光電変換装置の製造方法
【課題】 光電変換素子に対するマイクロレンズの位置が高精度に制御された光電変換装置を提供する。
【解決手段】 半導体ウエハ1000の活性領域110を画定する分離領域120を形成する工程(S1)と、分離領域120によって画定された活性領域120に光電変換素子130を形成する工程(S4)と、光電変換素子130の上にマイクロレンズ600を形成する工程(S16)と、を有し、光電変換素子130を形成する工程(S4)におけるアライメント(A4)およびマイクロレンズ600を形成する工程(S16)におけるアライメント(A16)を、分離領域110を形成する工程(S1)で形成されたアライメントマーク(AM1)を基準にして行う。
【解決手段】 半導体ウエハ1000の活性領域110を画定する分離領域120を形成する工程(S1)と、分離領域120によって画定された活性領域120に光電変換素子130を形成する工程(S4)と、光電変換素子130の上にマイクロレンズ600を形成する工程(S16)と、を有し、光電変換素子130を形成する工程(S4)におけるアライメント(A4)およびマイクロレンズ600を形成する工程(S16)におけるアライメント(A16)を、分離領域110を形成する工程(S1)で形成されたアライメントマーク(AM1)を基準にして行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置の製造方法に関し、特にマイクロレンズのアライメントに関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換装置としてはCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサが典型的であるが、これらの典型的な光電変換装置は、光電変換素子に入射する光を集光するマイクロレンズを備える。
特許文献1には、分離領域を形成し、分離領域をアライメントの基準にして、光電変換素子を形成することが開示されている。また、特許文献1には、分離領域をアライメントの基準にして、ゲート層を形成すること、このゲート層をアライメントの基準にして各コンタクトプラグ層を形成することが開示されている。更に、カラーフィルタを形成する際にはゲート層を基準にして位置合わせを行うこと、オンチップレンズ(マイクロレンズ)を形成する際には、カラーフィルタを基準にして位置合わせをすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−273342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、マイクロレンズ形成時には、先のアライメント時に生じ得るアライメント誤差が、ゲート層形成、カラーフィルタ形成を経て重畳する。その結果、光電変換素子とマイクロレンズとの相対的位置関係が設計値から大きくかい離してしまう場合があった。
かかるかい離は、複数の光電変換素子同士の間隔(画素ピッチ)が微細になればなるほど、例えば、クロストークの発生や感度の低下など、光電変換装置の性能の低下を招くと考えられる。
そこで本発明は、光電変換素子に対するマイクロレンズの位置が高精度に制御された光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、半導体ウエハの活性領域を画定する分離領域を形成する工程と、前記分離領域によって画定された前記活性領域に光電変換素子を形成する工程と、前記光電変換素子の上にマイクロレンズを形成する工程と、を有する光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換素子を形成する前記工程におけるアライメントおよび前記マイクロレンズを形成する前記工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光電変換素子に対するマイクロレンズの位置が高精度に制御された光電変換装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【図2】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【図3】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図4】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図5】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図6】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図7】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図8】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図9】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図10】本発明を説明するための模式図。
【図11】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【図12】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本発明に係る光電変換装置の一例の概要を説明する。図1(a)は光電変換装置1の平面図である。光電変換装置1は受光部10に複数の受光ユニット11を有する。図1(a)では受光部10に複数の受光ユニット11を2次元状に配列した例を示したが、1次元状に配列してもよい。
【0009】
光電変換装置1は、専ら撮像装置(イメージセンサ)として用いることができるし、専ら測距装置(焦点検出装置とも言う)あるいは測光装置として用いることもできる。また、光電変換装置1を、撮像装置と、測距装置および測光装置の少なくとも一方と、を兼ねる多機能装置として用いることができる。
【0010】
以下、光電変換装置1として、CMOSイメージセンサ等のいわゆる画素増幅型の撮像装置を例に挙げて説明を行う。撮像装置においては、1つの受光ユニット11が複数の画素の1つの画素に対応する。図1(a)、(b)では画素毎を破線で区分している。
【0011】
光電変換装置1は、図1(a)に示す様に、受光部10の他に、受光部10に設けられた画素回路を駆動したり、受光部10で得られた信号を処理したりするための周辺回路が設けられた周辺回路部20を有することができる。また、光電変換装置1は、その製造工程で用いられるアライメントマークやテストマークが形成されたマーク部30を有することもできる。
【0012】
図1(b)は光電変換装置の回路図の一例である。1つの受光ユニット11は1つの光電変換素子130を有している。光電変換素子130には、転送トランジスタ150を介して容量部140が接続されている。容量部140は増幅トランジスタ160の制御電極(ゲート)に接続されている。容量部140はリセットトランジスタ170の一方の主電極(ソース)に接続されている。増幅トランジスタ160の一方の主電極(ドレイン)とリセットトランジスタ170の他方の主電極(ドレイン)は、定電圧源191が接続された電源線190に接続されている。増幅トランジスタ160の他方の主電極(ソース)は選択トランジスタ180を介して出力線192に接続されている。出力線192には定電流源193が接続されており、増幅トランジスタ160はソースフォロワ回路を成している。増幅トランジスタ160のゲートの電圧に応じた電圧が出力線192に現れ、これが読み出し回路194によって読み出される。定電圧源191、定電流源193、読み出し回路194はそれぞれ周辺回路部20に配置することができる。読み出し回路194はクランプ回路やサンプルホールド回路、バッファー回路、A/D変換回路等を必要に応じて有する。
【0013】
なお、図1(b)では画素回路が、転送トランジスタ150を含む4つのトランジスタで構成された例を示したが、選択トランジスタ180を省略して3つのトランジスタで構成してもよい。また、容量部140と転送トランジスタ150を省略して、光電変換素子130を増幅トランジスタ160のゲートに直接接続してもよい。また、増幅トランジスタ160やリセットトランジスタ170を画素毎に設けた例に限らず、いわゆる画素共有構造を採用してもよい。
【0014】
図2(a)は図1(a)における1つの受光ユニット11の平面図であり、図2(b)は図1(a)および図2(a)のA−B線における受光ユニット11の断面図である。以下の説明では、図2(a)と図2(b)を相互に参照しながら説明を行う。
【0015】
光電変換装置1は半導体基板100を備えている。半導体基板100は、分離領域110(素子分離領域)と活性領域120を有しており、分離領域110が活性領域120を画定している。分離領域110には分離絶縁体111が設けられている。この分離絶縁体111は典型的にはいわゆるフィールド酸化膜である。分離絶縁体111は、具体的にはLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法によって形成された熱酸化膜やSTI(Shallow Trench Isolation)の埋め込み酸化膜、あるいはこれらと類似の素子分離構造が有する絶縁体である。
【0016】
光電変換素子130は半導体基板100内の活性領域120に設けられている。マイクロレンズ600が光電変換素子130の上に設けられている。1つの受光ユニット11は、1つの光電変換素子130と、それに対応する1つのマイクロレンズ600を少なくとも有する。すなわち、光電変換素子130とマイクロレンズ600の1組を以てして、1つの受光ユニット11が定義される。
【0017】
本例の光電変換素子130は第1導電型の第1半導体領域131と第2導電型の第2半導体領域132とを有している。第1半導体領域131と第2半導体領域132はPN接合を成しており、それぞれ信号電荷を生成する光電変換領域として機能する。そのため、第1半導体領域131と第2半導体領域132とを合わせて、光電変換素子130の光電変換部と云うことができる。第1半導体領域131は、第1半導体領域131で生成された信号電荷と、第2半導体領域132で生成された信号電荷を蓄積する蓄積領域としても機能する。本例の光電変換素子130は半導体基板100の表面と第1半導体領域131の間に配された第2導電型の第3半導体領域133をさらに有している。第3半導体領域133は暗電流低減のための表面領域として機能する。このように、本例の光電変換素子130は埋め込み型のフォトダイオード(光電変換部)を有している。なお、光電変換素子130の構成にフォトゲートを採用することもできる。
【0018】
ここで、第1導電型とは、信号電荷を多数キャリアとする導電型であり、第2導電型とは、信号電荷を少数キャリアとする導電型である。信号電荷が電子である場合には第1導電型がN型、第2導電型がP型であり、信号電荷が正孔である場合には第1導電型がP型、第2導電型がN型である。以下、信号電荷が電子である場合を説明するが、信号電荷は正孔であってもよい。
【0019】
活性領域120には、第2導電型の第5半導体領域145と、第1導電型の第4半導体領域144が設けられている。第4半導体領域144と第5半導体領域145はPN接合を成しており、第4半導体領域144は浮遊拡散領域として機能する。第4半導体領域144と第5半導体領域145は容量部140の一部を構成しうる。活性領域120には、第1半導体領域131と第3半導体領域144との間に、チャネル領域として機能する第2導電型の第6半導体領域156が設けられている。第6半導体領域156の上には不図示のゲート絶縁膜を介して制御電極155(ゲート電極)が設けられており、転送トランジスタ150の転送ゲート151を構成している。なお、転送トランジスタ150のソースは、実質的に第1半導体領域131(光電変換素子130の蓄積領域)となっており、転送トランジスタ150のドレインは、実質的に第4半導体領域144(浮遊拡散領域)となっている。
【0020】
なお、第2導電型の半導体領域である第2半導体領域132、第5半導体領域145および第6半導体領域156は、連続的に構成されていてもよく、これら第2導電型の半導体領域をまとめてウェル領域と呼ぶこともできる。分離領域110には、分離絶縁体111の下に、第2半導体領域132の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第2導電型の第7半導体領域112が設けられている。上述した増幅トランジスタ160、リセットトランジスタ170、選択トランジスタ180は、光電変換素子130が設けられる活性領域120にから分離領域110で分離された、他の活性領域(不図示)に設けることができる。第7半導体領域112は活性領域120のウェル領域から他の活性領域へのポテンシャル障壁として機能する。そのため、第7半導体領域112がウェル領域、例えば第2半導体領域132の範囲を規定しているということができる。
【0021】
本例では、受光部10において、半導体基板100とマイクロレンズ600との間に第1金属層210と、第2金属層220と第3金属層230と第4金属層240とを含む4層の金属層が設けられている。第1金属層210は、制御電極155や第4半導体領域144に接続された第1金属プラグ211と、この第1金属プラグ211に接続された第1金属配線212を有している。なお、第1金属プラグ211は、転送トランジスタ150以外のトランジスタの制御電極(ゲート)、主電極(ソース・ドレイン)、あるいはウェル領域にも接続されている。第1金属層210の上には第2金属層220が設けられている。第2金属層220は、第1金属配線212に接続された第2金属プラグ221と、この第2金属プラグ221に接続された第2金属配線222を有している。第2金属層220の上には第3金属層230が設けられている。第3金属層230は、第2金属配線222に接続された第3金属プラグ231と、この第3金属プラグ231に接続された第3金属配線232を有している。第3金属層230の上には第4金属層240が設けられている。第4金属層240は、第3金属配線232に接続された第4金属プラグ241と、この第4金属プラグ241に接続された第4金属配線242を有している。
【0022】
これら第1金属層210と、第2金属層220、第3金属層230、第4金属層240が、金属構造体を成している。本例では金属構造体は、画素回路の各トランジスタを相互に接続したり、画素回路と周辺回路とを相互に接続したりするための多層配線として機能する。ここでは、4層の金属層としたが、N層の金属層(N≧2)と一般化することができる。N層の金属層のうち、第1金属層210は上述したように、半導体基板100に設けられたトランジスタの制御電極及び/又は主電極に接続される金属層である。そして、N層の金属層のうち、第N金属層はマイクロレンズ600に最も近い金属層である。本例では第N金属層(本例では第4金属層240)は第N−1金属層(本例では第3金属層230)に接続されている。しかしながら、マイクロレンズ600に最も近い金属層である第N金属層は、必ずしも第N−1金属層に接続されていなくてもよく、電気的にフローティングであってもよい。なお、周辺回路部20にもN層の金属層を配することができるが、受光部10よりもさらに多くの金属層(例えばN+1層の金属層)を設けてもよい。
【0023】
本例では、金属層を金属プラグと金属配線とで構成しているが、金属層を金属配線のみで構成してもよいし、金属プラグのみで構成してもよい。例えば、上層の金属配線を、下層の金属配線に、金属プラグを介さずに直接接続してもよい。また、例えば、下層の金属配線の上に、金属プラグのみを形成してダミーパターンとして用いてもよい。なお、1つの金属層を成す金属配線と金属プラグとの関係において、金属プラグは金属配線に接続され、且つ、金属配線に対して半導体基板100側に設けられる。後述する製造方法に関連して説明すると、金属プラグと金属配線とで構成される1つの金属層は、金属プラグを形成した後に金属配線が形成されるのである。各金属層は、純金属や合金等の金属材料を主たる材料とするが、一部を窒化物等の金属化合物材料で構成してもよい。また、各金属層の金属配線と金属プラグに同じ材料を用いてもよいし、それぞれ別々の材料を用いてもよい。例えば、同一金属層の金属配線および金属プラグの材料に銅を用いてもよいし、同一金属層において金属プラグの材料にタングステンを用い、金属配線の材料にアルミニウムを用いてもよい。なお、受光部10において同一の金属層を成す金属配線は、絶縁層によって複数に分断されているパターンを有する場合もあれば、受光部10の略全体に渡って連続している格子状のパターンを有する場合もある。
【0024】
本例では、半導体基板100の上には、半導体基板100側から、第1絶縁層310と第2絶縁層320、第3絶縁層330、第4絶縁層340がこの順で設けられている。これら第1絶縁層310と、第2絶縁層320、第3絶縁層330、第4絶縁層340が、各金属層を支持および絶縁する複層膜である層間絶縁膜を成している。層間絶縁膜は光電変換装置1で変換される入射光に対して透明であり、光電変換素子130の上に設けられた各絶縁層は、受光ユニット11への入射光の光路に位置する。
【0025】
第4絶縁層340の上には、中間膜400が設けられている。この中間膜は単層膜であってもよいし複層膜であってもよい。中間膜400は、パッシベーション層や平坦化層、反射防止層、絶縁層等の化学的機能、機械的機能、光学的機能、電気的機能の少なくともいずれかを有する層を含む。
【0026】
中間膜400の上にはカラーフィルタ500が設けられている。カラーフィルタ500は可視光域の特定の波長域に分光特性を有している。なお、受光部10では、互いに異なる分光特性を有する複数種類のカラーフィルタが受光ユニット11の配列に応じて2次元状に配列されてなるカラーフィルタアレイが構成されている。カラーフィルタは原色系(RGB)や補色系(CYM)であってもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【0027】
カラーフィルタの上には光電変換素子130に対応する位置にマイクロレンズ600が設けられている。なお、受光部10では、複数のマイクロレンズ600が受光ユニット11の配列に応じて2次元状に配列されてなるマイクロレンズアレイが構成されている。受光部10のマイクロレンズアレイにおいて、互いに隣り合うマイクロレンズ600同士は接していてもよいし離れていてもよい。
【0028】
以上のように、本例の受光ユニット11は、光電変換素子130とマイクロレンズ600に加えて、各絶縁層や中間膜400、カラーフィルタ500を有している。なお、金属構造体の少なくとも1つの金属層は受光ユニット11に入射する入射光の光電変換素子130までの光路を規定もしくは制限する機能を有することができる。
【0029】
次に、光電変換装置1を製造する際の各半導体領域や各部材の形成方法について、その概要を説明する。光電変換装置1は、半導体ウエハ(以下、ウエハとよぶ)内あるいはウエハ上に、パターニング手段を用いたパターニング技術によって半導体領域や各構成部材を形成することにより製造することができる。パターニング技術としては、典型的には、フォトマスク(レチクルともいう)をパターニング手段とした、フォトリソグラフィ技術が挙げられる。ただし、後述するように、パターニング手段はフォトマスクに限定されることはないし、パターニング技術がフォトリソグラフィ技術に限定されることもない。
【0030】
フォトマスクを用いたフォトリソグラフィ技術は、フォトマスク(パターニング手段)が有するパターンを、フォトマスクを介したフォトレジストの露光と、露光されたフォトレジストの現像とによって、フォトレジストに転写する手法を、その少なくとも一部として含む。フォトリソグラフィ技術は、パターンが転写されたフォトレジストを用いたパターニング技術を含む。パターニング技術には、パターニングされたフォトレジストをマスクとして用いて、形成しようとする構成部材の母材に対して所定の変化を加えることが含まれる。「所定の変化」には、イオン注入等によって母材に不純物を導入したり、母材に熱酸化や硬化等の化学的変化を生じせしめたりすることが含まれる。また、「所定の変化」には、母材の一部をドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングあるいはリフトオフによって除去することも含まれる。なお、構成部材の母材は、蒸着法やスパッタ法、CVD法、塗布法等の慣用される成膜法によって形成することができる。かかる「所定の変化」は、フォトマスクによってパターニングされたフォトレジストの存在下で行われることもあるが、そうでない場合もある。例えば、まず、パターニングされたフォトレジストを用いて「所定の変化」を加えるためのマスクをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストを除去した後に、パターニングされたマスクを用いて「所定の変化」を加える場合である。このような場合、パターニングされたマスクにはフォトレジストのような有機材料(樹脂)ではなく、無機材料が用いられる場合が多く、一般的にはハードマスクと呼ばれている。
【0031】
このように、パターニング手段を用いて形成された光電変換装置の構成部材は、「所定の変化」に伴って、フォトマスク等のパターニング手段が有するパターンを反映した形状や物性の分布を有することになる。
【0032】
ウエハ上で部材をパターニングして形成するためには、ウエハ上において先に形成された部材に対して、上述した各種パターニング技術におけるパターニング手段のアライメント(位置合わせ)を行う必要がある。なお、ウエハ上でのパターニングを行わずに、予めパターニングされた構成部材を用意して、この構成部材をウエハ上に載せる場合にも、アライメントを行う必要がある。アライメントは、ウエハ上において、先に形成された部材と同じパター二ング手段によって、先に形成された部材と同じ工程、すなわち、同じパターニング手段を用いて形成されたアライメントマークを基準にして行うことができる。パターニング手段としてフォトマスクを用いた場合のアライメントの一例を挙げる。
【0033】
アライメントマークとしては、ウエハ上に設けられた、X座標測定用アライメントマークと、X座標測定用アライメントマークに対して90度回転して配置されたY座標測定用アライメントマークの組を用いることができる。それぞれのアライメントマークをステッパー等の露光装置に備え付けられた光学的検出手段で読み取ることにより、アライメントマークの位置のX座標とY座標を得る。この座標に基づいてステージおよびウエハの位置を判断し、ウエハの位置に対応した適切な位置にフォトマスクを配置する。これによりウエハとフォトマスクのアライメントを得ることができる。
【0034】
アライメントマークとしてウエハ上に設けられた調整用アライメントマークをさらに用いることで、より精密なアライメントを行うこともできる。例えば、調整用アライメントパターンをフォトマスクに設けておき、上述した測定用アライメントマークを用いたアライメントの後、調整用アライメントマークと調整用アライメントパターンの位置のズレを光学的に検出する。このズレを修正するように、フォトマスクとウエハの位置を調整するのである。なお、測定用アライメントマークのみを用いてアライメントを行ってもよいし、調整用アライメントマークのみを用いてアライメントを行ってもよい。また、測定用アライメントマークが調整用アライメントマークを兼ねるようにしてもよい。
【0035】
また、或る工程で形成するアライメントマークをマーク部30の複数の位置に形成してもよい。そして、或る工程の後の工程におけるアライメント毎に、複数の位置に形成されたアライメントマークから適宜選択された位置のアライメントマークを、後の工程におけるアライメントの基準とすることもできる。
【0036】
アライメントが行われると、露光を実施する。光電変換装置1を製造するためには、ウエハ上の略同じ箇所において、複数の構成部材を形成するために、複数工程でそれぞれパターニングを行う必要がある。しかしながら、アライメントに誤差が生じた場合、複数工程でパターニングを繰り返すと、誤差が重畳されてしまう。その結果、初期の製造工程で形成された部材に対して、末期の製造工程で形成された部材の位置が設計値に対して許容できる誤差以上の範囲でずれてしまう場合がある。
【0037】
図10(a)は図1(a)との比較のための、光電変換装置の平面図であり、図10(b)は図10(a)のA’−B’線における受光ユニット11の断面図および図10(a)のC’−D’におけるマーク部30の断面図である。
【0038】
受光ユニット11において図10(b)に示す様に、光電変換素子130とマイクロレンズ600との相対的位置が、設計値から大きくかい離すると、設計通りの光学的性能を発揮できない可能性がある。
【0039】
そこで、光電変換素子を形成する工程におけるアライメントおよびマイクロレンズを形成する工程におけるアライメントを、これらの前に行われる、分離領域を形成する工程で形成されたアライメントマークを基準にして行う。このようにすることで、設計通りの、良好な光学的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0040】
以下、本発明に係る光電変換装置の製造方法を詳細に説明する。光電変換装置1の典型的な製造方法においては、半導体ウエハに光電変換装置1を複数箇所に作り込む。この時に、複数箇所毎にアライメントを行うことが好ましい。また、複数箇所毎にマーク部30を設けてマーク部30を受光部10の近傍に配置することで、ウエハに作り込まれる複数の光電変換装置1の各々の特性ばらつきを小さくすることができる。ただし、特定の箇所での露光に際してのみアライメントマークを用いたアライメントを行い、他の箇所での露光に際しては、上記特定の箇所と他の箇所との位置関係に基づくステージの移動のみによるアライメントを行ってもよい。すべての箇所において複数段階のパターニングが終了した後、これらをスクライブラインに沿ってダイシングする。これにより1つのウエハを分割して、各々が光電変換装置1である複数のチップが得られる。ただし、本発明は1つのウエハから複数のチップを得ることに限定されるものではなく、例えば、1つのウエハから、1つのウエハサイズの光電変換装置1を得てもよい。以下の説明では、ウエハにおいて、光電変換装置1となる複数の部分のうちの1つの部分について説明を行う。
【0041】
<第1実施形態>
半導体基板100としてシリコン基板を用いた光電変換装置1に関して、図3、図4、図5および図6を相互に参照しながら、光電変換装置1の製造方法の第1実施形態の一例を典型的な工程順に説明する。図1、図2(a)及び図2(b)と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0042】
図3、図4、図5は各工程における光電変換装置1の断面図である。各図の左側は図1(a)及び図2(a)のA−B線における断面に対応する、受光部10の受光ユニット11の断面を示しており、各図の右側は図1(a)のC−D線における断面に対応する、マーク部30の断面を示している。図6は製造工程において使用するフォトマスクと、それらの各製造工程間の関係を示している。図6において、左右に向く矢印は各フォトマスクを用いて同じ工程で形成される部材あるいは領域を示しており、上に向く矢印はアライメントの基準とする対象を示している。
【0043】
(工程a)図3(a)を用いて本工程を説明する。第1導電型の半導体ウエハ1000(以下、ウエハ1000と呼ぶ)を用意する。ウエハ1000はシリコン基体上に単結晶シリコン層をエピタキシャル成長したものを好適に用いることができる。ウエハ1000としてSOI(Silicon On Insulator)ウエハを用いてもよい。
【0044】
(工程b)図3(b)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上に窒化シリコン膜(不図示)を形成し、窒化シリコン膜の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクISOを用いてパターニングする。なお、フォトマスクISOのアライメントは、例えばステージの初期位置を基準にして行ってもよいし、ウエハのオリフラ等を基準にして行ってもよい。フォトマスクISOを用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして窒化シリコン膜をエッチングする。パターニングされた窒化シリコン膜をマスクとして、ドライ酸化あるいはウェット酸化によりウエハ1000の表面を酸化する。これにより、LOCOS法による分離絶縁体111が分離領域110に形成される(S1)。窒化シリコン膜に覆われて分離絶縁体111が形成されない領域の大部分が活性領域120となる。フォトマスクISOを用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0045】
ここで、フォトマスクISOは、マーク形成パターンMFP1を有しており、本工程において、MFP1を反映したパターンを有するアライメントマークAM1が分離絶縁体111と同時に形成される(S1’)。すなわち、アライメントマークAM1は、分離絶縁体111と同じ材料である酸化シリコンからなり、分離絶縁体111と同様に、窒化シリコン膜をマスクとしたウエハ1000の表面を熱酸化することにより形成される。図1にはAM1を模式的に示しており、上述したように、X座標測定用アライメントマークAM1XとY座標測定用アライメントマークAM1Yの組であるAM1を示している。本例におけるX座標測定用アライメントマークAM1XとY座標測定用アライメントマークAM1Yのそれぞれは、4本の略矩形状の分離絶縁体111が等ピッチで配列された形状を有している。しかしながら、この形状はあくまでも一例であり、使用する露光装置等に応じて変更が可能である。また、図1には、AM1XとAM1Yをマーク部30の異なる辺に配置した例を示したが、AM1XとAM1Yを互いに隣接して配置してもよい。なお、図1において、AM1の隣にあるアライメントマークAMNは、後述するAM2やAM10など、AM1以外のアライメントマークを模式的に示している。AMNもまた、X座標測定用アライメントマークAMNXとY座標測定用アライメントマークAMNYの組を有している。実際には各アライメントマークは、それぞれが互いに重ならないようにずらして、マーク部30の複数の位置に配置されるが、紙面の都合上、AM1以外のアライメントマークをアライメントマークAMNとしてまとめて記載している。
【0046】
ここでは、LOCOS法を用いて分離領域110を画定する例を説明したが、STIで分離領域110を画定することもできる。STIはトレンチ形成段階と、埋め込み絶縁膜形成段階を有するため、典型的には、AM1もまたトレンチ形成段階と埋め込み絶縁膜形成段階で形成される。しかしながら、マーク部30に埋め込み絶縁膜を形成せずに、トレンチ形成段階で形成されたトレンチ自体をアライメントマークAM1として用いることも可能である。
【0047】
なお、フォトマスクISOを用いて分離絶縁体111を形成する素子分離方法に、拡散分離による素子分離方法を併用してもよい。なお、周辺回路部20における分離領域の形成を本工程とは別の工程で行うこともできる。例えば、受光部10の分離領域110をLOCOS法で形成し、周辺回路部20の分離領域をSTIとすることもできる。その場合には受光部10の分離領域110に分離絶縁体111をLOCOS法で形成すると同時に、LOCOS法でアライメントマークAM1を形成する。
【0048】
(工程c)図3(c)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクを用いて受光部10に対応する範囲を開口する形状にパターニングし、受光部10の略全体(分離領域110および活性領域120)にアクセプターのイオン注入を行い、第2導電型の不純物領域を形成する。この第2導電型の不純物領域の一部が後述する不純物領域121となる。この時のフォトマスクのアライメトはAM1を基準にして行ってもよいが、例えばウエハのオリフラ等を基準にして行ってもよいし、ステージの移動のみで行ってもよい。フォトレジスト膜を除去した後、再度フォトレジスト膜を形成する。フォトレジスト膜をフォトマスクPEC1を用いてパターニングする。この時、フォトマスクPEC1のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A2)。フォトマスクPEC1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、ウエハ1000の分離領域110へ分離絶縁体111を介してアクセプターのイオン注入を行う。これにより、分離領域110に、活性領域120の第2導電型の不純物領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第7半導体領域112を形成する。この結果、第2半導体領域132、第5半導体領域145および第6半導体領域156として用いるための第2導電型の不純物領域121(ウェル領域)が画定される(S2)。なお、第2導電型の不純物領域121を、注入エネルギー及び注入ドーズ量が異なる複数回のイオン注入で形成してもよい。第7半導体領域112も同様に複数回のイオン注入で形成してもよい。フォトマスクPEC1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0049】
(工程d)図3(d)および図6を用いて本工程を説明する。ドライ酸化あるいはウェット酸化によりウエハ1000の活性領域120の表面を酸化する。これにより、転送トランジスタ及び他のトランジスタのゲートの、ゲート酸化膜を形成する。次に、ゲート酸化膜の上にポリシリコン膜を成膜し、さらにポリシリコン膜の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクGTを用いてパターニングする。この時、フォトマスクGTのアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A3)。フォトマスクGTを用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしてポリシリコン膜をエッチングする。これにより、転送ゲート電極155が形成される(S3)。フォトマスクGTを用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0050】
ここで、フォトマスクGTは、マーク形成パターンMFP2を有しており、本工程において、MFP2を反映したパターンを有するアライメントマークAM2が転送ゲート電極155と同時に形成される(S3’)。すなわち、アライメントマークAM2は、転送ゲート電極155と同じ材料であるポリシリコンからなり、転送ゲート電極155と同様に、フォトレジスト膜をマスクとしたポリシリコン膜のエッチングにより形成される。なお、ウエハ1000に設けられるトランジスタの制御電極、例えば画素回路の各トランジスタの各ゲート電極と、周辺回路部の各トランジスタのゲート電極も本工程で形成される。
【0051】
(工程e−1)図3(e−1)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクPEC2を用いてパターニングする。この時、フォトマスクPEC2のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A4)。フォトマスクPEC2を用いてパターニングされたフォトレジスト膜及び転送ゲート電極155をマスクとして、ウエハ1000の活性領域120の不純物領域121へドナーのイオン注入を行う。これにより第1半導体領域131として用いるための第1導電型の不純物領域122を活性領域120に形成する(S4)。この時のイオン注入に斜めイオン注入を用いることで、図3(e−1)に示す様に、不純物領域122の端部を転送ゲート電極155の下に潜り込ませることもできる。フォトマスクPEC2を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0052】
(工程e−2)図3(e−2)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクPEC3を用いてパターニングする。この時、フォトマスクPEC3のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A5)。フォトマスクPEC3を用いてパターニングされたフォトレジスト膜及び転送ゲート電極155をマスクとして、ウエハ1000の不純物領域121へアクセプターのイオン注入を行う。これにより第3半導体領域133として用いるための第2導電型の不純物領域123を活性領域120に形成する(S5)。フォトマスクPEC3を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0053】
(工程f)図3(f)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクFDを用いてパターニングする。この時、フォトマスクFDのアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A6)。フォトマスクFDを用いてパターニングされたフォトレジスト膜及び転送ゲート電極155をマスクとして、ウエハ1000の不純物領域121へドナーのイオン注入を行う。これにより第4半導体領域144として用いるための第1導電型の不純物領域124を形成する(S6)。フォトマスクFDを用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0054】
以上のようにして、光電変換素子130や容量部140の少なくとも一部、転送トランジスタ150を形成する。工程(e−1)で説明したように、少なくとも光電変換素子130の第1導電型の半導体領域131を形成する際のアライメント(A4)を、AM1を基準にして行えばよい。なお、本例では、工程dの前後に分けて光電変換素子130を形成したが、工程dの前に第1半導体領域131、第3半導体領域133として用いるための不純物領域122、123を形成してもよい。しかしながら、工程dの後に不純物領域122、123を形成することにより、転送ゲート電極155をマスクとして、自己整合的に第1半導体領域131、第3半導体領域133を形成することができる。第4半導体領域144としても用いる不純物領域124についても同様に転送ゲート電極155をマスクとして自己整合的に形成することができる。
【0055】
また、必要に応じて、次の工程eの前までに適切なマスクを用いて、分離領域110にチャネルストップ領域として用いられる第2導電型の半導体領域を形成してもよい。チャネルストップ領域は、典型的には、工程dの前に行われる。なお、ウエハ1000の受光部10に設けられるトランジスタ、例えば画素回路の各トランジスタの主電極(ソース・ドレイン)も同様に、フォトマスクのアライメントを、AM1を基準にして行って形成することができる。各トランジスタの主電極は制御電極をマスクとして用いることで自己整合的に形成することができるため、主電極を形成するためのフォトマスクのアライメントを、AM2ではなくAM1を基準に行うことができる。そのため、各トランジスタの主電極を分離領域110とゲート電極の双方に対して適切な位置に形成することができる。典型的には、受光部10に対して行われる複数回のイオン注入工程のために形成されるフォトレジスト膜をパターニングするための複数枚のフォトマスクのアライメントは、すべてAM1を基準にして行われる。ただし、光電変換素子130を形成するためのフォトマスク以外のアライメントの全てをAM1を基準にして行うことに限定されることはなく、必要に応じて、AM2を基準にして行ってもよい。
【0056】
(工程g−1)本工程を図4(g−1a)〜(g−1c)、図4(g)および図6を用いて説明する。ウエハ1000上に第1絶縁層310を形成する。第1絶縁層310を形成した後、必要に応じてリフロー法やCMP(Chemical Mechanical Polishing)法、エッチバック法等を用いて第1絶縁層310を平坦化することができる。あるいは、第1絶縁層310をSOG(Spin On Glass)法によって形成してもよい。第1絶縁層310には、酸化シリコンを主成分とする材料を好ましく用いることができ、例えば、酸化シリコンや、BPSG、BSG、PSGなどが挙げられ、BPSGを特に好ましく用いることができる。
【0057】
次いで、第1絶縁層310の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクMP1を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMP1のアライメントを、ウエハ1000上のAM2を基準にして行う(A6)。フォトマスクMP1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして第1絶縁層310をエッチングする。これにより、第1絶縁層310に転送ゲート電極155や、第4半導体領域144、他のトランジスタのゲート電極や主電極に達する第1スルーホール(コンタクトホール)を形成する。フォトマスクMP1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0058】
ここで、フォトマスクMP1は、マーク形成パターンMFP3を有しており、本工程において、MFP3を反映したパターンを有するスルーホールが第1スルーホールと同時に形成される。ここでMFP3を反映したパターンを有するスルーホールの寸法は第1スルーホールの寸法よりも大きくしておくと良い。
【0059】
第1絶縁層310の上に第1スルーホールを埋めるように金属膜を形成する。そして、CMP法等を用いて、金属膜を第1絶縁層310が露出するまで除去する。このようなプラグ形成段階により、転送ゲート電極155や、第4半導体領域144、他のトランジスタのゲート電極や主電極に接続する第1金属プラグ211が形成される(S7)。第1金属プラグ211の材料としてはタングステンが好適である。第1金属プラグ211の形成と同時にMFP3を反映したパターンを有するスルーホールにも第1金属プラグ211と同じ金属材料が充填される。MFP3を反映したパターンを有するこのスルーホールは第1スルーホールよりも寸法が大きいため、充填された金属材料の上面は第1絶縁層310の上面に対して凹んだ状態で形成される(図4(g−1a)、S7’)。MFP3を反映したパターンを有するスルーホールに充填された金属材料の上面の凹みがMFP3によって形成されたアライメントマークAM3となる。
【0060】
第1絶縁層310の上に金属膜2121を形成する。ここで、第1絶縁層310の上に形成された金属膜2121には、AM3に応じた凹凸が生じる(図4(g−1b))。そして、金属膜2121の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクMI1を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMI1のアライメントを、ウエハ1000上のAM3を基準にして行う(A8)。上述のように、金属膜2121にはAM3に応じた凹凸があるため、この凹凸を元にAM3を検出することが容易になる。フォトマスクMI1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして金属膜をエッチングする。このような配線形成段階により、第1金属配線212が形成される(S8)。
【0061】
ここで、フォトマスクMI1は、マーク形成パターンMFP4を有しており、本工程において、MFP4を反映したパターンを有するアライメントマークAM4が第1金属配線212と同時に形成される(S8’)。すなわち、アライメントマークAM4は、第1金属配線212と同じ材料である金属からなり、第1金属配線212と同様に、フォトレジスト膜をマスクとした金属膜のエッチングにより形成される。このようにして、第1金属層210が形成される(図4(g−1c))。
【0062】
上述したように、凹みを利用したアライメントマークを用いるのは、金属膜をウエハ1000の上の全面に形成すると金属膜2121の下層が金属膜2121で遮光されるため、下層のマークを光学的に読み取ることが困難になるためである。ただし、金属膜を形成した後に、下層のマークアライメントマーク上に位置する部分を選択的に除去することで、金属膜2121に凹凸を形成するようにせずとも、金属膜2121の形成後にアライメントマークを光学的に読み取り可能にすることもできる。
【0063】
なお、図6では、各金属層の金属配線を形成するためのアライメントを、同一金属層の金属プラグと同時に形成されたアライメントマークを基準にして行う例を説明した。しかしながら、各金属層の金属配線を形成するためのアライメントを、同一金属層の金属プラグを形成するためのアライメントの基準に用いられるアライメントマークを基準にして行ってもよい。すなわち、同一金属層の金属プラグ形成段階と金属配線形成段階における各アライメントを、同じアライメントマークを基準にして行ってもよい。
【0064】
(工程g−2)本工程を図4(g)および図6を用いて説明する。第2絶縁層320を形成した後、第2金属プラグ221、第2金属配線222を順次形成して第2金属層220を形成するが、本工程では、工程g−1と同様に、プラグ形成段階と配線形成段階とによって行うことができるため簡単に説明する。
【0065】
第2絶縁層320にはフォトマスクMP2を用いて第2スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP2のアライメントを、ウエハ1000上のAM4を基準にして行う(A9)。そして、第2金属プラグ221を形成する(S9)。フォトマスクMP2はマーク形成パターンMFP5を有している。第2金属配線222はフォトマスクMI2を用いて形成される(S10)。フォトマスクMI2のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP5を反映したアライメントマークAM5を基準にして行われる(A11)。このようにして、本工程g−2により、第2金属層220が形成される。フォトマスクMI2はマーク形成パターンMFP6を有しており、アライメントマークAM6が形成される(S10’)。
【0066】
(工程g−3)本工程を図4(g)および図6を用いて説明する。第3絶縁層330を形成した後、第3金属プラグ231、第3金属配線232を順次形成して第3金属層230を形成するが、本工程でも、工程g−1と同様に、プラグ形成段階と配線形成段階とによって行うことができるため簡単に説明する。
【0067】
第3絶縁層330にはフォトマスクMP3を用いて第3スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP3のアライメントを、ウエハ1000上のAM6を基準にして行う(A11)。そして、第3金属プラグ231を形成する(S11)。フォトマスクMP3はマーク形成パターンMFP7を有している。第3金属配線232はフォトマスクMI3を用いて形成される(S12)。フォトマスクMI3のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP7を反映したアライメントマークAM7を基準にして行われる(A12)。このようにして、本工程g−3により、第3金属層230が形成される。フォトマスクMI3はマーク形成パターンMFP8を有しており、アライメントマークAM8が形成される(S12’)。
【0068】
(工程g−4)本工程を図4(g)および図6を用いて説明する。第4絶縁層340を形成した後、第4金属プラグ241、第4金属配線242を順次形成して第4金属層240を形成するが、本工程でも、工程g−1と同様に、プラグ形成段階と配線形成段階とによって行うことができるため簡単に説明する。
【0069】
第4絶縁層340にはフォトマスクMP4を用いて第4スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP4のアライメントを、ウエハ1000上のAM8を基準にして行う(A13)。そして、第4金属プラグ241を形成する(S13)。フォトマスクMP4はマーク形成パターンMFP9を有している。第4金属配線242はフォトマスクMI4を用いて形成される(S14)。フォトマスクMI4のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP9を反映したアライメントマークAM9を基準にして行われる(A14)。このようにして、本工程g−4により、第4金属層240が形成される。フォトマスクMI4はマーク形成パターンMFP10を有しており、アライメントマークAM10が形成される(S14’)。
【0070】
以上のようにして、第1金属層210、第2金属層220、第3金属層230、第4金属層240を有する金属構造体を形成することができる(図4(g))。
【0071】
(工程h)本工程を図5(h)および図6を用いて説明する。ウエハ1000の上(第4絶縁層340及び第4金属配線242の上)に中間膜400を形成する。中間膜400はパターニングしなくてもよい。次いで、中間膜400の上にカラーフィルタアレイを形成する(S15)。例えば、ベイヤー配列のカラーフィルタアレイの形成は次のようにして行うことができる。中間膜400の上に緑色の感光性カラーフィルタを全面に塗布した後、フォトマスクCFGを用いて、緑色のフォトレジストを市松模様状にパターニングして緑色のカラーフィルタを形成する。この時、フォトマスクCFGのアライメントを、ウエハ1000上のAM10を基準にして行う(A15G)。中間膜400の上に赤色のフォトレジストを全面に塗布した後、フォトマスクCFRを用いて、赤色のフォトレジストを市松模様状にパターニングして赤色のカラーフィルタを形成する。この時、フォトマスクCFRのアライメントを、ウエハ1000上のAM10を基準にして行う(A15R)。中間膜400の上に青色のフォトレジストを全面に塗布した後、フォトマスクCFBを用いて、青色のフォトレジストを市松模様状にパターニングして青色のカラーフィルタを形成する。この時、フォトマスクCFBのアライメントを、ウエハ1000上のAM10を基準にして行う(A15B)。以上の説明では、各色のカラーフィルタを形成するためのアライメントを、いずれもAM10を基準として行う例を説明した。しかし、或る色のカラーフィルタ(例えば青色のカラーフィルタ)を形成するためのアライメントを、先に形成されたカラーフィルタ(例えば緑色のカラーフィルタ)と同時に形成されたアラメントマークを基準にして行ってもよい。なお、周辺回路部20には、周辺回路への不要な入射光を抑制して周辺回路でのノイズを低減するために、周辺回路部20の略全体を青色のカラーフィルタで覆うことが好ましい。マーク部30の全体もカラーフィルタ(典型的には青色のカラーフィルタ)で覆ってもよいが、少なくともAM1の上にはどの色のカラーフィルタも設けないことが好ましい。
【0072】
(工程i)本工程を図5(i)および図6を用いて説明する。本工程では、マイクロレンズ600を形成する(S16)。ここでは、マイクロレンズ600の形成に、階調露光法を用いた例を説明する。ウエハ1000の上(カラーフィルタアレイの上)に感光性樹脂膜を塗布する。感光性樹脂膜の材料としてはアクリル系樹脂やスチレン系樹脂を用いることができる。
【0073】
感光性樹脂膜を階調マスクであるフォトマスクMLを用いて露光する。この時、フォトマスクMLのアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A16)。この時、AM1の上にカラーフィルタが位置していると、カラーフィルタを介して、絶縁体であるAM1を検出することになる。そのため、アライメント誤差が生じる場合がある。上述したように工程hにおいてAM1の上にカラーフィルタを設けないことにより、AM1をカラーフィルタを介さずに検出することができ、アライメントの精度を向上することができる。本例ではフォトマスクMLは、マイクロレンズの表面形状に対応する光透過率分布を有するような階調パターンを有する。例えば、感光性樹脂膜がポジ型の場合には、露光量が多い部分は現像により除去されて薄くなる。マイクロレンズは凸レンズであるため、フォトマスクMLでは、1つのマイクロレンズパターンの中心部分の光透過率が低く、そのマイクロレンズパターンの周辺部分の光透過率が低くなっている。
【0074】
ここでは、階調露光法を用いてマイクロレンズを形成する例を説明したが、これに限定されることはなく、リフロー法を用いてもよく、リフロー法や階調露光法にエッチバック法を組み合わせた方法など様々な方法を用いることができる。リフロー法を用いる場合には、リフローされる樹脂をフォトマスクMLを用いてパターニングすればよい。
【0075】
また、半導体ウエハ1000上でのパターニングを行わずに、予めマイクロレンズアレイが設けられたシートを用意して、このシートを半導体ウエハ1000に貼り付けることによって、光電変換素子130の上にマイクロレンズ600を形成してもよい。この場合にも、シートのアライメントは、AM1を基準にして行われる。
【0076】
なお、図1(a)を用いて上述したように、本例における光電変換装置1はアライメントマーク等が設けられたマーク部30を有している。これは、ダイシング前のウエハにおいて、マーク部30をスクライブラインのチップ側に配置しているためである。そのため、ダイシング後の光電変換装置1(チップ)はアライメントマーク等が設けられたマーク部30を有するのである。しかしながら、ダイシング前のウエハにおいて、マーク部30をスクライブライン上などに配置する場合には、ダイシングによってチップ化された後の光電変換装置1はマーク部30を有しないことになる。マーク部30をスクライブラインに配置することで、実質的に光電変換装置1としての機能を持たないマーク部30の分だけ、光電変換装置1(チップ)の面積を極力小さくすることも可能になる。本発明に係る光電変換装置1はマーク部30を有する場合だけでなく、マーク部がダイシング時に除去された場合も包含する。
【0077】
以上の工程によって、光電変換装置1を製造することができる。本実施形態によれば、工程e−1c(および工程e−2)において、フォトマスクPEC2(およびPEC3)のアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。そして、工程iにおいても、フォトマスクMLのアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。このように、光電変換素子130を形成するために用いられるフォトマスクPEC2とマイクロレンズ600を形成するために用いられるフォトマスクMLとが、同じアライメントマークAM1を基準にして、アライメントされる。そのため、光電変換素子130とマイクロレンズの相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な性能を有する光電変換装置1を得ることができる。なお、マイクロレンズ600の光軸に対する光電変換素子130の中心の相対的位置関係を、受光部10における受光ユニット11の位置に応じて、受光ユニット11毎に異ならせることも好ましい。このような設計を採用する場合には本発明は特に優れた効果を奏する。
【0078】
<第2実施形態>
本実施形態では、第4金属層240の形成方法が、第1実施形態とは異なる。他の構成部材の形成方法は、第1実施形態と同様のものを採用することができるため、説明を省略する。具体的には、第3金属層230の形成までは、第1実施形態の工程a〜工程g−3と同様に行うことができ、中間膜400の形成以降も、第1実施形態の工程h、工程iと同様に行うことができる。したがって、第1実施形態の工程g−4の代わりに行われる工程としての工程jのみを説明する。図7は、図6と同様に、製造工程において使用するフォトマスクと、それらの各製造工程間の関係を示している。
【0079】
(工程j)第4絶縁層340を形成した後、第4金属プラグ241、第4金属配線242を順次形成して第4金属層240を形成するが、本工程でも、工程g−1と同様にして行うことができるため簡単に説明する。
【0080】
第4絶縁層340にはフォトマスクMP4を用いて第4スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP4のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A13)。そして、第4金属プラグ241を形成する(S13)。フォトマスクMP4はマーク形成パターンMFP9を有している。第4金属配線242はフォトマスクMI4を用いて形成される(S14)。フォトマスクMI4のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP9を反映したアライメントマークAM9を基準にして行われる(A14)。このようにして、本工程g−4により、第4金属層240が形成される。フォトマスクMI4はマーク形成パターンMFP10を有しており、アライメントマークAM10が形成される(S14’)。
【0081】
なお、本実施形態においては、第1実施形態のようにフォトマスクMP4のアライメントにAM8は不要であるため、MI3のMFP8も不要である。
【0082】
第1実施形態では、第4金属層240を形成するまでに、A3,A7,A8,A9,A10,A11,A12,A13の計8回のアライメントを経ている。そのため、AM1を基準にして1回のアライメント(A16)のみを経ているマイクロレンズ600と第4金属配線242との相対的位置関係が設計値から大きくかい離する可能性が高くなる。マイクロレンズ600に最も近い金属層である第4金属層240とマイクロレンズ600の相対的位置関係が設計値から大きくかい離すると次のような問題が生じる虞がある。すなわち、図10(b)に示すように、マイクロレンズ600で集光された光の一部が、第4金属層240に蹴られ、入射光の利用効率が低下したり、迷光の原因となったりする。図10(b)の金属層210〜240の近傍に示した点線は、図2(b)で示した金属層210〜240の位置、すなわち、適切な金属層の位置を示している。また、第4金属層240と同時に形成されるAM10を基準にしてアライメントが行われて形成されるカラーフィルタ500とマイクロレンズ600との相対的位置関係も設計値から大きくかい離する可能性が高くなる。そうすると、マイクロレンズ600で集光された光の一部が、誤った色のカラーフィルタ500を通過してしまい、混色の原因がとなる場合もある。
【0083】
本実施形態によれば、工程jにおいて、フォトマスクMP4のアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。そして、フォトマスクMI4のアライメントを、フォトマスクMP4を用いて形成されたアライメントマークAM9を基準にして行っている。そして、第1実施形態と同様に、フォトマスクMLのアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。このように、第4金属層240を形成するために用いられるフォトマスクMP4と、マイクロレンズ600を形成するために用いられるフォトマスクMLとが、同じアライメントマークAM1を基準にして、アライメントされる。そしてMI4の形成のために経るアライメントはA14の1回のみである。そのため、第4金属層240とマイクロレンズ600の相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な性能を有する光電変換装置1を得ることができる。本実施形態は、受光部10において、ウエハ1000とマイクロレンズ600との間に第N金属層を含む2層以上の金属層を設ける場合に特に好適である。
【0084】
<第3実施形態>
本実施形態では、金属構造体の形成方法が、第1実施形態および第2実施形態とは異なる。特に、第4金属層240の第4金属配線242をダマシン法を用いて形成する点が異なる。本例では、第1〜第3金属層もダマシン法を用いて形成しているが、第1実施形態と同様の方法を採用することもできる。第1金属プラグ211の形成までは、第1実施形態の工程a〜工程fと同様に行うことができ、中間膜400の形成以降も、第1実施形態の工程h、工程iと同様に行うことができる。したがって、第1実施形態の工程g−1、工程g−2、工程g−3の代わりに行われる工程k−1、工程k−2、工程k−3を簡単に説明し、工程g−4の代わりに行われる工程k−4を詳細に説明する。図9は、図6と同様に、製造工程において使用するフォトマスクと、それらの各製造工程間の関係を示している。
【0085】
(工程k−1)第1金属プラグ211は第1実施形態の工程g−1と同様に形成することができる。第1金属プラグ211が形成された第1絶縁層310上に第5絶縁層350を形成する。そして、シングルダマシン法により、第5絶縁層350内に第1金属配線212を形成する。第5絶縁層350に形成されるトレンチはフォトマスクMI1を用いてパターニングされる。この時MI1のアライメントをAM2を基準にして行う。フォトマスクMI1はマーク形成パターンMFP4を有しており、第1金属配線212と同時にアライメントマークAM4がウエハ1000上に形成される。
【0086】
(工程k−2)第5絶縁層350の上に第2絶縁層320を形成する。そして、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階を有するデュアルダマシン法により、第5絶縁層350内に第2金属プラグ221と第2金属配線222を形成する。第5絶縁層350に形成される第2ホール(ビアホール)はフォトマスクMP2を用いてパターニングされる。第5絶縁層350に形成されるトレンチはフォトマスクMI2を用いてパターニングされる。フォトマスクMP2のアライメントおよびフォトマスクMI2のアライメントはそれぞれウエハ1000上に形成されたアライメントマークAM4を基準にして行う。フォトマスクMI2はマーク形成パターンMFP6を有しており、第2金属配線222と同時にアライメントマークAM6がウエハ1000上に形成される。
【0087】
(工程k−3)第2絶縁層320の上に第3絶縁層330を形成する。そして、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階を有するデュアルダマシン法により、第3絶縁層330内に第3金属プラグ231と第3金属配線232を形成する。第3絶縁層330に形成される第3ホール(ビアホール)はフォトマスクMP3を用いてパターニングされる。第3絶縁層330に形成されるトレンチはフォトマスクMI3を用いてパターニングされる。フォトマスクMP3のアライメントおよびフォトマスクMI3のアライメントはそれぞれウエハ1000上に形成されたアライメントマークAM6を基準にして行う。フォトマスクMI3はマーク形成パターンMFP8を有しており、第3金属配線232と同時にアライメントマークAM8がウエハ1000上に形成される。
【0088】
(工程k−4)
ウエハ1000の上(第3絶縁層330及び第3金属配線232の上)に第4絶縁層340を形成する(図8(k−4a)。第4絶縁層340を形成した後、必要に応じてリフロー法やCMP法、エッチバック法等を用いて第1絶縁層310を平坦化することができる。あるいは、第4絶縁層340をSOG(Spin On Glass)法によって形成してもよい。第4絶縁層340には、酸化シリコンを主成分とする材料を好ましく用いることができ、例えば、酸化シリコンや、BPSG、BSG、PSGなどが挙げられ、酸化シリコンを特に好ましく用いることができる。
【0089】
次いで、第4絶縁層340の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクMP4を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMP4のアライメントを、ウエハ1000上のAM8を基準にして行う。
【0090】
フォトマスクMP4を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして第4絶縁層340をエッチングする。このように、第4絶縁層340に第3金属配線232に達する第4スルーホール2410(ビアホール)を形成する、ビアホール形成段階が行われる(図8(k−4b))。
【0091】
フォトマスクMP4を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去し、再びフォトレジスト膜を塗布する。そしてフォトレジスト膜をフォトマスクMI4を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMI4のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う。フォトマスクMI4を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして第4絶縁層340を再びエッチングする。このように、第4絶縁層340に、MP4を用いて形成されたスルーホール2410に連続するトレンチ2420を形成するトレンチ形成段階が行われる(図8(k−4c))。
【0092】
なお、ここでは第4スルーホール2410(ビアホール)をトレンチ2420の先に形成した、いわゆるビアファーストを採用した例を説明したが、いわゆるトレンチファーストを採用してもよい。トレンチファーストを採用する場合には、先ずトレンチを形成して、トレンチの底部に第4スルーホールを形成すればよい。
【0093】
第4絶縁層340の上に第4スルーホール2410とトレンチ2420を埋めるように金属膜2412を形成する((図8(k−4d))。そして、CMP法等を用いて、金属膜2412を第4絶縁層340が露出するまで除去する。これにより、第3金属配線232に接続する第4金属プラグ241と第4金属配線242が同時に形成される。
【0094】
以上のようにして、第1金属層210、第2金属層220、第3金属層230、第4金属層240を有する金属構造体を形成することができる(図8(k))。
【0095】
なお、図9では第2金属層220と第3金属層230の各々について、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階の両方におけるアライメントの基準として、同じアライメントマーク(AM4,AM6)を用いる例を示した。しかしながら、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階のうちの先の段階と同時にアライメントマークを形成し、後の段階のアライメントを、このアライメントマークを基準にして行ってもよい。
【0096】
第1実施形態においては、第4金属パターンを形成するための金属膜によってアライメントマークAM1が遮られるため、AM1を基準にしたMI4のアライメントを行うことが困難である。これに対して、本実施形態では、第4金属配線242をダマシン法を用いて形成することにより、第4金属配線242の実質的なパターンはトレンチの形成時に決定される。トレンチの形成時には、第4絶縁層340を介してアライメントマークAM1を光学的に検出することが可能となる。そのため、本実施形態では、MI4のアライメントをAM1を基準にして行うことが可能となるのである。本例では、第4金属層240をデュアルダマシン法を用いて形成した例を説明したが、第4金属配線242をシングルダマシン法で形成しても、同様の効果を得ることができる。第2金属配線222や第3金属配線232をシングルダマシン法で形成してもよい。本実施形態は、各金属層の金属配線の主たる材料が銅である場合に特に好適である。
【0097】
本実施形態によれば、工程k−4において、フォトマスクMP4のアライメントを、工程hにおいてフォトマスクMI3を用いて形成されたアライメントマークAM8を基準にして行っている。そして、フォトマスクMI4のアライメントを、フォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。そして、第1実施形態と同様に、フォトマスクMLのアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。
【0098】
このように、最上層の金属層である第4金属層240の第4金属配線242を形成するために用いられるフォトマスクMI4とマイクロレンズを形成するために用いられるフォトマスクMLとが、同じアライメントマークAM1を基準にしてアライメントされる。そのため、第4金属配線242とマイクロレンズの相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な光学的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0099】
そして、第2実施形態とは異なり、第4金属層240の第4金属プラグ241を形成するために用いられるフォトマスクMP4のアライメントが、第4金属プラグ241が接続される第3金属配線232を形成する際に形成されたAM8を基準にして行われる。そのため、第4金属プラグ241と第3金属配線232の相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な電気的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0100】
<第4実施形態>
本実施形態は、第1、第2、第3実施形態のそれぞれに適用が可能であるが、第1実施形態を例に挙げて、図4、5、7および図10を用いて説明する。
【0101】
工程bにおいて用いたフォトマスクISOのマーク形成パターンMFP1によって、アライメントマークAM1に加え、テストマークTMAとテストマークTMBが形成される。工程g−4において用いたフォトマスクMI4のマーク形成パターンMFP10によって、アライメントマークAM10に加え、テストマークTMB’が形成される。工程iにおいて用いたフォトマスクMLはマーク形成パターンMFP11を有しており、マイクロレンズのパターニングと同時にテストマークTMA’が形成される(S16’)。
【0102】
テストマークTMAとテストマークTMA’はウエハ1000の上の略同じ位置に形成することができる。同様に、テストマークTMBとテストマークTMB’はウエハ1000の上の略同じ位置に形成することができる。本例では、図1に示す様に、TMAとTMBは略矩形のループ状のパターンとなっており、TMA’とTMB’は略矩形のドット状のパターンとなっている。そして、各工程におけるアライメントが適切に行われた場合には、図1に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMA’の中心とTMAの中心が一致し、TMA’がTMAに囲まれているように見える。また、図1に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMB’の中心とTMBの中心が一致し、TMA’がTMAに囲まれているように見える。
【0103】
このように、TMAとTMA’の位置関係を観察することにより、光電変換素子130とマイクロレンズ600との位置関係が適切であることを確認することができる。同様にTMBとTMB’の位置関係を観察することにより、光電変換素子130と第4金属層240との位置関係が適切であることを確認することができる。
【0104】
ここでは、光電変換素子130と第4金属層240との位置関係の確認のためのテストパターンTMB’を、フォトマスクMI4を用いて第4金属配線242と同時に形成する例を説明した。しかしながら、図7や図9に示す様に、フォトマスクMP4を用いて、第4金属プラグ241と同時に、或いは第4金属プラグ241が形成されるビアホールと同時に、テストパターンTMB’を形成してもよい。
【0105】
なお、図示はしないが、例えば、MI4のMFP9またはMFP10を用いてループ状のテストマークTMCを形成し、フォトマスクMLを用いてドット状のテストマークTMC’を形成してもよい。そして、TMCとTMC’の位置関係を観察することにより、第4金属配線242とマイクロレンズ600との位置関係が適切であることを確認することもできる。
【0106】
さて、各工程におけるアライメントが適切に行われなかった場合には、図10(a)に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMA’の中心とTMAの中心がズレ、TMA’がTMAから外れているように見える。また、図10に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMB’の中心とTMBの中心がズレ、TMB’がTMBから外れているように見える。
【0107】
このように、マイクロレンズ600と分離絶縁体111との位置関係、或いは、マイクロレンズ600と第4金属層240との位置関係を確認する手段を講じることで、光電変換装置1の光学的性能を検査することが可能となる。
【0108】
なお、第1実施形態及び第3実施形態に本実施形態を適用する場合には、図7、図9に示す様に、TMB’をMI4のMFP10によって形成することが好ましい。一方で、第2実施形態に本実施形態を適用する場合には、TMB’をMI4のMFP10によって形成することもできるが、図8に示す様に、TMB’をMP3のMFP9によって形成することが好ましい。
【0109】
本例では、TMAとTMBをループ状、TMA’とTMB’をドット状としたがこれに限定されることはない。すなわち、マイクロレンズ600の光電変換素子130に対する位置が適切かどうか、或いはマイクロレンズ600の第4金属層240に対する位置が適切かどうかを確認することができるものであれば、適宜変更してもよい。また、ここではアライメントマークAM1とテストマークTMA、TMBをそれぞれ別のマークとしたが、アライメントマークAM1をテストマークTMAとして用いてもよい。アライメントマークAM10(またはAM9)とテストマークTMB’についても同様である。なお、TMAとTMA’の組とTMBとTMB’の組の両方を設ける必要はなく、一方の組のみを設けてもよいが、少なくともTMAとTMA’の組を設けることが好ましい。
【0110】
テストマークの観察によって光学的性能が許容範囲外と判断された場合について、次のようにすることが好ましい。マイクロレンズ600をウェットエッチング等で除去した後、工程iと同様にして、マイクロレンズ600を再形成するのである。これにより、一度は光学的性能が規格外と判断された装置でも、それまでの製造コストを無駄にすることなく、良好な光学的性能を有する光電変換装置を製造することができるため、コストの低減が可能となる。
【0111】
なお、上述したように、マーク部30をスクライブラインの外側に配置することもできるが、本例のようにマーク部30をスクライブラインの内側に配置することが好ましい。このようにすると、ウエハのダイシング後(チップ化後)にも、TMAとTMA’及び/又はTMBとTMB’を用いて、光電変換装置1の光学的性能が規格内か規格外かを容易に判断(検査)することが可能となる。ダイシング後にこのような検査を行う必要が無い場合には、マーク部30をスクライブラインの外側に配置して、光電変換装置1の小型化を図ってもよい。
【0112】
<第5実施形態>
本実施形態は、本発明による製造方法が特に有効な光電変換装置の例である。本実施形態の一例を図11を用いて説明する。図11(a)は本実施形態における1つの画素の平面図であり、図11(b)は図11(a)のE−F線における受光ユニット11の断面図である。
【0113】
1つのマイクロレンズに対応する1つの光電変換素子130は、複数の光電変換部を有している。ここでは、光電変換素子130が第1光電変換部1301と第2光電変換部1302の2つを有する例を説明するが3つ以上の光電変換部を有していてもよい。第1光電変換部1301と第2光電変換部1302は、隔離部1303を介して互いに分離している。第1光電変換部1301と第2光電変換部1302の各々が、別々に信号電荷を生成及び蓄積する。
【0114】
第1光電変換部1301と第2光電変換部1302はそれぞれ、光電変換領域および蓄積領域として機能する第1導電型の第1半導体領域1311、1312を有している。便宜的に、第1光電変換部1301の第1半導体領域を第1蓄積領域1311と呼び、第1光電変換部1302の第1半導体領域を第2蓄積領域1312と呼ぶ。第1蓄積領域1311と第2蓄積領域1312は、第2導電型の半導体領域である隔離部1303を介して互いに隔離されている。第1光電変換部1301と第2光電変換部1302は、それぞれ、隔離部1303を介して互いに隔離された第2導電型の第2半導体領域1321、1322を有している。本例では、隔離部1303の不純物濃度は、第2導電型の第2半導体領域1321、1322と同程度である。このような隔離部1303は、第1実施形態の工程cで形成された不純物領域121へ、第1実施形態の工程e−1において、隔離部1303に対応する部分をマスクしてドナーをイオン注入することで形成される。すなわち、隔離部1303は、不純物領域121のうち、ドナーが実質的に注入されない部分として形成される。なお、第2導電型の第2半導体領域1321、1322よりも高くしてもよい。その場合には、第2半導体領域1321、1322よりも高い不純物濃度を有する第2導電型の隔離部1303は、第2半導体領域1321と第2半導体領域1322の間のポテンシャル障壁として機能する。このような隔離部1303は、例えば、フォトマスクPEC1を用いて、図2(b)で説明した分離領域110の第7半導体領域117(図11(b)では不図示)と同時に形成することもできる。この場合、フォトマスクPEC1のアライメントを、AM1を基準にして行うことが好ましい。なお、隔離部1303を、分離領域110の分離絶縁体111と同様に、絶縁体(隔離絶縁体)を用いて構成してもよい。その場合には、隔離部1303の隔離絶縁体を分離領域110の分離絶縁体111と同時に形成することが好ましい。隔離部1303の隔離絶縁体を分離絶縁体111と同時に形成し、さらに、隔離部1303の第2導電型の半導体領域を、分離領域110へのアクセプターのイオン注入と同時に、活性領域120へアクセプターをイオン注入することで形成してもよい。
【0115】
本例では、チャネル領域として機能する第5半導体領域と、浮遊拡散領域として機能する第4半導体領域も、各光電変換部1301、1302に対応して複数設けられている。第1蓄積領域1311には第1転送ゲート電極1551を有する第1転送ゲートを介して第1浮遊拡散領域1441が接続されている。第2蓄積領域1312には第2転送ゲート電極1552を有する第2転送ゲートを介して第2浮遊拡散領域1442が接続されている。
【0116】
マイクロレンズ600の光軸が、隔離部1303に対応するように、すなわち、マイクロレンズ600の光軸が仮想的に隔離部1303を貫くように、マイクロレンズ600が形成される。
【0117】
第1光電変換部1301で生成および蓄積された信号電荷に応じた信号と、第2光電変換部1302で生成・蓄積された信号電荷に応じた信号とが、それぞれ第1転送ゲート、第2転送ゲートを介して得られる。これらの信号を比較することにより、光電変換装置1は位相差検出方式により、焦点を検出することが可能となる。本実施形態の光電変換装置1は、撮像装置と測距装置(焦点検出装置)としての機能を兼ね備えた多機能装置となっている。
【0118】
このような多機能装置を用いて、スチルカメラやビデオカメラ等の撮像システムを構成することができる。撮像システムは、多機能装置に加えて、レンズ光学系を駆動するための駆動信号を出力する制御部を有する。焦点の検出は次のようにして行うことができる。撮像システムでは、第1光電変換部1301で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号と第2光電変換部1302で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号とが、異なるレベルであれば非合焦状態であると判断される。一方、第1光電変換部1301で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号と第2光電変換部1302で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号とが、同じレベルであれば合焦状態であると判断される。したがって、非合焦状態と判断された場合、制御部は、各光電変換部1301、1302で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号が同じレベルになるようにレンズ光学系を駆動する駆動信号を出力する。なお、このような焦点検出を可能にする撮像装置および撮像システムについては、特開2001−250931号公報と特開2002−165126号公報を参照することができる。
【0119】
図11(b)には、第1光電変換部1301への入射光の光線を1点鎖線で模式的に示しており、第2光電変換部1302への入射光の光線を2点鎖線で模式的に示している。マイクロレンズ600の光軸が隔離部1303から大きくずれていると、非合焦状態と合焦状態とが誤って判断されてしまう可能性が高くなる。
【0120】
本実施形態の撮像装置の製造方法は、第1乃至第4実施形態と同様に行うことができる。すなわち、複数の光電変換部1301、1302を有する光電変換素子130を形成する工程(S4)におけるアライメント(A4)を、分離領域110の形成と同時に形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。さらに、マイクロレンズ600を形成する工程(S16)におけるアライメント(A16)を分離領域110の形成と同時に形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。これにより、マイクロレンズ600の光軸と、光電変換素子130の隔離部1303との設計値からのかい離を低減することができ、焦点検出精度の高い撮像装置(多機能装置)を得ることができる。
【0121】
<第6実施形態>
第1実施形態では、いわゆる表面照射型のCMOSセンサについて説明したが、本実施形態は、いわゆる裏面照射型のCMOSセンサの形態である。図12は本実施形態の、図1(a)のA−B線における受光ユニット11の断面図である。
【0122】
裏面照射型のCMOSセンサであっても、第1〜第3実施形態で説明したものと同様に製造することができるので、第3実施形態を採用した場合における違いのみを説明する。第3実施形態の工程k−3までは、同様に行うことができる。
【0123】
工程k−3の後、ウエハ1000の裏面側からCMP法などを用いてウエハ1000を1〜100μm、典型的には10μm程度まで薄くする。その後、ウエハ1000の裏面側に絶縁膜360を形成する。絶縁膜360の上に金属膜を形成し、フォトマスクMI4を用いて金属膜をパターニングして第4金属層240を形成する。この時フォトマスクMI4のアライメントをAM1を基準にして行うことが好ましいが、AM2を基準にして行ってもよい。なお、必要に応じて第4金属層240をウエハ1000と電気的に接続してもよい。MI4はマーク形成パターンMFP10を有しており、第4金属層240と同時にアライメントマークAM10が形成される。このように裏面照射型のCMOSセンサにおいては、N層の金属層の内、マイクロレンズ600に最も近い第N金属層(第4金属層240)は、ウエハ1000の裏面側に位置する。そして、残りのN−1層の金属層(第1金属層210、第2金属層220、第3金属層230)はウエハ1000の表面側に位置することになる。
【0124】
第4金属層240の上に中間膜400を形成し、さらに中間膜400の上にフォトマスクCFG,CFR,CFBを用いてカラーフィルタアレイを形成する。フォトマスクCFG,CFR,CFBのアライメントはAM10を基準にして行うことができる。そしてカラーフィルタアレイの上にフォトマスクMLを用いてマイクロレンズアレイを形成する。フォトマスクMLのアライメントは、AM1を基準にして行う。これにより、マイクロレンズと光電変換素子の相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な光学的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0125】
以上、第1〜第6実施形態を例に説明したが、各実施形態で説明した工程は、適宜組み合わせることも可能であるし、各実施形態においてその一部を変更することも可能である。
【0126】
以上の説明では、パターニング技術として、主にフォトマスクをパターニング手段としたフォトリソグラフィ技術を挙げた。しかしながら、パターニング技術は、走査されるパターンデータに基づいて走査されるエネルギー線をパターニング手段としたマスクレスなパターニング技術であってもよい。例えば、エネルギー線として電子ビーム用いる場合には、ウエハ上に形成されたフォトレジスト膜に、受光部10に形成する半導体領域や構成部材をパターニングするためのパターンを描画する。この描画に連続して、同じフォトレジスト膜にアライメントマークを形成するためのマーク形成パターンもマーク部30に描画する。そしてパターニングされたフォトレジスト膜を用いて、半導体領域や構成部材と同時にアライメントマークを形成することができる。また、この時のアライメントは、例えば、ウエハ上のアライメントマークを検出し、この時のウエハとパターニング手段である電子ビーム源との位置関係に基づいて、パターンデータの基準座標を設定する。そして、受光部10への描画とマーク部30への描画を、同じ基準座標を基準として行う。これにより、厳密には受光部10への描画とマーク部30への描画の時間が前後していても、実質的に、受光部10でのパターニングとマーク部30でのパターニングを同じ工程で行っているとみなすことができる。
【0127】
例えば、光電変換素子130の形成を、フォトレジスト膜を電子ビーム線で露光する場合には、基準座標の設定を、分離領域110の形成工程で形成されたアライメントマークAM1を基準にして行えばよい。
【0128】
エネルギー線を用いたパターニング技術としては、電子ビームによるフォトリソグラフィ技術に限定されることはない。例えば、パターンデータに基づいて走査される集束イオンビームやレーザービームを被加工部材に照射して、被加工部材を直接加工するパターニング技術であってもよい。この場合も同様に、そして、受光部10での加工とマーク部30での加工を、同じ基準座標を基準として行う。これにより、厳密には受光部10での加工とマーク部30での加工の時間が前後していても、実質的に、受光部10での加工とマーク部30での加工を同じ工程で行っているとみなすことができる。
【0129】
同様に、ディスペンサ法やインクジェット法のように、パターンデータに基づいて走査される液体吐出ヘッドをパターニング手段としたパターニング技術を採用してもよい。この場合にも、アライメントマークを検出して、この時のウエハとインクジェトヘッドとの位置関係に基づいて、パターンデータの基準座標を設定し、この基準座標を用いて液体吐出ヘッドを走査する。
【0130】
例えば、カラーフィルタ500の形成にインクジェット法を用いる場合には、インクジェットヘッドのアライメントを、第N金属層を形成する工程で形成されたアライメントマークAM10を基準にして行えばよい。そして、AM1の上には、カラーフィルタの形成材料を吐出しないようにすればよい。
【0131】
また、開口を有するメタルマスクをパターニング手段として用いて成膜を行うパターニング技術を採用してもよい。スクリーン印刷法等のように、版をパターニング手段として用いて塗布を行うパターング技術を採用してもよい。モールド法やナノインプリント法等のように、型をパターニング手段として用いたパターニング技術を採用してもよい。必要に応じてこれらを組み合わせ用いてもよい。また、ウエハ上でのパターニングを行わずに、予め構成部材が形成されたシートを用意して、このシートをウエハに貼り付けることによって、ウエハ上に構成部材を形成してもよい。これらのメタルマスクや版、型、シートを用いる場合にもまた、先に形成された半導体領域や構成部材に対して、メタルマスクや版、型、シートのアライメントを行う必要がある。
【0132】
例えば、マイクロレンズ600の形成に版や型、シートを用いる場合には、版や型、シートのアライメントを、分離領域110の形成工程で形成されたアライメントマークAM1を基準にして行えばよい。
【符号の説明】
【0133】
1 光電変換装置
100 半導体基板
1000 半導体ウエハ
110 分離領域
111 分離絶縁体
120 活性領域
130 光電変換素子
155 ゲート電極
210 第1金属層
220 第2金属層
230 第3金属層(第N−1金属層)
240 第4金属層(第N金属層)
500 カラーフィルタ
600 マイクロレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置の製造方法に関し、特にマイクロレンズのアライメントに関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換装置としてはCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサが典型的であるが、これらの典型的な光電変換装置は、光電変換素子に入射する光を集光するマイクロレンズを備える。
特許文献1には、分離領域を形成し、分離領域をアライメントの基準にして、光電変換素子を形成することが開示されている。また、特許文献1には、分離領域をアライメントの基準にして、ゲート層を形成すること、このゲート層をアライメントの基準にして各コンタクトプラグ層を形成することが開示されている。更に、カラーフィルタを形成する際にはゲート層を基準にして位置合わせを行うこと、オンチップレンズ(マイクロレンズ)を形成する際には、カラーフィルタを基準にして位置合わせをすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−273342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、マイクロレンズ形成時には、先のアライメント時に生じ得るアライメント誤差が、ゲート層形成、カラーフィルタ形成を経て重畳する。その結果、光電変換素子とマイクロレンズとの相対的位置関係が設計値から大きくかい離してしまう場合があった。
かかるかい離は、複数の光電変換素子同士の間隔(画素ピッチ)が微細になればなるほど、例えば、クロストークの発生や感度の低下など、光電変換装置の性能の低下を招くと考えられる。
そこで本発明は、光電変換素子に対するマイクロレンズの位置が高精度に制御された光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、半導体ウエハの活性領域を画定する分離領域を形成する工程と、前記分離領域によって画定された前記活性領域に光電変換素子を形成する工程と、前記光電変換素子の上にマイクロレンズを形成する工程と、を有する光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換素子を形成する前記工程におけるアライメントおよび前記マイクロレンズを形成する前記工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光電変換素子に対するマイクロレンズの位置が高精度に制御された光電変換装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【図2】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【図3】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図4】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図5】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図6】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図7】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図8】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図9】本発明に係る光電変換装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【図10】本発明を説明するための模式図。
【図11】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【図12】本発明に係る光電変換装置の一例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本発明に係る光電変換装置の一例の概要を説明する。図1(a)は光電変換装置1の平面図である。光電変換装置1は受光部10に複数の受光ユニット11を有する。図1(a)では受光部10に複数の受光ユニット11を2次元状に配列した例を示したが、1次元状に配列してもよい。
【0009】
光電変換装置1は、専ら撮像装置(イメージセンサ)として用いることができるし、専ら測距装置(焦点検出装置とも言う)あるいは測光装置として用いることもできる。また、光電変換装置1を、撮像装置と、測距装置および測光装置の少なくとも一方と、を兼ねる多機能装置として用いることができる。
【0010】
以下、光電変換装置1として、CMOSイメージセンサ等のいわゆる画素増幅型の撮像装置を例に挙げて説明を行う。撮像装置においては、1つの受光ユニット11が複数の画素の1つの画素に対応する。図1(a)、(b)では画素毎を破線で区分している。
【0011】
光電変換装置1は、図1(a)に示す様に、受光部10の他に、受光部10に設けられた画素回路を駆動したり、受光部10で得られた信号を処理したりするための周辺回路が設けられた周辺回路部20を有することができる。また、光電変換装置1は、その製造工程で用いられるアライメントマークやテストマークが形成されたマーク部30を有することもできる。
【0012】
図1(b)は光電変換装置の回路図の一例である。1つの受光ユニット11は1つの光電変換素子130を有している。光電変換素子130には、転送トランジスタ150を介して容量部140が接続されている。容量部140は増幅トランジスタ160の制御電極(ゲート)に接続されている。容量部140はリセットトランジスタ170の一方の主電極(ソース)に接続されている。増幅トランジスタ160の一方の主電極(ドレイン)とリセットトランジスタ170の他方の主電極(ドレイン)は、定電圧源191が接続された電源線190に接続されている。増幅トランジスタ160の他方の主電極(ソース)は選択トランジスタ180を介して出力線192に接続されている。出力線192には定電流源193が接続されており、増幅トランジスタ160はソースフォロワ回路を成している。増幅トランジスタ160のゲートの電圧に応じた電圧が出力線192に現れ、これが読み出し回路194によって読み出される。定電圧源191、定電流源193、読み出し回路194はそれぞれ周辺回路部20に配置することができる。読み出し回路194はクランプ回路やサンプルホールド回路、バッファー回路、A/D変換回路等を必要に応じて有する。
【0013】
なお、図1(b)では画素回路が、転送トランジスタ150を含む4つのトランジスタで構成された例を示したが、選択トランジスタ180を省略して3つのトランジスタで構成してもよい。また、容量部140と転送トランジスタ150を省略して、光電変換素子130を増幅トランジスタ160のゲートに直接接続してもよい。また、増幅トランジスタ160やリセットトランジスタ170を画素毎に設けた例に限らず、いわゆる画素共有構造を採用してもよい。
【0014】
図2(a)は図1(a)における1つの受光ユニット11の平面図であり、図2(b)は図1(a)および図2(a)のA−B線における受光ユニット11の断面図である。以下の説明では、図2(a)と図2(b)を相互に参照しながら説明を行う。
【0015】
光電変換装置1は半導体基板100を備えている。半導体基板100は、分離領域110(素子分離領域)と活性領域120を有しており、分離領域110が活性領域120を画定している。分離領域110には分離絶縁体111が設けられている。この分離絶縁体111は典型的にはいわゆるフィールド酸化膜である。分離絶縁体111は、具体的にはLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法によって形成された熱酸化膜やSTI(Shallow Trench Isolation)の埋め込み酸化膜、あるいはこれらと類似の素子分離構造が有する絶縁体である。
【0016】
光電変換素子130は半導体基板100内の活性領域120に設けられている。マイクロレンズ600が光電変換素子130の上に設けられている。1つの受光ユニット11は、1つの光電変換素子130と、それに対応する1つのマイクロレンズ600を少なくとも有する。すなわち、光電変換素子130とマイクロレンズ600の1組を以てして、1つの受光ユニット11が定義される。
【0017】
本例の光電変換素子130は第1導電型の第1半導体領域131と第2導電型の第2半導体領域132とを有している。第1半導体領域131と第2半導体領域132はPN接合を成しており、それぞれ信号電荷を生成する光電変換領域として機能する。そのため、第1半導体領域131と第2半導体領域132とを合わせて、光電変換素子130の光電変換部と云うことができる。第1半導体領域131は、第1半導体領域131で生成された信号電荷と、第2半導体領域132で生成された信号電荷を蓄積する蓄積領域としても機能する。本例の光電変換素子130は半導体基板100の表面と第1半導体領域131の間に配された第2導電型の第3半導体領域133をさらに有している。第3半導体領域133は暗電流低減のための表面領域として機能する。このように、本例の光電変換素子130は埋め込み型のフォトダイオード(光電変換部)を有している。なお、光電変換素子130の構成にフォトゲートを採用することもできる。
【0018】
ここで、第1導電型とは、信号電荷を多数キャリアとする導電型であり、第2導電型とは、信号電荷を少数キャリアとする導電型である。信号電荷が電子である場合には第1導電型がN型、第2導電型がP型であり、信号電荷が正孔である場合には第1導電型がP型、第2導電型がN型である。以下、信号電荷が電子である場合を説明するが、信号電荷は正孔であってもよい。
【0019】
活性領域120には、第2導電型の第5半導体領域145と、第1導電型の第4半導体領域144が設けられている。第4半導体領域144と第5半導体領域145はPN接合を成しており、第4半導体領域144は浮遊拡散領域として機能する。第4半導体領域144と第5半導体領域145は容量部140の一部を構成しうる。活性領域120には、第1半導体領域131と第3半導体領域144との間に、チャネル領域として機能する第2導電型の第6半導体領域156が設けられている。第6半導体領域156の上には不図示のゲート絶縁膜を介して制御電極155(ゲート電極)が設けられており、転送トランジスタ150の転送ゲート151を構成している。なお、転送トランジスタ150のソースは、実質的に第1半導体領域131(光電変換素子130の蓄積領域)となっており、転送トランジスタ150のドレインは、実質的に第4半導体領域144(浮遊拡散領域)となっている。
【0020】
なお、第2導電型の半導体領域である第2半導体領域132、第5半導体領域145および第6半導体領域156は、連続的に構成されていてもよく、これら第2導電型の半導体領域をまとめてウェル領域と呼ぶこともできる。分離領域110には、分離絶縁体111の下に、第2半導体領域132の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第2導電型の第7半導体領域112が設けられている。上述した増幅トランジスタ160、リセットトランジスタ170、選択トランジスタ180は、光電変換素子130が設けられる活性領域120にから分離領域110で分離された、他の活性領域(不図示)に設けることができる。第7半導体領域112は活性領域120のウェル領域から他の活性領域へのポテンシャル障壁として機能する。そのため、第7半導体領域112がウェル領域、例えば第2半導体領域132の範囲を規定しているということができる。
【0021】
本例では、受光部10において、半導体基板100とマイクロレンズ600との間に第1金属層210と、第2金属層220と第3金属層230と第4金属層240とを含む4層の金属層が設けられている。第1金属層210は、制御電極155や第4半導体領域144に接続された第1金属プラグ211と、この第1金属プラグ211に接続された第1金属配線212を有している。なお、第1金属プラグ211は、転送トランジスタ150以外のトランジスタの制御電極(ゲート)、主電極(ソース・ドレイン)、あるいはウェル領域にも接続されている。第1金属層210の上には第2金属層220が設けられている。第2金属層220は、第1金属配線212に接続された第2金属プラグ221と、この第2金属プラグ221に接続された第2金属配線222を有している。第2金属層220の上には第3金属層230が設けられている。第3金属層230は、第2金属配線222に接続された第3金属プラグ231と、この第3金属プラグ231に接続された第3金属配線232を有している。第3金属層230の上には第4金属層240が設けられている。第4金属層240は、第3金属配線232に接続された第4金属プラグ241と、この第4金属プラグ241に接続された第4金属配線242を有している。
【0022】
これら第1金属層210と、第2金属層220、第3金属層230、第4金属層240が、金属構造体を成している。本例では金属構造体は、画素回路の各トランジスタを相互に接続したり、画素回路と周辺回路とを相互に接続したりするための多層配線として機能する。ここでは、4層の金属層としたが、N層の金属層(N≧2)と一般化することができる。N層の金属層のうち、第1金属層210は上述したように、半導体基板100に設けられたトランジスタの制御電極及び/又は主電極に接続される金属層である。そして、N層の金属層のうち、第N金属層はマイクロレンズ600に最も近い金属層である。本例では第N金属層(本例では第4金属層240)は第N−1金属層(本例では第3金属層230)に接続されている。しかしながら、マイクロレンズ600に最も近い金属層である第N金属層は、必ずしも第N−1金属層に接続されていなくてもよく、電気的にフローティングであってもよい。なお、周辺回路部20にもN層の金属層を配することができるが、受光部10よりもさらに多くの金属層(例えばN+1層の金属層)を設けてもよい。
【0023】
本例では、金属層を金属プラグと金属配線とで構成しているが、金属層を金属配線のみで構成してもよいし、金属プラグのみで構成してもよい。例えば、上層の金属配線を、下層の金属配線に、金属プラグを介さずに直接接続してもよい。また、例えば、下層の金属配線の上に、金属プラグのみを形成してダミーパターンとして用いてもよい。なお、1つの金属層を成す金属配線と金属プラグとの関係において、金属プラグは金属配線に接続され、且つ、金属配線に対して半導体基板100側に設けられる。後述する製造方法に関連して説明すると、金属プラグと金属配線とで構成される1つの金属層は、金属プラグを形成した後に金属配線が形成されるのである。各金属層は、純金属や合金等の金属材料を主たる材料とするが、一部を窒化物等の金属化合物材料で構成してもよい。また、各金属層の金属配線と金属プラグに同じ材料を用いてもよいし、それぞれ別々の材料を用いてもよい。例えば、同一金属層の金属配線および金属プラグの材料に銅を用いてもよいし、同一金属層において金属プラグの材料にタングステンを用い、金属配線の材料にアルミニウムを用いてもよい。なお、受光部10において同一の金属層を成す金属配線は、絶縁層によって複数に分断されているパターンを有する場合もあれば、受光部10の略全体に渡って連続している格子状のパターンを有する場合もある。
【0024】
本例では、半導体基板100の上には、半導体基板100側から、第1絶縁層310と第2絶縁層320、第3絶縁層330、第4絶縁層340がこの順で設けられている。これら第1絶縁層310と、第2絶縁層320、第3絶縁層330、第4絶縁層340が、各金属層を支持および絶縁する複層膜である層間絶縁膜を成している。層間絶縁膜は光電変換装置1で変換される入射光に対して透明であり、光電変換素子130の上に設けられた各絶縁層は、受光ユニット11への入射光の光路に位置する。
【0025】
第4絶縁層340の上には、中間膜400が設けられている。この中間膜は単層膜であってもよいし複層膜であってもよい。中間膜400は、パッシベーション層や平坦化層、反射防止層、絶縁層等の化学的機能、機械的機能、光学的機能、電気的機能の少なくともいずれかを有する層を含む。
【0026】
中間膜400の上にはカラーフィルタ500が設けられている。カラーフィルタ500は可視光域の特定の波長域に分光特性を有している。なお、受光部10では、互いに異なる分光特性を有する複数種類のカラーフィルタが受光ユニット11の配列に応じて2次元状に配列されてなるカラーフィルタアレイが構成されている。カラーフィルタは原色系(RGB)や補色系(CYM)であってもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【0027】
カラーフィルタの上には光電変換素子130に対応する位置にマイクロレンズ600が設けられている。なお、受光部10では、複数のマイクロレンズ600が受光ユニット11の配列に応じて2次元状に配列されてなるマイクロレンズアレイが構成されている。受光部10のマイクロレンズアレイにおいて、互いに隣り合うマイクロレンズ600同士は接していてもよいし離れていてもよい。
【0028】
以上のように、本例の受光ユニット11は、光電変換素子130とマイクロレンズ600に加えて、各絶縁層や中間膜400、カラーフィルタ500を有している。なお、金属構造体の少なくとも1つの金属層は受光ユニット11に入射する入射光の光電変換素子130までの光路を規定もしくは制限する機能を有することができる。
【0029】
次に、光電変換装置1を製造する際の各半導体領域や各部材の形成方法について、その概要を説明する。光電変換装置1は、半導体ウエハ(以下、ウエハとよぶ)内あるいはウエハ上に、パターニング手段を用いたパターニング技術によって半導体領域や各構成部材を形成することにより製造することができる。パターニング技術としては、典型的には、フォトマスク(レチクルともいう)をパターニング手段とした、フォトリソグラフィ技術が挙げられる。ただし、後述するように、パターニング手段はフォトマスクに限定されることはないし、パターニング技術がフォトリソグラフィ技術に限定されることもない。
【0030】
フォトマスクを用いたフォトリソグラフィ技術は、フォトマスク(パターニング手段)が有するパターンを、フォトマスクを介したフォトレジストの露光と、露光されたフォトレジストの現像とによって、フォトレジストに転写する手法を、その少なくとも一部として含む。フォトリソグラフィ技術は、パターンが転写されたフォトレジストを用いたパターニング技術を含む。パターニング技術には、パターニングされたフォトレジストをマスクとして用いて、形成しようとする構成部材の母材に対して所定の変化を加えることが含まれる。「所定の変化」には、イオン注入等によって母材に不純物を導入したり、母材に熱酸化や硬化等の化学的変化を生じせしめたりすることが含まれる。また、「所定の変化」には、母材の一部をドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングあるいはリフトオフによって除去することも含まれる。なお、構成部材の母材は、蒸着法やスパッタ法、CVD法、塗布法等の慣用される成膜法によって形成することができる。かかる「所定の変化」は、フォトマスクによってパターニングされたフォトレジストの存在下で行われることもあるが、そうでない場合もある。例えば、まず、パターニングされたフォトレジストを用いて「所定の変化」を加えるためのマスクをパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジストを除去した後に、パターニングされたマスクを用いて「所定の変化」を加える場合である。このような場合、パターニングされたマスクにはフォトレジストのような有機材料(樹脂)ではなく、無機材料が用いられる場合が多く、一般的にはハードマスクと呼ばれている。
【0031】
このように、パターニング手段を用いて形成された光電変換装置の構成部材は、「所定の変化」に伴って、フォトマスク等のパターニング手段が有するパターンを反映した形状や物性の分布を有することになる。
【0032】
ウエハ上で部材をパターニングして形成するためには、ウエハ上において先に形成された部材に対して、上述した各種パターニング技術におけるパターニング手段のアライメント(位置合わせ)を行う必要がある。なお、ウエハ上でのパターニングを行わずに、予めパターニングされた構成部材を用意して、この構成部材をウエハ上に載せる場合にも、アライメントを行う必要がある。アライメントは、ウエハ上において、先に形成された部材と同じパター二ング手段によって、先に形成された部材と同じ工程、すなわち、同じパターニング手段を用いて形成されたアライメントマークを基準にして行うことができる。パターニング手段としてフォトマスクを用いた場合のアライメントの一例を挙げる。
【0033】
アライメントマークとしては、ウエハ上に設けられた、X座標測定用アライメントマークと、X座標測定用アライメントマークに対して90度回転して配置されたY座標測定用アライメントマークの組を用いることができる。それぞれのアライメントマークをステッパー等の露光装置に備え付けられた光学的検出手段で読み取ることにより、アライメントマークの位置のX座標とY座標を得る。この座標に基づいてステージおよびウエハの位置を判断し、ウエハの位置に対応した適切な位置にフォトマスクを配置する。これによりウエハとフォトマスクのアライメントを得ることができる。
【0034】
アライメントマークとしてウエハ上に設けられた調整用アライメントマークをさらに用いることで、より精密なアライメントを行うこともできる。例えば、調整用アライメントパターンをフォトマスクに設けておき、上述した測定用アライメントマークを用いたアライメントの後、調整用アライメントマークと調整用アライメントパターンの位置のズレを光学的に検出する。このズレを修正するように、フォトマスクとウエハの位置を調整するのである。なお、測定用アライメントマークのみを用いてアライメントを行ってもよいし、調整用アライメントマークのみを用いてアライメントを行ってもよい。また、測定用アライメントマークが調整用アライメントマークを兼ねるようにしてもよい。
【0035】
また、或る工程で形成するアライメントマークをマーク部30の複数の位置に形成してもよい。そして、或る工程の後の工程におけるアライメント毎に、複数の位置に形成されたアライメントマークから適宜選択された位置のアライメントマークを、後の工程におけるアライメントの基準とすることもできる。
【0036】
アライメントが行われると、露光を実施する。光電変換装置1を製造するためには、ウエハ上の略同じ箇所において、複数の構成部材を形成するために、複数工程でそれぞれパターニングを行う必要がある。しかしながら、アライメントに誤差が生じた場合、複数工程でパターニングを繰り返すと、誤差が重畳されてしまう。その結果、初期の製造工程で形成された部材に対して、末期の製造工程で形成された部材の位置が設計値に対して許容できる誤差以上の範囲でずれてしまう場合がある。
【0037】
図10(a)は図1(a)との比較のための、光電変換装置の平面図であり、図10(b)は図10(a)のA’−B’線における受光ユニット11の断面図および図10(a)のC’−D’におけるマーク部30の断面図である。
【0038】
受光ユニット11において図10(b)に示す様に、光電変換素子130とマイクロレンズ600との相対的位置が、設計値から大きくかい離すると、設計通りの光学的性能を発揮できない可能性がある。
【0039】
そこで、光電変換素子を形成する工程におけるアライメントおよびマイクロレンズを形成する工程におけるアライメントを、これらの前に行われる、分離領域を形成する工程で形成されたアライメントマークを基準にして行う。このようにすることで、設計通りの、良好な光学的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0040】
以下、本発明に係る光電変換装置の製造方法を詳細に説明する。光電変換装置1の典型的な製造方法においては、半導体ウエハに光電変換装置1を複数箇所に作り込む。この時に、複数箇所毎にアライメントを行うことが好ましい。また、複数箇所毎にマーク部30を設けてマーク部30を受光部10の近傍に配置することで、ウエハに作り込まれる複数の光電変換装置1の各々の特性ばらつきを小さくすることができる。ただし、特定の箇所での露光に際してのみアライメントマークを用いたアライメントを行い、他の箇所での露光に際しては、上記特定の箇所と他の箇所との位置関係に基づくステージの移動のみによるアライメントを行ってもよい。すべての箇所において複数段階のパターニングが終了した後、これらをスクライブラインに沿ってダイシングする。これにより1つのウエハを分割して、各々が光電変換装置1である複数のチップが得られる。ただし、本発明は1つのウエハから複数のチップを得ることに限定されるものではなく、例えば、1つのウエハから、1つのウエハサイズの光電変換装置1を得てもよい。以下の説明では、ウエハにおいて、光電変換装置1となる複数の部分のうちの1つの部分について説明を行う。
【0041】
<第1実施形態>
半導体基板100としてシリコン基板を用いた光電変換装置1に関して、図3、図4、図5および図6を相互に参照しながら、光電変換装置1の製造方法の第1実施形態の一例を典型的な工程順に説明する。図1、図2(a)及び図2(b)と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0042】
図3、図4、図5は各工程における光電変換装置1の断面図である。各図の左側は図1(a)及び図2(a)のA−B線における断面に対応する、受光部10の受光ユニット11の断面を示しており、各図の右側は図1(a)のC−D線における断面に対応する、マーク部30の断面を示している。図6は製造工程において使用するフォトマスクと、それらの各製造工程間の関係を示している。図6において、左右に向く矢印は各フォトマスクを用いて同じ工程で形成される部材あるいは領域を示しており、上に向く矢印はアライメントの基準とする対象を示している。
【0043】
(工程a)図3(a)を用いて本工程を説明する。第1導電型の半導体ウエハ1000(以下、ウエハ1000と呼ぶ)を用意する。ウエハ1000はシリコン基体上に単結晶シリコン層をエピタキシャル成長したものを好適に用いることができる。ウエハ1000としてSOI(Silicon On Insulator)ウエハを用いてもよい。
【0044】
(工程b)図3(b)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上に窒化シリコン膜(不図示)を形成し、窒化シリコン膜の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクISOを用いてパターニングする。なお、フォトマスクISOのアライメントは、例えばステージの初期位置を基準にして行ってもよいし、ウエハのオリフラ等を基準にして行ってもよい。フォトマスクISOを用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして窒化シリコン膜をエッチングする。パターニングされた窒化シリコン膜をマスクとして、ドライ酸化あるいはウェット酸化によりウエハ1000の表面を酸化する。これにより、LOCOS法による分離絶縁体111が分離領域110に形成される(S1)。窒化シリコン膜に覆われて分離絶縁体111が形成されない領域の大部分が活性領域120となる。フォトマスクISOを用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0045】
ここで、フォトマスクISOは、マーク形成パターンMFP1を有しており、本工程において、MFP1を反映したパターンを有するアライメントマークAM1が分離絶縁体111と同時に形成される(S1’)。すなわち、アライメントマークAM1は、分離絶縁体111と同じ材料である酸化シリコンからなり、分離絶縁体111と同様に、窒化シリコン膜をマスクとしたウエハ1000の表面を熱酸化することにより形成される。図1にはAM1を模式的に示しており、上述したように、X座標測定用アライメントマークAM1XとY座標測定用アライメントマークAM1Yの組であるAM1を示している。本例におけるX座標測定用アライメントマークAM1XとY座標測定用アライメントマークAM1Yのそれぞれは、4本の略矩形状の分離絶縁体111が等ピッチで配列された形状を有している。しかしながら、この形状はあくまでも一例であり、使用する露光装置等に応じて変更が可能である。また、図1には、AM1XとAM1Yをマーク部30の異なる辺に配置した例を示したが、AM1XとAM1Yを互いに隣接して配置してもよい。なお、図1において、AM1の隣にあるアライメントマークAMNは、後述するAM2やAM10など、AM1以外のアライメントマークを模式的に示している。AMNもまた、X座標測定用アライメントマークAMNXとY座標測定用アライメントマークAMNYの組を有している。実際には各アライメントマークは、それぞれが互いに重ならないようにずらして、マーク部30の複数の位置に配置されるが、紙面の都合上、AM1以外のアライメントマークをアライメントマークAMNとしてまとめて記載している。
【0046】
ここでは、LOCOS法を用いて分離領域110を画定する例を説明したが、STIで分離領域110を画定することもできる。STIはトレンチ形成段階と、埋め込み絶縁膜形成段階を有するため、典型的には、AM1もまたトレンチ形成段階と埋め込み絶縁膜形成段階で形成される。しかしながら、マーク部30に埋め込み絶縁膜を形成せずに、トレンチ形成段階で形成されたトレンチ自体をアライメントマークAM1として用いることも可能である。
【0047】
なお、フォトマスクISOを用いて分離絶縁体111を形成する素子分離方法に、拡散分離による素子分離方法を併用してもよい。なお、周辺回路部20における分離領域の形成を本工程とは別の工程で行うこともできる。例えば、受光部10の分離領域110をLOCOS法で形成し、周辺回路部20の分離領域をSTIとすることもできる。その場合には受光部10の分離領域110に分離絶縁体111をLOCOS法で形成すると同時に、LOCOS法でアライメントマークAM1を形成する。
【0048】
(工程c)図3(c)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクを用いて受光部10に対応する範囲を開口する形状にパターニングし、受光部10の略全体(分離領域110および活性領域120)にアクセプターのイオン注入を行い、第2導電型の不純物領域を形成する。この第2導電型の不純物領域の一部が後述する不純物領域121となる。この時のフォトマスクのアライメトはAM1を基準にして行ってもよいが、例えばウエハのオリフラ等を基準にして行ってもよいし、ステージの移動のみで行ってもよい。フォトレジスト膜を除去した後、再度フォトレジスト膜を形成する。フォトレジスト膜をフォトマスクPEC1を用いてパターニングする。この時、フォトマスクPEC1のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A2)。フォトマスクPEC1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして、ウエハ1000の分離領域110へ分離絶縁体111を介してアクセプターのイオン注入を行う。これにより、分離領域110に、活性領域120の第2導電型の不純物領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第7半導体領域112を形成する。この結果、第2半導体領域132、第5半導体領域145および第6半導体領域156として用いるための第2導電型の不純物領域121(ウェル領域)が画定される(S2)。なお、第2導電型の不純物領域121を、注入エネルギー及び注入ドーズ量が異なる複数回のイオン注入で形成してもよい。第7半導体領域112も同様に複数回のイオン注入で形成してもよい。フォトマスクPEC1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0049】
(工程d)図3(d)および図6を用いて本工程を説明する。ドライ酸化あるいはウェット酸化によりウエハ1000の活性領域120の表面を酸化する。これにより、転送トランジスタ及び他のトランジスタのゲートの、ゲート酸化膜を形成する。次に、ゲート酸化膜の上にポリシリコン膜を成膜し、さらにポリシリコン膜の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクGTを用いてパターニングする。この時、フォトマスクGTのアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A3)。フォトマスクGTを用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしてポリシリコン膜をエッチングする。これにより、転送ゲート電極155が形成される(S3)。フォトマスクGTを用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0050】
ここで、フォトマスクGTは、マーク形成パターンMFP2を有しており、本工程において、MFP2を反映したパターンを有するアライメントマークAM2が転送ゲート電極155と同時に形成される(S3’)。すなわち、アライメントマークAM2は、転送ゲート電極155と同じ材料であるポリシリコンからなり、転送ゲート電極155と同様に、フォトレジスト膜をマスクとしたポリシリコン膜のエッチングにより形成される。なお、ウエハ1000に設けられるトランジスタの制御電極、例えば画素回路の各トランジスタの各ゲート電極と、周辺回路部の各トランジスタのゲート電極も本工程で形成される。
【0051】
(工程e−1)図3(e−1)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクPEC2を用いてパターニングする。この時、フォトマスクPEC2のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A4)。フォトマスクPEC2を用いてパターニングされたフォトレジスト膜及び転送ゲート電極155をマスクとして、ウエハ1000の活性領域120の不純物領域121へドナーのイオン注入を行う。これにより第1半導体領域131として用いるための第1導電型の不純物領域122を活性領域120に形成する(S4)。この時のイオン注入に斜めイオン注入を用いることで、図3(e−1)に示す様に、不純物領域122の端部を転送ゲート電極155の下に潜り込ませることもできる。フォトマスクPEC2を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0052】
(工程e−2)図3(e−2)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクPEC3を用いてパターニングする。この時、フォトマスクPEC3のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A5)。フォトマスクPEC3を用いてパターニングされたフォトレジスト膜及び転送ゲート電極155をマスクとして、ウエハ1000の不純物領域121へアクセプターのイオン注入を行う。これにより第3半導体領域133として用いるための第2導電型の不純物領域123を活性領域120に形成する(S5)。フォトマスクPEC3を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0053】
(工程f)図3(f)および図6を用いて本工程を説明する。ウエハ1000の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクFDを用いてパターニングする。この時、フォトマスクFDのアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A6)。フォトマスクFDを用いてパターニングされたフォトレジスト膜及び転送ゲート電極155をマスクとして、ウエハ1000の不純物領域121へドナーのイオン注入を行う。これにより第4半導体領域144として用いるための第1導電型の不純物領域124を形成する(S6)。フォトマスクFDを用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0054】
以上のようにして、光電変換素子130や容量部140の少なくとも一部、転送トランジスタ150を形成する。工程(e−1)で説明したように、少なくとも光電変換素子130の第1導電型の半導体領域131を形成する際のアライメント(A4)を、AM1を基準にして行えばよい。なお、本例では、工程dの前後に分けて光電変換素子130を形成したが、工程dの前に第1半導体領域131、第3半導体領域133として用いるための不純物領域122、123を形成してもよい。しかしながら、工程dの後に不純物領域122、123を形成することにより、転送ゲート電極155をマスクとして、自己整合的に第1半導体領域131、第3半導体領域133を形成することができる。第4半導体領域144としても用いる不純物領域124についても同様に転送ゲート電極155をマスクとして自己整合的に形成することができる。
【0055】
また、必要に応じて、次の工程eの前までに適切なマスクを用いて、分離領域110にチャネルストップ領域として用いられる第2導電型の半導体領域を形成してもよい。チャネルストップ領域は、典型的には、工程dの前に行われる。なお、ウエハ1000の受光部10に設けられるトランジスタ、例えば画素回路の各トランジスタの主電極(ソース・ドレイン)も同様に、フォトマスクのアライメントを、AM1を基準にして行って形成することができる。各トランジスタの主電極は制御電極をマスクとして用いることで自己整合的に形成することができるため、主電極を形成するためのフォトマスクのアライメントを、AM2ではなくAM1を基準に行うことができる。そのため、各トランジスタの主電極を分離領域110とゲート電極の双方に対して適切な位置に形成することができる。典型的には、受光部10に対して行われる複数回のイオン注入工程のために形成されるフォトレジスト膜をパターニングするための複数枚のフォトマスクのアライメントは、すべてAM1を基準にして行われる。ただし、光電変換素子130を形成するためのフォトマスク以外のアライメントの全てをAM1を基準にして行うことに限定されることはなく、必要に応じて、AM2を基準にして行ってもよい。
【0056】
(工程g−1)本工程を図4(g−1a)〜(g−1c)、図4(g)および図6を用いて説明する。ウエハ1000上に第1絶縁層310を形成する。第1絶縁層310を形成した後、必要に応じてリフロー法やCMP(Chemical Mechanical Polishing)法、エッチバック法等を用いて第1絶縁層310を平坦化することができる。あるいは、第1絶縁層310をSOG(Spin On Glass)法によって形成してもよい。第1絶縁層310には、酸化シリコンを主成分とする材料を好ましく用いることができ、例えば、酸化シリコンや、BPSG、BSG、PSGなどが挙げられ、BPSGを特に好ましく用いることができる。
【0057】
次いで、第1絶縁層310の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクMP1を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMP1のアライメントを、ウエハ1000上のAM2を基準にして行う(A6)。フォトマスクMP1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして第1絶縁層310をエッチングする。これにより、第1絶縁層310に転送ゲート電極155や、第4半導体領域144、他のトランジスタのゲート電極や主電極に達する第1スルーホール(コンタクトホール)を形成する。フォトマスクMP1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去する。
【0058】
ここで、フォトマスクMP1は、マーク形成パターンMFP3を有しており、本工程において、MFP3を反映したパターンを有するスルーホールが第1スルーホールと同時に形成される。ここでMFP3を反映したパターンを有するスルーホールの寸法は第1スルーホールの寸法よりも大きくしておくと良い。
【0059】
第1絶縁層310の上に第1スルーホールを埋めるように金属膜を形成する。そして、CMP法等を用いて、金属膜を第1絶縁層310が露出するまで除去する。このようなプラグ形成段階により、転送ゲート電極155や、第4半導体領域144、他のトランジスタのゲート電極や主電極に接続する第1金属プラグ211が形成される(S7)。第1金属プラグ211の材料としてはタングステンが好適である。第1金属プラグ211の形成と同時にMFP3を反映したパターンを有するスルーホールにも第1金属プラグ211と同じ金属材料が充填される。MFP3を反映したパターンを有するこのスルーホールは第1スルーホールよりも寸法が大きいため、充填された金属材料の上面は第1絶縁層310の上面に対して凹んだ状態で形成される(図4(g−1a)、S7’)。MFP3を反映したパターンを有するスルーホールに充填された金属材料の上面の凹みがMFP3によって形成されたアライメントマークAM3となる。
【0060】
第1絶縁層310の上に金属膜2121を形成する。ここで、第1絶縁層310の上に形成された金属膜2121には、AM3に応じた凹凸が生じる(図4(g−1b))。そして、金属膜2121の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクMI1を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMI1のアライメントを、ウエハ1000上のAM3を基準にして行う(A8)。上述のように、金属膜2121にはAM3に応じた凹凸があるため、この凹凸を元にAM3を検出することが容易になる。フォトマスクMI1を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして金属膜をエッチングする。このような配線形成段階により、第1金属配線212が形成される(S8)。
【0061】
ここで、フォトマスクMI1は、マーク形成パターンMFP4を有しており、本工程において、MFP4を反映したパターンを有するアライメントマークAM4が第1金属配線212と同時に形成される(S8’)。すなわち、アライメントマークAM4は、第1金属配線212と同じ材料である金属からなり、第1金属配線212と同様に、フォトレジスト膜をマスクとした金属膜のエッチングにより形成される。このようにして、第1金属層210が形成される(図4(g−1c))。
【0062】
上述したように、凹みを利用したアライメントマークを用いるのは、金属膜をウエハ1000の上の全面に形成すると金属膜2121の下層が金属膜2121で遮光されるため、下層のマークを光学的に読み取ることが困難になるためである。ただし、金属膜を形成した後に、下層のマークアライメントマーク上に位置する部分を選択的に除去することで、金属膜2121に凹凸を形成するようにせずとも、金属膜2121の形成後にアライメントマークを光学的に読み取り可能にすることもできる。
【0063】
なお、図6では、各金属層の金属配線を形成するためのアライメントを、同一金属層の金属プラグと同時に形成されたアライメントマークを基準にして行う例を説明した。しかしながら、各金属層の金属配線を形成するためのアライメントを、同一金属層の金属プラグを形成するためのアライメントの基準に用いられるアライメントマークを基準にして行ってもよい。すなわち、同一金属層の金属プラグ形成段階と金属配線形成段階における各アライメントを、同じアライメントマークを基準にして行ってもよい。
【0064】
(工程g−2)本工程を図4(g)および図6を用いて説明する。第2絶縁層320を形成した後、第2金属プラグ221、第2金属配線222を順次形成して第2金属層220を形成するが、本工程では、工程g−1と同様に、プラグ形成段階と配線形成段階とによって行うことができるため簡単に説明する。
【0065】
第2絶縁層320にはフォトマスクMP2を用いて第2スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP2のアライメントを、ウエハ1000上のAM4を基準にして行う(A9)。そして、第2金属プラグ221を形成する(S9)。フォトマスクMP2はマーク形成パターンMFP5を有している。第2金属配線222はフォトマスクMI2を用いて形成される(S10)。フォトマスクMI2のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP5を反映したアライメントマークAM5を基準にして行われる(A11)。このようにして、本工程g−2により、第2金属層220が形成される。フォトマスクMI2はマーク形成パターンMFP6を有しており、アライメントマークAM6が形成される(S10’)。
【0066】
(工程g−3)本工程を図4(g)および図6を用いて説明する。第3絶縁層330を形成した後、第3金属プラグ231、第3金属配線232を順次形成して第3金属層230を形成するが、本工程でも、工程g−1と同様に、プラグ形成段階と配線形成段階とによって行うことができるため簡単に説明する。
【0067】
第3絶縁層330にはフォトマスクMP3を用いて第3スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP3のアライメントを、ウエハ1000上のAM6を基準にして行う(A11)。そして、第3金属プラグ231を形成する(S11)。フォトマスクMP3はマーク形成パターンMFP7を有している。第3金属配線232はフォトマスクMI3を用いて形成される(S12)。フォトマスクMI3のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP7を反映したアライメントマークAM7を基準にして行われる(A12)。このようにして、本工程g−3により、第3金属層230が形成される。フォトマスクMI3はマーク形成パターンMFP8を有しており、アライメントマークAM8が形成される(S12’)。
【0068】
(工程g−4)本工程を図4(g)および図6を用いて説明する。第4絶縁層340を形成した後、第4金属プラグ241、第4金属配線242を順次形成して第4金属層240を形成するが、本工程でも、工程g−1と同様に、プラグ形成段階と配線形成段階とによって行うことができるため簡単に説明する。
【0069】
第4絶縁層340にはフォトマスクMP4を用いて第4スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP4のアライメントを、ウエハ1000上のAM8を基準にして行う(A13)。そして、第4金属プラグ241を形成する(S13)。フォトマスクMP4はマーク形成パターンMFP9を有している。第4金属配線242はフォトマスクMI4を用いて形成される(S14)。フォトマスクMI4のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP9を反映したアライメントマークAM9を基準にして行われる(A14)。このようにして、本工程g−4により、第4金属層240が形成される。フォトマスクMI4はマーク形成パターンMFP10を有しており、アライメントマークAM10が形成される(S14’)。
【0070】
以上のようにして、第1金属層210、第2金属層220、第3金属層230、第4金属層240を有する金属構造体を形成することができる(図4(g))。
【0071】
(工程h)本工程を図5(h)および図6を用いて説明する。ウエハ1000の上(第4絶縁層340及び第4金属配線242の上)に中間膜400を形成する。中間膜400はパターニングしなくてもよい。次いで、中間膜400の上にカラーフィルタアレイを形成する(S15)。例えば、ベイヤー配列のカラーフィルタアレイの形成は次のようにして行うことができる。中間膜400の上に緑色の感光性カラーフィルタを全面に塗布した後、フォトマスクCFGを用いて、緑色のフォトレジストを市松模様状にパターニングして緑色のカラーフィルタを形成する。この時、フォトマスクCFGのアライメントを、ウエハ1000上のAM10を基準にして行う(A15G)。中間膜400の上に赤色のフォトレジストを全面に塗布した後、フォトマスクCFRを用いて、赤色のフォトレジストを市松模様状にパターニングして赤色のカラーフィルタを形成する。この時、フォトマスクCFRのアライメントを、ウエハ1000上のAM10を基準にして行う(A15R)。中間膜400の上に青色のフォトレジストを全面に塗布した後、フォトマスクCFBを用いて、青色のフォトレジストを市松模様状にパターニングして青色のカラーフィルタを形成する。この時、フォトマスクCFBのアライメントを、ウエハ1000上のAM10を基準にして行う(A15B)。以上の説明では、各色のカラーフィルタを形成するためのアライメントを、いずれもAM10を基準として行う例を説明した。しかし、或る色のカラーフィルタ(例えば青色のカラーフィルタ)を形成するためのアライメントを、先に形成されたカラーフィルタ(例えば緑色のカラーフィルタ)と同時に形成されたアラメントマークを基準にして行ってもよい。なお、周辺回路部20には、周辺回路への不要な入射光を抑制して周辺回路でのノイズを低減するために、周辺回路部20の略全体を青色のカラーフィルタで覆うことが好ましい。マーク部30の全体もカラーフィルタ(典型的には青色のカラーフィルタ)で覆ってもよいが、少なくともAM1の上にはどの色のカラーフィルタも設けないことが好ましい。
【0072】
(工程i)本工程を図5(i)および図6を用いて説明する。本工程では、マイクロレンズ600を形成する(S16)。ここでは、マイクロレンズ600の形成に、階調露光法を用いた例を説明する。ウエハ1000の上(カラーフィルタアレイの上)に感光性樹脂膜を塗布する。感光性樹脂膜の材料としてはアクリル系樹脂やスチレン系樹脂を用いることができる。
【0073】
感光性樹脂膜を階調マスクであるフォトマスクMLを用いて露光する。この時、フォトマスクMLのアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A16)。この時、AM1の上にカラーフィルタが位置していると、カラーフィルタを介して、絶縁体であるAM1を検出することになる。そのため、アライメント誤差が生じる場合がある。上述したように工程hにおいてAM1の上にカラーフィルタを設けないことにより、AM1をカラーフィルタを介さずに検出することができ、アライメントの精度を向上することができる。本例ではフォトマスクMLは、マイクロレンズの表面形状に対応する光透過率分布を有するような階調パターンを有する。例えば、感光性樹脂膜がポジ型の場合には、露光量が多い部分は現像により除去されて薄くなる。マイクロレンズは凸レンズであるため、フォトマスクMLでは、1つのマイクロレンズパターンの中心部分の光透過率が低く、そのマイクロレンズパターンの周辺部分の光透過率が低くなっている。
【0074】
ここでは、階調露光法を用いてマイクロレンズを形成する例を説明したが、これに限定されることはなく、リフロー法を用いてもよく、リフロー法や階調露光法にエッチバック法を組み合わせた方法など様々な方法を用いることができる。リフロー法を用いる場合には、リフローされる樹脂をフォトマスクMLを用いてパターニングすればよい。
【0075】
また、半導体ウエハ1000上でのパターニングを行わずに、予めマイクロレンズアレイが設けられたシートを用意して、このシートを半導体ウエハ1000に貼り付けることによって、光電変換素子130の上にマイクロレンズ600を形成してもよい。この場合にも、シートのアライメントは、AM1を基準にして行われる。
【0076】
なお、図1(a)を用いて上述したように、本例における光電変換装置1はアライメントマーク等が設けられたマーク部30を有している。これは、ダイシング前のウエハにおいて、マーク部30をスクライブラインのチップ側に配置しているためである。そのため、ダイシング後の光電変換装置1(チップ)はアライメントマーク等が設けられたマーク部30を有するのである。しかしながら、ダイシング前のウエハにおいて、マーク部30をスクライブライン上などに配置する場合には、ダイシングによってチップ化された後の光電変換装置1はマーク部30を有しないことになる。マーク部30をスクライブラインに配置することで、実質的に光電変換装置1としての機能を持たないマーク部30の分だけ、光電変換装置1(チップ)の面積を極力小さくすることも可能になる。本発明に係る光電変換装置1はマーク部30を有する場合だけでなく、マーク部がダイシング時に除去された場合も包含する。
【0077】
以上の工程によって、光電変換装置1を製造することができる。本実施形態によれば、工程e−1c(および工程e−2)において、フォトマスクPEC2(およびPEC3)のアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。そして、工程iにおいても、フォトマスクMLのアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。このように、光電変換素子130を形成するために用いられるフォトマスクPEC2とマイクロレンズ600を形成するために用いられるフォトマスクMLとが、同じアライメントマークAM1を基準にして、アライメントされる。そのため、光電変換素子130とマイクロレンズの相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な性能を有する光電変換装置1を得ることができる。なお、マイクロレンズ600の光軸に対する光電変換素子130の中心の相対的位置関係を、受光部10における受光ユニット11の位置に応じて、受光ユニット11毎に異ならせることも好ましい。このような設計を採用する場合には本発明は特に優れた効果を奏する。
【0078】
<第2実施形態>
本実施形態では、第4金属層240の形成方法が、第1実施形態とは異なる。他の構成部材の形成方法は、第1実施形態と同様のものを採用することができるため、説明を省略する。具体的には、第3金属層230の形成までは、第1実施形態の工程a〜工程g−3と同様に行うことができ、中間膜400の形成以降も、第1実施形態の工程h、工程iと同様に行うことができる。したがって、第1実施形態の工程g−4の代わりに行われる工程としての工程jのみを説明する。図7は、図6と同様に、製造工程において使用するフォトマスクと、それらの各製造工程間の関係を示している。
【0079】
(工程j)第4絶縁層340を形成した後、第4金属プラグ241、第4金属配線242を順次形成して第4金属層240を形成するが、本工程でも、工程g−1と同様にして行うことができるため簡単に説明する。
【0080】
第4絶縁層340にはフォトマスクMP4を用いて第4スルーホール(ビアホール)が形成される。この時、フォトマスクMP4のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う(A13)。そして、第4金属プラグ241を形成する(S13)。フォトマスクMP4はマーク形成パターンMFP9を有している。第4金属配線242はフォトマスクMI4を用いて形成される(S14)。フォトマスクMI4のアライメントは、ウエハ1000上の、MFP9を反映したアライメントマークAM9を基準にして行われる(A14)。このようにして、本工程g−4により、第4金属層240が形成される。フォトマスクMI4はマーク形成パターンMFP10を有しており、アライメントマークAM10が形成される(S14’)。
【0081】
なお、本実施形態においては、第1実施形態のようにフォトマスクMP4のアライメントにAM8は不要であるため、MI3のMFP8も不要である。
【0082】
第1実施形態では、第4金属層240を形成するまでに、A3,A7,A8,A9,A10,A11,A12,A13の計8回のアライメントを経ている。そのため、AM1を基準にして1回のアライメント(A16)のみを経ているマイクロレンズ600と第4金属配線242との相対的位置関係が設計値から大きくかい離する可能性が高くなる。マイクロレンズ600に最も近い金属層である第4金属層240とマイクロレンズ600の相対的位置関係が設計値から大きくかい離すると次のような問題が生じる虞がある。すなわち、図10(b)に示すように、マイクロレンズ600で集光された光の一部が、第4金属層240に蹴られ、入射光の利用効率が低下したり、迷光の原因となったりする。図10(b)の金属層210〜240の近傍に示した点線は、図2(b)で示した金属層210〜240の位置、すなわち、適切な金属層の位置を示している。また、第4金属層240と同時に形成されるAM10を基準にしてアライメントが行われて形成されるカラーフィルタ500とマイクロレンズ600との相対的位置関係も設計値から大きくかい離する可能性が高くなる。そうすると、マイクロレンズ600で集光された光の一部が、誤った色のカラーフィルタ500を通過してしまい、混色の原因がとなる場合もある。
【0083】
本実施形態によれば、工程jにおいて、フォトマスクMP4のアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。そして、フォトマスクMI4のアライメントを、フォトマスクMP4を用いて形成されたアライメントマークAM9を基準にして行っている。そして、第1実施形態と同様に、フォトマスクMLのアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。このように、第4金属層240を形成するために用いられるフォトマスクMP4と、マイクロレンズ600を形成するために用いられるフォトマスクMLとが、同じアライメントマークAM1を基準にして、アライメントされる。そしてMI4の形成のために経るアライメントはA14の1回のみである。そのため、第4金属層240とマイクロレンズ600の相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な性能を有する光電変換装置1を得ることができる。本実施形態は、受光部10において、ウエハ1000とマイクロレンズ600との間に第N金属層を含む2層以上の金属層を設ける場合に特に好適である。
【0084】
<第3実施形態>
本実施形態では、金属構造体の形成方法が、第1実施形態および第2実施形態とは異なる。特に、第4金属層240の第4金属配線242をダマシン法を用いて形成する点が異なる。本例では、第1〜第3金属層もダマシン法を用いて形成しているが、第1実施形態と同様の方法を採用することもできる。第1金属プラグ211の形成までは、第1実施形態の工程a〜工程fと同様に行うことができ、中間膜400の形成以降も、第1実施形態の工程h、工程iと同様に行うことができる。したがって、第1実施形態の工程g−1、工程g−2、工程g−3の代わりに行われる工程k−1、工程k−2、工程k−3を簡単に説明し、工程g−4の代わりに行われる工程k−4を詳細に説明する。図9は、図6と同様に、製造工程において使用するフォトマスクと、それらの各製造工程間の関係を示している。
【0085】
(工程k−1)第1金属プラグ211は第1実施形態の工程g−1と同様に形成することができる。第1金属プラグ211が形成された第1絶縁層310上に第5絶縁層350を形成する。そして、シングルダマシン法により、第5絶縁層350内に第1金属配線212を形成する。第5絶縁層350に形成されるトレンチはフォトマスクMI1を用いてパターニングされる。この時MI1のアライメントをAM2を基準にして行う。フォトマスクMI1はマーク形成パターンMFP4を有しており、第1金属配線212と同時にアライメントマークAM4がウエハ1000上に形成される。
【0086】
(工程k−2)第5絶縁層350の上に第2絶縁層320を形成する。そして、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階を有するデュアルダマシン法により、第5絶縁層350内に第2金属プラグ221と第2金属配線222を形成する。第5絶縁層350に形成される第2ホール(ビアホール)はフォトマスクMP2を用いてパターニングされる。第5絶縁層350に形成されるトレンチはフォトマスクMI2を用いてパターニングされる。フォトマスクMP2のアライメントおよびフォトマスクMI2のアライメントはそれぞれウエハ1000上に形成されたアライメントマークAM4を基準にして行う。フォトマスクMI2はマーク形成パターンMFP6を有しており、第2金属配線222と同時にアライメントマークAM6がウエハ1000上に形成される。
【0087】
(工程k−3)第2絶縁層320の上に第3絶縁層330を形成する。そして、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階を有するデュアルダマシン法により、第3絶縁層330内に第3金属プラグ231と第3金属配線232を形成する。第3絶縁層330に形成される第3ホール(ビアホール)はフォトマスクMP3を用いてパターニングされる。第3絶縁層330に形成されるトレンチはフォトマスクMI3を用いてパターニングされる。フォトマスクMP3のアライメントおよびフォトマスクMI3のアライメントはそれぞれウエハ1000上に形成されたアライメントマークAM6を基準にして行う。フォトマスクMI3はマーク形成パターンMFP8を有しており、第3金属配線232と同時にアライメントマークAM8がウエハ1000上に形成される。
【0088】
(工程k−4)
ウエハ1000の上(第3絶縁層330及び第3金属配線232の上)に第4絶縁層340を形成する(図8(k−4a)。第4絶縁層340を形成した後、必要に応じてリフロー法やCMP法、エッチバック法等を用いて第1絶縁層310を平坦化することができる。あるいは、第4絶縁層340をSOG(Spin On Glass)法によって形成してもよい。第4絶縁層340には、酸化シリコンを主成分とする材料を好ましく用いることができ、例えば、酸化シリコンや、BPSG、BSG、PSGなどが挙げられ、酸化シリコンを特に好ましく用いることができる。
【0089】
次いで、第4絶縁層340の上にフォトレジスト膜を塗布する。フォトレジスト膜をフォトマスクMP4を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMP4のアライメントを、ウエハ1000上のAM8を基準にして行う。
【0090】
フォトマスクMP4を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして第4絶縁層340をエッチングする。このように、第4絶縁層340に第3金属配線232に達する第4スルーホール2410(ビアホール)を形成する、ビアホール形成段階が行われる(図8(k−4b))。
【0091】
フォトマスクMP4を用いてパターニングされたフォトレジスト膜を除去し、再びフォトレジスト膜を塗布する。そしてフォトレジスト膜をフォトマスクMI4を用いてパターニングする。この時、フォトマスクMI4のアライメントを、ウエハ1000上のAM1を基準にして行う。フォトマスクMI4を用いてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして第4絶縁層340を再びエッチングする。このように、第4絶縁層340に、MP4を用いて形成されたスルーホール2410に連続するトレンチ2420を形成するトレンチ形成段階が行われる(図8(k−4c))。
【0092】
なお、ここでは第4スルーホール2410(ビアホール)をトレンチ2420の先に形成した、いわゆるビアファーストを採用した例を説明したが、いわゆるトレンチファーストを採用してもよい。トレンチファーストを採用する場合には、先ずトレンチを形成して、トレンチの底部に第4スルーホールを形成すればよい。
【0093】
第4絶縁層340の上に第4スルーホール2410とトレンチ2420を埋めるように金属膜2412を形成する((図8(k−4d))。そして、CMP法等を用いて、金属膜2412を第4絶縁層340が露出するまで除去する。これにより、第3金属配線232に接続する第4金属プラグ241と第4金属配線242が同時に形成される。
【0094】
以上のようにして、第1金属層210、第2金属層220、第3金属層230、第4金属層240を有する金属構造体を形成することができる(図8(k))。
【0095】
なお、図9では第2金属層220と第3金属層230の各々について、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階の両方におけるアライメントの基準として、同じアライメントマーク(AM4,AM6)を用いる例を示した。しかしながら、ビアホール形成段階とトレンチ形成段階のうちの先の段階と同時にアライメントマークを形成し、後の段階のアライメントを、このアライメントマークを基準にして行ってもよい。
【0096】
第1実施形態においては、第4金属パターンを形成するための金属膜によってアライメントマークAM1が遮られるため、AM1を基準にしたMI4のアライメントを行うことが困難である。これに対して、本実施形態では、第4金属配線242をダマシン法を用いて形成することにより、第4金属配線242の実質的なパターンはトレンチの形成時に決定される。トレンチの形成時には、第4絶縁層340を介してアライメントマークAM1を光学的に検出することが可能となる。そのため、本実施形態では、MI4のアライメントをAM1を基準にして行うことが可能となるのである。本例では、第4金属層240をデュアルダマシン法を用いて形成した例を説明したが、第4金属配線242をシングルダマシン法で形成しても、同様の効果を得ることができる。第2金属配線222や第3金属配線232をシングルダマシン法で形成してもよい。本実施形態は、各金属層の金属配線の主たる材料が銅である場合に特に好適である。
【0097】
本実施形態によれば、工程k−4において、フォトマスクMP4のアライメントを、工程hにおいてフォトマスクMI3を用いて形成されたアライメントマークAM8を基準にして行っている。そして、フォトマスクMI4のアライメントを、フォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行っている。そして、第1実施形態と同様に、フォトマスクMLのアライメントを、工程bにおいてフォトマスクISOを用いて形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。
【0098】
このように、最上層の金属層である第4金属層240の第4金属配線242を形成するために用いられるフォトマスクMI4とマイクロレンズを形成するために用いられるフォトマスクMLとが、同じアライメントマークAM1を基準にしてアライメントされる。そのため、第4金属配線242とマイクロレンズの相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な光学的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0099】
そして、第2実施形態とは異なり、第4金属層240の第4金属プラグ241を形成するために用いられるフォトマスクMP4のアライメントが、第4金属プラグ241が接続される第3金属配線232を形成する際に形成されたAM8を基準にして行われる。そのため、第4金属プラグ241と第3金属配線232の相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な電気的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0100】
<第4実施形態>
本実施形態は、第1、第2、第3実施形態のそれぞれに適用が可能であるが、第1実施形態を例に挙げて、図4、5、7および図10を用いて説明する。
【0101】
工程bにおいて用いたフォトマスクISOのマーク形成パターンMFP1によって、アライメントマークAM1に加え、テストマークTMAとテストマークTMBが形成される。工程g−4において用いたフォトマスクMI4のマーク形成パターンMFP10によって、アライメントマークAM10に加え、テストマークTMB’が形成される。工程iにおいて用いたフォトマスクMLはマーク形成パターンMFP11を有しており、マイクロレンズのパターニングと同時にテストマークTMA’が形成される(S16’)。
【0102】
テストマークTMAとテストマークTMA’はウエハ1000の上の略同じ位置に形成することができる。同様に、テストマークTMBとテストマークTMB’はウエハ1000の上の略同じ位置に形成することができる。本例では、図1に示す様に、TMAとTMBは略矩形のループ状のパターンとなっており、TMA’とTMB’は略矩形のドット状のパターンとなっている。そして、各工程におけるアライメントが適切に行われた場合には、図1に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMA’の中心とTMAの中心が一致し、TMA’がTMAに囲まれているように見える。また、図1に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMB’の中心とTMBの中心が一致し、TMA’がTMAに囲まれているように見える。
【0103】
このように、TMAとTMA’の位置関係を観察することにより、光電変換素子130とマイクロレンズ600との位置関係が適切であることを確認することができる。同様にTMBとTMB’の位置関係を観察することにより、光電変換素子130と第4金属層240との位置関係が適切であることを確認することができる。
【0104】
ここでは、光電変換素子130と第4金属層240との位置関係の確認のためのテストパターンTMB’を、フォトマスクMI4を用いて第4金属配線242と同時に形成する例を説明した。しかしながら、図7や図9に示す様に、フォトマスクMP4を用いて、第4金属プラグ241と同時に、或いは第4金属プラグ241が形成されるビアホールと同時に、テストパターンTMB’を形成してもよい。
【0105】
なお、図示はしないが、例えば、MI4のMFP9またはMFP10を用いてループ状のテストマークTMCを形成し、フォトマスクMLを用いてドット状のテストマークTMC’を形成してもよい。そして、TMCとTMC’の位置関係を観察することにより、第4金属配線242とマイクロレンズ600との位置関係が適切であることを確認することもできる。
【0106】
さて、各工程におけるアライメントが適切に行われなかった場合には、図10(a)に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMA’の中心とTMAの中心がズレ、TMA’がTMAから外れているように見える。また、図10に示す様に、ウエハ1000を真上から観察すると、TMB’の中心とTMBの中心がズレ、TMB’がTMBから外れているように見える。
【0107】
このように、マイクロレンズ600と分離絶縁体111との位置関係、或いは、マイクロレンズ600と第4金属層240との位置関係を確認する手段を講じることで、光電変換装置1の光学的性能を検査することが可能となる。
【0108】
なお、第1実施形態及び第3実施形態に本実施形態を適用する場合には、図7、図9に示す様に、TMB’をMI4のMFP10によって形成することが好ましい。一方で、第2実施形態に本実施形態を適用する場合には、TMB’をMI4のMFP10によって形成することもできるが、図8に示す様に、TMB’をMP3のMFP9によって形成することが好ましい。
【0109】
本例では、TMAとTMBをループ状、TMA’とTMB’をドット状としたがこれに限定されることはない。すなわち、マイクロレンズ600の光電変換素子130に対する位置が適切かどうか、或いはマイクロレンズ600の第4金属層240に対する位置が適切かどうかを確認することができるものであれば、適宜変更してもよい。また、ここではアライメントマークAM1とテストマークTMA、TMBをそれぞれ別のマークとしたが、アライメントマークAM1をテストマークTMAとして用いてもよい。アライメントマークAM10(またはAM9)とテストマークTMB’についても同様である。なお、TMAとTMA’の組とTMBとTMB’の組の両方を設ける必要はなく、一方の組のみを設けてもよいが、少なくともTMAとTMA’の組を設けることが好ましい。
【0110】
テストマークの観察によって光学的性能が許容範囲外と判断された場合について、次のようにすることが好ましい。マイクロレンズ600をウェットエッチング等で除去した後、工程iと同様にして、マイクロレンズ600を再形成するのである。これにより、一度は光学的性能が規格外と判断された装置でも、それまでの製造コストを無駄にすることなく、良好な光学的性能を有する光電変換装置を製造することができるため、コストの低減が可能となる。
【0111】
なお、上述したように、マーク部30をスクライブラインの外側に配置することもできるが、本例のようにマーク部30をスクライブラインの内側に配置することが好ましい。このようにすると、ウエハのダイシング後(チップ化後)にも、TMAとTMA’及び/又はTMBとTMB’を用いて、光電変換装置1の光学的性能が規格内か規格外かを容易に判断(検査)することが可能となる。ダイシング後にこのような検査を行う必要が無い場合には、マーク部30をスクライブラインの外側に配置して、光電変換装置1の小型化を図ってもよい。
【0112】
<第5実施形態>
本実施形態は、本発明による製造方法が特に有効な光電変換装置の例である。本実施形態の一例を図11を用いて説明する。図11(a)は本実施形態における1つの画素の平面図であり、図11(b)は図11(a)のE−F線における受光ユニット11の断面図である。
【0113】
1つのマイクロレンズに対応する1つの光電変換素子130は、複数の光電変換部を有している。ここでは、光電変換素子130が第1光電変換部1301と第2光電変換部1302の2つを有する例を説明するが3つ以上の光電変換部を有していてもよい。第1光電変換部1301と第2光電変換部1302は、隔離部1303を介して互いに分離している。第1光電変換部1301と第2光電変換部1302の各々が、別々に信号電荷を生成及び蓄積する。
【0114】
第1光電変換部1301と第2光電変換部1302はそれぞれ、光電変換領域および蓄積領域として機能する第1導電型の第1半導体領域1311、1312を有している。便宜的に、第1光電変換部1301の第1半導体領域を第1蓄積領域1311と呼び、第1光電変換部1302の第1半導体領域を第2蓄積領域1312と呼ぶ。第1蓄積領域1311と第2蓄積領域1312は、第2導電型の半導体領域である隔離部1303を介して互いに隔離されている。第1光電変換部1301と第2光電変換部1302は、それぞれ、隔離部1303を介して互いに隔離された第2導電型の第2半導体領域1321、1322を有している。本例では、隔離部1303の不純物濃度は、第2導電型の第2半導体領域1321、1322と同程度である。このような隔離部1303は、第1実施形態の工程cで形成された不純物領域121へ、第1実施形態の工程e−1において、隔離部1303に対応する部分をマスクしてドナーをイオン注入することで形成される。すなわち、隔離部1303は、不純物領域121のうち、ドナーが実質的に注入されない部分として形成される。なお、第2導電型の第2半導体領域1321、1322よりも高くしてもよい。その場合には、第2半導体領域1321、1322よりも高い不純物濃度を有する第2導電型の隔離部1303は、第2半導体領域1321と第2半導体領域1322の間のポテンシャル障壁として機能する。このような隔離部1303は、例えば、フォトマスクPEC1を用いて、図2(b)で説明した分離領域110の第7半導体領域117(図11(b)では不図示)と同時に形成することもできる。この場合、フォトマスクPEC1のアライメントを、AM1を基準にして行うことが好ましい。なお、隔離部1303を、分離領域110の分離絶縁体111と同様に、絶縁体(隔離絶縁体)を用いて構成してもよい。その場合には、隔離部1303の隔離絶縁体を分離領域110の分離絶縁体111と同時に形成することが好ましい。隔離部1303の隔離絶縁体を分離絶縁体111と同時に形成し、さらに、隔離部1303の第2導電型の半導体領域を、分離領域110へのアクセプターのイオン注入と同時に、活性領域120へアクセプターをイオン注入することで形成してもよい。
【0115】
本例では、チャネル領域として機能する第5半導体領域と、浮遊拡散領域として機能する第4半導体領域も、各光電変換部1301、1302に対応して複数設けられている。第1蓄積領域1311には第1転送ゲート電極1551を有する第1転送ゲートを介して第1浮遊拡散領域1441が接続されている。第2蓄積領域1312には第2転送ゲート電極1552を有する第2転送ゲートを介して第2浮遊拡散領域1442が接続されている。
【0116】
マイクロレンズ600の光軸が、隔離部1303に対応するように、すなわち、マイクロレンズ600の光軸が仮想的に隔離部1303を貫くように、マイクロレンズ600が形成される。
【0117】
第1光電変換部1301で生成および蓄積された信号電荷に応じた信号と、第2光電変換部1302で生成・蓄積された信号電荷に応じた信号とが、それぞれ第1転送ゲート、第2転送ゲートを介して得られる。これらの信号を比較することにより、光電変換装置1は位相差検出方式により、焦点を検出することが可能となる。本実施形態の光電変換装置1は、撮像装置と測距装置(焦点検出装置)としての機能を兼ね備えた多機能装置となっている。
【0118】
このような多機能装置を用いて、スチルカメラやビデオカメラ等の撮像システムを構成することができる。撮像システムは、多機能装置に加えて、レンズ光学系を駆動するための駆動信号を出力する制御部を有する。焦点の検出は次のようにして行うことができる。撮像システムでは、第1光電変換部1301で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号と第2光電変換部1302で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号とが、異なるレベルであれば非合焦状態であると判断される。一方、第1光電変換部1301で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号と第2光電変換部1302で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号とが、同じレベルであれば合焦状態であると判断される。したがって、非合焦状態と判断された場合、制御部は、各光電変換部1301、1302で生成、蓄積された信号電荷に基づく信号が同じレベルになるようにレンズ光学系を駆動する駆動信号を出力する。なお、このような焦点検出を可能にする撮像装置および撮像システムについては、特開2001−250931号公報と特開2002−165126号公報を参照することができる。
【0119】
図11(b)には、第1光電変換部1301への入射光の光線を1点鎖線で模式的に示しており、第2光電変換部1302への入射光の光線を2点鎖線で模式的に示している。マイクロレンズ600の光軸が隔離部1303から大きくずれていると、非合焦状態と合焦状態とが誤って判断されてしまう可能性が高くなる。
【0120】
本実施形態の撮像装置の製造方法は、第1乃至第4実施形態と同様に行うことができる。すなわち、複数の光電変換部1301、1302を有する光電変換素子130を形成する工程(S4)におけるアライメント(A4)を、分離領域110の形成と同時に形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。さらに、マイクロレンズ600を形成する工程(S16)におけるアライメント(A16)を分離領域110の形成と同時に形成されたアライメントマークAM1を基準にして行う。これにより、マイクロレンズ600の光軸と、光電変換素子130の隔離部1303との設計値からのかい離を低減することができ、焦点検出精度の高い撮像装置(多機能装置)を得ることができる。
【0121】
<第6実施形態>
第1実施形態では、いわゆる表面照射型のCMOSセンサについて説明したが、本実施形態は、いわゆる裏面照射型のCMOSセンサの形態である。図12は本実施形態の、図1(a)のA−B線における受光ユニット11の断面図である。
【0122】
裏面照射型のCMOSセンサであっても、第1〜第3実施形態で説明したものと同様に製造することができるので、第3実施形態を採用した場合における違いのみを説明する。第3実施形態の工程k−3までは、同様に行うことができる。
【0123】
工程k−3の後、ウエハ1000の裏面側からCMP法などを用いてウエハ1000を1〜100μm、典型的には10μm程度まで薄くする。その後、ウエハ1000の裏面側に絶縁膜360を形成する。絶縁膜360の上に金属膜を形成し、フォトマスクMI4を用いて金属膜をパターニングして第4金属層240を形成する。この時フォトマスクMI4のアライメントをAM1を基準にして行うことが好ましいが、AM2を基準にして行ってもよい。なお、必要に応じて第4金属層240をウエハ1000と電気的に接続してもよい。MI4はマーク形成パターンMFP10を有しており、第4金属層240と同時にアライメントマークAM10が形成される。このように裏面照射型のCMOSセンサにおいては、N層の金属層の内、マイクロレンズ600に最も近い第N金属層(第4金属層240)は、ウエハ1000の裏面側に位置する。そして、残りのN−1層の金属層(第1金属層210、第2金属層220、第3金属層230)はウエハ1000の表面側に位置することになる。
【0124】
第4金属層240の上に中間膜400を形成し、さらに中間膜400の上にフォトマスクCFG,CFR,CFBを用いてカラーフィルタアレイを形成する。フォトマスクCFG,CFR,CFBのアライメントはAM10を基準にして行うことができる。そしてカラーフィルタアレイの上にフォトマスクMLを用いてマイクロレンズアレイを形成する。フォトマスクMLのアライメントは、AM1を基準にして行う。これにより、マイクロレンズと光電変換素子の相対的位置関係の設計値からのかい離を小さくすることができ、設計値に近い、良好な光学的性能を有する光電変換装置1を得ることができる。
【0125】
以上、第1〜第6実施形態を例に説明したが、各実施形態で説明した工程は、適宜組み合わせることも可能であるし、各実施形態においてその一部を変更することも可能である。
【0126】
以上の説明では、パターニング技術として、主にフォトマスクをパターニング手段としたフォトリソグラフィ技術を挙げた。しかしながら、パターニング技術は、走査されるパターンデータに基づいて走査されるエネルギー線をパターニング手段としたマスクレスなパターニング技術であってもよい。例えば、エネルギー線として電子ビーム用いる場合には、ウエハ上に形成されたフォトレジスト膜に、受光部10に形成する半導体領域や構成部材をパターニングするためのパターンを描画する。この描画に連続して、同じフォトレジスト膜にアライメントマークを形成するためのマーク形成パターンもマーク部30に描画する。そしてパターニングされたフォトレジスト膜を用いて、半導体領域や構成部材と同時にアライメントマークを形成することができる。また、この時のアライメントは、例えば、ウエハ上のアライメントマークを検出し、この時のウエハとパターニング手段である電子ビーム源との位置関係に基づいて、パターンデータの基準座標を設定する。そして、受光部10への描画とマーク部30への描画を、同じ基準座標を基準として行う。これにより、厳密には受光部10への描画とマーク部30への描画の時間が前後していても、実質的に、受光部10でのパターニングとマーク部30でのパターニングを同じ工程で行っているとみなすことができる。
【0127】
例えば、光電変換素子130の形成を、フォトレジスト膜を電子ビーム線で露光する場合には、基準座標の設定を、分離領域110の形成工程で形成されたアライメントマークAM1を基準にして行えばよい。
【0128】
エネルギー線を用いたパターニング技術としては、電子ビームによるフォトリソグラフィ技術に限定されることはない。例えば、パターンデータに基づいて走査される集束イオンビームやレーザービームを被加工部材に照射して、被加工部材を直接加工するパターニング技術であってもよい。この場合も同様に、そして、受光部10での加工とマーク部30での加工を、同じ基準座標を基準として行う。これにより、厳密には受光部10での加工とマーク部30での加工の時間が前後していても、実質的に、受光部10での加工とマーク部30での加工を同じ工程で行っているとみなすことができる。
【0129】
同様に、ディスペンサ法やインクジェット法のように、パターンデータに基づいて走査される液体吐出ヘッドをパターニング手段としたパターニング技術を採用してもよい。この場合にも、アライメントマークを検出して、この時のウエハとインクジェトヘッドとの位置関係に基づいて、パターンデータの基準座標を設定し、この基準座標を用いて液体吐出ヘッドを走査する。
【0130】
例えば、カラーフィルタ500の形成にインクジェット法を用いる場合には、インクジェットヘッドのアライメントを、第N金属層を形成する工程で形成されたアライメントマークAM10を基準にして行えばよい。そして、AM1の上には、カラーフィルタの形成材料を吐出しないようにすればよい。
【0131】
また、開口を有するメタルマスクをパターニング手段として用いて成膜を行うパターニング技術を採用してもよい。スクリーン印刷法等のように、版をパターニング手段として用いて塗布を行うパターング技術を採用してもよい。モールド法やナノインプリント法等のように、型をパターニング手段として用いたパターニング技術を採用してもよい。必要に応じてこれらを組み合わせ用いてもよい。また、ウエハ上でのパターニングを行わずに、予め構成部材が形成されたシートを用意して、このシートをウエハに貼り付けることによって、ウエハ上に構成部材を形成してもよい。これらのメタルマスクや版、型、シートを用いる場合にもまた、先に形成された半導体領域や構成部材に対して、メタルマスクや版、型、シートのアライメントを行う必要がある。
【0132】
例えば、マイクロレンズ600の形成に版や型、シートを用いる場合には、版や型、シートのアライメントを、分離領域110の形成工程で形成されたアライメントマークAM1を基準にして行えばよい。
【符号の説明】
【0133】
1 光電変換装置
100 半導体基板
1000 半導体ウエハ
110 分離領域
111 分離絶縁体
120 活性領域
130 光電変換素子
155 ゲート電極
210 第1金属層
220 第2金属層
230 第3金属層(第N−1金属層)
240 第4金属層(第N金属層)
500 カラーフィルタ
600 マイクロレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの活性領域を画定する分離領域を形成する工程と、
前記分離領域によって画定された前記活性領域に光電変換素子を形成する工程と、
前記光電変換素子の上にマイクロレンズを形成する工程と、
を有する光電変換装置の製造方法であって、
前記光電変換素子を形成する前記工程におけるアライメントおよび前記マイクロレンズを形成する前記工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
N層の金属層(N≧2)の内、前記半導体ウエハに設けられたトランジスタに接続する第1金属層を形成する工程と、前記N層の金属層の内、前記マイクロレンズに対して最も近くに配される第N金属層を形成する工程と、を有し、
前記第N金属層を形成する前記工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記第N金属層を形成する前記工程は、前記第N金属層の金属プラグを形成するプラグ形成段階と、前記第N金属層の前記金属プラグに接続する前記第N金属層の金属配線を形成する配線形成段階を有し、
前記プラグ形成段階におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行い、前記配線形成段階におけるアライメントを、前記プラグ形成段階で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記第N金属層を形成する前記工程において、前記第N金属層の金属配線の形成にトレンチ形成段階を含むダマシン法を用い、前記トレンチ形成段階におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記第N金属層を形成する前記工程において、前記第N金属層の金属プラグおよび金属配線の形成にビアホール形成段階とトレンチ形成段階を含むデュアルダマシン法を用い、前記ビアホール形成段階におけるアライメントを、第N−1金属層を形成する工程で形成されたアライメントマークを基準にして行い、前記ビアホール形成段階におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記トランジスタの制御電極を形成する工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行い、
前記第1金属層を形成する前記工程におけるアライメントを、前記制御電極を形成する工程で形成されたアライメントマークを基準にして行い、
前記第1金属層に接続する第2金属層を形成する工程におけるアライメントを、前記第1金属層を形成する前記工程で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
カラーフィルタを前記光電変換素子の上に形成する工程を、前記マイクロレンズを形成する前記工程の前に有し、前記マイクロレンズを形成する前記工程における前記アライメントを、前記カラーフィルタを介さずに、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを検出して行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項8】
前記光電変換素子を形成する前記工程において、前記光電変換素子を、各々が別々に信号電荷を生成及び蓄積するように隔離部を介して互いに分離した複数の光電変換部を有するように形成し、
前記マイクロレンズを形成する前記工程において、前記マイクロレンズを、前記マイクロレンズの光軸が前記隔離部に対応するように形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項9】
前記分離絶縁体を形成する前記工程で第1テストマークを形成し、
前記マイクロレンズを形成する前記工程で第2テストマークを形成し、
前記マイクロレンズを形成する前記工程の後、前記第1テストマークと前記第2テストマークとの相対的位置関係を測定し、前記相対的位置関係が許容範囲外であった場合に、前記マイクロレンズを除去してから、前記光電変換素子の上にマイクロレンズを再形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体ウエハを、各々が、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークが形成されたマーク部と、前記光電変換素子が形成された受光部とを有する、複数のチップに分割することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項1】
半導体ウエハの活性領域を画定する分離領域を形成する工程と、
前記分離領域によって画定された前記活性領域に光電変換素子を形成する工程と、
前記光電変換素子の上にマイクロレンズを形成する工程と、
を有する光電変換装置の製造方法であって、
前記光電変換素子を形成する前記工程におけるアライメントおよび前記マイクロレンズを形成する前記工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
N層の金属層(N≧2)の内、前記半導体ウエハに設けられたトランジスタに接続する第1金属層を形成する工程と、前記N層の金属層の内、前記マイクロレンズに対して最も近くに配される第N金属層を形成する工程と、を有し、
前記第N金属層を形成する前記工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記第N金属層を形成する前記工程は、前記第N金属層の金属プラグを形成するプラグ形成段階と、前記第N金属層の前記金属プラグに接続する前記第N金属層の金属配線を形成する配線形成段階を有し、
前記プラグ形成段階におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行い、前記配線形成段階におけるアライメントを、前記プラグ形成段階で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記第N金属層を形成する前記工程において、前記第N金属層の金属配線の形成にトレンチ形成段階を含むダマシン法を用い、前記トレンチ形成段階におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記第N金属層を形成する前記工程において、前記第N金属層の金属プラグおよび金属配線の形成にビアホール形成段階とトレンチ形成段階を含むデュアルダマシン法を用い、前記ビアホール形成段階におけるアライメントを、第N−1金属層を形成する工程で形成されたアライメントマークを基準にして行い、前記ビアホール形成段階におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記トランジスタの制御電極を形成する工程におけるアライメントを、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを基準にして行い、
前記第1金属層を形成する前記工程におけるアライメントを、前記制御電極を形成する工程で形成されたアライメントマークを基準にして行い、
前記第1金属層に接続する第2金属層を形成する工程におけるアライメントを、前記第1金属層を形成する前記工程で形成されたアライメントマークを基準にして行うことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
カラーフィルタを前記光電変換素子の上に形成する工程を、前記マイクロレンズを形成する前記工程の前に有し、前記マイクロレンズを形成する前記工程における前記アライメントを、前記カラーフィルタを介さずに、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークを検出して行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項8】
前記光電変換素子を形成する前記工程において、前記光電変換素子を、各々が別々に信号電荷を生成及び蓄積するように隔離部を介して互いに分離した複数の光電変換部を有するように形成し、
前記マイクロレンズを形成する前記工程において、前記マイクロレンズを、前記マイクロレンズの光軸が前記隔離部に対応するように形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項9】
前記分離絶縁体を形成する前記工程で第1テストマークを形成し、
前記マイクロレンズを形成する前記工程で第2テストマークを形成し、
前記マイクロレンズを形成する前記工程の後、前記第1テストマークと前記第2テストマークとの相対的位置関係を測定し、前記相対的位置関係が許容範囲外であった場合に、前記マイクロレンズを除去してから、前記光電変換素子の上にマイクロレンズを再形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体ウエハを、各々が、前記分離領域を形成する前記工程で形成された前記アライメントマークが形成されたマーク部と、前記光電変換素子が形成された受光部とを有する、複数のチップに分割することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−41940(P2013−41940A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177126(P2011−177126)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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