説明

光電変換装置

【課題】少なくとも一つ以上の光電変換ユニットを有する光電変換装置に関して、高い短絡電流密度を得ることが可能で、十分な変換効率が得られる構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つ以上の光電変換ユニットを有する光電変換装置であって、前記光電変換ユニットが光入射側に凹凸構造を有し、かつ前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接して周期的屈折率変化を有する構造物を配置したことを特徴とする光電変換装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置に関する。更に詳しくは、高い光閉じ込め効果を発現する構造を有する変換効率の高い光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池に代表される光電変換装置は、光電変換作用により電子及び正孔(以下、キャリアともいう)を対生成させる光電変換層と、光電変換層内に拡散電位を生じさせ対生成したキャリアを収集する導電型層を含み、光電変換層は二つの異なる導電型を示す導電型層にサンドイッチされた構造が一般的である。このサンドイッチされた構造を光電変換ユニットと呼ぶ。
【0003】
導電型層は光電変換に直接寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与しない損失となる。さらに、導電型層の導電率が低いと直列抵抗が大きくなり薄膜光電変換装置の光電変換特性を低下させる。したがって、導電型層は、十分な拡散電位を生じさせ得る範囲内であれば、できるだけ小さな厚さを有し、つまり、なるべく透明であって、かつ導電率が高いことが好ましい。
【0004】
他方、光電変換層は、光吸収を大きくしキャリアの対生成を増大させ光電流を大きくするためには厚い方が好ましいが、キャリアの移動度に対して厚すぎると対生成したキャリアの収集が不十分となる。更に光電変換層が厚いと材料コストも増加するため、コストの観点からもなるべく薄い方がよい。よって、光電変換層は十分な対生成を生じさせ得る範囲内であれば、できるだけ小さな厚さを有することが好ましく、したがって光電変換効率向上のためには、入射光の有効利用が重要である。
【0005】
入射光を有効利用する方法として、反射防止膜を用いる方法が知られている。反射防止膜は光の入射側にある光電変換装置の表面に形成され、屈折率の差によって生じる光の反射を低減し、光電変換装置内に入射する光を増加させる役目を持つ。
【0006】
また、入射光を有効利用するために、光電変換層の表面が微小な凹凸構造を有するものも知られている。この微小な凹凸構造により、入射光が光電変換層内部で散乱され光路長が伸び、光を閉じ込めることができる。この微小な凹凸構造は様々な方法により形成されるが、周期的でないランダムな凹凸を用いるのが一般的である。この光閉じ込めの効果により、より多くのキャリアの対生成が可能となる。
【0007】
更に入射光を有効利用する方法として、光入射側と反対側(以下、裏面側ともいう)の導電型層に隣接させて高反射率裏面電極を有する構造がある。この高反射率裏面電極により裏面側に光が脱出するのを防ぎ、反射光が再度光電変換層内に入射されるため、光閉じ込めの効果により、より多くのキャリアの対生成が可能となる。
【0008】
上記のように、入射光を制御し有効利用することで高い変換効率を有する様々な構造の光電変換装置が開発され、実用化されてきた。
【0009】
ところで近年、光を自由自在に制御する新しい方法であるフォトニック結晶の研究開発が急速に進められている。フォトニック結晶とは、「結晶」と表現されるが、必ずしも結晶質の材料から構成されるわけではない。電子波が、原子が規則的に周期的に配列した構造、つまりは結晶中において独特の挙動を示すことが知られている。光波においても、これとよく似た挙動を、屈折率が規則的に周期的に変化した構造物中において示すことから、このような構造が「フォトニック結晶」と広く呼ばれている。更に具体的なフォトニック結晶の定義としては、「光の波長程度の長さの周期的屈折率変化構造をもった物質」となる。フォトニック結晶では、光と粒子場との相互作用により光を局在化させ、長時間留め置くことが可能となり、光の制御性が飛躍的に高くなる。このような特性を利用した光導波路や偏光フィルター、面発光レーザーなどの様々なデバイスが研究または実用化されている。またフォトニック結晶の構造や材料によっては、フォトニック結晶中に特定の波長(エネルギー)帯の光の存在を完全に禁ずることが可能となり、このような波長帯をフォトニックバンドギャップと呼び、特に全方向からの入射光に対してフォトニックバンドギャップを持つ場合を完全フォトニックバンドギャップという。
【0010】
フォトニック結晶の光電変換装置への応用に関しても検討が行われている。特許文献1には、光入射の反対側(裏面側)あるいは光入射側に周期的な微細パターンを設けることで、フォトニック結晶を有する光電変換装置の構造が開示されており、このような構造を有することで光電変換層の底部に到達した入射光を効率よく反射することができ、もって光電変換効率を高めることが可能となる。しかしながら、特許文献1においては、実質的に単結晶シリコン上に形成した多孔質シリコン上にエピタキシャル成長させて引き剥がしを行った10μm膜厚の単結晶シリコン薄膜を用いているにも関わらず十分な特性が得られないという問題があった。更にはこの形成工程は1000℃以上の高温プロセスも必要であり、低コストの薄膜光電変換装置を製造する観点では好ましくない。
【0011】
また非特許文献1では、光電変換装置の裏面側に様々なフォトニック結晶構造を配置することで高い光電変換効率が得られることを理論的に示し、更に非特許文献2ではシリコンオンインシュレータ基板からの引き剥がし法により形成された5μm膜厚の単結晶シリコン薄膜の裏面側に様々なフォトニック結晶構造を形成した薄膜単結晶シリコン光電変換装置の特性を開示している。しかしながら、いずれの場合も、薄膜としては比較的厚い膜厚(5μm以上)の単結晶シリコン薄膜を用いているにも関わらず十分な変換効率を得るまでに至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−127313号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】P. Bermel et al, OPTICS EXPRESS, Vol.15, No.25, 16986, 10 December 2007
【非特許文献2】L. Zeng et al, APPLIED PHYSICS LETTERS 93, 221105, 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、凹凸構造を光入射側に有し、かつ光入射とは反対側に新規なフォトニック結晶構造を有する光電変換装置により、従来技術では不十分であった高い光閉じ込め効果を得る構造を達成し、変換効率の高い光電変換装置を提供することを目的とする。特に、光吸収係数が小さくかつ欠陥密度の高い異種基板上に500℃以下の低温で形成された非単結晶シリコンを、光電変換層として好ましくは10μm以下、より好ましくは3μm以下の膜厚で用いる場合において、高い光閉じ込め効果を得る構造を達成し、変換効率の高い光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは鋭意検討の結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明は、少なくとも1つ以上の光電変換ユニットを有する光電変換装置であって、前記光電変換ユニットが光入射側に凹凸構造を有し、かつ前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接して周期的屈折率変化を有する構造物を配置したことを特徴とする光電変換装置に関する。なお、上記「隣接して」とは、必ずしも光電変換ユニットと周期的屈折率変化を有する構造物が厳密に隣り合う場合のみに限定されることを意図するものではなく、本発明の効果を失わない範囲において、前記光電変換ユニットと周期的屈折率変化を有する構造物との間に何らかのものが挟持される場合を含んでも良い意味である。
【0017】
好ましい実施態様は、前記凹凸構造の高低差が20〜400nm、該凸部の頂点同士の距離が50〜1000nmであり、かつ凹凸の表面面積比が20%〜90%の範囲にあることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0018】
好ましい実施態様は、前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、屈折率の異なる2つの材料が交互に積層された多層交互膜から構成されることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0019】
好ましい実施態様は、前記多層交互膜が、波長600nmにおける屈折率が1.9以上の材料と屈折率1.9未満の材料を交互に積層したものであることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0020】
好ましい実施態様は、前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、2次元フォトニック結晶構造を有することを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0021】
好ましい実施態様は、前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、2次元フォトニック結晶構造、かつ波長600nmにおける屈折率が1.9以上の材料と屈折率1.9未満の材料が交互に積層された多層交互膜とを有し、該2次元フォトニック結晶構造が光入射側にあることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0022】
好ましい実施態様は、前記2次元フォトニック結晶構造を形成する異なる屈折率を有する材料のうち、少なくとも1つの材料が10S/cm以上106S/cm以下の導電率を有することを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0023】
好ましい実施態様は、前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、3次元フォトニック結晶構造を有することを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0024】
好ましい実施態様は、前記3次元フォトニック結晶構造がオパール構造であることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0025】
好ましい実施態様は、前記3次元フォトニック結晶構造を形成する異なる屈折率を有する材料のうち、少なくとも1つの材料が10S/cm以上106S/cm以下の導電率を有することを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0026】
好ましい実施態様は、前記光電変換ユニットが透明絶縁基板上に形成され、透明絶縁基板を通して光が入射される構造を有することを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0027】
好ましい実施態様は、前記光電変換ユニットが周期律表の第14族元素を主成分とすることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0028】
好ましい実施態様は、前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、少なくとも1つの光電変換ユニットの膜厚が1μm以上10μm以下であることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0029】
好ましい実施態様は、前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、少なくとも1つの光電変換ユニットが非単結晶の結晶質材料からなり、該結晶質材料の結晶粒の大きさが1nm以上10μm以下であることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0030】
好ましい実施態様は、前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおいて、光電変換ユニットは光電変換層と導電型層を含んでおり、光入射側と反対側に形成される導電型層が10S/cm以上106S/cm以下の導電率を有することを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【0031】
好ましい実施態様は、前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、光入射側に配置される光電変換ユニットの光電変換層が非晶質シリコン系材料からなり、光入射側から最も遠くに配置される光電変換ユニットの光電変換層が結晶質シリコン系材料からなることを特徴とする前記の光電変換装置に関する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、光電変換装置の1つ以上の光電変換ユニットのうち光入射側から最も近くに配置された光電変換ユニットの光入射側に凹凸構造を有し、かつ光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットの裏面側に隣接して周期的屈折率変化を有する構造物を有することで、それぞれ光入射側または裏面側に単独でそれらを用いた効果を組み合わせた以上のはるかに高い光閉じ込め効果が得られる。これらの効果により高い変換効率を発現できる光電変換装置を得ることができる。特に光吸収係数が小さくかつ欠陥密度の高い異種基板上に500℃以下の低温で形成された非単結晶シリコンを、光電変換層として好ましくは10μm以下、より好ましくは3μm以下の膜厚で用いる場合においては膜内での反射回数を増すことや反射時の角度が高くなることから、この効果はより顕著に発現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明における第1の実施の形態による光電変換装置を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明における第2の実施の形態による光電変換装置を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明における第3の実施の形態による光電変換装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明における第3の実施の形態による光電変換装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明における第3の実施の形態による光電変換装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明における第4の実施の形態による光電変換装置を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明における第5の実施の形態による光電変換装置を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
【0035】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態による光電変換装置1の各構成要素について図1を参照し説明する。なお、当該第1の実施の形態では、光電変換装置中の光電変換ユニットが1つの場合の実施形態となる。
【0036】
透明絶縁基板2としては、例えば、ガラス板や透明樹脂フィルムなどを用いることができる。例えばガラス板としては、大面積な板が安価に入手可能で、透明性・絶縁性が高い、SiO2、Na2O及びCaOを主成分とする、両主面が平滑なソーダライム板ガラスを用いることができる。この透明絶縁基板の一方の主面に、透明導電膜3および各光電変換ユニット等が積層され、他方の主面側から入射された太陽光等の光が光電変換される。また透明絶縁基板2の光入射側の主面には、反射防止効果を奏するために、微小な凹凸構造を有したり、シリカなどを主成分とする微粒子を塗布したり、あるいはMgF2などの低屈折率材料をコーティングすることもできる。また他方の透明導電膜3側の主面も微小なランダム凹凸構造を有したり、シリカなどを主成分とする微粒子を塗布したり、あるいはシリコン窒化物などをコーティングすることもできる。
【0037】
透明導電膜3は、ITO(酸化インジウム・スズ)、SnO2あるいは酸化亜鉛(以下、ZnOともいう)等の導電性金属酸化物から形成されることが好ましく、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタ、蒸着、電着、塗布等の方法を用いて形成されることが好ましい。透明導電膜3はその表面に微小なランダム凹凸構造を有することにより、入射光の散乱を増大させる効果を発現することもできる。また透明導電膜3が平坦な透明絶縁基板2上に形成される際は、必ずその表面に微小なランダム凹凸構造が現れるような形成方法が用いられる。
【0038】
光電変換ユニット41は、透明導電膜3の表面上に現れている微小なランダム凹凸構造上に形成されることで、その光入射側の表面に微小なランダム凹凸構造を有する。この微小なランダム凹凸構造は、その高低差が好ましくは20〜400nm、より好ましくは100〜400nmであり、該凸部の頂点同士の距離は、好ましくは50〜1000nm、より好ましくは100〜600nmであり、かつ凹凸の表面面積比は、好ましくは20%〜90%、より好ましくは30%〜80%の範囲にあるものである。なお、ここでランダム凹凸構造の高低差や凸部の頂点同士の距離は、例えば原子間力顕微鏡により測定することが可能である。また、凹凸の表面面積比とは、具体的には平坦な表面に対する凹凸表面の表面積の比であり、この値が大きいほど、より微細な凹凸をより多く含むという事が言える。表面面積比は例えば原子間力顕微鏡により測定することが可能である。
【0039】
光電変換ユニット41は、光電変換層である光電変換半導体層412、並びに導電型層であるp型半導体層411およびn型半導体層413を備えており、透明導電膜3側からp型半導体層411、光電変換半導体層412及びn型半導体層413を順次積層した構造を有する。また、透明導電膜3側からn型半導体層413、光電変換半導体層412及びp型半導体層411を順次積層した構造を有する場合もある。p型半導体層411及びn型半導体層413は、例えばCVD、スパッタ、蒸着、溶液成長、塗布法あるいはそれらの複合法等により形成することができる。
【0040】
これら光電変換ユニット41の光電変換層である光電変換半導体層412は、例えば第14族半導体材料、化合物半導体材料または有機半導体材料で形成することができる。第14族半導体材料としては、例えば、シリコンやゲルマニウムあるいはグラファイトやダイヤモンドなどの炭素系材料などが挙げられ、いずれも非晶質及び結晶質共に用いることができる。なお、ここで使用する用語「結晶質」は、多結晶及び微結晶を包含するものである。また、用語「多結晶」及び「微結晶」は、部分的に非晶質を含むものをも意味するものとする。
【0041】
前記化合物半導体材料としては、例えば、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなどの第14族化合物半導体材料や、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウムナイトライド、酸化亜鉛、酸化チタンあるいはCu(InGa)Se2などが挙げられる。やはり、いずれも非晶質及び結晶質共に用いることができる。
【0042】
前記有機半導体材料としては、銅フタロシアニン、ペリレン色素、メチレンブルーあるいはペンタセンなどを用いることができる。またこれら半導体は、光電変換機能を十分に備えていれば、微量の導電型決定不純物を含む弱p型もしくは弱n型の半導体材料も用いられ得る。
【0043】
p型半導体層411は、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、ボロンやアルミニウム等のp導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。また、これらシリコン合金以外でも、Cu(InGa)Se2などの化合物半導体や銅フタロシアニンなどの有機半導体を用いることもできる。n型半導体413は、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、燐や窒素等のn導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。また、これらシリコン合金以外でも、p型半導体層411と同様に化合物半導体や有機半導体を用いることもできる。
【0044】
p型半導体層411あるいはn型半導体層413が光吸収によるロスが問題にならない程度に十分薄くかつ透明絶縁基板2と平行方向に十分な導電率を有している場合、透明導電膜3を介さず直に透明絶縁基板2上に形成することができる。また、その際、透明絶縁基板2上にシリコン窒化物などの絶縁物からなる薄膜を、p型半導体層411あるいはn型半導体413を形成する前に形成する場合もある。いずれにせよこの際、p型半導体層411あるいはn型半導体層413の膜厚は5nm〜500nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10nm〜100nmの範囲である。また導電率は、好ましくは10S/cm以上106S/cm以下、より好ましくは102S/cm以上104S/cm以下の範囲である。この範囲の導電率を有することにより、導電型層である411あるいは413は光電変換半導体層412内に光電変換作用により発生した電子と正孔を分離収集するために必要な拡散電位を生じさせるためだけではなく、収集した電子あるいは正孔を透明絶縁基板2に平行な方向へ導電させることが可能となり、電極としても使用可能となる。
【0045】
屈折率の異なる2つの材料が交互に積層された多層交互膜51は、透明絶縁基板2から光電変換ユニット41に入射し多層交互膜51に到着した光を反射して光電変換ユニット41内に再入射させる反射層としての機能を有している。ここで、多層交互膜51は2つの異なる材料から構成されている。この場合における「材料」とは、例えば、同一元素であっても異なる相であったり、また膜密度が異なる場合も異なる材料とみなすものである。
【0046】
多層交互膜51を構成する2つの材料の屈折率は異なり、好ましくは、高屈折率層511の波長600nmにおける屈折率は1.9以上、同様に低屈折率層512の屈折率は1.9未満の範囲にある。高屈折率層511は、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、ボロンやアルミニウム等のp導電型決定不純物原子を、あるいは燐や窒素等のn導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。また、アルミニウムやニッケルなどの金属とシリコンの合金を用いることもできる。これらシリコン合金以外でも、ZnO、ITO等の金属酸化物やAg、Al等の金属単体、またはそれらの合金を用いることができる。ただし金属を用いる場合は、表面プラズモンの効果により僅かながらも金属のごく表面に光が吸収されてしまい、この吸収分が僅かながらも光反射ロスとなってしまう傾向がある。これらは膜中が完全に充填されている必要はなく、屈折率を調整するために膜中に空孔を持つ場合もある。低屈折率層512も高屈折率層511と同様の材料を用いることができる。多層交互膜51の形成においては、CVD、スパッタ、蒸着、溶液成長、塗布法あるいはそれらの複合法等が好ましく用いられる。
【0047】
多層交互膜51は、高屈折率層511と低屈折率層512の一組の組み合わせの交互層が、例えば2層から10層、更には4層から8層の範囲にあることが好ましく、交互層の膜厚は、例えば20nm〜500nm、更には50nm〜400nmの範囲にあることが好ましく、各交互層の膜厚は同じである必要はない。また高屈折率層511と低屈折率層512の積層の順序はどちらが先でも構わない。多層交互膜は電気的に絶縁性あるいは導電性であり、絶縁性の場合は、多層交互膜51に光電変換ユニット41まで達するような穴を形成し、電気的な接合を形成する。多層交互膜51が導電性の場合は、シート抵抗が0.01Ω/□〜5000Ω/□、好ましくは0.1Ω/□〜50Ω/□の範囲にあり、この範囲にあることにより、収集した電子あるいは正孔を透明絶縁基板2に平行な方向へ導電させることが可能となり、多層交互膜51自体を電極としても使用可能となる。
【0048】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態による光電変換装置1の各構成要素について図2を参照し説明する。なお、透明絶縁基板2、透明導電膜3及び多層交互膜51は第1の実施の形態と同様である。
【0049】
第2の実施の形態による光電変換装置1は、2つの光電変換ユニットを有しており、具体的には第1光電変換ユニット41及び第2光電変換ユニット42を有する。第1光電変換ユニット41は、第2光電変換ユニット42に比べ光入射側に配置されている。第1光電変換ユニット41及び第2光電変換ユニット42は共に第1の実施の形態と同様の材料、構成及び形成方法を用いることができるが、第1光電変換ユニット41が第2光電変換ユニット42に比べ短波長側に量子効率のピークを持つことが望ましい。
【0050】
光入射側に配置されている第1光電変換ユニット41は、少なくとも光入射側の表面に微小なランダム凹凸構造を有し、この微小なランダム凹凸構造はその高低差が好ましくは20〜400nm、より好ましくは100〜400nmであり、該凸部の頂点同士の距離が好ましくは50〜1000nm、より好ましくは100〜600nmである。さらに、凹凸の表面面積比が好ましくは20%〜90%、より好ましくは30%〜80%の範囲にある。ただし、第2光電変換ユニット42の光入射側の表面はこの範囲に限定されず、例えば平坦でもよい。
【0051】
中間透過反射膜6は、例えば、ITO膜、SnO2膜、或いはZnO膜のような透明導電性酸化物層等や導電性を有するシリコン酸化物層、或いはシリコン窒化物層などが用いられる。中間透過反射膜6は単層構造でも多層構造であっても良く、あるいは多孔質な構造でもよい。中間透過反射膜6は、蒸着法、CVD法、或いはスパッタリング法等それ自体既知の気相堆積法を用いて形成することができる。また中間透過反射膜5の厚さは、例えば5nm〜300nmの範囲内にあることが好ましい。
【0052】
以上により、図2に示されたような光電変換装置1が完成する。
【0053】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態による光電変換装置1の各構成要素について、図3、図4及び図5を参照し説明する。なお、当該第3の実施の形態では、光電変換装置中の光電変換ユニットが1つの場合であり、透明絶縁基板2及び透明導電膜3は第1の実施の形態と同様である。
【0054】
第3の実施の形態による光電変換装置1は光電変換ユニット41を有し、第1の実施の形態と同様の材料を用いることができる。光電変換ユニット41の光入射の反対側表面は、例えば周期的な規則を有した溝が並んでいる構造、あるいは角柱状、円柱状若しくは球状の窪み又は突起がある周期的な規則を持って配列した構造を有している。この際、その周期は、例えば100nm〜1500nmの範囲にあることが好ましく、また高低差は、例えば400nmを超えて1000nm以下の範囲にあることが好ましい。これら周期的構造は、フォトリソグラフィー法や自己集合法などの方法で形成することができる。
【0055】
裏面周期反射膜52は、光電変換ユニット41の光入射の反対側表面に形成された周期的窪みや溝などを充填する構造をしており、光電変換ユニット41の屈折率より低い材料が用いられ、波長600nmにおける屈折率が1.9以下であることが好ましい。裏面周期反射膜52を形成する材料としては、例えば、ITO膜、SnO2膜、或いはZnO膜のような酸化物層等やシリコン酸化物層、或いはシリコン窒化物層などが用いられる。裏面周期反射膜52は、蒸着法、CVD法、或いはスパッタリング法等それ自体既知の気相堆積法を用いて形成することができる。
【0056】
これにより光電変換ユニット41と裏面周期反射膜52の界面に2次元的に光の波長と同程度の周期的屈折率変化が生じることとなる。本発明においては、このような構造を特に「2次元フォトニック結晶構造」と呼ぶ。2次元フォトニック結晶構造は高い散乱反射効果を有しており、垂直入射した光を高角度で反射することが可能であり、光電変換ユニット41内に高い確率で全反射条件を形成することができる。そのため、高い光閉じ込め効果を得ることができる。この効果は、光電変換層が薄くなればなるほどより顕著に現れる。
【0057】
裏面周期反射膜52は、光電変換ユニット41の光入射の反対側表面に形成された周期的窪みや溝などを充填してさえいればよく、図3に示すように充填されて以降の形状は平坦でもよく、また図4に示すように周期的構造を継続していてもよく、あるいは図5のようにランダムな微小凹凸構造を有していてもよい。また裏面周期反射膜52の裏面側に更に金属膜などの導電性の膜が形成されていてもよい(図示せず)。
【0058】
2次元フォトニック結晶構造を形成している、裏面周期反射膜52と裏面周期反射膜52と接するn型導電型層413(あるいは導電型層が逆の順で積層された構造の場合はp型導電型層411)の少なくとも一方は、導電率が10S/cm以上106S/cm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは102S/cm以上104S/cm以下の範囲である。この範囲の導電率を有することにより、2次元フォトニック構造自体が、収集した電子あるいは正孔を透明絶縁基板2に平行な方向へ導電させることが可能となり、電極としても使用可能となる。
【0059】
以上により図3に示されたような光電変換装置1が完成する。
【0060】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態による光電変換装置1の各構成要素について図6を参照し説明する。なお、透明絶縁基板2、透明導電膜3、第1光電変換ユニット41及び中間透過反射膜6は第2の実施の形態と同様である。
【0061】
第4の実施の形態による光電変換装置1は第2光電変換ユニット42を有し、第2の実施の形態と同様の材料を用いることができる。第2光電変換ユニット42の光入射の反対側表面は、第3の実施の形態における光電変換ユニットと同様、例えば周期的な規則を有した溝が並んでいる構造、あるいは角柱状、円柱状若しくは球状の窪み又は突起がある周期的な規則を持って配列した構造を有している。この際、その周期は、例えば100nm〜1500nmの範囲にあることが好ましい。これら周期的構造は、フォトリソグラフィー法や自己集合法などの方法で形成することができる。
【0062】
多層交互膜51は第1の実施の形態と同様の材料、形成方法等を用いることができる。多層交互膜51は、第2光電変換ユニット42の光入射の反対側表面に形成された周期的窪みや溝などを充填する構造を有している。多層交互膜51を構成する2つの材料の屈折率は異なり、高屈折率層511の波長600nmにおける屈折率は1.9以上、同様に低屈折率層512の屈折率は1.9未満の範囲にあることが好ましい。多層交互膜51は、高屈折率層511と低屈折率層512の一組の組み合わせの交互層が、例えば2層から10層、更には4層から8層の範囲にあることが好ましく、交互層の膜厚は、好ましくは20nm〜500nm、より好ましくは50nm〜400nmの範囲にあり、各交互層の膜厚は同じである必要はない。また高屈折率層511と低屈折率層512の積層の順序はどちらが先でも構わない。多層交互膜は電気的に絶縁性あるいは導電性であり、導電性の場合のシート抵抗が0.01Ω/□〜5000Ω/□の範囲が好ましく、より好ましくは0.1Ω/□〜50Ω/□の範囲である。
【0063】
これにより光電変換ユニット42と多層交互膜51に2次元フォトニック結晶構造が形成され、更に2次元フォトニック結晶構造の裏面側に多層交互層51を有する図4に示されたような光電変換装置1が完成する。なお、上記2次元フォトニック結晶構造を形成する異なる屈折率を有する材料のうち、少なくとも1つの材料が10S/cm以上106S/cm以下、更には102S/cm以上104S/cm以下の導電率を有することが好ましいのは前述と同様である。
【0064】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態による光電変換装置1の各構成要素について図7を参照し説明する。なお、透明絶縁基板2、透明導電膜3、第1光電変換ユニット41、第2光電変換ユニット42及び中間透過反射膜6は第2の実施の形態と同様である。
【0065】
3次元裏面反射膜53は、例えば、微小鋳型を用いる方法により形成できる。微小鋳型を用いる方法とは、シリカや樹脂などからなる微小球体を溶液中で沈殿、配列させることで面心立方構造を形成し、この面心立方構造の隙間に異なる屈折率を有する材料を形成させる方法である。この際、面心立方構造の格子点にあたる部分の材料を格子点材料531、隙間部分の材料を隙間材料532とする。これにより3次元的な周期的屈折率分布構造が得られる。本発明においては、特にこのような直径がほぼ均一な球体が面心立方格子状に配列し、その球体間に幾何学的に生じる隙間に球体部分とは異なる屈折率を有する材料が充填されている構造を、「オパール構造」と呼ぶ。この際、例えばその周期は100nm〜1500nmの範囲にあることが好ましく、本発明においては、このような構造を「3次元フォトニック結晶構造」と呼ぶ。またこの微小鋳型を除去して空孔とすることも可能であり、このような構造を特に「反転オパール構造」という。更に反転オパール構造の空孔に更に他の材料を形成することもできる。隙間材料532は必ずしも隙間に完全に充填されている必要はなく、隙間が残っていても構わない。3次元フォトニック結晶構造は2次元フォトニック結晶構造と同様、高い散乱反射効果を有しており、垂直入射した光を高角度で反射することが可能であり、光電変換ユニット41内に高い確率で全反射条件を形成することができる。そのため、高い光閉じ込め効果を得ることができる。この効果は、光電変換層が薄くなればなるほどより顕著に現れる。
【0066】
格子点材料531と隙間材料532は2つの異なる材料から構成される。なお、このときの「材料」とは、例えば同一元素であっても異なる相であったり、膜密度が異なる場合も異なる材料とみなすものである。格子点材料531と隙間材料532は異なる屈折率を有するが、どちらが高屈折率であっても構わない。また、好ましくは高屈折率の方が波長600nmにおける屈折率は1.9以上、低屈折率のものは1.9未満の範囲にある。格子点材料531としては、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、ボロンやアルミニウム等のp導電型決定不純物原子を、あるいは燐や窒素等のn導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。また、アルミニウムやニッケルなどの金属とシリコンの合金を用いることもできる。これらシリコン合金以外でも、ZnO、ITO等の金属酸化物やAg、Al等の金属単体、またはそれらの合金を用いることができる。ただし金属を用いる場合は、表面プラズモンの効果により僅かながらも金属のごく表面に光が吸収されてしまい、この吸収分が僅かながらも光反射ロスとなってしまう傾向がある。これらは膜中が完全に充填されている必要はなく、屈折率を調整するために膜中に空孔を持つ場合もある。また更に真空あるいは空気もしくは高分子樹脂などの有機材料の場合もある。また、隙間材料532も格子点材料531と同様の材料を使うことができる。3次元裏面反射膜53を構成する各材料の製造には、CVD、スパッタ、蒸着、溶液成長、塗布法、化学合成それらの複合法等が好ましく用いられる。
【0067】
3次元裏面反射膜53は、膜厚方向に好ましくは5周期から50周期、更には10周期から20周期の範囲にあることがより好ましく、1周期の膜厚は、例えば100nm〜1500nm、更には200nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。3次元裏面反射膜53は電気的に絶縁性あるいは導電性であり、導電性の場合のシート抵抗が好ましくは0.01Ω/□〜5000Ω/□、より好ましくは0.1Ω/□〜50Ω/□の範囲にある。格子点材料531と隙間材料532の少なくとも一方は、その導電率が10S/cm以上106S/cm以下の範囲が好ましく、さらには102S/cm以上104S/cm以下の範囲にあることがより好ましい。この範囲の導電率を有することにより、3次元フォトニック構造自体が、収集した電子あるいは正孔を透明絶縁基板2に平行な方向へ導電させることが可能となり、電極としても使用可能となる。
【0068】
(光電変換ユニット)
本発明においては、前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、少なくとも1つの光電変換ユニット、好ましくは第2光電変換ユニット42の膜厚は1μm以上10μm以下、更には1μm以上3μm以下であることが好ましい。前記膜厚が1μm以下であると本発明に示すような光閉じ込め構造を有していても、光電変換が不十分となり、また10μm以上となると、第2光電変換ユニット42内のキャリアにとってトラップとなる電気的欠陥が大幅に増加し、第2光電変換ユニット内部の拡散電位が低下し、光電変換の際の出力電圧の低下を生じる場合がある。
【0069】
本発明においては、光入射側に凹凸構造を有し、裏面側にフォトニック結晶構造からなる光閉じ込め構造を有することで、光の吸収係数の小さい結晶質シリコンなどの材料においても、特に吸収されにくい長波長の光も裏面近傍で高く閉じ込められ、光を局在化させることが可能となり、またその裏面近傍での光閉じ込めから漏れて反射された光も、光入射側の凹凸構造により再度裏面側に返され、裏面近傍に閉じ込めることが可能となる顕著な効果を奏する。この裏面近傍での光閉じ込め効果を最大限に利用し、かつ出力電圧の低下を生じない膜厚は、好ましくは1μm以上3μm以下である。
【0070】
光電変換装置1の構成上、第1光電変換ユニット41で既に短波長側の光の多くが吸収されており、第2光電変換ユニット42は吸収されにくい長波長側の光を吸収する必要があり、そのためには既述のとおり光閉じ込めの観点から第2光電変換ユニット42は1μm以上の膜厚であることが好ましい。このような膜厚を用いるためには非晶質材料では十分なキャリア移動度が得られず、そのため第2光電変換ユニット42は十分なキャリアの収集ができなくなるため、移動度の高い結晶質材料からなることが好ましい。その際、結晶粒は十分なキャリア移動度が得られる1nm以上であればよく、更に理想的には膜厚と同じサイズであることが好ましく、本発明の場合は10μm以下、更には3μm以下が好ましい範囲である。
【0071】
本発明において前記1つ以上の光電変換ユニットは適宜選択されるものであるが、好ましい例としては、例えば、第1光電変換ユニット41の光電変換層である第1光電変換半導体層412が非晶質シリコンであり、第2光電変換ユニット42の光電変換層である第2光電変換半導体層422が結晶質シリコンである2段タンデム構造や、結晶質シリコンに微量にゲルマニウムと錫を含む光電変換半導体層を有する単一の光電変換ユニット411を有する単接合構造が挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下に、本発明による光電変換装置として実施例1、2,3、4及び5を、図を参照しつつ、比較例と比較しながら説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の記載例に限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
図1を参照して説明された実施の形態に対応して、実施例1として光電変換装置1を形成した。白板ガラスから成る透明絶縁基板2の一主面上に、1.5μmの膜厚を有するZnOからなる透明導電膜3を熱CVD法により形成した。ZnOからなる透明導電膜3はその表面に微小なランダム凹凸構造を有しており、電子顕微鏡観察により高低差が200〜400nmであり、該凸部の頂点同士の距離が200〜600nmであった。また原子間力顕微鏡観察により、ZnOからなる透明導電膜3の凹凸の表面面積比が65%であった。またC光源を用いた透過率は88%であり、4端子法によるシート抵抗は16Ω/□であった。
【0074】
次に、光電変換ユニット41を形成するために、透明導電膜3が形成された透明絶縁基板2を高周波プラズマCVD装置内に導入し、所定の温度に加熱した後、この透明導電膜3の上に、反応ガスとしてシラン、水素及びジボランを用いp型結晶質シリコン層411を15nmの膜厚で形成した。次に反応ガスとしてシラン及び水素を導入しi型結晶質シリコン層412を設定膜厚で2μm形成し、その後反応ガスとしてシラン、水素及びホスフィンを導入しn型結晶質シリコン層413を設定膜厚で20nm形成し、これにより光電変換ユニット41を形成した。なお、光電変換ユニット41の光入射面には、透明導電膜3の微小ランダム凹凸構造と同様のランダム凹凸構造が形成されていた。
【0075】
なお、光電変換ユニット41の各層の設定膜厚は以下のように決定した。つまり、図1の光電変換装置1のものとは別の白板ガラス基板2上に各層をそれぞれ単層で300nm〜400nm程度形成し、それぞれを分光エリプソメトリーから膜厚を算出し、その膜厚から形成速度を一定として形成速度を算出した。なお、i型結晶質シリコン層412のように50nm以上の膜厚を有するものは、断面の電子顕微鏡観察により直接膜厚を得た。以上のようにして得られた各層の形成速度が透明導電膜3上や透明導電膜3上に形成された他の膜上に形成される場合も変化せず一定であるとして形成時間より設定膜厚を決定した。
【0076】
またシリコンの結晶質か非晶質の判断は、前記白板ガラス基板2上の単層をラマン散乱分光法により散乱強度の波数スペクトル依存性を測定し、520cm-1付近にピークを有するものを結晶質、480cm-1付近に緩やかなピークを有するものを非晶質とした。
【0077】
多層交互膜51は、ZnO層511とシリコン酸化物層512からなる。ZnO層511はスパッタ法により形成し、シリコン酸化物層512は高周波プラズマCVD法により、反応ガスとして、シラン、水素、二酸化炭素及びホスフィンにより形成した。各ZnO層511の膜厚は100nmであり、600nmにおける屈折率は1.95であった。各シリコン酸化物層512の膜厚は100nmであり、600nmにおける屈折率は1.72であった。ZnO層511とシリコン酸化物層512からなる交互層は10層形成した。なお、屈折率は分光エリプソメトリーから求めた。また多層交互膜51を別の白板ガラス基板2上に形成した際、4端子法によるシート抵抗は20Ω/□であった。
【0078】
多層交互膜51を形成後、レーザースクライブ法によりZnOからなる透明導電膜3の上に形成された膜を部分的に除去して、1cm2のサイズに分離を行い、単接合シリコン系薄膜光電変換装置1(受光面積1cm2)を作製した。
【0079】
以上のようにして得られた実施例1の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.582V、短絡電流密度(Jsc)が24.41mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.712、そして初期変換効率が10.1%であった。表1の実施例1にこれらの値を示す。
【0080】
【表1】

【0081】
(比較例1)
実施例1の光電変換装置1の構造に対して、多層交互膜51の代わりにスパッタ法により形成したZnOからなる透明反射層80nmとAgからなる金属反射層200nmを積層した裏面反射層を用いた。その他はすべて実施例1と同様にした。
【0082】
この時の比較例1の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.573V、短絡電流密度(Jsc)が23.85mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.718、そして初期変換効率が9.81%であった。表1の比較例1にこれらの値を示す。
【0083】
比較例1では実施例1に比べて、短絡電流が低く、これは裏面反射層に用いられたAgからなる金属反射層によるプラズモン効果による光反射ロスによると考えられる。
【0084】
(比較例2)
実施例1の光電変換装置1の構造に対して、表面に微小なランダム凹凸構造を持たない平坦なスパッタ法により形成した300nm厚のZnOからなる透明導電膜3を用いた。このときZnOからなる透明導電膜3は、電子顕微鏡観察により高低差が10nm以下であり、該凸部同士の頂点の距離は検出不能であった。なお原子間力顕微鏡観察による二乗平均平方根粗さ(RMS)は6nmであったため、十分平坦であるといえる。またC光源を用いた透過率は89%であり、4端子法によるシート抵抗は13Ω/□であった。その他はすべて実施例1と同様にした。
【0085】
この時の比較例1の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.595V、短絡電流密度(Jsc)が17.83mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.727、そして初期変換効率が7.71%であった。表1の比較例2にこれらの値を示す。
【0086】
比較例2では実施例1に比べて、短絡電流が明らかに低く、光電変換ユニット41の表面が平坦なため、多層交互膜51による非常に高い光反射効果にもかかわらず、光電変換装置1に入射した光が光電変換ユニット41内部での全反射条件が得られにくく、光入射側から外側に逃げていく光が多い、つまりは光入射側での光散乱による光電変換ユニット41内での光閉じ込め効果があまり得られないためによると考えられる。
【0087】
(実施例2)
図2を参照して説明された実施の形態に対応して、実施例2として光電変換装置1を形成した。実施例1の光電変換装置1の構造に対して、透明絶縁基板2、透明導電膜3及び多層交互膜51は同じとした。
【0088】
第1光電変換ユニット41を形成するために、透明導電膜3が形成された透明絶縁基板2を高周波プラズマCVD装置内に導入し、所定の温度に加熱した後、この透明導電膜3の上に、反応ガスとしてシラン、水素、ジボラン及びメタンを用いp型非晶質シリコンカーバイド層411を15nmの膜厚で形成した。次に反応ガスとしてシラン及び水素を導入しi型非晶質シリコン層412を設定膜厚で300nm形成し、その後反応ガスとしてシラン、水素及びホスフィンを導入しn型結晶質シリコン層413を設定膜厚で20nm形成することで第1光電変換ユニット41を形成した。
【0089】
中間反射層6を形成するために、n型結晶質シリコン層413上にスパッタ法によりZnO中間反射層6を60nmの膜厚で形成した。
【0090】
次に第2光電変換ユニット42を形成するために、高周波プラズマCVD法を用いZnO中間反射層6上に、反応ガスとしてシラン、水素及びジボランを用いp型結晶質シリコン層421を15nmの膜厚で形成した。次に反応ガスとしてシラン及び水素を導入しi型結晶質シリコン層422を設定膜厚で2.5μm形成し、その後反応ガスとしてシラン、水素及びホスフィンを導入しn型結晶質シリコン層423を設定膜厚で20nm形成することで第2光電変換ユニット42を形成した。
【0091】
この時の実施例2の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が1.421V、短絡電流密度(Jsc)が14.21mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.725、そして初期変換効率が14.6%であった。表1の実施例2にこれらの値を示す。
【0092】
複数の光電変換ユニットが電気的に直列接続された構造を有する光電変換装置の場合、光電変換装置の短絡電流値は各光電変換ユニットのうち最も低い短絡電流の値となる。逆に言えば、各光電変換ユニットの短絡電流の合計を合計短絡電流と呼び、光電変換装置の実効的な光電変換量を示すものとなるが、合計短絡電流は少なくとも光電変換装置の短絡電流に光電変換ユニットの数を乗じたもの以上であることとなる。実施例2において光電変換装置1は第1変換ユニット41と第2光電変換ユニット42からなるため、合計短絡電流は光電変換特性を測定で得られた14.21mA/cm2の2倍以上、つまり28.42mA/cm2以上の値となる。実施例2は実施例1に比べて非晶質シリコンと結晶質シリコンという光感度の異なる光電変換材料を積層したことにより、より広い波長域での光吸収を実現し、実効的に高い光電変換量示し、その結果高い変換効率を実現したと考えられる。
【0093】
(比較例3)
実施例2の光電変換装置1の構造に対して、多層交互膜51の代わりにスパッタ法により形成したZnOからなる透明反射層80nmとAgからなる金属反射層200nmを積層した裏面反射層を用いた。その他はすべて実施例2と同様にした。
【0094】
この時の比較例3の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が1.416V、短絡電流密度(Jsc)が13.52mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.733、そして初期変換効率が14.0%であった。表1の比較例2にこれらの値を示す。
【0095】
比較例3では、2つの光電変換ユニットを用いたため高い光吸収を実現できるため、実施例1より高い変換効率が得られたが、同一の光電変換ユニットを有する実施例2と比べると、短絡電流で明らかな低下が見られており、これは裏面反射層の構造の違いによると考えられる。
【0096】
(実施例3)
図5を参照して説明された実施の形態に対応して、実施例3として光電変換装置1を形成した。なお、実施例1の光電変換装置1の構造に対して、透明絶縁基板2及び透明導電膜3は同じとした。
【0097】
第1光電変換ユニット41を形成するために、透明導電膜3が形成された透明絶縁基板2を高周波プラズマCVD装置内に導入し、所定の温度に加熱した後、この透明導電膜3の上に、反応ガスとしてシラン、水素及びジボランを用いp型結晶質シリコン層411を15nmの膜厚で形成した。次に反応ガスとしてシラン及び水素を導入しi型結晶質シリコン層412を設定膜厚で2μm形成した。この後、フォトリソグラフィー法を用いて直径300nm、深さ500nmの円柱状の溝を600nmのピッチで形成した。その後反応ガスとしてシラン、水素及びホスフィンを導入しn型結晶質シリコン層413を設定膜厚で20nm形成することで第1光電変換ユニット41を形成した。
【0098】
裏面周期反射膜52を形成するために、n型結晶質シリコン層413に熱CVD法によりZnO裏面周期反射膜52を600nmの膜厚で形成した。この時ZnO裏面周期反射膜52は図5のように、第1光電変換ユニット41の裏面側に形成された溝を充たしており、また裏面側の微小なランダム凹凸構造も引き継いでいた。光電変換ユニット41とZnO裏面周期反射膜52は屈折率が大きく異なり、このため、光電変換ユニット41とZnO裏面周期反射膜52の界面に2次元フォトニック結晶構造が形成された。
【0099】
このようにして得られた実施例3の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.565V、短絡電流密度(Jsc)が26.66mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.705、そして初期変換効率が10.6%であった。表1の実施例3にこれらの値を示す。
【0100】
実施例3は実施例1と比較して、裏面側の2次元フォトニック結晶構造により、更に高い光閉じ込め効果が得られ、結果として高い短絡電流により高い変換効率が得られた。
【0101】
(実施例4)
図6を参照して説明された実施の形態に対応して、実施例4として光電変換装置1を形成した。実施例2の光電変換装置1の構造に対して、透明絶縁基板2、透明導電膜3、第1光電変換ユニット41及び中間反射層6は同じとした。
【0102】
第2光電変換ユニット42を形成するために、中間反射層6上に、高周波プラズマCVD法により反応ガスとしてシラン、水素及びジボランを用いp型結晶質シリコン層421を15nmの膜厚で形成した。次に反応ガスとしてシラン及び水素を導入しi型結晶質シリコン層422を設定膜厚で2μm形成した。この後、フォトリソグラフィー法を用いて直径300nm、深さ500nmの円柱状の溝を600nmのピッチで形成した。その後反応ガスとしてシラン、水素及びホスフィンを導入しn型結晶質シリコン層423を設定膜厚で20nm形成することで第2光電変換ユニット42を形成した。
【0103】
多層交互膜51は、ZnO層511とシリコン酸化物層512からなり、第2光電変換ユニット42に形成された円柱状の溝を図6の模式図に示すように充たしていた。ZnO層511はスパッタ法により形成し、シリコン酸化物層512は高周波プラズマCVD法により、反応ガスとして、シラン、水素、二酸化炭素及びホスフィンにより形成した。各ZnO層511の膜厚は100nmであり、600nmにおける屈折率は1.95であった。各シリコン酸化物層512の膜厚は100nmであり、600nmにおける屈折率は1.72であった。ZnO層511とシリコン酸化物層512からなる交互層は10層形成した。なお、屈折率は分光エリプソメトリーから求めた。また多層交互膜51を別の白板ガラス基板2上に形成した際、4端子法によるシート抵抗は20Ω/□であった。
【0104】
以上のようにして得られた実施例4の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が1.413V、短絡電流密度(Jsc)が15.51mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.714、そして初期変換効率が15.6%であった。表1の実施例4にこれらの値を示す。
【0105】
実施例4は実施例2と比較して、裏面側の2次元フォトニック結晶構造により、更に高い光閉じ込め効果が得られ、結果として高い短絡電流により高い変換効率が得られたと考えられる。
【0106】
(実施例5)
図7を参照して説明された実施の形態に対応して、実施例5として光電変換装置1を形成した。なお、実施例2の光電変換装置1の構造に対して、透明絶縁基板2、透明導電膜3、第1光電変換ユニット41、第2光電変換ユニット42及び中間反射層6は同じとした。
【0107】
3次元裏面反射膜53として、シリカからなる人工オパール構造531の隙間にZnO膜532が形成されたシリカZnOオパール裏面反射膜53を用いた。シリカZnOオパール裏面反射膜53は以下のようにして形成した。直径400nmのシリカ球体をテトラエトキシシラン(TEOS)とアンモニア水を用いて合成した。次にシリカ球体をエタノール中に分散し、その溶液を第2光電変換ユニット42上に均一に塗布した後、エタノールを蒸発させることで、人工オパール構造531を形成した。さらに熱CVD法により人工オパール構造531の隙間にZnO膜532を形成し、シリカZnOオパール裏面反射膜53を得た。シリカは600nmにおける屈折率が1.47であり、ZnOは1.95のため、シリカZnOオパール裏面反射膜53は3次元的に周期的屈折率変化を有する3次元フォトニック結晶構造となる。
【0108】
以上のようにして得られた実施例5の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が1.423V、短絡電流密度(Jsc)が15.43mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.733、そして初期変換効率が16.1%であった。表1の実施例5にこれらの値を示す。
【0109】
実施例5は実施例2と比較して、裏面側の3次元フォトニック結晶構造により、更に高い光閉じ込め効果が得られ、結果として高い短絡電流により高い変換効率が得られたと考えられる。
【符号の説明】
【0110】
1 光電変換装置
2 透明絶縁基板
3 透明導電膜
41 第1薄膜光電変換ユニット
411 第1p型半導体層
412 第1光電変換半導体層
413 第1n型半導体層
42 第2薄膜光電変換ユニット
421 第2p型半導体層
422 第2光電変換半導体層
423 第2n型半導体層
51 多層交互膜
511 高屈折率層
512 低屈折率層
52 裏面周期反射膜52
53 3次元裏面反射膜
531 格子点材料
532 隙間材料
6 中間反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の光電変換ユニットを有する光電変換装置であって、
前記光電変換ユニットが光入射側に凹凸構造を有し、
かつ前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接して周期的屈折率変化を有する構造物を配置したことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記凹凸構造の高低差が20〜400nm、該凸部の頂点同士の距離が50〜1000nmであり、かつ凹凸の表面面積比が20%〜90%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、屈折率の異なる2つの材料が交互に積層された多層交互膜から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記多層交互膜が、波長600nmにおける屈折率が1.9以上の材料と屈折率1.9未満の材料を交互に積層したものであることを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、2次元フォトニック結晶構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、2次元フォトニック結晶構造、かつ波長600nmにおける屈折率が1.9以上の材料と屈折率1.9未満の材料が交互に積層された多層交互膜とを有し、該2次元フォトニック結晶構造が光入射側にあることを特徴とする請求項5記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記2次元フォトニック結晶構造を形成する異なる屈折率を有する材料のうち、少なくとも1つの材料が10S/cm以上106S/cm以下の導電率を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおける光入射の反対側に隣接配置された周期的屈折率変化を有する構造物が、3次元フォトニック結晶構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記3次元フォトニック結晶構造がオパール構造であることを特徴とする請求項8に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記3次元フォトニック結晶構造を形成する異なる屈折率を有する材料のうち、少なくとも1つの材料が10S/cm以上106S/cm以下の導電率を有することを特徴とする請求項8または9に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記光電変換ユニットが透明絶縁基板上に形成され、透明絶縁基板を通して光が入射される構造を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記光電変換ユニットが周期律表の第14族元素を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、少なくとも1つの光電変換ユニットの膜厚が1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、少なくとも1つの光電変換ユニットが非単結晶の結晶質材料からなり、該結晶質材料の結晶粒の大きさが1nm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記光入射側から最も遠くに配置された光電変換ユニットにおいて、光電変換ユニットは光電変換層と導電型層を含んでおり、光入射側と反対側に形成される導電型層が10S/cm以上106S/cm以下の導電率を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記1つ以上の光電変換ユニットのうち、光入射側に配置される光電変換ユニットの光電変換層が非晶質シリコン系材料からなり、光入射側から最も遠くに配置される光電変換ユニットの光電変換層が結晶質シリコン系材料からなることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の光電変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−9245(P2011−9245A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141272(P2009−141272)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「新エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム未来技術研究開発」委託研究、産業技術力強化法19条の適用を受けるもの)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】