免震装置
【課題】 本発明は免震装置に関し、特に地震発生時において、微震動では作動せず一定の震度を超えて作動するように構成した免震装置である。
【解決手段】 湾曲凹面を有する上部材と、これに対向する湾曲凹面を有する下部材との間に球状又は円盤状の摺動部材を設けた免震体を、床面に載置した下側基板と構造物を支持する上側基板との間に複数個介在させ、前記下側基板に対し前記上側基板の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板が下側基板に対し相対移動することを特徴とし、前記抵抗手段は前記下側基板を前記上側基板に連結する連結部材からなり、この連結部材に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材がせん断され、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とする免震装置を提供する。
【解決手段】 湾曲凹面を有する上部材と、これに対向する湾曲凹面を有する下部材との間に球状又は円盤状の摺動部材を設けた免震体を、床面に載置した下側基板と構造物を支持する上側基板との間に複数個介在させ、前記下側基板に対し前記上側基板の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板が下側基板に対し相対移動することを特徴とし、前記抵抗手段は前記下側基板を前記上側基板に連結する連結部材からなり、この連結部材に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材がせん断され、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とする免震装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免震装置に関し、特に地震発生時において、微震動では作動せず一定の震度を超えて作動するように構成した免震装置である。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の免震装置が開発されているが、その殆どが建築物や床上の電子機器に対して、免震効果を有するバネやゴムの反発効果や下端部の滑動方式及び球体の転動方式のものが多く存在する。例えば、特開2007−24123号や特許第3058364号等が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平2007−24123号公報
【特許文献2】 特許第3058364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下端部の滑動方式及び球体の転動方式からなる従来の免震ユニットでは、微震動でも作用して、微動の横揺れでも支持する電子機器等の筺体が揺動を続ける構造になっており、また、揺動の継続を制限するための免震ユニットの復元力が乏しいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の免震装置は、垂直方向の衝撃に対応し、且つ、全方向の横揺れに対応し、且つ横揺れ時の極限状態の規制ができ、三支点で安定して支持できる免震装置を筺体等の底面に複数取付けることのできる免震装置であって、微震動では作動せず一定の震度を超えて作動するように構成した免震装置である。
【0006】
具体的には、湾曲凹面を有する上部材と、これに対向する湾曲凹面を有する下部材との間に球状又は円盤状の摺動部材を設けた免震体を、床面に載置した下側基板と構造物を支持する上側基板との間に複数個介在させ、前記下側基板に対し前記上側基板の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板が下側基板に対し相対移動することを特徴とし、前記抵抗手段は前記下側基板を前記上側基板に連結する連結部材からなり、この連結部材に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材がせん断され、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とし、前記免震体の前記上部材または下部材の湾曲凹面の曲率を前記摺動部材の曲率と略同一にし、接触面積を大きくし摩擦による抵抗手段を有し、所定以上の水平方向の力が摩擦力より大きくなった際、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とし、前記免震体の前記上部材と前記下部材とが、いずれも周縁において内側に突き出る突状部を有し、前記摺動部材が前記上部材と前記下部材との間で摺動する場合において、前記上部材の前記周縁の突状部と前記下部材の前記周縁部の前記突状部とが、前記摺動部材の側部に形成した凹部に係合することにより、前記下部材に対する前記上部材の水平方向の移動を規制し、支持する構造物の自重により復元力を生じるように構成したことを特徴とし、且つ、前記上側基板と下側基板間の前記免震体は平面視三角形の頂点の位置に配置されたことを特徴とする免震装置を提供する。
【0007】
上側基板に固定された湾曲凹面部を有する3カ所の上部材と、下側基板に固定された湾曲凹面部を有する3カ所の下部材との間に、それぞれ多種類の摺動部材が介装されて免震体を形成しており、単数又は複数の免震ユニットを筺体の底面に取付け可能に構成し、上側基板と下側基板間の側部に連結部材が挿通されて構成されており、摺動部材の構造が球体又は一体的に形成された多種類の摺動部材の上下構造が多様錐体で形成され、該摺動部材上下の多様錐体間に空間部が形成されていることを特徴とし、摺動限界動作時に上部材のストッパー部と下側部材のストッパー部とが、それぞれ転動部材のエッジを係止して上部材と下部材のスライドを規制し、支持する筺体の自重による復元力を生じるように構成し、摺動部材の上下多様錐体間に空間部が形成されており、上下多様錐体間の弾力性が付与されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、上下に角錐体を連結する円柱部からなり、金属、プラスチック、POM又はセラミクスによって一体的に形成されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部の上下に金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコアを有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され、上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部に挿通する金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコアを有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され、上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部の上下より挿通される金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコアを有し、該コア間が硬質ゴム等で固定され、上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、且つ、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部に金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなる球体を有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とする免震装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の免震装置は、三支点で安定して支持できる免震体を筺体等の底面に複数取付けることのでき、更に空間部を有する摺動部材を利用した場合は、摺動部材の空間部の弾力作用によって垂直方向の衝撃が吸収されると共に横揺れの極限時において、摺動部材の極限動作時に上部材のストッパー部と下部材のストッパー部とが、それぞれ摺動部材の多様錐体のエッジ部を係止して上部材と下部材のスライドを規制し、この筺体の荷重による摺動部材の位置の復元効果を有する。
【0009】
また、上側基板と下側基板間の側部に挿通されている連結部材の作用によって、横揺れによって破損するまでの微震では免震体は作動せず、震度が大きくなって連結部材が破損した時点から免震体が作動するように構成されているので、本発明の免震装置は微震によって連続作動してしまうことがない。
【0010】
また、球体の摺動部材の曲率と略司一部分曲率部を下部材に設け、球体の摺動部材が部分的に嵌合しており、横揺れの微震では免震体は作動せず、震度が大きくなって免震体が作動するように構成されているので、本発明の免震装置は微震によって連続作動してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明免震装置の平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】上側基板が移動した状態の断面図である。
【図4】免震体を筺体に取付けた平面図である。
【図5】免震体を筺体に取付けた部分正面図である。
【図6】他の実施例を示す免震体の断面図である。
【図7】他の実施例を示す免震体の断面図である。
【図8】他の実施例を示す免震体の断面図である。
【図9】他の実施例を示す摺動部材の平面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】図10の断面図である。
【図12】他の実施例を示す摺動部材の平面図である。
【図13】図12の断面図である。
【図14】他の実施例を示す摺動部材の断面図である。
【図15】他の実施例を示す摺動部材の断面図である。
【図16】図15の平面図である。
【図17】球体と湾曲凹面の部分的な曲率略同一の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の免震装置について具体的に説明する。
図面に於いて、図1は本発明免震体の平面図である。図2は図1のA−A線断面図であり図3は上側基板が移動した状態の断面図である。図4は免震体を筺体に取付けた平面図である。図5は免震体を筺体に取付けた部分正面図である。図6は他の実施例を示す免震体の断面図である。図7は他の実施例を示す免震体の断面図である。図8は他の実施例を示す免震体の断面図である。図9は他の実施例を示す摺動部材の平面図である。図10は図9の側面図である。図11は図10の断面図である。図12は他の実施例を示す摺動部材の平面図である。図13は図12の断面図である。図14は他の実施例を示す摺動部材の断面図である。図15は他の実施例を示す摺動部材の断面図である。図16は図15の平面図である。図17は球体と湾曲凹面の部分的な曲率略同一の断面図である。
【0013】
具体的には、図1乃至図3に示すように、湾曲凹面21,31を有する上部材2,3と、これに対向する湾曲凹面51,61を有する下部材5,6との間に球状又は円盤状の摺動部材7,8を設けた免震体100を、床面に載置した下側基板10と構造物を支持する上側基板11との間に複数個介在させ、前記下側基板10に対し前記上側基板1の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板1が下側基板10に対し相対移動することを特徴とし、前記抵抗手段は前記下側基板10を前記上側基板1に連結する連結部材101からなり、この連結部材101に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材101がせん断され、前記上側基板1が前記下側基板10に対して相対移動することを特徴とし、前記免震体100の前記上部材2,3または下部材5,6の湾曲凹面51,61の曲率を例えば図17に示すように前記球体の摺動部材7の曲率500と略同一にし、接触面積を大きくし摩擦による抵抗手段を有し、所定以上の水平方向の力が摩擦力より大きくなった際、前記上側基板1が前記下側基板10に対して相対移動することを特徴とし、図6乃至図8に示すように、前記免震体100の前記上部材20と前記下部材50とが、いずれも周縁において内側に突き出る突状部201,501を有し、前記摺動部材70が前記上部材20と前記下部材50との間で摺動する場合において、前記上部材20の前記周縁の突状部201と前記下部材50の前記周縁部の前記突状部501とが、前記摺動部材70の側部に形成した空隙部702に係合することにより、前記下部材50に対する前記上部材20の水平方向の移動を規制し、支持する構造物の自重により復元力を生じるように構成したことを特徴とし、且つ、前記上側基板1と下側基板10間の前記免震体100は平面視三角形202の頂点の位置に配置されたことを特徴とする免震装置を提供する。
【0014】
上側基板1に固定された湾曲凹面21を有する3カ所の上部材2と、下側基板10に固定された湾曲凹面51を有する3カ所の下部材5との間に、それぞれ多種類の摺動部材7が介装されて免震体100を形成しており、単数又は複数の免震体100を筺体200の底面に取付け可能に構成し、上側基板1と下側基板10間の側部に連結部材101が挿通されて構成されており、図6乃至図8に示す場合は、摺動部材70の構造が球体又は一体的に形成された多種類の摺動部材の上下構造が多様錐体701で形成され、該摺動部材上下の多様錐体701間に空間部702が形成されていることを特徴とし、摺動限界動作時に上部材20のストッパー部201と下部材50のストッパー部501とが、それぞれ摺動部材70のエッジを係止して上部材20と下部材50のスライドを規制し、支持する筺体200の自重による復元力を生じるように構成し、摺動部材70の上下多様錐体701間に空間部702が形成されており、上下多様錐体701間の弾力性が付与されていることを特徴とし、図9乃至図11に示す場合は、摺動部材80が、中心部の上下に金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコア81を有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され、上下に角錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、また、図12乃至図13に示す場合は、摺動部材90が、上下に凸面体を連結する円柱状コア902からなり、金属、プラスチック、POM又はセラミクスによって一体的に形成されていることを特徴とする免震装置である。図14に示す摺動部材90は硬質ゴム等の弾性部材で上下の凸面体が支持されている。
【0015】
また、図15乃至図16の実施例では、摺動部材700の中央部に球体72が保持される構造になっており、球体とマーブル形状が一体的に構成された実施例を示している。
【0016】
図6乃至図8に示すように、摺動部材70の上下構造は、多様錐体701で形成され、該摺動部材70上下の多様錐体701のエッジ部間に空間部702が形成されており、エッジ部間の弾力性が付与されている。
【0017】
横揺れ振動が加わった時に、図6乃至図8に示すように摺動部材70は図6の正置状態から図7に示すように摺動し、次いで図8に示すように摺動限界動作時において、上側部材20のストッパー部201と下側部材50のストッパー部501とが、それぞれ摺動部材70のエッジ部を係止して上側部材20と下側部材50のそれ以上のスライドが規制されるように構成されている。
【0018】
上記する図8の状態において、筺体200の自重によって摺動部材70は元の正置状態にもどる作用が付与される。
【0019】
図9乃至図11に示す摺動部材80では、図6乃至図8に示す摺動部材70と同様に上下構造がそれぞれ多様錐体801で形成されているが、上下中央部には図9乃至図11に示されるようにコア81が一体的に埋め込まれている。
【0020】
コア81の材質は、金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなり、周縁部が硬質ゴム等で構成されている。
【0021】
図12乃至図13に示す摺動部材90では摺動部材90の中心部に円柱状コア902が挿通されており、図14に示す摺動部材90では上下の凸面体901間に硬質ゴム904等が接着されており、該硬質ゴム904等に上下より円柱状コア902が埋め込まれている。
【0022】
また、図15乃至図16の摺動部材700の構造は、上下の硬質ゴム等からなる多様錐体71の中心部に鋼製の転動球体72が収納された構造になっている。
【0023】
上記いずれの摺動部材の上下多様錐体は、空隙部を介して形成されており、上下の多様錐体間で弾力性が付与されている。
【0024】
また、摺動部材90は、中心部に金属性の円柱状コア902を有し、円柱状コア902の周縁部及び上下に一体的に形成される凸面体が硬質ゴム等で構成されており、いずれの場合に於いても、上部材20のストッパー部201と下側部材50のストッパー部501間でスライドの極限状態を規制することができる。
【0025】
上側基板1と下側基板10間の側部に連結部材101が挿通されており、一定の震動で該連結部材101が破損されるまでは、免震体100は微細な震動では揺動せず、該連結部材101が破損すると免震体100が作動するように構成されている。
【0026】
また、図17に示すように、球体の摺動部材7の曲率と略同一部分曲率部500を下部材5に設け、球体の摺動部材7が部分的に嵌合しており、横揺れの微震では免震体は作動せず、震度が大きくなって免震体100が作動するように構成されているので、本発明の免震装置は微震によって連続作動してしまうことがない。
【符号の説明】
【0027】
1 上側基板
10 下側基板
100 免震体
101 連結部材
2 上部材
20 上部材
21 湾曲凹面
200 筺体
201 ストッパー部
202 平面視三角形
210 湾曲凹面
3 上部材
31 湾曲凹面
4 上部材
5 下部材
50 下部材
500 略同一部分曲率部
501 ストッパー部
510 湾曲凹面
51 湾曲凹面
6 下部材
61 湾曲凹面
7 摺動部材
71 多様錐体
72 転動球体
73 空隙部
8 摺動部材
81 コア
9 摺動部材
70 摺動部材
700 摺動部材
701 多様錐体
702 空隙部
80 摺動部材
801 多様錐体
802 空隙部
90 摺動部材
901 凸面体
902 円柱状コア
903 空隙部
904 硬質ゴム等
【技術分野】
【0001】
本発明は免震装置に関し、特に地震発生時において、微震動では作動せず一定の震度を超えて作動するように構成した免震装置である。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の免震装置が開発されているが、その殆どが建築物や床上の電子機器に対して、免震効果を有するバネやゴムの反発効果や下端部の滑動方式及び球体の転動方式のものが多く存在する。例えば、特開2007−24123号や特許第3058364号等が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平2007−24123号公報
【特許文献2】 特許第3058364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下端部の滑動方式及び球体の転動方式からなる従来の免震ユニットでは、微震動でも作用して、微動の横揺れでも支持する電子機器等の筺体が揺動を続ける構造になっており、また、揺動の継続を制限するための免震ユニットの復元力が乏しいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の免震装置は、垂直方向の衝撃に対応し、且つ、全方向の横揺れに対応し、且つ横揺れ時の極限状態の規制ができ、三支点で安定して支持できる免震装置を筺体等の底面に複数取付けることのできる免震装置であって、微震動では作動せず一定の震度を超えて作動するように構成した免震装置である。
【0006】
具体的には、湾曲凹面を有する上部材と、これに対向する湾曲凹面を有する下部材との間に球状又は円盤状の摺動部材を設けた免震体を、床面に載置した下側基板と構造物を支持する上側基板との間に複数個介在させ、前記下側基板に対し前記上側基板の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板が下側基板に対し相対移動することを特徴とし、前記抵抗手段は前記下側基板を前記上側基板に連結する連結部材からなり、この連結部材に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材がせん断され、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とし、前記免震体の前記上部材または下部材の湾曲凹面の曲率を前記摺動部材の曲率と略同一にし、接触面積を大きくし摩擦による抵抗手段を有し、所定以上の水平方向の力が摩擦力より大きくなった際、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とし、前記免震体の前記上部材と前記下部材とが、いずれも周縁において内側に突き出る突状部を有し、前記摺動部材が前記上部材と前記下部材との間で摺動する場合において、前記上部材の前記周縁の突状部と前記下部材の前記周縁部の前記突状部とが、前記摺動部材の側部に形成した凹部に係合することにより、前記下部材に対する前記上部材の水平方向の移動を規制し、支持する構造物の自重により復元力を生じるように構成したことを特徴とし、且つ、前記上側基板と下側基板間の前記免震体は平面視三角形の頂点の位置に配置されたことを特徴とする免震装置を提供する。
【0007】
上側基板に固定された湾曲凹面部を有する3カ所の上部材と、下側基板に固定された湾曲凹面部を有する3カ所の下部材との間に、それぞれ多種類の摺動部材が介装されて免震体を形成しており、単数又は複数の免震ユニットを筺体の底面に取付け可能に構成し、上側基板と下側基板間の側部に連結部材が挿通されて構成されており、摺動部材の構造が球体又は一体的に形成された多種類の摺動部材の上下構造が多様錐体で形成され、該摺動部材上下の多様錐体間に空間部が形成されていることを特徴とし、摺動限界動作時に上部材のストッパー部と下側部材のストッパー部とが、それぞれ転動部材のエッジを係止して上部材と下部材のスライドを規制し、支持する筺体の自重による復元力を生じるように構成し、摺動部材の上下多様錐体間に空間部が形成されており、上下多様錐体間の弾力性が付与されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、上下に角錐体を連結する円柱部からなり、金属、プラスチック、POM又はセラミクスによって一体的に形成されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部の上下に金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコアを有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され、上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部に挿通する金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコアを有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され、上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部の上下より挿通される金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコアを有し、該コア間が硬質ゴム等で固定され、上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、且つ、上部材の湾曲凹面部と下部材の湾曲凹面部との間に介装される摺動部材が、中心部に金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなる球体を有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され上下に円錐体が一体的に形成されていることを特徴とする免震装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の免震装置は、三支点で安定して支持できる免震体を筺体等の底面に複数取付けることのでき、更に空間部を有する摺動部材を利用した場合は、摺動部材の空間部の弾力作用によって垂直方向の衝撃が吸収されると共に横揺れの極限時において、摺動部材の極限動作時に上部材のストッパー部と下部材のストッパー部とが、それぞれ摺動部材の多様錐体のエッジ部を係止して上部材と下部材のスライドを規制し、この筺体の荷重による摺動部材の位置の復元効果を有する。
【0009】
また、上側基板と下側基板間の側部に挿通されている連結部材の作用によって、横揺れによって破損するまでの微震では免震体は作動せず、震度が大きくなって連結部材が破損した時点から免震体が作動するように構成されているので、本発明の免震装置は微震によって連続作動してしまうことがない。
【0010】
また、球体の摺動部材の曲率と略司一部分曲率部を下部材に設け、球体の摺動部材が部分的に嵌合しており、横揺れの微震では免震体は作動せず、震度が大きくなって免震体が作動するように構成されているので、本発明の免震装置は微震によって連続作動してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明免震装置の平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】上側基板が移動した状態の断面図である。
【図4】免震体を筺体に取付けた平面図である。
【図5】免震体を筺体に取付けた部分正面図である。
【図6】他の実施例を示す免震体の断面図である。
【図7】他の実施例を示す免震体の断面図である。
【図8】他の実施例を示す免震体の断面図である。
【図9】他の実施例を示す摺動部材の平面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】図10の断面図である。
【図12】他の実施例を示す摺動部材の平面図である。
【図13】図12の断面図である。
【図14】他の実施例を示す摺動部材の断面図である。
【図15】他の実施例を示す摺動部材の断面図である。
【図16】図15の平面図である。
【図17】球体と湾曲凹面の部分的な曲率略同一の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の免震装置について具体的に説明する。
図面に於いて、図1は本発明免震体の平面図である。図2は図1のA−A線断面図であり図3は上側基板が移動した状態の断面図である。図4は免震体を筺体に取付けた平面図である。図5は免震体を筺体に取付けた部分正面図である。図6は他の実施例を示す免震体の断面図である。図7は他の実施例を示す免震体の断面図である。図8は他の実施例を示す免震体の断面図である。図9は他の実施例を示す摺動部材の平面図である。図10は図9の側面図である。図11は図10の断面図である。図12は他の実施例を示す摺動部材の平面図である。図13は図12の断面図である。図14は他の実施例を示す摺動部材の断面図である。図15は他の実施例を示す摺動部材の断面図である。図16は図15の平面図である。図17は球体と湾曲凹面の部分的な曲率略同一の断面図である。
【0013】
具体的には、図1乃至図3に示すように、湾曲凹面21,31を有する上部材2,3と、これに対向する湾曲凹面51,61を有する下部材5,6との間に球状又は円盤状の摺動部材7,8を設けた免震体100を、床面に載置した下側基板10と構造物を支持する上側基板11との間に複数個介在させ、前記下側基板10に対し前記上側基板1の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板1が下側基板10に対し相対移動することを特徴とし、前記抵抗手段は前記下側基板10を前記上側基板1に連結する連結部材101からなり、この連結部材101に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材101がせん断され、前記上側基板1が前記下側基板10に対して相対移動することを特徴とし、前記免震体100の前記上部材2,3または下部材5,6の湾曲凹面51,61の曲率を例えば図17に示すように前記球体の摺動部材7の曲率500と略同一にし、接触面積を大きくし摩擦による抵抗手段を有し、所定以上の水平方向の力が摩擦力より大きくなった際、前記上側基板1が前記下側基板10に対して相対移動することを特徴とし、図6乃至図8に示すように、前記免震体100の前記上部材20と前記下部材50とが、いずれも周縁において内側に突き出る突状部201,501を有し、前記摺動部材70が前記上部材20と前記下部材50との間で摺動する場合において、前記上部材20の前記周縁の突状部201と前記下部材50の前記周縁部の前記突状部501とが、前記摺動部材70の側部に形成した空隙部702に係合することにより、前記下部材50に対する前記上部材20の水平方向の移動を規制し、支持する構造物の自重により復元力を生じるように構成したことを特徴とし、且つ、前記上側基板1と下側基板10間の前記免震体100は平面視三角形202の頂点の位置に配置されたことを特徴とする免震装置を提供する。
【0014】
上側基板1に固定された湾曲凹面21を有する3カ所の上部材2と、下側基板10に固定された湾曲凹面51を有する3カ所の下部材5との間に、それぞれ多種類の摺動部材7が介装されて免震体100を形成しており、単数又は複数の免震体100を筺体200の底面に取付け可能に構成し、上側基板1と下側基板10間の側部に連結部材101が挿通されて構成されており、図6乃至図8に示す場合は、摺動部材70の構造が球体又は一体的に形成された多種類の摺動部材の上下構造が多様錐体701で形成され、該摺動部材上下の多様錐体701間に空間部702が形成されていることを特徴とし、摺動限界動作時に上部材20のストッパー部201と下部材50のストッパー部501とが、それぞれ摺動部材70のエッジを係止して上部材20と下部材50のスライドを規制し、支持する筺体200の自重による復元力を生じるように構成し、摺動部材70の上下多様錐体701間に空間部702が形成されており、上下多様錐体701間の弾力性が付与されていることを特徴とし、図9乃至図11に示す場合は、摺動部材80が、中心部の上下に金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなるコア81を有し、周縁部が硬質ゴム等で構成され、上下に角錐体が一体的に形成されていることを特徴とし、また、図12乃至図13に示す場合は、摺動部材90が、上下に凸面体を連結する円柱状コア902からなり、金属、プラスチック、POM又はセラミクスによって一体的に形成されていることを特徴とする免震装置である。図14に示す摺動部材90は硬質ゴム等の弾性部材で上下の凸面体が支持されている。
【0015】
また、図15乃至図16の実施例では、摺動部材700の中央部に球体72が保持される構造になっており、球体とマーブル形状が一体的に構成された実施例を示している。
【0016】
図6乃至図8に示すように、摺動部材70の上下構造は、多様錐体701で形成され、該摺動部材70上下の多様錐体701のエッジ部間に空間部702が形成されており、エッジ部間の弾力性が付与されている。
【0017】
横揺れ振動が加わった時に、図6乃至図8に示すように摺動部材70は図6の正置状態から図7に示すように摺動し、次いで図8に示すように摺動限界動作時において、上側部材20のストッパー部201と下側部材50のストッパー部501とが、それぞれ摺動部材70のエッジ部を係止して上側部材20と下側部材50のそれ以上のスライドが規制されるように構成されている。
【0018】
上記する図8の状態において、筺体200の自重によって摺動部材70は元の正置状態にもどる作用が付与される。
【0019】
図9乃至図11に示す摺動部材80では、図6乃至図8に示す摺動部材70と同様に上下構造がそれぞれ多様錐体801で形成されているが、上下中央部には図9乃至図11に示されるようにコア81が一体的に埋め込まれている。
【0020】
コア81の材質は、金属、プラスチック、POM又はセラミクスからなり、周縁部が硬質ゴム等で構成されている。
【0021】
図12乃至図13に示す摺動部材90では摺動部材90の中心部に円柱状コア902が挿通されており、図14に示す摺動部材90では上下の凸面体901間に硬質ゴム904等が接着されており、該硬質ゴム904等に上下より円柱状コア902が埋め込まれている。
【0022】
また、図15乃至図16の摺動部材700の構造は、上下の硬質ゴム等からなる多様錐体71の中心部に鋼製の転動球体72が収納された構造になっている。
【0023】
上記いずれの摺動部材の上下多様錐体は、空隙部を介して形成されており、上下の多様錐体間で弾力性が付与されている。
【0024】
また、摺動部材90は、中心部に金属性の円柱状コア902を有し、円柱状コア902の周縁部及び上下に一体的に形成される凸面体が硬質ゴム等で構成されており、いずれの場合に於いても、上部材20のストッパー部201と下側部材50のストッパー部501間でスライドの極限状態を規制することができる。
【0025】
上側基板1と下側基板10間の側部に連結部材101が挿通されており、一定の震動で該連結部材101が破損されるまでは、免震体100は微細な震動では揺動せず、該連結部材101が破損すると免震体100が作動するように構成されている。
【0026】
また、図17に示すように、球体の摺動部材7の曲率と略同一部分曲率部500を下部材5に設け、球体の摺動部材7が部分的に嵌合しており、横揺れの微震では免震体は作動せず、震度が大きくなって免震体100が作動するように構成されているので、本発明の免震装置は微震によって連続作動してしまうことがない。
【符号の説明】
【0027】
1 上側基板
10 下側基板
100 免震体
101 連結部材
2 上部材
20 上部材
21 湾曲凹面
200 筺体
201 ストッパー部
202 平面視三角形
210 湾曲凹面
3 上部材
31 湾曲凹面
4 上部材
5 下部材
50 下部材
500 略同一部分曲率部
501 ストッパー部
510 湾曲凹面
51 湾曲凹面
6 下部材
61 湾曲凹面
7 摺動部材
71 多様錐体
72 転動球体
73 空隙部
8 摺動部材
81 コア
9 摺動部材
70 摺動部材
700 摺動部材
701 多様錐体
702 空隙部
80 摺動部材
801 多様錐体
802 空隙部
90 摺動部材
901 凸面体
902 円柱状コア
903 空隙部
904 硬質ゴム等
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲凹面を有する上部材と、これに対向する湾曲凹面を有する下部材との間に球状又は円盤状の摺動部材を設けた免震体を、床面に載置した下側基板と構造物を支持する上側基板との間に複数個介在させ、
前記下側基板に対し前記上側基板の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板が下側基板に対し相対移動することを特徴とする免震装置。
【請求項2】
前記抵抗手段は前記下側基板を前記上側基板に連結する連結部材からなり、この連結部材に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材がせん断され、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
前記免震体の前記上部材または下部材の湾曲凹面の曲率を前記摺動部材の曲率と同一にし、接触面積を大きくし摩擦による抵抗手段を有し、所定以上の水平方向の力が摩擦力より大きくなった際、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項4】
前記免震体の前記上部材と前記下部材とが、いずれも周縁において内側に突き出る突状部を有し、
前記摺動部材が前記上部材と前記下部材との間で摺動する場合において、前記上部材の前記周縁の突状部と前記下部材の前記周縁部の前記突状部とが、前記摺動部材の側部に形成した凹部に係合することにより、前記下部材に対する前記上部材の水平方向の移動を規制し、支持する構造物の自重により復元力を生じるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項5】
前記上側基板と下側基板間の前記免震体は平面視三角形の頂点の位置に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の免震装置。
【請求項1】
湾曲凹面を有する上部材と、これに対向する湾曲凹面を有する下部材との間に球状又は円盤状の摺動部材を設けた免震体を、床面に載置した下側基板と構造物を支持する上側基板との間に複数個介在させ、
前記下側基板に対し前記上側基板の水平方向の初期移動を抑制する抵抗手段を設け、水平方向に作用する力が所定以上になると前記上側基板が下側基板に対し相対移動することを特徴とする免震装置。
【請求項2】
前記抵抗手段は前記下側基板を前記上側基板に連結する連結部材からなり、この連結部材に所定以上の水平方向の力が作用した際、前記連結部材がせん断され、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
前記免震体の前記上部材または下部材の湾曲凹面の曲率を前記摺動部材の曲率と同一にし、接触面積を大きくし摩擦による抵抗手段を有し、所定以上の水平方向の力が摩擦力より大きくなった際、前記上側基板が前記下側基板に対して相対移動することを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項4】
前記免震体の前記上部材と前記下部材とが、いずれも周縁において内側に突き出る突状部を有し、
前記摺動部材が前記上部材と前記下部材との間で摺動する場合において、前記上部材の前記周縁の突状部と前記下部材の前記周縁部の前記突状部とが、前記摺動部材の側部に形成した凹部に係合することにより、前記下部材に対する前記上部材の水平方向の移動を規制し、支持する構造物の自重により復元力を生じるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項5】
前記上側基板と下側基板間の前記免震体は平面視三角形の頂点の位置に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の免震装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−21638(P2012−21638A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169766(P2010−169766)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(390027661)株式会社金澤製作所 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(390027661)株式会社金澤製作所 (29)
【Fターム(参考)】
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