説明

光電子素子用インク組成物

【課題】
有機発光素子(OLED)や有機薄膜トランジスター(OTFT)などのような光電子素子用核心素材をプリンティングインク化させるとき、特殊な構造の化合物を含ませて、インクの粘度、溶解度、膜の均一性などを容易に調節する役割を行い、十分低い温度においても分解が容易で製造された光電子素子の特性に影響を与えないプリンティングインク組成物を提供する。
【解決手段】
有機発光素子(OLED)や有機薄膜トランジスター(OTFT)などのような光電子素子用核心素材をプリンティングインク化させるとき、下記化学式1のアンモニウムカルバメート系化合物、化学式2のアンモニウムカーボネート系化合物、下記化学式3のアンモニウムビカーボネート系化合物、またはこれらの混合物を含有するプリンティング用インク組成物を提供する。
<化学式1>
【化1】


<化学式2>
【化2】


<化学式3>
【化3】


前記式中、R1乃至R6は互いに独立に水素、ヒドロキシ基、C1−C30のアルコキシ基、C1−C30のアルキル基、C3−C30のシクロアルキル基、C6−C20のアリール基、及び(C6−C20)アル(C1−C30)アルキル基から選ばれ、或いは官能基が置換されたC1−C30のアルキル基、官能基が置換されたC6−C20のアリール基、ヘテロ環化合物、高分子化合物、及び高分子化合物誘導体から選ばれ、或いはR1乃至R6が官能基が置換若しくは無置換のアルキル基またはアラルキル基である場合、炭素鎖内にN、S、Oから選ばれるヘテロ元素を含めてもよく、R1とR2、またはR4とR5は互いに独立にヘテロ原子が含み若しくは含まないアルキレンで連結されて環を形成しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電子素子(optoelectronic device)用素材をインク化させて直接パターン工程に適用可能であるプリンティング用インク組成物に関するものであって、より詳しくは有機電気発光素子(OLED)や有機薄膜トランジスター(OTFT)などのような光電子素子の製造とき、核心素材の物性をプリンティング方法に適合に調節させることにより直接パターン形成することができる光電子素子製造用プリンティングインク組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近商業化に成功し、大面積化及び低価格化に対する研究が活発に進められている光電子素子の中で、例えば有機発光素子(Organic Electroluminescent Device, またはOrganic Light Emitting Diode, 以下OLED)は陰極と陽極との間に蛍光またはリン光発光層が含まれた素子に電流をかけると、電子と正孔が発光層で結合することで起こる自然発光現象を用いた発光型素子である。有機発光素子はその構造が単純で製作工程が簡単であり、高画質及び広視野角の具現が可能である。また、動画を完璧に具現することができ、高色純度の具現が可能であり、低消費電力、低電圧の駆動で携帯用電子機器に適合した特徴を有している。
【0003】
前記OLEDの詳しい構造は一般的に基板上に陽極(anode)、正孔注入層(hole infection layer)、正孔輸送層(hole transfer layer)、発光層(emitting layer)、電子運送層(electron transfer layer)、電子注入層(electron infection layer)、陰極(cathode)が順に積層して形成される。ここで、陽極は面抵抗が少なく透過性の良いITO(Indium Tin Oxide)が主に使用される。そして、有機薄膜は発光効率及び寿命を高めるために前記のように二電極の間に多数の有機薄膜層が配置されている。有機薄膜は空気中の水分と酸素に非常に弱いため、素子の寿命を増加させるために封合する封止膜が最上部に形成される。
【0004】
従って、このような多層構造のOLEDを効率的に形成させるために多くの高価な真空チャンバーが必要であり、パターニングのためのマスクが要求され、さらに低温工程の本質的限界のために、素子の大面積化及び低価格化が難しいという問題点を有している。従って、このような複合した既存方法を解決することができる新しい製造工程の開発必要性が要求されてきた。
【0005】
最近このような問題点を解決するための方案として、プリンティング工程を通じた既存工程の限界克服のための研究開発が活発に進められている。例えば、インクジェットプリンティング工程は既存の蒸着工程方法を代替することができる技術により既存の蒸着方法と差別される工程にて材料消耗が少なく効率的であり大面積化が可能であり低温工程ができる。このために、プラスチックフィルムのような柔軟な(flexible)基板も使用が可能となり、窮極的には素子の価格を大きく低めることができるプリンティング工程技術であって、国内外の有数な企業のみならず多数の機関で研究開発中にある。今後こうようなインクジェット技術は多様な電気電子、エネルギー、ディスプレー、バイオ分野などの産業の全般的な分野において使用され、製品の多様化、費用節減だけでなく環境に易しいことにも大きく寄与すると予想されている。
【0006】
インクジェットプリンティング技術は、低騒音、低費用の非接触式プリンティング方式であり、噴射方式によって大きく連続噴射(continuous jet)とドロップ−オン−デマンド(drop-on-demand)方式で区分される。連続噴射方式はポンプを用いてインクを連続的に噴射する間に電磁場を変化させることによりインクの方向を調節してプリンティングする方式である。ドロップ−オン−デマンド(drop-on-demand, DOD)方式は電気的信号を介して必要な循環のみにインクを噴射させる方式であって、電気によって力学的に変形を起こす圧電板を使用して圧力を発生させる圧電(piezoelectric inkjet)方式と熱によって発生するバブルの膨張で発生する圧力を用いる熱転写(thermal inkjet)方式で分けている。
【0007】
このようなインクジェット方法を使用してOLEDを製造する方法は例えば文献[T. R. Hebner, C.C. Wu, D. Marcy, M. H. Lu and J. C. Sturm, -"Ink-jet Printing of doped Polymers for Organic Light Emitting Devices", Applied Physics Letters, Vol.72, No.5, pp.519-521, 1998;]を始めとした多数の文献に記載されている。このような文献は主にポリビニルカルバゾールやPPV(polyphenylene vinylene)系のような高分子物質を使用しているが、液滴サイズの不均一性及び電気光学的特性が既存の方法より低下する問題点を有している。このような問題はインクジェットの工程適用のための粘度、表面張力、溶解度、乾燥後の膜均一度などを制御することができるインクジェット用インク組成物が製造できないことに起因する。
【0008】
OLEDのような光電子素子の核心素材である電気発光、電子輸送または正孔輸送有機物質をインクジェット工程に適用するためのインク組成物の要求物性は最適の粘度、表面張力、溶解度、乾燥後の膜の均一度などである。このような要求物性は液滴形成機構及び液滴のサイズ、一定圧力における速度に影響を及ぼす。例えば、一般的に使用される光電子素子用インクジェット装備を使用する場合、インクの最適粘度の条件は通常5乃至15cpsの粘度範囲を保持すれば良い吐出性を有する。しかし、現在OLED核心素材として商業化して使用されている高効率、長寿命の化合物の大部分は溶解度が低く分子量が小さいため、一部高分子の化合物を除いてはインクジェットプリンティング工程を使用するに適合した粘度を合わせることが難しい。このために、多数の添加剤などを使用して粘度を合わせて吐出の実験を進めているが、乾燥後に除去されずにそのまま残っていて異物質として作用して電気的、光学的特性などの様々な特性に問題点を与えている。結果として本来固有の色座標、高効率、長寿命などの良い長所を保持することができない結果をもたらす。また、有機薄膜トランジスター(Organic thin film transistor, 以下OTFT)のような光電子素子の核心材料である誘電体(dielectrics)、半導体(semiconductors)、伝導体(conductors)などの有機素材なども前記のインクジェットプリンティング工程の要求物性を満たすには溶解度と分子量の制御が容易でない。一般的な添加剤の制御による既存のインクジェット工程を適用すれば素子の製作後に不純物による誘電率、電荷移動度及び電導性などの性能低下をもたらす。
【0009】
一方、韓国公開特許第2003-0058767号では有機電界発光素子の有機発光層をロールコーティング方法で成膜することにおいて、溶解度が1wt/v.v%の第1溶媒剤と揮発度が0.1以下の第2溶媒剤と表面張力が30dyne/cm以下の第3溶媒剤とから構成された混合物を溶媒で使用して基板にコーティングされる前に溶媒が蒸発されることを防止し、溶解性が高く表面張力に優れて成膜された有機発光層の印刷性を向上させる方法が提案された。しかし、前記特許による製造方法は特定工程の有機高分子物質に対する溶解度特性を向上させることに局限されており、有機高分子物質の種類に伴う溶媒の組合を選ぶことが容易でなく、プリンティング工程に適合した粘度を調節することが容易でなくて光電子素子を製造するための多様な素材に適用し難いという問題点があった。
【0010】
つまり、従来光電子素子製造用インク組成物はインクジェットプリンティングなどのプリンティング方法に適用できる程度で粘度、溶解度及び成膜層の均一度を調節することが難しいため、光電子素材をインク化してプリンティング方法によって成膜する工程が一部有機発光層の形成に局限されることにより、光電子素子の柔軟化、大面積化、及び低価格化を実現するのに限界があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】T. R. Hebner, C.C. Wu, D. Marcy, M. H. Lu and J. C. Sturm, -"Ink-jet Printing of doped Polymers for Organic Light Emitting Devices", Applied Physics Letters, Vol.72, No.5, pp.519-521, 1998
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国公開特許第2003-0058767号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は光電子素子用核心素材をインク化しプリンティングするためのインク組成物であって、有機発光素子(OLED)や有機薄膜トランジスター(OTFT)などのような光電子素子用核心素材をプリンティングインク化させるとき、特殊な構造の化合物を含ませて、インクの粘度、溶解度、膜の均一性などを容易に調節する役割を行い、十分低い温度においても分解が容易で製造された光電子素子の特性に影響を与えないプリンティングインク組成物を提供することに目的がある。
【0014】
なお、本発明は前記プリンティングインク組成物を多様な光電子素子用核心素材に適用することにより、窮極的に素子の柔軟化及び大面積化が可能になり、素子の低価格化を実現させることに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは前記の目的を達成するために絶えず研究した結果、その目的を達成した。つまり、アンモニウムカルバメート系化合物またはアンモニウムカーボネート系化合物がOLEDやOTFTなどのような光電子素子用プリンティングインク組成物に含まれる場合、インクの粘度、溶解度、膜の均一性などを容易に調節することができる。また、本発明のアンモニウムカルバメート系化合物またはアンモニウムカーボネード系化合物は役割を行った後には十分低い温度においても自ら分解されるため、最終的には素子の重要な機能には如何なる影響を与えない。そのため、効率及び寿命特性に優れるもののプリンティングインクとして活用することができなかったたくさんの化合物を、プリンティング工程が使用できるようにインク化させ窮極的に素子の柔軟化(flexible)及び大面積化が可能になるのみならず、素子の低価格化(low cost)が可能になった。
【0016】
従って、本発明は光電子素子の素材をインク化させて直接パターン工程に適用可能な光電子素子製造用プリンティングインク組成物に関するものであって、より詳しくは有機発光素子(OLED)や有機薄膜トランジスター(OTFT)などのような光電子素子用核心素材をプリンティングインク化させるとき、下記化学式1のアンモニウムカルバメート系化合物、化学式2のアンモニウムカーボネート系化合物、下記化学式3のアンモニウムビカーボネート系化合物、またはこれらの混合物を含有するプリンティング用インク組成物に関するものである。
【0017】
<化学式1>
【化1】

【0018】
<化学式2>
【化2】

【0019】
<化学式3>
【化3】

【0020】
前記化学式1乃至化学式3において、R1乃至R6は互いに独立に水素、ヒドロキシ基、C1−C30のアルコキシ基、C1−C30のアルキル基、C3−C30のシクロアルキル基、C6−C20のアリール基、及び(C6−C20)アル(C1−C30)アルキル基から選ばれ、或いは官能基が置換されたC1−C30のアルキル基、官能基が置換されたC6−C20のアリール基、ヘテロ環化合物、高分子化合物、及び高分子化合物誘導体から選ばれ、或いはR1乃至R6が官能基が置換若しくは無置換のアルキル基またはアラルキル基である場合、炭素鎖内にN、S、Oから選ばれるヘテロ元素を含めてもよく、R1とR2、またはR4とR5は互いに独立にヘテロ原子が含み若しくは含まないアルキレンで連結されて環を形成しても良い。
【0021】
前記化学式1乃至化学式3において、R1乃至R6を具体的に例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、コレステリル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、及びその誘導体、そしてポリアリルアミンやポリエチレンアミンのような高分子化合物、及びその誘導体などが挙げられるが、特別にこれに限られるものではない。
【0022】
前記化学式1のアンモニウムカルバメート系化合物は例えば、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルビカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート、及びその誘導体からなる群から選ばれた1種または2種以上の混合物が挙げられ、前記化学式2のアンモニウムカーボネート系化合物では、アンモニウムカーボネート(ammoniumcarbonate)、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びその誘導体から選ばれた1種または2種以上の混合物を例として挙げられ、前記化学式3のアンモニウムビカーボネート系化合物は、アンモニウムビカーボネート(ammonium bicarbonate)、イソプロピルアンモニウムビカーボネート、t−ブチルアンモニウムビカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムビカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムビカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムビカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムビカーボネート、ピリジニウムビカーボネート、トリエチレンジアミニウムビカーボネート、及びその誘導体から選ばれた1種または2種以上の混合物を例として挙げられる。
【0023】
前記化学式1乃至化学式3の化合物は置換基のR1乃至R6のいずれか一つ以上が炭素数1乃至20、望ましくは炭素数3乃至20の置換基であるものが有機溶媒との混和性及び低温における分解性の側面からみてより望ましい。
【0024】
このようなアンモニウムカルバメート系またはアンモニウムカーボネート系化合物の製造方法は特別に限られる必要はない。例えば、J. Am. Chem. Soc, 70, p3865(1948), J. Am. Chem. Soc., 73, p1820(1951), J. Prakt. Chem., 9, p917(1959), J. Am. Chem. Soc., 123, p10393(2001), Langmuir, 18, 7124(2002)、米国特許第4,542,214号(1985.9.17)では1級アミン、2級アミン、3級アミン、または最小限1つ以上のこれらの混合物と二酸化炭素から製造することができると記述しているが、この際常圧または加圧状態において溶媒なく直接製造したり溶媒を使用する場合にメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒などが挙げられ、二酸化炭素は気相状態においてバブル(bubbling)したり固体状ドライアイスを使用することができ、超臨界(supercritical)状態においても反応することができる。
【0025】
本発明で使用されるアンモニウムカルバメート系またはアンモニウムカーボネート系誘導体の製造には前記の方法以外にも、最終物質の構造が同じであれば公知の如何なる方法を使用しても良い。つまり、製造のための溶媒、反応温度、濃度、または触媒などを特に限られる必要はなく、製造収率にも構わない。
【0026】
本発明による光電子素子製造用プリンティングインク組成物に含有される前記化学式1乃至化学式3の化合物またはこれらの混合物の含量は本発明のプリンティングインク組成物の特性に符合する限り、特に限られる必要はない。通常その含量は前記プリンティングインク組成物の総重量に対して0.01乃至90重量%、より望ましくは0.05乃至90重量%、さらに望ましくは0.1乃至70重量%である。前記含量が0.01重量%未満である場合には化合物添加による効果が些細であり、前記含量が90重量%を超える場合には光電子素材物質、溶媒などの他の構成要素の含量があまりにも減少過ぎて成膜の後に望む物性を得ることが難しくなる。
【0027】
本発明による光電子素子製造用プリンティングインク組成物は前記化学式1乃至化学式3の化合物またはこれらの混合物以外に必要に応じて溶媒、安定剤、分散剤、バインダー樹脂(binder resin)、還元剤、界面活性剤(surfactant)、湿潤剤(wetting agent)、チキソ剤(thixotropic agent)、またはレベリング(levelling)剤のような添加剤をさらに含有することができる。
【0028】
前記組成物に含有される溶媒は本発明のプリンティングインク組成物の特性に符合される限り特に限られる必要はない。水、エタノール、メタノールなどのアルコール類、エチレングリコールなどのグリコール類、メチルアセテート、エチルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、メチルアニソールなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロナフタレンなどの芳香族炭化水素類、またはメチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類から選ばれる一つ以上を使用することができる。
【0029】
本発明によるプリンティングインク組成物は光電子素子製造用材料を含有し、有機発光素子(OLED)や有機薄膜トランジスター(OTFT)などの光電子素子を製造するための材料、または光電子機能性材料など、使用される溶媒に溶解する限り、既存の光電子素子で通常的に使用される有機物質、有機−無機ハイブリッド、有機金属錯体のいずれでも良い。特に、直接的にパターンプリンティングのためのインク化が難しかった多様な構造及び機能材料なども良い。
【0030】
前記光電子素子製造用材料は具体的に、高分子としてはポリチオフェン(Polythiophene)系、ポリ−パラ−フェニレン(Poly-p-phenylene)系、ポリパラフェニレンビニレン(Poly-p-phenylenevinylene)系、ポリフルオレン(Poly-fluorene)系、ポリシアノ(Polycyanopolymers)系、ポリアニリン(poly-aniline)系、ポリキノリン(Polyquinoline)系、ポリビニルカルバゾール(Poly -vinylcarbazole;PVK)系、ポリピロール(Polypyrrole)系のホモポリマーとポリフルオレンビニレン(Polyfluorenevinylene)系、ポリスピロフルオレン(Poly-spirofluroene)系、ポリアリールアミンビニレン(Polyarylaminevinylene)系などの2つ以上の繰り返し単位を有するコポリマー及びPEDOT/PSSなどの溶解度を増加させるための各種高分子誘導体、緑色発光ポリマー(マーク社SPG-020)などの電気発光性高分子、または電荷輸送高分子物質があり、低分子としては4,4′,4″−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニル-アミノ)−トリフェニルアミン(2−TNATA)及びその誘導体、4,4′,4″−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)−トリフェニルアミン(m−MTDATA)及びその誘導体、N,N′−ビス−(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン(NPB)及びその誘導体、テトラフェニル−ジアミン−ジフェニル(TPD)及びその誘導体、N,N,N′,N′−テトラ(2−ナフチルフェニル)(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(TNB)及びその誘導体、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(AlQ3)及びその誘導体、銅(II)プタロシアニン(CuPC)及びその誘導体、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)及びその誘導体、1,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)及びその誘導体、1,3−ビス[(p−tert−ブチル)フェニル−1,3,4−オキサジアゾイル]ベンゼン(OXD-7)及びその誘導体、5,12−ジヒドロ−5,12−ジメチルキノ[2,3−b]アクリジン−7,14−ジオン(DMQA)及びその誘導体、4,4′−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1′−ビフェニル(DCzVBi)及びその誘導体、アリールアミン置換されたジスチリルアリレン(DSA-amine)及びその誘導体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(DCM2)及びその誘導体、5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン(Rubrene)及びその誘導体、4,4′,4″−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(TCTA)及びその誘導体、4,4′−ビス(カルバゾール−9−イル)−ビフェニル(CBP)及びその誘導体、ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェンプラト)−アルミニウム(III)(BAlq)及びその誘導体、2−(4−ビフェニルイル)−5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)及びその誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェンアントローリン(BCP)及びその誘導体、10−(2−ベンゾチアゾリル)−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリンジン−11−オン(C−545T)及びその誘導体、4−(ジシアノメチル)−2−tert−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロイジン−4−イル−ビニル)−4H −ピラン(DCJTB)及びその誘導体、2,2′,2″−(1,3,5−フェニレン)トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(TPBI)及びその誘導体、トリス[2−(2−ピリジニル)フェニル−C,N]−イリジウム(Ir(ppy)3)及びその誘導体、ビス(2−(2′−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C−3′)イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir[acac])及びその誘導体、ビス(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C−2′)イリジウム(ピコリネート)(FIrpic)及びその誘導体、プラチナ(II)オクタエチルポルフィリン(PtOEP)及びその誘導体、2,6−ビス(4−カルバゾールスチリル)−エチルヘキシルアニソール及びその誘導体などの溶媒に溶解可能な物質が例示される。
【0031】
光電子素子の中でOLEDの核心材料の発光材料、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などと、OTFTの代表的な有機半導体材料、導電性高分子材料、及び誘電材料などを例として挙げて図示すれば下記表1に示した通りである。
【0032】
前記のOLED及びOTFTを構成する核心素材のみならず、以外にも有機光電子素子に使用される核心材料、例えば、光ディスク材料、光変色材料、PHB(Photochemical Hole Burning)材料、液晶材料、レーザー色素材料、線形及び非線形光学材料、レジスト材料、感光材料、写真材料、光伝導性材料、有機太陽電池材料、電気伝導性材料、電気変色材料、イオン伝導性材料、超伝導(pyroelectrocity)材料、電荷移動錯体材料、誘電材料、圧電材料(piezo- electrocity)、センサー材料、磁性材料、光電子機能生体材料などの既存にプリンティングインク化が難しかった材料をインク化させて素子製作に容易に使用することができる。これらの材料の代表的な構造例は表2に示し、接着性や薄膜特性などの素子の効率性のためにインク製造時、これらの構造に適切な置換基が置換された誘導体がより有用に使用することができる。
【0033】
<表1>
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
<表2>
【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
前記表1及び表2に記載された材料のn及びmは正の整数であり、置換基(R)は限られる必要はなく、例えば、独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、トリアルキルシリルアルキルカルボニル基、イミン基、エーテル基、エステル基、ニトリル基、チオアルコキシ基、チオエステル基、アミノ基、ビニル基、ハロゲン元素などがある。前記表からわかるように、有機発光素子(OLED)や有機薄膜トランジスター(OTFT)材料の形態や役割は蛍光、リン光、電荷輸送、電子輸送、低分子、デンドリマー、オリゴマー、高分子、ハイブリッドなどいずれでも良い。また、これらを1種類以上選んで使用するなどの多様な混合形態でも使用することができる。
【0040】
本発明によるプリンティングインク組成物はスピン(spin)コーティング、ロール(roll)コーティング、スプレーコーティング、ディップ(dip)コーティング、フロー(flow)コーティング、ドクターブレード(doctor blade)とディスペンシング(dispensing)などのコーティング方法にも適用することができるが、より望ましくはコーティングと共にパターニングできるプリンティング工程に適用するのが望ましく、前記プリンティング方法としてはインクジェットプリンティングのみならず、オフセットプリンティング、グラビアプリンティング、グラビア−オフセットプリンティング、フレキソ(flexography)プリンティング、スクリーンプリンティング、パッド(pad)プリンティング、マイクロコンタクトプリンティング、ステンシルプリンティング、インプリンティング(imprinting)などがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明は実施例によってより詳しく説明されるが、実施例は本発明の例示に過ぎないのみならず、本発明の範囲が実施例によって限られるものではない。
【0042】
カルバメート及びカーボネート化合物の製造
【0043】
<製造例1>n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメートの製造
【0044】
撹拌機とガス注入口が取付けられた250mlの密閉された加圧反応器にn−ブチルアミン100g(1.367モル)を入れ、常温で二酸化炭素の気体を徐々に投入し反応させた。反応が進行することにより二酸化炭素の消耗量が減り、それ以上二酸化炭素が消耗されないまで十分反応させて白色のパウダー形態のn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート128.85g(収率99%、0.677モル)を得た。製造された化合物の熱分解特性を確認するために図1に示したようにTGA(Thermal Gravimetric Analysis)熱分解曲線(thermogram)を確認した結果、120度未満の温度で完全に熱分解されることがわかった。
【0045】
<製造例2>n−オクチルアンモニウムn−オクチルカーボネートの製造
【0046】
撹拌機とガス注入口が取付けられた250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコにn−オクチルアミン100g(0.774モル)と精製水6.97g(0.387モル)を入れ、冷却水を用いて30度以下の温度で保持しながら22g(0.5モル)二酸化炭素の気体を徐々に添加して2時間撹拌しながら反応させた。反応が進行することにより粘度が上昇してから最終的には透明な液状n−オクチルアンモニウムn−オクチルカーボネート119.08g(収率96%、0.372モル)を得た。
【0047】
<製造例3>アミルアンモニウムアミルビカーボネートの製造
【0048】
撹拌機とガス注入口が取付けられた250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコにアミルアミン100g(1.147モル)と精製水20.65g(1.147モル)を入れ、常温で二酸化炭素の気体を徐々に投入し反応させた。反応が進行することにより二酸化炭素の消耗量が減り、それ以上二酸化炭素が消耗されないまで十分反応させて透明な液状のアミルアンモニウムアミルビカーボネート148.95g(収率99%、1.136モル)を得た。
【0049】
プリンティング用インク組成物の製造及び特性評価
【実施例1】
【0050】
撹拌機が取付けられた10mlのフラスコにPEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene/Poly(styrene sulfonate))(製造社:Aldrich)3gと製造例1から製造したn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート1g、エタノール3g(製造社:アルドリッチ)を添加して常温で10分間撹拌した後に、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用しろ過した後、インクジェット用組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。インクジェット印刷性はDMP-2813装備を使用し、印刷性に対する評価はガラス基板(Glass)に80nm厚さで印刷し、150度で10分間乾燥した後に表面の均一度を確認した。図2に図示したようにAFM(Atomic Force Microscope)でインクジェット印刷の後、形成された表面の均一度を確認した結果、平均Ra値が1.23nmで良好であることがわかった。
【実施例2】
【0051】
撹拌機が取付けられた20mlのフラスコに2,6−ビス(4−カルバゾールスチリル)−エチルヘキシルアニソール(製造社:Inktech)0.1gと製造例1から製造したn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート2g、メチルアニソール(製造社:Aldrich)4g、アセトフェノン(製造社:アルドリッチ)4gを添加して常温で10分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用しろ過した後、インクジェット用組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。インクジェット印刷性はDMP-2813装備を使用し、実施例1と同一の方法で評価した。
【実施例3】
【0052】
撹拌機が取付けられた20mlのフラスコに3,3,5,5−テトラキス(4t−ブチルスチリル)−4,4−ジメトキシビフェニル(製造社:Inktech)0.1gと製造例2から製造したn−オクチルアンモニウムn−オクチルカーボネート1.5g、トルエン(製造社:Aldrich)2.5g、テトラヒドロナフタレン(製造社:アルドリッチ)6gを添加して常温で10分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用しろ過した後、インクジェット用組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。インクジェット印刷性はDMP-2813装備を使用し、実施例1と同一の方法で評価した。
【実施例4】
【0053】
撹拌機が取付けられた20mlのフラスコに緑色発光ポリマーSPG-020(製造社:マーク)0.1gと製造例3から製造したアミルアンモニウムアミルビカーボネート3g、クロロベンゼン(製造社:Aldrich)2g、テトラヒドロナフタレン(製造社:アルドリッチ)5gを添加して常温で10分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用しろ過した後、インクジェット用組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。インクジェット印刷性はDMP-2813装備を使用し、実施例1と同一の方法で評価した。本実施例の組成物をインクジェットプリンティングして形成されたパターンに対する発光写真を図3に図示した。図3の結果から緑色発光現象がよく示されていることがわかった。
【実施例5】
【0054】
撹拌機が取付けられた20mlのフラスコに4,4′,4″−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン0.2gと製造例1から製造したn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート1.5g、トルエン(製造社:アルドリッチ)2g、クロロベンゼン(製造社:アルドリッチ)2g、アセトフェノン(製造社:アルドリッチ)3.5gを添加して常温で10分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用してろ過した後、インクジェット用組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。インクジェット印刷性はDMP-2813装備を使用し、実施例1と同一の方法で評価した。
【実施例6】
【0055】
撹拌機が取付けられた20mlのフラスコに2,2′,2″−(1,3,5−フェニレン)トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)0.1gと製造例1から製造したn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート2.5g、トルエン(製造社:Aldrich)2.5g、アセトフェノン(製造社:アルドリッチ)5gを添加して常温で10分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用してろ過した後、インクジェット用組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。インクジェット印刷性はDMP-2813装備を使用し、実施例1と同一の方法で評価した。
【実施例7】
【0056】
撹拌機が取付けられた200mlのフラスコに2,6−ビス(4−カルバゾールスチリル)−エチルヘキシルアニソール(製造社:インクテック)1gと製造例1から製造したn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート50g、メチルアニソール(製造社:Aldrich)25g、アセトフェノン(製造社:アルドリッチ)25gを添加して常温で30分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用してろ過した後、マイクログラビアプリンティング組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。印刷性に対する評価は、PETに80nmの厚さで印刷し、150度で10分間乾燥した後、表面の均一度を確認した。
【実施例8】
【0057】
撹拌機が取付けられた200mlのフラスコにPEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene/Poly(styrene sulfonate))(製造社:Aldrich)30gと製造例1から製造したn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート80g、エタノール30g(製造社:Aldrich)添加して常温で30分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用してろ過した後、フレキソプリンティング用組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。印刷性に対する評価は、PETに80nmの厚さで印刷し、150度で10分間乾燥した後、表面の均一度を確認した。
【0058】
<比較例1>
【0059】
撹拌機が取付けられた20mlのフラスコに2,6−ビス(4−カルバゾールスチリル)−エチルヘキシルアニソール(製造社:インクテック)0.1gとメチルアニソール(製造社:Aldrich)6g、アセトフェノン(製造社:アルドリッチ)4gを添加して常温で10分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用してろ過した後、プリンティング組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。インクジェット印刷性はDMP-2813装備を使用し、実施例1と同一の方法で評価した。
【0060】
<比較例2>
【0061】
撹拌機が取付けられた20mlのフラスコに緑色発光ポリマーSPG-020(製造社:マーク)0.1gとクロロベンゼン(製造社:Aldrich)5g、テトラヒドロナフタレン(製造社:アルドリッチ)5gを添加して常温で10分間撹拌した後、0.2ミクロンのメンブレンフィルター(membrane filter)を使用しろ過した後、マイクログラビアプリンティング組成物を製造した。製造された組成物の粘度、表面張力、印刷性、表面均一度に対する結果を表3に示した。印刷性に対する評価は、PETに80nmの厚さで印刷し、150度で10分間乾燥した後、表面の均一度を確認した。
【0062】
<表3>
【0063】
【表5】

【0064】
前記表3から実施例2と比較例1との結果を比べてみて、実施例2の組成物はn−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメートを含有していてインクジェットプリンティングに適用するに粘度が適切であり印刷性に優れ、プリンティングの後に形成された表面の均一度(roughness)が著しく向上されることがわかった。
【0065】
また、実施例7及び比較例2の組成物の結果を比べてみれば、実施例7の組成物は比較例2の組成物に比べてみて粘度が高く、グラビアプリンティング方法による印刷性に優れ、表面均一度が著しく向上されることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明による光電子素子(optoelectronic device)用プリンティングインク組成物に含まれるアンモニウムカルバメート系またはアンモニウムカーボネート系化合物はインクの粘度、光電子素子製造用材料の溶解度、膜の均一性などを容易に調節することができるのみならず、プリンティングの後には十分低い温度においても自ら分解されるため、最終的には素子の重要な機能には如何なる影響を与えない。そのため、効率及び寿命特性に優れるが、プリンティングインクとして活用することができなかったたくさんの化合物に対してプリンティング工程が使用できるようにインク化させることにより極的に素子の柔軟化(flexible)及び大面積化が可能になるのみならず、素子の低価格化(low cost)に寄与する大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】製造例1化合物のTGA(Thermal Gravimetric Analysis)熱分解曲線(thermogram)である。
【図2】実施例1の組成物をプリンティングして形成された表面の表面均一度AFM(Atomic Force Microscope)グラフである。
【図3】実施例4の組成物をプリンティングして形成されたパターンの発光写真を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子素子用素材をインク化させて直接パターン工程に適用可能な光電子素子製造用プリンティングインク組成物であって、
前記プリンティングインク組成物は下記化学式1、化学式2及び化学式3から選ばれる化合物またはこれらの混合物を組成物の総重量に対して0.01〜90重量%で含有する光電子素子製造用プリンティングインク組成物。
<化学式1>
【化1】


<化学式2>
【化2】


<化学式3>
【化3】


前記式中、R1乃至R6は互いに独立に水素、ヒドロキシ基、C1−C30のアルコキシ基、C1−C30のアルキル基、C3−C30のシクロアルキル基、C6−C20のアリール基、及び(C6−C20)アル(C1−C30)アルキル基から選ばれ、或いは官能基が置換されたC1−C30のアルキル基、官能基が置換されたC6−C20のアリール基、ヘテロ環化合物、高分子化合物、及び高分子化合物誘導体から選ばれ、或いはR1乃至R6が官能基が置換若しくは無置換のアルキル基またはアラルキル基である場合、炭素鎖内にN、S、Oから選ばれるヘテロ元素を含めてもよく、R1とR2、またはR4とR5は互いに独立にヘテロ原子が含み若しくは含まないアルキレンで連結されて環を形成しても良い。
【請求項2】
R1乃至R6が、互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、ポリアリルアミン、ポリエチレンアミン、及びそれらの誘導体から選ばれる請求項1に記載の光電子素子製造用プリンティングインク組成物。
【請求項3】
化学式1のアンモニウムカルバメート系化合物が、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルビカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート、及びその誘導体からなる群から選ばれた1種または2種以上の混合物であり、化学式2のアンモニウムカーボネート系化合物が、アンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びその誘導体から選ばれた1種または2種以上の混合物であり、化学式3のアンモニウムビカーボネート系化合物が、アンモニウムビカーボネート(ammonium bicarbonate)、イソプロピルアンモニウムビカーボネート、t−ブチルアンモニウムビカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムビカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムビカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムビカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムビカーボネート、ピリジニウムビカーボネート、トリエチレンジアミニウムビカーボネート、及びその誘導体から選ばれた1種または2種以上の混合物である請求項1に記載の光電子素子製造用プリンティングインク組成物。
【請求項4】
光電子素子が、有機電気発光素子(OLED)または有機薄膜トランジスター(OTFT)である請求項1に記載の光電子素子製造用プリンティングインク組成物。
【請求項5】
光電子素子用素材が、蛍光高分子、リン光高分子、ホスト物質、ドーパント物質、正孔輸送材料、電子輸送材料、有機半導体材料、光ディスク材料、光変色材料、PHB(Photochemical Hole Burning)材料、液晶材料、レーザー色素、光学材料、レジスト材料、感光材料、写真材料、光導電材料、電荷移動錯体、イオン伝導性材料、超伝導材料、センサー材料、電気変色材料、圧電材料、磁性材料、光電子機能生体材料、有機太陽電池材料、及びこれらの混合物から選ばれる請求項1に記載の光電子素子製造用プリンティングインク組成物。
【請求項6】
プリンティングインク組成物が、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、パッド(pad)プリンティング、グラビアプリンティング、フレキソ(flexography)プリンティング、ステンシルプリンティング、及びインプリンティング(imprinting)から選ばれるプリンティング方法で使用される請求項1に記載の光電子素子製造用プリンティングインク組成物。
【請求項7】
プリンティングインク組成物が、溶媒、安定剤、分散剤、バインダー樹脂(binder resin)、還元剤、界面活性剤(surfactant)、湿潤剤(wetting agent)、チキソ剤(thixotropic agent)、及びレベリング(levelling)剤から選ばれる一つ以上の成分をさらに含む請求項1に記載の光電子素子製造用プリンティングインク組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−519981(P2011−519981A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503901(P2011−503901)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001782
【国際公開番号】WO2009/145504
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510151245)インクテック シーオー.,リミテッド. (3)
【氏名又は名称原語表記】INKTEC CO.,LTD.
【Fターム(参考)】