説明

光電スイッチ

【課題】光電スイッチを連装状態で使用する場合に、より確実に相互干渉の影響を回避し得る光電スイッチを提供する。
【解決手段】自発光弁別回路31が受光信号と閾値を比較し、閾値以上なら計数回路33がカウンタ値をカウントアップし、閾値未満ならカウントダウンする。外乱光弁別回路32は、投光前後の本来入光のないタイミングで受光信号と閾値を比較し、外乱光を検出する。判定回路34は、カウンタ値が特定の値に遷移した場合、および外乱光を検出した場合に、投光周期を変更する制御信号を分周回路12へ出力し、投光タイミングをずらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受光量の変化に基づいて検出対象物を検出する光電スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
反射形の光電スイッチは、検出対象物で反射した光を受光して遮光状態から入光状態へ遷移するとき、受光した光が外乱光である可能性を考えて、遷移時に投光周期をシフトする方法がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に係る光電スイッチは、受光部の検波回路で検波した検波信号を遅延回路で投光周期に等しい時間だけ遅延させる。そして、AND回路において、遅延回路で遅延させた遅延検波信号と検波回路の検波信号との論理積をとると、周期の異なる他の光電スイッチのパルス光およびノイズ光などが除去され、自機の投光のみの弁別が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−175817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光電スイッチは以上のように構成されているので、同一の光電スイッチを2台連装して使用する場合であって、この2台の光量が単独では動作レベルに達しないが相互に干渉すると動作レベルに達するような場合、あるタイミングで同じ動作になると投光周期が同じようにシフトして干渉しあい、チャタリングなどの誤動作を招くことがあるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、より確実に相互干渉の影響を回避し得る光電スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1に係る光電スイッチは、所定の投光周期毎に検出領域に向けて投光する投光部と、検出領域からの光を受光し、受光量に応じた受光信号を出力する受光部と、投光周期毎に、所定の入光判定タイミングにおける受光信号を第1の閾値と比較して、受光信号が第1の閾値以上の場合に計数値に所定数を加算し、受光信号が第1の閾値未満の場合に当該計数値から所定数を減算する自発光弁別部と、投光周期毎に、投光部による投光前後の各タイミングにおける受光信号を第2の閾値とそれぞれ比較して、受光信号が第2の閾値以上の場合に外乱光の入光を検出する外乱光弁別部と、自発光弁別部の計数値が特定の値に遷移した場合、および外乱光弁別部で投光前後の少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合に、投光部の投光周期を変更させる判定部とを備えるものである。
【0007】
この発明の請求項2に係る光電スイッチは、判定部が、外乱光弁別部が投光前のタイミングで外乱光を検出した場合に投光部の投光周期を長くさせ、投光後のタイミングで外乱光を検出した場合に投光周期を短くさせるようにしたものである。
【0008】
この発明の請求項3に係る光電スイッチは、判定部が、外乱光弁別部が投光前のタイミングで外乱光を検出した場合に投光部の投光周期を短くさせ、投光後のタイミングで外乱光を検出した場合に投光周期を長くさせるようにしたものである。
【0009】
この発明の請求項4に係る光電スイッチは、判定部が、自発光弁別部の計数値が特定の値に遷移し、かつ、外乱光弁別部で投光前後の少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合、当該外乱光弁別部の検出結果に従って投光部の投光周期を変更するようにしたものである。
【0010】
この発明の請求項5に係る光電スイッチは、判定部が、投光部の投光周期を長くする場合の変更量と、当該投光周期を短くする場合の変更量とを異なる量にするようにしたものである。
【0011】
この発明の請求項6に係る光電スイッチは、判定部が、投光部の投光周期の変化量を、自発光弁別部の計数値が特定の値に遷移した場合と、外乱光弁別部で投光前後の少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合とで異なる量にするようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の請求項1によれば、自発光の入光判定に応じて増減する計数値が特定の値に遷移した場合、および投光前後で外乱光を検出した場合に投光周期を変更するようにしたので、光電スイッチを連装状態で使用したときに、相互干渉の影響を回避しやすくできる。
【0013】
この発明の請求項2および請求項3によれば、外乱光の入光が自発光より前なら自発光の投光タイミングを遅らせ自発光より後なら投光タイミングを早くするか、あるいは、外乱光の入光が自発光より前なら自発光の投光タイミングを早め自発光より後なら投光タイミングを遅らせるようにしたので、相互干渉による誤動作が生じる前に自機の投光周期を変更することができる。
【0014】
この発明の請求項4によれば、自発光の入光判定結果に応じた投光周期より、外乱光の検出結果に応じた投光周期を優先するようにしたので、相互干渉の影響を回避しやすくできる。
【0015】
この発明の請求項5によれば、投光周期を長くする場合の変更量と短くする場合の変更量とを異なる量にしたので、長くする場合と短くする場合が交互に発生しても通常の投光周期の投光タイミングに戻らず、相互干渉の影響を回避しやすくできる。
【0016】
この発明の請求項6によれば、投光部の投光周期の変化量を、自発光弁別部の計数値が特定の値に遷移した場合と、外乱光弁別部で投光前後の少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合とで異なる量にしたので、相互干渉の影響を回避しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光電スイッチの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る光電スイッチの受光信号の一例を示すグラフである。
【図3】実施の形態1に係る光電スイッチの動作例を示すタイミングチャートである。
【図4】実施の形態1に係る光電スイッチの動作例を図4(a)に示し、図4(b)に変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1に示す光電スイッチ1は、検出領域に向いた状態で並んだ投光部10と受光部20とを備えた反射形光電スイッチであり、検出対象物に反射した投光部10の投光を受光部20で受光し、検出部30が受光量の変化に基づいて検出領域に検出対象物があるか否かを判定する。
【0019】
投光部10において、発振回路11の発振する一定周期のクロック信号を分周回路12で分周して所定の投光周期にし、駆動回路13がその投光周期のパルス電流を投光素子14へ供給する。発光ダイオードなどで構成される投光素子14は、一定パルス幅の光信号を投光周期毎に検出領域に向けて投光する。
この分周回路12は、クロック信号の周期を検出部30から入力される制御信号に応じた投光周期に変更する。また、分周回路12から検出部30へ同期信号を出力して、投光開始のタイミングを伝える。
【0020】
受光部20において、フォトダイオードなどで構成される受光素子21が、投光部10から投光されて検出領域の検出対象物に反射した光を受光して、受光量に応じたレベルの電流値を出力する。IV変換回路22が受光素子21の出力電流を電流−電圧変換し、増幅回路23が増幅し、検波回路24が整流する。また、図示は省略するが、増幅回路23にはフィルタによるノイズ除去機能も含まれる。
【0021】
検出部30において、検波回路24から出力された受光信号は、自発光弁別回路31と外乱光弁別回路32にそれぞれ入力される。また、分周回路12から投光開始のタイミングを示す同期信号が自発光弁別回路31と外乱光弁別回路32にそれぞれ入力される。自発光とは、検出部30と同一の光電スイッチ1が有する投光部10の投光である。外乱光とは、この光電スイッチ1の自発光以外の光であり、例えば光電スイッチ1の近くに設置された別の光電スイッチの投光またはその反射光(干渉光)、光電スイッチ1が設置された環境で用いられている照明器具の光である。
【0022】
自発光弁別回路31は、同期信号に基づいて決定される入光判定タイミングにおいて、受光信号レベルを取得して所定の入光判定閾値(第1の閾値)と比較する。受光信号レベルが入光判定閾値以上の場合、自発光が入光している状態と判定して「1」を計数回路33へ出力する。一方、受光信号レベルが入光判定閾値未満の場合、自発光は入光していない状態と判定して「0」を計数回路33へ出力する。
外乱光弁別回路32は、同期信号に基づいて決定される外乱光検出タイミングにおいて、受光信号レベルを取得して所定の外乱光検出閾値(第2の閾値)と比較する。受光信号レベルが外乱光検出閾値以上の場合、外乱光が入光している状態と判定して「1」を判定回路34へ出力する。一方、受光信号レベルが外乱光検出閾値未満の場合、外乱光が入光していない状態と判定して「0」を判定回路34へ出力する。
【0023】
ここで、自発光弁別回路31および外乱光弁別回路32の判定方法を説明する。
図2は、受光信号の電圧波形例を示すグラフであり、外乱光の干渉がない状態である。グラフの縦軸は振幅[V]、横軸は時間[μs]を示し、同期信号に基づく投光開始のタイミングを時間t=0μsとする(以下、t0と称す)。
受光部20を構成する回路の応答性に基づいて、自発光由来の受光信号レベルが最も高くなるタイミングを入光判定タイミングとして自発光弁別回路31へ与えておく。図2の場合は、時間taを入光判定タイミングとする。
【0024】
また、自発光の投光前後であって正常時には検波されないタイミングを第1外乱光検出タイミングおよび第2外乱光検出タイミングとして外乱光弁別回路32へ与えておく。投光開始のタイミングである時間t0では、外乱光がなければ受光信号は0になるはずである。よって、図2においてはこの時間t0を、自発光より前に外乱光が入光したか否かを判定するための第1外乱光検出タイミングとして、外乱光弁別回路32へ与える。
さらに、自発光より後に外乱光が入光したか否かを判定するための第2外乱光検出タイミングを時間tbに決定し、外乱光弁別回路32へ与えておく。この第2外乱光検出タイミングは受光部20の応答性に合わせて決定すればよい。
また、第1外乱光検出タイミングでの第1外乱光検出閾値と、第2外乱光検出タイミングでの第2外乱光検出閾値は、外乱光を感度良く検出できるように入光判定閾値より低い値に設定することが好ましい。
【0025】
計数回路33は、アップダウンカウンタなどのデジタル積分回路であり、本実施の形態1では5段階のアップ/ダウンカウントを行う。この計数回路33は、自発光弁別回路31の出力値が1の場合(即ち、自発光が入光している状態)にカウントアップし、出力値が0の場合(即ち、自発光が入光していない状態)にカウントダウンし、カウンタ値を判定回路34へ出力する。
【0026】
判定回路34は、外乱光弁別回路32で第1外乱光検出タイミングの外乱光を検出した場合、自発光より前に外乱光があることになるため、自発光の投光タイミングを遅くする。この場合、判定回路34から分周回路12へ、投光周期を長くする制御信号を出力する。
一方、外乱光弁別回路32で第2外乱光検出タイミングの外乱光を検出した場合、自発光より後に外乱光があることになるため、自発光の投光タイミングを早くする。この場合、判定回路34から分周回路12へ、投光周期を短くする制御信号を出力する。
光電スイッチ1とは別の光電スイッチを連装状態で使用し、光電スイッチ1の投光周期と別の光電スイッチの投光周期が異なるとき、別の光電スイッチの投光(干渉光)の投光タイミングが光電スイッチ1の投光タイミングに近づいてくるため、干渉による誤動作が生じることがある。この場合に、光電スイッチ1が投光タイミングをずらして干渉光を回避するので、誤動作に至らない。
【0027】
また、判定回路34は、計数回路33のカウンタ値に応じて以下の動作を行う。
1.カウンタ値が0のとき、遮光状態(検出対象物がない状態)と判定する
2.カウンタ値が5のとき、入光状態(検出対象物がある状態)と判定する
3.カウンタ値が1〜4のとき、前の判定を維持する
3−1.カウンタ値が1→2となったとき、または3→4となったとき、投光周期を短くする(または長くする)制御信号を出力する
3−2.カウンタ値が4→3となったとき、または2→1となったとき、投光周期を短くする(または長くする)制御信号を出力する
上記3−1および3−2は、別の光電スイッチの周期的な投光に起因する相互干渉により状態遷移が発生している可能性があるため、投光周期を長短いずれかに変更して投光開始タイミングをずらすことで干渉光を回避することを目的としている。
【0028】
なお、判定回路34は、上記3−1または3−2のカウンタ値遷移と、外乱光弁別回路32の外乱光検出とが同時に発生したときは、どちらか一方を優先して投光周期を変更すればよい。ただし、カウンタ値遷移に基づく干渉光の認識率に比べ、外乱光検出に基づく干渉光の認識率が高いと予想されるため、外乱光検出に基づく投光周期の変更を優先して行うことが好ましい。
【0029】
上記動作は5段階のアップダウンカウンタを用いる場合の一例であり、用いるアップダウンカウンタに応じて動作も適宜変更すればよい。
【0030】
次に、光電スイッチ1における投光周期の変更例を説明する。
図3(a)は、投光素子14の発する光信号であり、通常の投光周期は90μsとする。図3(b)は自発光弁別回路31および外乱光弁別回路32に入力される受光信号であり、入光判定閾値を一点鎖線で示す。第1外乱光検出閾値および第2外乱光検出閾値は0とする。図3(c)は、計数回路33のカウンタ値である。図3(d)は、判定回路34が計数回路33のカウンタ値に基づいて判定した入光/遮光状態である。図3(e)は、判定回路34が自発光弁別回路31のカウンタ値遷移と外乱光弁別回路32の外乱光検出に基づいて出力する制御信号が指示する投光周期である。
【0031】
図3の例では、投光開始タイミングを時間t=0μs(即ちt0)とした場合に、時間ta(>t0)でカウンタ値が1→2となったとき、および4→3となったとき、それぞれ投光周期を短くする。また、時間t0で外乱光を検出したら投光周期を長くする。また、時間tb(>ta)で外乱光を検出したら投光周期を短くする。さらに、カウンタ値遷移と外乱光検出とが同時に発生したときは、外乱光検出に基づく投光周期の変更を優先する。
また、分周回路12において、通常の投光周期は90μsとし、短くする場合は70μsに、長くする場合は105μsに変更する。
【0032】
上記のような条件のもと、投光部10は、1回目および2回目の投光開始タイミングにおいて通常の投光周期90μsで投光する。どちらの投光も受光信号レベルが入光判定閾値以上なので自発光弁別回路31が「1(即ち、自発光が入光されている状態)」を出力し、計数回路33がカウンタ値を0→1→2にする。また、受光信号レベルが第1外乱光検出閾値および第2外乱光検出閾値以上のため、外乱光弁別回路32による外乱光の検出はない。判定回路34は、カウンタ値から遮光状態と判定し、さらにカウンタ値が1→2に遷移したので分周回路12へ投光周期を70μsに短くする制御信号を出力する。
【0033】
3回目の投光は、分周回路12が判定回路34から制御信号を受けて投光周期を短くすることにより、投光開始タイミングが早まる。また、分周回路12からの同期信号を受けた自発光弁別回路31および外乱光弁別回路32が投光に同期した各タイミングで閾値判定を行う。ここでは、自発光弁別回路31が自発光を検出するので、計数回路33がカウンタ値を2→3にする。判定回路34は、遮光状態の判定を維持し、さらにカウンタ値遷移および外乱光検出の条件に該当しないので通常の投光周期90μsを示す制御信号を出力する。
【0034】
4回、5回と通常の投光周期で投光が続き、5回目の投光でカウンタ値が5になるので、判定回路34が入光状態と判定する。
6回目の投光は、対応する受光信号レベルが入光判定閾値未満のため、自発光弁別回路31が「0(即ち、自発光が入光されていない状態)」を出力し、計数回路33がカウンタ値を5→4にする。このため、判定回路34は入光状態の判定を維持する。よって、4〜6回目の投光では、判定回路34が投光周期90μsの制御信号を出力する。
【0035】
7回目の投光において外乱光が混じり、受光信号レベルが時間t0で第1外乱光検出閾値以上となるので、外乱光弁別回路32が「1(即ち、外乱光検出)」を出力する。また、受光信号レベルが入光判定閾値未満のため、自発光弁別回路31が「0」を出力し、計数回路33がカウンタ値を4→3にし、判定回路34が入光状態の判定を維持する。この例では、カウンタ値遷移より外乱光検出を優先するので、判定回路34は投光周期を105μsに長くする制御信号を分周回路12へ出力する。
【0036】
8回目の投光は、分周回路12が判定回路34から制御信号を受けて投光周期を長くすることにより、投光開始タイミングが遅くなる。また、分周回路12からの同期信号を受けた自発光弁別回路31および外乱光弁別回路32が投光に同期した各タイミングで閾値判定を行う。ここでは、自発光弁別回路31が自発光を検出するので、計数回路33がカウンタ値を3→4にし、判定回路34が入光状態の判定を維持する。さらにカウンタ値遷移および外乱光検出の条件に該当しないので通常の投光周期90μsを示す制御信号を出力する。
【0037】
なお、図3の例では、投光周期を長くする場合と短くする場合とで通常周期からの差が異なるように設定している。そのため、長い周期と短い周期が交互に発生した場合でも、通常の投光周期の投光タイミングに戻らない。これにより、別の光電スイッチの周期的な投光に起因する相互干渉を防ぐことができる。
また、図3の例では、カウンタ値遷移と外乱光検出のいずれの場合も長い周期を105μsの同値、短い周期を70μsの同値に設定したが、これに限定されるものではなく、カウンタ値遷移と外乱光検出とで異なる長短の周期を設定してもよい。
【0038】
以上より、実施の形態1によれば、光電スイッチ1は、所定の投光周期毎に検出領域に向けて投光する投光部10と、検出領域からの光を受光し、受光量に応じた受光信号を出力する受光部20と、投光周期毎に、入光判定タイミングにおける受光信号を入光判定閾値と比較する自発光弁別回路31と、自発光弁別回路31において受光信号が入光判定閾値以上の場合にカウントアップし、入光判定閾値未満の場合にカウントダウンする計数回路33と、投光周期毎に、投光部10による投光前後の第1および第2外乱光検出タイミングにおける受光信号を第1および第2外乱光検出閾値と比較して、受光信号が第1および第2外乱光検出閾値以上の場合に外乱光の入光を検出する外乱光弁別回路32と、計数回路33のカウンタ値が特定の値に遷移した場合、および外乱光弁別回路32で第1および第2外乱光検出タイミングの少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合に、投光部10の投光周期を変更させる判定回路34とを備えるように構成した。このため、光電スイッチ1を連装状態で使用したときに、同じ動作となる確率を大幅に低減できるようになり、相互干渉の影響を回避しやすくできる。
【0039】
また、実施の形態1によれば、判定回路34は、外乱光弁別回路32が第1外乱光検出タイミングで外乱光を検出した場合に投光部10の投光周期を長くさせ、第2外乱光検出タイミングで外乱光を検出した場合に投光周期を短くさせるように構成した。このため、相互干渉による誤動作が生じる前に自機の投光周期を変更することができる。
【0040】
また、実施の形態1によれば、判定回路34は、計数回路33のカウンタ値が特定の値に遷移し、かつ、外乱光弁別回路32で第1および第2外乱光検出タイミングの少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合、外乱光弁別回路32の検出結果に従って投光部10の投光周期を変更するように構成した。このため、相互干渉の影響を回避しやすくできる。
【0041】
また、実施の形態1によれば、投光部10の投光周期を長くする場合の変更量と、短くする場合の変更量とが異なる量になるよう設定した。このため、長くする場合と短くする場合が交互に発生しても通常の投光周期の投光タイミングに戻らず、相互干渉の影響を回避しやすくできる。
【0042】
なお、上記実施の形態1では、自発光より前に外乱光が入光した場合に自発光の投光タイミングを遅くし(投光周期を長くし)、自発光より後に外乱光が入光した場合に自発光の投光タイミングを早くする(投光周期を短くする)構成としたが、反対に、自発光より前に外乱光が入光した場合に自発光の投光タイミングを早くし(投光周期を短くし)、自発光より後に外乱光が入光した場合に自発光の投光タイミングを遅くする(投光周期を長くする)構成にしてもよい。図4に一例を示す。
【0043】
図4(a)は、実施の形態1の通り、外乱光を自発光より前で検出した場合に投光周期を長くし、後で検出した場合に投光周期を短くする例を示す。ここでは、光電スイッチ1において自発光の通常の投光周期が90μs、外乱光の投光周期が90.5μsとする。自発光と外乱光の間隔が所定時間以下まで近づくと、第1外乱光検出タイミング(図4(a)の破線矢印)で外乱光を検出し、投光周期を105μsまで長くする。これにより、自発光と外乱光の間隔が広がり、再度所定時間以下となるまで光電スイッチ1は通常動作に戻る。
このように、上記実施の形態1の例では、外乱光を検出するとそれを逃げる方向に周期を変更していた。そのため、逃げる自発光を追いかけるようにして外乱光が時間差を縮めていき、再度外乱光を検出するとまた周期を変更して相互干渉を回避する。
【0044】
これに対し、図4(b)は、外乱光を自発光より前で検出した場合に投光周期を短くし、後で検出した場合に投光周期を長くする変形例である。この場合、光電スイッチ1において第1外乱光検出タイミング(図4(b)の破線矢印)で外乱光を検出すると、外乱光が自発光を飛び越す方向に周期を変更して、相互干渉を回避する。そのため、図4(a)の場合に比べて自発光と外乱光の時間差が広がり、再度外乱光を検出するまでの期間が長くなる。
【0045】
また、上記説明では、実施の形態1の構成を反射形の光電スイッチに適用した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、透過形など他のタイプの光電スイッチに適用することも可能である。
これ以外にも、具体的な構成は、上述した実施の形態1の構成に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 光電スイッチ
10 投光部
11 発振回路
12 分周回路
13 駆動回路
14 投光素子
20 受光部
21 受光素子
22 IV変換回路
23 増幅回路
24 検波回路
30 検出部
31 自発光弁別回路
32 外乱光弁別回路
33 計数回路
34 判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の投光周期毎に検出領域に向けて投光する投光部と、
前記検出領域からの光を受光し、受光量に応じた受光信号を出力する受光部と、
前記投光周期毎に、所定の入光判定タイミングにおける前記受光信号を第1の閾値と比較して、前記受光信号が前記第1の閾値以上の場合に計数値に所定数を加算し、前記受光信号が前記第1の閾値未満の場合に当該計数値から所定数を減算する自発光弁別部と、
前記投光周期毎に、前記投光部による投光前後の各タイミングにおける前記受光信号を第2の閾値とそれぞれ比較して、前記受光信号が前記第2の閾値以上の場合に外乱光の入光を検出する外乱光弁別部と、
前記自発光弁別部の計数値が特定の値に遷移した場合、および前記外乱光弁別部で投光前後の少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合に、前記投光部の投光周期を変更させる判定部とを備える光電スイッチ。
【請求項2】
判定部は、外乱光弁別部が投光前のタイミングで外乱光を検出した場合に投光部の投光周期を長くさせ、投光後のタイミングで外乱光を検出した場合に前記投光周期を短くさせることを特徴とする請求項1記載の光電スイッチ。
【請求項3】
判定部は、外乱光弁別部が投光前のタイミングで外乱光を検出した場合に投光部の投光周期を短くさせ、投光後のタイミングで外乱光を検出した場合に前記投光周期を長くさせることを特徴とする請求項1記載の光電スイッチ。
【請求項4】
判定部は、自発光弁別部の計数値が特定の値に遷移し、かつ、外乱光弁別部で投光前後の少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合、当該外乱光弁別部の検出結果に従って投光部の投光周期を変更することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の光電スイッチ。
【請求項5】
判定部は、投光部の投光周期を長くする場合の変更量と、当該投光周期を短くする場合の変更量とを異なる量にすることを特徴とする請求項2または請求項3記載の光電スイッチ。
【請求項6】
判定部は、投光部の投光周期の変化量を、自発光弁別部の計数値が特定の値に遷移した場合と、外乱光弁別部で投光前後の少なくとも一方のタイミングで外乱光を検出した場合とで異なる量にすることを特徴とする請求項1記載の光電スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90301(P2013−90301A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232271(P2011−232271)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】