説明

入力制御機器

【課題】操作性を向上させるとともに内部処理の負荷を低減させる。
【解決手段】コントロールユニット13には、モニタ22に表示されるポインタを移動させて処理の実行を指示するためのマウス23と、モニタ22に重畳されてユーザに押圧されるタッチパネル51とが設けられている。制御部56は、タッチパネル51への操作が検出された場合、これまで表示されていたポインタを非表示とし、ポインタが非表示の状態でマウス23が操作されると、再びポインタを表示させる。このようにタッチパネル51の操作時には、ポインタを非表示とすることで、モニタ22の画面を見易くし、操作性を向上させるとともに、ポインタの表示処理を行わないことで処理負荷を低減させることができる。本発明は、観察システムに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルとマウスを同時に使用する場合に、操作性を向上させるとともに、内部処理の負荷を低減させることができるようにした入力制御機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルとマウスを同時に使用できる入力制御機器が知られている。このような入力制御機器では、ユーザは、マウスを操作して入力制御機器の表示画面上のポインタを移動させるだけでなく、表示画面に重畳されているタッチパネルを指で押すことでも、その押された位置にポインタを移動させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−267377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に、タッチパネルは入力制御機器において、主に表示画面上にアイコンとして表示されているボタンを選択するときに操作されるものであるため、タッチパネルへの操作がされる度にポインタが移動すると、ユーザには目障りであった。また、ポインタの表示位置によっては、ポインタにより表示画面上のボタンや文字が隠れて見えにくくなってしまうこともある。
【0005】
さらに、入力制御機器内部において、常にマウスの操作を検出してポインタを表示させる処理と、タッチパネルの操作を検出する処理とを行うと、入力制御機器全体の処理の負荷が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、入力制御機器においてタッチパネルとマウスを同時に使用する場合に、操作性を向上させるとともに、入力制御機器における処理の負荷を低減させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力制御機器は、表示画面に画像を表示する表示手段と、前記表示画面に重畳して設けられ、前記表示画面へのものの接近または接触を検出するタッチパネルと、前記表示画面上の任意の位置を指示する指示手段の前記表示画面における表示位置を移動させるときに操作される操作入力手段と、前記タッチパネルにより、前記表示画面へのものの接近または接触が検出された場合、前記表示画面上の前記指示手段を非表示とし、前記指示手段が非表示の状態で前記操作入力手段が操作された場合、前記指示手段を前記表示画面に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入力制御機器においてタッチパネルとマウスを同時に使用する場合に、操作性を向上させるとともに、入力制御機器における負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した観察システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】コントロールユニットの構成例を示す図である。
【図3】メニューの表示例を示す図である。
【図4】操作受付処理を説明するフローチャートである。
【図5】タッチパネル操作に対する処理を説明するフローチャートである。
【図6】マウス操作に対する処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0011】
[観察システムの構成]
図1は、本発明を適用した観察システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【0012】
この観察システムは、試料を観察する顕微鏡11、顕微鏡11に固定されたカメラヘッド12、およびコントロールユニット13から構成される。
【0013】
顕微鏡11は、観察対象の試料に対して照明光を照射するとともに、これにより試料において生じた観察光を、対物レンズ等からなる光学系により集光して、カメラヘッド12へと導く。カメラヘッド12は、カメラ等から構成され、顕微鏡11の光学系から入射した観察光を受光して電気信号に変換し、コントロールユニット13に供給する。
【0014】
コントロールユニット13は、本体21、液晶ディスプレイからなるモニタ22、およびマウス23から構成され、本体21はUSB(Universal Serial Bus)インターフェース24およびケーブル25によって、顕微鏡11およびカメラヘッド12に接続されている。
【0015】
モニタ22の表示画面には、図示せぬタッチパネルが重畳されており、ユーザはモニタ22に表示される画像やメニューを見ながらタッチパネルを操作したり、マウス23を操作したりすることで、顕微鏡11やカメラヘッド12の動作を制御する。
【0016】
[コントロールユニットの構成]
また、図1のコントロールユニット13は、より詳細には図2に示すように構成される。
【0017】
すなわち、コントロールユニット13は、モニタ22、マウス23、タッチパネル51、コントローラ52、コントローラ53、画像処理部54、表示制御部55、および制御部56から構成される。なお、図2において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0018】
タッチパネル51は、モニタ22の表示画面に重畳して設けられ、ユーザの指等のものの近接または接触(以下、単に接触と称する)を検出し、その検出結果に応じた信号をコントローラ52に供給する。コントローラ52は、タッチパネル51からの信号に基づいて、ユーザのタッチパネル51への接触位置を特定する入力操作情報を制御部56に供給する。
【0019】
例えば、ユーザがタッチパネル51を押圧した場合、その押圧位置(接触位置)を示す座標と、タッチパネル51への接触があった旨の情報とが、入力操作情報としてコントローラ52から出力される。ここで、押圧位置を示す座標は、モニタ22の表示画面上の互いに直交する2つの直線を軸とするxy座標系におけるx座標およびy座標とされる。以下、モニタ22の表示画面上(タッチパネル51の操作面)の位置を示すx座標およびy座標を単に座標と呼ぶこととする。
【0020】
また、例えばユーザの指によりタッチパネル51が押圧されている状態から、ユーザがタッチパネル51から指を離した場合、コントローラ52は、これまでユーザにより押圧されていた位置を示す座標と、ユーザが指を離した旨の情報とを入力操作情報として出力する。
【0021】
また、マウス23は、モニタ22に表示されるポインタを移動させたり、ポインタにより指示されるメニュー上のボタンを選択して所定の処理を実行させたりするときに、ユーザにより操作される。ここで、ポインタは、モニタ22の表示画面上の任意の位置を指示する指示手段である。マウス23は、ユーザによる操作に応じた信号をコントローラ53に供給する。
【0022】
コントローラ53は、マウス23からの信号に基づいて、ポインタの移動先を示す座標と、マウス23への操作の種別を示す情報とを入力操作情報として制御部56に供給する。ここで、マウス23への操作の種別とは、マウス23に設けられたどのボタンが、どのように操作されたかをいう。例えば、マウス23のボタンへの操作は、クリック、ダブルクリックなどとされる。
【0023】
なお、クリックとは、予め定められた時間内に、ユーザがマウス23に設けられたボタンを一度だけ押す動作をいい、ダブルクリックとは、予め定められた時間内に、ユーザがマウス23に設けられたボタンを連続して二度押す動作をいう。
【0024】
画像処理部54は、カメラヘッド12から供給された電気信号に基づいて、顕微鏡11のステージ上に載せられた試料の観察画像を生成し、表示制御部55に供給する。表示制御部55は、画像処理部54からの観察画像や、制御部56から供給されたメニュー等の画像をモニタ22に供給して表示させる。
【0025】
制御部56は、コントローラ52またはコントローラ53から供給された入力操作情報に応じて、カメラヘッド12や顕微鏡11の動作を制御する。
【0026】
また、制御部56は、計測部61を備えており、計測部61は、モニタ22に表示された観察画像における、ユーザにより指定された2点間の距離を測定する。より詳細には、観察画像に表示された試料上の2つの部位間の実際の距離が測定される。
【0027】
[メニューの表示例]
ところで、ユーザが顕微鏡11やコントロールユニット13の電源をオンし、試料の観察が開始されると、顕微鏡11はステージ上の試料に対して照明光を照射し、カメラヘッド12は、試料から入射した観察光を光電変換して、その結果得られた電気信号を画像処理部54に供給する。また、画像処理部54は、カメラヘッド12からの電気信号に基づいて試料の観察画像を生成し、表示制御部55に供給する。表示制御部55は、画像処理部54からの観察画像91およびポインタ93の画像をモニタ22に供給し、表示させる。次に、ユーザがマウス23を動かしたり、タッチパネル51を触るなどしてマウス23やタッチパネル51を操作すると、制御部56から供給されたメニュー92も合わせて、図3に示すように表示される。
【0028】
図3では、観察対象である試料の観察画像91がモニタ22の表示画面全体に表示されており、さらに表示画面には観察画像91と重畳されて、各種の処理の実行や設定を指示するためのメニュー92、および指示手段としてのポインタ93が表示されている。
【0029】
モニタ22に表示されたメニュー92には、メニュー92を閉じるときに操作されるボタン121、メニュー92に特定のカテゴリのボタン群を表示させるためのタグ群122、および観察画像91の撮像に関する処理をさせるためのボタン群123が設けられている。また、メニュー92には、観察画像91を拡大表示させる拡大ボタン124、およびタグ群122のうちの何れかが選択されたときに表示されるボタン群125も表示されている。
【0030】
タグ群122は、「カメラ」、「再生」、「保存」、「ツール」、および「セットアップ」の文字が表示された5つのタグからなる。例えば、「カメラ」のタグが選択されると、カメラヘッド12内のカメラにおける各種の設定を行うときに操作されるボタン群125が、メニュー92上に表示される。また、例えば「再生」のタグが選択されると、観察画像91の再生に関する処理を実行させるためのボタン群がメニュー92に表示され、「保存」のタグが選択されると、観察画像91の保存に関する処理を実行させるためのボタン群がメニュー92に表示される。
【0031】
また、ボタン群123のうち、文字「E」が表示されたボタンが操作されると、観察画像91を撮像するために、カメラヘッド12のカメラにおける露光が開始され、文字「C」が表示されたボタンが操作されると、撮像画像91が図示せぬメモリに保存される。
【0032】
さらに、ボタン群125のうち、例えば文字「明るさ」の図中、右側に位置するボタンが操作されると、観察画像91の露出補正値が変更される。また、例えばボタン群125のうち、文字「彩度」の右側に位置するボタンが操作されると、観察画像91の色の濃さの調整値が変更され、文字「色相」の右側に位置するボタンが操作されると、観察画像91の色相調整の値が変更される。
【0033】
[操作受付処理の説明]
このように、試料の観察が開始され、モニタ22に観察画像91やメニュー92が表示されると、コントロールユニット13はタッチパネル51やマウス23への操作を受け付け、その操作に応じた処理を実行する操作受付処理を開始する。
【0034】
以下、図4のフローチャートを参照して、コントロールユニット13による操作受付処理について説明する。
【0035】
ステップS11において、制御部56は、タッチパネル51が操作されたか否かを判定する。例えば、コントローラ52から制御部56に、ユーザによるタッチパネル51への接触位置を示す座標と、タッチパネル51への接触があった旨の情報とからなる入力操作情報が供給された場合、タッチパネル51が操作されたと判定される。
【0036】
ステップS11において、タッチパネル51が操作されたと判定された場合、ステップS12において、コントロールユニット13は、タッチパネル操作に対する処理を行う。すなわち、ユーザのタッチパネル51への操作に応じた処理が実行される。そして、タッチパネル操作に対する処理が行われると、その後、処理はステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。なお、タッチパネル操作に対する処理の詳細は後述する。
【0037】
これに対して、ステップS11において、タッチパネル51が操作されなかったと判定された場合、ステップS13において、制御部56は、マウス23が操作されたか否かを判定する。例えば、制御部56は、コントローラ53から供給される入力操作情報に基づいて、マウス23の操作によるポインタ93の移動の指示、またはマウス23のボタンの操作が検出された場合、マウス23が操作されたと判定する。
【0038】
ステップS13において、マウス23が操作されたと判定された場合、ステップS14において、コントロールユニット13は、マウス操作に対する処理を行う。すなわち、ユーザのマウス23への操作に応じた処理が実行される。そして、マウス操作に対する処理が行われると、その後、処理はステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。なお、マウス操作に対する処理の詳細は後述する。
【0039】
一方、ステップS13において、マウス23が操作されなかったと判定された場合、処理はステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0040】
このようにして、コントロールユニット13は、試料の観察が開始されると、ユーザのタッチパネル51やマウス23への操作を監視し、ユーザの操作に応じた処理を行う。この操作受付処理は、例えば、試料の観察が終了し、コントロールユニット13の電源がオフされるまで継続して行われる。
【0041】
[タッチパネル操作に対する処理の説明]
次に、図5のフローチャートを参照して、図4のステップS12に対応するタッチパネル操作に対する処理について説明する。
【0042】
タッチパネル51が操作されると、ステップS41において、制御部56は、モニタ22にポインタ93が表示されているか否かを判定する。ステップS41において、ポインタ93が表示されていると判定された場合、ステップS42において、制御部56は表示制御部55によるモニタ22への表示を制御し、ポインタ93を非表示とする。すなわち、ポインタ93が表示されている状態で、タッチパネル51への操作がされると、ポインタ93は非表示とされ、モニタ22上に表示されなくなる。
【0043】
ステップS42においてポインタ93が非表示とされたか、またはステップS41においてポインタ93が表示されていないと判定されると、ステップS43において、制御部56は、モニタ22にメニューが表示されているか否かを判定する。
【0044】
ステップS43において、メニューが表示されていないと判定された場合、ステップS44において、表示制御部55は、制御部56の制御に従って、モニタ22上に拡大されたメニューを表示させる。
【0045】
例えば、表示制御部55は、図3に表示されているメニュー92よりも表示項目が少なく各項目を示すアイコンが大きいメニューを表示させる。以下では、メニュー92を通常メニューとも称し、通常メニューよりも大きく表示されたメニューを拡大メニューとも称することとする。すなわち、拡大メニューは、通常メニューが拡大表示されたものであり、拡大メニュー上にアイコンとして表示されるボタン等の機能や配置自体は、通常メニューにおける場合と同じとされる。
【0046】
ステップS44において拡大メニューが表示されると、タッチパネル操作に対する処理は終了し、その後、処理は図4のステップS11に戻る。
【0047】
これに対して、ステップS43においてメニューが表示されていると判定された場合、ステップS45において、制御部56は、コントローラ52からの入力操作情報に基づいて、タッチパネル51への接触位置の座標を特定する。すなわち、制御部56は、入力操作情報に含まれる座標から、ユーザがタッチパネル51のどの位置に触れたかを特定する。
【0048】
ステップS46において、制御部56は、ステップS45の処理において特定されたタッチパネル51(モニタ22の表示画面)の接触位置に、メニューのボタンまたはタグ(以下、単にボタン等と称する)が表示されているか否かを判定する。
【0049】
例えば、モニタ22に通常メニューまたは拡大メニューが表示されている状態において、ユーザが、アイコンとして表示されているメニュー上のボタン等を押圧した場合、特定された接触位置にメニューのボタン等が表示されていると判定される。すなわち、接触位置にメニューのボタン等が表示されていると判定されるのは、ユーザがメニュー上のボタン等を押圧し、そのボタン等により特定される処理の実行を指示した場合である。
【0050】
ステップS46において、接触位置にメニューのボタン等が表示されていると判定された場合、ステップS47において、制御部56は、ユーザのタッチパネル51への操作に応じた処理を実行する。
【0051】
例えば、モニタ22に図3に示したメニュー92が表示されている状態において、ユーザが拡大ボタン124を押圧した場合、制御部56は表示制御部55に対して観察画像91の拡大表示を指示する。すると表示制御部55は、制御部56の指示に従って、観察画像91の一部をモニタ22に拡大表示させる。
【0052】
ステップS47において操作に応じた処理が実行されたか、またはステップS46において接触位置にボタン等が表示されていないと判定された場合、ステップS48において、制御部56は、モニタ22に通常メニューが表示されているか否かを判定する。
【0053】
ステップS48において、通常メニューが表示されていると判定された場合、ステップS49において、表示制御部55は、制御部56の制御に従って、モニタ22に表示されている通常メニューを拡大表示し、拡大メニューとする。
【0054】
すなわち、モニタ22に通常メニューが表示されている状態で、ユーザによりタッチパネル51への操作が行われると、これまで表示されていた通常メニューが拡大表示され、拡大メニューとされる。
【0055】
ステップS49において拡大メニューが表示されたか、またはステップS48において通常メニューが表示されていない、つまり拡大メニューが表示されていると判定されると、タッチパネル操作に対する処理は終了し、その後、処理は図4のステップS11に戻る。
【0056】
以上のようにして、コントロールユニット13は、ポインタ93が表示されている状態においてタッチパネル51が操作されると、ポインタ93を非表示とするとともに、拡大メニューが表示されるように、モニタ22へのメニューの表示を制御する。
【0057】
タッチパネル51が操作されたときにポインタ93を非表示とすることで、メニュー上の文字やボタン、観察画像などがポインタ93に隠れてしまうことを防止し、操作性を向上させることができる。しかも、タッチパネル51の操作中は、ポインタ93の表示処理が行われないので、その分だけコントロールユニット13の処理負荷を低減させることもできる。
【0058】
また、タッチパネル51への操作が検出されたときに、より大きい拡大メニューを表示することで、正確な位置を指定しにくいタッチパネル操作時においても、より確実に操作を行うことができ、さらに操作性を向上させることができる。
【0059】
さらに、例えばユーザは、モニタ22に表示されたメニューをタッチパネル操作することで、観察画像上の試料における任意の2点を指定して、その2つの点に対応する実際の試料の2つの部位間の距離を測定させることができる。
【0060】
このような測定処理の実行がユーザによるタッチパネル51への操作により指示された場合、上述したステップS47において、コントロールユニット13はユーザの操作に応じて測定処理を行い、距離を測定する。
【0061】
具体的には、タッチパネル51が操作されると、コントローラ52から制御部56には、その操作に応じた入力操作情報が供給される。すると制御部56は、供給された入力操作情報と、予め保持しているメニューの各ボタン等の座標とに基づいて、測定処理の開始が指示されたことを特定する。
【0062】
また、制御部56は、表示制御部55を制御して、モニタ22に測定処理のための通常メニューおよびポインタ93を表示させるとともに、測定処理が終了するまでは、タッチパネル51への操作の受け付けを一時的に停止する。つまり、制御部56は、タッチパネル51への操作を受け付けず、マウス23への操作のみを受け付ける。
【0063】
なお、このとき、表示制御部55が制御部56の制御に従って、ポインタ93により位置の指定をしないと正確に距離測定ができないため、タッチパネル51への操作を受け付けない旨のメッセージをモニタ22に表示させるようにしてもよい。これにより、ユーザは、タッチパネル51への操作が受け付けられなくなったことを知ることができる。
【0064】
モニタ22に測定処理用の通常メニューが表示されると、ユーザは、マウス23を操作してポインタ93を移動させ、モニタ22に表示されている観察画像上の試料における任意の2点を指定する。この指定操作により、コントローラ53から制御部56の計測部61には、ユーザの操作に応じた入力操作情報が供給されるので、計測部61は入力操作情報から、観察画像上の指定された2点の位置を特定する。
【0065】
さらに、計測部61は、必要に応じてカメラヘッド12から、観察画像の解像度等のカメラヘッド12に内蔵されたカメラに関する情報を取得するとともに、顕微鏡11から、顕微鏡11に設けられた対物レンズの光学倍率等の光学系に関する情報を取得する。そして、計測部61は、取得したカメラに関する情報および光学系に関する情報を必要に応じて用いて、観察画像上の指定された2点に対応する、試料上の2つの部位間の実際の距離を算出し、得られた測定値を図示せぬメモリに記録させる。
【0066】
また、制御部56は、計測部61により算出された測定値を、表示制御部55を介してモニタ22に供給し、表示させる。このようにして測定処理が終了すると、制御部56は再びタッチパネル51への操作の受け付けを開始する。
【0067】
なお、ステップS47において測定処理が終了した場合には、再びポインタ93が非表示とされて、処理がステップS48に進むようにしてもよいし、ポインタ93を表示させたまま、ステップS47から図4のステップS11の処理に戻るようにしてもよい。
【0068】
このように、タッチパネル操作では難しい操作であるような2点間の距離測定モードになった場合、タッチパネル51の操作中に測定処理の実行が指示されたときには、ポインタ93を表示させて、タッチパネル51への操作を受け付けないようにすることで、より正確に観察画像上の位置を指定できるようになり、操作性が向上する。その結果、ユーザは、より正確な測定値を得ることができる。なお、マウス23の操作中に測定処理の実行が指示された場合においても、制御部56は、タッチパネル51への操作の受け付けを停止し、測定処理が終了するとタッチパネル51への操作の受け付けを再開する。
【0069】
[マウス操作に対する処理の説明]
次に、図6のフローチャートを参照して、図4のステップS14に対応するマウス操作に対する処理について説明する。
【0070】
マウス23が操作されると、ステップS81において、制御部56は、モニタ22にポインタ93が表示されているか否かを判定する。
【0071】
ステップS81において、ポインタ93が表示されていないと判定された場合、ステップS82において、制御部56は表示制御部55によるモニタ22への表示を制御し、モニタ22にポインタ93を表示させる。すなわち、ポインタ93が表示されていない状態で、ユーザがマウス23を操作すると、モニタ22にポインタ93が表示される。
【0072】
ステップS82においてポインタ93が表示されたか、またはステップS81においてポインタ93が表示されていると判定されると、ステップS83において、制御部56は、モニタ22に拡大メニューが表示されているか否かを判定する。
【0073】
ステップS83において、拡大メニューが表示されていると判定された場合、ステップS84において、表示制御部55は、制御部56の制御に従って、モニタ22上に通常メニューを表示させる。すなわち、メニューの表示が拡大メニューから、拡大前の通常メニューに切り替えられる。
【0074】
ステップS84において通常メニューが表示されたか、またはステップS83において拡大メニューが表示されていないと判定されると、ステップS85において、制御部56は、ユーザのマウス23への操作に応じた処理を実行する。
【0075】
例えば、ユーザがマウス23を操作してポインタ93の移動を指示すると、制御部56は、コントローラ53からの入力操作情報に基づいてポインタ93の移動先を特定する。そして、制御部56は、表示制御部55を制御して、モニタ22上のポインタ93を特定された移動先に移動させる。
【0076】
また、例えばモニタ22に図3に示したメニュー92が表示されている状態において、ユーザがボタン群123のうちの文字「C」が表示されているボタンを、ポインタ93により選択してクリックした場合、制御部56は画像処理部54に観察画像を記録させる。
【0077】
ステップS85においてユーザのマウス操作に応じた処理が実行されると、マウス操作に対する処理は終了し、その後、処理は図4のステップS11に戻る。
【0078】
このようにして、コントロールユニット13は、ポインタ93が表示されていない状態においてマウス23が操作されると、ポインタ93を表示するとともに、通常メニューが表示されるように、モニタ22へのメニューの表示を制御する。
【0079】
マウス23の操作中には通常メニューを表示させることで、メニューにより観察画像が見えなくなってしまうこともない。また、マウス23の操作中には、ポインタ93を用いてより正確な位置を指示することができるため、拡大メニューを表示しなくても操作性が損なわれることはない。
【0080】
以上のように、コントロールユニット13によれば、タッチパネル51またはマウス23の何れが操作されているかに応じて、ポインタ93とメニュー92の表示が制御される。したがって、タッチパネル操作とマウス操作の両方の特徴を生かして、さらに操作性を向上させることができるとともに、ポインタ93の無駄な表示を抑制し、処理負荷の軽減も図ることができる。
【0081】
なお、以上においては、ポインタ93を移動させるポインティングデバイスとして、マウス23を例に説明したが、その他、トラックボールやトラックパッドなど、ポインタ93の移動を指示できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0082】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
11 顕微鏡, 12 カメラヘッド, 13 コントロールユニット, 22 モニタ, 23 マウス, 51 タッチパネル, 56 制御部, 61 計測部, 92 メニュー, 93 ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に画像を表示する表示手段と、
前記表示画面に重畳して設けられ、前記表示画面へのものの接近または接触を検出するタッチパネルと、
前記表示画面上の任意の位置を指示する指示手段の前記表示画面における表示位置を移動させるときに操作される操作入力手段と、
前記タッチパネルにより、前記表示画面へのものの接近または接触が検出された場合、前記表示画面上の前記指示手段を非表示とし、前記指示手段が非表示の状態で前記操作入力手段が操作された場合、前記指示手段を前記表示画面に表示させる表示制御手段と
を備えることを特徴とする入力制御機器。
【請求項2】
観察対象の観察画像が前記表示手段に表示されている状態で指定された、前記観察画像上の複数の位置に基づいて、指定された前記複数の位置に対応する前記観察対象の部位間の距離を測定する測定手段と、
前記測定手段による測定処理の実行が指示された場合、前記タッチパネルへの操作の受け付けを停止させる制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の入力制御機器。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記表示手段にメニューが表示されている状態で、前記タッチパネルにより、前記表示画面へのものの接近または接触が検出された場合、前記メニューを拡大表示させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入力制御機器。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示手段に拡大表示された前記メニューが表示されている状態で、前記操作入力手段に対する操作がされた場合、拡大前の前記メニューを表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の入力制御機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−141584(P2011−141584A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−343(P2010−343)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】