説明

光診断法および光線力学的療法の両方のためのターゲット剤

本発明は、ターゲティング分子、光線力学的療法(PDT)分子(1または2個の光子のいずれか)、および任意のイメージング剤(例えば、発色団、造影剤など)を含む、多機能性(通常、二機能性または三機能性)剤を含有する、方法並びに組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、USSN 60/453,618(2003年3月10日出願)の優先権の利益を主張する一部継続出願(これは、本明細書の一部を構成する)である。
【0002】
(技術分野)
本発明は、ターゲティング分子(targeting moiety)、光線力学的療法(photo dynamic therapy)(PDT)分子(1個または2個のいずれか)、および任意のイメージング(imaging)剤(例えば、発色団、造影剤など)を含む、多機能性(通常、二機能性または三機能性)剤を含有する、方法並びに組成物に関する。
【0003】
(背景技術)
過去5年にわたって、癌性腫瘍の早期検出のための新規なイメージングおよび処置の技術の開発における進行中のルネサンスが存在する。過去数十年間にわたる多数の癌研究者の努力にもかかわらず、癌は未だ米国において2番目の主要な死因であり、これを超えるのは心臓疾患のみである。2002年には米国単独で120万以上の新規な癌の症例が診断されるであろう。これらの内の約70%は、現在活発な開発中の様々なインビボイメージング技術によって早期の検出を受け易い固形癌性腫瘍であろう。患者および保険医療のコストの展望から、特に経過観察の確証的な外科的生検(follow-up, confirmatory surgical biopsies)を排除することができるならば、終夜の病院の滞在を必要としない非侵襲性のイメージング技術が非常に所望されている。これらの新規なイメージング技術がまた同じ患者のセッションにおいて非侵襲的な処置方法と組み合わせることができる場合には、完全な外来患者のイメージング/検出/処置のプロトコールを設計することができ、このものは、現在の診断/外科手術/化学療法/電離放射線療法のプロトコール(これは、過去20年間、処置の標準であった)に置き代わり得る。
【0004】
世界保健機関は、2002年には120万以上の新規な癌の症例が診断され、そしてこのうち、全米癌学会は約203,500が侵襲性の乳癌(I〜IV期と定義される)を見積もっており、これにより、概算で40,000の死亡となる(引用文献9(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)。早期の検出は、長期間に成功にした乳癌の場合にとって決定的であり、そして生存率を増大する(表1に例示する通り)。
【表1】

表1.乳癌患者についての5年の生存率
【0005】
明らかに、早期の検出は生存率の主要な因子であるが、乳癌の20〜40%は毎年のルーチンなマンモグラムの検診段階(検出することができる最小の腫瘍は0.5〜1.0cmである)では検出されない。加えて、多数の女性が、典型的なマンモグラム方法の間、激しい不快(特に、乳の圧迫)を経験している。40歳を超える女性は毎年の検診を受けていると通常考えられるが、この分類にあるわずか62%の女性だけが実際には過去1年の間にマンモグラムを受けていると、全米癌学会によって見積もられている。これらの見積もりは、早期の癌を検出しそして不快因子を排除する新規な検診方法に対する必要性をさし示している。
【0006】
ごく最近、主として健康な女性にとっての主な検診デバイスとしてマンモグラフィーを支持してきた何年ものデータの解釈に最近問題が投げかけられていると公表された研究に基づいて、ルーチンなマンモグラフィーの有効性が世間一般の報道機関およびマスコミ媒体(例えば、Time Magazine、2/4および2/18(2002年発行))において再考されている。ほとんどの乳癌が乳菅を起源とし、そして最終的に早期癌(これは、非浸潤性乳管癌またはDCISと呼ばれる)、前侵襲性の限局期(これは、乳菅の外側には未だ進行していない)にまで発展する。典型的なマンモグラフィーは、この期での偽陽性によって悩まされ得て、このことは、経過観察マンモグラフィーが針生検によって探求される可能な別の確認と合わせて実施されることを示し得る。最小のDCISは時々、切除のみによって処置することができるが、女性が不必要な生検および外科手術からの多数の瘢痕を示すことは珍しくなく、このことは、切除した腫瘍の周囲にある広い癌のない縁は経過化学療法および電離放射線処置を回避する必要があるとの警告である。
【0007】
真に非侵襲であってそして(a)最も早期の可能な段階でDCISsを検出し、そして(b)非外科的な処置を許容し得る、別のイメージングおよび処置のプロトコールの開発は、高い危険状態にある女性によって最も歓迎されるであろう。
【0008】
過去10年にわたって、癌性腫瘍のインビボ光学イメージング(特に、乳癌のイメージング)に関係する可能性および問題の両方について議論された、多数の優れた総説が存在する(引用文献17(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)。これらの筆者の数人は、腫瘍に関係するマーカーをターゲットとする高アフィニティーのベクター分子についての必要性、および周囲の健康な組織に対する腫瘍中への造影剤の取り込みの増大についての必要性を指摘している。モノクローナル抗体が、この観点で使用されており(引用文献21−23(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照)、そしてBeckerおよび共同研究者は最近、マクロ分子(例えば、トランスフェリン、およびインドカルボシアニン(ITCC)とのヒト血清アルブミン接合体)が、腫瘍の光学的なイメージングのための有効な造影剤であることを示した(引用文献24(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)。抗体または他の大分子を用いるいくつかの欠点は、それらが肝臓によって取り込まれ、ヒトにおいては有害な免疫学的な反応を誘発し、そして血液系中で非常に長い残留時間を有することである。加えて、大分子は、正の内部圧力が原因で腫瘍に深くまで容易に浸透することができない。
【0009】
大分子−造影剤の接合体に関係する問題に対する可能な解決法は、小分子(例えば、小ペプチド)を使用して、造影剤をターゲット腫瘍に向けさせることである。多数の腫瘍は、ソマトスタチン(SST)および他のペプチドに対する受容体を過剰発現すること(引用文献25−28(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照)、および胃腸−膵臓の腫瘍に対する受容体シンチグラフィーがルーチンな臨床的使用であることを示した。ソマトスタチンアナログ−蛍光接合体を用いる腫瘍のターゲティングおよびイメージングは、癌性腫瘍の光学的なイメージングの魅力的な代替物である。Beckerらは最近、オクトレオエート(octreoate)と結合するNIR蛍光リガンド、安定なソマトスタチン小ペプチドアナログをベースとする、受容体をターゲットとする腫瘍の光学的イメージング(引用文献29(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)を提案している。彼らの研究において、インドシアニン色素(例えば、インドジカルボシアニン(indodicarbocyanine)(IDCC)およびインドトリカルボシアニン(indotricarbocyanine)(ITCC)は、Fmoc固相ペプチド合成方法論を用いて、オクトオレエートとカップリングした。直鎖のアナログである、メチオニンをシステインで置換した修飾オクトレオエートをコントロールとして使用した。ITCC−オクトレオエートは、RIN38/SSTR2腫瘍を有するマウスの異種移植片中に蓄積した。腫瘍および正常な組織の間の蛍光造影は、直ぐに増大し(約1分)、そして3〜24時間で、腫瘍の蛍光強度は周囲の正常な組織よりも3倍以上高くなった。従って、該小ペプチドソマトスタチンアナログは腫瘍中に直ぐに蓄積することができ、そしてコンパニオン(companion)実験はまた、それらが24時間後には直ちに該システムから排除されることを示した。該直鎖のオクトレオエート−ITCC接合体は腫瘍中には蓄積しないが、このものは該ソマトスタチン接合体が過剰発現した腫瘍受容体部位と注意深く適合するのに必要である。高アフィニティーのSST受容体はまた、大部分の乳癌腫中でも過剰発現する(引用文献(30(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)。Reubiおよび共同研究者は(引用文献31−32(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照)は、ソマトスタチン受容体である、SSTR1、SSTR2、およびSSTR3のメッセンジャーRNAs、並びにSSオートラジオグラフィーおよびmRNAインシチュハイブリダイゼーションの発現および局在化に関して、多数のヒト腫瘍を調べている。SS受容体は、全ての乳癌腫中に存在し、SSTR2が優位であって、そしてこのものは、オクトレオエートに対する高アフィニティーを示した。SST2は、ヒトソマトスタチン受容体サブタイプであり、このものは商業的に入手可能な合成アナログに対して最大のアフィニティーを有する。
【0010】
HawryszおよびSevick-Muraca(引用文献33(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)は、新規なイメージング剤(ここで、吸収/蛍光は、NIRの方向に赤色シフト(red shift)し、より深い組織への浸透を達成することができる)の開発に関する、優れた総説を指摘している。
【0011】
最近の研究は、2光子断面積(cross-section)を非常に増大したポルフィリンについての新規なデザイン方法に関し、そして我々は実際に、これら新規なポルフィリンの構造モチーフが、一重項酸素のインビトロ発生で誘発される2光子、1光子光線力学的療法における癌細胞アポトーシスの原因であると通常認められている剤を非常に有効なものとすることができることを証明した(引用文献1〜4(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照)。
【0012】
しかしながら、真に非侵襲的であってそして1外来患者のセッションにおけるイメージングおよび処置を達成することができる、処置および様式に対する必要性が存在する。
【0013】
(発明の概要)
上記の目的に従って、本発明は、ターゲティング分子および少なくとも光線力学的療法(PDT)分子(2光子PDT分子(2PM)が好ましい)を含有する、二機能性および三機能性剤を提供する。該薬剤は場合によりイメージング剤を含み、光学的なイメージング剤(例えば、発色団(chromophore)または発発色団(fluorophore)が好ましい)が好ましく、1光子発色団が特に好ましい。加えて、該薬剤は場合によるが通常、リンカーを含み、このことにより、該薬剤の成分の共有結合が可能となる。
【0014】
本発明は、更に該分子を活性化するのに適当な波長の光を用いるPDT分子の活性化によって、疾患(とりわけ最も、癌)を検出しおよび/または処置する方法を提供する。該方法はまた、他のイメージング様式と組み合わせることができる。
【0015】
(発明の詳細な記載)
本発明は、疾患の検出および処置のために、1以上の外来患者セッションにおいて使用することができる単一試薬に腫瘍(または他の疾患)のイメージングおよび処置のいくつかの面を組み合わせる、多機能性化合物に関する。内視鏡の使用は他のタイプの腫瘍(例えば、固形腫瘍を含む)の検出および処置を可能とすると理解するが、通常皮下癌性腫瘍は、以下に記載する通り、2光子薬剤の波長要件に適当な能力のために良好な候補である。
【0016】
多機能性剤は、二機能性または三機能性であり得る。二機能性剤としては、2光子光線学的分子(2PM)と通常はリンカーによって連結したターゲティング分子を含む。ターゲティング分子は、該共有結合した2PMが選択した組織(例えば、腫瘍)中に素早く蓄積することを可能とし、そして周囲のおよび/または健康な組織中にはいずれの実質的な程度にも蓄積しない。該2PMは、NIR光子の2光子吸収によって活性化されて、患部細胞(例えば、癌細胞)の死を開始することが可能となる。
【0017】
三機能性剤は、ターゲティング分子、イメージング剤およびPDT分子(PM)(これは、1光子PMまたは2PMのいずれかであり得る)を含む。以下に記載する通り、該イメージング剤により、患部組織(例えば、癌性腫瘍)の素早い3次元イメージングが可能となる。イメージング剤を2PMと組み合わせる場合に、得られる剤は、組織透明度ウィンドウ(800〜1000nm)内でのNIRパルスレーザー放射によって活性化することができる。従って、この共有結合アンサンブルは二重機能性を包含し;そのものは、低レーザー出力でのイメージング様式で使用して1光子イメージング剤のみを活性化することができ、またはそのものは、レーザー焦点を変えそして出力を増大することによって光線力学的療法試薬として操作することができる。該2光子プロセスは、該腫瘍部位でのレーザー光線の焦点で活性化されるのみで、周囲の健康な組織上にはほとんどまたは全く影響を及ぼさない。2光子光線力学的療法は長い間、いくつかの学術的な研究者および小企業の目標であったが(引用文献5〜7(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照)、しかし、癌処置に対するこの研究の発展は、天然ポルフィリンまたは商業的な試薬(例えば、フォトフリン(Photofrin)(引用文献8(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)の非常に小さい2光子断面積が原因で制限されてきた。しかしながら、2光子断面積の非常な増大を有する合成ポルフィリン物質の最近の開発により、今では1光子PDTの実用的な代替物である正に2光子PDTを製造している。特に、2PM構造に関しては、米国公開番号2003/0105070(これは、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0018】
従来のイメージング/造影発色団および2光子PDT発色団の同じ試薬中での組み合わせは、イメージングプロセスで発見されたいずれかの潜在的な癌性増殖の素早い光線力学的療法処置の可能性をも含む外来患者の検診(screening)および検出システムに対する新規な方法を与える。次いで、癌の直接的な処置はルーチン(例えば、毎年)な検診と直接的に関連し、このことにより、早期の検出および非外科的な外来患者の処置の双方の利点を与える。この方法はまた、現在使用中または開発中の他のイメージング技術(例えば、従来およびデジタルのマンモグラフィー)への別個の補助としての可能性をも与える。従って、これらの剤は、早期癌性腫瘍のインビボでの検出および処置のための強力な新規パラダイムとして機能することができる。この方法の利点は、早期の乳癌腫瘍の処置においていかに使用できるかという以下の議論で例示されるが、しかしながら、該処置プロトコールはいずれかの発生段階での癌性組織(固形腫瘍を含む)に使用することができる。
【0019】
従って、本発明は本明細書中に記載する多機能性剤を提供する。好ましい実施態様において、該剤は、3個の異なる構成成分:ターゲティング分子、イメージング分子、およびPDT分子を含有する三機能性または三連分子構造(triad)の組成物である。以下に概説するとおり、該3個の構成成分と共有結合するように機能するリンカー分子が、使用されることが多い。
【0020】
本明細書中で使用する「ターゲティング(targeting)分子」または文法上の均等物は、官能基(このものは、ターゲットに機能するか、または該複合体を特定の位置、細胞タイプ、患部組織もしくは結合に方向付ける)を意味する。通常、ターゲティング分子はターゲット(target)分子を指向する。当業者によって認められている通り、本発明の剤は通常、静脈内注射され;従って、好ましいターゲティング分子とは、体内腔(例えば、脊髄、関節の間質性腔など)中への直接的な注射もまた可能であるが、特に血管システムへ近づくことができる特定の局在での該剤の濃縮が可能であるものである。好ましい実施態様において、該剤は、1:1でない比率で、該位置に分配される。従って、例えば抗体、細胞表面受容体リガンド、およびホルモン、脂質、糖類およびデキストラン、アルコール、胆汁酸、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質(ペプチドを含む)、および核酸は全て結合して、該造影剤を特定の部位に局在化したりまたはターゲットとすることができる。
【0021】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、細胞の特定の組織または表面に対して本発明の剤をターゲティングすることができる。すなわち、好ましい実施態様において、本発明の剤は、有用な細胞の細胞質中に摂取(taken up)される必要はない。加えて、好ましいターゲティング分子は、癌ターゲットに対するものである。「癌ターゲット」とは、癌の細胞、組織および/または腫瘍中で優先的に発現したりまたは合成されるものである。例えば、適当な癌ターゲット物質としては例えば、酵素およびタンパク質(例えば、ペプチドを含む)、例えば細胞表面受容体;核酸;脂質およびリン脂質を含むが、これらに限定されない。好ましい実施態様は、固形腫瘍の表面上に存在する癌ターゲット(例えば、上記のソマトスタチン(SST)受容体、下記のHER2受容体など)を使用する。
【0022】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子はタンパク質である。本明細書中の「タンパク質」または文法上の均等物は、タンパク質、オリゴペプチドおよびペプチド、誘導体およびアナログ(例えば、非天然アミノ酸およびアミノ酸アナログを含有するタンパク質を含む)、およびペプチド模倣(peptidomimetic)構造を意味する。側鎖は、(R)または(S)立体配置のいずれかであり得る。好ましい実施態様において、アミノ酸は(S)またはL−立体配置である。下記の通り、タンパク質をターゲティング分子として使用する場合には、そのものは、プロテアーゼによるインビボ分解を遅延する(retard)ためにタンパク質アナログを使用することが所望され得る。
【0023】
好ましい実施態様において、タンパク質は、細胞表面受容体の結合性パートナー(リガンド)、特に疾患と関連するもの、例えば癌性組織に特異的であるかまたは差次的に発現するかのいずれかである癌細胞表面受容体である。ターゲティング分子の疾患組織に対する高い特異性は好ましいが、放射はターゲットされ得るという理由で、完全な特異性(例えば、健康な組織とは全く結合しない)は存在する必要がないことに注目するのは重要である。細胞表面のリガンドおよび/またはアナログおよび誘導体(例えば、フラグメントを含む)が好ましく、例えば酵素基質またはインヒビター、特に細胞表面結合酵素が挙げられる。
【0024】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、細胞表面受容体に対するリガンドの全てまたは一部(例えば、結合部分)である。適当なリガンドとしては例えば、細胞表面受容体と結合するリガンドの全てまたは官能性部分を含むが、これらに限定されない。該受容体としては、インスリン受容体(インスリン)、インスリン様成長因子(IGF−1およびIGF−2の両方を含む)、成長ホルモン受容体、グルコーストランスポーター(特に、GLUT 4受容体)、トランスフェリン受容体(トランスフェリン)、上皮細胞成長因子受容体(EGF)、低密度リポタンパク質受容体、高密度リポタンパク質受容体、レプチン受容体、エストロゲン受容体(エストロゲン);インターロイキン受容体(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15およびIL−17受容体を含む)、ヒト成長ホルモン受容体、VEGF受容体(VEGF)、PDGF受容体(PDGF)、トランスフォーミング成長因子受容体(例えば、TGF−aおよびTGF−βを含む)、EPO受容体(EPO)、TPO受容体(TPO)、繊毛様神経栄養因子受容体、プロラクチン受容体、およびT−細胞受容体からなる群から選ばれる。特に、ホルモンリガンドが好ましい。ホルモンとしてはステロイドホルモンおよびタンパク質性ホルモンの両方を含む。例えば、エピネフリン、チロキシン、オキシトシン、インスリン、甲状腺−刺激ホルモン、カルシトニン、絨毛性ゴナドトロピン、コルチコトロピン(cortictropin)、卵胞刺激ホルモン、グルカゴン、黄体形成(leuteinizing)ホルモン、リポトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、ノルエピネフリン、副甲状腺(parathryroid)ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、バソプレッシン、エンケファリン、セロトニン(seratonin)、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、コルチゾンおよびグルココルチコイド、並びに以下に例示するホルモンを含むが、これらに限定されない。受容体リガンドとしては、受容体(例えば、細胞表面受容体)と結合するリガンドを含む。例えば、ホルモン、脂質、タンパク質、糖タンパク質、シグナグトランスデューサー、成長因子、サイトカイン、およびその他を含む。ソマトスタチンおよびトランスフェリンが、特に好ましい。
【0025】
従って、好ましい実施態様において、該タンパク質はペプチドであり、特に癌特異的な細胞表面状態と結合することが知られるものが挙げられる。ソマトスタチン、トランスフェリンおよびそれらの機能的な誘導体が特に好ましい。その上、化学走性ペプチドを用いて、組織の損傷および炎症(特に、細菌感染によるもの)をイメージする;WO 97/14443(これは、本明細書の一部を構成する)を参照。加えて、ペプチドと関係する癌に関与する広範囲な酵素が存在し、該ペプチドは、これらの酵素と物質またはインヒビターのいずれかとして結合し、ターゲティング分子として付随的に使用することができる。
【0026】
カテプシンBは、腫瘍の侵襲および進行に関与する。細胞からのカテプシンBの分泌は、生理学的なpHで機能するが、媒質の酸性pHによって誘発され得る。そのものは、プロテアーゼカスケードを分解する細胞外基質(ECM)中のタンパク質であり、そしてこのものは基質の非存在下で自己分解を受ける。カテプシンBは、乳、頚部、卵巣、胃、肺、脳、結腸直腸、前立腺および甲状腺の腫瘍に関与する。そのものは、局所的な侵襲期で活性であり、IV期の腫瘍はより低い進展期の腫瘍よりも有意な高濃度を示す。そのものは、腫瘍細胞表面、接着斑、および浸潤突起(invadopodia)(ここで、該腫瘍細胞は基底膜およびECMと接触する)で活性であることが分かった。そのものは、細胞内および細胞外の両方でECMを分解し、例えば天然物質としてラミニン、フィブロネクチン、およびコラーゲンIVを含む。本発明における使用のための適当な更なるおよび合成の物質としては以下のものを含むが、これらに限定されない。エデスチン、ゼラチン、アゾカゼイン、ベンジルオキシカルボニルアルギニルアルギニン4−メチルクマリン−7−イルアミン(Z−Arg−Arg−NH−Mec);トリプシノーゲン;ベンジルオキシカルボニルフェニルアルギニン4−メチルクマリン−7−イルアミン(Z−Phe−Arg−NH−Mec);N−a−ベンジルオキシカルボニル−L−アルギニル−L−アルギニン2−ナフチルアミド(Z−Arg−Arg−NNap);セトフィン(setfin)A;ベンジルオキシカルボニルアルギニルアルギニンp−ニトロアニリド(Z−Arg−Arg−p−NA);インスリンの酸化β鎖;ベンジルオキシカルボニルフェニルアルギニンp−ニトロアニリド(Z−Phe−Arg−p−NA);a−N−ベンゾイル−L−アルギニンアミド(BAA);a−N−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル(BAEE);a−N−ベンゾイル−D,L−アルギニン2−ナフチルアミド(BANA);a−N−ベンゾイル−D,L−アルギニンp−ニトロアニリド(BAPA);a−N−ベンゾイル−L−リシンアミド(BLA);a−N−ベンジルオキシカルボニルグリシンp−ニトロフェニルエステル(CGN);および、a−N−ベンジルオキシカルボニル−L−リシンp−ニトロフェニルエステル(CLN)。Buckらによる, Biochem. J. 282 (Pt 1), 273-278 (1992);Moinらによる, Biochem. J. 285 (Pt 2), 427-434 (1992);Hasnainらによる, Biol. Chem. Hoppe Seyler 373, 413-418 (1992);Willenbrockらによる, Biochem. J. 227, 521-528 (1985);Otto, K.による, in Tissue Proteinases(Barrett, A. J.およびDingle, J. T.編))1頁, North-Holland, Amsterdam;Bajkowskiらによる, Anal. Biochem 68, 119-127 (1975)、およびそれらの中の引用文献(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0027】
加えて、様々な公知のインヒビター(例えば、シスタチンC,1−(L−トランスエポキシスクシニルロイシルアミノ)−4−グアニジノブタン(これは、E−64または(N−[N−(L−3−トランス−カルボキシオキシラン−2−カルボニル)−L−ロイシル]−アグマチン)とも呼ばれる)が存在する。Yanらによる, (1998) Biol. Chem. 379: 113;Kepplerらによる, (1994) Biochem. Soc. Trans. 22: 43;Hughesらによる, PNAS USA 95: 12410 (1998);Abdollahiらによる, J. Soc. Gynecol. Invest. 6: 32 (1999);Varugheseらによる, Biochemistry 31, 5172-5176 (1992);Hasnainらによる, J. Biol. Chem. 267, 4713-4721 (1992)(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照)。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0028】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、カテプシンDについての基質またはインヒビターである。カテプシンDは、典型的なAsp−Thr−Gly活性部位を有する48kDaのアスパルチルエンドプロテアーゼである。様々な他のカテプシンと同様に、そのものは、52kDaの前駆体であるプロカテプシンDとして産生される。そのものは、リソソーム中に遍在的に分配される。カテプシンDは、乳癌、腎細胞癌、卵巣癌およびメラノーマ癌に関係し、そして臨床的な転移へのミクロ転移の増殖に関与すると考えられる。腫瘍細胞において、カテプシンDは周囲の媒質中に分泌され、その結果、原形質膜にまで運搬される。カテプシンBと同様に、カテプシンDは、プロテアーゼのECM分解性カスケードの一部である。加えて、カテプシンDは、最適な活性のために酸性pH(4.5〜5.0)を必要とする。Rochefortらによる, APMIS 107: 86 (1999);Xingらによる, Mol. Endo. 12 (9): 1310 (1998);Yaziovitskayaらによる, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. 37: #3553 519 (1996);(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照)。それらの全てはターゲティング分子として使用することができる。
【0029】
公知のカテプシンDの基質およびインヒビターとしては例えば、基質:gp−120およびナフタラジン(naphthazarin)(5,8−ジヒドロキシル−1,4−ナフトキノン);およびインヒビター:ペプスタチン(pepstatine)およびエクイスタチン(equistatin)を含むが、これらに限定されない。Ollingerによる, Archives of Biochemistry & Biophysics. 373 (2): 346-51, 2000;EI Messaoudiらによる, Journal of Virology. 74 (2): 1004-7, 2000;Bessodesらによる, Biochemical Pharmacology, 58 (2): 329-33, 1999;および、Lenarcicらによる, Journal of Biological Chemistry. 274 (2): 563-6, 1999(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照。それらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0030】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、カテプシンKにとっての基質またはインヒビターである。カテプシンKはまた、弾性組織分解性(elastolytic)システインプロテアーゼでもあり、そしてこのものは最も強力な哺乳動物エラスターゼであると考えられ、そしてまたコラーゲン分解性活性を有する。カテプシンKは、そのコラーゲン分解性活性が他のシステインプロテアーゼと対比してコラーゲンの三重らせん体の不安定化に寄与せず、そして間質性コラーゲナーゼよりもより多くの部位で未変性分子を切断する点で、哺乳動物プロテイナーゼの間で特異的であると考えられる。従って、カテプシンKは、他のプロテアーゼの不在下で成体の皮質骨の不溶性コラーゲンを完全に分解することができる。そのものは、破骨細胞中で非常に発現する。そのものは、骨再吸収において重要な役割を果たしており、そして正常な骨の成長および再構築にとって必須である。そのものは、骨粗鬆症、多発異骨症(pycnodysotosis)、骨癌、並びに乳癌に関係する。乳癌は通常、骨に転移し、そしてカテプシンKは乳癌細胞(このものは、骨に広がりそして侵襲する)中での存在によって乳癌に関連すると最初に同定された。その基質としては例えば、エラスチンおよびコラーゲンを含むが、これらに限定されない。そのインヒビターとしては、例えば以下のものを含むが、これらに限定されない:Cbz−Gly−Arg−AMC;Cbz−Arg−Arg−AMC;Cbz−Gly−Gly−Arg−AMC;Cbz−Ala−Lys−Arg−AMC;Cbz−Ala−Arg−Arg−AMC;Cbz−d−Phe−Arg−AMC;Boc−Leu−Gly−Arg−AMC;H−Gly−Arg−AMC;H−Ala−Arg−AMC;Cbz−Leu−Leu−Leu−AMC;Cbz−Leu−Leu−AMC;Cbz−Phe−Gly−AMC;Cbz−Gly−Gly−Leu−AMC;Suc−Ala−Ala−Val−AMC;Cbz−Gly−Ala−Met−AMC;E−64;ロイペプチン(Ac−Leu−Leu−Arg−CHO);N−アセチル−Leu−Leu−メチオナール(methional);Ac−Leu Leu−Met−CHO;Ac−Leu−Val−Lys−CHO;Ac−Leu−Leu−Nle−CHO;Cbz−Lys−Leu−Leu−CHO;Cbz−Leu−Leu Leu−CHO;Cbz−Arg−Leu−Leu−CHO;1,3−ビス(アクリルアミノ)−2−プロパノンの群;1,3ジアミノケトンの群;および、1,5−ジアシルカルボヒドラジドの群。適当なカテプシンK基質としては、例えば以下のものを含むが、これらに限定されない:Cbz−Leu−Arg−AMC;Cbz−Val−Arg−AMC;Cbz−Phe−Arg−AMC;Cbz−Leu−Leu−Arg−AMC;Tos Gly−Pro−Arg−AMC;Bz−;Phe−Val−Arg−AMC;H−Pro−Phe−Arg−AMC;Cbz−Val−Val−Arg−AMC;Boc−Val−Pro Arg−AMC;Cbz−Glu−Arg−AMC;Bz−Arg−AMC;Ac−Phe−Arg−AMC;Boc−Val−Leu−Lys−AMC;Suc−Leu−Tyr AMC;Boc−Ala−Gly−Pro−Arg−AMC;Cbz−Gly−Pro−Arg−AMC;Z−Leu−Arg−4−メトキシ−b−ナフチルアミド(ここで、Cbzはベンジルオキシカルボニルであり、そして、AMCはアミノメチルクマリンである);ジアミノプロパノン、ジアシルヒドラジンおよびシスタチンC。Bossard, M. J.らによる, J. Biol. Chem. 271, 12517-12524 (1996);Aibe, K.らによる, Biol. Pharm. Bull. 19, 1026-1031 (1996);Votta, B. J.らによる, J. Bone Miner. Res. 12, 1396 1406 (1997);Yamshita, D. S.らによる, J. Am. Chem. Soc. 119, 11351-11352 (1997);DesJarlais, R. L.らによる, J. Am. Chem. Soc. 120, 9114-9115 (1998);Marquis, R. W.らによる, J. Med. Chem. 41, 3563-3567 (1998);Thompsonらによる, J. Med. Chem. 41, 3923-3927 (1998);Thompsonらによる, Bioorg. Med. Chem. 7, 599 605 (1999);Kamiya, T.らによる, J. Biochem. (Tokyo) 123, 752-759 (1998);Shiらによる, J. Clin. Invest. 104: 1191 (1999);および、Sukhovaらによる, J. Clin. Invest. 102: 576 (1998)(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照)。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0031】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、β−グルクロニダーゼについての基質またはインヒビターである。β−グルクロニダーゼは、乳癌、結腸直腸癌、および小細胞肺癌腫に関係する。β−グルクロニダーゼは、グリサミノ炭水化物の非還元性終端でグルクロニド結合を加水分解する。様々な基質がβ−グルクロニダーゼによって切断され、例えばフェノールフタレイングルクロニド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−グルクロニドなどを含むが、これらに限定されない。β−グルクロニダーゼの濃度は、十分に分化したセルライン中では低く、そして分化が乏しい(癌腫)セルライン中では高いことが分かった。加えて、β−グルクロニダーゼ活性は、腫瘍を貫通する間質細胞中および固形腫瘍の壊死領域中で検出され、ここでは、そのものは宿主炎症性成分、主に単球および顆粒球によって遊離される。癌性組織由来の酵素は、セリンおよびトレオニンの位置で炭水化物およびタンパク質をリン酸化することが分かった。β−グルクロニダーゼは、エキソグリシダーゼ(exoglycosidase)(これは、332kDaのホモ四量体である)である。そのものは、ヒト−6−P/IGFII受容体(ここでは、そのものは、酸性基質によって放出される)によってリポソームに輸送される。Fengらによる, Chin. Med. J. 112 (9): 854 (1999);Fujitaらによる, I., GANN 75: 598 (1984);Mintonらによる, Br. Canc. Res. Treat. 8: 217 (1986);Pearsonらによる, Cancer 64: 911 (1989);Bossletらによる, Canc. Res. 58: 1195 (1998);Jainらによる, Nat. Struc. Bio. 3: 375 (1998);Onoらによる, J. Biol. Chem. 263: 5884 (1988)(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0032】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、ヘパラナーゼについての基質またはインヒビターである。ヘパラナーゼは、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、大腸癌、肝細胞癌および頚部癌、転移性メラノーマ、神経芽細胞種、中皮腫、および内皮腫中に関係する。そのものは、不活性な65KDa形態を有する、50kDAのエンドグルクロニダーゼ(これは、時々プロテオグリカナーゼ(proteoglycanase)と呼ばれる)である。そのものは、非常に転移性の腫瘍細胞、活性化T−リンパ球、肥満細胞、血小板、および好中球によって分泌され、そして腫瘍細胞の侵襲および転移に関与すると考えられる。ヘパラナーゼの発現は、リンパ腫、線維肉腫、およびメラノーマセルラインの転移性の可能性と相関し、そして腫瘍を持つ患者の尿中で検出されている。その基質は、ヘパラン硫酸プロテオグリカンであって、このものは細胞外基質の自己組織化および不溶性において必須である。様々な公知のインヒビター(例えば、ヘパリンおよびポリ硫酸化多糖類の他の抗凝固分子(例えば、ホスホマノ−硫酸ペントース))が存在する。Vlodasvskyらによる, Nature Med. 5: 793 (1999);Hulettらによる, Nature Med. 5: 803 (1999)(これらは共に、本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0033】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子はヘプシンについての基質またはインヒビターである。ヘプシンは卵巣癌に関係し、そしてこのものは近接細胞のインプラントおよび侵襲を可能とすることによって、腫瘍の侵襲および転移に関与すると考えられる。そのものは、典型的な触媒的な三連分子構造(ser−his−asn)を有するセリンプロテアーゼであって、そしてマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を活性化し得る。そのものは、ペプチド結合の切断によってECMを分解し、そしてこのものは細胞外中に存在する。Tantimotoらによる, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. 38: (#2765) : 413 (1997)を参照。
【0034】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)(このうちの様々なものが知られる)についての基質またはインヒビターである。通常、MMPsの公知のインヒビターは、化学的に改変されたテトラサイクリン(CMTs)であり、このものの多数を以下に例示する。CMTsは、例えば以下のものを含むが、これらに限定されない:4−ジメチルアミノ−TC(これは、CMT−1としても知られる);テトラサイクリノニトリル(tetracycinonitrile)(CMT−2);6−デメチル,6−デオキシ,4−デジメチルアミノ−TC(CMT−3);7−クロロ,4−デジメチルアミノ−TC(CMT−4);4−ヒドロキシ,4−デジメチルアミノ−TC(CMT−6);12a−デオキシ,5−ヒドロキシ−4−デジメチルアミノ−TC(CMT−7);6a−デオキシ,5ヒドロキシ−4−デジメチルアミノ−TC(CMT−8);12a,4a−アンヒドロ,4−デジメチルアミノ−TC(CMT−9);7−ジメチルアミノ,4−デジメチルアミノ−TC(CMT−10)。CMTsに加えて、MMPsの他の公知のインヒビターとしては、MPs−1およびMPs−2の組織インヒビター(それぞれ、TIMP−1およびTIMP−2)、並びにミノサイクリン(Min)およびドキシサイクリン(Dox)を含む。MMPsについてのペプチド基質を含有する適当なターゲティング分子としては例えば、ペプチド配列:Pro−Met−Ala−Leu−Trp−Met−Arg(Netzel-Arnett, S.らによる, 1993, Biochem., 32: 6427-6432)を含む。MMPによるペプチド配列の認識は、ペプチド配列:Pro−Met−Ala−Leu−Trp−Met−Argの切断を生じて、2個のペプチドフラグメント:−Pro−Met−Ala−、および−Leu−Trp−Met−Argを与えることができる。好ましいペプチド基質としては、−Ala−Leu−を含む。他のMMPインヒビター、およびターゲティング分子として使用することができる基質が多数存在する。該基質は、配位部位バリヤーの使用の場合に、癌切断部位として特に有用である。これらのMMPインヒビターおよび基質としては、以下のものを含むが、これらに限定されない:1,10−フェナントロリン;CT 1847;AG3319、AG3340(これは、プリノマスタット(Prinomastat)とも呼ばれる)、AG3287、AG3293、AG3294、AG3296;2−メルカプトアセチルL−フェニル−アラニル−L−ロイシン;HSCHCH[CHCH(CH)]CO−Phe−Ala−NH;OPB−3206;フリン(Furin)インヒビター;3,4−ジヒドロ−1−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−(3−テトラヒドロフラニル)カルボネート(IW−1);1,2−ジヒドロ−3,6−ジオキソ−2−フェニル−ピリダジン−1−メチルカルボネート(LW−2);3,4−ジヒドロ−1−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−(2−メトキシ)エチルカルボネート(LW−3);1,2−ジヒドロ−2−エトキシカルボニル−(1−オキソ−イソチノリン(isochinolin)−5−イル)エチルカルボネート(LW−4);1(2H)−フタラジノン(phtalazinone)−2−(4−メトキシフェニル)カルボネート(LW−5);N−[2(R)−2−(ヒドロキサミドカルボニルメチル)−4−メチルペンタノイル]−L−トリプトファンメチルアミド(これはまた、GM6001とも呼ばれる)、ガラルディン(Galardin)およびイロマスタット(ilomastat));BAY 12−9566;ネオバスタット(Neovastat)(AE−941);BB−1101;G1129471;Ph(CHNH−D−RrevCO−CHCH−D)(これはまた、FC−336とも呼ばれる);Mca−Pro−Leu−Gly−Leu−Dpa−Ala−Arg−NH(切断は、GlyおよびLeuの間で起こる);DNP−Pro−Leu−Gly−lle−Ala−Gly−Arg−OOOH(切断は、GlyおよびLeuの間で起こる);アルボキシ(arboxy)メチルトランスフェリン(Cm−Tf);(7−メトキシクマリン-4−イル)アセチル−PLGP−[3−(2,4−ジニトロフェニル)−L−2,3−ジアミノプロピオニル]−AR−NH;(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル−PLAQAV−[3−(2,4−ジニトロフェニル)−L−2,3−ジアミノプロピオニル]−RSSSR−NH;Ac−PLG−[2−メルカプト−4−メチルペンタノイル]−LG−OEt;ペプチドI;GPLGLRSW;およびペプチドII:GPLPLRSW。通常、Greenwald, R. A.らによる, In vitro sensitivity of the three mammal collagenases to tetracycline inhibition: relationship to bone and cartilage degradation. Bone 22, 33-38 (1998);Kolb, S. A.らによる, Matrix metalloproteinase and tissue inhibitor of metalloproteinase in viral meningitis: upregulation of MMP-9 and TIMP-1 incerebrospinal fluid., J. Neuroimmunol. 84, 143-150 (1998);Charoenrat, P.らによる, Overexpression of epidermal growth factor receptor in human head and neck squamous carcinoma cell lines correlates with metalloproteinase-9 expression and in vitro invasion. Int. J. Cancer 86, 307-317 (2000);Uzui, H., Lee, J. D., Shimizu, H., Tsutani, H. & Ueda, T.による, The role of protein-tyrosine phosphorylation and gelatinase production in the migration and proliferation of smooth muscle cell., Atherosclerosis 149, 51-59 (2000);Montesano, R., Soriano, J. V., Hosseini, G., Pepper, M. 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A.らによる, Synthetic matrix metalloproteinase inhibitors and tissu inhibitor of metalloproteinase(TIMP)-2, but not TIMP-1, inhibit shedding of tumor necrosis factor-alpha receptors in a human colon adenocarcinoma (Colo 205) cell line., Cancer Res. 58, 4001-4007 (1998); Lein, M.らによる, Synthetic inhibitor of matrix metalloproteinases (batimastat) reduces prostate cancer growth in an orthotopic rat model., Prostate 43, 77-82 (2000);Brown, P. D.による, Matrix metalloproteinase inhibitors in the treatment of Cancer. Med. Oncol. 14, 1-10 (1997);Garbett, E. A., Reed, M. W. & Brown, N. J.による, Proteolysis in colorectal cancer., Mol. Pathol. 52, 140-145 (1999);Itoh, M.らによる, Purification and refolding of recombinant human proMMP-7 (pro-matrilysin) expressed in Escherichia coli and its characterization., J. Biochem. (Tokyo) 119, 667-673(1996);Wang, Y., Johnson, A. R., Ye, Q. Z. & Dyer, R. D.による, Catalytic activities and substrate specificity of the human membrane type 4 matrix metalloproteinase catalytic domain., J. Biol. Chem. 274, 33043 33049 (1999); Ohkubo, S.らによる, Identification of substrate sequences for membrane type-1 matrix metalloproteinase using bacteriophage peptide display library., Biochem. Biophys. Res. Commun. 266, 308-313 (1999)(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0035】
好ましい実施態様において、該ターゲティング分子は、マトリリシン(これは、文献中でpump−1およびMMP−7と呼ばれることがある)についての基質またはインヒビターである。そのものは、胃癌、大腸癌、乳癌および前立腺癌に関係し、そしてこれは転移、並びに潜在的には増殖および侵襲に関係することは明らかである。そのものは、サーモリシンタイプのZn結合領域を有する亜鉛金属結合酵素であり、そしてシステインスイッチによって活性化される。そのものは、他のMMPsと違って、腫瘍細胞と専ら結合し、そしてそのmRNAの発現はIL−βによって誘発される。そのものは、腺性組織の上皮細胞から分泌する。その基質としては例えば、プロテオグリカン(proteglycans)、ラミニン、フィブロネクチン、ゲラチン、コラーゲンIV、エラスチン、エンタクチン、およびテネイシンを含むが、これらに限定されない。そのインヒビターとしては例えば、様々な金属キレーターおよび組織インヒビター(TIMPs)を含む。MacDougallらによる, Cancer and Metastasis Rev. 14:351 (1995);Stetler-Stevensonらによる, FASEB 7:1434 (1993);Mirelle Gaireらによる, J. Biol. Chem. 269: 2032 (1994)(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0036】
好ましい実施態様において、該ターゲティング分子は、細胞外の角質層キモトリプシン酵素(statum corneum chymotryptic enzyme)(SCCE)(これは、卵巣癌に関係する)についての基質またはインヒビターである。この酵素は、近接細胞のインプラントおよび侵襲を可能とすることによって、腫瘍の侵襲および転移に関与する。そのものは、その活性部位において標準的な触媒的三連分子構造(ser−his−asp)を有するセリンプロテアーゼであり、そしてそのものはMMPsを活性し得る。その基質としては例えば、ゲラチンおよびコラーゲンを含み、そしてこのものはD43mAbによって阻害される。Tantimotoらによる, 上述;Hanssonらによる, J. Biol. Com. 269: 19420 (1994)(これらは共に、本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0037】
好ましい実施態様において、該ターゲティング分子は、セプラーゼ(seprase)についての基質またはインヒビターである。セプラーゼは乳癌に関係し、そして非侵襲性前癌性表現型から侵襲性悪性表現型への進行における早期の事象に関与する。そのものは、170kDaの二量体であって、そしてゲラチチナーゼ(gelanitinase)活性を有するセリン内在膜プロテアーゼ(これは、推定上の標準的な触媒的三連分子構造である)である。そのモノマー97kDa形態は、不活性である。触媒ドメインは、細胞外環境に曝露される。セプラーゼは、新生物侵襲性乳菅癌(IDC)細胞中で過剰発現し、そして良性の増殖性組織または正常な乳細胞中での低レベルの発現を示す。そのものはまた、MMPsを活性化し得る。そのものは、ゲラチンおよびコラーゲンを分解する。Kellyらによる, Mod. Path. 11(9): 855 (1998)(これは、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0038】
好ましい実施態様において、該ターゲティング分子は、タイプIVコラゲナーゼ(collegenase)(これはまた、NNP−2およびゲラチナーゼAを意味することがある)についての基質またはインヒビターである。該酵素は、乳癌、大腸癌、および胃癌に関係し、そして膜物質の浸透および間質の浸潤に関与する。そのものは、72kDaの中性のZnメタロエンドペプチダーゼ(これは、ペプシン耐性ドメイン中で基底膜タイプIVコラーゲンおよびゼラチンを分解する)である。そのものは、システインスイッチによって活性化され、そして膜タイプIのMMPである。そのものは、上皮細胞、線維芽細胞、内皮細胞、およびマクロファージによって不活性形態として、細胞外に分泌される。その基質としては例えば、タイプIVコラーゲン、ゼラチン、線維芽細胞腫、タイプVコラーゲン、タイプVIコラーゲン、プロMMP−9、およびエラスチンを含むが、これらに限定されない。そのインヒビターとしては例えば、TIMP−2を含む。Poulsomらによる, Am. J. Path. 141: 389 (1992);Stearnsらによる, Cancer Res. 53: 878 (1993);Nakaharaらによる, PNAS USA94: 7959 (1997);および、Johnsonらによる, Curr. Opin. Chem. Biol. 2: 466 (1999)(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0039】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、HER−2/neu−タンパク質(これは、erb−B−2を意味することがある)の基質またはインヒビターである。HER−2/neuは、乳癌、卵巣癌、および非小細胞(NDC)肺癌中に存在するチロシンキナーゼ活性を有する185kDaの膜貫通リン糖タンパク質である。高血清レベルは、乏しい予後および内分泌療法に対する耐性の増大と相関することが分かり、そして全ての乳癌の25〜30%で同定された。そのリガンドは、NDF/ヘレグリンおよびgp30(これは、TGFaに関連する)である。Codony-Seratらによる, Cancer Res. 59: 1196 (1999);Earpらによる, Breast Cane. Res. Treat. 35: 115 (1995);Depowskiらによる, Am. J. Clin. Pathol. 112: 459 (1999)(これらの全ては、本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0040】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、rasと結合しおよび/または阻害し、そしてNSC肺癌に関係する。Rasは、必須のシグナル形質導入タンパク質であり、それにより、HER2/neuタンパク質の過剰発現を生じ、そしてまた、p53過剰発現に関連する。rasの下方調節発現は非制御性の細胞増殖および癌を生じ、過剰発現は薬物耐性と相関する。そのものは、抗体およびT−細胞によって認識される表面抗原として機能する。Shackneyらによる, J. Thorac. Cadio. Surg 118: 259 (1999)(これは本明細書の一部を構成する)を参照。これらの全ては、ターゲティング分子として使用することができる。
【0041】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、RCAS1と結合する。RCAS1は、子宮癌、卵巣癌、食道癌、小細胞肺癌、胃腸癌、肺癌、および膵臓癌に関係する。そのものは、タイプ11膜タンパク質であり、そして正常な末梢性リンパ球(例えば、T細胞およびNK細胞)上の受容体に対するリガンドとして作用し、その後に、受容体細胞の抑制および細胞死を生じる。そのものは、リンパ球による免疫保護を中和する。そのものは、癌細胞表面上および細胞外媒質(medium)中で発現するが、正常な細胞中では検出されない。Nakashimaらによる, Nature Med. 5: 938 (1999)およびVillungerらによる, Nature Medicine 5: 874 (1999)(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0042】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、regタンパク質(これは、reg 1a、reg 1β、およびpapを含む)と結合する。Regは、膵臓癌、結腸直腸癌、および肺癌に関係し、そして、腺房細胞癌腫、膵芽腫、固形種、嚢胞性腫瘍、および乳菅癌腫に存在する。Rechrecheらによる, Int. J. Cancer 81: 688 (1999)およびKimuraらによる, Cancer 70: 1857 (1992)(これらは、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0043】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、膵臓腺癌に関係するトロンボスポンジン−1と結合する。そのものは、TGF−β(これは、線維形成(desmoplasia)を生じる重要な線維形成因子である)を活性化する。Cramerらによる, Gastrent. 166 (4 pt 2): pA1116 (G4840) (1999)(これは、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0044】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、カスパーゼ酵素(これは例えば、カスパーゼ−1(これは、IL−1βをも意味する)、−3、−8、−9などを含む)についての基質またはインヒビターである。カスパーゼはまた、アポトーシスカスケードに関与すると推定されるシステインプロテアーゼである。カスパーゼの多数は、通常30〜50kDaのプロ酵素である。それらは、切断部位のN−側上に4個のアミノ酸の認識を有するasp残基の後で、切断する。
【0045】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、アルファ1−酸性糖タンパク質(AAG)と結合する。AAGは、神経膠腫、転移性乳癌、および他の癌腫に対する予後の助けとして示唆されている。AAGは非常に可溶性であり、そしてこれは、1本の183アミノ酸のポリペプチド鎖である。そのものは、高炭水化物(45%)およびシアル酸(12%)の含有量、並びに低い等電点(pH2.7)を特徴とする。そのものは、多数の薬物(例えば、プロプラノロール、イミプラミン、およびクロロプロマジンを含む)(これらは全て、ガード(guarding)分子として使用することができる)の結合に関係する。
【0046】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、血管形成に関与する。血管形成に関与することが知られる広範囲の分子が存在する。例えば、血管内皮増殖因子(VEGF;例えば、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、およびVEGF−Dを含む)、FGF−1(aFGF)、FGF−2(bFGF)、FGF−3、FGF−4、肝細胞増殖因子(HGF、分散因子(scatter factor))、チミジンリン酸化酵素、アンジオゲニン、IL−8、TNF−a、レプチン、トランスフォーミング成長因子(TGF−a、TGF−β)、血小板由来成長因子、プロリフェリン(proliferin)、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を含むが、これらに限定されない。公知の血管形成インヒビターとしては以下のものを含むが、これらに限定されない:血小板因子4、トロンボスポンジン−1、インターフェロン(IFN−a、IFN−β、IFN−?)、IL−1、IL−2、血管内皮増殖インヒビター(VEGI)、2−メトキシエストラジオール、MMPsの組織インヒビター(TIMPs)、プロリフェリン関連タンパク質、アンジオスタチン、エンドスタチン、u−PAのアミオン末端フラグメント(ATF)、サリドマイド、TNP−470/AGM−1470、カルボキシアミドトリアゾール、マスピン(maspin)、AG3340、マリマスタット(marimastat)、BAY9566、CSG−27023A、gly−arg−gly−asp−ser(GRGDS)、tyr−ile−gly−ser−arg(YIGSR)、およびser−ile−lys−val−ala−val(SIKVAV)が挙げられる。van Hinsberghらによる, Annals of Oncology 10 Supp. 4: 60 (1999)およびその中の引用文献;Liらによる, Human Gene Therapy 10 (18): 3045 (1999);Duenasらによる, Investigative Ophthalmology, 1999;Bauerらによる, J. Pharmacology & Experimental Therapeutics 292(1): 31 (2000);Zhangらによる, Nature Medicine 6 (2): 196 (2000);Siposeらによる, Annal of the New York Academy of Sciences 732: 263 (1994およびその中の引用文献);Niresiaらによる, Am. J. Pathology 138 (4): 829 (1991);Yamamuraらによる, Seminars in Cancer Biology 4 (4): 259 (1993)を参照。従って、これらの因子と結合する分子は、本発明においてターゲティング分子として有用である。
【0047】
ある実施態様において、ターゲティング分子は抗体である。用語「抗体」とは、当該分野において知られる抗体フラグメントを含み、例えば、Fab Fab2、一本鎖抗体(例えば、Fv)、キメラ抗体など(ホール(whole)抗体の改変によって産生するもの、または組み換えDNA技術もしくは他の技術を用いて新規に製造したもののいずれか)を含む。
【0048】
ある実施態様において、本発明の抗体ターゲティング分子は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')、または抗体の他の抗原結合サブ配列)(このものは、非ヒト免疫グロブリン由来の最少配列を含む)である。ヒト化抗体は、該レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、所望する特異性、アフィニティー、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギ)のCDR由来の残基によって置換された、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。例えば、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体または移入(imported)CDR配列もしくはフレームワーク配列のいずれにおいても存在しない残基をも含み得る。通常、ヒト化抗体は、少なくとも1つであって典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、ここで、該CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、そしてFR領域の全てもしくは実質的に全てがヒト免疫グロブリン共通配列のものである。該ヒト化抗体は最適には、免疫グロブリン定常部(Fc)(典型的には、ヒト免疫グロブリンのもの)の少なくとも1部分を含む[Jonesらによる, Nature 321: 522-525 (1986);Riechmannらによる, Nature 332: 323-329 (1988);および、Prestaによる, Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)]。
【0049】
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該分野においてよく知られる。通常、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からその中に導入される1個以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入(import)」残基と呼ばれることが多く、このものは典型的に「移入」可変ドメインから採られる。ヒト化は、Winterおよび共同研究者による[Jonesらによる, Nature 321: 522-525 (1986);Riechmannらによる, Nature 332: 323-327 (1988);Verhoeyenらによる, Science 239: 1534-1536 (1988)]の方法に従って、ヒト抗体の対応する配列の代わりにげっ歯類CDRsまたはCDRの配列で置換することによって、本質的に行なうことができる。従って、該「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、ここでは、実質的に少ない無傷のヒト可変ドメインが非ヒト種由来の対応する配列によって置換される。実際には、ヒト化抗体は典型的には、いくつかのCDR残基および可能ならばいくつかのFR残基がげっ歯類の抗体中のアナログ部位由来の残基によって置換された、ヒト抗体である。
【0050】
ヒト抗体はまた、当該分野において知られる様々な技術を用いて製造することができ、例えばファージディスプレーライブラリー[HoogenboomおよびWinterによる, J. Mol. Biol. 227: 381 (1991);Marksらによる, J. Mol. Biol. 222: 581 (1991)]を含む。ColeらおよびBoernerらによる技術はまた、ヒトモノクローナル抗体の製造に利用することができる(Coleらによる, Monoclonal Antibody and Cancer Therapy, Alan R. Liss, 77頁 (1985)、およびBoernerらによる, J. Immunol. 147 (1): 86-95 (1991)]。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物(例えば、マウス)(ここでは、内因性の免疫グロブリン遺伝子は部分的にまたは完全に失活されている)中にヒト免疫グロブリン座位を導入することによって製造することができる。抗原投与の際に、ヒト抗体の産生が観察され、このことは、全ての面(例えば、遺伝子の再構成(rearrangement)、構築、および抗体レパートリーを含む)でヒトにおいて観察されるのと非常に似ている。この方法は、例えば米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号、および以下の科学的な刊行物(Marksらによる, Bio/Technology 10: 779-783 (1992);Lonbergらによる, Nature 368: 856-859 (1994);Morrisonによる, Nature 368: 812-13 (1994);Fishwildらによる, Nature Biotechnology 14: 845-51 (1996);Neubergerによる, Nature Biotechnology, 14: 826 (1996);LonbergおよびHuszarによる, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995))中に記載されている。
【0051】
二重特異性抗体は、モノクローナル抗体であり、ヒト抗体もしくはヒト化抗体(これらは、少なくとも2個の異なる抗原に対する結合特異性を有する)が好ましい。本発明において、該結合特異性の1つは、第1ターゲット分子に対するものであり、そして他方は第2ターゲット分子に対するものである。
【0052】
二重特異性抗体の製造方法は、当該分野において知られる。典型的には、二重特異性抗体の組み換え産生は、2個の免疫グロブリンの重鎖/軽鎖の対(ここで、該2個の重鎖は異なる特異性を有する)の同時発現に基づく[MilsteinおよびCuelloによる, Nature 305: 537-539 (1983)]。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな各種取り合わせ(assortment)の理由で、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の可能な混合物(この内、1つだけが正確な二重特異的な構造を有する)を与える。該精密分子の精製は通常、アフィニティークロマトグラフィー工程によって達成する。同様な方法は、WO 93/08829(1993年5月13日公開)、およびTrauneckerらによる, EMBO J. 10: 3655-3659 (1991)中に開示されている。
【0053】
所望する結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合することができる。免疫グロブリン重鎖定常ドメイン(これは、ヒンジ、CH、およびCH領域の少なくとも1部分を含有する)との融合が好ましい。第1の重鎖定常部(CH1)(これは、該融合の少なくとも1つに存在する軽鎖との結合にとって必要な部位を含有する)を有することが好ましい。該免疫グロブリン重鎖融合(望むならば、免疫グロブリン軽鎖)をコードするDNAを、別々の発現ベクター中にインサートし、そしてこれらを適当な宿主生物中に同時形質移入する。二重特異的な抗体を得るための更なる詳細については、例えばSureshらによる, Methods in Enzymology 121: 210 (1986)を参照。
【0054】
ヘテロ接合(Heteroconjugate)抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロ接合抗体は、2個の共有結合した抗体から構成される。該抗体は例えば、免疫系細胞を望まない細胞にターゲット化し[米国特第4,676,980号]、およびHIV感染の処置のために[WO 91/00360;WO 92/200373;EP03089]、提案されている。該抗体は合成タンパク質化学における公知の方法(例えば、架橋剤が関与する方法を含む)を用いてインビトロで製造することができると、企図する。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いるかまたはチオエーテル結合を形成させることによって、構築することができる。この目的に適当な試薬としては例えば、イミノチオエートおよびメチル4−メルカプトブチルイミデート、および例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものを含む。
【0055】
好ましい実施態様において、抗体は癌細胞上の細胞表面マーカーを指向し、すなわち、ターゲット分子は細胞表面分子である。当該分野において知られる通り、腫瘍細胞(例えば、HER2を含むが、これらに限定されない)上で差次的に発現することが知られる様々な抗体が存在する。
【0056】
加えて、生理学的に関連する炭水化物に対する抗体を使用することができ、例えば、乳癌(CA15−3、CA 549、CA 27.29)、ムチン様癌腫関連抗原(MCA)、卵巣癌(CA125)、膵臓癌(DE−PAN−2)、並びに結腸直腸癌および膵臓癌(CA 19、CA 50、CA242)についてのマーカーに対する抗体を含むが、これらに限定されない。特に好ましい炭水化物ターゲティング分子は、上で概説する酵素β−グルクロニダーゼと結合する。
【0057】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は炭水化物である。本明細書中で使用する「炭水化物」とは、一般式Cx(HO)yを有する化合物を意味する。単糖類、二糖類、およびオリゴ糖類または多糖類は全て該定義中に包含され、そしてグリコシド結合によって結合した様々な糖類分子のポリマーを含む。特に好ましい炭水化物は、グリコシル化タンパク質の炭水化物成分の全てまたは一部を含むものであり、例えば、ガラクトース、マンノース、フラノース、ガラクトサミン(特に、N−アセチルグルコサミン)、グルコサミン、グルコース、およびシアル酸、特にグルコシル化成分(これは、ある受容体(例えば、細胞表面受容体)と結合することができるグルコシル化成分)のモノマーおよびオリゴマーを含む。他の炭水化物は、グルコース、リボース、ラクトース、ラフィノース、フルクトース、および他の生物学的に重要な炭水化物のモノマーおよびポリマーを含む。特に、多糖類(例えば、アラビノガラクタン(arabinogalactan)、アラビアガム、マンナンなどを含むが、これらに限定されない)は、MRI剤を細胞中に運搬するのに使用され(米国特許第5,554,386号(これは、本明細書の一部を構成する)を参照);そして、同様に本発明の三連分子構造組成物に使用することができる。
【0058】
加えて、炭水化物ターゲティング分子の使用により、異なる組織中への差次的な取り込み、または該化合物の半減期の改変が可能となる。
【0059】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は脂質である。本明細書中で使用する用語「脂質」とは例えば、脂肪、脂肪油、ワックス、リン脂質、糖脂質、テルペン、脂肪酸およびグリセリド(特に、トリグリセリド)を含む。脂質の定義中には、エイコサノイド、ステロイド、およびステロールをも含み、そのいくつかはまた、ホルモン(例えば、プロスタグランジン、オピエート、およびコレステロール)である。
【0060】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子を用いて、該三連分子構造剤を細胞質へ内部移行したりまたはそのものを特定の細胞コンパートメント(例えば、核)に局在化することができる。
【0061】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、HIV?1TaTタンパク質アナログ、および関連タンパク質の全てまたは一部であり、これにより、ターゲット細胞中への非常に高い取り込みが可能となる。例えば、Fawellらによる, PNAS USA 91: 664 (1994);Frankelらによる, Cell 55: 1189 (1988);Savionらによる, J. Biol. Chem. 256: 1149 (1981);Derossiらによる, J. Biol. Chem. 269: 10444 (1994);Baldinらによる, EMBO J. 9: 1511 (1990);Watsonらによる, Biochem. Pharmcol. 58: 1521 (1999)(これらは全て、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0062】
好ましい実施態様において、ターゲティング分子は、核局在化シグナル(NLS)である。NLSsは通常、短く正に荷電した(塩基性)ドメインであって、このものは該分子をそれらが細胞核と結合するように指向するよう機能する。多数のNLSアミノ酸配列が報告されており、例えば単一塩基性NLS'sを含む。例えば、SV40(サルウイルス)ラージT抗原(Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val)(Kalderon (1984)らによる, Cell, 39: 499-509);ヒトレチノイン酸受容体−β核局在化シグナル(ARRRRP);NF?B p50(EEVQRKRQKL;Ghoshらによる, Cell 62: 1019 (1990);NF?B p65(EEKRKRTYE;Nolanらによる, Cell 64: 961 (1991);および、その他(例えば、Boulikasによる, J. Cell. Biochem. 55 (1): 32-58 (1994)(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)、並びに二重塩基性NLS's(これは、アフリカツメガエル(Xenopus)(African clawed toad)タンパク質、ヌクレオプラスミン(Ala Val Lys Arg Pro Ala Ala Thr Lys Lys Ala Gly Gln Ala Lys Lys Lys Lys Leu Asp)によって例示される)(Dingwallらによる, Cell, 30: 449-458, 1982;および、Dingwallらによる, J. Cell Biol.,107: 641-849; 1988)が挙げられる。多数の局在化研究が、NLSs(これは、合成ペプチド中に取り込まれたりまたはリポータータンパク質上に移植されるが、通常細胞核にターゲットされない)により、これらのペプチドおよびリポータータンパク質の核中での濃縮が生じることを報告している。例えば、DingwallおよびLaskeyによる, Ann, Rev. Cell Biol., 2: 367-390, 1986;Bonnerotらによる, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84: 6795-6799, 1987;Galileoらによる, Proc. Nati. Acad. Sci. USA, 87: 458-462, 1990を参照。
【0063】
好ましい実施態様において、肝胆汁性システムについてのターゲティング分子を使用する;米国特許第5,573,752号および第5,582,814号(これらは共に、本明細書の一部を構成する)を参照。
【0064】
ターゲティング分子およびイメージング分子に加えて、PDT処置分子が、本発明の多機能性剤に含まれる。光線力学的療法は、腫瘍、並びに加齢関連黄斑変性症の承認された処置である。PDTは、光増感剤を被験者の血流中に導入することによって開始する。適当な時間間隔後に(これは通常、数十時間(tens of hours)であり、これにより、該剤の適当な部位での蓄積が可能となる)、可視光(通常、赤色レーザー光線)をドナー位置で照射する(shining)ことによって、該光増感剤を活性化する。ターゲット剤の場合(例えば、本明細書中に記載する場合)、蓄積の期間を短縮することができ、これにより、処置時間をより短縮できることに注目すべきである。
【0065】
PDTは、いくつかのポルフィリンおよびポルフィリン様光増感剤の特別の能力を用いて、病理学的な細胞中に蓄積し、そして放射時もしくはその後に吸収される光子エネルギーを血液および組織中の天然酸素分子にまで移動させる。ポルフィリン剤を用いてPDTを構築する光物理学プロセスを、図1に示すエネルギーレベル図中に要約する。
【0066】
その典型的な実行において、可視波長の1光子の吸収により、光増感剤分子は短寿命励起状態S1(これは、170〜190kJmolのエネルギーを有する)となり、これは、約620〜690nmの照明波長に相当する。数ナノ秒を変えると、該ポルフィリンは、項間交差(TSC)機構によって三重項状態T1(これは、110〜130kJmol−1のエネルギーおよびより長い寿命を有する)にミリ秒の次数で変換される。三重項基底状態3Σgから励起一重項状態1Δg(これは、94kJmol−1の励起エネルギーを有する)へスイッチすることによって、この三重項状態から、エネルギーをどこにでも存在する酸素分子に伝達する。一旦、励起一重項状態となると、該酸素は極端な活性種を供し、このものは、周囲の細胞物質と化学的に反応し、そして腫瘍のアポトーシスを生じる。
【0067】
より長波長の使用の場合としては、より長波長光の2光子の吸収を生じる近赤外光が、乳癌および他の癌を処置するために開発されている。米国特許第5,829,448号、第5,832,931号、第5,998,597号、および第6,042,603号を参照。この2光子技術は、モード同期(locked)Ti:サファイアレーザーを用いて、近赤外光を有するPDTを与える。1光子PDTと対比して、Ti:サファイアレーザーによって産出される近赤外光は、使用する光反応性剤の特徴的な1光子吸収波長帯よりも実質的に長い波長である。通常の光線力学的な反応に関与する1(single)光子吸収プロセスの代わりに、2光子プロセスが、700〜1300nm光のパルスを有する放射の際に生じ得る。そのかなり長い波長のために、Ti:サファイアレーザーによって放射される近赤外光は、8センチメートル以上にまで組織中に透過することができ、それにより、腫瘍(これは、被験者の身体内のかなり深くにあり、真皮層の真下にある)を処置することが可能となる。加えて、適当な領域中で光を放出し/受けるのに適合する内視鏡の使用を、当該分野によって認められている他のタイプのより深い組織について使用することができる。
【0068】
特に有効である光増感剤分子の場合には、それらは腫瘍組織中に選択的に蓄積する。ポルフィリンベースの分子はこの特徴を有することが知られる。今日まで、連邦食品医薬品局(U. S. Food and Drug Administration)は、少なくとも2個のポルフィリンベースのPDT剤:フォトフリン(Photofrin)(登録商標)およびベルテポルフリン(Verteporfrin)(登録商標)を承認している。フォトフリン(登録商標)は天然のポルフィリンであり、このものは、可視スペクトルのレンジ(X<690nn)で光を吸収する。しかしながら、これらの化合物のいずれも700〜1300nmの放射の近赤外領域内での有意な吸収スペクトルを有せず、また、それらは効率的な多光子吸収をも示さない。
【0069】
しかしながら、ある場合には、1(single)光子PDT剤をターゲティング分子とカップリングさせて、該剤の特異性を増大させ、所望する位置で蓄積させ、そして下記の通りイメージング剤とカップリングさせて、三機能性剤を得ることができる。好ましい実施態様は、ターゲティング分子を有する二機能性剤またはイメージング剤の添加を伴う三機能性剤のいずれかとして、2光子PDT剤を使用する。
【0070】
1光子吸収帯をより長い波長にシフトするための、ポルフィリン構造(例えば、クロリン(chlorin)またはバクテリオクロリン(bacteriochlorin))の化学的な改変は、T1状態のエネルギーが一重項酸素の励起エネルギーよりも高いという基礎的な要件によって制限される。その上、ポルフィリン構造のそれら構造的な改変は、安定性が劣る化合物を与え得る。
【0071】
非ポルフィリンベースの物質は、TPA断面積を増大し得るが、典型的には一重項酸素を生成する能力を欠くかあるいは生物学的組織との未知のまたは有害ないずれかの相互作用の性質を有するかのいずれかであり得る。
【0072】
現時点では、FDAは、いくつかのタイプの皮膚癌、転移性乳癌および特定の内視鏡が利用可能な癌を処置することだけが可能であるとPDA治療剤を承認している。その理由は、これらの試薬にとっての活性化波長は700nm以下であるために、皮膚および表面組織を通過する光の透過の不足のためである。PDTをより一般的に利用可能とするためには、組織中により深くまで光を運搬することが重大である。このことは、2光子吸収(TPA)の非線形光学効果を利用することによって達成することができる。この場合に、照明は、組織がよりずっと透明であるNIR波長で実行する。しかしながら、最も公知のポルフィリンのTPAは非効率で悪名高く、深い腫瘍のPDT処置は非実用的となっている。我々は最近、TPA断面積を増大した新規なポルフィリン増感剤(引用文献16(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)の合成を報告し、そしてこのものがNIR光を用いた照明時に一重項酸素を生成する能力を示した。ポルフィリンによるTPAおよび一重項酸素の生成に関与するプロセスを、図1に示す。TPA後に、励起一重項から三重項状態への項間交差が生じ、引き続いて溶液中(または、腫瘍の場合には血液中)に溶解した一重項酸素が得られることに注目すべきである。
【0073】
FDA承認の光線力学的な利用法において現在使用中のポルフィリンは、組織透明ウィンドウ(800〜1000nm)でそれらの吸収を有するという欠点を持つ。その理由は、それらのS0からS1の遷移は通常、620〜690nm領域内であり、ここで、皮膚を通過する有効な透過はわずか数ミリメートルであるためである。残念なことに、1光子吸収帯をポルフィリン構造の化学的な改変によってより高波長(赤色シフト)へシフトする試みは、一重項酸素の励起エネルギーがT1状態のエネルギーよりも低いという基礎的な要件と矛盾する。加えて、ポルフィリンエネルギーレベルの長波長シフトは、ポルフィリンの光安定性を低下させることによってその状況を悪化させることが多い。1および2個の光子PDT化合物の両方(後者が好ましい)が、本発明における使用において見出した。特に、PCT US02/26626(2002年8月22日出願)(これはまた、米国公開番号2003/0105070(これは、本明細書の一部を構成する))中に記載されている2光子分子が好ましく(該図面中に示されている2PM剤が特に好ましい)、少なくとも1個のTPA発色団を用いて改変したポルフィリン分子(これは、2PM分子を与える)が特に好ましい。通常、米国公開番号2003/0105070中の構造は通常、以下に記載するいずれかの番号の位置での結合によって使用することができることに注目すべきである。ポルフィリン環の炭素を用いるリンカー(従って、本明細書中の剤の他の構成成分)との結合が好ましい。図4に示す通り、別のリンカーを用いて、Cに示すコアリンカーと結合することができる。ポルフィリンとカップリングさせた場合に2PMを得るために使用する同じTPA発色団がイメージング剤として使用することができることは、更に注目すべきである。あるいは、1個のTPA発色団を用いて、ポルフィリンおよびイメージング分子としての別のものを有する2PMを得る。
【0074】
ターゲティング分子に加えて、好ましい実施態様は、イメージング分子を利用する。使用することができる様々な適当なイメージング分子が存在する。例えば、光学的なイメージング剤(例えば、発色団および発発色団を含む)、並びに他の技術に基づくイメージング剤(例えば、MRIおよびPETの造影剤)を含むが、これらに限定されない。
【0075】
好ましい実施態様は、1光子発色団(これは、当該分野において知られ、このもののいくつかは図5に示す)を利用する。
【0076】
本明細書中に概説する方法に加えて、本発明の剤は、他のイメージング様式を用いてカップリングすることができる。これらの技術のいくつかの評価は、実際には現時点ではNIH(NCI)によって資金を供給されている。これは、Johns Hopkins Medicine Department of Radiology(これは、NCIによって資金を供給されており、そして米国放射線学会議(the American College of Radiology Imaging Network)と呼ばれる)によって管理されている2千5百万ドルの研究を含む。これにより、従来のおよびデジタルのマンモグラフィーの相対的な利点と比較するために、米国およびカナダ国において49,500人の女性を審査する。以下の簡単なリストは、より有望なイメージング技術のいくつかを含む。以下の議論は乳癌を強調しているが、同じ考えが他のタイプの固形癌性腫瘍、およびある場合には多数の他の疾患状態において保たれることは、再度強調されるべきである。これらのイメージング様式の全ては、本出願中に記載されている技術に付加することができる有効な剤を有する。
【0077】
デジタルマンモグラフィー:
従来のマンモグラフィーと比較して、デジタルマンモグラフィーは、X−線フィルムの代わりにコンピューターコードでX−線データを記録する。デジタルマンモグラムについての方法は通常のマンモグラフィーのものと同じであり、そしてイメージは電子工学的に保存されるので、長い距離の診察が可能である。しかしながら、デジタルマンモグラフィーが従来のマンモグラフィーよりも癌を検出する際により有効であるとの研究は未だ結論を示していないと報告されている(引用文献10(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)。
【0078】
コンピュータ支援診断(Computer-Aided Detection):
本技術は、通常のマンモグラフィーによって既に知られる疑わしい領域を放射線科医の目に留めさせるための、コンピューターの使用を含む。これは、置換技術ではなく、むしろ増大である。CADは、放射線科医がより密に診察したいことがあり得る乳の領域をマークする。乳のイメージングのためのCAD技術は、1998年にFDAによって承認され、そしてR2社(R2 Technology, Inc.)はImageCheckerと呼ばれる診断システムを市販し、そして世界中で約200ユニットを売った。
【0079】
磁気共鳴画像法(MRI):
磁気共鳴画像法(引用文献10(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)は、無線高周波放射をX−線の代わりに使用する点で、化合物の構造を測定するために広範囲に使用されている核磁気画像システムと同じである。該プロセスは、軟組織の詳細な写真を得る際に非常に正確であるが、しかし、長い患者のセッション(1時間まで)(ここでは、患者はそのままでなければならない)を必要とし、そしてある機械は非常に密室恐怖である。MRIは必ずしも癌性および良性の組織を区別することができるとは限らず、そしてそのものは、微小石灰化を検出することができて、多数の偽陽性を減少させ得る。MRI造影剤は、通常のマンモグラフィーから得られるものよりもずっと鮮明であるイメージを与えることができ、そして、MRIシグナルは脂肪沈着物由来のシグナルによっては損なわれない。Siemens社、Marconi社、Philips Medical Systems社およびGE社は全て開発中のシステムを有し、そしてNIHは、乳癌のための診断用ツールとしてMRIを評価する、14の大学および研究センターの総括コンソーシアムである。上記の通り、MRI造影剤(例えば、DOTAおよびDTPAの誘導体)はイメージング剤として使用することができ、またはMRI(造影剤のあるなし)はアジュバントイメージング工程として使用することができる。
【0080】
今日まで、MRIにおける造影の基礎を形成する常磁性イオンについての多数のキレーターが使用されており、例えばジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−'N,N''',N''’−四酢酸(DOTA)、およびそれらの誘導体を含む。米国特許第5,155,215号、第5,087,440号、第5,219,553、第5,188,816号、第4,885,363号、第5,358,704号、第5,262,532号、およびMeyerらによる, Invest. Radiol. 25: S53 (1990)を参照。
【0081】
超音波(超音波検査):
超音波画像技術は、組織および内臓の外に音波をはね返らせ(bounce)、そしてソノグラムと呼ばれるエコー写真を与える。超音波を用いて、マンモグラムにおいては見ることが困難な乳内の塊を評価することができ、そして固形腫瘍および体液充填嚢腫(fluid-filled cysts)の間の区別をすることができる。3D超音波技術(引用文献12を参照)は、腫瘍に関係する乳内の異常な血管の活動を検出することができ、そしてこのものは深さが2インチにまでイメージすることができる。超音波は、癌の早期の徴候を一貫して検出することはできない。
【0082】
ポジトロン放出断層撮影(PET):
PETスキャンは、低用量の放射性トレーサーを患者に注射することによって、組織内での化学的な変化のコンピュータ化されたイメージを作ることができる。該トレーサーを経口摂取後に、該患者を約45分間そのままにしておかなければならず、その後にPETスキャナーを用いて更に45分間イメージをとり、そして放射性核種の位置および濃度を定量化して、高分解能イメージを得る。PETスキャンは、大きくて且つより高悪性度の腫瘍を検出する際には非常に正確であるが、しかし、8mmよりも小さい腫瘍または高悪性ではない腫瘍を検出する際には良好ではない。PETトレーサーを本発明におけるイメージング分子として使用することができ、またはPETスキャンを本発明のイメージングの方法にとっての補助として使用することができる。
【0083】
電気インピーダンススキャニング法(Electrical Impedance Scanning):
EISは、電気が物質を通って移動するスピードを測定する。乳癌組織は、正常な組織よりもずっと低い電気インピーダンスを有する。これらのデバイスは、典型的なマンモグラフィーと組み合わせて使用され、そして該マンモグラフィーによっては検出されない異常な領域を検出することができる。そのものは、乳癌についての独立型(stand-alone)デバイスとしては承認されておらず、また利用されていない。
【0084】
光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography)(OCT)
共に組織の外に波長をはね返すことによるが、音よりもむしろ光を用いることによってイメージを作る点で、OCTは超音波に似ている。そのものは、伝導性媒質(conducting medium)を必要とせず、従って水および空気を通ってイメージングすることができる。該技術は、2次元および3次元の高分解能イメージに翻訳することができる干渉パターンを作るために、2個のNIR光線を使用する。アドバンスド社(Advanced Research Technologies, Inc.)は、臨床治験においてソフトスキャン(SoftScan)(ここでは、光学的なイメージは、典型的なマンモグラフィーおよびバイプシーと比較される)と呼ばれるシステムを有する。ベックマンレーザー学会(Beckman Laser Institute)(カリフォルニア大学アーバイン校(U.Cal.-Irvine))での研究者(B. Tromberg)は、乳圧迫なしで、深さが数センチメートルにまで約30秒で600〜1000nmの完全なスペクトル写真を捕獲することができるレーザーベースの乳組織スキャナーを開発した。該技術は、酸素化および脱酸素化したヘモグロビン、水および脂肪の濃度、並びに全ヘモグロビン含有量を定量化する。該スキャナー(これは、10NIRレーザーおよび乳組織を通じて照射するために広いバンド域の光源から構成される)は、レーザー光源をMHzからGHzに及ぶ周波数で調節し、ある位相速度で組織を通って伝導する拡散光子密度波(diffuse photon density wave)を作ることによって、吸収および散乱の効果を分離する。初期の研究において、該スキャナーは、年齢の差違、組織密度およびホルモンレベルの変化に関係する乳組織における正常な変化を検出することができた。通常のマンモグラフィーおよび生検との比較を、計画する。クレモン大学(Clemson University)の同様な研究者(H. Jiang)は、16〜3mmの光ファイバー束を通る785nmの光を用いて、5mmよりも小さい癌腫を検出することを可能とした(引用文献14(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)。ダートマス大学(Dartmouth College)の研究者(T. McBride)は、16〜3mmの光ファイバー束およびTi:サファイアレーザー(600〜1100nmの領域で操作する)を用いて同様な結果を得ている(引用文献15(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)。光学的な断層撮影法は、10cmの直径領域内に包埋されたサブセンチメーター対象物を検出しおよび確認することができることを示した。
【0085】
イメージング社(Imaging Diagnostic Systems, Inc.)(Plantation, FL)は、コンピュータ断層レーザーマンモグラフィー(CTLM)(これは、現在ではFDAによって評価されており、そして欧州では市販されている)と呼ばれるシステムを開発している。米国においては、ウーマンズセンター・オブ・ラジオロジー(Women's Center of Radiology)(Orlando, FL)、エリザベス・ウェンデ・ブレスト・クリニック(the Elizabeth Wende Breast Clinic)(Rochester, NY)に設置されており、そしてIDEプログラム下、米国において総計10個のCTLMシステムを置くとのFDA承認が得られている。該システムは、最先端のレーザー技術および専売のアルゴリズムを使用して、乳圧迫を用いることなく、乳(4mm毎)の近接する断面積イメージを作る。それらはまた、CTLMシステムの開発を助けるために、乳組織と同様な光学的な性質を有するファントムをも開発した。マーカーとしてのNIR発発色団の局在化は、ファントムにおいて実証することに成功した。このシステムは、いずれの角度からも見ることができる乳の3−D投影を与え、そして完全なイメージを、患者がスキャンベッド上に腹臥位で横たわったまま15〜20分で得ることができる。
【0086】
従って、好ましい実施態様を図2および3に示し、これは以下のもののいずれかまたは全てを含有する二連分子構造(dyads)(二機能性剤)を示す:(1)ターゲティング分子を有する1光子PDT分子(これは、ソマトスタチン−14、オクトレオエート、またはそれらの誘導体として該図に示すが、しかし、上記のターゲティング分子のいずれかを含み、ペプチドが特に好ましい);(2)ターゲティング分子を有する2光子PDT分子:(3)1光子PDT分子、ターゲティング分子、およびイメージング分子;または、(4)2光子PDT分子、ターゲティング分子、およびイメージング分子。
【0087】
通常、該三連分子構造組成物の3成分は、共有結合する。これは、多数の様式で達成することができる。図1中に例示するAおよびB成分、並びにヨードトリカルボシアニン−ペプチド接合体としてのそれらの組み合わせの製造は、既に記載されている。Becker, A., Hessenius, C., Licha, K.らによる, 「Receptor-targeted Optical Imaging of Tumor with Newar-infrared Fluorescent Ligands」., Nature Biotech. 19: 327 (2001);Achilefu, A., Dorshow, R. B., Bugai, J. E., Rajagopalan, R.による, 「Novel Receptor-targeted Fluorescent Contrast Agents for In Vivo Tumor Imaging」, Investig. Radiology 35: 479 (2000), 36.;Licha, K., Riefke, B., Ntziachristos, V., Becker, A., Chance, B., Semmler, W.による, 「Hydrophilic Cyanine Dyes as Contrast Agents for Near-infrared Tumor Imaging: Synthesis, Photophysical Properties and Spectroscopic In Vivo Characterization」, Photochem. Photobiol. 72: 392 (2000)。
【0088】
ソマトスタチン受容体に特異的なペプチドは、Fmoc固相ペプチド合成によって製造され、そして最後の工程において、該色素は通常、該ペプチドのN−末端で結合し、続いて該樹脂から切断される。我々の新規な三連分子構造アンサンブルにおいては、1光子NIRイメージング剤(例えば、ITTC)および2光子PDTポルフィリンを、Frechetデンドリマー方法論(引用文献37(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)と同様な様式でAB2デンドロンの一部として組み合わせて、次いでこのものをオクトレオエートのN−末端と反応させ、続いて該樹脂から切断することができる。この方法を、反応式1に概説する。結合および組み合わせの様式により、ターゲティング試薬、イメージング試薬、およびPDT試薬のいずれかの組み合わせが可能となり、従って、この方法はいずれの腫瘍のタイプに対しても改変することができる。標準的な有機合成の方法を用いて該3成分を連結する多数の他の様式を、想到することができる。
【0089】
1実施態様において、該構成成分を、各成分上の少なくとも1個の官能基を用いて共に直結する。この実施態様において、本発明の該成分としては、化学結合において官能基として機能する1個以上の置換基を含む。適当な官能基としては例えば、アミン(第1級アミンが好ましい)、カルボキシ基、およびチオール(例えば、SPDP、アルキルおよびアリールのハライド、マレイミド、a−ハロアセチル、およびピリジルジスルフィドを含む)(これらは、結合することができる官能基として有用である)を含むが、これらに限定されない。
【0090】
これは、当該分野においてよく知られるいずれかの数の安定な二機能性基を用いて達成することができ、例えばホモ二機能性およびヘテロ二機能性のリンカー(Pierce Catalog and Handbook, 1994, 頁T155-T200(これは、本明細書の一部を構成する)を参照)を含む。これは、例えば1キレーターが官能基として第1級アミンを含み、第2のものが官能基としてカルボキシ基を含み、そしてカルボジイミドを求核性アミンによる結合のためにカルボキシを活性化するための剤として使用する場合には、直結で得ることができる(Torchilinらによる, Critical Rev. Therapeutic Drug Carrier Systems, 7(4): 275-308 (1991))。別法として、当該分野によって認められている通り、いくつかの二機能性リンカーの使用により、該構造中に存在する短いカップリング分子またはリンカーを得る。「カップリング分子」または「リンカー」は、2個以上のものと共有結合することができる。該カップリング分子の官能基は通常、別の原子(例えば、アルキル基またはアリール基(例えば、ヘテロアルキルおよびアリール、並びに置換誘導体を含む))と結合して、カップリング分子を生成する。オキソリンカーがまた好ましい。当該分野の当業者によって認められている通り、広範囲のカップリング分子が可能であり、そしてこのものは通常、該分子を製造する能力および該官能基の反応性によってのみ制限される。通常、該カップリング分子は、合成要件のために少なくとも1個の炭素原子を含む;しかしながら、ある実施態様において、該カップリング分子は該官能基を正に含み得る。
【0091】
好ましい実施態様において、該カップリング分子は、スペーサーとして更なる原子を含む。当該分野の当業者によって認められている通り、広範囲の基を使用することができる。例えば、カップリング分子は、1個以上の官能基で置換されたアルキル基またはアリール基を含み得る。従って、1実施態様において、多数の成分の結合のための官能基の多重度を含有するカップリング分子を、下記のポリマー実施態様と同様に使用することができる。例えば、多数の官能基を含有する分枝アルキル基が、いくつかの実施態様において所望され得る。
【0092】
本明細書中の「アルキル基」または文法上の均等物は、直鎖または分枝のアルキル基を意味するが、直鎖アルキル基が好ましい。分枝の場合には、そのものは特に断らなければいずれかの位置で、1個以上の位置で分枝であり得る。ある実施態様においてはアルキル基がよりずっと大きい場合もあり得るが、該アルキル基は、炭素数が約1〜約30個(C1?C30)の範囲であり得る。好ましい実施態様においては、炭素数が約1〜約20個(C1?C20)を利用し、約C1から約C12〜約C15が好ましく、そしてC1〜C5が特に好ましい。アルキル基の定義内には、シクロアルキル基(例えば、C5およびC6環)、および窒素、酸素、硫黄またはリンを有するヘテロ環を含む。アルキルはまた、ヘテロアルキルを含み、ここで、ヘテロ原子は硫黄、酸素、窒素およびシリコンが好ましい。アルキルは、置換アルキル基を含む。本明細書中の「置換アルキル基」は、更に上記の1個以上の置換分子「R」を含有するアルキル基を意味する。
【0093】
本明細書中の「芳香族基」、「アリール基」または文法上の均等物は通常、炭素数が5〜14を含有する芳香族の単環式または多環式の炭化水素分子(より大きな多環式構造を製造することができるが)、およびそれらのいずれかの炭環式ケトンもしくはチオケトン誘導体(ここで、自由原子価を有する炭素原子は芳香族環の要素である)を意味する。芳香族基としては、2個以上の原子が除去されたアリレン基および芳香族基を含む。この利用目的のために、芳香族はヘテロ環を含む。「ヘテロ環」または「ヘテロアリール」とは、示す炭素原子の1〜5個がヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる)によって置換され、そして該自由原子価を有する原子が芳香族環並びにそれらのいずれかのヘテロ環のケトンおよびチオケトン誘導体の要素である、芳香族基を意味する。従って、ヘテロ環としては、チエニル、フリル、ピロリル、ピリミジニル、オキサリル、インドリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、チアゾリル、イミダゾリルなどを含む。
【0094】
適当なR基としては例えば、水素、アルキル、アルコール、芳香族、アミノ、アミド、ニトロ、エーテル、エステル、アルデヒド、スルホニル、シリコン分子、ハロゲン、硫黄含有分子、リン含有分子、およびエチレングリコールを含むが、これらに限定されない。本明細書中に示す構造において、位置が無置換である場合には、Rは水素である。いくつかの位置が2個の置換基RおよびRを許容し得て、この場合には、R基およびR基は同じかまたは異なるかのいずれかであり得ることに注意すべきである。
【0095】
更なる実施態様において、リンカーはポリマーである。この実施態様において、本発明の少なくとも1個の三連分子構造を含有するポリマーを使用する。ターゲティング分子は、個々の三連分子構造、該三連分子構造の多量体または該ポリマーに加えることができる。好ましい実施態様は、ポリマー当たり多数の三連分子構造を使用する。ポリマー当たりの三連分子構造の数は、ポリマーの単位長さ当たりの三連分子構造剤の密度およびポリマーの長さに依存する。
【0096】
該ポリマーの性質は変わるが、重要なことは、該ポリマーが本発明の剤の結合のための官能基を含んだりあるいは含むように改変できるかのいずれかである。適当なポリマーとしては例えば、官能化デキストラン、スチレンポリマー、ポリエチレンおよび誘導体、ポリアニオン(例えば、ヘパリンのポリマー、ポリガラクツロン酸、ムチン、核酸およびそれらのアナログを含むが、これらに限定されない)(例えば、改変されたリボース−リン酸塩の骨格を有するものを含む)、ポリペプチドポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸、並びに合成ポリマーのカルボン酸、リン酸、およびスルホン酸;ポリカチオン(例えば、アクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパントリメチルアミン、ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジン)または同様な第4級化ポリピリジン、ジエチルアミノエチルポリマー、およびデキストラン接合体、ポリミキシンB硫酸塩、リポポリアミン、ポリ(アリルアミン)(例えば、強ポリカチオンポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド)、ポリエチレンイミン、ポリブレン(polybrene)、スペルミン、スペルミジンおよびポリペプチド(例えば、プロタミン、ヒストンポリペプチド、ポリリシン、ポリアルギニン、およびポリオルニチン)を含むが、これらに限定されない);並びに、これらの混合物および誘導体、を含むが、これらに限定されない。特に好ましいポリカチオンは、ポリリシンおよびスペルミジンであって、前者が特に好ましい。ポリリシンの両方の光学異性体を使用することができる。該D異性体は、細胞プロテアーゼに対する長期間の耐性を有するという利点を有する。該L異性体は、被験者からより速く排除されるという利点を有する。当該分野の当業者によって認められている通り、直鎖および分枝のポリマーを使用することができる。ポリ(アルキレンオキシド)を含有する好ましいポリマーはまた、米国特許第5,817,292号(これは、本明細書の一部を構成する)に記載されている。
【0097】
高いpHでリシン側鎖のNH基が活性化キレーターの多重結合のための強い求核体として機能するために、好ましいポリマーはポリリシンである。
【0098】
該化合物の合成は、本明細書中に概説する通り行なうことができ、そしてこれは通常当該分野において知られる。
【0099】
一旦製造されると、該三連分子構造組成物は、様々な利用法において使用することができ、そして通常このものとしては、疾患(例えば、癌、循環器病(例えば、プラークなど))および他の関連疾患のイメージングおよび処置を含む。本明細書中に記載する通り、該剤は、二機能性(これは、ターゲティング分子およびPDT分子(発色団または発発色団が好ましい)を含有し、特に好ましい実施態様は2光子発色団である)、または三機能性(これは、ターゲティング分子、イメージング分子、およびPDT分子(好ましい実施態様は、1光子発色団または発発色団のイメージング分子を利用することが好ましく、そして2光子PDT発色団がPDT剤としては特に好ましい)を含有する)であり得る。加えて、該剤は、光学的なイメージングシステム(外部システムまたは内部システムのいずれか)において使用することができ、そして単独で(適当なイメージング様式を用いて)または他のイメージング様式(例えば、デジタルマンモグラフィー、EIS<OCT、MRI、PETなど)と組み合わせることによって使用することができる。
【0100】
従って、本発明の1態様は、医薬的に許容し得る組成物を提供し、このものは治療学的に有効な量の該三連分子構造組成物(例えば、下記の通り、1個以上の医薬的に許容し得る担体(添加物)および/または希釈物と一緒に製剤化する)を含む。以下に詳細に記載する通り、本発明の医薬組成物は、固体または液体の形態での投与のために具体的に製剤化することができ、例えば非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、または静脈内注射による)に適合するもの(例えば、減菌の液剤または懸濁剤)を含む。
【0101】
本明細書中で使用する用語「治療学的に有効な量」とは、いくつかの所望する治療学的な効果を与えるのに有効な、本発明に係わる三連分子構造の量を意味する。
【0102】
本明細書中で使用する用語「医薬的に許容し得る」は、健全な医学的な判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を有しないヒトおよび動物の組織との接触に使用するのに適当であって、合理的な利点/危険の比率が釣り合った、化合物、物質、組成物および/または剤形を意味する。
【0103】
本明細書中に使用する用語「医薬的に許容し得る担体」とは、医薬的に許容し得る物質、組成物、またはビヒクル(例えば、液体または固体の増量剤(filler)、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化物質)(このものは、1つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部にまで、抗酸化剤または抗真菌剤を被験者に運んだりまたは輸送したりするのに関与する)を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し得てそして患者にとって有害でないという意味で、「許容し得る」ものでなければいけない。医薬的に許容し得る担体として機能し得るいくつかの物質としては例えば、以下のものを含む:(1)糖類(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース);(2)デンプン(例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ);(3)セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス);(9)油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油);(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール);(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール);(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);(13)寒天;(14)緩衝化剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);(15)アルギニン酸;(16)発熱物質(pyrogen)なしの水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;および(21)医薬的な製剤に使用する他の非毒性の適合し得る物質。
【0104】
本発明の組成物のある実施態様は、塩基性官能基(例えば、アミノまたはアルキルアミノ)を含み得て、従ってこのものは医薬的に許容し得る酸と合わせて医薬的に許容し得る塩を生成することができる。この観点で用語「医薬的に許容し得る塩」とは、本発明の化合物の比較的に非毒性の無機および有機の酸付加塩を意味する。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にインシチュで製造することができ、あるいは遊離塩基形態の本発明の精製化合物を適当な有機または無機の酸と別個に反応させ、そしてその結果生成する塩を単離することによって製造することができる。代表的な塩としては例えば、臭化水素塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(napthylate)、メシレート、グリコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩など(例えば、Bergeらによる, (1977)「Pharmaceutical Salts」, J. Pharm. Sci. 66: 1-19を参照)を含む。
【0105】
他の場合には、本発明の化合物は、1個以上の酸性官能基を含み得て、従って、このものは医薬的に許容し得る塩基と一緒に医薬的に許容し得る塩を生成することができる。これらの場合に、用語「医薬的に許容し得る塩」とは、本明細書中の化合物の比較的に非毒性の無機および有機の塩基付加塩を意味する。これらの塩は同様に、該化合物の最終的な単離および生成の間にインシチュで製造することができ、あるいはカルボキシル基またはスルホン基を含有する誘導体を適当な塩基(例えば、医薬的に許容し得る金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩)、アンモニア、または医薬的に許容し得る第1級、第2級もしくは第3級アミンと別個に反応させることによって製造することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類の塩としては例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウムの塩などを含む。塩基付加塩の生成に有用な代表的な有機アミンとしては例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなど(例えば、Bergeらによる上記を参照)を含む。
【0106】
湿潤剤、乳化剤および滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、芳香剤、香味剤(perfuming)、保存剤、および抗酸化剤もまた、該組成物中に存在することができる。
【0107】
該製剤は、容易に単位用量形態で供することができ、そして薬学の分野においてよく知られるいずれかの方法によって製造することができる。単位用量形態を得るために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、処置する宿主、投与の様式に依存して変わる。単位用量形態を得るために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は通常、治療学的な効果を与える該三連分子構造化合物の量である。通常、100%の内、この量は、活性成分の約0.1〜約99.5%(約5%〜約70%が好ましく、約10%〜約30%が最も好ましい)の範囲である。
【0108】
非経口投与に適当な本発明の医薬組成物は、1個以上の三連分子構造組成物を、1個以上の医薬的に許容し得る減菌の等張性の水性もしくは非水性の液剤、分散剤、懸濁剤もしくは乳剤、または減菌散剤と組み合わせて含む。このものは、使用する直前に減菌注射可能な液剤および分散剤中で再構築することができ、そして抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、溶質(このものは、製剤を意図するレシピエントの血液と等張とする)、懸濁剤、または増粘剤を含み得る。
【0109】
本発明の医薬組成物において使用することができる適当な水性および非水性の担体としては例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適当な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、並びに注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)を含む。適当な流動性は、例えばコーティング物質(例えば、レシチン)を使用することによって、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズを保持することによって、および界面活性剤の使用によって、保持することができる。
【0110】
これらの組成物はまた、アジュバント(例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤)を含み得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および他の抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など)の含有によって確実とすることができる。等張性剤(例えば、糖類、塩化ナトリウムなど)を該組成物中に含むことが所望されることもあり得る。加えて、注射可能な医薬形態の長期間の吸収は、吸収を遅延する剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の含有によって、達成し得る。
【0111】
ある場合に、薬物の効果を延長させるために、皮下または筋肉内の注射からの薬物の吸収を遅らせることが望まれる。このことは、水への溶解度が乏しい結晶性またはアモルファスの物質の液体懸濁液を使用することによって達成し得る。次いで、該薬物の吸収の速度は、その溶解の速度に依存し、順に(in turn)結晶のサイズおよび結晶性形態に依存し得る。あるいは、非経口投与の薬物形態の吸収の遅延は、該薬物を油状ビヒクル中に溶解するかまたは懸濁することによって達成される。
【0112】
注射可能なデポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリアクチド−ポリグリコリド)中での目的のペプチドまたはペプチド模倣体のマイクロカプセル化マトリックスを生成することによって製造する。薬物のポリマーに対する比率および使用するポリマーの性質に依存して、薬物の放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(アンヒドリド)を含む。デポー注射可能な製剤はまた、薬物をリポソームまたはマイクロエマルジョン(これらは、身体組織と適合し得る)中に封入することによって製造する。
【0113】
(引用文献)
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【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、ポルフィリン光増感剤(ソリッドバー)および分子酸素(オープンバー)についてのエネルギーレベルの模式図を示す図面である。S(g)、S(u)、S(g)およびTはそれぞれ、光増感剤の基底状態、第1一重項状態、励起一重項状態(ith excited singlet)、および最低三重項状態を示す。括弧内の記号は、対応する状態の対称(gerarde)(g)および反対称(unegerade)(u)を示す。ΣおよびΔは、分子酸素の基底状態および第1励起一重項状態を示す。
【図2】図2は、好ましい二機能性剤を示す図面である。
【図3】図3は、いくつかの好ましい二機能性剤および三機能性剤を示す図面である。
【図4】図4は、いくつかの好ましい三機能性成分を示す図面である。
【図5】図5は、多機能性剤と結合するためのいくつかの好ましいTPA PDT発色団を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ターゲティング分子;
b)医学的なイメージング剤;および、
c)光線力学的療法(PDT)分子
を含有する三機能性剤。
【請求項2】
更にリンカー分子を含有する、請求項1記載の三機能性剤。
【請求項3】
該医学的なイメージング剤は発色団である、請求項1記載の三機能性剤。
【請求項4】
該PDT分子はポルフィリンである、請求項1記載の三機能性剤。
【請求項5】
該PDT分子は置換ポルフィリンである、請求項1記載の三機能性剤。
【請求項6】
該置換PDT分子は2光子吸収PDT剤である、請求項5記載の三機能性剤。
【請求項7】
請求項1記載の剤を患者に投与し、そして該PDT剤を活性化するのに十分な光を投与することを含む、癌をイメージングしそして処置する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−522102(P2006−522102A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507106(P2006−507106)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/007525
【国際公開番号】WO2004/080483
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505343804)エムピーエイ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MPA TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】