説明

光計測システム

【課題】 大きさとチャンネル数とを自由に設定することができる光計測システムを提供する。
【解決手段】 受光プローブ13が放出される光を受光するように制御することで、脳活動に関する測定データを得る制御部24とを備える光計測システム1であって、副筐体41の内部には、光を出射する発光部2と、光を検出する光検出部3と、発光部2と光検出部3とを制御する副制御部45とを備えるとともに、副筐体41の外部には、少なくとも1個の送光プローブ12と、少なくとも1個の受光プローブ13とを備える少なくとも2個の送受ユニット40と、主筐体21の内部には、主制御部24を備える主ユニット20とを備え、送受ユニット40は、主ユニット20と通信可能なように取り付け取り外しができ、主制御部24は、取り付けられた送受ユニット40の副制御部45を制御することで、測定データを得るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて非侵襲で生体内部情報(測定データ)を測定する光計測システムに関し、さらに詳細には、生体に光を照射するための送光点、生体から出射する光を受光するための受光点をそれぞれ複数個有し、1つの送光点と1つの受光点との組ごとに定まる複数のチャンネル(感度領域)についての生体内部情報を測定するマルチチャンネル方式の光計測システムに関する。
本発明は、例えば、脳内各部の血流の経時変化や、生体内部の酸素供給の変化を測定することで、脳機能計測や循環器系障害診断を行う医用機器等に適用される。
【背景技術】
【0002】
近年、脳の活動状況を観察するために、光を用いて簡便に非侵襲で測定する光脳機能イメージング装置(光計測システム)が開発されている。このような光脳機能イメージング装置では、被検者の頭部表面上に配置した送光プローブにより、異なる3種類の波長λ、λ、λ(例えば、780nmと805nmと830nm)の近赤外光を脳に照射するとともに、頭部表面上に配置した受光プローブにより、脳から放出された各波長λ、λ、λの近赤外光の強度(受光量情報)A(λ)、A(λ)、A(λ)をそれぞれ検出する。
そして、このようにして得られた受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)から、脳血流中のオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]と、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]とを求めるために、例えば、Modified Beer Lambert則を用いて関係式(1)(2)(3)に示す連立方程式を作成して、この連立方程式を解いている(例えば、非特許文献1参照)。さらには、オキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]と、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]とから総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])を算出している。
A(λ)=E(λ)×[oxyHb]+E(λ)×[deoxyHb]・・・(1)
A(λ)=E(λ)×[oxyHb]+E(λ)×[deoxyHb]・・・(2)
A(λ)=E(λ)×[oxyHb]+E(λ)×[deoxyHb]・・・(3)
なお、E(λm)は、波長λmの光におけるオキシヘモグロビンの吸光度係数であり、E(λm)は、波長λmの光におけるデオキシヘモグロビンの吸光度係数である。
【0003】
ここで、送光プローブと受光プローブとの間の距離(チャンネル)と、測定部位との関係について説明する。図10(a)は、一対の送光プローブ及び受光プローブと、測定部位との関係を示す断面図であり、図10(b)は、図10(a)の平面図である。
送光プローブ12が被検者の頭部表面の送光点Tに押し当てられるとともに、受光プローブ13が被検者の頭部表面の受光点Rに押し当てられる。そして、送光プローブ12から光を照射させるとともに、受光プローブ13に頭部表面から放出される光を入射させる。このとき、光は、頭部表面の送光点Tから照射された光のうちで、バナナ形状(測定領域)を通過した光が、頭部表面の受光点Rに到達する。これにより、測定領域の中でも、特に送光点Tと受光点Rとを被検者の頭部表面に沿って最短距離で結んだ線Lの中点Mから、送光点Tと受光点Rとを被検者の頭部表面に沿って最短距離で結んだ線の距離の半分の深さL/2である被検者の測定部位Sに関する受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)が得られるとしている。
【0004】
また、光脳機能イメージング装置では、脳の複数箇所の測定部位に関するオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]及び総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])をそれぞれ測定するために、例えば、近赤外分光分析計等が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
図11は、従来の近赤外分光分析計の概略構成の一例を示すブロック図である。また、図12は、図11に示す近赤外分光分析計の外観の一例を示す斜視図である。なお、見やすくするために、数本の送光用光ファイバや数本の受光用光ファイバ等を省略している。
近赤外分光分析計101は、直方体形状の主筐体121を有する。
筐体121の内部には、光を出射する光源ドライバ(発光部)2と、光を検出する光検出器3と、検出器電源4と、A/D5と、送受光用制御部122と、オペレータ用制御部124と、メモリ25とを備えるとともに、筐体121の外部には、8個の送光プローブ12と、8個の受光プローブ13と、8本の送光用光ファイバ14と、8本の受光用光ファイバ15と、モニタ画面26a等を有する表示装置26と、キーボード(入力装置)27とを備える。
【0005】
光源ドライバ2は、送受光用制御部122から入力された駆動信号により各送光プローブ12に光をそれぞれ送光する光源であり、例えば、異なる3種類の波長λ、λ、λの近赤外光を出射することができる半導体レーザLD1、LD2、LD3等である。
光検出器3は、各受光プローブ13で受光した近赤外光をそれぞれ検出することにより、8個の受光信号(受光量情報)A(λ)、A(λ)、A(λ)をA/D5を介して送受光用制御部122に出力する検出器であり、例えば、光電子増倍管等である。
【0006】
送光用光ファイバ14と受光用光ファイバ15とは、直径2mm、長さ2m〜10mの管状であり、近赤外光を軸方向に伝達することができ、一端部から入射した近赤外光が、内部を通過して他端部から出射したり、他端部から入射した近赤外光が、内部を通過して一端部から出射したりするようになっている。
1本の送光用光ファイバ14は、1個の送光用プローブ12と、光源ドライバ2の1個の半導体レーザとを設定長さ(2m〜10m)で離れるように両端部に接続している。
1本の受光用光ファイバ15は、1個の受光用プローブ13と、光検出器3の1個の光電子増倍管とを設定長さ(2m〜10m)で離れるように両端部に接続している。
【0007】
このような近赤外分光分析計101においては、8個の送光プローブ12と8個の受光プローブ13とを所定の配列で被検者の頭部表面に接触させるために、ホルダ11が使用される。ホルダ11には貫通孔が複数個設けられ、送光プローブ12と受光プローブ13とがそれらの貫通孔に挿入されることによって、送光プローブ12と受光プローブ13とのプローブ間隔が一定となり、頭部表面から特定の深度となる受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)を得ている。なお、プローブ間隔は、チャンネルと呼ばれ、一般的にチャンネルを30mmとしたものが用いられ、チャンネルが30mmである場合には、チャンネルの中点からの深度15mm〜20mmの受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)が得られると考えられている。すなわち、頭部表面から深度15mm〜20mmの位置は脳表部位にほぼ対応し、脳活動に関係した受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)を得ている。
【0008】
図5は、8個の送光プローブと8個の受光プローブとが挿入されるホルダの一例を示す平面図である。送光プローブ12T1〜12T8と受光プローブ13R1〜13R8とは、縦方向に4個と横方向に4個とに交互となるように配置されることになる。なお、ホルダ11のどの貫通孔に、どの送光プローブ12T1〜12T8又は受光プローブ13R1〜13R8が挿入されたかが認識されるように、各貫通孔には、異なる番号(T1、T2、・・・、R1、R2、・・・)がそれぞれ振り当てられているとともに、各送光プローブ12T1〜12T8にも、異なる番号(T1、T2、・・・)がそれぞれ振り当てられ、各受光プローブ13R1〜13R8にも、異なる番号(R1、R2、・・・)がそれぞれ振り当てられている。これにより、各送光プローブ12T1〜12T8と各受光プローブ13R1〜13R8とは、対応する番号の各貫通孔にそれぞれ挿入されることになる。
【0009】
このような8個の送光プローブ12T1〜12T8と8個の受光プローブ13R1〜13R8との位置関係では、1個の受光プローブ13で、複数個の送光プローブ12から照射された光を同時に受光しないで、1個の送光プローブ12から照射された光のみを受光するように、送光プローブ12から光を照射するタイミングと、受光プローブ13で光を受光するタイミングとを調整する必要がある。このため、メモリ25には、光源ドライバ2で光を出射するタイミングと光検出器3で光を検出するタイミングとを示すメインテーブルが記憶されている。
図13は、メインテーブルの一例を説明するための図である。
このようなメインテーブルがメモリ25に記憶された送受光用制御部122は、時間t1に、1個の送光プローブ12T1に光を送光する駆動信号を光源ドライバ2に出力するとともに、2個の受光プローブ13R1、13R3で受光された2個の受光信号(受光量情報)を光検出器3で検出する。次に、送受光用制御部122は、時間t2に、1個の送光プローブ12T2に光を送光する駆動信号を光源ドライバ2に出力するとともに、3個の受光プローブ13R1、13R2、13R4で受光された3個の受光信号を光検出器3で検出する。このように、送受光用制御部122は、メインテーブルに基づいて、順番に1個ずつ送光プローブ12に光を送光させるとともに、受光信号を検出していく。なお、時間t9には、ベースラインを調整するために、全部の送光プローブ12に光を送光しないで、8個の受光プローブ13R1〜13R8で受光された8個の受光信号Aを光検出器3で検出している。
【0010】
また、光源ドライバ2の半導体レーザLD1、LD2、LD3は、異なる3種類の波長λ、λ、λの近赤外光を照射するとともに、光検出器3の光電子増倍管は、波長λ、λ、λの近赤外光をそれぞれ検出するように、送光プローブ12から光を照射するタイミングと、受光プローブ13で光を受光するタイミングとを調整する必要もある。このため、メモリ25には、光源ドライバ2で光を出射するタイミングと光検出器3で光を検出するタイミングとを示すサブテーブルも記憶されている。
図14は、サブテーブルの一例を説明するための図である。
このようなサブテーブルがメモリ25に記憶された送受光用制御部122は、時間を示すクロック信号(Base Clock)と測定開始時間を示すスタート信号(Start)とに基づいて、時間t1−1に、1個の送光プローブ12T1に波長λの光を送光する駆動信号を光源ドライバ2のLD1に出力するとともに、2個の受光プローブ13R1、13R3で受光された2個の受光信号(受光量情報)A(λ)を光検出器3の光電子増倍管で検出する。その後、送受光用制御部122は、光検出器3の光電子増倍管からA/D5を介して受光量情報A(λ)を受信して、光検出器3の光電子増倍管にリセット信号(Reset)を出力する。
次に、送受光用制御部122は、時間t1−2に、1個の送光プローブ12T1に波長λの光を送光する駆動信号を光源ドライバ2のLD2に出力するとともに、2個の受光プローブ13R1、13R3で受光された2個の受光信号A(λ)を光検出器3の光電子増倍管で検出する。その後、送受光用制御部122は、光検出器3の光電子増倍管からA/D5を介して受光量情報A(λ)を受信して、光検出器3の光電子増倍管にリセット信号を出力する。
このように、送受光用制御部122は、クロック信号とスタート信号とサブテーブルとに基づいて、1個の送光プローブ12に3種類の波長λ、λ、λの光を送光させるとともに、受光信号A(λ)、A(λ)、A(λ)を受信していく。
【0011】
その結果、図5に示すように平面視すると、合計24個(S1〜S24)の受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)の収集が行われる。
そして、オペレータ用制御部124は、合計24個の受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)に基づいて、関係式(1)(2)(3)を用いて、各波長(オキシヘモグロビンの吸収波長及びデオキシヘモグロビンの吸収波長)の通過光強度から、オキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]及び総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])を求めることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−337033号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Factors affecting the accuracy of near-infrared spectroscopy concentration calculations for focal changes in oxygenation parameters, NeuroImage 18, 865-879, 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、脳賦活状態や酸素化状態の測定を行う場合、脳全体を測定したいときや、脳の一部を測定したいときがある。例えば、図5に示す位置関係でなく、図9に示す位置関係に変更したいことがある。図9は、16個の送光プローブ12T1〜12T16と16個の受光プローブ13R1〜13R16とが挿入されるホルダ11’の一例を示す平面図である。送光プローブ12T1〜12T16と受光プローブ13R1〜13R16とは、縦方向に4個と横方向に8個とに交互となるように配置されることになる。
しかしながら、図9に示す位置関係で測定を行うには、図5に示す位置関係で測定を行う近赤外分光分析計101ではなく、新たな別の1台の近赤外分光分析計を準備する必要があるため、2台の近赤外分光分析計を所有することとなり、非常にコストがかかった。
【0015】
そこで、2台の近赤外分光分析計を所有することがないように、1台の近赤外分光分析計に、送光プローブ12の数と受光プローブ13の数とを増やすことを可能としたものが考えられる。このように送光プローブ12の数と受光プローブ13の数とを増やすことを可能とするためには、近赤外分光分析計101に、送光プローブ12と光源ドライバ2とを接続するための取り付け可能位置や、受光プローブ13と光検出器3とを接続するための取り付け可能位置や、光源ドライバ2から新たな送光プローブ12に光を送光するための半導体レーザLD1、LD2、LD3や、光検出器3で新たな受光プローブ13から光を検出するための光電子増倍管等を予め設けておく必要がある。
しかしながら、増設可能なチャンネル数が多くなるように設けておくと、近赤外分光分析計101の筐体121の大型化につながるという問題がある。一方、近赤外分光分析計101の筐体121を小型化するために、増設可能なチャンネル数を少なくなるように設けておくと、所望のチャンネル数に増やすことができなくなるという問題がある。
そこで、本発明は、大きさとチャンネル数とを自由に設定することができる光計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明の光計測システムは、被検者に光を照射する複数個の送光プローブと、前記被検者から放出される光を受光する複数個の受光プローブと、送光プローブと受光プローブとが取り付けられて、前記被検者に装着されるホルダと、前記送光プローブが光を照射するとともに、前記受光プローブが放出される光を受光するように制御することで、脳活動に関する測定データを得る制御部とを備える光計測システムであって、副筐体を有し、当該副筐体の内部には、光を出射する発光部と、光を検出する光検出部と、発光部と光検出部とを制御する副制御部とを備えるとともに、前記副筐体の外部には、少なくとも1個の送光プローブと、少なくとも1個の受光プローブと、送光プローブと発光部とを接続する少なくとも1本の送光用光ファイバと、受光プローブと光検出部とを接続する少なくとも1本の受光用光ファイバとを備える少なくとも2個の送受ユニットと、主筐体を有し、当該主筐体の内部には、主制御部を備えるとともに、前記主筐体の外部には、入力装置と表示装置とを備える主ユニットとを備え、前記送受ユニットは、前記主ユニットと通信可能なように取り付け取り外しができ、前記主制御部は、取り付けられた送受ユニットの副制御部を制御することで、前記測定データを得るようにしている。
【0017】
本発明の光計測システムによれば、主ユニットと、少なくとも2個の送受ユニットとを備える。主ユニットは、主制御部を備えるが、発光部や光検出部を備えない。よって、主ユニットの主筐体の大きさは、小さくすることができる。
一方、各送受ユニットは、発光部と光検出部と副制御部と少なくとも1個の送光プローブと少なくとも1個の受光プローブと少なくとも1本の送光用光ファイバと少なくとも1本の受光用光ファイバとを備える。そして、送受ユニットは、主ユニットと通信可能なように取り付け取り外しができる。これにより、チャンネル数を増やすときには、送受ユニットの数を増やし、一方、チャンネル数を減らすときには、送受ユニットの数を減らすことになる。つまり、送受ユニットの大きさは、チャンネル数に対応させることができるようになっている。
また、主制御部は、取り付けられた送受ユニットの副制御部を制御する。つまり、複数の送受ユニットにおける送光制御と受光制御とのタイミングを調整する。これにより、各送受ユニットがお互いに独立していても、一の送受ユニットと他の送受ユニットとの間で得られる測定データを得ることもできる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の光計測システムによれば、大きさとチャンネル数とを自由に設定することができる。
【0019】
(その他の課題を解決するための手段および効果)
また、本発明の光計測システムにおいては、前記主ユニットの主制御部は、測定を行う前に、入力装置からの入力信号に基づいて、取り付けられた送受ユニットにおける発光部で光を出射するタイミングと光検出部で光を検出するタイミングとを示すテーブルを作成して、各送受ユニットの副制御部は、前記主ユニットの主制御部から、時間を示すクロック信号と、前記テーブルとを受信して、前記主ユニットの主制御部は、測定を行う際には、入力装置からの入力信号に基づいて、測定開始時間を示すスタート信号を作成して、各送受ユニットの副制御部は、前記主ユニットの主制御部から、スタート信号を受信して、スタート信号とクロック信号とテーブルとに基づいて、発光部で光を出射するとともに光検出部で光を検出するようにしてもよい。
本発明の光計測システムによれば、各送受ユニットがお互いに独立していても、クロック信号やスタート信号を主ユニットから受信するので、送光制御と受光制御とのタイミングを正確に調整することができる。
【0020】
さらに、本発明の光計測システムにおいては、前記ホルダは、一の字形状の複数のホルダ部品からなり、前記ホルダ部品は、両端に送光プローブ又は受光プローブを保持するソケット部と、当該ソケット部を一定の間隔で連結する連結部とを有し、前記ホルダ部品は、前記被検者の頭部表面の当接面内でソケット部を回転軸として他のホルダ部品と回動可能とされるとともに、前記頭部表面の法線方向で連結部により可撓性を有するようにしてもよい。
本発明の光計測システムによれば、任意の数の送光プローブ又は受光プローブを固定することができるホルダを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である光計測システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す送受ユニットの概略構成を示す詳細ブロック図である。
【図3】図1に示す主ユニットの概略構成を示す詳細ブロック図である。
【図4】光計測システムの外観の一例を示す斜視図である。
【図5】8個の送光プローブと8個の受光プローブとが挿入されるホルダの一例を示す平面図である。
【図6】送光プローブとナット部品と2個の接続部品とソケット部品とを示す分解斜視図である。
【図7】組み立てた後の送光プローブとナット部品と2個の接続部品とソケット部品とを示す図である。
【図8】光計測システムの外観の他の一例を示す斜視図である。
【図9】16個の送光プローブと16個の受光プローブとが挿入されるホルダの一例を示す平面図である。
【図10】メインテーブルの一例を説明するための図である。
【図11】サブテーブルの一例を説明するための図である。
【図12】一対の送光プローブ及び受光プローブと、測定部位との関係を示す図である。
【図13】従来の近赤外分光分析計の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図14】図13に示す近赤外分光分析計の外観の一例を示す斜視図である。
【図15】メインテーブルの他の一例を説明するための図である。
【図16】サブテーブルの他の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態である光計測システムの概略構成を示すブロック図である。なお、図2は、図1に示す送受ユニットの概略構成を示す詳細ブロック図であり、図3は、図1に示す主ユニットの概略構成を示す詳細ブロック図である。
また、図4は、光計測システムの外観の一例を示す斜視図であり、図5は、8個の送光プローブと8個の受光プローブとが挿入されるホルダの一例を示す平面図である。
一方、図8は、光計測システムの外観の他の一例を示す斜視図であり、図9は、16個の送光プローブと16個の受光プローブとが挿入されるホルダの一例を示す平面図である。
光計測システム1は、1個の主ユニット20と、複数個の送受ユニット40a〜40pと、1個のホルダ11とを備える。
【0024】
主ユニット20は、直方体形状の主筐体21を有し、主筐体21の内部には、主制御部24を備えるとともに、主筐体21の外部には、モニタ画面26a等を有する表示装置26と、キーボード(入力装置)27とを備える。
送受ユニット40は、直方体形状の副筐体41を有し、副筐体41の内部には、光を出射する光源ドライバ(発光部)2と、光を検出する光検出器3と、検出器電源4と、A/D5と、副制御部45と、メモリ46とを備えるともに、副筐体41の外部には、1個の送光プローブ12と、1個の受光プローブ13と、1本の送光用光ファイバ14と、1本の受光用光ファイバ15と、1本のイーサネット(登録商標)ケーブル43とを備える。
ホルダ11は、送光プローブ12と受光プローブ13とを所定の配列で被検者の頭部表面に接触させるためのものである。
【0025】
まず、ホルダ11を構成する部品について説明する。図6は、送光プローブ12とナット部品32と2個の接続部品31とソケット部品33とを示す分解斜視図である。図7は、組み立てた後の送光プローブ12とナット部品32と2個の接続部品31とソケット部品33とを示す図である。
ホルダ11は、送光プローブ12や受光プローブ13を固定する複数個のソケット部品33と、複数個の接続部品31と、複数個のナット部品32とを備える。
【0026】
接続部品31は、一の字形状の板状体である。そして、接続部品31は、両端に円環形状の挿入部31aと、両端の挿入部31aをチャンネル長さXで連結する連結部31bとを有する。各挿入部31aの中央には、ソケット部品33が挿入されるための円形状の貫通孔がそれぞれ開けられている。また、連結部31bは、幅10mm、厚さ0.1mmであり、かつ、貫通孔の中心と貫通孔の中心との間の距離がチャンネル長さ30mmとなるように形成されており、厚さ方向にだけ可撓性を有する。つまり、両端の挿入部31aは、常にチャンネル長さXで保持されるようになっている。
【0027】
ソケット部品33は、円筒形状の本体部33aと、円環形状の顎部33bと、円環形状の底部33cとを有し、その内側に送光プローブ12や受光プローブ13を挿入可能とするとともに、本体部33aの外周面にナット部品32が螺合されるネジが形成されている。
ナット部品32は、円形状の貫通孔を有する円環形状であり、その内周面にソケット部品33の本体部33aに螺合されるメスネジが形成されている。なお、貫通孔の大きさは、上方から見ると、ソケット部品33の本体部33aの大きさよりも大きく、ソケット部品33の顎部33bよりも小さくなっている。
これにより、ナット部品32の内側にソケット部品33の本体部33aをネジ機構を用いて挿入することにより、ソケット部品33の顎部33bとナット部品32との間に接続部品31の挿入部31aを挟み込んで固定することができる。このとき、1個の接続部品31を固定するときには、ソケット部品33の顎部33bとナット部品32との間に1個の接続部品31の挿入部31aを挟み込むことになる。一方、4個の接続部品31を固定するときには、ソケット部品33の顎部33bとナット部品32との間に4個の接続部品31の挿入部31aを挟み込むことになる。すなわち、任意の数の接続部品31を固定することができるようになっている。
【0028】
そして、例えば、16個のソケット部品33と24個の接続部品31と16個のナット部品32とを用いて、図5に示すホルダ11を作製する。このようなホルダ11によれば、頭部表面に密着するように装着するために、図7(a)に示すように一の接続部品31と他の接続部品31とは、上方から見てソケット部品33を軸として所望角度を形成するように固定するとともに、図7(b)に示すように接続部品31の連結部31bは可撓性を有するので、頭部表面と一致するような曲率を有する面となるように変形することができる。このとき、変形が加えられた状態で、一の接続部品31と他の接続部品31との間の角度で形成される角度が固定されると、その曲率が保持される結果となる。
その後、各送光プローブ12T1〜12T8と各受光プローブ13R1〜13R8とは、対応する番号のソケット部品33の内側にそれぞれ挿入されることになる。
なお、脳の一部を測定したいときには、例えば、図5に示すように16個のソケット部品33と24個の接続部品31と16個のナット部品32とを用いて、ホルダ11を作製することになり、一方、脳全体を測定したいときには、例えば、図9に示すように32個のソケット部品33と48個の接続部品31と32個のナット部品32とを用いて、ホルダ11’を作製することになる。すなわち、このようなホルダ11によれば、任意の数の送光プローブ12又は受光プローブ13を固定することができるホルダ11、11’を作製することができるようになっている。
【0029】
次に、送受ユニット40aについて説明する。
送受ユニット40aは、直方体形状の副筐体41を有する。
副筐体41の内部には、光源ドライバ2と、光検出器3と、検出器電源4と、A/D5と、副制御部45と、メモリ46とを備えるとともに、副筐体41の外部には、1個の送光プローブ12と、1個の受光プローブ13と、1本の送光用光ファイバ14と、1本の受光用光ファイバ15と、1本のイーサネット(登録商標)ケーブル43aとを備える。
【0030】
1本の送光用光ファイバ14は、1個の送光プローブ12と、光源ドライバ2の半導体レーザLD1、LD2、LD3とを設定長さ(2m〜10m)で離れるように両端部に接続している。
1本の受光用光ファイバ15は、1個の受光プローブ13と、光検出器3の光電子増倍管とを設定長さ(2m〜10m)で離れるように両端部に接続している。
送光プローブ12は、ソケット部品33と固定するために上端部が少し大きくなった細長い円柱形状をしている。そして、送光プローブ12の上端部は、送光用光ファイバ14を介して光源ドライバ2と接続され、下端部から光を照射するようになっている。
受光プローブ13も、送光プローブ12と同様な上端部が少し大きくなった細長い円柱形状をしている。そして、受光プローブ13の上端部は、受光用光ファイバ15を介して光検出器3と接続され、その下端部で光を受光するようになっている。
【0031】
イーサネット(登録商標)ケーブル43aは、直径2mm、長さ2m〜10mの管状であり、一端部が副筐体41の内部の副制御部45と接続されるとともに、他端部が主ユニット20の主制御部24と接続されるように送受ユニット側コネクタ部42が設けられている。これにより、送受ユニット側コネクタ部42を、主ユニット20の主ユニット側コネクタ部23と接続することで、副筐体41の副制御部42と主ユニット20の主制御部24との間で、受光信号やクロック信号等を伝達することができるようになっている。
なお、このような主ユニット側コネクタ部23は、複数個形成されており、どの主ユニット側コネクタ部23に、どの送受ユニット40のイーサネット(登録商標)ケーブル43の送受ユニット側コネクタ部42が挿入されたかが認識されるように、各主ユニット側コネクタ部23には、異なる番号(モジュール1、モジュール2、・・・、モジュール4)がそれぞれ振り当てられている。
【0032】
また、副制御部45が処理する機能をブロック化して説明すると、光源ドライバ2に駆動信号を出力する発光制御部45aと、光検出器3からの受光信号を受けることにより受光信号(受光量情報)A(λ)、A(λ)、A(λ)をメモリ46に記憶させる光検出制御部45bと、主ユニット20の主制御部24と通信を行う通信制御部45cとを有する。
通信制御部45cは、イーサネット(登録商標)ケーブル43aを介して主ユニット20の制御部24と通信を行う制御を行う。
例えば、通信制御部45cは、測定を行う前に、主ユニット20の主制御部24と通信することにより、主制御部24からクロック信号(Base Clock)とメインテーブルとサブテーブルとを受信する。
また、通信制御部45cは、測定を行う際や測定を行っている際に、主ユニット20の主制御部24と通信することにより、主制御部24からスタート信号(Start)を受信して、その後、主制御部24に受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)を送信する。
このように主制御部24からクロック信号やスタート信号を受信するので、他の送受ユニット40と独立していても、正確なタイミングで様々な処理を実行することができるようになっている。
【0033】
発光制御部45aは、主制御部24からスタート信号を受信すると、メモリ46に記憶されたクロック信号とメインテーブルとサブテーブルとに基づいて、送光プローブ12に光を送光する駆動信号を光源ドライバ2に出力する制御を行う。
例えば、図10に示すメインテーブルでは、モジュール1の送受ユニット40aの発光制御部45aは、時間t1に、送光プローブ12T1に光を送光する駆動信号を光源ドライバ2に出力する。また、モジュール2の送受ユニット40bの発光制御部45aは、時間t1に、送光プローブ12T2に光を送光する駆動信号を光源ドライバ2に出力しない。
また、モジュール1の送受ユニット40aの発光制御部45aは、時間t2に、1個の送光プローブ12T1に光を送光する駆動信号を光源ドライバ2に出力しない。また、モジュール2の送受ユニット40bの発光制御部45aは、時間t2に、1個の送光プローブ12T1に光を送光する駆動信号を光源ドライバ2に出力する。
このように、各送受ユニット40a〜40hの発光制御部35aは、お互いに独立しているが、スタート信号とクロック信号とメインテーブルとサブテーブルとに基づいて、駆動信号を光源ドライバ2に出力していくことになる。
【0034】
光検出制御部45bは、主制御部24からスタート信号を受信すると、メモリ46に記憶されたクロック信号とメインテーブルとサブテーブルとに基づいて、光検出器3からの1個の受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)をメモリ46に記憶させる制御を行う。
例えば、図10に示すメインテーブルでは、モジュール1の送受ユニット40aの光検出制御部45bは、時間t1に、1個の受光プローブ13R1で受光された1個の受光信号A(λ)、A(λ)、A(λ)を光検出器3で検出して、メモリ46に記憶させる。また、モジュール2の送受ユニット40bの発光制御部45aは、時間t1に、1個の受光プローブ13R2で受光された1個の受光信号を光検出部3で検出しない。
また、モジュール1の送受ユニット40aの光検出制御部45bは、時間t2に、1個の受光プローブ13R2で受光された1個の受光信号A(λ)、A(λ)、A(λ)を光検出器3で検出して、メモリ46に記憶させる。また、モジュール2の送受ユニット40bの光検出制御部45bは、時間t2に、1個の受光プローブ13R2で受光された1個の受光信号A(λ)、A(λ)、A(λ)を光検出器3で検出して、メモリ46に記憶させる。
このように、各送受ユニット40a〜40hの光検出制御部45bは、お互いに独立しているが、スタート信号とクロック信号とメインテーブルとサブテーブルとに基づいて、受光信号A(λ)、A(λ)、A(λ)をメモリ46に記憶させていく。
【0035】
このような送受ユニット40を、脳の一部を測定したいときには、例えば、図3に示すように8個準備することになり、一方、脳全体を測定したいときには、例えば、図8に示すように16個準備することになる。すなわち、任意の数の送光プローブ12又は受光プローブ13を準備することができるとともに、任意の大きさにすることができるようになっている。
【0036】
次に、主ユニット20について説明する。
主ユニット20は、直方体形状の主筐体21を有する。
主筐体21の内部には、主制御部24を備えるとともに、主筐体21の外部には、モニタ画面26a等を有する表示装置26と、キーボード27とを備える。また、主筐体21の外面には、送受ユニット40のイーサネット(登録商標)ケーブル43が取り付けられる主ユニット側コネクタ部23が設けられている。
主ユニット側コネクタ部23に、イーサネット(登録商標)ケーブル43の送受ユニット側コネクタ部42が取り付けられることにより、主ユニット20の主制御部24と送受ユニット40の副制御部45とが通信を行うことができるようになり、一方、主ユニット側コネクタ部23から、イーサネット(登録商標)ケーブル43の送受ユニット側コネクタ部42を取り外すことにより、主ユニット20の主制御部24と送受ユニット40の副制御部45とが通信を行うことができなくなるようになっている。
【0037】
また、主制御部24が処理する機能をブロック化して説明すると、送受ユニット40の副制御部45と通信を行う通信制御部24aと、メインテーブルとサブテーブルとを作成するテーブル作成部24bと、演算部24cと、脳活動画像表示制御部24dとを有する。
テーブル作成部24bは、キーボード27からの入力信号に基づいて、メインテーブルとサブテーブルとを作成する制御を行う。
ここで、メインテーブルとサブテーブルとを作成するテーブル作成方法について説明する。図10は、メインテーブルの一例を説明するための図であり、図11は、サブテーブルの一例を説明するための図である。
例えば、使用者は、脳の一部を測定したときには、図5に示す8個の送光プローブ12と8個の受光プローブ13とを固定することができるホルダ11を作製する。このとき、各貫通孔には、異なる番号(T1、T2、・・・、R1、R2、・・・)をそれぞれ振り当てる。
次に、使用者は、8個の送光プローブ12と8個の受光プローブ13とを固定するために、8個の送受ユニット40a〜40hを準備する。このとき、各送受ユニット40a〜40hには、異なる番号(モジュール1、モジュール2、・・・、モジュール8)をそれぞれ振り当てる。
【0038】
次に、使用者は、モジュール1の送受ユニット40aの送光プローブ12T1をホルダ11の番号T1の貫通孔に挿入するとともに、受光プローブ13R1をホルダ11の番号R1の貫通孔に挿入する。また、モジュール1の送受ユニット40aのイーサネット(登録商標)ケーブル43aの送受ユニット側コネクタ部42を主ユニット20の番号モジュール1の主ユニット側コネクタ部23に挿入する。
次に、使用者は、モジュール2の送受ユニット40bの送光プローブ12T2ホルダ11の番号T2の貫通孔に挿入するとともに、受光プローブ13R2をホルダ11の番号R2の貫通孔に挿入する。また、モジュール2の送受ユニット40bのイーサネット(登録商標)ケーブル43bの送受ユニット側コネクタ部42を主ユニット20の番号モジュール2の主ユニット側コネクタ部23に挿入する。
同様に、他の送受ユニット40c〜40hの送光プローブ12をホルダ11の貫通孔に挿入するとともに、受光プローブ13をホルダ11の貫通孔に挿入する。また、他の送受ユニット40c〜40hのイーサネット(登録商標)ケーブル43cb〜43hの送受ユニット側コネクタ部42を主ユニット側コネクタ部23に挿入する。
【0039】
次に、使用者は、キーボード27を用いて、各光源ドライバ2で光を出射するタイミングと各光検出器3で光を検出するタイミングとを示すメインテーブルを作成する(図10参照)。例えば、時間t1に、1個の送光プローブ12T1に光を送光するとともに、2個の受光プローブ13R1、13R3で受光された2個の受光信号を検出する。時間t2に、1個の送光プローブ12T2に光を送光するとともに、3個の受光プローブ13R1、13R2、13R4で受光された3個の受光信号を検出する。このように、順番に1個ずつ送光プローブ12に光を送光させるとともに、受光信号を検出していくようにするメインテーブルを作成する。
【0040】
次に、使用者は、キーボード27を用いて、光源ドライバ2で光を出射するタイミングと光検出器3で光を検出するタイミングとを示すサブテーブルを作成する(図11参照)。例えば、時間t1−1に、1個の送光プローブ12T1に波長λの光を送光する駆動信号を光源ドライバ2のLD1に出力するとともに、2個の受光プローブ13R1、13R3で受光された2個の受光信号(受光量情報)A(λ)を光検出器3の光電子増倍管で検出する。その後、光検出器3の光電子増倍管からA/D5を介して受光量情報A(λ)を受信して、光検出器3の光電子増倍管にリセット信号(Reset)を出力する。
時間t1−2に、1個の送光プローブ12T1に波長λの光を送光する駆動信号を光源ドライバ2のLD2に出力するとともに、2個の受光プローブ13R1、13R3で受光された2個の受光信号A(λ)を光検出器3の光電子増倍管で検出する。その後、光検出器3の光電子増倍管からA/D5を介して受光量情報A(λ)を受信して、光検出器3の光電子増倍管にリセット信号を出力する。
このように、送受光用制御部122は、1個の送光プローブ12に3種類の波長λ、λ、λの光を送光させるとともに、受光信号A(λ)、A(λ)、A(λ)を受信していくようにするサブテーブルを作成する。
【0041】
なお、使用者は、脳の全部を測定したいときには、例えば、図9に示す16個の送光プローブ12と16個の受光プローブ13とを固定することができるホルダ11’を作製して、そのホルダ11’に対応するメインテーブルとサブテーブルとを作成することになる。 このとき、同時に送光する送光プローブ12は、互いに距離が離れたものどうしを選択するようにして、1個の受光プローブ13で、複数個の送光プローブ12から照射された光を同時に受光しないで、1個の送光プローブ12から照射された光のみを受光するようにしてもよい。
【0042】
通信制御部24aは、イーサネット(登録商標)ケーブル43a〜43hを介して送受ユニット40a〜40hの副制御部45と通信を行う制御を行う。
例えば、通信制御部22aは、測定を行う前に、送受ユニット40a〜40hの副制御部45と通信することにより、各副制御部45にクロック信号とメインテーブルとサブテーブルとを送信する。また、通信制御部24aは、測定を行う際や測定を行っている際に、送受ユニット40a〜40hの副制御部45と通信することにより、各副制御部45にスタート信号を送信して、その後、各副制御部45から受光信号(受光量情報)A(λ)、A(λ)、A(λ)を受信してメモリ25に記憶させる。
演算部24cは、メモリ25に記憶された受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)に基づいて、関係式(1)(2)(3)を用いて、各波長(オキシヘモグロビンの吸収波長及びデオキシヘモグロビンの吸収波長)の通過光強度から、オキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]及び総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])を求める制御を行う。
脳活動画像表示制御部24dは、モニタ画面26aに、情報の表示を行う制御を行う。例えば、脳平面でのオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]及び総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])の等高線グラフを表示する。
【0043】
以上のように、本発明の光計測システムによれば、大きさとチャンネル数とを自由に設定することができる。
【0044】
(他の実施形態)
(1)上述した光計測システムでは、送受ユニット40は、1個の送光プローブ12と1個の受光プローブ13とを備えるような構成を示したが、例えば、2個の送光プローブ12と2個の受光プローブ13とを備えたり、3個の送光プローブ12と1個の受光プローブ13とを備えたりするような構成としてもよい。
【0045】
(2)上述した光計測システムでは、図10に示すメインテーブルと図11に示すサブテーブルとを作成するような構成を示したが、例えば、図15に示すメインテーブルと図16に示すサブテーブルとを作成するような構成としてもよい。
図15に示すメインテーブルがメモリに記憶された光計測システムは、時間t1に、1個の送光プローブ12T1に光を送光する駆動信号を光源ドライバに出力するとともに、8個の受光プローブ13R1〜13R8で受光された8個の受光信号を光検出器で検出する。時間t2に、1個の送光プローブ12T2に光を送光する駆動信号を光源ドライバに出力するとともに、8個の受光プローブ13R1〜13R8で受光された8個の受光信号を光検出器で検出する。このように、メインテーブルに基づいて、順番に1個ずつ送光プローブ12に光を送光させるとともに、8個の受光信号を検出していく。
【0046】
また、図16に示すサブテーブルがメモリに記憶された光計測システムは、時間t1−1に、1個の送光プローブ12T1に波長λの光を送光する駆動信号を光源ドライバのLD1に出力するとともに、8個の受光プローブ13R1〜13R8で受光された8個の受光信号(受光量情報)A(λ)を光検出器の光電子増倍管で検出する。
時間t1−2に、1個の送光プローブ12T1に波長λの光を送光する駆動信号を光源ドライバのLD2に出力するとともに、8個の受光プローブ13R1〜13R8で受光された8個の受光信号A(λ)を光検出器の光電子増倍管で検出する。
そして、時間t1−4に、ベースラインを調整するために、全部の送光プローブ12T1〜12T8に光を送光する駆動信号を出力しないで、8個の受光プローブ13R1〜13R8で受光された8個の受光信号Aを光検出器の光電子増倍管で検出する。
このように、1個の送光プローブ12に3種類の波長λ、λ、λの光を送光させるとともに、受光信号A(λ)、A(λ)、A(λ)、Aを受信していく。
【0047】
(3)上述した光計測システムでは、主ユニット側コネクタ部23に、イーサネット(登録商標)ケーブル43の送受ユニット側コネクタ部42が取り付けられることにより、主ユニット20の主制御部24と送受ユニット40の副制御部45とが通信を行うことができるような構成を示したが、例えば、光ファイバや専用有線ケーブルや無線等によって主ユニットの主制御部と送受ユニットの副制御部とが通信を行うような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、生体内部に光を照射して生体内部情報を取得する光計測システム等に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:光計測システム
2:光源ドライバ(発光部)
3:光検出器
11:ホルダ
12:送光プローブ
13:受光プローブ
14:送光用光ファイバ
15:受光用光ファイバ
20:主ユニット
21:主筐体
24:主制御部
27:キーボード(入力装置)
40:送受ユニット
41:副筐体
45:副制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に光を照射する複数個の送光プローブと、
前記被検者から放出される光を受光する複数個の受光プローブと、
送光プローブと受光プローブとが取り付けられて、前記被検者に装着されるホルダと、
前記送光プローブが光を照射するとともに、前記受光プローブが放出される光を受光するように制御することで、脳活動に関する測定データを得る制御部とを備える光計測システムであって、
副筐体を有し、当該副筐体の内部には、光を出射する発光部と、光を検出する光検出部と、発光部と光検出部とを制御する副制御部とを備えるとともに、前記副筐体の外部には、少なくとも1個の送光プローブと、少なくとも1個の受光プローブと、送光プローブと発光部とを接続する少なくとも1本の送光用光ファイバと、受光プローブと光検出部とを接続する少なくとも1本の受光用光ファイバとを備える少なくとも2個の送受ユニットと、
主筐体を有し、当該主筐体の内部には、主制御部を備えるとともに、前記主筐体の外部には、入力装置と表示装置とを備える主ユニットとを備え、
前記送受ユニットは、前記主ユニットと通信可能なように取り付け取り外しができ、
前記主制御部は、取り付けられた送受ユニットの副制御部を制御することで、前記測定データを得ることを特徴とする光計測システム。
【請求項2】
前記主ユニットの主制御部は、測定を行う前に、入力装置からの入力信号に基づいて、取り付けられた送受ユニットにおける発光部で光を出射するタイミングと光検出部で光を検出するタイミングとを示すテーブルを作成して、
各送受ユニットの副制御部は、前記主ユニットの主制御部から、時間を示すクロック信号と、前記テーブルとを受信して、
前記主ユニットの主制御部は、測定を行う際には、入力装置からの入力信号に基づいて、測定開始時間を示すスタート信号を作成して、
各送受ユニットの副制御部は、前記主ユニットの主制御部から、スタート信号を受信して、スタート信号とクロック信号とテーブルとに基づいて、発光部で光を出射するとともに光検出部で光を検出することを特徴とする請求項1に記載の光計測システム。
【請求項3】
前記ホルダは、一の字形状の複数のホルダ部品からなり、
前記ホルダ部品は、両端に送光プローブ又は受光プローブを保持するソケット部と、当該ソケット部を一定の間隔で連結する連結部とを有し、
前記ホルダ部品は、前記被検者の頭部表面の当接面内でソケット部を回転軸として他のホルダ部品と回動可能とされるとともに、前記頭部表面の法線方向で連結部により可撓性を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光計測システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−24925(P2011−24925A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176075(P2009−176075)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】