説明

光酸発生剤、この製造方法、及びこれを含むレジスト組成物

【課題】光酸発生剤、この製造方法、及びこれを含むレジスト組成物を提供する。
【解決手段】光酸発生剤は下記化学式で表される化合物である。X、Y、Q1、Q2、n、及びA+の定義は詳細な説明に記載した通りである。光酸発生剤は、露光時に発生する酸の拡散速度が遅く、拡散距離が短く、適切な酸度を有するため、LWR特性を改善でき、工程に使用する純水などの溶媒への溶出を制御することができる。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光酸発生剤、この製造方法、及びこれを含むレジスト組成物に関し、露光時に発生する酸の拡散速度が遅く、拡散距離が短く、適切な酸度を有するため、LWR特性を改善でき、工程に使用する純水などの溶媒への溶出を制御できる光酸発生剤、この製造方法、及びこれを含むレジスト組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィーを用いた微細加工方法は世代が変わるにつれ、より高解像度のフォトレジストが求められており、このために化学増幅型レジストが開発され、このような化学増幅型レジスト組成物は光酸発生剤を含む。
【0003】
化学増幅型レジスト組成物における光酸発生剤はレジスト組成物と共に化学増幅型レジストの解像度、LWR(line width roughness)、感度などの物性を改善させる要素であるため、適切な物性を有する化学増幅型レジスト組成物を製造するために様々な光酸発生剤が研究されている。
【0004】
特に、優れた解像度、LWR、感度などの特性を有するようにする物性の1つである酸の拡散速度や透明度などを改善するために、光酸発生剤として用いられる化合物のカチオン部に対する多くの変化と実験が進められてきた。しかし、光酸発生剤のアニオン部を変化させて化学増幅型レジストの物性を改善する研究はまだ不十分である。
【0005】
実質的に酸の流動性とレジスト組成物の物性を改善させる物理的、化学的性質として、カチオン側よりもアニオン側の方がさらに大きい影響を与えることができるという実験結果に基づいて、光酸発生剤のアニオン部に対する発明が新たになされており、酸の拡散速度を下げ、かつ透過性を調節できる光酸発生剤に対する要求が高まっている。
【0006】
また、最近、化学増幅型レジストの光源として、従来のg線やi線領域よりも短波長化して遠紫外線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(extreme ultraviolet、極紫外線)、X線、及び電子ビームを用いたリソグラフィーに対する研究が進められている。特に、液浸ArF工程では純水を用いて露光過程を行うため、このような液浸ArF工程に用いるフォトレジスト組成物は、これに含まれる光酸発生剤や、これから発生する酸が純水に溶出しないことが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、露光時に発生する酸の拡散速度が遅く、拡散距離が短く、適切な酸度を有するため、LWR特性を改善でき、工程に使用する純水などの溶媒への溶出を制御できる光酸発生剤を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記光酸発生剤を含むレジスト組成物及びこの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一実施例による光酸発生剤は下記化学式1で表される。
【0010】
【化1】

【0011】
前記式において、前記Yはアリール基で置換されたアルキル基及び芳香族炭化水素基からなる群から選択された何れか1つであり、前記Q1及びQ2は各々独立にハロゲン原子であり、前記Xはアルカンジイル、アルケンジイル、NR’、S、O、CO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであり、前記R’は水素及びアルキル基からなる群から選択された何れか1つであり、前記nは0〜5の整数であり、前記A+は有機対イオンである。
【0012】
本発明の他の一実施例による光酸発生剤の製造方法は、下記化学式8で表される化合物を溶媒に溶解し、還元剤に反応させて下記化学式6で表される化合物を得る第1段階と、下記化学式7で表される化合物と下記化学式6で表される化合物を塩基性触媒下で反応させて下記化学式4で表される化合物を得る第2段階と、下記化学式4で表される化合物と下記化学式5で表される化合物を置換反応させて下記化学式1で表される化合物を得る第3段階と、を含む。
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
【化7】

【0019】
前記式において、前記R6はアルキル基であり、前記Q1、Q2、及びQ5は各々独立にハロゲン原子であり、前記Yはアリール基で置換されたアルキル基及び芳香族炭化水素基からなる群から選択された何れか1つであり、前記Xはアルカンジイル、アルケンジイル、NR’、S、O、CO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであり、前記R’は水素及びアルキル基からなる群から選択された何れか1つであり、前記nは0〜5の整数であり、前記A+は有機対イオンである。前記M+はLi+、Na+、及びK+からなる群から選択された何れか1つであり、前記Z−は(OSO2CF3)−、(OSO249)−、(OSO2817)−、(N(CF32)−、(N(C252)−、(N(C492)、(C(CF33)−、(C(C253)−、(C(C493)−、F−、Cl−、Br−、I−、BF4−、AsF6−、及びPF6−からなる群から選択された何れか1つである。
【0020】
本発明のまた他の一実施例によるフォトレジストは、前記光酸発生剤を含む化学増幅型レジスト組成物を提供する。
【0021】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0022】
本明細書で使用する用語の定義は下記の通りである。
【0023】
本明細書で特に言及しない限り、ハロゲン原子はフルオロ、塩素、ブロム、及びヨードからなる群から選択された何れか1つを意味する。
【0024】
本明細書で特に言及しない限り、アルキル基は第1級アルキル基、第2級アルキル基、及び第3級アルキル基を含む。
【0025】
本明細書で特に言及しない限り、アルカンジイル(alkanediyl)は、アルカン(alkane)から水素原子2つを除去した2価の原子団であり、一般式−Cn2n−で表わされ、アルケンジイル(alkenediyl)は、アルケン(alkene)から水素原子2つを除去した2価の原子団であり、一般式−Cnn−で表される。
【0026】
本明細書で特に言及しない限り、ペルフルオロアルキル基は一部の水素原子または全ての水素原子がフルオロで置換されたアルキル基を意味し、ペルフルオロアルコキシ基は一部の水素原子または全ての水素原子がフルオロで置換されたアルコキシ基を意味する。
【0027】
本明細書で特に言及しない限り、全ての化合物または置換基は置換または非置換のものでありうる。ここで、置換とは、水素がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオ基、メチルチオ基、アルコキシ基、ニトリル基、アルデヒド基、エポキシ基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アセタール基、ケトン基、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ベンジル基、アリール基、ヘテロアリール基、これらの誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つに代替されたものを意味する。
【0028】
本明細書で特に言及しない限り、接頭語のヘテロは、N、O、S、及びPからなる群から選択される1〜3のヘテロ原子が炭素原子を置換していることを意味する。
【0029】
本明細書で特に言及しない限り、アルキル基は直鎖または分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基、アルカンジイルは炭素数1〜10のアルカンジイル、アルケンジイルは炭素数2〜10のアルケンジイル、アリル基は炭素数2〜10のアリル基、アルコキシ基は炭素数1〜10のアルコキシ基、ペルフルオロアルキル基は炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基は炭素数1〜10のペルフルオロアルコキシ基、シクロアルキル基は炭素数3〜32のシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基は炭素数2〜32のヘテロシクロアルキル基、アリール基は炭素数6〜30のアリール基、ヘテロアリール基は炭素数2〜30のヘテロアリール基を意味する。
【0030】
本明細書で特に言及しない限り、芳香族炭化水素は1つ以上のベンゼン環を含む炭素数6〜30の一環式または多環式化合物及びこの誘導体を意味し、例えばベンゼン環、ベンゼン環にアルキル側鎖がついたトルエンまたはキシレンなど、2つ以上のベンゼン環が単一結合により結合したビフェニルなど、ベンゼン環がシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基と縮合したフルオレン、キサンテンまたはアントラキノンなど、2つ以上のベンゼン環が縮合したナフタレンまたはアントラセンなどであり得る。
【0031】
本明細書でMeはメチル基を略称する。
【0032】
本発明の一実施例の光酸発生剤は下記化学式1で表される。
【0033】
【化8】

【0034】
前記式において、前記Q1、Q2、及びQ5は各々独立にハロゲン原子であり、好ましくはフルオロ原子でありうる。
【0035】
前記nは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数でありうる。
【0036】
前記Xはアルカンジイル、アルケンジイル、NR’、S、O、CO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであり、前記R’は水素及びアルキル基からなる群から選択された何れか1つである。
【0037】
前記Xは−O−、−OCH2−、−OCH(Cl)−、−CO−、−COCH2−、−COCH2CH2−、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2−O−、−CH2−O−CH2−、−CH2CH2−O−、−CH2−O−CH2CH2−、−CH2CH2−O−CH2−、−CH2CH2CH2−O−、−CH2−O−CH2CH2CH2−、−CH2CH2−O−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−O−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH32CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−CH(OCH3)−、−C(CF3)(OCH3)−、−CH2−S−、−CH2−S−CH2−、−CH2CH2−S−、−CH2−S−CH2CH2−、−CH2CH2−S−CH2−、−CH2CH2CH2−S−、−CH2−S−CH2CH2CH2−、−CH2CH2−S−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−S−CH2−、−CH(CH2)CH−、−C(CH2CH2)−、−CH2CO−、−CH2CH2CO−、−CH(CH3)CH2CO−、−CH(OH)−、−C(OH)(CH3)−、−CH(F)−、−CH(Br)−、−CH(Br)CH(Br)−、−CH=CH−、−CH2CH=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−O−、−CH=CH−S−、及び−CH=CHCO−からなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0038】
前記式において、前記Yはアリール基で置換されたアルキル基及び芳香族炭化水素からなる群から選択された何れか1つである。
【0039】
前記Yはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントレン基、フルオレニル基、ピレン基、フェナレン基、インデン基、ビフェニレン基、ジフェニルメチル基、テトラヒドロナフチル基、ジヒドロアントリル基、テトラフェニルメチル基、及びトリフェニルメチル基からなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0040】
前記Yの炭素における1〜3の炭素は−O−、−CO−、−S−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つで置換されてもよく、前記Yの水素における1〜5の水素は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜4のペルフルオロアルコキシ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオ基、メチルチオ基、メトキシ基、OR’、COR’、及びCOOR’からなる群から選択された何れか1つで置換されてもよい。前記R’はアルキル基及びアリール基からなる群から選択された何れか1つである。
【0041】
好ましくは、前記Yは下記化学式1−a〜1−lからなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0042】
【化9】

【0043】
前記式において、前記R11、R12、R13、及びR14は、各々独立にアルキル基、アルコキシ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオ基、メチルチオ基、メトキシ基、OR’、COR’、及びCOOR’からなる群から選択された何れか1つで置換されてもよい。前記R’は、アルキル基及びアリール基からなる群から選択された何れか1つである。
【0044】
前記R21及びR22は、各々独立にCR2425、O、CO、S、及びNR23からなる群から選択された何れか1つであり、前記R23〜R25は、各々独立に水素、アルキル基、及びアリール基からなる群から選択された何れか1つである。
【0045】
前記a、h、及びiは、各々独立に0〜5の整数であり、前記bは、0〜3の整数であり、前記c及びdは、各々独立に0〜4の整数であり、前記e、f、及びgは、各々独立に0〜2の整数であり、0≦c+d+e≦9である。
【0046】
前記化学式1で表される化合物のアニオン部である、下記化学式3で表される部分が、下記化学式1−i〜1−xxxxxiからなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0047】
【化10】

【0048】
【化11】

【0049】
【化12】

【0050】
【化13】

【0051】
前記光酸発生剤は、前記化学式1で表される化合物のアニオン部である、前記化学式3で表される化合物に芳香族環を導入することにより、アニオンの形態または大きさに応じて酸の拡散速度、酸の拡散距離、酸度などの特性に変化を与えることができ、従来の単純なトリフラートやノナフレート形態のアニオンに比して、酸の拡散速度を遅くすることができ、拡散距離も短くすることができるため、LWRを改善でき、有機物の特性が強くて純水への溶出を低減するか、制御することができる。
【0052】
前記化学式1において、前記A+は有機対イオンである。
【0053】
具体的には、前記化学式1で表される化合物のカチオン部である、下記化学式2で表される部分は、下記化学式2a及び2bからなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

【0057】
前記化学式2a及び2bにおいて、前記R1及びR2は各々独立に水素、アルキル基、アリル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであり、前記R1及びR2は互いに結合して炭素数3〜30の飽和または不飽和炭化水素環を形成することができる。
【0058】
前記R4はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、チオアルコキシ基、アルコキシカルボニルメトキシ基、チオフェノキシ基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つである。
【0059】
前記R3及びR5は各々独立に水素、アルキル基、アリル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つである。
【0060】
前記化学式2a及び2bにおいて、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ヘキシル基、オクチル基などがあり、前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などがある。
【0061】
また、前記化学式1で表される化合物のカチオン部である、前記化学式2で表される部分は、下記化学式2−i〜2−xxからなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0062】
【化17】

【0063】
前記化学式1で表される化合物のカチオン部である、下記化学式2で表される部分は、下記化学式3a及び3bからなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0064】
【化18】

【0065】
【化19】

【0066】
前記式において、前記R1は水素、アルキル基、アリル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つである。
【0067】
前記R2及びR3は各々独立に水素、アルキル基、アリル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つである。
【0068】
前記R4はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、チオアルコキシ基、アルコキシカルボニルメトキシ基、チオフェノキシ基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つである。
【0069】
前記式において、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ヘキシル基、オクチル基などがあり、前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などがある。
【0070】
また、前記化学式1で表される化合物のカチオン部である、前記化学式2で表される部分は、下記化学式3−i〜3−ixからなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0071】
【化20】

【0072】
本発明の他の一実施例である前記化学式1で表される光酸発生剤の製造方法は、下記化学式8で表される化合物を溶媒に溶解し、還元剤との反応により下記化学式6で表される化合物を得る第1段階と、下記化学式7で表される化合物と下記化学式6で表される化合物を塩基性触媒下で反応させて下記化学式4で表される化合物を得る第2段階と、下記化学式4で表される化合物と下記化学式5で表される化合物を置換反応させて前記化学式1で表される化合物を得る第3段階と、を含む。
【0073】
前記第1段階は、下記化学式8で表される化合物を溶媒に溶解し、還元剤を滴加して下記化学式6で表される化合物を得る過程を含む。
【0074】
【化21】

【0075】
【化22】

【0076】
前記式において、前記R6はアルキル基であり、具体的にメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基からなる群から選択された何れか1つでありうる。前記Q1及びQ2は各々独立にハロゲン原子であり、好ましくはフルオロ原子である。前記M+はLi+、Na+、及びK+からなる群から選択された何れか1つである。
【0077】
前記第1段階の反応において、前記化学式8で表される化合物を溶解する溶媒は、前記化学式8で表されるエステル化合物を溶解して還元反応できるものであれば何れもよい。
【0078】
前記溶媒としてはエステル類、エーテル類、ラクトン類、ケトン類、アミド類、アルコール類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つを使用してもよく、好ましくはアルコール系溶媒とジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つを共に使用してもよいが、本発明がこれに限定されることはない。
【0079】
前記アルコール系溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、オキソブチルアルコール、ウンデシルアルコール、ヒドロキシデシルアルコール、ヘプチルアルコール、2−メチル−1−ペンチルアルコール、アリルアルコール、エトキシカルボニルメチルアルコール、メトキシエチルアルコール、1−メトキシ−2−プロピルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、メンチルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロピラニルアルコール、シアノブチルアルコール、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであってもよいが、本発明がこれに限定されることはない。
【0080】
前記還元剤としては、NaBH4、LiAlH4、BH3−THF、NaBH4−AlCl3、NaBH4−LiCl、LiAl(OMe)3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つを使用してもよい。
【0081】
前記化学式8で表される化合物と前記還元剤は、1:1〜1:5のモル比で使用するが、好ましくは1:2〜1:3.5のモル比で使用してもよい。前記化学式8で表される化合物と前記還元剤を前記モル比で使用する場合、還元剤の使用量に比して生成物の収得率を高めることができる。
【0082】
前記第1段階の反応を具体的に説明すると、氷浴下で前記化学式8で表される化合物を前記溶媒を用いて溶かし、還元剤を滴加して反応混合液を製造した後、前記反応混合液から氷浴を除去し、昇温して撹拌する段階を含むことができる。
【0083】
前記撹拌過程は好ましくは20〜120℃で2〜6時間行い、より好ましくは45〜80℃で3〜5時間行う。前記温度と時間の範囲内で撹拌過程を行うことにより、生成物の収得率を高めることができ、副生成物を最小化することができる。
【0084】
前記反応混合液の反応をクエンチング(quenching)して溶媒を除去した後、反応物を結晶化する。
【0085】
前記結晶化方法は、通常、反応混合液から溶媒を除去して反応物を結晶化する方法であれば何れもよいが、好ましくは反応混合液から溶媒を除去し、蒸溜水で再び溶かした後、溶液をpH5〜6に酸性化して前記反応混合液を濃縮し、ここに再びアルコールを入れてスラリー状の無機塩を除去し、その濾液をジエチルエーテルなどを用いて結晶化する方法を用いてもよい。
【0086】
前記化学式8で表される化合物は、アルコキシド(alkoxide)とハライド(halide)を反応させて2つのアルコキシ基を有するジアルコキシハロゲン化合物を製造した後、前記ジアルコキシハロゲン化合物の2つのアルコキシのうちの1つを酸化させて下記化学式9で表される化合物を製造する中間体生成段階、及び前記化学式9で表される化合物と無機亜硫酸塩を反応させて前記化学式8で表される化合物を製造するスルホン化段階により製造することができる。
【0087】
【化23】

【0088】
前記式において、前記R6はアルキル基であり、具体的にはメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基からなる群から選択された何れか1つでありうる。前記Q1〜Q3は各々独立にハロゲン原子であり、好ましくはフルオロ原子でありうる。
【0089】
前記中間体生成段階では、前記アルコキシドが炭素と炭素の二重結合を含む炭素数3〜10のアルコキシアルケンであってもよく、具体的にはメトキシエテンまたはエトキシエテンなどである。前記ハライドはアルキルハライドであってもよく、具体的にはペルフルオロメタン、ジブロモジフルオロメタン、ペルブロモメタンまたはペルクロロメタンなどである。
【0090】
前記中間体生成段階では、前記アルコキシドと前記ハライドをアルコール系溶媒下で反応させてもよく、次亜硫酸ナトリウム(Na224、sodium hydrosulfite)及び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を添加して共に反応させてもよい。また、前記生成されたジアルコキシハロゲン化合物の2つのアルコキシのうちの1つを酸化させる反応は、酸化剤の存在下で行い、前記酸化剤としては具体的にKHSO5を使用してもよい。
【0091】
前記スルホン化段階で使用される前記無機亜硫酸塩としては、具体的に次亜硫酸ナトリウムを使用してもよく、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を添加して共に反応させてもよい。前記次亜硫酸ナトリウムを使用してスルホン化反応させる場合、生成された有機スルホン酸塩を酸化させることにより、前記化学式8で表される化合物を製造することができる。この時、酸化剤としては過酸化水素(H22)またはタングステン酸ナトリウム(sodium tungstate、Na2WO4)などを使用してもよい。
【0092】
前記第2段階は、下記化学式7で表される化合物と前記化学式6で表される化合物を塩基性触媒下で反応させ、下記化学式4で表される化合物を得る過程を含む。
【0093】
【化24】

【0094】
【化25】

【0095】
前記式において、前記Q1、Q2、及びQ5は各々独立にハロゲン原子であり、好ましくはフルオロ原子である。前記nは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数でありうる。
【0096】
前記M+はLi+、Na+、及びK+からなる群から選択された何れか1つである。
【0097】
前記X及び前記Yに対する説明は、前記化学式1で表される化合物に対する説明と同一であるため、その記載を省略する。
【0098】
前記塩基性触媒はトリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、ジエチルイソプロピルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つを使用してもよい。前記第2段階の反応で塩基性触媒を使用する場合、最小限の反応時間で所望する生成物が得られる。
【0099】
前記第2段階の反応は溶媒下で行い、前記溶媒はエステル類、エーテル類、ラクトン類、ケトン類、アミド類、アルコール類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つを使用でき、好ましくは前記溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセト二トリル、トルエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つでありうる。
【0100】
前記化学式6で表される化合物と前記化学式7で表される化合物は、2:1〜1:3のモル比で反応させてもよいが、好ましくは1.5:1〜1:1.5のモル比で反応させる。前記モル比で前記化学式6及び化学式7で表される化合物を反応させる場合、2種類の化合物を両方とも使い果たすことになるため、反応の効率性を高めることができる。
【0101】
また、前記化学式6で表される化合物と前記塩基性触媒は、1:1〜1:4のモル比で反応させてもよいが、好ましくは1:1.1〜1:1.8のモル比で反応させる。前記化学式6の化合物と前記塩基性触媒を前記モル比で反応させる場合、反応時間を促進させて残留塩基性触媒の除去がさらに容易になる。
【0102】
前記第2段階の反応は、具体的に、前記化学式6で表される化合物と前記化学式7で表される化合物を前記溶媒に溶かして反応混合物を製造し、15〜30℃で撹拌し、前記反応混合物に前記塩基性触媒を滴加して撹拌する過程を含むことができる。
【0103】
前記撹拌過程は、好ましくは10〜40℃の温度で0.5〜6時間行い、より好ましくは18〜30℃の温度で1〜3時間行う。前記温度と時間の範囲内で撹拌過程が行われる場合、生成物の収得率を高めることができ、副生成物を最小化することができる。
【0104】
前記反応混合液の反応をクエンチング(quenching)して溶媒を除去した後、反応物を結晶化することにより、前記化学式4で表される化合物が得られる。
【0105】
前記結晶化方法は、通常、反応混合液から溶媒を除去して反応物を結晶化する方法であれば何れもよいが、好ましくは反応混合液から溶媒を除去し、ここに再びアルコールを入れてスラリーを濾過して得られた固体を、蒸溜水とエチルエーテルなどを用いて洗浄・乾燥して結晶化する方法を用いる。
【0106】
前記第3段階は、前記化学式4で表される化合物と下記化学式5で表される化合物を置換反応させて前記化学式1で表される化合物を得る過程を含む。
【0107】
【化26】

【0108】
前記式において、前記Z−は(OSO2CF3)−、(OSO249)−、(OSO2817)−、(N(CF32)−、(N(C252)−、(N(C492)、(C(CF33)−、(C(C253)−、(C(C493)−、F−、Cl−、Br−、I−、BF4−、AsF6−、及びPF6−からなる群から選択された何れか1つであり、前記A+は有機対イオンである。具体的な説明は前記化学式1で表される化合物に対する説明と同一であるため、その記載を省略する。
【0109】
前記化学式4で表される化合物と前記化学式5で表される化合物は1:1〜5:1のモル比であり、好ましくは1:1〜3:1のモル比で、より好ましくは1:1〜2:1のモル比で使用される。前記モル比で使用される場合、反応処理時間を最小化でき、反応物の過度な使用による副反応を抑制することができる。
【0110】
前記置換反応には、再結晶法や、得られた塩に対する高溶解度の溶媒(良溶媒)と低溶解度の溶媒(貧溶媒)を混合して固体化して回収する方法を使用することができ、溶媒で抽出するか、濃縮回収する方法を使用してもよい。
【0111】
好ましくはジクロロメタンと水に溶かして2つの層を形成した後、撹拌して置換反応させる方法でありうるが、このような2つの層を反応させる方法を用いる場合、生成物を分離させるための追加方法が不要である点が長所である。前記撹拌は2〜6時間行い、2〜4時間行ってもよい。前記時間範囲内で反応が行われる場合、生成物の収得率を最大限高めることができる。
【0112】
前記過程により前記化学式1で表される化合物を製造する場合、効率的かつ簡単な方法で前記化学式1で表される化合物を製造することができる。
【0113】
本発明のまた他の一実施例であるレジスト組成物は、前記化学式1で表される光酸発生剤を含む。前記レジスト組成物は、通常のレジスト組成物の構成に基づいたものであるため、その記載を省略する。
【発明の効果】
【0114】
本発明による光酸発生剤は、露光時に発生する酸の拡散速度が遅く、拡散距離が短く、適切な酸度を有するため、LWR特性を改善でき、工程に使用する純水などの溶媒への溶出を制御することができる。また、本発明による光酸発生剤の製造方法は、効率的かつ簡単な方法で前記光酸発生剤を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0115】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な形態で実現できるものであり、ここに説明する実施例に限定されることはない。
【0116】
<光酸発生剤の合成>
[光酸発生剤の合成例1]
安息香酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩(Benzoic acid−2,2−difluoro−2−sulfo−propyl ester diphenyl methyl phenyl sulfonium salt)の合成
(第1段階)下記反応式1のように、氷浴下で1,1−ジフルオロ−3−メトキシ−3−オキソプロパン−1−スルホネートナトリウム塩(sodium 1,1−difluoro−3−methoxy−3−oxopropane−1−sulfonate)83g(0.376mol)を溶媒のメタノール(methanol、MeOH)160mlとTHF(tetrahydrofuran)1.2Lに溶かし、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)44g(1.16mol)をゆっくり滴加して反応混合液を製造した。前記滴加を完了した反応混合液は、氷浴を除去した後、昇温して60℃を維持し、約4時間撹拌した。
【0117】
前記反応混合液を蒸溜水でクエンチング(quenching)し、溶媒を除去した。まだ加工されていない前記混合反応物を蒸溜水で再び溶かし、濃塩酸でpH値を5〜6になるまでに酸性化した。
【0118】
前記酸性化した混合反応物を濃縮した後、再びメタノールを入れてスラリーを濾過して無機塩を除去した。前記スラリーを除去した濾液をヘキサンで2回洗浄し、メタノール層を再び濃縮した後、ジエチルエーテルを用いて結晶化した。
【0119】
前記結晶化して得られた白い固体を真空乾燥して1,1−ジフルオロ−3−ヒドロキシプロパン−1−スルホネートナトリウム塩(sodium 1,1−difluoro−3−hydroxypropane−1−sulfonate)68.5g(0.346mol)(収率95%)を得た。
【0120】
1H−NMR(D2O):(ppm)2.38(t、2H)4.18(t、2H)
【0121】
【化27】

【0122】
前記1,1−ジフルオロ−3−メトキシ−3−オキソプロパン−1−スルホネートナトリウム塩は下記反応式2のような反応により製造することができる。
【0123】
【化28】

【0124】
(第2段階)下記反応式3のように、前記第1段階で製造した1,1−ジフルオロ−3−ヒドロキシプロパン−1−スルホネートナトリウム塩(sodium 1,1−difluoro−3−hydroxypropane−1−sulfonate)20g(0.101mol)とベンゾイルクロライド(benzoyl chloride)11.5g(0.0818mol)をジクロロエタン(dichloroethane、DCE)150mlに溶かして反応混合物を製造し、常温で撹拌した。前記反応混合物にトリエチルアミン(Et3N)11g(0.1087mol)を20〜25℃で徐々に滴加した後、2時間撹拌した。
【0125】
前記反応混合物の反応が完了した後、前記反応混合物から反応溶媒を除去し、エチルエーテルを用いてスラリーを作って濾過した。前記スラリーを濾過して得られた固体を蒸溜水とエチルエーテルを用いて洗浄し、真空乾燥した。
【0126】
前記真空乾燥した固体を1H NMRによりその構造を確認し、下記構造式のような3−(ベンゾイルオキシ)−1,1−ジフルオロプロパン−1−スルホネートナトリウム塩(sodium 3−(benzoyloxy)−1,1−difluoropropane−1−sulfonate)を11.5g(収率73.5%)収得した。
【0127】
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d6、テトラメチルシラン):(ppm)2.38(t、2H)、4.18(t、2H)、7.37(t、2H)、7.47(t、1H)、7.97(d、2H)
【0128】
【化29】

【0129】
(第3段階)下記反応式4に示すように、前記第2段階で製造した3−(ベンゾイルオキシ)−1,1−ジフルオロプロパン−1−スルホネートナトリウム塩(sodium 3−(benzoyloxy)−1,1−difluoropropane−1−sulfonate)4g(0.013mol)と下記反応式4で「A」と表示したジフェニルメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート塩(dipenyl methylphenyl sulfonium trifluoro methane sulfonium salt)4.22g(0.0099mol)をジクロロメタン(dichloromethane、methylene chloride、MC)40ml、水40mlに溶かし、2つの層を形成した反応混合物が反応するように(2層反応)、3時間激しく撹拌した。
【0130】
前記反応混合物の撹拌が完了すると、有機層を取って19F NMRにより反応の進行程度を確認した。前記反応が完了すると、有機層を集めて溶媒を除去したスラリーを、良溶媒(good solvet)のジクロロメタンと貧溶媒(poor solvent)のヘキサンを用いて洗浄して固体を収得し、前記固体は減圧乾燥して下記反応式4で「B」と表示した化合物を収得した。前記得られた固体は安息香酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピル−エステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩(Benzoic acid−2,2−difluoro−2−sulfo−propyl ester diphenyl methylphenyl sulfonium salt)を3.2g(0.0078mol)(収率59.5%)収得し、その構造を1H NMRにより確認した。
【0131】
1H−NMR(クロロホルム−d3、テトラメチルシラン):(ppm)2.45(s、3H)、2.81(m、2H)、4.64(t、2H)、7.38−7.76(m、17H)、8.01(d、2H)
【0132】
【化30】

【0133】
[光酸発生剤の合成例2]
安息香酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩(Benzoic acid−2,2−difluoro−2−sulfo−propyl ester diphenyl methyl phenyl sulfonium salt)の合成
(第1段階)前記合成例1の第1段階と同一に実施して1,1−ジフルオロ−3−ヒドロキシプロパン−1−スルホネートナトリウム塩を得た。
【0134】
(第2段階)前記合成例1の第2段階で用いたベンゾイルクロライド(benzoyl chloride)の代わりに、1−ナフタレンカルボニルクロライド(1−Naphthalene carbonyl chloride)を使用し、他の条件は前記合成例1の第2段階と同一に実施して、下記反応式5のようにナフタレン−1−カルボン酸−3,3−ジフルオロプロパン−1−スルホネートナトリウム塩(sodium Naphthalene−1−carboxylic acid 3,3−difluoropropane−1−sulfonate)を得た。
【0135】
【化31】

【0136】
(第3段階)前記第2段階で製造したナフタレン−1−カルボン酸−3,3−ジフルオロプロパン−1−スルホネートナトリウム塩と下記反応式6で「A」と表示したジフェニルメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート塩(dipenyl methylphenyl sulfonium trifluoro methane sulfonium salt)を反応させて、下記反応式6で「C」と表示したナフタレン−1−カルボン酸−3,3−ジフルオロプロパン−1−スルホネートジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩(Naphthalene−1−carboxylic acid 3,3−difluoropropane−1−sulfonate diphenyl methylphenyl sulfonium salt)を得た。
【0137】
1H−NMR(クロロホルム−d3、テトラメチルシラン):(ppm)2.42(s、3H)、2.88(m、2H)、4.75(t、2H)、7.42−7.87(m、17H)、7.94(d、1H)、8.11(d、1H)、8.19(d、1H)、9.12(d、1H)
【0138】
【化32】

【0139】
<樹脂の合成>
[樹脂の合成例1]
3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−3−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチルエステル(3−Bicyclo[2.2.1]hept−5−en−2−yl−3−hydroxy−propionic acid t−butyl ester)、1−メチルアダマンタンアクリレート(1−methyl adamantane acrylate)、γ−ブチロラクトンアクリレート(gamma−butyrolactone acrylate)を1:1:1(33部:33部:33部)のモル比で充填し、重合溶媒としては1,4−ジオキサンを反応単量体の総質量の3倍を使用した。開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルを単量体の総モル量を基準として4mol%の比率で使用し、65℃で16時間反応させた。
【0140】
前記反応後、反応溶液はn−ヘキサンを用いて沈殿し、真空乾燥して下記化学式10で表される樹脂を得た。前記沈殿物の共重合体は8,500の重量平均分子量を有するものであった。
【0141】
【化33】

【0142】
<レジストの調製>
[比較例1]
樹脂の合成例1で得られた前記化学式10で表される樹脂100重量部に対して、光酸発生剤(PAG)としてアダマンタン−1−カルボン酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩5重量部と、塩基性添加剤(BASE)としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.5重量部をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート1,000重量部に溶解させた後、0.2umの膜フィルタで濾過してレジスト液を調製した。
【0143】
前記レジスト液をスピナーを用いて基板に塗布し、110℃で90秒間乾燥して0.20um厚さの皮膜を形成した。前記形成された皮膜にArFエキシマレーザーステッパー(レンズの開口数:0.78)を用いて露光させ、110℃で90秒間熱処理した。前記形成された皮膜を2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で40秒間現像した後、洗浄、乾燥してレジストパターンを形成した。
【0144】
[実施例1]
光酸発生剤として、合成例1で得られた前記反応式4で「B」と表示した安息香酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩(Benzoic acid−2,2−difluoro−2−sulfo−propyl ester diphenyl methyl phenyl sulfonium salt)3重量部を用いたことを除いては、比較例1と同一にレジスト液を製造して物性を評価した。
【0145】
[実施例2]
光酸発生剤として、合成例1で得られた前記反応式4で「B」と表示した安息香酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩(Benzoic acid−2,2−difluoro−2−sulfo−propyl ester diphenyl methyl phenyl sulfonium salt)5重量部を用いたことを除いては、比較例1と同一にレジスト液を製造して物性を評価した。
【0146】
[実施例3]
光酸発生剤として、合成例1で得られた前記反応式4で「B」と表示した安息香酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩(Benzoic acid−2,2−difluoro−2−sulfo−propyl ester diphenyl methyl phenyl sulfonium salt)7重量部を用いたことを除いては、比較例1と同一にレジスト液を製造して物性を評価した。
【0147】
前記比較例1及び実施例1〜3の物性は、感度、解像度、LWR(line width roughness)を評価して下記表1に示した。
【0148】
LWRは、現像後に形成された0.10umのラインアンドスペース(L/S)パターンに対してパターンの粗度を観察し、比較例1で得られたパターンを「1」とする場合、LWRの状態を1〜5の数字で表記し、数字が大きいほどLWRの特性が良好であった。
【0149】
感度は、現像後に形成された0.10umラインアンドスペース(L/S)パターンを1:1の線幅に形成する露光量を最適とし、前記最適の露光量を感度とする場合に解像される最小パターンの寸法を解像度として表示した。
【0150】
【表1】

【0151】
(1)光酸発生剤(PAG)
実施例1〜3:前記合成例1で得られた前記反応式4でBと表示した安息香酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩
比較例1:アダマンタン−1−カルボン酸−2,2−ジフルオロ−2−スルホ−プロピルエステルジフェニルメチルフェニルスルホニウム塩
(2)塩基性添加剤(BASE):テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
前記実施例1〜3で使用した光酸発生剤(PAG)は、光酸発生剤のアニオンに芳香族環(aromatic)を導入して製造したもので、既存のトリフラートやノナフレートの光酸発生剤に比べ、トリフラートとほぼ同様の酸度を維持し、かつ酸の拡散速度が遅く、拡散距離が短くて、益々微細化するL/Sのパターン実現に適合した特性を有する。
【0152】
前記表1の物性測定結果を参照すると、LWRと解像度の側面で既存のトリフラートタイプより遥かに良い性能を示すことが分かる。光酸発生剤のアニオンへの芳香族の導入は、光を照射する時に透明度に優れた結果を見せるが、一旦、光酸発生剤から酸が発生してアニオンの形態に移動する時には、芳香族環は透明度に如何なる影響を与えずに芳香族の大きさに応じて酸の拡散速度と拡散距離を調節できる利点があり、既存の光酸発生剤とは区別される特徴を示した。
【0153】
以上、本発明の好ましい実施例に対して詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される光酸発生剤。
【化34】

前記式において、前記Yはアリール基で置換されたアルキル基及び一環式または多環式芳香族炭化水素基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記Q1及びQ2は各々独立にハロゲン原子であり、
前記Xはアルカンジイル、アルケンジイル、NR’、S、O、CO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであり、前記R’は水素及びアルキル基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記nは0〜5の整数であり、
前記A+は有機対イオンである。
【請求項2】
前記Yは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントレン基、フルオレニル基、ピレン基、フェナレン基、インデン基、ビフェニレン基、ジフェニルメチル基、テトラヒドロナフチル基、ジヒドロアントリル基、テトラフェニルメチル基、及びトリフェニルメチル基からなる群から選択された何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項3】
前記Yは、下記化学式1−a〜1−lからなる群から選択された何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の光酸発生剤。
【化35】

前記式において、前記R11、R12、R13、及びR14は、各々独立にアルキル基、アルコキシ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオ基、メチルチオ基、メトキシ基、OR’、COR’、及びCOOR’からなる群から選択された何れか1つで置換されたものでありうる。前記R’は、アルキル基及びアリール基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記R21及びR22は、各々独立にCR2425、O、CO、S、及びNR23からなる群から選択された何れか1つであり、前記R23〜R25は、各々独立に水素、アルキル基、及びアリール基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記a、h及びiは、各々独立に0〜5の整数であり、前記bは、0〜3の整数であり、前記c及びdは、各々独立に0〜4の整数であり、前記e、f、及びgは、各々独立に0〜2の整数であり、0≦c+d+e≦9である。
【請求項4】
前記化学式1において、前記Xは−O−、−OCH2−、−OCH(Cl)−、−CO−、−COCH2−、−COCH2CH2−、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2−O−、−CH2−O−CH2−、−CH2CH2−O−、−CH2−O−CH2CH2−、−CH2CH2−O−CH2−、−CH2CH2CH2−O−、−CH2−O−CH2CH2CH2−、−CH2CH2−O−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−O−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH32CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−CH(OCH3)−、−C(CF3)(OCH3)−、−CH2−S−、−CH2−S−CH2−、−CH2CH2−S−、−CH2−S−CH2CH2−、−CH2CH2−S−CH2−、−CH2CH2CH2−S−、−CH2−S−CH2CH2CH2−、−CH2CH2−S−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−S−CH2−、−CH(CH2)CH−、−C(CH2CH2)−、−CH2CO−、−CH2CH2CO−、−CH(CH3)CH2CO−、−CH(OH)−、−C(OH)(CH3)−、−CH(F)−、−CH(Br)−、−CH(Br)CH(Br)−、−CH=CH−、−CH2CH=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−O−、−CH=CH−S−、及び−CH=CHCO−からなる群から選択された何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項5】
前記化学式1で表される化合物のアニオン部である、下記化学式3で表される部分が、下記化学式1−i〜1−xxxxxiからなる群から選択された何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の光酸発生剤。
【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【請求項6】
下記化学式8で表される化合物を溶媒に溶解し、還元剤に反応させて下記化学式6で表される化合物を得る第1段階と、
下記化学式7で表される化合物と下記化学式6で表される化合物を塩基性触媒下で反応させて下記化学式4で表される化合物を得る第2段階と、
下記化学式4で表される化合物と下記化学式5で表される化合物を置換反応させて下記化学式1で表される化合物を得る第3段階と、
を含む下記化学式1で表される光酸発生剤の製造方法。
【化40】


【化41】


【化42】


【化43】


【化44】


【化45】

前記式において、
前記R6はアルキル基であり、
前記Q1、Q2、及びQ5は各々独立にハロゲン原子であり、
前記Yはアリール基で置換されたアルキル基及び芳香族炭化水素基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記Xはアルカンジイル、アルケンジイル、NR’、S、O、CO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであり、前記R’は水素及びアルキル基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記nは0〜5の整数であり、
前記A+は有機対イオンであり、
前記M+はLi+、Na+、及びK+からなる群から選択された何れか1つであり、
前記Z−は(OSO2CF3)−、(OSO249)−、(OSO2817)−、(N(CF32)−、(N(C252)−、(N(C492)、(C(CF33)−、(C(C253)−、(C(C493)−、F−、Cl−、Br−、I−、BF4−、AsF6−、及びPF6−からなる群から選択された何れか1つである。
【請求項7】
下記化学式4で表される化合物。
【化46】

前記式において、
前記Yはアリール基で置換されたアルキル基及び芳香族炭化水素基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記Xはアルカンジイル、アルケンジイル、NR’、S、O、CO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された何れか1つであり、前記R’は水素及びアルキル基からなる群から選択された何れか1つであり、
前記Q1及びQ2は各々独立にハロゲン原子であり、
前記nは0〜5の整数であり、
前記M+はLi+、Na+、及びK+からなる群から選択された何れか1つである。
【請求項8】
下記化学式6で表される化合物。
【化47】

前記式において、
前記M+はLi+、Na+、及びK+からなる群から選択された何れか1つであり、
前記Q1及びQ2は各々独立にハロゲン原子である。
【請求項9】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の光酸発生剤を含む化学増幅型レジスト組成物。

【公開番号】特開2011−252147(P2011−252147A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97064(P2011−97064)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(509001445)コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド (14)
【Fターム(参考)】