説明

入力装置

【課題】認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る入力装置は、入力を受け付けるタッチセンサ11と、前記タッチセンサ11のタッチ面11aを振動させる触感呈示部12と、前記タッチセンサ11により入力が受け付けられると、前記触感呈示部12により前記タッチ面11aに接触する対象に対して断続的に触感を呈示し、入力決定の動作が検出されると、前記呈示された触感の回数に基づく認証コードを受け付けるように制御する制御部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関し、特に、認証コードを入力するための入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関やコンビニエンスストアなどに設置されている自動取引装置のATM(Automated Teller Machine)やクレジットカードなどを利用するためには、カードの持ち主である顧客(利用者)しか知りえない暗証番号(認証コード)の入力が求められる。しかしながら、昨今、認証コードの入力時に、認証コードが覗き見や盗撮により漏えいし、漏えいした認証コードによる不正取引が増加傾向にある。
【0003】
このため、近年、認証コードに対するセキュリティが重要視されており、様々な対策が講じられている。例えば、下記の特許文献1には、認証コードを入力する際に、他人に指先が目視されていた場合においても、認証コードの漏えいを防止できる暗証番号入力装置が開示されている。
【0004】
この暗証番号入力装置は、表示部と、テンキーを備える入力部と、情報処理を実行する情報処理部と、を備えており、図15に示すような一連の情報処理が情報処理部で行われている。顧客は、暗証番号(認証コード)をそのまま入力するのではなく、暗証番号入力装置側から出された指示に従い、暗証番号に所定の演算を行って得られた数値を入力する。例えば図15に示すように、暗証番号が「1234」の場合、まず、情報処理部により各桁に対する演算方法とオペランドとが決定される。そして、情報処理部が、「あなたの暗証番号の1桁目に2を加えた値を入力し実行キーを押してください」という指示を表示部に表示させる。顧客は、1回目の数値入力操作として、表示部に表示された指示に従い、暗証番号の1桁目である「1」に、情報処理部により決定されたオペランドの「2」を加えた「3」を入力部から入力し、実行キーを押す。顧客はこのような動作を4桁分繰り返し、情報処理部はこの入力された数値から逆算を行って元の暗証番号を導きだして認証を行う。
【0005】
このように、特許文献1に記載の暗証番号入力装置では、顧客が入力する数字キーと暗証番号とが異なるため、暗証番号を入力する際にたとえ他人に指先が直接目視されていたとしても、暗証番号が漏えいすることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−140009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、利用者が、暗証番号(認証コード)を直接入力する入力装置においては、押圧されたキーに対応するコードがそのまま受け付けられてしまう。つまり、押圧されたキーと入力装置が受け付けるコードとが対応しているため、押圧されているキーを覗き見や盗撮することにより、認証コードが漏えいするという問題がある。
【0008】
また、特許文献1のように、直接、認証コードを入力しないとしても、表示部に表示されている指示が見られていたり、盗撮されていたりした場合には、計算により簡単に認証コードを求めることが可能であり、他人に認証コードが漏えいしてしまうという問題点がある。これは、押圧されたキーに対応するコードがそのまま受け付けられてしまうため、覗き見や盗撮された場合に、押圧されているキーから入力装置が受け付けるコードが他人に分かってしまい、そのコードと表示部に表示された指示とに基づいて計算を行うことにより、認証コードが導き出されてしまうためである。
【0009】
本発明の目的は、認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する請求項1に係る入力装置の発明は、
認証コードを入力する入力装置であって、
入力を受け付けるタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力が受け付けられると、前記触感呈示部により前記タッチ面に接触する対象に対して断続的に触感を呈示し、
入力決定の動作が検出されると、前記呈示された触感の回数に基づく認証コードを受け付けるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の入力装置において、
前記タッチセンサの入力解除を前記入力決定の動作の検出とすることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の入力装置において、
前記タッチセンサにより受け付けられている入力の方向変化を前記入力決定の動作とすることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の入力装置において、該入力装置は更に、
前記タッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、を備え、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たすことを前記入力決定の動作とすることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、上記目的を達成する請求項5に係る入力装置の発明は、
認証コードを入力する入力装置であって、
押圧による入力がされる入力面と、
前記入力面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記入力面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により押圧荷重が検出されると、前記触感呈示部により前記入力面を押圧している対象に対して断続的に触感を呈示し、
入力決定の動作が検出されると、前記呈示された触感の回数に基づく認証コードを受けつけるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の入力装置において、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たすことを前記入力決定の動作とすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の入力装置において、
前記入力面に対する入力の方向変化を前記入力決定の動作とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る入力装置の触感発生の概念図を示す図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る入力装置における、第1の例に従うタッチ面上の入力動作を示す図である。
【図5】図4の入力動作における、触感応答のタイミングを示す図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係る入力装置における、第2の例に従うタッチ面上の入力動作を示す図である。
【図7】図6の入力動作における、触感応答のタイミングを示す図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施の形態に係る入力装置における、タッチ面上の入力動作を示す図である。
【図10】図9の入力動作における、触感応答のタイミングを示す図である。
【図11】本発明の第3実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3実施の形態に係る入力装置における、第1の例に従う入力動作における、触感応答のタイミングを示す図である。
【図14】本発明の第3実施の形態に係る入力装置における、第2の例に従う入力動作における、触感応答のタイミングを示す図である。
【図15】従来の入力装置における認証コードの入力及び認証方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0020】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。この入力装置1は、タッチセンサ11、触感呈示部12、及び、全体の動作を制御する制御部13を有する。タッチセンサ11は、指などによる入力を受け付けるもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。触感呈示部12は、タッチセンサ11を振動させるもので、例えば、圧電素子を用いて構成する。制御部13は、全体の動作を制御するもので、例えば、CPU等の機能を実装したマイクロプロセッサを用いて構成する。
【0021】
図2は、図1に示した入力装置の実装構造の一例を示す。なお、本実施の形態に係る入力装置1では、タッチセンサ11は平面状で矩形状であるとする。タッチセンサ11のタッチ面11aは、例えば透明フィルムやガラスで構成され、裏面はガラスやアクリルで構成されている。タッチセンサ11は、タッチ面11aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、又は構造体そのものが微少量撓む構造となっている。触感呈示部12は、タッチセンサ11を振動させユーザの指に振動等の触感を呈示できるように、例えばタッチセンサ11に接触して配置される。また、タッチセンサ11が指などによる入力を検出している間に、触感呈示部12はタッチセンサ11のタッチ面11aを振動させ指先に触感を呈示する。
【0022】
図3は、本実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。制御部13は、タッチセンサ11が、指やスタイラスペン等の接触対象による接触を検出すると、制御部13に備えられたカウンタ(図示しない)のカウンタ値をゼロにリセットする(ステップS301、S302)。制御部13は、制御部13に備えられたタイマ(図示しない)のカウンタ値も、ゼロにリセットする(ステップS303)。そして、制御部13は、触感が発生するまでのウェイト時間の経過に伴い、このタイマのカウンタ値を、値nまでカウントアップする(ステップS305)。制御部13は、このウェイト時間中常に、接触対象によるタッチセンサ11への接触が検出されているか監視し続ける(ステップS304)。そして、制御部13は、後述のウェイト時間を挟んで、振動による触感を1回発生するように、触感呈示部12を制御する(ステップS306)。制御部13は、触感呈示部12が触感を1回発生する毎に、カウンタのカウンタ値に1を追加する(ステップS307)。そして、制御部13は、ウェイト時間中に入力決定動作を検出した時のカウンタ値を認証コードとして受け付ける(ステップS304、S308)。
【0023】
この入力決定動作の第1の例としては、指などの接触対象がタッチ面11aから離れることが挙げられる。この場合、ステップS304において、制御部13は、タッチセンサ11への接触が検出さているか否かを判断する。また、入力決定動作の第2の例としては、指などの接触対象がタッチ面11a上を移動する場合に、その移動方向が一定以上変化することが挙げられる。この場合、制御部13は、タッチセンサ11への入力の方向変化を検出した場合には、検出時のカウンタ値を認証コードとして受け付ける(ステップS304、S308)。以下に、これら2つの入力決定動作の例について、図面を参照して説明する。
【0024】
図4は、接触対象がタッチ面11aから離れることを入力決定動作とする場合の、タッチ面11a上の接触対象を示す図である。タッチ面11a上におけるタッチ位置は特に限定する必要はなく、a〜eのようにどの位置でもよい。また、接触対象はタッチ面11a上にタッチさえすればよく、1つの位置にタッチし続けても良いし、タッチ面11a上をスライドして、他の位置に移動しても良い。
【0025】
図5は、第1の例に従う入力決定動作により、認証コード「4」及び「6」を入力する場合の、触感応答のタイミングを示した図である。黒い丸印は触感応答を示し、状態Aは認証コード「4」を入力している状態を示し、状態Bは、認証コード「6」を入力している状態を示す。時間tにおいて、例えば、タッチ面11a上の位置aにユーザが指をタッチすると、制御部13は、触感呈示部12がランダムなタイミングでタッチ面11aを振動させ指に触感を返すように制御する。この触感は振動に基づくものであり、例えば、周期や振幅を変更することにより様々な触感を呈示することができる。例えば、「ブルブル」といったバイブレーションのような触感や、「カッチッ」といったキーを押しているような触感などを呈示する。そして、ユーザが、その触感を4まで数えたところで、時間tにおいて、指をタッチ面11aから離すと、制御部13は認証コードを決定する。図3を参照して説明したように、制御部13は、触感呈示部12が触感を1回発生する毎にカウンタのカウンタ値に1を追加するので、触感呈示部12が触感を4回発生した時点では、カウンタ値は4となっている。よって、この時点で、制御部13は、タッチセンサ11がタッチ面から指が離れたことを検出すると、カウンタ値4を認証コードとして決定する。同様の方法で、ユーザが、触感を6まで数えた場合には、制御部13はカウンタ値6を認証コードとして決定する。
【0026】
触感を発生させる間隔(ウェイト時間)は、1つの固定値に限定されない。即ち、図5に示したように、各触感についてランダムな間隔とすることができる。また、1つの認証コードを入力している間は一定間隔としても、別の認証コードを入力する際に別の間隔に変更すれば、必ずしも全ての触感についてランダムな間隔でなくてもよい。ユーザにとって、一定の間隔で触感が呈示された方が、タイミングがとりやすく、間違えることなく認証コードの入力をすることができるからである。しかし、全ての認証コードを入力する際に、触感が常に一定間隔で発生していると、ユーザによる入力状態を目視して、ユーザの指がタッチ面11aに触れている時間を計算することで、認証コードが推測可能となってしまい、認証コードが漏えいしてしまう危険がある。この為、1つの認証コードごとに触感を発生させる間隔を変更する必要がある。
【0027】
図6は、指などの接触対象の移動方向が一定以上変化することを入力決定動作とする場合の、タッチ面11a上の接触対象を示す図である。タッチ面11a上のタッチ位置は特に限定されず、タッチ面11a上のどの位置からどの位置に移動しても良い。図6では、指は、位置aから位置bに直線的にスライドした後に、位置cへとスライドする。制御部13は、この方向変化により、認証コードを決定する。
【0028】
図7は、図6に示した入力決定動作により、認証コード「4」及び「6」を入力する場合の、触感応答のタイミングを示した図である。図5と同様に、黒い丸印は触感応答を示し、状態Aは認証コード「4」を入力している状態を示し、状態Bは、認証コード「6」を入力している状態を示す。時間tにおいて、例えば、タッチ面11a上の位置aにユーザが指をタッチすると、制御部13は、ランダムなタイミングでタッチ面11aを振動させ、指に触感を返す。そして、ユーザが、その触感を4まで数えたところで、時間tに位置bにおいて、スライド方向を変更すると、制御部13は認証コードを決定する。図3を参照して説明したように、制御部は、触感を1回発生する毎にカウンタのカウンタ値に1を追加するので、触感を4回発生した時点では、カウンタ値は4となっている。よって、この時点で、制御部13は、指のスライド方向の変更を検出した時には、カウンタ値4を認証コードとして決定する。引き続き、ユーザが、指を位置cへとスライドしながら触感を6までカウントしたところで、スライド方向を変更すると、制御部13はカウンタ値6を認証コードとして決定する。
【0029】
このように、本実施の形態に係る入力装置においては、制御部13は、タッチセンサ11により入力が受け付けられると、タッチ面11aに接触する対象に対して断続的に触感を呈示するように触感呈示部12を制御する。そして、制御部13は、入力決定の動作を検出すると、呈示された触感の回数に基づく認証コードを受け付ける。触感は認証コードの入力を行っているユーザにしか分からない感覚である。このため、ユーザによるタッチセンサ11のタッチ面11aへの入力操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止することができる。また、上述の入力決定の動作の検出を、タッチセンサ11の入力解除(接触対象がタッチ面11aから離れたこと)の検出や、タッチセンサ11への入力の方向変化の検出とすることで、ユーザに対して、より直感的な操作性を提供できる。
【0030】
(第2実施の形態)
図8は、本発明の第2実施の形態に係る入力装置を示すもので、図8は概略構成を示すブロック図を示す。図1に示した入力装置に加えて、この入力装置は、押圧荷重を検出する荷重検出部24を有する。荷重検出部24は、タッチセンサ21のタッチ面21a(図9参照)に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子などの荷重に対して線形に反応する素子を用いて構成される。
【0031】
本実施の形態に係る入力装置においても、上に例示した2つの入力決定動作を採用することができる。即ち、この入力決定動作の第1の例としては、指などの接触対象がタッチ面21aから離れることが挙げられる。この場合、ステップS304において、制御部23は、タッチセンサ21への接触が検出さているか否か、又は、荷重検出部34により検出されている荷重が0となったか否かを判断する。また、入力決定動作の第2の例としては、指などの接触対象がタッチ面21a上を移動する場合に、その移動方向が一定以上変化することが挙げられる。この場合、制御部23は、タッチセンサ21への入力の方向変化を検出した場合には、検出時のカウンタ値を認証コードとして受け付ける(ステップS304、S308)。
【0032】
図9は、所定の荷重基準以上の押下力が加えられることを入力決定動作とする場合の、タッチ面21a上の押圧対象の動作の一例を示す図である。タッチ面21a上のタッチ位置は特に限定されず、タッチ面21a上のどの位置からどの位置に移動してもよいし、又は、必ずしも移動しなくてもよい。図9では、指は、位置aからb、位置bからcに直線的に移動する。
【0033】
図10は、所定の荷重基準以上の押下力が加えられることを入力決定動作とした場合に、認証コード「46」を入力する際の、触感応答のタイミングを示した図である。図5と同様に、黒い丸印は触感応答を示し、状態Aは認証コード「4」を入力している状態を示し、状態Bは、認証コード「6」を入力している状態を示す。時間tにおいて、例えば、タッチ面21a上の位置aにユーザが指をタッチすると、制御部23は、ランダムなタイミングでタッチ面を振動させ、指に触感を返す。そして、ユーザが、その触感を4まで数えたところで、時間tにおいて、押下力を荷重基準P以上に強めると、制御部23は認証コードを決定する。図3を参照して説明したように、制御部23は、触感を1回発生する毎にカウンタのカウンタ値に1を追加するので、触感を4回発生した時点では、カウンタ値は4となっている。よって、この時点で、制御部23は、押下力が荷重基準P以上になったことを検出すると、カウンタ値4を認証コードとして決定する。同様の方法で、ユーザが、触感を6まで数えた後に、指を荷重基準P以上に再度強めた場合には、制御部23はカウンタ値6を認証コードとして決定する。
【0034】
図10では、押下力は荷重基準P以上に強められた後に、一旦、荷重基準P以下に弱められてから、再度荷重基準P以上に強められて認証コード「6」が入力決定されている。ここで、ユーザは、1桁目の入力コードを入力した後に、必ずしも押下力を弱める必要は無い。例えば、入力装置において、荷重基準Pより大きい荷重基準Pを設定することにより、認証コードの2桁目以降を入力に際しては、更に大きい押下力を加えることで入力決定できる。このように、荷重基準を複数設定して複数桁にわたる認証コードを入力することも可能である。
【0035】
このように、本実施の形態に係る入力装置は、荷重検出部24により検出される押圧荷重が荷重基準を満たすことを前記入力決定の動作とするので、第1実施の形態に係る入力装置と同様に、ユーザによる入力操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防ぐことができる。その上、押圧荷重が荷重基準を満たすことを前記入力決定の動作とするので、タッチ面21a上で指を上下左右に動かすことなく、タッチ面の押し込みのみによって認証コードを入力することができる。従って、ユーザによる入力操作が他人に見られていた場合でも、確実に認証コードの漏えいを防ぐことができる。
【0036】
(第3実施の形態)
図11は、本発明の第3実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。この入力装置は、触感呈示部32、全体の動作を制御する制御部33、押圧荷重を検出する荷重検出部34、及び、押圧による入力がされる入力面を備える入力部35を有する。荷重検出部34は、入力面に対する押圧荷重を検出し、触感呈示部32は入力面を振動させる。本発明の第1及び第2実施の形態に係る入力装置と同様の構成要素については説明を省略する。
【0037】
図12は、本実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。制御部33は、荷重検出部34が、指やスタイラスペン等の押圧対象による押圧を検出すると、制御部に備えられたカウンタ(図示しない)のカウンタ値をゼロにリセットする(ステップS1201、S1202)。制御部33は、制御部33に備えられた、タイマ(図示しない)のカウンタ値も、ゼロにリセットする(ステップS1203)。そして、制御部33は、触感が発生するまでのウェイト時間の経過に伴い、このタイマのカウンタ値を、値nまでカウントアップする(ステップS1205)。制御部33は、このウェイト時間中常に、押圧対象による入力面への押圧が荷重検出部34により検出されているか監視し続ける(ステップS1204)。そして、制御部33は、上述のウェイト時間を挟んで、振動による触感を1回発生するように、触感呈示部32を制御する(ステップS1206)。制御部33は、触感呈示部34が触感を1回発生する毎に、カウンタのカウンタ値に1を追加する(ステップS1207)。そして、制御部13は、ウェイト時間中に入力決定動作を検出した時のカウンタ値を認証コードとして受け付ける(ステップS1204、S1208)。
【0038】
この入力決定動作の第1の例としては、荷重検出部により検出された押圧力が荷重基準を満たすことが挙げられる。この場合、ステップS1204において、制御部33は、押圧力が荷重基準を満たすか否かを判断する。また、この場合の入力面上における押圧対象の位置は、特に限定されず、例えば、図4におけるa〜eのように、入力面上のどの位置でもよい。また、押圧対象は入力面上のいずれかの位置を押圧しさえすればよく、1つの位置を押圧し続けても良いし、入力面上をスライドして、他の位置に移動しても良い。
【0039】
図13は、第1の例に従う入力動作における、触感応答のタイミングを示す図である。図5と同様に、黒い丸印は触感応答を示し、状態Aは認証コード「4」を入力している状態を示し、状態Bは、認証コード「6」を入力している状態を示す。時間tにおいて、例えば、入力面上の位置aをユーザが指で押下すると、制御部33は、ランダムなタイミングで入力面を振動させ、指に触感を返す。そして、ユーザが、その触感を4まで数えたところで、時間tにおいて、指を入力面から離すと、制御部33は認証コードを決定する。図3を参照して説明したように、触感呈示部32が触感を1回発生する毎に、制御部33はカウンタのカウンタ値に1を追加するので、触感を4回発生した時点では、カウンタ値は4となっている。よって、この時点で、制御部33は、指が入力面から離れたことを検出すると、カウンタ値4を認証コードとして決定する。同様の方法で、ユーザが、触感を6まで数えた場合には、制御部33はカウンタ値6を認証コードとして決定する。
【0040】
図13に示すように、荷重基準はゼロであってもよく、この場合、押圧対象が入力面から離れた場合に入力が決定する。また、図10に示したように押下力が荷重基準P以上になった場合に認証コードを入力することも可能である。また、荷重基準を複数設定しても良く、複数桁にわたる認証コードを入力することも可能である。
【0041】
また、入力決定動作の第2の例としては、図6に示したように、指などの押圧対象が入力面上を移動する場合に、その移動方向が一定以上変化することが挙げられる。この場合、制御部13は、入力面35により受け付けられている入力の方向変化を検出した場合には、検出時のカウンタ値を認証コードとして受け付ける(ステップS1204、S1208)。
【0042】
図14は、本発明の第3実施の形態に係る入力装置における、第2の例に従う入力動作における、触感応答のタイミングを示す図である。図7と同様に、黒い丸印は触感応答を示し、状態Aは認証コード「4」を入力している状態を示し、状態Bは、認証コード「6」を入力している状態を示す。時間tにおいて、例えば、図6と同様に、入力面上の位置aを指で押下すると、制御部33は、触感呈示部32がランダムなタイミングで入力面を振動して、指に触感を返すように制御する。そして、ユーザが、位置bまで指をスライドしながら、その触感を4まで数えたところで、時間tに位置bにて、スライド方向を変更すると、制御部33は認証コードを決定する。引き続き、ユーザが、指を位置cへとスライドしながら触感を6までカウントしたところで、スライド方向を変更すると、制御部33はカウンタ値6を認証コードとして決定する。
【0043】
このように、本実施の形態に係る入力装置においては、制御部33は、荷重検出部34により押圧荷重が検出されると、入力面を押圧している押圧対象に対して断続的に触感を呈示するように触感呈示部32を制御する。そして、制御部33は、入力決定の動作を検出すると、呈示された触感の回数に基づく認証コードを受け付ける。これにより、ユーザによる認証コードの入力操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止することができる。上述の入力決定の動作の検出を、押圧荷重が荷重基準を満たすことの検出とすることで、タッチ面の押し込みのみによって認証コードを入力することができる。従って、確実に認証コードの漏えいを防止することができる。また、上述の入力決定の動作の検出を、入力の方向変化の検出とすることで、ユーザに対して、直感的な操作性を提供できる。
【0044】
例えば、上述した実施の態様のいずれかに従う入力装置において、認証コードの入力中に、入力決定の動作以外の動作が検出されることが考えられる。具体的には、入力方向の変化を入力決定の動作として設定した場合に、認証コードの入力中にユーザがタッチ面(入力面)から指を離してしまうことが挙げられる。この場合に、例えば、タッチセンサ(11、21)又は荷重検出部(24、34)が、認証コード決定前に指が離れたことを検出した場合には、制御部(13、23、33)は、カウンタ値を保持、又は、リセットすることも可能である。更に、カウンタ値を所定時間保持した後に、カウンタ値をリセットすることも可能である。具体的には、制御部(13、23、33)が、指のスライド方向の変化を検出する前に、タッチ面11a(入力面)から指が離れたことを検出した場合には、所定時間はカウンタのカウンタ値を保持することができる。その後、制御部(13、23、33)が、タッチセンサ(11、21)又は荷重検出部(24、34)が、所定時間以内に再度タッチ面11a(入力面)への指の接触(押圧)を検出した場合は、そのカウンタ値から触感呈示回数のカウントを再開することができる。カウンタ値を保持できる所定時間が経過しても、タッチセンサ(11、21)又は荷重検出部(24、34)が、再度指のタッチ面11a(入力面)への接触(押圧)を検出しない場合には、制御部(13、23、33)は、カウンタのカウンタ値をリセットし、入力状態を解除することができる。
【0045】
また、タッチセンサ(11、21)が、ある接触対象のタッチ面11aへの接触を検出している最中に他の接触対象による接触を検出した場合や、荷重検出部(24、34)が、ある押圧対象による入力面への押圧を検出している最中に他の押圧対象による押圧を検出した場合にも、制御部(13、23、33)が入力決定するように、即ち、複数の点で接触や押圧があった場合に入力決定するように、入力装置(10、20、30)を構成することもできる。
【0046】
更には、認証コードの入力桁数が決まっている場合には、ユーザが、最終桁の認証コードの値に対応する触感回数まで数えた後に、タッチ面11a(入力面)から指を離すことによっても認証コードが決定され、入力終了とすることができる。即ち、カウンタのカウンタ値と認証コードの最終桁の値とが一致している時に、接触対象のタッチ面11aへの接触がタッチセンサ(11、21)により検出されなくなった場合や、押圧対象の入力面への押圧が荷重検出部(24、34)により検出されなくなった場合にも、制御部(13、23、33)は、認証コードを決定し入力終了としうる。これにより、ユーザの感覚により即した操作性が提供できる。
【0047】
また、本発明では、表示部を備えずに、触感をユーザに呈示することにより、他人から認証コードを入力する操作が見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することができる。しかしながら、たとえ表示部を備えていたとしても、本発明においては、表示部の表示と入力装置が受け付ける認証コードには何ら関係性がない。このため、本発明が表示部を備えていた場合でも、他人に認証コードが漏えいすることを防止できる入力装置を提供することができる。
【0048】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0049】
例えば、荷重検出部(24、34)及び触感呈示部(22、32)は、圧電素子を共用して、荷重検出部(24、34)及び触感呈示部(22、32)を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
11 タッチセンサ
11a タッチ面
12 触感呈示部
13 制御部
21 タッチセンサ
21a タッチ面
22 触感呈示部
23 制御部
24 荷重検出部
32 触感呈示部
33 制御部
34 荷重検出部
35 入力部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証コードを入力する入力装置であって、
入力を受け付けるタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力が受け付けられると、前記触感呈示部により前記タッチ面に接触する対象に対して断続的に触感を呈示し、
入力決定の動作が検出されると、前記呈示された触感の回数に基づく認証コードを受け付けるように制御する制御部と、
を備える入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記タッチセンサの入力解除を前記入力決定の動作の検出とすることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の入力装置において、
前記タッチセンサにより受け付けられている入力の方向変化を前記入力決定の動作とすることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の入力装置において、該入力装置は更に、
前記タッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、を備え、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たすことを前記入力決定の動作とすることを特徴とする入力装置。
【請求項5】
認証コードを入力する入力装置であって、
押圧による入力がされる入力面と、
前記入力面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記入力面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により押圧荷重が検出されると、前記触感呈示部により前記入力面を押圧している対象に対して断続的に触感を呈示し、
入力決定の動作が検出されると、前記呈示された触感の回数に基づく認証コードを受けつけるように制御する制御部と、
を備える入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の入力装置において、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たすことを前記入力決定の動作とすることを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項5に記載の入力装置において、
前記入力面に対する入力の方向変化を前記入力決定の動作とすることを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−44029(P2011−44029A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192247(P2009−192247)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】