説明

光硬化性樹脂組成物及びそれを用いた機能性パネル

【課題】撥水性、滑り性等の性能を長期に渡って向上させることが可能な光硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物と(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物とを反応させて得られる光重合性シリコーンオリゴマー、(B)該(A)光重合性シリコーンオリゴマーと共重合可能な光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマー、並びに、(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物及びそれを用いた機能性パネルに関し、特には、撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性等を長期に渡って向上させることが可能な光硬化性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築用資材としての機能性パネルは、建築物の壁面、床面又は天井の壁面として配置される部材であり、その配置される場所に応じて、防音効果や湿度調節性等の様々な機能が付与されている。こうした機能性パネルは、特に住宅内における浴室、洗面所又は台所等の水廻り用部材として用いられる場合には、より過酷な使用環境に耐え得る撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性等の種々の特性を有することが求められる。これに対して、表面自由エネルギーの小さい低表面自由エネルギー化合物を配合して、表面自由エネルギーを低下させた組成物を部材表面に塗布して、部材に良好な撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性等を付与することが試みられている。
【0003】
一方、下記特許文献1には、(A)特定の分子構造を有するシリコーンジオール又は該シリコーンジオールと他のポリオールとの重量比60/40〜100/0の混合物と、ポリイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られる数平均分子量が6,000〜20,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(B)ラジカル重合性不飽和基含有モノマー、及び(C)光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物が開示されており、かかる光硬化性樹脂組成物を光ファイバーの被覆材として使用することで、被覆材の弾性率の温度依存性を小さくできることが教示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−351817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この様な状況下、本発明者らは、上記特許文献1に開示の光ファイバーの被覆材用の光硬化性樹脂組成物を基材に塗布してなる機能性パネルについて検討したところ、該機能性パネルは、使用初期においては、低表面自由エネルギー化合物が偏析することにより、撥水性、滑り性等の性能が良好であるものの、長期の使用、温度変化、表面の拭き取り等により、表面状態が乱れ、撥水性、滑り性等の性能が低下することが分った。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の問題を解決し、撥水性、滑り性等の性能を長期に渡って向上させることが可能な光硬化性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる塗布層を具え、撥水性、滑り性等の性能が長期に渡って良好な機能性パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、光硬化性樹脂組成物の構成成分として、分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物を用いて合成した光重合性シリコーンオリゴマーを使用することで、撥水性、滑り性等の性能を長期に渡って向上させることが可能な光硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の光硬化性樹脂組成物は、
(A)(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と、
(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物と、
(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物と
を反応させて得られる光重合性シリコーンオリゴマー、
(B)前記(A)光重合性シリコーンオリゴマーと共重合可能な光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマー、並びに、
(C)光重合開始剤
を含有することを特徴とする。
【0009】
本発明の光硬化性樹脂組成物の好適例においては、前記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物のイソシアネートと反応可能な官能基が、水酸基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基からなる群から選択される。
【0010】
ここで、上記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物のイソシアネートと反応可能な官能基の中でも、水酸基が、イソシアネートとの反応性、合成の容易さ、コスト面、市販品の豊富さからより適している。
【0011】
本発明の光硬化性樹脂組成物の他の好適例においては、前記分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物が、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、及びこれらの構造を含むNCO末端ウレタンプレポリマーからなる群から選択される少なくとも一種である。
【0012】
本発明の光硬化性樹脂組成物の他の好適例においては、前記(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物のイソシアネートと反応可能な官能基が、水酸基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基からなる群から選択される。
【0013】
本発明の光硬化性樹脂組成物の他の好適例においては、前記(A)光重合性シリコーンオリゴマーが、光重合性反応基として、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、オキセタン基からなる群から選択される少なくとも一つを有する。この場合、前記(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応をそれぞれ1つ以上有する化合物の光重合性反応基は、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、オキセタン基からなる群から選択されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の機能性パネルは、上記の光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる塗布層と、基材層とを具えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、(A)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物を用いて合成した光重合性シリコーンオリゴマー、(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマー、並びに、(C)光重合開始剤を含み、撥水性、滑り性等の性能を長期に渡って向上させることが可能な光硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、かかる光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる塗布層を具え、撥水性、滑り性等の性能が長期に渡って良好な機能性パネルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<光硬化性樹脂組成物>
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の光硬化性樹脂組成物は、(A)(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と、(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物と、(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物と、を反応させて得られる光重合性シリコーンオリゴマー、(B)該(A)光重合性シリコーンオリゴマーと共重合可能な光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマー、並びに、(C)光重合開始剤を含有することを特徴とし、必要に応じて、他の成分を含有することができる。
【0017】
本発明の光硬化性樹脂組成物において、(A)光重合性シリコーンオリゴマーは、出発原料の一つとして使用する(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物のジメチルシロキサン部位の表面エネルギーが低いため、低表面自由エネルギー化合物として作用し、該光硬化性樹脂組成物由来の塗布層を具える機能性パネルの撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性等の性能を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の光硬化性樹脂組成物においては、(A)光重合性シリコーンオリゴマーの出発原料の一つとして使用する(b)ポリイソシアネート化合物が分子構造中に環状骨格を有するため、該ポリイソシアネート化合物に由来する(A)光重合性シリコーンオリゴマー自体も分子構造中に環状骨格を有する。そして、該(A)光重合性シリコーンオリゴマーの分子構造中に存在する環状骨格が立体障害となり、光硬化性樹脂組成物の内部に(A)光重合性シリコーンオリゴマーが潜り込むことが抑制され、(A)光重合性シリコーンオリゴマーが長期に渡って表面に偏析する。
【0019】
そして、本発明の光硬化性樹脂組成物においては、(A)光重合性シリコーンオリゴマーが長期に渡って表面に偏析する結果として、該光硬化性樹脂組成物由来の塗布層を具える機能性パネルの撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性等の性能を長期に渡って向上させることができる。
【0020】
<<(A)光重合性シリコーンオリゴマー>>
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いる(A)光重合性シリコーンオリゴマーは、(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と、(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物と、(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物と、を反応させて得られる。該(A)光重合性シリコーンオリゴマーは、例えば、(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物とを反応させて、末端の一部又は全部にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、次に、該ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物を付加させて得られ、この場合、末端の一部又は全部に光重合性反応基を有する光重合性シリコーンオリゴマーが得られる。
【0021】
上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーの光重合性反応基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、オキセタン基等が好ましい。
【0022】
<<<(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物>>>
上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーの出発原料の一つとして使用する(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物は、イソシアネートと反応可能な官能基を一つ以上有し、また、ジメチルシロキサン単位[−Si(CH32−O−]を複数有する。該(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物としては、特に限定されず、公知のイソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物を使用することができる。なお、(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
ここで、上記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物のイソシアネートと反応可能な官能基としては、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、1級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられる。
【0024】
上記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物は、数平均分子量(Mn)が100〜15,000、好ましくは500〜5,000の範囲であることが好ましく、この場合、得られる(A)光重合性シリコーンオリゴマーが表面に偏析し易く、撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性等を更に向上させることができる。
【0025】
<<<(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物>>>
上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーの出発原料の一つとして使用する(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物は、分子構造中に環状骨格(環状構造部分)を有し、また、イソシアネート基(NCO基)を複数有する。該(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物としては、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、及びこれらの構造を含むNCO末端ウレタンプレポリマー等が挙げられ、これらの中でも、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。なお、これら(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
上記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物との使用量は適宜変更することができ、(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)と(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物の官能基との当量比(−NCO/官能基)は、200/100〜101/100の範囲が好ましい。なお、上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーの合成に際して、(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物とを反応させて、末端の一部又は全部にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成する場合は、(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)と(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物の官能基との当量比(−NCO/官能基)を1より大きくすればよい。
【0027】
上記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物との反応においては、ウレタン化反応用の触媒を用いることが好ましい。該ウレタン化反応用触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等の有機スズ化合物;塩化第一スズ等の無機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチレンジアミン等の環状アミン類;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム等の塩基類;テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマス化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら触媒の中でも、有機スズ化合物が好ましい。これら触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、上記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物100質量部に対して0.001〜2.0質量部の範囲の量であるのが好ましい。
【0028】
<<<(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物>>>
上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーの出発原料の一つとして使用する(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物は、イソシアネートと反応可能な官能基を一つ以上有し、また、光重合性反応基を1つ以上有する。該(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物は、光重合性反応基として、好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=CHCOO−又はCH2=C(CH3)COO−]、ビニルエーテル基、オキセタン基を一つ以上有する。
【0029】
上記(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物のイソシアネートと反応可能な官能基としては、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、1級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられる。
【0030】
ここで、水酸基含有化合物として、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等が挙げられる。
【0031】
また、カルボキシル基含有化合物として、具体的には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、水酸基含有アルキル基を持つビニルエーテルと酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水1,2−シクロへキサンジカルボン酸等)の反応物等が挙げられる。
【0032】
また、アミノ基含有化合物として、具体的には、側鎖が1−アミノエチル基である(メタ)アクリル酸エステル、側鎖が1−アミノプロピル基である(メタ)アクリル酸エステル、更には、1級アミノ基含有ビニルエーテル、2級アミノ基含有ビニルエーテル等が挙げられる。
【0033】
上記(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
上記(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物の使用量は適宜変更することができ、(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物からなる反応生成物(ウレタンプレポリマー)のイソシアネート基(−NCO)に対して(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物のイソシアネートと反応可能な官能基の当量を1当量よりも多く用いればよい。
【0035】
<<(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマー>>
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いる(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーは、ラジカル重合性の反応基、例えば、(メタ)アクリロイル基[CH2=CHCO−又はCH2=C(CH3)CO−]や、カチオン重合性の反応基、例えばビニルエーテル基、三員環エーテル、四員環エーテル等を含有する。なお、本発明において、(B)成分のラジカル重合性反応基含有オリゴマーからは、上述の(A)(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と、(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物と、(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物とを反応させて得られる光重合性シリコーンオリゴマーを除くものとする。また、(A)光重合性シリコーンオリゴマーがラジカル重合性反応基(例えば、(メタ)アクリレート基)を持つ場合は、(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーもラジカル重合性、即ち、ラジカル重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーであり、一方、(A)光重合性シリコーンオリゴマーがカチオン重合性反応基(例えば、ビニルエーテル基、オキセタン基)を持つ場合は、(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーもカチオン重合性、即ち、カチオン重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーである。
【0036】
<<<光重合性反応基含有オリゴマー>>>
上記光重合性反応基含有オリゴマーとしては、ラジカル重合性反応基含有オリゴマー、カチオン重合性反応基含有オリゴマーが挙げられる。
【0037】
上記ラジカル重合性反応基含有オリゴマーとして、具体的には、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。これらラジカル重合性反応基含有オリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε-カプロラクトンの付加物等と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0038】
上記カチオン重合性反応基含有オリゴマーとして、具体的には、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0039】
上記光重合性反応基含有オリゴマーは、単官能オリゴマー、2官能オリゴマー、多官能オリゴマーのいずれであってもよく、得られる光硬化性樹脂組成物の適度な架橋密度を実現させる観点から、多官能オリゴマーであることが好ましい。
【0040】
これら光重合性反応基含有オリゴマーの中でも、硬化性及び機能性パネルとして耐薬品性及び耐染色性以外の好適な特性を付与する観点から、上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーとして(メタ)アクリレートシリコーンオリゴマーを選択した場合は、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーを選択することが好ましい。ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとからウレタンプレポリマーを合成し、該ウレタンプレポリマーにイソシアネートと反応可能な官能基を有する化合物、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートを付加させることによって製造することができる。
【0041】
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いるポリオールは、水酸基(−OH)を複数有する化合物であり、具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、アルキレンオキサイド変性ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。これらポリオールは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、上記ポリエーテルポリオールは付加重合により得ることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキサイドを付加させる。また、開環重合によりポリエーテルポリオールを得ることもでき、このようなポリエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)の開環重合により得られるポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0042】
上記ポリエステルポリオールも付加重合により得ることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多価カルボン酸とから得られる。また、開環重合によりポリエステルポリオールを得ることもでき、このようなポリエステルポリオールとしては、ε−カプロラクトンの開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0043】
上記ポリイソシアネートは、イソシアネート基(−NCO)を複数有する化合物であり、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等が挙げられる。これらポリイソシアネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記ウレタンプレポリマーの合成においては、ウレタン化反応用の触媒を用いることが好ましい。該ウレタン化反応用触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等の有機スズ化合物;塩化第一スズ等の無機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチレンジアミン等の環状アミン類;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム等の塩基類;テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマス化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら触媒の中でも、有機スズ化合物が好ましい。これら触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、上記ポリオール100質量部に対して0.001〜2.0質量部の範囲の量であるのが好ましい。
【0045】
また、上記ウレタンプレポリマーに付加させるイソシアネートと反応可能な官能基を有する化合物は、イソシアネートと反応可能な官能基を1つ以上有し、光重合性を示す官能基を1つ以上有する化合物である。該イソシアネートと反応可能な官能基を有する化合物は、上記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に付加することができる。イソシアネートと反応可能な官能基を有する化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、側鎖が1−アミノエチル基である(メタ)アクリル酸エステル、側鎖が1−アミノプロピル基である(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらイソシアネートと反応可能な官能基を有する化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0046】
このような光重合性反応基含有オリゴマーを配合することにより、光硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる塗布層が示すガラス転移温度を最適化することができ、撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性等に優れた効果を発揮し得る光硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0047】
<<<光重合性反応基含有モノマー>>>
上記光重合性反応基含有モノマーとしては、ラジカル重合性反応基含有モノマー、カチオン重合性反応基含有モノマーが挙げられる。
【0048】
上記ラジカル重合性反応基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=CHCOO−又はCH2=C(CH3)COO−]を1つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましく用いられ、単官能性モノマー、2官能性モノマー及び多官能性モノマーのいずれであってもよい。
【0049】
単官能性モノマーとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
2官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
多官能性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらラジカル重合性反応基含有モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0052】
また、上記カチオン重合性反応基含有モノマーとして、具体的には、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0053】
上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーと上記(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーとの質量比(A/B)は、0/100〜100/0の範囲が好ましく、30/70〜70/30の範囲が更に好ましい。(A)光重合性シリコーンオリゴマーの配合割合が低すぎると、硬化物の脆性が強くなり、一方、(A)光重合性シリコーンオリゴマーの配合割合が高すぎると、硬化前の粘度が高すぎる為、塗工上問題がある。なお、光重合性反応基含有オリゴマーと光重合性反応基含有モノマーは、オリゴマーのみ、モノマーのみ使用してもよいが、オリゴマーとモノマーを組み合わせて使用することが好ましい。
【0054】
<<(C)光重合開始剤>>
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いる(C)光重合開始剤は、紫外線等の光を照射されることによって、上述した(A)光重合性シリコーンオリゴマー、(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーの重合を開始させる作用を有する。該光重合開始剤(C)としては、(A)光重合性シリコーンオリゴマーと(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーがラジカル重合性の場合には、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及び3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4-ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、キサントン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4−モルホリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられ、また、(A)光重合性シリコーンオリゴマーと(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーがカチオン重合性の場合には、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、芳香族スルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等が挙げられる。これら光重合開始剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
本発明の光硬化性樹脂組成物における上記光重合開始剤(C)の配合量は、上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーと(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーとの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましい。光重合開始剤(C)の配合量が0.1質量部以上であれば、重合反応を十分に開始させることができ、一方、10質量部を超えると、重合反応を開始させる効果が飽和する一方、着色が顕著となり、また光硬化性樹脂組成物の原料のコストが高くなる。
【0056】
<<その他>>
本発明の光硬化性樹脂組成物には、求められる硬化反応性や安定性等を考慮し、必要に応じてさらに光増感剤を含有させてもよい。該光増感剤は、光を照射させることによって、エネルギーを吸収し、該エネルギーまたは電子が重合開始剤に移動して、重合を開始させる作用を有する。該光増感剤としては、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。これら光増感剤の配合量は、上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーと(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーとの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましい。
【0057】
更に、本発明の光硬化性樹脂組成物には、求められる硬化反応性や安定性等を考慮し、必要に応じて重合禁止剤を含有させてもよい。該重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、p-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシチオフェノール、α-ニトロソ-β-ナフトール、p-ベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-p-キノン等が挙げられる。これら重合禁止剤の配合量は、上記(A)光重合性シリコーンオリゴマーと(B)光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマーとの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましい。
【0058】
また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、希釈溶媒としてエーテル、ケトン、エステル等の有機溶媒を含有していてもよく、該有機溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、または乳酸ブチル等が挙げられる。これらの希釈溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上述のとおり必要に応じて希釈溶媒を用い、塗布液状としてこれを基材上の面に塗布することができる。塗布する方法には公知の方法を採用することができ、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、押出コート、スピンコート等が挙げられる。
【0060】
<機能性パネル>
本発明の機能性パネルは、上述の光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる塗布層と、基材層とを具えることを特徴とし、例えば、該塗布層が該基材層上に形成されていることが好ましい。本発明の機能性パネル全体の厚さは、通常、2.5mm以上であるのが好ましい。なお、機能性パネル全体の厚さの上限は特に制限されず、上記塗布層を基材層上の表面及び裏面の双方に形成してもよく、必要に応じてこれら基材層及び塗布層に加え、これらの層間に種々の材質からなる中間層を形成した多層構造としてもよい。この際、上記塗布層は上述のとおり優れた撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性を奏するため、該塗布層を機能性パネルの最表面層として形成するのが望ましい。中間層としては、たとえば、基材層と塗布層との接着性を向上させるためのアンダーコート層、機能性パネルの意匠性を向上させるための模様や色彩を付与した化粧層等が挙げられる。
【0061】
このようにして得られる本発明の機能性パネルは、基材層に上記塗布層が形成されているため、優れた撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性を発揮すると共に、耐温水性や耐染色性にも優れており、水垢に代表される種々の汚れの付着を有効に抑制しつつ、酸やアルカリを含んだ刺激性の強い洗浄剤の使用によっても変質や劣化が発生し難い。また、ヘアーカラーのような染色剤の使用によっても変色や染色が生じ難い。従って、本発明の機能性パネルは、特に住宅内の浴室又は台所に配置される機能性パネルとして好適である。
【0062】
<<塗布層>>
上記光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し、次いで光硬化させることによって、基材層上に塗布層を形成することができる。光硬化させる方法としては、紫外線等の光を照射する方法が一般的である。塗布層を形成する基材層上の面は、表面及び裏面のうち、一方の面だけであっても双方の面であってもよく、必要に応じて適宜選択すればよい。なお、光硬化性樹脂組成物を硬化させる際の光の照射量は、紫外線を採用する場合、通常、照射強度20〜2000mW/cm2、照射量100〜5000mJ/cm2であり、これによって上記光硬化性樹脂組成物は、通常数秒〜数十秒で硬化する。このように短時間で硬化させることが可能であるので、得られる機能性パネルの生産性の向上を図ることができる。
【0063】
上記塗布層の厚さは、要求される意匠性や耐薬品性の程度から適宜選択し得るものであり、特に限定されないが、通常1μm〜200μmの範囲の厚さであると想定される。
【0064】
なお、紫外線を照射する場合、紫外線硬化反応はラジカル反応であるため、酸素による阻害を受け易い。そのため、上記光硬化性樹脂組成物を基材に塗布した後、酸素との接触を回避し得るよう、窒素雰囲気下で該組成物を硬化させてもよい。また、光硬化させることによって形成された塗布層の表面自由エネルギーは、良好な撥水性、滑り性、耐摩耗性、耐薬品性を充分に確保する観点から、通常12〜30mJ/m2であるのが望ましい。
【0065】
<<基材層>>
本発明の機能性パネルに用いられる基材層の材質としては、スレート、コンクリート、金属、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ガラス等の無機質材;木質材のほか、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、不飽和ポリエステル樹脂等の有機質材;及びこれらの複合材が挙げられる。中でも、有機質剤にガラス繊維や炭素繊維等の繊維を加えた材質、いわゆるFRP(繊維強化プラスチック)が好ましい。FRPとしては、不飽和ポリエステル樹脂、充填剤及びガラス繊維若しくは炭素繊維を含むシート状のシートモールディングコンパウンド(SMC)、SMCと同様の複合材であって短繊維を含む塊状のBMC等が挙げられる。一般に、FRPは、熱硬化性樹脂、有機過酸化物(硬化剤)、充填剤、低収縮剤、内部離型剤、強化材、架橋剤、及び増粘剤等を配合したものであって、所定の温度に設定した金型内に入れて加圧し、建材として配置する場所に応じた形状に成形して用いられるものである。中でも、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル、充填剤、及び強化材としてガラス繊維若しくは炭素繊維を含むFRPであると、得られる機能性パネル全体の強度および耐久性等をより向上させることができる。
【0066】
不飽和ポリエステルは、無水マレイン酸、フマル酸などの多塩基酸の不飽和酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリメチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチルプロパンモノアリルエーテル、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールジオキシプロピルエーテルなどの多価アルコールとから生成される。
【0067】
充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。コストダウンの観点からは炭酸カルシウムが好ましく、FRP自体の耐薬品性を向上させる観点からは水酸化アルミニウムが好ましい。しかしながら上述のとおり、上記塗布層を形成すれば、基材として充填剤に炭酸カルシウムを用いたFRPを採用しても、機能性パネル全体の耐薬品性を充分に向上させることができるため、低コストのFRPからなる基材層を有した機能性パネルを容易に実現できる。
【0068】
強化材としてのガラス繊維及び炭素繊維は、繊維長が20〜50mm程度、繊維径が5〜25μm程度のものが好適に用いられ、FRP中に10〜70質量%の量で含有されているのが望ましい。上記基材層として用いられるFRPは、これらの成分を混合し、FRP製造装置等により所定の厚み及び大きさを有するFRPとして製造される。
【0069】
なお、基材層の厚さは、機能性パネルの用途により変動し得るが、通常2.5mm以上である。厚さの上限は特に制限されず、適宜選択することができる。
【実施例】
【0070】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0071】
<光重合性シリコーンオリゴマーの製造例1>
ポリジメチルシロキサンの片側の末端をジオールに変性した水酸基価35のシリコーン化合物[(株)信越化学製X−22−176DX]30.0gにイソボルニルアクリレート133.5g、ジブチルスズジラウレート0.03gを加え攪拌した。次いでトリレンジイソシアネートT−80[(株)三井化学製]3.29gを室温で加えた。これを50℃に加温し100rpmで2時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液全量に2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.24g加えて更に4時間攪拌し反応を完結させ、光重合性シリコーンオリゴマー溶液(A−1)を得た。
【0072】
<光重合性シリコーンオリゴマーの製造例2>
ポリジメチルシロキサンの片側の末端をジオールに変性した水酸基価35のシリコーン化合物[(株)信越化学製X−22−176DX]30.0gにイソボルニルアクリレート135.6g、ジブチルスズジラウレート0.03gを加え攪拌した。次いで1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)[コスモネート ND、(株)三井化学製]を100μm以下の粒径になるまで粉砕したのち3.93gを室温で加えた。これを50℃に加温し200rpmで2時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液全量に2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.24g加えて更に4時間攪拌し反応を完結させ、光重合性シリコーンオリゴマー溶液(A−2)を得た。
【0073】
<光重合性シリコーンオリゴマーの製造例3>
ポリジメチルシロキサンの片側の末端をジオールに変性した水酸基価35のシリコーン化合物[(株)信越化学製X−22−176DX]30.0gにイソボルニルアクリレート134.4g、ジブチルスズジラウレート0.03gを加え攪拌した。次いでキシレンジイソシアネート(XDI)[タケネート 500、(株)三井化学製]3.52gを室温で加えた。これを50℃に加温し100rpmで2時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液全量に2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.24g加えて更に4時間攪拌し反応を完結させ、光重合性シリコーンオリゴマー溶液(A−3)を得た。
【0074】
<光重合性シリコーンオリゴマーの製造例4>
ポリジメチルシロキサンの片側の末端をジオールに変性した水酸基価35のシリコーン化合物[(株)信越化学製X−22−176DX]30.0gにイソボルニルアクリレート136.5g、ジブチルスズジラウレート0.03gを加え攪拌した。次いでイソホロンジイソシアネート(IPDI)[VESTANAT IPDI、エボニックデグサ社製]4.16gを室温で加えた。これを50℃に加温し100rpmで2時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液全量に2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.24g加えて更に4時間攪拌し反応を完結させ、光重合性シリコーンオリゴマー溶液(A−4)を得た。
【0075】
<光重合性シリコーンオリゴマーの製造例5>
ポリジメチルシロキサンの両末端を水酸基に変性した水酸基価37.4のシリコーン化合物[(株)信越化学製KF-9701]30.0gにイソボルニルアクリレート133.8g、ジブチルスズジラウレート0.03gを加え攪拌した。次いでトリレンジイソシアネートT−80[(株)三井化学製]3.48gを室温で加えた。これを50℃に加温し100rpmで2時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液全量に2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.24g加えて更に4時間攪拌し反応を完結させ、光重合性シリコーンオリゴマー溶液(A−5)を得た。
【0076】
<光重合性シリコーンオリゴマーの製造例6>
ポリジメチルシロキサンの片側の末端をジオールに変性した水酸基価35のシリコーン化合物[(株)信越化学製X−22−176DX]30.0gにイソボルニルアクリレート132.6g、ジブチルスズジラウレート0.03gを加え攪拌した。次いでヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)[エボニックデグサ社製]3.14gを室温で加えた。これを50℃に加温し100rpmで3時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液全量に2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.24g加えて更に6時間攪拌し反応を完結させ、光重合性シリコーンオリゴマー溶液(A−6)を得た。
【0077】
<光重合性シリコーンオリゴマーの製造例7>
ポリジメチルシロキサンの片側の末端をジオールに変性した水酸基価35のシリコーン化合物[(株)信越化学製X−22−176DX]30.0gにイソボルニルアクリレート130.5g、ジブチルスズジラウレート0.03gを加え攪拌した。次いでNCO末端とアクリレート末端を共に有するカレンズAOI[(株)昭和電工製]2.67gを室温で加えた。これを50℃に加温し100rpmで4時間反応させ光重合性シリコーンオリゴマー溶液(A−7)を得た。
【0078】
<光硬化性樹脂組成物の調製及び評価>
表1に示す配合処方に従い、撹拌装置に各成分を投入及び混合して、光硬化性樹脂組成物を調製した。得られた光硬化性樹脂組成物を、FRP(デックマット(登録商標)2415、DIC化工(株)製)からなる基材の上面に、厚さ20μmになるように塗布した。次いで、UV照射(1000mW/cm2、4000mJ/cm2)して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、サンプルを得た。下記の方法で、撥水性、滑り性、汚染性を評価し、表1に示す結果を得た。なお、表1中、初期とは、サンプルの作製直後を意味し、耐久試験後とは、50℃の水に50時間浸漬後を意味する。
【0079】
(1)撥水性
撥水性の評価は、水の接触角を測定して行った。なお、接触角の測定には、協和界面科学社製DM−500を用いた。基材の上に1.5μlの水滴を滴下し、直後及び耐久試験後の水接触角を測定した。測定は3回行い、その平均値を接触角の値とした。
【0080】
(2)滑り性
滑り性の評価は、水の転落角を測定して行った。なお、滑り性の評価には、協和界面科学社製DM−500及びDM−SAを用いた。基材の上に30μlの水滴を滴下し、7.5度/秒のスピードでステージを傾け、水滴が動き出した角度を転落角の値とした。測定は2回行い、その平均値を転落角の値とした。
【0081】
(3)汚染性
市販の毛染め剤(GATSBY黒髪もどし(登録商標):1剤と2剤との混合物、(株)マンダム社製)にサンプルを24時間浸漬後水洗し、下記式(A)に基づき、浸漬部位と未浸漬部位とのLab色差(ΔE)を求めた。Lab色差(ΔE)は、色差計(SpectroEye、サカタインクスエンジニアリング(株)製)を用いて下記式(A)に基づき、浸漬部位と未浸漬部位とのLab色差(ΔE)を求めた。
ΔE=(Δa2+Δb2+ΔL21/2 ・・・ (A)
該数値は、小さいほど薬品に対して良好な耐性を有することを意味する。
【0082】
【表1】

【0083】
*1 共栄社化学株式会社製、UA−306H
*2 共栄社化学株式会社製、IB-XA
*3 共栄社化学株式会社製、1,6HX-A
*4 チバスペシャリティケミカルズ、IRGACURE184
【0084】
表1の実施例と比較例の結果から、分子構造中に環状骨格を有さないポリイソシアネート化合物を用いて合成した光重合性シリコーンオリゴマーに代えて、分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物を用いて合成した光重合性シリコーンオリゴマーを使用することで、撥水性、滑り性等の性能を長期に渡って向上させることが可能な光硬化性樹脂組成物が得られることが分る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物と、(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物と、(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物と、を反応させて得られる光重合性シリコーンオリゴマー、
(B)前記(A)光重合性シリコーンオリゴマーと共重合可能な光重合性反応基含有オリゴマー及び/又はモノマー、並びに、
(C)光重合開始剤
を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(b)分子構造中に環状骨格を有するポリイソシアネート化合物が、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、及びこれらの構造を含むNCO末端ウレタンプレポリマーからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(a)イソシアネートと反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサン化合物の官能基が、水酸基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(c)イソシアネートと反応可能な官能基及び光重合性反応基をそれぞれ1つ以上有する化合物の官能基が、水酸基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)光重合性シリコーンオリゴマーが、光重合性反応基として、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、オキセタン基からなる群から選択される少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる塗布層と、基材層とを具えることを特徴とする機能性パネル。

【公開番号】特開2012−162678(P2012−162678A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25358(P2011−25358)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】