説明

免疫応答障害に対する処置ストラテジーのための診断法としてのFcレセプター多型の使用

インターロイキン−2(IL−2)免疫療法での介入のための診断薬としてのFcγ受容体(Fc&ggr;R)多型の使用方法が提供される。この方法には、個体のFc&ggr;RIIIA遺伝子の対立遺伝子パターンまたはFc&ggr;RIIA遺伝子の対立遺伝子パターンを検出すること、および、対立遺伝子パターンがIL−2免疫療法に対するポジティブな治療応答の予測であるかどうかを決定することが含まれる。Fc&ggr;RIIIA 158F/Fホモ接合遺伝子型の存在、および/または、Fc&ggr;RIIIA 48L対立遺伝子の1つもしくは両方のコピー存在、および/または、Fc&ggr;RIIA 131R対立遺伝子の1つまたは両方のコピー存在は、IL−2免疫療法に対するポジティブな治療応答の指標であり、したがって、免疫疾患の処置のためのIL−2免疫療法での医学的な介入の指標である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、予知医学の分野に、より具体的には、免疫応答疾患の処置ストラテジーを評価するための診断法としての、Fcγ受容体(FcγR)多型の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
インターロイキン−2(IL−2)は、ナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞の増殖および機能についての強い刺激因子である(非特許文献1)。この自然界に存在しているリンホカインは、種々の悪性腫瘍に対して、単独で、あるいは、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と組み合わせた場合のいずれかで、抗腫瘍活性を有することが示されている(例えば、非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6を参照のこと)。IL−2の抗腫瘍活性は、転移性黒色腫および腎細胞ガンを有している患者において、市販されているIL−2処方物であるプロロイキン(Proleukin(登録商標))を使用して記載されている。リンパ腫を含む他の疾患もまた、IL−2での処置に応答するようである(非特許文献7)。しかし、腫瘍の増殖に関してポジティブな治療結果を得るために使用される高用量のIL−2は、多くの場合に、発熱および悪寒、低血圧および毛細血管漏出(血管漏出症候群、すなわち、VLS)、ならびに神経学的変化を含む深刻な副作用を引き起こす(例えば、非特許文献8;非特許文献9;および非特許文献10を参照のこと)。
【0003】
モノクローナル抗体は、徐々に、固形腫瘍、例えば、乳ガンの処置について、さらには、CD20細胞表面抗原を発現するB細胞型のリンパ腫の処置について、選択される方法となってきている。生体外での研究においては、CD20に対するモノクローナル抗体がアポトーシスによる細胞死を生じることが明らかにされている(非特許文献11)。他の研究では、B細胞の死が主に、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)によって媒介されていることが報告されている。
【0004】
抗CD20抗体の抗腫瘍活性についての考えられる免疫学的根拠が原因で、NK細胞の機能を高める他のサイトカインとの組み合わせが試験されている。IL−12、IL−15、TNF−α、TNF−β、γ−IFN、およびIL−2のようなサイトカインは、別のNK機能であるADCCの増強作用について試験されている。全てが、ADCCを増強させることにおいて活性であるようであるが、それぞれの因子には、その自身の特異的毒性が伴う。例えば、非特許文献12;非特許文献13を参照のこと。IL−2およびモノクローナル抗体であるリツキサン(Rituxan(登録商標);IDEC−C2B8;IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,California)との併用療法についての現在行われている研究では、これらの2つの治療薬での非ホジキンB細胞リンパ腫患者において臨床応答が改善されることが示されている(特許文献1)。
【0005】
リツキシマブ(Rituximab)は、ヒトIgG1と、マウス抗CD20モノクローナル抗体から単離されたマウス可変領域を有しているκ定常領域を含む、キメラ抗CD20モノクローナル抗体IDEC−2B8(非特許文献14)である。リツキシマブは、低−中期の高悪性度の非ホジキンリンパ腫について有効な処置であることが示されている(例えば、非特許文献15;非特許文献;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20;非特許文献214;非特許文献22;非特許文献23を参照のこと)。しかし、低悪性度のNHLを有している患者の30%〜50%は、このモノクローナル抗体に対して臨床的な応答は示さない(非特許文献9;非特許文献10)。正確な作用機構は判っていないが、リツキシマブの抗リンパ腫作用は、補体媒介性細胞傷害性(CMC)、抗体依存性細胞傷害性、細胞増殖の阻害、および最終的には、アポトーシスの直接の誘導がその原因の一部であるという証拠が示されている。
【0006】
ADCCは、IgGのFc部分についての白血球受容体(FcγR)によって媒介される。Fc受容体は膜に結合した糖タンパク質であり、これは、好中球、マクロファージ、ならびに、その主な機能が免疫グロブリン、免疫複合体、および他の粒子に結合してそれらを内在化させる他のタイプの細胞の表面上で発現される。様々なタイプのFcγRは、種々の免疫エフェクター細胞上で発現され得る。特異的なFcγRの取り込みにより、エフェクター細胞の活性化または阻害が生じる。
【0007】
したがって、これまでに同定されているFcγRは、3つのクラスに分けられ:FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、およびFcγRIIIA(CD16)は、エフェクター細胞を活性化させ;FcγRIIBは活性化を阻害し;そしてFcγRIIIBは他のFcγRと共同して作用する。FcγRIIIAは、NK細胞、マクロファージ、および単球上に存在するが、FcγRIIAとFcγRIIBは主にマクロファージ上に発現され、NK細胞上には発現されない。活性な受容体の取り込みにより、サイトカインの放出および炎症反応のような免疫活性が促進され、一方、阻害因子受容体の取り込みによっては、主に、免疫活性化を伴わずに免疫複合体の除去が生じる。
【0008】
ADCCにおいては、リツキシマブはガン細胞の表面上にあるCD20抗原に結合し、その後、エフェクター細胞(例えば、NK細胞およびマクロファージ)を、これらのエフェクター細胞上のFcγRを介して架橋する。ナチュラルキラー細胞(これは、ヒトの末梢血リンパ球のおよそ15%を占める)は、腫瘍細胞に対するADCCを媒介する主なエフェクター細胞である。NK細胞の表面上にある低親和性FcγRIIIA受容体は、IgG抗体を認識してこれに結合する。NK細胞上へのFcγRIIIAの取り込みは、リツキシマブのような治療的に投与されるIgGモノクローナル抗体の抗腫瘍活性の原因となっている基本的機構であると考えられている(非特許文献24;非特許文献25;非特許文献26;非特許文献27)。NK細胞の細胞傷害性は、IL−2およびIL−12のようなサイトカインによって活性化される。
【0009】
最近になって、特異的なIgGサブクラスに対して異なる結合親和性を有しているこれらのFcγRについて3つの多型が同定された:FcγRIIIAの1つの多型は、成熟配列の158位にバリン(V)残基またはフェニルアラニン(F)残基のいずれかを有しており、FcγRIIIAの3対立遺伝子多型は、成熟配列の48位に、ロイシン(L)残基、アルギニン(R)残基、またはヒスチジン(H)残基のいずれかを有しており、そして、FcγRIIAの1つの多型は、成熟配列の131位に、ヒスチジン(H)残基またはアルギニン(R)残基のいずれかを有している。FcγRIIIA 158V対立遺伝子は、FcγRIIIA 158F対立遺伝子よりも良好にヒトIgG1に結合し(非特許文献28)、そして158V対立遺伝子の増強させられた結合により、エフェクター細胞の活性の増強と、良好なADCCが生じる(非特許文献29;非特許文献309)。FcγRIIIA 48R対立遺伝子とFcγRIIIA 48H対立遺伝子は、報告によれば、ヒトIgG1、IgG3、およびIgG4に対して、FcγRIIIA 48L対立遺伝子よりも高い親和性を有している(非特許文献31)。FcγRIIA 131H対立遺伝子は、IgG2に対して、FcγRIIA 131R対立遺伝子よりも高い親和性を有しているが、IgG1に対するこれらの対立遺伝子形態の親和性においては、有意な差は報告されていない(非特許文献32)。結果として、FcγRIIIAの48L/L、FcγRIIIAの158F/F、またはFcγRIIAの131R/Rについてのホモ接合性は、特異的IgGサブクラスと相互作用する能力を弱める。これらの多型のうちの後者2つは、リツキシマブに対する臨床応答の指標であることが明らかにされている。したがって、より早い応答速度は、FcγRIIIA 158V/V遺伝子型(非特許文献33;非特許文献34)またはFcγRIIA 131H/H遺伝子型(非特許文献34)に関係している。さらに、FcγRIIIA 158V/V遺伝子型およびFcγRIIA 131H/H遺伝子型の両方を有している個体は、長期間、病状の一次的な回復を示す(非特許文献34)。
【特許文献1】米国特許公開番号20030185796明細書
【非特許文献1】Morgan et al.,Science(1976)193:1007−1011
【非特許文献2】Rosenberg et al.,N.Engl.J.Med.(1987)316:889−897
【非特許文献3】Rosenberg,Ann.Surg.(1988)208:121−135
【非特許文献4】Topalian et al.,J.Clin.Oncol.(1988)6:839−853
【非特許文献5】Rosenberg et al.,N.Engl.J.Med.(1988)319:1676−1680
【非特許文献6】Weber et al.,J.Clin.Oncol.(1992)10:33−40
【非特許文献7】Gisselbrecht et al.,Blood(1994)83(8):2020−2022
【非特許文献8】Duggan et al.,J.Immunotherapy(1992)12:115−122
【非特許文献9】Gisselbrecht et al.,Blood(1994)83:2081−2085
【非特許文献10】Sznol and Parkinson,Blood(1994)83:2020−2022
【非特許文献11】Shan et al.,Blood(1998)91:1644−1652
【非特許文献12】Rosenberg et al.,Science(1986)233(4770):1318−1321
【非特許文献13】Gollob et al.,J Clin Invest.(1998)102(3):561−575
【非特許文献14】Reff et al.,Blood(1994)83:435−445
【非特許文献15】Maloney et al.,Blood(1994)84:2457−2466)
【非特許文献16】McLaughlin et al.,J.Clin.Oncol.(1998)16:162825−2833
【非特許文献17】Maloney et al.,Blood(1997)90:2188−2195
【非特許文献18】Hainsworth et al.,Blood(2000)95:3052−3056
【非特許文献19】Colombat et al.,Blood(2001)97:101−106
【非特許文献20】Coiffier et al.,Blood(1998)92:1927−1932
【非特許文献21】Foran et al.,J.Clin.Oncol.(2000)18:317−32
【非特許文献22】Anderson et al.,Biochem.Soc.Trans.(1997)25:705−708
【非特許文献23】Vose et al.,Ann.Oncol.(1999)10:58a
【非特許文献24】Clynes et al.,Nature Med.(2000)6:443−446
【非特許文献25】Cooper et al.,Trends Immunol.(2001)22:633−640
【非特許文献26】LeibsonImmunity(1997)6:655−661
【非特許文献27】Roitt et al.,Immunology(2001)(第6版);Mosby,Edinburgh,UK
【非特許文献28】Koene et al.,Blood(1997)90:1109−1114
【非特許文献29】Shields et al.,J.Biol.Chem.(2001)176:6591−6604
【非特許文献30】Vance et al.,J.Immunol.(1993)151;6429−643
【非特許文献31】de Haas et al.,J.Immunol.(1996)156(8):3948−3955
【非特許文献32】Parren et al.,J.Clin.Invest.(1992)90:1537−1546
【非特許文献33】Cartron et al.,Blood(2002)99:754−758
【非特許文献34】Weng and LevyJ.Clin.Oncol.(2003)21:1−8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
モノクローナル抗体治療に対する応答性におけるこれらの多型の重要性を考慮すると、これらの多型を他の免疫調節因子に対する臨床応答の診断薬として使用することができる他の手段が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要約)
インターロイキン−2(IL−2)免疫療法での介入のための診断薬としてのFcγ受容体(FcγR)多型の使用方法が提供される。この方法には、個体のFcγRIIIA遺伝子の対立遺伝子パターンまたはFcγRIIA遺伝子の対立遺伝子パターンを検出すること、および、対立遺伝子パターンがIL−2免疫療法に対するポジティブな治療応答の予測であるかどうかを決定することが含まれる。FcγRIIIA 158F/Fホモ接合遺伝子型の存在、および/または、FcγRIIIA 48L対立遺伝子の1つもしくは両方のコピーの存在、および/または、FcγRIIA 131R対立遺伝子の1つまたは両方のコピーの存在は、IL−2免疫療法に対するポジティブな治療応答の指標であり、したがって、免疫疾患の処置のためのIL−2免疫療法での医学的な介入の指標である。
【0012】
この診断方法については、その免疫応答に障害が生じている固体を同定することにおける用途が見出されており、そしてそのための、IL−2免疫療法によってFcγRによって媒介される免疫応答を効果的に高めるその能力を増強させるための手段を提供することができる。したがって、本発明によってまた、これらの特定のFcγR多型を有している個体の免疫疾患を処置するための方法も適用される。ここでは、処置には、IL−2免疫療法を、単独で、または、FcγRIIIAによって媒介されるかもしくはFcγRIIAによって媒介される免疫応答を介して治療効果を提供する1つ以上の他の薬と組み合わせて投与することが含まれる。本発明の方法を使用して処置することができる免疫疾患としては、B細胞リンパ腫、ならびに、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、および他のガンを含む固形腫瘍のようなガンが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0013】
以下の実施形態が本発明に含まれる:
1.インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体においてインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法であって、上記方法には、上記個体のFcγ受容体IIIA(FcγRIIIA)遺伝子についての対立遺伝子パターンを検出することが含まれ、ここでは、ホモ接合型FcγRIIIA 158F/F遺伝子型の存在が、上記IL−2免疫療法に対してポジティブな治療応答を示す個体の指標である、方法。
2.上記個体に、ガンの処置のためのIL−2免疫療法が必要である、1に記載の方法。
3.上記個体が、上記ガンの細胞の表面上に発現される細胞表面抗原を標的とする抗体での処置をもまた受けている、2に記載の方法。
4.上記抗体が免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である、3に記載方法。
5.上記ガンがB細胞リンパ腫である、2、3、または4のいずれか1つに記載の方法。
6.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、5に記載の方法。
7.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、2、3、または4に記載の方法。
8.上記FcγRIIIA遺伝子についての対立遺伝子パターンが、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー特異的エクステンション、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、制限酵素部位の分析、および一本鎖高次構造多型分析からなる群より選択される方法によって検出される、1〜7のいずれか1つに記載の方法。
9.インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体においてインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法であって、上記方法には、上記個体のFcγ受容体IIA(FcγRIIA)遺伝子についての対立遺伝子パターンを検出することが含まれ、ここでは、ヘテロ接合型FcγRIIA 131H/R遺伝子型の存在、またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型の存在が、上記IL−2免疫療法に対してポジティブな治療応答を示す個体の指標である、方法。
10.上記個体に、ガンの処置のためのIL−2免疫療法が必要である、9に記載の方法。
11.上記個体が、上記ガンの細胞の表面上に発現される細胞表面抗原を標的とする抗体での処置をもまた受けている、10に記載の方法。
12.上記抗体が免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である、11に記載の方法。
13.上記ガンがB細胞リンパ腫である、10、11、または12のいずれかに記載の方法。
14.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、13に記載の方法。
15.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、10、11、または12のいずれかに記載の方法。
16.上記FcγRIIIA遺伝子についての対立遺伝子パターンが、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー特異的エクステンション、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、制限酵素部位の分析、および一本鎖DNA高次構造多型分析からなる群より選択される方法によって検出される、9〜15のいずれか1つに記載の方法。
17.ホモ接合型FcγRIIIA(FcγRIIIA)158F/F遺伝子型を含む個体の免疫機能を高めるための方法であって、上記方法には、インターロイキン−2免疫療法を上記個体に投与することが含まれる、方法。
18.上記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、上記個体に投与することが含まれる、17に記載の方法。
19.多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が上記個体に投与される、18に記載の方法。
20.上記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、19に記載の方法。
21.上記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回の投与レジュメにしたがって投与される、19に記載の方法。
22.上記IL−2またはその変異体が皮下投与される、17から21のいずれか1つに記載の方法。
23.上記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、17から22のいずれか1つに記載の方法。
24.上記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、17から23のいずれか1つに記載の方法。
25.上記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、24に記載の方法。
26.上記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、17から25のいずれか1つに記載の方法。
27.上記個体がガンについて処置されている、26に記載の方法。
28.上記ガンがB細胞リンパ腫である、27に記載の方法。
29.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、28に記載の方法。
30.上記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、29に記載の方法。
31.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、27に記載の方法。
32.上記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス(Therex)、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス(Erbitux)、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス(Campath)、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、27に記載の方法。
33.ヘテロ接合型Fcγ受容体IIA(FcγRIIA)131H/R遺伝子型またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型を含む個体の免疫機能を高めるための方法であって、上記方法には、インターロイキン−2免疫療法を上記個体に投与することが含まれる、方法。
34.上記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、上記個体に投与することが含まれる、33に記載の方法。
35.多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が上記個体に投与される、34に記載の方法。
36.上記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、35に記載の方法。
37.上記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、35に記載の方法。
38.上記IL−2またはその変異体が皮下投与される、33から37のいずれか1つに記載の方法。
39.上記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、33から38のいずれか1つに記載の方法。
40.上記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、33から39のいずれか1つに記載の方法。
41.上記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、40に記載の方法。
42.上記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、33から41のいずれか1つに記載の方法。
43.上記個体がガンについて処置されている、42に記載の方法。
44.上記ガンがB細胞リンパ腫である、43に記載の方法。
45.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、44に記載の方法。
46.上記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、45に記載の方法。
47.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、43に記載の方法。
48.上記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、43に記載の方法。
49.ホモ接合型FcγIIIA(FcγRIIIA)158F/F遺伝子型を含む個体のガンを処置するための方法であって、上記方法には、インターロイキン−2免疫療法を上記個体に投与することが含まれる、方法。
50.上記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、上記個体に投与することが含まれる、49に記載の方法。
51.多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が上記個体に投与される、50に記載の方法。
52.上記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、51に記載の方法。
53.上記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週毎に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、51に記載の方法。
54.上記IL−2またはその変異体が皮下投与される、49から53のいずれか1つに記載の方法。
55.上記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、49から54のいずれか1つに記載の方法。
56.上記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、49から55のいずれか1つに記載の方法。
57.上記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、56に記載の方法。
58.上記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、49から57のいずれか1つに記載の方法。
59.上記個体がガンについて処置されている、58に記載の方法。
60.上記ガンがB細胞リンパ腫である、59に記載の方法。
61.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、60に記載の方法。
62.上記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、61に記載の方法。
63.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、59に記載の方法。
64.上記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、59に記載の方法。
65.ヘテロ接合型FcγIIA(FcγRIIA)131H/R遺伝子型またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型を含む個体のガンを処置するための方法であって、上記方法には、インターロイキン−2免疫療法を上記個体に投与することが含まれる、方法。
66.上記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、上記個体に投与することが含まれる、65に記載の方法。
67.多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が上記個体に投与される、66に記載の方法。
68.上記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、67に記載の方法。
69.上記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週毎に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、67に記載の方法。
70.上記IL−2またはその変異体が皮下投与される、65から69のいずれか1つに記載の方法。
71.上記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、65から70のいずれか1つに記載の方法。
72.上記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、65から71のいずれか1つに記載の方法。
73.上記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、72に記載の方法。
74.上記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、65から73のいずれか1つに記載の方法。
75.上記個体がガンについて処置されている、74に記載の方法。
76.上記ガンがB細胞リンパ腫である、75に記載の方法。
77.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、76に記載の方法。
78.上記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、77に記載の方法。
79.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、75に記載の方法。
80.上記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、75に記載の方法。
【0014】
81.インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体におけるインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための、診断方法において使用されるキットであって、上記キットには、Fcγ受容体IIIA(FcγRIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれ、上記多型領域には、FcγRIIIA 158F対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている、キット。
82.使用のための説明書がさらに含まれている、81に記載のキット。
83.インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体におけるインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための、診断方法において使用されるキットであって、上記キットには、Fcγ受容体IIA(FcγRIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれ、上記多型領域には、FcγRIIA 131R対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている、キット。
84.使用のための説明書がさらに含まれている、83に記載のキット。
85.インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体においてインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法あって、上記方法には、上記個体のFcγ受容体IIIA(FcγRIIIA)遺伝子の対立遺伝子パターンを検出することが含まれ、ここでは、ホモ接合型FcγRIIIA 48L/L遺伝子型、ヘテロ接合型FcγRIIIA 48L/R遺伝子型、またはヘテロ接合型FcγRIIIA 48L/H遺伝子型の存在が、上記IL−2免疫療法に対してポジティブな治療応答を示す個体の指標である、方法。
86.上記個体に、ガンの処置のためのIL−2免疫療法が必要である、85に記載の方法。
87.上記個体が、上記ガンの細胞の表面上に発現される細胞表面抗原を標的とする抗体での処置をもまた受けている、86に記載の方法。
88.上記抗体が免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である、87に記載の方法。
89.上記ガンがB細胞リンパ腫である、86、87、または88に記載の方法。
90.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、89に記載の方法。
91.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、86、87、または88に記載の方法。
92.上記FcγRIIIA遺伝子についての対立遺伝子パターンが、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー特異的エクステンション、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、制限酵素部位の分析、および一本鎖高次構造多型分析からなる群より選択される方法によって検出される、85から91に記載の方法。
93.ホモ接合型FcγRIIIA(FcγRIIIA)48L/L遺伝子型を含む個体の免疫機能を高めるための方法であって、上記方法には、インターロイキン−2免疫療法を上記個体に投与することが含まれる、方法。
94.上記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、上記個体に投与することが含まれる、93に記載の方法。
95.多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が上記個体に投与される、94に記載の方法。
96.上記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、95に記載の方法。
97.上記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回の投与レジュメにしたがって投与される、95に記載の方法。
98.上記IL−2またはその変異体が皮下投与される、93から97に記載の方法。
99.上記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、93から98に記載の方法。
100.上記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、93から99に記載の方法。
101.上記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、100に記載の方法。
102.上記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、93から101に記載の方法。
103.上記個体がガンについて処置されている、102に記載の方法。
104.上記ガンがB細胞リンパ腫である、103に記載の方法。
105.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、104に記載の方法。
106.上記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、105に記載の方法。
107.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、103に記載の方法。
108.上記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、103に記載の方法。
109.ヘテロ接合型Fcγ受容体IIA(FcγRIIA)131H/R遺伝子型またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型を含む個体のガンを処置するための方法であって、上記方法には、インターロイキン−2免疫療法を上記個体に投与することが含まれる、方法。
110.上記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、上記個体に投与することが含まれる、109に記載の方法。
111.多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が上記個体に投与される、110に記載の方法。
112.上記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、111に記載の方法。
113.上記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、111に記載の方法。
114.上記IL−2またはその変異体が皮下投与される、109から113に記載の方法。
115.上記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、109から114に記載の方法。
116.上記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、109から115に記載の方法。
117.上記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、116に記載の方法。
118.上記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、109から117に記載の方法。
119.上記個体がガンについて処置されている、118に記載の方法。
120.上記ガンがB細胞リンパ腫である、119に記載の方法。
121.上記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、120に記載の方法。
122.上記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、121に記載の方法。
123.上記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、119に記載の方法。
124.上記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、119に記載の方法。
125.インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体におけるインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための、診断方法において使用されるキットであって、上記キットには、Fcγ受容体IIIA(FcγRIIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれ、上記多型領域には、FcγRIIIA 48L対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている、キット。
126.使用のための説明書がさらに含まれている、125に記載のキット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(詳細な説明)
本発明は、その必要があるヒト被験体、特に、受容体媒介性の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を介してその治療効果を媒介する抗ガンモノクローナル抗体との組み合わせたIL−2免疫療法が考えられる個体において、インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法に関する。本発明の方法では、IL−2免疫療法での介入がポジティブな治療応答を生じる可能性があるかどうかを決定するための診断ツールとして、Fcγ受容体(FcγR)機能的多型が利用される。具体的な目的は、成熟ヒトFcγRIIIAの158位でのバリン(V)/フェニルアラニン(F)多型(配列番号6の176位に対応する、ここでは、V残基が示される;配列番号5に示されるヌクレオチド配列によってコードされる);成熟ヒトFcγRIIIAの48位でのロイシン(L)/アルギニン(R)/ヒスチジン(H)3対立遺伝子多型(配列番号6の66位に対応する、ここでは、L残基が示される;配列番号5に示されるヌクレオチド配列によってコードされる);および成熟ヒトFcγRIIAの131位でのヒスチジン(H)/アルギニン(R)多型(配列番号12の165位に対応する、ここでは、R残基が示される;配列番号11(GenBank Accession No.NM_021642)に示されるヌクレオチド配列によってコードされる)である。
【0016】
FcγRIIIA 158V/F多型は、成熟FcγRIIIA配列または前駆体FcγRIIIA配列が、この多型の位置の番号の基準とされているかに応じて、158V/F多型および176V/F多型の両方として、科学文献に記載されている。本発明の目的については、これらの2つの用語は同義的に使用される。ヒトFcγRIIIAをコードする全長の配列が配列番号1に示され、翻訳されたアミノ酸配列が配列番号2に示される。GenBank Accession No.NM_000569を参照のこと。このコード配列には、3つの可能性のある翻訳開始コドンが含まれている。翻訳が配列番号1の185位のヌクレオチド(すなわち、第1の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、G/T置換により、翻訳されるポリペプチドの212位のアミノ酸残基においてV/F多型が生じる(配列番号4を参照のこと、配列番号3によってコードされる)。配列番号1の293位のヌクレオチド(すなわち、第2の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、G/T置換により、翻訳されるポリペプチドの176位のアミノ酸残基においてV/F多型が生じる(配列番号6を参照のこと、配列番号5によってコードされる)。配列番号1の344位のヌクレオチド(すなわち、第3の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、G/T置換により、翻訳されるポリペプチドの159位のアミノ酸残基においてV/F多型が生じる(配列番号8を参照のこと、配列番号7によってコードされる)。これらの配列の全てが、多型のそれぞれの位置でV残基を示す。バリン(V)残基のフェニルアラニン(F)残基での置換を生じるG/T置換の正確な位置は、配列番号1の818位のヌクレオチド、配列番号3の634位のヌクレオチド、配列番号5の526位のヌクレオチド、および配列7の475位のヌクレオチドである。本発明のさらなる目的については、第2の翻訳開始コドンが開始部位として機能し、したがって、翻訳されるポリペプチドは配列番号6に示される配列を有する。これは、配列番号5によってコードされる。配列番号5の526位でのG/T置換は、配列番号9に示される配列を生じる。これは、この配列の176位にフェニルアラニン(F)残基を示す、配列番号10のヒトFcγRIIIAポリペプチドをコードする。これは、成熟ヒトFcγRIIIA配列の158位でのフェニルアラニン置換に対応する。成熟ヒトFcγRIIIAの158位での多型は、3つの可能性のある遺伝子型を生じる。2コピーの158V対立遺伝子を有している個体は、ホモ接合型FcγRIIIA 158V/V遺伝子型を有していると記され、一方、2コピーの158F対立遺伝子を有している個体は、ホモ接合型FcγRIIIA 158F/F遺伝子型を有していると記される。158V対立遺伝子と158F対立遺伝子の両方のコピーを有している個体は、ヘテロ接合型FcγRIIIA 158V/F遺伝子型を有していると記される。
【0017】
FcγRIIIA 48L/R/H3対立遺伝子多型は、成熟FcγRIIIA配列または前駆体FcγRIIIA配列が、それぞれ、この多型の位置の番号の基準とされているかに応じて、FcrγRIIIA 48L/R/H多型およびFcγRIIIA 66L/R/H多型の両方として、科学文献に記載されている。本発明の目的については、これらの2つの用語は同義的に使用される。翻訳が配列番号1の185位のヌクレオチド(すなわち、第1の開始コドン)で開始する場合は、T/G置換またはT/A置換により、翻訳されるポリペプチドの102位のアミノ酸残基において、それぞれ、L/RまたはL/H多型が生じる(配列番号4を参照のこと、配列番号3によってコードされる)。配列番号1の293位のヌクレオチド(すなわち、第2の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、T/G置換またはT/A置換により、翻訳されるポリペプチドの66位のアミノ酸残基において、それぞれ、L/RまたはL/H多型が生じる(配列番号6を参照のこと、配列番号5によってコードされる)。配列番号1の344位のヌクレオチド(すなわち、第3の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、T/G置換またはT/A置換により、翻訳されるポリペプチドの49位のアミノ酸残基において、それぞれ、L/RまたはL/H多型が生じる(配列番号8を参照のこと、配列番号7によってコードされる)。これらの配列の全てが、多型のそれぞれの位置でL残基を示す。ロイシン(L)残基のアルギニン(R)またはヒスチジン(H)残基での置換を生じるT/G置換またはT/A置換の正確な位置は、配列番号1の489位のヌクレオチド、配列番号3の305位のヌクレオチド、配列番号5の197位のヌクレオチド、および配列7の146位のヌクレオチドである。本発明の目的については、第2の翻訳開始コドンが開始部位として機能し、したがって、翻訳されるポリペプチドは配列番号6に示される配列を有する。これは、配列番号5によってコードされる。配列番号5の197位でのT/G置換またはT/A置換は、配列番号6の66位でのロイシン(L)のアルギニン(R)またはヒスチジン(H)での置換を生じる。これは、成熟ヒトFcγRIIIA配列の48位での、ロイシン(L)のアルギニン(R)またはヒスチジン(H)での置換に対応する。成熟ヒトFcγRIIIAの48位での3対立遺伝子多型は、本発明の目的である、以下の可能なLを有している遺伝子型を生じる。2コピーの48L対立遺伝子を有している個体は、ホモ接合型FcγRIIIA 48L/L遺伝子型を有していると記される。48Lと48R対立遺伝子の両方のコピーを有している個体は、ヘテロ接合型FcγRIIIA 48L/R遺伝子型を有していると記され、一方、48Lと48H対立遺伝子の両方のコピーを有している個体は、ヘテロ接合型FcγRIIIA 48L/H遺伝子型を有していると記される。
【0018】
FcγRIIAをコードするDNAの「従来の」バージョンには、配列番号11の494位にG(グアニン)が含まれている;一方、「多型」バージョンでは、この位置にA(アデニン)が含まれている。GのAでの置換は、配列番号12の165位にコードされるアミノ酸残基の、アルギニンからヒスチジンへの変化を生じる。これは、成熟ヒトFcγRIIA配列の131位に対応する。成熟ヒトFcγRIIAの131位での多型は、以下の3つの遺伝子型を生じる:ホモ接合型FcγRIIA 131H/H、ホモ接合型FcγRIIA 131R/R、およびヘテロ接合型FcγRIIA 131H/R。
【0019】
低親和性FcγRIIIA 158F対立遺伝子の1つ以上のコピー、および/または低親和性FcγRIIIA 48L対立遺伝子の1つ以上のコピー、および/または低親和性FcγRIIA 131R対立遺伝子の1つ以上のコピーを有している個体は、高親和性のFcγRIIIA 158V対立遺伝子の両方のコピーを有している個体、および/またはFcγRIIIA 48Hもしくは48R対立遺伝子の両方のコピーを有している個体、および/または高親和性FcγRIIA 131H対立遺伝子の両方のコピーを有している個体と比較して、FcγRによって媒介される免疫応答が欠損している。「FcγRによって媒介される免疫応答」は、特に、ADCCによって媒介される免疫応答が意図され、これにより、それについて個体が処置されている免疫疾患の少なくとも1つの症状が緩和または緩解が生じる。「欠損」により、そのFcγRとの相互作用を介してその細胞傷害作用を媒介する因子とともに提示した場合に、個体が有効なFcγRによって媒介される免疫応答を増大させることができず、したがって、因子の提示によってはポジティブな治療応答を誘発することができないことが意図される。このような個体は、活性なFcγR、特に、FcγRIIIAまたはFcγRIIAとのIgGの相互作用を介してその細胞傷害性を媒介する抗ガンモノクローナル抗体に対して耐性である。
【0020】
本発明は、インターロイキン−2(IL−2)免疫療法での介入によって、ホモ接合型FcγRIIIA 158F/F遺伝子型を有している個体、および/またはヘテロ接合型FcγRIIA 131H/R遺伝子型を有している個体、あるいは、ホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型を有している個体を、応答しやすい状態に転換させることができることの発見に基づく。「応答しやすい状態」により、そのFcγRとの相互作用を介してその細胞傷害作用を媒介する因子とともに提示した場合に、個体が有効なFcγRによって媒介される免疫応答を増大させることができ、したがって、因子の提示によってはポジティブな治療応答を誘発できることが意図される。
【0021】
理論に束縛されることはないが、IL−2免疫療法での介入によって、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球/マクロファージ、および好中球を含むFcγRを有している細胞の拡大および活性化を誘導することができ、それによって、治療薬、例えば、抗ガン抗体のADCCによって媒介される細胞傷害作用を増大させることができる。結果として、IL−2またはその生物学的に活性な変異体での免疫治療的介入によって、低親和性IgG FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAアロタイプを有している個体においてさらに効率よくADCCを促進するために十分な臨界閾値を得ることができる。
【0022】
さらに、そして再び、理論に束縛されることはないが、その治療効果についてFcγRとの相互作用を介してADCCによって媒介される細胞傷害性に依存する抗ガン治療薬、例えば、抗ガン抗体との組み合わせにおける、IL−2免疫療法に対する全体的な応答は、3つの鍵となる変量に依存するようである:腫瘍抗原の発現レベル、IL−2の投与後のNK細胞の数の増加、およびFcγR遺伝子型。したがって、例えば、被験体に、リツキサン(登録商標);IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,California)でのガンの処置が現在施されている場合は、最初の治療応答は、処置される腫瘍上のCD20抗原の発現レベルに依存し続ける。特定のNHL組織学、例えば、慢性リンパ球性白血病、形質細胞は、低いレベルでCD20抗原を発現し、したがって、CD20標的化治療薬、例えば、リツキシマブに応答する可能性は低い。さらに、リツキシマブの反復的な使用によって、腫瘍CD20の発現がダウンレギュレートされる腫瘍回避機構を駆動させることができる。NK細胞のIL−2の増加は、腫瘍CD20抗原の発現が低い/腫瘍CD20抗原を発現していない個体においてリツキシマブ応答を回復させることにおいてはあまり効果がないと予想される。別の例としては、FcγRIIIA 158V対立遺伝子を保有している個体(すなわち、FcγRIIIA 158V/Vまたは158V/F遺伝子型)は、リツキシマブだけに応答するはずである;応答速度が遅い場合には、これは、弱い応答者の組織学(例えば、CLLおよび形質細胞)、あるいは、リツキシマブの反復使用の前の応答における腫瘍回避の結果としての、低レベルのCD210の発現に関係している可能性がある。
【0023】
再び、理論に束縛されることはないが、IL−2での処置後のNK細胞数の増加(すなわち、IL−2によって誘導される免疫再構成)は、リツキシマブ再発性/難治性被験体において、リツキシマブ/IL−2併用療法に対する全体的な応答を決定するための鍵であり得る。少ないNK細胞数は、不十分なADCCを生じる。理論上の臨界閾値を上回るIL−2の投与後のNKの増加は、効果的なリツキシマブの使用を回復させる/促進するように作用する。
【0024】
最後に、そして再び、理論に束縛されることはないが、FcγR遺伝子型は、全体的な応答速度において役割を果たす。FcγRIIIA 158V対立遺伝子は、高い親和性でIgG1に結合し、したがって、リツキシマブIgG1抗体に対する全体的な臨床応答速度は、FcγRIIIA 158V/Vの保有者において最も高いと予想される。しかし、IL−2は、FcγRIIIA 158V/Vまたは158V/F表現形を有しているが、化学療法/放射線治療の結果として、または年齢の結果としての、免疫システムが損傷しているまたは免疫システムに障害がある個体においても、効果的なFcR細胞媒介性ADCCを回復させることができる。FcγRIIIA 158多型は、IgG1についての親和性を決定することにおいて支配的なようであるが、しかし、成熟ヒトFcγRIIIAの48位に3対立遺伝子L/R/H多型を有している完全連鎖が明らかに存在している。FcγRIIIA 158F対立遺伝子は、IgG1について低い結合親和性を示し、したがって、IL−2はFcγRIIIA 158F/Fの保有者においてADCCを促進することにおいて最も利点を付与する可能性が高い。同様に、FcγRIIIA 48Lは、48Rまたは48H対立遺伝子のいずれよりもIgG1に対して低い親和性で結合し、したがって、IL−2はFcγRIIIA 48Lの保有者、すなわち、FcγRIIIA 48L/L、FcγRIIIA 48L/R、またはFcγRIIIA 48L/H遺伝子型に対して最も利点を付与するであろうと予想される。
【0025】
「IL−2免疫療法」によって、IL−2または本明細書において以下で定義されるその生物学的に活性な変異体の少なくとも1つの治療有効用量の投与が意図される。IL−2またはその変異体の「治療有効用量または量」によって、投与された場合に、特に、ガンについて、免疫応答について個体の処置に関するポジティブな治療応答をもたらす量が意図される。具体的な目的は、ホモ接合型FcγRIIIA 158F/F遺伝子型、および/またはヘテロ接合型FcγRIIA 131H/R遺伝子型、またはホモ接合型FcγRIIA 131R/Rを保有している個体を、上記の応答することができる状態に変化させる、IL−2またはその変異体の量である。
【0026】
IL−2免疫療法で複数回の治療有効用量の投与が意図される場合は、IL−2またはその変異体は、毎日の投与レジュメにしたがって投与することができ、また、断続的に投与することもできる。IL−2またはその変異体の「断続的」な投与によっては、例えば、1日おき、2日に1回、3日に1回などで治療有効量を投与することができることが意図される。いくつかの実施形態においては、IL−2免疫療法には、IL−2またはその変異体の治療有効用量の、週に2回の投与、または週に3回の投与が含まれる。「週に2回」または「1週間に2回」によって、2用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が、7日間の期間内に被験体に投与され、これは、最初の週の第1日目にIL−2の投与を開始して、最短で72時間の用量間隔であり、最長で96時間の用量間隔で行われることが意図される。「週に3回」または「1週間に3回」によって、3用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が、7日間の期間内に被験体に投与され、最短で48時間の用量間隔であり、最長で72時間の用量間隔で行われることが意図される。本発明の目的については、このタイプのIL−2の投与は、「断続的なIL−2免疫療法」と呼ばれる。本発明の方法にしたがうと、患者には、所望される治療応答が得られるまで、1週間またはそれ以上の週のサイクルにわたって、IL−2またはその変異体での断続的なIL−2免疫療法(すなわち、治療有効量のIL−2またはその変異体の、週に2回または週に3回の投与)を投与することができる。IL−2またはその変異体は、本明細書中で以下に記載されるような、任意の許容される投与経路によって投与することができる。
【0027】
したがって、本発明によって、その必要がある個体、特に、FcγRとのその相互作用を介して細胞傷害作用を媒介する第2の因子での治療を現在受けている個体において、IL−2免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法が提供される。この方法には、個体のFcγRIIIA遺伝子、およびFcγRIIA遺伝子についての対立遺伝子パターンを検出すること、そしてそれによって、そのFcγR遺伝子についての個体の遺伝子型を特定することが含まれる。ホモ接合型FcγRIIIA 158F/F遺伝子型の存在、および/またはFcγRIIA 131R対立遺伝子の少なくとも1つのコピーの存在は、IL−2免疫療法での介入によってポジティブな治療応答が提供される個体の指標である。「ポジティブな治療応答」によって、IL−2免疫療法を現在受けている個体が、現在治療を受けている個体の免疫疾患の1つ以上の症状の改善を示すことが意図される。
【0028】
したがって、例えば、個体が、本明細書中で以下に記載されるガンを含むガンに罹患している場合は、「ポジティブな治療応答」は、IL−2免疫療法にともなう疾患の改善、および/またはIL−2免疫療法にともなう疾患の1つ以上の症状の改善である。IL−2免疫療法は、個体に施される処置の唯一の系列であり得る。あるいは、IL−2免疫療法は、第2の治療薬、具体的には、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAとのその相互作用を介してその細胞傷害作用を媒介する抗ガン剤と同時に投与することができる。したがって、例えば、ポジティブな治療応答は、以下の疾患の改善の1つ以上をいう:(1)腫瘍の大きさの縮小;(2)ガン細胞の数の減少;(3)腫瘍の増殖の阻害(すなわち、いくらか遅くする、好ましくは、停止させる);(4)末梢の器官へのガン細胞の浸潤の阻害(すなわち、いくらか遅くする、好ましくは、停止させる);(5)腫瘍の転移の阻害(すなわち、いくらか遅くする、好ましくは、停止させる);および(6)ガンに伴う1つ以上の症状のいくらかの緩和。このような治療応答は、さらに、改善の程度として特徴付けることができる。したがって、例えば、改善は、完全寛解として特徴付けることができる。「完全寛解」により、身体の検査、研究室での試験、核による試験、放射線学的検査(すなわち、CT(コンピューター断層撮影法)、および/またはMRI(核磁気共鳴影像法)、ならびに、試験に入る時点での全ての最初の異常またはその時点でポジティブである部位について繰り返される他の非侵襲的な手順によって確認される全ての測定することができるか、あるいは評価することができる疾患の全ての症状および兆候の消滅が意味される。あるいは、この疾患の改善は、部分寛解として分類される場合もある。「部分寛解」によっては、処置前の測定値と比較して、全ての測定することができる病変の垂直直径の測定値の和の50%よりも大きい減少が意図される(評価することができる応答だけを有している患者については、部分寛解は適用されない)。
【0029】
1つの実施形態においては、IL−2免疫療法と組み合わせて投与される物質は、抗ガン抗体、特に、IgG1/FcγRによって媒介されるADCCを介してその細胞傷害作用を媒介するモノクローナル抗体である。このようなモノクローナル抗体としては、リツキサン(登録商標)(これは、新生物性B細胞上のCD20抗原を標的とし、非ホジキンB細胞リンパ腫および慢性リンパ球性白血病(CLL)を含むB細胞リンパ腫の処置に有効である);テレックス(MUC1に特異的なヒト化HMFG1、これは、乳ガン、ならびに卵巣ガンおよび結腸ガンを含む他のMUC1ポジティブ腫瘍について開発された);MDX−010(活性化T細胞に対するヒト抗CTLA−4ネガティブ調節因子;黒色腫、濾胞性リンパ腫、結腸ガン、および前立腺ガンについて開発された);EMD 72000およびエルビタックス(IMC−225)(FGERポジティブであるガン、最も顕著なものは結腸ガンについて開発された、ヒト抗EGFR);WX−G250(MN抗原に特異的である;腎細胞ガンおよび子宮頸ガンについて開発された);IDM−1(卵巣ガンの処置のため);MDX−210(乳ガンおよび卵巣ガンの処置のため);ZAMYL(急性骨髄性白血病(AML)の処置のため);およびキャンパス(CLLの処置のため)が挙げられるが、これらに限定はされない。個体には、1用量以上の治療有効用量の抗ガンモノクローナル抗体が、1用量以上の治療有効用量のIL−2またはその生物学的に活性な変異体の投与と組み合わせて、投与される。
【0030】
個体の対立遺伝子パターンは、当該分野で公知の任意の検出方法を使用して検出することができる。検出方法としては、本明細書中で以下にさらに記載される抗体をベースとする診断方法および/または核酸をベースとする診断方法を使用する、種々のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIA対立遺伝子変異体の存在について、個体に由来する血液細胞またはDNAを試験することが挙げられるが、これに限定はされない。1つの実施形態においては、対立遺伝子パターンは、個体から得られたDNA試料中のFcγRIIIA遺伝子のそれぞれのコピーが、配列番号1に示されるFcγRIIIAコード領域の526位にTを含むかまたはGを含むか、ならびに/あるいは、個体の免疫細胞の表面上に発現されたFcγRIIIAポリペプチドに、成熟ヒトFcγRIIIAの158位(すなわち、配列番号2に示される全長の翻訳産物の176位)に対応するバリン残基が含まれているかまたはフェニルアラニン残基が含まれているかを決定することによって、検出される。別の実施形態においては、対立遺伝子パターンは、個体から得られたDNA試料中のFcγRIIA遺伝子のそれぞれのコピーに、配列番号3に示されるFcγRIIAコード領域の494位にGが含まれているかまたはAが含まれているか、ならびに/あるいは、個体の免疫細胞の表面上に発現されたFcγRIIAポリペプチドに、成熟ヒトFcγRIIAの131位(すなわち、配列番号4に示される全長の翻訳産物の165位)に対応するヒスチジン残基が含まれているかまたはアルギニン残基が含まれているかを決定することによって検出される。
【0031】
FcγRIIIA遺伝子と、FcγRIIA遺伝子の対立遺伝子パターンを検出するための方法は当該分野で周知である。例えば、Koene et al.,(1997)Blood 90:1109−1114(FcγRIIIA遺伝子型の検出のためのネスティッドPCRをベースとする対立遺伝子特異的制限分析アッセイ)およびJiang et al.,(1996)J.Immunol.Methods 199:55−59(FcγRIIA遺伝子型の検出のためのPCRをベースとする対立遺伝子特異的制限酵素消化);Morgan et al.,(2003)Rheumatology 42:528−533(FcγRIIIA遺伝子型の検出のための一本鎖DNA高次構造多型アッセイ);Dall’Ozzo et al.,(2003)J.Immunoi.Methods 277:185−192(FcγRIIIA遺伝子型の検出のための、実時間多重対立遺伝子特異的PCRおよびSYBRグリーンI蛍光色素の存在下での融解曲線分析);ならびに、米国特許第5,830,652号および同第5,985,561号(フローサイトメトリーによるFcγRIIAまたはFcγRIIIA表現形の検出、PCRをベースとする対立遺伝子特異的制限分析アッセイおよび一本鎖DNA高次構造多型を使用する遺伝子型分類);de Hass et al.,(1996)J.Immunology 156(8):3948(FcγRIIIA 48L/R/H遺伝子型の検出)に開示されている遺伝子型分類方法を参照のこと。これらのそれぞれは、その全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
【0032】
本発明の1つの実施形態においては、個体のFcγRIIAまたはFcγRIIIA遺伝子型(すなわち、対立遺伝子パターン)は、以下のいずれかによって決定される:1)適切な免疫細胞の表面上に存在しているFcγRIIAまたはFcγRIIIAポリペプチドの1つ以上の対立遺伝子形態の免疫学的検出(すなわち、「表現形の特性決定」);あるいは、2)核酸の増幅または配列決定を伴う、あるいは伴わない、核酸プローブを使用する、1つ以上のFcγRIIAまたはFcγRIIIA対立遺伝子形態をコードするDNAまたはRNAの分子検出(すなわち、「遺伝子型の特性決定」)。
【0033】
第1の方法においては、白血球細胞またはそのサブセットが、当該分野で周知の方法、例えば、勾配遠心分離および/または免疫吸着を使用して試験される個体から単離される。FcγRIIAまたはFcγRIIIAの異なる対立遺伝子形態の間を識別することができる抗体が、その後、単離された細胞に添加されて、それぞれの対立遺伝子形態の存在と相対的な量が決定される。抗体はポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよいが、モノクローナルであることが好ましい。細胞に対する特異的な抗体の結合の測定は、任意の周知の方法によって行うことができ、これには、定量的フローサイトメトリー、または酵素結合もしくは蛍光結合免疫アッセイが含まれるが、これらに限定はされない。特定の対立遺伝子の存在またはそれらが存在しないこと、ならびに対立遺伝子パターン(すなわち、ホモ接合性対ヘテロ接合性)は、個体から得られた値を、既知の遺伝子型の個体の集団から確立された基準と比較することによって決定される。
【0034】
別の実施形態においては、DNA試料は、個体から得られ、そして特定のFcγRIIAまたはFcγRIIIA対立遺伝子に対応するDNA配列の存在が決定される。DNAは、任意の細胞供給源または体液から得ることもできる。臨床診療において利用することができる細胞供給源の限定的ではない例として、血液細胞、口腔細胞、子宮頸と膣の細胞、尿に由来する上皮細胞、胎児細胞、または生検によって得られる組織中に存在している任意の細胞が挙げられる。体液としては、血液、尿、脳脊髄液、および生検部位の組織滲出液が挙げられる。DNAは、当該分野での標準である多数の方法のいずれかを使用して、細胞供給源または体液から抽出される。DNAを抽出するために使用される特定の方法が、供給源の性質に応じて変化することは理解されるであろう。いくつかの実施形態においては、細胞供給源または体液は、PMBCまたは血清である。
【0035】
一旦、抽出されると、DNAは、さらに操作されることなく、本発明において使用することができる。あるいは、FcγRIIAまたはFcγRIIIAの全てまたは一部に対応するDNA領域を、PCRまたは当該分野で公知の他の増幅方法によって増幅することもできる。この場合は、増幅される領域は、プライマーとして使用される特定の隣接配列の選択によって指定することができる。この工程での増幅により、FcγRIIAまたはFcγRIIIAのDNA配列の濃度を上昇させるという利点が提供される。増幅することができるDNA配列の長さは、80bpから30kbpまでの範囲である。好ましくは、それぞれの受容体の異なる対立遺伝子形態の間で異なる配列を含む比較的短いセグメントを定義するプライマーが使用される。好ましい検出方法は、目的の多型部位を重複し(すなわち、FcγRIIA 131HまたはR対立遺伝子;FcγRIIIA 158VまたはF対立遺伝子、あるいは、FcγRIIIA 48L、R、またはH対立遺伝子)、そして多型領域の周辺の約5、10、15、20、25、または30ヌクレオチドを有しているプローブを使用する、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。
【0036】
FcγRIIAまたはFcγRIIIA対立遺伝子特異的DNA配列の存在は、任意の公知の方法によって決定することができ、これらの方法には、直接的なDNA配列決定、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、および一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)が含まれるがこれらに限定はされない。直接的な配列決定は、例えば、Maxam−Gillbert法を使用するか、または例えば、Sanger法を使用する酵素による配列決定による、化学的な配列決定によって行うことができる。後者の場合には、特異的なオリゴヌクレオチドが標準的な方法を使用して合成され、デオキシヌクレオチド配列決定反応のプライマーとして使用される。
【0037】
好ましくは、個体に由来するDNAについて、特異的増幅プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅が行われ、その後、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションさせられる。あるいは、増幅されたDNA領域のSSCP分析が、対立遺伝子パターンを決定するために使用される場合もある。最も好ましくは、対立遺伝子特異的PCRが使用される。ここでは、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドがプライマーとして使用され、そして、増幅産物の存在または増幅産物が存在しないことによって、特定の対立遺伝子の存在または特定の対立遺伝子が存在しないことが示される。
【0038】
別の実施形態においては、FcγRIIAまたはFcγRIIIAを発現する細胞が免疫吸着によって単離され、グアニジンチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出のような周知の方法を使用して、免疫精製された細胞からRNAが単離される(Chomocyznski et al.,(1987)Anal.Biochem.162:156)。その後、単離されたRNAについて、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって、逆転写と増幅の組み合わせが行われる。プライマーのアニーリングについての条件は、特異的な逆転写と増幅を確実にするように選択される;したがって、増幅産物の出現は、使用された特定のプライマーによって特定された対立遺伝子の存在の診断である。別の実施形態においては、FcγRIIAまたはFcγRIIIAをコードするRNAは、対立遺伝子非依存性の様式で逆転写され、増幅され、その後、増幅されたFcγRIIAまたはFcγRIIIAをコードするcDNAが、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションによって、または直接的なDNA配列決定によって同定される。FcγRIIA遺伝子についての対立遺伝子特異的プライマーに関しては、例えば、上記で引用された参考文献を参照のこと。ここでは、PCRをベースとする方法が、特定のFcγRIIAまたはFcγRIIIA対立遺伝子の存在、あるいはそれが存在しないことを検出するために利用される。
【0039】
1つの実施形態においては、被験体の遺伝子型は、2004年4月7日に提出され、引用によりその全体が本明細書中に組み入れられる、共有にかかる米国特許出願番号60/560,649、「Nucleic Acid Based Assays For Identification Of Fc Receptor Polymorphisms,」に記載されているように決定される。
【0040】
免疫疾患について処置が必要であり、FcγRIIIA 158 F/F遺伝子型;FcγRIIIA 48 L/L遺伝子型、FcγRIIIA 48 L/R遺伝子型、またはFcγRIIIA 48 L/H遺伝子型;ならびに/あるいは、FcγRIIA 131 H/R遺伝子型、またはFcγRIIA 131 R/R遺伝子型の保有者として同定されている個体は、本明細書において上記で定義されたようなIL−2免疫療法での介入に適している候補である。したがって、本発明によって、FcγRIIIA 158 F/F遺伝子型および/またはFcγRIIIA 48 L/L遺伝子型、FcγRIIIA 48 L/R遺伝子型、またはFcγRIIIA 48 L/H遺伝子型;ならびに/あるいは、FcγRIIA 131 H/R遺伝子型、またはFcγRIIA 131 R/R遺伝子型の保有者である個体の免疫機能を高めるため、ならびに、そのような個体の免疫疾患を処置するための方法もまた提供される。この方法には、そのような個体にIL−2免疫療法を投与することが含まれる。上記のように、IL−2免疫療法は、単独での処置とすることができ;あるいは、個体には、別の薬剤での処置、具体的には、FcγRIIIAまたはFcγRIIAとの相互作用、およびこの相互作用によって誘発されるADCC経路を介してその治療効果を媒介する薬剤での処置を受けさせることもできる。1つの実施形態においては、個体は、免疫疾患、特に、ガンに罹患しており、IL−2免疫療法が単独で、あるいは抗ガンモノクローナル抗体と組み合わせて投与される。本発明の方法を使用して処置することができるガンの例としては、以下に列挙されるB細胞リンパ腫、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML);および慢性リンパ球性白血病(CLL)が挙げられるが、これらに限定はされない。上記のように、個体には、1用量以上の治療有効用量のIL−2またはその生物学的に活性な変異体の投与と組み合わせて、1用量以上の治療有効用量の抗ガンモノクローナル抗体が投与される。
【0041】
IL−2免疫療法と抗ガンモノクローナル抗体治療の組み合わせによって、抗腫瘍活性が提供される。「抗腫瘍活性」によって、細胞増殖速度の低下が意図され、したがって、既存の腫瘍または治療の間に生じる腫瘍の増殖速度の低下、および/あるいは、既存の新生物(腫瘍)細胞または新しく形成される新生物細胞の崩壊が意図され、したがって、治療の間に腫瘍の全体の大きさの縮小が意図される。本発明の方法にしたがうIL−2免疫療法と少なくとも1つの抗ガンモノクローナル抗体の組み合わせでの治療を受ける被験体は、目的の特定のガンの処置に関して効果的である生理学的応答を経験する。
【0042】
ガン治療プロトコールとIL−2またはその変異体において使用される治療薬(単数または複数)を含む別の薬学的組成物は、当該分野で公知の任意の医学的に許容される方法にしたがって、同じまたは異なる投与経路を使用して投与することができる。適切な投与経路としては、非経口投与(例えば、皮下(SC)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)、または注入)、経口、肺への、鼻孔への、局所、経皮、および坐剤による投与が挙げられる。IL−2またはその変異体が肺投与によって投与される場合は、治療有効用量は、血流中のIL−2またはその変異体の可溶性レベルが、非経口、例えば、SC、IM、またはIVによって投与される治療有効用量を用いて得られるレベルと等しくなるように、調節される。好ましくは、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、静脈内(IV)注射、筋肉内(IM)注射、または皮下(SC)注射を含む、任意の形態での注射によって投与される。本発明のいくつかの実施形態においては、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、IM注射またはSC注射によって、特に、ガン治療プロトコールにおいて使用される治療薬(単数または複数)が投与される領域に対して局所的なIMまたはSC注射によって、投与される。IL−2免疫療法が別の薬剤、特に、抗ガンモノクローナル抗体またはその抗原結合断片と同時に投与される場合は、この薬剤を含む薬学的組成物は、例えば、静脈内に投与される。静脈内に投与される場合は、抗ガンモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む薬学的組成物は、約0.5時間から約5時間の時間をかけた注入によって投与することができる。いくつかの実施形態においては、注入は、投与される抗ガンモノクローナル抗体と、投与される抗ガンモノクローナル抗体の量に応じて、約0.5時間から約2.5時間の時間をかけて、約0.5時間から約2.0時間の時間をかけて、約0.5時間から約1.5時間の時間をかけて、または約1.5時間の時間をかけて行われる。
【0043】
IL−2免疫療法の過程の間に投与されるIL−2またはその変異体のそれぞれの量に影響を与える要因としては、投与の態様、投与頻度(すなわち、毎日、または週に2回もしくは週に3回のような断続的な投与)、治療を受ける特定の疾患、疾患の重篤度、病歴、個体が別の治療薬、例えば、抗ガンモノクローナル抗体での治療を現在受けているかどうか、治療を受けている個体の年齢、身長、体重、健康状態、生理的状態が挙げられるが、これらに限定されない。一般的には、治療を受ける被験体の体重が重ければ重いほど、この薬剤の用量は多くなることが好ましい。
【0044】
本発明の1つの実施形態においては、FcγRIIIA 158F/F遺伝子型および/またはFcγRIIA 131H/RもしくはFcγRIIA 131R/R遺伝子型を有している個体が、B細胞リンパ腫、より具体的には、非ホジキンB細胞リンパ腫についてのIL−2免疫療法と抗CD20抗体治療の組み合わせを受ける。本発明の治療方法は、その異常なB細胞型がCD20表面抗原を発現する任意の非ホジキンB細胞リンパ腫の処置に向けられる。「CD20表面抗原」によって、初期プレB細胞の発生の間に発現され、成熟B細胞の間中維持されるが、血漿細胞段階で失われる、33〜37kDの不可欠な膜リンタンパク質が意図される。CD20は正常なB細胞上で発現されるが、この表面抗原は通常は、新生物性のB細胞上では極めて高いレベルで発現される。B細胞リンパ腫および慢性リンパ球性白血病の90%以上、そしてプレB細胞急性リンパ芽球性白血病の約50%が、この表面抗原を発現する。
【0045】
IL−2免疫療法および抗CD20抗体での現在の治療は、その衰えずに増殖している細胞がCD20表面抗原を発現する、任意のタイプのガンの処置において有用であり得ると考えられている。したがって、例えば、ガンが異常なT細胞の増殖を伴う場合、および異常なT細胞の集団がCD20表面抗原を発現する場合は、本発明の方法に従う現在の治療によって、そのガンの処置に関してポジティブである治療応答が提供される。CD20表面抗原を発現する(しかし、B細胞と比較して少量である)ヒトT細胞の集団が同定されている(Hultin et al.,(1993)Cytometry 14:196−204を参照のこと)。
【0046】
本発明の方法は、REAL分類(Revised European and American Lymphoma Classification)システムにしたがって分類されるB細胞リンパ腫の治療的処置において有用であることもまた認識される。このようなB細胞リンパ腫としては、前駆体B細胞新生物、例えば、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫;末梢B細胞新生物(B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞リンパ腫/免疫細胞種、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性中心リンパ腫(濾胞性)(びまん性小細胞リンパ腫、びまん性混合小細胞および大細胞リンパ腫、ならびにびまん性大細胞型リンパ腫を含む)、辺縁帯B細胞リンパ腫(節外性リンパ腫、節性リンパ腫、および脾リンパ腫を含む)、ヘアリー細胞白血病、形質細胞腫/骨髄腫、縦隔原発性のサブタイプのびまん性大細胞B細胞リンパ腫(胸腺)、バーキットリンパ腫、バーキット様高悪性度B細胞リンパ腫;ならびに、分類されていない低悪性度または高悪性度B細胞リンパ腫を含む)として分類されるリンパ腫が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0047】
「非ホジキンB細胞リンパ腫」によっては、異常な制御することができないB細胞の増殖に関係している非ホジキンをベースとするリンパ腫の任意のものが意図される。本発明の目的については、このようなリンパ腫は、Working Formulation分類方法(「The Non−Hodgkin’s Lymphoma Pathologic Classification Project,」Cancer 49(1982):2112−2135を参照のこと)にしたがって呼ばれる。すなわち、これらのB細胞リンパ腫は、低悪性度、中悪性度、および高悪性度に分類される。低悪性度のB細胞リンパ腫には、小細胞リンパ腫、濾胞性小切れ込み核細胞リンパ腫、および濾胞性混合小切れ込み核細胞リンパ腫が含まれ;中悪性度のリンパ腫には、濾胞性大細胞性リンパ腫、びまん性小切れ込み核細胞リンパ腫、びまん性小細胞大細胞混合型リンパ腫、およびびまん性大細胞型リンパ腫が含まれ;そして、高悪性度のリンパ腫には、大細胞性免疫芽球性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、ならびに、バーキット型および非バーキット型の小非切れ込み核細胞リンパ腫が含まれる。
【0048】
本発明の方法は、既存のリンパ腫または固形腫瘍の処置に関するが、これらの方法は、治療の間に生じるさらなる腫瘍の増殖を妨げることにおいても有用であり得ることが認識されている。本発明の方法は、低悪性度のB細胞リンパ腫を有している被験体、特に、以下の標準的な化学療法後に再発した被験体の処置において有用である。低悪性度のB細胞リンパ腫は、中悪性度および高悪性度のB細胞リンパ腫よりも痛みが少なく、再発/緩解の経過を特徴とする。したがって、これらのリンパ腫の処置は、再発のエピソードが回数および重篤度に関して軽減されるように、本発明の方法を使用して改善される。
【0049】
抗ガンモノクローナル抗体と組み合わせたIL−2免疫療法についての特定の治療プロトコールは当該分野で公知である。このようなプロトコールは、FcγRIIIA 158F/F遺伝子型;および/またはFcγRIIIA 48L/L、もしくはFcγRIIIA 48L/R、もしくはFcγRIIIA 48L/H遺伝子型;および/またはFcγRIIA 131H/R、もしくはFcγRIIA 131R/R遺伝子型の保有者として同定されている個体を処置するために利用することができる。例えば、同時係属中の米国特許公開番号2003−0185796(B細胞リンパ腫)、および2003年7月31日に提出された代理人番号59516−278の「Methods of Therapy for Chronic Lymphocytic Leukemia」と題された同時係属中の米国特許出願番号60/491,371(これらの内容は引用によりそれらの全体が本明細書中に組み入れられる)に開示されている処置プロトコールを参照のこと。投与されるIL−2(自然界に存在している配列、またはIL−2の生物学的活性を保持しているその変異体、例えば、本明細書中に開示されている突然変異タンパク質のいずれか)の量は、約0.1から約15mIU/mの範囲であり得る。腎細胞ガンおよび転移性黒色腫のような適応症については、IL−2またはその生物学的に活性な変異体は、300,000から800,000 IU/kg/8時間の高用量の静脈内ボーラスとして投与される場合もある。B細胞リンパ腫およびCLLのIL−2免疫療法について推奨される用量については、上記の米国特許出願を参照のこと。
【0050】
FcγRIIIA 158F/F遺伝子型;および/またはFcγRIIIA 48L/L、もしくはFcγRIIIA 48L/R、もしくはFcγRIIIA 48L/H遺伝子型;および/またはFcγRIIA 131H/R、もしくはFcγRIIA 131R/R遺伝子型を有している個体が、IL−2免疫療法と抗ガンモノクローナル抗体での処置を受けている場合は、これらの治療薬は、併用療法によって個体に提示される。「併用療法」によって、ヒト被験体に対するIL−2と少なくとも1つの抗ガン抗体の提示が意図され、その結果、両方の物質の組み合わせの治療効果が、治療を受けている被験体において生じる。併用療法は、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物の少なくとも1用量の治療有効量と、少なくとも1つの抗ガン抗体またはその抗原結合断片を含む少なくとも1用量の治療有効用量の薬学的組成物とを、特定の投与レジュメにしたがって投与することによって行うことができる。別々の薬学的組成物の投与は、両方の物質の組み合わせの治療効果が治療を受けている被験体において生じる限りは、同じタイミングでも(すなわち、同時に)、また、異なるタイミングでも(すなわち、連続して、いずれかの順序で、同じ日に、または異なる日に)行うことができる。
【0051】
これらの治療薬を治療有効成分として含む別々の組成物は、当該分野で公知の任意の許容される方法を使用して投与することができる。したがって、例えば、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、静脈内(IV)注射、筋肉内(IM)注射、または皮下(SC)注射を含む、任意の形態での注射によって投与することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、SC注射によって投与される。本発明の他の実施形態においては、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は徐放処方物であるか、または徐放機器を使用して投与される処方物である。このような機器は当該分野で周知であり、例として、経皮パッチ、IL−2またはその変異体を含む非徐放型薬学的組成物を用いて得られる徐放効果を得るための種々の用量で、持続的な定常様式で長時間にわたる薬剤の投与を提供することができる小型の埋め込み型ポンプが挙げられる。抗ガン抗体またはその抗原結合断片を含む薬学的組成物は、例えば、静脈内に投与される。静脈内に投与される場合は、抗ガン抗体を含む薬学的組成物は、約1時間から約10時間の時間をかけて注入によって投与することができる。いくつかの実施形態においては、投与される抗ガン抗体に応じて、抗体の注入は、約2時間から約8時間の時間をかけて、約3時間から約7時間の時間をかけて、約4時間から約6時間の時間をかけて、または約6時間の時間をかけて行われる。
【0052】
上記の投与レジュメにしたがう治療を受ける被験体が部分寛解を示すか、または長期間の一次的な回復後に再発を示す場合は、その後の併用療法の過程が、疾患の完全寛解が得られるまで必要とされる場合がある。したがって、最初の処置期間後の処置を休む期間の後、被験体は、抗ガン抗体の投与とのIL免疫療法の併用を含む、1回以上のさらなる処置期間を受け得る。処置期間の間に処置を休むこのような期間は、本明細書においては、中断期間と呼ばれる。中断期間の長さが、これらの2つの治療薬を用いた併用療法の処置期間の前のいずれかの時点で得られる腫瘍応答の程度(すなわち、完全寛解対部分寛解)に応じて変化することが理解される。
【0053】
用語「IL−2」は本明細書中で使用される場合は、正常な末梢血リンパ球によって生産され、そして体内に低濃度で存在するリンホカインをいう。IL−2は、Morgan et al.,(1976)Science 193:1007−1008によって最初に記載され、そして刺激されたTリンパ球の増殖を誘導するその能力が原因で、T細胞増殖因子と最初は呼ばれていた。これは、13,000から17,000の範囲の分子量であることが報告されているタンパク質であり(Gillis and Watson(1980)J.Exp.Med.159:1709)、6〜8.5の範囲に等電点を有している。
【0054】
本発明の方法で使用される本明細書中に記載される薬学的組成物中に存在するIL−2は自然界に存在しているものである場合も、また、組み換え技術によって得られるものである場合もあり、そして例えば、マウス、ラット、ウサギ、霊長類、ブタ、およびヒトのような哺乳動物である供給源を含む任意の供給源に由来し得る。多数の種に由来するIL−2配列が当該分野で周知である。例えば、限定的ではないが、以下を参照のこと:ヒトIL−2(ヒト(Homo sapiens);前駆体配列、GenBank Accession No.AAH66254;GenBank Accession No.AAH66254配列の21〜153位の残基によって示され、本明細書中で配列番号14に示される成熟配列);アカゲザルIL−2(アカゲザル(Macaca mulatto);前駆体配列、GenBank Accession No.P51498;GenBank Accession No.P51498配列の21〜154位の残基によって示される成熟配列);ヒヒIL−2(アヌビスヒヒ(Papio anubis);前駆体配列、GenBank Accession No.Q865Y1;GenBank Accession No.856Y1配列の21〜154位の残基によって示される成熟配列);スーティーマンガベイIL−2(スーティーマンガベイ(Cercocebus torquatus atys);前駆体配列、GenBank Accession No.P46649;GenBank Accession No.P46649配列の21〜154位の残基によって示される成熟配列);カニクイザルIL−2(カニクイザル(Macaca fascicularis);前駆体配列、GenBank Accession No.Q29615;GenBank Accession No.Q29615配列の21〜154位の残基によって示される成熟配列);テナガザルIL−2(シロテナガザル(Hylobates lar;前駆体配列、GenBank Accession No.ICGI2;GenBank Accession No.ICGI2配列の21〜153位の残基によって示される成熟配列);リスザルIL−2(リスザル(Saimiri sciureus);前駆体配列、GenBank Accession No.Q8MKH2;GenBank Accession No.Q8MKH2配列の21〜154位の残基によって示される成熟配列);ウシIL−2(ウシ(Bos taurus);前駆体配列、GenBank Accession No.P05016;GenBank Accession No.P05016配列の21〜155位の残基によって示される成熟配列;GenBank Accession No.NP−851340に報告されている変異体前駆体配列もまた参照のこと;GenBank Accession No.NP−851340配列の24〜158位の残基によって示される成熟配列)スイギュウIL−2(スイギュウ(Bubalus bubalis);前駆体配列、GenBank Q95KP3;GenBank Accession No.Q95KP3配列の21〜155位の残基によって示される成熟配列);ウマIL−2(ウマ(Equus caballus);前駆体配列、GenBank Accession No.P37997;GenBank Accession No.P37997配列の21〜149位の残基によって示される成熟配列);ヤギIL−2(ヤギ(Capra hircus);前駆体配列、GenBank Accession No.P36835;GenBank Accession No.P36835配列の21〜155位の残基によって示される成熟配列);ヒツジIL−2(ヒツジ(Ovis aries);前駆体配列、GenBank Accession No.P19114;GenBank Accession No.P19114配列の21〜155位の残基によって示される成熟配列);ブタIL−2(イノシシ(Sus scrofa);前駆体配列、GenBank Accession No.P26891;GenBank Accession No.P26891の21〜154位の残基によって示される成熟配列);アカシカIL−2(アカシカ(Cervus elaphus;前駆体配列、GenBank Accession No.P51747;GenBank Accession No.P51747配列の21〜162位の残基によって示される成熟配列);イヌIL−2(イヌ(Canis familiaris);前駆体配列、GenBank Accession No.Q29416;GenBank Accession No.Q29416配列の21〜155位の残基によって示される成熟配列);ネコIL−2(ネコ(Felis catus);前駆体配列、GenBank Accession No.Q07885;GenBank Accession No.Q07885配列の21〜154位の残基によって示される成熟配列);ウサギIL−2(アカウサギ(Oryctolagus cuniculus);前駆体配列、GenBank Accession No.O77620;GenBank Accession No.O77620配列の21〜153位の残基によって示される成熟配列);シャチIL−2(シャチ(Orcinus orca);前駆体配列、GenBank Accession No.O97513;GenBank Accession No.O97513配列の21〜152位の残基によって示される成熟配列);キタゾウアザラシIL−2(キタゾウアザラシ(Mirounga angustirostris);前駆体配列、GenBank Accession No.O62641;GenBank Accession No.O62641配列の21〜154位の残基によって示される成熟配列);ハツカネズミIL−2(ハツカネズミ(Mus musculus);前駆体配列、GenBank Accession No.NP_032392;GenBank Accession No.NP_032392配列の21〜169位の残基によって示される成熟配列);野生セイブニセマウスIL−2(アルジェリアハツカネズミ(Mus spretus);前駆体配列、GenBank Accession No.Q08867;GenBank Accession No.Q08867配列の21〜166位の残基によって示される成熟配列);ドブネズミIL−2(ドブネズミ(Rattus norvegicus);前駆体配列、GenBank Accession No.P17108;GenBank Accession No.P17108の21〜155位の残基によって示される成熟配列);スナネズミIL−2(スナネズミ(Meriones unguiculatus);前駆体配列、GenBank Accession No.Q08081;GenBank Accession No.Q08081の21〜155位の残基によって示される成熟配列);これらの上記のGenBank Accession Numberにおいて開示される変異体IL−2ポリペプチドのいずれか;これらのGenBankに報告されているもののそれぞれは、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。IL−2の任意の供給源は、本発明を実施するために利用することができるが、特に、治療を受けている被験体がヒトである場合には、IL−2がヒト供給源に由来することが好ましい。いくつかの実施形態においては、本発明の方法において使用されるIL−2は、組み換えによって生産され、例えば、組み換え体ヒトIL−2タンパク質であり、微生物宿主から得られたものが含まれるが、これに限定はされない。
【0055】
本発明の方法において有用である薬学的組成物には、IL−2の生物学的に活性な変異体が含まれる場合があり、このような変異体としては、任意の種に由来するIL−2の変異体が挙げられる。このような変異体は、自然界に存在しているポリペプチドの所望される生物学的活性を保持しているはずであり、その結果として、変異体ポリペプチドを含む薬学的組成物は、被験体に投与された場合に、自然界に存在しているポリペプチドを含む薬学的組成物と同じ治療効果を有する。すなわち、変異体ポリペプチドは、自然界に存在しているポリペプチドについて観察されている様式と同じ様式で、薬学的組成物において治療有効成分として作用するであろう。変異体ポリペプチドが所望される生物学的活性を保持しているかどうか、そしてしたがって、薬学的組成物において治療有効成分として作用するかどうかを決定するための方法は、当該分野において利用することができる。生物学的活性は、本発明に記載されるアッセイを含む、自然界に存在しているポリペプチドまたはタンパク質の活性を測定するために特異的に設計されたアッセイを使用して測定することができる。さらに、生物学的に活性である自然界に存在しているポリペプチドに対して惹起させられた抗体を、変異体ポリペプチドに結合するそれらの能力について試験することができ、ここでは、効率のよい結合は、自然界に存在しているポリペプチドの立体構造と同様の立体構造を有しているポリペプチドの指標である。
【0056】
自然界に存在しているIL−2または天然のIL−2の適切な生物学的に活性な変異体は、そのポリペプチドの断片、類似体、および誘導体であり得る。「断片」によって、完全なポリペプチド配列および構造の一部のみから構成されるポリペプチドが意図され、そしてこれは、自然界に存在しているポリペプチドのC末端欠失またはN末端欠失であり得る。「類似体」によって、自然界に存在しているポリペプチドまたは自然界に存在しているポリペプチドの断片のいずれかの類似体が意図される。ここでは、類似体には、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を有している自然界に存在しているポリペプチド配列および構造が含まれる。本明細書中に記載されているもののような「突然変異タンパク質」および1つ以上のペプトイドを有しているペプチド(ペプチド模倣物)もまた、用語類似体に含まれる(国際公開番号WO91/04282を参照のこと)。また、2004年7月7日に提出され、表題「Combinatorial Interleukin−2 Muteins」と題されている米国特許出願番号60/585,980、さらには、2004年3月5日に提出され、表題「Improved Interleukin−2 Muteins」と題されている米国特許出願番号60/550,868もまた参照のこと。これらの出願は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
【0057】
「誘導体」によって、目的の自然界に存在しているポリペプチドの、自然界に存在しているポリペプチドの断片の、またはそれらのそれぞれの類似体の任意の適切な修飾(例えば、糖化、リン酸化、重合(例えば、ポリエチレングリコールとの)、または他の外来部分の付加)が、自然界に存在しているポリペプチドの所望される生物学的活性が保持される限りにおいて意図される。ポリペプチド断片、類似体、および誘導体を作成するための方法は、当該分野において一般的に利用することができる。
【0058】
例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、目的の自然界に存在しているポリペプチドをコードするクローン化されたDNA配列中の変異によって調製することができる。突然変異誘発およびヌクレオチド配列の変更のための方法は当該分野で周知である。例えば、Wakler and Gaastra, eds(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company,New York);Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488−492;Kunkel et al.,(1987)Methods Enzymol.154:367−382;Sambrook et al.,(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plaiview,New York);米国特許第4,873,192号;およびそれらの中で引用されている参考文献;(これらは、引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと。目的のポリペプチドの生物学的活性には影響を与えない適切なアミノ酸置換に関する指針は、Dayhoff et al.,(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.)(これは引用により本明細書中に組み入れられる)のモデルにおいて見ることができる。保存的置換(例えば、類似の特性を有している別のアミノ酸での1つのアミノ酸の交換)が好ましい場合がある。保存的置換の例としては、Gly⇔Ala、Val⇔Ile⇔Leu、Asp⇔Glu、Lys⇔Arg、Asn⇔Gln、およびPhe⇔Trp⇔Tyrが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0059】
残基の置換、欠失、または挿入のいずれかによって変化させることができるIL−2タンパク質の領域に関する指針は当該分野において見ることができる。例えば、Bazan(1992)Science 257:410−412;McKay(1992)Science 257:412;Theze et al.,(1996)Immunol.Today 17:481−486;Buchli and Ciardelli(1993)Arch.Biochem.Biophys.307:411−415;Collins et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:7709−7713;Kuziel et al.,(1993)J.Immunol.150:5731;Eckenberg et al.,(1997)Cytokine 9:488−498で議論されている、構造/機能の関係、および/または結合についての研究を参照のこと。これらの内容は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
【0060】
目的のIL−2ポリペプチドの変異体を構築することにおいては、修飾は、変異体が所望される活性を持ち続けるように行われる。明らかに、変異体ポリペプチドをコードするDNA中に作成される任意の変異は、リーディングフレームの外側の配列を置き換えることはあってはならず、好ましくは、mRNAの二次構造を生じることができる相補領域を生じることもない。欧州特許出願公開番号75,444を参照のこと。
【0061】
IL−2の生物学的に活性な変異体は、一般的には、参照IL−2ポリペプチド分子、例えば、自然界に存在しているヒトIL−2(これは、比較のための基準物とされる)のアミノ酸配列と、少なくとも約70%、好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約90から95%またはそれ以上、そして最も好ましくは、少なくとも約98%、99%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。パーセント配列同一性は、12のギャップ開始ペナルティーと、2のギャップ伸張ペナルティー、62のBLOSUMマトリックスを用いるアフィンギャップ検索を使用して、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを使用して決定される。Smith−Waterman相同検索アルゴリズムは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.(1981)2:482−489に教示されている。変異体は、例えば、わずか1から15個のアミノ酸残基が異なる、わずか1から10個の残基、例えば、6〜10個、わずか5個、わずか4個、3個、2個、またはさらには1個のアミノ酸残基が異なる場合がある。
【0062】
2つのアミノ酸配列の最適なアラインメントに関して、変異体アミノ酸配列の連続するセグメントは、参照アミノ酸配列と比較して、さらなるアミノ酸残基を有している場合も、アミノ酸残基が欠失している場合もある。参照アミノ酸配列との比較に使用される連続しているセグメントには、少なくとも20個の連続しているアミノ酸残基が含まれ、これは、30個、40個、50個、またはそれ以上のアミノ酸残基であり得る。保存的な残基置換またはギャップに関する配列同一性についての補正を行うことができる(Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを参照のこと)。
【0063】
目的の自然界に存在しているIL−2ポリペプチドの生物学的に活性な変異体は、わずか1〜15個のアミノ酸、わずか1から10個、例えば、6〜10個、わずか5個、わずか4個、3個、2個、またはさらには、1個のアミノ酸残基が、自然界に存在しているポリペプチドとは異なる場合がある。
【0064】
IL−2活性を有しているポリペプチドの正確な化学的構造は、多数の要因に応じて変化する。イオン化することができるアミノ基およびカルボキシル基が分子中に存在するので、特定のポリペプチドは、酸性塩または塩基塩として得ることができ、また、自然界に存在している形態で得ることもできる。適切な環境条件においた場合に、その生物学的活性を保持している全てのこのような調製物が、本明細書中で使用されるようなIL−2活性を有しているポリペプチドの定義に含まれる。さらに、ポリペプチドの一次アミノ酸配列は、糖部分を使用して誘導することによって(糖化)、あるいは、脂質、リン酸、アセチル基などの他の補助的な分子によって、増強させられる場合がある。これはまた、単糖類との結合によって増強させることもできる。このような増強の特定の態様は、生産宿主の翻訳後プロセシングシステムを通じて行われる;他のこのような修飾は、生体外で導入される場合もある。いずれの場合においても、このような修飾には、ポリペプチドのIL−2活性が破壊されない限りは、本明細書中で使用されるIL−2ポリペプチドの定義に含まれる。このような修飾は、種々のアッセイにおいて、ポリペプチドの活性を増強するかまたは減少させるかのいずれかにより、活性に定量的または定性的な影響を与え得ると予想される。さらに、鎖の中の個々のアミノ酸残基は、酸化、還元、または他の誘導によって修飾することができ、そしてポリペプチドは、活性を保持している断片を生じるように切断することができる。活性を破壊させることのないこのような変更は、本明細書中で使用される目的のIL−2ポリペプチドの定義からポリペプチド配列を除去することはない。
【0065】
ポリペプチド変異体の調製および使用に関する実質的な指針は当該分野において提供されている。IL−2変異体を調製することにおいては、当業者であれば、自然界に存在しているタンパク質のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対するどの修飾によって、本発明の方法において使用される薬学的組成物の治療的活性のある成分としての使用に適している変異体が生じるかを容易に決定することができる。
【0066】
本発明の方法で使用されるIL−2またはその変異体は任意の供給源に由来するものであり得るが、好ましくは、組み換えによって生産されたものである。「組み換え体IL−2」または「組み換え体IL−2変異体」によって、自然界に存在している配列のIL−2に匹敵する生物学的活性を有しており、そして、例えば、Taniguchi et al.,(1983)Nature 302:305−310およびDevos(1983)Nucleic Acids Research 11:4307−4323に記載されている組み換えDNA技術によって調製された、インターロイキン−2またはその変異体、あるいは、Wang et al.,(1984)Science 224:1431−1433によって記載されている突然変異によって変化させられたIL−2が意図される。一般的には、IL−2をコードする遺伝子がクローニングされ、その後、形質転換された生物、好ましくは、微生物、そして最も好ましくは、本明細書中に記載されるような大腸菌(E.coli)の中で発現させられる。宿主生物は、発現条件下でIL−2を生産するように外来遺伝子を発現する。合成の組み換え体IL−2はまた、真核生物、例えば、酵母またはヒトの細胞中で作成することもできる。細胞からのIL−2の増殖、回収、破壊、または抽出のためのプロセスは、例えば、米国特許第4,604,377号;同第4,738,927号;同第4,656,132号;同第4,569,790号;同第4,748,234号;同第4,530,787号;同第4,572,798号;同第4,748,234号;および同第4,931,543号(これらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に実質的に記載されている。
【0067】
変異体IL−2タンパク質の例については、欧州(EP)特許公開番号EP 136,489(ここでは、自然界に存在しているIL−2のアミノ酸配列における以下の変化:Asn26からGln26;Trp121からPhe121;Cys58からSer58またはAla58、Cys105からSer105またはAla105;Cys125からSer125またはAla125;以下の全ての残基の欠失Arg120;およびそのMet−1形態の1つ以上が開示されている);および、1983年10月13日に提出された欧州特許出願番号83306221.9(公開番号EP 109,748として1984年5月30日に公開された)(これは、ベルギー特許第893,016号および共有にかかる米国特許第4,518,584号に等しい(ここでは、自然界に存在しているヒトIL−2にしたがって番号付けされた125位のシステインが欠失しているか、または自然界に存在しているアミノ酸によって置き換えられている、組み換え体ヒトIL−2突然変異タンパク質;アラニル−ser125−IL−2と、des−アラニル−ser125−IL−2が開示されている))に記載されている組み換え体IL−2突然変異タンパク質を参照のこと。米国特許第4,752,585号(ここでは、以下の変異体IL−2タンパク質が開示されている)
【0068】
【化1】

)、および米国特許第4,931,543号(ここでは、本明細書中の実施例で使用されるIL−2突然変異タンパク質des−アラニル−1,セリン125ヒトIL−2、ならびに、他のIL−2突然変異タンパク質が開示されている)もまた参照のこと。
【0069】
欧州特許公開番号EP 200,280号(1986年12月10日に公開された)(ここでは、104位のメチオニンが保存的なアミノ酸によって置き換えられている、組み換え体IL−2突然変異タンパク質が開示されている)もまた参照のこと。例としては、以下の突然変異タンパク質が挙げられる:
【0070】
【化2】

。欧州特許公開番号EP 118,617、および米国特許第5,700,913号(ここでは、N末端アミノ酸として自然界に存在しているIL−2のメチオニンの代わりにアラニンを有している、非糖化ヒトIL−2変異体;最初のメチオニンが欠失おり、その結果、プロリンがN末端アミノ酸である非糖化ヒトIL−2;およびN末端メチオニンとプロリンアミノ酸の間にアラニンが挿入されている、非糖化ヒトIL−2が開示されている)もまた参照のこと。
【0071】
他のIL−2突然変異タンパク質としては、WO99/60128に開示されている突然変異タンパク質(20位のアスパラギン酸がヒスチジンまたはイソロイシンで置換されている、88位のアスパラギン酸がアルギニン、グリシン、またはイソロイシンで置換されているか、または126位のグルタミンがロイシンまたはグルタミン酸で置換されている)(これは、NK細胞に関してT細胞受容体を発現する細胞によって発現される高親和性IL−2についての選択的な活性と、低いIL−2毒性を有していることが報告されている);米国特許第5,229,109号に開示されている突然変異タンパク質(38位のアルギニンがアラニンで置換されている、または42位のフェニルアラニンがリジンで置換されている)(これは、自然界に存在しているIL−2と比較して高親和性IL−2受容体に対して低い結合を示すが、LAK細胞を刺激する能力を保っている);国際公開番号WO 00/58456に開示されている突然変異タンパク質(自然界に存在しているIL−2において、自然界に存在している(x)D(y)が交互に現れるか、または欠失しており、ここでDはアスパラギン酸であり、(x)はロイシン、イソロイシン、グリシン、またはバリンであり、そして(y)はバリン、ロイシン、またはセリンである)(これは、血管漏出症候群を軽減させると主張されている);国際公開番号WO 00/04048に開示されているIL−2 p1−30ペプチド(IL−2のヘリックスA全体を含み、IL−2受容体のb鎖と相互作用する、IL−2の最初の30個のアミノ酸に対応する)(これは、NK細胞を刺激し、そしてLAK細胞を誘導することが報告されている);ならびに、これもまたWO 00/04048に開示されているIL−2 p1−30ペプチドの突然変異体形態(20位のアスパラギン酸がリジンで置換されている)(これは、血管からの出血を誘導することはできないが、LAK細胞を生じる能力は残っていることが報告されている)が挙げられる。さらに、IL−2は、高い可溶性と、変更された薬物動態プロフィールを提供するように、ポリエチレングリコールで修飾することができる(米国特許第4,766,106号を参照のこと)。
【0072】
毒性が低いと予想されるIL−2突然変異タンパク質のさらなる例は、同時係属中の、2004年3月5日に提出され、米国仮特許出願番号60/550,868が割り当てられ、その全体が引用により本明細書中に組み入れられる、表題「Improved IL−2 Muteins」に開示されている。これらの突然変異タンパク質には、成熟ヒトIL−2配列の125位のシステインのセリンでの置換と、成熟ヒトIL−2配列中の少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換が含まれている、成熟ヒトIL−2(配列番号14)のアミノ酸配列が含まれている。その結果、この突然変異タンパク質は以下の機能特性を有している:同程度の量のdes−アラニル−1、C125SヒトIL−2,またはC125SヒトIL−2と比較して、同等のアッセイ条件下で、1)ナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を維持または増強する、および、2)低いレベルの、NK細胞によるプロ炎症性サイトカインの生産を誘導する。いくつかの実施形態においては、さらなる置換は、以下からなる群より選択される:
【0073】
【化3】

;ここでは、アミノ酸残基の位置は、成熟ヒトIL−2アミノ酸配列(配列番号14)の番号付けにしたがう。他の実施形態においては、これらの突然変異タンパク質には、成熟ヒトIL−2配列の125位のシステインのアラニンでの置換と、成熟ヒトIL−2配列内の少なくとも1つのさらなるアミノ酸の置換が含まれており、その結果、この突然変異タンパク質は、これらの同じ機能特性を有する。いくつかの実施形態においては、さらなる置換は、以下からなる群より選択される:
【0074】
【化4】

;ここでは、アミノ酸残基の位置は、成熟ヒトIL−2アミノ酸配列(配列番号14)の番号付けにしたがう。別の実施形態においては、これらの突然変異タンパク質には、成熟ヒトIL−2配列内に少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を有している、成熟ヒトIL−2(配列番号14)のアミノ酸配列が含まれ、その結果、突然変異タンパク質は、これらの同じ機能特性を有する。いくつかの実施形態においては、さらなる置換は、以下からなる群より選択される:
【0075】
【化5】

;ここでは、アミノ酸残基の位置は、成熟ヒトIL−2アミノ酸配列(配列番号14)の番号付けにしたがう。この同時係属中の出願において開示されているさらなる突然変異タンパク質には、上記で同定された突然変異タンパク質が含まれるが、成熟ヒトIL−2配列の1位の最初のアラニン残基が欠失しているものは除外される。
【0076】
毒性が低いと予想されるIL−2突然変異タンパク質のさらなる例は、2004年7月7日に提出され、米国仮特許出願番号60/585,980が割り当てられた、表題「Combinatorial Interleukin−2 Muteins」と題されている同時係属中の出願(これは、引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されている。この出願に記載されている組み合わせ突然変異体としては、125位のシステインのセリンでの置換と、成熟ヒトIL−2配列中に少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換を有している成熟ヒトIL−2アミノ酸配列が挙げられるが、これに限定はされない。その結果、突然変異タンパク質は以下の機能特性を有している:同程度の量のdes−アラニル−1、C125SヒトIL−2、またはC125SヒトIL−2と比較して、同等のアッセイ条件下で、1)ナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を維持または増強する、および、2)低いレベルの、NK細胞によるプロ炎症性サイトカインの生産を誘導する。ここでは、NK細胞の増殖およびプロ炎症性サイトカインの生産は、NK−92生体アッセイを使用してアッセイされる。いくつかの実施形態においては、突然変異タンパク質には、1位のアラニンの欠損がさらに含まれる。いくつかの実施形態においては、さらなる置換が、以下からなる群より選択される:
【0077】
【化6】

用語IL−2は、本明細書中で使用される場合は、第2のタンパク質に融合させられたIL−2、または、投与頻度を少なくするため、もしくはIL−2耐性を改善するために、ポリプロリンもしくは水溶性ポリマーに共有結合させられたIL−2を含む、IL−2融合体または結合体もまた含むように意図される。例えば、IL−2(または本明細書中で定義されるようなその変異体)は、当該分野で公知の方法を使用して、ヒトアルブミンまたはアルブミン断片に融合させることができる(WO 01/79258を参照のこと)。あるいは、IL−2は、ポリプロリンまたはポリエチレングリコールホモポリマーに、そしてポリオキシエチルポリオールに(ここでは、ホモポリマーは未置換であるか、または一方の末端がアルキル基で置換されており、そしてポリオールは、未置換である)当該分野で公知の方法を使用して、共有結合させることができる(例えば、米国特許第4,766,106号、同第5,206,344号、および同第4,894,226号を参照のこと)。
【0078】
治療有効成分としてIL−2を含む任意の薬学的組成物を、本発明の方法において使用することができる。このような薬学的組成物は当該分野で公知であり、これには、米国特許第4,745,180号;同第4,766,106号;同第4,816,440号;同第4,894,226号;同第4,931,544号;および同第5,078,997号(これらは引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されている薬学的組成物が含まれるが、これらに限定はされない。したがって、当該分野で公知である、IL−2またはその変異体を含む液体組成物、凍結乾燥組成物、または噴霧乾燥組成物は、本発明の方法にしたがってその後に被験体に投与される、水性または非水性の溶液または懸濁液として調製することができる。これらの組成物のそれぞれには、治療有効成分または予防上有効である成分として、IL−2またはその変異体が含まれる。「治療有効成分または予防上有効である成分」によって、IL−2またはその変異体が組成物に組み込まれて、薬学的組成物が被験体に投与された際に被験体の疾患または症状の処置または予防に関して所望される治療応答または予防応答をもたらすことが意図される。薬学的組成物には、調製または保存の間にタンパク質の安定性と生物学的活性を失うことに関係する問題を最小にするために、適切な安定剤、充填剤、またはそれらの両方が含められることが好ましい。
【0079】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の方法において有用なIL−2を含む薬学的組成物は、安定化させられた単量体IL−2またはその変異体を含む組成物、多量体IL−2またはその変異体を含む組成物、および安定化させられた凍結乾燥もしくは噴霧乾燥させられたIL−2またはその変異体を含む組成物である。
【0080】
安定化させられた単量体IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、2000年10月3日に提出され、PCT番号PCT/US00/27156が割り当てられた、表題「Stabilized Liquid 3 Polypeptide−Containing Pharmaceutical Compositions」の同時係属中のPCT出願に開示されている。この開示は、引用により本明細書中に組み入れられる。「単量体」IL−2によって、本明細書中に記載される薬学的組成物の中の、それらの単量体形態として実質的に存在しており、凝集していない形態であるタンパク質分子が意図される。したがって、IL−2の共有または疎水性オリゴマーまたは凝集物は存在しない。簡単に説明すると、これらの液体組成物中のIL−2またはその変異体は、保存の間にIL−2またはその変異体が凝集物を形成することを少なくするために十分な量のアミノ酸塩基とともに処方される。アミノ酸塩基は、アミノ酸またはアミノ酸の組み合わせであり、ここでは任意の所定のアミノ酸は、その遊離の塩基の形態、またはその塩の形態のいずれかで存在する。好ましいアミノ酸は、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群より選択される。これらの組成物には、さらに、IL−2またはその変異体の安定性について許容される範囲内に液体組成物のpHを維持するための緩衝化剤が含まれる。ここでは、緩衝化剤は、その塩の形態を実質的に含まない酸、その塩の形態である酸、または酸とその塩形態の混合物である。好ましくは、酸は、コハク酸、クエン酸、燐酸、およびグルタミン酸からなる群より選択される。このような組成物は、本明細書中では、安定化させられた単量体IL−2薬学的組成物と呼ばれる。
【0081】
これらの組成物中のアミノ酸塩基は、液体である薬学的組成物の保存の間の凝集物の形成に対して、IL−2またはその変異体を安定化させるように作用する。一方、その塩の形態を実質的に含まない酸、その塩の形態である酸、または酸とその塩形態の混合物の、緩衝化剤としての使用によっては、ほぼ等張である浸透圧を有している液体組成物が得られる。液体の薬学的組成物には、他の安定剤、より具体的には、メチオニン、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、およびEDTAが、ポリペプチドの安定性をさらに高めるために、さらに配合される場合がある。このような液体の薬学的組成物は、安定化されていると言われる。なぜなら、その塩の形態を実質的に含まない酸、その塩の形態である酸、または酸とその塩形態の混合物と組み合わせてアミノ酸塩基の添加によって、これらの2つの成分の組み合わせが存在しない条件下で処方された液体の薬学的組成物と比較して、高い保存安定性を有している組成物が得られるからである。
【0082】
安定化させられた単量体IL−2またはその変異体を含むこれらの液体の薬学的組成物は、水溶液の形態で使用されるか、あるいは、後で使用するために凍結状態で、もしくは液体の形態に後で再構成するための乾燥形態で、または本発明の方法にしたがう被験体への投与に適切な他の形態で保存されるかのいずれかであり得る。「乾燥形態」によって、液体の薬学的組成物または処方物が凍結による乾燥(すなわち、凍結乾燥;例えば、Williams and Polli(1984)J.Parenteral Sci.Technol.38:48−59を参照のこと)、噴霧乾燥(Masters(1991)、in Spray−Drying Handbook(5th ed;Longman Scientific and Technical,Essez,U.K.,pp.491−676;Broadhead et al.,(1992)Drug Devel.Ind.Pharm.18:1169−1206;およびMumenthler et al.,(1994)Pharm.Res.11:12−20を参照のこと)、または風乾(Carpenter and Crowe(1988)Cryobiology 25:459−470;およびRoser(1991)Biopharm.4:47−53)のいずれかによって乾燥させられることが意図される。
【0083】
その凝集していない単量体状態のIL−2を含むIL−2処方物の他の例として、Whittington and Faulds(1993)Drugs 46(3):446−514に記載されている処方物が挙げられる。これらの処方物には、組み換え体IL−2産物が含まれる。ここでは、組み換え体IL−2突然変異タンパク質であるテセロイキン(Teceleukin)(アミノ末端にメチオニン残基が付加されている非糖化ヒトIL−2)は、0.25%のヒト血清アルブミンとともに、凍結乾燥させられた粉末に処方され、これは、等張性の生理食塩水で再構成される。そして組み換え体IL−2突然変異タンパク質であるバイオロイキン(Bioleukin)(アミノ末端にメチオニン残基が付加されており、ヒトIL−2配列の125位のシステイン残基がアラニンで置換されている、ヒトIL−2)は、0.1から1.0mg/mlのIL−2突然変異タンパク質が酸と混合されるように処方される。ここでは、処方物は、3.0から4.0のpHを有し、緩衝液を含まないことが有利であり、1000mmhos/cm未満の伝導率(500mmhos/cm未満であることが有利である)を有する。EP 373,679;Xhang et al.,(1996)Pharmaceut.Res.13(4):643−644;およびPrestrelski et al.,(1995)Pharmaceut.Res.12(9):1250−1258を参照のこと。
【0084】
多量体IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物の例は、共有にかかる米国特許第4,604,377号に開示されている。この開示は、引用により本明細書中に組み入れられる。「多量体」によって、タンパク質分子が平均して10〜50個の分子が会合している微小凝集形態で薬学的組成物中に存在することが意図される。これらの多量体は、ゆるく結合した、物理的に会合しているIL−2分子として存在する。これらの組成物の凍結乾燥形態は、商品名プロロイキン(Chiron Corporation,Emeryville,California)として市販されている。この参考文献中に開示される凍結乾燥させられた処方物には、選択的に酸化させられた、微生物によって生産された組み換え体IL−2が含まれており、ここでは、組み換え体IL−2は、水中に組み換え体IL−2が溶解することを確実にするための、多量の十分な量のドデシル硫酸ナトリウムを提供する、マンニトールのような水溶性担体と混合される。これらの組成物は、非経口投与のための水性の注射液の再構成に適しており、ヒト患者において安定であり、十分に寛容される。再構成されても、IL−2またはその変異体はその多量体状態を維持する。多量体IL−2またはその変異体を含む、このような凍結乾燥させられた組成物または液体の組成物は、本発明の方法に含まれる。このような組成物は、本明細書中では、多量体IL−2薬学的組成物と呼ばれる。
【0085】
本発明の方法ではまた、IL−2またはその変異体を含む、安定化させられた凍結乾燥させられた、または噴霧乾燥させられた薬学的組成物が使用される場合もある。これらは、本発明の方法にしたがって投与するために、液体または他の適切な形態になるように再構成され得る。このような薬学的組成物は、2000年11月28日に提出された米国特許出願番号09/724,810の表題「Methods for Pulmonary Delivery of Interleukin−2」と題された同時係属中の出願、および2000年12月27日に提出された国際出願PCT/US00/35452に開示されている。これらは引用により本明細書中に組み入れられる。これらの組成物には、さらに、少なくとも1つの充填剤、乾燥プロセスの間タンパク質を安定化させるために十分な量の少なくとも1つの物質、またはこれらの両方が含まれる場合がある。「安定化させられた」によって、IL−2タンパク質またはその変異体が、その単量体または多量体形態を保ち、さらに、組成物の固形または乾燥粉末形態を得るための凍結乾燥または噴霧乾燥後の品質、純度、および能力についてのその他の鍵となる特性を保つことが意図される。これらの組成物においては、充填剤として使用される好ましい担体材料として、グリシン、マンニトール、アラニン、バリン、またそれらの任意の組み合わせが挙げられ、最も好ましいものはグリシンである。充填剤は、使用される物質に応じて、0%から約10%(w/v)の範囲で処方物中に存在する。安定剤としての使用に好ましい担体材料としては、任意の糖または糖アルコール、あるいは任意のアミノ酸が挙げられる。好ましい糖としては、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、ソルビトール、グルコース、ラクトース、デキストロース、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ、好ましいものはスクロースである。安定剤が糖である場合は、これは、約0%から約9.0%(w/v)の範囲で、好ましくは、約0.5%から約5.0%の範囲で、より好ましくは、約1.0%から約3.0%の範囲で、最も好ましくは、約1.0%で存在する。安定剤がアミノ酸である場合は、これは、約0%から約1.0%(w/v)の範囲で、好ましくは、約0.3%から約0.7%の範囲で、最も好ましくは、約0.5%で存在する。これらの安定化させられた凍結乾燥組成物または噴霧乾燥組成物には、状況に応じて、メチオニン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウムまたは他のキレート化剤(これは、メチオニンの酸化に対してIL−2またはその変異体を保護する)が含まれる場合がある。この様式でのこれらの物質の使用は、同時係属中の米国仮特許出願番号60/157696(これは引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されている。安定化させられた凍結乾燥組成物または噴霧乾燥組成物は、緩衝化剤を使用して処方される場合がある。緩衝化剤により、処方プロセスの間、または乾燥形態の組成物の再構成の後のような液相の中で、許容される範囲、好ましくは、約pH4.0から約pH8.5に薬学的組成物のpHが維持される。緩衝液は、これらが乾燥プロセスと適合し、処理の間および保存の際のタンパク質の品質、純度、能力、および安定性に影響を及ぼさないように選択される。
【0086】
先に記載された安定化させられた単量体、多量体、および安定化させられた凍結乾燥させられたまたは噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物は、本発明の方法での使用に適している組成物を呈する。しかし、IL−2またはその変異体を治療有効成分として含む任意の薬学的組成物が本発明の方法に含まれる。
【0087】
本明細書中で使用される場合は、用語「抗ガン抗体」には、ガン細胞、特に、目的の特定のガンの細胞上にある特定の細胞表面抗原を標的化するように設計された抗体が含まれる。好ましくは、抗ガン抗体はモノクローナルの性質であり、好ましくは、IgG1モノクローナル抗体である。適切なIgG1モノクローナル抗体としては、リツキサン(登録商標)(これは、新生物性B細胞上のCD20抗原を標的とし、非ホジキンB細胞リンパ腫および慢性リンパ球性白血病(CLL)を含むB細胞リンパ腫の処置に有効である);テレックス(MUC1特異的ヒト化HMFG1、これは、乳ガン、ならびに、卵巣ガンおよび結腸ガンを含む他のMUC1ポジティブ腫瘍に対して開発された);MDX−010(活性化T細胞に対するヒト抗CTLA−4ネガティブ調節因子;これは、黒色腫、濾胞性リンパ腫、結腸ガンおよび前立腺ガンに対して開発された);EMD 72000およびエルビタックス(IMC−225)(EGFRポジティブガン、最も顕著なものは、結腸ガンに対して開発されたヒト抗EGFR);WX−G250(MN抗原特異的;腎細胞ガンおよび子宮頸ガンに対して開発された);IDM−1(卵巣ガンの処置のため);MDX−210(乳ガンおよび卵巣ガンの処置のため);ZAMYL(急性骨髄性白血病(AML)の処置のため);ならびに、キャンパス(CLLの処置のため)が挙げられるが、これらに限定はされない。以下の議論は、B細胞リンパ腫を処置する目的の抗CD20抗体に関するものであるが、その概念は、抗体についての上記のリストに同様に適用することができる。
【0088】
本明細書中で使用される場合は、用語「抗CD20抗体」には、CD20 B細胞表面抗原を特異的に認識する任意の抗体が含まれ、これには、ポリクローナル抗CD20抗体、モノクローナル抗CD20抗体、ヒト抗CD20抗体、ヒト化抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体、異種抗CD20抗体、およびCD20 B細胞表面抗原を特異的に認識するこれらの抗CD20抗体の断片が含まれる。好ましくは、抗体は、モノクローナルの性質である。「モノクローナル抗体」によって、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体が意図される。すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在する、可能性がある自然界に存在している突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、1つの抗原性部位、すなわち、本発明のCD20 B細胞表面抗原に対して向けられている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に向けられた種々の抗体を通常含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の1つの決定基に向けられている。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるとして抗体の特徴を示し、そして任意の特定の方法による抗体の生産が必要であるとは解釈されない。例えば、本発明にしたがって使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作成することができ、また、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号)によって作成することもできる。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.,(1991)Nature 352:624−628およびMarks et al.,(1991)J.Mol.Biol.222:581−597に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離される場合もある。
【0089】
マウスを起源とする抗CD20抗体は、本発明の方法での使用に適している。このようなマウス抗CD20抗体の例としては、B1抗体(米国特許第6,015,542号に記載されている);1F5抗体(Press et al.,(1989)J.Clin.Oncol.7:1027);NKI−B20およびBCA−B20抗CD20抗体(Hooijberg et al.,(1995)Cancer Research 55:840−846);ならびにIDEC−2B8(IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,Californiaから市販されている);2H7抗体(Clark et al.,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1766−1770に記載されている);ならびに、Clark et al.,(1985)(前出)およびStashenko et al.,(1980)J.Immunol.125:1678−1685に記載されている他の抗体が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0090】
用語「抗CD20抗体」には、本明細書中で使用される場合は、キメラ抗CD20抗体が含まれる。「キメラ抗体」により、組み換えデオキシリボ核酸技術を使用して導かれることが最も好ましく、そしてヒト(免疫学的に「関係している」種、例えば、チンパンジーを含む)成分とヒト以外の成分の両方を含む抗体が意図される。したがって、キメラ抗体の定常領域は、自然界に存在しているヒト抗体の定常領域と実質的に同一であることが最も好ましい;キメラ抗体の可変領域は、ヒト以外の供給源に由来し、そしてCD20細胞表面抗原に特異的な所望される抗原特異性を有することが最も好ましい。ヒト以外の供給源は任意の脊椎動物である供給源であり、これは、ヒトCD20細胞表面抗原に対する抗体、またはヒトCD20細胞表面抗原を含む物質を作成するために使用することができる。このようなヒト以外の供給源としては、齧歯類(例えば、ウサギ、ラット、マウスなど;例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)およびヒト以外の霊長類(例えば、旧世界ザル(Old World Monkey)、類人猿(Ape)など;例えば、米国特許第5,750,105号および同第5,756,096号を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定はされない。最も好ましくは、ヒト以外の成分(可変領域)はマウスである供給源に由来する。本明細書中で使用される場合には、表現「免疫学的に活性」は、キメラ抗CD20抗体についての言及において使用される場合には、ヒトC1qに結合し、ヒトBリンパ球細胞株の補体依存性溶解(「CDC」)を媒介し、そして抗体依存性細胞傷害性(「ADCC」)を通じてヒトの標的細胞を溶解させるキメラ抗体を意味する。キメラ抗CD20抗体の例としては、商品名リツキサン(登録商標);IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,California)として市販されており、米国特許第5,736,137号、同第5,776,456号、および同第5,843,439号に記載されているIDEC−C2B8;米国特許第5,750,105号に記載されているキメラ抗体;米国特許第5,500,362号;同第5,677,180号、同第5,721,108号;および同第5,843,685号に記載されているキメラ抗体が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0091】
ヒト化抗CD20抗体もまた、本明細書中で使用される場合には、用語抗CD20抗体に含まれる。「ヒト化」によって、非ヒト免疫グロブリン配列に由来する最小配列を含む抗CD20抗体の形態が意図される。大部分については、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、ここでは、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望される特異性、親和性、および能力を有しているヒト以外の種、例えば、マウス、ラット、ウサギ、もしくはヒト以外の霊長類の超可変領域(ドナー抗体)に由来する残基で置き換えられている。例えば、米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,859,205号を参照のこと。いくつかの場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク残基が、対応するヒト以外の残基で置き換えられている(例えば、米国特許第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,761号を参照のこと)。さらに、ヒト化抗体には、レシピエント抗体中に、またはドナー抗体中には見ることができない残基が含まれる場合がある。これらの修飾は、抗体の能力をさらに洗練させるために(例えば、所望される親和性を得るために)行われる。一般的には、ヒト化抗体には、少なくとも1つ、通常は2つの可変ドメインの実質的に全てが含まれる。ここでは、超可変領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト以外の免疫グロブリンのものに相当し、そして、フレームワーク領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体には、状況に応じて、少なくとも、免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、通常は、ヒト免疫グロブリンの定常領域の一部が含まれる。さらなる詳細については、Jones et al.,(1986)Nature 331:522−525;Riechmann et al.,(1988)Nature 332:323−329;およびPresta(1992)Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596を参照のこと。
【0092】
用語抗CD20抗体にはまた、ヒト以外の哺乳動物宿主、より具体的には、トランスジェニックマウスの中で生産され、不活化させられた内因性免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を特徴とする、異種抗CD20抗体または修飾された抗CD20抗体も含まれる。このようなトランスジェニック動物においては、宿主免疫グロブリンの軽サブユニットおよび重サブユニットの発現のための能力を有している内因性遺伝子は、非機能的にされ、そして同様のヒト免疫グロブリン遺伝子座と置換される。これらのトランスジェニック動物は、軽または重宿主免疫グロブリンサブユニットが実質的に存在しない状況で、ヒト抗体を生産する。例えば、米国特許第5,939,598号を参照のこと。
【0093】
抗CD20抗体の断片は、これらが所望される全長の抗体の親和性を保持している限りは、本発明の方法での使用に適している。したがって、抗CD20抗体の断片は、CD20 B細胞表面抗原に結合する能力を保持している。抗体の断片には、全長の抗体の一部、一般的には、その抗原結合領域または可変領域が含まれる。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片、ならびに単鎖抗体分子が挙げられるが、これらに限定はされない。「単鎖Fv」または「sFv」抗体断片によって、抗体のVおよびVドメインを含む断片が意図される。ここでは、これらのドメインは、一本鎖のポリペプチド鎖の中に存在する。例えば、米国特許第4,946,778号;同第5,260,203号;同第5,455,030号;同第5,856,456号を参照のこと。一般的には、Fvポリペプチドにはさらに、VドメインとVドメインの間に、ポリペプチドリンカーが含まれ、これによって、sFvは抗原の結合のための所望される構造を形成することができる。sFvの概要については、Pluckthun(1994)in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Vol.113、Rosenburg and Moore(Springer−Verlag,New York)、pp269−315を参照のこと。
【0094】
抗体または抗体断片は、McCafferty et al.,(1990)Nature 348:552−554(1990)に記載されている技術を使用して作成される抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clackson et al.,(1991)Nature 352:624−628およびMarks et al.,(1991)J.Mol.Biol.222:581−597には、それぞれファージライブラリーを使用した、マウスおよびヒト抗体の単離が記載されている。これに続く文献には、鎖のシャッフリング(Marks et al.,(1992)Bio/Technology 10:779−783)、ならびに、非常に大きなファージライブラリーを構築するためのストラテジーとしてのコンビナトリアル感染、および生体内での組み換え(Waterhouse et al.,(1993)Nucleic.Acids Res.21:2265−2266)による、高親和性(nM範囲)のヒト抗体の生産が記載されている。したがって、これらの技術は、モノクローナル抗体の単離のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術についての実行可能な代案である。
【0095】
ヒト化抗体には、ヒト以外である供給源に由来する1つ以上のアミノ酸残基がその中に導入されている。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、多くの場合は、「ドナー」残基と呼ばれ、これは、通常、「ドナー」の可変ドメインから得られる。ヒト化は、基本的には、Winterと共同研究者らの方法(Jones et al.,(1986)Nature 321:522−525;Richmann et al.,(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyen et al.,(1988)Science 239:1534−1536)にしたがって、齧歯類CDRまたはCDR配列を対応するヒト抗体の配列で置換することによって行うことができる。例えば、米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,859,205号を参照のこと。したがって、このような「ヒト化」抗体には、実質的に完全なものよりも小さいヒト可変ドメインがヒト以外の種に由来する対応する配列によって置換されている抗体が含まれる場合がある。実際、ヒト化抗体は、その中のいくつかのCDR残基および可能性のあるいくつかのフレームワーク残基が、齧歯類抗体中の同様の部位に由来する残基によって置換されている典型的なヒト抗体である。例えば、米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,859,205号を参照のこと。米国特許第6,180,370号および国際公開番号WO 01/27160もまた参照のこと。ここでは、予め決定された抗原に対する親和性が改善されているヒト化抗体と、そのようなヒト化抗体を生産するための技術が開示されている。
【0096】
抗体断片の生産のための種々の技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、完全な抗体のタンパク質分解的消化によって導かれている(例えば、Morimoto et al.,(1992)Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennan et al.,(1985)Science 229:81を参照のこと)。しかし、これらの断片は、現在は、組み換え宿主細胞から直接生産させることができる。例えば、抗体断片は、上記で議論された抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−SH断片を、大腸菌(E.coli)から直接回収し、化学的にカップリングさせてF(ab’)断片を形成させることができる(Carter et al.,(1992)Bio/Technology 10:163−167)。別のアプローチにしたがうと、F(ab’)断片は、組み換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片の生産のための他の技術は当業者に明らかであろう。
【0097】
さらに、上記の抗CD2−抗体の任意のものが、本発明の方法での使用の前に結合させられる場合もある。このような結合抗体は当該分野で利用することができる。したがって、抗CD20抗体は、間接標識または間接標識アプローチを使用して標識することができる。「間接標識」または「間接標識アプローチ」により、キレート化剤が抗体に共有結合させられ、そして少なくとも2つの放射性核種がキレート化剤に挿入されることが意図される。例えば、Srivagtava and Mease(1991)Nucl.Med.Bio.18:589−603に記載されているキレート化剤および放射性核種を参照のこと。あるいは、抗CD20抗体は、「直接標識」または「直接標識アプローチ」を使用して標識される場合もある。ここでは、放射性核種が、抗体に直接共有結合させられる(通常は、アミノ酸残基を介して)。好ましい放射性核種は、Srivagtava and Mease(1991)(前出)に提供されている。間接標識アプローチが特に好ましい。例えば、米国特許第6,015,542号に記載されている抗CD20抗体の標識された形態を参照のこと。
【0098】
抗CD20抗体は、通常、薬学的に許容される緩衝液(例えば、滅菌の生理食塩水、滅菌の緩衝用水、プロピレングリコール、上記の組み合わせなど)の中に、標準的な技術によって提供される。非経口的に投与することができる薬剤を調製するための方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed、Mack Pub.Co.:Eaton,Pennsylvania,1990)に記載されている。例えば、国際公開番号WO 98/56418もまた参照のこと。これには、本発明の方法での使用に適している安定化させられた抗体の薬学的処方物が記載されている。
【0099】
本発明によって、また、本発明の診断方法において使用されるキットも提供される。このようなキットには、Fcγ受容体IIIA(FcγRIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれる。ここでは、多型領域には、FcγRIIIA 158F対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている。このようなキットにより、個体の中にこの対立遺伝子が存在することを検出する、好ましくは、ホモ接合型158F/F遺伝子型を検出することができる。あるいは、キットには、Fcγ受容体IIA(FcγRIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれる。ここでは、多型領域には、FcγRIIA 131R対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている。このようなキットにより、個体の中にこの対立遺伝子の少なくとも1つのコピーが存在していることを検出することができる。これらのキットは組み合わせることができ、その結果、両方の遺伝子に特異的なプライマーまたはプローブがキットに含まれる。さらに、このキットには、使用についての説明書を含めることができる。
【0100】
以下の実施例は、説明のために提供され、限定のために提供されるものではない。
【実施例1】
【0101】
材料および方法
A.IL−2
使用したIL−2処方物は、Emeryville,CaliforniaのChiron Corporationより、商品名プロロイキン(登録商標)として製造されている。この処方物中のIL−2は、組み換えによって生産された、非糖化ヒトIL−2突然変異タンパク質であり、アルデスロイキンと呼ばれている。これは、最初のアラニン残基が除去されており、125位のシステイン残基がセリン残基で置き換えられているという点で自然界に存在しているヒトIL−2アミノ酸配列とは異なる(des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2と呼ばれる)。このIL−2突然変異タンパク質を、米国特許第4,931,543号に記載されているように、大腸菌(E.coli)の中で発現させ、その後、透析と陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。プロロイキン(登録商標)として販売されているIL−2処方物は、1.3mg(22MIU)のタンパク質を含むバイアルの中に入った、滅菌の、白色から黄色がかった白色の、防腐剤の入っていない凍結乾燥させられた粉末として提供されている。
【0102】
B.抗CD20抗体
この実施例および以下の実施例で使用した抗CD20抗体は、リツキサン(登録商標)(リツキシマブ;IDEC−C2B8;IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,California)である。これは、そのパッケージ封入用量で投与される(6時間かけて375mg/mが注入される)。
【0103】
C.遺伝子型分類
活性なFcγRとのIgG FcγRの相互作用を介して媒介される抗体依存性細胞傷害性(ADCC)は、リツキシマブの治療活性の根底のある重要な機構であるようである。FcγRIIIA(CD16)およびFcγRIIA(CD32)における遺伝子の多型は、濾胞性リンパ腫(FL)患者においてリツキシマブに対する臨床応答に影響を与えることが報告されている。例えば、Weng et al.,(2003)J Clin Oncol.21(21):3940−7を参照のこと。インターロイキン−2(プロロイキン(登録商標)は、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球/マクロファージ、および好中球を含む、FcRを有している細胞の増殖および活性化を誘導することができ、それによって、モノクローナル抗体によって媒介されるADCCを促進することができる。
【0104】
したがって、被験体を、559位のヌクレオチドでのニ対立遺伝子機能的多型(G→T)(これは、158位のアミノ酸のバリン(V)からフェニルアラニン(F)への置換を示す)を含むFcγRIIIa中の1つ以上の既知の多型について、この位置でのそれらのFcγRIIIa遺伝子型(158FF、158FV、または158VV)を決定するために評価した。例えば、Koene et al.,(1997)Blood 90(3):1109−14を参照のこと。1つ以上のさらなる多型部位での被験体の遺伝子型(例えば、48L/R/H、131R/H、176F/Vなど)もまた、決定することができる。例えば、Weng et al.,(2003)(前出);de Vries et al.,(1996)Blood 88(8):3022−7;de−Hass et al.,(1996)J.Immunol.1996 156(8):3948−55を参照のこと。
【0105】
被験体の遺伝子型分類は、基本的には、Koene et al.,(1997)Blood 90(3):1109−1114、および/またはLeppers−van de Straat et al.,(2000)J.Immunol.Methods 242(1−2):127−32に記載されているように行った。簡単に説明すると、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、遺伝子型分類される被験体から得られた試料(例えば、全血またはPBMC)から標的多型を含む配列を増幅させた。遺伝子型を分類するための別の方法は、2004年4月7日に提出された、米国仮特許出願番号60/560,649(これは、その全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に詳細に記載されている。
【0106】
D.応答の格付け
腫瘍応答の格付けは、非ホジキンリンパ腫についての応答基準を標準化するための国際ワークショップ(International Workshop to Standardize Response Criteria for Non−Hodgkin’s Lymphomas)の報告(Cheson et al.,(1999)J.Clin.Oncol.17:1244−1253を参照のこと)、および以下のようなプロトコールによって定義されている基準に基づいて行った:
・完全寛解(CR) − 全ての以前には異常であった放射線学的検査、脳脊髄液(CSF)が正常化している、臨床的に検出可能な疾患が存在していないと定義される。応答は、少なくとも1ヶ月間は持続しなければならない。化学療法の以前にはリンパ腫についてポジティブである骨髄を有していた患者は、繰り返して生検をしなければならず、これによって1ヶ月後に、リンパ腫についてネガティブであると確認される。
【0107】
・部分寛解(PR) − 新しい病変が存在せず、少なくとも1ヶ月間持続する、全ての測定可能な全腫瘍量の少なくとも50%の減少と定義される(測定可能な腫瘍に対してのみ適応することができる)。
【0108】
患者を、以下についてもまた(例えば、プロロイキン(登録商標)IL−2およびリツキシマブ療法の効果について)評価した:
・反応持続期間 − 最初の立証された応答から進行性の疾患になるまでの時間として定義される。
【0109】
・増殖抑制期間 − 試験に入ってから進行性の疾患、再発、または死亡までの時間として定義される。
【0110】
・安定疾患(SD) − 進行性疾患が存在しない、全腫瘍量の50%未満の減少と定義される。
【0111】
・進行性疾患(PD) − 全腫瘍量の25%以上の増加を示すか、または新しい部位での疾患の出現として定義される。
【0112】
・ 再発(R) − 完全寛解の立証後の腫瘍の出現として定義される。
【実施例2】
【0113】
ヒトB細胞非ホジキンリンパ腫の異種移植モデルにおけるIL2−リツキシマブの併用
IL−2(プロロイキン(登録商標)とリツキシマブの併用投与を、以下のように、ヒトB細胞リンパ腫の2つの異なる異種移植モデルにおいて評価した。NamalwaおよびDaudi異種移植モデルについては、例えば、Hudson et al.,(1998)Leukemia 12(12):2029−2033を参照のこと。
【0114】
NamalwaおよびDaudiヒトB細胞株を、NKコンピテントBalb/cヌードマウス(n=10/グループ)において皮下腫瘍として増殖させた(100〜200mmの段階)。Namalwa/Balb/cヌードマウスモデルは、CD20の低レベルの発現と関係しており、これは、侵攻性/高悪性度の疾患のモデルとして認識されている。Daudi/Balb/cヌードモデルは、CD20を高レベルで発現し、侵攻性の低い/低悪性度の疾患プロフィールに関係している。さらに、NK細胞は、IL−2のようなサイトカインによる活性化が存在しない条件下では、Daudi腫瘍細胞を溶解させることはできない。例えば、Damle et al.,(1987)J.Immunol.138(6):1779−1785を参照のこと。種々のマウスモデルについて選択される特性を以下に示す:
【0115】
【化7】

NamalwaまたはDaudi腫瘍細胞をマウスに移植し、リツキシマブおよび/またはIL−2の投与を、腫瘍が100〜200mmの段階に達した時点で、通常は、腫瘍細胞の移植後8〜12日目に開始した。
【0116】
単剤投与レジュメは以下の通りである。マウスの1つのグループには、0.25mg/kgのIL−2を毎日皮下投与(s.c.)した(低用量の毎日投与のグループ)。別のグループのマウスには、週に3回、1、3、5、8、10、12、15、17、19、22、24、および26日目に、IL−2(1mg/kgのs.c.)を投与した。第3のグループのマウスには、1、8、15、および22日目に、リツキシマブをi.v.またはi.p.で投与した(例えば、10mg/kg、1回/週、i.p.)。さらに、Daudiマウスについては、別のグループに、リツキシマブのF(ab’)断片を、1回/週(1、8、15、および22日目)に10mg/kgをi.v.またはi.p.で投与した。対照動物には、賦形剤のみを投与した。
【0117】
併用剤投与レジュメもまた、上記の投与量で、毎日投与、または週に3回の投与のいずれかでIL−2を投与した動物に対して、1、8、15、および22日目にリツキシマブを投与することによって試験した。Daudi動物のグループにもまた、IL−2(毎日、または週に3回)とリツキシマブF(ab’)(1回/週)の併用剤を投与した。単剤および併用剤の全ての投与レジュメが良好な耐容性を示した。
【0118】
A.Namalwaモデル
Namalwaマウスモデルにおいては、単剤としてのIL−2の毎日または週に3回の投与は、腫瘍の増殖を阻害することにおいては同等に有効であった。特に、毎日または週に3回のIL−2の投与レジュメによっては、Namalwaマウスモデルにおいて、約40〜60%の腫瘍の増殖の、統計学的に有意な阻害(p<0.05、ANOVA)が得られた。
【0119】
Namalwa腫瘍は、通常は、リツキシマブに耐性である。10、25、または50mg/kg、1回/週でリツキシマブを投与した場合には、Namalwa動物については腫瘍の効力に差は見られなかった(約0〜30%の腫瘍増殖の阻害、p>0.05、ANOVA)。
【0120】
リツキシマブ−IL−2の併用投与を投与したNamalwa腫瘍の動物は、IL−2のみを投与した動物と比較して、週に1回のリツキシマブ(10mg/kg)と組み合わせた毎日のIL−2(0.5mg/kg、s.c.)によってわずかに高い効力を示した(p=0.046、ANOVA)。さらに、週に3回の、リツキシマブ10mg/kgとのIL−2(1mg/kg)の併用は、IL−2のみを投与した(1mg/kg、3回/週、p>0.05、ANOVA)動物を上回るような改善は示さなかった。
【0121】
B.Daudiモデル
Daudi腫瘍の動物は、通常は、単剤IL−2投与(毎日または週に3回のいずれか)に対して耐性であった。IL−2のみを毎日投与した(0.5mg/kg、毎日×12回、その後1週間休む、を2サイクル)動物のDaidu腫瘍の容積は、対照と比較してわずかに減少した(p=0.047、ANOVA)。Daudi腫瘍の動物への週に3回のIL−2の投与(1または1.5mg/kg、3回/週を×4週間)もまた、対照と比較してわずかな腫瘍容積の減少を示した(p=0.01、ANOVA)。
【0122】
しかし、Daidi腫瘍は、リツキシマブの投与に対する応答性が高かった。Daudi腫瘍の有意な増殖阻害と用量応答効果は、10および50mg/kg、1回/週のリツキシマブを投与した動物においても見られた。同様の結果が、リツキシマブ(10mg/kg、1回/週)および毎日のIL−2(0.25mg/kg、毎日)の併用投与を使用して得られた。
【0123】
週に3回のIL−2と週に1回のリツキシマブの併用投与によって、単剤のIL−2、単剤のリツキシマブ、および毎日のIL−2と週に1回のリツキシマブの併用と比較して、有意な腫瘍増殖の阻害と他覚的な腫瘍応答が得られることは際立っている。IL−2とリツキシマブとの間での明らかな相乗作用もまた、リツキシマブおよびIL−2のそれぞれと比較して、41日目および57日目までの増殖抑制期間の有意な遅延によって明らかになった。
【0124】
さらに、単剤のIL−2の投与と、リツキシマブF(ab’)、10mg/kgと週に3回のIL−2(1mg/kg、3回/週)の併用療法との間では有意な差は観察されなかった。このことは、IL−2とリツキシマブの併用療法の効力が、DaudiモデルのIgG1 Fcによって媒介されるエフェクター機構に依存していることを示している。
【0125】
したがって、Daudi異種移植モデルにおけるIL−2とリツキシマブの併用によって、有意な持続性の腫瘍応答が生じる。臨床的な観察を、表Aにまとめる。
【0126】
【化8】

応答は、最初からの縮小の程度によって定義する、すなわち、CR(100%);PR(50〜99%);MR(25〜49%);SD(±25%)
まとめると、単剤IL−2は、侵攻性が低い/低悪性度のDaudiモデルと比較して、侵攻性/高悪性度のNamalwaモデルにおいてより有効であった。さらに、リツキシマブに対する腫瘍の応答性は、CD20発現の表現形(すなわち、Daudi CD20高>Namalwa CD20低)と良好な相関関係にあり、疾患状態とは逆の関係(低悪性度 Daudi>高悪性度 Namalwa)にあるようであった。高悪性度のNamalwaモデルにおいては、IL−2とリツキシマブの毎日の投与は、単剤IL−2と比較してわずかに増大した効率を示した。Daudiモデルにおいては、週に3回のIL−2とリツキシマブは、明確な相乗効果を示し、そして低悪性度のDaudi腫瘍モデルにおいては増殖抑制期間が長くなった。リツキシマブのF(ab’)2断片は活性を失った。このことから、IL−2/リツキサン併用療法による抗腫瘍応答の促進におけるIgG1 Fc−FcRによって媒介されるADCCの重要な役割が明らかである。
【実施例3】
【0127】
第1相IL2−リツキシマブ併用療法
2つの並行する第1相試験を、再発した、または難治性のB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)患者において、リツキシマブとIL−2での併用療法を評価するために行った。Gluck et al.,(2004)Clin Cancer Res.10(7):2253−2264を参照のこと。
【0128】
34人の進行性NHLの患者に、リツキシマブ(375mg/m(2)、i.v.、毎週、1〜4週間)と、漸増用量のs.c.IL−2(2〜7.5百万国際単位(MIU)、毎日(n=19)、たとえば、2、4、5、6、および7.5MIU)または4.5〜18MIU(例えば、4.5、10、14、または18MIU)を週に3回(n=15)、2〜5週間)を投与した。
【0129】
これらの試験によって決定したIL−2の最大耐量は、6MIU(毎日のs.c.IL−2)または14MIU(3回/週)のいずれかであった。
【0130】
毎日投与スケジュールMTDに組み入れた9人の患者のうち、5人は臨床応答を示した。MTDでの週に3回のスケジュールについては、5人の患者のうちの4人が応答し、そして毎日投与よりもNK細胞の数が大きく増加した。応答は、様々なNHLサブタイプにおいても見られた。毎日IL−2を投与した被験体においては、応答は、びまん性大細胞型リンパ腫、MALT型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、およびリンパ形質細胞性リンパ腫で見られた。週に3回のIL−2を投与した被験体においては、応答は、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小細胞型リンパ腫、濾胞中心細胞リンパ腫、濾胞性混合型リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫の患者で見られた。全ての応答は持続性のようであった。
【0131】
NK細胞の数は、週に3回のレジュメについての臨床応答と相関していた。最大用量のレベルでは、平均のNK細胞数は5週目に最も多かった。さらに、ADCC活性は、応答性である安定疾患の患者においては、IL−2療法の後に高まり、そして維持された。Gluck et al.,(2004)Clin Cancer Res.10(7):2253−2264をまた参照のこと。
【0132】
したがって、リツキシマブ療法にIL−2を加えることは安全であり、週に3回のIL−2の投与を用いることにより、応答と相関関係にあるNK細胞の増殖が生じる。
【実施例4】
【0133】
リツキシマブ難治性または再発性被験体におけるIL2−リツキシマブ併用療法
リツキシマブ難治性であるかまたはリツキシマブでの処置後6ヶ月以内に再発した、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)患者におけるIL−2(プロロイキン(登録商標)とリツキシマブの併用を評価する第II相試験(本明細書中ではIL2NHL03と記載する)を開始した。リツキシマブを、1、2、3、および4週に、375mg/m(IV)の用量で毎週投与し、プロロイキン(登録商標)を、8週間にわたって週に3回皮下(SC)投与した(2、3、4、および5週の間は14MIU;6、7、8、および9週の間は10MIU)。この試験の評価項目には、全奏功率(ORR)、NK細胞の拡大およびNK細胞機能の評価、ならびにFcγRIIIAおよびRcγRIIA多型を含めた。
【0134】
・評価することができる患者は以下のように定義した:被験体には4週間のリツキシマブ療法と、所定のプロロイキン(登録商標)用量およびスケジュールの70%を投与しなければならない。応答を以下のように評価した。腫瘍の測定は、最も長い直径とその最大垂線を使用して、垂直直径の測定に基づいて行った。
【0135】
44人の患者を今日までに登録し、27人は、腫瘍応答について、現在、16週で評価することができる。5人について臨床応答が報告されており、2人については完全寛解であり、3人については部分寛解であり、これには、以前のY−90イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin)ではうまくいかなかった患者のPRが含まれていた;5人の患者は安定疾患を有していた。
【0136】
A.158 F/V多型
20人の患者を、実施例1において上記に記載したように遺伝子型について分類した。20人のこのグループにおいては、4人が臨床応答を示したことが報告され、これには、1人の完全寛解と3人の部分回復が含まれていた。(表B、下記)。さらに、4人の患者は、4ヶ月以上にわたって安定疾患(SD)を有していた。
【0137】
【化9】

このリツキシマブ難治性/再発性の集団においては、FcγRIIIA 158アロタイプの頻度が、正常な/報告されたFL NHL集団におけるそれぞれ、32〜39%と46〜51%と比較して、ホモ接合型158 F/F(13/20;65%)の被験体における顕著な増加と、ヘテロ接合型FcγRIIIA 158V/F(5/20;25%)の低い頻度に明らかに偏っていることは、明確である。以下の表1を参照のこと。
【0138】
【表1】

驚くべきことに、FcγRIIa 158多型に遺伝子型分類されている臨床応答を示すヒトは全て、FcγRIIIA 158F/F/遺伝子型を発現していた。これは、応答率が低いことと、リツキシマブだけに対する応答の期間と関係している。以下の表2を参照のこと。
【0139】
【表2】

さらに、腫瘍の容積の変化の割合を遺伝子型分類した患者において測定した場合には、腫瘍の容積は、158 F/F患者においてより顕著に縮小していた(図3)。
【0140】
NK細胞の数を、FcγRIIIA 158F/Fの保有者である患者のサブセットにおいて、試験の10週目に得、臨床状態と相関させた。結果を図2に示す。これらのデータは、NKCD16+CD56+細胞の数の、疾患状態(PD=進行性疾患;SD=安定疾患;PR/CR=部分寛解/完全寛解)とのポジティブな相関関係を示している。
【0141】
表3には、この試験での、低悪性度のNHL疾患型とFcγRIIIA 158遺伝子型との間の関係をまとめる。
【0142】
【表3】


【0143】
B.131H/R多型
リツキシマブ難治性または再発性患者の遺伝子型もまた、他の患者の集団と比較して、ホモ接合型FcγRIIA 131H/H患者の高い割合(7/17(42%))と、FcγRIIA 131H/R患者の低い割合(5/17(29%))の増加を示した。
【0144】
【表4】

さらに、今日までに評価した臨床応答を示すヒトの全てがFcγRIIA 131−R保有者であり、リツキシマブ療法に対しては不良な治療成績を有していた。以下の表5を参照のこと。
【0145】
【表5】

結論として、遺伝子多型FcγRIIIA 158F/FおよびFcγRIIA 131R/Rは、単剤であるリツキシマブに対する乏しい臨床応答に関係している。しかし、FcγRを保有している細胞を効率よく拡大させ活性化させる、IL−2での免疫療法による介入によって、低親和性IgG FcγRアロタイプを保有している患者においてより有効にADCCを導くために十分なNK細胞数の臨界閾値を得ることができ、したがって、抗ガンモノクローナル抗体療法に対して効率よく応答する能力をそのような個体に回復させることができる。
【実施例5】
【0146】
未処置の被験体におけるIL2−リツキシマブの併用療法
難治性または以前の化学療法の後に再発した、リツキシマブで処置されていない濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)患者を、158位と131位のアミノ酸でのFcγRIIIA多型と、リツキシマブのみ、およびIL−2と組み合わせたリツキシマブに対する臨床応答との間の関係について試験した。治療群を多型状態によって階層化し、被験体に、リツキシマブのみを(i.v.、375mg/m、4週間の間毎週)、または週に3回の皮下rhIL−2(プロロイキン(登録商標)と組み合わせたこの投与プロトコールにしたがって8週間(最初の4週間の間は14MIU、その後の4週間の間は10MIU)リツキシマブを投与した。
【0147】
全血試料および腫瘍生検を、その後の遺伝子発現プロファイリング、およびこれらの2つのFcγRIIIA多型とFcγRIIA多型についての遺伝子型の特性決定のために採取した。処置プロトコールの開始後14週目の臨床結果は、遺伝子型およびNK細胞数と相関していた。
【0148】
本明細書中に記載された全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者のレベルの指標である。全ての刊行物および特許文献は、個々の刊行物または特許出願が、引用により組み入れられるように詳細に、かつ個々に示されているかのように、同じ程度にそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
【0149】
当業者は、本明細書中に記載される本発明の特異的な実施形態と等価である多くのことを認識し、そして、日常的に行われている実験以上のものを使用することなく確認できる。このような等価物は、本明細書中に開示される実施形態の範囲に含まれると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】図1は、FcγRIIIA 158V/F多型の位置を示す。これは、配列番号1の内部の3つの可能性のある開始コドンのうちのどれがヒトFcγRIIIA配列についてのオープンリーディングフレームを開始するために使用されるかに依存する。配列番号1の185位のヌクレオチド(すなわち、第1の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、G/T置換により、翻訳されるポリペプチドの212位のアミノ酸残基においてV/F多型が生じる(配列番号4を参照のこと)。配列番号1の293位のヌクレオチド(すなわち、第2の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、G/T置換により、翻訳されるポリペプチドの176位のアミノ酸残基においてV/F多型が生じる(配列番号6を参照のこと)。配列番号1の344位のヌクレオチド(すなわち、第3の開始コドン)で翻訳が開始する場合は、G/T置換により、翻訳されるポリペプチドの159位のアミノ酸残基においてV/F多型が生じる(配列番号8を参照のこと)。
【図2】図2は、本明細書中以下の実験のセクションに記載される、IL2NHL03試験におけるFcγRIIIA 158F/F患者のサブセットについてのCD16/56+NK細胞数と臨床状態の相関関係を示す。
【図3】図3は、リツキシマブ−IL−2の併用投与の開始後8週間で測定した、遺伝子型分類をした患者における腫瘍の容積の割合(%)の変化を示すグラフである。投与レジュメは、実施例4に詳細に記載される。
【図4A】図4のパネルAおよびBは、FcγRIIIaおよびFcγRIIIb遺伝子に由来するヌクレオチド配列のアラインメントを示す。図4Aでは、FcγRIIIa(上段、標識されたHSFCGR31、遺伝子Bともまた呼ばれる)およびFcγIIIb(下段、標識されたHSFCGR32、遺伝子Aともまた呼ばれる)に由来する部分的なcDNA配列をアラインメントする。図4Aにはまた、四角の中に:遺伝子Aまたは遺伝子Bを示す位置(473位、531位、および641位)、さらには、559位の1ヌクレオチド多型(遺伝子Aにのみ存在する)(これは、V→F置換を示す)も示される。
【図4B】図4のパネルAおよびBは、FcγRIIIaおよびFcγRIIIb遺伝子に由来するヌクレオチド配列のアラインメントを示す。図4Bでは、遺伝子Aと遺伝子Bのエキソン4がアラインメントされ、2つの遺伝子の間での様々なヌクレオチドの差が示され、これには、エキソン4の最初の塩基に関して番号付けされた、313位での高度に特異的なヌクレオチドのバリエーションが含まれる。
【図5】図5のパネルAからNは、配列番号1から14を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体において、インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法であって、前記方法には、前記個体のFcγ受容体IIIA(FcγRIIIA)遺伝子についての対立遺伝子パターンを検出することが含まれ、ここでは、ホモ接合型FcγRIIIA 158F/F遺伝子型の存在が、前記IL−2免疫療法に対してポジティブな治療応答を示す個体の指標である、方法。
【請求項2】
前記個体に、ガンの処置のためのIL−2免疫療法が必要である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個体が、前記ガンの細胞の表面上に発現される細胞表面抗原を標的とする抗体での処置をもまた受けている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項2、3、または4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項2、3、または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記FcγRIIIA遺伝子についての対立遺伝子パターンが、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー特異的エクステンション、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、制限酵素部位の分析、および一本鎖高次構造多型分析からなる群より選択される方法によって検出される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体において、インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法であって、前記方法には、前記個体のFcγ受容体IIA(FcγRIIA)遺伝子についての対立遺伝子パターンを検出することが含まれ、ここでは、ヘテロ接合型FcγRIIA 131H/R遺伝子型の存在、またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型の存在が、前記IL−2免疫療法に対してポジティブな治療応答を示す個体の指標である、方法。
【請求項10】
前記個体に、ガンの処置のためのIL−2免疫療法が必要である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記個体が、前記ガンの細胞の表面上に発現される細胞表面抗原を標的とする抗体での処置をもまた受けている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項10、11、または12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項10、11、または12のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記FcγRIIIA遺伝子についての対立遺伝子パターンが、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー特異的エクステンション、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、制限酵素部位の分析、および一本鎖高次構造多型分析からなる群より選択される方法によって検出される、請求項9〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ホモ接合型FcγRIIIA(FcγRIIIA)158F/F遺伝子型を含む個体の免疫機能を高めるための方法であって、前記方法には、インターロイキン−2免疫療法を前記個体に投与することが含まれる、方法。
【請求項18】
前記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、前記個体に投与することが含まれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が前記個体に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記IL−2またはその変異体が皮下投与される、請求項17から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、請求項17から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、請求項17から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、請求項17から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記個体がガンについて処置されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
ヘテロ接合型Fcγ受容体IIA(FcγRIIA)131H/R遺伝子型またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型を含む個体の免疫機能を高めるための方法であって、前記方法には、インターロイキン−2免疫療法を前記個体に投与することが含まれる、方法。
【請求項34】
前記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、前記個体に投与することが含まれる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が前記個体に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記IL−2またはその変異体が皮下投与される、請求項33から37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、請求項33から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、請求項33から39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、請求項33から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記個体がガンについて処置されている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
ホモ接合型FcγIIIA(FcγRIIIA)158F/F遺伝子型を含む個体のガンを処置するための方法であって、前記方法には、インターロイキン−2免疫療法を前記個体に投与することが含まれる、方法。
【請求項50】
前記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、前記個体に投与することが含まれる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が前記個体に投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週毎に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記IL−2またはその変異体が皮下投与される、請求項49から53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、請求項49から54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、請求項49から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、請求項49から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記個体がガンについて処置されている、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
ヘテロ接合型FcγIIA(FcγRIIA)131H/R遺伝子型またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型を含む個体のガンを処置するための方法であって、前記方法には、インターロイキン−2免疫療法を前記個体に投与することが含まれる、方法。
【請求項66】
前記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、前記個体に投与することが含まれる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が前記個体に投与される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週毎に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記IL−2またはその変異体が皮下投与される、請求項65から69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、請求項65から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、請求項65から71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、請求項65から73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記個体がガンについて処置されている、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体におけるインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための、診断方法において使用されるキットであって、前記キットには、Fcγ受容体IIIA(FcγRIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれ、前記多型領域には、FcγRIIIA 158F対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている、キット。
【請求項82】
使用のための説明書がさらに含まれている、請求項81に記載のキット。
【請求項83】
インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体におけるインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための、診断方法において使用されるキットであって、前記キットには、Fcγ受容体IIA(FcγRIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれ、前記多型領域には、FcγRIIA 131R対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている、キット。
【請求項84】
使用のための説明書がさらに含まれている、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体において、インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための診断方法あって、前記方法には、前記個体のFcγ受容体IIIA(FcγRIIIA)遺伝子の対立遺伝子パターンを検出することが含まれ、ここでは、ホモ接合型FcγRIIIA 48L/L遺伝子型、ヘテロ接合型FcγRIIIA 48L/R遺伝子型、またはヘテロ接合型FcγRIIIA 48L/H遺伝子型の存在が、前記IL−2免疫療法に対するポジティブな治療応答を示す個体の指標である、方法。
【請求項86】
前記個体に、ガンの処置のためのIL−2免疫療法が必要である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記個体が、前記ガンの細胞の表面上に発現される細胞表面抗原を標的とする抗体での処置をもまた受けている、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記抗体が免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項86、87、または88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項86、87、または88のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
前記FcγRIIIA遺伝子についての対立遺伝子パターンが、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー特異的エクステンション、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、制限酵素部位の分析、および一本鎖高次構造多型分析からなる群より選択される方法によって検出される、請求項85〜91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
ホモ接合型FcγRIIIA(FcγRIIIA)48L/L遺伝子型を含む個体の免疫機能を高めるための方法であって、前記方法には、インターロイキン−2免疫療法を前記個体に投与することが含まれる、方法。
【請求項94】
前記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、前記個体に投与することが含まれる、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が前記個体に投与される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記IL−2またはその変異体が皮下投与される、請求項93〜97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、請求項93〜98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、請求項93〜99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、請求項93〜101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記個体がガンについて処置されている、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項103に記載の方法。
【請求項108】
前記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項103に記載の方法。
【請求項109】
ヘテロ接合型Fcγ受容体IIA(FcγRIIA)131H/R遺伝子型またはホモ接合型FcγRIIA 131R/R遺伝子型を含む個体のガンを処置するための方法であって、前記方法には、インターロイキン−2免疫療法を前記個体に投与することが含まれる、方法。
【請求項110】
前記IL−2免疫療法に、少なくとも1用量の治療有効用量のIL−2またはその生物学的活性のある変異体を、前記個体に投与することが含まれる、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
多用量の治療有効用量のIL−2またはその変異体が前記個体に投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記IL−2またはその変異体が1日1回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記IL−2またはその変異体が、1週間に2回または1週間に3回、週に2回もしくは3回の投与レジュメにしたがって投与される、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記IL−2またはその変異体が皮下投与される、請求項109〜113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記IL−2またはその変異体が、単量体IL−2薬学的組成物、多量体IL−2組成物、凍結乾燥させられたIL−2薬学的組成物、および噴霧乾燥させられたIL−2薬学的組成物からなる群より選択される薬学的組成物として提供される、請求項109〜114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列を有しているか、またはヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているその変異体のアミノ酸配列を有している、組み換えによって生産されたIL−2である、請求項109〜115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記その変異体が、des−アラニル−1,セリン125ヒトインターロイキン−2である、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記個体に対して免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体を投与することをさらに含む、請求項109〜117のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記個体がガンについて処置されている、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記ガンがB細胞リンパ腫である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記B細胞リンパ腫が非ホジキンB細胞リンパ腫である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記IgG1モノクローナル抗体が、抗CD20抗体またはその抗原結合断片である、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記ガンが、乳ガン、卵巣ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、結腸ガン、黒色腫、腎細胞ガン、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群より選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項124】
前記IgG1モノクローナル抗体が、テレックス、MDX−010、EMD 72000、エルビタックス、WX−G250、IDM−1、MDX−210、ZAMYL、キャンパス、およびそれらの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項125】
インターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測する必要がある個体におけるインターロイキン−2(IL−2)免疫療法に対する治療応答を予測するための、診断方法において使用されるキットであって、前記キットには、Fcγ受容体IIIA(FcγRIIIA)遺伝子の多型領域に隣接して、または多型領域に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブまたはプライマーが含まれ、前記多型領域には、FcγRIIIA 48L対立遺伝子をコードするヌクレオチドが含まれている、キット。
【請求項126】
使用のための説明書がさらに含まれている、請求項125に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A−1】
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【図5A−2】
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【図5B】
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【図5C−1】
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【図5C−2】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I−1】
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【図5I−2】
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【図5J】
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【図5K−1】
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【図5K−2】
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【図5L】
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【図5M】
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【図5N】
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【公表番号】特表2007−515185(P2007−515185A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547367(P2006−547367)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/043316
【国際公開番号】WO2005/062929
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)
【Fターム(参考)】