説明

光通信装置および光通信システム

【課題】 光通信装置内温度調節に任意の波長帯を利用可能な光通信システムを得る。
【解決手段】 ホスト装置1において、スレーブ装置3から伝送される光信号のレーザ波長とレーザダイオード5により発生されたレーザ波長とを比較する比較器6と、レーザ波長の温度特性に基づいて、比較器6により検出された波長差に応じて、スレーブ装置3の温度を演算する波長/温度変換部7と、スレーブ装置3の設定温度と波長/温度変換部7により演算されたスレーブ装置3の温度との比較に応じて温度制御情報を演算し、光伝送路2を通じてスレーブ装置3に温度制御情報を伝送する温度設定部8とを備え、スレーブ装置3において、ホスト装置1から伝送される温度制御情報に基づいて、スレーブ装置内温度を調節する温度上昇/下降部10を備えた。スレーブ装置3の温度演算にレーザ波長の波長差を利用しているため、任意の波長帯を利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の光通信装置が光伝送路により接続され、1つの光通信装置により複数の光通信装置の内部温度を制御する光通信装置および光通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光通信システムとしては、波長分散補償機能を利用し、光ファイバの水酸基の光吸収率に着目し、この光吸収率の物性的な特性を利用することにより、ファンユニット等の温度調整手段を用いて光通信装置内温度を調節するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−68834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光通信システムは以上のように構成されているので、光ファイバの水酸基の光吸収率の特性により制御するため、ファイバ特性に合った波長のみにしか適応することができない。また、分散特性の違う光ファイバが組み合わさった場合も使用できないため、使用できる波長帯が制限されてしまうなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、光通信装置内温度調節に任意の波長帯を利用可能な光通信装置および光通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る光通信装置は、当該光通信装置内で発生される光信号のレーザ波長と光伝送路を通じて他の光通信装置から伝送される光信号のレーザ波長との波長差に基づいて、光伝送路を通じて他の光通信装置内温度を制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、当該光通信装置内で発生される光信号のレーザ波長と光伝送路を通じて他の光通信装置から伝送される光信号のレーザ波長との波長差に応じて、他の光通信装置の温度を制御するようにしたので、他の光通信装置の温度制御にレーザ波長の波長差を利用しているため、光伝送路である光ファイバの特性に左右されることなく、使える波長には制約はなく、任意の波長帯を利用することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による光通信システムを示す構成図であり、図において、ホスト装置1には、各々光ファイバによる光伝送路2を介してスレーブ装置(#1〜#n)3が接続されている。
【0009】
ホスト装置1において、ホスト装置I/F部(#1〜#n)4は、スレーブ装置(#1〜#n)3に対応してそれぞれ設けられ、光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3に温度制御情報を伝送したり、スレーブ装置(#1〜#n)3から光伝送路2を通じて波長情報である光信号が伝送されるものである。ホスト装置I/F部4において、レーザダイオード(基準波長発生手段)5は、基準となるレーザ波長のレーザ光を発生するものである。比較器(波長比較手段)6は、対応するスレーブ装置3から伝送される光信号のレーザ波長とレーザダイオード5により発生されたレーザ光のレーザ波長とを比較し、それらの波長差(正負の符号も含む)をヘテロダイン検波等により検出するものである。
波長/温度変換部(波長温度変換手段)7は、予め設定されたレーザ波長の温度特性に基づいて、比較器6により検出された波長差に応じて、スレーブ装置3の温度を演算するものである。温度設定部(温度制御手段)8は、ホスト装置1外部のオペレーション装置内、またはホスト装置1内に設けられ、オペレータによって設定されるか、または予め設定されたスレーブ装置(#1〜#n)3の設定温度と、波長/温度変換部7により演算されたスレーブ装置(#1〜#n)3の温度との比較に応じて温度制御情報を演算し、ホスト装置I/F部(#1〜#n)4および光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3に温度制御情報を伝送するものである。
【0010】
スレーブ装置3において、I/F部9は、光伝送路2を通じてホスト装置1に光信号を伝送したり、ホスト装置1から光伝送路2を通じて温度制御情報が伝送されるものである。温度上昇/下降部(温度調節手段)10は、例えば、ファンユニット等により構成され、ホスト装置1から伝送される温度制御情報に基づいて動作し、スレーブ装置3内温度を調節するものである。
【0011】
次に動作について説明する。
この実施の形態1による光通信システムは、複数の光通信装置(ホスト装置1およびスレーブ装置(#1〜#n)3)が光伝送路2により接続されたものであり、各々のホスト装置1およびスレーブ装置(#1〜#n)3には、レーザ光を発生するレーザダイオードが設けられている。レーザダイオードは、発熱源であり、レーザダイオードの周囲温度は、70℃程度まで上昇する。この温度上昇により、レーザダイオードから発生されるレーザ光のレーザ波長が変動したり、光ファイバによる光伝送損失の変動が発生し、光信号の品質に悪影響を与えてしまうことが予想される。したがって、その課題を回避するために、この実施の形態1では、1つのホスト装置1によりスレーブ装置(#1〜#n)3の内部温度を制御する。
【0012】
ホスト装置I/F部(#1〜#n)4には、基準となるレーザ波長のレーザ光を発生するレーザダイオード5がそれぞれ設けられている。比較器6は、対応するスレーブ装置3から伝送される光信号のレーザ波長とレーザダイオード5により発生されたレーザ光のレーザ波長とを比較し、それらの波長差(正負の符号も含む)を検出する。なお、スレーブ装置(#1〜#n)3の内部温度制御は、特に速いスピードの制御を必要としないので、スレーブ数だけ順番に比較していき、その結果を1つ1つ波長/温度変換部7に送っていく。
【0013】
温度設定部8では、基準となるレーザ波長を発生するレーザダイオード5のレーザ波長の温度特性が設定されている。これは、この温度設定部8がオペレーション装置内に設けられている場合には、オペレータによる操作によって設定されるものである。
図2はレーザ波長の温度特性の一例を示す特性図であり、図において、λはレーザダイオード5の基準となるレーザ波長、tはそのレーザ波長λを発生した時の周囲温度、λ+Δλ、λ+2Δλは、レーザ波長λよりもΔλおよび2Δλ長いレーザ波長、t+Δt、t+2Δtはそれらレーザ波長λ+Δλ、λ+2Δλを発生した時の周囲温度、λ−Δλ、λ−2Δλは、レーザ波長λよりもΔλおよび2Δλ短いレーザ波長、t−Δt、t−2Δtはそれらレーザ波長λ−Δλ、λ−2Δλを発生した時の周囲温度である。なお、温度設定部8では、このようなレーザ波長の温度特性に基づいた特性テーブルを設定しても良い。
【0014】
波長/温度変換部7は、温度設定部8で設定されたレーザ波長の温度特性を入手し、そのレーザ波長の温度特性に基づいて、比較器6により検出された波長差に応じて、スレーブ装置3の温度を演算する。例えば、比較器6により検出された波長差が+2Δλであるならば、スレーブ装置3から伝送されたレーザ波長がλ+2Δλであったと判断して、スレーブ装置3の温度を、t+2Δtであると演算する。
なお、レーザダイオード5から発生される基準となるレーザ波長は、周囲温度によって変化することから、サーミスタ等によりそのレーザダイオード周囲温度を検出する温度検出部を設け、レーザ波長の温度特性に基づいて、温度検出部により検出されたレーザダイオードの周囲温度および比較器6により検出された波長差に応じて、スレーブ装置3の温度を演算するようにしても良い。この場合は、レーザダイオード5の周囲温度の変化に応じた基準となるレーザ波長の変化に対応することができ、より精度の高い温度制御を行うことができる。
【0015】
温度設定部8は、予め設定されたスレーブ装置(#1〜#n)3の設定温度と、波長/温度変換部7により演算されたスレーブ装置(#1〜#n)3の温度との比較に応じて温度制御情報を演算し、ホスト装置I/F部(#1〜#n)4および光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3に温度制御情報を伝送する。例えば、両者の温度を比較し、設定温度よりも演算温度の方が高い時のみスレーブ装置のファンユニットを動作させる温度制御情報を伝送する。この場合、1ビットの温度制御情報で済ませることができる。また、この温度設定部8では、各々のスレーブ装置(#1〜#n)3毎に、個別に任意の温度設定が可能となる。したがって、スレーブ装置の置かれている環境および条件等により柔軟に対応することができる。
【0016】
スレーブ装置(#1〜#n)3では、I/F部9により、ホスト装置1から光伝送路2を通じた温度制御情報を受信し、温度上昇/下降部10は、ホスト装置1から伝送される温度制御情報に基づいて、例えば、ファンユニット等を動作し、スレーブ装置(#1〜#n)3内温度を調節する。これは、結果的に、温度設定部8に設定されたスレーブ装置(#1〜#n)3の設定温度になるように温度調節されることになる。また、温度上昇/下降部10を、冷却時のみ運転するファンユニットにより構成したので、システム全体を省エネルギー化することができる。
【0017】
以上のように、この実施の形態1によれば、波長/温度変換部7により、レーザ波長の温度特性に基づいて、スレーブ装置(#1〜#n)3からの光信号のレーザ波長とレーザダイオード5により発生されたレーザ波長との波長差に応じて、スレーブ装置(#1〜#n)3の温度を演算するようにしたので、スレーブ装置(#1〜#n)3の温度演算にレーザ波長の波長差を利用しているため、光伝送路2である光ファイバの特性に左右されることなく、使える波長には制約はなく、任意の波長帯を利用することができる。
また、ホスト装置1に、スレーブ装置(#1〜#n)3の温度を演算する波長/温度変換部7と、その温度に応じてスレーブ装置(#1〜#n)3に温度制御情報を伝送する温度設定部8とを備えたので、ホスト装置1側からスレーブ装置(#1〜#n)3の任意の温度設定が簡単にでき、スレーブ装置(#1〜#n)3の増設を容易にし、光通信システムの規模の大型化への対応を容易にすることができる
なお、スレーブ装置(#1〜#n)3のレーザ波長は、各々のレーザダイオードによりばらつきがあるが、そのばらつきはある基準の温度に対するレーザ波長のみを予め調べておき、そのレーザ波長をホスト装置1側に送ってやることにより、ばらつき補正をすることは可能である。
【0018】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による光通信システムを示す構成図であり、図において、ホスト装置I/F部(#1〜#n)4は、スレーブ装置(#1〜#n)3に対応してそれぞれ設けられ、光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3に温度制御情報である波長差信号を伝送したり、スレーブ装置(#1〜#n)3から光伝送路2を通じて光信号が伝送されるものである。ホスト装置I/F部4において、比較器(波長比較手段)11は、対応するスレーブ装置3から伝送される光信号のレーザ波長とレーザダイオード5により発生されたレーザ光のレーザ波長とを比較し、それらの波長差(正負の符号も含む)をヘテロダイン検波等により検出し、波長差信号としてホスト装置I/F部(#1〜#n)4および光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3に伝送するものである。
スレーブ装置3において、温度上昇/下降部(温度調節手段)12は、例えば、ファンユニット等により構成され、ホスト装置1から伝送される波長差信号に基づいて動作し、スレーブ装置3内温度を調節するものである。その他の構成については、波長/温度変換部7および温度設定部8を設けられていない以外は、図1と同等の構成である。
【0019】
次に動作について説明する。
この実施の形態2による光通信システムは、上記実施の形態1に示した構成から波長/温度変換部7および温度設定部8を取り除き、簡略化したものである。
ホスト装置I/F部(#1〜#n)4では、比較器11において、対応するスレーブ装置3から伝送される光信号のレーザ波長とレーザダイオード5により発生されたレーザ光のレーザ波長とを比較し、それらの波長差(正負の符号も含む)を検出し、ホスト装置I/F部(#1〜#n)4および光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3に波長差信号を伝送する。
スレーブ装置(#1〜#n)3では、I/F部9により、ホスト装置1から光伝送路2を通じた波長差信号を受信し、温度上昇/下降部12は、ホスト装置1から伝送される波長差信号に基づいて、例えば、ファンユニット等を動作し、スレーブ装置(#1〜#n)3内温度を調節する。これは、図2に示したレーザ波長の温度特性でも分かる通り、波長差を制御することは、温度差を制御することと同意であるので、基準波長となるレーザ波長よりもスレーブ装置3の光信号のレーザ波長の方が長い場合のみファンユニット等を動作すれば、スレーブ装置3内温度を調節することができる。
【0020】
以上のように、この実施の形態2によれば、比較器11により、スレーブ装置(#1〜#n)3から伝送される光信号のレーザ波長とレーザダイオード5により発生されたレーザ波長と波長差を検出し、スレーブ装置(#1〜#n)3にその検出した波長差信号を伝送し、スレーブ装置(#1〜#n)3の温度上昇/下降部12により、ホスト装置1から伝送される波長差信号に基づいてスレーブ装置(#1〜#n)3内温度を調節するようにしたので、スレーブ装置(#1〜#n)3の温度制御にレーザ波長の波長差を利用しているため、光伝送路2である光ファイバの特性に左右されることなく、使える波長には制約はなく、任意の波長体を利用することができる。
また、ホスト装置1に、スレーブ装置(#1〜#n)3に検出した波長差信号を伝送する比較器11を備えたので、ホスト装置1側からスレーブ装置(#1〜#n)3の温度設定が簡単にでき、スレーブ装置3の増設を容易にし、光通信システムの規模の大型化への対応を容易にすることができる。
さらに、この場合、ホスト装置1およびスレーブ装置(#1〜#n)3とも直接に温度を知ることはできないが、ホスト装置1内温度を基準として、スレーブ装置(#1〜#n)3の光信号のレーザ波長を制御し、スレーブ装置(#1〜#n)3内温度を調節することができ、ホスト装置1に、波長/温度変換部7および温度設定部8を設けることなく、ホスト装置1の構成を簡素化することができる。
【0021】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による光通信システムを示す構成図であり、図において、 ホスト装置I/F部(#1〜#n)4は、スレーブ装置(#1〜#n)3に対応してそれぞれ設けられ、光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3にレーザ光を伝送したり、スレーブ装置(#1〜#n)3から光伝送路2を通じて光信号が伝送されるものである。ホスト装置I/F部4において、レーザダイオード(基準波長発生手段)13は、周囲温度に応じたレーザ波長のレーザ光を発生し、ホスト装置I/F部(#1〜#n)4および光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3にレーザ光を伝送するものである。演算部(第1の温度調節手段)14は、比較器6により検出された波長差が小さくなるような操作信号を演算し、温度上昇/下降部(第1の温度調節手段)15は、演算部14から伝送される操作信号に基づいて動作し、ホスト装置1内温度を調節するものである。
スレーブ装置3において、温度上昇/下降部(第2の温度調節手段)16は、ホスト装置1から伝送されるレーザ光のレーザ波長に基づいて動作し、スレーブ装置3内温度を調節するものである。その他の構成については、波長/温度変換部7および温度設定部8を設けられていない以外は、図1と同等の構成である。
【0022】
次に動作について説明する。
この実施の形態3による光通信システムは、上記実施の形態1に示したホスト装置とスレーブ装置の関係を入れ替えたものであり、この場合、複数のスレーブ装置(#1〜#n)3は、温度環境がある程度保たれている場合に使うことが可能となる。
ホスト装置I/F部(#1〜#n)4では、比較器6において、対応するスレーブ装置3から伝送される光信号のレーザ波長とレーザダイオード13により発生されたレーザ光のレーザ波長とを比較し、それらの波長差(正負の符号も含む)を検出する。演算部14は、比較器6により検出された波長差が小さくなるような操作信号を演算し、温度上昇/下降部15は、演算部14から伝送される操作信号に基づいて動作し、ホスト装置1内温度を調節するものである。
例えば、図2に示したレーザ波長の温度特性でも分かる通り、レーザ波長と温度とは、ほぼ比例の関係にあることから、比較器6において、基準波長となるレーザ波長よりもスレーブ装置3の光信号のレーザ波長の方が長い場合に、演算部14および温度上昇/下降部15により、ホスト装置1内温度を上昇させ、基準波長となるレーザ波長を長くさせて波長差が小さくなるようにする。また、比較器6において、基準波長となるレーザ波長よりもスレーブ装置3の光信号のレーザ波長の方が短い場合に、演算部14および温度上昇/下降部15により、ホスト装置1内温度を下降させ、基準波長となるレーザ波長を短くさせて波長差が小さくなるようにする。
レーザダイオード13は、この周囲温度に応じてレーザ波長が変化したレーザ光をホスト装置I/F部(#1〜#n)4および光伝送路2を通じてスレーブ装置(#1〜#n)3に伝送する。
【0023】
スレーブ装置(#1〜#n)3では、I/F部9により、ホスト装置1から光伝送路2を通じたレーザ光を受信し、温度上昇/下降部16は、ホスト装置1から伝送されるレーザ光のレーザ波長に基づいて、スレーブ装置(#1〜#n)3内温度を調節する。
例えば、温度上昇/下降部16に入力されるレーザ波長が長くなった場合に、スレーブ装置3内温度を下降させ、このスレーブ装置3からホスト装置1に伝送する光信号のレーザ波長が短くなるようにする。また、温度上昇/下降部16に入力されるレーザ波長が短くなった場合に、スレーブ装置3内温度を上昇させ、このスレーブ装置3からホスト装置1に伝送する光信号のレーザ波長が長くなるようにする。
このように、レーザ波長の変化を、温度制御信号として再びホスト装置1にフィードバックし、以上説明した動作を繰り返し実行することにより、ホスト装置1とスレーブ装置(#1〜#n)3との内部温度を同じ状態に保っていくことが可能となる。
【0024】
以上のように、この実施の形態3によれば、ホスト装置1およびスレーブ装置(#1〜#n)3の温度制御にレーザ波長の波長差を利用しているため、光伝送路2である光ファイバの特性に左右されることなく、使える波長には制約はなく、任意の波長体を利用することができる。
また、ホスト装置1に、スレーブ装置(#1〜#n)3の増設を容易にし、光通信システムの規模の大型化への対応を容易にすることができる。
さらに、この場合、温度制御動作を何度も繰り返すことにより、ホスト装置1内温度とスレーブ装置(#1〜#n)3内温度とを一致させることができ、ホスト装置1に、波長/温度変換部7および温度設定部8を設けることなく、ホスト装置1の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1による光通信システムを示す構成図である。
【図2】レーザ波長の温度特性の一例を示す特性図である。
【図3】この発明の実施の形態2による光通信システムを示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3による光通信システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ホスト装置、2 光伝送路、3 スレーブ装置(#1〜#n)、4 ホスト装置I/F部(#1〜#n)、5,13 レーザダイオード(基準波長発生手段)、6,11 比較器(波長比較手段)、7 波長/温度変換部(波長温度変換手段)、8 温度設定部(温度制御手段)、9 I/F部、10,12 温度上昇/下降部(温度調節手段)、14 演算部(第1の温度調節手段)、15 温度上昇/下降部(第1の温度調節手段)、16 温度上昇/下降部(第2の温度調節手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該光通信装置内で発生される光信号のレーザ波長と光伝送路を通じて他の光通信装置から伝送される光信号のレーザ波長との波長差に基づいて、上記光伝送路を通じて上記他の光通信装置内温度を制御する光通信装置。
【請求項2】
基準となるレーザ波長のレーザ光を発生する基準波長発生手段と、
光伝送路を通じて他の光通信装置から伝送される光信号のレーザ波長と上記基準波長発生手段により発生されたレーザ波長とを比較し、それらの波長差を検出する波長比較手段と、
予め設定されたレーザ波長の温度特性に基づいて、上記波長比較手段により検出された波長差に応じて、上記他の光通信装置の温度を演算する波長温度変換手段と、
予め設定された上記他の光通信装置の設定温度と上記波長温度変換手段により演算された上記他の光通信装置の温度との比較に応じて温度制御情報を演算し、上記光伝送路を通じて上記他の光通信装置に温度制御情報を伝送する温度制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の光通信装置。
【請求項3】
基準となるレーザ波長のレーザ光を発生する基準波長発生手段と、
上記光伝送路を通じて他の光通信装置から伝送される光信号のレーザ波長と上記基準波長発生手段により発生されたレーザ波長とを比較し、それらの波長差を検出し、その光伝送路を通じて上記他の光通信装置に検出した波長差を伝送する波長比較手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の光通信装置。
【請求項4】
周囲温度に応じたレーザ波長のレーザ光を発生し、光伝送路を通じて他の光通信装置にそのレーザ光を伝送する基準波長発生手段と、
上記光伝送路を通じて上記他の光通信装置から伝送される光信号のレーザ波長と上記基準波長発生手段により発生されたレーザ波長とを比較し、それらの波長差を検出する波長比較手段と、
上記波長比較手段により検出される波長差が小さくなるように当該光通信装置内温度を調節する第1の温度調節手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の光通信装置。
【請求項5】
請求項2記載の光通信装置をホスト装置とし、請求項2記載の他の光通信装置をスレーブ装置として、そのホスト装置に光伝送路を介してそのスレーブ装置が接続され、
上記スレーブ装置は、
上記光伝送路を通じて上記ホスト装置から伝送される温度制御情報に基づいて動作し、当該スレーブ装置内温度を調節する温度調節手段を備えたことを特徴とする光通信システム。
【請求項6】
請求項3記載の光通信装置をホスト装置とし、請求項3記載の他の光通信装置をスレーブ装置として、そのホスト装置に光伝送路を介してそのスレーブ装置が接続され、
上記スレーブ装置は、
上記光伝送路を通じて上記ホスト装置から伝送される波長差に基づいて動作し、当該スレーブ装置内温度を調節する温度調節手段を備えたことを特徴とする光通信システム。
【請求項7】
請求項4記載の光通信装置をホスト装置とし、請求項4記載の他の光通信装置をスレーブ装置として、そのホスト装置に光伝送路を介してそのスレーブ装置が接続され、
上記スレーブ装置は、
上記光伝送路を通じて上記ホスト装置から伝送されるレーザ波長に基づいて動作し、当該スレーブ装置内温度を調節する第2の温度調節手段を備えたことを特徴とする光通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−5654(P2006−5654A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179900(P2004−179900)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】