説明

免疫原性組成物

本発明は、免疫学的融合パートナーとして作用する融合パートナー、発現エンハンサーとして作用する融合パートナー、好ましくは、両方の機能を有する融合パートナーに関する。特に、該融合パートナーは、いわゆるコリン結合性ドメイン、例えば、ストレプトコッカス・ニゥモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来のLytAまたは肺炎球菌ファージCP1リゾチーム(CPL1)を含む融合体を含有し、ここで、コリン結合性ドメインは、異種Tヘルパーエピトープを含むように修飾されており、該融合パートナーは、抗原、特に、自己抗原のような免疫原性が乏しい抗原、例えば腫瘍特異的または組織特異的抗原に融合される。本発明はまた、それらを含有する融合タンパク質、それらの製造、免疫原性組成物およびワクチンにおけるそれらの使用、ならびに医薬におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学的融合パートナーとして作用する融合パートナー、発現エンハンサーとして作用する融合パートナー、好ましくは、両方の機能を有する融合パートナーに関する。本発明はまた、それらを含有する融合タンパク質、それらの製造、ワクチンにおけるそれらの使用、および医薬におけるそれらの使用に関する。本発明は特に、いわゆるコリン結合性ドメインを含有する融合パートナー、例えば、ストレプトコッカス・ニゥモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来のLytAまたは肺炎球菌ファージCP1リゾチーム(CPL1)を含む融合体を含有する融合パートナーを提供するものであり、ここで、コリン結合性ドメインは、異種Tヘルパーエピトープを含むように修飾されている。そのような融合パートナーは、それに結合した異種タンパク質の発現レベルを改善することが示されている。また、そのような融合パートナーは、免疫原性に乏しくなければワクチン抗原として有用である、免疫原性に乏しいタンパク質またはペプチドに融合される場合に特に有用である。より詳しくは、そのような融合パートナーは、自己抗原、例えば腫瘍特異的または組織特異的抗原を含む構築物において有用である。
【背景技術】
【0002】
ストレプトコッカス・ニゥモニエ(Streptococcus pneumoniae)は、細胞壁のペプチドグリカンバックボーンを特異的に分解して細胞溶解を招く自己分解酵素であるNアセチル-L-アラニンアミダーゼを合成する。そのポリペプチド鎖は2つのドメインを有する。LytAのN末端ドメインは触媒活性をもたらし、一方、C末端ドメインはコリンに対するアフィニティーおよび細胞壁に対する足場をもたらす。このC末端ドメインはコリンおよびコリン類似体に結合することが公知であり、クロマトグラフィーに一般に使用されるDEAE(ジエチルアミノエチル)のような第3級アミンにも結合する。
【0003】
LytAは318アミノ酸のタンパク質であり、C末端部分は20または21アミノ酸の6個の不完全な反復の縦列配列および短いCOOH末端尾部を含む。該反復は以下の位置に位置する:
R1: 177-191
R2: 192-212
R3: 213-234
R4: 235-254
R5: 255-275
R6: 276-298。
【0004】
これらの反復はβターンコンホメーションで存在すると予想される。そのC末端がコリンへの結合をもたらす。同様に、CPL1のC末端は結合アフィニティーをもたらし、該反復内の芳香族残基がそのような結合に寄与する。これらのタンパク質は、迅速な精製を可能にするアフィニティータグとして使用されている(Sanchez Puelles, Eur J Biochem. 1992, 203, 153-9)。
【0005】
コリン結合性ドメインを有する他のタンパク質もストレプトコッカス・ニゥモニエ(Streptococcus pneumoniae)において研究されている。
【0006】
それらのうちの1つであるPspA(すなわち、肺炎球菌表面タンパク質A(Pneumococcal Surface Protein A))はビルレンス因子である(Yother JおよびBriles (1992) J Bacteriol 174(2) p 601)。このタンパク質は抗原性かつ免疫原性である。それは、LytAの反復と相同である20アミノ酸の10個の反復よりなるC末端ドメインを有する。
【0007】
CbpA(すなわち、コリン結合性タンパク質A(Choline-Binding Protein A))はヒト細胞への肺炎球菌の付着に関与している(Rosenowら (1997) Mol Microbiol 25 (5) p 819)。それは、C末端ドメインにおいて、PspAのものとほとんど同一である20アミノ酸の10個の反復を示す。
【0008】
LytBおよびLytCは、前記タンパク質とは異なるモジュラー構造を有する。なぜなら、それらのコリン結合性ドメインは、それぞれ15個の反復および11個の反復から構成され、C末端ではなくN末端に位置するからである(Garcia P Mol Microbiol (1999) 31 (4) p1275およびGarcia Pら (1999) Mol Microbiol 33(1) p128)。配列比較は、LytBがグルコサミダーゼ活性を有することを示している。LytCはin vitroでリゾチーム型活性を示す。また、PepA、PepBおよびPepCと称される3つの遺伝子が1995年にクローニングされた。それらの機能は未知であるが、これらの遺伝子も、LytAの反復と相同な可変性反復配列を有する。
【0009】
ファージは、その感染サイクルにおいて、細菌内への通過を促進するムレインヒドロラーゼを合成する。これらのヒドロラーゼはコリン結合性ドメインを有する。ファージCp-1のムラミダーゼCPL1が詳細に研究されている。それは、コリンの特異的認識に関与する20アミノ酸の6個の反復をC末端に示す(Garica J. L. J. Virol 61 (8) p2573-80; (1987) およびGarcia E Prol Natl Acad Sci (1988) p914)。LytA反復とCPL1反復との比較により、それらの反復の最初のコンセンサスの取得が可能になる。
【0010】
ファージDp-1(Garcia Pら (1983) J Gen Microbiol 129 (2) p489)、Cpl-9(Garciaら (1989) Biochem Biophys Res Commun 158(1) p 251)、HB-3(Romeroら 1990 J Bacteriol 172 (9) p 5064-5070)およびEJ-1(Diaz (1992) J Bacteriol 174 (17) p 5516)のムレインヒドロラーゼもコリン結合性ドメインの特性を示す。
【0011】
肺炎球菌ファージであるCP-1によりコードされるリゾチームもこの特性を有する。WO 99/10375は、とりわけ、HisタグおよびLytAのC末端部分(本明細書中では(C-LytA)と称される)に連結されたヒトパピローマウイルスタンパク質E6またはE7、ならびにディファレンシャルアフィニティークロマトグラフィーによる該タンパク質の精製を記載している。WO 99/40188は、とりわけ、分子のN末端にHisタグおよびC-LytA部分を伴うMAGE抗原を含む融合タンパク質を記載している。
【0012】
驚くべきことに、本発明において、本発明の融合パートナーは、異種タンパク質に融合されると、それに結合した異種タンパク質の免疫原性を増強しうることが見出された。また、それに結合した異種タンパク質の発現レベルが増強されうることも見出された。したがって、本発明は、好ましい実施形態においては、発現エンハンサーとしても作用しうる改良された免疫学的融合パートナーを提供する。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
したがって、本発明は、コリン結合性ドメインまたはその断片またはその類似体と、異種プロミスカス(heterologous promiscuous)Tヘルパーエピトープ、好ましくはプロミスカスMHCクラスII Tエピトープとを含む融合パートナー分子を含む。該融合パートナーは、免疫学的融合パートナーまたは発現エンハンサーとして、好ましくは、免疫学的パートナーおよび発現エンハンサーの両方として作用する能力を示す。プロミスカスTヘルパーエピトープは、2以上のMHCクラスII対立遺伝子、好ましくは、4以上のMHCクラスII対立遺伝子に結合するエピトープである。特に、そのようなエピトープは、多様なMHCハプロタイプを発現する多数の個体においてヘルパーT細胞応答を惹起しうる。所望により、該融合タンパク質はコリンへのその結合能を保有しうる。
【0014】
好ましい実施形態においては、コリン結合性部分はLytAのC末端に由来する。好ましくは、C-LytAまたは誘導体は、図1(配列番号1〜6)に記載する反復R1〜R6のいずれかの少なくとも4個の反復を含む。最も好ましい実施形態においては、C-LytAは、第1の反復とその他の完全な5個の反復とを含有するアミノ酸177-298を含む。
【0015】
本発明のもう1つの態様においては、異種タンパク質を更に含む、本明細書中に定義される融合パートナーを提供する。異種タンパク質は該融合パートナーに化学的に結合または融合していることが可能である。好ましくは、異種タンパク質は腫瘍関連抗原またはその免疫原性断片である。
【0016】
本発明のもう1つの態様においては、本明細書中に定義されるタンパク質をコードする核酸配列を提供する。また、該核酸を含む発現ベクター、および該核酸またはベクターで形質転換された宿主をも提供する。
【0017】
本発明のもう1つの態様においては、本明細書に記載のタンパク質または核酸配列と、製薬上許容される賦形剤、希釈剤または担体とを含む免疫原性組成物を提供する。好ましくは、該免疫原性組成物はTh-1誘導性アジュバントを更に含む。
【0018】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、医薬において使用するための該免疫原性組成物またはタンパク質および核酸を提供する。特に、患者において免疫応答を惹起する医薬の製造における、あるいは感染症または癌疾患の治療または予防における使用のための本発明のタンパク質または核酸を提供する。
【0019】
本発明は更に、本明細書に記載の組成物または核酸の安全かつ有効な量を投与することによる、感染症または癌疾患、特に乳癌、肺癌(特に非小細胞肺癌)、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌および他のGI(胃腸)癌に罹患した患者の治療方法を提供する。
【0020】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、本発明の核酸またはタンパク質を製薬上許容される賦形剤、希釈剤または担体と混合することによる、本明細書に記載の免疫原性組成物の製造方法を提供する。
【0021】
発明の詳細な説明
本明細書に記載のとおり、本発明の1つの実施形態においては、該修飾コリン結合性ドメイン(融合パートナー)は、発現エンハンサーとして作用する能力を有し、得られる融合タンパク質は、SDS-PAGEおよびそれに続くクーマシーブルー染色または銀染色および所望によりそれに続くゲルスキャニングによる測定で、未融合タンパク質と比較して好ましくは約100%以上高い(2倍以上高い)または150%以上高い収率で宿主細胞内で発現される。本発明の修飾コロン結合性ドメインは、免疫学的パートナーとして作用する能力をも有し、得られる異種タンパク質との融合タンパク質は、宿主内で、未融合異種タンパク質より免疫原性である。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態においては、該修飾コリン結合性ドメインは、免疫学的融合パートナーとして作用する能力を有し、異種タンパク質のみの場合と比較して増強された免疫応答が該融合タンパク質で得られるのを可能にする。
【0023】
好ましい実施形態においては、該修飾コリン結合性ドメインは二重機能を有し、免疫学的融合パートナーおよび発現エンハンサーの両方として作用する能力を有する。
【0024】
好ましい実施形態においては、該コリン結合性部分はLytAのC末端に由来する。好ましくは、C-LytAまたは誘導体は少なくとも2個の反復、好ましくは少なくとも4個の反復を含む。この場合、C-LytA誘導体は本発明のC-LytAの変異体、すなわち、免疫学的パートナーおよび発現エンハンサーの両方として作用する能力を保有する変異体を意味する。好ましい変異体には、例えば、図1(配列番号1〜6)に記載の反復R1〜R6のいずれかに対して少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド、または図1(配列番号1〜8)に記載のアミノ酸配列からの少なくとも15、20、30、40、50もしくは100個の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。
【0025】
したがって、本発明の1つの態様においては、修飾コリン結合性ドメインと異種プロミスカスTヘルパーエピトープとを含んでなる融合パートナータンパク質を提供し、ここで、該コリン結合性ドメインは、
a)配列番号7に記載のLytAのC末端ドメイン、
b)配列番号8の配列、
c)配列番号1〜6のいずれかに対して少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド配列、
d)配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列からの少なくとも15、20、30、40、50または100個の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含むペプチド配列
を含む群から選ばれる。最も好ましい実施形態においては、C-LytAは、第1の反復とその他の完全な5個の反復とを含有するアミノ酸177-298を含む。
【0026】
該融合パートナーの第2成分である異種T細胞エピトープは、好ましくは、ヒトにおいて2以上のMHC II分子を発現する多数の個体に結合するエピトープの群から選ばれる。例えば、特に意図されるエピトープは破傷風トキソイド由来のP2およびP30エピトープ(Panina - Bordignon Eur. J. Immunol 19 (12), 2237 (1989))である。好ましい実施形態においては、異種T細胞エピトープは破傷風毒素由来のP2またはP30である。
【0027】
P2エピトープは配列QYIKANSKFIGITEを有し、破傷風毒素のアミノ酸830-843に対応する。P30エピトープ(破傷風毒素の残基947-967)は配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLEを有する。場合によっては、FNNFTV配列は欠失していてもよい。他の汎用Tエピトープは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の環状スポロゾイト(circumsporozoite)タンパク質、特に、配列DIEKKIAKMEKASSVFNVVNSを有する領域378-398(Alexander J, (1994) Immunity 1 (9), p 751-761)に由来しうる。もう1つのエピトープは、配列LSEIKGVIVHRLEGVを有する残基288-302における麻疹ウイルス融合タンパク質(Partidos CD, 1990, J. Gen. Virol 71(9) 2099-2105)に由来する。さらにもう1つのエピトープはB型肝炎ウイルス表面抗原、特に、配列FFLLTRILTIPQSLDを有するアミノ酸に由来する。もう1つの組のエピトープはジフテリア毒素に由来する。これらのペプチドのうちの4つ(アミノ酸271-290、321-340、331-350、351-370)は該毒素の断片BのTドメイン内に位置し、残りの2つ(411-430、431-450)はRドメイン内に位置する:
PVFAGANYAAWAVNVAQVI、
VHHNTEEIVAQSIALSSLMV、
QSIALSSLMVAQAIPLVGEL、
VDIGFAAYNFVESII NLFQV、
QGESGHDIKITAENTPLPIA、
GVLLPTIPGKLDVNKSKTHI。
【0028】
(Raju R., Navaneetham D., Okita D., Diethelm-Okita B., McCormick D., Conti-Fine B. M. (1995) Eur. J. Immunol. 25: 3207-14)
異種Tエピトープは、好ましくは、少なくとも4個の反復、好ましくは反復2〜5(それらを含む)を含有するC-LytAに融合させる。所望により、1以上の後続の反復を該TエピトープのC末端に融合させることが可能である。あるいは、異種Tエピトープは、好ましくは、合計で少なくとも4個の反復を含有するC-LytAの2つの連続的反復の間に挿入され、あるいは、合計で少なくとも4個の反復を含有するC-LytAの反復の1つの中に挿入される。より好ましくは、C-LytAは6個の反復を含有し、該異種エピトープはC-LytAの第6反復内および該第6反復の開始部分に挿入される。
【0029】
本発明は更に、他の態様において、典型的には、生理的に許容される担体および/または免疫刺激剤を含む医薬組成物(例えば、ワクチン組成物)の形態の、前記の少なくとも1つのポリペプチドを含む融合タンパク質、およびそのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。したがって、自己タンパク質または他の免疫原性の乏しいタンパク質を、得られた融合パートナーのNまたはC末端に融合させることが可能である。あるいは、自己タンパク質または免疫原性の乏しいタンパク質を該融合パートナー内に挿入することが可能である。所望により採用されうる実施形態においては、ヒスチジンタグまたは少なくとも4個、好ましくは7個以上のヒスチジン残基を免疫原性の乏しいタンパク質のもう一方の末端に融合させることが可能である。典型的には少なくとも4個、好ましくは6個以上の残基を含むヒスチジン尾部は金属イオンに結合し、したがって金属固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)に適しているため、これはアフィニティークロマトグラフィー工程による該タンパク質の精製を可能にするであろう。
【0030】
したがって、典型的な構築物は、
・免疫原性の乏しいタンパク質-C-LytA反復1-4-P2エピトープ(C-LytA反復5内に挿入されるか又はその代わりに使用される)-C-LytA反復6
・C-LytA反復1-4-P2エピトープ(C-LytA反復5内に挿入されるか又はその代わりに使用される)-C-LytA反復6-免疫原性の乏しいタンパク質、
・免疫原性の乏しいタンパク質-C-LytA反復2-5-P2エピトープ(C-LytA反復6内に挿入される)、
・C-LytA2-5-P2エピトープ(C-LytA反復6内に挿入される)-免疫原性の乏しいタンパク質、
・免疫原性の乏しいタンパク質-C-LytA反復1-5-C-LytA反復6内に挿入されたP2エピトープ、
・C-LytA反復1-5-C-LytA反復6内に挿入されたP2エピトープ-免疫原性の乏しいタンパク質、
・免疫原性の乏しいタンパク質-C-LytA反復1内に挿入されP2エピトープ-C-LytA反復2-5
・C-LytA反復1内に挿入されたP2エピトープ-C-LytA反復2-5-免疫原性の乏しいタンパク質、
・免疫原性の乏しいタンパク質-C-LytA反復1内に挿入されP2エピトープ-C-LytA反復2-6
・C-LytA反復1内に挿入されたP2エピトープ-C-LytA反復2-6-免疫原性の乏しいタンパク質、
・免疫原性の乏しいタンパク質-C-LytA反復1-C-LytA反復2内に挿入されたP2エピトープ-C-LytA反復3-6
・C-LytA反復1-C-LytA反復2内に挿入されたP2エピトープ-C-LytA反復3-6-免疫原性の乏しいタンパク質を含み、ここで、「挿入された(挿入される)」は、反復内(例えば、残基1と残基2との間、または残基2と残基3との間など)への任意の位置における挿入を意味する。
【0031】
プロミスカスTヘルパーエピトープは、反復領域、例えばC-LytA反復2-6-C-LytA反復6a-P2エピトープ-C-LytA反復6b(ここで、P2エピトープは第6反復内に挿入されている)内に挿入されうる(図2を参照されたい)。
【0032】
他の好ましい実施形態においては、CPL1のC末端(C-CPL1)をC-LytAの代わりに使用することが可能である。
【0033】
あるいは、前記構築物中のP2エピトープを他のプロミスカスTエピトープ、例えばP30により置換することが可能である。本発明の1つの実施形態においては、2以上のプロミスカスエピトープが該融合構築物の一部である。しかし、該融合パートナーを可能な限り小さく維持して、潜在的に阻害性のCD8+およびBエピトープの数を制限することが好ましい。したがって、該融合パートナーの大きさは、好ましくは、せいぜい100〜140アミノ酸、好ましくはせいぜい120アミノ酸、典型的には約100アミノ酸である。
【0034】
該融合パートナーが融合する抗原は細菌、ウイルス、原生動物、真菌または哺乳類(ヒトを含む)に由来しうる。
【0035】
本発明の融合パートナーは、好ましくは、自己抗原、例えば腫瘍関連または組織特異的抗原(例えば、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌または黒色腫のもの)に融合される。該自己または腫瘍抗原の断片が本発明の融合パートナーに融合されることが特に意図される。典型的には、該断片は完全長配列の少なくとも20、好ましくは50、より好ましくは100個の連続したアミノ酸を含有する。典型的には、そのような断片は1以上の膜貫通ドメインを欠き、あるいは約3、5、8、10、15、20、28、33、50、54アミノ酸のN末端またはC末端欠失を有しうる。そのような断片は、適当に提示されると、完全長タンパク質を認識する免疫応答を引き起こしうる。特に例示される本発明のポリペプチドは、該融合パートナーに融合される腫瘍関連または組織特異的タンパク質の少なくとも10個の連続したアミノ酸、好ましくは20、より好ましくは30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180アミノ酸の配列を含む。
【0036】
本発明のポリペプチドは免疫原性である。すなわち、それは、イムノアッセイ(例えば、ELISAまたはT細胞刺激アッセイ)において検出可能な様態で、クリプト(cripto)を発現する癌を有する患者の抗血清および/またはT細胞と反応する。免疫原性活性に関するスクリーニングは、当業者によく知られた技術を用いて行うことができる。例えば、そのようなスクリーニングは、HarlowおよびLane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988に記載されているような方法を用いて行うことができる。1つの例示的具体例においては、ポリペプチドを固体支持体上に固定化し、患者の血清と接触させて、該血清中の抗体を該固定化ポリペプチドに結合させることが可能である。ついで未結合血清を除去し、結合抗体を、例えば125I標識プロテインAを使用して検出することが可能である。腫瘍関連または腫瘍特異的抗原の免疫原性部分も本発明に含まれると当業者に認識されるであろう。本明細書中で用いる「免疫原性部分」は、それ自体が、該ポリペプチドを認識するB細胞および/またはT細胞表面抗原受容体に対して免疫学的に反応性である(すなわち、特異的に結合する)断片である。免疫原性部分は、一般には、Paul, Fundamental Immunology, 3rd ed., 243-247(Raven Press, 1993)およびそれに引用されている参考文献に概説されているような良く知られた技術を用いて同定することが可能である。そのような技術は、抗原特異的抗体、抗血清および/またはT細胞系もしくはクローンと反応する能力に関してスクリーニングすることを含む。本明細書中で用いる抗血清および抗体は、それが抗原に特異的に結合する(すなわち、それが、ELISAまたは他のイムノアッセイにおいて、該タンパク質とは反応するが、無関係なタンパク質とは、検出可能な様態で反応しない)のであれば「抗原特異的」である。そのような抗血清および抗体は、本明細書に記載のとおりに及びよく知られた技術を用いて製造することが可能である。1つの好ましい実施形態においては、ポリペプチドの免疫原性部分は、(例えば、ELISAおよび/またはT細胞反応性アッセイにおいて)完全長ポリペプチドの反応性を実質的に下回らないレベルで抗血清および/またはT細胞と反応する部分である。好ましくは、該免疫原性部分の免疫原性活性のレベルは完全長ポリペプチドの免疫原性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは約90%以上である。いくつかの場合には、対応完全長ポリペプチドの免疫原性活性より大きな免疫原性活性のレベル(例えば、約100%または150%以上の免疫原性活性)を有する好ましい免疫原性部分が同定されるであろう。
【0037】
他の或る実施形態においては、例示的な免疫原性部分は、N末端リーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失したペプチドを含みうる。他の例示的な免疫原性部分は小さなNおよび/またはC末端欠失(例えば、約1〜50アミノ酸、好ましくは約1〜30アミノ酸、より好ましくは約5〜15アミノ酸)を含有する。
【0038】
典型的な抗原またはそれに由来する断片には、MAGE1、Mage3およびMAGE4またはWO 99/40188に開示されているような他のMAGE抗原、PRAME(WO 96/10577)、BAGE、RAGE、LAGE 1(WO 98/32855)、LAGE 2(NY-ESO-1としても公知である;WO 98/14464)、XAGE(Liuら, Cancer Res, 2000, 60:4752-4755; WO 02/18584)SAGE、およびHAGE(WO 99/53061)またはGAGE(RobbinsおよびKawakami, 1996, Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636; Van den Eyndeら, International Journal of Clinical & Laboratory Research (submitted 1997); Correaleら (1997), Journal of the National Cancer Institute 89, p293)が含まれる。実際のところ、これらの抗原は黒色腫、肺癌、肉腫および膀胱癌のような広範な腫瘍型において発現される。
【0039】
好ましい実施形態においては、前立腺抗原、例えば前立腺特異抗原(PSA)、PAP、PSCA(PNAS 95(4) 1735-1740 1998)、PSMA、あるいはプロスターゼ(prostase)として公知の抗原が使用される。
【0040】
特に好ましい実施形態においては、前立腺抗原はP501Sまたはその断片である。P501Sはプロステイン(prostein)とも称され(Xuら, Cancer Res. 61, 2001, 1563-1568)、WO98/37814の配列番号13として公知であり、553アミノ酸のタンパク質である。前記で参照した特許出願に開示されている少なくとも20、好ましくは50、より好ましくは100個の連続したアミノ酸を含む免疫原性断片およびその一部が本発明において特に意図される。好ましい断片はWO 98/50567(PS108抗原)において及び前立腺癌関連タンパク質(WO 99/67384の配列番号9)として開示されている。他の好ましい断片は完全長P501Sタンパク質のアミノ酸51-553、34-553または55-553である。特に、構築物1、2および3(図2の配列番号27〜32を参照されたい)が特に意図され、これらは酵母系において発現されることが可能であり、例えば、そのようなポリペプチドをコードするDNA配列は酵母系において発現されうる。
【0041】
プロスターゼは、保存されたセリンプロテアーゼ三つ組触媒基H-D-Sと潜在的な分泌機能を示すアミノ末端プレプロペプチド配列とを有する254アミノ酸長の前立腺特異的セリンプロテアーゼ(トリプシン様)である(P. Nelson, Lu Gan, C. Ferguson, P. Moss, R. linas, L. Hood & K. Wand, “Molecular cloning and characterisation of prostase, an androgen-regulated serine protease with prostate restricted expression, In Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1999) 96, 3114-3119)。推定グリコシル化部位が既に記載されている。該推定構造は他の公知セリンプロテアーゼに酷似しており、このことは、該成熟ポリペプチドが単一ドメインにフォールディングすることを示している。該成熟タンパク質は、天然でプロセシングされることが示されている1つのA2エピトープを有する224アミノ酸長である。プロスターゼのヌクレオチド配列および推定ポリペプチド配列およびホモログはFergusonら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1999, 96, 3114-3119)および国際特許出願番号WO 98/12302(また、付与された対応米国特許第5,955,306号)、WO 98/20117(また、付与された対応米国特許第5,840,871号および米国特許第5,786,148号)(前立腺特異的カリクレイン)およびWO 00/04149(P703P)に開示されている。
【0042】
他の前立腺特異的抗原はWO 98/37418およびWO/004149から公知である。もう1つの例としては、STEAP(PNAS 96 14523 145287-12 1999)が挙げられる。
【0043】
本発明の場合に有用な他の腫瘍関連抗原には、Plu-1(J Biol. Chem 274 (22) 15633-15645, 1999)、HASH-1、HASH-2(Alders, M.ら, Hum. Mol. Genet. 1997, 6, 859-867)、クリプト(Cripto)(Salomonら Bioessays 199, 21 61-70, 米国特許第5654140号)、CASB616(WO 00/53216)、クリプチン(Criptin)(米国特許第5,981,215号)が含まれる。さらに、癌の治療におけるワクチンに特に適した抗原はまた、チロシナーゼ、テロメラーゼ、P53、NY-Br1.1(WO 01/47959)およびそれらの断片、例えばWO 00/43420に開示されているもの、B726(WO 00/60076, 配列番号469および463; WO 01/79286, 配列番号474および475)、P510(WO 01/34802 配列番号537および538)ならびにスルビビン(survivin)を含む。
【0044】
本発明は、乳癌抗原、例えばHer 2/neu、マンマグロビン(mammaglobin)(米国特許第5668267号)、B305B(WO 00/61753 配列番号299、304、305および315)またはWO 00/52165、WO 99/33869、WO 99/19479、WO 98/45328に開示されているものとの組合せにおいても有用である。Her 2/neu抗原は、とりわけ、米国特許第5,801,005号に開示されている。好ましくは、Her 2/neuは全細胞外ドメイン(アミノ酸約1-645を含む)またはその断片、および全細胞内ドメインの少なくとも免疫原性部分またはC末端の約580アミノ酸を含む。特に、該細胞内部分はリン酸化ドメインまたはその断片を含むべきである。そのような構築物はWO 00/44899に開示されている。特に好ましい構築物はECD-PhDとして公知であり、もう1つはECDデルタPhDとして公知である(WO 00/44899を参照されたい)。本明細書中で用いるHer 2/neuはラット、マウスまたはヒトに由来しうる。
【0045】
ある腫瘍抗原は小さな(すなわち、約50アミノ酸未満の)ペプチド抗原である。これらの抗原は本発明の修飾コリン結合性部分に化学的に結合させることが可能である。
【0046】
典型的なペプチドには、MUC-1のようなムチン由来ペプチドが含まれる(例えば、米国特許第5,744,144号、米国特許第5,827,666号、WO 88/05054、米国特許4,963,484号を参照されたい)。特に、MUC-1ペプチドの少なくとも1つの反復単位、好ましくは少なくとも2つのそのような反復を含みSM3抗体により認識されるMUC-1由来ペプチド(米国特許第6,054,438号)が意図される。他のムチン由来ペプチドには、MUC-5由来のペプチドが含まれる。
【0047】
あるいは、該抗原はインターロイキンであり、例えばIL13およびIL14であり、これらが好ましい。あるいは該抗原は、自己ペプチドホルモン、例えば、多数の癌の治療または免疫去勢(immunocastration)に有用な短い10アミノ酸長のペプチドである全長性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH, WO 95/20600)でありうる。
【0048】
本発明の修飾コリン結合性タンパク質への結合に適した他の腫瘍特異的抗原には、腫瘍特異的ガングリオシド、例えばGM2およびGM3が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
修飾コリン結合性タンパク質への該ペプチドの共有結合は、当技術分野でよく知られた方法で行うことができる。したがって、例えば、直接的な共有結合には、CDAPおよびSPDPのような一般的な商業的に入手可能なヘテロ二官能性リンカーを(製造業者の指示に従い)使用して、カルボジイミド、グルタルアルデヒドまたはN-[γ-マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステルを使用することが可能である。該結合反応の後、該免疫原は透析法、ゲル濾過法、分画法などにより容易に単離および精製されうる。
【0050】
該抗原は、例えば以下のような、ヒトに対して病原性のものに由来しうる:ヒト免疫不全ウイルスHIV-1(例えばtat、nef、逆転写酵素、gag、gp120およびgp160)、ヒト単純ヘルペスウイルス(HSV)、例えばgDもしくはその誘導体または前初期タンパク質、例えばHSV1またはHSV2に由来するICP27、サイトメガロウイルス(特にヒト)(例えばgBまたはその誘導体)、ロタウイルス(生-弱毒化ウイルスを含む)、エプスタインバーウイルス(例えばgp350またはその誘導体)、水痘・帯状疱疹ウイルス(例えばgpI、IIおよびIE63)、または肝炎ウイルス、例えばB型肝炎ウイルス(例えばB型肝炎表面抗原またはその誘導体)、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルス、または他のウイルス病原体、例えばパラミクソウイルス:呼吸器合胞体ウイルス(例えばFおよびGタンパク質またはそれらの誘導体)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス(例えばHPV6、11、16、18、..)、フラビウイルス(例えば黄熱ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)またはインフルエンザウイルス(全生または不活化ウイルス、スプリットインフルエンザウイルス(卵またはMDCK細胞内で培養されたもの)、または全fluウイロソーム(R. Gluck, Vaccine, 1992, 10, 915-920に記載のとおり)またはそれらの精製もしくは組換えタンパク質、例えばHA、NP、NAもしくはMタンパク質またはそれらの組合せ)、または細菌病原体、例えばナイセリア属細菌種(Neisseria spp)、例えばナイセリア・ゴノレエ(N. gonorrhea)およびナイセリア・メニンジティディス(N. meningitidis)(例えば莢膜多糖およびそのコンジュゲート、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PilC、アドヘジン);エス・ピロゲネス(S. pyogenes)(例えばMタンパク質またはその断片、C5Aプロテアーゼ、リポテイコ酸)、エス・アガラクティエ(S. agalactiae)、エス・ミュータンス(S. mutans);エイチ・デュクレイ(H. ducreyi);モラクセラ属細菌種(Moraxella
spp)、例えばモラクセラ・カタラーリス(M catarrhalis)(Branhamella catarrhalisとしても公知である)(例えば高および低分子量アドヘジンおよびインベーシン);ボルデテラ属細菌種(Bordetella spp)、例えばボルデテラ・ペルツッシス(B. pertussis)(例えばペルタクチン(pertactin)、百日咳毒素またはその誘導体、繊維状赤血球凝集素、アデニル酸シクラーゼ、線毛)、ボルデテラ・パラペルツッシス(B. parapertussis)およびボルデテラ・ブロンキセプチカ(B. bronchiseptica);マイコバクテリウム属細菌種(Mycobacterium spp.)、例えばマイコバクテリウム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)(例えばESAT6、抗原85A、BまたはC)、マイコバクテリウム・ボビス(M. bovis)、マイコバクテリウム・レプレ(M. leprae)、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・パラツベルクローシス(M. paratuberculosis)、マイコバクテリウム・スメグマチス(M. smegmatis);レジオネラ属細菌種(Legionella spp)、例えばレジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophila);エシェリキア属細菌種(Escherichia spp)、例えば腸管毒性大腸菌(例えば定着因子、熱不安定性毒素またはその誘導体、熱安定性毒素またはその誘導体)、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌(例えば志賀毒素様毒素またはその誘導体);ビブリオ属細菌種(Vibrio spp)、例えばビブリオ・コレレ(V. cholera)(例えばコレラ毒素またはその誘導体);シゲラ属細菌種(Shigella spp)、例えばシゲラ・ソンネイ(S. sonnei)、シゲラ・ディセンテリエ(S. dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(S. flexnerii);エルシニア属細菌種(Yersinia spp)、例えばエルシニア・エンテロコリチカ(Y. enterocolitica)(例えばYopタンパク質)、エルシニア・ペスティス(Y. pestis)、エルシニア・シュードツベルクローシス(Y. pseudotuberculosis);カンピロバクター属細菌種(Campylobacter spp)、例えばカンピロバクター・ジェジュニ(C. jejuni)(例えば毒素、アドヘジンおよびインベーシン)およびカンピロバクター・コリ(C. coli);サルモネラ属細菌種(Salmonella spp)、例えばサルモネラ・ティフィ(S. typhi)、サルモネラ・パラティフィ(S. paratyphi)、サルモネラ・コレレスイス(S. choleraesuis)、サルモネラ・エンテリティディス(S. enteritidis);リステリア属細菌種(Listeria spp.)、例えばリステリア・モノサイトゲネス(L. monocytogenes);ヘリコバクター属細菌種(Helicobacter spp)、例えばヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)(例えばウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化毒素);シュードモナス属細菌種(Pseudomonas spp)、例えばシュードモナス・エルジノーサ(P. aeruginosa);スタフィロコッカス属細菌種(Staphylococcus spp.)、例えばスタフィロコッカス・アウレウス(S. aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S. epidermidis);エンテロコッカス属細菌種(Enterococcus spp.)、例えばエンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium);クロストリジウム属細菌種(Clostridium spp.)、例えばクロストリジウム・テナニ(C. tetani)(例えば破傷風毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ボツリナム(C. botulinum)(例えばボツリヌス毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ディフィシレ(C. difficile)(例えばクロストリジウム毒素AまたはBおよびそれらの誘導体);バシラス属細菌種(Bacillus spp.)、例えばバシラス・アンスラシス(B. anthracis)(例えばボツリヌス毒素およびその誘導体);コリネバクテリウム属細菌種(Corynebacterium spp.)、例えばコリネバクテリウム・ジフセリエ(C. diphtheriae)(例えばジフテリア毒素およびその誘導体);ボレリア属細菌種(Borrelia spp.)、例えばボレリア・ブルグドルフェリ(B. burgdorferi)(例えばOspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・ガリニイ(B. garinii)(例えばOspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アフゼリイ(B. afzelii)(例えばOspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アンデルソニイ(B. andersonii)(例えばOspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・ヘルムシイ(B. hermsii);エールリキア属細菌種(Ehrlichia spp.)、例えばエールリキア・エクイ(E. equi)およびヒト顆粒球エールリッヒ病(Human Granulocytic Ehrlichiosis)の因子;リケッチア属細菌種(Rickettsia spp)、例えばリケッチア・リケチイ(R. rickettsii);クラミジア属細菌種(Chlamydia spp.)、例えばクラミジア・トラコマチス(C. trachomatis)(例えばMOMP、ヘパリン結合性タンパク質)、クラミジア・ニューモニエ(C. pneumoniae)(例えばMOMP、ヘパリン結合性タンパク質)、クラミジア・シッタシ(C. psittaci);レプトスピラ属細菌種(Leptospira spp.)、例えばレプトスピラ・インタロガンス(L. interrogans);トレポネーマ属細菌種(Treponema spp.)、例えばトレポネーマ・パリダム(T. pallidum)(例えばレア(rare)外膜タンパク質)、トレポネーマ・デンチコラ(T. denticola)、トレポネーマ・ヒオディセンテリエ(T. hyodysenteriae);寄生生物、例えばプラスモジウム属の種(Plasmodium spp.)、例えば熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum);トキソプラズマ属の種(Toxoplasma spp.)、例えばトキソプラズマ・ゴンヂ(T. gondii)(例えばSAG2、SAG3、Tg34);エントアメーバ属の種(Entamoeba spp.)、例えば赤痢アメーバ(E. histolytica);バベシア属の種(Babesia spp.)、例えばバベシア・ミクロチ(B. microti);トリパノソーマ属の種(Trypanosoma spp.)、例えばトリパノソーマ・クルージ(T. cruzi);ギアルディア属の種(Giardia spp.)、例えばランブル鞭毛虫(G. lamblia);リーシュマニア属の種(Leshmania spp.)、例えばリーシュマニア・メジャー(L. major);ニューモシスチス属の種(Pneumocystis spp.)、例えばニューモシスチス・カリニ(P. carinii);トリコモナス属の種(Trichomonas spp.)、例えば膣トリコモナス(T. vaginalis);シストストーマ属の種(Schisostoma spp.)、例えばマンソン住血吸虫(S. mansoni)、あるいは酵母、例えばカンジダ属真菌種(Candida spp.)、例えばカンジダ・アルビカンス(C. albicans);クリプトコックス属真菌種(Cryptococcus spp.)、例えばクリプトコックス・ネオフォルマンス(C. neoformans)。
【0051】
マイコバクテリウム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)の他の好ましい特異的抗原としては、例えば、Tb Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38-1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2およびhTCC1(WO 99/51748)が挙げられる。マイコバクテリウム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)のタンパク質にはまた、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)のポリペプチドの少なくとも2つ、好ましくは3つが、より大きなタンパク質に融合した融合タンパク質およびその変異体が含まれる。好ましい融合体には、Ra12-TbH9-Ra35、Erd14-DPV-MTI、DPV-MTI-MSL、Erd14-DPV-MTI-MSL-mTCC2、Erd14-DPV-MTI-MSL、DPV-MTI-MSL-mTCC2、TbH9-DPV-MTI(WO 99/51748)が含まれる。
【0052】
クラミジア(Chlamydia)の最も好ましい抗原には、例えば、高分子量タンパク質(HWMP)(WO 99/17741)、ORF3(EP 366 412)および推定膜タンパク質(Pmps)が含まれる。該ワクチン製剤の他のクラミジア(Chlamydia)抗原は、WO 99/28475に記載の群から選ばれうる。
【0053】
好ましい細菌抗原としては、ストレプトコッカス属細菌種(Streptococcus spp)、例えばストレプトコッカス・ニゥモニエ(S. pneumoniae)に由来する抗原(例えば莢膜多糖およびそのコンジュゲート、PsaA、PspA、ストレプトリシン、コリン結合性タンパク質)およびタンパク質抗原ニューモリジン(Biochem Biophys Acta, 1989, 67, 1007; Rubinsら, Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)ならびにそれらの突然変異解毒化誘導体(WO 90/06951; WO 99/03884)が挙げられる。他の好ましい細菌抗原としては、ヘモフィルス属細菌種(Haemophilus spp.)、例えばヘモフィルス・インフルエンゼ(H. influenzae)B型に由来する抗原(例えばPRPおよびそのコンジュゲート)、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ(H. influenzae)に由来する抗原、例えばOMP26、高分子量アドヘジン、P5、P6、タンパク質Dおよびリポタンパク質D、ならびにフィンブリンおよびフィンブリン誘導ペプチド(米国特許第5,843,464号)またはそれらの多コピー変異体もしくは融合タンパク質が挙げられる。
【0054】
B型肝炎表面抗原の誘導体は当技術分野でよく知られており、とりわけ、欧州特許出願EP-A-414 374、EP-A-0304 578およびEP 198-474に記載のPreS1、PreS2 S抗原を含む。1つの好ましい態様においては、HBV抗原はHBVポリメラーゼ(Ji Hoon Jeongら, 1996, BBRC 223, 264-271; Lee H.J.ら, Biotechnol. Lett. 15, 821-826)である。もう1つの好ましい態様においては、該融合体内の抗原は、特にCHO細胞内で発現される場合には、HIV-1抗原gp120である。もう1つの実施形態においては、抗原は前記のgD2tを含む。
【0055】
本発明の好ましい実施形態においては、融合体は、ヒトパピローマウイルス(HPV 6a、6b、11、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68)、特に、陰部疣贅を引き起こすと考えられるHPV血清型(HPV 6またはHPV 11など)に由来する抗原、および子宮頸癌を引き起こすHPVウイルス(HPV 16、HPV 18など)に由来する抗原を含む。
【0056】
適当なHPV抗原としては、E1、E2、E4、E5、E6、E7、L1およびL2が挙げられる。陰部疣贅の予防または治療用の融合体の特に好ましい形態は、L1粒子またはキャプソマー、ならびにHPV 6およびHPV 11タンパク質E6、E7、L1およびL2から選ばれる1以上の抗原を含む融合タンパク質を含む。
【0057】
最も好ましい形態の融合タンパク質は、WO 96/26277に開示されているL2E7、およびGB 9717953.5(PCT/EP98/05285)に開示されているタンパク質D(1/3)-E7である。
【0058】
HPVの子宮頸部感染または癌の予防または治療用の好ましいワクチン組成物はHPV 16または18抗原を含みうる。例えば、L1もしくはL2抗原単量体、またはL1もしくはL2抗原は、ウイルス様粒子(VLP)として一緒に与えられるか、またはL1タンパク質のみがVLPまたはキャプソマー構造として与えられうる。そのような抗原、ウイルス様粒子およびキャプソマーは自体公知である。例えば、WO94/00152、WO94/20137、WO94/05792およびWO93/02184を参照されたい。
【0059】
追加的な初期タンパク質が単独で又は融合タンパク質(例えばE7、E2または好ましくはE5)として含まれていてもよい。この特に好ましい実施形態は、L1E7融合タンパク質を含むVLPを含む(WO 96/11272)。特に好ましいHPV 16抗原は、HPV 16由来の、タンパク質D-E6またはE7融合体を形成するようタンパク質D担体と融合した初期タンパク質E6またはE7、あるいはそれらの組合せ、あるいはE6またはE7とL2との組合せを含む(WO 96/26277)。あるいは、HPV 16または18初期タンパク質E6およびE7は、単一分子、好ましくはタンパク質D-E6/E7融合体として与えられうる。他の融合体は、所望により、HPV 18由来のE6タンパク質およびE7タンパク質の一方または両方を、好ましくは、タンパク質D-E6またはタンパク質D-E7融合タンパク質またはタンパク質D E6/E7融合タンパク質の形態で含有しうる。融合体は、他のHPV株、好ましくは株HPV 31または33由来の抗原を含みうる。
【0060】
本発明の融合体は、マラリアを引き起こす寄生生物に由来する抗原を含む。例えば、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodia falciparum)由来の好ましい抗原には、RTS、SおよびTRAPが含まれる。RTSは、B型肝炎表面抗原のpreS2部分の4アミノ酸を介してB型肝炎ウイルスの表面(S)抗原に連結された熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)の環状スポロゾイト(circumsporozoite)(CS)タンパク質のC末端部分の実質的に全部を含むハイブリッドタンパク質である。その全構造が、英国特許出願第9124390.7号に基づいて優先権を主張しているWO 93/10152として公開された国際特許出願番号PCT/EP92/02591に開示されている。RTSは、酵母内で発現された場合には、リポタンパク質粒子として産生され、それがHBV由来のS抗原と共に共発現された場合には、それは、RTS,Sとして公知の混合粒子を産生する。TRAP抗原は、WO 90/01496として公開された国際特許出願番号PCT/GB89/00895に記載されている。本発明の好ましい実施形態は、抗原調製物がRTS,S抗原とTRAP抗原との組合せを含む融合体である。該融合体の成分の候補となりうる他のプラスモジウム抗原としては、熱帯熱マラリア原虫(P. faciparum)MSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン(Sequestrin)、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs16、Pfs48/45、Pfs230およびプラスモジウム属の種(Plasmodium spp)におけるそれらの類似体が挙げられる。
【0061】
本発明はまた、本発明の融合パートナーをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明は更に、本明細書中の図1(配列番号9〜16)に記載のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この点においては、本発明は特に、本明細書に記載のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書中で用いる「ストリンジェント」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」なる語は、配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合にのみハイブリダイゼーションが生じることを意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の具体例としては、50% ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト液、10% デキストラン硫酸および20μg/mlの変性せん断サケ精子DNAを含む溶液中、42℃で一晩インキュベートし、ついでハイブリダイゼーション支持体を0.1×SSC中、約65℃で洗浄することが挙げられる。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件はよく知られており、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, N.Y., (1989)の特に第11章に例示されている。本発明により提供されるポリヌクレオチド配列に対して溶中ハイブリダイゼーションを行うことも可能である。
【0062】
本発明はまた、腫瘍関連抗原またはその断片に融合した本発明の融合パートナーを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。特に、本発明は、コリン結合性ドメインと異種プロミスカスTヘルパーエピトープとを含む融合パートナータンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を提供するものであり、ここで、好ましくは、該コリン結合性ドメインはLytAのC末端に由来する。より好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドのC-LytA部分は配列番号9〜14のいずれかの少なくとも4個の反復を含み、より好ましくは、配列番号15の配列を含み、より一層好ましくは、配列番号16の配列を含む。他の関連実施形態においては、本発明は、本明細書中の配列番号9〜16に開示されている配列に対して相当な同一性を有するポリヌクレオチド変異体を提供し、例えば、標準的なパラメーターを使用する例えばBLAST解析のような通常の方法を用いて本発明のポリヌクレオチド配列と比較した場合に少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上の配列同一性を含むポリヌクレオチド変異体を提供する。さらにもう1つの実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは更に、異種タンパク質を含む。
【0063】
そのようなポリヌクレオチド配列は適当な発現ベクター内に挿入され適当な宿主内で発現されうる。融合タンパク質を与えるよう、免疫原性の乏しいタンパク質をコードするDNAが挿入されうる適当な制限部位を含有し、本発明の修飾コリン結合性タンパク質をコードするベクターが提供されうる。本発明の他の実施形態においては、適当な宿主細胞内でのポリペプチドの直接的な発現のために、本発明のポリペプチド融合体をコードするポリヌクレオチド配列またはその断片を組換えDNA分子内で使用することが可能である。遺伝暗号に固有の縮重のため、実質的に同一の又は機能的に同等なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を得、これらの配列を使用してクローニングし、与えられたポリペプチドを発現させることが可能である。
【0064】
当業者に理解されるとおり、場合によっては、非天然に存在するコドンを有するポリペプチドコード化ヌクレオチド配列を産生させることが有利であろう。DNA暗号は4つの文字(A、T、CおよびG)を有する。これらにより3文字の「コドン」が形成され、これは、生物の遺伝子においてコードされるタンパク質中のアミノ酸を表す。DNA分子に沿ったコドンの直線配列は、それらの遺伝子によりコードされるタンパク質中のアミノ酸の直線配列に翻訳される。該コードは高度に縮重性であり、61種のコドンが20種の天然アミノ酸をコードしており、3種のコドンが「終止」シグナルを表す。したがって、ほとんどのアミノ酸は2以上のコドンによりコードされており、実際には、いくつかは4以上の異なるコドンによりコードされている。
【0065】
ある与えられたアミノ酸に対して2以上のコドンが利用可能である場合には、生物のコドン使用頻度パターンは非常に非ランダムとなることが認められている。種が異なれば、そのコドン選択における偏り(バイアス)も異なり、さらに、単一の種においても、高レベルで発現される遺伝子と低レベルで発現される遺伝子との間でコドンの利用が著しく異なることがある。この偏りはウイルス、植物、細菌および哺乳類細胞において異なり、いくつかの種は、他のものより強い、ランダムなコドン選択からの偏りを示す。例えば、ヒトおよび他の哺乳類は、ある細菌またはウイルスほどの強い偏りを示さない。これらの理由により、大腸菌(E. coli)内で発現される哺乳類遺伝子または哺乳類細胞内で発現されるウイルス遺伝子は効率的な発現には不適当なコドン分布を有するという有意な可能性が存在する。発現が生じることになる宿主内では希有にしか認められないコドンのクラスターが異種DNA配列内に存在することは、その宿主内での低い異種発現レベルを予想させるものであると考えられる。
【0066】
したがって、特定の原核性宿主(例えば、大腸菌(E. coli)または酵母)または真核性宿主にとって好ましいコドンを最適化することが可能であり、タンパク質の発現率を増加させ、望ましい特性(例えば、天然に存在する配列から生じた転写産物より長い半減期)を有する組換えRNA転写産物を与え、またはヒトにおける免疫応答を最適化するようにコドンが選択されうる。コドン最適化の方法は、天然配列のコドンの一部または全部が修飾された、手動で又はコンピューターソフトウェアにより得られる任意の配列を含みうる。いくつかの方法が公開されている(Nakamuraら, Nucleic Acids Research 1996, 24:214-215; WO98/34640)。本発明における好ましい方法の1つは、カルクジーン(Calcgene)法の変法であるシンジーン(Syngene)法(R. S. HaleおよびG Thompson (Protein Expression and Purification Vol. 12 pp.185-188 (1998))である。
【0067】
したがって、好ましい実施形態においては、該タンパク質のDNA配列は少なくとも0.65のRSCU(相対同義コドン使用頻度(コドン指数CI))を有し、対応野生型領域に対して85%未満の同一性を有する。
【0068】
このコドン最適化法および生じた構築物は、以下の利点の幾つか又は全てを有しうるため好都合である:1)希有に又は低頻度で使用されるコドンを、より高頻度で使用されるコドンで置換することにより、遺伝子産物の発現を改善する;2)下流のクローニングを容易にするために制限酵素部位を除去する又は含有させる;3)DNAベクター内の挿入配列とゲノム配列との間の相同組換えの可能性を低下させる;ならびに4)標的抗原に対する細胞応答および/または抗体応答(好ましくは両方の応答)を惹起させることにより、ヒトにおける免疫応答を改善する。本発明の配列は、好ましくは、低い組換え可能性を有するが、野生型配列と少なくとも同じレベルで発現する。コドン最適化配列を得るためにSynGeneプログラムが使用するアゴリズムの性質のため、同様の機能をもたらす極めて多種多様なコドン最適化配列が得られる可能性がある。簡潔に説明すると、高度に発現される大腸菌(E. coli)およびヒト遺伝子において天然で見出されるものに、より近いコドン出現頻度を有する合成遺伝子が得られるよう、統計的方法を用いてコドンが割り当てられる。簡潔に説明すると、βアクチンのような高発現ヒト遺伝子において天然で見出されるものに、より近いコドン出現頻度を有する合成遺伝子が得られるよう、統計的方法を用いてコドンが割り当てられる。適当なコドン最適化配列の、非限定的ではない例示的な具体例が、配列番号19〜22および配列番号24から26に示されている。
【0069】
本発明のポリヌクレオチドにおいては、コドン使用頻度パターンは、標的抗原の典型的なものから、標的生物における高発現遺伝子(例えば、ヒトβアクチン)のコドンの偏りをより厳密に表すものへと改変される。「コドン使用頻度係数(codon usage coefficient)」は、与えられたポリヌクレオチド配列のコドンパターンが標的種のものにどのくらい厳密に類似しているかを表す尺度である。コドン出現頻度は、多数の種の高発現遺伝子に関して、文献から導かれうる(例えば、Nakamuraら Nucleic Acids Research 1996, 24:214-215を参照されたい)。61種のコドンのそれぞれに関するコドン出現頻度(選択されたクラスの遺伝子の1000コドン当たりの出現数として表される)を20種の天然アミノ酸のそれぞれに関して正規化して、各アミノ酸について最も頻繁に使用されるコドンに関する値が1となるようにし、また、より低頻度のコドンに関する頻度が0から1の間となるように等級化(scale)する。したがって、標的種の高発現遺伝子に関しては、61種のコドンのそれぞれには1またはそれ未満の値が割り当てられる。その種の高発現遺伝子に対する或る特定のポリヌクレオチドに関するコドン使用頻度係数を計算するためには、その特定のポリヌクレオチドの各コドンに関する等級化値に注目し、(これらの値の自然対数の和をコドンの総数で割り算し、真数をとることにより)すべてのこれらの値の相乗平均をとる。該係数は0〜1の値を有し、該係数が高くなればなるほど、該ポリヌクレオチド中の、より多くのコドンが、頻繁に使用されるコドンとなる。ポリヌクレオチド配列がコドン使用頻度係数1を有する場合には、該コドンのすべては標的種の高発現遺伝子に関する「最も頻繁な」コドンである。
【0070】
本発明においては、好ましくは、特定のアミノ酸に関して使用されるコドンの10%未満に相当するコドンは該ポリヌクレオチドのコドン使用頻度パターンから除かれる。相対同義コドン使用頻度(RSCU)値は、コドンの観測数を、そのアミノ酸に関する全てのコドンが同等に頻繁に使用された場合に予想される数で割り算して得られる値である。本発明のポリヌクレオチドにおいては、好ましくは、標的生物の高発現遺伝子において0.2未満のRSCU値を有するコドンは除かれる。本発明のポリヌクレオチドは、一般には、高発現ヒト遺伝子に関して、0.6を超える、好ましくは、0.65を超える、最も好ましくは、0.7を超えるコドン使用頻度係数を有する。ヒトに関するコドン使用頻度表はGenbankにおいても見出されうる。
比較のために挙げると、高発現βアクチン遺伝子は0.747のRSCUを有する。
【0071】
ホモサピエンス(homo sapiens)に関するコドン使用頻度表(表1)を以下に示す。
【表1】


【0072】
本発明の融合タンパク質または修飾コリン結合性タンパク質をコードするDNA配列は、標準的なDNA合成技術、例えば、D.M. Robertsら Biochemistry 1985, 24, 5090-5098に記載の酵素連結法、化学合成、in vitro酵素重合、例えば熱安定性ポリメラーゼを使用するPCR技術、またはこれらの技術の組合せにより合成することが可能である。
【0073】
DNAの酵素重合は、必要に応じてヌクレオシド三リン酸dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを含有する一般には50μl以下の容量の適当なバッファー中、DNAポリメラーゼI(クレノウフラグメント)またはTaqポリメラーゼのようなDNAポリメラーゼを10〜37℃の温度で使用してin vitroで行うことが可能である。DNA断片の酵素連結は、一般には50μl以下の容量の0.05M Tris (pH 7.4), 0.01M MgCl2, 0.01M ジチオトレイトール, 1mM スペルミジン, 1mM ATPおよび0.1mg/ml ウシ血清アルブミンのような適当なバッファー中、4℃〜室温の温度でT4 DNAリガーゼのようなDNAリガーゼを使用して行うことが可能である。DNA重合体または断片の化学合成は、‘Chemical and Enzymatic Synthesis of Gene Fragments - A Laboratory Manual’ (H.G. GassenおよびA. Lang編)、Verlag Chemie, Weinheim (1982)または他の科学刊行物、例えばM.J. Gait, H.W.D. Matthes, M. Singh, B.S. SproatおよびR.C. Titmas, Nucleic Acids Research, 1982, 10, 6243; B.S. SproatおよびW. Bannwarth, Tetrahedron Letters, 1983, 24, 5771; M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Tetrahedron Letters, 1980, 21, 719; M.D. MatteucciおよびM.H. Caruthers, Journal of the American Chemical Society, 1981, 103, 3185; S.P. Adamsら, Journal of the American Chemical Society, 1983, 105, 661; N.D. Sinha, J. Biernat, J. McMannusおよびH. Koester, Nucleic Acids Research, 1984, 12, 4539;ならびにH.W.D. Matthesら, EMBO Journal, 1984, 3, 801に記載されているような固相技術を用いて通常のホスホトリエステル、リン酸またはホスホルアミジット化学により行うことが可能である。
【0074】
本発明の方法は、Maniatisら, Molecular Cloning - A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor, 1982-1989に記載されているような通常の組換え技術により行うことが可能である。
【0075】
特に、該方法は、
i)該タンパク質またはその免疫原性誘導体をコードするヌクレオチド配列を含むDNA重合体を宿主細胞内で発現しうる複製可能な又は組込み性の発現ベクターを調製し、
ii)宿主細胞を該ベクターで形質転換し、
iii)該DNA重合体の発現を可能にする条件下、該形質転換宿主細胞を培養して該タンパク質を得、
iv)該タンパク質を回収する工程を含みうる。
【0076】
「形質転換」なる語は、本明細書においては、宿主細胞内への外来DNAの導入を意味するものとして用いられている。これは、例えば、Genetic Engineering; S.M. KingsmanおよびA.J. Kingsman編; Blackwell Scientific Publications; Oxford, England, 1988に記載されているような通常の技術を用いる、適当なプラスミドまたはウイルスベクターでの形質転換、トランスフェクションまたは感染により達成することが可能である。以下本明細書においては、「形質転換(された)」または「形質転換体」は、目的とする外来遺伝子を含有しそれを発現する生じた宿主細胞に対して用いられる。
該発現ベクターは新規であり、本発明の一部を形成する。
【0077】
複製可能な該発現ベクターは本発明においては、宿主細胞に和合性のベクターを切断して、無傷レプリコンを有する直鎖状DNAセグメントを得、該直鎖状セグメントと共に所望の産物をコードする1以上のDNA分子(例えば、本発明のタンパク質またはその誘導体をコードするDNA重合体)と該直鎖状セグメントとを連結条件下で合体させることにより製造することが可能である。
【0078】
したがって、該DNA重合体は、所望により、該ベクターの構築中に形成させることが可能である。
【0079】
ベクターの選択は、1つには、宿主細胞(これは原核性または真核性であることが可能であるが、好ましくは、大腸菌(E. coli)、酵母またはCHO細胞である)に応じたものとなろう。適当なベクターには、プラスミド、バクテリオファージ、コスミドおよび組換えウイルスが含まれる。発現およびクローニングベクターには、好ましくは、選択マーカーを含有させて、該マーカーを発現する宿主細胞のみが選択条件下で生存するようにする。選択遺伝子には、アンピシリン、テトラサイクリンまたはカナマイシンに対する耐性を付与するタンパク質をコードするものが含まれるが、これらに限定されるものではない。発現ベクターは、示されている宿主に和合性である制御配列をも含有する。例えば、大腸菌(E. coli)用の発現制御配列、より一般的には原核生物用の発現制御配列には、プロモーターおよびリボソーム結合部位が含まれる。プロモーター配列は、天然に存在するもの、例えばβラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)(Weissman 1981, In Interferon 3 (L. Gresser編))、ラクトース(lac)(Changら Nature, 1977, 198: 1056)およびトリプトファン(trp)(Goeddelら Nucl. Acids Res. 1980, 8, 4057)、ならびにλ由来PLプロモーター系でありうる。また、天然には存在しない合成プロモーターも細菌プロモーターとして機能する。これは、例えば、trpおよびlacプロモーターの配列に由来するtac合成ハイブリッドプロモーター(De Boerら, Proc. Natl Acad Sci. USA 1983, 80, 21-26)の場合に当てはまる。これらの系は特に大腸菌(E. coli)に適している。
【0080】
酵母和合性ベクターは、栄養要求突然変異体への原栄養性の付与又は野生型株への重金属耐性の付与により、首尾よく得られた形質転換体の選択を可能にするマーカーも含有する。酵母ベクター用の発現制御配列には、解糖酵素のプロモーター(Hessら, J. Adv. Enzyme Reg. 1968, 7, 149)、酸性ホスファターゼをコードするPHO5遺伝子、CUP1遺伝子、ARG3遺伝子、GAL遺伝子プロモーターおよび合成プロモーター配列が含まれる。酵母発現において有用な他の制御要素としては、ターミネーターおよびmRNAリーダー配列が挙げられる。5'コード配列が特に有用である。なぜなら、それは、典型的には、細胞からのタンパク質の分泌を導く疎水性アミノ酸から構成されるシグナルペプチドをコードしているからである。適当なシグナル配列は、分泌酵母タンパク質の遺伝子、例えば酵母インベルターゼ遺伝子およびa因子遺伝子、酸性ホスファターゼ、キラー毒素、α接合因子遺伝子、ならびに最近見出されたクライベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)のINU1A遺伝子に由来する異種イヌリナーゼシグナル配列によりコードされうる。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のための適当なベクターが開発されている。
【0081】
種々の誘導性または構成的プロモーターを用いた種々のピキア・パストリス(P. pastoris)発現ベクターが入手可能である(CereghinoおよびCregg, FEMS Microbiol. Rev. 2000,24:45-66)。サイトゾル型および分泌型タンパク質の製造には、最も一般的に用いられているピキア・パストリス(P. pastoris)ベクターは、非常に強力で厳密に調節されるアルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターを含有する。該ベクターはまた、his4宿主における選択のためのピキア・パストリス(P. pastoris)ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(HIS4)遺伝子を含有する。外来タンパク質の分泌にはシグナル配列の存在が必要であり、サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)プレプロα接合因子シグナル配列がピキア(Pichia)発現系において広範かつ成功裏に使用されている。発現ベクターは、発現株の安定性を最大にするためにピキア・パストリス(P. pastoris)ゲノム内に組込まれる。サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)の場合と同様に、宿主ゲノムにより共有されている配列(AOX1またはHIS1)内でのピキア・パストリス(P. pastoris)発現ベクターの切断は、該ベクターの組換えを該ゲノム遺伝子座へと効率的に標的化する相同組換え事象を刺激する。一般に、発現カセットの組込みコピーを複数含有する組換え株は、単コピー株の場合より大量の異種タンパク質を産生しうる。高コピー数の形質転換体を得るための最も有効な方法はスフェロプラスト技術(Creggら 1985, Mol.Cell.Biol. 5: 3376-3385)によるピキア(Pichia)受容株の形質転換を要する。
【0082】
複製可能な該発現ベクターの製造は、例えば前記で引用したManiatisらに記載の方法により、DNAの制限処理、重合および連結のための適当な酵素を使用して通常に行うことが可能である。
【0083】
該組換え宿主細胞は、本発明においては、形質転換条件下、本発明の複製可能な発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより製造する。適当な形質転換条件は通常のものであり、例えば、前記で引用したManiatisら、または“DNA Cloning” Vol. II, D.M. Glover編, IRL Press Ltd, 1985に記載されている。
【0084】
形質転換条件の選択は、形質転換すべき宿主細胞の選択に左右される。例えば、生きたウイルスベクターを本発明のポリヌクレオチド用の形質転換因子として使用するin vivo形質転換は前記で説明されている。大腸菌(E. coli)のような宿主の細菌形質転換は、CaCl2の溶液(Cohenら, Proc. Nat. Acad. Sci., 1973, 69, 2110)、または塩化ルビジウム(RbCl)、MnCl2、酢酸カリウムおよびグリセロールの混合物を含む溶液で、ついで3-[N-モルホリノ]-プロパン-硫酸、RbClおよびグリセロールで宿主を処理した後、ポリヌクレオチド(これは、所望の配列を含有する発現ベクターでありうる)を直接的に取り込ませることにより、あるいはエレクトロポレーションにより行うことが可能である。直接取り込みによる培養内の下等真核生物(例えば、酵母細胞)の形質転換は、例えば、Hinnenら(Proc. Natl. Acad. Sci. 1978, 75 : 1929-1933)の方法を用いて行うことが可能である。培養内の哺乳類細胞は、該細胞上へのベクターDNAのリン酸カルシウム共沈を用いて形質転換させることが可能である(Graham & Van der Eb, Virology 1978, 52, 546)。哺乳類細胞内へのポリヌクレオチドの導入のための他の方法には、デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム内へのポリヌクレオチドの封入および核内へのポリヌクレオチドの直接的なマイクロインジェクションが含まれる。
【0085】
本発明はまた、本発明のタンパク質をコードする核酸または本発明の複製可能な発現ベクターで形質転換された宿主細胞を包含する。
【0086】
DNA重合体の発現を可能にする条件下での形質転換宿主細胞の培養は、常法により、例えば前記で引用したManiatisら及び“DNA Cloning”に記載のとおりに行う。したがって、好ましくは、該細胞に栄養を供給し、該細胞を50℃未満、好ましくは25℃〜42℃、より好ましくは25℃〜35℃、最も好ましくは30℃の温度で培養する。インキュベーション時間は、SDS-PAGEまたはウエスタンブロットにより評価される細菌細胞内のポリペプチドの比率に応じて、数分間から数時間まで様々となりうる。
【0087】
該産物は、宿主細胞に応じて及び該発現産物の局在に応じて(細胞内に存在するのか、あるいは培地内または細胞ペリプラズム内に分泌されているのかに応じて)、常法により回収することが可能である。例えば、宿主細胞が細菌、例えば大腸菌(E. coli)である場合には、それを例えば物理的、化学的または酵素的に溶菌し、生じたライセートからタンパク質産物を単離することが可能である。宿主細胞が哺乳類細胞である場合には、該産物は一般には栄養培地または無細胞抽出物から単離することが可能である。宿主細胞が酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)である場合には、該産物は一般には、細胞溶解された細胞または培地から単離することが可能であり、ついで通常の技術を用いて更に精製することが可能である。発現系の特異性は、目的とするポリペプチドに対する抗体を使用するウエスタンブロットまたはELISAにより評価することができる。
【0088】
通常のタンパク質単離技術には、選択的沈殿、吸着クロマトグラフィー、およびモノクローナル抗体アフィニティーカラムを使用するアフィニティークロマトグラフィーが含まれる。本発明のタンパク質がヒスチジン尾部(Hisタグ)と共に発現される場合には、それは、イオン金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラムを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより容易に精製することができる。該金属イオンは任意の適当なイオン、例えば亜鉛、ニッケル、鉄、マグネシウムまたは銅でありうるが、好ましくは亜鉛またはニッケルである。好ましくは、IMACバッファーは界面活性剤、好ましくは陰イオン性界面活性剤、例えばSDS、より好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばTween80、または両性イオン界面活性剤、例えばEmpigen BBを含有する。なぜなら、これは、最終産物中に、より低レベルの内毒素を与えうるからである。
【0089】
更なるクロマトグラフィー工程は、例えば、IMACカラムでの精製の前または後に行いうるQ-セファロース工程を含む。好ましくは、pHは7.5〜10、より好ましくは7.5〜9.5、最適には8〜9である。
【0090】
したがって、本発明のタンパク質は、以下のプロトコールに従い精製することが可能である。細胞破壊の後、該タンパク質を含有する細胞抽出物を、尿素(例えば、8.0M)およびSDS(例えば、0.5%〜1%)を含有するpH 8.5のTrisバッファー中に可溶化することができる。ついで、遠心分離後、得られた上清を、pH 8.5のTrisバッファーで平衡化されたIMAC(ニッケル)セファロースFFカラム上にローディングすることができる。ついで、該カラムを高塩含有バッファー(例えば、0.75〜1.5m NaC1, 15 mM pH 8.5 Trisバッファー)で洗浄することができる。ついで、所望により、塩を含有しないリン酸バッファーで該カラムを再び洗浄することができる。該カラムから本発明のタンパク質をイミダゾール含有緩衝化溶液で溶出する。ついで該タンパク質を陰イオン交換クロマトグラフィー(例えば、Qセファロース)のような更なるクロマトグラフィー工程に付すことが可能である。
【0091】
本発明のタンパク質は、可溶性の液体形態で又は凍結乾燥形態(これが好ましい形態である)で提供される。一般には、各ヒト用量はタンパク質1〜1000μg、好ましくは30〜300μgを含むと予想される。該精製工程はまた、カルボキシアミド化工程を含むことが可能であり、この場合、まず、該タンパク質をグルタチオンの存在下で還元し、ついでヨードアセトアミドの存在下でカルボキシメチル化する。この工程は、ジスルフィド結合による共有的架橋を介した該分子自体の又は該分子と宿主細胞タンパク質混入物との酸化的凝集を抑制するという利点をもたらす。
【0092】
本発明はまた、製薬上許容される賦形剤中に本発明のタンパク質を含む医薬組成物および免疫原性組成物を提供する。好ましいワクチン組成物は、少なくとも本発明のタンパク質を含む。該タンパク質は、好ましくは、遮蔽されたチオール基を有し、高度に精製されており、例えば、宿主細胞の混入を5%未満しか有さない。そのようなワクチンは、所望により、1以上の他の腫瘍関連抗原および誘導体を含有しうる。例えば、適当な他の関連抗原には、前立腺、PAP-1、PSA(前立腺特異抗原)、PSMA(前立腺特異膜抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、STEAPが含まれる。
【0093】
もう1つの実施形態においては、本発明の例示的な免疫原性組成物、例えばワクチン組成物は、前記の融合ポリペプチドがin situで生成するよう該融合ポリペプチドの1以上をコードするDNAを含む。前記のとおり、該ポリペプチドは、当業者に公知の種々の運搬系のいずれかにより投与することが可能である。実際のところ、例えばRolland, Crit. Rev. Therap. Drug Carrier Systems 15:143-198, 1998およびそれに引用されている参考文献に記載されている技術のような多数の遺伝子運搬技術が当技術分野においてよく知られている。もちろん、適当なポリヌクレオチド発現系は、患者における発現に必要なDNA調節配列(例えば、適当なプロモーターおよび終結シグナル)を含有する。あるいは、細菌運搬系は、該ポリペプチドの免疫原性部分をその細胞表面上で発現する又はそのようなエピトープを分泌する細菌(例えば、カルメット・ゲラン菌)の投与を含みうる。
【0094】
したがって、ある実施形態においては、ウイルスを用いた多数の公知の系のいずれかを用いて、本明細書に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを適当な発現用哺乳類宿主細胞内に導入する。1つの例示的実施形態においては、レトロウイルスは、遺伝子運搬系のための簡便かつ有効な手段を提供する。本発明のポリペプチドをコードする選択されたヌクレオチド配列を、当技術分野において公知の技術を用いてベクター内に挿入しレトロウイルス粒子内にパッケージングさせることが可能である。ついで該組換えウイルスを単離し、対象に運搬することが可能である。多数の例示的なレトロウイルス系が記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号; MillerおよびRosman (1989) BioTechniques 7:980-990; Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14; Scarpaら (1991) Virology 180:849-852; Burnsら (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037; ならびにBoris-LawrieおよびTemin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。
【0095】
また、アデノウイルスを用いた多数の例示的な系も記載されている。宿主ゲノム内に組込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは染色体外に維持されるため、挿入突然変異誘発に伴うリスクが最小限度に抑えられる(Haj-AhmadおよびGraham (1986) J. Virol. 57:267-274; Bettら (1993) J. Virol. 67:5911-5921; Mitterederら (1994) Human Gene Therapy 5:717-729; Sethら (1994) J. Virol. 68:933-940; Barrら (1994) Gene Therapy 1:51-58; Berkner, K. L. (1988) BioTechniques 6:616-629; ならびにRichら (1993) Human Gene Therapy 4:461-476)。ヒトは、AdHu5のような一般的なヒトアデノウイルス血清型に感染することがあるが、該集団の大多数は該アデノウイルスに対する中和抗体応答を示し、これは、組換えワクチンをベースとする系における異種抗原に対して免疫応答を引き起こすらしい。チンパンジーアデノウイルス68(AdC68, Fitzgeraldら (2003) J. Immunol 170(3):1416-22))のような非ヒト霊長類アデノウイルスベクターは、既存の中和抗体応答の欠点を伴わないもう1つのアデノウイルス系を提供しうる。
【0096】
また、ポリヌクレオチドの運搬のための種々のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系も開発されている。AAVベクターは、当技術分野においてよく知られた技術を用いて容易に構築することが可能である。例えば、米国特許第5,173,414号および第5,139,941号; 国際公開番号WO 92/01070およびWO 93/03769; Lebkowskiら (1988) Molec. Cell. Biol. 8:3988-3996; Vincentら (1990) Vaccines 90 (Cold Spring Harbor Laboratory Press); Carter, B. J. (1992) Current Opinion in Biotechnology 3:533-539; Muzyczka, N. (1992) Current Topics in Microbiol. and Immunol. 158:97-129; Kotin, R. M. (1994) Human Gene Therapy 5:793-801; ShellingおよびSmith (1994) Gene Therapy 1:165-169; ならびにZhouら (1994) J. Exp. Med. 179:1867-1875を参照されたい。
【0097】
本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を遺伝子導入により運搬するのに有用な更なるウイルスベクターには、ポックス科ウイルス、例えばワクシニアウイルスおよびアビポックスウイルスに由来するものが含まれる。例えば、該新規分子を発現するワクシニアウイルス組み換え体は以下のとおりに構築することができる。まず、ポリペプチドをコードするDNAを、それがワクシニアプロモーターおよび隣接ワクシニアDNA配列、例えばチミジンキナーゼ(TK)をコードする配列に隣接するよう、適当なベクター内に挿入する。ついでこのベクターを使用して、ワクシニアに同時に感染した細胞にトランスフェクトする。相同組換えは、該ワクシニアプロモーターおよび目的とするポリペプチドをコードする遺伝子を該ウイルスゲノム内に挿入するように働く。得られたTK.sup.(-)組換え体は、5-ブロモデオキシウリジンの存在下で該細胞を培養し、それに耐性のウイルスプラークを拾い上げることにより選択することが可能である。
【0098】
ワクシニアを用いた感染/トランスフェクション系は、本明細書に記載の1以上のポリペプチドの誘導性の一過性発現または共発現を生物の宿主細胞内で得るために簡便に使用されうる。この特定の系においては、まず、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼをコードするワクシニアウイルス組換え体をin vitroで細胞に感染させる。このポリメラーゼは、T7プロモーターを保持する鋳型のみを転写する点において非常に高い特異性を示す。感染後、T7プロモーターにより駆動される目的とするポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトする。該ワクシニアウイルス組換え体から細胞質内で発現されたポリメラーゼは該トランスフェクト化DNAをRNAに転写し、ついでこれは宿主の翻訳装置によりポリペプチドに翻訳される。該方法は大量のRNAおよびその翻訳産物の高レベルの一過性細胞質内産生をもたらす。例えば、Elroy-SteinおよびMoss, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990) 87:6743-6747; Fuerstら Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1986) 83:8122-8126を参照されたい。
【0099】
あるいは、目的とするコード配列を運搬するために、アビポックスウイルス、例えば鶏痘ウイルスおよびカナリア痘ウイルスを使用することも可能である。哺乳類病原体由来の免疫原を発現する組換えアビポックスウイルスは、非トリ種に投与された場合には、防御免疫を付与することが知られている。アビポックスベクターの使用はヒトおよび哺乳類種において特に望ましい。なぜなら、アビポックス属のメンバーは、感受性のトリ種においてのみ生産的に複製されうるにすぎず、したがって哺乳類細胞内では感染性ではないからである。組換えアビポックスウイルスの製造方法は当技術分野において公知であり、ワクシニアウイルスの製造に関して前記で説明されているとおり、遺伝子組換えを利用するものである。例えば、WO 91/12882、WO 89/03429およびWO 92/03545を参照されたい。
【0100】
本発明のポリヌクレオチド組成物の運搬には、多数のアルファウイルスベクターのいずれか、例えば米国特許第5,843,723号、第6,015,686号、第6,008,035号および第6,015,694号に記載されているベクターを使用することが可能である。ベネズエラ・ウマ脳炎(VEE)を用いた或るベクターも使用することが可能であり、その例示的具体例は米国特許第5,505,947号および第5,643,576号に記載されている。
【0101】
本発明の組成物は筋肉内、皮下、腹腔内または静脈内のような多数の経路により運搬されうる。
【0102】
本発明のもう1つの実施形態においては、例えばUlmerら, Science 259:1745-1749, 1993に記載されておりCohen, Science 259:1691-1692, 1993に概説されている「ネイキッド(naked)」DNAとしてポリヌクレオチドを投与/運搬する。ネイキッドDNAの取り込みは、細胞内へ効率的に輸送される生分解性ビーズ上に該DNAをコーティングすることにより増強されうる。好ましい実施形態においては、該組成物は皮内運搬される。特に、該組成物は、ビーズ(例えば、金)上に該ベクターをコーティングし次いでそれを高圧下で表皮内に投与することを含む遺伝子銃(特に粒子射撃)投与技術(例えば、Haynesら, J Biotechnology 44: 37-42 (1996)に記載されている)により運搬される。
【0103】
1つの例示的具体例においては、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford, UK)およびPowderject Vaccines Inc.(Madison, WI)により製造されているような装置(それらの幾つかの例は米国特許第5,846,796号、第6,010,478号、第5,865,796号、第5,584,807号および欧州特許第0500 799号に記載されている)によりガス推進粒子加速が達成されうる。このアプローチは無針運搬アプローチをもたらし、この場合、ポリヌクレオチドのような微粒子の乾燥粉末製剤を、手持ち装置により生成されたヘリウムガス噴射で高速に加速し、目的とする標的組織(典型的には皮膚)内に該粒子を推進させる。該粒子は、好ましくは直径0.4〜4.0μm、より好ましくは0.6〜2.0μmの金ビーズであり、該DNAコンジュゲートをこれらにコーティングし、ついで、「遺伝子銃」内に配置するためのカートリッジまたはカセット内に入れる。
【0104】
関連実施形態においては、本発明の組成物のガス推進無針注射に有用でありうる他の装置および方法には、Bioject, Inc.(Portland, OR)により提供されるものが含まれ、それらの幾つかの例は米国特許第4,790,824号、第5,064,413号、第5,312,335号、第5,383,851号、第5,399,163号、第5,520,639号および第5,993,412号に記載されている。
【0105】
抗原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む免疫原成分は、1回で(once off basis)投与することが可能であり、あるいは例えば、約1日〜約18ヶ月の間隔で1〜7回、好ましくは1〜4回反復投与することが可能である。しかし、この治療計画は、患者のサイズ、治療/予防される疾患、投与するヌクレオチド配列の量、投与経路、および熟練した医学的実施者に明らかな他の要因に応じて相当に変更されるであろう。
【0106】
したがって、本発明のもう1つの態様は、患者において免疫応答を惹起するための免疫原性組成物の製造における、本明細書に記載のタンパク質または該タンパク質をコードするDNAの使用を提供することにある。好ましくは、該免疫応答は、i)該タンパク質およびそれに続く該DNA配列、またはii)該DNA配列およびそれに続く該タンパク質の連続的投与により惹起される。より好ましくは、該DNA配列を生分解性ビーズ上にコーティングし、あるいは粒子射撃アプローチにより運搬する。より一層好ましくは、該タンパク質をアジュバント化し、好ましくはTH-1誘導性アジュバントで、好ましくはCpG/QS21をベースとしたアジュバント製剤でアジュバント化する。
【0107】
抗原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、予防的または治療的に有効な量で投与する。投与すべき量は、一般には、1用量当たりヌクレオチド1ピコグラム〜16ミリグラム、粒子媒介性運搬では好ましくは1ピコグラム〜10マイクログラム、他の経路では10マイクログラム〜16マイクログラムである。厳密な量は、免疫される患者の体重および投与経路に応じてかなり変動しうる。
【0108】
患者にネイキッドポリヌクレオチドまたはベクターを導入するための適当な技術には、適当なビヒクルでの局所適用も含まれる。該核酸は、皮膚へ、あるいは例えば鼻腔内、経口、膣内または直腸内投与により粘膜表面へ局所投与することが可能である。該ネイキッドポリヌクレオチドまたはベクターは、リン酸緩衝食塩水(PBS)のような製薬上許容される賦形剤と共に存在しうる。DNAの取り込みは更に、別個の又は該DNA製剤中に含まれるブピバカインのような促進剤の使用により促進されうる。被投与者に該核酸を直接投与するための他の方法には、超音波、電気刺激、エレクトロポレーションおよびマイクロシーディング(microseeding)(これは米国特許第5,697,901号に記載されている)が含まれる。
【0109】
核酸構築物の取り込みは、いくつかの公知トランスフェクション技術、例えば、トランスフェクト化物質の使用を伴う技術により増強されうる。これらの物質には、陽イオン性物質、例えばリン酸カルシウムおよびDEAE-デキストラン、ならびにリポフェクタント、例えばリポフェクチンおよびトランスフェクタムが含まれる。該核酸の投与量は改変されうる。
【0110】
本発明の融合タンパク質およびコード化ポリペプチドは、医薬組成物/免疫原性組成物、例えばワクチンとして製剤化することが可能である。したがって、本発明は、製薬上許容される賦形剤中に本発明の融合タンパク質を含む医薬組成物/免疫原性組成物を提供する。したがって、本発明の融合タンパク質またはコード化ポリヌクレオチドを適当なアジュバント、希釈剤または他の製薬上許容される担体と混合することを含む、本発明の免疫原性組成物の製造方法をも提供する。
【0111】
本発明の融合タンパク質は、SDS PAGEによる可視化で、好ましくは少なくとも80%の純度、より好ましくは90%の純度で提供される。好ましくは、該タンパク質は、SDS PAGEにより、単一のバンドとして出現する。
【0112】
ワクチン製剤は、全般的にはVaccine Design (”The subunit and adjuvant approach” (Powell M.F. & Newman M.J編). (1995) Plenum Press New York)に記載されている。リポソーム内への封入はFullerton, 米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0113】
本発明の融合タンパク質およびコード化ポリヌクレオチドは、好ましくは、本発明のワクチン製剤中でアジュバント化されている。あるアジュバントは例えばフロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI);Merck Adjuvant 65(Merck and Company, Inc., Rahway, NJ);AS-2(SmithKline Beecham, Philadelphia, PA);アルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム;カルシウム、鉄またはイオンの塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化糖;陽イオン的または陰イオン的に誘導体化された多糖;ポリホスファゼン;生分解性ミクロスフェア;モノホスホリルリピドAおよびクウィル(quilA)として商業的に入手可能である。サイトカイン、例えばGM-CSF、インターロイキン2、7、12および他の同様の増殖因子もアジュバントとして使用されうる。
【0114】
本発明の或る実施形態においては、該アジュバント組成物は、好ましくは、優先的にTh1型の免疫応答を誘導するものである。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN-γ、TNFα、IL-2およびIL-12)は、投与された抗原に対する細胞性免疫応答の誘導を促す傾向にある。一方、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、IL-6およびIL-10)は体液性免疫応答の誘導を促す傾向にある。本発明において提供するワクチンの適用後、患者は、Th1およびTh2型応答を誘導する免疫応答を維持する。Th1型の応答が優先的に生じる好ましい実施形態においては、Th1型サイトカインのレベルが、Th2型サイトカインのレベルより高くなるまで増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的なアッセイを用いて容易に評価することができる。サイトカインのファミリーの総説としては、MosmannおよびCoffman, Ann. Rev. Immunol. 7:145-173, 1989を参照されたい。
【0115】
好ましいTH-1誘導性アジュバントは、3D-MPL、QS21、QS21とコレステロールとの混合物およびCpGオリゴヌクレオチドを含むアジュバント、または2以上の該アジュバントの混合物の群から選ばれる。Th1型応答を優先的に惹起するための或る好ましいアジュバントには、例えば、モノホスホリルリピドA、好ましくは3-de-O-アシル化モノホスホリルリピドAとアルミニウム塩との組合せが含まれる。MPL(登録商標)アジュバントはCorixa Corporation(Seattle, WA; 例えば米国特許第4,436,727号、第4,877,611号、第4,866,034号および第4,912,094号を参照されたい)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(ここで、CpGジヌクレオチドは非メチル化体である)もTh1応答を優先的に誘導する。そのようなオリゴヌクレオチドはよく知られており、例えばWO 96/02555、WO 99/33488ならびに米国特許第6,008,200号および第5,856,462号に記載されている。免疫刺激性DNA配列も例えばSatoら, Science 273:352, 1996に記載されている。もう1つの好ましいアジュバントには、サポニン、例えばQuil(クウィル)A、またはその誘導体、例えばQS21およびQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc., Framingham, MA);エスキン;ジギトニン;あるいはギプソフィラ(Gypsophila)またはキノア(Chenopodium quinoa)サポニンが含まれる。他の好ましい製剤は、本発明のアジュバント組合せ体中に2以上のサポニンを含み、例えば、QS21、QS7、Quil A、βエスキンまたはジギトニンを含む群の少なくとも2つの組合せを含む。
【0116】
あるいは、該サポニン製剤は、キトサンまたは他のポリカチオニック重合体、ポリ乳酸およびポリラクチド-コ-グリコリド粒子、ポリ-N-アセチルグルコサミンをベースとする重合体マトリックス、多糖または化学修飾多糖から構成される粒子、リポソームおよび脂質をベースとする粒子、グリセロールモノエステルから構成される粒子などから構成されるワクチンビヒクルと組合せることが可能である。該サポニンはまた、リポソームまたはISCOMのような粒子状構造体を形成するためにコレステロールの存在下で製剤化することができる。さらに、該サポニンは、非粒子溶液または懸濁液において、あるいは小層リポソームまたはISCOMのような粒子構造体において、ポリオキシエチレンエーテルまたはエステルと共に製剤化することができる。該サポニンはまた、粘度を増加させるためのCarbopol(登録商標)のような賦形剤と共に製剤化することが可能であり、あるいはラクトースのような粉末賦形剤と共に乾燥粉末形態で製剤化することが可能である。
【0117】
1つの好ましい実施形態においては、該アジュバント系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組合せ、例えば、WO 94/00153に記載の、QS21と3D-MPL(登録商標)アジュバントとの組合せ、あるいはWO 96/33739に記載の、QS21がコレステロールでクエンチされた、より低い反応生成性(reactogenic)の組成物を含む。他の好ましい製剤は水中油型エマルションおよびトコフェロールを含む。水中油エマルション中でQS21、3D-MPL(登録商標)アジュバントおよびトコフェロールを使用するもう1つの特に好ましいアジュバント製剤はWO 95/17210に記載されている。
【0118】
もう1つの増強されたアジュバント系は、CpG含有オリゴヌクレオチドとサポニン誘導体との組合せ、特に、CpGとQS21との組合せ(WO 00/09159およびWO 00/62800に開示されている)を含む。好ましくは、該製剤は更に、水中油エマルションおよびトコフェロールを含む。
【0119】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、本発明の融合タンパク質と、さらには、D3−MPL、サポニン、好ましくはQS21およびCpGオリゴヌクレオチドとを含み、所望により、水中油型エマルションとして製剤化されていてもよい免疫原性組成物を提供する。
【0120】
本発明の医薬組成物中で使用する更なる例示的アジュバントには、Montanide ISA 720(Seppic, France)、SAF(Chiron, California, United States)、ISCOMS(CSL)、MF-59(Chiron)、SBASシリーズのアジュバント(例えば、SmithKline Beecham, Rixensart, Belgiumから入手可能なSBAS-2またはSBAS-4)、Detox(Enhanzyn(登録商標))(Corixa, Hamilton, MT)、RC-529(Corixa, Hamilton, MT)および他のアミノアルキルグルコサミニド4-リン酸(AGP)、例えば係属中の米国特許出願第08/853,826号および第09/074,720号(それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているもの、ならびにポリオキシエチレンエーテルアジュバント、例えばWO 99/52549A1に記載されているものが含まれる。
【0121】
他の好ましいアジュバントには、一般式(I):HO(CH2CH2O)n-A-R[式中、nは1〜50であり、Aは結合または-C(O)-であり、RはC1-50アルキルまたはフェニルC1-50アルキルである]のアジュバント分子が含まれる。本発明の1つの実施形態は、nが1〜50、好ましくは4〜24、最も好ましくは9であり、R成分がC1-50、好ましくはC4-C20アルキル、最も好ましくはC12アルキルであり、Aが結合である一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルを含むワクチン製剤よりなる。該ポリオキシエチレンエーテルの濃度は0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、最も好ましくは0.1〜1%の範囲内であるべきである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは以下の群から選ばれる:ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-9-ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン-8-ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン-4-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-35-ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル。ポリオキシエチレンエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテルはメルク・インデックス(Merck index)(第12版: エントリー7717)に記載されている。これらのアジュバント分子はWO 99/52549に記載されている。前記の一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルは、所望により、もう1つのアジュバントと組合されうる。例えば、好ましいアジュバントの組合せは、好ましくは、係属中の英国特許出願GB 9820956.2に記載のCpGとの組合せである。
【0122】
本発明の抗原、例えば核酸ベクターを免疫刺激剤と共に使用することは、本発明の実施形態の1つである。好ましくは、該免疫刺激剤を本発明の抗原と同時に投与し、好ましい実施形態においては、一緒に製剤化する。該抗原および免疫刺激剤(またはその逆でもよい)を同一または隣接部位に0〜100時間の時間間隔で連続的に投与することは、本発明のもう1つの実施形態である。そのような免疫刺激剤には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:合成イミダゾキノリン、例えばイミキモド(imiquimod)[S-26308, R-837](Harrisonら, Vaccine 19: 1820-1826, 2001);およびレシキモド(resiquimod)[S-28463, R-848](Vasilakosら, Cellular immunology 204: 64-74, 2000);抗原提示細胞およびT細胞表面上で構成的に発現されるカルボニルとアミンとのシッフ塩基、例えばツカレゾール(tucaresol)(Rhodes, J.ら, Nature 377: 71-75, 1995)、サイトカイン、ケモカイン、およびタンパク質またはペプチドとしての共刺激分子、例えば炎症促進性サイトカイン、例えばインターフェロン、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、TGF-αおよびTGF-β、Th1誘導物質、例えばインターフェロンγ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18およびIL-21、Th2誘導物質、例えばIL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびIL-13、および他のケモカインおよび共刺激遺伝子、例えば、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、RANTES、TCA-3、CD80、CD86およびCD40L、他の免疫刺激性標的リガンド、例えばCTLA-4およびL-セレクチン、アポトーシス刺激性タンパク質およびペプチド、例えばFas、(49)、合成脂質をベースとするアジュバント、例えばバクスフェクチン(vaxfectin)(Reyesら, Vaccine 19: 3778-3786, 2001)、スクアレン、αトコフェロール、ポリソルベート80、DOPCおよびコレステロール、内毒素、[LPS](Beutler, B., Current Opinion in Microbiology 3: 23-30, 2000)、;CpGオリゴおよびジヌクレオチド(Sato, Y.ら, Science 273 (5273): 352-354, 1996; Hemmi, H.ら, Nature 408: 740-745, 2000)、およびTh1誘導性サイトカインを産生するようにToll受容体を誘導する他の潜在的リガンド、例えば合成マイコバクテリアリポタンパク質、マイコバクテリアタンパク質p19、ペプチドグリカン、テイコ酸およびリピドA。
【0123】
他の適当なアジュバントには、CT(コレラ毒素、サブユニットAおよびB)およびLT(大腸菌(E. coli)由来の易熱性エンテロトキシン、サブユニットAおよびB)、熱ショックタンパク質ファミリー(HSP)およびLLO(リステリオリジンO; WO 01/72329)が含まれる。
【0124】
該免疫刺激剤がタンパク質である場合には、該免疫刺激剤は、タンパク質として又は該タンパク質をコードするポリヌクレオチドとして投与される。
【0125】
他の適当な運搬系にはミクロスフェアが含まれ、この場合、抗原物質が生分解性高分子/ミクロスフェアに封入またはコンジュゲート化されて、該抗原物質は適当な医薬担体と混合され、ワクチンとして使用されうる。「ミスロスフェア」なる語は一般には、実質的に球状であり10nm〜2mmの範囲内の直径を有するコロイド粒子を意味するものとして用いられている。非常に広範な天然および合成高分子から製造されるミクロスフェアは多様な生物医学的用途を有することが判明している。この運搬系は、効力を得るためには複数の処理を要する短いin vivo半減期を有するタンパク質、または生物学的流体中で不安定な、もしくはその相対的に高い分子量のため胃腸管から完全には吸収されないタンパク質に特に有利である。いくつかの高分子がタンパク質放出用のマトリックスとして記載されている。適当な高分子には、ゼラチン、コラーゲン、アルギナート、デキストランが含まれる。好ましい運搬系には、生分解性ポリ(DL-乳酸)(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)および共重合体ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)が含まれる。他の好ましい系には、不均一ヒドロゲル、例えば、親水性ポリ-(エチレングリコール)(PEG)および疎水性ポリ(ブチレンテレフタル酸)(PBT)をベースとする反復ブロックを含有するポリ(エーテルエステル)多ブロック共重合体、またはポリ(エチレングリコール)-テレフタル酸/ポリ(ブチレンテレフタル酸)(PEGT/PBT)(Sohierら Eur. J. Pharm and Biopharm, 2003, 55, 221-228)が含まれる。PLGA、PLAおよびPEGT/PBTのような1〜3ヶ月にわたり徐放をもたらす系が好ましい。
【0126】
該免疫原性組成物またはワクチン組成物は1回で(once off basis)投与することが可能であり、あるいは必要に応じた回数、例えば、約1日〜約18ヶ月、好ましくは1ヶ月の間隔で1〜7回、好ましくは1〜4回反復投与することが可能である。この後、所望により、1〜12ヶ月の一定間隔で患者の余命にわたり投与することが可能である。好ましい実施形態においては、「初回、追加」法により、異なる形態の抗原を患者に投与する。例えば、まず、抗原である該融合タンパク質を、タンパク質アジュバントをベースとする製剤として投与し、ついで、DNAをベースとするワクチンを投与する。この投与様式が好ましい。好ましいアジュバントはCpG含有オリゴヌクレオチドとサポニン誘導体との組合せ、特に、CpGとQS21との組合せ(WO 00/09159およびWO 00/62800に開示されている)を含む。ネイキッドDNAの取り込みは、細胞内へ効率的に輸送される生分解性ビーズ上に該DNAをコーティングすることにより増強されうる。あるいは、該DNAは、粒子射撃アプローチ、例えば本明細書中に教示されているPowderject Pharmaceuticals PLC(Oxford, UK)およびPowderject Vaccines Inc.(Madison, WI)により製造されているような装置によるガス推進粒子加速により運搬されうる。このアプローチは無針運搬アプローチをもたらし、この場合、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド粒子のような微粒子の乾燥粉末製剤を、手持ち装置により生成されたヘリウムガス噴射で高速に加速し、目的とする標的組織内に該粒子を推進させる。
【0127】
もう1つの好ましい実施形態においては、まず、DNAをベースとするワクチンを投与し、ついでタンパク質アジュバントをベースとする製剤を投与する。さらにもう1つの実施形態は、特別な運搬ベクターによる、好ましくはウイルス系による、最も好ましくは、アデノウイルスを用いた系による該DNA構築物の運搬に関する。他の適当な、ウイルスを用いたDNA運搬系には、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスを用いた系が含まれる。
【0128】
もう1つの実施形態においては、前記のタンパク質アジュバントをベースとする製剤およびDNAをベースとするワクチンは、隣接または重複部位に共投与することが可能である。該DNAワクチン製剤の性質に応じて、これは、投与前に該DNA製剤と該タンパク質アジュバント製剤とを混合することにより、あるいは該DNA製剤と該タンパク質アジュバント製剤とを同時に投与することにより達成されうる。
【0129】
該治療計画は、対象患者のサイズおよび種、投与する核酸ワクチンおよび/またはタンパク質組成物の量、投与経路、使用するいずれかのアジュバントの効力および用量、ならびに熟練した医学的実施者に明らかな他の要因に応じて相当に変更されるであろう
他の態様においては、本発明は、本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる、患者における免疫応答、好ましくは、ヒト患者におけるT細胞応答を刺激するための方法に関する。該患者は、肺もしくは結腸癌または結腸直腸癌または乳癌に罹患した患者でありうる。この場合、該方法は該疾患の治療をもたらし、あるいはそのような疾患のリスクを有すると考えられる患者を予防的に治療しうる。
【0130】
他の態様においては、本発明は、前記の医薬組成物を患者に投与することを含んでなる、患者における癌の発生を抑制するための方法を提供する。該患者は、例えば肉腫、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、結腸癌、結腸直腸癌または乳癌に罹患した患者でありうる。この場合、該方法は該疾患の治療をもたらし、あるいはそのような疾患のリスクを有すると考えられる患者を予防的に治療しうる。
【0131】
本発明は更に、他の態様において、本発明のポリペプチドに特異的に反応するT細胞と生物学的サンプルとを接触させることを含んでなり、該接触工程を、該タンパク質を発現する細胞が該サンプルから除去されるのを可能にするのに十分な条件下および時間にわたり行う、生物学的サンプルから腫瘍細胞を除去するための方法を提供する。
【0132】
関連態様においては、前記のとおり処理された生物学的サンプルを患者に投与することを含んでなる、患者における癌の発生を抑制するための方法を提供する。
【0133】
さらに、他の態様においては、T細胞の刺激および/または増殖を可能にするのに十分な条件下および時間にわたり、T細胞を(i)前記のポリペプチド、(ii)そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および/または(iii)そのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞の1以上と接触させることを含んでなる、本発明のポリペプチドに特異的なT細胞を刺激し及び/又は増殖させるための方法を提供する。前記のとおりに製造されたT細胞を含んでなる単離されたT細胞集団も提供する。
【0134】
他の態様においては、本発明は、前記のT細胞集団の有効量を患者に投与することを含んでなる、患者における癌の発生を抑制するための方法を提供する。本発明は更に、(a)患者から単離されたCD4+および/またはCD8+ T細胞を(i)本明細書中に開示されているポリペプチド、(ii)そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および(iii)そのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞の1以上と共にインキュベートし、(b)増殖したT細胞の有効量を該患者に投与して、該患者における癌の発生を抑制する工程を含んでなる、患者における癌の発生を抑制するための方法を提供する。増殖した細胞を、患者への投与の前にクローニングすることが可能であるが、必ずしもこれが必要なわけではない。
【0135】
本発明のもう1つの実施形態においては、本明細書に記載の免疫原性組成物を、抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、および有効なAPCとなるよう操作されうる他の細胞を介して、宿主に運搬する。抗原提示能を増強するために、T細胞応答の活性化および/または維持を改善するために、抗腫瘍自体を付与するために、および/または運搬対象に免疫学的に和合性にするために(すなわち、一致したHLAハプロタイプ)、そのような細胞を遺伝的に修飾することが可能であるが、必ずしもこれが必要なわけではない。APCは、一般には、種々の任意の生物学的流体および器官(腫瘍および腫瘍周囲組織を含む)から単離することが可能であり、自己、同種異系、同系または異種細胞でありうる。
【0136】
本発明の或る好ましい実施形態においては、抗原提示細胞として樹状細胞またはその前駆体を使用する。樹状細胞は非常に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman, Nature 392:245-251, 1998)、予防的または治療的抗腫瘍免疫を惹起するための生理的アジュバントとして有効であることが示されている(TimmermanおよびLevy, Ann. Rev. Med. 50:507-529, 1999を参照されたい)。一般に、樹状細胞はその典型的な形状(in situで星状であり、in vitroでは顕著な細胞質突起(樹状突起)が可視化されうる)、それが抗原を取り込み処理(プロセシング)し提示する能力、およびそれが高い効率でナイーブT細胞応答を活性化する能力に基づき同定されうる。もちろん、in vivoまたはex vivoで樹状細胞上に一般には見出されない特異的細胞表面受容体またはリガンドを発現するよう樹状細胞を操作することが可能であり、そのような修飾樹状細胞も本発明に包含される。樹状細胞の代わりに、抗原負荷樹状細胞の分泌性小胞(secreted vesicles antigen-loaded dendritic cells)(エキソソームと称される)をワクチン中で使用することが可能である(Zitvogelら, Nature Med. 4:594-600, 1998を参照されたい)。
【0137】
樹状細胞および前駆体は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周囲組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血または他の任意の適当な組織もしくは流体から得ることができる。例えば、樹状細胞は、末梢血から集めた単球の培養へのサイトカイン、例えばGM-CSF、IL-4、IL-13および/またはTNFαの組合せの添加によりex vivoで分化しうる。あるいは、樹状細胞の分化、成熟および増殖を誘導するGM-CSF、IL-3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドおよび/または他の化合物の組合せの、培地への添加により、末梢血、臍帯血または骨髄から集めたCD34陽性細胞は樹状細胞に分化しうる。
【0138】
樹状細胞は、簡便には、「未熟」細胞および「成熟」細胞の範疇に分類され、そのような分類は、2つの良く特徴づけられた表現型間を区別するための便法となりうる。しかし、この命名は、すべての可能な中間分化段階を除外するものと解釈されるべきではない。未熟樹状細胞は、抗原の取り込み及びプロセシングのための高い能力を有するAPCとして特徴づけられ、これはFcγ受容体およびマンノース受容体の高い発現と相関する。成熟表現型は、典型的には、これらのマーカーの、より低い発現により特徴づけられるが、T細胞の活性化を引き起こす細胞表面分子、例えばクラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4-1BB)の高い発現を示しうる。
【0139】
一般には、本発明のポリヌクレオチド(またはその一部もしくは他の変異体)をAPCにトランスフェクトして、コード化ポリペプチドまたはその免疫原性部分を該細胞表面上に発現させることが可能である。そのようなトランスフェクションはex vivoで生じうる。ついで、そのようなトランスフェクト化細胞を含む医薬組成物を、本明細書に記載の治療目的に使用することが可能である。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的化する遺伝子運搬ビヒクルを患者に投与して、in vivoでトランスフェクションを生じさせることが可能である。例えば、樹状細胞のin vivoおよびex vivoトランスフェクションは、一般には、当技術分野で公知の任意の方法、例えばWO 97/24447に記載の方法、またはMahviら, Immunology and cell Biology 75:456-460, 1997に記載の遺伝子銃アプローチを用いて行うことが可能である。樹状細胞の抗原負荷は、樹状細胞または前駆細胞を腫瘍ポリペプチド、DNA(ネイキッドDNA、またはプラスミドベクター内のDNA)またはRNAと共に、あるいは抗原発現性組換え細菌またはウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスベクター)と共にインキュベートすることにより達成されうる。負荷の前に、T細胞の助けをもたらす免疫学的パートナー(例えば、担体分子)に該ポリペプチドを共有結合させることが可能である。あるいは、樹状細胞を、別々に、または該ポリペプチドの存在下、非結合免疫学的パートナーでパルスすることが可能である。
【0140】
定義
本発明はまた、文字配列または文字列、特に遺伝子配列またはコード化タンパク質配列の解析のための方法を提供する。配列解析のための好ましい方法には、例えば、配列相同性解析、例えば同一性および類似性解析、DNA、RNAおよびタンパク質構造解析、配列集合、分岐解析、配列モチーフ解析、オープンリーディングフレームの決定、核酸塩基の呼出し、コドン使用頻度解析、核酸塩基トリミング(trimming)ならびに配列決定クロマトグラムピーク解析の方法が含まれる。
【0141】
相同性の同定を行うための、コンピューターによる方法を提供する。この方法は、本発明のポリヌクレオチドの配列を含む第1ポリヌクレオチド配列をコンピューター読取り可能媒体内に準備し、該第1ポリヌクレオチド配列を少なくとも1つの第2ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して相同性を同定する工程を含む。また、本発明のポリペプチドの配列を含む第1ポリペプチド配列をコンピューター読取り可能媒体内に準備し、該第1ポリペプチド配列を少なくとも1つの第2ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して相同性を同定する工程を含む、相同性の同定を行うための、コンピューターによる方法を提供する。
【0142】
「同一性」は、当技術分野において公知のとおり、2以上のポリペプチド配列または2以上のポリヌクレオチド配列間の、場合に応じて該配列を比較することにより決定される関係である。当技術分野においては、「同一性」は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の、場合に応じてそのような配列間の一致により決定される配列関連性の度合をも意味する。「同一性」は、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heine, G., Academic Press, 1987; ならびにSequence Analysis Primer, Gribskov, M.およびDevereux, J.編, M Stockton Press, New York, 1991; ならびにCarillo, H.およびLipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)に記載されているものを含む(それらに限定されるものではない)公知方法により容易に決定することが可能である。同一性の決定方法は、被検配列間で最大の一致(マッチ)が得られるように設計される。さらに、同一性の決定方法は、公に入手可能なコンピュータープログラムにおいて体系化(codify)されている。2つの配列間の同一性を決定するためのコンピュータープログラム法には、GCGプログラムパッケージ中のGAPプログラム(Devereux, J.ら, Nucleic Acids Research 12(1): 387 (1984))、BLASTP、BLASTN(Altschul, S.F.ら, J. Molec. Biol. 215: 403-410 (1990))およびFASTA(PearsonおよびLipman Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85; 2444-2448 (1988))が含まれるが、これらに限定されるものではない。BLASTファミリーのプログラムはNCBIおよび他の入手元から公に入手可能である(BLAST Manual, Altschul, S.ら, NCBI NLM NIH Bethesda, MD 20894; Altschul, S.ら, J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990))。また、同一性を決定するために、よく知られたスミス・ウォーターマン(Smith Waterman)アルゴリズムを使用することも可能である。
【0143】
ポリペプチド配列の比較のためのパラメーターには以下のものが含まれる:
アルゴリズム:NeedlemanおよびWunsch, J. Mol Biol. 48: 443-453 (1970)、
比較マトリックス:HenikoffおよびHenikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:10915-10919 (1992)からのBLOSSUM62、
ギャップペナルティ:8、
ギャップ長ペナルティ:2。
【0144】
これらのパラメーターで有用なプログラムは「ギャップ(gap)」プログラムとしてGenetics Computer Group, Madison WI.から公に入手可能である。前記パラメーターはペプチドの比較のためのデフォルトパラメーターである(末端ギャップのためのペナルティーを伴わない)。
【0145】
ポリヌクレオチドの比較のためのパラメーターには以下のものが含まれる:
アルゴリズム:NeedlemanおよびWunsch, J. Mol Biol. 48: 443-453 (1970)、
比較マトリックス:マッチ = +10、ミスマッチ = 0、
ギャップペナルティー:50、
ギャップ長ペナルティー:3、
「ギャップ(gap)」プログラムとしてGenetics Computer Group, Madison WI.から入手可能。これらは核酸配列の比較のためのデフォルトパラメーターである。
【0146】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの「同一性」の好ましい定義は、場合に応じて、以下の(1)および(2)に示される。
【0147】
(1)ポリヌクレオチドの実施形態は更に、配列番号9〜配列番号16の参照配列のいずれかに対して少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97または100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含み、ここで、該ポリヌクレオチド配列は、配列番号9〜配列番号16の参照配列のいずれかと同一であることが可能であり、あるいは、該参照配列と比較した場合の或る整数個までのヌクレオチドの変更を含むことが可能であり、ここで、該変更は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(転位およびトランスバージョンを含む)または挿入よりなる群から選ばれ、該変更は、該参照ヌクレオチド配列の5'もしくは3'末端の位置において又はそれらの末端位置の間のいずれかの位置において、該参照配列中のヌクレオチド内に1つずつ又は該参照配列中の1以上の連続したグループとして存在することが可能である。ヌクレオチドの変更の数は、配列番号9〜配列番号16のいずれかにおけるヌクレオチドの総数を、同一性(%)を表す整数を100で割り算したものに掛け算し、ついでその積を配列番号9〜配列番号16のいずれかのヌクレオチドの前記総数から引き算することにより求められる。すなわち、
nn < xn − (xn・y)
であり、ここで、nnはヌクレオチドの変更の数であり、xnは配列番号9〜配列番号16のいずれかにおけるヌクレオチドの総数であり、yは、50%では0.50、60%では0.60、70%では0.70、80%では0.80、85%では0.85、90%では0.90、95%では0.95、97%では0.97または100%では1.00であり、・は乗法演算子の記号であり、xnとyとの任意の非整数積は、xnから引き算する前に、最も近い整数に切捨てて丸める。配列番号1〜配列番号8のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の変更はこのコード配列内にナンセンス、ミスセンスまたはフレームシフト突然変異を引き起こすことがあり、それにより、そのような変更後のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを改変しうる。
【0148】
例えば、本発明のポリヌクレオチド配列は、配列番号9〜配列番号16の参照配列のいずれかと同一である(すなわち、それは100%同一である)ことが可能であり、あるいはそれは、該参照配列と比較した場合の或る整数個までのヌクレオチドの変更を含んでいて同一性が100%未満となることが可能である。そのような変更は、少なくとも1つの核酸の欠失、置換(転位およびトランスバージョンを含む)または挿入よりなる群から選ばれ、該変更は、該参照ヌクレオチド配列の5'もしくは3'末端の位置において又はそれらの末端位置の間のいずれかの位置において、該参照配列中のヌクレオチド内に1つずつ又は該参照配列中の1以上の連続したグループとして存在することが可能である。ある与えられた同一性(%)の場合の核酸の変更の数は、配列番号9〜配列番号16のいずれかにおける核酸の総数を、同一性(%)を表す整数を100で割り算したものに掛け算し、ついでその積を配列番号9〜配列番号16のいずれかの核酸の前記総数から引き算することにより求められる。すなわち、
nn < xn − (xn・y)
であり、ここで、nnは核酸の変更の数であり、xnは配列番号9〜配列番号16のいずれかにおける核酸の総数であり、yは、例えば、70%では0.70、80%では0.80、85%では0.85などであり、・は乗法演算子の記号であり、xnとyとの任意の非整数積は、xnから引き算する前に、最も近い整数に切捨てて丸める。
【0149】
(2)ポリペプチドの実施形態は更に、配列番号1〜配列番号8のいずれかのポリペプチド参照配列に対して少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97または100%の同一性を有するポリペプチドを含む単離されたポリペプチドを含み、ここで、該ポリペプチド配列は、配列番号1〜配列番号8の参照配列のいずれかと同一であることが可能であり、あるいは、該参照配列と比較した場合の或る整数個までのアミノ酸の変更を含むことが可能であり、ここで、該変更は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存的および非保存的置換を含む)または挿入よりなる群から選ばれ、該変更は、該参照ポリペプチド配列のアミノもしくはカルボキシ末端の位置において又はそれらの末端位置の間のいずれかの位置において、該参照配列中のペプチド内に1つずつ又は該参照配列中の1以上の連続したグループとして存在することが可能である。アミノ酸の変更の数は、配列番号1〜配列番号8のいずれかにおけるアミノ酸の総数を、同一性(%)を表す整数を100で割り算したものに掛け算し、ついでその積を配列番号1〜配列番号8のいずれかのアミノ酸の前記総数から引き算することにより求められる。すなわち、
na < xa − (xa・y)
であり、ここで、naはアミノ酸の変更の数であり、xaは配列番号2におけるアミノ酸の総数であり、yは、50%では0.50、60%では0.60、70%では0.70、80%では0.80、85%では0.85、90%では0.90、95%では0.95、97%では0.97または100%では1.00であり、・は乗法演算子の記号であり、xaとyとの任意の非整数積は、xaから引き算する前に、最も近い整数に切捨てて丸める。
【0150】
例えば、本発明のポリペプチド配列は、配列番号1〜配列番号8のいずれかの参照配列と同一である(すなわち、それは100%同一である)ことが可能であり、あるいはそれは、該参照配列と比較した場合の或る整数個までのアミノ酸の変更を含んでいて同一性が100%未満となることが可能である。そのような変更は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存的および非保存的置換を含む)または挿入よりなる群から選ばれ、該変更は、該参照ポリペプチド配列のアミノもしくはカルボキシ末端の位置において又はそれらの末端位置の間のいずれかの位置において、該参照配列中のアミノ酸の間に1つずつ又は該参照配列中の1以上の連続したグループとして存在することが可能である。ある与えられた同一性(%)の場合のアミノ酸の変更の数は、配列番号1〜配列番号8のいずれかにおけるアミノ酸の総数を、同一性(%)を表す整数を100で割り算したものに掛け算し、ついでその積を配列番号1〜配列番号8のいずれかにおけるアミノ酸の前記総数から引き算することにより求められる。すなわち、
na < xa − (xa・y)
であり、ここで、naはアミノ酸の変更の数であり、xaは配列番号1〜配列番号8のいずれかにおけるアミノ酸の総数であり、yは、例えば、70%では0.70、80%では0.80、85%では0.85などであり、・は乗法演算子の記号であり、xaとyとの任意の非整数積は、xaから引き算する前に、最も近い整数に切捨てて丸める。
【実施例】
【0151】
以下の実施例を参照することにより本発明を更に詳しく説明することにする。
【0152】
実施例I:融合パートナーとしてC-LytA-P2-C-LytA (CPC)を含有するP501融合タンパク質を発現する組換え酵母株Y1796の製造
1.タンパク質の設計
サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)において発現される融合タンパク質C-P2-C-p501(あるいは、CPC-P501と称される)の構造を図3に示す。この融合体は、破傷風毒素のP2断片(残基830-843)が挿入された、遺伝子LytAのC末端領域(残基187-306)を含有する。P2断片はC-Lyt-Aの残基277と残基278との間に配置される。P2挿入を含有するC-lytA断片の後にはP501(残基アミノ酸51-553)およびHis尾部が続く。
得られた融合タンパク質の一次構造は、図4に示す配列を有し、前記タンパク質設計に対応するコード配列を図5に示す。
【0153】
2.CPC-P501(51-553)-His融合タンパク質を発現する酵母プラスミドの作製のためのクローニング法
・出発物質は酵母ベクターpRIT15068(英国特許出願第0015619.0号)である。
・このベクターは酵母Cup1プロモーター、酵母αプレプロシグナルコード配列、ならびにP501Sの残基55-553およびそれに続くHis尾部に対応するコード配列を含有する。
・図6に概説されているクローニング法は以下の工程を含む。
【0154】
a)第1工程はC-lytAコード配列内のインフレームでのP2配列(酵母発現にコードが最適化されている)の挿入である。C-lytAコード配列はプラスミドpRIT 14662 (PCT/EP99/00660)により保持されている。該挿入は、P21およびP22と称される2つの相補的オリゴヌクレオチドにより形成されるアダプターを使用して、NcoIにより予め開裂されたプラスミドpRIT 14662内に行う。
P21およびP22の配列は以下のとおりである:
P21 5’catgcaatacatcaaggctaactctaagttcattggtatcactgaaggcgt 3’、
P22 3’gttatgtagttccgattgagattcaagtaaccatagtgacttccgcagtac 5’。
連結および大腸菌(E. coli)の形質転換および形質転換体の特徴づけの後、pRIT15199と称されるプラスミドを得る。
【0155】
b)第2工程はPCR増幅によるC-lytA-P2-C-lytA DNA断片の調製である。該増幅は、鋳型としてのpRIT15199、ならびにC-LytANOTATGおよびC-LytA-aa55と称されるオリゴヌクレオチドを使用して行う。両オリゴヌクレオチドの配列は以下のとおりである:
C-LytANOTATG
=5’aaaaccatggcggccgcttacgtacattccgacggctcttatccaaaagacaag 3’、
C-LytA-aa55 =5’aaacatgtacatgaacttttctggcctgtctgccagtgttc 3’。
該増幅断片を制限酵素NcoIおよびAflIIIで処理してそれぞれの付着末端を得る。
【0156】
c)次の工程は、完全な融合タンパク質コード配列を得るための前記断片とベクターpRIT15068(NcoI処理後に得られる最大断片)との連結である。連結および大腸菌(E. coli)の形質転換の後、pRIT15200と称されるプラスミドを得る。このプラスミドにおいては、残りの唯一(ユニーク)のNco1部位は、出発コドンをコードするATGを含有する。
【0157】
d)次の工程においては、CUP1プロモーターと2μプラスミド配列の一部とを含有するNcoI断片をプラスミドPRIT 15202から調製する。プラスミドpRIT 15202は、ATG(ATG配列:AAACC ATG)においてNcoI部位を伴うCUP1プロモーターを含有する酵母2μ誘導体である。
【0158】
e)pRIT 15202から単離されたNcoI断片を、NcoIで予め開裂されたpRIT15200に、正しい配向で連結して、pCUP1プロモーターが該コード配列の5'側に位置するようにする。これは、pRIT15201(図7を参照されたい)と称される最終的な発現プラスミドを与える。
【0159】
実施例II
同様にして、図2に示すタンパク質構築物を、そこに示す対応DNA配列を使用して発現させることが可能である。特に、酵母株SC333(構築物2)は、CPC融合パートナーを欠くP50155-553を発現すること以外はY1796株に対応する。酵母株Y1800(構築物3)はY1796に対応するが、P501Sのための天然配列シグナル(aa1-aa34)を更に含み、酵母株Y1802(構築物4)はCPC-P501S配列の上流にαプレシグナル配列を含む。酵母株Y1790(構築物5)は、CPCを欠きαプレプロシグナル配列を有するP501S構築物を発現する。
【0160】
実施例III.精製CPC-P501の調製
1.CPC-P501S HIS(Y1796)の小規模生産
Y1796の場合には、ヒスチジンで補足された最少培地内で、100〜500μMのCuSO4を加えることにより対数期において発現を誘導し、培養を30℃に維持する。8〜24時間の誘導後に細胞を集める。銅を、前もって培地と混合するのではなく使用直前に加える。
【0161】
SDS-PAGE分析のために、クエン酸リン酸バッファー(pH4.0)+ 130mM NaCl中で酵母細胞の抽出を行う。抽出は、少量の細胞の場合にはガラスビーズで、大量の細胞の場合にはフレンチプレスで行い、ついでそれをサンプルバッファーと混合し、SDS-PAGE分析を行う。種々の構築物のSDS-PAGE上の比較分析の結果を図8に示し、以下の表2に要約する。
【0162】
以下の表1に示すとおり、Y1796株における該培養の発現レベルは、CPCパートナーを欠く対応P501S-Hisを発現する株である親株SC333の発現レベルと比較して遥かに高い。同様に、シグナル配列(αプレ)の存在は前記の結果に影響を及ぼさない。Y1802株における該培養の発現レベルは、CPCパートナーを欠く対応P501S-Hisを発現する対応株Y1790の発現レベルと比較して遥かに高い。
【表2】

【0163】
2.Y1796 (RIX4440)の大規模発酵
100μlの実施種(working seed)を固形培地上に広げ、30℃で約24時間増殖させる。ついでこの固形前培養を使用して、振とうフラスコ内の液体前培養に接種する。この液体前培養を30℃で20時間増殖させ、20L発酵槽に移す。フェッドバッチ発酵は約44時間の増殖期および約22時間の誘導期を含む。
【0164】
炭素源(グルコース)を、連続的供給により該培養に補足した。発酵によるエタノールの産生を最小限度に抑えるために、残留グルコース濃度を非常に低く(<50mg/L)維持した。これは、グルコース供給速度の抑制により微生物の発生を抑制することにより達成された。増殖期の終了時に、該抗原を産生させるために、CuSO4を加えることによりCUP1プロモーターを誘導する。
【0165】
ナイスタチンで補足された標準的なTSBおよびTHIバイアルに106細胞を接種し、それぞれ、20〜25℃および30〜35℃で14日間インキュベートすることにより、汚染物が存在しないかどうかを調べた。予想どおり、増殖は観察されなかった。
【0166】
3.抗原の特徴づけ及び生産性
細胞ホモジネートを、誘導期中の種々の時点で回収した発酵サンプルのフレンチプレスにより調製し、SDS-PAGEおよびウエスタンブロットにより分析した。目的とするタンパク質の大部分は、遠心分離後に該細胞ホモジネートから得られた不溶性画分中に存在することが示された。後記の図に示すSDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析は、これらの細胞ホモジネートの遠心分離後に得られたペレット上で行った。
【0167】
図8AおよびBは、培養PRO127に関する誘導期中の抗原産生の速度論を示す。増殖期中には抗原発現は生じなかったらしい。比(specific)抗原生産性は、誘導期の開始時から6時間の時点までは増加するようであり、その後は終了時まで非常に安定に維持された。容量生産性は、同時期に観察されたバイオマスの蓄積のため、1.5〜2倍増加した。銀染色を伴うSDS-PAGE(図9A)および抗P501S抗体(1/1000の希釈度で使用されるP501S aa439-aa459に対するマウス腹水)を使用するWB分析(図9B)で該抗原の精製参照体および粗抽出物を比較することにより、抗原生産性は発酵ブロス1リットル当たり約500mgであると推定した。
【0168】
実施例IV.Y1796により産生されたCPC-P501(51-553)-His融合タンパク質の精製
細胞破壊後、該タンパク質はペレット画分に付随する。ジスルフィド結合による共有的架橋を介した該分子自体の又は該分子と宿主細胞タンパク質混入物との酸化的凝集に対処するために、該方法に該分子のカルバミド-メチル化を導入した。該タンパク質の疎水性(12個の膜貫通ドメインが予想される)に対処するためには、界面活性剤の使用も必要である。
【0169】
培養OD(光学密度)120の1Lの規模用に開発した精製プロトコールを図10に示す。すべての操作は室温(RT)で行う。DOC TCA BCAタンパク質アッセイにおいては、全精製収量は、培養OD120の1L当たり精製抗原30〜70mgである。該収量は該培養の発現レベルと関連づけられ、未融合P501S-Hisを発現する親株の精製収量より高い。該タンパク質アッセイは以下のとおりに行う。まず、DOC(デオキシコラート)の存在下、TCA(トリクロロ酢酸)を使用してタンパク質を沈殿させ、ついでSDSの存在下でアルカリ性媒体に溶解する。ついで該タンパク質はBCA(ビシンコニン酸)(Pierce)と反応して、サンプル中に存在するタンパク質の量に比例する562nmの高い吸光度を示す可溶性紫色複合体を形成する。3つの精製バルクのSDS-PAGE分析(図11)は、還元条件と非還元条件とで何ら差異を示さない(レーン2、3および4とレーン5、6および7とを比較されたい)。該パターンは70kDaの主要バンド、より高いMWの染み及びかすかな分解バンドよりなる。該バンドのすべては特異的抗P501Sモノクローナル抗体により検出される。
【0170】
実施例V.CPC-P501S Hisタンパク質を使用するワクチン製剤
実施例3または4のタンパク質は、水中油型エマルション中にQS21および3D-MPLを含有するワクチンに製剤化することが可能である。
【0171】
1.ワクチン製剤:
抗原は、実施例1〜3に示すとおりに製造した(C-LytA-P2-P501S-His)。該製剤は、アジュバントとして、3 デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MOL)とQS21との混合物を油/水エマルション中に含む。アジュバント系SBAS2はWO 95/17210に既に記載されている。
【0172】
3D-MPLは、グラム陰性細菌サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)のリポ多糖(LPS)に由来する免疫刺激剤である。MPLは脱アシル化されており、リピドA部分上にリン酸基を欠く。この化学処理は、免疫刺激性を維持したまま毒性を劇的に減少させる(Ribi, 1986)。Ribi ImmunochemistryはMPLを製造し、SB-Biologicalsに供給している。Smith Kline Beecham Biologicalsで行われた実験は、種々のビヒクルと組合された3D-MPLが体液性免疫およびTH1型の細胞性免疫の両方を強力に増強することを示している。
【0173】
QS21は、南米産樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja saponaria molina)の樹皮から抽出された天然サポニン分子である。該樹皮の粗抽出物から個々のサポニンを分離するために開発された精製技術は、特定のサポニンであるQS21(これは、親成分より強力なアジュバント活性およびより低い毒性を示すトリテルペン配糖体である)の単離を可能にした。QS21は幾つかのサブユニットAgに対するMHCクラスI拘束性CTLを活性化し、Ag特異的リンパ球増殖を刺激することが示されている(Kensil, 1992)。Aquila(かつてはCambridge Biotech Corporationであった)はQS21を製造し、SB-Biologicalsに供給している。
【0174】
SmithKline Beecham Biologicalsで行われた実験は、体液性免疫応答およびTH1型細胞性免疫応答の両方の誘導における、MPLとQS21との組合せの、明らかな相乗効果を示している。
【0175】
油/水エマルションは、2種の油(トコフェロールおよびスクアレン)からなる有機相と、乳化剤としてのTween 80を含有するPBSの水相とから構成される。該エマルションは5% スクアレン、5% トコフェロール、0.4% Tween 80を含み、180nmの平均粒径を有し、SB62として公知である(WO 95/17210を参照されたい)。
【0176】
SmithKline Beecham Biologicalsで行われた実験は、3D-MPL/QS21(SBAS2)へのこのO/Wエマルションの添加が種々のサブユニット抗原に対する前者の免疫刺激性を更に増強することを証明している。
【0177】
2.エマルションSB62(2倍濃縮物)の調製:
Tween 80をリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解して、PBS中の2% 溶液を得る。100mlの2倍濃縮物のエマルションを得るために、5gのDLαトコフェロールおよび5mlのスクアレンをボルテックスして十分に混合する。90mlのPBS/Tween溶液を加え、十分に混合する。ついで、得られたエマルションをシリンジに通し、最後に、M110Sマイクロフルイディクス装置を使用してマイクロフルイダイズに付す。得られた油滴は約180nmのサイズを有する。
【0178】
3.製剤:
油/水エマルション中に3D-MPLとQS21とを含有する典型的な製剤を以下のとおりに調製する。20μg〜25μgのC-LytA P2-P501SをPBS(pH6.8)およびH2Oで10倍希釈し、ついでSB62(50μl)、MPL(20μg)、QS21(20μg)を順序加え、所望により、CpGオリゴヌクレオチド(100μg)および保存剤としての1μg/ml チオメルサル(thiomersal)を加えることも可能である。必要に応じて、各成分の量は様々なものとなりうる。すべてのインキュベーションは、攪拌無しで室温で行う。
【0179】
実施例VI.コドン最適化P501S配列
1.対照組換えプラスミドの作製
完全長P501S配列をpVAC(Thomsen, Immunology, 1998; 95:51OP105)内にクローニングして発現プラスミドJNW680を得た。配列番号17はプラスミドJNW680内のヒトP501S発現カセットを表し、図12に示されている。配列番号17のタンパク質配列は1文字記号で示されており、出発コドンおよび終止コドンは太字で示されている。コザック配列はハッシュマークで示されている。ヒトP501S配列(配列番号17)のコドン使用頻度指数はSynGeneプログラムによる計算では0.618である。
【0180】
SynGeneプログラム
基本的には、高発現大腸菌(E. coli)およびヒト遺伝子において天然で見出されるものに近いコドン出現頻度を有する合成遺伝子が得られるよう、統計的方法を用いてコドンが割り当てられる。
【0181】
SynGeneは、R. S. HaleおよびG Thompson(Protein Expression and Purification Vol. 12 pp.185-188 (1998))により書かれたCalcgeneと称されるVisual Basicプログラムのアップデーティッドバージョンである。元の配列内の各アミノ酸残基に対して、それが高発現大腸菌(E. coli)遺伝子内で出現する確率に基づきコドンを割り当てた。Microsoft Windows 3.1で働くCalcgeneプログラムの詳細は該著者から入手することが可能である。該プログラムは、コドンを合成遺伝子に割り当てるために統計的方法を適用するものであるため、得られるコドンの全てが標的生物において最も頻繁に使用されるという訳ではない。実際には、標的生物の頻繁に使用されるコドンと非頻繁に使用されるコドンとの比率は、正しい比率でコドンを割り当てることにより該合成配列において反映される。しかし、特定のコドンを配列内の特定の位置に割り当てる厳密な規則は存在しないため、該プログラムは、実行するたびに、異なる合成遺伝子を与えることになるが、それぞれは、同じコドン使用頻度パターンを有し、それぞれは、同じアミノ酸配列をコードする。或る与えられたアミノ酸配列および或る与えられた標的生物に関して該プログラムを数回実行した場合には、制限部位、イントロンスプライスシグナルなどの数、タイプおよび位置において異なりうる幾つかの異なるヌクレオチド配列が得られることになり、それらの幾つかは望ましくないかもしれない。当業者であれば、これらの特徴に基づき、該ポリペプチドの発現において使用するための適当な配列を選択することが可能であろう。
【0182】
さらに、コドンは、統計に基づいてランダムに割り当てられるため、標的生物において相対的に希有にしか使用されない2以上のコドンが接近してクラスターを形成しうることが(おそらくは、生じるとは考えにくいが)可能性としては考えられる。そのようなクラスターは翻訳装置を混乱させ、特に低い発現率を与えうると考えられる。したがって、希有コドンクラスターが偶然に選択されるのを避けるために、最適化遺伝子においてコドンを選択するためのアルゴリズムは、高発現遺伝子の場合には0.1未満のRSCU値を有するあらゆるコドンを除外する。ついで、残りのコドンの分布を、高発現大腸菌(E. coli)に関する頻度に従い割り当てて、そのような遺伝子(係数 = 0.85)および高発現ヒト遺伝子(係数 = 0.50)に典型的である該合成遺伝子内の全体分布を得る。
【0183】
ClacgeneプログラムのアップデーティッドバージョンであるSyngene(Peter Ertl, 未公開)は、希有コドンの除外が最適化されるのを可能にし、高発現ヒト遺伝子のコドン出現頻度パターンに従いコドンを割り当てるためにも使用される。
【0184】
ベクターpRIT15201からpVAC内にクローニングされてプラスミドJNW735を与えるCPC-P501Sカセットの配列を配列番号18に記載し、図13に示す。この配列は、Hisタグが除去されコザック配列(GCCACC)および適当な制限酵素部位が付加されている点以外はpRIT15201配列と同一である。配列番号18のアミノ酸配列は1文字記号で示されており、開始コドンおよび終止コドンは太字で示されている。枠で囲まれた残基は破傷風トキソイドのP2ヘルパーエピトープである。下線付き残基はClyta精製タグである。コザック配列はハッシュマークで示されている。
【0185】
2.P501Sコドン最適化配列を有する組換えプラスミドの作製
P501S天然配列のコドン係数(codon coefficient index)(CI)は既に高いが(0.618)、CI値を更に増加させることが可能である。これは、抗原の発現および/または免疫原性を改善する並びにP501Sベクターとゲノム配列との間の組換えの確率を減少させるという2つの潜在的利点を有するであろう。Syngeneプログラムを使用して、コドン最適化配列の選択(配列番号19〜配列番号20)を行った(図14)。以下の表3は、出発P501S配列と、適当な制限酵素部位プロフィールおよび良好なCI値に基づいて選択した2つの代表的コドン最適化配列とのコドン係数の比較を示す。
【表3】

【0186】
3.コドン最適化配列の更なる評価
配列番号19の配列
配列番号19は良好なCI値(0.725)を有するが、それはアミノ酸202位および203位に希有コドンの二重体を含有する。これらのコドンを、TTGTTGからCTGCTGへとDNA配列を変化させることにより、より頻繁なコドンに手動で置換した。クローニングおよび発現を容易にするために、制限酵素部位およびコザック配列を付加した。最終的な改変配列(配列番号21)を図15に示す。Syngeneプログラムを使用して、この配列を、19〜20塩基の最小重複を有するオリゴヌクレオチドに断片化した。したがって、図15は、配列番号19が再操作されP501Sコドン最適化された配列を示す。制限酵素部位は下線で示されており、コザック配列は太字で示されており、希有コドン二重体を除去するために再操作されたDNA配列は枠で囲まれている。
【0187】
2工程PCRプロトコールを用いて、まず、PCRアセンブリー(Assembly)プロトコール(後記で詳細に説明する)により、Syngeneプログラムにより作製された重複プライマーを集合させた。該集合反応は多様な断片集団を与える。PCR回収プロトコールおよび末端プライマーを用いて、正しい完全長断片を回収/増幅した。得られたPCR断片をアガロースゲルから切り出し、精製し、NheIおよびXhoで制限酵素処理し、pVAC内にクローニングした。陽性クローンを制限酵素分析により同定し、二本鎖配列決定により確認した。これはプラスミドJNW766を与える。これは、該PCR法のエラー頻発性のため、単一のサイレント突然変異(配列番号21の360位においてCからTへ)を含有していた。
【0188】
1.集合反応 - PCR条件、一般的プロトコール
反応混合物(全容量 = 50μl):
・1×反応バッファー(PfxまたはProofstart)
・1μlのオリゴプール(全重複オリゴの等混合物)
・0.5mM dNTP
・DNAポリメラーゼ(PfxまたはProofstart、2.5〜5U)
・+/- 1mM MgSO4
・+/- 1×エンハンサー溶液(PfxエンハンサーまたはProofstartバッファーQ)
1.94℃で120秒(Proofstartのみ)
2.94℃で30秒
3.40℃で120秒
4.72℃で10秒
5.94℃で15秒
6.40℃で30秒
7.72℃で20秒 + 3秒/サイクル
8.工程5までのサイクル、25回
9.4℃で維持。
【0189】
2.回収反応 - PCR条件(一般的プロトコール)
反応混合物(全容量 = 50μl)
・1×反応バッファー(PfxまたはProofstart)
・5〜10μlの集合反応混合物
・0.3〜0.75mM dNTP
・50pmolプライマー(5'末端プライマー、センス配向)
・50pmolプライマー(3'末端プライマー、アンチセンス配向)
・DNAポリメラーゼ(PfxまたはProofstart、2.5〜5U)
・+/- 1mM MgSO4
・+/- 1×エンハンサー溶液(PfxまたはProofstartバッファーQ)
1.94℃で120秒(Proofstartのみ)
2.94℃で45秒
3.60℃で30秒
4.72℃で120秒
5.工程2までのサイクル、25回
6.72℃で240秒
7.4℃で維持。
【0190】
配列番号20の配列
配列番号20は良好なCI値(0.755)を有するが、それはアミノ酸131位および132位に希有コドンの二重体を含有することが認められた。これらのコドンを、TTGTTGからCTGCTGへとDNA配列を変化させることにより、より頻繁なコドンに手動で置換した。クローニングを容易にするために、GをCへと突然変異させることにより(図16において二重下線で示されたヌクレオチドを参照されたい)、内部BamHI部位を除去した。クローニングおよび発現を容易にするために、制限酵素部位およびコザック配列を付加した。最終的な改変配列(配列番号22)を図16に示す。Syngeneプログラムを使用して、この配列を、19〜20塩基の最小重複を有するオリゴヌクレオチドに断片化した。したがって、図16は、配列番号20が再操作されP501Sコドン最適化された配列を示す。制限酵素部位は下線で示されており、コザック配列は太字で示されており、希有コドン二重体を除去するために再操作されたDNA配列は枠で囲まれており、BamHI部位を除去するためのサイレント点突然変異は二重下線で示されている。
【0191】
前記と同様の2工程PCRプロトコールを用いて、完全長P501S断片を増幅し、pVAC内にクローニングした。陽性クローンを制限酵素分析により同定し、二本鎖配列決定により確認した。これはプラスミドJNW764を与える。P501Sコードカセットの配列を図16に示す(配列番号22)。
【0192】
DNA配列類似性
ClustalV(重み付き)法によるアライメント後のペアの距離を以下の表3に示す。以下の表4は、出発ヒトP501S配列と、更なる研究のために選択した2つのコドン最適化配列(配列番号21および22)との間の類似性(%)を示す。データは、コドン最適化DNA配列が元のP501S配列に対して約80%類似していることを証明している。
【表4】

【0193】
実施例VII.コドン最適化CPC配列
1.アプローチ
元のCPC配列は元々は酵母における最適化発現用に設計されたものであるため、この節においては、ヒトにおける発現のためのコドン最適化を説明する。
【0194】
2.配列の設計
CPCの最適化のための出発配列を図17に示す(配列番号23)。これは完全にpRIT15201に由来し、下流のクローニングを容易にするためのP501Sの4アミノ酸およびCPCの全コード配列を含有する。Syngeneプログラムを使用して、コドン最適化配列の選択体を得た。そのうちの代表的配列を図18に示す(配列番号24〜25)。以下の表5は、出発CPC配列とそれらの2つの代表的コドン最適化配列とのコドン係数の比較を示す。
【表5】

【0195】
また、コドン最適化に加えて、すべての配列を制限酵素クローニング部位に関してスクリーニングした。最高CI値および好ましい制限酵素部位プロフィールに基づき、配列番号24を、構築のために選択した。クローニングおよび発現を容易にするために、5'および3'クローニング部位を付加し、コザック配列(GCCACC)を最初のATG出発コドンの5'側に挿入した。この改変配列を図19(配列番号26)に示す。この配列はP501Sの4アミノ酸(枠で囲まれている)、制限酵素クローニング部位(NheIおよびXhoI、下線)、コザック配列(太字)、終止コドン(イタリック体)、およびクローニングを容易にするための無関係な4bpのフランキングDNAを含む。
【0196】
Syngeneプログラムを使用して、この配列を、18〜20塩基の最小重複を有する50〜60マーのオリゴヌクレオチドに断片化した。前記と同様の2工程PCRプロトコールを用いて、正しい断片を回収/増幅し、pVAC内にクローニングした。陽性クローンを制限酵素分析により同定し、配列を確認してベクターJNW759を得た。
【0197】
4.DNA類似性
ClustalV(重み付き)法によるアライメント後のペアの距離を以下の表6に示す。この表は、CPCの出発配列と該コドン最適化配列との間のDNAレベルでの類似性(%)を示し、該コドン最適化DNA配列が元のCPC配列に対して約80%類似していることを証明している。
【表6】

【0198】
実施例VIII.P501S融合候補の構築
後記の図に示す全ての候補体をコドン最適化し、鋳型としてのプラスミドJNW764およびJNW759(それぞれ配列番号22および配列番号26)から、重複PCR法により構築し、発現ベクターp7313ie内にクローニングする。
【0199】
後記の図に示す4つの候補体はCPC-P501Sをベースとするものである。コドン最適化CPC-P501Sは構築物Aである。構築物B、C、Dは、CPC-P501SのN末端(構築物D)、CPC-P501SのC末端(構築物C)、またはCPCとP501Sとの間(構築物B)に位置する、P501SのN末端の50アミノ酸をコードする配列をも含む。これらの構築物を図20に図示する。これらの4つの構築物のそれぞれのヌクレオチドおよびタンパク質配列を、ヌクレオチド配列については配列番号37〜40に、対応ポリペプチド配列については配列番号45〜48に示す。構築物A、CおよびDにおいては、下線付きコドンは優先的にはチロシンをコードする(TACまたはTATのいずれか)が、該ヌクレオチド配列はトレオニンをコードする(ACA、ACC、ACGまたはACTのいずれか)ように改変されうる。構築物Bにおいては、下線付きコドンは優先的にはトレオニンをコードする(ACA、ACC、ACGまたはACTのいずれか)が、該ヌクレオチド配列はチロシンをコードする(TACまたはTATのいずれか)ように改変されうる。すべての構築物においては、該コード配列は適当な制限酵素クローニング部位(この場合はNotIおよびBamHI)と、開始ATGの直上流のコザック配列とに隣接する。以下の表7は、前記で詳細に説明した構築物のプラスミド識別番号を示す。
【表7】

【0200】
p7313-ie(空ベクター)、pVAC-P501S(JNW735)、JNW770、JNW771およびJNW773での免疫後の細胞応答を、第0日におけるPMIDによる初回免疫、ならびに第21日、第42日および第70日における3回の追加免疫の後、ELISPOTにより評価した。アッセイは、追加免疫の7日後に行った。図27は、JNW770、JNW771およびJNW773で免疫したマウスにおいて良好なIL-2 ELISPOT応答が検出されたことを示している。
【0201】
実施例IX.粒子媒介性皮内運搬(PMID)の研究を利用した免疫原性実験
完全長P501Sは、粒子媒介性皮内運搬(PMID)により運搬された場合、良好な抗体応答および細胞応答を引き起こす。これらのデータは、PMIDが非常に有効な運搬経路であることを示している。さらに、P501SとCPC-P501Sとの比較は、CPC-P501Sが、ペプチドELISPOTにより測定した場合、より強力な免疫応答を誘導することを証明している。
【0202】
1.材料および方法
1.1.皮膚遺伝子銃免疫
塩化カルシウムおよびスペルミジンを使用して、プラスミドDNAを直径2μmの金ビーズ上に沈殿させた。ローディングされたビーズを、記載されているとおりに(Eisenbraumら, 1993; Pertmerら, 1996)Tefzel管上にコーティングした。Accell遺伝子運搬系(PCT WO 95/19799)を用いて粒子射撃を行った。各プラスミドについて、第0、21、42および70日に雌C57BL/6マウスを免疫した。各投与は、プラスミド約4〜5μgの合計用量を与えるDNA/金での2回の射撃よりなるものであった。
【0203】
1.2.P501S遺伝子産物に対するT細胞応答に関するELISPOTアッセイ
a)脾細胞の調製
追加免疫後の第7〜14日に、免疫した動物から脾臓を得た。脾臓をガラススライドの間で破砕することにより加工して細胞懸濁液を得た。赤血球を塩化アンモニウム処理により細胞溶解し、残渣を除去して脾細胞の微細懸濁液を得た。ELISPOTアッセイにおいて使用するために、細胞をRPMI完全培地内に8×106/mlの濃度で再懸濁させた。
【0204】
b)ペプチドライブラリーのスクリーニング
P501S配列の大部分をカバーするペプチドライブラリーをCorixa Corpから得た。該ライブラリーは、4〜11アミノ酸のペプチドにより重複する50個の15-20マーペプチドを含有していた。これらのペプチドに1〜50の番号をつけた。また、予測プログラム(H-G. Rammenseeら: Immunogenetics, 1999, 50: 213-219)(http://syfpeithi.bmi-heidelberg.com/)を使用して、P501S配列からの推定KbおよびDbエピトープを予測した。KbおよびDbについての10個の最良のエピトープをMimotopes(UK)から取り寄せ、該ライブラリーに加えた(ペプチド51〜70)。該ペプチドライブラリーのスクリーニングのために、後記のプロトコールを用いて、IFNγおよびIL-2 ELISPOTSにおいて50μg/ml(約25〜50μM)の最終濃度でペプチドを使用した。IFNγ ELISPOTSの場合には、IL-2を10ng/mlで該アッセイに加えた。該スクリーニングに使用した脾細胞は、第0日、21日、42日および70日に免疫したC57BL/6マウスから第84日に採取した。該ライブラリースクリーニングから以下の3つのペプチドが同定された:ペプチド18(HCRQAYSVYAFMISLGGCLG)、22(GLSAPSLSPHCCPCRARLAF)および48(VCLAAGITYVPPLLLEVGV)。ついでこれらのペプチドをELISPOTアッセイにおいて使用した。
【0205】
c)ELISPOTアッセイ
プレートを15μg/ml(PBS中)ラット抗マウスIFNγまたはラット抗マウスIL-2(Pharmingen)でコートした。プレートを+4℃で一晩コートした。使用前に、該プレートをPBSで3回洗浄した。該プレートに脾細胞を4×105細胞/ウェルで加えた。該ライブラリースクリーニングにおいて同定したペプチドをGenemed Synthesisから再び取り寄せ、50μg/mlの最終濃度で使用した。該アッセイにおいてはCPC-P501Sタンパク質(GSKBio)を20μg/mlで使用した。ELISPOTアッセイはIL-2(10ng/ml)もしくはIL-7(10ng/ml)の存在下またはサイトカインの非存在下で行った。各ウェル中の全容量は200μlであった。ペプチド刺激細胞を含有するプレートを37℃の湿潤インキュベーター内で16時間インキュベートした。
【0206】
e)ELISPOTアッセイプレートの開発
水で1回(細胞溶解を保証する10分間の浸漬)およびPBSで3回洗浄することにより細胞を該プレートから除去した。ビオチン結合ラット抗マウスIFNgまたはIL-2(Phamingen)を1μg/ml(PBS中)で加えた。プレートを、振とうしながら室温で2時間インキュベートした。ついでプレートをPBSで3回洗浄した後、ストレプトアビジンアルカリホスファターゼ(Caltag)を1/1000希釈で加えた。PBS中での3回の洗浄の後、BCICP基質(Biorad)と共に15〜45分間インキュベートすることによりスポットが出現した。基質を水で洗い落とし、プレートを乾燥させた。Brian Hayes, Asthma Cell Biology部門, GSKにより開発されたイメージ解析系を用いて、スポットを計数した。
【0207】
1.3.P501S遺伝子産物に対する抗体に関するELISAアッセイ
血清サンプルを第1日、28日、49日および56日に静脈穿刺により動物から得、抗P501S抗体の存在に関してアッセイした。炭酸水素ナトリウムバッファー中の0.5μg/mlのCPC-P501Sタンパク質(GSKBio)で4℃で一晩コートされたNunc Maxisorpプレートを使用して、ELISAを行った。TBS-Tween(0.05%のTween20を含有するTris緩衝食塩水, pH7.4)での洗浄後、該プレートをブロッキングバッファー(TSA-Tweenバッファー中の3% BSA)で室温で2時間ブロッキングした。すべての血清をブロッキングバッファー中、1:100希釈で室温で1時間インキュベートした。ブロキングバッファー中、1:2000希釈でHRP結合ウサギ抗マウス免疫グロブリン(#P0260, Dako)を使用して、抗体の結合を検出した。プレートを再び洗浄し、結合コンジュゲートを、Fast OPD着色試薬(Sigma, UK)を使用して検出した。該反応を3M 硫酸の添加により停止させ、490nmでの吸光度を測定することによりOPD産物を定量した。
【0208】
1.4.一過性トランスフェクションアッセイ
種々のDNA構築物からのヒトP501Sの発現をCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞内への該プラスミドの一過性トランスフェクションおよびそれに続く全細胞タンパク質に対するウエスタンブロッティングにより分析した。Transfectam試薬(Promega)を該製造業者の指示に従い使用して、一過性トランスフェクションを行った。簡潔に説明すると、24ウェル組織培養プレートに1mlのDMEM完全培地(DMEM, 10% FCS, 2mM L-グルタミン, ペニシリン 100IU/ml, ストレプトマイシン 100μg/ml)中の5×104/ウェルのCHO細胞を播き、それを37℃で16時間インキュベートした。0.5μgのDNAを25μlの0.3M NaCl(1ウェルに十分なもの)に加え、2μlのTransfectamを25μlのMilli-Qに加えた。該DNAおよびTransfectam溶液を穏やかに混合し、室温で15分間インキュベートした。このインキュベーション工程中、該細胞をPBS中で1回洗浄し、150μlの無血清培地(DMEM, 2mM L-グルタミン)で覆った。該DNA-Transfectam溶液を該細胞に滴下し、該プレートを穏やかに振とうし、37℃で4〜6時間インキュベートした。500μlのDMEM完全培地を加え、該細胞を37℃で更に48〜72時間インキュベートした。
【0209】
2.P501Sプラスミドで一過性にトランスフェクトされたCHO細胞のウエスタンブロット分析
一過性にトランスフェクトされたCHO細胞をPBSで洗浄し、Versene(1:5000)/0.025% トリプシン溶液で処理して該細胞を懸濁させた。トリプシン処理後、該CHO細胞をペレット化し、50μlのPBSに再懸濁させた。等容量の2×NP40細胞溶解バッファーを加え、該細胞を氷上で30分間インキュベートした。50mM DTTを含有する100μlの2×TRIS-グリシンSDSサンプルバッファー(Invitrogen)を加え、該溶液を95℃に5分間加熱した。1〜20μlのサンプルを4〜20% TRIS-グリシンゲル 1.5mm(Invitrogen)上にローディングし、1×TRIS-グリシンバッファー(Invitorogen)中、一定電圧(125V)で90分間電気泳動した。前染色広域マーカー(New England Biolabs, #P7708S)を使用して該サンプルの分子量を決定した。電気泳動後、Xcell III Blot Module(Invitrogen)、20% メタノールを含有する1×トランスファーバッファー(Invitrogen)および25Vの一定電圧を用いて、予めメタノールで湿らせたImmobilon-P PVDFメンブレン(Millipore)に該サンプルを90分間トランスファーした。3% ドライスキムミルク(Marvel)を含有するTBS-Tween(0.05%のTween 20を含有するTris緩衝食塩水, pH 7.4)中、該メンブレンを4℃で一晩ブロッキングした。一次抗体(10E3)を1:1000希釈し、該メンブレンと共に室温で1時間インキュベートした。TBS-Tween中で十分に洗浄した後、二次抗体(HRP結合ウサギ抗マウス免疫グロブリン(#P0260, Dako))を、3% ドライスキムミルムを含有するTBS-Tween中で1:2000希釈し、該メンブレンと共に室温で1時間インキュベートした。十分に洗浄した後、該メンブレンをSupersignal West Pico Chemiluminescent基質(Pierce)と共に5分間インキュベートした。過剰の液体を除去し、該メンブレンを2枚のラップシートの間に密閉し、Hyperfilm ECLフィルム(Amersham-PharmaciaBiotech)に1〜30分間さらした。
【0210】
3.完全長ヒトP501S発現カセットの作製
P501S発現カセットの構築のための出発点はプラスミドpcDNA3.1-P501S(Corixa Corp)であり、これは、EcoRI部位とNotI部位との間にクローニングされた完全長ヒトP501S cDNAカセットを含有するpcDNA3.1バックボーン(Invitrogen)を有する。このベクターはJNW673とも称される。P501Sの存在は、蛍光配列決定により確認した。該cDNAカセットの配列はNCBI/Genbank配列(アクセッション番号AY033593)から得られる。ヒトP501SをJNW673鋳型DNAからPCR増幅し、XbaIおよびSalIで制限酵素処理し、pVACのNheI/XhoI部位内にクローニングしてベクターJNW680を得た。CMVプロモーターに対する該断片の正しい配向をPCRおよびDNA配列決定により確認した。該発現カセットの配列を図12(配列番号17)に示す。CPC-P501S発現カセットを構築するために、CPC-P501SをベクターpRIT15201(図7を参照されたい)からPCR増幅し、XbaIおよびSalIで制限酵素処理し、pVACのNheIおよびXhoI部位内にクローニングしてプラスミドJNW735を得た。正しい配向をPCRおよび配列決定により確認した。CPC-P501S発現カセットの配列を図13(配列番号18)に示す。
【0211】
4.プラスミドJNW680およびJNW735からのヒトP501Sの発現
P501S発現プラスミドをCHO細胞内に一過性にトランスフェクトし、全細胞ライセートを前記方法により調製した。全細胞ライセートのウエスタンブロットは、JNW680およびJNW735(図21)でトランスフェクトされたサンプルについてそれぞれ約55kDaおよび62kDaの単一バンドを同定した。これはP501SおよびCPC-P501Sのそれぞれ59.3kDaおよび63.3kDaの予想分子量と一致する。CPCタグの付加はP501Sの発現に悪影響を及ぼさない。
【0212】
5.結果
5.1.PMID免疫後のヒトP501Sに対する抗体応答
pVAC(空ベクター)およびpVAC-P501S(JNW680)で免疫した後の抗体応答を、第0日のPMIDによる一次免疫ならびに第21日および第42日および第70日の3回の追加免疫の後、ELISAにより評価した。図22は、第-1日、第28日および第49日(マウスA1〜3、B1〜3)ならびに第56日(マウスA4〜6、B4〜9)に採取した血清からの抗体応答を示す。pVAC空ベクターに対しては幾らかの非特異的応答が生じたが、P501S構築物に対しては9匹中5匹のマウスで特異的応答が見られた。
【0213】
5.2.P501SペプチドライブラリーのスクリーニングによるC57BL/6マウスにおけるヒトP501Sからの新規T細胞エピトープの同定
第0日のPMIDによるJNW680(pVAC-P501S)での免疫ならびに第21日および第42日および第70日の3回の追加免疫の後、第84日にELISPOTアッセイを行ったP501Sライブラリーからのペプチドを50μg/mlの最終濃度で試験した。この初期スクリーニングから、3つのペプチド(ペプチド18、22および48)がIFNγおよび/またはIL-2分泌を刺激することが判明した(図23)。これらのペプチドを後続の細胞アッセイにおいて使用した。
【0214】
5.3.PMID免疫後のpVAC-P501S(JNW680)に対する細胞応答
pVAC(空ベクター)およびpVAC-P501Sで免疫した後の細胞応答を、第0日のPMIDによる一次免疫ならびに第21日、第42日および第70日の3回の追加免疫の後、ELISPOTにより評価した。アッセイは追加免疫の7日後に行った。以下の2つの異なるアッセイ条件を用いた:1)該ペプチドライブラリースクリーニングにおいて同定したペプチド18、22および48を50μg/mlの最終濃度で使用、ならびに2)CPC-P501Sタンパク質を20μg/mlの最終濃度で使用。図24Aに示すとおり、空ベクター(A4〜6)に対するP501S特異的応答は生じなかったが、pVAC-P501S構築物は全てのマウス(B6〜9)においてペプチド18および22に対する特異的IFNγ応答を誘導し、1匹のマウス(B7)はペプチド48に対してもIFNγ応答を示した。図24Bは、すべてのマウスがペプチド18、22および48に対して特異的IL-2応答を示したことを示している。さらに、pVAC-P501Sで免疫したマウス(B6〜9)は、CPC-P501Sに対しても中等度のIL-2応答をも示したが、該空ベクターで免疫したマウス(A4〜6)は応答を示さなかった。
【0215】
5.4.PMID免疫後のP501Sに対する細胞応答とCPC-P501Sに対する細胞応答との比較
pVAC(空ベクター)、pVAC-P501S(JNW680)およびCPC-P501S(JNW735)で免疫した後の細胞応答を、第0日のPMIDによる一次免疫ならびに第21日および第42日の追加免疫の後、ELISPOTにより評価した。アッセイは追加免疫の7日後に行った。以下の2つの異なるアッセイ条件を用いた:1)該ペプチドライブラリースクリーニングにおいて同定したペプチド18、22および48を50μg/mlの最終濃度で使用、ならびに2)CPC-P501Sタンパク質を20μg/mlの最終濃度で使用。図25に示されているとおり、第28日において、CPC-P501Sは10μg/mlのペプチド22に対して良好なIL-2応答を誘導したが、該空ベクターおよびpVAC-P501Sのいずれに対するP501S特異的応答も生じなかった。これらの結果は、脾細胞を再刺激するためにCPC-P501Sタンパク質を使用した場合にも認められた。第49日(第2追加免疫後)においては、P501Sにより誘導された応答とCPC-P501Sにより誘導された応答とは同等であった。これらのデータは、CPCタグの付加がP501Sに対する応答の速度論および/または大きさを改善することを示唆している。
【0216】
実施例IX.P501Sタンパク質+アジュバント研究を用いたマウスにおける免疫原性実験
1.計画およびアジュバント製剤
アジュバント中の組換え精製CPC-P501Sタンパク質製剤を使用するワクチン接種により誘導される免疫応答を、マウスにおいて実施する実験において特徴づけする。5〜10匹の8週齢雌C57BL6マウスの群に、種々のアジュバント系中で製剤化した10μgのCPC-P501Sタンパク質を筋肉内に2週間隔で2〜6回ワクチン接種する。投与容量はヒト用量(50μl)の10分の1に相当する。最後のワクチン接種の6〜14日後、Gerard, cら, 2001, Vaccine 19, 2583-2589に記載の標準的なプロトコールを用いて、血清学(全Ig応答)および細胞応答(T細胞リンパ増殖およびサイトカイン産生)を脾細胞上で分析する。
【0217】
1つの代表的実験のデータを示す。それは、第0日、第14日、第28日、第42日にCPC P501(10μg)+ アジュバント(A、B、C)の4回の筋肉内注射を受けた8匹のC57Bl/6雌マウスの5群を用いるものであった。実施例Vには該製剤化の実施方法の実験プロトコールが示されている。簡潔に説明すると、該アジュバント製剤は以下のとおりである(量は100μlの1用量について示されている):
・アジュバントA:WO 00/62800に開示されている方法に従い製造したQS21 (10μg), MPL (10μg) およびCpG7909 (100μg);
・アジュバントB:QS21 (20μg), MPL (20μg), CpG7909 (100μg) および50μf SB62 水中油型エマルションの製剤 (WO 95/17210);
・アジュバントC:QS21 (10μg), MPL (10μg), CpG7909 (100μg) および10μl SB62 水中油型エマルションの製剤 (WO 99/12565)。
【0218】
2.血清学
CPC-P501またはRA12-P501(C term;これは、TB由来タンパク質RA12にN末端において融合したタンパク質のC末端に対応するP501Sタンパク質の末端切断型であり、Ra12は、Skeikyら, Infection and Immun. (1999) 67:3998-4007に記載のMTB32A抗原に由来する)を使用して、ワクチン接種により誘導される全Ig応答をELISAにより測定した。アジュバント化CPC-P501Sタンパク質は、ワクチン接種後、良好な抗体応答を与える。
【0219】
3.細胞応答
3.1.リンパ増殖
最後のワクチン接種の7日後、脾臓細胞上で個々にリンパ増殖を行った。96ウェルマイクロプレート中、1% 正常マウス血清を含有するRPMI培地内で2.10e5脾臓細胞を4通りにプレーティングした。種々の濃度の該免疫原(CPC-P501)または該末端切断型タンパク質(RA12 P501)での再刺激の72時間後、1μCiの3Hチミジン(Amersham 5Ci/ml)を加えた。16時間後、細胞をフィルタープレート上に集めた。取り込まれた放射能をβカウンターで計数した。結果はCPM単位で又は刺激指数*(抗原を含有する培養内の相乗平均(geomean)CPM/抗原を含有しない培養内の相乗平均CPM)として表されている。陽性対照としてのConA(2μg/ml)での再刺激を陽性対照として加えた。
【0220】
図26に示すとおり、該免疫原での、またはもう1つの発現系(大腸菌(E. coli))において製造したもう1つのP501タンパク質でのin vitro再刺激後に該アジュバント化タンパク質を投与したマウスの全群の脾臓において、P501特異的リンパ増殖が認められ、このことは、T細胞がワクチン接種によりin vivoで初回抗原刺激を受けていることを示している。
【0221】
3.2.脾臓細胞の細胞内染色により測定した場合のIFNgの産生
GMCSFの存在下でマウスPBLを7日間の培養した後に骨髄樹状細胞(BMDC)を得た。最後のワクチン接種の7日後、脾臓またはPBLを集め、細胞懸濁液を調製した。10e6細胞(1プール/群)を、10μg/mlのCPCp501タンパク質またはRA12で一晩パルスした10e5 BMDCと共に+/-18時間インキュベートした。2.4.G.2抗体での処理の後、脾臓細胞を蛍光抗CD4およびCD8抗体(抗CD4-APCおよび抗CD8PerCP)で染色した。透過促進および固定工程の後、細胞を蛍光性抗IFNg-FITC抗体で染色した。
【0222】
種々のアジュバント中のCPC P501でワクチン接種したマウスにおいては、CD4 T細胞およびCD8 T細胞の両方が、該免疫原および大腸菌(E. coli)内で製造したC-term p501でパルスしたDCに応答してIFNγを産生することが示されている(脾臓およびPBLの細胞内染色により示される)。アジュバント化CPC-P501Sを投与した群においては、該タンパク質のみを投与した群と比較して、このサイトカインを産生する細胞の割合(%)における4〜10倍の増加が認められ、CD4またはCD8 T細胞の0.1〜10%がIFNgを産生することが示されている。
【0223】
結果として、これらのデータは、アジュバント化CPC-P501タンパク質がマウスにおいて免疫原性であると結論づけることを可能にする。CD4およびCD8 T細胞によるIFNgの産生を含む、P501に特異的な体液性および細胞性の両方の応答は、アジュバント中のCPC P501での数回の筋肉内ワクチン接種の後に検出されうる。
【0224】
実施例X.CPC-MUC-1構築物および配列
CPC配列をヌクレオチド配列番号28から得る。MUC配列はGenbankデータベース(アクセッション番号NM_002456)から入手可能である。
【0225】
1.MUC1-CPC構築物
MUC1内には翻訳後に切断されるシグナル配列が存在するため、C末端にCPCモチーフを配置した。得られたMUC1-CPC DNA配列を配列番号xx(図28)に示し、対応するMUC1-CPCタンパク質配列を配列番号yy(図28B)に示す。
【0226】
2.ss-CPC-MUC1構築物
MUC1内には翻訳後に切断されるシグナル配列が存在するため、該MUC1シグナル配列を異種リーダー配列(ヒト免疫グロブリン重鎖由来のもの)により置換し、該異種リーダー配列とMUC1配列との間にCPCモチーフを挿入して、図29に示すss-CPC-MUC1と称される配列を得た。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1−1】C-LytAの配列情報。各反復は、以下のアライメントプログラムを使用する複数の配列アライメントと二次構造予測との両方に基づいて定められている:1) MatchBox (Depiereux Eら (1992) Comput Applic Biosci 8:501-9); 2) ClustalW (Thompson JDら (1994) Nucl Acid Res 22:4673-80); 3) Block-Maker (Henikoff Sら (1995) Gene 163:gc17-26)。
【図1−2】C-LytAの配列情報。各反復は、以下のアライメントプログラムを使用する複数の配列アライメントと二次構造予測との両方に基づいて定められている:1) MatchBox (Depiereux Eら (1992) Comput Applic Biosci 8:501-9); 2) ClustalW (Thompson JDら (1994) Nucl Acid Res 22:4673-80); 3) Block-Maker (Henikoff Sら (1995) Gene 163:gc17-26)。
【図2−1】CPCおよび天然構築物(配列番号(SEQ ID NO:)27〜36)。
【図2−2】CPCおよび天然構築物(配列番号(SEQ ID NO:)27〜36)。
【図2−3】CPCおよび天然構築物(配列番号(SEQ ID NO:)27〜36)。
【図2−4】CPCおよび天然構築物(配列番号(SEQ ID NO:)27〜36)。
【図2−5】CPCおよび天然構築物(配列番号(SEQ ID NO:)27〜36)。
【図2−6】CPCおよび天然構築物(配列番号(SEQ ID NO:)27〜36)。
【図2−7】CPCおよび天然構築物(配列番号(SEQ ID NO:)27〜36)。
【図3】サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)において発現されるCPC-p501 His融合タンパク質の構造の概要図。
【図4】CPC-P501 His融合タンパク質の一次構造(配列番号41)。
【図5】CPC P501 His(pRIT15201)のヌクレオチド配列(配列番号42)。
【図6】プラスミドpRIT 15201の作製のためのクローニング法。
【図7】pRIT15201のプラスミド地図。
【図8】サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)株DC5におけるCPC P501とP501との比較発現。
【図9】CPC-P501S HIS (Y1796)の小規模での産生。図9Aは、SDS-PAGEおよび銀染色により評価した抗原生産性を表す。図9Bは、ウエスタンブロットにより評価した抗原生産性を表す。
【図10−1】Y1796により産生されたCPC-P501-Hisの精製手順。
【図10−2】Y1796により産生されたCPC-P501-Hisの精製手順。
【図11】CPC P501 His精製タンパク質のパターン(4〜12% Novex Nu-Pageポリアクリルアミド前成型ゲル)。
【図12−1】天然完全長P501S配列(配列番号17)。
【図12−2】天然完全長P501S配列(配列番号17)。
【図13−1】JNW735のCPC-P501S発現カセットの配列(配列番号18)。
【図13−2】JNW735のCPC-P501S発現カセットの配列(配列番号18)。
【図14】2つのコドン最適化P501S配列(配列番号19〜20)。
【図15】再操作されたコドン最適化配列19(配列番号21)。
【図16】再操作されたコドン最適化配列20(配列番号22)。
【図17】CPCの最適化のための出発配列(配列番号23)。
【図18】代表的なコドン最適化CPC配列(配列番号24〜25)。
【図19】操作されたCPCコドン最適化配列(配列番号26)。
【図20−1】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図20−2】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図20−3】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図20−4】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図20−5】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図20−6】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図20−7】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図20−8】P501S CPC融合候補構築物および配列(配列番号37〜40および45〜48)。
【図21】P501S (JNW680)、CPC-P501S (JNW735)および空ベクター対照での一過性トランスフェクション後のCHO細胞のウエスタンブロット分析。
【図22】第0日、第21日および第42日におけるpVAC-P501S (JNW680, マウスB1〜9)または空ベクター (pVAC, マウスA1〜6)での免疫後の抗P501S抗体応答。予備採血を第-1日に行った。ついで第28日および第49日(マウスA1〜3、B1〜3)ならびに第56日(マウスA4〜6、B4〜9)に採血を行った。全血清を1/100希釈で試験した。pVAC免疫マウスの結果は平均されている。個々のpVAC-P501S免疫マウスの結果が示されている。陽性対照として、Adeno-P501S免疫マウスからの血清(Corixa Corp, 1/100に希釈)が含まれている。
【図23】第0日、第21日、第42日および第70日にpVAC-P501S (JNW680)で免疫されたC57BL/6マウスを使用するペプチドライブラリースクリーニング。すべてのペプチドは50μg/mlの最終濃度で使用した。ペプチド1〜50は、Corixaから入手した重複する15〜20マーである。ペプチド51〜70は推定8〜9マーKbおよびDbエピトープであり、Mimotopes (UK)から取り寄せた。サンプル71〜72および73〜78は、それぞれDMSO対照および非ペプチド対照である。グラフAはINFγ応答を示し、グラフBはIL-2応答を示す。後続のイムノアッセイでの使用のために選択したペプチドは黒色で示されている。
【図24】第0日、第21日、第42日および第70日におけるpVAC-P501S (JNW680, B6〜9)およびpVAC空ベクター (A4〜6)でのPMID免疫後の第77日におけるELISPOTによる細胞応答。ペプチド18、22および48は50μg/mlで使用した。CPC-P501Sタンパク質は20μg/mlで使用した。グラフAはINF-γ応答を示し、グラフBはIL-2応答を示す。
【図25】P501SとCPC-P501Sとの比較。第28日にペプチド22(10μg/ml)を使用してIL-2 ELISPOTにより細胞応答を測定した。第0日および第21日にpVAC空ベクター (対照)、pVAC-P501S (JNW680)およびCPC-P501S (JNW735)でPMIDによりマウスを免疫した。
【図26】CPC-P501Sでのタンパク質免疫後の免疫応答(脾細胞上でのリンパ増殖)。
【図27】種々のCPC-P501S構築物に対する免疫応答の評価。第28日にIL-2 ELISPOTにより細胞応答を測定した。第0日および第21日にp7313-ie空 (対照)、JNW735およびCPC-P501S構築物 (JNW770、771および773)でのPMIDによりマウスを免疫した。
【図28】MUC-1 CPC配列(配列番号49および50)。
【図29】ss-CPC-MUC-1配列(配列番号51および52)。
【配列表】









































【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリン結合性ドメインと異種プロミスカスTヘルパーエピトープとを含んでなる融合パートナータンパク質。
【請求項2】
コリン結合性ドメインがLytAのC末端に由来する、請求項1記載の融合パートナータンパク質。
【請求項3】
C-LytAまたは誘導体が配列番号1〜6のいずれかの少なくとも4個の反復を含む、請求項2記載の融合パートナータンパク質。
【請求項4】
コリン結合性ドメインが、
a)配列番号7に記載のLytAのC末端ドメイン、
b)配列番号8の配列、
c)配列番号1〜6のいずれかに対して少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド配列、あるいは
d)配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列からの少なくとも15、20、30、40、50または100個の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含むペプチド配列
を含む群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の融合パートナータンパク質。
【請求項5】
異種タンパク質を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の融合パートナータンパク質。
【請求項6】
異種タンパク質が融合パートナーに化学的に結合している、請求項5記載の融合タンパク質。
【請求項7】
異種タンパク質が、ヒト免疫不全ウイルスHIV-1、ヒト単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、ロタウイルス、エプスタインバーウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、肝炎ウイルス、例えばB型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、フラビウイルスまたはインフルエンザウイルス、ナイセリア属細菌種(Neisseria spp)、モラクセラ属細菌種(Moraxella spp)、ボルデテラ属細菌種(Bordetella spp)、マイコバクテリウム属細菌種(Mycobacterium spp.)、例えばマイコバクテリウム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)、腸管毒性大腸菌を含むエシェリキア属細菌種(Escherichia spp)、サルモネラ属細菌種(Salmonella spp)、リステリア属細菌種(Listeria spp)、ヘリコバクター属細菌種(Helicobacter spp)、スタフィロコッカス・アウレウス(S. aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S. epidermidis)を含むスタフィロコッカス属細菌種(Staphylococcus spp.)、ボレリア属細菌種(Borrelia spp)、クラミジア・トラコマチス(C. trachomatis)、クラミジア・ニューモニエ(C. pneumoniae)を含むクラミジア属細菌種(Chlamydia spp.)、熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)を含むプラスモジウム属の種(Plasmodium spp.)、トキソプラズマ属の種(Toxoplasma spp.)、カンジダ属真菌種(Candida spp.)を含む群から選ばれる生物に由来する、請求項5または6記載の融合タンパク質。
【請求項8】
異種タンパク質が腫瘍関連タンパク質もしくは組織特異的タンパク質またはそれらの免疫原性断片である、請求項5または6記載の融合タンパク質。
【請求項9】
異種タンパク質またはその断片が、MAGE 1、MAGE 3、MAGE 4、PRAME、BAGE、LAGE 1、LAGE 2、SAGE、HAGE、XAGE、PSA、PAP、PSCA、プロステイン(prostein)、P501S、HASH2、クリプト(Cripto)、B726、NY-BR1.1、P510、MUC-1、プロスターゼ(Prostase)、STEAP、チロシナーゼ、テロメラーゼ、スルビビン(survivin)、CASB616、P53またはher 2 neuから選ばれる、請求項8記載の融合タンパク質。
【請求項10】
少なくとも4個のヒスチジン残基のアフィニティータグを更に含む、請求項6〜9のいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載のタンパク質をコードする核酸配列。
【請求項12】
請求項11記載の核酸配列を含んでなる発現ベクター。
【請求項13】
請求項11記載の核酸配列または請求項12記載の発現ベクターで形質転換された宿主。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項記載のタンパク質または請求項11記載のDNA配列と製薬上許容される賦形剤とを含んでなる免疫原性組成物。
【請求項15】
TH-1誘導性アジュバントを更に含む、請求項14記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
TH-1誘導性アジュバントが、3D-MPL、QS21、QS21とコレステロールとの混合物、CpGオリゴヌクレオチド、または2以上の前記アジュバントの混合物を含むアジュバントの群から選ばれる、請求項15記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
請求項6〜10のいずれか1項記載の融合タンパク質または請求項11記載のコード化ポリヌクレオチドを適当なアジュバント、希釈剤または他の製薬上許容される担体と混合することを含んでなる、請求項14〜16のいずれか1項記載の免疫原性組成物の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか1項記載の融合タンパク質の製造方法であって、該融合タンパク質の産生に十分な条件下で請求項13記載の宿主細胞を培養し、該融合タンパク質を培地から回収することを含んでなる製造方法。
【請求項19】
医薬において使用するための、請求項1〜10のいずれか1項記載のタンパク質または請求項11記載のDNA配列。
【請求項20】
患者において免疫応答を惹起するための免疫原性組成物の製造における、請求項1〜10のいずれか1項記載のタンパク質または請求項11記載のDNA配列の使用。
【請求項21】
免疫応答が、i)該タンパク質およびそれに続く該DNA配列、またはii)該DNA配列およびそれに続く該タンパク質の連続的投与により惹起される、請求項20記載の使用。
【請求項22】
該DNA配列を生分解性ビーズ上にコーティングする、または粒子射撃アプローチにより運搬する、請求項21記載の使用。
【請求項23】
該タンパク質がアジュバント化されている、請求項21または請求項22記載の使用。
【請求項24】
癌に罹患した又は罹りやすい患者を免疫療法により治療するための免疫原性組成物の製造における、請求項1〜10のいずれか1項記載のタンパク質または請求項11記載のDNA配列の使用。
【請求項25】
癌が前立腺癌、結腸癌、肺癌、乳癌または黒色腫である、請求項24記載の使用。
【請求項26】
請求項12記載の組成物の安全かつ有効な量を投与することによる、癌に罹患した患者の治療方法。
【請求項27】
癌が前立腺癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌または黒色腫である、請求項26記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図20−3】
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【図20−4】
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【図20−5】
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【図20−6】
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【図20−7】
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【図20−8】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2006−512047(P2006−512047A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−511340(P2004−511340)
【出願日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2003/006096
【国際公開番号】WO2003/104272
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(397062700)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (37)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】