説明

免疫クロマト試験片の測定装置及び光源装置

免疫クロマト試験片5aに測定光を照射し、免疫クロマト試験片5aからの光を測定する免疫クロマト試験片5aの測定装置1であって、免疫クロマト試験片5aからの光を受光するホトダイオード3aと、免疫クロマト試験片5aとホトダイオード3aとの間に設けられ、免疫クロマト試験片5aからの光の一部をホトダイオード3aに導く複数の光通路3b,3b,3b,3bを有する測定ヘッド4とを備えている。測定ヘッド4は、免疫クロマト試験片5aで反射される不要な光を遮光する遮光部材として機能する。複数の光通路3b,3b,3b,3bは、免疫クロマト試験片5aに形成されるライン状の呈色部8が延びる方向に沿って並設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免疫クロマト試験片の測定装置及び光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫クロマト試験片には、検体中の抗原(または抗体)との間で抗原抗体反応を起こす抗体(または抗原)が免疫クロマト試験片の特定の位置に予め帯状に塗布されている。色素で標識された検体中の抗原(または抗体)が展開液により上記特定の位置まで展開されると、帯状に塗布された抗体(または抗原)との間で検体中の抗原(または抗体)が抗原抗体反応を起こしてトラップされ、上記特定の位置には色素により発色した呈色ラインが形成される。このような免疫クロマト試験片においては、形成された呈色ラインの呈色度を測定装置により光学的に測定することで、検体中の抗原(または抗体)の量を定量的に分析することができる。
【0003】
ここで、免疫クロマト試験片などの試験片の呈色度を測定する装置として、免疫クロマト試験片の試料展開方向(免疫クロマト試験片における抗原又は抗体の移動方向)と直交する方向(呈色ラインと平行な方向)に延びた光束断面をもつ測定光を照射し、その測定光による免疫クロマト試験片からの反射光を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載された測定装置では、光源としてレーザダイオードを備え、レーザダイオードからの光を集束レンズとスリットにより上記測定光としている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−326191号公報
【発明の開示】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された測定装置では、迷光が発生し、この迷光により免疫クロマト試験片上に結像される測定光の鮮明さ(シャープさ)が失われてしまい、呈色度の測定精度が低下するという問題点を有している。迷光発生による測定精度の低下は、特に光源の光強度を高めた場合に顕著なものとなる。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、迷光の発生を抑制し、呈色度の測定精度を向上することが可能な免疫クロマト試験片の測定装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、迷光の発生を抑制し、鮮明なスリット光を照射することが可能な光源装置を提供することにある。
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する照射光学系と、測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光を検出する検出光学系と、を備えた免疫クロマト試験片の測定装置であって、照射光学系は、半導体発光素子と、半導体発光素子からの光を、免疫クロマト試験片に形成される呈色ラインと略平行な方向に延びる光束断面を有する光に整形するための光束整形部材と、光束整形部材からの光を免疫クロマト試験片上に結像させるためのレンズと、半導体発光素子と光束整形部材との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第1バッフル部と、光束整形部材とレンズとの間に配置され、迷光を除去するための筒状の第2バッフル部と、レンズと免疫クロマト試験片の間に配置され、迷光を除去するための筒状の第3バッフル部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置では、半導体発光素子と光束整形部材との間に第1バッフル部が配置され、光束整形部材とレンズとの間に第2バッフル部が配置され、レンズと免疫クロマト試験片の間に第3バッフル部が配置されるので、これらの筒状の各バッフル部により迷光の発生が抑制されることとなる。また、レンズにより、光束整形部材からの光が免疫クロマト試験片上に結像される。これらにより、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射することが抑えられ、免疫クロマト試験片上に照射される測定光は鮮明となり、呈色度の測定精度を大幅に向上することができる。
【0010】
また、照射光学系は、第1バッフル部と光束整形部材との間に配置され、第1バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することが好ましい。この場合、筒状空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0011】
また、照射光学系は、光束整形部材と第2バッフル部との間に配置され、第2バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することが好ましい。この場合、筒状空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0012】
また、照射光学系は、レンズと第3バッフル部との間に配置され、第3バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することが好ましい。この場合、筒状空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0013】
また、照射光学系は、光学ヘッドに装着されており、当該光学ヘッドは、第3バッフル部として機能するように所定の内径を有する第1の孔部と、第1の孔部よりも大きな内径を有する第2の孔部と、第2の孔部よりも大きな内径を有しレンズが挿入される第3の孔部と、第3の孔部よりも大きな内径を有する第4の孔部と、第4の孔部よりも大きな内径を有する第5の孔部と、が連続して形成された第1の部材と、第5の孔部に内挿され、半導体発光素子が挿入される第6の孔部と第1バッフル部として機能するように所定の内径を有する第7の孔部とが連続して形成された第2の部材と、第4の孔部に内挿され、一端側部分が第2バッフル部として機能するように所定の内径を有する筒状部材と、を含み、第2の孔部と第3の孔部との境界部に形成される段部と筒状部材とでレンズが固定され、第4の孔部と第5の孔部との境界部に形成される段部と第2の部材とで光束整形部材が固定されていることが好ましい。この場合、照射光学系(半導体発光素子、光束整形部材、レンズ、第1バッフル部、第2バッフル部及び第3バッフル部)を上記光学ヘッドに組み込んでユニット化することができ、構造の簡素化を図ることができると共に、半導体発光素子、光束整形部材及びレンズを容易に組み付けることができる。
【0014】
また、第2の部材には、第7の孔部よりも大きな内径を有する第8の孔部が当該第7の孔部に連続して形成されていることが好ましい。この場合、第8の孔部により画成される空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0015】
また、筒状部材は、他端側部分の内径が一端側部分の内径よりも大きく設定されていることが好ましい。この場合、筒状部材における他端部側部分により画成される空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0016】
また、第1の孔部、第7の孔部、及び、筒状部材の一端側部分の内側には、雌ネジが形成されていることが好ましい。この場合、雌ネジを形成するという極めて簡易な構成にて、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射するのをより一層効果的に抑制することができる。
【0017】
また、照射光学系及び検出光学系が装着される光学ヘッドと、免疫クロマト試験片を載置するための載置プレートと、呈色ラインを横切る走査方向に載置プレートと光学ヘッドとを相対移動させる走査機構と、を更に有することが好ましい。この場合、光学ヘッドに照射光学系および検出光学系が装着されていると、構造が簡素となり、しかも、光学ヘッドを走査方向に移動させる場合の走査機構が1系統で済み、走査機構の構造やその制御系の構成が簡単となる。
【0018】
また、半導体発光素子は、発光ダイオードであることが好ましい。この場合、光源の光強度を高めることができる。
【0019】
また、光束整形部材は、免疫クロマト試験片に形成される呈色ラインと略平行な方向に延びるスリットが形成された板状部材とすることが好ましい。この場合、光束整形部材の構造を簡素化できる。
【0020】
上述した目的を達成するため、本発明に係る光源装置は、測定対象物にスリット光を照射する光源装置であって、半導体発光素子と、半導体発光素子からの光を、スリット光に整形するための光束整形部材と、光束整形部材からの光を測定対象物上に結像させるためのレンズと、半導体発光素子と光束整形部材との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第1バッフル部と、光束整形部材とレンズとの間に配置され、迷光を除去するための筒状の第2バッフル部と、レンズと測定対象物の間に配置され、迷光を除去するための筒状の第3バッフル部と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る光源装置では、半導体発光素子と光束整形部材との間に第1バッフル部が配置され、光束整形部材とレンズとの間に第2バッフル部が配置され、レンズと免疫クロマト試験片の間に第3バッフル部が配置されるので、これらの筒状のバッフル部により迷光の発生が抑制されることとなる。また、レンズにより、光束整形部材からのスリット光が測定対象物上に結像される。これらにより、測定対象物に不要な迷光が入射することが抑えられ、測定対象物上に照射されるスリット光は鮮明となる。
【0022】
また、第1バッフル部と光束整形部材との間に配置され、第1バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することが好ましい。この場合、筒状空間部に迷光が封じ込められることとなり、測定対象物に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0023】
また、光束整形部材と第2バッフル部との間に配置され、第2バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することが好ましい。この場合、筒状空間部に迷光が封じ込められることとなり、測定対象物に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0024】
また、レンズと第3バッフル部との間に配置され、第3バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することが好ましい。この場合、筒状空間部に迷光が封じ込められることとなり、測定対象物に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0025】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片を載置する台と、台に向けて測定光を照射する照射光学系と、台側から入射する光を検出する検出光学系と、を備えており、照射光学系及び検出光学系は台に対して所定の走査方向に相対的に移動し、照射光学系は、半導体発光素子と、半導体発光素子からの光を、上記所定の方向と交差する方向に延びる光束断面を有する光に整形する光束整形部材と、光束整形部材からの光を結像させるレンズと、半導体発光素子と光束整形部材との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第1バッフル部と、光束整形部材とレンズとの間に配置され、迷光を除去するための筒状の第2バッフル部と、レンズと台の間に配置され、迷光を除去するための筒状の第3バッフル部と、を有することを特徴とする。
【0026】
本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置では、免疫クロマト試験片に不要な迷光が入射することが抑えられ、免疫クロマト試験片上に照射される測定光は鮮明となり、呈色度の測定精度を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置を示す斜視図である。
【0028】
図2は、図1に示した光学ヘッド及び免疫クロマト試験用具の斜視図である。
【0029】
図3は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置により測定される免疫クロマト試験用具の平面図である。
【0030】
図4は、図1及び図2に示した光学ヘッドの側面図である。
【0031】
図5は、図1及び図2に示した光学ヘッドの平面図である。
【0032】
図6は、図1及び図2に示した光学ヘッドの断面図である。
【0033】
図7は、図1及び図2に示した光学ヘッドの分解断面図である。
【0034】
図8は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置に含まれる照射光学系の構成を説明するための概略図である。
【0035】
図9は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置のシステム構成図である。
【0036】
図10は、図3に示した免疫クロマト試験用具に含まれる免疫クロマト試験片の透過光の吸光プロファイルを示す線図である。
【0037】
図11は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置の変形例を示す斜視図である。
【0038】
図12は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置の変形例を示す分解斜視図である。
【0039】
図13は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置の変形例を示す斜視図である。
【0040】
図14は、図11〜図13に示した光学ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら本発明による免疫クロマト試験片の測定装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置は、本発明の実施形態に係る光源装置を含んでいる。
【0042】
図1は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置を示す斜視図であり、図2は、図1に示した光学ヘッド及び免疫クロマト試験用具の斜視図である。本実施形態の測定装置MDは、免疫クロマト試験片1に形成された呈色ラインCLに測定光を照射し、その反射光の受光により呈色ラインCLの呈色度を測定する装置である。この測定装置MDは、図1に示されるように、免疫クロマト試験用具TEを載置する台としての載置プレート11と、照射光学系21及び検出光学系31を装着する光学ヘッド41と、載置プレート11に対して光学ヘッド41を走査方向に移動させる走査機構12とを有している。照射光学系21は、載置プレート11に向けて光を照射することで、載置プレート11に載置された免疫クロマト試験片1に測定光を照射する。検出光学系31は、載置プレート11側からの光が入射することで、免疫クロマト試験片1からの反射光を検出する。
【0043】
ここで、免疫クロマト試験用具TEは、図3にも示されるように、平面視長方形状のケーシング3と、当該ケーシング3内に保持されている免疫クロマト試験片1とを有している。図3は、免疫クロマト試験用具の平面図である。
【0044】
ケーシング3には、その長辺方向に沿って、検体を滴下させるための検体点着ウィンドウ5と、免疫クロマト試験片1の呈色部分を露出させる観測用ウィンドウ7が設けられている。検体点着ウィンドウ5を成形する縁部5a〜5d及び観測用ウィンドウ7を成形する縁部7a〜7dは、免疫クロマト試験片1に向かって傾斜して設けられており、テーパー型に形成されている。なお、本実施形態の免疫クロマト試験用具TEにおいて、観測用ウィンドウ7の一部は、仕切り部7eで仕切られることにより、コントロールウィンドウとして用いられる。
【0045】
免疫クロマト試験片1は、ニトロセルロースメンブレンや濾紙などの材質からなり、長方形状を呈している。免疫クロマト試験片1は、検体点着ウィンドウ5に対応する位置に設けられる検体点着部1aと、観測用ウィンドウ7に対応する位置に設けられる検出部1bとを有している。検出部1bは、検体中の抗原(又は抗体)と反応するそれぞれの抗体(又は抗原)が塗布されて固定化されており、ライン状(又は帯状)となっている。
【0046】
検体は、検体点着ウィンドウ5から免疫クロマト試験片1の検体点着部1aに滴下される。検体中の抗原(又は抗体)は標識色素と結合し、検体中の抗原(又は抗体)と標識色素との結合体や未反応の標識色素は免疫クロマト試験片1の長辺方向に移動する。いま、仮に検体中に抗原が含まれており、抗原が検出部1bとそれぞれ抗原抗体反応するものとする。検体が移動するにともなって、検体中の抗原と検出部1bに固定されている抗体とが特異的に反応し、反応した検出部1bには標識色素により呈色したライン状のパターン(呈色ラインCL)が形成される。この呈色ラインCLは、免疫クロマト試験片1における検体中の抗原(又は抗体)の移動方向と交差する方向(たとえば、直交する方向)に延びて形成され、観測用ウィンドウ7から観測することができる。呈色ラインCLの幅は、通常、1.0mm程度である。また、呈色ラインCLの長手方向の長さは、通常、5mm程度である。
【0047】
照射光学系21は、図1及び図2に示されるように、半導体発光素子23と、光束整形部材25と、レンズ27とを有しており、これらの半導体発光素子23、光束整形部材25及びレンズ27は、光学ヘッド41に装着されている。本実施形態において、半導体発光素子23として発光ダイオード(LED)が用いられており、その仕様は、中心波長530nm、輝度3000mc、指向角20°に設定されている。
【0048】
光束整形部材25は、半導体発光素子23からの光を、免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLと略平行な方向、すなわち光学ヘッド41の走査方向に交差する方向(本実施形態においては、光学ヘッド41の走査方向に直交する方向)に延びる光束断面を有する光に整形するためのものであり、スリット25aが形成された板状部材からなる。スリット25aの形状は、矩形形状(例えば、幅50μm、長さ3mm)に設定されている。スリット25aが延びる方向は、光束整形部材25が光学ヘッド41に装着された状態において、載置プレート11に載置された免疫クロマト試験用具TE内の免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLと略平行となるように設定される。これにより、半導体発光素子23からの光は、免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLと略平行なスリット光とされる。
【0049】
レンズ27は、光束整形部材25からの光(免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLと略平行なスリット光)を載置プレート11に載置された免疫クロマト試験用具TE内の免疫クロマト試験片1上に結像させるためのものである。本実施形態において、レンズ27の焦点距離は6mmに設定されており、免疫クロマト試験片1上に結像されたスリット光像の大きさは、幅50μm、長さ3mmとなる。
【0050】
検出光学系31は、図1及び図2に示されるように、半導体受光素子33を有しており、この半導体受光素子33は、光学ヘッド41に装着されている。本実施形態において、半導体受光素子33としてシリコン(Si)ホトダイオードが用いられている。
【0051】
光学ヘッド41は、図4〜図7に示されるように、第1の部材51、第2の部材61と、筒状部材71とを含んでおり、その上部が走査機構12を構成するスライダブロック13に支持板14を介して固定されることで、免疫クロマト試験用具TEの上方に支持されている。図4は、図1及び図2に示された光学ヘッドの側面図であり、図5は、図1及び図2に示された光学ヘッドの平面図であり、図6は、図1及び図2に示された光学ヘッドの断面図であり、図7は、図1及び図2に示された光学ヘッドの分解構成図である。
【0052】
第1の部材51には、当該第1の部材51を貫通するように、所定の内径(例えば、M2程度)を有する雌ネジ形状の第1の孔部52と、第1の孔部52よりも大きな内径(例えば、φ4mm程度)を有する第2の孔部53と、第2の孔部53よりも大きな内径(例えば、φ6mm程度)を有する第3の孔部54と、第3の孔部54よりも大きな内径を有する第4の孔部55(例えば、長手方向6.8mmを有する四角形状孔)と、第4の孔部55よりも大きな内径を有する第5の孔部56(例えば、長手方向15mmを有する四角形状孔)とが連続して形成されている。また、第1の部材51には、第2の部材61を固定するためのボルトが螺合するボルト孔57が形成されている。第1の部材51は、第1の孔部52が載置プレート11(免疫クロマト試験用具TE)側に位置し、且つ、第1〜第5の孔部52〜56の中心軸が載置プレート11(免疫クロマト試験片1)に略直交するように配設される。なお、レンズ27は、第3の孔部54に挿入される。
【0053】
第2の部材61は、半導体発光素子23の光軸に垂直な面での断面が四角形状を呈しており、当該第2の部材61を貫通するように、第6の孔部62と、第7の孔部63と、第8の孔部64とが連続して形成されている。また、第2の部材61には、ボルトを挿通するための貫通孔65が形成されている。この第2の部材61は、第1の部材51の第5の孔部56に内挿され、ボルトにより第1の部材51に固定される。半導体発光素子23は、第6の孔部62に挿入される。第7の孔部63の内径は、雌ネジ形状で所定の内径(例えば、M3程度)に設定されており、第8の孔部64の内径は、第7の孔部63の内径より大きい値(例えば、φ5mm程度)に設定されている。なお、第1の部材51の第5の孔部56は、第2の部材61の形状に対応して四角形状孔としているが、これに限られることなく、第2の部材61の形状に対応し、当該第2の部材61が内挿可能な形状(例えば、円形状)を有していればよい。
【0054】
筒状部材71は、一端側に雌ネジ形状で所定の内径(例えば、M2程度)を有する第1の筒部分72と、他端側に、第1の筒部分72よりも大きな内径(例えば、φ5mm程度)を有する第2の筒部分73とを有している。筒状部材71は、第1の部材51の第4の孔部55に内挿される。なお、筒状部材71は、半導体発光素子23の光軸に垂直な面における断面で見ると、外側形状は四角形状となっている。また、第1の部材51の第4の孔部55は、筒状部材71の形状に対応して四角形状孔としているが、これに限られることなく、筒状部材71の形状に対応し、当該筒状部材71が内挿可能な形状(例えば、円形状)を有していればよい。
【0055】
第1の部材51への照射光学系21の各要素の組み込みは、まず、レンズ27を第3の孔部54に挿入し、その後、筒状部材71を第4の孔部55に挿入する。続いて、第4の孔部55と第5の孔部56との境界部に形成される段部に光束整形部材25を載置し、第2の部材61を第5の孔部56に挿入する。そして、基板(図示せず)に支持された半導体発光素子23を第6の孔部62に挿入し、ボルトにより基板及び第2の部材61を第1の部材51に固定する。このとき、レンズ27は、第1の部材51の第2の孔部53と第3の孔部54との境界部に形成される段部と筒状部材71の第1の筒部分72とで挟まれて固定される。また、光束整形部材25は、第1の部材51の第4の孔部55と第5の孔部56との境界部に形成される段部と第2の部材61とで挟まれて固定される。
【0056】
半導体発光素子23から出射された光は、図8にも示されるように、半導体発光素子23側から順に、第2の部材61の第7の孔部63、第8の孔部64、スリット25a、筒状部材71の第2の筒部分73、第1の筒部分72、レンズ27、第1の部材51の第2の孔部53、及び、第1の孔部52を通り、免疫クロマト試験片1に形成された呈色ラインCLと略平行なスリット光となって、免疫クロマト試験片1に略垂直な方向から当該免疫クロマト試験片1に照射される。このとき、第7の孔部63は、半導体発光素子23と光束整形部材25との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第1バッフル部として機能する。また、第1の筒部分72は、光束整形部材25とレンズ27との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第2バッフル部として機能する。また、第1の孔部52は、レンズ27と免疫クロマト試験片1の間に配置され、迷光を除去するための筒状の第3バッフル部として機能する。また、第8の孔部64により画成される空間部は、第7の孔部63(第1バッフル部)と光束整形部材25との間に配置され、第7の孔部63よりも大径の筒状空間部として機能する。また、第2の筒部分73により画成される空間部は、光束整形部材25と第1の筒部分72(第2バッフル部)との間に配置され、第1の筒部分72の内径よりも大径の筒状空間部として機能する。また、第2の孔部53により画成される空間部は、レンズ27と第1の孔部52(第3バッフル部)との間に配置され、第1の孔部52よりも大径の筒状空間部として機能する。
【0057】
第1の部材51には、当該第1の部材51を貫通するように、所定の内径(例えば、φ3.2mm程度)を有する第9の孔部58と、第9の孔部58より大きい内径(例えば、φ8mm程度)を有する第10の孔部59とが連続して形成されている。第9の孔部58は、載置プレート11(免疫クロマト試験用具TE)側に位置している。また、第9の孔部58は、その下端部が第1の孔部52と免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLと略平行な方向に並んでおり、当該下端部から上記呈色ラインCLと略平行な方向に沿って斜め上方に延びている。
【0058】
半導体受光素子33は、第10の孔部59に設けられる。半導体受光素子33は基板(図示せず)に支持されており、当該基板は、半導体受光素子33を第10の孔部59に挿入した状態で第1の部材51にボルト締めにより固定される。これにより、半導体受光素子33は、免疫クロマト試験片1上の測定光の照射位置から免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLと略平行な方向の斜め上方に設けられることとなり、呈色ラインCLと略平行な方向の斜め上方への反射光を検出する。第9の孔部58は、免疫クロマト試験用具TEのケーシング3に当たって生じる迷光を除去し、反射光をコリメートするためのコリメータとして機能する。
【0059】
走査機構12は、図1に示すように、スライダブロック13を載置プレート11の長手方向、すなわち、免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLを直角に横切る走査方向に摺動自在に案内する左右一対のガイドレール15と、このガイドレール15の長手方向に沿ってスライダブロック13の側面に形成されたラック16に噛み合うピニオン17と、このピニオン17に噛み合うウォームギア18が固定された駆動モータ19などを備えている。
【0060】
この走査機構12では、駆動モータ19によりウォームギア18が正転方向に回転すると、ピニオン17が減速して回転駆動され、このピニオン17にラック16が噛み合うスライダブロック13が左右一対のガイドレール15に案内されて走査方向に移動する。その結果、光学ヘッド41が載置プレート11に対して免疫クロマト試験片1に形成された呈色ラインCLを直角に横切る走査方向に移動する。すなわち、光学ヘッド41の走査方向は、載置プレート11に載置された免疫クロマト試験片1に形成されている呈色ラインCLが延びる方向と交差する。スリット25aが延びる方向と光学ヘッド41の走査方向とは交差(本実施形態においては、直交)しており、光束整形部材25は、半導体発光素子23からの光を、光学ヘッド41の走査方向と交差する方向に延びる光束断面を有する光に整形する。
【0061】
測定装置MDは、走査機構12の駆動モータ19の回転制御と、半導体発光素子23の点灯制御と、半導体受光素子33の受光信号の処理およびその処理結果の表示のため、図9に示すような制御部81および測定結果表示部83を有している。図9は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置のシステム構成図である。
【0062】
制御部81は、走査機構12の駆動モータ19の正転、停止、逆転の回転制御を行うと共に、駆動モータ19の正転により光学ヘッド41が走査方向に移動する間、半導体発光素子23を点灯して測定光(スリット光)をケーシング3の観測用ウィンドウ7に露出する免疫クロマト試験片1の検出部1b上に照射させる。
【0063】
また、制御部81は、半導体発光素子23の点灯により免疫クロマト試験片1の検出部1bから反射する反射光を受光した半導体受光素子33から検出信号を入力し、この検出信号に基づいて、例えば測定光の吸光プロファイルを作成する。そして、作成した吸光プロファイルから、免疫クロマト試験片1の発色した呈色ラインCLの吸光度ABSを演算式(1)により算出する。
ABS=logTi/To … (1)
なお、Toは、発色した呈色ラインCLからの反射光の出力信号強度であり、Tiは、発色のない部分からの反射光の出力信号強度である。
【0064】
そして、制御部81は、予め作成された検量特性線図を参照することにより、算出した吸光度ABSに応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを測定結果表示部83に表示させる。
【0065】
上述した構成を有する免疫クロマト試験片1の測定装置MDを使用して免疫クロマト試験片1の呈色度を測定するには、まず、免疫クロマト試験用具TE(図3参照)を用意し、検体をケーシング3の検体点着ウィンドウ5から免疫クロマト試験片1の検体点着部1aに滴下する。これにより、検体が免疫クロマト試験片1の検出部1bへ向かって展開し、検出部1bに帯状に塗布された抗体(または抗原)との間で検体中の抗原(または抗体)が抗原抗体反応を起こしてトラップされることにより、色素により発色した呈色ラインCLが形成される。
【0066】
このような準備の後、図1に示すように、免疫クロマト試験用具TEを載置プレート11上に載置し、制御部81(図9参照)によって半導体発光素子23を点灯させると共に、駆動モータ19を正転方向に回転させる。この操作に伴い、免疫クロマト試験片1に形成された呈色ラインCLと略平行なスリット光がケーシング3の観測用ウィンドウ7を通して免疫クロマト試験片1の検出部1bに照射されると共に、光学ヘッド41が走査方向に沿って移動を開始して、スリット光像が免疫クロマト試験片1の検出部1b上を走査方向に移動することとなる。そして、半導体受光素子33が、免疫クロマト試験片1の検出部1bから反射する反射光のうち、免疫クロマト試験片1に形成された呈色ラインCLと略平行な方向の斜め上方への反射光を受光して検出信号を制御部81に出力する。
【0067】
検出信号を入力した制御部81は、例えば図10に示すような測定光の吸光プロファイルを作成し、この吸光プロファイルから、免疫クロマト試験片1上の呈色ラインCLの吸光度ABSを上記演算式(1)により算出する。そして、制御部81は、予め作成された検量特性線図を参照することにより、算出した吸光度ABSに応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを測定結果表示部83に表示させる。
【0068】
このようにして、本実施形態の測定装置MDによれば、ケーシング3内に収容された免疫クロマト試験片1の検出部1bに形成された呈色ラインCLの呈色度が測定される。
【0069】
以上のように、本実施形態では、半導体発光素子23と光束整形部材25との間に第7の孔部63(第1バッフル部)が配置され、光束整形部材25とレンズ27との間に筒状部材71の第1の筒部分72(第2バッフル部)が配置され、レンズ27と免疫クロマト試験片1(載置プレート11)の間に第1の孔部52(第3バッフル部)が配置されるので、これらの孔部及び筒部分により迷光の発生が抑制されることとなる。また、レンズ27により、光束整形部材25からの光(スリット光)が免疫クロマト試験片1上に結像される。これらの結果、免疫クロマト試験片1に不要な迷光が入射することが抑えられ、免疫クロマト試験片1上に照射される測定光(スリット光)は鮮明となり、呈色度の測定精度を大幅に向上することができる。
【0070】
ところで、呈色ラインCLは、当該呈色ラインCLが延びる方向に呈色むらを有することがある。しかしながら、本実施形態においては、照射光学系21により、呈色ラインCLと略平行な方向に延びるスリット光が呈色ラインCLに重なるように照射されるので、呈色むらが発生した場合においても呈色むらが光学的に平均化されて、呈色むらが光学的に平均化された反射光が半導体受光素子33に入射されることになり、免疫クロマト試験片1の呈色度を精度よく測定することができる。
【0071】
また、本実施形態において、光学ヘッド41は、第7の孔部63と光束整形部材25との間に配置され、第7の孔部63よりも大径の第8の孔部64を有している。これにより、照射光学系21は、第8の孔部64により画成される空間部(筒状空間部)を有するように構成される。この結果、この第8の孔部64により画成される空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片1に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態において、光学ヘッド41は、光束整形部材25と筒状部材71の第1の筒部分72との間に配置され、第1の筒部分72よりも大きな内径の第2の筒部分73を有している。これにより、照射光学系21は、第2の筒部分73により画成される空間部(筒状空間部)を有するように構成される。この結果、この第2の筒部分73により画成される空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片1に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態において、光学ヘッド41は、レンズ27と第1の孔部52との間に配置され、第1の孔部52よりも大径の第2の孔部53を有している。これにより、照射光学系21は、第2の孔部53により画成される空間部(筒状空間部)を有するように構成される。この結果、この第2の孔部53により画成される空間部に迷光が封じ込められることとなり、免疫クロマト試験片1に不要な迷光が入射するのをより一層抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態において、照射光学系21は光学ヘッド41に装着されており、当該光学ヘッド41は、第1の孔部52、第2の孔部53、第3の孔部54、第4の孔部55及び第5の孔部56が連続して形成された第1の部材51と、第5の孔部56に内挿され、第6の孔部62及び第7の孔部63が連続して形成された第2の部材61と、第4の孔部55に内挿される筒状部材71とを含んでいる。そして、第2の孔部53と第3の孔部54との境界部に形成される段部と筒状部材71とでレンズ27が固定され、第4の孔部55と第5の孔部56との境界部に形成される段部と第2の部材61とで光束整形部材25が固定されている。これにより、照射光学系21を上記光学ヘッド41に組み込んでユニット化することができ、構造の簡素化を図ることができると共に、半導体発光素子23、光束整形部材25及びレンズ27を容易に組み付けることができる。
【0075】
また、本実施形態において、第1の孔部52、第7の孔部63、及び、筒状部材71の第1の筒部分72の内側には、雌ネジが形成されている。これにより、雌ネジを形成するという極めて簡易な構成にて、免疫クロマト試験片1に不要な迷光が入射するのをより一層効果的に抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態において、測定装置MDは、照射光学系21及び検出光学系31が装着される光学ヘッド41と、免疫クロマト試験用具TE(免疫クロマト試験片1)を載置するための載置プレート11と、呈色ラインCLを横切る走査方向に載置プレート11と光学ヘッド41とを相対移動させる走査機構12とを有している。これにより、光学ヘッド41に照射光学系21および検出光学系31が装着されていると、構造が簡素となり、しかも、光学ヘッド41を走査方向に移動させる場合の走査機構12が1系統で済み、走査機構12の構造やその制御系の構成が簡単となる。
【0077】
また、本実施形態において、半導体発光素子23として、発光ダイオードを用いている。これにより、光源の光強度を高めることができる。
【0078】
また、本実施形態において、光束整形部材25として、免疫クロマト試験片1に形成される呈色ラインCLと略平行な方向に延びる、すなわち、光学ヘッド41の走査方向と交差する方向に伸びるスリット25aが形成された板状部材を用いている。これにより、光束整形部材25の構造を簡素化できる。
【0079】
次に、図11〜図14を参照して、本実施形態の測定装置MDの変形例を説明する。図11及び図13は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置の変形例を示す斜視図である。図12は、本実施形態に係る免疫クロマト試験片の測定装置の変形例を示す分解斜視図である。図14は、図11〜図13に示した光学ヘッドの断面図である。
【0080】
変形例に係る測定装置MDは、下面が開口した箱形状を有する筐体(図示せず)と、筐体の開口を塞ぐベースプレート101とを備える。ベースプレート101には、上記制御部81を構成するCPU等が搭載された第1基板103と、走査機構12が配置されるシャシー105とが固定されている。シャシー105は、断面が略矩形とされた筒形状を呈しており、ベースプレート101と対向して配置される底部107と、底部107の両端からそれぞれ伸びる一対の縦壁部109と、底部107と対向し且つ各縦壁部109に接続される頂部111とを含んでいる。頂部111は、縦壁部109に対して脱着可能となっている。
【0081】
シャシー105には、トレイ113がシャシー105の長手方向にスライド可能に配置されている。縦壁部109は、トレイ113を挟んで、当該トレイ113の両側に位置している。なお、図11及び図12は、トレイ113がシャシー105から引き出された状態を示し、図13は、トレイ113がシャシー105の中に導入された状態を示している。トレイ113には、免疫クロマト試験用具TEを保持するホルダー115が載置される。
【0082】
トレイ113は、シャシー105に対して着脱可能であり、免疫クロマト試験片1を載置する台として機能する。トレイ113には、ホルダー115を位置決めするための位置決め片113aが設けられている。それぞれの縦壁部109には、トレイ113を適切にスライドさせるための規制片109aが設けられている。免疫クロマト試験用具TEを保持したホルダー115を載置したトレイ113がシャシー105内に導入された状態では、トレイ113及び免疫クロマト試験用具TEが縦壁部109及び頂部111で囲まれることとなる。これにより、シャシー105の外から免疫クロマト試験用具TE(免疫クロマト試験片1)に光が入射するのを抑制することができ、免疫クロマト試験片1の呈色度の測定精度を大幅に向上することができる。
【0083】
頂部111には、切り欠き111aがシャシー105の長手方向に伸びるように形成されている。頂部111の上面には、切り欠き111aを挟むようにして、一対のガイドレール15が固定されている。スライダブロック13は、切り欠き111aの上方に位置し、切り欠き111aが伸びる方向、すなわちシャシー105の長手方向に移動可能である。スライダブロック13には、光学ヘッド41を取り付けるためのブラケット117が固定される。
【0084】
駆動モータ19は、シャシー105内に配置されている。ピニオン17は、縦壁部109から頂部111にかけて形成された孔119を通して、その上部が頂部111上に位置するように配置されている。ピニオン17の上部は、スライダブロック13に形成されたラック16に噛合する。ピニオン17の下部は、駆動モータ19の回転軸に固定されたウォームギア18に噛合する。
【0085】
光学ヘッド41は、切り欠き111aを通って伸びるブラケット117に固定されている。これにより、光学ヘッド41は、スライダブロック13の移動にともなって、シャシー105の内側を当該シャシー105の長手方向に沿って移動することとなる。これにより、シャシー105の外から半導体受光素子33に光が入射するのを抑制することができ、免疫クロマト試験片1の呈色度の測定精度を大幅に向上することができる。光学ヘッド41の走査方向は、シャシー105の長手方向と一致する。
【0086】
光学ヘッド41には、半導体発光素子23の発光を制御するための駆動回路が形成された第2基板121が固定されている。この第2基板121は、金属製のカバー123にて保護されている。第1基板103と第2基板121とは、可撓性及び弾力性を有する通信ケーブル125にて電気的に接続されている。
【0087】
通信ケーブル125は、一方の縦壁部109に形成された孔127からシャシー105の内側に至り、シャシー105の内側を一方の縦壁部109に沿って当該シャシー105の長手方向に伸びて、一方の縦壁部109の端から他方の縦壁部109(第2基板121)に向けてシャシー105の外側を通って湾曲するように、設けられている。通信ケーブル125におけるシャシー105の中に位置する部分は、一方の縦壁部109に接着等により固定されている。通信ケーブル125における一方の縦壁部109に固定された部分から第2基板121までの長さは、光学ヘッド41(第2基板121)の移動距離を考慮して設定する必要がある。このように、シャシー105の内側を通して通信ケーブル125を配置することにより、通信ケーブル125の長さが短くてすみ、絡みや折れ曲り、巻き込み等を防ぐことができる。
【0088】
変形例における光学ヘッド41は、図14に示されるように、半導体発光素子23及び半導体受光素子33が、それぞれ一対ずつ設けられている。すなわち、上記照射光学系と検出光学系が一対設けられることとなり、1つの免疫クロマト試験用具に収容された2枚の免疫クロマト試験片の呈色度を同時に測定することができる。
【0089】
変形例に係る測定装置MDにおいては、スライダブロック13及び一対のガイドレール15は、頂部111における一対の縦壁部109及び頂部111により囲まれる空間とは反対の面の上に配置されており、頂部111には、一対のガイドレール15に挟まれる位置に、光学ヘッド41の走査方向に伸びる切り欠き111aが形成され、光学ヘッド41とスライダブロック13とは、切り欠きを通して接続されて固定されている。これにより、光学ヘッド41をシャシー105の内側、すなわち一対の縦壁部109及び頂部111により囲まれる空間内にて走査方向に確実に移動させ得る構成を簡易且つ低コストにて実現することができる。
【0090】
上記実施形態及びその変形例に係る測定装置MDでは、光学ヘッド41が載置プレート11あるいはトレイ113に対して走査方向に移動する。このため、測定装置MDは、載置プレート11あるいはトレイ113が光学ヘッド41に対して走査方向に移動する形式の測定装置に比べ、載置プレート11あるいはトレイ113側の構成が簡素化されることとなり、載置プレート11あるいはトレイ113が汚れた場合でも、比較的容易に洗浄することができる。この結果、測定装置MDは、衛生的にも優れる。
【0091】
また、変形例に係る測定装置MDにおいては、トレイ113は、シャシー105に対して、着脱可能である。これにより、トレイ113を容易に洗浄することができ、衛生的により一層優れる。
【0092】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、半導体発光素子23として、発光ダイオードの代わりにレーザダイオード等のその他の半導体発光素子を用いてもよい。また、半導体受光素子33として、Siホトダイオードの代わりにホトトランジスタ、CCDイメージセンサ等のその他の半導体受光素子を用いてもよい。
【0093】
なお、本実施形態においては、上記バッフル部としていずれも雌ネジ形状を形成しているが、バッフル部として機能するものであれば、夫々の孔部及び筒部分と異なる内径の平板を形成する等、様々な構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、妊娠検査、便潜血検査等に用いられる免疫クロマト(イムノクロマト)試験片の測定装置に利用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する照射光学系と、前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光を検出する検出光学系と、を備えた免疫クロマト試験片の測定装置であって、
前記照射光学系は、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子からの光を、前記免疫クロマト試験片に形成される呈色ラインと略平行な方向に延びる光束断面を有する光に整形するための光束整形部材と、
前記光束整形部材からの光を前記免疫クロマト試験片上に結像させるためのレンズと、
前記半導体発光素子と前記光束整形部材との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第1バッフル部と、
前記光束整形部材と前記レンズとの間に配置され、迷光を除去するための筒状の第2バッフル部と、
前記レンズと前記免疫クロマト試験片の間に配置され、迷光を除去するための筒状の第3バッフル部と、
を有することを特徴とする免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項2】
前記照射光学系は、前記第1バッフル部と前記光束整形部材との間に配置され、前記第1バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項3】
前記照射光学系は、前記光束整形部材と前記第2バッフル部との間に配置され、前記第2バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項4】
前記照射光学系は、前記レンズと前記第3バッフル部との間に配置され、前記第3バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項5】
前記照射光学系は、光学ヘッドに装着されており、当該光学ヘッドは、
前記第3バッフル部として機能するように所定の内径を有する第1の孔部と、前記第1の孔部よりも大きな内径を有する第2の孔部と、前記第2の孔部よりも大きな内径を有し前記レンズが挿入される第3の孔部と、前記第3の孔部よりも大きな内径を有する第4の孔部と、前記第4の孔部よりも大きな内径を有する第5の孔部と、が連続して形成された第1の部材と、
前記第5の孔部に内挿され、前記半導体発光素子が挿入される第6の孔部と前記第1バッフル部として機能するように所定の内径を有する第7の孔部とが連続して形成された第2の部材と、
前記第4の孔部に内挿され、一端側部分が前記第2バッフル部として機能するように所定の内径を有する筒状部材と、を含み、
前記第2の孔部と前記第3の孔部との境界部に形成される段部と前記筒状部材とで前記レンズが固定され、
前記第4の孔部と前記第5の孔部との境界部に形成される段部と前記第2の部材とで前記光束整形部材が固定されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項6】
前記第2の部材には、前記第7の孔部よりも大きな内径を有する第8の孔部が当該第7の孔部に連続して形成されていることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項7】
前記筒状部材は、他端側部分の内径が前記一端側部分の内径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項8】
前記第1の孔部、前記第7の孔部、及び、前記筒状部材の前記一端側部分の内側には、雌ネジが形成されていることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項9】
前記照射光学系及び前記検出光学系が装着される光学ヘッドと、
前記免疫クロマト試験片を載置するための載置プレートと、
前記呈色ラインを横切る走査方向に前記載置プレートと前記光学ヘッドとを相対移動させる走査機構と、を更に有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項10】
前記半導体発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項11】
前記光束整形部材は、前記免疫クロマト試験片に形成される前記呈色ラインと略平行な方向に延びるスリットが形成された板状部材であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項12】
測定対象物にスリット光を照射する光源装置であって、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子からの光を、スリット光に整形するための光束整形部材と、
前記光束整形部材からの光を前記測定対象物上に結像させるためのレンズと、
前記半導体発光素子と前記光束整形部材との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第1バッフル部と、
前記光束整形部材と前記レンズとの間に配置され、迷光を除去するための筒状の第2バッフル部と、
前記レンズと前記測定対象物の間に配置され、迷光を除去するための筒状の第3バッフル部と、
を有することを特徴とする光源装置。
【請求項13】
前記第1バッフル部と前記光束整形部材との間に配置され、前記第1バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の光源装置。
【請求項14】
前記光束整形部材と前記第2バッフル部との間に配置され、前記第2バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の光源装置。
【請求項15】
前記レンズと前記第3バッフル部との間に配置され、前記第3バッフル部よりも大径の筒状空間部を更に有することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の光源装置。
【請求項16】
免疫クロマト試験片を載置する台と、
前記台に向けて測定光を照射する照射光学系と、
前記台側から入射する光を検出する検出光学系と、を備えており、
前記照射光学系及び前記検出光学系は、前記台に対して所定の走査方向に相対的に移動し、
前記照射光学系は、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子からの光を、前記所定の走査方向と交差する方向に延びる光束断面を有する光に整形する光束整形部材と、
前記光束整形部材からの光を結像させるレンズと、
前記半導体発光素子と前記光束整形部材との間に配置され、迷光を除去するための筒状の第1バッフル部と、
前記光束整形部材と前記レンズとの間に配置され、迷光を除去するための筒状の第2バッフル部と、
前記レンズと前記台の間に配置され、迷光を除去するための筒状の第3バッフル部と、
を有することを特徴とする免疫クロマト試験片の測定装置。

【国際公開番号】WO2004/077030
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502920(P2005−502920)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002259
【国際出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】