説明

光記録媒体

開示されるのは、室温より上の温度における加熱で大きさの変化を受けることが可能なナノメートルの大きさの無機粒子を含むと共に重合体を含み、その重合体において、それら無機粒子は、複合重合体を形成するために分散させられる、光記録媒体である。好適な実施形態に従って、その大きさの変化は、その複合重合体の吸収スペクトルの変化によって検出可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
光記録のために発光の原理を使用する様々な系が、記載されてきており、且つ、これらの系は、ライト・ワンス・リード・メニー(WORM)ディスク及びリード・オンリー・メモリー(ROM)ディスクの生産に使用することができる多層を生成させるための方法と組み合わせられてきた。関連した開示の概要は、以下に与えられる。
【0003】
図1は、このようなディスク1を概略的に示し、ここで情報2は、トラック3に書き込まれる。トラックの区画に沿った記録ディスクの断面は、図2に概略的に示される。
【0004】
図2の層は、記録された情報層7及びそれらの間に透明層8を含有する。蛍光に基づいた多層記録の概念において、ビーム5は、書き込み及び読み取りの両方に使用されるスポットに集束させられる。熱を、記録に使用することができ、且つ、読み取りは、ビーム5によって誘導された発光(ビーム6)を検出することによって、なされる。ビーム5は、数個の層7及び8を通じて集束させられる。従って、これらの情況の下で、その発光が、吸収帯から遠く離れて起こるように、大きいストークスシフトを備えた材料を有することは、重要であることもある。この方式では、放出された光6(蛍光性の光)は、吸収されてしまうことなく、それら層を通じて伝わることができる。また、記録を高める又は容易にするために、その記録層のすぐ下又はその記録層より上のいずれかに、第三の層を置くことができる。このような層は、熱変色性の又は光変色性の層であり得る。
【0005】
特許文献1は、その蛍光性の材料によって吸収される波長の光でその媒体を照射することによる光反応性の双安定性の消光剤の双安定性の異性体を利用することによる情報のディジタル記録を開示し、ここでエネルギーは、蛍光性の材料から光反応性の双安定性の消光剤へ移行させられる。読み取りは、より弱い光でその媒体を照射することによって、及び、その蛍光性の材料によって放出された蛍光を検出することによって、なされる。
【0006】
特許文献2は、リード・オンリー・メモリー(ROM)に使用することができる蛍光性のローダミンB誘導体への、非蛍光性のローダミンBラクタム類の光化学的な転換を記載する。同様に、特許文献3は、(ROM)のためのアナキノン類(anaquinones)の蛍光性のアミノ誘導体への、多環式キノン類の非蛍光性のペリ−フェノキシ誘導体の転換を開示する。
【0007】
特許文献4は、その発色層に特別な蛍光性の染料及び/又は蛍光性の顔料を含有する感熱性記録材料における電子受容体及び電子供与体の使用を記載する。その根底となる発明と一致した記録材料は、UV光に対する露出における優れた局所的な獲得の能力及び近赤外の領域における良好な光学的な判読率を持つ。
【0008】
特許文献5には、蛍光型のライト・ワンス・リード・メニー(WORM)ディスクに用いる重合体中の染料の組成物は、レーザーの放射を吸収すること及び吸収された光を熱へ転換することが可能な約0.1重量パーセントから10重量パーセントの蛍光性の染料、約10重量%から80重量%のニトロセルロース、並びにフィルムを形成する重合体を含む。その染料を含有する溶液は、スピンコーティング、ローラー塗布、又は浸漬被覆によって光記録媒体の基板に適用される。その方法は、記録層を操作するための集束させられたレーザービームを利用する。
【0009】
特許文献6は、蛍光性の染料、ニトロセルロース、及びフィルムを形成する重合体を含む蛍光型のWORMディスク用の光記録媒体を開示する。その媒体は、三次元の光メモリー系を含む、WORMディスク用の高い容量の光メモリーを提供する。
【0010】
特許文献7は、蛍光の読み取り/記録を備えた多層の光情報担体を製造するための方法を記載する。一方又は両方の表面に蛍光性のフィルムを所持する基板で形成される、ある構造が、製作され、ここでその構造は、蛍光の読み取り/記録に使用される入射の放射に関して透明である。パターン形成された構造は、不連続の蛍光性の領域のある配列の形態で表面の浮き彫りを備えた蛍光性のパターン形成された構造を生成させるというような、所定の加工条件の下で、蛍光性のフィルムに設けられる。同じ手順は、その工程の終わりに多層の光情報担体を得るために、ある要求された回数だけ繰り返される。
【0011】
最後に、特許文献8は、蛍光の読み取りを備えた感光性の層を有するWORMタイプの多層光メモリーを記載する。そのディスクは、透明な基板及び重合体の層によって互いに空間的に分割された且つ接着剤層を使用して組み立てられた多層の情報層を含有する。情報は、螺旋の溝内の感光性物質に記憶される。その感光性物質を、非感光性の背景に、連続的な層として、又は、不連続な溝として、形成することができる。その感光性物質についての様々な組成物は、閾値タイプの記録と共に、蛍光漂白又は放出を変化させることによって、記録を可能にする。
【0012】
上で引用された特許文献に与えられた広い技術的開示にもかかわらず、なお、改善された光記録媒体に対する需要がある。特に、上記の光記録媒体には、それらが、光活性成分としての有機化合物を主材料とすることは、共通である。このような系は、有機化合物が、不安定であることもあると共に漂白に敏感であることもあるという欠点を有する。
【特許文献1】米国特許第5,399,451号明細書
【特許文献2】米国特許第6,027,855号明細書
【特許文献3】米国特許第5,945,252号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0280284号明細書
【特許文献5】国際公開第00/15425号パンフレット
【特許文献6】国際公開第00/48178号パンフレット
【特許文献7】国際公開第00/55850号パンフレット
【特許文献8】国際公開第01/06505号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記の欠点を克服すること、及び、安定な光活性成分を主材料とする光記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1において定義されたような光記録媒体によって達成される。その光記録媒体の好適な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0015】
本発明の重合体の複合体に含有された無機粒子は、基本的には、ナノメートルの大きさのものである。それらの特性は、それらの大きさによって影響される。バルクから分子構造までの緩やかな遷移は、その粒子の大きさが減少するにつれて起こり、且つ逆もまた同様である。これらの量子化の効果を示す粒子は、しばしば、量子ドットと呼ばれる。それらは、大きさに依存する光学的な及び電子的な挙動を示す。例えば、これらの材料のバンドギャップは、粒子の大きさを減少させると共に、バルクの材料に関して数電子ボルトだけの増加を示すことができる。これは、粒子の大きさを減少させると共に、百ナノメートルだけシフトする材料の吸収スペクトル及び発光スペクトルに反映される。
【0016】
上記の粒子の大きさは、複合重合体の生成の後で、熱を加えることによって、影響を及ぼされることもある。この処理は、それら粒子が、大きさが変化することを、引き起こし得る。
【0017】
無機粒子の大きさは、複合重合体の生成の後で、熱を加えることによって、影響を及ぼされることもある。この処理は、無機粒子の挙動に依存して、異なる効果を有する。
【0018】
加熱することで凝集する傾向があり、このように大きさが成長する、無機粒子がある。この場合には、その大きさの変化は、増加である。CdSは、このタイプの無機粒子の典型である。
【0019】
大きさの増加に至る、熱に誘導された化学的な変換を受ける他の無機粒子がある。このタイプの無機粒子についての例は、大気中で加熱されたときCdOへ部分的に変換される、CdSeである。このような変換は、現実には、無機粒子それら自体の全体の大きさの変化ではなく、むしろ、それの組成の部分的な変化に至る化学反応である。また、上記の変換は、光化学的に到達し得る。それを、X線光電子分光法を使用して検出することができる。
【0020】
それら無機粒子の光学特性(吸収の波長及び/又は発光の波長)を、相応して変えることができる。温度の増加と粒子の大きさの変化との間にある不変の関係が存在することに、留意する必要がある。生成の後における処理の温度が高いほど、それら無機粒子の変化は、よって、光学特性の結果として生じる変化は、より大きい。
【0021】
上記のことから、当然、このような粒子が、室温で特定の大きさを有するように生成するとき、それらは、ある一定の波長で吸収する及び/又は発光することになるという結果になる。高温まで加熱することで、それらは、上に記載したように、大きさが定常的に変化する(増加する又は減少する)ことになると共に、相応してそれらの光学特性を変化させる(吸収の及び発光帯のシフト)ことになる。これらの変化は、本発明の第一の態様に従って、光記録に適切な本発明の複合体を作る。適切な温度は、100℃から300℃の範囲にある。このような温度は、光記録の技術で使用されたレーザーによって、到達される。通例、そのシフトは、深色の様式で起こる、即ち、より長い波長になる。
【0022】
本発明の第二の態様に従って、本発明の無機粒子を、高い発光の効率を有する系の蛍光を消光させることに使用することができる。このような系は、それら無機粒子が、ある有機の不動態化層に埋め込まれるとき、与えられる。この層は、上記の高い発光の効率が得られるように、その表面の状態を安定化させる。それら粒子を高い温度まで加熱することは、それらの表面から有機の分子を取り除くことができ、このように、蛍光を消光させる。重ねて、光記録に使用することができる系の光学特性の変化は、観察される。このような蛍光の消光が、発光帯の波長のシフトをそれほど多くは引き起こさないが、大体は、放出された光の強度に影響を有することを、後に示すことにする。
【0023】
本発明の好適な実施形態に従って、それら無機粒子は、CdS、CdTe、CdSe、ZnS、ZnSe、PbS、HgS、HgTe、GaAs、GaP、InAs、InP、及びZnOである。
【0024】
本発明の別の好適な実施形態に従って、その大きさの変化は、その複合重合体の吸収スペクトルの変化によって、検出可能である。
【0025】
本発明のさらなる好適な実施形態に従って、本発明の無機粒子は、蛍光性の粒子である。なお、さらなる実施形態に従って、それらは、少なくとも一つの方向において10nmよりも小さい大きさで、形状において、丸い、円盤様の、又は棒様のものである。
【0026】
さらに別の好適な実施形態に従って、その重合体は、アクリラート、エポキシ、又はチオレン(thiolene)の単量体の重合体である。あるいは、その重合体は、カルボン酸の群及び/又はカルボン酸の塩を含有してもよい。なお別の好適な実施形態に従って、その重合体は、化学的に架橋される。
【0027】
それら無機粒子が、その複合重合体の全体の重量に基づいて、1から60重量パーセントの量で、その重合体に含有されることは、好適である。
【0028】
上記の無機粒子を得るための一つの方法は、それらの金属塩を含有する溶液における沈殿によるものである。それらの中では、硫化物、セレン化物、テルル化物、及び燐化物(CdS、CdTe、CdSe、ZnS、ZnSe、PbS、HgS、HgTe、GaP、InP)を、HS、HSe、HTe、若しくはPH、又はそれらのアルカリ金属塩を使用して、沈殿させることができる。AsH及びAs(CHを、砒化物(GaAs、InAs)の調製に使用することができる。ZnOのような酸化物を、水酸化物のような塩基の添加によって、得ることができる。
【0029】
このような粒子を作る別の他の方法は、トリ−n−オクチルホスフィン(オキシド)及びドデシルアミンのような配位する溶媒を使用する高温でのジメチルカドミウム及び酢酸カドミウムのような有機金属の前駆体の熱分解によるものである。
【0030】
上に述べたように、適切な粒子は、形状において、丸い、棒様の、又は円盤様のものであり得る。しかしながら、それらは、また、非対称なものであってもよい。
【0031】
本発明の光記録媒体を生産するための一つの方法は、ある重合体の基材における予め製造された無機粒子の分散を伴う。この目的のために、ナノ粒子を、安定化させる分子の存在下で、ある有機溶媒において生成させることができる。その後、それら粒子は、ある重合体の溶液に添加される。このような重合体の溶液を、ある基体の上部に、その溶液を回転させる間のその溶液の蒸発によって、ナノ結晶を含有する薄い重合体の層に形成することができる。ポリカーボナート及びポリスチレンは、この目的のために使用することができる周知の重合体である。しかしながら、また他の重合体を使用してもよい。
【0032】
その光記録媒体を生産するための別の方法は、ある重合体の基材におけるそれら無機粒子の現場での生成を伴う。この目的のために、前駆体の金属塩及び/又は錯体は、ある重合体の基材に溶解させられる。その後、それら前駆体は、上に述べたようなナノ粒子を形成するための反応物を使用して、還元される。ある重合体の基材にそれら前駆体の材料を分散させるために、溶媒和する基又は配位する基を備えた重合体を使用することが、必要である。この目的のために、単独重合体、ブロック共重合体のみならず共重合体を、使用することができる。溶媒和する基を備えた重合体の例は、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(N−アルキルピリジニウム=ハリド)、ポリ(メチル)アクリル酸、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(エチレン(プロピレン)オキシド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ((メチル)アクリラート)、及びポリ(ビニルブチルエーテル)である。
【0033】
本発明の好適な実施形態に従って、それら無機粒子が分散される重合体は、ある架橋されたネットワークを含む。このようなネットワークを、アクリラート、エポキシ、又はチオレンのような反応性の末端の基(A)及び(C)を有する以下に示された基本の式(I)及び(III)の分子を使用して、形成することができる。また、そのネットワークは、ある金属イオンを備えた錯体を形成する能力を備えた基を含有することができるか、又は、それを溶解させる能力を有するべきである。ヒドロキシ基、カルボン酸基、ピリジンの基、及びエチレンオキシド基を、側基又は橋かけの基(B)として使用することができる。その金属イオンを、様々な相でこのようなネットワークに持ち込むことができる。それを、その単量体の相でその系に持ち込むことができる。これを、金属原子を含有すると共にその金属原子(M)を含有する固体のフィルムを形成するためにその系を重合させる式(I)における基Bを選ぶことによって、することができる。このようなアクリラートは、式(III)によって示される。この例において、Xは、いずれの橋かけの基でもあり得る。その後、それを、あるナノ粒子へ変換することができる。また、ネットワークを生じさせ、そして、その溶媒を膨潤させることによってその金属イオンを持ち込むことも、可能である。このようなアクリラート基を備えた分子の例は、式(IV)である。
【0034】
【化1】

【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明を、好適な例を、及び、添付した図面を参照して、より詳細に記載すると共に説明することにする。
【0036】
例1
例1は、本発明の第一の態様に関係すると共に無機粒子の熱に誘導された成長によって引き起こされた吸収帯の深色シフトを利用する。以下の構造を有する化合物(アクリラート類)を使用した。
【0037】
【化2】

化合物(VI)中に10重量%の化合物(V)を含有する混合物を作った。その混合物をセルに置き、10Wの蛍光ランプ(Philips PL10)からのUV放射を使用して重合を開始した。重合したフィルムを、そのネットワークを中和すると共に化合物(Vi)中へCdを組み込んで又は増大させて、それを化合物(VII)へ変換するために、3%の酢酸カドミウム二水和物、40%のエタノール、7%の脱イオン処理された水、及び50%のジクロロメタンを含有する溶液中に置いた。それら試料を、半日間その溶液中に浸し、そのネットワークへ束縛されてないイオンを洗い落とすために42%のエタノール、8%の脱イオン処理された水、及び50%のジクロロメタンを含有する混合物中で洗浄した。その後、それら試料を、室温で乾燥させ、その溶媒の残存物を、150℃までそれらを加熱することによって取り除いた。赤外分光法を使用して、化合物(VI)が、全体として化合物(VII)へ変換されたことを見出した。CdSの量子ドットを生じさせるために、カドミウムを含有するネットワークを、大気圧及び室温で4時間乾燥したHSを備えた管内に置いた。この処理の後で、化合物(VII)の分子は、IR分光法によって観察されたような(VI)を形成するために、元に戻ったと共に、事実は、CdSの結晶が形成されたということであった。
【0038】
図3は、二分間、室温で及びその試料を加熱した後では様々な温度で、測定されたスペクトルを示す。この図においては、純粋なネットワークのスペクトルもまた、比較のために与えられる。CdSの量子ドットの存在が、整然としたネットワークに存在しない吸収帯を生じさせることを理解することができる。さらに、吸収帯の立ち上がり(λ)は、温度を増加させると共に、より長い波長へシフトする。その増加する吸収端は、CdSの結晶の大きさが、保管温度を増加させると共に、増加することを暗示する。
【0039】
その結晶の大きさ(R)を、以下の実験式
R(nm)=0.1/(0.1338−0.0002345*λ
を使用して、その吸収端から計算した。
【0040】
それらの結果を図4に示す。その試料の加熱の間に、その結晶の大きさが、80℃までほとんど変わらないままであると共に、それより上では連続的な増加が、その保管温度のある関数として観察されることを理解することができる。
【0041】
また、その試料の発光スペクトルを、それらを保管した後に、述べた処理する温度で、測定した。それらの結果を図5に示す。温度を増加させると共に、その放出の最大が、それら結晶の増加した大きさの結果として、より長い波長へ移動する(深色シフト)ことを理解することができる。
【0042】
熱を加えることによって、それら結晶の大きさを、変化させることができるであろうし、且つ、その発光帯の位置の大きい変化を、その系を光記録に適切なものにすることで、得ることができるであろうということを理解することができる。
【0043】
また、様々な記録の実験を、このような層において実行した。その層は、上に記載したように調製された。レーザービームを使用して、CdSの結晶を、現場で生じさせた。検出可能な線を、局所的な加熱によって、このような層に記録することができるであろう。
【0044】
高速のために、λ=405nmの波長を備えた固体レーザーを備えた静的な試験器を使用した。0.85の開口数(NA)を備えた対物レンズを使用した。そのレーザーのパワーを、10mWに設定し、スポットを、様々なパルス幅で記録した。記録前後の各々の時間に、そのスポットからの反射を測定した。その反射の変化を、レーザーのパルス幅のある関数として、図6にプロットする。
【0045】
すでに10nsで、このような短い時間に記録をすることが可能であることを暗示する、その試料の反射率の十分な変化を、観察することを図6に理解することができる。同じ図において、500nsよりも長いパルスが、反射のより大きい変化を生じさせることができるであろうこともまた、理解することができる。この効果は、図3に示される挙動と関連させられる。それら結晶が成長すると、400nsの周囲のさらなる吸収は、初期に徐々に増加すると共に、それらが、ある一定の大きさに到達すると、それらは、この波長での吸収の急速な増加を示す。
【0046】
上の実験の発見から(特に図5から)、その処理する温度(即ち、それら無機粒子がその記録レーザーによって加熱される温度)が、80℃よりも高いものであるべきであることが、結論付けられる。さらなる詳細は、与えられた情況に依存する。一方では、信号の歩留まりの理由のために160℃から220℃までと同程度の高い温度を有することを希望する。他方では、高い温度を、高速記録で達成することができない。これらは、技術的な最適化によって橋かけしなければならない矛盾した要件である。
【0047】
例2
例2は、本発明の第二の態様に関係すると共に、熱で誘導された蛍光の消光を利用する。CdTeの粒子を使用した。それら粒子を、その文献に記載された手順に従って、合成した。このような粒子は、チオールの分子によって、安定化させられると共に、非常に強い発光を示す。重合体(ポリビニルピロリドン)を、このような混合物に添加したと共に、CdTeの粒子を含有する重合体の層を、ガラスの基体に生じさせることができるであろう。室温で、その層は、非常に強い発光を示した。しかしながら、250℃より上に加熱した後には、発光の大きい減少が、図7に示されるように、観察された。上に暗示したように、光学特性の変化は、大体は、それら発光帯の強度に、それらの波長が一定である一方で、ある。それは、その帯域を深色にシフトさせるために、250℃の高い温度を必要とする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】情報2がトラック3に書き込まれる従来の記録ディスク1の図である。
【図2】図1の記録ディスクの断面を示す。
【図3】無機粒子としてのCdSを含有すると共に作られたように(室温で)及び処理の後では100℃と200℃との間の温度で測定される、本発明の第一の態様に従ったポリアクリラートを主材料とした複合重合体の吸収スペクトルを示す。
【図4】根底にあるCdSの結晶半径のみならず図3の吸収スペクトルの吸収端λの位置(波長)を、両方ともその処理する温度に関係して、示す。
【図5】図3の複合重合体の発光スペクトルを示す。
【図6】スポットが様々なパルス幅でレーザーの照射によって記録されてある、無機粒子としてのCdSを含有する本発明に従ったポリアクリラートを主材料とした複合重合体におけるスポットの反射の変化を示す。
【図7】無機粒子としてのCdSを含有すると共に作られたように(室温で)及び処理の後では100℃と250℃との間の温度で測定される、本発明の第二の態様に従ったポリビニルピロリドンを主材料とした複合重合体の発光スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温より上の温度で加熱することで大きさの変化を受けることが可能なナノメートルの大きさの無機粒子、及び、該無機粒子が複合重合体を形成するために分散させられる重合体を含む光記録媒体。
【請求項2】
前記室温より上の温度は、100℃から300℃の範囲にある、好ましくは、80℃よりも高い、請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記大きさの変化は、前記複合重合体の吸収スペクトルの変化によって検出可能である、請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記無機粒子は、発光性の粒子である、請求項1に記載の記録媒体。
【請求項5】
前記無機粒子は、CdS、CdTe、CdSe、ZnS、ZnSe、PbS、HgS、HgTe、GaAs、GaP、InAs、InP、又はZnOである、請求項1に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記無機粒子は、少なくとも一つの方向に10nmよりも小さい大きさを備えた、丸い、円盤様の、又は棒様のものである、請求項5に記載の記録媒体。
【請求項7】
前記重合体は、アクリラート、エポキシ、又は、チオレン単量体の重合体である、請求項1に記載の記録媒体。
【請求項8】
前記重合体は、カルボン酸の群及び/又はカルボン酸の塩を含有する、請求項1に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記重合体は、化学的に架橋されている、請求項1に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記無機粒子は、前記複合重合体の全体の重量に基づいて、1重量パーセントから60重量パーセントの量で前記重合体に含有される、請求項1に記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−505441(P2007−505441A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530882(P2006−530882)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050735
【国際公開番号】WO2004/107330
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】