説明

入力装置及びコンピュータシステム

【課題】 ビデオメモリへのアクセスに依存せず、必要に応じて適切なタイミングで省電力状態へ遷移することができる入力装置を提供する。
【解決手段】 オペレーティングシステム、出力装置とともにコンピュータシステムを構成する入力装置であって、省電力状態遷移防止キー11と、省電力状態遷移防止キー11の押下により、ユーザからの入力が無い場合は一定間隔でダミーキー信号の入力を行い、省電力状態遷移防止モードに移行する省電力状態遷移防止モジュール13を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボードに代表される入力装置及びその入力装置を備えたコンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のコンピュータシステムは、電力を節約するために、一定時間入力装置からの入力が無い場合には自動的に出力装置(ディスプレイ)などの電源を切り、省電力状態へと遷移するものが存在する。
しかし、これは単に入力装置からの入力の有無により、その遷移を判定しているため、例えば動画を表示したまま入力をせずにディスプレイをながめている状況などでは、ユーザが動画を見ているにもかかわらず、突然省電力モードへ遷移してしまい、ディスプレイが消えてしまうという問題があった。
そこで、特許文献1では、コンピュータシステムの省電力状態への遷移を、一定時間入力装置から入力がなく、かつ、一定時間ビデオメモリへの書き込みが無い時に実行することによりこの問題を解決している。
【特許文献1】特開2002−312080公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のコンピュータシステムでは、時間等の周期的に変更されるものを表示しておくのが一般的であり、一定時間ごとにビデオメモリへの書き込みが行われている。そのため、特許文献1に記載のコンピュータシステムでは、ユーザが意図しない時も、常に省電力状態への遷移が禁止されてしまうという問題がある。また、常にビデオメモリへの書き込みを監視する必要があるため、処理能力に無駄が発生する。
本発明は、ビデオメモリへのアクセスに依存せず、必要に応じて適切なタイミングで省電力状態へ遷移することができる入力装置及びコンピュータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数の入力キーと、該入力キーの入力操作に応じた信号を生成して、電源管理手段を有するコンピュータシステムに入力する入力装置であって、前記電源管理手段が省電力状態に遷移するのを防止する省電力状態遷移防止キーと、該省電力状態遷移防止キーが押下されて省電力状態遷移防止モードに移行した状態で前記入力キーの押下がないときに所定間隔でダミーキー信号を出力する省電力状態遷移防止手段とを備えていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記省電力状態遷移防止手段は、省電力状態遷移防止モードに移行してから所定時間が経過したときに、前記省電力状態遷移防止モードを解除する機能を有する請求項1に記載の入力装置を特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記省電力状態遷移防止手段は、前記省電力状態遷移防止モードを解除する際に、解除を通知する通知手段を備えている請求項2に記載の入力装置を特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の入力装置を備えているコンピュータシステムを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、複数の入力キーの入力操作に応じた入力コマンドを生成して、電源管理手段を有するコンピュータシステムに入力する入力装置であって、コンピュータシステムの電源管理手段が省電力状態に遷移するのを防止する省電力状態遷移防止キーと、この省電力状態遷移防止キーが押下されて省電力状態遷移防止モードに移行した状態で入力キーの押下がないときに所定間隔でダミーキー信号を出力する省電力状態遷移防止手段とを備えたことで、従来のようなビデオメモリへのアクセスに依存することなく必要に応じて適切なタイミングで省電力状態へ遷移することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は本発明の実施形態に係るコンピュータシステムの概念図である。
入力装置1は、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)に対して命令を入力するためのデバイスである。ここでは、キーボードを例にする。
出力装置2はコンピュータシステムにおける結果を出力するためのデバイスである。ここでは、ディスプレイを例にする。オペレーティングシステム3は、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェアである。代表的なものとして、MicroSoft社のWindows(登録商標)、Linux等が存在する。
電源管理モジュール(電源管理手段)4は、オペレーティングシステム3に実装されている機能の1つで、コンピュータシステム自体の電力管理を行ったり、出力装置2の電力管理を行ったりする。
図2は本発明の実施形態に係る入力装置の機能ブロック図である。
入力装置1は省電力状態遷移防止キー11、その他の複数のキー12、省電力状態遷移防止モジュール13、キーボードコントローラ14、キーボードの状態を表示するため複数のLED15を備えている。
省電力状態遷移防止モジュール(省電力状態遷移防止手段)13は、省電力状態遷移防止モード時に一定間隔でキーボードコントローラ14にダミーキー信号を送出する。
また入力装置1はキーボードコントローラ14から出力されるLED15の制御信号をトラップし、省電力状態遷移防止モード特有のLED15の制御を行う。つまり、省電力状態遷移防止モード実行中であることが判るようにLED15を点灯制御する。入力装置1は図示していないがタイマを備えている。
キーボードコントローラ14は、キー入力が行われた際に、そのコマンドデータをオペレーティングシステム3に出力する。またキーボード1上のLED15の制御を行う。
【0007】
図3は、上記図2に示した入力装置の動作遷移状態を示した図である。
先ず、本実施形態の入力装置の省電力状態遷移防止キー11が無効状態(S1)のときの動作を説明する。オペレーティングシステム3上の電源管理モジュール4によりディスプレイ2の電源OFF時間が10分に設定されている場合は、オペレーティングシステム3の電源モジュール4は、その内部に設けられているディスプレイ2のOFF時間カウンタを10分に設定した後、そのカウントをデクリメントしていく。そしてカウント値が「0」になるとディスプレイ2の電源をOFFにする。またデクリメントの途中でキーボード1から入力が発生すると、再度、ディスプレイOFF時間カウンタを10分に設定して上記したような処理を行うようにする。
上記無効状態(S1)のもとで、ユーザがキーボード1上の省電力状態遷移防止キー11を押下すると、省電力状態遷移防止モジュール13が有効になり初期化処理(S2)に移行する。これにより、省電力状態遷移防止モジュール13内に設けられているダミーキー信号出力間隔カウンタと有効カウンタを設定すると共に内部タイマを動作させる。例えばダミーキー信号出力間隔カウンタを30秒に相当するカウント値に設定すると共に、有効カウンタを60分に相当するカウント値に設定して内部タイマを動作させる(S2)。
【0008】
次に、省電力状態遷移防止モジュール13はダミーキー信号出力間隔カウンタと有効カウンタのカウント値を調査すると共に(S3)、内部タイマを用いてダミーキー信号出力間隔カウンタと有効カウンタのカウンタ値をデクリメントする(S4)。
そして、ダミーキー信号出力間隔カウンタのカウンタ値が「0」になると、ダミーキー信号をキーボードコントローラ14へ出力する(S5)。その後、ダミーキー信号出力間隔カウンタを再び30秒に設定して(S6)、同様の動作を繰り返す。デクリメントの途中でユーザがキー入力を行った場合は、省電力状態遷移防止モジュール13は、その信号を検知して出力間隔カウンタを30秒に再設定する。なお、省電力状態遷移防止モジュール13が有効状態のときに、省電力状態遷移防止キー11が押されたときは無効状態に設定する。
一方、有効カウンタは時間とともにデクリメントされていき、有効カウンタのカウント値が、例えば「3」となったときは、キーボードコントローラ14のLED制御信号を省電力状態遷移防止モジュール13がトラップしてLED15を点滅させるように制御する(S7)。即ち、省電力状態遷移防止モジュール13は省電力状態遷移防止モードを解除する際に解除を通知する通知手段としてLED15を用いるようにしている。
そして、有効カウンタのカウント値が「0」になると強制的に省電力状態遷移防止モジュール13が無効状態となるようにしている。即ち、省電力状態遷移防止モジュール13は、省電力状態遷移防止モードに移行してから所定時間(例えば60分)が経過したときに省電力状態遷移防止モードを解除する機能を有している。
また、省電力状態遷移防止キー11を押して省電力状態遷移防止モジュール13を有効状態に設定する際に、対象キーを押下したままの状態の時には、省電力状態遷移防止モジュール13の有効カウンタの設定値を設定可能となる。例えば、この状態で数字キー‘6’‘0’を入力すると省電力状態遷移防止モジュール13の有効カウンタを60分に設定することができる。
【0009】
従って、このような本実施形態によれば、キーボード1が省電力状態遷移防止モードにある間、オペレーティングシステムは一定間隔で入力が行われていると判断するためディスプレイ2が省電力モードへ移行することがない。これにより、入力を実行しない作業をコンピュータシステムにて行う場合、ユーザが意図せずディスプレイ2が省電力モードに移行するといった不具合が起こるのを防止することができる。
また、本発明はキーボード1側で自動的にキーを送出するだけなので既存のOS3の電源管理モジュール4を活用することができる。
またユーザが予め設定した時間が経過することにより、省電力状態遷移防止モード13が停止するため、ユーザの不注意により省電力状態遷移が無駄に継続することを防ぐことができる。また省電力状態遷移防止モードが切れることを、LED15の点滅により予めユーザに知らせることができるため、突然ユーザが意図せずにディスプレイ2が省電力状態となるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るコンピュータシステムの概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る入力装置の機能ブロック図である。
【図3】図2に示す入力装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0011】
1 入力装置、11 省電力状態遷移防止キー、13 省電力状態遷移防止モジュール、15 LED(通知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力キーと、該入力キーの入力操作に応じた信号を生成して、電源管理手段を有するコンピュータシステムに入力する入力装置であって、前記電源管理手段が省電力状態に遷移するのを防止する省電力状態遷移防止キーと、該省電力状態遷移防止キーが押下されて省電力状態遷移防止モードに移行した状態で前記入力キーの押下がないときに所定間隔でダミーキー信号を出力する省電力状態遷移防止手段と、を備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記省電力状態遷移防止手段は、省電力状態遷移防止モードに移行してから所定時間が経過したときに、前記省電力状態遷移防止モードを解除する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記省電力状態遷移防止手段は、前記省電力状態遷移防止モードを解除する際に、解除を通知する通知手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の入力装置を備えていることを特徴とするコンピュータシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−293808(P2006−293808A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115506(P2005−115506)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】