、波長変換部材43の表面全体である。このような波長変換部材43は、光学素子41によって励起光を波長変換部材43の一部に照射されるのではなく、励起光を波長変換部材43の表面の略全域に照射される。また波長変換部材43は、波長変換光を波長変換部材43の一部から出射するのではなく、波長変換光を波長変換部材43の表面の略全域から出射する。この場合、入射端面43aは、励起光を照射される照射領域となる。
【0021】
波長変換部材43は、光ファイバ20の出射端面20bから出射され、光学素子41によって反射された励起光を入射端面43aから吸収し、吸収した励起光を、例えば励起光の波長よりも長い波長を有する波長変換光に変換し、出射端面43bから波長変換光を出射する。
【0022】
このような波長変換光は、例えば蛍光である。波長変換部材43は、励起光を波長変換光に変換する際、発熱する。
【0023】
本実施形態では、波長変換部材43は、一般的な粉末蛍光体と樹脂とが混合し硬化したものである。
粉末蛍光体は、例えばCe賦活のシリケート系蛍光体である。Ce賦活のシリケート系蛍光体は、略400nm周辺の励起光を吸収し、この励起光を、略570nmにピークを有する蛍光に変換する。
樹脂は、励起光と蛍光とを透過する性質を有していればよい。なお例えば耐光性の高いシリコーン樹脂が用いられると、光が照射されることによる樹脂の劣化等が軽減される。
【0024】
このような構成を有する波長変換部材43は、励起光を、上述したように波長変換光である蛍光に変換する。この蛍光は、波長変換ユニット40の外部に出射されることで、図示しない対象物を照明する照明光となる。
【0025】
波長変換部材43の厚みと、樹脂に対する粉末蛍光体の濃度とは、光学素子41によって反射された励起光が波長変換部材43の内部で充分吸収されるように、所望に設定されている。
【0026】
図2に示すように、透明保持板47は、光学素子41の中心軸41aが光ファイバ20の光軸20c上に配設され、さらに光学素子41が波長変換ユニット40の出射開口部45と同一面に配設されるように、光学素子41を保持している。
【0027】
透明保持板47の直径は、保持部材49の直径と略同一であり、後述する貫通孔49aの大きい孔49fよりも大きい。透明保持板47は、孔49fの前方にて孔49fに隣接するように、保持部材49によって保持されている。
【0028】
透明保持板47の中心軸47bは、光学素子41の中心軸41aと同様に、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。透明保持板47は、例えば円形形状を有している。
【0029】
図2に示すように、保持部材49は、円錐台形形状の貫通孔49aを有している。貫通孔49aの中心軸49bは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。貫通孔49aは、光ファイバ20の光軸20cに沿って貫通している。
【0030】
この貫通孔49aの第1の貫通面である小さい孔49eには、出射端面20bが光学素子41に対向するように、出射端面20bが配設されている。なお出射端面20bは、出射端面20bが光学素子41に対向できれば、孔49eから離れていてもよく、つまり孔49e近傍に配設されていてもよい。孔49eは、励起光が波長変換ユニット40(保持部材49)の内部に入射する波長変換ユニット40の入射開口部となる。孔49eの中心は、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0031】
貫通孔49aの第2の貫通面である大きい孔49fの直径は、透明保持板47の直径よりも小さい。孔49fの中心は、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。孔49fは、波長変換光が波長変換ユニット40の外部に向けて出射する出射開口部45となる。
【0032】
孔49fの前方における保持部材49には、孔49fに隣接するように透明保持板47が配設されている。保持部材49は、光学素子41を、透明保持板47を介して間接的に保持することとなる。詳細には、保持部材49は、光学素子41の中心軸41aが光ファイバ20の光軸20c上に配設され、光学素子41が波長変換ユニット40の出射開口部45と同一面に配設されるように、透明保持板47を介して光学素子41を保持している。
【0033】
また保持部材49(貫通孔49a)の内周面49h全面には、波長変換部材43が配設されている。
【0034】
このように保持部材49は、透明保持板47を介して光学素子41を孔49fに保持し、波長変換部材43を内周面49h全面にて保持している。そのため波長変換部材43は、光学素子41と所望な距離離れている。
【0035】
なお出射開口部45は、波長変換光が波長変換ユニット40の外部に出射する波長変換ユニット40の出射開口部でもある。出射開口部45は、透明保持板47よりも小さい。出射開口部45は、出射端面20bから最も離れた位置に配設されている。
【0036】
この出射開口部45において、図2と図3とに示すように、光学素子41が配設されていない出射開口部45の領域が、波長変換部材43によって変換された波長変換光が波長変換ユニット40の外部に向かって出射するために透過する透過領域51となる。言い換えると、出射開口部45は、透過領域51を、出射開口部45(孔49f)から光学素子41が配設されている領域を除いた領域に有している。このように、透過領域51は、光学素子41が配設されていない出射開口部45の領域、詳細には、出射開口部45の内部且つ光学素子41の外部の領域であることを示す。なお本実施形態における透過領域51は、波長変換光が通過する通過領域となっている。
【0037】
保持部材49は、熱伝導率の高い部材、例えば真鍮やアルミニウムを加工または成形したものである。これにより保持部材49は、波長変換部材43が上述したように発熱した際、波長変換部材43から伝わった熱を外部に向けて放熱する。
【0038】
上述したように貫通孔49aの中心軸49bは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。このように、光ファイバ20の光軸20cと、貫通孔49aの中心軸49bと、光学素子41の中心軸41aと、透明保持板47の中心軸47bとは、同一直線上に配設されている。
【0039】
なお貫通孔49aは、球の一部を有する形状を有していてもよい。
【0040】
ここで、光ファイバ20の開口数をNA、光ファイバ20の出射端面20bから光学素子41までの距離をD1、貫通孔49a内部の屈折率をnとする。このとき、光学素子41の半径Rrは、以下に示す式(1)によって算出される。
Rr=D1×tan(φ) ・・・ 式(1)
なお角度(φ)は、出射端面20bから出射された励起光の広がり角度であり、以下に示す式(2)によって算出できる。
φ=arcsin(NA/n) ・・・ 式(2)
本実施形態では、式(1),(2)によって、光学素子41の外径は、励起光のビームスポット(励起光照射領域)の外径と略等しくなるように形成されている。この励起光のビームスポットは、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光が光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向かって進行した際に、光学素子41の反射面41b上に形成される。
【0041】
このような構成とすることで、出射端面20bから出射されたほとんど全ての励起光は、光学素子41(反射面41b)を照射する。
【0042】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
図1に示すように、励起光光源10が点灯すると、励起光が出射される。励起光光源10から出射された励起光は、レンズ11により光ファイバ20の入射端面20aに集光され、入射端面20aから光ファイバ20に入射し、光ファイバ20によって光ファイバ20の出射端面20bにまで導光される。
【0043】
図2に示すように、出射端面20bまで導光された励起光は、出射端面20bから出射され、波長変換ユニット40の入射開口部である孔49eから波長変換ユニット40に入射する。
【0044】
波長変換ユニット40に入射した励起光は、貫通孔49aの内部を、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角で広がりながら光学素子41に向かって進行し、光学素子41(反射面41b)を照射する。
【0045】
このとき光学素子41を照射する励起光は、光学素子41の反射面41b上にビームスポットを形成する。なお、式(1),(2)を基にした距離D1と半径Rrとによって、ビームスポットの外径は、光学素子41の外径と略等しくなるように形成されている。このため、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光の大部分は、光学素子41(反射面41b)を照射する。
【0046】
光学素子41を照射した励起光は、光学素子41によって正反射され、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら貫通孔49aの内周面49hに配設されている波長変換部材43に向かって進行し、波長変換部材43の表面の略全域を照射する。つまり励起光が波長変換部材43を照射する照射領域(入射端面43a)は、波長変換部材43上の一部に集中するのではなく、波長変換部材43の表面の略全域となる。
【0047】
すなわち、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光は、光学素子41を経由して、波長変換部材43の表面の略全域(入射端面43a)を間接的に照射する。このとき光学素子41と波長変換部材43とは、所望な距離離れている。そのため励起光は、漏れることなく光学素子41によって波長変換部材43に向けて反射し、波長変換部材43の表面の略全域を照射する。
【0048】
以上をまとめると、励起光は、光ファイバ20の出射端面20bから出射され、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向かって進行し、光学素子41によって反射される。反射された励起光は、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら波長変換部材43に向かって進行し、波長変換部材43の一部分のみを、つまり波長変換部材43を部分的に照射するのではなく、波長変換部材43の表面の略全域を照射する。
【0049】
波長変換部材43を照射した励起光は、入射端面43aから波長変換部材43の内部に入射し、この内部を進行しながら波長変換部材43によって徐々に吸収され、波長変換光に変換される。
【0050】
波長変換部材43に入射した励起光の多くは、波長変換部材43の入射端面43a近傍で吸収される。このとき励起光の吸収される量は、波長変換部材43の内部を進行する励起光の距離に応じて、指数関数的に減少する。
【0051】
波長変換光は、波長変換部材43の、励起光が吸収された部分で発生する。そのため大部分の波長変換光は、波長変換部材43の、励起光が入射した入射端面43a近傍の領域で発生する。
【0052】
波長変換光は、波長変換部材43の表面の略全域(出射端面43b)から、励起光の入射方向に影響されることなく様々な方向に出射される。このとき波長変換光の一部は、貫通孔49aの内部を進行する。また、波長変換光の他部は、波長変換部材43の内部を進行し、散乱等により外部に放出され、または波長変換部材43に再吸収されて、それより長波長の2次的な波長変換光となる。
【0053】
貫通孔49aの内部を進行する波長変換光の一部は、光学素子41の反射面41bに向かって進行し、反射面41bによって反射され、波長変換部材43を照射する。そしてこの波長変換光は、波長変換部材43によって反射または散乱され、または波長変換部材43によって再吸収されてそれより長波長の2次的な波長変換光に波長変換される。
【0054】
なお波長変換部材43は、上述したように励起光を波長変換光に変換する際、発熱する。しかしながら本実施形態では、励起光は、波長変換部材43の一部分のみを、つまり波長変換部材43を部分的に照射するのではなく、波長変換部材43の表面の略全域を照射する。言い換えると、励起光が波長変換部材43を照射する照射領域(入射端面43a)は、波長変換部材43上の一部に集中するのではなく、波長変換部材43の表面の略全域となる。そのため、波長変換に伴う発熱は部分的とならず、発熱がこの一部に集中することはなく、波長変換部材43の部分的な温度の上昇が防止され(波長変換部材43の一部分のみの温度の上昇が防止され)、波長変換部材の一部が高温となることを防止される。
【0055】
これにより波長変換部材43の波長変換効率の低下と、波長変換光のスペクトルの変化とが防止される。そして、光源装置1から出射される照明光の輝度(光量)の低下と、照明光の色の変化とが防止され、所望な光学特性が得られる。
【0056】
また波長変換部材43は、入射端面43a近傍で波長変換光を発生する。一般的に、波長変換光は波長変換部材43の内部を進行すると、波長変換光の一部は散乱や再吸収に伴い熱に変化する。本実施形態では、入射端面43aと出射端面43bとは同一面であるため、波長変換光が波長変換部材43の内部を進行する距離は短い。これにより励起光は波長変換部材43の内部で散乱や再吸収されにくく、散乱や再吸収に伴う発熱は防止される。
【0057】
また波長変換部材43は、光学素子41とは所望な距離離れている。そのため励起光は、波長変換部材43の一部分のみを、つまり波長変換部材43を部分的に照射するのではなく、波長変換部材43の表面の略全域を照射する。これにより上述したように、波長変換部材43全体としての温度の上昇が防止される。
【0058】
また保持部材49は熱伝導率の高い部材であるため、保持部材49は、波長変換部材43が上述したように発熱した際、波長変換部材43から伝わった熱を外部に向けて放熱する。これにより波長変換部材43全体としての温度の上昇は防止される。
【0059】
このような工程が繰返され、波長変換光の一部は、直接または様々な工程を経て透過領域51を通過し、透明保持板47を透過し、波長変換ユニット40から出射され、照明光として対象物を照明する。
【0060】
このように本実施形態では、光学素子41を光ファイバ20の光軸20c上に配設し、光学素子41によって反射される励起光の光路上に波長変換部材43を配設している。さらに本実施形態では、励起光を光学素子41の表面の略全域に照射し、励起光が光学素子41によって反射された際に、励起光を波長変換部材43の表面の略全域に照射している。つまり本実施形態では、励起光を、波長変換部材43の一部分のみ、つまり波長変換部材43を部分的に照射するのではなく、波長変換部材43の表面の略全域に照射している。言い換えると本実施形態では、波長変換部材43における励起光の照射領域(入射端面43a)を波長変換部材43上の一部に集中させるのではなく、波長変換部材43の表面の略全域に形成している。これにより本実施形態では、波長変換部材43の一部分のみの温度の上昇を防止でき、波長変換部材43全体としての温度の上昇を防止できる。これにより本実施形態では、所望な光学特性を有することができる。
【0061】
例えば、ライトガイドなどの光ファイバ20の出射端面20bが波長変換部材43と当接している場合に比べて、本実施形態では、照射領域である入射端面43aが広くなる。言い換えると、本実施形態では、波長変換部材43の入射端面43aにおける、単位面積あたりの励起光の照射光量、つまり励起光の密度は、光ファイバ20の出射端面20bが波長変換部材43と当接している場合よりも、小さくなる。
【0062】
一般に、波長変換部材43において、励起光の密度が上昇すると、波長変換に伴う発熱量が増大し、波長変換部材43の波長変換効率は低下したり、波長変換光のスペクトルが変化する。この結果、光源装置1から出射される照明光の輝度(光量)が低下し、照明光の色が変化してしまい、所望な光学特性を得られない虞が生じる。
【0063】
しかしながら本実施形態では、上述したような構成によって、波長変換部材43の一部分のみの温度の上昇を防止でき、波長変換部材43全体としての温度の上昇を防止できる。これにより本実施形態では、所望な光学特性を有することができる。
【0064】
また本実施形態では、同じ強度の励起光を、同じ組成で同じ構造の波長変換部材43に照射した場合、波長変換部材43から発生する熱の総量は、同じであるとする。このとき本実施形態では、励起光を波長変換部材43の表面の略全域(入射端面43a)に照射するため、波長変換に伴う熱も波長変換部材43の表面の略全域(入射端面43a)で発生することとなる。すなわち本実施形態では、波長変換部材43の一部分のみが発熱することを防止でき、波長変換部材43の一部分のみの温度の上昇を防止できる。これにより本実施形態では、波長変換部材43の一部分における波長変換効率の低下と、一部の波長変換光のスペクトルの変化とが防止される。そして本実施形態では、光源装置1から出射される照明光の輝度(光量)の低下と、照明光の色の変化とを防止でき、所望な光学特性を得ることができる。
【0065】
また本実施形態では、保持部材49を熱伝導率の高い部材で形成している。このため本実施形態では、波長変換部材43で発生した熱を、保持部材49に伝えて外部に放出でき、波長変換部材43の温度の上昇を防止できる。
【0066】
また本実施形態では、波長変換部材43において、入射端面43a近傍で多くの波長変換光が発生する。また本実施形態では、波長変換光は波長変換部材43の内部を進行すると、波長変換光の一部は散乱や再吸収に伴い熱に変化する。本実施形態では、入射端面43aと出射端面43bとは同一面であるため、波長変換光が波長変換部材43の内部を進行する距離を短くでき、波長変換部材43の内部における励起光の散乱や再吸収を防止でき、散乱や再吸収に伴う発熱を防止できる。
【0067】
また本実施形態では、入射端面43aと出射端面43bとを同一面とすることで、励起光から波長変換光を取り出す取り出し効率を向上させることができる。
【0068】
また本実施形態では、光学素子41と波長変換部材43とを所望な距離離すことで、励起光を漏らすことなく光学素子41によって波長変換部材43に向けて確実に反射でき、励起光を、波長変換部材43の表面の略全域に照射できる。つまり本実施形態では、光学素子41と波長変換部材43とを所望な距離離すことで、励起光をより広げ易く、励起光を広い範囲に渡って波長変換部材43に照射できる。これにより本実施形態では、波長変換部材43の入射端面43aにおける、単位面積あたりの励起光の照射光量、つまり励起光の密度を小さくでき、所望な光学特性を有することができる。
【0069】
また本実施形態では、励起光を波長変換部材43の表面の略全域に照射するため、波長変換部材43の波長変換効率の低下等が発生する。しかしながら本実施形態では、励起光を波長変換部材43の一部分に照射する時と比べて、励起光の密度の上限が同じ場合、より多くの励起光を波長変換部材43に照射でき、より高出力の光源装置1を提供できる。
【0070】
また本実施形態では、光学素子41を出射開口部45と同一平面に配設し、出射開口部45を出射端面20bから最も離れた位置に配設することで、波長変換部材に対して励起光と波長変換光とをより広い範囲に反射できる。これにより本実施形態では、上述したように、波長変換部材43の入射端面43aにおける、単位面積あたりの励起光の照射光量、つまり励起光の密度を小さくできる。結果的に、本実施形態では、波長変換部材43の一部分のみの温度の上昇を防止でき、波長変換部材43全体としての温度の上昇を防止できる。これにより本実施形態では、所望な光学特性を有することができる。
【0071】
また本実施形態では、反射面41bを出射端面20bに対向し、光学素子41の中心軸41aを光ファイバ20の光軸20c上に配設することで、励起光を漏らすことなく光学素子41に照射できる。
【0072】
また本実施形態では、式(1),(2)によって光学素子41の半径Rrを算出することで、光ファイバ20から出射された励起光を、効率良く光学素子41全体に照射できる。また本実施形態では、光学素子41を不必要に大きくすることが防止でき、波長変換ユニット40を小型にもできる。
【0073】
また本実施形態では、光ファイバ20をマルチモードファイバとすることで、光ファイバ20に励起光を効率的に入射させることができる。
【0074】
次に、第1の実施形態の変形例について図4を参照して説明する。
本変形例の光ファイバ20の先端部20d(出射端面20b側の端部)は孔49eを挿通し、出射端面20bは保持部材49(貫通孔49a)の内部に配設されている。そのため、本変形例の距離D1は、第1の実施形態よりも短い。また距離D1は、光学素子41が配設される出射開口部45上において、波長変換部材43から光学素子41までの距離D2よりも短い。本変形例の距離D1が第1の実施形態の距離D1よりも短くなるため、式(1)によって、本変形例の半径Rrは第1の実施形態の半径Rrよりも短くなる。つまり本変形例の光学素子41は第1の実施形態の光学素子41よりも小さくなり、本変形例の透過領域51は第1の実施形態の透過領域51よりも大きくなる。
【0075】
なお先端部20dは孔49eを挿通しているため、波長変換部材43は光ファイバ20を囲むように配設されている。
【0076】
このように本変形例では、出射端面20bを貫通孔49aの内部に配設することで、距離D1を第1の実施形態よりも短くでき、光学素子41を小さくできる。この結果、本変形例では、第1の実施形態よりも透過領域51を大きくでき、第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、さらにより多くの波長変換光を対象物に照明できる。
【0077】
次に、本発明に係る第2の実施形態について図5を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成については、第1の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態の保持部材49と波長変換部材43とは、光ファイバ20の光軸20cに対して直交する方向に配設されている例えば円形形状の平板、つまり円板である。保持部材49と波長変換部材43とは、同じ大きさを有している。保持部材49と波長変換部材43とは、励起光が通過する開口部49j,43dを有している。この開口部49j,43dは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されており、出射端面20bと同じ大きさ、または出射端面20bよりも大きい。保持部材49の一方の端面49kには、出射端面20bが開口部49jに配設されるように、フェルール21が配設されている。また保持部材49の他方の端面49lは、励起光の進行方向において端面49kよりも前方側の端面である。この端面49lの開口部49jを除いた領域には、波長変換部材43が配設されている。つまり開口部49jと開口部43dとが隙間を設けることなく連通するように、端面49lには波長変換部材43が配設されている。
【0078】
このように、保持部材49は、励起光が通過し、光ファイバ20の出射端面20bが配設される開口部49jを光ファイバ20の光軸20c上に有している。また保持部材49は、励起光の進行方向前方側における端面49lの開口部49jを除いた領域にて波長変換部材43を保持している。
【0079】
また波長変換部材43には、円柱形状の透過部材55が配設されている。透過部材55の直径は、波長変換部材43の直径と略同一である。透過部材55は、例えば、ガラスや光学用樹脂等であり、励起光と波長変換光とを透過させる。そのため、本実施形態の出射開口部45は、透過部材55の表面(上面55aと側面55b)全体となる。
【0080】
また透過部材55には、円板形状の反射型の光学素子41が配設されている。このとき光学素子41の反射面41bの中心である中心軸41aが光ファイバ20の光軸20c上に配設され、反射面41bが出射端面20bに対向し、反射面41bが波長変換部材43に対向する。光学素子41は、例えば上面55aに当接するように、透過部材55に配設されている。このように光学素子41と波長変換部材43との間には、第1の実施形態のように空間(貫通孔49aの内部)ではなく、透過部材55が配設されている。そして光学素子41は、透過部材55によって波長変換部材43と所望な距離離れている。言い換えると、透過部材55は、光学素子41と波長変換部材43との間に配設されることで光学素子41と波長変換部材43との間の距離を所望に保持している。なお光学素子41の直径は、透過部材55の直径よりも小さい。
【0081】
また透過部材55は、透過領域51を有している。本実施形態における透過領域51は、透過部材55の上面55aと側面55bとから光学素子41が配設されていない透過部材55の領域である。この透過領域51は、波長変換光が波長変換ユニット40の外部に出射する波長変換ユニット40の出射開口部45でもある。
【0082】
つまり本実施形態の出射開口部45は、透過領域51を、光学素子41を除く透過部材55の表面(上面55aと側面55b)に有している。このように、透過領域51は、光学素子41が配設されていない出射開口部45(透過部材55)の領域、詳細には、出射開口部45の内部且つ光学素子41の外部の領域であることを示す。
【0083】
なお光学素子41は、透過部材55に配設されているために、波長変換ユニット40の出射開口部45と同一面に配設されていることとなる。
【0084】
光学素子41の中心軸41aと、透過部材55の中心軸55cと、波長変換部材43の中心と、保持部材49の中心と、開口部43d,49jの中心とは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0085】
また、光学素子41の反射面41bと、透過部材55の上面55aと下面55dと、入射端面43aと出射端面43bとを有する波長変換部材43と、保持部材49の一方の端面49kと他方の端面49lとは、光ファイバ20の光軸20cに対して直交する平面上に形成されている。
【0086】
このような構成とすることで、光ファイバ20から出射された励起光のビームスポットの形状は、光学素子41の反射面41b上でも、波長変換部材43でも略円形となる。
【0087】
ここで、光ファイバ20の出射端面20bから光学素子41までの距離をD1、光学素子41から波長変換部材43までの距離をD3、光ファイバ20の開口数をNA、透過部材55の屈折率をntとする。このとき光学素子41の半径Rr、波長変換部材43半径Rwは、以下の式(3),(4)によって算出される。
【0088】
Rr=D1×tan(φ) ・・・ 式(3)
Rw=(D1+D3)×tan(φ) ・・・ 式(4)
なお角度(φ)は、出射端面20bから出射された励起光の広がり角度であり以下に示す式(5)によって算出できる。
φ=arcsin(NA/nt) ・・・ 式(5)
本実施形態では、式(3),(5)によって、光学素子41の外径は、励起光のビームスポット(励起光照射領域)の外径と略等しくなるように形成されている。この励起光のビームスポットは、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光が光ファイバ20の開口数NAと透過部材55の屈折率ntとに応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向けて進行した際に、光学素子41の反射面41b上に形成される。
【0089】
このような構成とすることで、出射端面20bから出射されたほとんど全ての励起光は、光学素子41(反射面41b)を照射する。
【0090】
また本実施形態では、式(4),(5)によって、波長変換部材43の外径は、励起光のビームスポット(励起光照射領域)の外径と略等しくなるように形成されている。この励起光のビームスポットは、光学素子41によって反射された励起光が光ファイバ20の開口数NAと透過部材55の屈折率ntとに応じた広がり角度で広がりながら波長変換部材43に向けて進行した際に、波長変換部材43上に形成される。
【0091】
このような構成とすることで、光ファイバ20から出射されたほとんど全ての励起光は、光学素子41によって反射されて、透過部材55を透過して波長変換部材43を照射する。また、波長変換部材43と、波長変換部材43に形成される励起光のビームスポットとが略等しくなるように構成されているため、波長変換部材43のほぼ全面が、波長変換光の取り出し面、つまり波長変換光の出射端面43bとして形成される。
【0092】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
励起光が励起光光源10から出射され波長変換ユニット40に入射するまでの動作については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0093】
励起光は、光ファイバ20の出射端面20bから出射すると、開口部49j,43dを通過し、透過部材55に入射する。
【0094】
透過部材55に入射した励起光は、光ファイバ20の開口数NAと、透過部材55の屈折率ntとに応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向かって透過部材55を透過し、光学素子41を照射する。
【0095】
このとき光学素子41を照射する励起光は、光学素子41の反射面41b上にビームスポットを形成する。なお、式(3),(5)を基にした距離D1と半径Rrとによって、ビームスポットの外径は、光学素子41の外径と略等しくなるように形成されている。このため、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光の大部分は、光学素子41(反射面41b)を照射する。
【0096】
光学素子41を照射した励起光は、光学素子41の反射面41bによって反射され、透過部材55を再び透過する。
【0097】
このとき励起光は、光ファイバ20の開口数NAと、透過部材55の屈折率ntとに応じた広がり角度で広がりながら波長変換部材43に向かって透過部材55を透過し、波長変換部材43を照射する。
【0098】
このとき波長変換部材43を照射する励起光は、波長変換部材43にビームスポットを形成する。なお、式(4),(5)を基にした距離D1,D3と半径Rwとによって、ビームスポットの外径は、波長変換部材43の外径と略等しくなるように形成されている。このため、光学素子41(反射面41b)から反射された励起光の大部分は、波長変換部材43を照射する。
【0099】
波長変換部材43を照射した励起光は、入射端面43aから波長変換部材43の内部に入射し、この内部を進行しながら波長変換部材43によって徐々に吸収され、波長変換光に変換される。
【0100】
そして第1の実施形態と同様に、波長変換光の一部は散乱や再吸収に伴い熱に変化し、波長変換光の他部は、波長変換部材43の内部を進行し、散乱等により外部に放出され、または波長変換部材43に再吸収されて、それより長波長の2次的な波長変換光となる。
【0101】
このような工程が繰返され、波長変換光の一部は、直接または様々な工程を経て透過領域51を透過し、波長変換ユニット40から出射され、照明光として対象物を照明する。
【0102】
このように本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、さらに波長変換ユニット40の構造を簡素にすることができ、波長変換ユニット40を容易に作成できる。
【0103】
また本実施形態では、透過部材55によって光学素子41と波長変換部材43とを確実に所望な距離離すことができ、励起光を漏らすことなく光学素子41によって波長変換部材43に向けて確実に反射することができ、励起光を、波長変換部材43の表面の略全域に照射できる。つまり本実施形態では、光学素子41と波長変換部材43とを所望な距離離すことで、励起光をより広げ易く、励起光を広い範囲に渡って波長変換部材43に照射できる。これにより本実施形態では、波長変換部材43の入射端面43aにおける、単位面積あたりの励起光の照射光量、つまり励起光の密度を小さくでき、所望な光学特性を有することができる。
【0104】
さらに本実施形態では、透過部材55によって、透過領域51を、第1の実施形態よりも容易に大きくできるために、第1の実施形態と同様の効果に加えて、より多くの波長変換光を波長変換ユニット40の外部に出射でき、より高出力の光源装置1を提供できる。
【0105】
次に、本発明に係る第3の実施形態について図6を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成については、第1の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態の反射型の光学素子41は円錐形状を有しており、反射面41bは円錐の円錐面に形成されている。円錐の頂点41dは、貫通孔49aの内部に配設されている。頂点41dと光学素子41の底面41eの中心41f、つまり光学素子41の中心軸41aは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。光学素子41の底面41eは、波長変換ユニット40の出射開口部45に配設され、光ファイバ20の光軸20cに対して直交している。
【0106】
反射面41bは、光ファイバ20の出射端面20bに向かって突起し、光ファイバ20の光軸20cを回転軸として回転対称に配設されている。なお反射面41bは、光ファイバ20の光軸20cに対して傾斜しており、傾斜面となっている。
【0107】
反射面41bの傾斜角度は、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光を反射面41bが正反射した際に、励起光が波長変換ユニット40の出射開口部45近傍の波長変換部材43を照射するような角度となっている。
また反射面41bの傾斜角度は、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光を反射面41bが正反射した際に、励起光を波長変換ユニット40の出射開口部45から波長変換ユニット40の外部に出射しないような角度となっている。
【0108】
ここで、光ファイバ20の開口数をNA、光ファイバ20の出射端面20bと光学素子41との間の空間(貫通孔49aの内部)の屈折率をnt(ここではnt=1)、光ファイバ20の出射端面20bから反射面41bに向かって出射された励起光の出射方向と光ファイバ20の光軸20cとの間の最大角を角度φ、光学素子41の反射面41bと光ファイバ20の光軸20cとの間の傾斜角度をαとする。
つまり、底面41eと反射面41bの当接点を当接点41gとすると、角度φは、出射端面20bと当接点41gとを結ぶ直線と、光軸20cとの間の角度である。
【0109】
このとき角度φと傾斜角度αとは、以下に示す式(6),(7)によって算出される。
φ=arcsin(NA/nt) ・・・ 式(6)
α≧π/4+φ/2 ・・・ 式(7)
このように角度φで出射された励起光が光学素子41の反射面41bによって反射され波長変換部材43を照射する際に光学素子41の反射面41bによって反射される励起光の進行方向において、角度φで出射された励起光の進行方向(出射端面20bと当接点41gとを結ぶ直線)と反射面41bによって反射された励起光の進行方向との間に形成される角度をβとすると、角度βは、π/2より大きい。
【0110】
本実施形態では、出射端面20bから出射された励起光は、光ファイバ20の開口数NAと屈折率nt(ここではnt=1)に応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向けて進行する。このとき角度φで出射された励起光は、反射面41bにて正反射され、式(6),(7)によって、底面41eを含む平面よりも出射端面20b側に向かって進行する。すなわち、励起光は、出射開口部45近傍の波長変換部材43を照射し、出射開口部45から波長変換ユニット40の外部に出射しないように進行する。
【0111】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
励起光が励起光光源10から出射され波長変換ユニット40に入射するまでの動作については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0112】
励起光は、光ファイバ20の出射端面20bから角度φで出射すると、光ファイバ20の開口数NAと、光ファイバ20の出射端面20bと光学素子41と間の空間の屈折率nt(ここではnt=1)とに応じた広がり角度で広がりながら、貫通孔49aの内部を進行する。
【0113】
このとき、励起光は、光学素子41の反射面41bによって正反射され、式(6),(7)によって、光学素子41の底面41eを含む平面よりも光ファイバ20出射端面20b側に向かって進行する。すなわち励起光は、波長変換ユニット40の出射開口部45から波長変換ユニット40の外部に出射しない。そして励起光は、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍の波長変換部材43を照射する。
【0114】
このように励起光は、光ファイバ20の出射端面20bから出射され、光学素子41によって反射され、貫通孔49aの内部において、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍の波長変換部材43を照射し、波長変換ユニット40の出射開口部45から波長変換ユニット40の外部に出射しない。
【0115】
この後の動作は、第1の実施形態と略同様であるため、ここでは省略する。
【0116】
このように本実施形態では、反射面41bを出射端面20bに向かって突起させ、反射面41bを光ファイバ20の光軸20cを回転軸として回転対称に配設し、反射面41bを光ファイバ20の光軸20cに対して傾斜させている。また本実施形態では、反射面41bを円錐面に形成している。これにより本実施形態では、励起光を、孔49e近傍の波長変換部材43のみだけでなく、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍の波長変換部材43にも照射できる。よって本実施形態では、第1の実施形態よりも、波長変換に伴う発熱をより広い範囲に分散できる。また本実施形態では、第1の実施形態と比較して、波長変換部材43の部分的な発熱をより軽減できる。
【0117】
また本実施形態では、励起光を波長変換ユニット40の出射開口部45近傍に照射できるため、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍で発生した波長変換光を、光学素子41等によって遮られることなく、波長変換ユニット40の外部に出射できる。これにより本実施形態では、励起光から波長変換光を取り出す取り出し効率を向上させることができる。
【0118】
また第1の実施形態では、光学素子41が円形形状であるため、光ファイバ20の光軸20cに沿って出射された励起光は、光学素子41で正反射され、光ファイバ20の出射端面20bに向かって戻る。これにより励起光が波長変換部材43に照明されず、励起光が波長変換光に変換されない虞が生じる。これにより、励起光から波長変換光を取り出す取り出し効率が低下する虞が生じる。
しかしながら本実施形態では、光学素子41は円錐形状であり、円錐の頂点41dを光ファイバ20の光軸20c上に配設している。これにより本実施形態では、頂点41dに向かって励起光を出射することで、励起光を波長変換ユニット40の出射開口部45近傍の波長変換部材43に反射できる。よって本実施形態では、第1の実施形態と比較して光ファイバ20出射端面20bに向かって戻る励起光の戻り光量を少なくでき、励起光から波長変換光を取り出す取り出し効率を向上させることができる。
【0119】
また本実施形態では、式(6),(7)によって、励起光が出射開口部45から波長変換ユニット40の外部に出射することを防止できる。
【0120】
なお本実施形態では、光学素子41を円錐形状としたがこれに限らない。例えば、図7に示すように、光学素子41は球面の一部を切断した形状を有していてもよい。この場合、反射面41bは、球面の曲面となる。これにより本実施形態では、励起光を多くの波長変換部材43に照射することができ、部分的な発熱をより軽減できる。
【0121】
ここで、光学素子41の球体の切断面を底面41eとし、底面41eと反射面41bとが当接する当接点41jとする。当接点41jと、反射面41bの一部とを結んだ直線41mと、光ファイバ20の光軸20cとの間に形成される角度を、傾斜角度αとする。傾斜角度αは、励起光が光ファイバ20の開口数NAと、光ファイバ20の出射端面20bと光学素子41と間の空間の屈折率ntとに応じた広がり角度で広がりながら貫通孔49aの内部を進行して、当接点41jで反射された際に、光ファイバ20の光軸20cと直交する方向に進行するように、設定されている。これにより励起光は、波長変換ユニット40の出射開口部45から波長変換ユニット40の外部に出射しない。よって本実施形態では、励起光が出射開口部45から波長変換ユニット40の外部に出射することを防止できる。
【0122】
次に、本発明に係る第4の実施形態について図8を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成については、第1の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態では、第1の実施形態の反射型の光学素子41の代わりに、所望な波長を反射し、これとは異なる所望な波長を透過する波長選択性反射膜(以下、反射膜59)が配設されている。
【0123】
反射膜59は、例えば、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光を反射し、波長変換部材43によって波長変換された波長変換光を透過する光学素子である。反射膜59は、平坦である。反射膜59は、複数の薄膜が積層することで形成されている。これら薄膜は、屈折率がそれぞれ異なり、所望な厚みをそれぞれ有している。このような薄膜は、例えばコーティングされた誘電体多層膜である。反射膜59において、励起光であるレーザ光を反射し、波長変換部材43から出射される波長変換光を透過するように、誘電体層の周期と屈折率とは所望に調整されている。
【0124】
反射膜59は、波長変換ユニット40の出射開口部45の全面に配設されるように、透明保持板47によって保持されている。つまり反射膜59は、貫通孔49aの大きい孔49f全体に配設されていることとなり円形状を有することとなる。このような反射膜59は、光ファイバ20の出射端面20bに対向する。反射膜59の中心59aは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0125】
反射膜59は、波長変換光を透過するため、透過領域51を有することとなる。この場合、透過領域51は、波長変換ユニット40の出射開口部45であり、反射膜59全面となる。
【0126】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
励起光が励起光光源10から出射され波長変換ユニット40に入射するまでの動作については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0127】
励起光は、波長変換ユニット40に入射すると、貫通孔49aの内部を、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら進行し、反射膜59を照射し、反射膜59によって反射される。
【0128】
反射膜59によって反射された励起光は、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら貫通孔49aの内周面49hに配設されている波長変換部材43に向かって進行し、波長変換部材43を照射する。
【0129】
波長変換部材43を照射した励起光は、入射端面43aから波長変換部材43の内部に入射し、この内部を進行しながら波長変換部材43によって徐々に吸収され、波長変換光に変換される。
【0130】
波長変換光は、波長変換部材43の表面の略全域(出射端面20b)から、励起光の入射方向に影響されることなく様々な方向に出射される。このとき波長変換光の一部は、貫通孔49aの内部を進行する。また、波長変換光の他部は、波長変換部材43の内部を進行し、散乱等により外部に放出され、または波長変換部材43に再吸収されて、それより長波長の2次的な波長変換光となる。
【0131】
貫通孔49aの内部を進行する波長変換光の一部は、反射膜59に向かって進行し、反射膜59によって反射されることなく、反射膜59(透過領域51)を透過し、波長変換ユニット40から出射され、照明光として対象物を照明する。
【0132】
なお波長変換部材43によって波長変換されず、波長変換部材43によって反射または散乱した励起光は、貫通孔49aの内部を反射膜59に向かって進行し、再び反射膜59を照射する。反射膜59は、この励起光を再び波長変換部材43に向けて反射する。
【0133】
つまり波長変換部材43によって波長変換された波長変換光のみが照明光として波長変換ユニット40から出射され、波長変換部材43によって波長変換されずに波長変換部材43によって反射または散乱した励起光は、反射膜59によって波長変換部材43に向かって反射する。
【0134】
このように本実施形態では、第1の実施形態の基本構成を維持したままで、出射開口部45全面に反射膜59を配設することで、波長変換ユニット40の出射開口部45全面から波長変換光を出射できる。これにより本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果に加え、波長変換光を遮光することなく出射でき、より明るいといった、所望な光学特性を有する光源装置1を提供できる。
【0135】
また本実施形態では、反射膜59を出射開口部45全面に配設するために、反射膜59と光ファイバ20の光軸20c(中心軸)との軸合わせなどを不要にでき、容易に波長変換ユニット40を作成できる。
【0136】
次に、本発明に係る第5の実施形態について図9を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成については、第1の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態では、第1の実施形態の反射型の光学素子41の代わりに、散乱型の光学素子41が配設されている。光学素子41は、励起光と波長変換光とを散乱する散乱面41pを有している。散乱面41pは、出射端面20b側の光学素子41の全面を示す。散乱面41pは、出射端面20bに対向している。
【0137】
光学素子41(散乱面41p)は、光ファイバ20の出射端面20bから出射した励起光と、波長変換部材43から出射された波長変換光とを、ランダムな方向、つまり所望な方向に散乱する。光学素子41は、所望な反射率を有する粉末が塗布された平板や、微小で様々な形状の凹凸が形成された所望の屈折率を有する部材である。もちろんこれらに限定することはなく、光学素子41は、励起光と波長変換光とを散乱できればよい。
【0138】
光学素子41は、第1の実施形態と同様に、波長変換ユニット40の出射開口部45と同一面に配設されるように、透明保持板47によって保持されている。光学素子41は、例えば円形形状を有している。光学素子41の中心軸41aは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0139】
本実施形態では、上述した式(1),(2)によって、光学素子41の外径は、励起光のビームスポット(励起光照射領域)の外径と略等しくなるように形成されている。この励起光のビームスポットは、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光が光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向かって進行した際に、光学素子41の散乱面41p上に形成される。
【0140】
また本実施形態の保持部材49は凹形状を有しており、保持部材49の凹部50の内周面50fは半球形状を有している。保持部材49の中心軸49bは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0141】
凹部50の上端側の開口部50a側は、透明保持板47側に配設されている。開口部50aは、波長変換光が波長変換ユニット40の外部に出射する波長変換ユニット40の出射開口部45となる。なお光学素子41は、上述したように波長変換光も散乱する。そのため本実施形態では、出射開口部45は、透過領域51を、出射開口部45から光学素子41が配設されている領域を除いた領域に有している。このように、透過領域51は、光学素子41が配設されていない出射開口部45の領域、詳細には、出射開口部45の内部且つ光学素子41の外部の領域であることを示す。
【0142】
また凹部50の底面50bは、出射端面20b側に配設されている。底面50bは、底点において、出射端面20bを出射した励起光が通過する開口部50cを有している。
【0143】
このように凹部50は、開口部50a,50cを有しているため、球の一部を有する形状の貫通孔である。なお凹部50は、第1の実施形態のように底面50bから開口部50aに向かって拡径する円錐台形状であってもよい。
【0144】
保持部材49の球面形状の凹部50の内周面50fには、波長変換部材43が配設されている。なお波長変換部材43は、開口部50cを除く内周面50fに配設されている。
【0145】
なお保持部材49は、底面50bから開口部50cに向かって拡径する円錐台形形状を有していてもよい。
【0146】
凹部50の中心軸50dと、光学素子41の中心軸41aとは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0147】
光ファイバ20の出射端面20bは、光学素子41に対向するように凹部50の内部または開口部50cの近傍に配設されている。
【0148】
本実施形態の動作について説明する。
励起光が励起光光源10から出射され波長変換ユニット40に入射するまでの動作については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0149】
励起光は、光ファイバ20の出射端面20bから出射すると、保持部材49の開口部50cを通過し、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら凹部50の内部を光学素子41に向けて進行し、光学素子41(散乱面41p)を照射する。
【0150】
このとき光学素子41を照射する励起光は、光学素子41の散乱面41p上にビームスポットを形成する。なお、式(1),(2)を基にした距離D1と半径Rrとによって、ビームスポットの外径は、光学素子41の外径と略等しくなるように形成されている。このため、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光の大部分は、光学素子41(散乱面41p)を照射する。
【0151】
光学素子41を照射した励起光は、光学素子41の散乱面41pによって散乱し、凹部50の内周面50f全体に広がるように波長変換部材43に向かって進行し、波長変換部材43の表面の略全域を照射する。
【0152】
一般的な散乱面41pは、励起光の強度分布(光量、照射強度)が励起光を正反射する方向(開口部50c側)に向かって強く、さらにこの方向の周辺(例えば光軸20cに対して直交する方向)に向かって徐々に弱くなるように、励起光を散乱する。
そのため本実施形態では、励起光の強度分布は、開口部50cの近傍にて強く、周辺(例えば出射開口部45の縁)に向けて徐々に弱くなる。しかし、このような場合であっても、散乱された励起光は、結果的に、凹部50の内周面50fに配設された波長変換部材43の略全面を照射する。
【0153】
波長変換部材43を照射した励起光は、入射端面43aから波長変換部材43の内部に入射し、この内部を進行しながら波長変換部材43によって徐々に吸収され、波長変換光に変換される。
【0154】
この後の動作は、第1の実施形態と略同様であるため、ここでは省略する。
【0155】
このように本実施形態では、散乱型の光学素子41によって、励起光を散乱させても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0156】
また本実施形態では、凹部50の内周面50f全体に波長変換部材43を配設し、励起光を散乱させることで、波長変換部材43に対して励起光をより広い領域に励起光を照射できる。これにより本実施形態では、波長変換部材43の一部分のみの温度の上昇を防止でき、波長変換部材43全体としての温度の上昇を防止できる。これにより本実施形態では、所望な光学特性を有することができる。
【0157】
すなわち、本実施形態では、波長変換部材43に励起光をより均一に照射することができ、波長変換部材43の部分的な励起光の密度の増加を小さくできる。これにより本実施形態では、励起光を波長変換部材43の一部分に照射する時と比べて、励起光の密度の上限が同じ場合、より多くの励起光を波長変換部材43に照射でき、より高出力の光源装置1を提供できる。
【0158】
また本実施形態では、光学素子41(散乱)によって透過領域51近傍の波長変換部材43にも励起光を照射しており、励起光を反射させる場合よりも、励起光から波長変換光を取り出す取り出し効率を向上させることができる。
【0159】
次に、第5の実施形態の変形例について図10を参照して説明する。
本変形例の散乱型の光学素子41は、取付部材61を介して透明保持板47の端面47aに間接的に配設されている。
【0160】
取付部材61は、例えばガラスなどであり、波長変換光を透過する。取付部材61は、凹部50の内周面50fに向かって立設するように、端面47aに配設されている。取付部材61は、例えば円柱形状を有している。
【0161】
また本変形例の散乱型の光学素子41は、取付部材61によって、出射開口部45よりも光ファイバ20の出射端面20b側の波長変換ユニット40の内部に配設され、つまり凹部50の内部に配設されている。そのため光学素子41は、第5の実施形態よりも光ファイバ20の出射端面20bに近接している。
【0162】
光学素子41は円錐形状を有しており、円錐の頂点41dは凹部50の内部に配設されている。光学素子41は、円錐の頂点41dと光学素子41の底面41eの中心とを通る中心軸41aを有している。この中心軸41aは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0163】
散乱面41pは、円錐の円錐面に形成されており、光ファイバ20の出射端面20bに向かって突起し、光ファイバ20の光軸20cを回転軸として回転対称に配設されている。なお散乱面41pは、光ファイバ20の光軸20cに対して傾斜しており、つまり傾斜面となっている。
【0164】
また頂点41dから光学素子41の底面41e側の縁41rを結んだ傾斜面における直線41sにおいて、この直線41sの延長線は、波長変換ユニット40の出射開口部45の縁45aに当接する。傾斜面は、このような傾きを有している。
【0165】
このような構成の光学素子41は、励起光を正反射する方向に強く散乱することに好適となっている。また光学素子41の散乱面41pは、傾斜面となっているため、平板の場合と比較して、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍に励起光を照射しやすい。
【0166】
光学素子41の底面41eの径は、取付部材61の径と略同一である。散乱面41pの径は、励起光のビームスポット(励起光照射領域)の外径と略等しくなるように形成されている。この励起光のビームスポットは、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光が光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向かって進行した際に、光学素子41の散乱面41p上に形成される。
【0167】
本変形例における出射開口部45全体は、光学素子41が凹部50の内部に配設され、取付部材61が波長変換光を透過するために、透過領域51となっている。
【0168】
本変形例の動作について説明する。
励起光が励起光光源10から出射され波長変換ユニット40に入射するまでの動作については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0169】
励起光は、光ファイバ20の出射端面20bから出射すると、開口部50cを通過し、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら凹部50の内部を光学素子41に向けて進行し、光学素子41(散乱面41p)を照射する。
【0170】
このとき光学素子41を照射する励起光は、光学素子41の散乱面41p上にビームスポットを形成する。なお、ビームスポットの外径は、光学素子41の外径と略等しくなるように形成されている。このため、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光の大部分は、光学素子41(散乱面41p)を照射する。
【0171】
光学素子41を照射した励起光は、光学素子41の散乱面41pによって散乱し、凹部50の内周面50f全体に広がるように波長変換部材43に向かって進行し、波長変換部材43の表面の略全域を照射する。
【0172】
なお本変形例では、光学素子41は、励起光を正反射する方向に強く散乱することに好適となっており、また波長変換ユニット40の出射開口部45近傍に励起光を照射しやすい。
また、本変形例では、光学素子41は波長変換ユニット40の内部(凹部50の内部)に配設されており、直線41sの延長線は波長変換ユニット40の出射開口部45の縁45aに当接する。
そのため散乱面41pで散乱された励起光は、波長変換ユニット40の外部に直接漏出しない。そして励起光は、凹部50の内周面50f全体に広がるように進行し、波長変換部材43の略全面を照射する。
【0173】
波長変換部材43を照射した励起光は、入射端面43aから波長変換部材43の内部に入射し、この内部を進行しながら波長変換部材43によって徐々に吸収され、波長変換光に変換される。
【0174】
この後の動作は、第1の実施形態と略同様であるため、ここでは省略する。
【0175】
なお保持部材49の凹部50の内部において、光学素子41のみが波長変換光を透過しない。このため、波長変換光は、凹部50の内部や取付部材61などを経由して、波長変換ユニット40の外部に出射され、照明光として利用される。
【0176】
このように本変形例では、第1,5の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本変形例では、取付部材61によって光学素子41を凹部50の内部に配設することで、波長変換ユニット40の出射開口部45である開口部50a全てを透過領域51とすることができる。これにより本実施形態では、波長変換光が出射開口部45において遮蔽物によって遮蔽されることはなく、より多くの波長変換光を波長変換ユニット40の外部に出射させることができる。
【0177】
なお本変形例の光学素子41の形状は、円錐形状に限定される必要はなく、円板形状であってもよい。また本変形例では、円錐形状や円板形状の反射型の光学素子41をもちいても、同様の効果をえることができる。
【0178】
なお本変形例は、第1,3,4の実施形態にも組み込むことができる。
【0179】
次に、本発明に係る第6の実施形態について図11と図12とを参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成については、第1の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
第1の実施形態の反射型の光学素子41の代わりに、回折型の光学素子41が配設されている。光学素子41は、励起光と波長変換光とを散乱する回折面41uを有している。回折面41uは、出射端面20b側の光学素子41の全面を示す。回折面41uは、出射端面20bに対向している。
【0180】
光学素子41は、第1の実施形態と同様に、波長変換ユニット40の出射開口部45と同一面に配設されるように、透明保持板47によって保持されている。光学素子41は、例えば円形形状を有している。光学素子41の中心軸41aは、光ファイバ20の光軸20c上に配設されている。
【0181】
本実施形態では、上述した式(1),(2)によって、光学素子41の外径は、励起光のビームスポット(励起光照射領域)の外径と略等しくなるように形成されている。この励起光のビームスポットは、光ファイバ20の出射端面20bから出射された励起光が光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら光学素子41に向かって進行した際に、光学素子41の回折面41u上に形成される。
【0182】
図12に示すように、光学素子41(回折面41u)は、励起光を反射(回折)する反射領域41vと、励起光が波長変換ユニット40の外部に漏れ出すことを防止するために、励起光を吸収する非反射領域41wとを有している。
【0183】
図12に示すように、光学素子41の中心領域41xは、励起光は出射方向に直進して進行する成分が最も強いため、またこの励起光を波長変換部材43に向けて照射するために、例えば円形形状の反射領域41vとすることが望ましい。
【0184】
この場合、円形形状の反射領域41vの外周側には、中空形状の非反射領域41wが配設されている。言い換えると、非反射領域41wの中空部には、円形形状の反射領域41vが配設されている。また中空形状の非反射領域41wの外周側には、中空形状の反射領域41vが配設されている。言い換えると、中空形状の反射領域41vの中空部には、非反射領域41wが配設されている。
【0185】
このような反射領域41vと非反射領域41wとは、光学素子41の径方向に互いに密着しながら交互に配設されている。またこのとき各反射領域41vと各非反射領域41wとは、同心円状に配設されている。このような各反射領域41vと各非反射領域41wとの配設位置は、励起光の波長の周期に対応している。このように、各反射領域41vと各非反射領域41wとは、回折格子を形成している。これにより光学素子41は、回折作用による±1次の回折光が正反射方向より広がった方向に進行するように、励起光を反射する。なおこの回折光は、反射領域41vによって反射された励起光である。
【0186】
なお光学素子41の中心領域41xにおける反射領域41vの直径D4と、反射領域41vの径方向における中空形状の反射領域41vの外径と内径との間の距離D5と、非反射領域41wの径方向における中空形状の非反射領域41wの外径と内径との間の距離D6とは、略同一である。
【0187】
なお図12においては、便宜上、反射領域41vと非反射領域41wとが光学素子41の径方向に交互に配設されている。しかし反射領域41vと非反射領域41wとの配設位置は励起光の波長の周期に対応しているため、実際は、縞模様がこまかく、多数の反射領域41vと非反射領域41wとが光学素子41の径方向に交互に配設されている。反射領域41vと非反射領域41wとの数は、所望である。
【0188】
光学素子41の回折面41uにおいて、回折角は、光ファイバ20の出射端面20bから出射した励起光が正反射方向より広い角度に広がるために、励起光の波長の周期に対応している。
【0189】
なお本実施形態では、出射開口部45は、透過領域51を、出射開口部45から光学素子41が配設されている領域を除いた領域に有している。このように、透過領域51は、光学素子41が配設されていない出射開口部45の領域、詳細には、出射開口部45の内部且つ光学素子41の外部の領域であることを示す。
【0190】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
励起光が励起光光源10から出射され波長変換ユニット40に入射するまでの動作については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0191】
励起光は、光ファイバ20の出射端面20bから出射すると、保持部材49の開口部50cを通過し、光ファイバ20の開口数NAに応じた広がり角度で広がりながら凹部50の内部を光学素子41に向けて進行し、光学素子41(回折面41u)を照射する。
【0192】
本実施形態における光学素子41は、回折作用による±1次の回折光が正反射方向より広がった方向に進行するように、励起光を反射する。このため、光学素子41に入射した励起光は、回折作用により、正反射した場合と比較して、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍の波長変換部材43も照射する。
【0193】
光学素子41によって回折された励起光のうち、±1次の回折光は、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍の波長変換部材43を帯状に照射する。
【0194】
また非反射領域41wは、励起光を吸収する。そのため、光学素子41に入射した励起光において、非反射領域41wを照射した励起光は、非反射領域41wにて吸収され、光学素子41の外部に漏れ出すことはない。
【0195】
この後の動作は、第1の実施形態と略同様であるため、ここでは省略する。
【0196】
このように本実施形態では、回折型の光学素子41によって、励起光を回折させても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0197】
また本実施形態では、回折型の光学素子41を配設することで、より多くの励起光を、波長変換ユニット40の出射開口部45近傍に照射できる。これにより本実施形態では、第1の実施形態と比較して、励起光を広い範囲に渡って波長変換部材43に照射できる。よって本実施形態では、波長変換部材43における励起光の吸収範囲を広げることができ、発熱範囲を分散でき、波長変換部材43における熱の影響を低減できる。
【0198】
なお、本実施形態では、光学素子41は、強度変調型の回折格子であるが、これに限定する必要はなく、位相変調型の回折格子や、その他一般的に用いられる反射型の回折格子であってもよい。
【0199】
また、本実施形態では、非反射領域41wは励起光を吸収するが、これに限定する必要はない。例えば、光源装置1は励起光の一部を照明光として利用する場合、非反射領域41wは励起光を透過する。これにより本実施形態では、励起光を効率的に利用できる。
【0200】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0201】
1…光源装置、10…励起光光源、11…レンズ、20…光ファイバ、20a…入射端面、20b…出射端面、20c…光軸、21…フェルール、40…波長変換ユニット、41…光学素子、41a…中心軸、41b…反射面、41p…散乱面、41u…回折面、43…波長変換部材、43a…入射端面、43b…出射端面、45…出射開口部、47…透明保持板、49…保持部材、49a…貫通孔、49b…中心軸、49e,49f…孔、51…透過領域、55…透過部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する励起光光源と、
前記励起光光源から出射された前記励起光が入射するファイバ入射端面と、前記励起光が出射するファイバ出射端面とを有し、前記ファイバ入射端面から前記ファイバ出射端面に前記励起光を導光する光ファイバと、
前記ファイバ出射端面から出射した前記励起光を、所望な波長を有する波長変換光に変換する波長変換ユニットと、
を具備し、
前記波長変換ユニットは、
前記光ファイバの光軸上に配設され、前記ファイバ出射端面から出射された前記励起光が全体に照射され、前記励起光に対して反射と散乱と回折とのいずれかを行う光学素子と、
前記光学素子によって反射と散乱と回折とのいずれかが行われた前記励起光の光路上に配設され、反射と散乱と回折とのいずれかが行われた際に、前記励起光が全体に照射され、照射された前記励起光を前記波長変換光に変換する波長変換部材と、
前記波長変換部材によって変換された前記波長変換光を前記波長変換ユニットの外部に向かって出射する出射開口部と、
を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記波長変換部材は、前記波長変換部材が前記励起光を照射された際に前記励起光が入射する入射端面と、波長変換光を出射し、前記入射端面と同一面である出射端面とを有していることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記波長変換部材は、前記光学素子と所望な距離離れていることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光学素子は前記励起光を反射する反射面を有する反射型の光学素子であり、前記反射面は前記ファイバ出射端面に対向していることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光学素子は、前記出射開口部と同一面に配設され、
前記出射開口部は、前記波長変換光が前記波長変換ユニットの外部に向かって出射するために透過する透過領域を、前記出射開口部から前記光学素子が配設されている領域を除いた領域に有していることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光学素子は円形形状を有し、前記光学素子の中心は前記光ファイバの光軸上に配設されていることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記波長変換ユニットは、
前記励起光が通過し、前記ファイバ出射端面が配設される開口部を前記光ファイバの光軸上に有し、前記励起光の進行方向前方側における自身の端面の開口部を除いた領域にて前記波長変換部材を保持し、前記光ファイバの光軸に対して直交する方向に配設される平板状の保持部材と、
前記反射面の中心が前記光ファイバの光軸上に配設されるように、前記反射面が当接し、前記波長変換部材に配設され、前記励起光と前記波長変換光とが透過する透過部材と、
をさらに有し、
前記出射開口部は、前記透過領域を、前記光学素子を除く前記透明部材の表面に有していることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記反射面は、前記ファイバ出射端面に向かって突起し、前記光ファイバの光軸を回転軸として回転対称に配設され、前記光ファイバの光軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項9】
前記ファイバ出射端面から前記反射面に向かって出射された前記励起光の出射方向と前記光ファイバの光軸との間の最大角を角度φとし、傾斜している前記反射面と前記光ファイバの光軸との間の傾斜角度αとし、角度φで出射された前記励起光が前記反射面によって反射され前記波長変換部材を照射する際に前記反射面によって反射される前記励起光の進行方向において、前記ファイバ出射端面から前記反射面に向かって出射された前記励起光の出射方向と前記反射面によって反射される前記励起光の進行方向との間に形成される角度βは、π/2より大きいことを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記光学素子は円錐形状を有し、前記反射面は円錐の円錐面に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記光学素子は球面の一部を切断した形状を有し、前記反射面は球面の曲面に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項12】
前記光学素子は、前記ファイバ出射端面から出射された前記励起光を反射し、前記波長変換部材によって波長変換された前記波長変換光を透過し、前記波長変換ユニットの出射開口部に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項13】
前記光学素子は、前記出射開口部の全面に配設され、前記透過領域を有することを特徴とする請求項12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記波長変換ユニットは、
中心軸が前記光ファイバの光軸上に配設されている貫通孔を有し、前記貫通孔の内周面全面にて前記波長変換部材を保持する保持部材をさらに有し、
前記貫通孔は、中心が前記光ファイバの光軸上に配設され、前記励起光が前記波長変換ユニットの内部に入射する前記波長変換ユニットの入射開口部となる前記貫通孔の第1の貫通面と、中心が前記光ファイバの光軸上に配設され前記出射開口部となる貫通孔の第2の貫通面とを有し、
前記ファイバ出射端面は、前記光学素子に対向するように前記貫通孔の内部または前記第1の貫通面に配設されることを特徴とする請求項6,8,13のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項15】
前記貫通孔は、前記第1の貫通面から前記第2の貫通面に向かって拡径する円錐台形形状を有していることを特徴とする請求項14に記載の光源装置。
【請求項16】
前記貫通孔は、球の一部の形状を有していることを特徴とする請求項14に記載の光源装置。
【請求項17】
前記光学素子は前記励起光を散乱する散乱面を有する散乱型の光学素子であり、前記散乱面は前記ファイバ出射端面に対向していることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項18】
前記光学素子は、前記出射開口部と同一面に配設され、
前記出射開口部は、前記波長変換光が前記波長変換ユニットの外部に向かって出射するために透過する透過領域を、前記出射開口部から前記光学素子が配設されている領域を除いた領域に有していることを特徴とする請求項17に記載の光源装置。
【請求項19】
前記光学素子は円形形状を有し、前記光学素子の中心は前記光ファイバの光軸上に配設されていることを特徴とする請求項18に記載の光源装置。
【請求項20】
前記光学素子は、前記出射開口部よりも前記ファイバ出射端面側の前記波長変換ユニットの内部に配設され、
前記出射開口部は、前記波長変換光が前記波長変換ユニットの外部に向かって出射するために透過する透過領域を有していることを特徴とする請求項4または17に記載の光源装置。
【請求項21】
前記散乱面は、前記ファイバ出射端面に向かって突起し、前記光ファイバの光軸を回転軸として回転対称に配設され、前記光ファイバの光軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項20に記載の光源装置。
【請求項22】
前記波長変換ユニットは、
前記中心軸が前記光ファイバの光軸上に配設され、凹形状を有し、凹部の内周面全面にて前記波長変換部材を保持する保持部材をさらに有し、
前記凹部の開口部側は、前記出射開口部であり、
前記凹部の底面は、前記ファイバ出射端面側に配設され、前記ファイバ出射端面を出射した前記励起光が通過する凹部開口部を有し、
前記ファイバ出射端面は、前記光学素子に対向するように前記凹部の内部または前記凹部開口部の近傍に配設されていることを特徴とする請求項20に記載の光源装置。
【請求項23】
前記凹部は、前記底面から前記開口部に向かって拡径する円錐台形形状を有していることを特徴とする請求項22に記載の光源装置。
【請求項24】
前記凹部は、球の一部を有する形状を有していることを特徴とする請求項22に記載の光源装置。
【請求項25】
前記光学素子は前記励起光を回折する回折面を有する反射型の光学素子であり、前記反射面は前記ファイバ出射端面に対向していることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項26】
前記光学素子は、前記出射開口部と同一面に配設され、
前記出射開口部は、前記波長変換光が前記波長変換ユニットの外部に向かって出射するために透過する透過領域を、前記出射開口部から前記光学素子が配設されている領域を除いた領域に有していることを特徴とする請求項25に記載の光源装置。
【請求項27】
前記光学素子は円形形状を有し、前記光学素子の中心は前記光ファイバの光軸上に配設されていることを特徴とする請求項26に記載の光源装置。
【請求項28】
前記波長変換ユニットは、
中心軸が前記光ファイバの光軸上に配設されている貫通孔を有し、前記貫通孔の内周面全面にて前記波長変換部材を保持する保持部材をさらに有し、
前記貫通孔は、中心が前記光ファイバの光軸上に配設され、前記励起光が前記波長変換ユニットの内部に入射する前記波長変換ユニットの入射開口部となる前記貫通孔の第1の貫通面と、中心が前記光ファイバの光軸上に配設され前記出射開口部となる貫通孔の第2の貫通面とを有し、
前記ファイバ出射端面は、前記光学素子に対向するように前記貫通孔の内部または前記第1の貫通面に配設されることを特徴とする請求項27に記載の光源装置。
【請求項29】
前記貫通孔は、前記第1の貫通面から前記第2の貫通面に向かって拡径する円錐台形形状を有していることを特徴とする請求項28に記載の光源装置。
【請求項30】
前記貫通孔は、球の一部を有する半球形形状を有していることを特徴とする請求項29に記載の光源装置。
【請求項31】
前記ファイバ出射端面は、前記保持部材の内部に配設され、
前記ファイバ出射端面から前記光学素子までの距離は、前記波長変換部材から前記光学素子までの距離よりも短いことを特徴とする請求項7,14,22,28のいずれかに記載の光源装置。
【請求項32】
前記光学素子の外径は、前記光学素子に形成される前記励起光のビームスポットの外径と略等しくなるように形成されている請求項4,17,25のいずれかに記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−74241(P2012−74241A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217903(P2010−217903)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】