免疫クロマト試験片の測定装置
【課題】検体の流速を測定でき、その測定結果に基づく反応度の補正を容易にする免疫クロマト試験片の測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置1aは、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子21,31と、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)への測定光の照射による免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子22と、第1の位置より下流側の第2の位置(帯状領域41d)への測定光の照射による免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子32と、光検出素子22,32からの出力信号に基づいて、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの時間を取得する制御部13とを備える。
【解決手段】測定装置1aは、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子21,31と、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)への測定光の照射による免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子22と、第1の位置より下流側の第2の位置(帯状領域41d)への測定光の照射による免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子32と、光検出素子22,32からの出力信号に基づいて、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの時間を取得する制御部13とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫クロマト試験片の測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫クロマト試験片には、検体中の抗原(または抗体)との間で抗原抗体反応を起こす抗体(または抗原)が反応領域に予め帯状に塗布されている。この試験片の反応領域に色素で標識された検体中の抗原(または抗体)が展開されると、帯状に塗布された抗体(または抗原)との間で検体中の抗原(または抗体)が抗原抗体反応を起こしてトラップされ、反応領域には色素により発色したラインが形成される。このような免疫クロマト試験片においては、反応領域に形成されたラインの呈色度(反応度)を測定装置により光学的に測定することで、検体中の抗原(または抗体)の量を定量的に分析することができる。
【0003】
特許文献1〜3には、免疫クロマト試験片に光を照射し、その反射光の強度を検出することにより試験片の呈色度を測定する装置が開示されている。特許文献1に記載された装置は、位置が固定された測定系(発光手段及び受光手段)に対して試験片を移動させ、反射光を連続的に検出することにより呈色度を測定している。また、特許文献2に記載された装置は、検体が流れる(展開する)方向に沿って並置された複数の発光素子及び受光素子を備えており、各受光素子への反射光強度に基づいて呈色度を測定している。また、特許文献3に記載された装置は、試験片上の任意の一点で反射光強度の変化を検知したのち、その変化から一定時間後に自動的に測定を開始している。
【特許文献1】特開平11−83745号公報
【特許文献2】特開平10−274624号公報
【特許文献3】特開2003−4743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検体中の抗原(または抗体)の量が同じでも、反応領域の反応度にはばらつきが生じてしまうことが問題となっていた。検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析するためには、このような反応度のばらつきによる影響を極力抑えることが望ましい。
【0005】
本発明者は、このような反応度のばらつきが、検体の流速(展開速度)のばらつきと関係があることを見出した。すなわち、反応度のばらつきを生じせしめる何らかの要因は、検体の流速(展開速度)のばらつきとして現れるのである。従って、検体の流速を測定し、その測定結果に基づいて反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。しかし、上記した特許文献1〜3に記載された装置では、検体の流速を測定することが出来ないので、このような補正を行うことが困難である。
【0006】
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、検体の流速を測定でき、その測定結果に基づく反応度の補正を容易にする免疫クロマト試験片の測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明による第1の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置への測定光の照射により免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第1の光検出手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置より下流側の第2の位置への測定光の照射により免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第2の光検出手段と、第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得する制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
免疫クロマト試験片に展開された検体は、光を吸収したり、或いは蛍光物質と共に展開されていたりするので、免疫クロマト試験片上において検体が到達した位置では、測定光に対する光学特性が変化する。上記した第1の測定装置は、第1の位置から得られる光を検出する第1の光検出手段と、第1の位置より下流側の第2の位置から得られる光を検出する第2の光検出手段とを備えているので、これらの光検出手段によって光学特性の変化を検知することにより、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)、抗原抗体反応を生じる反応ラインの反応度を測定結果に基づいて補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0009】
また、本発明による第2の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、測定光の照射により免疫クロマト試験片から得られる光を検出する光検出手段と、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
免疫クロマト試験片の検体流動方向に試験片支持部と光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御部とを備え、制御部が、免疫クロマト試験片上の第1の位置からの光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させた後、第1の位置より下流側の第2の位置からの光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させ、光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする。
【0010】
この第2の測定装置においては、駆動機構及び制御部によって、試験片上の第1の位置から得られる光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが相対移動した後、第2の位置から得られる光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが再び相対移動する。従って、第1及び第2の位置における光学特性の変化を好適に検知できるので、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)、抗原抗体反応を生じる反応ラインの反応度を測定結果に基づいて補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0011】
また、本発明による第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第1の光検出手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置より下流側の第2の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第2の光検出手段と、第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得する制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
免疫クロマト試験片に展開された検体は光を吸収するので、免疫クロマト試験片上において検体が到達した位置の吸光度は低下する。上記した第1の測定装置は、第1の位置における反射光を検出する第1の光検出手段と、第1の位置より下流側の第2の位置における反射光を検出する第2の光検出手段とを備えているので、これらの光検出手段によって吸光度の変化を検知することにより、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0013】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1及び第2の光照射手段を備え、第1の光検出手段は、第1の光照射手段の照射による反射光を検出し、第2の光検出手段は、第2の光照射手段の照射による反射光を検出することを特徴としてもよい。これにより、第1及び第2の光検出手段によって第1及び第2の位置それぞれへ安定的に光を照射し、検体の流速の測定精度を高めることができる。
【0014】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1の光照射手段及び第1の光検出手段が一体に組み込まれた第1の光学ヘッドと、第2の光照射手段及び第2の光検出手段が一体に組み込まれた第2の光学ヘッドとを備え、第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方が、測定光及び反射光の光路を覆う部材を有することを特徴としてもよい。このように、光照射手段及び光検出手段の組が光学ヘッドに一体に組み込まれることにより、光照射手段及び光検出手段が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方において測定光及び反射光の光路を覆うことにより、当該光学ヘッドの光検出手段へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0015】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1の光学ヘッドと第2の光学ヘッドとの間隔が可変であることを特徴としてもよい。これにより、第1の光学ヘッドと第2の光学ヘッドとの間隔を試験片の大きさ等に容易に対応させることができる。
【0016】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1及び第2の光照射手段、並びに第1及び第2の光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、光学ヘッドが、測定光及び反射光の光路を覆う部材を有することを特徴としてもよい。このように、各光照射手段及び各光検出手段が光学ヘッドに一体に組み込まれることにより、光照射手段及び光検出手段が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、光学ヘッドにおいて測定光及び反射光の光路を覆うことにより、第1及び第2の光検出手段へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0017】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1の光照射手段が消灯した後に第2の光照射手段が点灯することを特徴としてもよい。これにより、第1の光検出手段に第2の光照射手段からの光が入射せず、また、第2の検出手段に第1の光照射手段からの光が入射しないので、第1及び第2の位置それぞれにおける反射光の検出精度を高めることができる。
【0018】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域における吸光度を取得することを特徴としてもよい。このように、第1の位置における吸光度が変化してから所定時間が経過した後に制御部が帯状領域の吸光度を取得することにより、この所定時間の間に抗原抗体反応が進行してラインが明確に発現するので、制御部において反応度の測定をより精度よく行うことができる。
【0019】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、制御部によって制御され、第1及び第2の光照射手段の一方または双方と試験片支持部とを免疫クロマト試験片の検体流動方向に相対移動させる駆動機構とを更に備え、制御部は、上記所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域を通過するように第1または第2の光照射手段の測定光を検体流動方向に走査させることを特徴としてもよい。このように、反応ラインとなる帯状領域及びその周辺を測定光で走査し、その反射光を検出することにより、反応ラインの位置に誤差が生じた場合でも確実に反応度を測定できる。
【0020】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、制御部が、第2の位置における吸光度が変化した後に第2の光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて所定時間経過後の走査を行わせることを特徴としてもよい。これにより、第2の光照射手段の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、第2の光照射手段の寿命を延ばすことができる。
【0021】
また、本発明による第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光を検出する光検出手段と、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、免疫クロマト試験片の検体流動方向に試験片支持部と光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御部とを備え、制御部が、免疫クロマト試験片上の第1の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させた後、第1の位置より下流側の第2の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させ、光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする。
【0022】
この第4の測定装置においては、駆動機構及び制御部によって、試験片上の第1の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが相対移動した後、第2の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが再び相対移動する。従って、第1及び第2の位置における吸光度の変化を好適に検知できるので、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0023】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、光照射手段及び光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、駆動機構は、試験片支持部と光学ヘッドとを相対移動させることを特徴としてもよい。このように、光照射手段及び光検出手段が光学ヘッドに一体に組み込まれることにより、光照射手段及び光検出手段が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。
【0024】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域における吸光度を取得することを特徴としてもよい。このように、第1の位置における吸光度が変化してから所定時間が経過した後に制御部が帯状領域の吸光度を取得することにより、この所定時間の間に抗原抗体反応が進行して反応ラインが明確に発現するので、制御部において反応度の測定をより精度よく行うことができる。
【0025】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、制御部が、上記所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域を通過するように光照射手段の測定光を検体流動方向に走査させることを特徴としてもよい。このように、反応ラインとなる帯状領域及びその周辺の反射光データを測定光で走査し、その反射光を検出することにより、反応ラインの位置に誤差が生じた場合でも確実に反応度を測定できる。
【0026】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、制御部が、第2の位置における吸光度が変化した後に光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて所定時間経過後の走査を行わせることを特徴としてもよい。これにより、光照射手段の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、光照射手段の寿命を延ばすことができる。
【0027】
また、第3及び第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片が、第1の抗原抗体反応を生じる第1の帯状領域と、第1の帯状領域より下流側に設けられ第2の抗抗原抗体反応を生じる第2の帯状領域とを有し、第1の位置が第1の帯状領域内であり、第2の位置が第2の帯状領域内であることが好ましい。これにより、第1の位置および第2の位置において、より明確に吸光度の変化を検知することができる。
【0028】
また、本発明による第5の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第1の光検出手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置より下流側の第2の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第2の光検出手段と、第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における吸光度または蛍光強度が変化してから第2の位置における吸光度または蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する制御部とを備えることを特徴とする。
【0029】
検体中の抗原(または抗体)と結合するための抗体(または抗原)が蛍光物質により標識される場合、免疫クロマト試験片上において検体が到達した位置を測定光により励起すると蛍光が発生する。また、免疫クロマト試験片に展開された検体は光を吸収するので、検体が到達した位置では吸光度が低下する。上記した第5の測定装置は、第1の位置における反射光または蛍光を検出する第1の光検出手段と、第1の位置より下流側の第2の位置における反射光または蛍光を検出する第2の光検出手段とを備えているので、これらの光検出手段によって吸光度の変化または蛍光強度の変化を検知することにより、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における吸光度または蛍光強度が変化してから第2の位置における吸光度または蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応ラインの反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0030】
また、本発明による第6の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、測定光の照射による免疫クロマト試験片からの蛍光を検出する光検出手段と、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、免疫クロマト試験片の検体流動方向に試験片支持部と光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御部とを備え、制御部が、免疫クロマト試験片上の第1の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させた後、第1の位置より下流側の第2の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させ、光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における蛍光強度が変化してから第2の位置における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする。
【0031】
この第6の測定装置においては、駆動機構及び制御部によって、試験片上の第1の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが相対移動した後、第2の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが再び相対移動する。従って、第1及び第2の位置における蛍光強度の変化を好適に検知できるので、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における蛍光強度が変化してから第2の位置における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応ラインの反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明による免疫クロマト試験片の測定装置によれば、検体の流速を測定でき、その測定結果に基づく反応度の補正を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら本発明による免疫クロマト試験片の測定装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第1実施形態を示す斜視図である。本実施形態の測定装置1aは、免疫クロマト試験片41に形成された呈色ライン(反応ライン)であるテストラインTL及びコントロールラインCLに測定光を照射し、その反射光の強度を検出することにより呈色ラインTL及びCLの呈色度(反応度)を測定する装置である。この測定装置1aは、図1に示されるように、免疫クロマト試験片41を有する免疫クロマト試験用具42を支持するための載置プレート(試験片支持部)11と、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(第1の光照射手段)21及び免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子(第1の光検出手段)22が一体に組み込まれた第1の光学ヘッド2と、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(第2の光照射手段)31及び免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子(第2の光検出手段)32が一体に組み込まれた第2の光学ヘッド3と、光学ヘッド2及び3に対して載置プレート11を検体流動方向に相対移動させる駆動機構12と、光学ヘッド2,3及び駆動機構12を制御する制御部13とを備える。
【0035】
ここで、図2は、免疫クロマト試験用具42の平面図である。図2に示されるように、免疫クロマト試験用具42は、平面視長方形状のケーシング43と、当該ケーシング43内に保持されている免疫クロマト試験片41とを有している。
【0036】
ケーシング43には、その長辺方向に沿って、検体を滴下するための検体点着ウィンドウ44と、免疫クロマト試験片41の呈色部分を露出させる観測用ウィンドウ45とが設けられている。検体点着ウィンドウ44を成形する縁部44a〜44d及び観測用ウィンドウ45を成形する縁部45a〜45dは、免疫クロマト試験片41に向かって傾斜して設けられており、テーパー型に形成されている。
【0037】
免疫クロマト試験片41は、ニトロセルロースメンブレンや濾紙などの材質からなり、長方形状を呈している。免疫クロマト試験片41は、検体点着ウィンドウ44に対応する位置に設けられる検体点着部41aと、観測用ウィンドウ45に対応する位置に設けられる検出部41bとを有している。検出部41bは、免疫クロマト試験片41の長手方向である検体流動方向(図中の矢印A)と交差する方向に延びる第1の帯状領域41cと、帯状領域41cに対し平行に、且つ検体流動方向Aの下流側に設けられた第2の帯状領域41dとを有する。帯状領域41cには、検体中の抗原(又は抗体)と第1の抗原抗体反応を生じる抗体(又は抗原)がライン状(帯状)に塗布され、帯状領域41dには、色素で標識された、検体中の抗原(又は抗体)と結合する抗体(または抗原)(以下標準色素とする)に対して、第2の抗原抗体反応を生じる抗体(又は抗原)がライン状(帯状)に塗布されて、それぞれ固定化されている。
【0038】
検体は、検体点着ウィンドウ44から免疫クロマト試験片41の検体点着部41aに滴下される。検体中の抗原(又は抗体)は標識色素と結合し、検体中の抗原(又は抗体)と標識色素との結合体や未反応の標識色素は免疫クロマト試験片41の長辺方向に移動する。いま、仮に検体中に抗原が含まれており、抗原が帯状領域41cにおいて抗原抗体反応するものとする。検体の移動に伴い、検体中の抗原と帯状領域41cに固定されている抗体とが特異的に反応し、反応した帯状領域41cには標識色素により呈色ライン(テストラインTL)が形成される。一方、未反応の標識色素は、帯状領域41dに固定されている抗体と特異的に反応し、反応した帯状領域41dには標識色素により呈色ライン(コントロールラインCL)が形成される。なお、呈色ラインTL及びCLの幅は、通常、1.0mm程度である。また、呈色ラインTL及びCLの長手方向の長さは、通常、5mm程度である。
【0039】
図3は、検体の移動方向に沿った光学ヘッド2の側面断面図である。また、図4は、光学ヘッド2及び免疫クロマト試験用具42を示す斜視図である。なお、理解を容易にするため、図4においては光学ヘッド2が有する樹脂部材25及びPC基板26の図示を省略している。
【0040】
光学ヘッド2は、図3及び図4に示されるように、発光素子21と、光検出素子22と、光束整形部材23及び24と、樹脂部材25(図3)と、PC基板26(図3)とを有している。本実施形態においては、発光素子21として発光ダイオード(LED)といった半導体発光素子が用いられており、光検出素子22としてシリコン(Si)フォトダイオードといった半導体光検出素子が用いられている。発光素子21は、その光軸が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるようにPC基板26の裏面26aに実装されており、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する。光検出素子22は、該光検出素子22に結合された2本の金属棒27を介してPC基板26に実装されており、免疫クロマト試験片41からの反射光を光検出面22aに受け、反射光の強度に応じた電気信号に変換する。本実施形態の光検出素子22は、発光素子21の光軸に対して検体流動方向Aの下流側に配置されている。
【0041】
光束整形部材23及び24は、発光素子21からの光を、免疫クロマト試験片41の帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向に延びる光束断面を有する光に整形するための部材であり、発光素子21の光軸方向(免疫クロマト試験片41の表面に対し垂直な方向)に並置されている。光束整形部材23は、略円形状のアパーチャ23aが形成された板状部材からなる。光束整形部材24は、帯状領域41c及び41dに対し略平行に延びるスリット24aが形成された板状部材からなる。光検出素子22及び光束整形部材23,24は、図3に示されるように、PC基板26の裏面26aに接合されたブロック状の樹脂部材25に一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。
【0042】
図5は、光学ヘッド3及び免疫クロマト試験用具42を示す斜視図である。また、図6は、図5に示す光学ヘッド3のVI−VI断面に沿った断面図である。
【0043】
光学ヘッド3は、発光素子31と、光検出素子32と、光束整形部材33と、レンズ34とを有しており、これらは部材35及び36によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。本実施形態においては、発光素子31として発光ダイオード(LED)といった半導体発光素子が用いられており、光検出素子32としてシリコン(Si)フォトダイオードといった半導体光検出素子が用いられている。発光素子31は、その光軸が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材36に保持されており、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する。光検出素子32は、免疫クロマト試験片41上の測定光の照射位置から帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0044】
光束整形部材33は、発光素子31からの光を、免疫クロマト試験片41の帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向に延びる光束断面を有する光に整形するための部材である。光束整形部材33は、帯状領域41c及び41dに対し略平行に延びるスリット33aが形成された板状部材からなる。光束整形部材33は、図6に示すように、部材35と、部材35の凹部に嵌入され発光素子31を保持する部材36との間に挟み込まれ、固定されている。また、レンズ34は、光束整形部材33からの光(帯状領域41c及び41dと略平行なスリット光)を免疫クロマト試験片41上に結像させるためのものである。レンズ34は、発光素子31から出射される測定光の光軸上に配置され、部材35に保持されている。
【0045】
部材35は、光検出素子32及びレンズ34を保持する部材である。部材35には、発光素子31から出射される測定光の光路を覆う孔35aと、免疫クロマト試験片41から反射して光検出素子32へ入射する光の光路を覆う孔35bとが形成されている。孔35aの一端には部材36に保持された発光素子31がスリット33aを介して配置され、孔35aの他端は免疫クロマト試験片41の光照射位置と対向している。また、レンズ34は孔35a内に保持されている。孔35bの一端には光検出素子32が配置され、孔35bの他端は免疫クロマト試験片41の光照射位置と対向している。この構成により、孔35a及び35bは、発光素子31から出射された測定光が光学ヘッド3の外部へ漏れること、及び、光検出素子32に反射光以外のノイズ光(迷光)が入射することを防止するバッフル部として機能する。
【0046】
再び図1を参照する。駆動機構12は、光学ヘッド2及び3に対して載置プレート11を検体流動方向Aに沿って移動させるための機構である。駆動機構12は、検体流動方向Aに沿って載置プレート11の側面に形成されたラック16に噛み合うピニオン17と、このピニオン17に噛み合うウォームギア18が固定された駆動モータ19などを有する。この駆動機構12では、駆動モータ19によりウォームギア18が正転方向に回転すると、ピニオン17が減速して回転駆動され、このピニオン17にラック16が噛み合う載置プレート11が検体流動方向Aとは逆方向に移動する。その結果、光学ヘッド2及び3が載置プレート11に対して検体流動方向Aに相対的に移動する。
【0047】
制御部13は、駆動モータ19の回転制御、発光素子21及び31の点灯制御、並びに光検出素子22及び32の出力信号の処理のために設けられる。
【0048】
続いて、本実施形態による測定装置1aの動作について、図7〜図12を参照しながら説明する。図7及び図8は、測定装置1aの動作を示すフローチャートである。また、図9〜図12は、測定装置1aの動作の様子を説明するための斜視図である。なお、図9〜図12においては、図1に示した駆動機構12及び制御部13の図示を省略している。
【0049】
まず、測定者が免疫クロマト試験用具42を載置プレート11上にセットする(ステップS1)。そして、制御部13は、予め定められた免疫クロマト試験片41上の第1の位置からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド2とを相対移動させる。具体的には、制御部13は、駆動機構12を作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が光学ヘッド2の発光素子21の光出射方向(具体的には、アパーチャ23a及びスリット24aを通過した光が進む方向)に位置するように、光学ヘッド2と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS2)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が、第1の帯状領域41c内に設定されているものとする。従って、図9に示すように、帯状領域41cが発光素子21の光出射方向に位置することとなる。
【0050】
続いて、測定者が検体を検体点着部41aに滴下したのち、発光素子21が、免疫クロマト試験片41の第1の位置(すなわち帯状領域41c)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子22が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部13へ送られ、制御部13は、この電気信号に基づいて第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を検知する(ステップS3)。なお、このとき、発光素子31は消灯している。
【0051】
ここで、図13(a)は、第1の位置(帯状領域41c)における光学特性(吸光度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。図13(a)において、縦軸は第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を示し、横軸は時間を示している。通常、乾いた状態の免疫クロマト試験片41は吸光度が小さく、光検出素子22において比較的大きな強度P1の反射光が検出される。そして、第1の位置(帯状領域41c)に検体が到達すると、検体が測定光の一部を吸収し、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が大きくなるので、光検出素子22への反射光強度は強度P1よりも小さい強度P2へ変化する。制御部13は、光検出素子22からの電気信号に基づいて吸光度の変化を観測し(ステップS4)、吸光度が変化した時刻taに計時を開始する(ステップS5)。制御部13は、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知したのち、発光素子21を消灯させる。
【0052】
続いて、制御部13は、第1の位置より下流側の免疫クロマト試験片41上の第2の位置からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド3とを相対移動させる。具体的には、制御部13は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第2の位置が光学ヘッド3の発光素子31の光出射方向(スリット33a及びレンズ34を通過した光が進む方向)に位置するように、光学ヘッド3と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS6)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第2の位置を、第2の帯状領域41d内に設定するものとする。従って、図10に示すように、帯状領域41dが発光素子31の光出射方向に位置することとなる。その後、制御部13は発光素子31を点灯させ、発光素子31が、免疫クロマト試験片41の第2の位置(すなわち帯状領域41d)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子32が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部13へ送られ、制御部13は、この電気信号に基づいて第2の位置(帯状領域41d)における反射光強度を検知する(ステップS7)。
【0053】
図13(b)は、第2の位置(帯状領域41d)における光学特性(吸光度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。図13(b)において、縦軸は第2の位置(帯状領域41d)における反射光強度を示し、横軸は時間を示している。上述したように、検体が第2の位置(帯状領域41d)に到達するまでは、光検出素子32において比較的大きな強度P1の反射光が検出される。そして、第2の位置(帯状領域41d)に検体が到達すると、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が大きくなるので、光検出素子32への反射光強度は強度P2(<P1)へ変化する。制御部13は、光検出素子32からの電気信号に基づいて吸光度の変化を観測し(ステップS8)、吸光度が変化した時刻tbと時刻taとの差(tb−ta)、すなわち第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの経過時間を取得する(ステップS9)。制御部13は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化したのち、発光素子31を一旦消灯させる。
【0054】
続いて、制御部13は時刻taを基準として所定時間のカウントを行う(ステップS10)。この所定時間の間に、上述した第1および第2の抗原抗体反応が進行し、帯状領域41c及び41dが呈色して呈色ラインTL及びCLが発現する。この所定時間は、上記経過時間(tb−ta)よりも長く、例えば15分程度に設定され、検体の種類によって適宜調整される。
【0055】
制御部13は、発光素子31を再び点灯させ、時刻taから所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子32により反射光を連続的に(または断続的に)検出し、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る(ステップS11)。具体的には、制御部13は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、図11に示すように、発光素子31の光出射方向に検出部41bの上流側の一端を位置させる。そして、制御部13は、発光素子31の光出射方向に検出部41bの下流側の一端が位置するまで(図12参照)測定光の照射位置を下流側へ移動させながら(すなわち、免疫クロマト試験片41を光学ヘッド3に対し相対的に上流側へ移動させながら)、発光素子31に測定光を照射させつつ、光検出素子32により反射光強度に応じた電気信号を取得する。
【0056】
図14は、上記動作により得られる測定光の吸光プロファイルの一例を示す図である。図14において、縦軸は反射光強度を示しており、横軸は検体流動方向における検出部41b上の位置を示している。制御部13は、例えば図14に示されるような吸光プロファイルを作成し、この吸光プロファイルから、免疫クロマト試験片41上のテストラインTLの吸光度ABS1、コントロールラインCLの吸光度ABS2を、それぞれABS1=log(a1/a0)、ABS2=log(a2/a0)の演算式により算出する。この吸光度ABS1及びABS2が、すなわち各呈色ラインTL,CLの呈色度を表している。そして、制御部13は、予め設定された関係式に基づいて吸光度ABS1、ABS2を時間(tb−ta)により補正する。制御部13は、コントロールラインCLの補正後の吸光度ABS2に基づいて測定の成否を判定すると共に、予め作成された検量特性線図を参照することにより、テストラインTLの補正後の吸光度ABS1に応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを表示装置や印刷装置などの出力手段により出力する(ステップS12)。
【0057】
このようにして、本実施形態の測定装置1aは、免疫クロマト試験片41の検出部41bに形成されたテストラインTL及びコントロールラインCLの呈色度を測定する。
【0058】
本実施形態の測定装置1aによって得られる効果について説明する。本発明者は、呈色ライン(反応ライン)における呈色度(反応度)のばらつきと検体の流速(展開速度)のばらつきとの間に何らかの相関があることに着目した。そして、図15に示すように、実際に13個の免疫クロマト試験片M1〜M13を用意し、環境条件等を変化させることにより各試験片M1〜M13の流速にばらつきを持たせた上で、同濃度の抗原(または抗体)を含む検体を滴下し、免疫クロマト試験片上の第1の位置を検体が通過する時刻ta、第2の位置を検体が通過する時刻tb、差(tb−ta)、及び15分後のテストラインTLにおける吸光度ABS1を調べた。なお、以下の実施例において、免疫クロマト試験片としてはニトロセルロースメンブレンを界面活性剤で処理したものを用い、検体としてはリン酸バッファ液中に濃度100[ng/mol]のタンパク質を混入したものを用いた。
【0059】
図16は、吸光度ABS1と時間(tb−ta)とを座標軸上にプロットした図である。図16を参照すると、吸光度ABS1と時間(tb−ta)との間には、時間(tb−ta)が長いほど吸光度ABS1が大きくなるといった相関があることがわかる。従って、図16に示すように、このような相関を例えば一次近似直線G1で表し、この直線G1に基づいて吸光度ABS1を補正すれば、呈色度のばらつきの影響を抑えたより正確な吸光度ABS1が得られる。
【0060】
この実施例においては、一次近似直線G1は次の数式(1)で表される。
ABS1=0.0036×(tb−ta)+0.0338 …(1)
そして、次の数式(2)を用いて補正した吸光度ABS1を、図15の最右列に示す。
(補正ABS1)=(実測ABS1)−0.0036×(tb−ta) …(2)
【0061】
この補正後の吸光度ABS1を評価するため、補正前の吸光度ABS1、補正後の吸光度ABS1それぞれの変動係数(ばらつき度)CVを算出した。その結果、補正前の変動係数CVは6.5、補正後の変動係数CVは4.4となり、各試験片M1〜M13の吸光度ABS1のばらつきが補正により低減されることが示された。このように、時間(tb−ta)すなわち検体の流速を測定し、その測定結果に基づいて吸光度(呈色度)を補正すれば、呈色度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0062】
本実施形態の測定装置1aによれば、第1の位置(帯状領域41c)における反射光を検出する第1の光検出素子22と、第2の位置(帯状領域41d)における反射光を検出する第2の光検出素子32とによって各位置における吸光度の変化を検知することにより、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。そして、制御部13が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの時間(tb−ta)を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、制御部13が(または測定者が)経過時間(tb−ta)に基づいて呈色ラインTL及びCLの吸光度(呈色度)を補正することにより、呈色度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0063】
また、本実施形態のように、測定装置1aが各光検出素子22,32に対応する発光素子21,31を備え、光検出素子22が発光素子21の照射による反射光を検出し、光検出素子32が発光素子31の照射による反射光を検出することが好ましい。これにより、第1の位置(帯状領域41c)及び第2の位置(帯状領域41d)それぞれへ安定的に光を照射し、吸光度の変化の検出精度、ひいては検体の流速の測定精度を高めることができる。
【0064】
また、本実施形態のように、発光素子21及び光検出素子22が光学ヘッド2に一体に組み込まれ、発光素子31及び光検出素子32が光学ヘッド3に一体に組み込まれることによって、発光素子21及び光検出素子22、並びに発光素子31及び光検出素子32が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、光学ヘッド2,3のうち少なくとも一方(本実施形態では光学ヘッド3)が、測定光及び反射光の光路を覆う部材35(図6参照)を有することによって、当該光学ヘッドの光検出素子へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0065】
また、本実施形態のように、測定装置1aにおいては、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域(本実施形態では2本の帯状領域41c,41d)を免疫クロマト試験片41が有し、制御部13が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから時間(tb−ta)よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域41c,41dにおける吸光度を取得することが好ましい。このように、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから時間(tb−ta)よりも長い所定時間が経過した後に帯状領域41c,41dの吸光度を取得することにより、この所定時間の間に抗原抗体反応が進行して呈色ラインTL,CLが明確に発現するので、制御部13において呈色度の測定をより精度よく行うことができる。また、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度の変化を所定時間の計測開始としているために、操作者により計測開始ボタンを押す等の計測開始入力とは異なり、入力タイミングと実際に計測を開始すべきタイミングとのばらつきや、入力し忘れ等の問題が生じない。
【0066】
また、本実施形態のように、測定装置1aは、免疫クロマト試験片41を支持する載置プレート11と、検体流動方向に載置プレート11と光学ヘッド2,3とを相対移動させる駆動機構12とを備えることが好ましい。そして、制御部13が、上記所定時間経過後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子32により反射光を連続的または断続的に検出することが好ましい。これにより、呈色ラインTL,CLとなる帯状領域41c,41d及びその周辺の反射光データを取得し、図14に示したような吸光プロファイルを作成できるので、呈色ラインTL,CLの位置に誤差が生じた場合でも確実に吸光度(呈色度)を測定できる。
【0067】
また、本実施形態のように、制御部13は、光学ヘッド2によって第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知したのち、光学ヘッド2の発光素子21を消灯させ、その後に光学ヘッド3の発光素子31を点灯させて第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知することが好ましい。これにより、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知する際に光検出素子22に発光素子31からの光が入射せず、また、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知する際に光検出素子32に発光素子21からの光が入射しないので、第1及び第2の位置それぞれにおける反射光の検出精度を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態のように、制御部13は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知した後に発光素子31を一旦消灯し、その後再び点灯させて、図8に示したステップS11の動作(発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させ、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る)を行わせることが好ましい。これにより、発光素子31の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、発光素子31の寿命を延ばすことができる。第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してからステップS11を行うまでの所定時間が15分程度である場合、例えば14分程度経過した時点で発光素子31を再点灯させるとよい。
【0069】
また、本実施形態の光学ヘッド2と光学ヘッド3との間隔は、可変であることが好ましい。これにより、光学ヘッド2と光学ヘッド3との間隔を免疫クロマト試験片41の大きさ等に容易に対応させることができる。
【0070】
なお、本実施形態において、駆動機構12は、発光素子21及び31の双方と載置プレート11とを検体流動方向に相対移動させているが、発光素子21及び31のいずれか一方と載置プレート11とを検体流動方向に相対移動させてもよい。この場合、図8に示したステップS11を行う発光素子(本実施形態では発光素子31)と載置プレート11とを相対移動させることが好ましい。
【0071】
(第2の実施の形態)
図17は、本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第2実施形態を示す斜視図である。本実施形態の測定装置1bと上記第1実施形態との相違点は、第1の光学ヘッドの有無である。すなわち、本実施形態の測定装置1bは図1に示されるような光学ヘッド2を備えておらず、本実施形態の制御部14は、光学ヘッド3を用いて第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化の検知、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化の検知、及び測定光の吸光プロファイルの作成を行う。なお、本実施形態における光学ヘッド3、駆動機構12、及び免疫クロマト試験用具42の構成は、第1実施形態と同様である。
【0072】
本実施形態の測定装置1bの動作について、図18〜図23を参照しながら説明する。図18及び図19は、測定装置1bの動作を示すフローチャートである。また、図20〜図23は、測定装置1bの動作の様子を説明するための斜視図である。なお、図20〜図23においては、図17に示した駆動機構12及び制御部14の図示を省略している。
【0073】
まず、測定者が免疫クロマト試験用具42を載置プレート11上にセットする(ステップS21)。そして、制御部14は、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド3とを相対移動させる。具体的には、制御部14は、駆動機構12を作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)が光学ヘッド3の発光素子31の光出射方向に位置するように(図20参照)、光学ヘッド3と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS22)。
【0074】
続いて、測定者が検体を検体点着部41aに滴下したのち、発光素子31が、免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子32が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部14へ送られ、制御部14は、この電気信号に基づいて第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を検知する(ステップS23)。制御部14は、この電気信号に基づいて光学特性(吸光度)の変化を観測し(ステップS24)、吸光度が変化した時刻taに計時を開始する(ステップS25)。
【0075】
続いて、制御部14は、免疫クロマト試験片41上の第2の位置(帯状領域41d)からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド3とを相対移動させる。すなわち、制御部14は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第2の位置(帯状領域41d)が光学ヘッド3の発光素子31の光出射方向に位置するように(図21参照)、光学ヘッド3と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS26)。その後、発光素子31が第2の位置(帯状領域41d)に測定光を照射し、その反射光の強度に応じた電気信号を光検出素子32が出力する。制御部14は、この電気信号に基づいて第2の位置(帯状領域41d)における反射光強度を検知する(ステップS27)。制御部14は、この電気信号に基づいて光学特性(吸光度)の変化を観測し(ステップS28)、吸光度が変化した時刻tbと時刻taとの差(tb−ta)を取得する(ステップS29)。制御部14は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化したのち、発光素子31を一旦消灯させる。
【0076】
続いて、制御部14は時刻taから所定時間のカウントを行い(ステップS30)、この間に、帯状領域41c及び41dが呈色して呈色ラインTL及びCLが発現する。制御部14は、発光素子31を再び点灯させ、時刻taから所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させつつ、光検出素子32により反射光を連続的に(または断続的に)検出し、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る(ステップS31)。すなわち、制御部14は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、図22に示すように、発光素子31の光出射方向に検出部41bの上流側の一端を位置させる。そして、制御部14は、発光素子31の光出射方向に検出部41bの下流側の一端が位置するまで(図23参照)測定光の照射位置を下流側へ移動させながら(すなわち、免疫クロマト試験片41を光学ヘッド3に対し相対的に上流側へ移動させながら)、発光素子31に測定光を照射させつつ、光検出素子32により反射光強度に応じた電気信号を取得する。
【0077】
続いて、制御部14は、吸光プロファイル(図13参照)を作成し、この吸光プロファイルから、免疫クロマト試験片41上のテストラインTLの吸光度ABS1、コントロールラインCLの吸光度ABS2を算出する。そして、制御部14は、予め設定された関係式に基づいて吸光度ABS1、ABS2を時間(tb−ta)により補正する。制御部14は、コントロールラインCLの補正後の吸光度ABS2に基づいて測定の成否を判定すると共に、予め作成された検量特性線図を参照することにより、テストラインTLの補正後の吸光度ABS1に応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを表示装置や印刷装置などの出力手段により出力する(ステップS32)。
【0078】
このようにして、本実施形態の測定装置1bは、免疫クロマト試験片41の検出部41bに形成されたテストラインTL及びコントロールラインCLの呈色度を測定する。
【0079】
本実施形態の測定装置1bによれば、第1の光検出素子22が、第1の位置(帯状領域41c)における反射光を検出するように載置プレート11に対して相対移動したのち、第2の位置(帯状領域41d)における反射光を検出するように再び相対移動する。これにより、各位置における吸光度の変化を検知して、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。そして、制御部14が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの時間(tb−ta)を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、制御部14が(または測定者が)時間(tb−ta)に基づいて呈色ラインTL及びCLの吸光度(呈色度)を補正することにより、呈色度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0080】
また、本実施形態においても、制御部14が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから時間(tb−ta)よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域41c,41dにおける吸光度を取得している。これにより、抗原抗体反応が十分に進行して呈色ラインTL,CLが明確に発現するので、制御部14において呈色度の測定をより精度よく行うことができる。また、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度の変化を所定時間の計測開始としているために、操作者により計測開始ボタンを押す等の計測開始入力とは異なり、入力タイミングと実際に計測を開始すべきタイミングとのばらつきや、入力し忘れ等の問題が生じない。
【0081】
また、本実施形態においても、制御部14が、上記所定時間経過後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子32により反射光を連続的または断続的に検出している。これにより、呈色ラインTL,CLとなる帯状領域41c,41d及びその周辺の反射光データを取得し、図14に示したような吸光プロファイルを作成できるので、呈色ラインTL,CLの位置に誤差が生じた場合でも確実に吸光度(呈色度)を測定できる。
【0082】
また、本実施形態の制御部14は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知した後に発光素子31を一旦消灯し、その後再び点灯させて、図19に示したステップS31の動作(発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させ、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る)を行わせている。これにより、発光素子31の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、発光素子31の寿命を延ばすことができる。
【0083】
(変形例)
図24は、上記第1実施形態の一変形例として、測定装置1cの構成を示す斜視図である。この測定装置1cは、第1の光学ヘッド5及び第2の光学ヘッド6を備えている。光学ヘッド5には、発光素子(第1の光照射手段)51と、光検出素子(第1の光検出手段)52とが一体に組み込まれている。光学ヘッド6には、発光素子(第2の光照射手段)61と、光検出素子(第2の光検出手段)62とが一体に組み込まれている。
【0084】
また、光学ヘッド5は、半導体発光素子51から出射される測定光を帯状領域41cと略平行なスリット光に整形するための図示しない光束整形部材及びレンズを更に有しており、半導体発光素子51、半導体光検出素子52、光束整形部材、及びレンズは、ブロック状の部材53によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。発光素子51は、その光出射方向が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材53に保持されており、免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)に測定光を照射する。光検出素子52は、第1の位置(帯状領域41c)から帯状領域41cと略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0085】
光学ヘッド6は、半導体発光素子61から出射される測定光を帯状領域41dと略平行なスリット光に整形するための図示しない光束整形部材及びレンズを更に有しており、半導体発光素子61、半導体光検出素子62、光束整形部材、及びレンズは、ブロック状の部材63によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。発光素子61は、その光出射方向が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材63に保持されており、免疫クロマト試験片41の第2の位置(帯状領域41d)に測定光を照射する。すなわち、発光素子61の出射光軸と発光素子51の出射光軸との間隔は、第1の位置(帯状領域41c)と第2の位置(帯状領域41d)との間隔と略等しく設定されている。光検出素子62は、第2の位置(帯状領域41d)から帯状領域41dと略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41の第2の位置(帯状領域41d)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0086】
なお、部材53及び63は、図6に示した孔35a,35bと同様の図示しない2つの孔をそれぞれに有しており、バッフル構造を構成している。一方の孔は、発光素子51(または61)から出射される測定光の光路を覆い、他方の孔は、免疫クロマト試験片41から反射して光検出素子52(または62)へ入射する光の光路を覆う。
【0087】
この変形例では、第1実施形態とは異なり、第1の光学ヘッド5もまた、発光素子51からの測定光の光路、及び第1の位置(帯状領域41c)からの反射光の光路を覆う部材53を有し、バッフル構造となっている。本発明に係る測定装置においては、第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方において測定光及び反射光の光路を覆うことにより、当該光学ヘッドの光検出手段へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0088】
また、本変形例のように、本発明における第1の光照射手段の出射光軸と第2の光照射手段の出射光軸との間隔は、免疫クロマト試験片の第1の位置と第2の位置との間隔に合わせて設定されていてもよい。
【0089】
図25は、上記第1実施形態の他の変形例として、測定装置1dの構成を示す斜視図である。この測定装置1dは、免疫クロマト試験片41に対して相対位置が固定された光学ヘッド7を備えている。光学ヘッド7には、発光素子71,72と、光検出素子73,74とが一体に組み込まれ、互いの位置関係が規定されている。発光素子71は本変形例における第1の光照射手段であり、発光素子72は本変形例における第2の光照射手段である。また、光検出素子73は本変形例における第1の光検出手段であり、光検出素子74は本変形例における第2の光検出手段である。
【0090】
発光素子71及び72は、その光出射方向が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材75に保持されている。発光素子71は免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)に測定光を照射し、発光素子72は第2の位置(帯状領域41d)に測定光を照射する。光検出素子73は、第1の位置(帯状領域41c)から帯状領域41cと略平行な方向の斜め上方に配置され、第1の位置(帯状領域41c)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。光検出素子74は、免疫クロマト試験片41の第2の位置(帯状領域41d)から帯状領域41dと略平行な方向の斜め上方に配置され、第2の位置(帯状領域41d)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0091】
なお、部材75は、図6に示した部材35と同様のバッフル構造を有しており、発光素子71から出射される測定光の光路を覆う孔、発光素子72から出射される測定光の光路を覆う孔、第1の位置(帯状領域41c)から反射して光検出素子73へ入射する光の光路を覆う孔、及び、第2の位置(帯状領域41d)から反射して光検出素子74へ入射する光の光路を覆う孔を有している。
【0092】
この変形例では、第1実施形態とは異なり、第1及び第2の光照射手段(発光素子71及び72)、並びに第1及び第2の光検出手段(光検出素子73及び74)が、一つの光学ヘッド7に一体に組み込まれているので、発光素子71及び光検出素子73、並びに発光素子72及び光検出素子74が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、光学ヘッド7が、測定光及び反射光の光路を覆う部材75を有するので、光検出素子73,74へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を高めることができる。
【0093】
(第3の実施の形態)
続いて、第3実施形態による免疫クロマト試験片の測定装置について説明する。図26は、本実施形態の測定装置1eの構成を示す斜視図である。本実施形態の測定装置1eは、蛍光物質を含む免疫クロマト試験片41に形成された反応ライン(テストラインTL及びコントロールラインCL)に測定光(励起光)を照射し、反応ラインTL及びCLにおいて発生する蛍光の強度を検出することにより反応ラインTL及びCLの反応度を測定する装置である。なお、本実施形態における蛍光物質は、第1の実施形態における色素と同じく、免疫クロマト試験片41に塗布された検体中の抗原(又は抗体)と結合する抗体(または抗原)を標識しており、テストラインTL及びコントロールラインCLにおける反応は、第1の実施形態と同様である。
【0094】
本実施形態の測定装置1eと上記第1実施形態との主な相違点は、光学ヘッドの構成である。すなわち、本実施形態の第1の光学ヘッドである光学ヘッド8は、第1実施形態の光学ヘッド3と同様の構成を有している。また、本実施形態の第2の光学ヘッドである光学ヘッド9は、免疫クロマト試験片41に形成された反応ラインTL及びCLに測定光として励起光を照射し、反応ラインTL及びCLにおいて発生する蛍光の強度を検出するための構成を有する。なお、本実施形態における駆動機構12及び免疫クロマト試験用具42の構成は第1実施形態と同様である。
【0095】
この測定装置1eは、図26に示されるように、免疫クロマト試験片41を有する免疫クロマト試験用具42を支持するための載置プレート(試験片支持部)11と、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(第1の光照射手段)81及び免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子(第1の光検出手段)82が一体に組み込まれた第1の光学ヘッド8と、免疫クロマト試験片41に測定光(励起光)を照射する発光素子(第2の光照射手段)91及び免疫クロマト試験片41からの蛍光を検出する光検出素子(第2の光検出手段)92が一体に組み込まれた第2の光学ヘッド9と、光学ヘッド8及び9に対して載置プレート11を検体流動方向に相対移動させる駆動機構12と、光学ヘッド8,9及び駆動機構12を制御する制御部15とを備える。なお、載置プレート11、駆動機構12、及び免疫クロマト試験片41の構成については、第1実施形態と同様なので詳細な説明を省略する。
【0096】
光学ヘッド8は、第1実施形態の光学ヘッド3と同様の構成を有する。すなわち、光学ヘッド8は、発光素子81と、光検出素子82と、光束整形部材83と、レンズ84とを有しており、これらは部材85によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。発光素子81としては発光ダイオード(LED)といった半導体発光素子が用いられ、光検出素子82としてはシリコン(Si)フォトダイオードといった半導体光検出素子が用いられる。発光素子81は、その光軸が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材85に保持されており、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する。光検出素子82は、免疫クロマト試験片41上の測定光の照射位置から帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0097】
光学ヘッド9は、光学ヘッド8と略同様の構成を有する。すなわち、光学ヘッド9は、発光素子91と、光検出素子92と、光束整形部材93と、レンズ94とを有しており、これらは部材95によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。但し、光束整形部材93とレンズ94との間には、波長フィルタ96が設けられている。波長フィルタ96は、発光素子91から出射された光から蛍光物質の励起に必要な波長成分を取り出すための部材である。また、光検出素子92と免疫クロマト試験片41との間には、波長フィルタ97が設けられている。波長フィルタ97は、光検出素子92に蛍光のみを入射させ、他の波長域の光(発光素子91から出射された光など)をカットするための部材である。発光素子91は、蛍光物質を励起するための測定光(励起光)を免疫クロマト試験片41に照射する。光検出素子92は、免疫クロマト試験片41からの蛍光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0098】
続いて、本実施形態による測定装置1eの動作について、図27〜図32を参照しながら説明する。図27及び図28は、測定装置1eの動作を示すフローチャートである。また、図29〜図32は、測定装置1eの動作の様子を説明するための斜視図である。なお、図29〜図32においては、図26に示した駆動機構12及び制御部15の図示を省略している。
【0099】
まず、測定者が免疫クロマト試験用具42を載置プレート11上にセットする(ステップS41)。そして、制御部15は、予め定められた免疫クロマト試験片41上の第1の位置からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド8とを相対移動させる。具体的には、制御部15は、駆動機構12を作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が光学ヘッド8の発光素子81の光出射方向に位置するように、光学ヘッド8と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS42)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が、第1の帯状領域41c内に設定されているものとする。従って、図29に示すように、帯状領域41cが発光素子81の光出射方向に位置することとなる。
【0100】
続いて、測定者が検体を検体点着部41aに滴下したのち、発光素子81が、免疫クロマト試験片41の第1の位置(すなわち帯状領域41c)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子82が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部15へ送られ、制御部15は、この電気信号に基づいて第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を検知する(ステップS43)。なお、このとき、発光素子91は消灯している。
【0101】
ここで、図33(a)は、第1の位置(帯状領域41c)における光学特性(吸光度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。先の実施形態で述べたように、免疫クロマト試験片41が乾いているときには光検出素子82において比較的大きな強度P1の反射光が検出される。そして、第1の位置(帯状領域41c)に検体が到達すると、吸光度が大きくなるので光検出素子82への反射光強度は強度P2(<P1)へ変化する。制御部15は、光検出素子82からの電気信号に基づいて吸光度の変化を観測し(ステップS44)、吸光度が変化した時刻taに計時を開始する(ステップS45)。制御部15は、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知したのち、発光素子81を消灯させる。
【0102】
続いて、制御部15は、第1の位置より下流側の免疫クロマト試験片41上の第2の位置からの蛍光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド9とを相対移動させる。具体的には、制御部15は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第2の位置が光学ヘッド9の発光素子91の光出射方向に位置するように、光学ヘッド9と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS46)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第2の位置を、第2の帯状領域41d内に設定するものとする。従って、図30に示すように、帯状領域41dが発光素子91の光出射方向に位置することとなる。その後、制御部15は発光素子91を点灯させ、発光素子91が、免疫クロマト試験片41の第2の位置(すなわち帯状領域41d)に測定光(励起光)を照射する。そして、この測定光に励起されて生じる蛍光を光検出素子92が受け、蛍光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部15へ送られ、制御部15は、この電気信号に基づいて第2の位置(帯状領域41d)における光学特性(蛍光強度)を検知する(ステップS47)。
【0103】
図33(b)は、第2の位置(帯状領域41d)における光学特性(蛍光強度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。図15(b)において、縦軸は第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度を示し、横軸は時間を示している。検体が第2の位置(帯状領域41d)に到達するまでは、該位置には蛍光物質が実質的に存在しないので、光検出素子92においては極めて小さな強度P3の光しか検出されない。そして、第2の位置(帯状領域41d)に検体が到達すると、検体中の抗原(又は抗体)と結合した抗体(または抗原)を標識した蛍光物質が測定光によって励起されるので、光検出素子92への蛍光強度は強度P4(>P3)へ変化する。制御部15は、光検出素子92からの電気信号に基づいて蛍光強度の変化を観測し(ステップS48)、蛍光強度が変化した時刻tbと時刻taとの差(tb−ta)、すなわち第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する(ステップS49)。制御部15は、第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化したのち、発光素子91を一旦消灯させる。
【0104】
続いて、制御部15は時刻taを基準として所定時間のカウントを行う(ステップS50)。この所定時間の間に、上述した第1および第2の抗原抗体反応が進行し、帯状領域41c及び41dに反応ラインTL及びCLが発現する。この所定時間は、上記経過時間(tb−ta)よりも長く、例えば15分程度に設定され、検体の種類によって適宜調整される。
【0105】
制御部15は、発光素子91を再び点灯させ、時刻taから所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子91の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子92により蛍光を連続的に(または断続的に)検出し、検出部41bにおける蛍光プロファイルを得る(ステップS51)。具体的には、制御部15は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、図31に示すように、発光素子91の光出射方向に検出部41bの上流側の一端を位置させる。そして、制御部15は、発光素子91の光出射方向に検出部41bの下流側の一端が位置するまで(図32参照)測定光の照射位置を下流側へ移動させながら(すなわち、免疫クロマト試験片41を光学ヘッド9に対し相対的に上流側へ移動させながら)、発光素子91に測定光を照射させつつ、光検出素子92により蛍光強度に応じた電気信号を取得する。
【0106】
図34は、上記動作により得られる蛍光プロファイルの一例を示す図である。図34において、縦軸は蛍光強度を示しており、横軸は検体流動方向における検出部41b上の位置を示している。制御部15は、例えば図34に示されるような蛍光プロファイルを作成し、この蛍光プロファイルから、免疫クロマト試験片41上のテストラインTLの蛍光度PL1、コントロールラインCLの蛍光度PL2を、それぞれPL1=log(a4/a3)、PL2=log(a5/a3)の演算式により算出する。この蛍光度PL1及びPL2が、すなわち各反応ラインTL,CLの反応度を表している。そして、制御部15は、予め設定された関係式に基づいて蛍光度PL1、PL2を時間(tb−ta)により補正する。制御部15は、コントロールラインCLの補正後の蛍光度PL2に基づいて測定の成否を判定すると共に、予め作成された検量特性線図を参照することにより、テストラインTLの補正後の蛍光度PL1に応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを表示装置や印刷装置などの出力手段により出力する(ステップS52)。
【0107】
このようにして、本実施形態の測定装置1eは、免疫クロマト試験片41の検出部41bに形成されたテストラインTL及びコントロールラインCLの反応度を測定する。
【0108】
以上に説明した本実施形態の測定装置1eによれば、第1の位置(帯状領域41c)における反射光を検出する第1の光検出素子82と、第2の位置(帯状領域41d)における蛍光を検出する第2の光検出素子92とによって各位置における吸光度の変化または蛍光強度の変化を検知することにより、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。そして、制御部15が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化するまでの経過時間(tb−ta)を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、制御部15が(または測定者が)経過時間(tb−ta)に基づいて反応ラインTL及びCLの蛍光度(反応度)を補正することにより、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0109】
なお、本実施形態に係る測定装置1eは、次のような変形も可能である。すなわち、光学ヘッド8にも光学ヘッド9の波長フィルタ96,97と同様の波長フィルタを設け、光検出素子82において反射光ではなく蛍光が検出されるようにしてもよい。このような構成であっても、第1の位置(帯状領域41c)に検体が到達したタイミングtaを好適に知ることができる。つまり、免疫クロマト試験片41において蛍光物質が検体とともに展開され、検体が到達した位置を測定光により励起すると蛍光が発生し、同時に、検体は測定光を吸収するので吸光度は低下する。従って、光学ヘッド8及び9において反射光及び蛍光の何れか一方を検出すれば、上記したタイミングta,tbを知ることができる。
【0110】
また、本実施形態に係る測定装置1eは、更に次のような変形も可能である。すなわち、第2実施形態の測定装置1bのように、一つの光学ヘッドを用いてタイミングta,tbを取得し、且つ反応度の測定を行ってもよい。この場合、測定装置は、本実施形態の光学ヘッド8を除いた構成となる。すなわち、この測定装置は、検体が滴下された免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(光照射手段)91と、測定光の照射による免疫クロマト試験片41からの蛍光を検出する光検出素子(光検出手段)92と、免疫クロマト試験片41を支持する載置プレート(試験片支持部)11と、免疫クロマト試験片41の検体流動方向に載置プレート11と光検出素子92とを相対移動させる駆動機構12と、駆動機構12を制御する制御部15とを備えることとなる。
【0111】
そして、制御部15は、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)からの蛍光を検出するように載置プレート11と光検出素子92とを相対移動させた後、第2の位置(帯状領域41d)からの蛍光を検出するように載置プレート11と光検出素子92とを相対移動させ、光検出素子92からの出力信号に基づいて、第1の位置(帯状領域41c)における蛍光強度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する。このような構成により、各位置における蛍光強度の変化を好適に検知できるので、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。
【0112】
本発明は、前述した各実施形態及び変形例に限定されるものではない。たとえば、光照射手段として、発光ダイオードの代わりにレーザダイオード等のその他の半導体発光素子を用いてもよい。また、光検出手段として、Siホトダイオードの代わりにホトトランジスタ等のその他の半導体受光素子、或いは光電管や光電子増倍管等の真空管型光センサを用いてもよい。
【0113】
また、前述した各実施形態では、免疫クロマト試験片41における第1の位置をテストラインTLとなる帯状領域41cに、第2の位置をコントロールラインCLとなる帯状領域41dに、それぞれ設定している。本発明における第1及び第2の位置は、これらに限られるものではなく、免疫クロマト試験片上の任意の位置に設定してよい。
【0114】
また、前述した実施形態では、呈色度と検体の流速との相関について、図16に示したように時間(tb−ta)が長いほど吸光度ABS1が大きくなるといった相関を例示しているが、両者の相関はこれに限られるものではない。例えば時間(tb−ta)が長いほど吸光度ABS1が小さくなるような相関であっても、本発明による測定装置によれば、時間(tb−ta)に基づいてラインTL及びCLの反応度を補正することにより、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0115】
また、前述した各実施形態では、駆動機構が、試験片支持部(載置プレート11)を移動させることで免疫クロマト試験片と光照射手段とを相対移動させているが、試験片支持部を固定し、駆動機構が光照射手段を移動させることで免疫クロマト試験片と光照射手段とを相対移動させてもよい。或いは、駆動機構は、試験片支持部及び光照射手段の双方を移動させることで免疫クロマト試験片と光照射手段とを相対移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】免疫クロマト試験用具の平面図である。
【図3】検体の移動方向に沿った光学ヘッドの側面断面図である。
【図4】光学ヘッド及び免疫クロマト試験用具を示す斜視図である。
【図5】光学ヘッド及び免疫クロマト試験用具を示す斜視図である。
【図6】図5に示す光学ヘッドのVI−VI断面に沿った断面図である。
【図7】第1実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図10】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図11】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図12】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図13】(a)第1の位置における吸光度の変化の様子を概念的に示すグラフである。(b)第2の位置における吸光度の変化の様子を概念的に示すグラフである。
【図14】測定光の吸光プロファイルの一例を示す図である。
【図15】実施例の結果を示す図表である。
【図16】実施例における吸光度と時間(tb−ta)とを座標軸上にプロットした図である。
【図17】本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図18】第2実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】第2実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図20】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図21】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図22】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図23】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図24】第1実施形態の一変形例の構成を示す斜視図である。
【図25】第1実施形態の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第3実施形態を示す斜視図である。
【図27】第3実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図28】第3実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図29】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図30】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図31】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図32】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図33】(a)第1の位置における吸光度の変化の様子を概念的に示すグラフである。(b)第2の位置における蛍光強度の変化の様子を概念的に示すグラフである。
【図34】蛍光プロファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1a〜1e…測定装置、2,3,5〜9…光学ヘッド、11…載置プレート、12…駆動機構、13〜15…制御部、21,31,51,61,71,72,81,91…発光素子、22,32,52,62,73,74,82,92…光検出素子、23a…アパーチャ、24a,33a…スリット、25…樹脂部材、26…PC基板、34…レンズ、41…免疫クロマト試験片、41c,41d…帯状領域、42…免疫クロマト試験用具、CL…コントロールライン、TL…テストライン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫クロマト試験片の測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫クロマト試験片には、検体中の抗原(または抗体)との間で抗原抗体反応を起こす抗体(または抗原)が反応領域に予め帯状に塗布されている。この試験片の反応領域に色素で標識された検体中の抗原(または抗体)が展開されると、帯状に塗布された抗体(または抗原)との間で検体中の抗原(または抗体)が抗原抗体反応を起こしてトラップされ、反応領域には色素により発色したラインが形成される。このような免疫クロマト試験片においては、反応領域に形成されたラインの呈色度(反応度)を測定装置により光学的に測定することで、検体中の抗原(または抗体)の量を定量的に分析することができる。
【0003】
特許文献1〜3には、免疫クロマト試験片に光を照射し、その反射光の強度を検出することにより試験片の呈色度を測定する装置が開示されている。特許文献1に記載された装置は、位置が固定された測定系(発光手段及び受光手段)に対して試験片を移動させ、反射光を連続的に検出することにより呈色度を測定している。また、特許文献2に記載された装置は、検体が流れる(展開する)方向に沿って並置された複数の発光素子及び受光素子を備えており、各受光素子への反射光強度に基づいて呈色度を測定している。また、特許文献3に記載された装置は、試験片上の任意の一点で反射光強度の変化を検知したのち、その変化から一定時間後に自動的に測定を開始している。
【特許文献1】特開平11−83745号公報
【特許文献2】特開平10−274624号公報
【特許文献3】特開2003−4743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検体中の抗原(または抗体)の量が同じでも、反応領域の反応度にはばらつきが生じてしまうことが問題となっていた。検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析するためには、このような反応度のばらつきによる影響を極力抑えることが望ましい。
【0005】
本発明者は、このような反応度のばらつきが、検体の流速(展開速度)のばらつきと関係があることを見出した。すなわち、反応度のばらつきを生じせしめる何らかの要因は、検体の流速(展開速度)のばらつきとして現れるのである。従って、検体の流速を測定し、その測定結果に基づいて反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。しかし、上記した特許文献1〜3に記載された装置では、検体の流速を測定することが出来ないので、このような補正を行うことが困難である。
【0006】
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、検体の流速を測定でき、その測定結果に基づく反応度の補正を容易にする免疫クロマト試験片の測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明による第1の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置への測定光の照射により免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第1の光検出手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置より下流側の第2の位置への測定光の照射により免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第2の光検出手段と、第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得する制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
免疫クロマト試験片に展開された検体は、光を吸収したり、或いは蛍光物質と共に展開されていたりするので、免疫クロマト試験片上において検体が到達した位置では、測定光に対する光学特性が変化する。上記した第1の測定装置は、第1の位置から得られる光を検出する第1の光検出手段と、第1の位置より下流側の第2の位置から得られる光を検出する第2の光検出手段とを備えているので、これらの光検出手段によって光学特性の変化を検知することにより、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)、抗原抗体反応を生じる反応ラインの反応度を測定結果に基づいて補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0009】
また、本発明による第2の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、測定光の照射により免疫クロマト試験片から得られる光を検出する光検出手段と、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
免疫クロマト試験片の検体流動方向に試験片支持部と光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御部とを備え、制御部が、免疫クロマト試験片上の第1の位置からの光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させた後、第1の位置より下流側の第2の位置からの光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させ、光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする。
【0010】
この第2の測定装置においては、駆動機構及び制御部によって、試験片上の第1の位置から得られる光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが相対移動した後、第2の位置から得られる光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが再び相対移動する。従って、第1及び第2の位置における光学特性の変化を好適に検知できるので、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における光学特性が変化してから第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)、抗原抗体反応を生じる反応ラインの反応度を測定結果に基づいて補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0011】
また、本発明による第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第1の光検出手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置より下流側の第2の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第2の光検出手段と、第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得する制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
免疫クロマト試験片に展開された検体は光を吸収するので、免疫クロマト試験片上において検体が到達した位置の吸光度は低下する。上記した第1の測定装置は、第1の位置における反射光を検出する第1の光検出手段と、第1の位置より下流側の第2の位置における反射光を検出する第2の光検出手段とを備えているので、これらの光検出手段によって吸光度の変化を検知することにより、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0013】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1及び第2の光照射手段を備え、第1の光検出手段は、第1の光照射手段の照射による反射光を検出し、第2の光検出手段は、第2の光照射手段の照射による反射光を検出することを特徴としてもよい。これにより、第1及び第2の光検出手段によって第1及び第2の位置それぞれへ安定的に光を照射し、検体の流速の測定精度を高めることができる。
【0014】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1の光照射手段及び第1の光検出手段が一体に組み込まれた第1の光学ヘッドと、第2の光照射手段及び第2の光検出手段が一体に組み込まれた第2の光学ヘッドとを備え、第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方が、測定光及び反射光の光路を覆う部材を有することを特徴としてもよい。このように、光照射手段及び光検出手段の組が光学ヘッドに一体に組み込まれることにより、光照射手段及び光検出手段が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方において測定光及び反射光の光路を覆うことにより、当該光学ヘッドの光検出手段へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0015】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1の光学ヘッドと第2の光学ヘッドとの間隔が可変であることを特徴としてもよい。これにより、第1の光学ヘッドと第2の光学ヘッドとの間隔を試験片の大きさ等に容易に対応させることができる。
【0016】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1及び第2の光照射手段、並びに第1及び第2の光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、光学ヘッドが、測定光及び反射光の光路を覆う部材を有することを特徴としてもよい。このように、各光照射手段及び各光検出手段が光学ヘッドに一体に組み込まれることにより、光照射手段及び光検出手段が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、光学ヘッドにおいて測定光及び反射光の光路を覆うことにより、第1及び第2の光検出手段へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0017】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、第1の光照射手段が消灯した後に第2の光照射手段が点灯することを特徴としてもよい。これにより、第1の光検出手段に第2の光照射手段からの光が入射せず、また、第2の検出手段に第1の光照射手段からの光が入射しないので、第1及び第2の位置それぞれにおける反射光の検出精度を高めることができる。
【0018】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域における吸光度を取得することを特徴としてもよい。このように、第1の位置における吸光度が変化してから所定時間が経過した後に制御部が帯状領域の吸光度を取得することにより、この所定時間の間に抗原抗体反応が進行してラインが明確に発現するので、制御部において反応度の測定をより精度よく行うことができる。
【0019】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、制御部によって制御され、第1及び第2の光照射手段の一方または双方と試験片支持部とを免疫クロマト試験片の検体流動方向に相対移動させる駆動機構とを更に備え、制御部は、上記所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域を通過するように第1または第2の光照射手段の測定光を検体流動方向に走査させることを特徴としてもよい。このように、反応ラインとなる帯状領域及びその周辺を測定光で走査し、その反射光を検出することにより、反応ラインの位置に誤差が生じた場合でも確実に反応度を測定できる。
【0020】
また、第3の免疫クロマト試験片の測定装置は、制御部が、第2の位置における吸光度が変化した後に第2の光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて所定時間経過後の走査を行わせることを特徴としてもよい。これにより、第2の光照射手段の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、第2の光照射手段の寿命を延ばすことができる。
【0021】
また、本発明による第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光を検出する光検出手段と、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、免疫クロマト試験片の検体流動方向に試験片支持部と光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御部とを備え、制御部が、免疫クロマト試験片上の第1の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させた後、第1の位置より下流側の第2の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させ、光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする。
【0022】
この第4の測定装置においては、駆動機構及び制御部によって、試験片上の第1の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが相対移動した後、第2の位置からの反射光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが再び相対移動する。従って、第1及び第2の位置における吸光度の変化を好適に検知できるので、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0023】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、光照射手段及び光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、駆動機構は、試験片支持部と光学ヘッドとを相対移動させることを特徴としてもよい。このように、光照射手段及び光検出手段が光学ヘッドに一体に組み込まれることにより、光照射手段及び光検出手段が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。
【0024】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、制御部が、第1の位置における吸光度が変化してから経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域における吸光度を取得することを特徴としてもよい。このように、第1の位置における吸光度が変化してから所定時間が経過した後に制御部が帯状領域の吸光度を取得することにより、この所定時間の間に抗原抗体反応が進行して反応ラインが明確に発現するので、制御部において反応度の測定をより精度よく行うことができる。
【0025】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、制御部が、上記所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域を通過するように光照射手段の測定光を検体流動方向に走査させることを特徴としてもよい。このように、反応ラインとなる帯状領域及びその周辺の反射光データを測定光で走査し、その反射光を検出することにより、反応ラインの位置に誤差が生じた場合でも確実に反応度を測定できる。
【0026】
また、第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、制御部が、第2の位置における吸光度が変化した後に光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて所定時間経過後の走査を行わせることを特徴としてもよい。これにより、光照射手段の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、光照射手段の寿命を延ばすことができる。
【0027】
また、第3及び第4の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片が、第1の抗原抗体反応を生じる第1の帯状領域と、第1の帯状領域より下流側に設けられ第2の抗抗原抗体反応を生じる第2の帯状領域とを有し、第1の位置が第1の帯状領域内であり、第2の位置が第2の帯状領域内であることが好ましい。これにより、第1の位置および第2の位置において、より明確に吸光度の変化を検知することができる。
【0028】
また、本発明による第5の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第1の光検出手段と、免疫クロマト試験片上の第1の位置より下流側の第2の位置への測定光の照射による免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第2の光検出手段と、第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における吸光度または蛍光強度が変化してから第2の位置における吸光度または蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する制御部とを備えることを特徴とする。
【0029】
検体中の抗原(または抗体)と結合するための抗体(または抗原)が蛍光物質により標識される場合、免疫クロマト試験片上において検体が到達した位置を測定光により励起すると蛍光が発生する。また、免疫クロマト試験片に展開された検体は光を吸収するので、検体が到達した位置では吸光度が低下する。上記した第5の測定装置は、第1の位置における反射光または蛍光を検出する第1の光検出手段と、第1の位置より下流側の第2の位置における反射光または蛍光を検出する第2の光検出手段とを備えているので、これらの光検出手段によって吸光度の変化または蛍光強度の変化を検知することにより、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における吸光度または蛍光強度が変化してから第2の位置における吸光度または蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応ラインの反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0030】
また、本発明による第6の免疫クロマト試験片の測定装置は、免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、測定光の照射による免疫クロマト試験片からの蛍光を検出する光検出手段と、免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、免疫クロマト試験片の検体流動方向に試験片支持部と光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御部とを備え、制御部が、免疫クロマト試験片上の第1の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させた後、第1の位置より下流側の第2の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とを相対移動させ、光検出手段からの出力信号に基づいて、第1の位置における蛍光強度が変化してから第2の位置における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする。
【0031】
この第6の測定装置においては、駆動機構及び制御部によって、試験片上の第1の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが相対移動した後、第2の位置からの蛍光を検出するように試験片支持部と光検出手段とが再び相対移動する。従って、第1及び第2の位置における蛍光強度の変化を好適に検知できるので、第1及び第2の位置のそれぞれに検体が到達したタイミングを知ることができる。そして、制御部が、第1の位置における蛍光強度が変化してから第2の位置における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、測定者が(または自動的に)測定結果に基づいて反応ラインの反応度を補正すれば、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明による免疫クロマト試験片の測定装置によれば、検体の流速を測定でき、その測定結果に基づく反応度の補正を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら本発明による免疫クロマト試験片の測定装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第1実施形態を示す斜視図である。本実施形態の測定装置1aは、免疫クロマト試験片41に形成された呈色ライン(反応ライン)であるテストラインTL及びコントロールラインCLに測定光を照射し、その反射光の強度を検出することにより呈色ラインTL及びCLの呈色度(反応度)を測定する装置である。この測定装置1aは、図1に示されるように、免疫クロマト試験片41を有する免疫クロマト試験用具42を支持するための載置プレート(試験片支持部)11と、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(第1の光照射手段)21及び免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子(第1の光検出手段)22が一体に組み込まれた第1の光学ヘッド2と、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(第2の光照射手段)31及び免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子(第2の光検出手段)32が一体に組み込まれた第2の光学ヘッド3と、光学ヘッド2及び3に対して載置プレート11を検体流動方向に相対移動させる駆動機構12と、光学ヘッド2,3及び駆動機構12を制御する制御部13とを備える。
【0035】
ここで、図2は、免疫クロマト試験用具42の平面図である。図2に示されるように、免疫クロマト試験用具42は、平面視長方形状のケーシング43と、当該ケーシング43内に保持されている免疫クロマト試験片41とを有している。
【0036】
ケーシング43には、その長辺方向に沿って、検体を滴下するための検体点着ウィンドウ44と、免疫クロマト試験片41の呈色部分を露出させる観測用ウィンドウ45とが設けられている。検体点着ウィンドウ44を成形する縁部44a〜44d及び観測用ウィンドウ45を成形する縁部45a〜45dは、免疫クロマト試験片41に向かって傾斜して設けられており、テーパー型に形成されている。
【0037】
免疫クロマト試験片41は、ニトロセルロースメンブレンや濾紙などの材質からなり、長方形状を呈している。免疫クロマト試験片41は、検体点着ウィンドウ44に対応する位置に設けられる検体点着部41aと、観測用ウィンドウ45に対応する位置に設けられる検出部41bとを有している。検出部41bは、免疫クロマト試験片41の長手方向である検体流動方向(図中の矢印A)と交差する方向に延びる第1の帯状領域41cと、帯状領域41cに対し平行に、且つ検体流動方向Aの下流側に設けられた第2の帯状領域41dとを有する。帯状領域41cには、検体中の抗原(又は抗体)と第1の抗原抗体反応を生じる抗体(又は抗原)がライン状(帯状)に塗布され、帯状領域41dには、色素で標識された、検体中の抗原(又は抗体)と結合する抗体(または抗原)(以下標準色素とする)に対して、第2の抗原抗体反応を生じる抗体(又は抗原)がライン状(帯状)に塗布されて、それぞれ固定化されている。
【0038】
検体は、検体点着ウィンドウ44から免疫クロマト試験片41の検体点着部41aに滴下される。検体中の抗原(又は抗体)は標識色素と結合し、検体中の抗原(又は抗体)と標識色素との結合体や未反応の標識色素は免疫クロマト試験片41の長辺方向に移動する。いま、仮に検体中に抗原が含まれており、抗原が帯状領域41cにおいて抗原抗体反応するものとする。検体の移動に伴い、検体中の抗原と帯状領域41cに固定されている抗体とが特異的に反応し、反応した帯状領域41cには標識色素により呈色ライン(テストラインTL)が形成される。一方、未反応の標識色素は、帯状領域41dに固定されている抗体と特異的に反応し、反応した帯状領域41dには標識色素により呈色ライン(コントロールラインCL)が形成される。なお、呈色ラインTL及びCLの幅は、通常、1.0mm程度である。また、呈色ラインTL及びCLの長手方向の長さは、通常、5mm程度である。
【0039】
図3は、検体の移動方向に沿った光学ヘッド2の側面断面図である。また、図4は、光学ヘッド2及び免疫クロマト試験用具42を示す斜視図である。なお、理解を容易にするため、図4においては光学ヘッド2が有する樹脂部材25及びPC基板26の図示を省略している。
【0040】
光学ヘッド2は、図3及び図4に示されるように、発光素子21と、光検出素子22と、光束整形部材23及び24と、樹脂部材25(図3)と、PC基板26(図3)とを有している。本実施形態においては、発光素子21として発光ダイオード(LED)といった半導体発光素子が用いられており、光検出素子22としてシリコン(Si)フォトダイオードといった半導体光検出素子が用いられている。発光素子21は、その光軸が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるようにPC基板26の裏面26aに実装されており、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する。光検出素子22は、該光検出素子22に結合された2本の金属棒27を介してPC基板26に実装されており、免疫クロマト試験片41からの反射光を光検出面22aに受け、反射光の強度に応じた電気信号に変換する。本実施形態の光検出素子22は、発光素子21の光軸に対して検体流動方向Aの下流側に配置されている。
【0041】
光束整形部材23及び24は、発光素子21からの光を、免疫クロマト試験片41の帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向に延びる光束断面を有する光に整形するための部材であり、発光素子21の光軸方向(免疫クロマト試験片41の表面に対し垂直な方向)に並置されている。光束整形部材23は、略円形状のアパーチャ23aが形成された板状部材からなる。光束整形部材24は、帯状領域41c及び41dに対し略平行に延びるスリット24aが形成された板状部材からなる。光検出素子22及び光束整形部材23,24は、図3に示されるように、PC基板26の裏面26aに接合されたブロック状の樹脂部材25に一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。
【0042】
図5は、光学ヘッド3及び免疫クロマト試験用具42を示す斜視図である。また、図6は、図5に示す光学ヘッド3のVI−VI断面に沿った断面図である。
【0043】
光学ヘッド3は、発光素子31と、光検出素子32と、光束整形部材33と、レンズ34とを有しており、これらは部材35及び36によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。本実施形態においては、発光素子31として発光ダイオード(LED)といった半導体発光素子が用いられており、光検出素子32としてシリコン(Si)フォトダイオードといった半導体光検出素子が用いられている。発光素子31は、その光軸が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材36に保持されており、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する。光検出素子32は、免疫クロマト試験片41上の測定光の照射位置から帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0044】
光束整形部材33は、発光素子31からの光を、免疫クロマト試験片41の帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向に延びる光束断面を有する光に整形するための部材である。光束整形部材33は、帯状領域41c及び41dに対し略平行に延びるスリット33aが形成された板状部材からなる。光束整形部材33は、図6に示すように、部材35と、部材35の凹部に嵌入され発光素子31を保持する部材36との間に挟み込まれ、固定されている。また、レンズ34は、光束整形部材33からの光(帯状領域41c及び41dと略平行なスリット光)を免疫クロマト試験片41上に結像させるためのものである。レンズ34は、発光素子31から出射される測定光の光軸上に配置され、部材35に保持されている。
【0045】
部材35は、光検出素子32及びレンズ34を保持する部材である。部材35には、発光素子31から出射される測定光の光路を覆う孔35aと、免疫クロマト試験片41から反射して光検出素子32へ入射する光の光路を覆う孔35bとが形成されている。孔35aの一端には部材36に保持された発光素子31がスリット33aを介して配置され、孔35aの他端は免疫クロマト試験片41の光照射位置と対向している。また、レンズ34は孔35a内に保持されている。孔35bの一端には光検出素子32が配置され、孔35bの他端は免疫クロマト試験片41の光照射位置と対向している。この構成により、孔35a及び35bは、発光素子31から出射された測定光が光学ヘッド3の外部へ漏れること、及び、光検出素子32に反射光以外のノイズ光(迷光)が入射することを防止するバッフル部として機能する。
【0046】
再び図1を参照する。駆動機構12は、光学ヘッド2及び3に対して載置プレート11を検体流動方向Aに沿って移動させるための機構である。駆動機構12は、検体流動方向Aに沿って載置プレート11の側面に形成されたラック16に噛み合うピニオン17と、このピニオン17に噛み合うウォームギア18が固定された駆動モータ19などを有する。この駆動機構12では、駆動モータ19によりウォームギア18が正転方向に回転すると、ピニオン17が減速して回転駆動され、このピニオン17にラック16が噛み合う載置プレート11が検体流動方向Aとは逆方向に移動する。その結果、光学ヘッド2及び3が載置プレート11に対して検体流動方向Aに相対的に移動する。
【0047】
制御部13は、駆動モータ19の回転制御、発光素子21及び31の点灯制御、並びに光検出素子22及び32の出力信号の処理のために設けられる。
【0048】
続いて、本実施形態による測定装置1aの動作について、図7〜図12を参照しながら説明する。図7及び図8は、測定装置1aの動作を示すフローチャートである。また、図9〜図12は、測定装置1aの動作の様子を説明するための斜視図である。なお、図9〜図12においては、図1に示した駆動機構12及び制御部13の図示を省略している。
【0049】
まず、測定者が免疫クロマト試験用具42を載置プレート11上にセットする(ステップS1)。そして、制御部13は、予め定められた免疫クロマト試験片41上の第1の位置からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド2とを相対移動させる。具体的には、制御部13は、駆動機構12を作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が光学ヘッド2の発光素子21の光出射方向(具体的には、アパーチャ23a及びスリット24aを通過した光が進む方向)に位置するように、光学ヘッド2と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS2)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が、第1の帯状領域41c内に設定されているものとする。従って、図9に示すように、帯状領域41cが発光素子21の光出射方向に位置することとなる。
【0050】
続いて、測定者が検体を検体点着部41aに滴下したのち、発光素子21が、免疫クロマト試験片41の第1の位置(すなわち帯状領域41c)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子22が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部13へ送られ、制御部13は、この電気信号に基づいて第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を検知する(ステップS3)。なお、このとき、発光素子31は消灯している。
【0051】
ここで、図13(a)は、第1の位置(帯状領域41c)における光学特性(吸光度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。図13(a)において、縦軸は第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を示し、横軸は時間を示している。通常、乾いた状態の免疫クロマト試験片41は吸光度が小さく、光検出素子22において比較的大きな強度P1の反射光が検出される。そして、第1の位置(帯状領域41c)に検体が到達すると、検体が測定光の一部を吸収し、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が大きくなるので、光検出素子22への反射光強度は強度P1よりも小さい強度P2へ変化する。制御部13は、光検出素子22からの電気信号に基づいて吸光度の変化を観測し(ステップS4)、吸光度が変化した時刻taに計時を開始する(ステップS5)。制御部13は、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知したのち、発光素子21を消灯させる。
【0052】
続いて、制御部13は、第1の位置より下流側の免疫クロマト試験片41上の第2の位置からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド3とを相対移動させる。具体的には、制御部13は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第2の位置が光学ヘッド3の発光素子31の光出射方向(スリット33a及びレンズ34を通過した光が進む方向)に位置するように、光学ヘッド3と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS6)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第2の位置を、第2の帯状領域41d内に設定するものとする。従って、図10に示すように、帯状領域41dが発光素子31の光出射方向に位置することとなる。その後、制御部13は発光素子31を点灯させ、発光素子31が、免疫クロマト試験片41の第2の位置(すなわち帯状領域41d)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子32が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部13へ送られ、制御部13は、この電気信号に基づいて第2の位置(帯状領域41d)における反射光強度を検知する(ステップS7)。
【0053】
図13(b)は、第2の位置(帯状領域41d)における光学特性(吸光度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。図13(b)において、縦軸は第2の位置(帯状領域41d)における反射光強度を示し、横軸は時間を示している。上述したように、検体が第2の位置(帯状領域41d)に到達するまでは、光検出素子32において比較的大きな強度P1の反射光が検出される。そして、第2の位置(帯状領域41d)に検体が到達すると、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が大きくなるので、光検出素子32への反射光強度は強度P2(<P1)へ変化する。制御部13は、光検出素子32からの電気信号に基づいて吸光度の変化を観測し(ステップS8)、吸光度が変化した時刻tbと時刻taとの差(tb−ta)、すなわち第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの経過時間を取得する(ステップS9)。制御部13は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化したのち、発光素子31を一旦消灯させる。
【0054】
続いて、制御部13は時刻taを基準として所定時間のカウントを行う(ステップS10)。この所定時間の間に、上述した第1および第2の抗原抗体反応が進行し、帯状領域41c及び41dが呈色して呈色ラインTL及びCLが発現する。この所定時間は、上記経過時間(tb−ta)よりも長く、例えば15分程度に設定され、検体の種類によって適宜調整される。
【0055】
制御部13は、発光素子31を再び点灯させ、時刻taから所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子32により反射光を連続的に(または断続的に)検出し、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る(ステップS11)。具体的には、制御部13は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、図11に示すように、発光素子31の光出射方向に検出部41bの上流側の一端を位置させる。そして、制御部13は、発光素子31の光出射方向に検出部41bの下流側の一端が位置するまで(図12参照)測定光の照射位置を下流側へ移動させながら(すなわち、免疫クロマト試験片41を光学ヘッド3に対し相対的に上流側へ移動させながら)、発光素子31に測定光を照射させつつ、光検出素子32により反射光強度に応じた電気信号を取得する。
【0056】
図14は、上記動作により得られる測定光の吸光プロファイルの一例を示す図である。図14において、縦軸は反射光強度を示しており、横軸は検体流動方向における検出部41b上の位置を示している。制御部13は、例えば図14に示されるような吸光プロファイルを作成し、この吸光プロファイルから、免疫クロマト試験片41上のテストラインTLの吸光度ABS1、コントロールラインCLの吸光度ABS2を、それぞれABS1=log(a1/a0)、ABS2=log(a2/a0)の演算式により算出する。この吸光度ABS1及びABS2が、すなわち各呈色ラインTL,CLの呈色度を表している。そして、制御部13は、予め設定された関係式に基づいて吸光度ABS1、ABS2を時間(tb−ta)により補正する。制御部13は、コントロールラインCLの補正後の吸光度ABS2に基づいて測定の成否を判定すると共に、予め作成された検量特性線図を参照することにより、テストラインTLの補正後の吸光度ABS1に応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを表示装置や印刷装置などの出力手段により出力する(ステップS12)。
【0057】
このようにして、本実施形態の測定装置1aは、免疫クロマト試験片41の検出部41bに形成されたテストラインTL及びコントロールラインCLの呈色度を測定する。
【0058】
本実施形態の測定装置1aによって得られる効果について説明する。本発明者は、呈色ライン(反応ライン)における呈色度(反応度)のばらつきと検体の流速(展開速度)のばらつきとの間に何らかの相関があることに着目した。そして、図15に示すように、実際に13個の免疫クロマト試験片M1〜M13を用意し、環境条件等を変化させることにより各試験片M1〜M13の流速にばらつきを持たせた上で、同濃度の抗原(または抗体)を含む検体を滴下し、免疫クロマト試験片上の第1の位置を検体が通過する時刻ta、第2の位置を検体が通過する時刻tb、差(tb−ta)、及び15分後のテストラインTLにおける吸光度ABS1を調べた。なお、以下の実施例において、免疫クロマト試験片としてはニトロセルロースメンブレンを界面活性剤で処理したものを用い、検体としてはリン酸バッファ液中に濃度100[ng/mol]のタンパク質を混入したものを用いた。
【0059】
図16は、吸光度ABS1と時間(tb−ta)とを座標軸上にプロットした図である。図16を参照すると、吸光度ABS1と時間(tb−ta)との間には、時間(tb−ta)が長いほど吸光度ABS1が大きくなるといった相関があることがわかる。従って、図16に示すように、このような相関を例えば一次近似直線G1で表し、この直線G1に基づいて吸光度ABS1を補正すれば、呈色度のばらつきの影響を抑えたより正確な吸光度ABS1が得られる。
【0060】
この実施例においては、一次近似直線G1は次の数式(1)で表される。
ABS1=0.0036×(tb−ta)+0.0338 …(1)
そして、次の数式(2)を用いて補正した吸光度ABS1を、図15の最右列に示す。
(補正ABS1)=(実測ABS1)−0.0036×(tb−ta) …(2)
【0061】
この補正後の吸光度ABS1を評価するため、補正前の吸光度ABS1、補正後の吸光度ABS1それぞれの変動係数(ばらつき度)CVを算出した。その結果、補正前の変動係数CVは6.5、補正後の変動係数CVは4.4となり、各試験片M1〜M13の吸光度ABS1のばらつきが補正により低減されることが示された。このように、時間(tb−ta)すなわち検体の流速を測定し、その測定結果に基づいて吸光度(呈色度)を補正すれば、呈色度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0062】
本実施形態の測定装置1aによれば、第1の位置(帯状領域41c)における反射光を検出する第1の光検出素子22と、第2の位置(帯状領域41d)における反射光を検出する第2の光検出素子32とによって各位置における吸光度の変化を検知することにより、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。そして、制御部13が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの時間(tb−ta)を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、制御部13が(または測定者が)経過時間(tb−ta)に基づいて呈色ラインTL及びCLの吸光度(呈色度)を補正することにより、呈色度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0063】
また、本実施形態のように、測定装置1aが各光検出素子22,32に対応する発光素子21,31を備え、光検出素子22が発光素子21の照射による反射光を検出し、光検出素子32が発光素子31の照射による反射光を検出することが好ましい。これにより、第1の位置(帯状領域41c)及び第2の位置(帯状領域41d)それぞれへ安定的に光を照射し、吸光度の変化の検出精度、ひいては検体の流速の測定精度を高めることができる。
【0064】
また、本実施形態のように、発光素子21及び光検出素子22が光学ヘッド2に一体に組み込まれ、発光素子31及び光検出素子32が光学ヘッド3に一体に組み込まれることによって、発光素子21及び光検出素子22、並びに発光素子31及び光検出素子32が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、光学ヘッド2,3のうち少なくとも一方(本実施形態では光学ヘッド3)が、測定光及び反射光の光路を覆う部材35(図6参照)を有することによって、当該光学ヘッドの光検出素子へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0065】
また、本実施形態のように、測定装置1aにおいては、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域(本実施形態では2本の帯状領域41c,41d)を免疫クロマト試験片41が有し、制御部13が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから時間(tb−ta)よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域41c,41dにおける吸光度を取得することが好ましい。このように、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから時間(tb−ta)よりも長い所定時間が経過した後に帯状領域41c,41dの吸光度を取得することにより、この所定時間の間に抗原抗体反応が進行して呈色ラインTL,CLが明確に発現するので、制御部13において呈色度の測定をより精度よく行うことができる。また、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度の変化を所定時間の計測開始としているために、操作者により計測開始ボタンを押す等の計測開始入力とは異なり、入力タイミングと実際に計測を開始すべきタイミングとのばらつきや、入力し忘れ等の問題が生じない。
【0066】
また、本実施形態のように、測定装置1aは、免疫クロマト試験片41を支持する載置プレート11と、検体流動方向に載置プレート11と光学ヘッド2,3とを相対移動させる駆動機構12とを備えることが好ましい。そして、制御部13が、上記所定時間経過後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子32により反射光を連続的または断続的に検出することが好ましい。これにより、呈色ラインTL,CLとなる帯状領域41c,41d及びその周辺の反射光データを取得し、図14に示したような吸光プロファイルを作成できるので、呈色ラインTL,CLの位置に誤差が生じた場合でも確実に吸光度(呈色度)を測定できる。
【0067】
また、本実施形態のように、制御部13は、光学ヘッド2によって第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知したのち、光学ヘッド2の発光素子21を消灯させ、その後に光学ヘッド3の発光素子31を点灯させて第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知することが好ましい。これにより、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知する際に光検出素子22に発光素子31からの光が入射せず、また、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知する際に光検出素子32に発光素子21からの光が入射しないので、第1及び第2の位置それぞれにおける反射光の検出精度を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態のように、制御部13は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知した後に発光素子31を一旦消灯し、その後再び点灯させて、図8に示したステップS11の動作(発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させ、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る)を行わせることが好ましい。これにより、発光素子31の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、発光素子31の寿命を延ばすことができる。第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してからステップS11を行うまでの所定時間が15分程度である場合、例えば14分程度経過した時点で発光素子31を再点灯させるとよい。
【0069】
また、本実施形態の光学ヘッド2と光学ヘッド3との間隔は、可変であることが好ましい。これにより、光学ヘッド2と光学ヘッド3との間隔を免疫クロマト試験片41の大きさ等に容易に対応させることができる。
【0070】
なお、本実施形態において、駆動機構12は、発光素子21及び31の双方と載置プレート11とを検体流動方向に相対移動させているが、発光素子21及び31のいずれか一方と載置プレート11とを検体流動方向に相対移動させてもよい。この場合、図8に示したステップS11を行う発光素子(本実施形態では発光素子31)と載置プレート11とを相対移動させることが好ましい。
【0071】
(第2の実施の形態)
図17は、本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第2実施形態を示す斜視図である。本実施形態の測定装置1bと上記第1実施形態との相違点は、第1の光学ヘッドの有無である。すなわち、本実施形態の測定装置1bは図1に示されるような光学ヘッド2を備えておらず、本実施形態の制御部14は、光学ヘッド3を用いて第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化の検知、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化の検知、及び測定光の吸光プロファイルの作成を行う。なお、本実施形態における光学ヘッド3、駆動機構12、及び免疫クロマト試験用具42の構成は、第1実施形態と同様である。
【0072】
本実施形態の測定装置1bの動作について、図18〜図23を参照しながら説明する。図18及び図19は、測定装置1bの動作を示すフローチャートである。また、図20〜図23は、測定装置1bの動作の様子を説明するための斜視図である。なお、図20〜図23においては、図17に示した駆動機構12及び制御部14の図示を省略している。
【0073】
まず、測定者が免疫クロマト試験用具42を載置プレート11上にセットする(ステップS21)。そして、制御部14は、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド3とを相対移動させる。具体的には、制御部14は、駆動機構12を作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)が光学ヘッド3の発光素子31の光出射方向に位置するように(図20参照)、光学ヘッド3と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS22)。
【0074】
続いて、測定者が検体を検体点着部41aに滴下したのち、発光素子31が、免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子32が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部14へ送られ、制御部14は、この電気信号に基づいて第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を検知する(ステップS23)。制御部14は、この電気信号に基づいて光学特性(吸光度)の変化を観測し(ステップS24)、吸光度が変化した時刻taに計時を開始する(ステップS25)。
【0075】
続いて、制御部14は、免疫クロマト試験片41上の第2の位置(帯状領域41d)からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド3とを相対移動させる。すなわち、制御部14は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第2の位置(帯状領域41d)が光学ヘッド3の発光素子31の光出射方向に位置するように(図21参照)、光学ヘッド3と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS26)。その後、発光素子31が第2の位置(帯状領域41d)に測定光を照射し、その反射光の強度に応じた電気信号を光検出素子32が出力する。制御部14は、この電気信号に基づいて第2の位置(帯状領域41d)における反射光強度を検知する(ステップS27)。制御部14は、この電気信号に基づいて光学特性(吸光度)の変化を観測し(ステップS28)、吸光度が変化した時刻tbと時刻taとの差(tb−ta)を取得する(ステップS29)。制御部14は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化したのち、発光素子31を一旦消灯させる。
【0076】
続いて、制御部14は時刻taから所定時間のカウントを行い(ステップS30)、この間に、帯状領域41c及び41dが呈色して呈色ラインTL及びCLが発現する。制御部14は、発光素子31を再び点灯させ、時刻taから所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させつつ、光検出素子32により反射光を連続的に(または断続的に)検出し、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る(ステップS31)。すなわち、制御部14は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、図22に示すように、発光素子31の光出射方向に検出部41bの上流側の一端を位置させる。そして、制御部14は、発光素子31の光出射方向に検出部41bの下流側の一端が位置するまで(図23参照)測定光の照射位置を下流側へ移動させながら(すなわち、免疫クロマト試験片41を光学ヘッド3に対し相対的に上流側へ移動させながら)、発光素子31に測定光を照射させつつ、光検出素子32により反射光強度に応じた電気信号を取得する。
【0077】
続いて、制御部14は、吸光プロファイル(図13参照)を作成し、この吸光プロファイルから、免疫クロマト試験片41上のテストラインTLの吸光度ABS1、コントロールラインCLの吸光度ABS2を算出する。そして、制御部14は、予め設定された関係式に基づいて吸光度ABS1、ABS2を時間(tb−ta)により補正する。制御部14は、コントロールラインCLの補正後の吸光度ABS2に基づいて測定の成否を判定すると共に、予め作成された検量特性線図を参照することにより、テストラインTLの補正後の吸光度ABS1に応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを表示装置や印刷装置などの出力手段により出力する(ステップS32)。
【0078】
このようにして、本実施形態の測定装置1bは、免疫クロマト試験片41の検出部41bに形成されたテストラインTL及びコントロールラインCLの呈色度を測定する。
【0079】
本実施形態の測定装置1bによれば、第1の光検出素子22が、第1の位置(帯状領域41c)における反射光を検出するように載置プレート11に対して相対移動したのち、第2の位置(帯状領域41d)における反射光を検出するように再び相対移動する。これにより、各位置における吸光度の変化を検知して、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。そして、制御部14が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における吸光度が変化するまでの時間(tb−ta)を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、制御部14が(または測定者が)時間(tb−ta)に基づいて呈色ラインTL及びCLの吸光度(呈色度)を補正することにより、呈色度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0080】
また、本実施形態においても、制御部14が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから時間(tb−ta)よりも長い所定時間が経過した後に、帯状領域41c,41dにおける吸光度を取得している。これにより、抗原抗体反応が十分に進行して呈色ラインTL,CLが明確に発現するので、制御部14において呈色度の測定をより精度よく行うことができる。また、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度の変化を所定時間の計測開始としているために、操作者により計測開始ボタンを押す等の計測開始入力とは異なり、入力タイミングと実際に計測を開始すべきタイミングとのばらつきや、入力し忘れ等の問題が生じない。
【0081】
また、本実施形態においても、制御部14が、上記所定時間経過後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子32により反射光を連続的または断続的に検出している。これにより、呈色ラインTL,CLとなる帯状領域41c,41d及びその周辺の反射光データを取得し、図14に示したような吸光プロファイルを作成できるので、呈色ラインTL,CLの位置に誤差が生じた場合でも確実に吸光度(呈色度)を測定できる。
【0082】
また、本実施形態の制御部14は、第2の位置(帯状領域41d)における吸光度変化を検知した後に発光素子31を一旦消灯し、その後再び点灯させて、図19に示したステップS31の動作(発光素子31の測定光を検体流動方向に走査させ、検出部41bにおける測定光の吸光プロファイルを得る)を行わせている。これにより、発光素子31の点灯時間を短くできるので、電力消費を抑制し、発光素子31の寿命を延ばすことができる。
【0083】
(変形例)
図24は、上記第1実施形態の一変形例として、測定装置1cの構成を示す斜視図である。この測定装置1cは、第1の光学ヘッド5及び第2の光学ヘッド6を備えている。光学ヘッド5には、発光素子(第1の光照射手段)51と、光検出素子(第1の光検出手段)52とが一体に組み込まれている。光学ヘッド6には、発光素子(第2の光照射手段)61と、光検出素子(第2の光検出手段)62とが一体に組み込まれている。
【0084】
また、光学ヘッド5は、半導体発光素子51から出射される測定光を帯状領域41cと略平行なスリット光に整形するための図示しない光束整形部材及びレンズを更に有しており、半導体発光素子51、半導体光検出素子52、光束整形部材、及びレンズは、ブロック状の部材53によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。発光素子51は、その光出射方向が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材53に保持されており、免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)に測定光を照射する。光検出素子52は、第1の位置(帯状領域41c)から帯状領域41cと略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0085】
光学ヘッド6は、半導体発光素子61から出射される測定光を帯状領域41dと略平行なスリット光に整形するための図示しない光束整形部材及びレンズを更に有しており、半導体発光素子61、半導体光検出素子62、光束整形部材、及びレンズは、ブロック状の部材63によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。発光素子61は、その光出射方向が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材63に保持されており、免疫クロマト試験片41の第2の位置(帯状領域41d)に測定光を照射する。すなわち、発光素子61の出射光軸と発光素子51の出射光軸との間隔は、第1の位置(帯状領域41c)と第2の位置(帯状領域41d)との間隔と略等しく設定されている。光検出素子62は、第2の位置(帯状領域41d)から帯状領域41dと略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41の第2の位置(帯状領域41d)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0086】
なお、部材53及び63は、図6に示した孔35a,35bと同様の図示しない2つの孔をそれぞれに有しており、バッフル構造を構成している。一方の孔は、発光素子51(または61)から出射される測定光の光路を覆い、他方の孔は、免疫クロマト試験片41から反射して光検出素子52(または62)へ入射する光の光路を覆う。
【0087】
この変形例では、第1実施形態とは異なり、第1の光学ヘッド5もまた、発光素子51からの測定光の光路、及び第1の位置(帯状領域41c)からの反射光の光路を覆う部材53を有し、バッフル構造となっている。本発明に係る測定装置においては、第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方において測定光及び反射光の光路を覆うことにより、当該光学ヘッドの光検出手段へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を更に高めることができる。
【0088】
また、本変形例のように、本発明における第1の光照射手段の出射光軸と第2の光照射手段の出射光軸との間隔は、免疫クロマト試験片の第1の位置と第2の位置との間隔に合わせて設定されていてもよい。
【0089】
図25は、上記第1実施形態の他の変形例として、測定装置1dの構成を示す斜視図である。この測定装置1dは、免疫クロマト試験片41に対して相対位置が固定された光学ヘッド7を備えている。光学ヘッド7には、発光素子71,72と、光検出素子73,74とが一体に組み込まれ、互いの位置関係が規定されている。発光素子71は本変形例における第1の光照射手段であり、発光素子72は本変形例における第2の光照射手段である。また、光検出素子73は本変形例における第1の光検出手段であり、光検出素子74は本変形例における第2の光検出手段である。
【0090】
発光素子71及び72は、その光出射方向が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材75に保持されている。発光素子71は免疫クロマト試験片41の第1の位置(帯状領域41c)に測定光を照射し、発光素子72は第2の位置(帯状領域41d)に測定光を照射する。光検出素子73は、第1の位置(帯状領域41c)から帯状領域41cと略平行な方向の斜め上方に配置され、第1の位置(帯状領域41c)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。光検出素子74は、免疫クロマト試験片41の第2の位置(帯状領域41d)から帯状領域41dと略平行な方向の斜め上方に配置され、第2の位置(帯状領域41d)からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0091】
なお、部材75は、図6に示した部材35と同様のバッフル構造を有しており、発光素子71から出射される測定光の光路を覆う孔、発光素子72から出射される測定光の光路を覆う孔、第1の位置(帯状領域41c)から反射して光検出素子73へ入射する光の光路を覆う孔、及び、第2の位置(帯状領域41d)から反射して光検出素子74へ入射する光の光路を覆う孔を有している。
【0092】
この変形例では、第1実施形態とは異なり、第1及び第2の光照射手段(発光素子71及び72)、並びに第1及び第2の光検出手段(光検出素子73及び74)が、一つの光学ヘッド7に一体に組み込まれているので、発光素子71及び光検出素子73、並びに発光素子72及び光検出素子74が互いに精度良く位置決めされ、反射光の検出精度を高めることができる。また、光学ヘッド7が、測定光及び反射光の光路を覆う部材75を有するので、光検出素子73,74へのノイズ光の入射を防ぎ、反射光の検出精度を高めることができる。
【0093】
(第3の実施の形態)
続いて、第3実施形態による免疫クロマト試験片の測定装置について説明する。図26は、本実施形態の測定装置1eの構成を示す斜視図である。本実施形態の測定装置1eは、蛍光物質を含む免疫クロマト試験片41に形成された反応ライン(テストラインTL及びコントロールラインCL)に測定光(励起光)を照射し、反応ラインTL及びCLにおいて発生する蛍光の強度を検出することにより反応ラインTL及びCLの反応度を測定する装置である。なお、本実施形態における蛍光物質は、第1の実施形態における色素と同じく、免疫クロマト試験片41に塗布された検体中の抗原(又は抗体)と結合する抗体(または抗原)を標識しており、テストラインTL及びコントロールラインCLにおける反応は、第1の実施形態と同様である。
【0094】
本実施形態の測定装置1eと上記第1実施形態との主な相違点は、光学ヘッドの構成である。すなわち、本実施形態の第1の光学ヘッドである光学ヘッド8は、第1実施形態の光学ヘッド3と同様の構成を有している。また、本実施形態の第2の光学ヘッドである光学ヘッド9は、免疫クロマト試験片41に形成された反応ラインTL及びCLに測定光として励起光を照射し、反応ラインTL及びCLにおいて発生する蛍光の強度を検出するための構成を有する。なお、本実施形態における駆動機構12及び免疫クロマト試験用具42の構成は第1実施形態と同様である。
【0095】
この測定装置1eは、図26に示されるように、免疫クロマト試験片41を有する免疫クロマト試験用具42を支持するための載置プレート(試験片支持部)11と、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(第1の光照射手段)81及び免疫クロマト試験片41からの反射光を検出する光検出素子(第1の光検出手段)82が一体に組み込まれた第1の光学ヘッド8と、免疫クロマト試験片41に測定光(励起光)を照射する発光素子(第2の光照射手段)91及び免疫クロマト試験片41からの蛍光を検出する光検出素子(第2の光検出手段)92が一体に組み込まれた第2の光学ヘッド9と、光学ヘッド8及び9に対して載置プレート11を検体流動方向に相対移動させる駆動機構12と、光学ヘッド8,9及び駆動機構12を制御する制御部15とを備える。なお、載置プレート11、駆動機構12、及び免疫クロマト試験片41の構成については、第1実施形態と同様なので詳細な説明を省略する。
【0096】
光学ヘッド8は、第1実施形態の光学ヘッド3と同様の構成を有する。すなわち、光学ヘッド8は、発光素子81と、光検出素子82と、光束整形部材83と、レンズ84とを有しており、これらは部材85によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。発光素子81としては発光ダイオード(LED)といった半導体発光素子が用いられ、光検出素子82としてはシリコン(Si)フォトダイオードといった半導体光検出素子が用いられる。発光素子81は、その光軸が免疫クロマト試験片41の表面に対して垂直になるように部材85に保持されており、免疫クロマト試験片41に測定光を照射する。光検出素子82は、免疫クロマト試験片41上の測定光の照射位置から帯状領域41c及び41d(図2参照)と略平行な方向の斜め上方に配置され、免疫クロマト試験片41からの反射光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0097】
光学ヘッド9は、光学ヘッド8と略同様の構成を有する。すなわち、光学ヘッド9は、発光素子91と、光検出素子92と、光束整形部材93と、レンズ94とを有しており、これらは部材95によって一体的に保持され、互いの位置関係が規定されている。但し、光束整形部材93とレンズ94との間には、波長フィルタ96が設けられている。波長フィルタ96は、発光素子91から出射された光から蛍光物質の励起に必要な波長成分を取り出すための部材である。また、光検出素子92と免疫クロマト試験片41との間には、波長フィルタ97が設けられている。波長フィルタ97は、光検出素子92に蛍光のみを入射させ、他の波長域の光(発光素子91から出射された光など)をカットするための部材である。発光素子91は、蛍光物質を励起するための測定光(励起光)を免疫クロマト試験片41に照射する。光検出素子92は、免疫クロマト試験片41からの蛍光をその強度に応じた電気信号に変換する。
【0098】
続いて、本実施形態による測定装置1eの動作について、図27〜図32を参照しながら説明する。図27及び図28は、測定装置1eの動作を示すフローチャートである。また、図29〜図32は、測定装置1eの動作の様子を説明するための斜視図である。なお、図29〜図32においては、図26に示した駆動機構12及び制御部15の図示を省略している。
【0099】
まず、測定者が免疫クロマト試験用具42を載置プレート11上にセットする(ステップS41)。そして、制御部15は、予め定められた免疫クロマト試験片41上の第1の位置からの反射光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド8とを相対移動させる。具体的には、制御部15は、駆動機構12を作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が光学ヘッド8の発光素子81の光出射方向に位置するように、光学ヘッド8と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS42)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第1の位置が、第1の帯状領域41c内に設定されているものとする。従って、図29に示すように、帯状領域41cが発光素子81の光出射方向に位置することとなる。
【0100】
続いて、測定者が検体を検体点着部41aに滴下したのち、発光素子81が、免疫クロマト試験片41の第1の位置(すなわち帯状領域41c)に測定光を照射する。そして、その反射光を光検出素子82が受け、光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部15へ送られ、制御部15は、この電気信号に基づいて第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度を検知する(ステップS43)。なお、このとき、発光素子91は消灯している。
【0101】
ここで、図33(a)は、第1の位置(帯状領域41c)における光学特性(吸光度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。先の実施形態で述べたように、免疫クロマト試験片41が乾いているときには光検出素子82において比較的大きな強度P1の反射光が検出される。そして、第1の位置(帯状領域41c)に検体が到達すると、吸光度が大きくなるので光検出素子82への反射光強度は強度P2(<P1)へ変化する。制御部15は、光検出素子82からの電気信号に基づいて吸光度の変化を観測し(ステップS44)、吸光度が変化した時刻taに計時を開始する(ステップS45)。制御部15は、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度変化を検知したのち、発光素子81を消灯させる。
【0102】
続いて、制御部15は、第1の位置より下流側の免疫クロマト試験片41上の第2の位置からの蛍光を検出するように載置プレート11と光学ヘッド9とを相対移動させる。具体的には、制御部15は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、免疫クロマト試験片41上の第2の位置が光学ヘッド9の発光素子91の光出射方向に位置するように、光学ヘッド9と免疫クロマト試験片41との相対位置関係を制御する(ステップS46)。本実施形態では、免疫クロマト試験片41上の第2の位置を、第2の帯状領域41d内に設定するものとする。従って、図30に示すように、帯状領域41dが発光素子91の光出射方向に位置することとなる。その後、制御部15は発光素子91を点灯させ、発光素子91が、免疫クロマト試験片41の第2の位置(すなわち帯状領域41d)に測定光(励起光)を照射する。そして、この測定光に励起されて生じる蛍光を光検出素子92が受け、蛍光強度に応じた電気信号に変換する。電気信号は制御部15へ送られ、制御部15は、この電気信号に基づいて第2の位置(帯状領域41d)における光学特性(蛍光強度)を検知する(ステップS47)。
【0103】
図33(b)は、第2の位置(帯状領域41d)における光学特性(蛍光強度)の変化の様子を概念的に示すグラフである。図15(b)において、縦軸は第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度を示し、横軸は時間を示している。検体が第2の位置(帯状領域41d)に到達するまでは、該位置には蛍光物質が実質的に存在しないので、光検出素子92においては極めて小さな強度P3の光しか検出されない。そして、第2の位置(帯状領域41d)に検体が到達すると、検体中の抗原(又は抗体)と結合した抗体(または抗原)を標識した蛍光物質が測定光によって励起されるので、光検出素子92への蛍光強度は強度P4(>P3)へ変化する。制御部15は、光検出素子92からの電気信号に基づいて蛍光強度の変化を観測し(ステップS48)、蛍光強度が変化した時刻tbと時刻taとの差(tb−ta)、すなわち第1の位置(帯状領域41c)における反射光強度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する(ステップS49)。制御部15は、第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化したのち、発光素子91を一旦消灯させる。
【0104】
続いて、制御部15は時刻taを基準として所定時間のカウントを行う(ステップS50)。この所定時間の間に、上述した第1および第2の抗原抗体反応が進行し、帯状領域41c及び41dに反応ラインTL及びCLが発現する。この所定時間は、上記経過時間(tb−ta)よりも長く、例えば15分程度に設定され、検体の種類によって適宜調整される。
【0105】
制御部15は、発光素子91を再び点灯させ、時刻taから所定時間が経過した後に、測定光の照射位置が帯状領域41c,41dを通過するように発光素子91の測定光を検体流動方向に走査させながら、光検出素子92により蛍光を連続的に(または断続的に)検出し、検出部41bにおける蛍光プロファイルを得る(ステップS51)。具体的には、制御部15は、駆動機構12を再び作動させることにより載置プレート11を移動させて、図31に示すように、発光素子91の光出射方向に検出部41bの上流側の一端を位置させる。そして、制御部15は、発光素子91の光出射方向に検出部41bの下流側の一端が位置するまで(図32参照)測定光の照射位置を下流側へ移動させながら(すなわち、免疫クロマト試験片41を光学ヘッド9に対し相対的に上流側へ移動させながら)、発光素子91に測定光を照射させつつ、光検出素子92により蛍光強度に応じた電気信号を取得する。
【0106】
図34は、上記動作により得られる蛍光プロファイルの一例を示す図である。図34において、縦軸は蛍光強度を示しており、横軸は検体流動方向における検出部41b上の位置を示している。制御部15は、例えば図34に示されるような蛍光プロファイルを作成し、この蛍光プロファイルから、免疫クロマト試験片41上のテストラインTLの蛍光度PL1、コントロールラインCLの蛍光度PL2を、それぞれPL1=log(a4/a3)、PL2=log(a5/a3)の演算式により算出する。この蛍光度PL1及びPL2が、すなわち各反応ラインTL,CLの反応度を表している。そして、制御部15は、予め設定された関係式に基づいて蛍光度PL1、PL2を時間(tb−ta)により補正する。制御部15は、コントロールラインCLの補正後の蛍光度PL2に基づいて測定の成否を判定すると共に、予め作成された検量特性線図を参照することにより、テストラインTLの補正後の蛍光度PL1に応じて検体中に含まれる抗原(または抗体)の総量(濃度)を求め、これを表示装置や印刷装置などの出力手段により出力する(ステップS52)。
【0107】
このようにして、本実施形態の測定装置1eは、免疫クロマト試験片41の検出部41bに形成されたテストラインTL及びコントロールラインCLの反応度を測定する。
【0108】
以上に説明した本実施形態の測定装置1eによれば、第1の位置(帯状領域41c)における反射光を検出する第1の光検出素子82と、第2の位置(帯状領域41d)における蛍光を検出する第2の光検出素子92とによって各位置における吸光度の変化または蛍光強度の変化を検知することにより、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。そして、制御部15が、第1の位置(帯状領域41c)における吸光度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化するまでの経過時間(tb−ta)を取得するので、検体の流速を自動的に測定できる。従って、制御部15が(または測定者が)経過時間(tb−ta)に基づいて反応ラインTL及びCLの蛍光度(反応度)を補正することにより、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0109】
なお、本実施形態に係る測定装置1eは、次のような変形も可能である。すなわち、光学ヘッド8にも光学ヘッド9の波長フィルタ96,97と同様の波長フィルタを設け、光検出素子82において反射光ではなく蛍光が検出されるようにしてもよい。このような構成であっても、第1の位置(帯状領域41c)に検体が到達したタイミングtaを好適に知ることができる。つまり、免疫クロマト試験片41において蛍光物質が検体とともに展開され、検体が到達した位置を測定光により励起すると蛍光が発生し、同時に、検体は測定光を吸収するので吸光度は低下する。従って、光学ヘッド8及び9において反射光及び蛍光の何れか一方を検出すれば、上記したタイミングta,tbを知ることができる。
【0110】
また、本実施形態に係る測定装置1eは、更に次のような変形も可能である。すなわち、第2実施形態の測定装置1bのように、一つの光学ヘッドを用いてタイミングta,tbを取得し、且つ反応度の測定を行ってもよい。この場合、測定装置は、本実施形態の光学ヘッド8を除いた構成となる。すなわち、この測定装置は、検体が滴下された免疫クロマト試験片41に測定光を照射する発光素子(光照射手段)91と、測定光の照射による免疫クロマト試験片41からの蛍光を検出する光検出素子(光検出手段)92と、免疫クロマト試験片41を支持する載置プレート(試験片支持部)11と、免疫クロマト試験片41の検体流動方向に載置プレート11と光検出素子92とを相対移動させる駆動機構12と、駆動機構12を制御する制御部15とを備えることとなる。
【0111】
そして、制御部15は、免疫クロマト試験片41上の第1の位置(帯状領域41c)からの蛍光を検出するように載置プレート11と光検出素子92とを相対移動させた後、第2の位置(帯状領域41d)からの蛍光を検出するように載置プレート11と光検出素子92とを相対移動させ、光検出素子92からの出力信号に基づいて、第1の位置(帯状領域41c)における蛍光強度が変化してから第2の位置(帯状領域41d)における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する。このような構成により、各位置における蛍光強度の変化を好適に検知できるので、各位置に検体が到達したタイミングta,tbを知ることができる。
【0112】
本発明は、前述した各実施形態及び変形例に限定されるものではない。たとえば、光照射手段として、発光ダイオードの代わりにレーザダイオード等のその他の半導体発光素子を用いてもよい。また、光検出手段として、Siホトダイオードの代わりにホトトランジスタ等のその他の半導体受光素子、或いは光電管や光電子増倍管等の真空管型光センサを用いてもよい。
【0113】
また、前述した各実施形態では、免疫クロマト試験片41における第1の位置をテストラインTLとなる帯状領域41cに、第2の位置をコントロールラインCLとなる帯状領域41dに、それぞれ設定している。本発明における第1及び第2の位置は、これらに限られるものではなく、免疫クロマト試験片上の任意の位置に設定してよい。
【0114】
また、前述した実施形態では、呈色度と検体の流速との相関について、図16に示したように時間(tb−ta)が長いほど吸光度ABS1が大きくなるといった相関を例示しているが、両者の相関はこれに限られるものではない。例えば時間(tb−ta)が長いほど吸光度ABS1が小さくなるような相関であっても、本発明による測定装置によれば、時間(tb−ta)に基づいてラインTL及びCLの反応度を補正することにより、反応度のばらつきによる影響を抑え、検体中の抗原(または抗体)の量を精度よく分析できる。
【0115】
また、前述した各実施形態では、駆動機構が、試験片支持部(載置プレート11)を移動させることで免疫クロマト試験片と光照射手段とを相対移動させているが、試験片支持部を固定し、駆動機構が光照射手段を移動させることで免疫クロマト試験片と光照射手段とを相対移動させてもよい。或いは、駆動機構は、試験片支持部及び光照射手段の双方を移動させることで免疫クロマト試験片と光照射手段とを相対移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】免疫クロマト試験用具の平面図である。
【図3】検体の移動方向に沿った光学ヘッドの側面断面図である。
【図4】光学ヘッド及び免疫クロマト試験用具を示す斜視図である。
【図5】光学ヘッド及び免疫クロマト試験用具を示す斜視図である。
【図6】図5に示す光学ヘッドのVI−VI断面に沿った断面図である。
【図7】第1実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図10】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図11】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図12】第1実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図13】(a)第1の位置における吸光度の変化の様子を概念的に示すグラフである。(b)第2の位置における吸光度の変化の様子を概念的に示すグラフである。
【図14】測定光の吸光プロファイルの一例を示す図である。
【図15】実施例の結果を示す図表である。
【図16】実施例における吸光度と時間(tb−ta)とを座標軸上にプロットした図である。
【図17】本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図18】第2実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】第2実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図20】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図21】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図22】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図23】第2実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図24】第1実施形態の一変形例の構成を示す斜視図である。
【図25】第1実施形態の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る免疫クロマト試験片の測定装置の第3実施形態を示す斜視図である。
【図27】第3実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図28】第3実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図29】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図30】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図31】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図32】第3実施形態の測定装置の動作の様子を説明するための斜視図である。
【図33】(a)第1の位置における吸光度の変化の様子を概念的に示すグラフである。(b)第2の位置における蛍光強度の変化の様子を概念的に示すグラフである。
【図34】蛍光プロファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1a〜1e…測定装置、2,3,5〜9…光学ヘッド、11…載置プレート、12…駆動機構、13〜15…制御部、21,31,51,61,71,72,81,91…発光素子、22,32,52,62,73,74,82,92…光検出素子、23a…アパーチャ、24a,33a…スリット、25…樹脂部材、26…PC基板、34…レンズ、41…免疫クロマト試験片、41c,41d…帯状領域、42…免疫クロマト試験用具、CL…コントロールライン、TL…テストライン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、
前記免疫クロマト試験片上の第1の位置への前記測定光の照射により前記免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第1の光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片上の前記第1の位置より下流側の第2の位置への前記測定光の照射により前記免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における光学特性が変化してから前記第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得する制御部と
を備えることを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項2】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、
前記測定光の照射により前記免疫クロマト試験片から得られる光を検出する光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記免疫クロマト試験片上の第1の位置からの光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させた後、前記第1の位置より下流側の第2の位置からの光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させ、前記光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における光学特性が変化してから前記第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項3】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、
前記免疫クロマト試験片上の第1の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第1の光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片上の前記第1の位置より下流側の第2の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得する制御部と
を備えることを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項4】
第1及び第2の前記光照射手段を備え、
前記第1の光検出手段は、前記第1の光照射手段の照射による前記反射光を検出し、
前記第2の光検出手段は、前記第2の光照射手段の照射による前記反射光を検出することを特徴とする、請求項3に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項5】
前記第1の光照射手段及び前記第1の光検出手段が一体に組み込まれた第1の光学ヘッドと、
前記第2の光照射手段及び前記第2の光検出手段が一体に組み込まれた第2の光学ヘッドと
を備え、
前記第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方が、前記測定光及び前記反射光の光路を覆う部材を有することを特徴とする、請求項4に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項6】
前記第1の光学ヘッドと前記第2の光学ヘッドとの間隔が可変であることを特徴とする、請求項5に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の光照射手段、並びに前記第1及び第2の光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、
前記光学ヘッドが、前記測定光及び前記反射光の光路を覆う部材を有することを特徴とする、請求項4に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項8】
前記第1の光照射手段が消灯した後に前記第2の光照射手段が点灯することを特徴とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項9】
前記免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、
前記制御部が、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、前記帯状領域における吸光度を取得することを特徴とする、請求項3〜8のいずれか一項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項10】
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記制御部によって制御され、前記第1及び第2の光照射手段の一方または双方と前記試験片支持部とを前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に相対移動させる駆動機構と
を更に備え、
前記制御部は、前記所定時間が経過した後に、前記測定光の照射位置が前記帯状領域を通過するように前記第1または第2の光照射手段の前記測定光を前記検体流動方向に走査させることを特徴とする、請求項9に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記第2の位置における吸光度が変化した後に前記第2の光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて前記所定時間経過後の走査を行わせることを特徴とする、請求項10に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項12】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、
前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光を検出する光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記免疫クロマト試験片上の第1の位置からの前記反射光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させた後、前記第1の位置より下流側の第2の位置からの前記反射光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させ、前記光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項13】
前記光照射手段及び前記光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、
前記駆動機構は、前記試験片支持部と前記光学ヘッドとを相対移動させることを特徴とする、請求項12に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項14】
前記免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、
前記制御部が、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、前記帯状領域における吸光度を取得することを特徴とする、請求項12または13に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記所定時間が経過した後に、前記測定光の照射位置が前記帯状領域を通過するように前記光照射手段の前記測定光を前記検体流動方向に走査させることを特徴とする、請求項14に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項16】
前記制御部が、前記第2の位置における吸光度が変化した後に前記光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて前記所定時間経過後の走査を行わせることを特徴とする、請求項15に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項17】
前記免疫クロマト試験片が、第1の抗原抗体反応を生じる第1の帯状領域と、前記第1の帯状領域より下流側に設けられ第2の抗原抗体反応を生じる第2の帯状領域とを有し、
前記第1の位置が前記第1の帯状領域内であり、前記第2の位置が前記第2の帯状領域内であることを特徴とする、請求項3または12に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項18】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、
前記免疫クロマト試験片上の第1の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第1の光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片上の前記第1の位置より下流側の第2の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における吸光度または蛍光強度が変化してから前記第2の位置における吸光度または蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する制御部と
を備えることを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項19】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、
前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの蛍光を検出する光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記免疫クロマト試験片上の第1の位置からの前記蛍光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させた後、前記第1の位置より下流側の第2の位置からの前記蛍光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させ、前記光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における蛍光強度が変化してから前記第2の位置における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項1】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、
前記免疫クロマト試験片上の第1の位置への前記測定光の照射により前記免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第1の光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片上の前記第1の位置より下流側の第2の位置への前記測定光の照射により前記免疫クロマト試験片から得られる光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における光学特性が変化してから前記第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得する制御部と
を備えることを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項2】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、
前記測定光の照射により前記免疫クロマト試験片から得られる光を検出する光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記免疫クロマト試験片上の第1の位置からの光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させた後、前記第1の位置より下流側の第2の位置からの光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させ、前記光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における光学特性が変化してから前記第2の位置における光学特性が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項3】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、
前記免疫クロマト試験片上の第1の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第1の光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片上の前記第1の位置より下流側の第2の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得する制御部と
を備えることを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項4】
第1及び第2の前記光照射手段を備え、
前記第1の光検出手段は、前記第1の光照射手段の照射による前記反射光を検出し、
前記第2の光検出手段は、前記第2の光照射手段の照射による前記反射光を検出することを特徴とする、請求項3に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項5】
前記第1の光照射手段及び前記第1の光検出手段が一体に組み込まれた第1の光学ヘッドと、
前記第2の光照射手段及び前記第2の光検出手段が一体に組み込まれた第2の光学ヘッドと
を備え、
前記第1及び第2の光学ヘッドのうち少なくとも一方が、前記測定光及び前記反射光の光路を覆う部材を有することを特徴とする、請求項4に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項6】
前記第1の光学ヘッドと前記第2の光学ヘッドとの間隔が可変であることを特徴とする、請求項5に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の光照射手段、並びに前記第1及び第2の光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、
前記光学ヘッドが、前記測定光及び前記反射光の光路を覆う部材を有することを特徴とする、請求項4に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項8】
前記第1の光照射手段が消灯した後に前記第2の光照射手段が点灯することを特徴とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項9】
前記免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、
前記制御部が、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、前記帯状領域における吸光度を取得することを特徴とする、請求項3〜8のいずれか一項に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項10】
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記制御部によって制御され、前記第1及び第2の光照射手段の一方または双方と前記試験片支持部とを前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に相対移動させる駆動機構と
を更に備え、
前記制御部は、前記所定時間が経過した後に、前記測定光の照射位置が前記帯状領域を通過するように前記第1または第2の光照射手段の前記測定光を前記検体流動方向に走査させることを特徴とする、請求項9に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記第2の位置における吸光度が変化した後に前記第2の光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて前記所定時間経過後の走査を行わせることを特徴とする、請求項10に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項12】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、
前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光を検出する光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記免疫クロマト試験片上の第1の位置からの前記反射光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させた後、前記第1の位置より下流側の第2の位置からの前記反射光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させ、前記光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記第2の位置における吸光度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項13】
前記光照射手段及び前記光検出手段が一体に組み込まれた光学ヘッドを備え、
前記駆動機構は、前記試験片支持部と前記光学ヘッドとを相対移動させることを特徴とする、請求項12に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項14】
前記免疫クロマト試験片が、検体と抗原抗体反応を生じる帯状領域を有し、
前記制御部が、前記第1の位置における吸光度が変化してから前記経過時間よりも長い所定時間が経過した後に、前記帯状領域における吸光度を取得することを特徴とする、請求項12または13に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記所定時間が経過した後に、前記測定光の照射位置が前記帯状領域を通過するように前記光照射手段の前記測定光を前記検体流動方向に走査させることを特徴とする、請求項14に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項16】
前記制御部が、前記第2の位置における吸光度が変化した後に前記光照射手段を消灯させ、その後再び点灯させて前記所定時間経過後の走査を行わせることを特徴とする、請求項15に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項17】
前記免疫クロマト試験片が、第1の抗原抗体反応を生じる第1の帯状領域と、前記第1の帯状領域より下流側に設けられ第2の抗原抗体反応を生じる第2の帯状領域とを有し、
前記第1の位置が前記第1の帯状領域内であり、前記第2の位置が前記第2の帯状領域内であることを特徴とする、請求項3または12に記載の免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項18】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する一または複数の光照射手段と、
前記免疫クロマト試験片上の第1の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第1の光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片上の前記第1の位置より下流側の第2の位置への前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの反射光または蛍光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における吸光度または蛍光強度が変化してから前記第2の位置における吸光度または蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得する制御部と
を備えることを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【請求項19】
免疫クロマト試験片に測定光を照射する光照射手段と、
前記測定光の照射による前記免疫クロマト試験片からの蛍光を検出する光検出手段と、
前記免疫クロマト試験片を支持する試験片支持部と、
前記免疫クロマト試験片の検体流動方向に前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記免疫クロマト試験片上の第1の位置からの前記蛍光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させた後、前記第1の位置より下流側の第2の位置からの前記蛍光を検出するように前記試験片支持部と前記光検出手段とを相対移動させ、前記光検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の位置における蛍光強度が変化してから前記第2の位置における蛍光強度が変化するまでの経過時間を取得することを特徴とする、免疫クロマト試験片の測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2008−170190(P2008−170190A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1687(P2007−1687)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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