説明

入力デバイス切り替え装置

【課題】複数のパソコン間で入力デバイスを切り替えたとき、直感的なコピー(カット)&ペーストの操作により、切り替え元のPCから切り替え先のPCへのデータの受け渡しが可能な入力デバイス切り替え装置を提供する。
【解決手段】1台の入力デバイスを、切り替えスイッチ手段の手動操作により複数台のPCに選択的に接続させたPCの表示画面上のマウスカーソルを操作する入力デバイス切り替え装置において、前記入力デバイスが現在選択接続の第1PCのアプリケーション表示画面上で実行されるコピーまたはカット操作で特定されたデータを保持するクリップボードから転送される前記データ取得する中継記憶手段と、前記切り替えスイッチ手段の手動操作により前記入力デバイスを前記第1PCから第2PCに切り替えたとき、この操作に連動し前記中継記憶手段に保持している前記データを前記第2PCのクリップボードに転送するデータ転送手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台の入力デバイスを、切り替えスイッチ手段の手動操作により複数台のパソコン(以下、PC)に選択的に接続させ、接続したPCの表示画面上のマウスカーソルを操作する入力デバイス切り替え装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の入力デバイス切り替え装置の構成例を示す機能ブロック図である。図7において、従来、複数台(図示は2台)の第1PC(A)101と第2PC(B)102を1組の入力デバイス(キーボード103とマウス104など)で操作する場合、入力デバイス切り替え装置105に設けられた切り替えダイヤル105aを回して、操作したい第1PC(A)101または第2PC(B)102と入力デバイス(キーボード103とマウス104)の物理的な接続先を切り替える。
【0003】
また、第1PC(A)101および第2PC(B)102は、第1液晶モニタ106(A)および第2液晶モニタ107(B)に、夫々ビデオ信号ケーブル108およびビデオ信号ケーブル109で接続されている。
【0004】
また、入力デバイス切り替え装置105の切り替えダイヤル105aをA側に操作した場合、入力デバイス(キーボード103とマウス104など)と第1PC101(A)は、キーボード用信号ケーブル110aとマウス用信号ケーブル110bを介して接続される。
【0005】
同様に、入力デバイス切り替え装置105の切り替えダイヤル105aをB側に操作した場合、入力デバイス(キーボード103とマウス104など)第2PC102(B)は、キーボード用信号ケーブル111aとマウス用信号ケーブル111bを介して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−216251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来装置では、第1PC(A)101上で起動しているアプリケーションソフトのデータ(テキストデータ、ビットマップデータなど)を、第2PC(B)102上で起動しているアプリケーションソフトに受け渡すことが簡単にできない。
【0008】
例えば、第1PC(A)101および第2PC(B)102には、一時的にデータを保存できるクリップボード(共有のメモリ領域)112および113を具備している。このクリップボードは、複数の異なるアプリケーションソフトからアクセスすることが可能なため、単一のアプリケーションソフトだけでなく、異なったアプリケーションソフト間のデータの受け渡しが可能である。
【0009】
しかし、第1PC(A)101および第2PC(B)102間で、データを受け渡しする場合には、データを一旦ファイル化して、第1PC(A)101と第2PC(B)102の間を通信ケーブル(シリアルケーブル、LANケーブルなど)でつないで、データの転送を行う必要があるため、直感的にコピー(またはカット)&ペースト(貼り付け)にてデータを受け渡すことが不可能である。
【0010】
本発明の目的は、複数のパソコン間で入力デバイスを切り替えたとき、直感的なコピー(カット)&ペーストの操作により、切り替え元のPCから切り替え先のPCにデータの受け渡しすることが可能な入力デバイス切り替え装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
(1)1台の入力デバイスを、切り替えスイッチ手段の手動操作により複数台のPCに選択的に接続させ、接続したPCの表示画面上のマウスカーソルを操作する入力デバイス切り替え装置において、
前記入力デバイスが現在選択接続されている第1PCのアプリケーション表示画面上で実行されるコピーまたはカット操作で特定されたデータを保持するクリップボードから転送される前記データ取得する中継記憶手段と、
前記切り替えスイッチ手段の手動操作により前記入力デバイスを前記第1PCから第2PCに切り替えたとき、この切り替え操作に連動して前記中継記憶手段に保持している前記データを前記第2PCのクリップボードに転送するデータ転送手段と、
を備えることを特徴とする入力デバイス切り替え装置。
【0012】
(2)前記第2PCは、自己のアプリケーション表示画面上での所定マウスカーソル位置で実行される貼り付け操作により、前記中継記憶手段より自己のクリップボードに転送されたデータを前記第2PCのアプリケーショに取り込むことを特徴とする(1)に記載の入力デバイス切り替え装置。
【0013】
(3)1台の入力デバイスを、切り替えスイッチ手段の自動操作により複数台のPCに選択的に接続させ、接続したPCの表示画面上のマウスカーソルを操作する入力デバイス切り替え装置において、
前記入力デバイスが現在選択接続されている第1PCのアプリケーション表示画面上で実行されるコピーまたはカット操作で特定されたデータを保持するクリップボードから転送される前記データ取得する中継記憶手段と、
前記第1PCの表示画面上のマウスカーソルが画面端部の所定座標位置に移動したときに、前記切り替えスイッチ手段を自動的に操作して前記入力デバイスを前記第1PCから第2PCに切り替える、切り替えスイッチ操作手段と、
前記切り替えスイッチ手段の自動操作で、前記入力デバイスを前記第1PCから第2PCに切り替えたとき、この切り替え操作に連動して前記中継記憶手段に保持している前記データを前記第2PCのクリップボードに転送するデータ転送手段と、
を備えることを特徴とする入力デバイス切り替え装置。
【0014】
(4)前記第2PCは、自己のアプリケーション表示画面上での所定マウスカーソル位置で実行される貼り付け操作により、前記中継記憶手段より自己のクリップボードに転送されたデータを前記第2PCのアプリケーショに取り込むことを特徴とすることを特徴とする(3)に記載の入力デバイス切り替え装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入力デバイス切り替え装置に複数台のPCを接続した場合、PC間でデータの受け渡しをする際に、各PC上で起動しているアプリケーションの種類に関係なく直感的な操作方法(コピー(カット)&ペースト)でデータを受け渡しが可能になるため、データの受け渡し作業の簡素化と作業時間の短縮が実現できる。
【0016】
仮に2台のモニタが、横に並べて配置されている条件下で、マウスカーソルをとなり合うモニタの境界エリアに移動させることで、入力デバイスの接続先が自動的に切り替わり、ユーザは入力デバイスの切り替えを意識することなく直感的な操作方法(コピー(カット)&ペースト)でデータの受け渡しが可能になるため、データの受け渡し作業の簡素化と作業時間の短縮が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した入力デバイス切り替え装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の信号処理手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の動作を説明する表示画面の遷移図である。
【図4】本発明を適用した入力デバイス切り替え装置の他の実施例を示す機能ブロック図である。
【図5】図4の動作を説明する表示画面の遷移図である。
【図6】図4の動作を説明する表示画面の遷移図である。
【図7】従来の入力デバイス切り替え装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明を適用した入力デバイス切り替え装置の一実施例を示す機能ブロック図である。図7で説明した従来構成と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0019】
図7に示す従来構成に追加された本発明の特徴部は、入力デバイス切り替え装置200の構成にある。入力デバイス切り替え装置200は、切り替えスイッチ手段201および転送制御部202を具備する。
【0020】
切り替えスイッチ手段201は、手動切り替え操作Mにより入力デバイス(キーボード103、マウス104)を選択的に切り替えて第1PC(A)101または第2PC(B)102に接続する機能であり、図7で示した切り替えダイヤル105aと同一機能である。
【0021】
転送制御部202は、本発明の主要部をなす構成要素であり、中継記憶手段203およびデータ転送手段204を具備する。中継記憶手段203は、第1PC(A)101で実行されたコピー(カット)操作で特定されたデータを記憶するクリップボード112から転送されるデータを一時的に保存する。
【0022】
データ転送手段204は、手動切り替え操作Mで切り替えられる切り替えスイッチ201の動作に連動する信号Sにより、中継記憶手段203に保持されているデータを第2PC(B)102のクリップボード113に転送する。
【0023】
図2は、本発明の信号処理手順を説明するフローチャートである。図2(イ)は、第1PC(A)の動作フローを示す。ステップS1のコピー(カット)操作によりステップS2でクリップボードに書き込まれた否かをチェックし、書き込みが終了していればステップS3でクリップボードのデータを入力デバイス切り替え装置に転送する。
【0024】
図2(ロ)は、入力デバイス切り替え装置の動作フローを示す。ステップS4で中継記憶装置203にデータが書き込まれたか否かをチェックし、書き込みが終了していればデータ転送手段204により第2PC(B)のクリップボードにデータを転送する。
【0025】
図2(ハ)は、第2PC(B)の動作フローを示す。ステップS5で入力デバイス切り替え装置から転送されたデータを自己のクリップボードに保存し、ステップS7で実行される貼り付け操作で起動しているアプリケーションに取り込む。
【0026】
図3は、本発明の動作を説明する表示画面の遷移図である。図面左側に第1液晶モニタ106の表示画面106Aおよび起動したアプリケーション(メモ帳)106Bを示す。同様に、図面右側に第2液晶モニタ107の表示画面107Aおよび起動したアプリケーション(メモ帳)107Bを示す。
【0027】
第1段階(イ)では、第1液晶モニタ106の表示画面106Aで起動したアプリケーション(メモ帳)106B内に転送対象の数値データが表示されている。第2段階(ロ)では、マウスカーソル106Cで転送するデータを特定し、ポップアップコマンドでコピー操作を実行する。
【0028】
手動切り替え操作実行後の第3段階(ハ)では、第2液晶モニタ107の表示画面107Aで起動したアプリケーション107B上で、指定されたマウスカーソル107Cの位置においてポップアップコマンドで貼り付け操作を実行する。第4段階(二)では、アプリケーション107B上のマウスカーソル位置に転送データが表示され、転送操作を終了する。
【0029】
図4は、本発明を適用した入力デバイス切り替え装置の他の実施例を示す機能ブロック図である。この実施例の特徴は、入力デバイス切り替え装置による入力デバイスの切り替え操作を、図1に示した手動操作ではなく、マウスカーソルの移動操作による自動切り替え操作とした構成にある。
【0030】
以下、図1に示した構成との相違点を説明する。入力デバイス切り替え装置200の転送制御部202には、座標処理手段205が追加される。第1PC(A)のマウスカーソル106Cの座標情報Z1および第2PC(B)のマウスカーソル107Cの座標情報Z2が転送制御部202に渡される。
【0031】
座標処理手段205は、座標情報Z1およびZ2を取得し、第1液晶モニタ(A)のマウスカーソル106Cが、例えば、表示画面の右端部の特定座標範囲に移動した場合に、自動切り替え信号Fを出力し、切り替えスイッチ手段201を操作し、入力デバイスを第2PC(B)側に接続する。
【0032】
データ転送手段204は、自動切り替え信号Fの出力に連動して中継記憶手段203に保持されている第1PC(A)のクリップボード112からの転送データを、第2PC(B)のクリップボード113に転送する。
【0033】
図5および図6は、図4に示した実施例の動作を説明する表示画面の遷移図である。図3で示した従来構成の画面遷移との相違点を説明する。図5に示す第1段階(イ)および第2段階(ロ)は、図3で示した画面遷移の第1段階(イ)および第2段階(ロ)と同一である。
【0034】
第3段階(ハ)および第4段階(二)が、この実施例の特徴を反映した遷移を示している。第3段階(ハ)では、第1液晶モニタのマウスカーソル106Cを、表示画面106Aの右端部に設定された所定の座標位置に矢印P方向に移動させている。
【0035】
マウスカーソル106Cが表示画面106Aの右端部に設定された所定の座標位置に移動することで自動切り替え操作が実行され、第4段階段階(二)に遷移し、第2液晶モニタ(B)107の左端部にマウスカーソル107Cが現れる。
【0036】
この遷移は、見かけ上、第1液晶モニタのマウスカーソル106Cが第2液晶モニタ側のマウスカーソル107Cにシームレスに移動したように見え、切り替えも自動的に実行されるので、ユーザの使い勝手を大幅に向上させることができる。
図6に示す第5段階(ホ)および第6段階(へ)は、図3で示した第3段階(ハ)および第4段階(二)と同一である。
【0037】
図4の実施例では、2台の液晶モニタを横方向に並列配置し、マウスカーソルを横方向に操作して切り替える構成を示したが、2台の液晶モニタを縦方向に並列配置し、マウスカーソルを縦方向に操作して切り替える構成でもよい。転送制御部202内に設けたモニタ配置設定手段206によりモニタ配置の変更に対応することができる。
【0038】
以上説明した実施例では、簡単のため、2台のPC間でのデータ転送の形態を説明したが、2台以上のPCに対して1台の入力デバイスをマルチプレクサ手段で切り替える入力デバイス切り替え装置に対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
101 第1PC(A)
102 第1PC(B)
103 キーボード
104 マウス
106 第1液晶モニタ(A)
107 第2液晶モニタ(B)
112 クリップボード
113 クリップボード
200 入力デバイス切り替え装置
201 切り替えスイッチ手段
202 転送制御部
203 中継記憶手段
204 データ転送手段
205 座標情報処理手段
206 モニタ位置設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台の入力デバイスを、切り替えスイッチ手段の手動操作により複数台のPCに選択的に接続させ、接続したPCの表示画面上のマウスカーソルを操作する入力デバイス切り替え装置において、
前記入力デバイスが現在選択接続されている第1PCのアプリケーション表示画面上で実行されるコピーまたはカット操作で特定されたデータを保持するクリップボードから転送される前記データ取得する中継記憶手段と、
前記切り替えスイッチ手段の手動操作により前記入力デバイスを前記第1PCから第2PCに切り替えたとき、この切り替え操作に連動して前記中継記憶手段に保持している前記データを前記第2PCのクリップボードに転送するデータ転送手段と、
を備えることを特徴とする入力デバイス切り替え装置。
【請求項2】
前記第2PCは、自己のアプリケーション表示画面上での所定マウスカーソル位置で実行される貼り付け操作により、前記中継記憶手段より自己のクリップボードに転送されたデータを前記第2PCのアプリケーショに取り込むことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス切り替え装置。
【請求項3】
1台の入力デバイスを、切り替えスイッチ手段の自動操作により複数台のPCに選択的に接続させ、接続したPCの表示画面上のマウスカーソルを操作する入力デバイス切り替え装置において、
前記入力デバイスが現在選択接続されている第1PCのアプリケーション表示画面上で実行されるコピーまたはカット操作で特定されたデータを保持するクリップボードから転送される前記データ取得する中継記憶手段と、
前記第1PCの表示画面上のマウスカーソルが画面端部の所定座標位置に移動したときに、前記切り替えスイッチ手段を自動的に操作して前記入力デバイスを前記第1PCから第2PCに切り替える、切り替えスイッチ操作手段と、
前記切り替えスイッチ手段の自動操作で、前記入力デバイスを前記第1PCから第2PCに切り替えたとき、この切り替え操作に連動して前記中継記憶手段に保持している前記データを前記第2PCのクリップボードに転送するデータ転送手段と、
を備えることを特徴とする入力デバイス切り替え装置。
【請求項4】
前記第2PCは、自己のアプリケーション表示画面上での所定マウスカーソル位置で実行される貼り付け操作により、前記中継記憶手段より自己のクリップボードに転送されたデータを前記第2PCのアプリケーショに取り込むことを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載の入力デバイス切り替え装置。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181584(P2012−181584A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42411(P2011−42411)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】