説明

入力ユニット及びこれを用いた入力装置

【課題】主に車両用制御システムや携帯用電子機器の操作用に用いられる入力ユニット及びこれを用いた入力装置に関し、簡易な構成で耐振動性を向上したものを提供することを目的とする。
【解決手段】磁性体でリング状に形成され内周側で複数の操作体46A〜46Dと対向させるよう配置されると共に保持ケース49に保持された支持板47を備えて入力装置60が構成される。そのため、複数の操作体46A〜46Dと対向させる支持板47が一つになることで構成が簡素化され、かつ操作体46A〜46Dが支持板47と対向する部分が長くなるため耐振動性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車両用制御システムや携帯用電子機器の操作に用いられる入力ユニット及びこれを用いた入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用制御システムや携帯用電子機器の高機能化が進むに伴い、薄型で複雑な操作が可能な入力装置が求められてきている。
【0003】
このような従来の入力装置について、図9および図10を用いて説明する。
【0004】
図9は従来の入力装置の断面図、図10は同分解斜視図であり、同図において、複数の操作体3A〜3Dは略球状で磁石を材料とし、N極とS極が所定の角度間隔で交互に形成されている。また、保持ケース10は上ケース1と下ケース2から構成される。
【0005】
ここで、操作体3A〜3Dは回転軸4により、上ケース1と下ケース2の間に回転可能に装着されている。また、操作体3A〜3Dは上ケース1と下ケース2の間に配置された鉄等の磁性体5と対向しており、操作体3A〜3Dと磁性体5が磁力により引き合うことで、操作体3が意図せず回転することを抑制している。
【0006】
また、配線基板6上には、磁気検出素子7とプッシュスイッチ8が配置され、磁気検出素子7とプッシュスイッチ8の上面がカバーシート9で覆われている。そして、磁気検出素子7と操作体3A〜3Dを対向させて配置し、入力装置20が構成されている。
【0007】
このように構成された入力装置20は、携帯電話等の携帯電子機器に内蔵される。ここで、例えば携帯電子機器の液晶ディスプレイ(図示せず)に複数のアイコン表示と所望のアイコン表示を選択するカーソル表示がされている場合に、操作者は入力装置20を操作してカーソル表示を移動させ所望のアイコン表示を選択することが出来る。
【0008】
例えば、操作者が操作体3A、3Bを回転操作するとカーソル表示が上下方向に、操作体3C、3Dを回転操作するとカーソル表示が左右方向に移動する。そして、カーソル表示を所望のアイコン表示の位置まで移動させた状態で、上ケース1の上面を押圧すると、プッシュスイッチ8がONし、所望のアイコン表示の選択が確定する。
【0009】
つまり、操作体3A〜3Dを操作するとカーソル表示を上下左右に移動させることができ、所望のアイコン表示に重なるようにカーソル表示を移動させて、上ケース1の上面を押圧すると、所望のアイコン表示で選択の確定処理を行うことが可能なものであった。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−118796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来の入力装置20においては、操作体3A〜3Dと磁性体5を対向させて、操作体3A〜3Dの意図しない回転を抑制しているが、近年、入力装置20が配置される電子機器は多様化している。振動の多い車載環境で用いられる場合もあり、また構成が複雑化すると電子機器に組み込み難くなるため、簡易な構成で耐振動性を向上させることが求められている。
【0013】
本発明は、簡易な構成で耐振動性を向上した入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、特に、磁性体でリング状に形成され内周側で複数の操作体と対向させ配置された支持板とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、磁性体でリング状に形成され内周側で複数の操作体と対向させ配置された支持板とを備えて構成されることにより、複数の磁性体と対向させる支持板が一つになるため構成が簡素化され、かつ操作体が支持板と対向する部分が長くなるため耐振動性を向上した入力装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置の断面図
【図2】同入力装置の分解斜視図
【図3】同入力装置の上面図
【図4】同入力装置の要部上面図
【図5】同入力装置の配置を示す配置図
【図6】同入力装置を用いた車両用表示システムの画面図
【図7】同他の実施の形態による入力装置の上面図
【図8】同他の実施の形態による入力装置の断面図
【図9】従来の入力装置の断面図
【図10】同入力装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8を用いて説明する。
【0018】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0019】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置の断面図、図2は同分解斜視図、図3は同上面図である。なお、図1は図3で示すA−A断面における断面図となっている。
【0020】
ここで、入力装置60は、プッシュスイッチ21と、プッシュスイッチ21が実装される回路基板22と、回路基板22の上面に載置されたガイド23と、ガイド23に沿って上下に摺動可能に配置された入力ユニット24と、入力ユニット24の上面に配置されかつ入力ユニット24の上面を露出させる孔25Aを有するパネル25を備える。
【0021】
ここで、プッシュスイッチ21は押圧時に所定の節度感を生じる自動復帰型のスイッチである。
【0022】
また、回路基板22は、配線基板31と、配線基板31の上面あるいは下面に配置されるコネクタ32および制御回路33を備えて構成される。
【0023】
ここで、配線基板31は、紙フェノールやガラス入りエポキシ等を材料とし、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成される。そして、配線基板31の上面の略中央にプッシュスイッチ21が配置され、プッシュスイッチ21の側方にコネクタ32が、配線基板31の下面にマイコン等の半導体素子で構成された制御回路33が配置される。なお、プッシュスイッチ21とコネクタ32は、配線基板31の配線パターンを介して、制御回路33に電気的に接続される。
【0024】
また、ガイド23は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂等の絶縁樹脂を材料とし、上面開放の方形箱状の形状を備える。ここでガイド23は、底面中央に孔23Aを備えた底板部23Bに、上面視略額縁状の側壁部23Cを備え、側壁部23Cにはガイド部23Dが底板部23B側から上方へ側壁部23Cを窪ませて設けられている。
【0025】
また、入力ユニット24は、操作者が上面を指等で接触して操作するユニットで、下面開口の方形箱状に形成されている。この入力ユニット24の構成について、以下説明する。
【0026】
ここで、入力ユニット24は、下ケース41と、下ケース41上に載置された配線基板42と、配線基板42の上面に実装された四つの磁界検出素子43と、磁界検出素子43を覆うカバーシート44と、カバーシート44の上方に配置された保持ケース49と、操作体46A〜46Dと支持板47を備える。
【0027】
また、保持ケース49は上ケース48と中ケース45を備えて構成され、上ケース48と中ケース45の間で、操作体46A〜46Dと操作体46A〜46Dの周囲に配置された支持板47を保持している。
【0028】
ここで、下ケース41は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂等の絶縁樹脂を材料とし、上面開放の方形箱状に構成される。また、下ケース41の底面には下方に突出した押圧部41Aを備え、押圧部41Aの下面はプッシュスイッチ21の上面に当接している。
【0029】
また、配線基板42は紙フェノールやガラス入りエポキシ等を材料とし、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されている。そして、配線基板42の上面には略中央を中心として前後左右の四箇所に磁界検出素子43が配置されている。そして、配線基板42は、配線基板42から延出した配線ケーブル(図示せず)を備え、配線ケーブルはコネクタ32に接続されており、これにより、それぞれの磁界検出素子43が配線パターンと配線ケーブルを介して制御回路33に電気的に接続される。
【0030】
また、カバーシート44は、シリコーンゴム等の非磁性体の弾性材料で形成され可撓性を備える。ここで、カバーシート44は全ての磁界検出素子43を覆うように配置されている。
【0031】
さらに、中ケース45は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂等の絶縁樹脂を材料とし、下面開放の方形箱状に構成される。ここで、下ケース41と中ケース45の間に構成される収納部45Aに、配線基板42、磁界検出素子43、カバーシート44が収納される。また、中ケース45には、それぞれの磁界検出素子43の上方位置に円孔45Bが設けられており、円孔45Bからカバーシート44が露出している。
【0032】
また、上ケース48はポリカーボネート等の絶縁樹脂製で、下面開放の方形箱状に形成される。ここで、上ケース48は上端が円柱状に突出し、その上面に操作部48Aを備え、操作部48Aの中央付近には四つの円孔48Bを備えている。また、上ケース48の側面は側壁部48Cを構成し、側壁部48Cの内側には前後左右の四方に突起(図示せず)を備え、突起はガイド部23Dに嵌合している。また、上ケース48には、操作部48Aの下面から上ケース48の外部へ繋がる排塵孔48Dが前後左右の四方に設けられ、前後左右の排塵孔48Dから外方へそれぞれ排塵溝48Eが設けられている。
【0033】
また、操作体46A〜46Dは、直径2〜3mm前後の略球状でフェライトやネオジム、鉄、ホウ素の化合物からなるネオジム磁石等の磁石を材料とし、その中心には回転軸461A〜461Dが挿入されている。また、操作体46A〜46Dの表面は回転軸461A〜461Dを中心とする回転角に対応させ略等角度間隔でS極の領域とN極の領域が交互に着磁されている。例えば、S極の領域とN極の領域の着磁間隔が60度であれば、操作体46A〜46Dの表面にはS極、N極、S極、N極、S極、N極と全部で六つの磁極が着磁される。
【0034】
そして、操作体46A〜46Dは、その上面を四つの円孔48Bからそれぞれ露出させ、操作部48Aとの間に隙間48Fを形成している。また、操作体46A〜46Dの下面は四つの円孔45Bに配置されている。ここで、操作体46A〜46Dの回転軸461A〜461Dは、上ケース48の下面に組み合わされ配置される。
【0035】
つまり、操作体46A〜46Dは回転軸461A〜461Dを回転軸として、回転するよう、保持ケース49に保持されると共に、操作者が回転操作可能なよう、その上面を円孔48Bから露出させ構成されている。
【0036】
また、支持板47はアモルファスコバルトや鉄、パーマロイ、Ni−Fe合金等の磁性体を材料とし、リング状に形成される。そして、支持板47は操作体46A〜46Dを囲んで、上ケース48の下面に配置される。つまり、支持板47も操作体46A〜46Dと同様に保持ケース49に保持される。
【0037】
ここで、支持板47は磁性体を材料としているので、操作体46A〜46Dの表面と対向している部分で磁力により引き合うため、意図せず操作体46A〜46Dが回転することが抑制される。なお、支持板47は操作体46A〜46Dを囲むリング状に構成されているため、操作体46A〜46Dと対向する範囲を長くすることができ、磁力により操作体46A〜46Dと引き合うのに好適な構成となっている。
【0038】
また、図4の上面図で示すように、支持板47は内周側に略T字状に突出した支持部471、472を備えている。ここで、支持部471がT字状に分岐した先端は端部471A、471Bとなり、支持部472がT字状に分岐した先端は端部472A、472Bとなる。
【0039】
そして、端部471Aが回転軸461Cの一端を、端部471Bが回転軸461Aの一端を下方から接触して上ケース48との間に支持する。また、端部472Aが回転軸461Bの一端を、端部472Bが回転軸461Dの一端を同様に下方から接触して上ケース48との間に支持する。
【0040】
ここで、支持部471は端部471A、471Bで、支持部472は端部472A、472Bで、それぞれ回転軸461A、461Cと回転軸461B、461Dに接触して支持するので、外部から振動を受けた際の操作体46A〜46Dのがたつきや不用意な回転が、さらに抑制される構造となっている。
【0041】
このように、下ケース41、配線基板42、磁界検出素子43、カバーシート44、操作体46A〜46D、支持板47、保持ケース49が一体化され入力ユニット24が構成される。ここで、上ケース48の内面の突起がガイド部23Dに嵌合しているので、入力ユニット24はガイド23に対し上下に可動し、下ケース41の底面から突出した押圧部41Aで、プッシュスイッチ21を押圧可能な構成となっている。
【0042】
さらに、パネル25は、ポリカーボネート等の絶縁樹脂を材料とし、下面開口の方形箱状に構成されている。そして、パネル25の上面の孔25Aから操作部48Aを露出させるようパネル25を入力ユニット24の上方から被せ、入力装置60が構成される。
【0043】
このように構成された入力装置60は、図5の配置図で示すように、例えば、車両のステアリングホイール61に、操作部48Aを露出させ内蔵される。そして、車両のディスプレイ装置62に配線やケーブル等を介して電気的に接続され、入力装置60とディスプレイ装置62で車両用表示システム80が構成されている。
【0044】
さらに、車両用表示システム80は、車両のインストルメントパネルの内部等に配置された空調システム63、オーディオシステム64、カーナビゲーションシステム65、電話・メールシステム66等の車両用制御システムに電気的に接続される。
【0045】
ここで、ディスプレイ装置62には、例えば中央に地図表示71、地図表示71を囲んでアイコン表示72A〜72Dが、また地図表示71と重なるようにカーソル表示73が表示されている。
【0046】
そして、操作者は、入力装置60の操作体46A〜46Dに対し回転操作を行うことでカーソル表示73を移動させ、操作部48Aを押圧することにより、各車両用制御システムに対応した所望のアイコン表示72A〜72Dの選択を確定処理させて、各車両用制御システムに所望の制御をさせるよう操作する。
【0047】
また、入力装置60がステアリングホイールに内蔵された配置では、操作体46A〜46Dは、ステアリングホイールの操作者側に露出している。
【0048】
この配置の長所は、操作者が操作体46A〜46Dを回転操作させた場合に、操作体46A〜46Dの周囲と操作部48Aの間に生じる隙間48Fから塵埃が操作部48Aの内側に進入したとしても、排塵孔48Dと排塵溝48Eを経由して塵埃が上ケース48の外部へ排出されることにある。
【0049】
これにより、操作体46A〜46Dと操作部48Aの間に生じる隙間48Fから塵埃が進入したとしても、操作体46A〜46Dと磁界検出素子43の間への塵埃の堆積が抑制される。特に、操作体46A〜46Dは円孔45Bに一部を挿入させて配置しているため、円孔45B内のカバーシート44上に塵埃が溜まりやすいが、塵埃に対し重力が働く方向に排塵孔48Dと排塵溝48Eがあるので、塵埃が効率よく排出される。
【0050】
つまり、入力装置60がステアリングホイールに内蔵された状態では、排塵孔48Dと排塵溝48Eは、排塵孔48Dが上側で排塵溝48Eが下側となる傾斜した配置となるため、効率的に塵埃を排出することが可能となる。
【0051】
さらに、入力装置60を操作した際のディスプレイ装置62の表示の変化および電気的な信号の入出力に関して図6を用いて説明する。
【0052】
例えば、図6で示す画面図のように、ディスプレイ装置62に地図表示71がされ、地図表示71の四方にアイコン表示72A〜72Dが、略中央にカーソル表示73が表示されているものとする。
【0053】
ここで、左上のアイコン表示72Aは空調システム63を示すアイコン表示で、左下のアイコン表示72Bはカーナビゲーションシステム65を示すアイコン表示である。また、右上のアイコン表示72Cはオーディオシステム64を示すアイコン表示で、右下のアイコン表示72Dは電話・メールシステム66を示すアイコン表示である。
【0054】
まず、操作者が操作体46A〜46Dを回転操作すると、操作体46A〜46Dの下方の磁界が変化する。そして、操作体46A〜46Dの下方の磁界検出素子43は、磁界の変化を検出し、磁界強度信号を制御回路33に出力する。
【0055】
そして、操作体46A〜46Dに対し操作者が与えた回転操作に対応してカーソル表示73が移動する。操作体46A、46Bを回転操作するとカーソル表示73が左右に移動し、操作体46C、46Dを回転操作するとカーソル表示73が上下に移動する。さらに、操作者は操作体46A〜46Dを回転操作し、カーソル表示73を例えば所望のアイコン表示72C上に移動させる。
【0056】
そして、操作部48Aを押圧操作すると、入力ユニット24が移動し、下ケース41の底面から突出した押圧部41Aで、プッシュスイッチ21が押圧される。プッシュスイッチ21が押圧されることでプッシュスイッチ21がOFFからONに切り替わり、スイッチ信号がプッシュスイッチ21から制御回路33に出力される。
【0057】
ここで、制御回路33には磁界検出素子43から磁界強度信号が、プッシュスイッチ21からスイッチ信号が入力されており、制御回路33は磁界強度信号とスイッチ信号に対応した操作信号を入力装置60から出力する。
【0058】
そして、操作信号は、ディスプレイ装置62に入力され、操作信号に対応し、アイコン表示72Cに対応した制御画面に、ディスプレイ装置62は表示を変化させる。
【0059】
つまり、操作者が操作体46A〜46Dを回転操作し、操作部48Aを押圧操作することで、容易に各車両用制御システムの制御が可能なものとなっている。
【0060】
なお、上述した入力ユニット24及び入力装置60に対し、例えば図7の上面図、図8の断面図に示すような変形を行うことが可能である。
【0061】
ここで、図7(a)で示すように、操作体46A〜46Dの周囲に突起や窪み等のマーカー151を配置しても良い。マーカー151を配置することにより操作体46A〜46Dを目視しなくても、指先の触覚で操作体46A〜46Dの位置を認識出来る。なお、マーカー151は操作体46A〜46Dの回転方向に対応した側方に配置するのがより望ましい。
【0062】
また、操作部48Aのような円形ではなく、操作部148Aのように多角形にしてもよく、特に操作部はどのような形状であっても構わない。
【0063】
また、図7(b)で示す操作体146A〜146Dのように、左右に回転する操作体146A、146Cと前後に回転する操作体146B、146Dを矢印Cで示す時計回転方向に沿って交互に配置しても良い。このような配置とすることによって、指先の時計回転、あるいは反時計回転の操作に対応することが可能となる。
【0064】
さらに、図7(c)で示す支持板147のように、上面視で操作体146A〜146Dに沿わせた所定のカーブを備えた形状にしても良い。操作体146A〜146Dとの支持板の間隔が近くなれば、磁力が強く働き、操作体146A〜146Dの不用意な回転をより抑制することが出来る。
【0065】
また、図7(d)で示すように操作体246A、246Bの二つの操作体であっても良い。操作体は複数であれば構わない。また、操作体が二つの場合は、支持板247のような楕円形あるいは方形額縁状の支持板を用いるのが望ましい。
【0066】
さらに、図7(e)で示す操作体346A〜346Dのように、円筒形や円柱形の操作体であっても良い。操作体は回転操作可能な形状であれば良い。
【0067】
また、操作体46A〜46Dに挿入される回転軸は断面が円形のものに限られない。例えば図8の断面図で示すように断面が多角形の回転軸157を備えるものであっても良い。なお、図8の断面図は図3のB−B断面の断面図である。
【0068】
このように、断面が多角形の回転軸157とすると、操作体46A〜46Dを回転操作すると、支持板47に回転軸157が接触している面が隣の面に変わる際に節度感を発生させるため、操作者はより操作を確実に行うことが出来る。
【0069】
ここで、操作体46A〜46Dの外面に形成する磁極の数と、回転軸の断面の外形を構成する辺の数は一致させるのが望ましい。例えば操作体46A〜46Dの外面にS極、N極、S極、N極、S極、N極の六極を周回させて形成した場合、回転軸の断面が六角形、つまり断面の外形を構成する辺の数は六辺となるようにするのが望ましい。これにより、操作体46A〜46Dの下方の磁界検出素子43に対し磁界の変化が生じる周期と、操作者が節度感を感じる周期を一致させることが出来る。
【0070】
例えば、操作者が節度感を感じた際にはディスプレイ装置62に表示されるカーソル表示73が移動しているような、操作者の感触とディスプレイ装置62の表示の変化が同期した入力システムの表示が可能となり、操作者は自己の操作を確認しながら、より確実に操作を行うことが可能となる。
【0071】
なお、入力装置60はステアリングホイールに内蔵されるものとは限らず、例えば運転席と助手席の間に配置されても良く、あるいは携帯電話等の携帯用電子機器に内蔵される構成としても良いが、ステアリングホイールに内蔵される構成や携帯用電子機器に内蔵される構成は効率的に塵埃を排出する点で適している。
【0072】
なぜなら、ステアリングホイールや携帯用電子機器を使用する際に、入力装置60全体が回転するため、上ケース48の内側の塵埃が移動しやすくなり、排塵孔48Dから排出される確率が高まるからである。
【0073】
このように本実施の形態によれば、磁性体でリング状に形成され内周側で複数の操作体46A〜46Dと対向させるよう配置されると共に保持ケース49に保持された支持板47を備えて入力ユニット24が構成される。
【0074】
そのため、複数の操作体46A〜46Dと対向させる支持板47が一つになることで構成が簡素化され、かつ操作体46A〜46Dが支持板47と対向する部分が長くなるため耐振動性が向上する。
【0075】
また、それぞれの操作体46A〜46Dは回転軸461A〜461Dの少なくとも一端を支持板47に接触させ保持されているため、さらに耐振動性が向上する。
【0076】
また、回転軸157をその断面を多角形とし、操作体46A〜46Dの外面に形成する磁極の数と、回転軸の断面の外形を構成する辺の数が一致させて構成しているため、操作体46A〜46Dを回転させた際に操作体46A〜46Dの下方で生じる磁界の変化と、操作者が感じる節度感を同期させることが可能となる。
【0077】
また、保持ケース49に、操作部48Aと操作体46A〜46Dとの間に塵埃が進入可能な隙間48Fと、隙間48Fから進入した塵埃を塵埃に生じる重力により保持ケース49の外側に排出する排塵孔48Dを備えているため、隙間48Fから塵埃が進入したとしても効率的に排出出来るため、安定した動作が可能となる。
【0078】
また、操作部48Aの上面に、操作体46A〜46Dの側方となる位置に突起あるいは窪みで形成されたマーカー151を配置しているので、操作体46A〜46Dを目視しなくても操作可能となる。
【0079】
さらに、プッシュスイッチ21が配置された回路基板22と、回路基板22上に配置されたガイド23と、ガイド23に沿ってプッシュスイッチ21を押圧可能に可動するようガイド23と嵌合させているので、より多様な操作が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明による入力ユニット及びこれを用いた入力装置は、簡易な構成で耐振動性を向上しうるという有利な効果を有し、主に車両用制御システムや携帯用電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0081】
21 プッシュスイッチ
22 回路基板
23 ガイド
23A、25A 孔
23B 底板部
23C 側壁部
23D ガイド部
24 入力ユニット
25 パネル
31、42 配線基板
32 コネクタ
33 制御回路
41 下ケース
41A 押圧部
43 磁界検出素子
44 カバーシート
45 中ケース
45A 収納部
45B、48B 円孔
46A〜46D、146A〜146D、246A、246B、346A〜346D 操作体
47、147、247 支持板
48 上ケース
48A、148A 操作部
48C 側壁部
48D 排塵孔
48E 排塵溝
48F 隙間
49 保持ケース
60 入力装置
61 ステアリングホイール
62 ディスプレイ装置
63 空調システム
64 オーディオシステム
65 カーナビゲーションシステム
71 地図表示
72A〜72D アイコン表示
73 カーソル表示
80 車両用表示システム
151 マーカー
461A〜461D、157 回転軸
471、472 支持部
471A、471B、472A、472B 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心となる回転軸を備えその外面に複数の磁極が着磁された複数の操作体と、前記回転軸を回転可能に保持し操作部から前記操作体を露出させた保持ケースと、磁性体でリング状に形成され内周側で複数の前記操作体と対向させるよう配置されると共に前記保持ケースに保持された支持板と、前記操作体の下方に配置された磁界検出素子とを備えた入力ユニット。
【請求項2】
それぞれの前記操作体は前記回転軸の少なくとも一端を前記支持板に接触させ保持された請求項1記載の入力ユニット。
【請求項3】
前記回転軸は断面が多角形で、前記操作体の外面に形成する磁極の数と、前記回転軸の断面の外形を構成する辺の数が一致する請求項1記載の入力ユニット。
【請求項4】
前記保持ケースに、前記操作部において前記操作体との間に塵埃が進入可能な隙間と、前記隙間から進入した塵埃を塵埃に生じる重力により前記保持ケースの外側に排出する排塵孔を備えた請求項1記載の入力ユニット。
【請求項5】
前記操作部の上面に、前記操作体の側方となる位置に突起あるいは窪みで形成されたマーカーを配置した請求項1記載の入力ユニット。
【請求項6】
プッシュスイッチが配置された回路基板と、前記回路基板上に配置されたガイドと、前記ガイドに沿って上下に可動するよう前記ガイドと嵌合させかつ底面に前記プッシュスイッチを押圧する押圧部をさらに備えた請求項1記載の入力ユニットとを備える入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−65140(P2013−65140A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202645(P2011−202645)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】