説明

入力装置およびそれを用いた携帯機器

【課題】携帯電話等の文字入力において、文字等の選択を一度の確定で行うことが可能な入力装置を提供する。
【解決手段】回転機構を備えた回転部6と、回転部6の回転角度を検出する回転角度検出装置2と、回転部6上に配置されるか、または回転部6の下部に配置され回転部の押圧に伴って動作する複数のスイッチ7を備えた構成とする。スイッチ7が確定された時点での回転部6の回転角と、確定されたスイッチの入力種目の二つの情報から入力内容を決定することによって一度の確定で文字等の選択を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種機器における入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話での文字等の入力は従来、多くの場合テンキーを利用し、各キーに割り振られた文字を押下回数によって選定することで行われている。一方で文字等の入力対象を幾つかのグループに分類し、まずそのグループを選択した後にグループ内の文字を選択する、二段階選択の入力方式によって入力の簡便化を図る提案がなされている。この二段階選択の入力方式にはテンキーを利用した物が多いが、キーの回転により選択を行う方式も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−150303号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の二段階選択の入力方式では、一つの文字等を入力するために二回の確定を要する。そこで、より操作を簡易化するため、一回の確定で文字等を選択することができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
回転機構を備えた回転部と、回転部上に設けられた入力種目と、入力種目の位置を検出する位置検出手段と、回転部の上部または下部に配置される複数のスイッチを備え、複数のスイッチのうち、いずれか一つの前記スイッチが一回確定された際に、位置検出手段より入手した入力種目の位置情報を検出し、入力種目と入力種目の位置情報により入力項目が決定することを特徴とする。また、入力種目と前記入力種目の位置情報とにより選ばれる入力項目の対応表をあらかじめ用意し、対応表により入力項目が決定されることを特徴とする。
【0006】
また、スイッチは、回転部の上部に設けられ、前記スイッチの確定は、前記スイッチを押圧することによってなされることを特徴とする。またはスイッチは、回転部の下部に設けられ、スイッチの確定は、回転部を押圧することによってなされることを特徴とする。
【0007】
または、スイッチはタッチセンサーによって構成され、回転部は全体が上下する機能を有し、タッチセンサーにより、入力種目を検出し、回転部が押圧されて上下することにより、スイッチが確定されることを特徴とする。または、スイッチはタッチセンサーを備え、タッチセンサーにより、前記入力種目を検出し、前記スイッチの確定は、前記タッチセンサーに接触している状態から非接触になったことを認識して行われることを特徴とする。また本発明は、これらの入力装置が搭載された携帯機器である。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明の様に、本発明の入力装置においては、下記の効果を有する。
【0009】
複数のスイッチが配置された回転部と、該回転部の回転角を検出する手段を備えた入力装置において、入力し確定したスイッチと、スイッチが入力された時点での回転部上の入力種目の位置の情報を用いることで、一回の操作によって一つの文字等を入力することが可能となる。また、この入力装置をテレビのリモコン等に用いれば、スイッチを各モード
に対応させることで、モード切替えを行うことなく衛星放送による多チャンネル放送や画像調整などの機能に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明を利用した入力装置の最適な実施形態を説明する。
【0011】
(第一の実施形態)
図1〜図7は本発明の第一の実施形態の例である。図1は本発明による入力装置を用いた携帯電話の一例を示す概略図、図2は入力装置操作部の一例を示す概略図である。操作部は回転部6と回転部6上に配置され、この回転部6とともに移動する複数のスイッチ7を備える。スイッチ7にはクリック感が得られるようなドーム型スイッチを採用し、図2で図示するように、回転部6における円周上に複数個配置されている。回転部6はどのような形状でも構わないが、取り付け面に垂直な回転軸を有する円盤で、中心部に孔を有し、該孔の部分には入力のための説明書き4や決定ボタン5が配置されていることが望ましい。図3に円形以外の回転部の形状例を示す。デザイン上の観点から、等幅図形やその他の形状を用いることも考えられる。なお、スイッチ7は必ずしも回転部形状に沿った配置をする必要はない。
【0012】
次に図4に本発明による入力装置のシステム図を示す。図中、制御装置1は回転角度検出装置2およびスイッチ7からの情報の処理、表示装置3への表示等のシステム制御を行うCPUおよび周辺装置、周辺回路からなる。回転角度検出装置2は回転部6の位置を検出する機能を有していればどういった方式のものでも構わない。
【0013】
次に図5を用いて全体システムの動作について説明する。図5は、図4における制御装置1のシステムフローチャートを示す。図1および図2に図示した回転部6上のスイッチ7を回転して、入力したい位置でスイッチ7を押圧する。押圧されたスイッチ7によって確定される(S1:スイッチ7の確定)。その時点での回転部6の回転角度から、確定されたスイッチ7の位置情報を検出する(S2:回転角度検出装置2による入力種目の位置検出)。入力されたスイッチ7の入力種目と回転部6の回転角度による入力種目の位置情報から入力項目を決定する(S3:入力種目とその位置情報から入力内容を決定)。回転部6の回転角度は常に検出し続けていても構わない。そして、入力項目に応じた信号を出力する(S4:出力)。
【0014】
具体的な回転部6とスイッチ7の外観は、図6に示すようなものが考えられる。入力種目をあらわす「あ」や「か」は、回転部上の各スイッチの位置に対応して表示されている。説明書き4や決定ボタン5が中央に配置され、この説明書き4や決定ボタン5は回転しない。また、スイッチ7の確定位置による位置情報と入力種目よる入力項目の対応表をあらかじめ用意する。対応表は表1のようなものが考えられる。
【0015】
【表1】

【0016】
表1に示すように、例えば、スイッチの種目が「あ」であるスイッチを2時の位置まで移動し、その後、スイッチが押圧されて確定が行われると、「う」が入力される。このように入力された位置における回転角度から、12時から11時のいずれかの確定位置かが分かり、それぞれの入力項目が決定する。さらに日本語入力モードとアルファベット入力モードを切り替える機能を付与することで、一つのスイッチに複数の役割を持たせることもできる。
【0017】
PCのマウス入力におけるダブルクリックのように、一定時間内の連続確定を行い、単発確定とは別の一つの確定とすることで入力作業を簡便にすることも可能である。例えば、通常「は」を入力する状態でスイッチを連続して2回確定すると「ば」、3回確定すると「ぱ」が入力されるなどが考えられる。また、単発入力は日本語入力モード、ダブルクリックはアルファベット入力モードなどの対応をさせても構わない。
【0018】
図7に、図1に図示した表示装置3の表示例を示す。各スイッチにタッチセンサー機能を付与することで、図7に示すように、ユーザーが接触しているスイッチに対する入力ガイドを表示装置3に表示することが可能になり、操作上の利便性を向上することができる。なおタッチセンサーに関連して、指等とは指およびタッチペンなど操作に使用する物体全般を指し、タッチセンサーに接触とは実際の接触を伴わなくとも、タッチセンサーが反応する距離まで指等を接近させることを指す。
【0019】
(第二の実施形態)
次に本発明を用いた第二の実施形態について説明する。本実施形態では、第一の実施形態におけるスイッチと回転部の構成が異なる他は、同じ構成やシステムを用いることができる。本実施形態を図1および図2を用いて詳細に説明する。
【0020】
本実施形態では、図1および図2で図示したスイッチ7として、回転部6の上部に設けたタッチセンサーを採用した。タッチセンサーは、図2に図示されるように、回転部6上の個々に配置してもよいし、一つのリング形状にして配置しても構わない。また、回転部6は一つの板状に形成され、上下に移動可能な機構を有している。
【0021】
スイッチ7の確定は、回転部6上のスイッチの種目に対応した位置を触りながら、回転部6を回転させ、入力したい位置で回転部6を停止し、回転部6全体を押圧して行う。タッチセンサーが回転部6の上に配置されているため、入力種目に対応した位置を触ることによって、入力種目を検出することができる。また回転部6全体を押圧することによって、回転部6が下部に移動し、スイッチの確定がなされる。このように、構成することによって、確定時のクリック感を維持したまま、押圧スイッチの数を減らすことが可能となる。
【0022】
(第三の実施形態)
次に本発明を用いた第三の実施形態について説明する。本実施形態では、第一の実施形態におけるスイッチの構成が異なる他は、同じ構成やシステムを用いることができる。本実施形態を図1および図2を用いて詳細に説明する。
【0023】
本実施形態においては、図1および図2で図示したスイッチ7として、回転部6の上部に設けたタッチセンサーを採用した。タッチセンサーは、図2に図示されるように、回転部6上の個々に配置してもよいし、一つのリング形状にして配置しても構わない。本実施形態では、回転部6上の入力種目に対応した位置を触りながら、回転部6を回転させ、入力したい位置で回転部6を停止し、指等がタッチセンサーに接触している状態から離れたことを感知して、スイッチの確定とする。この形態によれば、押圧スイッチを使用せずに入力装置を構成することが可能となる。
【0024】
(第四の実施形態)
次に本発明を用いた第四の実施形態について説明する。本実施形態では、第一の実施形態におけるスイッチと回転部の位置関係が異なる他は、同じ構成やシステムを用いることができる。本実施形態を図1、図2および図8を用いて詳細に説明する。
【0025】
図8は本実施形態の構成を回転部6の回転軸に垂直な方向から見た概略断面図である。入力種目はこの回転部6の上に印刷等で表示されている。また、前述の回転角度検出装置によって、回転部における入力種目の絶対的な位置が分かるようになっている。図8に図示するように、本実施形態では、回転部6の下部に押圧によって機能するスイッチ7を複数設けた。スイッチ7はクリック感の観点からドーム型スイッチが望ましいが、どのような形式のものでも構わない。
【0026】
スイッチ7の確定は、回転部6のスイッチの種目に対応した位置を触りながら、回転部6を回転させ、入力したい位置で回転部6を停止し、回転部6の上から押圧して行う。このように回転部6の下にあるドーム型のスイッチ7が押圧されて、スイッチの確定が行われる。この形態によれば、確定時のクリック感を維持しながら、回転部6上にスイッチを配置しないことによる構成の単純化を図ることが可能である。
【0027】
上記いずれの実施形態で示した上部および下部とは、回転部自体にスイッチが設置された状態と、図8のように回転部以外の部分にスイッチが設置されている状態をさす。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の入力装置を用いた携帯電話の一例を示す図である。
【図2】本発明の入力装置の操作部を示す概略図である。
【図3】本発明の入力装置における回転部の形状例を示す図である。
【図4】本発明で採用したシステム図である。
【図5】本発明の実施形態におけるシステムフローチャートを示した図である。
【図6】本発明の実施形態における操作部の概略図である。
【図7】本発明の実施形態における表示の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における装置構成の概略断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 制御装置
2 回転角度検出装置
6 回転部
7 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機構を備えた回転部と、前記回転部上に設けられた入力種目と、該入力種目の位置を検出する位置検出手段と、前記回転部の上部または下部に配置される複数のスイッチを備え、該複数のスイッチのうち、いずれか一つの前記スイッチが一回確定された際に、前記位置検出手段より入手した前記入力種目の位置情報を検出し、前記入力種目と前記入力種目の位置情報により入力項目が決定することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記入力種目と前記入力種目の位置情報とにより選ばれる前記入力項目の対応表をあらかじめ用意し、前記対応表により前記入力項目が決定されることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記スイッチは、前記回転部の上部に設けられ、前記スイッチの確定は、前記スイッチを押圧することによってなされることを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記スイッチは、前記回転部の下部に設けられ、前記スイッチの確定は、前記回転部を押圧することによってなされることを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項5】
前記スイッチはタッチセンサーによって構成され、前記回転部は全体が上下する機能を有し、前記タッチセンサーにより、前記入力種目を検出し、前記回転部が押圧されて上下することにより、前記スイッチが確定されることを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項6】
前記スイッチはタッチセンサーを備え、前記タッチセンサーにより、前記入力種目を検出し、前記スイッチの確定は、前記タッチセンサーに接触している状態から非接触になったことを認識して行われることを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項7】
前記請求項1から6の何れか1項に記載の入力装置が搭載された携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−230177(P2009−230177A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70980(P2008−70980)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】