説明

入力インターフェイス装置

【課題】簡単に、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力可能な入力インターフェイス装置を提供する。
【解決手段】入力インターフェイス装置は、表裏方向のばね定数が異なる複数の弾性層20、21が表裏方向に積層されてなる弾性部2を備え、表側から加わる荷重Fの変化による弾性部2の全体の表裏方向の圧縮荷重−変位特性が非線形であることを利用して、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ナビゲーションシステムやエアコンディショナーやゲームや携帯機器などの外部機器の操作に用いられる、入力インターフェイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量型の入力インターフェイス装置が開示されている。同文献記載の入力インターフェイス装置は、表裏一対の電極と、誘電層と、を備えている。誘電層は、表裏一対の電極間に介装されている。
【0003】
電極面積をS、電極間距離をd、真空中の誘電率をε、誘電層の比誘電率をεとすると、静電容量Cは、以下の式(1)により算出される。
C=ε・ε・S/d ・・・ 式(1)
操作者が入力インターフェイス装置の表面の任意の座標を押圧すると、操作者が加えた荷重により、誘電層は弾性的に圧縮される。誘電層が圧縮されると、その分、式(1)の電極間距離dが短くなる。このため、静電容量Cが大きくなる。同文献記載の入力インターフェイス装置によると、当該静電容量Cの変化を基に、操作者が荷重を入力した座標(面方向位置)を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−170511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の静電容量型の入力インターフェイス装置の場合、荷重が加わっている状態、荷重が加わっていない状態という二つの状態を基に、オン−オフの2値を出力できるにすぎない。つまり、入力インターフェイス装置により外部機器を操作する場合、二つの指示しか出すことができない。
【0006】
ここで、荷重の大きさに応じて、言い換えると式(1)の電極間距離d、つまり誘電層の表裏方向厚さに応じて、複数のレベルの信号を切り替えて出力できれば、指示のバリエーションを増やすことができる。
【0007】
しかしながら、誘電層の表裏方向厚さの変化を、操作者が認識することは困難である。例えば、操作者は、自身の出している信号のレベルをディスプレイなどで逐一確認しながらでなければ、複数のレベルの信号を使い分けることができない。また、操作者が、所望のレベルの信号を継続的に出し続けるには、誘電層の表裏方向厚さ、つまり操作者の押圧ストロークを一定に保つ必要がある。このように、従来の入力インターフェイス装置の場合、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力するのが困難である。
【0008】
本発明の入力インターフェイス装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、簡単に、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力可能な入力インターフェイス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明の入力インターフェイス装置は、表裏方向のばね定数が異なる複数の弾性層が該表裏方向に積層されてなる弾性部を備え、表側から加わる荷重の変化による該弾性部の全体の該表裏方向の圧縮荷重−変位特性が非線形であることを利用して、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力可能なことを特徴とする。
【0010】
ここで、「積層」には、複数の弾性層が連続して積層されている場合は勿論、複数の弾性層が他の層を介して積層されている場合も含まれる。また、弾性層の「ばね定数」とは、弾性層の圧縮荷重−変位特性の25%圧縮歪みまでの傾きの平均値をいう。
【0011】
また、弾性部の「圧縮荷重−変位特性が非線形」とは、圧縮荷重−変位特性が全体的に曲線状である場合は勿論、部分的に直線区間を有する場合や、複数の直線区間が折れ線状に連なっている場合も含まれる。
【0012】
本発明の入力インターフェイス装置の弾性部は、複数の弾性層を備えている。複数の弾性層の表裏方向のばね定数(以下、適宜、「ばね定数」と略称する。)は、各々異なっている。
【0013】
ここで、一例として、4つの弾性層A1〜A4が表裏方向に積層されている場合を想定する。なお、ばね定数は、弾性層A1<弾性層A2<弾性層A3<弾性層A4の順である。
【0014】
表側から加わる荷重が大きくなると、まず、最もばね定数が小さい弾性層A1が主として圧縮される。なお、弾性層A1以外の弾性層も、各々のばね定数に対応して圧縮される。さらに荷重が大きくなると、二番目にばね定数が小さい弾性層A2が主として圧縮される。なお、弾性層A2以外の弾性層も、各々のばね定数に対応して圧縮される。このように、荷重が大きくなるのに従って、主として圧縮する弾性層は変化する。
【0015】
一方、全ての弾性層が圧縮しきった状態で、表側から加わる荷重が小さくなると、まず、主として最もばね定数が大きい弾性層A4が、自身の有する弾性復元力により、伸張する。なお、弾性層A4以外の弾性層も、各々のばね定数に対応して伸張する。さらに荷重が小さくなると、二番目にばね定数が大きい弾性層A3が主として伸張する。なお、弾性層A3以外の弾性層も、各々のばね定数に対応して伸張する。このように、荷重が小さくなるのに従って、主として復元する弾性層は変化する。
【0016】
このため、変形する弾性層に応じて、弾性部の全体の圧縮荷重−変位特性に変曲点(本明細書においては、「変曲点」とは、傾きが変わるところをいう。)が現れ、非線形の圧縮荷重−変位特性を示す。本発明の入力インターフェイス装置は、当該圧縮荷重−変位特性が非線形となることを利用して、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力することができる。
【0017】
以上説明したように、本発明の入力インターフェイス装置によると、変形可能な弾性層の数により信号のレベルを切り替えることができる。このため、簡単に、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力することができる。
【0018】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記弾性層の前記表裏方向の前記ばね定数とは、該弾性層が発泡体製の場合は、JIS K 6767における25%圧縮荷重である構成とする方がよい。
【0019】
JIS K 6767における25%圧縮荷重(以下、適宜、「25%圧縮荷重」と略称する。)が大きいほど、弾性層が硬くなる。反対に、25%圧縮荷重が小さいほど、弾性層が軟らかくなる。本構成によると、25%圧縮荷重の異なる複数の弾性層を組み合わせることにより、簡単に、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力することができる。
【0020】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記弾性部は、変形可能な前記弾性層の数が変わる際の反力の変化により、前記荷重を加える操作者に、前記信号の前記レベルを認識させる構成とする方がよい。
【0021】
変形する弾性層が変わる際、入力インターフェイス装置から操作者が受ける反力は、段階的に変化する。本構成によると、当該反力の変化から、操作者は、信号のレベルを認識することができる。また、本構成によると、信号のレベルを認識する際に、フォースフィードバックのような機械的要素、電気的要素が不要である。このため、構造が簡単である。
【0022】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、複数の前記弾性層のうち、少なくとも一つの該弾性層は、圧縮荷重−変位特性に二階微分が負の区間を有する構成とする方がよい。
【0023】
本構成によると、少なくとも一つの弾性層が、圧縮荷重−変位特性に、二階微分が負の区間(傾き(=荷重/変位)が徐々に小さくなる区間)を有している。このため、変形可能な弾性層の数が増減する際の反力の変化を大きくすることができる。したがって、荷重を加える操作者に、明確に信号のレベルを認識させることができる。
【0024】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記弾性部の裏側に配置され、該弾性部の全体の前記表裏方向の前記圧縮荷重−変位特性の傾きの変化に応じて、検出信号を出力する感圧センサと、該検出信号に応じて、前記外部機器に対して、複数の前記レベルの前記信号を任意に出力する制御装置と、を備える構成とする方がよい。
【0025】
本構成によると、弾性部の全体の圧縮荷重-変位特性の傾きの変化と、感圧センサの検出信号と、が対応している。このため、感圧センサの検出信号に応じて出力する信号のレベルを切り替えることにより、実質的に、弾性部の全体の圧縮荷重-変位特性の傾きの変化に応じて出力する信号のレベルを切り替えることができる。
【0026】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記感圧センサは、誘電層を有する誘電部と、該誘電部の表側に配置される表側電極と、該誘電部の裏側に配置される裏側電極と、を有する静電容量型の感圧センサであって、該誘電部の該誘電層は、前記弾性部の複数の前記弾性層のうち、少なくとも一つの該弾性層を兼ねる構成とする方がよい。本構成によると、誘電層と弾性層とが互いに独立している場合と比較して、層数が少なくなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、簡単に、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力可能な入力インターフェイス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第一実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の斜視図である。
【図2】同入力インターフェイス素子の分解斜視図である。
【図3】同入力インターフェイス素子の上下方向断面図である。
【図4】同入力インターフェイス装置のブロック図である。
【図5】(a)は、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第一段階における上下方向断面図である。(b)は、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第二段階における上下方向断面図である。(c)は、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第三段階における上下方向断面図である。(d)は、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第四段階における上下方向断面図である。
【図6】同入力インターフェイス装置の圧縮荷重−変位特性である。
【図7】第二実施形態の入力インターフェイス装置の圧縮荷重−変位特性である。
【図8】第三実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の上下方向断面図である。
【図9】(a)は、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第二段階における上下方向断面図である。(b)は、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第三段階における上下方向断面図である。(c)は、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第四段階の上下方向断面図である。
【図10】第四実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の分解斜視図である。
【図11】第五実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の感圧センサの分解斜視図である。
【図12】同感圧センサの透過上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の入力インターフェイス装置の実施の形態について説明する。
【0030】
<第一実施形態>
[入力インターフェイス装置の構成]
まず、本実施形態の入力インターフェイス装置の構成について説明する。図1に、本実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の斜視図を示す。図2に、同入力インターフェイス素子の分解斜視図を示す。図3に、同入力インターフェイス素子の上下方向断面図を示す。図4に、同入力インターフェイス装置のブロック図を示す。なお、以下の図において、上下方向は、本発明の「表裏方向」に対応する。また、「上」は本発明の「表」に、「下」は本発明の「裏」に、各々対応する。
【0031】
図1〜図4に示すように、入力インターフェイス装置1は、入力インターフェイス素子5と、制御装置4と、を備えている。入力インターフェイス素子5は、弾性部2と、感圧センサ3と、を備えている。
【0032】
(弾性部2)
弾性部2は、第一弾性層20と、第二弾性層21と、第一荷重分散板22と、第二荷重分散板23と、第三荷重分散板24と、を備えている。第一弾性層20、第二弾性層21は、各々、本発明の「弾性層」の概念に含まれる。
【0033】
第三荷重分散板24は、後述する感圧センサ3の上方に配置されている。第三荷重分散板24は、プラスチック製であって、円板状を呈している。第二弾性層21は、第三荷重分散板24の上方に配置されている。第二弾性層21は、発泡ウレタン製であって、円柱状を呈している。
【0034】
第二荷重分散板23は、第二弾性層21の上方に配置されている。第二荷重分散板23は、プラスチック製であって、円板状を呈している。第一弾性層20は、第二荷重分散板23の上方に配置されている。第一弾性層20は、発泡ウレタン製であって、円柱状を呈している。第一弾性層20は、第二弾性層21よりも、上下方向のばね定数が小さい。つまり、上方から押圧された場合、第一弾性層20は、第二弾性層21よりも、圧縮されやすい。
【0035】
第一荷重分散板22は、第一弾性層20の上方に配置されている。後述するように、操作者は、第一荷重分散板22の上方から、入力インターフェイス装置1に荷重を入力する。
【0036】
以上説明したように、弾性部2には、下から上に向かって、第三荷重分散板24、第二弾性層21、第二荷重分散板23、第一弾性層20、第一荷重分散板22が、この順に積層されている。
【0037】
(感圧センサ3)
感圧センサ3は、いわゆる静電容量型センサである。感圧センサ(具体的には、図4に示すセンサ素子)3は、表側基材30と、裏側基材31と、表側電極32と、裏側電極33と、誘電部34と、を備えている。表側基材30は、第三荷重分散板24の下方に配置されている。表側基材30は、ポリウレタン製であって、円板状を呈している。表側電極32は、表側基材30の下方に配置されている。表側電極32は、銀ペースト製であって、円膜状を呈している。
【0038】
誘電部34は、表側電極32の下方に配置されている。誘電部34は、誘電層340を備えている。誘電層340は、発泡ゴム製であって、円板状を呈している。誘電層340は、本発明の「弾性層」を兼ねている。誘電層340は、第一弾性層20および第二弾性層21よりも、上下方向のばね定数が大きい。つまり、上方から押圧された場合、誘電層340は、第一弾性層20および第二弾性層21よりも、圧縮されにくい。
【0039】
裏側電極33は、誘電部34の下方に配置されている。裏側電極33は、銀ペースト製であって、円膜状を呈している。裏側基材31は、裏側電極33の下方に配置されている。裏側基材31は、ポリウレタン製であって、円板状を呈している。
【0040】
以上説明したように、感圧センサ3は、弾性部2の下方に配置されている。感圧センサ3には、下から上に向かって、裏側基材31、裏側電極33、誘電部34(誘電層340)、表側電極32、表側基材30が、この順に積層されている。
【0041】
(制御装置4)
図4に示すように、制御装置4は、入出力インターフェイス40と、演算部41と、記憶部42と、を備えている。感圧センサ3は、入出力インターフェイス40に電気的に接続されている。制御装置4には、感圧センサ3から、検出信号が伝送される。
【0042】
外部機器90は、3つの駆動回路43α〜43γと、3つのモータ900α〜900γと、を備えている。3つのモータ900α〜900γは、駆動回路43α〜43γを介して、入出力インターフェイス40に電気的に接続されている。制御装置4は、3つのモータ900α〜900γに、出力レベルα〜γの信号を出力可能である。出力レベルα〜γは、各々、本発明の信号の「レベル」の概念に含まれる。
【0043】
[入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の荷重入力時の動き]
次に、本実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の荷重入力時の動きについて説明する。図5(a)に、本実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の、荷重入力第一段階における上下方向断面図を示す。図5(b)に、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第二段階における上下方向断面図を示す。図5(c)に、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第三段階における上下方向断面図を示す。図5(d)に、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第四段階における上下方向断面図を示す。図6に、同入力インターフェイス装置の圧縮荷重−変位特性を示す。
【0044】
図6の点Aは図5(a)の荷重入力第一段階に、点Bは図5(b)の荷重入力第二段階に、点Cは図5(c)の荷重入力第三段階に、点Dは図5(d)の荷重入力第四段階に、各々対応している。
【0045】
(荷重入力第一段階)
図5(a)、図6に示すように、荷重入力第一段階においては、操作者91(詳しくは、操作者91の指)から入力インターフェイス装置1(具体的には、入力インターフェイス素子5)に荷重が入力されていない。このため、第一弾性層20の上下方向厚さd1、第二弾性層21の上下方向厚さd2、誘電層340の上下方向厚さd3は変化しない。
【0046】
(荷重入力第一段階→荷重入力第二段階)
図5(a)、図5(b)、図6に示すように、操作者91から入力インターフェイス装置1に荷重Fが入力されると、ばね定数に対応して、第一弾性層20、第二弾性層21、誘電層340が、各々圧縮される。すなわち、圧縮量が大きい順に、第一弾性層20、第二弾性層21、誘電層340となる。
【0047】
図5(a)と図5(b)とを比較すると判るように、誘電層340の上下方向厚さd3は小さくなる。すなわち、前出式(1)の電極間距離dは短くなる。このため、図4に示すように、感圧センサ3から制御装置4に、検出信号が伝送される。
【0048】
また、図6の区間ABに示すように、圧縮荷重−変位特性は直線状を呈している(直線区間)。ここで、第一弾性層20は、第二弾性層21および誘電層340よりも、極めてばね定数が小さい。このため、区間ABには、主に第一弾性層20の特性が反映されている。第一弾性層20ばね定数(正確には、第一弾性層20、第二弾性層21、誘電層340の合成のばね定数(荷重/変位))は、略一定である。
【0049】
(荷重入力第二段階)
図5(b)、図6に示すように、荷重入力第二段階においては、第一弾性層20が潰れきっている。すなわち、第一弾性層20には、圧縮代が残っていない。一方、第二弾性層21、誘電層340は未だ潰れきっていない。すなわち、第二弾性層21、誘電層340には、圧縮代が残っている。
【0050】
感圧センサ3から制御装置4には、電極間距離d(誘電層340の上下方向厚さd3)、つまり静電容量Cに応じた検出信号が伝送される。
【0051】
(荷重入力第二段階→荷重入力第三段階)
図5(b)、図5(c)、図6に示すように、操作者91からの荷重Fが大きくなると、ばね定数に対応して、第二弾性層21、誘電層340が、各々圧縮される。すなわち、圧縮量が大きい順に、第二弾性層21、誘電層340となる。
【0052】
図5(b)と図5(c)とを比較すると判るように、誘電層340の上下方向厚さd3は小さくなる。すなわち、前出式(1)の電極間距離dは短くなる。このため、図4に示すように、感圧センサ3から制御装置4に、検出信号が伝送される。
【0053】
また、図6の区間BCに示すように、圧縮荷重−変位特性は、第一直線区間BE、曲線区間EF、第二直線区間FCを備えている。ここで、第二弾性層21は、誘電層340よりも、極めてばね定数が小さい。このため、区間BCには、主に第二弾性層21の特性が反映されている。曲線区間EFにおいては、傾きが徐々に小さくなっている。つまり、曲線区間EFの二階微分は負となる。曲線区間EFは、本発明の「二階微分が負の区間」の概念に含まれる。
【0054】
(荷重入力第三段階)
図5(c)、図6に示すように、荷重入力第三段階においては、第一弾性層20、第二弾性層21が潰れきっている。すなわち、第一弾性層20、第二弾性層21には、圧縮代が残っていない。一方、誘電層340は未だ潰れきっていない。すなわち、誘電層340には、圧縮代が残っている。
【0055】
感圧センサ3から制御装置4には、電極間距離d(誘電層340の上下方向厚さd3)、つまり静電容量Cに応じた検出信号が伝送される。
【0056】
(荷重入力第三段階→荷重入力第四段階)
図5(c)、図5(d)、図6に示すように、操作者91からの荷重Fが大きくなると、誘電層340が圧縮される。
【0057】
図5(c)と図5(d)とを比較すると判るように、誘電層340の上下方向厚さd3は小さくなる。すなわち、前出式(1)の電極間距離dは短くなる。このため、図4に示すように、感圧センサ3から制御装置4に、検出信号が伝送される。
【0058】
また、図6の区間CDに示すように、圧縮荷重−変位特性は直線状を呈している(直線区間)。区間CDには、誘電層340の特性が反映されている。誘電層340のばね定数は、略一定である。
【0059】
(荷重入力第四段階)
図5(d)、図6に示すように、荷重入力第四段階においては、第一弾性層20、第二弾性層21、誘電層340が潰れきっている。すなわち、第一弾性層20、第二弾性層21、誘電層340には、圧縮代が残っていない。感圧センサ3から制御装置4には、電極間距離d(誘電層340の上下方向厚さd3)、つまり静電容量Cに応じた検出信号が伝送される。
【0060】
なお、操作者91からの荷重Fが小さくなる場合は、荷重入力第四段階(図5(d))→荷重入力第三段階(図5(c))→荷重入力第二段階(図5(b))→荷重入力第一段階(図5(a))というように、上記過程を逆方向に辿ることになる。
【0061】
[入力インターフェイス装置の信号出力時の動き]
次に、本実施形態の入力インターフェイス装置の信号出力時の動きについて説明する。図4に示す制御装置4の記憶部42には、図5(a)〜図5(d)に示す誘電層340の上下方向厚さd3に応じて、第一出力レベル区間Rα、第二出力レベル区間Rβ、第三出力レベル区間Rγが格納されている。
【0062】
(第一出力レベル区間Rα)
第一出力レベル区間Rαの大部分は、荷重入力第一段階から荷重入力第二段階までの過程に対応している。つまり、主に第一弾性層20が圧縮される場合の、誘電層340の上下方向厚さd3に対応している。
【0063】
図4に示す制御装置4には、感圧センサ3から、前出式(1)の電極間距離d(誘電層340の上下方向厚さd3)に応じた検出信号が伝送される。演算部41は、感圧センサ3の検出信号から、電極間距離dを算出する。また、電極間距離dから、誘電層340の上下方向の変位量を算出する。そして、当該変位量と、記憶部42に格納されている第一出力レベル区間Rα、第二出力レベル区間Rβ、第三出力レベル区間Rγと、を比較する。比較の結果、変位量が第一出力レベル区間Rαに含まれる場合、演算部41は、駆動回路43αに、出力レベルαの信号を伝送する。すなわち、演算部41は、駆動回路43αを介して、外部機器90のモータ900αを駆動する。
【0064】
図6に示すように、第一出力レベル区間Rαは、区間ABに対して、高変位側(高荷重側)にずれている。第一出力レベル区間Rαの低変位端が点Aからずれているのは、操作者91が、第一荷重分散板22に触れただけで、出力レベルαの信号が伝送され、モータ900αが作動してしまうのを防ぐためである。一方、第一出力レベル区間Rαの高変位端が点Bからずれているのは、操作者91が、意に反して第一荷重分散板22を過剰に押圧した場合に、信号の出力レベルが切り替わる(α→β)のを抑制するためである。
【0065】
(第二出力レベル区間Rβ)
第二出力レベル区間Rβの大部分は、荷重入力第二段階から荷重入力第三段階までの過程に対応している。つまり、主に第二弾性層21が圧縮される場合の、誘電層340の上下方向厚さd3に対応している。
【0066】
図4に示す制御装置4には、感圧センサ3から、電極間距離d(誘電層340の上下方向厚さd3)に応じた検出信号が伝送される。演算部41は、検出信号から、電極間距離dを算出する。また、電極間距離dから、誘電層340の上下方向の変位量を算出する。そして、当該変位量と、記憶部42に格納されている第一出力レベル区間Rα、第二出力レベル区間Rβ、第三出力レベル区間Rγと、を比較する。比較の結果、変位量が第二出力レベル区間Rβに含まれる場合、演算部41は、駆動回路43βに、出力レベルβの信号を伝送する。すなわち、演算部41は、駆動回路43βを介して、外部機器90のモータ900βを駆動する。
【0067】
図6に示すように、第二出力レベル区間Rβは、区間BCに対して、高変位側(高荷重側)にずれている。第二出力レベル区間Rβの高変位端が点Cからずれているのは、操作者91が、意に反して第一荷重分散板22を過剰に押圧した場合に、信号の出力レベルが切り替わる(β→γ)のを抑制するためである。
【0068】
(第三出力レベル区間Rγ)
第三出力レベル区間Rγは、荷重入力第三段階から荷重入力第四段階までの過程に対応している。つまり、主に誘電層340が圧縮される場合の、誘電層340の上下方向厚さd3に対応している。
【0069】
図4に示す制御装置4には、感圧センサ3から、電極間距離d(誘電層340の上下方向厚さd3)に応じた検出信号が伝送される。演算部41は、感圧センサ3の検出信号から、電極間距離dを算出する。また、電極間距離dから、誘電層340の上下方向の変位量を算出する。そして、当該変位量と、記憶部42に格納されている第一出力レベル区間Rα、第二出力レベル区間Rβ、第三出力レベル区間Rγと、を比較する。比較の結果、変位量が第三出力レベル区間Rγに含まれる場合、演算部41は、駆動回路43βに、出力レベルγの信号を伝送する。すなわち、演算部41は、駆動回路43γを介して、外部機器90のモータ900γを駆動する。
【0070】
[作用効果]
次に、本実施形態の入力インターフェイス装置の作用効果について説明する。本実施形態の入力インターフェイス装置1の弾性部2は、第一弾性層20と第二弾性層21とを備えている。また、感圧センサ3は、弾性層兼用の誘電層340を備えている。第一弾性層20、第二弾性層21、誘電層340のばね定数は、各々異なっている。
【0071】
図5(a)〜図5(d)に示すように、荷重Fが大きくなるのに従って、まず第一弾性層20が、次に第二弾性層21、最後に誘電層340が圧縮される。反対に、荷重Fが小さくなるのに従って、まず誘電層340が、次に第二弾性層21が、最後に第一弾性層20が伸張する。
【0072】
このように、表側から加わる荷重Fの変化に応じて、変形(圧縮、伸張)する弾性層(第一弾性層20、第二弾性層21、誘電層340)が変化する。このため、変形する弾性層が変化することに対応して、弾性部2の全体の圧縮荷重−変位特性に変曲点が現れ、当該圧縮荷重−変位特性が非線形となる。本実施形態の入力インターフェイス装置1は、当該圧縮荷重−変位特性が非線形となることを利用して、外部機器90に対して、複数の出力レベルα〜γの信号を切り替えて出力することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、変形する弾性層の種類により信号の出力レベルα〜γを切り替えることができる。このため、簡単に、外部機器90に対して、複数の出力レベルα〜γの信号を切り替えて出力することができる。
【0074】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、図5(b)図5(c)、図6の点B、点Cに示すように、変形する弾性層が変わる際、入力インターフェイス装置1から操作者91が受ける反力(荷重Fによる反力)は、段階的に変化する。具体的には、点Bを境に、圧縮荷重−変位特性の傾きが急激に大きくなる。また、点Cを境に、圧縮荷重−変位特性の傾きが急激に大きくなる。このため、当該反力の変化から、操作者91は、自身が出している信号が出力レベルα〜γのどれであるかを認識することができる。言い換えると、出力レベルα〜γを触感により認識することができる。
【0075】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、出力レベルα〜γを認識する際に、フォースフィードバックのような機械的要素、電気的要素が不要である。このため、構造が簡単である。
【0076】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、図6に示すように、第二弾性層21は、圧縮荷重−変位特性に曲線区間EFを備えている。つまり、第二弾性層21は、圧縮荷重−変位特性に二階微分が負の区間を備えている。このため、図6の区間BCに、細線で示すような直線区間L1が設定されている場合と比較して、点Bにおける圧縮荷重−変位特性の傾きの変化の程度が大きくなる。同様に、点Cにおける圧縮荷重−変位特性の傾きの変化の程度が大きくなる。すなわち、主として変形する弾性層が変化する際の反力の変化を大きくすることができる。したがって、荷重Fを加える操作者91に、明確に出力レベルα〜γを認識させることができる。
【0077】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、弾性部2の全体の圧縮荷重-変位特性の傾きの変化と、感圧センサ3の検出信号と、が対応している。このため、感圧センサ3の検出信号に応じて、信号の出力レベルα〜γを切り替えることにより、実質的に、弾性部2の全体の圧縮荷重-変位特性の傾きの変化に応じて信号の出力レベルα〜γを切り替えることができる。
【0078】
また、本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、誘電部34の誘電層340が、弾性部2の弾性層を兼ねている。このため、誘電層340と弾性層とが互いに独立している場合と比較して、層数が少なくなる。
【0079】
<第二実施形態>
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置との相違点は、圧縮荷重−変位特性の形状だけである。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0080】
図7に、本実施形態の入力インターフェイス装置の圧縮荷重−変位特性を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。図7に点Aで示すように、前出図5(a)に示す荷重入力第一段階においては、変位せずに荷重だけがΔF1だけ変化している。同様に、図7に点Bで示すように、前出図5(b)に示す荷重入力第二段階においては、変位せずに荷重だけがΔF2だけ変化している。同様に、図7に点Cで示すように、前出図5(c)に示す荷重入力第三段階においては、変位せずに荷重だけがΔF3だけ変化している。このため、操作者は、より明確に反力の変化を認識することができる。
【0081】
また、ΔF1の分だけ、操作者が触れただけでは弾性層が変形しにくい。また、ΔF2、ΔF3の分だけ、操作者が、意に反して第一荷重分散板を過剰に押圧しても、出力レベルα〜γが切り替わりにくい。このため、図7に示すように、区間ABと第一出力レベル区間Rαとは一致している。また、区間BCと第二出力レベル区間Rβとは一致している。また、区間CDと第三出力レベル区間Rγとは一致している。
【0082】
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0083】
<第三実施形態>
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置との相違点は、誘電層が全ての弾性層を兼ねている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0084】
図8に、本実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の上下方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ符号で示す。誘電部34は、第一誘電層341と、第二誘電層342と、第三誘電層343と、を備えている。第一誘電層341、第二誘電層342、第三誘電層343は、各々、本発明の「誘電層」の概念に含まれる。ばね定数が最も小さいのは、第一誘電層341である。反対に、ばね定数が最も大きいのは、第三誘電層343である。
【0085】
図9(a)に、本実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の、荷重入力第二段階における上下方向断面図を示す。図9(b)に、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第三段階における上下方向断面図を示す。図9(c)に、同入力インターフェイス素子の、荷重入力第四段階における上下方向断面図を示す。なお、図5(a)〜図5(d)と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図9(a)〜図9(c)と、図5(a)〜図5(d)と、は荷重入力段階が対応している。
【0086】
表側基材30、表側電極32、裏側基材31、裏側電極33は、各々、柔軟である。このため、操作者91からの荷重Fは、集中した状態(例えば荷重分散板などにより分散されない状態)で、入力インターフェイス装置1に入力される。
【0087】
図9(a)〜図9(c)に示すように、荷重Fが大きくなるのに従って、まず第一誘電層341が、次に第二誘電層342が、最後に第三誘電層343が、各々優先的に圧縮される。
【0088】
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の入力インターフェイス装置1のように、弾性部2と感圧センサ3とを一体化してもよい。こうすると、部品点数が少なくなる。また、入力インターフェイス装置1の上下方向厚さが小さくなる。
【0089】
<第四実施形態>
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置との相違点は、感圧センサが複数の検出点を備えている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0090】
図10に、本実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の分解斜視図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0091】
図10に示すように、弾性部2は、各々25%圧縮荷重が異なる3つの弾性層25〜27を備えている。感圧センサ3の表側基材30の下面には、8本の帯状の表側電極32が配置されている。表側電極32は、前後方向に延在している。8本の表側電極32は、左右方向に並んでいる。一方、裏側基材31の上面には、8本の帯状の裏側電極33が配置されている。裏側電極33は、左右方向に延在している。8本の裏側電極33は、前後方向に並んでいる。表側基材30、裏側基材31、表側電極32、裏側電極33は、各々、柔軟である。上方または下方から見て、8本の表側電極32と8本の裏側電極33とは、格子状に直交している。8本の表側電極32と8本の裏側電極33との64個(=8本×8本)の交差点には、検出点が設定されている。
【0092】
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、検出点ごとに、外部機器に対して、複数の出力レベルα〜γの信号を切り替えて出力することができる。
【0093】
<第五実施形態>
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置との相違点は、感圧センサの構成のみである。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0094】
図11に、本実施形態の入力インターフェイス装置の入力インターフェイス素子の感圧センサの分解斜視図を示す。図12に同感圧センサの透過上面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0095】
図11に示すように、本実施形態の入力インターフェイス装置の感圧センサ3は、単一の表側電極32と、4つの裏側電極33Lf、33Rf、33Lr、33Rrを備えている。単一の表側電極32と、4つの裏側電極33Lf、33Rf、33Lr、33Rrと、の間には、誘電層340が介装されている。図12に示すように、上方から見て、4つの裏側電極33Lf、33Rf、33Lr、33Rrは、表側電極32に重複して配置されている。
【0096】
図12に示すように、上方から左前下向きの荷重FLfが入力されると、誘電層340のうち、表側電極と裏側電極33Lfとの間に介在する部分が、集中的に圧縮される。このため、表側電極と裏側電極33Lfとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。
【0097】
同様に、上方から右前下向きの荷重FRfが入力されると、表側電極と裏側電極33Rfとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。上方から左後下向きの荷重FLrが入力されると、表側電極と裏側電極33Lrとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。上方から右後下向きの荷重FRrが入力されると、表側電極と裏側電極33Rrとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。
【0098】
また、上方から左下向きの荷重が入力されると、表側電極と裏側電極33Lf、33Lrとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。上方から右下向きの荷重が入力されると、表側電極と裏側電極33Rf、33Rrとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。上方から前下向きの荷重が入力されると、表側電極と裏側電極33Lf、33Rfとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。上方から後下向きの荷重が入力されると、表側電極と裏側電極33Lr、33Rrとの間の、前出式(1)における電極間距離dが短くなる。
【0099】
本実施形態の入力インターフェイス装置と、第一実施形態の入力インターフェイス装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の入力インターフェイス装置1によると、荷重FLf、FRf、FLr、FRrの方向を検出することができる。なお、本実施形態の感圧センサ3は、本発明の入力インターフェイス装置から独立して使用することができる。
【0100】
<その他>
以上、本発明の入力インターフェイス装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0101】
弾性層の積層順序は特に限定しない。表から裏に向かって、ばね定数が小さい順に積層しても、ばね定数が大きい順に積層してもよい。また、ランダムに積層してもよい。また、弾性層の材質は特に限定しない。エラストマ(ゴムを含む)製、エラストマや樹脂の発泡体製、布製であってもよい。
【0102】
また、ばね定数の異なる弾性層を、同一の材料製としてもよい。この場合、充填材の量、形状、発泡率などにより、ばね定数を調整してもよい。また、弾性層を、多数の突起を並べることにより、形成してもよい。また、単一の弾性層を、並置された複数の弾性体により、構成してもよい。この場合、複数の弾性体の合成のばね定数が、当該弾性層のばね定数となる。また、弾性層を、ばねにより形成してもよい。例えば、金属製の板ばね、皿ばね、コイルばねなどにより、弾性層を形成してもよい。また、誘電層の材質は特に限定しない。エラストマ(ゴムを含む)製、エラストマや樹脂の発泡体製、布製であってもよい。
【0103】
第一荷重分散板、第二荷重分散板、第三荷重分散板の材質は特に限定しない。弾性層よりも上下方向および水平方向のばね定数が高ければよい。例えば、ヤング率が高ければよい。第一荷重分散板、第二荷重分散板、第三荷重分散板は、例えば、エラストマ(ゴムを含む)製、樹脂製、金属製などとしてもよい。
【0104】
また、表側基材、裏側基材の材質も特に限定しない。例えば、エラストマ(ゴムを含む)製、樹脂製などとしてもよい。表側電極、裏側電極の材料も特に限定しない。金属箔製、導電性エラストマ製などとしてもよい。表側基材に対する表側電極の配置方法、裏側基材に対する裏側電極の配置方法も特に限定しない。スクリーン印刷などを用いてもよい。
【0105】
入力インターフェイス装置が信号を出力する外部機器の種類は特に限定しない。ナビゲーションシステム、エアコンディショナー、ゲーム、携帯機器、パーソナルコンピューターなどであってもよい。また、入力インターフェイス装置の駆動対象となるアクチュエータも特に限定しない。モータの他、流体圧(空気圧、油圧など)シリンダ、ソレノイドなどであってもよい。また、信号の内容も特に限定しない。アクチュエータ駆動指示信号の他、照明の制御指示信号、警報発令指示信号、ディスプレイの表示変更指示信号などであってもよい。入力インターフェイス装置の感圧センサの種類も特に限定しない。歪みゲージなどであってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1:入力インターフェイス装置、2:弾性部、3:感圧センサ、4:制御装置、5:入力インターフェイス素子。
20:第一弾性層(弾性層)、21:第二弾性層(弾性層)、22:第一荷重分散板、23:第二荷重分散板、24:第三荷重分散板、25〜27:弾性層、30:表側基材、31:裏側基材、32:表側電極、33:裏側電極、33Lf:裏側電極、33Lr:裏側電極、33Rf:裏側電極、33Rr:裏側電極、34:誘電部、40:入出力インターフェイス、41:演算部、42:記憶部、43α〜43γ:駆動回路、90:外部機器、91:操作者。
340:誘電層、341:第一誘電層(誘電層)、342:第二誘電層(誘電層)、343:第三誘電層(誘電層)、900α〜900γ:モータ。
EF:曲線区間(二階微分が負の区間)、FLf:荷重、FLr:荷重、FRf:荷重、FRr:荷重、Rα:第一出力レベル区間、Rβ:第二出力レベル区間、Rγ:第三出力レベル区間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏方向のばね定数が異なる複数の弾性層が該表裏方向に積層されてなる弾性部を備え、
表側から加わる荷重の変化による該弾性部の全体の該表裏方向の圧縮荷重−変位特性が非線形であることを利用して、外部機器に対して、複数のレベルの信号を任意に出力可能な入力インターフェイス装置。
【請求項2】
前記弾性部は、変形可能な前記弾性層の数が変わる際の反力の変化により、前記荷重を加える操作者に、前記信号の前記レベルを認識させる請求項1に記載の入力インターフェイス装置。
【請求項3】
複数の前記弾性層のうち、少なくとも一つの該弾性層は、圧縮荷重−変位特性に二階微分が負の区間を有する請求項1または請求項2に記載の入力インターフェイス装置。
【請求項4】
前記弾性部の裏側に配置され、該弾性部の全体の前記表裏方向の前記圧縮荷重−変位特性の傾きの変化に応じて、検出信号を出力する感圧センサと、
該検出信号に応じて、前記外部機器に対して、複数の前記レベルの前記信号を任意に出力する制御装置と、
を備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の入力インターフェイス装置。
【請求項5】
前記感圧センサは、誘電層を有する誘電部と、該誘電部の表側に配置される表側電極と、該誘電部の裏側に配置される裏側電極と、を有する静電容量型の感圧センサであって、
該誘電部の該誘電層は、前記弾性部の複数の前記弾性層のうち、少なくとも一つの該弾性層を兼ねる請求項4に記載の入力インターフェイス装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−84118(P2013−84118A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223497(P2011−223497)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】