説明

光装置

【課題】配光角または入射角の制御が可能で、かつ装置の薄型化が容易な光装置を提供する。
【解決手段】光装置は、リードと、発光素子と、前記発光素子を覆うように設けられ、前記放出光の光取り出し面を有する封止層と、を備える。前記光取り出し面は、前記放出光の光軸含む中心部と、前記中心部を取り囲む内側面と外側に向かう外側面とを含む第1の凸部と、前記内側面よりも下方でありかつ前記内側面と前記中心部と前記内側面との間に設けられた接続部と、を有する。前記接続部は、前記内側面の側および前記中心部の側の少なくともいずれかに丸み部を有する。前記外側面は、前記中心部の表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折するか、または、前記内側面は、前記中心部の前記表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光装置の一例として、照明用の発光装置では、放出光の配光角を所定の範囲に制御することが要求される。例えば、スイッチ照明の場合、配光角を狭く絞り、光軸近傍での光度を高めることが要求される。また、光装置の他の一例として、受光装置でも、所定の入射角で入射した光を効率良く受光素子の受光領域に導くことが要求される。
【0003】
発光素子や受光素子に凸または凹レンズを設けると、発光装置の配光角や受光装置の入射角の制御が容易となる。しかしながら、例えば、半球レンズなどを用いると、その高さが大きくなり、発光装置や受光装置の薄型化が困難となる。また、これらのレンズを発光装置や受光装置の表面に外付けする工程は、一貫した自動組立ラインに含めることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−153612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配光角または入射角の制御が可能で、かつ装置の薄型化が容易な光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態にかかる光装置は、リードと、前記リードの上に設けられ、放出光を放出可能な発光素子と、前記発光素子を覆うように設けられ、前記放出光の光取り出し面を有する封止層であって、前記光取り出し面は、前記放出光の光軸を含む中心部と、前記中心部を取り囲む内側面と外側に向かう外側面とを含む第1の凸部と、前記内側面よりも下方かつ前記内側面と前記中心部との間に設けられた接続部と、を有する封止層と、を備える。前記接続部は、前記内側面の側および前記中心部の側の少なくともいずれかに丸み部を有する。前記第1の凸部の前記外側面は、前記中心部の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折するか、または、前記第1の凸部の前記内側面は、前記中心部の前記表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1(a)は第1の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、図1(c)は光取り出し面を拡大した模式断面図、である。
【図2】図2(a)は本実施形態の光取り出し面の作用を説明する模式断面図、図2(b)は球面の近似を表す模式断面図、である。
【図3】第1の実施形態にかかる発光装置の指向特性のグラフ図である。
【図4】図4(a)は第1の実施形態の変形例にかかる発光装置の模式平面図、図4(b)はA−A線に沿った模式断面図、図4(c)は光取り出し面を拡大した模式断面図、である。
【図5】本実施形態の光取り出し面の作用を説明する模式断面図である。
【図6】図6(a)は第2の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図6(b)はその模式断面図、である。
【図7】図7(a)は第3の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図7(b)はB−B線に沿った模式断面図、である。
【図8】図8(a)は第3の実施形態の作用を説明する模式断面図、図8(b)はレンズの変形例の作用を説明する模式断面図、である。
【図9】第3の実施形態の変形例にかかる発光装置の作用を説明する模式図である。
【図10】図10(a)は第4の実施形態にかかる発光装置の部分模式断面図、図10(b)は凹レンズの模式断面図、図10(c)は指向特性のグラフ図、である。
【図11】図11(a)は第5の実施形態にかかる発光装置のレンズの模式断面図、図11(b)は分割前の組み合わせレンズの模式断面図、図11(c)は指向特性のグラフ図、である。
【図12】図12(a)は第6の実施形態にかかる受光装置のレンズの模式断面図、図12(b)は受光装置の模式断面図、である。
【図13】図13(a)は第7の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図13(b)はC−C線に沿った模式断面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は第1の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、図1(c)は光取り出し面を拡大した模式断面図、である。
発光装置は、樹脂やセラミックのような絶縁材からなる成型体10、第1のリード12、第2のリード14、発光素子20、封止層39、およびボンディングワイヤ15、を有する。
【0009】
成型体10には、凹部10aが設けられている。凹部10aの底面10bには第1のリード12の一方の端部、第2のリード14の一方の端部がそれぞれ露出している。発光素子20は、第1のリード12の上に銀ペーストのような導電性接着剤や金属半田材などで接着されている。発光素子20の上面に設けられた一方の電極20aは、ボンディングワイヤ15により第2のリード14と接続される。凹部10a内には、発光素子20を覆うようにシリコーン樹脂などからなる封止層39が設けられる。なお、成型体10が反射性フィラーを含む熱可塑性樹脂からなるものとすると、凹部10aの側壁10cを光反射面とすることができる。
【0010】
光取り出し面44は、放出光の光軸40を内部に含む中心部30と、中心部30を取り囲む第1の凸部34と、中心部30と第1の凸部34との間に設けられ、上方に向かって凹となる曲面を含む第1の接続部32と、を含む。第1の凸部34は、中心部30の側に設けられた内側面34aおよび外側に向かって設けられた外側面34bを含む。また、本図において、接続部32は、中心部30と第1の凸部34との間に挟まれ内側面34よりも下方に設けられる。また、接続部32は、中心部30の表面30aの傾斜部と、第1の凸部34の傾斜部と、を接続可能であり、上に向かって凹となる曲面を含んでいる。しかし、接続部32の曲面はこれに限定されない。例えば、曲面は、内側面34aの側および中心部30の側の少なくともいずれかに設けられた丸み部を有する凹みと、平面と、を有していてもよい。
【0011】
中心部30の表面30aは、平面または曲面とすることができる。図1では、中心部30の表面30aは、上に向かって凸となる曲面を含む。中心部30の上端および第1の凸部34の上端が硬化後の封止層39の上面42内に含まれてもよいし、上面42よりも下方でも良い。
【0012】
また、中心部30と第1の凸部34との間に設けられ、例えば、上方に向かって凹となる曲面を含む第1の接続部32の断面は、例えば10〜300μm程度の曲率半径RRを有するものとする。レーザ光のようなコヒーレント光を集光したり、光取り出し効率を高めるためのフレネルレンズや回折格子では、凸部の間の接続部は急峻な切れ込みが必要とされる場合が多い。しかし、本実施形態では、インコヒーレントな放出光の屈折方向を変え配光角を制御するものであるから、接続部の切れ込みの急峻性を緩和することができる。
【0013】
このような凸部および接続部を含む光取り出し面44の形状は、レーザ光を走査することにより形成することができる。例えば、波長が10.6μm近傍である炭酸ガスレーザ光を用いると、封止層39の上面42からの接続部の深さを、例えば300μm程度とすることができる。硬化された樹脂層にレーザ光を照射すると、樹脂層が昇華または溶融、気化し所望の接続部形状とできる。
【0014】
発明者らの実験によれば、中心部30と第1の凸部34との間の第1の接続部32の曲率半径RRや凸部の上端テーパー部の幅は、加工するレーザ光の波長以下に狭くすることが困難であることが判明した。このため、例えば炭酸ガスレーザ光を用いる場合、第1の接続部32の丸み部の曲率半径RRは、炭酸ガスレーザ光の波長である10.6μm以上であることが好ましく、レーザ光の波長の3倍以上であることがより好ましい。
【0015】
また、上面42から、所定の深さまで封止層39をレーザ光を用いて除去する場合、上端に平坦部34cを残すようにすると加工が容易となる。一般に、凸部の先端テーパー部が細いと、バリなどを発生しやすいなど形状を安定化することが困難となり、配光角を変化させることがある。もし、平坦部34cの両側に丸み部を設けると、第1の凸部34を所望の形状とし、配光特性を安定に制御することができる。すなわち、第1の凸部34の上端に、10.6μm以上の丸み部を設けることが好ましく、その3倍以上とすることがより好ましい。
【0016】
図2(a)は、本実施形態の発光装置の光取り出し面の作用を説明する模式断面図、図2(b)は、球面の近似法を説明する模式断面図、である。
封止層39の上に、封止層39と同一材料からなる半球レンズ90があるものとする。半球レンズ90を、半球レンズ90の片側をDV1およびDV2に垂直に2分割し、レンズ球面を発光中心20bに向かって相似的に移動することを考える。すなわち、分割された半球レンズ90、91のそれぞれの球面による屈折方向が、移動前と平行になるように曲面を移動する。このようにすると、外側の分割領域DV1の球面の傾斜角の平均値βは、中心部30の分割領域DV2の球面の傾斜角の平均値αよりも大きくなる。なお、傾斜角の平均値は、球面を含む曲面の上端と下端との中間の位置における曲面に接する面が上面42と交差する角度として定義する。
【0017】
発光素子10からの放出光はインコヒーレントであるから、分割された球面の領域の間で位相を揃える必要がない。もし、発光領域の発光中心20bを相似の中心とすると、半球レンズ90と相似である半球レンズを連続して配列できる。縮小された相似形の分割された球面による屈折方向は、半球レンズ90の球面による屈折方向と平行にできる。すなわち、発光中心20bを半球レンズの中心の位置よりも下方に設けると、放出光は発光中心20bから放射状には放出されず、屈折方向を光軸40に近づけ、配光角を制御することがより容易となる。なお、半球レンズの中心は、球レンズを中心を含む平面で2分割した場合に現れる円の中心と定義する。
【0018】
分割され縮小された球面は、例えば、それぞれの球面の上端を揃えて配置することができる、または下面を揃えて配列してもよい。もし、上端を揃えるものとすると、封止層39の硬化直後の上面42からのレーザ加工除去領域が最小となるのでレンズ面形成の生産性が高まる。
【0019】
図2に表す断面において、発光中心(相似の中心)20bと、成型体10の凹部10aの側壁(反射面)10cの上限部と、を結ぶ直線に沿って相似形の半球レンズ91、92、を移動できる。第1の実施形態では、垂直に分割された球面に対応した半球レンズの縮小された球面を合成して所望のレンズを形成する。しかしながら、光軸40に近い分割領域DV2の球面による屈折角は小さい。本図では、分割された球面レンズのうち、DV2の球面を縮小した半球レンズ92の一部を、上端が封止層39の硬化直後の上面42に接する位置に設けて、中心部30の上面30aとする。
【0020】
また、断面において、仮想光線L1が上面42と交差する点CR1を通る半球レンズ91の領域DV2の球面を縮小した半球レンズ92の球面を外側面34bとする。半球レンズ92から半球レンズ91への移行部となる内側面を34aとする。本図のように移行部(内側面)を仮想光線L1の軌跡と一致させると、光損失を低減できる。
【0021】
この結果、図1(b)のように、放出光のうち中心部30の面30aを出射した光G1は、光軸40上の光を除いて光軸40の側に屈折する。第1の凸部34の外側面34bを出射した光G2は、光軸40の側に屈折する。もし、外側面が曲面の場合、曲面の傾斜角をその平均値で定義する。例えば、第1の凸部34の外側面34bの傾斜角の平均値βは、領域DV1の曲面と対応する半球レンズ92の球面の接線が上面42と平行な面となす角度の平均値と定義する。また、中心部30の表面30aの傾斜角の平均値αは、表面30aの接線が上面42と平行な面となす角度の平均値と定義する。なお外側面34aおよび表面30aはその断面において直線であれば、傾斜角はそれぞれに一定となる。
【0022】
図2において、第1の凸部34の外側面34bの傾斜角の平均値αは、第2の凸部36の外側面36bの傾斜角の平均値βよりも小さい。第1の凸部34の球面中心は、発光中心20bよりも下方に位置するので、外側面34bへの入射角がゼロにはならず、光は光軸40の側に屈折する。すなわち、図1(b)のように、外側面34bにより屈折された光G2は、中心部30の曲面30aにより屈折された光G1よりも大きく光軸40側に向かって曲げられ、封止層39は、集光レンズとして作用する。
【0023】
成型体10の凹部10aの側壁10cが反射面として作用する場合、第1の凸部34の外側に周辺部38をさらに設けると、配光角の制御がより容易となる。発光素子20の側面方向へ向かって放出された光は、傾斜角θの側壁10cにより反射し、進行方向が変化する。反射光は、反射面(側壁10c)に関する発光中心20bの対称点Sを発光点と仮想することができる。
【0024】
側壁10cの上端と、発光中心20bと、の交差点を点Pとする。このとき、対称点Sを相似の中心とし、半球レンズ90を縮小した半球レンズ94の球面が断面において点Pを通るように周辺部38を設ける。側壁10cにより反射され、周辺部38の曲面38aを出射した光G4は、光軸40の側に屈折可能であり、配光角の制御をより容易にすることができる。この場合、中心部30と第1の凸部34との間に設けられられた第1の接続部32も、光取り出し面44を構成している。なお、レンズの曲面は、非球面であってもよい。また、それほど厳密な集光を期待しなくても良い場合、断面においてほぼ球面に相当する面の角度をもった直線となる曲面、またはその複数の曲面の組み合わせ(図2(b))でもある程度の効果は期待できる。本実施形態は、縮小した相似形の球面38aによる屈折方向が、半球レンズ90の球面による屈折方向と平行であることにより、配光角の制御が容易である。また、発光装置の薄型化が容易である。
【0025】
封止層の上方に、別工程で形成した半球レンズを設ける光装置は、製造工程が複雑となり、かつ自動化が容易ではない。すなわち、発光素子の接着、ワイヤボンディングを行ったのち、液状封止樹脂を充填し加熱などにより一次硬化を行う。続いて、上下を反転し、液状樹脂が入ったキャスティング型のケース型に挿入固定し、加熱などにより硬化する。ケース型から抜き取ったのち(離型)、二次硬化を行うとレンズタイプ表面実装(SMD:Surface Mounted Device)型発光装置が完成する。このように、位置決め、加熱装置への着脱、離型などの工程は、一貫自動化ラインには適さない。
【0026】
これに対して、本実施形態の発光装置は、位置決め、加熱装置への着脱、および離型などの工程を必要としない。自動化レーザ加工装置により、平坦な封止層の表面にレーザ光を走査しつつ照射する。レーザ光の照射時間は、例えば1秒以下とすることが容易であり、一貫自動化ラインに適している。この結果、量産性を高め価格低減が容易となる。
【0027】
なお、第1の接続部32の曲率半径RRは小さい方が光損失を低減できる。しかし、図1(c)に表すように、丸み断面を有する接続部であっても、丸み部の曲率半径RRが10〜300μmの範囲であれば、接続部を出射した光の多くは取り出し可能である。また、発明者らの実験によれば、曲率半径RRを300μmよりも大きくするとレンズ効果が弱くなることが判明した。すなわち、曲率半径RRは300μm以下としてよい。
【0028】
図3は、第1の実施形態にかかる発光装置の指向特性のグラフ図である。
半径方向は光度相対値、円周方向は光軸40からの角度、である。実線で表す第1の実施形態では、半値全角が60度と狭くでき、配光角が低減されている。これに対して、平坦表面を有する封止層(破線)では、半値全角が120度と2倍となっている。この結果、発光装置の光軸40上の光度は、平坦表面を有する発光装置の略3.5倍に高めることができる。
【0029】
レーザ加工では、急峻な接続部を形成することは困難であり、丸みを有する断面が形成される。図1は丸みの曲率半径RRを50μmとした発光装置であるが、図3のように配光角の制御は十分に可能であった。また、例えばエキシマレーザ光を用いると、波長が248nmと短いので、レーザ加工による丸みの曲率半径をより低減することが容易である。
【0030】
本実施形態の発光装置は、放出光を放射状に広げず、スイッチ照明やスポット照明のように光軸40の近傍において光度を高める用途に適している。発光素子20が、In(AlGa1−y1−xP(0≦x≦1,0≦y≦1)を含むものとすると、緑〜赤色の波長範囲の光を放出可能となる。また、発光素子20がInAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)含むものとすると、紫外〜青色光を放出可能となる。この場合、封止層39に蛍光体粒子を混合配置すると、白色光など混合光の配光角の制御が容易となる。
【0031】
図4(a)は第1の実施形態の変形例にかかる発光装置の模式平面図、図4(b)はA−A線に沿った模式断面図、図4(c)は光取り出し面を拡大した模式断面図、である。
発光装置は、成型体10、第1のリード12、第2のリード14、発光素子20、封止層39、およびボンディングワイヤ15、を有する。
【0032】
光取り出し面44は、光軸40を内部に含む中心部30と、中心部30を取り囲む第1の凸部34と、第1の凸部34を取り囲む第2の凸部36と、中心部30と第1の凸部34との間に設けられた第1の接続部32と、第1の凸部34と第2の凸部36との間に設けられた第2の接続部35と、を含む。第1の凸部34は、中心部30の側に設けられた内側面34aおよび第2の凸部36の側に設けられた外側面34bを含む。第2の凸部36は、第1の凸部34を取り囲み第1の凸部34の側に設けられた内側面36aおよび外側に向かった外側面36bを含む。第1の凸部34の外側面34bと第2の凸部36の内側面36aとの間に設けられた第2の接続部35は、例えば、上方に向かって凹となる曲面を含む。または、第2の接続部35は、第1の凸部34の側および第2の凸部36の側の少なくともいずれかに設けられた丸み部と、平坦な面と、を有してもよい。
【0033】
第2の凸部36の上端に平坦部36cを残すと、レーザ加工が容易となる。また、平坦部36cの両側に丸みを設けると、第2の凸部36を所望の形状とし、配光特性を安定に制御することができる。すなわち、第2の凸部36の上端に、10.6μm以上の丸み部を設けることが好ましく、その3倍以上の丸みとすることがより好ましい。
【0034】
中心部30の表面30aは、平面または曲面とする。図4では、中心部30の表面30aは、上に向かって凸となる曲面を含む。中心部30、第1の凸部34、および第2の凸部36、の上端が硬化後の封止層39の上面42内にあってもよいし、上面42より下方でも良い。
【0035】
また、第1の凸部34と第2の凸部36との間に設けられた第2の接続部35の丸み部の断面は、例えば10〜300μm程度の曲率半径RRを有するものとする。
【0036】
図5は、本実施形態の発光装置の光取り出し面の作用を説明する模式断面図である。
封止層39の上に、封止層39と同一材料からなる半球レンズ90があるものとする。半球レンズ90の片側につき、例えば、同心円状に垂直に7分割し、レンズ球面を発光中心20bに儲けって相似的に移動することを考える。すなわち、分割された半球レンズ(DV1〜DV7)のそれぞれの球面による屈折方向が、移動前と平行になるように曲面を移動する。なお、外側の分割領域の球面の傾斜角は大きいので、凸部の高さが大きくなる。このため、本変形例では、DV1とDV2の分割間隔を他の領域の半分とし、それぞれの高さを低減している。
【0037】
図4に表す断面において、発光中心(相似の中心)20bと、成型体10の凹部10aの側壁(反射面)10cの上端と、を結ぶ直線に沿って相似形の半球レンズ91、92、93を移動できる。本変形例では、垂直に分割された球面に対応した半球レンズの縮小された球面を合成して所望のレンズを形成する。しかしながら、光軸40に近い分割領域DV7の球面による屈折角は小さい。このため、本図では、分割された球面レンズのうち、DV3〜DV7までを一緒にした1つの球面を縮小した半球レンズ93の一部を、上端が封止層39の硬化直後の上面42に接する位置に設けて、中心部30の上面30aとする。
【0038】
また、断面において、仮想光線L1が上面42と交差する点CR1を通る半球レンズ92の領域DV2の球面を縮小した半球レンズ92の球面を34bとする。半球レンズ93から半球レンズ92への移行部となる内側面を34aとする。
【0039】
さらに、仮想光線L2が上面42と交差する点CR2を通る半球レンズ91の領域DV1の球面を縮小した球面を36bとする。半球レンズ92から半球レンズ91への移行部となる内側面を36aとする。この移行部を仮想光線L2の軌跡と一致させると、光の損失を低減できる。なお、半球レンズの分割数および分割間隔は、図4に限定されない。
【0040】
この結果、図4(b)のように、放出光のうち中心部30の面30aを出射した光G1は、光軸40の側に屈折する。第1の凸部34の外側面34bを出射した光G2は、光軸40の側に屈折する。第2の凸部36の外側面36bを出射した光G3は、光軸40の側に屈折する。第1の凸部34の外側面34bの傾斜角の平均値βは、領域DV2の曲面と対応する半球レンズ92の球面の接線が上面42と平行な面となす角度の平均値と定義する。また、第2の凸部36の外側面36bの傾斜角の平均値γは、領域DV1の曲面と対応する半球レンズ91の球面の接線が上面42と平行な面となす角度の平均値と定義する。
【0041】
第1の凸部34の外側面34bの傾斜角の平均値βは、第2の凸部36の外側面36bの傾斜角の平均値γよりも小さい。このため、図4(b)のように、第2の凸部36の外側面36bにより屈折された光G3は、第1の凸部34の外側面34bにより屈折された光G2よりも光軸40に向かって大きく曲げられ、封止層39は集光レンズとして作用する。
【0042】
成型体10の凹部10aの側壁10cが反射面として作用する場合、第2の凸部36の外側に周辺部38をさらに設けると、配光角の制御がより容易となる。発光素子20の側面方向へ向かって放出された光は、傾斜角θの側壁10cにより反射し、進行方向が変化する。反射光は、反射面(側壁10c)に関する発光中心20bの対称点Sを発光点と仮想することができる。
【0043】
側壁10cの上端と、発光中心20bと、の交差点を点Pとする。このとき対称点Sを相似の中心とし、半球レンズ90を縮小した半球レンズ94の球面が断面においてP点を通る位置に周辺部38を設ける。側壁10cにより反射され、周辺部38の曲面38aを出射した光G4は、光軸40の側に屈折可能であり、配光角の制御をより容易にすることができる。この場合、第2の凸部36と、周辺部38と、の間に設けられられた第3の接続部37も、光取り出し面44を構成している。
【0044】
なお、第1の接続部32、第2の接続部35、第3の接続部37、などの曲率半径RRは小さい方が光損失を低減できる。
【0045】
図6(a)は第2の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図6(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
第2の実施形態では、発光中心20bは、半球レンズ90の中心90aよりも上方に位置する。このため、第1の凸部34の外側面34bへの入射角がゼロとなることはなく、光G2は光軸40から離れる側に屈折される。また、中心部30の表面30aにより屈折された光G1は、光軸40から離れる方向に進む。さらに、第1の凸部34の外側面34bにより屈折された光G2は、中心部30の表面30aにより屈折された光G1よりも外側に向かって大きく曲がる。しかし、封止層39の上面42が平坦である場合よりも、光の広がりを低減することができる。
【0046】
図7(a)は第3の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図7(b)はB−B線に沿った模式断面図、である。
第3の実施形態は一つのパッケージに複数の発光素子を組み込んだり、発光素子の発光面積が広い場合の光装置に適する形態である。図7(a)、(b)では、移行部である内側面が光軸40と平行で、外側面を屈折面とする構造で、各レンズ領域の大きさを任意に選ぶことができる。すなわち、大面積の発光素子を使用する場合や、発光素子を複数個並べて使用する場合などに、実効光源サイズを広げることが容易となる。
【0047】
この場合、球面34bと36aとの間の第2の接続部35は、例えば、上に凹となる曲面を有している。接続部35の断面における曲率半径RRは、例えば10〜300μmなどとすることができる。第3の実施形態では、平坦な封止層39の上面を有する発光装置よりも、光取り出し効率を高めることができる。さらに光取り出し面44の形状を変化することにより、配光角を制御することができる。
【0048】
図8(a)は第3の実施形態の作用を説明する模式断面図、図8(b)はその変形例の構造を説明する模式断面図、である。
DV2〜DV7までに分割された半球レンズの球面を硬化直後の封止層39の上面42よりも下方に配置する。図8(a)では、分割されたそれぞれの球面の上端が同一平面上にあるように配置する。また、図8(b)では、分割領域DV4〜7に対応した球面を封止層39の硬化直後の上面42よりも下方となるように配置する。このように、分割された球面の位置を、封止層39内で上下に変えることにより、配光角の制御範囲をより広げることができる。逆に外側に行くほど、凸部の位置を下げて、内側の凸部から出た光が再びその外側の凸部に入って屈折するのを軽減する構造も考えられる。
【0049】
図9は、第3の実施形態の変形例にかかる発光装置の作用を説明する図である。
本図において、3つの発光素子20の上方に第1の実施形態で用いた光取り出し面44を設けるものとする。中央の発光素子20から放出された光線は、元々の半球レンズの光線位置と良く一致する。しかし、両側の発光素子20から最も多く放出される上方への光は、移行部とする内側面34aに当たり、破線で示す元々の半球レンズの球面への入射角とは異なる。このため、光源の面積が広い場合、元々の半球レンズちかい配光特性を実現するには、図4および図5に示したように移行部に当たる内側面が光軸方向と平行である方が、より好ましい。
【0050】
図10(a)は第4の実施形態にかかる発光装置の部分模式断面図、図10(b)は凹レンズの模式断面図、図10(c)は指向特性のグラフ図、である。
図7(a)において、封止層39の表面に凹レンズが設けられている。図10(b)のように、凹レンズ97はDV10〜DV16に分割され、その曲面が硬化直後の封止層39の上面42よりも下方に移動される。
【0051】
もし、内側面が曲面の場合、曲面の傾斜角をその平均値で定義する。例えば、第1の凸部34の内側面34aの傾斜角の平均値βは、内側面34aの接線が上面42となす角度の平均値と定義する。また、中心部30の表面30aの傾斜角の平均値αは、接線が上面42となす角度の平均値と定義する。第1の凸部34の内側面34aの傾斜角の平均値βは、中心部30の表面30aの傾斜角の平均値αよりも大きい。このため、第1の凸部34の内側面34aにより屈折された光G2は、中心部30の表面30aにより屈折された光G1よりも光軸40から離れる側に大きく曲げられ、封止層39は発散レンズとして作用する。なお、分割された凹レンズの領域を相似形に縮小した曲面とすると、配光角の制御がより容易となる。
【0052】
図10(c)のように、上面が平坦な封止層を有する発光装置の半値全角(破線)は120度である。他方、実線で表す第4の実施形態の半値全角は135度となり、配光角を広げ、広い範囲に光を放出可能である。
【0053】
図11(a)は第5の実施形態にかかる発光装置のレンズの模式断面図、図11(b)は分割前の組み合わせレンズの模式断面図、図11(c)は指向特性のグラフ図、である。
第5の実施形態に用いる分割前のレンズは、図11(b)のように、中心部30で凹レンズ、周辺部で凸レンズ、として作用可能な組み合わせレンズ98とする。例えば、中央部30の凹部30aから出射した光、第1の凸部34の内側面34aから出射した光、第2の凸部36の内側面36aから出射した光、は、それぞれ光軸40から離れるように外側に屈折する。このような組み合わせレンズを用いると、光軸40の近傍の領域において光が広げられ、光軸40から離れた領域により光が集光される。この結果、例えば、光軸40から30度以内の角度範囲において、光軸40上の光度の90%以上の光度を保つことができる。また、光取り出し面44が、矩形または楕円形の場合、楕円レンズの曲面を分割して曲面を合成するとよい。
【0054】
図12(a)は第6の実施形態にかかる受光装置のレンズの模式断面図、図12(b)は受光装置の模式断面図、である。
受光装置は、成型体10、第1のリード12、第2のリード14、受光素子20、および封止層39、を有する。
【0055】
成型体10には、凹部10aが設けられている。凹部10aの底面10bには第1のリード12の一方の端部、第2のリード14の一方の端部がそれぞれ露出している。フォトダイオード、フォトトランジスタ、および受光ICなどの受光素子20は、第1のリード12の上に導電性接着剤や金属半田材などで接着されている。凹部10a内には、受光素子20を覆うようにシリコーン樹脂などからなる封止層39が設けられる。
【0056】
封止層39の表面に、図12(b)の断面を有する入射面45をレーザ加工により形成する。この場合、第1の凸部34の外側面34bの傾斜角の平均値βが、中心部30の表面30aの傾斜角の平均値αよりも大きい。このため、外側面34bへ入射した入射光R2は、中心部30の表面30aへ入射した入射光R1よりも光軸40の側に大きく曲げられ、受光素子20の受光感度を高めることが容易となる。
【0057】
図13(a)は第7の実施形態にかかる発光装置の模式平面図、図13(b)はC−C線に沿った模式断面図、である。
発光装置は、第1のリード12、第2のリード14、発光素子20、および成型された樹脂からなる封止層39を有する。発光素子20は、第1のリード12の上に導電性接着剤や金属半田材などで接着されている。封止層39は、シリコーン樹脂などを用い、トランスファーモールド法などにより形成できる。中心部30により屈折した光G1、第1の凸部34により屈折した光G2、第2の凸部36により屈折した光G3、は、光軸40の側に屈折し、配光角が制御可能である。封止層39の表面には光取り出し面44が設けられており、配光角の制御が容易である。
【0058】
本明細書に記載した曲面を具体的に実現する方法として、ある曲率半径を有する球面や、複数の異なる曲率半径を有する球面の組み合わせ、非球面の曲面が考えられる。また、図2(b)に示すように、平面を組み合わせた複合平面でも実効的に同等な効果を得ることができる。
【0059】
以上、第1〜第7の実施形態にかかる光装置およびそれらに付随した変形例は、発光素子からの放出光の配光角、または受光素子への入射光の入射角の制御が容易である。これらの光装置は薄型化が容易である。さらに、一貫した自動組立ラインとすることができ、発光装置および受光装置の価格低減が可能となる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10成型体、12 第1のリード、20 光素子(発光素子、受光素子)、20a 発光中心、30 中心部、32 第1の接続部、34 第1の凸部、34a 内側面、34b 外側面、35 第2の接続部、36 第2の凸部、36a 内側面、36b 外側面、38 周辺部、39 封止層、40 光軸、42 (硬化直後の封止層の)上面、44 光取り出し面、45 入射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードと、
前記リードの上に設けられ、放出光を放出可能な発光素子と、
前記発光素子を覆うように設けられ、前記放出光の光取り出し面を有する封止層であって、前記光取り出し面は、前記放出光の光軸を含む中心部と、前記中心部を取り囲む内側面と外側に向かう外側面とを含む凸部と、前記内側面よりも下方でありかつ前記内側面と前記中心部との間に設けられた接続部と、を有する封止層と、
を備え、
前記接続部は、前記内側面の側および前記中心部の側の少なくともいずれかに丸み部を有し、
前記凸部の前記外側面は、前記中心部の表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折するか、または、
前記凸部の前記内側面は、前記中心部の前記表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折することを特徴とする光装置。
【請求項2】
前記接続部の丸み部の曲率半径は、10μm以上、300μm以下、であることを特徴とする請求項1記載の光装置。
【請求項3】
前記凸部の前記外側面は、上方に向かって凸となる曲面を含みかつ前記放出光を前記光軸の側に屈折することを特徴とする請求項1または2に記載の光装置。
【請求項4】
前記凸部の前記内側面は、上方に向かって凹となる曲面を含みかつ前記放出光を前記光軸と離れる側に屈折することを特徴とする請求項1または2に記載の光装置。
【請求項5】
リードと、
前記リードの上に設けられ、放出光を放出可能な発光素子と、
底面および側壁を有する凹部が設けられた成型体であって、前記底面には前記発光素子が露出した成型体と、
前記発光素子を覆うように前記凹部内に設けられ、前記放出光の光取り出し面を有する封止層であって、前記光取り出し面は、前記放出光の光軸を含む中心部と、前記中心部を取り囲む内側面と外側に向かう外側面とを含む第1の凸部と、前記内側面よりも下方でありかつ前記内側面と前記中心部との間に設けられた接続部と、前記凸部の外側でありかつ前記凸部の上端よりも下方に設けられた上端を有し、前記放出光のうち側方に向かい前記側壁で反射された光を上方に向かって屈折可能な周辺部と、を有する封止層と、
を備え、
前記接続部は、前記内側面の側および前記中心部の側の少なくともいずれかに丸み部を有し、
前記凸部の前記外側面は、前記中心部の表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折するか、または、
前記凸部の前記内側面は、前記中心部の前記表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記放出光を屈折することを特徴とする光装置。
【請求項6】
リードと、
前記リードの上に設けられた受光素子と、
前記受光素子を覆うように設けられ、前記受光素子への入射光の入射面を有する封止層であって、前記入射面は、前記入射光の光軸を含む中心部と、前記中心部を取り囲み前記中心部の側に設けられた内側面と外側に向かう外側面とを含む凸部と、前記内側面よりも下方かつ前記内側面と前記中心部との間に設けられた接続部と、を有する封止層と、
を備え、
前記接続部は、前記内側面の側および前記中心部の側の少なくともいずれかに丸み部を有し、
前記凸部の外側面は、前記中心部の表面の傾斜角の平均値よりも大きい傾斜角の平均値を有しかつ前記入射光を前記光軸の側に屈折することを特徴とする光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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