説明

光端末装置及びそれを備えた光伝送システム

【課題】RF出力信号が正常か否かを判定することができ、且つ、当該判定における誤判定を防止することができる光端末装置を提供する。
【解決手段】光信号を入力し、前記光信号に基づくRF出力信号を出力する光端末装置であって、前記RF出力信号のレベルが正常であるか否かを判定する判定手段(マイコン38)と、前記判定手段での判定に用いられる判定基準値を記憶する記憶手段(不揮発性メモリ38A)と、前記判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段(LED40)と、前記判定基準値の変更を指示する判定基準値変更コマンドを前記光信号から抽出する抽出手段(光検出部26、分岐器27、及びFSK復調器37)と、前記記憶手段が記憶している前記判定基準値を前記判定基準値変更コマンドに基づいて変更する変更手段(マイコン38)とを備える光端末装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムの加入者側に設置され、受信した放送用光信号を電気信号に変換する光端末装置及びそれを備えた光伝送システムに関する。光端末装置は、放送用光加入者端末装置(V-ONU:Video-Optical Network Unit)及び通信用光加入者端末装置(D-ONU:Digital-Optical Network Unit)を有する放送通信一体型光加入者端末装置(V/D-ONU)であってもよく、V-ONUであってもよい。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルを用いたケーブルテレビ放送システム等の光伝送システムでは、加入者宅毎に光端末装置(例えば、特許文献1〜3参照)が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−288384号公報(段落0022、第2図)
【特許文献2】特開2007−124175号公報(段落0034、段落0035、第4図)
【特許文献3】実用新案登録第3134762号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光端末装置は、RF出力信号が正常であるか否かを判定する機能を有しておらず、サービスマンや加入者がRF出力信号の状態をすぐに把握できず、光端末装置設置時の動作確認や放送受信障害が発生した際の原因特定が煩雑になるという問題があった。
【0005】
そこで、RF出力信号が正常であるか否かを判定する機能を光端末装置に付加することが考えられる。ところが、2011年7月24日以降の地上波テレビ放送のアナログ停波により、RF出力信号が正常であるか否かの判定において誤判定が発生するおそれがある。また、光伝送システムによって伝送される放送波の波数(チャンネル数)が、地上波テレビ放送のアナログ停波以外の要因により将来的に変更された場合も、同様にRF出力信号が正常であるか否かの判定において誤判定が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑み、RF出力信号が正常か否かを判定することができ、且つ、当該判定における誤判定を防止することができる光端末装置及びそれを備えた光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る光端末装置は、光信号を入力し、前記光信号に基づくRF出力信号を出力する光端末装置であって、前記RF出力信号のレベルが正常であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段での判定に用いられる判定基準値を記憶する記憶手段と、前記判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、前記判定基準値の変更を指示する判定基準値変更コマンドを前記光信号から抽出する抽出手段と、前記記憶手段が記憶している前記判定基準値を前記判定基準値変更コマンドに基づいて変更する変更手段とを備える構成とする。
【0008】
このような構成によると、RF出力信号のレベルが正常であるか否かを判定する判定手段を備えているので、RF出力信号が正常か否かを判定することができる。さらに、このような構成によると、記憶手段が記憶している判定基準値を判定基準値変更コマンドに基づいて変更する変更手段を備えているので、例えば、光伝送システムによって伝送される放送波の波数(チャンネル数)が将来的に変更された場合でも、RF出力信号が正常か否かの判定において誤判定が生じないようにすることができる。
【0009】
また、前記記憶手段が不揮発性メモリであることが望ましい。これにより、停電などにより光端末装置への電源供給が遮断されその後復旧した場合でも、判定基準値を記憶しておくことができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために本発明に係る光伝送システムは、上記いずれかの構成の光端末装置と、前記光端末装置を遠隔制御する遠隔制御装置と、光送信装置とを備え、前記遠隔制御装置が、判定基準値の変更を指示する判定基準値変更コマンドを出力し、前記光送信装置が、前記判定基準値変更コマンドを含む電気信号を光信号に変換し、前記光信号を前記光端末装置に送信する構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、光端末装置が、RF出力信号のレベルが正常であるか否かを判定する判定手段と、記憶手段が記憶している判定基準値を判定基準値変更コマンドに基づいて変更する変更手段とを備えているので、RF出力信号が正常か否かを判定することができ、且つ、当該判定における誤判定を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】は、本発明の第1実施形態に係るCATV用光伝送システムの概略構成を示す図である。
【図2】は、図1に示すCATV用光伝送システムで用いられる光端末装置の外観例を示す斜視図である。
【図3】は、図1に示すCATV用光伝送システムで用いられる光端末装置の概略構成例を示す図である。
【図4】は、判定基準値変更コマンドのデータ構成例を示す図である。
【図5】は、判定基準値変更コマンドの他のデータ構成例を示す図である。
【図6】は、本発明の第2実施形態に係るCATV用光伝送システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明の第1実施形態に係るCATV用光伝送システムの概略構成を図1に示す。図1に示す光伝送システムは、V-ONU遠隔制御用パーソナルコンピュータ(以下、V-ONU遠隔制御用パソコンという)1と、FSK(Frequency Shift Keying)変調器2と、混合器3と、光送信器4と、光ファイバ5と、光分岐器6と、光ファイバ7−1〜7−nと、遠隔制御機能を有するV-ONU8−1〜8−nと、テレビ受信機9−1〜9−nと、加入者側パーソナルコンピュータ(以下、加入者側パソコン)10と、D-ONU11−1〜11−nと、光ファイバ12−1〜12−nと、光分岐器13と、光ファイバ14と、通信系機器15とを備えている。
【0014】
本発明に係る光端末装置の一例であるV/D-ONU16−1は、V-ONU8−1とD-ONU11−1とによって構成される。本発明に係る光端末装置の一例であるV/D-ONU16−2〜16−nについても同様であり、V/D-ONU16−kはV-ONU8−kとD-ONU11−kとによって構成される(kは2以上n以下の自然数)。V-ONU遠隔制御用パソコン1は、請求項に記載の遠隔制御装置の一例である。光送信器4は、請求項に記載の光送信装置の一例である。また、図1に示す光伝送システムにおけるV-ONU遠隔制御の仕様は、日本ケーブルラボが制定したV-ONU遠隔制御運用仕様(JCL SPEC-014 1.0版)に準拠したものとする。
【0015】
V-ONU遠隔制御用パソコン1と、FSK変調器2と、混合器3と、光送信器4と、通信系機器13とはセンタ局に設置され、光分岐器6及び13は伝送線路中に設置され、V/D-ONU16−1〜16−nと、テレビ受信機9−1〜9−nと、加入者側パソコン10−1〜10−nとは各加入者宅に設置される。なお、光分岐器6及び13はセンタ局側に設置してもよい。
【0016】
V-ONU遠隔制御用パソコン1は、V-ONU遠隔制御用ソフトウェアを内部の記憶部(不図示)に格納しており、そのV-ONU遠隔制御用ソフトウェアを実行することで、V-ONU8−1〜8−nに対応する遠隔制御命令を周期的に生成し、その遠隔制御命令をFSK変調器2に出力する。FSK変調器2は、V-ONU遠隔制御用パソコン1からの遠隔制御命令をFSK変調して混合器3に送出する。
【0017】
混合器3は、TV信号であるRF信号と、FSK変調器2からのFSK変調された遠隔制御命令とを混合した混合信号を光送信器4に出力する。なお、2009年時点において、混合器3に入力されるTV信号(RF信号)はアナログ波とデジタル波とが混在した状態である。光送信器4は、混合器3からの混合信号を光信号に変換し、その光信号を光ファイバ5経由で光分岐器6に伝送する。光送信器4は、例えば、混合器3からの混合信号の変化に応じて光変調度を調整した後、レーザーダイオードにより混合器3からの混合信号を光信号に変換している。
【0018】
光分岐器6は、光ファイバ5によって伝送されてきた光信号をn(nは自然数)分岐して各光ファイバ7−1〜7−n経由で各加入者宅の各V-ONU8−1〜8−nに伝送する。各加入者宅の各V-ONU8−1〜8−nは、受け取った光信号を電気信号に変換し、その電気信号に含まれているRF信号を各加入者宅の各同軸ケーブルを介して各加入者宅の各テレビ受信機9−1〜9−nに伝送する。また、各加入者宅の各V-ONU8−1〜8−nは、受け取った光信号を変換して得られた電気信号に含まれているFSK変調された遠隔制御命令を、内部のFSK復調器(図1において不図示)によってFSK復調して遠隔制御命令を認識している。
【0019】
そして、センタ局からV-ONUへの遠隔制御は、V-ONU8−1〜8−nに対して個別に或いは一斉に行われる。個別の遠隔制御を可能にするために、V-ONU8−1〜8−n各々に固有識別情報(例えばアドレス)を付与する必要がある。個別の遠隔制御を行う場合、制御対象のV-ONUに付与した固有識別情報(例えばアドレス)を指定して制御を実行することになる。
【0020】
したがって、個別の遠隔制御を可能にするために、V-ONU8−1〜8−n各々は、工場において固有識別情報(例えばアドレス)を付与され、その後出荷され、最終的に図1に示すように各加入者宅に設置される。
【0021】
各D-ONU11−1〜11−nは、各V-ONU8−1〜8−nとともに各光端末装置16−1〜16−nの筐体内部に収納されている(後述の図2参照)。各D-ONU11−1〜11−nと各加入者側パソコン10−1〜10−nとは光ファイバで接続されている。各D-ONU11−1〜11−nは、通信系のユニットであり、例えばインターネット接続などに使用され、各加入者側パソコン10−1〜10−nを各光ファイバ12―1〜12−n、光分岐器13、光ファイバ14、及び通信系機器15を介してインターネット等のネットワークに接続することができる。
【0022】
次に、V/D-ONU16−1〜16−n並びにその構成要素であるV-ONU8−1〜8−n及びD-ONU11−1〜11−nについて図2〜図5を参照して詳細に説明する。
【0023】
V/D-ONU16−1〜16−nはそれぞれ例えば図2に示すような外観であり、箱状の本体20と、本体20の開放部を開閉自在に覆う蓋21とを備え、本体20内部に光ファイバトレイ22と信号処理回路ユニット23とD-ONU11とを収納している。本体20の側面20Aに設けられた光ファイバ挿入口24を通じて外部から光ファイバが導入され、その導入された光ファイバが光ファイバトレイ22上に巻き付けられ、前記光ファイバの端部に設けた光コネクタが光中継アダプタに接続される。また、本体20の側面20Aには、光ファイバ挿入口24の他に同軸ケーブル接続用コネクタ25も設けられている。光ファイバによって伝送された光信号は、信号処理回路ユニット23において信号処理されて、電気信号(RF信号)に変換され、同軸ケーブル接続用コネクタ25から外部に出力される。なお、図2では、本体20内の右側に信号処理回路ユニット23が収納されていることを表すために、その上部に搭載される光ファイバトレイの図示を省略しているが、実際には本体20の左側と同様に光ファイバトレイを搭載している。
【0024】
また、V-ONU8−1〜8−nはそれぞれ例えば図3に示す概略構成のV-ONUである。図3に示すV-ONUは、入力ポート(光中継アダプタ)INと、入力ポートINからの光信号を電気信号に変換する機能を有する光検出部26と、光検出部26から出力された電気信号をTV信号であるRF信号と遠隔制御命令を含むFSK復調用のRF信号に分離する機能を有する分岐器27と、前記分岐器27の幹線出力からのTV信号であるRF信号をCATV帯の信号とCS/BS−IF帯域の信号とに分波する分波器28と、CATV帯域の信号を増幅する増幅器29と、CS/BS−IF帯域の信号を増幅する増幅器30と、増幅器29によって増幅されたCATV帯域の信号を分岐する分岐器31と、増幅器30によって増幅されたCS/BS−IF帯域の信号を分岐する分岐器32と、分配器31の幹線の出力端から送出されるCATV帯域の信号と分配器32の幹線の出力端から送出されるCS/BS−IF帯域の信号とを混合する混合器33と、混合器33から送出される混合信号(CATV帯域の信号とCS/BS−IF帯域の信号との混合信号)を減衰する減衰器34と、減衰器34から送出される信号をRF出力信号としてテレビ受信機などに外部出力する出力端子(同軸ケーブル接続用コネクタ)とを備えている。
【0025】
図3に示すV-ONUは、さらに、分岐器31の分岐の出力端から送出されるCATV帯域の信号を入力してそのCATV帯域の信号のレベルに応じた電圧(以下、CATV検波電圧という)を出力する検波器35と、分岐器32の分岐の出力端から送出されるCS/BS−IF帯域の信号を入力してそのCS/BS−IF帯域の信号のレベルに応じた電圧(以下、CS/BS−IF検波電圧という)を出力する検波器36と、光検出部26から供給されるFSK変調された遠隔制御命令をFSK復調するFSK復調器37と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)38と、マイコン38の制御に応じたLED駆動信号を出力するLED(Light Emitting Diode)駆動部39と、LED駆動部39からのLED駆動信号によって駆動するLED40とを備えている。マイコン38は、不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)38Aと、A/D変換器(不図示)とを内蔵している。
【0026】
マイコン38は、請求項に記載の判定手段の一例であり、請求項に記載の変更手段の一例でもある。不揮発性メモリ38Aは、請求項に記載の記憶手段の一例である。LED40は、請求項に記載の判定結果出力手段の一例である。光検出部26、分岐器27、及びFSK復調器37は、請求項に記載の抽出手段の一例である。
【0027】
マイコン38は、検波器35から送られてくるCATV検波電圧をA/D変換器によってデジタル値に変換し、検波器35から送られてくるCS/BS−IF検波電圧をA/D変換器によってデジタル値に変換する。また、マイコン38は、CATV帯域の信号のレベルが正常であるか否かを判定する際に用いられるCATV用判定基準値と、CS/BS−IF帯域の信号のレベルが正常であるか否かを判定する際に用いられるCS/BS−IF用判定基準値とを不揮発性メモリ38Aに予め格納している。
【0028】
マイコン38は、CATV検波電圧のA/D変換値とCATV用判定基準値とを比較し、CATV検波電圧のA/D変換値がCATV用判定基準値以下であればCATV帯域の信号のレベルが正常であると判定し、CATV検波電圧のA/D変換値がCATV用判定基準値以下でなければCATV帯域の信号のレベルが正常でないと判定する。また、マイコン38は、CS/BS−IF検波電圧のA/D変換値とCS/BS−IF用判定基準値とを比較し、CS/BS−IF検波電圧のA/D変換値がCS/BS−IF用判定基準値以下であればCS/BS−IF帯域の信号のレベルが正常であると判定し、CS/BS−IF検波電圧のA/D変換値がCS/BS−IF用判定基準値以下でなければCS/BS−IF帯域の信号のレベルが正常でないと判定する。
【0029】
なお、上記の実施例とは逆に、マイコン38が、CATV検波電圧のA/D変換値がCATV用判定基準値以上であればCATV帯域の信号のレベルが正常であると判定し、CS/BS−IF検波電圧のA/D変換値がCS/BS−IF用判定基準値以上であればCS/BS−IF帯域の信号のレベルが正常であると判定するようにしてもよい。また、マイコン38が、CATV用上限判定基準値、CATV用下限判定基準値、CS/BS−IF用上限判定基準値、及びCS/BS−IF用下限判定基準値を不揮発性メモリ38Aに予め格納し、CATV検波電圧のA/D変換値がCATV用下限判定基準値以上であってCATV用上限判定基準値以下であればCATV帯域の信号のレベルが正常であると判定し、CS/BS−IF検波電圧のA/D変換値がCS/BS−IF用下限判定基準値以上であってCS/BS−IF用上限判定基準値以下であればCS/BS−IF帯域の信号のレベルが正常であると判定するようにしてもよい。
【0030】
マイコン38は、CATV帯域の信号のレベル、CS/BS−IF帯域の信号のレベルの両方が正常であると判定した場合に、RF出力信号のレベルが正常であると判定し、CATV帯域の信号のレベル、CS/BS−IF帯域の信号のレベルの少なくとも一つが正常でないと判定した場合に、RF出力信号のレベルが正常でないと判定する。マイコン38は、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果に応じてLED駆動部39を制御する。例えば、LED40を緑色LEDと赤色LEDとで構成し、RF出力信号のレベルが正常であるという判定結果が得られた場合は緑色LEDのみを点灯させ、RF出力信号のレベルが正常でないという判定結果が得られた場合は赤色LEDのみを点灯させるようにすればよい。さらに、マイコン38は、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果に関する通知信号を、V-ONUのアドレスを付与した形式で出力する。当該通知信号は、通知信号出力端子41からD-ONU11(図2参照)に送信され、D-ONU11によってセンタ局の通信系機器15に伝送され、さらに通信系機器15からV-ONU遠隔制御用パソコン1に送信される。これにより、V-ONU遠隔制御用パソコン1が、V-ONU8−1〜8−nそれぞれについて、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果を把握することができる。
【0031】
なお、上記の実施例では、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果をRF出力信号全体として出力しているが、帯域別に出力するようにしてもよい。この場合、例えば、LED40をCATV用緑色LEDとCATV用赤色LEDとCS/BS−IF用緑色LEDとCS/BS−IF用赤色LEDとで構成し、CATV帯域の信号のレベル、CS/BS−IF帯域の信号のレベルの両方が正常であるという判定結果(=RF出力信号のレベルが正常であるという判定結果)が得られた場合はCATV用緑色LED及びCS/BS−IF用緑色LEDのみを点灯させ、CATV帯域の信号のレベルが正常でなく、CS/BS−IF帯域の信号のレベルが正常であるという判定結果(=RF出力信号のレベルが正常でないという判定結果の一形態)が得られた場合はCATV用赤色LED及びCS/BS−IF用緑色LEDのみを点灯させ、CATV帯域の信号のレベルが正常であって、CS/BS−IF帯域の信号のレベルが正常でないとう判定結果(=RF出力信号のレベルが正常でないという判定結果の一形態)が得られた場合はCATV用緑色LED及びCS/BS−IF用赤色LEDのみを点灯させ、CATV帯域の信号のレベル、CS/BS−IF帯域の信号のレベルの両方が正常でないとう判定結果(=RF出力信号のレベルが正常でないという判定結果の一形態)が得られた場合はCATV用赤色LED及びCS/BS−IF用赤色LEDのみを点灯させるようにすればよい。また、この場合においても、マイコン38は、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果に関する通知信号を、V-ONUのアドレスを付与した形式で出力するようにすればよい。そうすると、当該通知信号は、通知信号出力端子41からD-ONU11(図2参照)に送信され、D-ONU11によってセンタ局の通信系機器15に伝送され、さらに通信系機器15からV-ONU遠隔制御用パソコン1に送信される。これにより、V-ONU遠隔制御用パソコン1が、V-ONU8−1〜8−nそれぞれについて、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果を把握することができる。
【0032】
図3に示すV-ONUは、RF出力信号のレベルが正常であるか否かを判定する際に用いられる判定基準値(例えば、CATV用判定基準値、CS/BS−IF用判定基準値、CATV用上限判定基準値、CS/BS−IF用上限判定基準値、CATV用下限判定基準値、CS/BS−IF用下限判定基準値など)を、V-ONU遠隔制御用パソコン1からの遠隔制御命令に応じて変更する構成である。具体的には、マイコン38が、FSK復調器37から判定基準値変更コマンド(遠隔制御命令の一種)を受け取り、その判定基準値変更コマンドに基づいて、不揮発性メモリ38Aに格納している判定基準値を書き換える。
【0033】
このような構成により、光伝送システムによって伝送される放送波の波数(チャンネル数)が将来的に変更された場合でも、RF出力信号が正常か否かの判定において誤判定が生じないようにすることができる。また、図3に示すV-ONUは、判定基準値を不揮発性メモリ38Aに格納しているので、停電などにより図3に示すV-ONUへの電源供給が遮断されその後復旧した場合でも、判定基準値を記憶しておくことができる。
【0034】
V-ONU遠隔制御用パソコン1は、必要なとき(例えば、光伝送システムによって伝送される放送波の波数(チャンネル数)が変更されたとき)に、判定基準値変更コマンドをV-ONU8−1〜8−nに送信する。
【0035】
ここで、判定基準値変更コマンドのデータ構成例を図4に示す。図4に示す判定基準値変更コマンドは、シリアルデータの先頭を示す制御コードであるSTX、判定基準値変更コマンドであることを示す識別子、判定基準値、チェックサム、シリアルデータの末尾を示す制御コードであるETXの順にデータ送信されるシリアルコマンドである。なお、チェックサムは、チェックサムより前のデータ全てを対象とするチェックサムでも良く、チェックサムより前のデータの一部のみを対象とする対象とするチェックサムでもよい。
【0036】
V-ONU遠隔制御用パソコン1が図4に示す判定基準値変更コマンドをV-ONU8−1〜8−nに送信した場合、V-ONU8−1〜8−n全てにおいて判定基準値変更コマンドが書き換わる。V-ONU8−1〜8−nに対して個別に又はグループ毎に判定基準値を変更することを可能にするためには、例えば、判定基準値変更コマンドを図5に示すデータ構成にするとよい。また、グループ毎に判定基準値を変更する場合には、例えば、V-ONU遠隔制御用パソコン1がV-ONU8−1〜8−nについてのアドレスとグループとの対応関係を記憶しておくようにするとよい。
【0037】
図5に示す判定基準値変更コマンドは、シリアルデータの先頭を示す制御コードであるSTX、判定基準値を変更するV-ONUを特定するためのアドレス即ち判定基準値変更対象であるV-ONUのアドレス、判定基準値変更コマンドであることを示す識別子、判定基準値、チェックサム、シリアルデータの末尾を示す制御コードであるETXの順にデータ送信されるシリアルコマンドである。
【0038】
判定基準値変更コマンドに含まれているチェックサムは、チェックサムより前のデータ全てを対象とするチェックサムでも良く、チェックサムより前のデータの一部のみを対象とする対象とするチェックサムでもよい。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態に係るCATV用光伝送システムの概略構成を図6に示す。なお、図6において、図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0040】
図6に示す光伝送システムは、V-ONU遠隔制御用パーソナルコンピュータ1と、FSK変調器2と、混合器3と、光送信器4と、光ファイバ5と、光分岐器6と、光ファイバ7−1〜7−nと、遠隔制御機能を有するV-ONU8−1〜8−nと、テレビ受信機9−1〜9−nとを備えている。即ち、図6に示す光伝送システムは、図1に示す光伝送システムから、加入者側パソコン10と、D-ONU11−1〜11−nと、光ファイバ12−1〜12−nと、光分岐器13と、光ファイバ14と、通信系機器15とを取り除いた構成である。
【0041】
図6に示す光伝送システムでは、各V-ONU8−1〜8−nが本発明に係る光端末装置に該当する。また、図6に示す光伝送システムで用いられている光端末装置(V-ONU8−1〜8−n)の外観例は、図2に示す外観とほぼ同様であり、図2からD-ONU11を取り除いたものとなる。また、図6に示す光伝送システムで用いられている光端末装置(V-ONU8−1〜8−n)の概略構成例は、図3に示す構成とほぼ同様であり、図3から通知信号出力端子41を取り除き、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果に関する通知信号をマイコン38が出力しない構成としたものである。
【0042】
したがって、図6に示す光伝送システムは、図1に示す光伝送システムと同様に、光伝送システムによって伝送される放送波の波数(チャンネル数)が将来的に変更された場合でも、RF出力信号が正常か否かの判定において誤判定が生じないようにすることができる。
【0043】
なお、本発明に係る光端末装置及び本発明に係る光伝送システムは、上述した第1及び第2実施形態の構成に限定されることはない。
【0044】
例えば、図3に示すV-ONUは、CATV帯域の信号、CS/BS−IF帯域の信号を個別検波する構成であるが、当該構成に代えて、混合器33から出力される信号又は減衰器34から出力される信号を検波し、その検波結果を用いてRF出力信号のレベルが正常であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0045】
また、図3に示すV-ONUは、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果を、LED40の点灯色及びD-ONUを介してのV-ONU遠隔制御用パソコン1への通知信号出力或いはLED40の点灯色により、出力している構成であるが、当該構成に代えて、例えば、RF出力信号のレベルが正常であるか否かの判定結果を、音声出力及びD-ONUを介してのV-ONU遠隔制御用パソコン1への通知信号出力或いは音声出力により、出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 V-ONU遠隔制御用パソコン
2 FSK変調器
3 混合器
4 光送信器
5 光ファイバ
6 光分岐器
7−1〜7−n 光ファイバ
8−1〜8−n V-ONU(本発明に係る光端末装置の一例)
9−1〜9−n テレビ受信機
10 加入者側パソコン
11、11−1〜11−n D-ONU
12−1〜12−n 光ファイバ
13 光分岐器
14 光ファイバ
15 通信系機器
16−1〜16−n V/D-ONU
20 本体
20A 本体の側面
21 蓋
22 光ファイバトレイ
23 信号処理回路ユニット
24 光ファイバ挿入口
25 同軸ケーブル接続用コネクタ
26 光検出部
27 分岐器
28 分波器
29、30 増幅器
31、32 分岐器
33 混合器
34 減衰器
35、36 検波器
37 FSK復調器
38 マイコン
38A 不揮発性メモリ
39 LED駆動部
40 LED
41 通知信号出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を入力し、前記光信号に基づくRF出力信号を出力する光端末装置において、
前記RF出力信号のレベルが正常であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段での判定に用いられる判定基準値を記憶する記憶手段と、
前記判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、
前記判定基準値の変更を指示する判定基準値変更コマンドを前記光信号から抽出する抽出手段と、
前記記憶手段が記憶している前記判定基準値を前記判定基準値変更コマンドに基づいて変更する変更手段とを備えることを特徴とする光端末装置。
【請求項2】
前記記憶手段が不揮発性メモリである請求項1に記載の光端末装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光端末装置と、前記光端末装置を遠隔制御する遠隔制御装置と、光送信装置とを備え、
前記遠隔制御装置が、判定基準値の変更を指示する判定基準値変更コマンドを出力し、
前記光送信装置が、前記判定基準値変更コマンドを含む電気信号を光信号に変換し、前記光信号を前記光端末装置に送信することを特徴とする光伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−183468(P2010−183468A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26911(P2009−26911)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】