説明

入力装置

【課題】操作部の位置を検出するための消費電力を削減することができる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置1は、本体部10と、本体部10に対して移動可能に支持された操作ノブ11と、操作ノブ11が原位置にあることを検出するためのX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160と、原位置からの操作ノブ11の変位量を検出するための信号を出力するエンコーダ141b,142bと、X軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160に供給される電力をエンコーダ141b,142bに供給される電力とは別に遮断することが可能な電力供給回路24と、操作ノブ11の原位置を検出した後に、電力供給回路24によってX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160に供給される電力を遮断する制御部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータによって操作ノブに外力を与えることにより、操作ノブを操作するユーザに対して手応え感等の力覚を与えるハプティック入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載されたハプティック入力装置は、操作ノブが取り付けられた揺動レバーと、揺動レバーを回転自在に支持する回転軸に直結された絶対角検出センサと、揺動レバーに回転自在に取り付けられたアクチュエータの駆動軸に連結されたインクリメンタル型のエンコーダと、絶対角検出センサの検知信号及びインクリメンタル型のエンコーダの検知信号に基づいてアクチュエータの制御を行う制御部とを備えている。
【0004】
そして、制御部は、絶対角検出センサの検知信号とインクリメンタル型のエンコーダの検知信号との差が所定値よりも大きいと判断した場合、そのことを報知し、もしくはアクチュエータへの駆動信号を停止するように構成されている。これにより、例えばアクチュエータの動力を伝達する機構に滑りが生じた場合等にユーザにその事実を認識させ、修理を促すことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−176870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の従来の入力装置は、一般的には、電源オン時に操作ノブの絶対位置を検出し、その絶対位置からの変位をインクリメンタル型のエンコーダによって検出して、操作ノブの現在位置を認識する。この場合、絶対位置を検出するための検出部は、電源オン後の初期化時に絶対位置を検出した後は、その機能を発揮することはない。しかし、従来の入力装置では、絶対位置を検出した後も絶対位置の検出部に電力が供給されていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、操作部の位置を検出するための消費電力を削減することができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本体部と、前記本体部に対して移動可能に支持された操作部と、前記操作部が前記本体部に対する特定の位置にあることを検出するための信号を出力する第1の信号出力部と、前記第1の信号出力部によって検出した特定の位置からの前記操作部の変位量を検出するための信号を出力する第2の信号出力部と、前記第1の信号出力部に供給される電力を前記第2の信号出力部に供給される電力とは別に遮断することが可能な電力供給遮断部と、前記第1の信号出力部の出力信号により前記操作部が前記本体部に対する特定の位置にあることを検出した後に、前記電力供給遮断部により前記第1の信号出力部に供給される電力を遮断する制御部と、を備えた入力装置。
【0009】
[2]前記第1の信号出力部は、発光素子と、前記発光素子の光を受光する受光素子と、前記操作部が前記特定の位置の一側にあるときに前記発光素子の光を遮光し、前記操作部が前記特定の位置の他側にあるときに前記発光素子の光を遮光しない遮光板とを有し、前記電力供給遮断部は、前記制御部の出力信号に応じて前記発光素子への電力の供給を遮断するスイッチング素子を有する、前記[1]に記載の入力装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力装置の操作部の位置を検出するための消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態による入力装置が搭載された車両の車室内を示す概略図である。
【図2】図2は、入力装置の機械的な構成の概要を示す斜視図である。
【図3】図3は、制御ユニットの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、電力供給回路及びその周辺部の構成例を示す回路図である。
【図5】図5は、入力装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)はACC電源のオン・オフ状態を、(b)は操作ノブの動作状態を、(c)はX軸フォトインタラプタ及びY軸フォトインタラプタへの電力供給状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る入力装置1が搭載された車両の車室内を示す。車室内には、ユーザの一例としての運転者が着座する運転席90の左方にセンターコンソール91が配置され、センターコンソール91の前方にインスツルメントパネル92が配置されている。
【0013】
インスツルメントパネル92には、運転席90に着座した運転者から視認可能な位置に、表示装置3が嵌め込まれている。また、センターコンソール91には、運転者が手部(右ハンドルの場合には左手)によって操作可能な位置に入力装置1が配置されている。
【0014】
入力装置1は、センターコンソール91に固定された本体部10と、本体部10に対して移動可能に支持された操作部としての操作ノブ11と、本体部10に設けられたスイッチ12と、操作ノブ11の周辺部を覆うカバー102とを有している。操作ノブ11は、運転者による操作によって本体部10に対して水平方向に移動可能である。また、入力装置1は、操作ノブ11の本体部10に対する位置の情報を表示装置3に送信するように構成されている。
【0015】
表示装置3は、液晶ディスプレイ等の表示部3aに例えば空調装置の温度設定やカーナビゲーションシステムの操作等を行うためのメニュー画面を表示し、このメニュー画面に重ねて、操作ノブ11の移動に伴って表示位置が変化するポインタを表示する。表示装置3は、メニュー画面の複数のメニュー項目のうち、スイッチ12が操作された時にポインタにより指示されているメニュー項目が選択されたものとして、そのメニュー項目に応じた処理を行うように構成されている。
【0016】
図2は、入力装置1の機械的な構成の概要を示す斜視図である。入力装置1は、本体部10に固定されたベース100に設けられた支持駆動機構101を有している。支持駆動機構101は、操作ノブ11を本体部10に対して移動可能及び駆動可能に支持している。
【0017】
操作ノブ11の下部には、円柱状のノブシャフト110の一端部が取り付けられている。ノブシャフト110の他端部は、本体部10に固定された球面軸受103に支持されている。この構成により、操作ノブ11はノブシャフト110の他端部を支点として揺動することができる。ノブシャフト110の一端部は、ベース100を覆うように設けられたカバー102(図1参照)に形成された開口部から外方に突出している。
【0018】
ベース100には、互いに直交するように配置されたXキャリッジ121及びYキャリッジ122がベース100に対して移動可能に支持されている。
【0019】
Xキャリッジ121は、その長手方向の両端部が一対のX軸スライドガイド131,131に支持され、図2に示すx軸方向にスライド可能である。また、Xキャリッジ121は、図2に示すy軸方向に延びるように形成された長孔121aを有し、長孔121aをノブシャフト110が貫通している。
【0020】
Xキャリッジ121の一端部には、X軸スライドガイド131にスライド可能に支持されたギヤ部121bが形成されている。ギヤ部121bは、ベース100に固定されたX軸モータ141の回転軸に設けられたピニオンギヤ141aと噛み合わされている。
【0021】
X軸モータ141は、その回転軸の回転に応じてパルス信号を出力するエンコーダ141bを有している。エンコーダ141bは、それ自体は周知のものであり、周方向に沿って形成された多数のスリットを有する円形状のディスクと、LED等の発光素子と、スリットを通過した発光素子の光を受光する受光素子とを有し、受光素子の信号が出力されるように構成されている。そして、エンコーダ141bは、X軸モータ141の回転軸の回転に伴ってディスクが回転すると、所定の角度(例えば1°)毎に受光素子が発光素子の光を受光してパルス信号を出力する。つまり、エンコーダ141bは、X軸モータ141の回転軸の回転に伴って出力されるパルス信号を計数することにより回転軸の位相の変化量を検出することができるインクリメンタル型のエンコーダである。
【0022】
また、エンコーダ141bは、ディスク、発光素子、及び受光素子を2つずつ備え、それぞれが90°位相がずれたA相及びB相のパルス信号を出力する。このA相及びB相の出力信号状態の変化の順序によって、X軸モータ141の回転軸の回転方向を検出することが可能である。
【0023】
また、Xキャリッジ121には、Xキャリッジ121と共にx軸方向に進退移動するX軸遮光板15が連結されている。X軸遮光板15は、そのx軸方向の一端部がベース100に固定されたX軸フォトインタラプタ150のスリットを通過するように配置されている。X軸フォトインタラプタ150は、発光部151と、発光部151に対向して設けられた受光部152とを備え、発光部151と受光部152との間にスリットが形成されている。
【0024】
図2(b)及び(c)に示すように、発光部151はLED等の発光素子151aを有し、受光部152は発光素子151aの光を受光するフォトトランジスタ等の受光素子152aを有している。図2(b)に示す状態では、発光素子151aの光がX軸遮光板15に遮られることなく受光素子152aに到達し、受光素子152aはオン信号を出力する。また、図2(c)に示す状態では、発光素子151aの光がX軸遮光板15に遮られ、受光素子152aに到達しない。この状態では、受光素子152aはオフ信号を出力する。
【0025】
X軸フォトインタラプタ150は、Xキャリッジ121のx軸方向の可動範囲の中央付近で受光素子152aの出力信号がオンからオフ、又はオフからオンに変化する位置に配置されている。このX軸フォトインタラプタ150の出力信号によって、その信号状態が変化したときのXキャリッジ121のベース100に対する絶対位置を検出することができる。
【0026】
Yキャリッジ122は、その長手方向の両端部が一対のY軸スライドガイド132,132に支持され、Xキャリッジ121の上側でy軸方向にスライド可能である。また、Yキャリッジ122は、x軸方向に延びるように形成された長孔122aを有し、長孔122aをノブシャフト110が貫通している。
【0027】
Yキャリッジ122の一端部には、Y軸スライドガイド132にスライド可能に支持されたギヤ部122bが形成されている。ギヤ部122bは、ベース100に固定されたY軸モータ142の回転軸に設けられたピニオンギヤ142aと噛み合わされている。
【0028】
Y軸モータ142は、X軸モータ141と同様に、所定の角度回転するごとにパルス信号を出力する第2の信号出力部の一例としてのエンコーダ142bを有している。エンコーダ142bはX軸モータ141のエンコーダ141bと同様に構成されている。
【0029】
また、Yキャリッジ122には、Yキャリッジ122と共にy軸方向に進退移動するY軸遮光板16が連結されている。Y軸遮光板16は、そのy軸方向の一端部がベース100に固定されたY軸フォトインタラプタ160の発光部161及び受光部162の間に形成されたスリットを通過することにより、Y軸フォトインタラプタ160の出力をYキャリッジ122のy軸方向の可動範囲の中央付近でオンからオフ又はオフからオンに変化させる。Y軸フォトインタラプタ160は、X軸フォトインタラプタ150と同様に構成されている。Y軸フォトインタラプタ160の出力信号によって、その信号状態が変化したときのYキャリッジ122のベース100に対する絶対位置を検出することができる。
【0030】
X軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160は、操作ノブ11がx軸方向及びy軸方向の特定の位置にあることを検出するための信号を出力する第1の信号出力部の一例である。また、エンコーダ141b及びエンコーダ142bは、操作ノブ11の変位量を検出するための信号を出力する第2の信号出力部の一例である。
【0031】
X軸モータ141及びY軸モータ142は、操作ノブ11に反力を付与するアクチュエータである。運転者は、操作ノブ11からこの反力による力覚を感受する。X軸モータ141及びY軸モータ142は、例えばDCモータやステッピングモータ等により構成される。
【0032】
より詳細には、X軸モータ141の回転トルクによりXキャリッジ121がx軸方向に移動すると、長孔121aの内面がノブシャフト110の外周面に押し当てられる。また、Y軸モータ142の回転トルクによりYキャリッジ122がy軸方向に移動すると、長孔122aの内面がノブシャフト110の外周面に押し当てられる。この構成により、X軸モータ141及びY軸モータ142によって、それらの回転トルクに応じた方向及び大きさの反力をノブシャフト110を介して操作ノブ11に付与することが可能となっている。
【0033】
また、運転者が操作ノブ11を移動させると、その移動量に応じてノブシャフト110がXキャリッジ121及びYキャリッジ122をx軸方向及びy軸方向に移動させ、X軸モータ141及びY軸モータ142が回転する。X軸モータ141及びY軸モータ142の回転に伴ってエンコーダ141b及びエンコーダ142bからパルス信号が出力されるので、このパルス信号に基づいて操作ノブ11の位相の変化と回転方向の検出が可能である。
【0034】
ノブシャフト110、Xキャリッジ121、Yキャリッジ122、X軸スライドガイド131,131、Y軸スライドガイド132,132、X軸モータ141、及びY軸モータ142は、支持駆動機構101を構成する。
【0035】
図3は、入力装置1の制御ユニット2の機能構成を示す機能ブロック図である。制御ユニット2は、入力装置1の本体部10の内部に配置され、入力装置1の各部を制御する。
【0036】
制御ユニット2は、CPU(Central Processing Unit)等からなる制御部20と、制御部20の制御プログラム210等が記憶される記憶素子からなる記憶部21と、スイッチ12の信号を入力するスイッチ入力回路22と、X軸モータ141及びY軸モータ142に電力を供給する駆動回路23と、X軸フォトインタラプタ150の発光部151及びY軸フォトインタラプタ160の発光部161への電力の供給と遮断を行う電力供給遮断部としての電力供給回路24と、表示装置3との通信を行う通信部25とを有して構成されている。
【0037】
制御部20は、記憶部21に記憶された制御プログラム210に基づいて動作することにより、スイッチ状態検出手段201、位置検出手段202、モータ駆動制御手段203、及び電力供給制御手段204として機能する。
【0038】
スイッチ状態検出手段201は、スイッチ入力回路23からスイッチ12が開(オフ)状態か閉(オン)状態かを示す信号を受信し、スイッチ12のオンオフ状態を通信部25を介して表示装置3に送信する。
【0039】
位置検出手段202は、X軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160の信号状態が変化したときの操作ノブ11の位置をx軸方向及びy軸方向の原位置(特定の位置)とする。また、位置検出手段202は、X軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160の信号状態が変化した後のX軸モータ141のエンコーダ141b及びY軸モータ142のエンコーダ142bのパルス信号をそれぞれカウントし、操作ノブ11のx軸方向の位置及びy軸方向の位置を検出する。つまり、位置検出手段202は、エンコーダ141b,142bのパルス信号により原位置からの操作ノブ11の変位量を検出することで、操作ノブ11の位置を認識する。また、位置検出手段202は、操作ノブ11の位置の情報を通信部25を介して表示装置3へ送信する。
【0040】
モータ駆動制御手段203は、位置検出手段202が検出した操作ノブ11のx軸方向の位置及びy軸方向の位置の情報に基づいて操作ノブ11の移動方向を演算し、その移動方向の反対方向に操作ノブ11を押し付ける力(反力)を発生させるように駆動回路23に制御信号を出力し、X軸モータ141及びY軸モータ142を制御する。
【0041】
また、モータ駆動制御手段203は、制御部20に電源が供給されて制御部20が制御プログラム210に基づく動作を開始した初期化時において、運転者による操作とは無関係にX軸モータ141及びY軸モータ142を制御し、操作ノブ11をx軸方向及びy軸方向に駆動する。モータ駆動制御手段203は、初期化時におけるによる操作ノブ11の駆動を、位置検出手段202が操作ノブ11のx軸方向の原位置及びy軸方向の原位置を検出するまで実行する。
【0042】
電力供給制御手段204は、電力供給回路24に制御信号を出力し、X軸フォトインタラプタ150の発光部151及びY軸フォトインタラプタ160の発光部161への電力の供給と遮断とを切り替える。電力供給制御手段204は、位置検出手段202が操作部11の原位置を検出した後に、電力供給回路24によってX軸フォトインタラプタ150の発光部151及びY軸フォトインタラプタ160の発光部161への電力の供給を遮断する。
【0043】
図4は、電力供給回路24及びその周辺部の構成例を示す回路図である。図4に示すように、制御部20には電圧変換部26の出力としての5V電源が供給される。電圧変換部26が出力する5V電源は、X軸モータ141のエンコーダ141b及びY軸モータ142のエンコーダ142bにも供給される。また、制御部20は、複数のポート出力信号を出力可能に構成されている。
【0044】
電圧変換部26は、電圧変換部26に入力されるイネーブル信号がオン状態であるときに、車両に搭載されたバッテリー4の電源電圧(例えば直流12V)を直流の5Vに変換して出力する。電圧変換部26のイネーブル信号は、第1のダイオード271又は第2のダイオード272によってオン状態となる。第1のダイオード271は、車両のACC電源(イグニッションキーの状態によってオンするイグニッション電源)の立ち上がりに応じてイネーブル信号をオンにする。また、第2のダイオード272は、制御部20の第1のポート出力信号がオン状態であるときに、電圧変換部26のイネーブル信号をオンにする。
【0045】
電力供給回路24は、スイッチング素子の一例としてのトランジスタ240を有して構成されている。トランジスタ240のベースには制御部20の第2のポート出力信号が接続され、コレクタには電圧変換部26の5V電源が供給される。トランジスタ240のエミッタは、発光部151の発光素子151a及び発光部161の発光素子161aのアノードに接続されている。
【0046】
この回路構成により、ACC電源の立ち上がりによって電圧変換部26のイネーブル信号がオンになり、制御部20及びエンコーダ141b,142bに5V電源が供給される。制御部20は、ACC電源がオフしても、第1のポート出力信号をオンしておくことによって電圧変換部26から電源の供給を受けることができる。
【0047】
また、制御部20は、第2のポート出力信号をオンすることによりトランジスタ240をオン状態(導通状態)にし、第2のポート出力信号をオフすることによりトランジスタ240をオフ状態(非導通状態)にすることができる。
【0048】
トランジスタ240がオン状態になると、発光素子151a,161aに電力が供給され、発光素子151a,161aが発光する。また、トランジスタ240がオフ状態になると、発光素子151a,161aへの電力供給が遮断されるので、発光素子151a,161aで消費される分の消費電力が削減される。
【0049】
(入力装置1の動作)
次に、入力装置1の動作について図5を用いて説明する。
【0050】
図5は、入力装置1の動作を示すタイミングチャートであり、(a)はACC電源のオン・オフ状態を、(b)は操作ノブ11の動作状態を、(c)はX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160への電力供給状態を、それぞれ示す。
【0051】
図5に示す時刻tでACC電源がオンして制御部20に5V電源が供給されると、制御部20は操作ノブ11の原位置を検出するための原位置検出動作を開始する。この原位置検出動作では、まず電力供給制御手段204が第2のポート出力信号をオンすることによりトランジスタ240をオン状態にする。これによりX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160に電力が供給されて発光素子151a,161aが発光する。
【0052】
次に、モータ駆動制御手段203がX軸モータ141及びY軸モータ142を制御し、操作ノブ11をx軸方向及びy軸方向に駆動する。また、位置検出手段202は、X軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160の信号状態の変化を監視し、信号状態が変化した時の操作ノブ11の位置を原位置として検出する。
【0053】
時刻tで位置検出手段202が操作ノブ11のx軸方向の原位置及びy軸方向の原位置を検出すると、電力供給制御手段204は、第2のポート出力信号をオフする。これによりトランジスタ240がオフ状態となり、X軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160への電力供給が遮断され、発光素子151a,161aが発光しなくなる。また、モータ駆動制御手段203は、原位置検出のための操作ノブ11の駆動制御を停止する。
【0054】
その後、位置検出手段202は、運転者の操作によって本体部10に対して移動する操作ノブ11の位置をエンコーダ141b,142bのパルス信号のカウント値に応じて検出する。モータ駆動制御手段203は、位置検出手段202が検出した操作ノブ11の位置の情報に基づいて操作ノブ11の移動方向を演算し、その移動方向の反対方向の反力を発生させるようにX軸モータ141及びY軸モータ142を制御する。
【0055】
入力装置1は、ACC電源がオフされるまで、運転者による操作ノブ11の通常操作(表示装置3のメニュー画面に応じたメニュー項目の選択操作等)に応じて、位置検出手段202による位置の検出と、モータ駆動制御手段203によるX軸モータ141及びY軸モータ142の制御とを行う。
【0056】
時刻tでACC電源がオフすると、制御部20は再度、原位置検出動作を行う。具体的には、電力供給制御手段204は第2のポート出力信号をオンしてX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160の発光素子151a,161aを発光させ、モータ駆動制御手段203は、位置検出手段202がX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160の出力信号の変化によって原位置を検出するまでX軸モータ141及びY軸モータ142を制御し、操作ノブ11をx軸方向及びy軸方向に駆動する。
【0057】
原位置検出動作が終了する時刻tでは、操作ノブ11は原位置で停止した状態となる。電力供給制御手段204は、ACC電源オフ後の原位置検出動作の終了後、第2のポート出力信号をオフしてX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160への電力供給を遮断する。
【0058】
このように、本実施の形態に係る入力装置1によれば、運転者が操作ノブ11を操作する通常操作の状態ではX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160への電力供給が遮断されるので、入力装置1の消費電力を低減することができる。
【0059】
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で例えば以下に示すような種々の変形が可能である。
【0060】
上記実施の形態では、トランジスタ240によって電源供給回路24を構成したが、これに限らない。例えばFET(Field Effect Transistor)やサイリスタ等のスイッチング素子を用いてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、電力供給制御手段204が原位置検出動作の終了後に直ちにX軸フォトインタラプタ150及びY軸フォトインタラプタ160への電力供給を遮断するようにしたが、原位置検出動作の終了後、所定時間が経過してから電力供給を遮断してもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、入力装置1を車両の車室内に配置し、表示装置3のメニュー項目を選択し得るように構成したが、入力装置1が適用される対象物及び用途に特に制限はない。また、入力装置1のユーザは運転者に限らず、例えば助手席に着座した同乗者であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…入力装置、2…制御ユニット、3…表示装置、3a…表示部、4…バッテリー、10…本体部、11…操作ノブ、12…スイッチ、20…制御部、21…記憶部、22…スイッチ入力回路、23…駆動回路、24…電力供給回路、25…通信部、26…電圧変換部、90…運転席、91…センターコンソール、92…インスツルメントパネル、100…ベース、101…支持駆動機構、102…カバー、103…球面軸受、110…ノブシャフト、121…Xキャリッジ、122…Yキャリッジ、121a,122a…長孔、121b,122b…ギヤ部、131…X軸スライドガイド、132…Y軸スライドガイド、141…X軸モータ、142…Y軸モータ、141a,142a…ピニオンギヤ、141b,142b…エンコーダ、150…X軸フォトインタラプタ、160…Y軸フォトインタラプタ、151,161…発光部、151a,161a…発光素子、152,162…受光部、201…スイッチ状態検出手段、202…位置検出手段、203…モータ駆動制御手段、204…電力供給制御手段、240a…トランジスタ、271…第1のダイオード、272…第2のダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して移動可能に支持された操作部と、
前記操作部が前記本体部に対する特定の位置にあることを検出するための信号を出力する第1の信号出力部と、
前記第1の信号出力部によって検出した特定の位置からの前記操作部の変位量を検出するための信号を出力する第2の信号出力部と、
前記第1の信号出力部に供給される電力を前記第2の信号出力部に供給される電力とは別に遮断することが可能な電力供給遮断部と、
前記第1の信号出力部の出力信号により前記操作部が前記本体部に対する特定の位置にあることを検出した後に、前記電力供給遮断部により前記第1の信号出力部に供給される電力を遮断する制御部と、を備えた入力装置。
【請求項2】
前記第1の信号出力部は、発光素子と、前記発光素子の光を受光する受光素子と、前記操作部が前記特定の位置の一側にあるときに前記発光素子の光を遮光し、前記操作部が前記特定の位置の他側にあるときに前記発光素子の光を遮光しない遮光板とを有し、
前記電力供給遮断部は、前記制御部の出力信号に応じて前記発光素子への電力の供給を遮断するスイッチング素子を有する、請求項1に記載の入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−221659(P2011−221659A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88003(P2010−88003)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】