説明

入力種別識別システム、入力種別識別方法およびプログラム

【課題】タッチディスプレイ環境において、特段の操作を要することなくポインティング自体によって、何によってポインティングされたかを識別する技術を提供する。
【解決手段】入力種別識別システムを搭載した装置1は、ユーザによる入力として人体の一部又は物によって表示部8の表示画面に接触したときの前記表示画面上の接触位置を示す画像を取得する画像生成部3と、前記表示画面に接触した人体の一部又は物の種類を示す入力種別毎に、前記画像上の前記接触位置に係る特徴である輝度値の閾値を記憶する記憶部4と、前記画像生成部3によって取得された前記画像上の前記接触位置に係る前記輝度値と、前記記憶部に記憶されている前記閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別する入力種別識別部を含む演算部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力種別識別システム、入力種別識別方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FTIR(Frustrated total internal reflection)方式を用いたマルチタッチディスプレイ環境において、ディスプレイ画面の接触によるユーザの指示の入力を認識する技術、即ちポインティングを認識する技術であるポインティング認識技術は、例えば赤外線などの照射光が、ディスプレイを形成する例えばアクリル板などのポインティング板の内部にて全反射する性質を利用している。具体的には、ポインティング認識技術は、ポインティング板の側面から照射された光が、ポインティングがされていないときはポインティング板の内部にて全反射してポインティング板の外部に漏れないのに対し、ポインティングがされたときには当該ポインティング位置にてポインティング板の外部に漏れるという性質を利用している。
【0003】
また、上述のようなマルチタッチディスプレイ環境において、複数の指によるポインティングを認識、トラッキングする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ポインティングに係る指が親指であることを識別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−193840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在のポインティング認識技術では、指によるポインティングと指以外の物(例えば、ペン)によるポインティングとを、当該ポインティングによって識別することができないという問題がある。現在のポインティングの認識技術は、指によるポインティング及び指以外の物によるポインティングの何れの場合も、ポインティング板上においてポインティングによって白色の閉領域の形状として特定するため、両者を区別する術がないからである。
従って、ユーザは、指によるポインティングから指以外の物によるポインティングに変更しようとするとき、又は、逆に指以外の物によるポインティングから指によるポインティングに変更しようとするときは、入力モード(例えば、指タッチモード/ペンモード)の切替操作などの特段の操作を明示的に行わなければならない。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、タッチディスプレイ環境において、特段の操作を要することなくポインティング自体によって、何によってポインティングされたかを識別する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である入力種別識別システムは、ユーザによる入力として人体の一部又は物によって表示画面に接触したときの前記表示画面上の接触位置を示す画像を取得する画像取得部と、前記表示画面に接触した人体の一部又は物の種類を示す入力種別毎に、前記画像上の前記接触位置に係る特徴である輝度値の閾値を記憶する記憶部と、前記画像取得部によって取得された前記画像上の前記接触位置に係る前記輝度値と、前記記憶部に記憶されている前記閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別する入力種別識別部とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記入力種別識別システムにおいて、前記記憶部は、前記輝度値を含む前記接触位置に係る複数の特徴の閾値を前記入力種別毎に記憶し、前記入力種別識別部は、前記画像取得部によって取得された前記画像上の前記接触位置に係る複数の特徴を示す値と、前記記憶部に記憶されている前記複数の特徴の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別するようにしてもよい。
【0009】
上記入力種別識別システムにおいて、前記入力種別識別部は、前記接触位置が複数の前記入力種別に識別された場合に優先させる前記入力種別の優先順位を予め決定し、前記接触位置が複数の前記入力種別に識別されたときは前記優先順位に従って識別結果として出力する一の前記入力種別を決定するようにしてもよい。
【0010】
上記入力種別識別システムにおいて、前記閾値は、前記接触位置が前記表示画面上に停止しているときに用いる停止時用の閾値と、前記接触位置が前記表示画面上を移動しているときに用いる移動時用の閾値とが存在し、前記入力種別識別部は、前記表示画面上において前記接触位置が停止しているか移動しているかを判断し、前記接触位置が停止していると判断した場合した場合、停止していると判断した前記接触位置に係る特徴を示す値と前記停止時用の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別し、前記接触位置が移動していると判断した場合した場合、移動していると判断した前記接触位置に係る特徴を示す値と前記移動時用の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別するようにしてもよい。
【0011】
上記入力種別識別システムにおいて、前記入力種別識別部は、一の前記接触位置における前記入力種別の識別結果を得た後に当該接触位置が移動していると判断したときは、当該識別結果に応じた前記移動時用の閾値を生成するとともに、移動していると判断した当該接触位置に係る特徴を示す値と、前記生成した前記移動時用の閾値に基づいて、当該接触位置における前記入力種別を識別するようにしてもよい。
【0012】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である入力種別識別方法は、ユーザによる入力として表示画面に接触した人体の一部又は物の種類を示す入力種別を識別する入力種別識別装置における入力種別識別方法であって、前記入力種別識別装置の画像取得部が、人体の一部又は物による前記表示画面上の接触位置を示す画像を取得し、前記入力種別識別装置の入力種別識別部が、前記画像取得部によって取得された前記画像上の前記接触位置の輝度値と、前記入力種別毎に予め記憶されている前記輝度値の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別することを特徴とする。
【0013】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、ユーザによる入力として表示画面に接触した人体の一部又は物の種類を示す入力種別を識別する入力種別識別装置のコンピュータに、人体の一部又は物による前記表示画面上の接触位置を示す画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップによって取得された前記画像上の前記接触位置の輝度値と、前記入力種別毎に予め記憶されている前記輝度値の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別する入力種別取得ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タッチディスプレイ環境において、特段の操作を要することなくポインティング自体によって、何によってポインティングされたかを識別することができる。また、ポインティングに用いるもの(指、ペンなど)の種類(以下、「入力種別」と称する)と入力種別毎に実行させる所望の処理とを予め対応付けておけば、ポインティングしたときに識別される入力種別に応じた所望の処理を自動的に実行させることができる。即ち、特段の操作を要することなくポインティング自体によって入力種別に応じた所望の処理を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態による入力種別識別システムを搭載した装置1の構成、及び、本発明の第2の実施形態による入力種別識別システムを搭載した装置2の構成を示すブロック図である。
【図2】装置1の演算部6の機能ブロック図の一例である。
【図3】入力種別識別処理のイメージを示す模式図である。
【図4】装置1の演算部6又は装置2の演算部7を説明するための説明図である。
【図5】装置1における入力種別識別処理の動作例を示すフローチャートである。
【図6】装置1における入力種別識別処理の動作例を示すフローチャートである。
【図7】装置2の演算部7の機能ブロック図の一例である。
【図8】入力種別識別処理のイメージを示す模式図である。
【図9】装置2における入力種別識別処理の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施形態による入力種別識別システムを搭載した装置1の構成を示すブロック図である。装置1は、図1(a)に示すように、画像生成部3(本発明の画像取得部に相当)、記憶部4、演算部6及び表示部8を備える。
【0017】
表示部8は、人体の一部又は物による接触を受け付けるタッチディスプレイである。上記人体の一部は例えば指、上記物は例えばペンである。画像生成部3は、カメラユニットであって、ポインティング認識に供する画像を生成する。ポインティング認識に供する画像とは、例えば、ポインティング板の外部に漏れる光を捉えた画像であって、ユーザによる入力として人体の一部又は物によって表示画面に接触したときの前記表示画面上の接触位置を示す画像である。画像生成部3は、上記画像として、2次元上に配列された濃淡画像データ若しくは2値画像データ(以下、単に濃淡画像という)を生成する。
【0018】
記憶部4は、メモリ、ハードディスクなどであって、画像生成部3によって撮像された画像、演算部6によって読み書きされる種々の情報を記憶する。演算部6によって読み書きされる種々の情報の一例は、閾値情報、閉領域集合、仮のポインティング集合、ポインティング集合である。演算部6は、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)などであって、後述する種々の処理を実行する。表示部8は、マルチタッチディスプレイである。
【0019】
図2は、装置1の演算部6の機能ブロック図の一例である。図3は、入力種別識別処理のイメージを示す模式図である。図4は、装置1の演算部6又は装置2(後述)の演算部7を説明するための説明図である。なお、図2において、説明の便宜上、菱形にて主要な情報を示した。また、図3において、画像内の注釈「タッチ」は指によるポインティングを意味し、注釈「ペン」はペンによるポインティングを意味する。
【0020】
演算部6は、図2に示すように、2値化・エッジ処理部30、閉領域抽出部40(本発明の入力種別識別部に相当)、及び、入力種別判定部50(本発明の入力種別識別部に相当)を備える。閉領域抽出部40は、閉領域判定部42、ノイズ除去部44及び閉領域特徴付与部46を備える。入力種別判定部50は、入力種別ソート部52、閾値判定部54、及び、論理積計算部56を備える。
【0021】
2値化・エッジ処理部30は、画像生成部3によって生成された濃淡画像に対し細線化処理、エッジ処理(例えばラプラシアンフィルタ等の既知のエッジ抽出処理)を施して、濃淡画像上の全ての対象図形の輪郭を抽出する。なお、対象図形とは、濃淡画像上において、ポインティングによって生じた図形、何らかのノイズによって生じた図形である。
【0022】
閉領域抽出部40及び入力種別判定部50は、濃淡画像上のポインティングによって生じた閉領域に係る特徴の値と、記憶部4に記憶されている閾値情報とに基づいて、当該閉領域における入力種別を識別する。以下、詳細に説明する。
【0023】
閉領域判定部42は、ラベリング処理等の既知の技術を用いて、2値化・エッジ処理部30によって抽出された各輪郭が閉領域であるか否かを判定する。換言すれば、閉領域判定部42は、閉領域である輪郭を抽出した閉領域抽出画像を生成する(図3参照)。なお、閉領域判定部42は、各閉領域を規定する座標情報を記憶部4に一時記憶してもよい。
【0024】
ノイズ除去部44は、閉領域判定部42によって判定された各閉領域について、領域面積を算出し、所定値以下の領域面積であった閉領域は、ポインティングによって生じた閉領域ではなくノイズによって生じた閉領域であると判定する。ノイズ除去部44は、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにする。換言すれば、ノイズ除去部44は、指又はペンによる表示部8の接触位置を示す閉領域のみを以降の処理において取り扱うようにするために、フィルタリング処理として、指又はペンによる表示部8の接触位置を示す閉領域に該当しないと判定した閉領域を除去する(図3参照)。
【0025】
つまり、閉領域判定部42及びノイズ除去部44は、濃淡画像全体からポインティングによって生じた閉領域を探索する。また、2値化・エッジ処理部30は、閉領域判定部42及びノイズ除去部44による上記探索の前処理として、濃淡画像上の全ての対象図形の輪郭を抽出する。
【0026】
なお、ノイズ除去部44において、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにする方法は、種々の方法が考えられる。例えば、ノイズ除去部44は、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を背景色(例えば黒色)に塗り潰すことによって、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにしてもよい。
【0027】
また例えば、ノイズ除去部44は、既に、閉領域判定部42が各閉領域を規定する座標情報を記憶部4に一時記憶している場合には、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を規定する座標情報のみを削除することによって、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにしてもよい。なお、ノイズ除去部44は、閉領域判定部42が各閉領域を規定する座標情報を記憶部4に一時記憶していない場合には、以下のようにして、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにしてもよい。即ち、ノイズ除去部44は、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域以外の閉領域、即ちポインティングによって生じた閉領域を規定する座標情報を記憶部4に一時記憶する。一方、ノイズ除去部44は、ノイズによって生じたものであると判定した閉領域を規定する座標情報を記憶部4に一時記憶しない。
【0028】
閉領域特徴付与部46は、各閉領域の特徴を抽出する。つまり、閉領域特徴付与部46は、指又はペンによる表示部8の接触位置の特徴を示す値である各閉領域の特徴量を取得する。具体的には、閉領域特徴付与部46は、各閉領域の特徴量として、各閉領域内の輝度情報、各閉領域内の領域面積情報を取得する。
【0029】
また、閉領域特徴付与部46は、閉領域1つひとつ対応する要素ωを格納する閉領域集合を生成し、記憶部4に記憶する。より詳細には、閉領域特徴付与部46は、各要素ωに対して、各閉領域を規定する座標情報、各閉領域の特徴である輝度情報、領域面積情報を付与し、座標情報、輝度情報、領域面積情報が付与された要素ωを格納する閉領域集合を生成する。つまり、閉領域特徴付与部46は、下記式(1)に示すような、各要素ωが座標情報、輝度情報、領域面積情報を保持するn個の要素ωを格納する閉領域集合Ωを生成する。
【0030】
Ω={ω,・・・,ω} … (1)
【0031】
図4(a)は、閉領域集合Ωに格納された各要素ωが保持する情報の一例である。図4(a)に示す閉領域集合Ωは、要素ω及び要素ωを格納している。要素ωは、ある閉領域に関する情報として、当該閉領域の座標情報、輝度ρ「156」、領域面積S「23」を保持し、要素ωは、他の閉領域に関する情報として、当該閉領域の座標情報、輝度ρ「220」、領域面積S「70」を保持している。なお、輝度ρは、特徴ID「j=0」によって識別され、領域面積Sは特徴ID「j=1」によって識別される。
【0032】
入力種別ソート部52は、入力種別毎に設定された各特徴の閾値情報に基づいて、特徴毎に、各入力種別を閾値の降順にソートする。上記閾値情報は、閉領域集合Ωに格納された各要素ωの入力種別を閾値判定するための情報であって、入力種別毎に、閾値判定に係る特徴毎の値の範囲が設定された情報である。図4(b)は、上記閾値情報の一例である。図4(b)に示す閾値情報は、入力種別「指」を識別する入力種別ID「i=0」に対応付けて輝度ρの閾値「30≦ρ≦200」及び領域面積Sの閾値「10≦S≦30」を保持し、入力種別「ペン」を識別する入力種別ID「i=1」に対応付けて輝度ρの閾値「200≦ρ≦225」及び領域面積Sの閾値「30≦S≦60」を保持している。なお、上記閾値情報は、記憶部4に記憶されている。
【0033】
例えば、図4(b)に示す閾値情報によれば、入力種別ソート部52は、入力種別「ペン」の輝度ρの閾値が200≦ρ≦225、入力種別「指」の輝度ρの閾値が30≦ρ≦200であるため、輝度ρについて、入力種別「ペン」、入力種別「指」の順にソートする。これにより、輝度ρによる閾値判定(以下、「輝度判定」とも称する)は、ペン、指の順に行われる。同様に、入力種別ソート部52は、入力種別「ペン」の領域面積Sの閾値が30≦S≦60、入力種別「指」の領域面積Sの閾値が10≦ρ≦30であるため、領域面積Sについて、入力種別「ペン」、入力種別「指」の順にソートする。これにより、領域面積Sによる閾値判定(以下、「領域面積判定」とも称する)は、ペン、指の順に行われる。換言すれば、入力種別ソート部52は、特徴毎に、閾値判定を行う入力種別の順序を決定する。
【0034】
閾値判定部54は、閉領域集合Ωに格納された各要素ωの入力種別を判定する。具体的には、閾値判定部54は、入力種別ソート部52によるソート結果の順序に従って、即ち入力種別ソート部52によって決定された特徴毎の入力種別の順序に従って、各要素ωの入力種別を閾値判定する。例えば、図4(b)に示す閾値情報が記憶部4に記憶されている場合、閾値判定部54は、入力種別ソート部52によるソート結果に基づいて、輝度判定、領域面積判定ともに、入力種別「ペン」の閾値判定(以下、「ペン判定」とも称する)、入力種別「指」の閾値判定(以下、「指判定」とも称する)の順に行う。
【0035】
閾値判定部54は、ある要素ωについて、ある特徴jのある入力種別iの閾値判定をして、判定結果が真であったときは、当該要素ωを入力種別i、特徴jに係る仮のポインティング集合Ωi,jに格納する要素とする。換言すれば、閾値判定部54は、特徴j毎、入力種別i毎に閾値判定して、下記式(2)に示すような、入力種別i毎、特徴j毎の仮のポインティング集合Ωi,jを生成し、記憶部4に記憶する。
【0036】
Ωi,j={ω,・・・,ω} … (2)
【0037】
例えば、記憶部4に、図4(a)に示す閉領域集合Ω、及び、図4(b)に示す閾値情報が記憶されている場合、閾値判定部54は、輝度判定(j=0)に基づくペン判定(i=1)において、入力種別「ペン」の輝度ρの閾値「200≦ρ≦225」に、輝度ρ「156」である要素ωは含まれず、輝度ρ「220」である要素ωは含まれるため、下記式(3)に示すような、要素ωのみを格納した仮のポインティング集合Ω1,0を生成する。
【0038】
Ω1,0={ω} … (3)
【0039】
また、閾値判定部54は、輝度判定(j=0)に基づく指判定(i=0)において、入力種別「指」の輝度ρの閾値「30≦ρ≦200」に、輝度ρ「156」である要素ωは含まれ、輝度ρ「220」である要素ωは含まれないため、下記式(4)に示すような、要素ωのみを格納した仮のポインティング集合Ω0,0を生成する。
【0040】
Ω0,0={ω} … (4)
【0041】
また、閾値判定部54は、領域面積判定(j=1)に基づくペン判定(i=1)において、入力種別「ペン」の領域面積Sの閾値「30≦ρ≦60」に、領域面積S「23」である要素ωは含まれず、領域面積S「70」である要素ωも含まれないため、下記式(5)に示すような、空集合φである仮のポインティング集合Ω1,1を生成する。
【0042】
Ω1,1=φ … (5)
【0043】
また、閾値判定部54は、領域面積判定(j=1)に基づく指判定(i=0)において、入力種別「指」の領域面積Sの閾値「10≦ρ≦30」に、領域面積S「23」である要素ωは含まれ、領域面積S「70」である要素ωは含まれないため、下記式(6)に示すような、要素ωのみを格納した仮のポインティング集合Ω0,1を生成する。
【0044】
Ω0,1={ω} … (6)
【0045】
なお、各特徴において、順次行う入力種別の閾値判定は、後に行う閾値判定を優先する。換言すれば、入力種別ソート部52は、要素ωが複数の入力種別に識別された場合に優先させる入力種別の優先順位を予め決定し、閾値判定部54は、要素ωが複数の入力種別に識別されたときは優先順位に従って識別結果として出力する入力種別を決定する。本実施例の場合、入力種別ソート部52は各入力種別を閾値の降順にソートするため、閾値が最小である入力種別を優先する。
【0046】
具体的には、閾値判定部54は、既に行った一の入力種別の閾値判定において真となったために当該一の入力種別の閾値判定において作成した仮のポインティング集合Ωi,jに既に格納されている要素ωが、今回行った他の入力種別の閾値判定においても真となった場合には、当該一の入力種別の閾値判定において作成した仮のポインティング集合Ωi,jから当該要素ωを削除し、今回行った他の入力種別の閾値判定において作成する他の仮のポインティング集合Ωi,jに当該要素ωを格納する。
【0047】
例えば、図4(b)において、ペン(i=1)に対応する領域面積S(j=1)の閾値が、「30≦S≦60」ではなく「20≦S≦60」であると仮定した場合、閾値判定部54は、領域面積判定(j=1)に基づくペン判定(i=1)において、入力種別「ペン」の領域面積Sの閾値「20≦ρ≦60」に、領域面積S「23」である要素ωは含まれ、領域面積S「70」である要素ωは含まれないため、下記式(7)に示すような、要素ωのみを格納した仮のポインティング集合Ω1,1を生成することになる。
【0048】
Ω1,1={ω} … (7)
【0049】
続いて、閾値判定部54は、領域面積判定(j=1)に基づく指判定(i=0)において、入力種別「指」の領域面積Sの閾値「10≦ρ≦30」に、領域面積S「23」である要素ωは含まれ、領域面積S「70」である要素ωは含まれないため、上記式(7)に示す仮のポインティング集合Ω1,1に格納されている要素ωを削除し、上記式(5)に示すような仮のポインティング集合Ω1,1に変更するとともに、上記式(6)に示すような、要素ωのみを格納した仮のポインティング集合Ω0,1を生成する。
【0050】
論理積計算部56は、閾値判定部54によって生成された入力種別i毎、特徴j毎の仮のポインティング集合Ωi,jに基づいて、入力種別i毎のポインティング集合Ωを生成し、記憶部4に記憶する。より詳細には、論理積計算部56は、ある入力種別iに関係する全ての仮のポインティング集合Ωi,jの論理積を算出し、当該入力種別iに係るポインティング集合Ωを生成する。即ち、論理積計算部56は、入力種別i毎に、下記式(8)の論理積を計算し、ポインティング集合Ωを生成する。
【0051】
Ω=Ωi,1∧Ωi,2 … (8)
【0052】
例えば、上記式(3)〜上記式(6)の仮のポインティング集合Ωi,jが記憶部4に記憶されている場合、論理積計算部56は、上記式(3)に示す仮のポインティング集合Ω1,0、上記式(5)に示す仮のポインティング集合Ω1,1を用いて、下記式(9)のようにペン判定(i=1)に係るポインティング集合Ωを生成し、上記式(4)に示す仮のポインティング集合Ω0,0、上記式(6)に示す仮のポインティング集合Ω0,1を用いて、下記式(10)のように指判定(i=0)に係るポインティング集合Ωを生成する。
【0053】
Ω=Ω1,0∧Ω1,1 … (9)
従って、Ω=φとなる。
Ω=Ω0,0∧Ω0,1 … (10)
従って、Ω={ω}となる。
【0054】
以上のように、演算部6は、個々の閉領域(ノイズによって生じてた閉領域を除く)に対応する各要素の入力種別を識別する(図3参照)。
【0055】
なお、論理積計算部56は、上述の如く、ポインティング集合Ωを記憶部4に記憶するが、記憶部4への記憶に加えて、表示部8に表示させてもよい。例えば、論理積計算部56は、ポインティング認識した各位置に、入力種別毎に予め定められた文字、図形、記号などを出力してもよい。
【0056】
以上のように、入力種別判定部50(入力種別ソート部52、閾値判定部54、論理積計算部56は、濃淡画像から特定されるポインティングに係る複数の特徴(輝度、領域面積)の値と、記憶部4に記憶されているそれらの閾値とに基づいて、入力種別を識別する。つまり、記憶部4には、接触位置に係る特徴の1つである輝度値に加え、接触位置に係る他の1以上の特徴(本実施形態では領域面積)が入力種別毎に記憶されている。換言すれば、記憶部4には、輝度値を含む接触位置に係る複数の特徴(本実施形態では輝度値及び領域面積)の閾値が入力種別毎に記憶されている。そして、入力識別判定部50(入力種別識別部)は、画像生成部3(画像取得部)によって取得された画像上の接触位置に係る複数の特徴(本実施形態では輝度値及び領域面積)を示す値と、上記記憶部4に記憶されている複数の特徴(本実施形態では輝度値及び領域面積)の閾値とに基づいて、接触位置における入力種別を識別している。
【0057】
以下、装置1における入力種別識別処理の動作を説明する。図5及び図6は、装置1における入力種別識別処理の動作例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、演算部6が濃淡画像を取得することにより開始する。
【0058】
図5において、2値化・エッジ処理部は、濃淡画像に細線化処理、エッジ処理を施して、濃淡画像上の全ての対象図形の輪郭を抽出する(ステップS102)。閉領域判定部42は、ステップS102において抽出された全ての輪郭のうち一の輪郭が閉領域であるか否かを判定する(ステップS104)。閉領域判定部42は、当該輪郭が閉領域であると判定した場合(ステップS104:Yes)、ノイズ除去部44は、当該閉領域の領域面積を算出し、当該閉領域がノイズによって生じた閉領域であるか否かを判定する(ステップS106)。ノイズ除去部44は、当該閉領域がノイズによって生じた閉領域であると判定した場合(ステップS106:Yes)、当該閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないように除去し(ステップS108)、ステップS110に進む。
【0059】
一方、上記ステップS104において、閉領域判定部42は、当該輪郭が閉領域でないと判定した場合(ステップS104:No)には、上記ステップS106及び上記ステップS108を飛ばして、ステップS110に進む。また、上記ステップS106において、ノイズ除去部44は、当該閉領域がノイズによって生じた閉領域でないと判定した場合(ステップS106:No)、上記ステップS108を飛ばして、ステップS110に進む。
【0060】
ステップS108、ステップS104(No)又はステップS106(No)に続いて、閉領域判定部42は、ステップS102において抽出された全ての輪郭に対して、閉領域であるか否かの判定を行ったか否かを判断する(ステップS110)。閉領域判定部42は、全ての輪郭に対しては閉領域であるか否かの判定を行っていないと判断した場合(ステップS110:No)、上記ステップS104に戻って、未だ判定していない一の輪郭について閉領域であるか否かを判定する(ステップS104)。即ち、演算部6は、抽出した全ての輪郭について、上記ステップS104から上記ステップS108を実行する。
【0061】
一方、上記ステップS110において、閉領域判定部42は、全ての輪郭に対して閉領域であるか否かの判定を行ったと判断した場合(ステップS110:Yes)、閉領域特徴付与部46は、各閉領域について特徴情報を付与して閉領域集合Ωを生成し、記憶部4に記憶する(ステップS112)。
【0062】
ステップS112に続いて、入力種別判定部50は、入力種別識別処理を実行する(ステップS200)。なお、入力種別識別処理の詳細は、図6を用いて説明する。次いで、入力種別判定部50は、入力種別識別処理による結果であるポインティング集合Ωを表示部8に表示させる(S114)。そして、本フローチャートは終了する。
【0063】
図6において、入力種別ソート部52は、閾値情報に基づいて、特徴毎に、各入力種別を閾値の降順にソートする(ステップS202)。
【0064】
ステップS202に続いて、入力種別ソート部52は、ステップS112において記憶された閉領域集合Ωに格納されている全ての要素ωのうち一の要素ωについて、ステップS202によるソート順序に従って、閾値情報に基づいて入力種別を判定する(ステップS204)。ソート順序が「ペン判定→指判定」あった場合、閾値判定部54は、当該要素ωについて、例えば、「輝度判定に基づくペン判定」→「輝度判定に基づく指判定」→「領域面積判定に基づくペン判定」→「領域面積判定に基づく指判定」の順に従って、若しくは、「領域面積判定に基づくペン判定」→「領域面積判定に基づく指判定」→「輝度判定に基づくペン判定」→「輝度判定に基づく指判定」の順に従って、入力種別を判定する。なお、入力種別ソート部52は、入力種別を判定の結果、仮のポインティング集合Ωi,jを生成する。
【0065】
ステップS204に続いて、閾値判定部54は、閉領域集合Ωに格納されている全ての要素ωに対して入力種別を判定したか否かを判断する(ステップS206)。閾値判定部54は、全ての要素ωに対しては入力種別を判定していないと判断した場合(ステップS206:No)、上記ステップS204に戻って、未だ判定していない一の要素ωについて入力種別を判定する(ステップS204)。即ち、閾値判定部54は、閉領域集合Ωに格納されている全ての要素ωについて、入力種別を判定し、入力種別i毎、特徴j毎の仮のポインティング集合Ωi,jを生成する。
【0066】
ステップS206に続いて、論理積計算部56は、ステップS204において生成された入力種別i毎、特徴j毎の仮のポインティング集合Ωi,jの論理積を算出し、入力種別i毎のポインティング集合Ωを生成し、記憶部4に記憶する(S208)。そして本フローチャートは終了し、図5のステップS114に進む。
【0067】
なお、図5の上記ステップS104乃至ステップS112によれば、演算部6は、濃淡画像から抽出された輪郭1つずつ、閉領域であるか判定し(ステップS104)、ノイズによって生じた閉領域であれば削除し(ステップS106、ステップS108)、上記処理(ステップS104乃至ステップS108)を全ての輪郭について行った後に(ステップS110:Yes)、特徴情報を付与(ステップS112)するという流れで処理するが、他の流れで処理してもよい。例えば、演算部6は、全ての輪郭について閉領域であるか判定し、次いで、全ての閉領域のなかからノイズによって生じた閉領域を削除し、次いで、特徴情報を付与するという流れで処理してもよい。また例えば、演算部6は、輪郭1つずつ、閉領域であるか判定し、ノイズによって生じた閉領域であれば削除し、特徴情報を付与するという流れで処理をしてもよい。
【0068】
なお、第1の実施形態においては、特徴jの数は、輝度(j=0)、領域面積(j=1)の2個であるが、特徴jの数がm個である場合には、論理積計算部56は、下記式(11)の論理積を計算し、ポインティング集合Ωを生成する。つまり、第1の実施形態においては、装置1は、接触位置に係る複数の特徴として輝度値及び領域面積を用いて、ポインティング集合Ωを生成したが、装置1は、輝度値を含む接触位置に係る複数の特徴(即ち、輝度値と、輝度値以外の1以上の特徴)を用いるのであれば、何れの複数の特徴を用いてポインティング集合Ωを生成してもよい。例えば、装置1は、輝度値及び色情報を用いてポインティング集合Ωを生成してもよいし、輝度値、領域面積及び色情報を用いてポインティング集合Ωを生成してもよい。
【0069】
Ω=Ωi,1∧Ωi,2∧ ・・・ ∧Ωi,m … (11)
【0070】
また、第1の実施形態においては、ある入力種別iに関係するn個の仮のポインティング集合Ωi,1、Ωi,2、・・・、Ωi,nを全部満たす要素ωを入力種別iに係るポインティング集合Ωに格納したが、n個のうちのm個を満たす要素ωも入力種別iに係るポインティング集合Ωに格納してもよい。つまり、第1の実施形態においては、ある入力種別であると識別するために、当該入力種別のn個の特徴を全て具備することを条件しているが、条件を緩和し、n個のうちのm個の特徴を具備することを条件としてもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図1(b)は、本発明の第2の実施形態による入力種別識別システムを搭載した装置2の構成を示すブロック図である。装置2は、図1(b)に示すように、画像生成部3(本発明の画像取得部に相当)、記憶部5、演算部7及び表示部8を備える。演算部7は、CPU、GPUなどであって、後述する種々の処理を実行する。記憶部5は、メモリ、ハードディスクなどであって、画像生成部3によって撮像された画像、演算部7によって読み書きされる種々の情報を記憶する。演算部7によって読み書きされる種々の情報の一例は、第1の実施形態における装置1の演算部6によって読み書きされる種々の情報の他、動的に生成される移動時用の閾値情報である。なお、画像生成部3、記憶部5及び表示部8については第1の実施形態における装置1と同様である。
【0072】
また、第2の実施形態においては、閾値は、ポインティングによって生じた閉領域が表示画面上に停止しているときに用いる停止時用の閾値と、ポインティングによって生じた閉領域が表示画面上を移動しているときに用いる移動時用の閾値とが存在する。停止時用の閾値は、図4(b)に示すように、予め記憶部5に記憶されている。移動時用の閾値は、適宜生成される。
【0073】
図7は、装置2の演算部7の機能ブロック図の一例である。なお、図7では、説明の便宜上、菱形にて情報を示している。図8は、入力種別識別処理のイメージを示す模式図である。演算部7は、図7に示すように、閾値設定部10(本発明の入力種別識別部に相当)、近傍探索部20(本発明の入力種別識別部に相当)、2値化・エッジ処理部30、閉領域抽出部40(本発明の入力種別識別部に相当)、及び、入力種別判定部51(本発明の入力種別識別部に相当)を備える。閾値設定部10は、対象要素抽出部12、閾値決定部14を備える。近傍探索部20は、探索範囲設定部22及び探索部24を備える。入力種別判定部51は、入力種別ソート部52、閾値判定部54及び論理積計算部57を備える。なお、2値化・エッジ処理部30、閉領域抽出部40、入力種別ソート部52及び閾値判定部54については第1の実施形態における装置1と同様である。
【0074】
閾値設定部10及び近傍探索部20は、ポインティングによって生じた閉領域が停止しているか移動しているかを判断し、ポインティングによって生じた閉領域が移動していると判断した場合した場合、移動していると判断した閉領域に係る特徴を示す値と移動時用の閾値とに基づいて、当該ポインティングの入力種別を識別する。一方、閉領域抽出部40及び入力種別判定部51は、停止していると判断された閉領域に係る特徴を示す値と生指示用の閾値とに基づいて、当該ポインティングの入力種別を識別する。以下、詳細に説明する。
【0075】
対象要素抽出部12は、記憶部5に記憶されている1時点前(時刻t−1)のポインティング集合Ωから、移動時モデルの適用対象とする要素(以下、対象要素とも称する)を抽出する。なお、対象要素抽出部12による抽出時において、記憶部5には、1時点前のポインティング集合Ωが記憶されている。1時点前のポインティング集合Ωとは、前回、入力種別を識別したときに生成されたポインティング集合Ωである。移動時モデルには、移動しているポインティングの移動後の状態(例えば、輝度値、領域面積、座標)を推定(表現)するための推定モデル、及び、移動後のポインティングに対して適用する移動時用の閾値情報を含まれる。但し、当該移動時用の閾値情報は、上記推定モデルによる推定結果、各要素の入力種別などに応じて動的に生成される。
【0076】
第2の実施形態のポインティング集合Ωに格納されている各要素ωは、図4(c)に示すように、状態フラグ、識別された入力種別、中心の座標情報、輪郭の座標情報、輝度ρ、領域面積Sを保持する。状態フラグ「0」は移動時モデルが未適用である旨を示し、状態フラグ「1」は移動時モデルが適用済みである旨を示す。なお、第1の実施形態のポインティング集合Ωに格納されている各要素ωは、状態フラグを保持しなくてもよい。
【0077】
また、対象要素抽出部12による抽出時において、状態フラグ「0」である要素ωは、移動時モデルが未適用である要素であって、当該要素ωが、1時点前において登録された要素、即ち1時点前にて新規に認識されたポインティングに係る要素である。一方、対象要素抽出部12による抽出時において、状態フラグ「1」である要素ωは、当該要素ωが、1時点前よりも前の何れかの時点において新規に登録された要素、1時点前よりも前の何れかの時点にて新規に認識されたポインティングに係る要素である。
【0078】
具体的には、対象要素抽出部12は、ポインティング集合Ωに格納されている各要素ωの状態フラグを参照し、移動時モデルが未適用である要素ωを対象要素として抽出する。つまり、対象要素抽出部12は、1時点前において新規に認識されたポインティングに係る要素ωを対象要素として抽出する。対象要素抽出部12は、対象要素からなる集合を対象ポインティング集合として記憶部5に記憶する。
【0079】
閾値決定部14は、対象要素抽出部12によって対象要素が抽出された場合、各対象要素に設定する移動時用の閾値を決定する。つまり、閾値決定部14は、移動時用の閾値を各対象要素に設定する。
【0080】
具体的には、閾値決定部14は、一の要素ωにおける入力種別の識別結果を得た後に当該要素ωが移動していると判断したときは、当該識別結果に応じた移動時用の閾値を生成する。例えば、閾値決定部14は、下記式(12)に示す移動時用の輝度ρの閾値を各対象要素に設定する。
【0081】
ρ’min≦ρ≦(ρ’min+ρ’max)/2 … (12)
【0082】
なお、上記式(12)において、ρ’minは、現時点(時刻t)における最小輝度(輝度の最小値)である(図8(a)参照)。但し、ρ’minは、推定値であって、当該対象要素の入力種別、及び、1時点前の最小輝度であるρminに基づいて算出される。例えば、閾値決定部14は、当該対象要素の入力種別が指である場合、下記式(13)に従ってρ’minを算出し、当該対象要素の入力種別がペンである場合、下記式(14)に従ってρ’minを算出する。また、ρ’maxは、現時点における最大輝度(輝度の最大値)である(図8(a)参照)。但し、ρ’maxは、推定値であって、当該対象要素の入力種別、及び、1時点前の最大輝度であるρmaxに基づいて算出される。例えば、閾値決定部14は、当該対象要素の入力種別が指である場合、下記式(15)に従ってρ’maxを算出し、当該対象要素の入力種別がペンである場合、下記式(16)に従ってρ’maxを算出する。
【0083】
ρ’min=(1/10)×ρmin … (13)
ρ’min= ρmin … (14)
ρ’max=(2/3)×ρmax … (15)
ρ’max= ρmax … (16)
【0084】
また、例えば、閾値決定部14は、下記式(17)に示す移動時用の領域面積Sの閾値を各対象要素に設定する。
【0085】
π{(X−X’−α)+(Y−Y’−α)}≦ S ≦ π(X−X’)+(Y−Y’} …(17)
【0086】
上記式(17)において、(X,Y)は1時点前における中心座標、(X’,Y’)は現時点における輪郭の座標である(図8(a)参照)。また、αは定数である。また、図8(a)において、(X,Y)は1時点前における輪郭の座標、距離lは1時点前における中心座標(X,Y)から1時点前における輪郭の座標(X,Y)までの距離である。なお、上記式(17)による移動時用の領域面積Sの閾値の算出においては、現時点における中心座標(X’,Y’)の値として、1時点前における中心座標(X,Y)の値を用いるため、図8(a)では、現時点における中心座標として中心座標(X,Y)を用いている。
上記式(17)の(X’,Y’)は、上記距離lに基づいて算出される。第2の実施形態においては、現時点における中心座標(X’,Y’)から現時点における輪郭の座標(X’,Y’)までの距離、即ち、図8(a)に示す、中心座標(X,Y)から輪郭の座標(X’,Y’)までの距離が、上記距離lの3分の1程度になるように、(X’,Y’)を決定する。
これにより、上記式(17)において、(X,Y)、(X’,Y’)、αの全てが定まるため、移動時用の領域面積Sの範囲(閾値)が確定する。
【0087】
以上のように、閾値設定部10は、未だ移動時モデルを適用していない要素ωについて移動時モデルを適用する。つまり、閾値設定部10は、1時点前において新規に認識されたポインティングに対し、移動しているポインティングの移動後の状態を表現(推定)するための推定モデルを適用し、当該要素が移動中にどのような状態(例えば、輝度値、領域面積、座標)に変化するかを上記式(13)〜(16)のように推定し、推定した状態を反映させた閾値を当該要素に上記式(12)(17)のように設定する。換言すれば、閾値設定部10は、前回(1時点前)の入力種別の識別結果に基づいて、今回(現時点)の入力種別の識別に用いる移動時用の閾値を設定する。
【0088】
なお、閾値設定部10の処理後においては、移動時モデルは、1時点前のポインティング集合Ωに格納されている全ての要素ωについて適用済みである。閾値設定部10は、1時点前のポインティング集合Ωに格納されている要素ωのうち移動時モデルの未適用の要素ωについて、移動時モデルを適用したからである。
【0089】
探索範囲設定部22は、記憶部5に記憶されている1時点前のポインティング集合Ωに格納されている各要素ωが、現時点においても存在しているか否かを判定するために、現時点に取得した濃淡画像における探索範囲を設定する。なお、第2の実施形態においては、1時点前において認識されたポインティングは、現時点においてもその近傍にあると考え、濃淡画像全体を探索範囲とせず、その近傍を探索範囲として設定する。例えば、図8(b)に示すように設定する。図8(b)に示す例において、探索範囲設定部22は、1時点前において認識されたポインティング、即ち記憶部5に記憶されている1時点前のポインティング集合Ωに格納されている要素ωの中心座標から予め定めた半径rの円内を探索範囲としている。
【0090】
探索部24は、濃淡画像を探索し、1時点前のポインティング集合Ωに格納されている各要素ωが、現時点において存在しているか否かを判定する。当該存在しているか否かを判定は、探索範囲設定部22において設定された探索範囲を用いる範囲判定と、閾値決定部14によって設定された移動時用の閾値を用いる閾値判定から構成されている。探索部24は、以下に説明するように、範囲判定、閾値判定の順に行う。
【0091】
まず、探索部24は、濃淡画像全体からポインティングを探索する。即ち、探索部24は、実施形態1における装置1の閉領域判定部42及びノイズ除去部44の如く、ポインティングによって生じた閉領域を探索する。
【0092】
探索部24は、探索した個々のポインティングに対し、1時点前のポインティング集合Ωに格納されている各要素ωに係る範囲判定を行う。具体的には、探索部24は、探索したポインティングが、範囲判定に係る条件を満たすか否かを判定する。例えば、探索部24は、下記式(18)に示す範囲判定に係る条件を満たすか否かを判定する。但し、(X,Y)は探索したポインティングの中心座標、(X,Y)は要素ωの中心座標、rは要素ωの中心座標(X,Y)からの距離である。
【0093】
(X−X+(Y−Y≦ r… (18)
【0094】
探索部24は、ある要素ωについて範囲判定の結果が真であったポインティングに対し、当該要素ωの移動時用の閾値を用いて閾値判定を行う。例えば、探索部24は、上記範囲判定に係る条件が真になる中心座標(X,Y)とある要素ωからの距離rの組が存在した場合には、当該ポインティングに対して、当該要素ωの移動時用の閾値を用いて閾値判定を行う。
【0095】
探索部24は、ある要素ωの移動時用の閾値を用いた閾値判定の結果が真であったポインティングが存在した場合、当該要素ωが現時点においても存在していると判定する。つまり、探索部24は、1時点前に存在していたある要素ωから範囲判定が真になる距離内に一のポインティングが存在し、かつ、当該一のポインティングが当該要素ωの移動時用の閾値を満たす場合、当該要素ωの現時点におけるポインティングは、当該一のポインティングであると推定し、当該要素ωが現時点においても存在していると判定する。
【0096】
なお、探索部24は、上記移動時用の閾値を用いた閾値判定においては、実施形態1における装置1の論理積計算部56による論理積計算の如く全ての特徴における条件を満たした場合に真とするのではなく、一定数以上の条件を満たした場合に真としてもよい。
【0097】
閾値判定に続いて、探索部24は、現時点のポインティング集合Ωを生成し、記憶部5に記憶する。具体的には、探索部24は、1時点前に存在していた要素ωであって現時点においても存在している判定した要素ωから構成される現時点のポインティング集合Ωを生成し、記憶部5に記憶する。
【0098】
例えば、探索部24は、入力種別「指」と識別されている1時点前の要素ωが現時点においても存在している判定した場合、状態フラグ「1」、入力種別「指」、中心座標(X,Y)、輪郭の座標(X,Y)、輝度ρ、領域面積Sを保持する要素ωを現時点のポインティング集合Ωの要素とする。なお、各要素ωは何れも1時点前に存在していたものであるため、各要素ωの状態フラグは「1」となる。また、中心座標(X,Y)は、範囲判定において用いたものである。輝度ρ、領域面積Sは、移動時用の閾値を用いた閾値判定に用いたものである。
【0099】
また、探索部24は、濃淡画像において、現時点のポインティング集合Ωに格納した要素ωに対応する閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにする。例えば、実施形態1における装置1のノイズ除去部44によるノイズによって生じたものであると判定した閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにする方法と同様の方法によって、現時点のポインティング集合Ωに格納した要素ωに対応する閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにする。
【0100】
また、探索部24は、濃淡画像において、範囲判定及び閾値判定を満たさなかった閉領域、即ち、現時点において新規に存在したと推測される閉領域について、閉領域集合Ωに格納してもよい。範囲判定及び閾値判定を満たさなかった閉領域について、閉領域集合Ωに格納する場合、上記と同様の方法によって、閉領域集合Ωに格納済みの閉領域を以降の処理において閉領域として取り扱わないようにする。
【0101】
以上のように、近傍探索部20は、表示部8上においてポインティングが移動している場合に、移動していると判断した要素ωの特徴を示す値と、移動時用の閾値とに基づいて、入力種別を識別する。
【0102】
2値化・エッジ処理部30、閉領域抽出部40、入力種別ソート部52及び閾値判定部54は、上述の如く、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0103】
論理積計算部57は、探索部24によって生成されたポインティング集合Ωと、閾値判定部54によって生成された入力種別i毎、特徴j毎の仮のポインティング集合Ωi,jに基づいて、入力種別i毎のポインティング集合Ωを生成する。具体的には、論理積計算部57は、第1の実施形態における装置1の論理積計算部56と同様、閾値判定部54によって生成された仮のポインティング集合Ωi,jに基づいて、ポインティング集合Ωを生成する。なお、論理積計算部57は、仮のポインティング集合Ωi,jに基づいて生成するポインティング集合Ωに格納する各要素ωの状態フラグは「0」にする。そして、論理積計算部57は、仮のポインティング集合Ωi,jに基づいて生成したポインティング集合Ωと、探索部24によって生成されたポインティング集合Ωとを統合し、統合したポインティング集合Ωを記憶部5に記憶する。換言すれば、論理積計算部57は、記憶部5に記憶されている探索部24によって生成されたポインティング集合Ωに、仮のポインティング集合Ωi,jに基づいて計算した要素ωを追加する。
【0104】
以下、装置2における入力種別識別処理の動作を説明する。図9は、装置2における入力種別識別処理の動作例を示すフローチャートである。
【0105】
図9において、対象要素抽出部12は、移動時モデルの適用の要否を判断する(ステップ10)。具体的には、対象要素抽出部12は、記憶部5に記憶されている1時点前のポインティング集合Ωに状態フラグ「0」の要素ωが少なくとも1つ格納されている場合、移動時モデルの適用を要すると判断し、何も格納されていない場合は要しないと判断する。換言すれば、対象要素抽出部12は、1時点前のポインティング集合Ωから、移動時モデルの適用対象である対象要素を少なくとも1つ抽出できた場合、移動時モデルの適用を要すると判断し、何も抽出できなかった場合は要しないと判断する。
【0106】
ステップ10において、対象要素抽出部12は、移動時モデルの適用を要すると判断した場合(ステップ10:Yes)、閾値決定部14は、対象要素抽出部12によって抽出された各対象要素に移動時用の閾値を設定する(ステップS12)。
【0107】
ステップS12に続いて、探索範囲設定部22は、現時点に取得した濃淡画像における探索範囲を設定する(ステップS14)。
【0108】
ステップS14に続いて、探索部24は、範囲判定及び閾値判定を行い、何れもが真であったポインティングが存在しているか否かを判断する(ステップS16)。換言すれば、探索部24は、1時点前に存在していた要素ωのうち少なくとも1つが現時点においても存在しているか否かを判断する。
【0109】
ステップ16において、探索部24は、何れもが真であったポインティングが存在していると判断した場合(ステップS16:Yes)、現時点のポインティング集合Ωを生成し、記憶部5に記憶する(ステップS18)。次いで、2値化、エッジ処理部30、閉領域抽出部40、入力種別判定部50は、停止時における識別処理を実行し(ステップS100)、本フローチャートは終了する。なお、停止時における識別処理は、論理積計算部57が、探索部24によって生成されたポインティング集合Ωと、閾値判定部54によって生成された仮のポインティング集合Ωi,jに基づいて、最終的なポインティング集合Ωを生成する点を除き、図5及び図6に示した処理(即ち、ステップS102乃至ステップS114、及び、ステップS202乃至ステップS208)と同様であるため説明を省略する。
【0110】
一方、ステップ10において、対象要素抽出部12は、移動時モデルの適用を要しないと判断した場合(ステップ10:No)、上記ステップS12乃至ステップS18を飛ばして、ステップS100に進む。また、ステップ16において、探索部24は、何れもが真であったポインティングが存在していないと判断した場合(ステップS16:No)、上記ステップS18を飛ばして、ステップS100に進む。
【0111】
以上、第1の実施形態、又は、第2の実施形態によれば、タッチディスプレイ環境において、特段の操作を要することなくポインティング自体によって、何によってポインティングされたかを識別することができる。また、入力種別と入力種別毎に実行させる所望の処理とを予め対応付けておけば、ポインティングしたときに識別される入力種別に応じた所望の処理を自動的に実行させることができる。即ち、特段の操作を要することなくポインティング自体によって入力種別に応じた所望の処理を実行させることができる。例えば、FTIR環境上でGIS等の地図アプリケーションを操作する場合において、従来であればペンによる書込み、指タッチによる地図移動を行おうとしても、ペン、指タッチの入力種別の識別ができなかったため、ペンモード、指タッチモードというような入力モードの切替操作をしなければ、ペンであれば書込み、指タッチであれば地図操作というように、それぞれに応じた処理ができず不便であった。本実施形態によれば、入力種別の識別が入力自体でできるため、上記切替操作などの明示的な操作をすることなく、それぞれの応じた処理をすることができるため便利である。
【0112】
また、第2の実施形態によれば、トラッキング中のポインティング、即ち移動時のポインティングについて、その特性を考慮し、精度よく、何によってポインティングされたかを識別することができる。移動時の閉領域の特徴の特性は、停止時の閉領域の特徴の特性と異なる。例えば、移動時の指によるポインティングでは、停止時の指によるポインティングに比べ、ディスプレイに触る面積が少なくなるため、両者の領域面積の特性は異なる。従って、停止時のポインティングの特徴の特性を、移動時のポインティングにおける入力種別の識別に適用した場合、入力種別の識別精度の低下、若しくは、識別が不能になる恐れがある。
第2の実施形態では、移動中の個々のポインティングについて、既に識別されている入力種別を反映させた移動時用の閾値を動的に生成し、移動中の個々のポインティングに設定するため、移動時のポインティングについて、精度よく入力種別を識別することができる。
【0113】
また、第2の実施形態においては、既に移動時モデルを適用した要素ωについては、再度、移動時モデルを適用しない態様を説明したが、既に移動時モデルを適用した要素ωについても、再度、移動時モデルを適用する態様としてもよい。例えば、即ち入力種別を識別する都度、移動時モデルを適用してもよいし、何回かおきに、移動時モデルを適用してもよい。なお、毎回、移動時モデルを適用する場合には、状態フラグが不要になる。つまり、毎回、移動時モデルを適用する場合、対象要素抽出部12は不要であり、また、閾値決定部14は、対象ポインティング集合ではなくポインティング集合Ωに格納されている全ての要素ωを対象に、毎回、移動時用の閾値を決定する。
【0114】
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、ポインティングによって生じた閉領域の特徴として輝度及び領域面積を用いて入力種別を識別する態様を説明したが、ポインティングによって生じた閉領域の特徴として輝度のみを用いて入力種別を識別してもよい。つまり、装置1及び装置2は、輝度値を含む接触位置に係る複数の特徴(即ち、輝度値と、輝度値以外の1以上の特徴)を用いて入力種別を識別したが、装置1及び装置2は、輝度値のみを用いて入力種別を識別してもよい。なお、輝度値のみを用いて入力種別を識別する場合、つまり、ポインティングによって生じた閉領域の特徴として輝度のみを用いて入力種別を識別する場合には、輝度判定(j=0)に基づくペン判定(i=1)、及び、輝度判定(j=0)に基づく指判定(i=0)のみとなるため、仮のポインティング集合Ωi,jの生成を要しない。
【0115】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、表示部8は、マルチタッチディスプレイであると説明したが、表示部8は、複数の点に同時に触れて操作可能なタッチディスプレイでなくてもよい。なお、表示部8が1点のみを同時に触れて操作するタッチディスプレイの場合には、各時点において生成される閉領域集合Ωに格納する要素ωは、1つなる。
【0116】
なお、第1の実施形態の装置1及び第2の実施形態の装置2は、特に限定されるものではないが、例えば、携帯電話機、ゲーム機、楽曲再生器、地図情報等の情報を表示する装置(例えば、カーナビゲーションシステムに係る装置)などが該当する。
【0117】
なお、本発明の一実施形態による装置1又は装置2の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の一実施形態による装置1又は装置2の各処理に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0118】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0119】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1、2…装置 3…画像生成部 4…記憶部 5、6…記憶部 7…演算部 8…表示部
10…閾値設定部 12…対象要素抽出部 14…閾値決定部 20…近傍探索部 22…探索範囲設定部 24…探索部 30…2値化・エッジ処理部 40…閉領域抽出部 42…閉領域判定部 44…ノイズ除去部 46…閉領域特徴付与部 50、51…入力種別判定部 52…入力種別ソート部 54…閾値判定部 56、57…論理積計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる入力として人体の一部又は物によって表示画面に接触したときの前記表示画面上の接触位置を示す画像を取得する画像取得部と、
前記表示画面に接触した人体の一部又は物の種類を示す入力種別毎に、前記画像上の前記接触位置に係る特徴である輝度値の閾値を記憶する記憶部と、
前記画像取得部によって取得された前記画像上の前記接触位置に係る前記輝度値と、前記記憶部に記憶されている前記閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別する入力種別識別部と
を備えることを特徴とする入力種別識別システム。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記輝度値を含む前記接触位置に係る複数の特徴の閾値を前記入力種別毎に記憶し、
前記入力種別識別部は、
前記画像取得部によって取得された前記画像上の前記接触位置に係る複数の特徴を示す値と、前記記憶部に記憶されている前記複数の特徴の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力種別識別システム
【請求項3】
前記入力種別識別部は、
前記接触位置が複数の前記入力種別に識別された場合に優先させる前記入力種別の優先順位を予め決定し、前記接触位置が複数の前記入力種別に識別されたときは前記優先順位に従って識別結果として出力する一の前記入力種別を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の入力種別識別システム。
【請求項4】
前記閾値は、
前記接触位置が前記表示画面上に停止しているときに用いる停止時用の閾値と、前記接触位置が前記表示画面上を移動しているときに用いる移動時用の閾値とが存在し、
前記入力種別識別部は、
前記表示画面上において前記接触位置が停止しているか移動しているかを判断し、前記接触位置が停止していると判断した場合した場合、停止していると判断した前記接触位置に係る特徴を示す値と前記停止時用の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別し、前記接触位置が移動していると判断した場合した場合、移動していると判断した前記接触位置に係る特徴を示す値と前記移動時用の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の入力種別識別システム
【請求項5】
前記入力種別識別部は、
一の前記接触位置における前記入力種別の識別結果を得た後に当該接触位置が移動していると判断したときは、当該識別結果に応じた前記移動時用の閾値を生成するとともに、移動していると判断した当該接触位置に係る特徴を示す値と、前記生成した前記移動時用の閾値に基づいて、当該接触位置における前記入力種別を識別する
ことを特徴とする請求項4に記載の入力種別識別システム。
【請求項6】
ユーザによる入力として表示画面に接触した人体の一部又は物の種類を示す入力種別を識別する入力種別識別装置における入力種別識別方法であって、
前記入力種別識別装置の画像取得部が、人体の一部又は物による前記表示画面上の接触位置を示す画像を取得し、
前記入力種別識別装置の入力種別識別部が、前記画像取得部によって取得された前記画像上の前記接触位置の輝度値と、前記入力種別毎に予め記憶されている前記輝度値の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別することを特徴とする入力種別識別方法。
【請求項7】
ユーザによる入力として表示画面に接触した人体の一部又は物の種類を示す入力種別を識別する入力種別識別装置のコンピュータに、
人体の一部又は物による前記表示画面上の接触位置を示す画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップによって取得された前記画像上の前記接触位置の輝度値と、前記入力種別毎に予め記憶されている前記輝度値の閾値とに基づいて、前記接触位置における前記入力種別を識別する入力種別取得ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−53551(P2012−53551A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194009(P2010−194009)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】