説明

入力装置及び入力対象文字選択方法

【課題】入力対象文字の入力操作を効率よく行うことができる入力装置を提供する。
【解決手段】文字選択部13が、タッチパネル10の押下面積に基づいて、表示部20に表示される入力対象文字の選択方法を変更する。ここでの選択方法の変更とは、トグル方式で入力対象文字を選択する場合の正方向選択と、正方向選択とは逆方向の逆方向選択との切り替えがある。これにより、入力操作を行うユーザは、タッチパネル10の押下面積を変化させるだけで入力対象文字の選択方法を変更することができ、入力対象文字の選択方法を変更するための別のボタンを操作する必要がなくなる。このため、入力対象文字の入力操作を効率よく行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備えた入力装置、及びタッチパネルへの押下操作に基づいて、入力対象文字を選択する入力対象文字選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力キー(入力ボタン)の押下操作に基づいて、データの入力やコマンド選択等の入力操作を受け付ける入力装置がある。このような入力装置を用いたものとして、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、入力対象文字を、第1文字群と第2文字群とに分け、入力キーの押下時間に基づいて、入力対象文字を選択する際の母集団となる文字群の切り替えを行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−224780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、入力キーに替えてタッチパネルを供えた入力装置がある。このようなタッチパネルを供えた入力装置にあっては、タッチパネルに設けられたボタン領域が押下されたか否かの検出以外にも、押下面積を検出することも可能である。しかしながら、特許文献1の入力装置では、そもそもタッチパネルではなく入力キーを備えたものであり、押下面積を検出することは想定されておらず、特許文献1に記載された技術を、タッチパネルパネルを供えた入力装置にそのまま適用することはできないといった問題がある。
【0005】
そこで本発明は、入力対象文字の入力操作を効率よく行うことができる入力装置及び入力対象文字選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る入力装置は、データの入力操作を受け付けるタッチパネルと、タッチパネルへの押下操作に基づいて、表示部に表示する入力対象文字を、予め保持された入力対象文字群の中から、予め定められた選択方法によって選択する文字選択手段と、タッチパネルの押下面積を検出する押下面積検出手段と、を備え、文字選択手段は、押下面積検出手段によって検出された押下面積に基づいて、入力対象文字の選択方法を変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る入力対象文字選択方法は、データの入力操作を受け付けるタッチパネルを備えた入力装置において実行され、タッチパネルへの押下操作に基づいて、表示部に表示する入力対象文字を、予め保持された入力対象文字群の中から、予め定められた選択方法によって選択する入力対象文字選択方法であって、タッチパネルの押下面積を検出する押下面積検出ステップと、押下面積検出ステップで検出された押下面積に基づいて、入力対象文字の選択方法を変更する文字選択ステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
これらの発明では、タッチパネルの押下面積に基づいて、表示部に表示される入力対象文字の選択方法が変更される。これにより、入力操作を行うユーザは、タッチパネルの押下面積を変化させるだけで入力対象文字の選択方法を変更することができ、入力対象文字の入力操作を効率よく行うことができる。
【0009】
また、文字選択手段は、選択方法の変更として、入力対象文字群の中から予め定められた順序によって選択する入力対象文字の選択の順序を変更することが好ましい。この場合には、押下面積を変化させるだけで入力対象文字の選択順序を容易に変更可能となり、例えば、予め定められた順序で入力対象文字が選択されているときに、入力すべき文字を過ぎてしまった場合、入力対象文字の選択順序を逆に変更するなど、入力対象文字の入力操作の向上を図ることができる。
【0010】
また、文字選択手段は、選択方法の変更として、入力対象文字群の中から選択する入力対象文字の文字の種類を、予め定められた文字の種類と異なる種類に変更することが好ましい。この場合には、押下面積を変化させるだけで、入力対象文字の文字の種類を変更することが可能となり、入力対象文字の入力操作の向上を図ることができる。
【0011】
また、文字選択手段は、選択方法の変更として、予め定められた順序によって入力対象文字群の中から入力対象文字を選択する処理と、選択されている入力対象文字を入力文字として決定する処理とを切り替えることが好ましい。この場合には、押下面積を変化させるだけで、入力対象文字を選択する処理と、選択されている入力対象文字を入力文字として決定する処理とを切り替えることが可能となり、入力対象文字の入力操作の向上を図ることができる。
【0012】
また、タッチパネルが押下されたときの押下時間を検出する押下時間検出手段を更に備え、文字選択手段は、更に、押下時間検出手段によって検出された押下時間に基づいて、入力対象文字の選択方法を変更することが好ましい。この場合には、押下時間検出手段によって検出された押下時間に基づいても、入力対象文字の選択方法を変更することができ、入力対象文字の入力操作の向上を更に図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、入力対象文字の入力操作を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1〜第3実施形態に係る移動機の全体構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態における表示部の表示画像例を示す図である。
【図3】第1の実施形態の移動機で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における表示部の表示画像例を示す図である。
【図5】第2の実施形態の移動機で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】フリックモードで入力対象文字を選択する場合における表示部の表示画像例を示す図である。
【図7】第3の実施形態における表示部の表示画像例を示す図である。
【図8】第3の実施形態の移動機で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る入力装置及び入力対象文字選択方法を移動機に適用した場合の実施形態を説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
[移動機の全体構成]
図1は、第1の実施形態における移動機の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、移動機1は、他の移動機との通話機能等を有するものであり、タッチパネル10、押下面積検出部(押下面積検出手段)11、押下時間検出部(押下時間検出手段)12、文字選択部(文字選択手段)13、及び表示部20を含んで構成される。通話機能の構成要素については従来と同様であり、ここでは省略している。
【0017】
タッチパネル10は、ユーザによるデータの入力操作を受け付けるものであり、ボタン領域B1〜B12を有している。このタッチパネル10としては、感圧式タッチパネルを用いることができる。ボタン領域B1は、「あ」行の文字を入力する際にユーザによって押下される領域である。同様に、ボタン領域B2は「か」行、ボタン領域B3は「さ」行、ボタン領域B4は「た」行、ボタン領域B5は「な」行、ボタン領域B6は「は」行、ボタン領域B7は「ま」行、ボタン領域B8は「や」行、ボタン領域B9は「ら」行、ボタン領域B10は「*」、ボタン領域B11は「わ」行、ボタン領域B12は「#」を入力する際にユーザによって押下される領域である。これらのボタン領域は、タッチパネル10の背面に設置された表示装置によってボタンのマークを表示したり、タッチパネル10上にボタンのマークを付したりすることによって形成される。
【0018】
また、タッチパネル10は、ユーザによって入力操作が行われると、押下されたボタン領域を示す押下位置情報を文字選択部13へ出力する。
【0019】
押下面積検出部11は、タッチパネル10が押下されたときの押下面積を検出するものである。この面積の検出は、例えば、タッチパネル10に多数のスイッチを設け、押下されたスイッチの数によって押下面積を検出する等、適宜の方法によって検出される。押下面積検出部11は、タッチパネル10が押下されたときの押下面積を示す検出結果を、押下面積情報として文字選択部13へ出力する。
【0020】
押下時間検出部12は、タッチパネル10が押下されたときの押下時間を検出するものである。押下時間検出部12は、タッチパネル10が押下されたときの押下時間を示す検出結果を、押下時間情報として文字選択部13へ出力する。
【0021】
文字選択部13は、タッチパネル10から出力された押下位置情報に基づいて、入力対象の候補となる入力対象文字を、予め保持している入力対象文字群の中から選択する。なお、文字選択部13は、トグル方式によって、入力対象文字を選択する。ここで、トグル方式とは、例えば、タッチパネル10のボタン領域B1が押下される毎に、入力対象文字として「あ」→「い」→「う」→「え」→「お」→「あ」…のように所定の順序で繰り返し選択する方式である。
【0022】
また、文字選択部13は、押下面積検出部11によって検出された押下面積が所定の押下面積未満である場合の押下(以下「狭い押下」という)と、押下面積が所定の押下面積以上である場合の押下(以下「広い押下」という)とによって、入力対象文字の選択方法を変更する。ここでの選択方法の変更とは、トグル方式によって入力対象文字を選択する際の選択順序を変更するものである。具体的には、例えば、ボタン領域B1の押下が狭い押下である場合、文字選択部13は、ボタン領域B1が狭い押下で押下される毎に、「あ」→「い」→「う」→「え」→「お」→「あ」…のように50音の並び順序で入力対象文字を選択(以下「正方向選択」という)する。一方、例えば、ボタン領域B1の押下が広い押下である場合、文字選択部13は、ボタン領域B1が広い押下で押下される毎に、「お」→「え」→「う」→「い」→「あ」…のように50音の並び順とは逆の順序で入力対象文字を選択(以下「逆方向選択」という)する。
【0023】
この文字選択部13による入力対象文字の正方向選択及び逆方向選択は、1つの入力対象文字の選択操作をしているときにおいても、切り替えることができる。図2は、表示部の表示画像例を示す図である。図2(a)に示すように、ボタン領域B1が1回、狭く押下されると、図2(b)に示すように、表示部20おいて、入力対象文字として「あ」が表示される。図2(c)に示すように、表示部20に「あ」が表示されている状態で、再度、ボタン領域B1が狭く押下されると、図2(d)に示すように、表示部20に「い」が表示される。このように、タッチパネル10のボタン領域が狭く押下されると、文字選択部13は、押下されたボタン領域に対応する入力対象文字を、正方向選択によって選択する。そして、表示部20に「い」が表示された状態から、図2(e)に示すように、ボタン領域B1を広く押下すると、図2(f)に示すように、表示部20に「あ」が表示される。このように、タッチパネル10のボタン領域が広く押下されると、文字選択部13は、選択されている現在の入力対象文字から、逆方向選択によって入力対象文字を選択する。
【0024】
また、文字選択部13は、押下時間検出部12によって検出された押下時間に基づいて、入力対象文字の選択の順序を変更する。ここでは、押下時間検出部12によって検出された押下時間が所定の押下時間未満である場合の押下(以下「短時間押下」という)と、押下時間が所定の押下時間以上である場合の押下(以下「長時間押下」という)とによって、入力対象文字の選択の順序を変更する。具体的には、例えば、ボタン領域B1の押下が短時間押下である場合、狭い押下と同様に、文字選択部13は、正方向選択によって入力対象文字を選択する。一方、例えば、ボタン領域B1の押下が長時間押下である場合、広い押下と同様に、文字選択部13は、逆方向選択によって入力対象文字を選択する。
【0025】
また、文字選択部13は、あるボタン領域が押下されることによって、当該ボタン領域に対応する入力対象文字の選択を行っている状態から、他のボタン領域が押下されたときに、他のボタン領域が押下される直前に選択していた入力対象文字を、入力文字として決定する。例えば、文字選択部13は、ボタン領域B1が2回、狭く押下され、入力対象文字として「い」を選択しているときに、ユーザによってボタン領域B2が押下されると、ボタン領域B2が押下される直前に選択していた「い」を入力文字として決定すると共に、ボタン領域B2の押下回数に応じて入力対象文字を選択する。この入力文字の決定以外にも、別途設けられた決定ボタンが押下されたときに、入力文字を決定したり、入力対象文字が選択されている状態で、所定時間以上、何も押下操作がされなかったときに、選択されている入力対象文字を入力文字として決定したりする等、適宜の方法を採用することができる。
【0026】
表示部20は、文字選択部13によって選択された入力対象文字及び、決定された入力文字を表示するものである。例えば、表示部20は、文字選択部13によって決定された入力文字を、図1において入力文字M1で示すように黒文字で表示し、ユーザが選択操作を行っている途中の入力対象文字を、入力文字M2に示すように白黒を反転させた文字や、文字を点滅させたりすること等によって表示する。
【0027】
[移動機のハードウェア構成]
移動機1のハードウェア構成は、通常の情報処理装置の基本構成、即ち、タッチパネル10及び表示部20を備えると共に、CPU、RAM、ROM、外部との通信を行う通信デバイス、及び情報を記憶する記憶デバイス等を必要に応じて備えている。
【0028】
[移動機で行われる処理の流れ]
次に、移動機1で実行される処理の流れを説明する。図3は、タッチパネルが押下されたときに移動機で行われる処理の流れを示すフローチャートである。タッチパネル10の所定のボタン領域が押下されると、タッチパネル10は、押下されたボタン領域を示す押下位置情報を文字選択部13へ出力し、押下面積検出部11は押下面積を検出し、押下時間検出部12は押下時間を検出する(ステップS101:押下面積検出ステップ)。
【0029】
文字選択部13は、押下面積検出部11によって押下面積が検出されたか否かを判断する(ステップS102)。ここで、押下面積が検出されなかった場合とは、検出された押下面積に揺らぎが生じている場合等、広い押下であるか、或いは狭い押下であるかの判断が困難である場合を指すものとする。検出された押下面積が、広い押下である場合、又は狭い押下である場合には、押下面積が検出されたものとして判断する。
【0030】
押下面積が検出された場合(ステップS102:YES)、文字選択部13は、広い押下であるか、或いは狭い押下であるかの判断を行う(ステップS103:文字選択ステップ)。ボタン領域の押下が狭い押下である場合(ステップS103:狭い押下)、文字選択部13は、押下されたボタン領域に対応する入力対象文字を正方向選択によって選択する(ステップS104:文字選択ステップ)。一方、ボタン領域の押下が広い押下である場合(ステップS103:広い押下)、押下されたボタン領域に対応する入力対象文字を逆方向選択によって選択する(ステップS106:文字選択ステップ)。
【0031】
表示部20は、正方向選択或いは逆方向選択によって選択された入力対象文字を表示する(ステップS105)。すべての処理が終了すると、上述のステップS101の処理へ戻る。
【0032】
また、ステップS102において、押下面積が検出されなかった場合(ステップS102:NO)、文字選択部13は、押下時間検出部12によって検出された押下時間に基づいて、ボタン領域の押下の時間が長時間押下であるか、短時間押下であるかの判断を行う。短時間押下である場合(ステップS107:短時間押下)、文字選択部13は、上述のステップS104と同様に、入力対象文字を正方向選択によって選択する。一方、長時間押下である場合(ステップS107:長時間押下)、文字選択部13は、上述のステップS106と同様に、入力対象文字を逆方向選択によって選択する。
【0033】
[第1の実施形態の作用・効果]
第1の実施形態は以上のように構成され、文字選択部13が、タッチパネル10の押下面積に基づいて、表示部20に表示される入力対象文字の選択方法を変更する。これにより、入力操作を行うユーザは、タッチパネル10の押下面積を変化させるだけで入力対象文字の選択方法を変更することができ、入力対象文字の選択方法を変更するための別のボタンを操作する必要がなくなる。このため、入力対象文字の入力操作を効率よく行うことができる。
【0034】
また、タッチパネル10の押下面積に基づいて、入力対象文字を選択する際の選択の順序を逆にすることにより、例えば、トグル方式によって入力対象文字を選択しているときに、入力すべき文字を過ぎてしまった場合、入力対象文字の選択順序を逆に変更することができ、入力対象文字の入力操作の向上を図ることができる。
【0035】
また、検出された押下面積に揺らぎが生じている場合等、広い押下であるか、或いは狭い押下であるかの判断が困難である場合には、押下時間検出部12によって検出された押下時間に基づいて、入力対象文字の選択の順序を変更することで、入力対象文字の入力操作の向上を更に図ることができる。
【0036】
[第2の実施形態]
[移動機の全体構成]
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、主に、上記第1の実施形態における文字選択部13の処理内容を変更したものである。以下、第1の実施形態における移動機1と異なる箇所を中心に説明する。図1に示すように、第2の実施形態における移動機1Aは、タッチパネル10、押下面積検出部(押下面積検出手段)11、押下時間検出部(押下時間検出手段)12、文字選択部(文字選択手段)13A、及び表示部20を含んで構成される。
【0037】
文字選択部13Aは、タッチパネル10の押下面積が狭い押下であるか、或いは広い押下であるかに基づいて、入力対象文字群の中から選択する入力対象文字の文字の種類を変更する。ここでは、例えば、あるボタン領域に、所定の数のかな文字と、所定の数の英数文字とが割り当てられている場合、あるボタン領域が押下されたときに押下面積に基づいて、入力対象文字としてかな文字を選択するか、或いは英数文字を選択するかの切り替えを行うものである。即ち、文字選択部13Aは、文字を入力する際のかな入力モードと、英数文字入力モードとを切り替えるものである。第2の実施形態において、文字選択部13Aは、広い押下である場合、英数文字入力モードで入力対象文字を選択し、狭い押下である場合、かなモードで入力対象文字を選択するものとする。文字選択部13Aは、かな入力モードにおいて入力対象文字を選択する場合、各ボタン領域に割り当てられたかな文字を選択し、英数文字入力モードで入力対象文字を選択する場合、各ボタン領域に割り当てられた英文字或いは数字を選択する。
【0038】
図4は、表示部の表示画像例を示す図である。図4(a)に示すように、ボタン領域B2が1回、狭く押下されると、図4(b)に示すように表示部20おいて、かな入力モード時にボタン領域B2に対応付けられた「か」が入力対象文字として表示される。一方、図4(c)に示すように、ボタン領域B2が1回、広く押下されると、図4(d)に示すように表示部20おいて、入力対象文字として、英数文字入力モード時にボタン領域B2に対応付けられた「a」が入力対象文字として表示される。
【0039】
例えば、移動機1Aに「NTTドコモ」と入力する場合、所定のボタン領域を広く押下することにより、英数文字入力モードによって「N」、「T」、「T」を入力し、所定のボタン領域を狭く押下することにより、かな文字入力モードによって「ド」、「コ」、「モ」を入力する。この入力対象文字の選択の際に、トグル方式を用いることができる。
【0040】
また、文字選択部13Aは、第1の実施形態と同様に、押下時間検出部12によって検出された押下時間に基づいて、入力対象文字を選択する際の入力モードの切り替えを行う。具体的には、例えば、ボタン領域の押下が短時間押下である場合、狭い押下と同様に、文字選択部13Aは、かな入力モードによって入力対象文字を選択する。一方、例えば、ボタン領域の押下が長時間押下である場合、広い押下と同様に、文字選択部13Aは、英数文字入力モードによって入力対象文字を選択する。
【0041】
[移動機のハードウェア構成]
移動機1Aのハードウェア構成は、通常の情報処理装置の基本構成、即ち、タッチパネル10及び表示部20を備えると共に、CPU、RAM、ROM、外部との通信を行う通信デバイス、及び情報を記憶する記憶デバイス等を必要に応じて備えている。
【0042】
[移動機で行われる処理の流れ]
次に、移動機1Aで実行される処理の流れを説明する。図5は、タッチパネルが押下されたときに移動機で行われる処理の流れを示すフローチャートである。なお、図5において、ステップS201〜S203,S205,S207の各処理は、第1の実施形態において図3を用いて説明したステップS101〜S103,S105,S107の処理と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0043】
タッチパネル10の押下が検出(ステップS201:押下面積検出ステップ)されると、押下面積が検出されたか否かを判断する(ステップS202)。押下面積が検出された場合(ステップS202:YES)、文字選択部13Aは、広い押下であるか、或いは狭い押下であるかの判断を行う(ステップS203:文字選択ステップ)。ボタン領域の押下が狭い押下である場合(ステップS203:狭い押下)、文字選択部13Aは、かな入力モードによって、押下されたボタン領域に対応する入力対象文字を選択する(ステップS204:文字選択ステップ)。一方、ボタン領域の押下が広い押下である場合(ステップS203:広い押下)、英数文字入力モードによって、押下されたボタン領域に対応する入力対象文字を選択する(ステップS206:文字選択ステップ)。
【0044】
表示部20は、かな入力モード或いは英数字入力モードで選択された入力対象文字を表示する(ステップS205)。すべての処理が終了すると、上述のステップS201の処理へ戻る。
【0045】
また、ステップS202において、押下面積が検出されなかった場合(ステップS202:NO)、文字選択部13Aは、ボタン領域の押下の時間が長時間押下であるか、短時間押下であるかの判断を行う。短時間押下である場合(ステップS207:短時間押下)、文字選択部13Aは、上述のステップS204と同様に、かな入力モードによって入力対象文字を選択する。一方、長時間押下である場合(ステップS207:長時間押下)、文字選択部13Aは、上述のステップS206と同様に、英数文字入力モードによって入力対象文字を選択する。
【0046】
[第2の実施形態の作用・効果]
以上のように、第2の実施形態においては、タッチパネル10の押下面積を変化させるだけで入力対象文字の入力モードを切り替えることができる。これにより、入力モードの切り替えの際に、入力モード切り替え用のボタンの操作を行う必要がなくなり、少ない入力操作によって、入力対象文字の入力を効率よく行うことができる。
【0047】
また、第1の実施形態と同様に、検出された押下面積に揺らぎが生じている場合等、広い押下であるか、或いは狭い押下であるかの判断が困難である場合には、押下時間検出部12によって検出された押下時間に基づいて、入力対象文字の入力モードを切り替えることで、入力対象文字の入力操作の向上を更に図ることができる。
【0048】
なお、第2の実施形態において、入力対象文字の選択を、フリックモードで行うことができる。この場合、文字選択部13Aは、広い押下のときには、英数文字入力モードで入力対象文字を選択し、狭い押下のときには、かなモードで入力対象文字を選択するものとする。ここで、フリックモードとは、所定のボタン領域が押下されたときに、押下されたボタン領域に対応付けられた複数の入力対象文字を、押下されたボタン領域の位置、及びその周囲等に表示し、表示された入力対象文字の中からユーザによって入力する文字を選択させる文字入力方式である。
【0049】
図6は、フリックモードで入力対象文字を選択する場合における表示部の表示画像例を示す図である。図6(a)に示すように、例えば、ボタン領域B2が狭く押下された場合には、かな入力モード時にボタン領域B2に対応付けられた入力対象文字をボタン領域B2の位置、及びその周囲等に表示する。一方、ボタン領域B2が広く押下された場合には、図6(b)に示すように、英数文字入力モード時にボタン領域B2に対応付けられた入力対象文字をボタン領域B2の周囲等に表示する。
【0050】
このようにフリックモードで入力対象文字を選択する場合であっても、第2の実施形態と同様に、入力モード切り替え用のボタンの操作を行う必要がなくなり、少ない入力操作によって、入力対象文字の入力を効率よく行うことができる。
【0051】
また、第2の実施形態において、入力モードの切り替えを行う以外にも、選択する入力対象文字の文字の種類を変更する際に、英文字における大文字と小文字との切り替えを行うこともできる。ここで、文字選択部13Aは、広い押下である場合、入力対象文字として大文字を選択し、狭い押下である場合、入力対象文字として小文字を選択するものとする。この場合、例えば、移動機1Aに「DoCoMo」と入力する場合、「d」が対応付けられたボタン領域を広く押下することにより大文字の「D」を入力し、「o」が対応付けられたボタン領域を狭く押下することにより小文字の「o」を入力し、「c」が対応付けられたボタン領域を広く押下することにより大文字の「C」を入力し、「o」が対応付けられたボタン領域を狭く押下することにより小文字の「o」を入力し、「m」が対応付けられたボタン領域を広く押下することにより大文字の「M」を入力し、「o」が対応付けられたボタン領域を狭く押下することにより、小文字の「o」を入力する。この場合であっても、大文字と小文字の入力切り替え用のボタンの操作を行う必要がなくなり、少ない入力操作によって、入力対象文字の入力を効率よく行うことができる。
【0052】
[第3の実施形態]
[移動機の全体構成]
次に、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、主に、上記第1の実施形態における文字選択部13の処理内容を変更したものである。以下、第1の実施形態における移動機1と異なる箇所を中心に説明する。図1に示すように、第3の実施形態における移動機1Bは、タッチパネル10、押下面積検出部(押下面積検出手段)11、押下時間検出部(押下時間検出手段)12、文字選択部(文字選択手段)13B、及び表示部20を含んで構成される。
【0053】
文字選択部13Bは、タッチパネル10の押下面積が狭い押下であるか、或いは広い押下であるかに基づいて、入力対象文字の選択と、入力対象文字の決定とを切り替える。第3の実施形態において、文字選択部13Bは、広い押下である場合、トグル方式における正方向選択によって入力対象文字を選択すると共に、そのときに選択した入力対象文字を、入力文字として決定する。一方、文字選択部13Bは、狭い押下である場合、トグル方式における正方向選択によって入力対象文字の選択を行うものとする。
【0054】
ここで、例えば、移動機1Bに「いいえ」と入力する場合の入力操作について説明する。図7は、表示部の表示画像例を示す図である。なお、図7(b)〜図7(f)において、決定された入力文字を黒字の文字で示し、ユーザが選択操作を行っている途中の入力対象文字を白抜きの文字で示す。まず、「い」を入力する場合、図7(a)に示すように、入力対象文字として「あ」行が対応付けられたボタン領域B1を1回、狭く押下し、図7(b)に示すように、表示部20に「あ」を表示させる。そして、表示部20に「あ」が表示された状態から、図7(c)に示すように、更にボタン領域B1を広く押下すると、図7(d)に示すように、表示部20に「い」が表示されると共に、「い」が入力文字として決定(文字が黒字で表示される)され、更に、例えば、入力中の文字位置を示すカーソル(図7(d)における下線)が次の文字入力位置へ移動する。そして、同様の操作により、もう1度、「い」を入力する。次に、「え」を入力する場合、図7(e)に示すように、表示部20に「いい」が表示された状態から、3回、ボタン領域B1を狭く押下して表示部20に「う」を表示させる。そして、「う」が表示された状態から、更にボタン領域B1を広く押下すると、表示部20に「え」が表示されると共に、「え」が入力文字として決定され、図7(f)に示すように、「いいえ」の入力が完了する。
【0055】
[移動機のハードウェア構成]
移動機1Bのハードウェア構成は、通常の情報処理装置の基本構成、即ち、タッチパネル10及び表示部20を備えると共に、CPU、RAM、ROM、外部との通信を行う通信デバイス、及び情報を記憶する記憶デバイス等を必要に応じて備えている。
【0056】
[移動機で行われる処理の流れ]
次に、移動機1Bで実行される処理の流れを説明する。図8は、タッチパネルが押下されたときに移動機で行われる処理の流れを示すフローチャートである。なお、図8において、ステップS301〜S303,S305,S307の各処理は、第1の実施形態において図3を用いて説明したステップS101〜S103,S105,S107の処理と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0057】
タッチパネル10の押下が検出(ステップS301:押下面積検出ステップ)されると、押下面積が検出されたか否かを判断する(ステップS302)。押下面積が検出された場合(ステップS302:YES)、文字選択部13Bは、広い押下であるか、或いは狭い押下であるかの判断を行う(ステップS303:文字選択ステップ)。ボタン領域の押下が狭い押下である場合(ステップS303:狭い押下)、文字選択部13Bは、トグル方式によって、押下されたボタン領域に対応する入力対象文字を選択する(ステップS304:文字選択ステップ)。一方、ボタン領域の押下が広い押下である場合(ステップS303:広い押下)、トグル方式によって、押下されたボタン領域に対応する入力対象文字を選択すると共に、そのときに選択した入力対象文字を、入力文字として決定する(ステップS306:文字選択ステップ)。
【0058】
表示部20は、決定された入力文字、或いは選択された入力対象文字を表示する(ステップS305)。すべての処理が終了すると、上述のステップS301の処理へ戻る。
【0059】
また、ステップS302において、押下面積が検出されなかった場合(ステップS302:NO)、文字選択部13Bは、ボタン領域の押下の時間が長時間押下であるか、短時間押下であるかの判断を行う。短時間押下である場合(ステップS307:短時間押下)、文字選択部13Bは、上述のステップS304と同様に、入力対象文字を選択する。一方、長時間押下である場合(ステップS307:長時間押下)、文字選択部13Bは、上述のステップS306と同様に、入力対象文字の選択及び入力文字の決定を行う。
【0060】
[第3の実施形態の作用・効果]
以上のように、第3の実施形態においては、タッチパネル10の押下面積を変化させるだけで入力対象文字の選択と、入力文字の決定とを切り替えることができる。このように、押下面積を変化させることによって入力文字の決定を行うことができるので、入力文字の決定を行う際に、入力文字の決定用のボタン(例えば、方向を入力するための右ボタン等)の操作を行う必要がなくなり、少ない入力操作によって、入力対象文字の入力を効率よく行うことができる。
【0061】
また、第1の実施形態と同様に、検出された押下面積に揺らぎが生じている場合等、広い押下であるか、或いは狭い押下であるかの判断が困難である場合には、押下時間検出部12によって検出された押下時間に基づいて、入力対象文字の選択と、入力文字の決定とを切り替えることで、入力対象文字の入力操作の向上を更に図ることができる。
【0062】
なお、上記第1〜第3の実施形態における入力対象文字は、かな文字や、英数文字に限定されるものではなく、記号や絵文字等、各種の入力対象のものを含むものである。また、押下面積に応じてトグル方式における選択方向や入力モード等を切り替える以外にも、例えば、半角と全角の入力切替や、記号とかなの入力切替など、各種の入力切替等を行うことができる。また、押下面積に基づいて変更する入力対象文字の選択方法として、1文字飛ばしの文字選択や、2文字飛ばしの文字選択等、他の選択方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B…移動機、10…タッチパネル、11…押下面積検出部(押下面積検出手段)、12…押下時間検出部(押下時間検出手段)、13,13A,13B…文字選択部(文字選択手段)、20…表示部、B1〜B12…ボタン領域、M1,M2…入力文字。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの入力操作を受け付けるタッチパネルと、
前記タッチパネルへの押下操作に基づいて、表示部に表示する入力対象文字を、予め保持された入力対象文字群の中から、予め定められた選択方法によって選択する文字選択手段と、
前記タッチパネルの押下面積を検出する押下面積検出手段と、を備え、
前記文字選択手段は、前記押下面積検出手段によって検出された押下面積に基づいて、前記入力対象文字の選択方法を変更することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記文字選択手段は、前記選択方法の変更として、前記入力対象文字群の中から予め定められた順序によって選択する前記入力対象文字の選択の順序を変更することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記文字選択手段は、前記選択方法の変更として、前記入力対象文字群の中から選択する前記入力対象文字の文字の種類を、予め定められた文字の種類と異なる種類に変更することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記文字選択手段は、前記選択方法の変更として、予め定められた順序によって前記入力対象文字群の中から前記入力対象文字を選択する処理と、選択されている前記入力対象文字を入力文字として決定する処理とを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記タッチパネルが押下されたときの押下時間を検出する押下時間検出手段を更に備え、
前記文字選択手段は、更に、前記押下時間検出手段によって検出された押下時間に基づいて、前記入力対象文字の選択方法を変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
データの入力操作を受け付けるタッチパネルを備えた入力装置において実行され、前記タッチパネルへの押下操作に基づいて、表示部に表示する入力対象文字を、予め保持された入力対象文字群の中から、予め定められた選択方法によって選択する入力対象文字選択方法であって、
前記タッチパネルの押下面積を検出する押下面積検出ステップと、
前記押下面積検出ステップで検出された押下面積に基づいて、前記入力対象文字の選択方法を変更する文字選択ステップと、を有することを特徴とする入力対象文字選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−215944(P2012−215944A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79025(P2011−79025)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】