説明

免疫系の一般的反応により引き起こされる病態の治療のための医薬組成物

【課題】免疫系の一般的反応により引き起こされる病態の治療のための医薬組成物の提供。
【解決手段】1以上のモノ-およびジ-カルボン酸のアミドおよびヒドロキシスチルベン系に属する1以上のポリフェノールを含んでなる医薬組成物を用いる。1以上のモノ−およびジ−カルボン酸のアミドは、式X−R−C(O)−YのN−アシル誘導体であり、式中X−Rは、二重結合を有する飽和もしくは不飽和のアルキルラジカル等であり、Yは−OH基等を示す。
【効果】ヒトおよび動物の両方において、免疫系の異常な一般的反応により引き起こされ、支持され、および/または特徴付けられる病態の治療のために使用される。

【発明の詳細な説明】
【発明の説明】
【0001】
本発明は、モノ-およびジ-カルボン酸のアミドならびにヒドロキシスチルベンを含んでなる医薬組成物であって、ヒトおよび動物の両方において、免疫系の異常な一般的反応により引き起こされ、支持され、および/または特徴付けられる病態の治療のための医薬組成物に関する。
【0002】
当該分野についての記述
文献は、マスト細胞(M)からなる細胞集合および活性化Tリンパ球(ATL)の一般的な集合の間の直接的な「クロストーク」の証拠であふれている。
【0003】
MおよびATL細胞間の相互作用に対する初期の証明は、90年代の終わりにイスラエルの免疫学研究グループにより始められた。1つの興味深い出版物において、著者は、「T細胞-マスト細胞」相互作用は、双方向的であってよく、一般的な免疫反応の重要な調節および/または修飾の段階を意味するという仮説により結論付けた(Mekori YA et al. J. Allergy Clin. immunol. 1999 Sep.;104:517-23)。2つの細胞系統間の直接的な相互作用は、2002年に初めて示され;ヒトM細胞の脱顆粒から生じたマスト細胞媒介物は、CD8+およびCD4+ Tリンパ球によるインターフェロン-γの産生を増加させることができる(Francina L. de Pater-Huijsen et al. - Immunology 2002 May;106:11-19)。この流行の仮説は、2005年2月のNature Immunologyに発表された「概説」において反復されており(Galli S. et al. - Nature Immunology 2005 Feb.;6(2):135-42)、Stephen Galliに属する同じグループが2005年4月の文献において、Tリンパ球活性化におけるM細胞から脱顆粒したTNFの重要性を示したことにより確認され(Nakae S. et al. - Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2005 Apr.;102(18):6467-72);著者は、マスト細胞は、Tリンパ球に由来するサイトカインの増殖および産生に影響を及ぼすことができるということを用いて、複数のメカニズムの同定を主張することにより結論付けている。M細胞およびTリンパ球の間の直接的な「クロストーク」は、明確に確証されたにすぎず、2005年10月(Salamon P. et al. - Allergy 2005 Oct.; 60(10):1316-9)において議論され、Tリンパ球が媒介する炎症過程におけるその役割が示された。
【0004】
現在、異常な免疫反応により特徴付けられる疾患は、リンパ球の活性を調節する適切な薬剤の投与によりもっぱら治療される。
【0005】
マスト細胞および活性化Tリンパ球を同時に調節することによる一般的な免疫反応の調節の可能性は、提唱されておらず且つ述べられていない。
【0006】
それ故、本発明の背後にある根底となる考えは、マスト細胞(M)の反応性(特異的な脱顆粒反応であると理解された)および活性化Tリンパ球(ATL)サイトカインを同時に調節することにより体の一般的な免疫反応を調節することならびに機能的な反応を調節することである。
【0007】
前記同時の調節は、請求項1に記載されているような医薬組成物の使用を介して得られてよい。
【0008】
それ故、本発明は、モノ-およびジ-カルボン酸アミドならびにヒドロキシスチルベン系に属するポリフェノールを含んでなる医薬組成物に関し、ヒトおよび動物の両方において、異常な一般的免疫反応により引き起こされ、支持され、および/または特徴付けられる免疫-炎症疾患のために使用されてよい。
【0009】
特に、そのような疾患は、外因性の抗原刺激(すなわち「非自己」刺激)により引き起こされるものである。これには、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性肺胞炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、結膜炎、およびアナフィラキシーが含まれる。世界人口の約10%がアレルギー性疾患に苦しんでおり、全体的に先進国で優勢であり、亜集団において15%の過剰がある(小児のアトピー性皮膚炎)。
【0010】
他の型の障害には、内因性の抗原刺激(いわゆる「自己」刺激)により引き起こされるものが含まれ、通常、自己免疫性疾患と定義され、体の部分に対する過敏症により特徴付けられる。これには、多発性硬化症、乾癬、水疱性天疱瘡、色素性蕁麻疹、全身性強皮症、ブドウ膜炎、瘢痕性の眼の天疱瘡、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、および乾癬性関節炎が含まれる。最も頻繁に見られる自己免疫疾患は、世界人口の5%以上が発症している。
【0011】
神経-免疫原性の炎症(実際にはほとんど全ての炎症性疾患)により特徴付けられおよび/または支持される前記障害は、ヒトおよびネコにおける間質性膀胱炎、前立腺炎、ヒトおよびイヌにおける関節症、多数の自律神経性および体細胞性の神経障害、外陰部膣炎、膣前庭炎、膣および子宮頚のウイルス感染、口腔粘膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、老人性皮膚炎(乾燥、異常角化、かゆみ、上皮障害等のような特徴的な総体症状により特徴付けられる)、放射性皮膚障害(太陽、癌患者の放射線治療等による)、および他の多くの傷害のような臓器特異的な障害である。免疫学的な評価は、そのような疾患の発生率は人口の40%以上であると考え、全体的な平均寿命が増大したことにより急速に増加しており、ペットに払われる注意が増大したことを考慮すると獣医学の分野においても増加している。
【0012】
本発明の医薬組成物において用いられるモノ-およびジ-カルボン酸アミドは、次式(I)のN-アシル誘導体である:
X-R1-C(O)-Y1 (I)
ここで、式中のX-R1-C(O)は、以下からなる群より選択される:
a)モノカルボン酸アシル残基;ここでのX-R1は、1〜23の炭素原子および1〜6の二重結合を有する飽和もしくは不飽和のアルキルラジカルであるか、または芳香脂肪族、もしくは芳香族、もしくは複素環、もしくは芳香族複素環の残基であり;前記飽和または不飽和のアルキルラジカルは、1以上のヒドロキシ、アミノ、カルボニル、カルボキシル、シクロアルキル、アリール、複素環もしくは芳香族複素環の基、または縮合した多環式の基で任意に置換されてよく;脂肪鎖において1以上の前記基で任意に置換された飽和または不飽和の脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、カプリル酸、吉草酸、バルプロ酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキドン酸、デオキシコール酸および脂肪鎖の置換基としてヒドロキシル基もしくはアミノ基を有するそれらの誘導体が含まれ;他の例には、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、レチノイン酸、ヒドロキシフェニル酢酸、およびα-リポ酸が含まれ;好ましい芳香族、複素環、または芳香族複素環のモノカルボン酸は、サリチル酸、アセチルサリチル酸、スルホサリチル酸、安息香酸、トリメトキシ安息香酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、テノ酸、およびフェニルアントラニル酸である;
b)芳香族、または芳香脂肪族、または複素環、または芳香族複素環、または飽和もしくは不飽和の脂肪族のジカルボン酸のアシル残基;2〜20の炭素原子を有し、ヒドロキシ、アミノ、芳香族、複素環、または芳香族複素環で任意に置換され、ここでのXは、式C(O)Y2の残基であり、Y2は、-OHであるかY1と同じものを意味してよく;Y2が-OHである場合、結果として生じるカルボキシル基は、生物学的に許容可能な有機または無機カチオン、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、もしくは亜鉛を用いて塩化されてよく;ジカルボン酸の例には、フマル酸、アゼライン酸、トランス-トラウマチン酸、コハク酸、グルタル酸、ムコン酸、クロモグリク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはフタル酸が含まれる;
Y1は、以下からなる群より選択される:
a)NH2
b)NR2R3;一または二官能価のアミノアルコールのアミン残基であって、ここでのR2は、アルキル鎖において1以上の芳香族基で任意に置換された直鎖もしくは分枝状のC1〜C20のモノまたはジヒドロキシアルキル、あるいは1〜20の炭素原子を有する1以上の直鎖または分枝状のアルキルラジカルで任意に置換されたヒドロキシアリールから選択されるアルコール残基であるアミン残基であるか;もしくは、芳香環においてメトキシ基および-OH基で置換されたアミノアルキルアリールのアミン残基であり;そのようなアミノアルコールのヒドロキシル基は、リン酸塩もしくはグリセロリン酸基で任意に置換され、-OPO3H2もしくは-OPO2H-O-CH2-CH(OH)-CH2-OHを形成するか、またはグリコキシラジカルで置換されてO-グリコシドを形成し、好ましいグリコキシラジカルは、D-およびL-グルコース、D-およびL-ガラクトース、D-およびL-マンノース、D-およびL-リボース、D-およびL-フルクトース、D-およびL-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D-マンノサミン、D-グルクロン酸、ならびにシアル酸であり;前記O-グリコシドは、α-もしくはβ-グリコシドであってよく;R3は、H、-CH3、もしくはR2と同じである;
c)任意に活性または不活性であるアミノ酸のアミノ残基;ここでのR2は、それが結合する窒素原子と一緒になってα-アミノ酸を形成し、任意に、-OH、-OPO3H2、-OPO2H-O-CH2-CH(OH)-CH2-OH、-SH、S-CH3で任意に置換された側鎖を有し、R3は-Hまたは-CH3である;
d)次式(II)のグリコサミンのアミノ残基;
【化3】

【0013】
ここで、式中のP、Y、およびZのうちの1つは、-N(H)-または-N(CH3)-であり、残りの基は-Hまたは-OHである。
【0014】
本発明において用いられるモノまたはジカルボン酸アミドは、好ましくは、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ホスホエチルアミン、2-O-(β-D-グルコピラノシル)アミノエタノール、L-セリン、グリシン、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、D-グルコサミン、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン、N-メチル-2-アミノエタノール、2-ヒドロキシプロピルアミンのN-アシル誘導体である。2-ヒドロキシプロピルアミンのN-アシル誘導体は、立体異性体またはラセミ混合物であってよい。
【0015】
N-パルミトイルエタノールアミン(N-PEA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パルミトアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)-パルミトアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-ステアロイルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-ラウロイルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ラウロイルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシブチルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-ベンゾイルアミド、N-アセチルエタノールアミン、N-パルミトイル-D-グルコサミン、N-パルミトイル-L-セリン、2-O-(β-D-グルコピラノシル)-N-パルミトイルアミノエタノール、ステアロイルアミド、オレオイルアミド、N-パルミトイル-2-アミノ-1,3-プロパンジオール、N-パルミトイル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ノナンジアミド、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ドデセンジアミド、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)フマロイルジアミドは、本発明において有益に用いられる。
【0016】
本発明の医薬組成物中に含まれるヒドロキシスチルベンは、以下の構造式(III)を有する:
【化4】

【0017】
ここで、式中のR1は、H、OH、またはR2であり;
R2は、独立に、H、OH、または直鎖もしくは分枝状のO-(C1〜C6)アルキルから選択され;
R3は、独立に、H、直鎖もしくは分枝状の(C1〜C6)アルキル、またはD-およびL-リボース、D-およびL-グルコース、D-およびL-ガラクトース、D-およびL-マンノース、D-フルクトース、D-およびL-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D-マンノサミン、グルクロン酸、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、N-アセチル-D-マンノサミンから選択される糖類基から選択される。
【0018】
前記置換基が(C1〜C6)アルキルである場合、メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルであることが好ましい。
【0019】
前記置換基がグリコシドを形成する糖類基である場合、これは、α-またはβ-グリコシドであってよい。
【0020】
好ましくは、R3は、独立に、水素、または-CH3、または以下から選択される:D-およびL-リボース、D-およびL-グルコース、D-およびL-ガラクトース、D-およびL-マンノース。
【0021】
特に好ましい式(III)の化合物は、レスベラトロール(resveratorol)およびレスベラトロールのグリコシドである。
【0022】
式(III)の化合物は、トランスおよびシス異性体のどちらであってもよい。
【0023】
前記式(I)および式(III)の化合物の合成は、当該分野において既知であり、例えば、欧州特許第0 550 006、米国特許出願US2004/0014682A1、米国特許第5,506,224号、第5,618,842号、欧州特許第0 751 947号、および第1 115 392号において例示されている。
【0024】
前記1以上のモノ-またはジカルボン酸アミドおよび1以上のヒドロキシスチルベンは、前記組成物中に含まれ、それぞれ、アミノアルコールのN-アシル誘導体については0.0001 mg/kg/日〜20 mg/kg/日、好ましくは0.05 mg/kg/日〜10 mg/kg/日であり、ヒドロキシスチルベンについては、好ましくは0.005 mg/kg/日〜10 mg/kg/日の範囲の量である。
【0025】
任意に微粉化されるか、または1以上の適切な混合賦形剤を用いてco-微粉化された前記活性成分は、経口、頬、非経口、直腸、経皮、または局所的な投与のために配合されるか、または吸入もしく注入による投与(口もしくは鼻を介する)に適した形態であってよい。
【0026】
前記適切に混合された活性成分は、経口、頬、非経口、直腸、経皮、皮膚および粘膜に対する局所的な投与のために配合されるか、または吸入もしくは注入による投与(口もしくは鼻を介する)に適した形態であってよい。
【0027】
経口投与のための医薬組成物は、例えば錠剤またはカプセル剤の形態(粉末または油の混合物が含まれる)であってよく、結合剤(例えば、予めゼラチン化したコーンスターチ、ポリビニルピロリドン、もしくはカルボキシメチルセルロース);賦形剤(例えば、ラクトース、微結晶化セルロース、もしくはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、もしくはシリカ);崩壊剤(例えば、ポテトスターチもしくはデンプングリコール酸ナトリウム);または界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容可能な賦形剤を用いて通常の方法で調製されてよい。錠剤は、当該分野において周知の方法を用いてコーティングされてよい。経口投与のための液体製剤は、例えば溶液、シロップ、もしくは懸濁液の形態であるか、または使用前に水もしくは他の適切なキャリアで再構成するために凍結乾燥した生成物であってよい。そのような液体製剤は、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、もしくは硬化食用油);乳化剤(例えば、レシチンもしくはアラビアゴム);非水性キャリア(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、もしくは分画した植物油);および保存剤(例えば、メチル-もしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)のような薬学的に許容可能な添加剤を用いて、通常の方法により得られてよい。製剤は、フレーバー剤、着色剤、甘味料、および保存料を適切に含んでもよい。
【0028】
経口投与のための製剤は、活性成分の徐放を可能にするように適切に配合されてよい。
頬への投与のための組成物は、従来法で配合された錠剤またはロゼンジの形態であってよい。
【0029】
適切に混合された活性成分は、注射による非経口的な投与のために配合されてよい。注射のための製剤は、加えられた保存剤と共に、例えばアンプルのような単一用量形態で表されてよい。前記組成物は、油性もしくは水性キャリア中の懸濁液、溶液、または乳濁液として、上述の形態で表されてよく、沈殿防止剤、安定剤、および/または分散剤のような配合剤を含んでよい。あるいは、前記活性成分は、例えば滅菌水のような適切なキャリアを用いて使用前に再構成するための粉末形態であってよい。
【0030】
本発明によると、前記活性成分は、坐剤または保留浣腸のような直腸組成物中に配合されてもよく、例えば、ココアバターもしくは他のグリセリドのような通常の基本的な坐剤の成分が含まれてよい。
【0031】
上述した組成物に加えて、化合物は、蓄積(deposit)製剤として配合されてもよい。そのように長く作用する製剤は、インプラント(例えば皮下、経皮、もしくは筋肉内)として、または筋肉内注射により投与されてよい。それ故、例えば、前記活性成分は、適切な高分子または疎水性の物質とともに(例えば適切な油中におけるエマルジョンの形態)、またはイオン交換樹脂と共に、または例えばわずかな可溶性を有する塩のようなわずかな可溶性を有する誘導体として配合されてよい。
【0032】
適切に配合された本発明の医薬組成物は、0.1および30 mg/kgの間の変化する用量で、1日に1〜4回投与されてよい。前記組成物の用量は、治療される疾患、前記疾患の重篤度、および患者の状態により決定されるであろう。治療される臨床的条件の重篤度に加えて、患者の年齢および体重に依存した用量に対する継続的な調整を行うことも必要であることが考慮されるべきである。正確な用量および投与経路は、最終的に、医師または獣医師の裁量であろう。
【実施例】
【0033】
本発明による医薬製剤のいくつかの例を以下に報告する。
【0034】
例1
経口的な使用のための錠剤
それぞれの錠剤には以下のものが含まれる:
−以下のものが含まれるco-微粉化粉末:
−N-パルミトイルエタノールアミン 300 mg
−レスベラトロール 25 mg
−レスベラトロールグルコシド 10 mg
−ラクトース 200 mg
−コーンスターチ 100 mg
−タルク 10 mg
−ステアリン酸マグネシウム 5 mg
−ヒドロキシプロピルメチルセルロース 5 mg
−二酸化チタン 1.5 mg
−黄色酸化鉄(E172) 0.4 mg
例2
経口的な使用のためのカプセル剤
それぞれの軟ゼラチンカプセルには以下のものが含まれる:
−N-(2-ヒドロキシエチル)-ラウロイルアミド 150 mg
−レスベラトロールグルコシド 50 mg
−ダイズレシチン 30 mg
−植物油 300 mg
−エリトロシン(E127) 0.1 mg
例3
凍結乾燥アンプル
それぞれの凍結乾燥アンプルには以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ノナンジアミド 100 mg
−レスベラトロールグルコシド 50 mg
−マンニトール 100 mg
それぞれの溶媒アンプルには以下のものが含まれる:
−発熱物質の含まれない、二重に滅菌した水 3 ml
例4
筋肉内への使用のためのアンプル
それぞれのアンプルには以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ノナンジアミド 50 mg
−レスベラトロールグルコシド 50 mg
−必要な場合、生理的な溶液(等張性の生理食塩水) 2 mlまで
例5
皮膚に使用するためのクリーム
100gのクリームには、以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ノナンジアミド 2 g
−レスベラトロール 0.5 g
−レスベラトロールグルコシド 0.3 g
−ソルビタンモノステアレート 0.5 g
−ポリオキシエチレン-ソルビタン-モノステアレート 4.5 g
−エチルアルコール 3.0 g
−ステアリン酸 3.0 g
−パラフィンオイル 10.0 g
−70% ソルビトール 6.0 g
−p-オキシ安息香酸メチル 0.2 g
−p-オキシ安息香酸プロピル 0.05 g
−脱イオン水 必要な場合、100.0 gまで
例6
婦人科で使用するためのゲル
100 gのゲルには以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ノナンジアミド 1.0 g
−レスベラトロールグルコシド 1.0 g
−グリセリン 8.0 g
−硬化ヒマシ油 1.0 g
−プロピレングリコール 1.0 g
−ポリカルボフィル 1.5 g
−ビタミンEアセテート 0.5 g
−ビタミンAアセテート 0.05 g
−ポリビニルアルコール 0.2 g
−ヒアルロン酸 0.2 g
−フィトスフィンゴシン 0.02 g
−メチル p-オキシベンゾエート 0.10 g
−2-フェニルエタノール 0.15 g
−クエルセチン 0.1 g
−水 必要な場合、100.0 gまで
例7
軟ゼラチン膣坐薬
それぞれの坐薬には以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-トランス-2-ドデセンジアミド 0.5 g
−レスベラトロールグルコシド 0.6 g
−プロピレングリコール 1.5 g
−エリトロシン(E127) 0.1 mg
例8
眼軟膏
100 gの眼軟膏には以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-トランス-2-ドデセンジアミド 0.5 g
−レスベラトロール 0.5 g
−粘稠性のワセリン 必要な場合、100.0 gまで
例9
無菌の目薬(単一用量包装)
100 gの目薬には以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ノナンジアミド 0.5 g
−レスベラトロールグルコシド 0.3g
−ヒアルロン酸ナトリウム塩 0.01 g
−発熱物質を含まない生理的な溶液 必要な場合、100.0 gまで
例10
直腸坐剤
それぞれの坐剤には以下のものが含まれる:
−N-パルミトイルエタノールアミン 0.3 mg
−レスベラトロール 0.2 mg
−レスベラトロールグルコシド 0.05 mg
−坐剤に対する脂肪性の賦形剤 必要な場合、2.0 gまで
例11
手足治療のための散剤
100gの散剤には、以下のものが含まれる:
−以下のものが含まれるco-微粉化粉末:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ラウロイルアミド 2.3 g
−レスベラトロール 1.5 g
−レスベラトロールグルコシド 0.8 g
−アタパルジャイト 50.0 g
−アクリルの共重合体 3.0 g
−ビタミンEアセテート 1.0 g
−ジメチコーン 2.0 g
−イソプロピルミリステート 2.0 g
−メントール 1.5 g
−オイカリプトール 0.5 g
−微粉化したアタパルジャイト 必要な場合、100 gまで
例12
爪に滴下する溶液(Nail drop solution)
100gの溶液には以下のものが含まれる:
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ノナンジアミド 2.0 g
−N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ラウロイルアミド 1.0 g
−レスベラトロールグルコシド 2.0 g
−フィトスフィンゴシン 1.0 g
−イソプロピルアルコール 80.0 g
−アセトン 2.0 g
−ウンデシレン酸 0.2 g
−ビタミンAパルミテート 0.5 g
−尿素 3.0 g
−脱イオン水 必要な場合、100 gまで

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のモノ-およびジ-カルボン酸のアミドならびにヒドロキシスチルベン系に属する1以上のポリフェノールを含んでなる医薬組成物:
ここで、前記1以上のモノ-およびジ-カルボン酸のアミドは、次式(I)のN-アシル誘導体であり;
X-R1-C(O)-Y1 (I)
式中のX-R1-C(O)は、以下からなる基より選択される:
a)モノカルボン酸アシル残基であって、ここでのX-R1は、1〜23の炭素原子および1〜6の二重結合を有する飽和もしくは不飽和のアルキルラジカルであるか、または芳香脂肪族、もしくは芳香族、もしくは複素環、もしくは芳香族複素環のラジカルであり;前記飽和または不飽和のアルキルラジカルは、1以上のヒドロキシ、アミノ、カルボニル、カルボキシル、シクロアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環基、または縮合した多環式の基で任意に置換されてよい;
b)芳香族、または芳香脂肪族、または複素環、または芳香族複素環、または飽和もしくは不飽和の脂肪族のジカルボン酸のアシル残基であって、2〜20の炭素原子を有し、ヒドロキシ、アミノ、芳香族、複素環、もしくは芳香族複素環で任意に置換され、ここでのXは、式C(O)Y2の残基であり、Y2は、-OHであるかY1と同じものを意味し;Y2が-OHである場合、結果として生じるカルボキシル基は、任意に、生物学的に許容可能な有機または無機カチオン、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、もしくは亜鉛を用いて塩化されてよい;
Y1は、以下からなる群より選択される:
e)NH2
f)NR2R3;一または二官能価のアミノアルコールのアミン残基であって、ここでのR2は、アルキル鎖において1以上の芳香族基で任意に置換された直鎖もしくは分枝状のC1〜C20のモノまたはジヒドロキシアルキル、または1〜20の炭素原子を有する1以上の直鎖または分枝状のアルキルラジカルで任意に置換されたヒドロキシアリールから選択されるアルコール残基であるアミン残基であるか;もしくは、芳香環においてメトキシ基および-OH基で置換されたアミノアルキルアリールのアミン残基であり;そのようなアミノアルコールのヒドロキシル基は、リン酸塩もしくはグリセロリン酸基で任意に置換され、-OPO3H2もしくは-OPO2H-O-CH2-CH(OH)-CH2-OHを形成するか、またはグリコキシラジカルで置換されてO-グリコシドを形成し、好ましくは、D-およびL-グルコース、D-およびL-ガラクトース、D-およびL-マンノース、D-およびL-リボース、D-およびL-フルクトース、D-およびL-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D-マンノサミン、D-グルクロン酸、ならびにシアル酸であり;前記O-グリコシドは、α-もしくはβ-グリコシドであり;R3は、H、-CH3、もしくはR2と同じである;
g)任意に活性または不活性であるアミノ酸のアミノ残基;ここでのR2は、それが結合する窒素原子と一緒になってα-アミノ酸を形成し、任意に、-OH、-OPO3H2、-OPO2H-O-CH2-CH(OH)-CH2-OH、-SH、S-CH3で任意に置換された側鎖を有し、R3は-Hまたは-CH3である;
h)次式(II)のグリコサミンのアミノ残基;
【化1】

ここで、式中のP、Y、およびZのうちの1つは、-N(H)-または-N(CH3)-であり、残りの基は-Hまたは-OHである。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、脂肪鎖において任意に置換された前記飽和または不飽和の脂肪族モノカルボン酸は以下からなる群より選択される組成物:酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、カプリル酸、吉草酸、バルプロ酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキドン酸、デオキシコール酸、および脂肪鎖の置換基としてヒドロキシル基もしくはアミノ基を有するそれらの誘導体。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、脂肪鎖において任意に置換された前記飽和または不飽和の脂肪族モノカルボン酸は以下からなる群より選択される組成物:グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、レチノイン酸、ヒドロキシフェニル酢酸、およびα-リポ酸。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、前記芳香族、複素環、または芳香族複素環のモノカルボン酸は以下からなる群より選択される組成物:サリチル酸、アセチルサリチル酸、スルホサリチル酸、安息香酸、トリメトキシ安息香酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、テノ酸、およびフェニルアントラニル酸。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、前記ジカルボン酸は以下からなる群より選択される組成物:フマル酸、アゼライン酸、トランス-トラウマチン酸、コハク酸、グルタル酸、ムコン酸、クロモグリク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはフタル酸。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物であって、前記式(I)の化合物は以下から選択される組成物:アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ホスホエチルアミン、2-O-(β-D-グルコピラノシル)アミノエタノール、L-セリン、グリシン、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、D-グルコサミン、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン、N-メチル-2-アミノエタノール、2-ヒドロキシプロピルアミンのN-アシル誘導体であり、2-ヒドロキシプロピルアミンのN-アシル誘導体には、それらの立体異性体またはラセミ混合物が含まれる。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物であって、前記式(I)の化合物は以下から選択される組成物:N-パルミトイルエタノールアミン(N-PEA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パルミトアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)-パルミトアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-ステアロイルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-ラウロイルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ラウロイルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシブチルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-ベンゾイルアミド、N-アセチルエタノールアミン、N-パルミトイル-D-グルコサミン、N-パルミトイル-L-セリン、2-O-(β-D-グルコピラノシル)-N-パルミトイルアミノエタノール、ステアロイルアミド、オレオイルアミド、N-パルミトイル-2-アミノ-1,3-プロパンジオール、N-パルミトイル-4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ノナンジアミド、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ドデセンジアミド、およびN,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)フマロイルジアミド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物であって、前記1以上のヒドロキシスチルベンは次式(III)を有する組成物:
【化2】

ここで、式中のR1は、H、OH、またはR2であり;
R2は、独立に、H、OH、または直鎖もしくは分枝状のO-(C1〜C6)アルキルから選択され;
R3は、独立に、H、直鎖もしくは分枝状の(C1〜C6)アルキル、またはD-およびL-リボース、D-およびL-グルコース、D-およびL-ガラクトース、D-およびL-マンノース、D-フルクトース、D-およびL-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D-マンノサミン、グルクロン酸、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、N-アセチル-D-マンノサミンから選択される糖類基から選択される。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物であって、前記(C1〜C6)アルキル置換基は、メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルから選択される組成物。
【請求項10】
請求項8または9に記載の組成物であって、前記R3は、独立に、水素、-CH3、D-およびL-リボース、D-およびL-グルコース、D-およびL-ガラクトース、D-およびL-マンノースから選択される組成物。
【請求項11】
前記式(III)の化合物はα-およびβ-グリコシドである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記式(III)の化合物はレスベラトロールおよびレスベラトロールのグリコシドである、請求項8〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記式(III)の化合物はトランス異性体およびシス異性体である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物であって、前記1以上のモノ-またはジカルボン酸アミドは、0.0001 mg/kg/日〜20 mg/kg/日、好ましくは0.05 mg/kg/日〜10 mg/kg/日の範囲の量で含まれ、前記1以上のヒドロキシスチルベンは、0.005 mg/kg/日〜10 mg/kg/日の範囲の量で含まれる組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を薬学的に許容可能な賦形剤と共に含んでなる医薬製剤。
【請求項16】
請求項15に記載の製剤であって、経口、頬、非経口、直腸、経皮、皮膚および粘膜への局所投与のため、吸入または注入のための製剤。
【請求項17】
薬剤として使用するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、ヒトおよび動物において、免疫系の異常な一般的反応により引き起こされ、支持され、および/または特徴付けられる疾患の治療に対する薬剤の調製のための使用。
【請求項19】
請求項18に記載の使用であって、前記疾患は、好ましくはアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性肺胞炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、結膜炎、およびアナフィラキシーである外因性の抗原刺激により引き起こされる疾患;好ましくは多発性硬化症、乾癬、水疱性天疱瘡、色素性蕁麻疹、全身性強皮症、ブドウ膜炎、瘢痕性の眼の天疱瘡、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、および乾癬性関節炎である内因性の抗原刺激により引き起こされる疾患(自己免疫疾患);好ましくはヒトおよびネコにおける間質性膀胱炎、前立腺炎、ヒトおよびイヌにおける関節症、多数の自律神経性および体細胞性の神経障害、外陰部膣炎、膣および子宮頚のウイルス感染、膣前庭炎、口腔粘膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、老人性皮膚炎、日射もしくは放射線治療により引き起こされる放射性皮膚障害である神経-免疫原性の炎症により特徴付けられおよび/または支持される疾患である方法。

【公開番号】特開2007−262068(P2007−262068A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−82110(P2007−82110)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(507098184)エピテック・グループ・エス.アール.エル. (3)
【Fターム(参考)】