説明

入力装置

【課題】認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る認証コードを入力する入力装置1は、前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部2と、前記表示部2に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサ3と、前記タッチセンサ3のタッチ面を振動させる触感呈示部4と、前記タッチセンサ3により入力コードに対する入力が検出された際に、第1の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けずに、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して第1の触感を呈示するように前記触感呈示部4を制御し、第2の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けて、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して前記第1の触感とは異なる第2の触感を呈示するように前記触感呈示部4を制御する制御部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関し、特に、認証コードを入力する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関やコンビニエンスストアなどに設置されている自動取引装置のATM(Automated Teller Machine)やクレジットカードなどを利用するためには、カードの持ち主である顧客(利用者)しか知りえない暗証番号(認証コード)の入力が求められる。しかしながら、昨今、認証コードの入力時に、認証コードが覗き見や盗撮により漏えいし、漏えいした認証コードによる不正取引が増加傾向にある。
【0003】
このため、近年、認証コードに対するセキュリティが重要視されており、様々な対策が講じられている。例えば、下記の特許文献1には、認証コードを入力する際に、他人に指先が目視されていた場合においても、認証コードの漏えいを防止できる暗証番号入力装置が開示されている。
【0004】
この暗証番号入力装置は、表示部と、テンキーを備える入力部と、情報処理を実行する情報処理部と、を備えており、図5に示されるような一連の情報処理が情報処理部で行われている。顧客は、暗証番号(認証コード)をそのまま入力するのではなく、暗証番号入力装置側から出された指示に従い、暗証番号に所定の演算を行って得られた数値を入力する。例えば図5に示すように、暗証番号が「1234」の場合、まず、情報処理部により各桁に対する演算方法とオペランドとが決定される。そして、情報処理部が、「あなたの暗証番号の1桁目に2を加えた値を入力し実行キーを押してください」という指示を表示部に表示させる。顧客は、1回目の数値入力操作として、表示部に表示された指示に従い、暗証番号の1桁目である「1」に、情報処理部により決定されたオペランドの「2」を加えた「3」を入力部から入力し、実行キーを押す。顧客はこのような動作を4桁分繰り返し、情報処理部はこの入力された数値から逆算を行って元の暗証番号を導きだして認証を行う。
【0005】
このように、特許文献1に記載の暗証番号入力装置では、顧客が入力する数字キーと暗証番号とが異なるため、暗証番号を入力する際にたとえ他人に指先が直接目視されていたとしても、暗証番号が漏えいすることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−140009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、利用者が、暗証番号(認証コード)を直接入力する入力装置においては、押圧されたキーに対応する入力コードがそのまま受け付けられてしまう。つまり、押圧されたキーと入力装置が受け付ける入力コードとが対応しているため、押圧されているキーを覗き見や盗撮することにより、認証コードが漏えいするという問題がある。
【0008】
また、特許文献1のように、直接、認証コードを入力しないとしても、表示部に表示されている指示が見られていたり、盗撮されていたりした場合には、計算により簡単に認証コードを求めることが可能であり、他人に認証コードが漏えいしてしまうという問題点がある。これは、押圧されたキーに対応する入力コードがそのまま受け付けられてしまうため、覗き見や盗撮された場合に、押圧されているキーから入力装置が受け付ける入力コードが他人に分かってしまい、その入力コードと表示部に表示された指示とに基づいて計算を行うことにより、認証コードが導き出されてしまうためである。
【0009】
本発明の目的は、認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による認証コードを入力する入力装置は、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対する入力が検出された際に、
第1の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けずに、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して第1の触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
第2の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けて、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して前記第1の触感とは異なる第2の触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、を備える。
【0011】
また、第2の観点による認証コードを入力する入力装置は、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対する入力が検出された際に、
第1の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けずに、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
第2の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けるように制御する制御部と、を備える。
【0012】
また、第3の観点による認証コードを入力する入力装置は、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対する入力が検出された際に、
第1の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けないように制御し、
第2の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けて、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1の入力装置の実装構造の一例を示す図である。
【図3】図3は、図1の入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の入力装置の一適用例である携帯電話を示す図である。
【図5】図5は、従来の暗証番号入力装置における認証方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る入力装置1は認証コードを入力する入力装置であり、一例として、銀行のATM、CAT(Credit Authorization Terminal)やCCT(Credit Center Terminal)などのクレジットカード端末、駅の乗車券販売機、パーソナルコンピュータ、携帯電話、及びPDA(Personal Digital Assistant)などが挙げられる。この入力装置1は、表示部2と、タッチセンサ3と、触感呈示部4と、記憶部5と、制御部6とを有する。表示部2は、認証コードを入力するための入力コード(ひらがな、片仮名、英字、数字、記号など)を表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成される。ここでいう認証コードとは、例えば暗証番号など、利用者本人しか知りえないコードであり、一般的には本人確認のために用いられるものである。認証コードは1つ又は複数の入力コードにより構成され、一般的には、一桁又は複数桁の文字又は数字などからなるものである。タッチセンサ3は、表示部2に表示される入力コードに対する入力を検出するもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式などの公知の方式のもので構成される。入力コードに対する入力は、例えば、利用者の指やスタイラスペンなどの押圧物により行われる。なお、タッチセンサ3が入力を検出する上で、押圧物がタッチセンサ3のタッチ面を物理的に押圧することは必須ではない。例えば、タッチセンサ3が光学式である場合は、タッチセンサ3はタッチセンサ3上の赤外線が指やスタイラスペンなどで遮られた位置を検出するため、押圧物がタッチセンサ3のタッチ面を押圧することは不要である。触感呈示部4は、タッチセンサ3のタッチ面を振動させるもので、例えば、圧電素子などの振動素子を用いて構成される。記憶部5は、入力された各種情報や認証コードなどを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。制御部6は、入力装置1の各機能ブロックをはじめとして入力装置1の全体を制御及び管理する。ここで、制御部6は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることができる。
【0017】
図1の入力装置の実装構造の一例は図2のようになる。表示部2上に、タッチセンサ3が配置される。なお、本実施形態に係る入力装置1では、表示部2及びタッチセンサ3は平面状で矩形状であるとする。タッチセンサ3のタッチ面は、例えば透明フィルムやガラスで構成され、裏面はガラスやアクリルで構成されている。タッチセンサ3は、タッチ面が押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造となっている。
【0018】
触感呈示部4は、タッチセンサ3のタッチ面を振動させ、タッチ面を押圧している利用者の指やスタイラスペンなどの押圧物に触感を呈示できるように、例えばタッチセンサ3に接触するように配置される。呈示する触感は、何らかの振動であればよく、周波数、周期(波長)、振幅、波形を、呈示する触感に応じて適宜設定することができる。また、利用者の操作感を向上させるようなよりリアルな触感としては、例えば、カチッとした硬質的な触感、ブルやブニとした軟質的な触感、ブルルといった振動として認知できる触感があげられる。カチッとした硬質的な触感は、例えば200Hz〜500Hzのサイン波を1周期又は矩形波を1周期呈示することにより実現できる。ブルやブニとした軟質的な触感は、例えば200Hz〜500Hzのサイン波を2又は3周期呈示することにより実現できる。ブルルといった振動として認知できる触感は、例えばサイン波を4周期以上呈示することにより実現できる。
【0019】
次に、制御部6について詳細に説明する。制御部6は、タッチセンサ3により検出された入力に対応する入力コードを2つの入力規則に応じて認証コードとして受け付けるか否かを判断する。2つの規則とは第1の入力規則と第2の入力規則であり、現在及び過去の双方、又はいずれか一方の入力に関する規則である。制御部6は、タッチセンサ3により入力コードに対する入力が検出された際に、第1の入力規則の場合は、検出された入力に対応する入力コードを認証コードとして受け付けず、第2の入力規則の場合は、検出された入力に対応する入力コードを認証コードとして受け付ける。ここで入力コードを受け付けないとは、当該入力はなかったものとみなされるということである。即ち、制御部6は、検出された入力を全て受け付けるわけではない。これ以降、制御部6が受け付けなかった入力を「ダミー入力」と称するものとする。第1の入力規則とは、認証コードの入力時に少なくとも1回のダミー入力が行われることを実現するために、どのような場合にタッチセンサ3により検出された入力をダミー入力とするかを定める規則である。第2の入力規則とは、認証コードの入力時に少なくとも1回のダミー入力が行われることを実現するために、どのような場合にタッチセンサ3により検出された入力に対応する入力コードを認証コードとして受け付けるかを定める規則である。認証コードの入力時に少なくとも1回のダミー入力が行われるとは、例えば、認証コードの最初の桁の前又は最後の桁の後にダミー入力が行われること、又は複数桁の認証コードの場合、ある桁の認証コードの入力とその次の桁の認証コードの入力との間に、ダミー入力が行われることなどが挙げられる。
【0020】
第1の入力規則の例としては、「直前の入力がダミー入力ではないこと」、「過去の入力のうちいずれの入力もダミー入力でないこと」、「現在の入力が、認証コードの桁のうち、予め選択された桁に関する最初の入力であること」、「現在の入力が、認証コードの桁のうち、ランダムに選択された桁に関する最初の入力であること」などが挙げられる。第2の入力規則の例としては、「直前の入力がダミー入力ではあること」、「過去の入力のうちいずれかの入力がダミー入力であること」、「現在の入力が、認証コードの桁のうち、予め選択された桁に関する最初の入力でないこと」、「現在の入力が、認証コードの桁のうち、ランダムに選択された桁に関する最初の入力でないこと」などが挙げられる。これらの規則により、過去の入力にダミー入力がない場合や、選択されたある桁に関する最初の入力が行われた場合に、現在の入力は認証コードとして受け付けられずにダミー入力となる。ここでいう予め選択された桁に関する最初の入力とは、入力装置1により予め決められた桁に対して初めて行う入力のことである。例えば、予め選択された桁が2桁目である場合、2桁目の入力を行う際に、最初に入力する入力コードはダミー入力となる。なお、ここでいうランダムに選択された桁とは、入力装置1が例えば乱数を発生させて決めた桁のことをいい、ダミー入力は、予め選択された桁と同様の処理にて実現される。つまり、認証コードの入力時に少なくとも1回のダミー入力が行われることが望ましい。
【0021】
そして、制御部6は、入力コードを認証コードとして受け付けなかった場合に、タッチセンサ3のタッチ面を押圧している押圧物に対して第1の触感を呈示するように触感呈示部4を制御する。また、制御部6は、入力コードを認証コードとして受け付けた場合に、タッチセンサ3のタッチ面を押圧している押圧物に対して第1の触感とは異なる第2の触感を呈示するように触感呈示部4を制御する。即ち、制御部6は、本実施形態に係る入力装置1への利用者による入力をダミー入力としたか否かにより、異なる触感を利用者に呈示する。触感は、音や匂いとは異なり他人(利用者以外の第3者)に認識されることはないため、制御部6は、タッチセンサ3により検出された入力に対応する入力コードを受け付けたか否かを利用者のみに知らせることができる。
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る入力装置での認証方法について図3を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。
【0023】
まず、入力装置1が不特定多数の利用者により共同利用されるATMなどである場合は、利用者のカード(キャッシュカードやクレジットカードなど)が入力装置1に挿入される。すると、制御部6は、カードに記憶されている認証コードを読み込み、記憶部5に認証コードを記憶させる(ステップS100)。なお、入力装置1が特定の利用者のみが利用する個人専用端末などである場合は、予め記憶部5は認証コードを記憶していため、ステップS100は不要となる。その後、制御部6が入力画面として入力コードを表示部2に表示させる(ステップS101)。
【0024】
表示部2に表示された入力コードに対する入力が利用者の指やスタイラスペンなどの押圧物によって行われると、タッチセンサ3がこの入力を検出する(ステップS102)。なお、入力が検出されたことを利用者に明確に認識させるために、制御部6は検出された入力に対応する表示部2内の入力コード(入力箇所)の表示を変化させることができる(ステップS103)。表示の変化とは、例えば、入力コードの色の反転や入力コードの表示の濃さの変化など、ある入力コードに対して、押圧物による入力があったことが認識できるような変化である。なお、入力コードの表示の変化とは、厳密に文字や数字といったコードのみの表示を変化させることに限定されるものではない。例えば、コードが割り当てられているキーやボタン等の模様、形状、及び色彩の変化や、コードが割り当てられているキーやボタン等の周囲の表示(例えば輪郭や陰影等)の変化をも含むものとする。なお、入力の検出に対するフィードバック方法として、入力コードの表示を変化させるなどの視覚に働きかける方法に限定されるわけではなく、例えば、音を鳴らしたりするなどの聴覚に働きかける方法も挙げられる。
【0025】
入力が検出されると、制御部6は、入力装置1への現在及び過去の双方、又はいずれか一方の入力が第1の入力規則又は第2の入力規則のいずれかに従うかを判断する(ステップS104)。制御部6が、入力装置1への入力が第1の入力規則に従うと判断した場合は、制御部6は、タッチセンサ3により検出された入力に対応する入力コードを認証コードとして受け付けない(ステップS105)。ここで、第1の入力規則とは、認証コードの入力時に少なくとも1回のダミー入力が行われることを実現するために、どのような場合にタッチセンサ3により検出された入力をダミー入力とするかを定める規則である。例えば、第1の入力規則が、「直前の入力がダミー入力ではないこと」と定められているときに、直前の入力に対応する入力コードが認証コードとして受け付けられていると、今回の入力が認証コードに対応する入力コードに対する入力であっても、制御部6は当該コードを認証コードとして受け付けない。つまり当該入力はダミー入力となる。そのため、このような第1の入力規則を定めた場合、制御部6は、連続して入力コードを認証コードとして受け付けないことになり、結果、認証コードの入力時に必ずダミー入力が行われることになる。
【0026】
次いで、制御部6は、入力コードを認証コードとして受け付けなかったことを利用者のみに明確に知らせるために、制御部6は、触感呈示部4を制御してタッチセンサ3のタッチ面を第1の振動パターンで振動させることにより、利用者の指などの押圧物に対して第1の触感を呈示する(ステップS106)。上述の通り、当該第1の触感は、利用者以外の第3者に認識されることはない。
【0027】
ステップS104において、制御部6が、本入力装置1への現在及び過去の双方、又はいずれか一方の入力が第2の入力規則に従うと判断した場合は、制御部6はタッチセンサ3により検出された入力に対応する入力コードを認証コードとして受け付ける(ステップS107)。第2の入力規則とは、認証コードの入力時に少なくとも1回のダミー入力が行われることを実現するために、どのような場合にタッチセンサ3により検出された入力に対応する入力コードを認証コードとして受け付けるかを定める規則である。第2の入力規則が、例えば、「直前の入力がダミー入力であること」と定められているときに、直前の入力がダミー入力であると、制御部6は今回入力される入力コードを認証コードとして受け付ける。このような第2の入力規則を定めた場合、ダミー入力なしに入力コードが認証コードとして受け付けられることはないため、認証コードの入力時に必ずダミー入力は行われることになる。
【0028】
次いで、制御部6は入力コードを認証コードとして受け付けたことを利用者のみに明確に知らせるために、制御部6は、触感呈示部4を制御してタッチセンサ3のタッチ面を第1の振動パターンと異なる第2の振動パターンで振動させることにより、利用者の指などの押圧物に対して第1の触感と異なる第2の触感を呈示する(ステップS108)。上述の通り、当該第2の触感は、利用者以外の第3者に認識されることはない。
【0029】
なお、制御部6は、入力コードを認証コードとして受け付けた場合のみ、又は受け付けなかった場合のみに、利用者に触感を呈示するように触感呈示部4を制御することができる。利用者は、触感の有無のみによっても、入力コードが認証コードとして受け付けられたか否かを区別して認識することが可能である。
【0030】
認証コードが複数の入力コードにより構成されている場合は、制御部6は、認証コードの桁数だけ入力コードを認証コードとして受け付けたか否かを判断する(ステップS109)。認証コードの桁数だけ入力コードが受け付けられていない場合(ステップS109のNo)は、再びステップS101に戻り、ステップS101〜S108の処理が認証コードの桁数だけ繰り返し行われる。なお、処理がステップS101に戻る場合、制御部6は、前回の入力により入力コードの表示が変化している場合は、当該入力コードを元の表示に戻して表示部2に表示させる。
【0031】
そして、認証コードの桁数だけ認証コードに対応する入力コードが受け付けられると(ステップS109のYes)、入力が完了する。そして、全ての入力コードが認証コードとして受け付けられると(認証コードと一致すると)、利用者が正当な利用者であると判断され、認証が完了する。
【0032】
なお、認証コードの最後の桁に対応する入力コードが認証コードとして受け付けられた時点で、認証が完了すると、他人は、認証コードの最後の桁が何であるかを知ることができる。そこで、認証コードの桁数だけ入力コードが認証コードとして受け付けられた後にも、ダミー入力を行うことができるように入力装置1を構成することもできる。例えば、第1の入力規則を「直前の入力が認証コードの最後の桁に対応する入力コードへの入力である」(すなわち最後の桁に対応する入力コードが認証コードとして受け付けられた場合)と定めると、認証コードの最後の桁に対応する入力コードの入力後の入力は、ダミー入力となる。認証コードの最後の桁に対応する入力コードの入力後のダミー入力を終了させるには、例えば、表示部2に「確認」ボタンを配置し、「確認」ボタンが押されることにより、認証が完了する構成にすればよい。これにより、利用者は、認証コードの入力後も、「確認」ボタンを押すまでダミー入力を行うことができる。
【0033】
このように本実施形態では、第1の入力規則の場合、制御部6は入力コードを認証コードとして受け付けず、タッチセンサ3のタッチ面を押圧している押圧物に対して第1の触感を呈示するように触感呈示部4を制御する。また、第2の入力規則の場合、制御部6は入力コードを認証コードとして受け付け、タッチセンサ3のタッチ面を押圧している押圧物に対して第1の触感とは異なる第2の触感を呈示するように触感呈示部4を制御する。第1の入力規則及び第2の入力規則は、認証コードの入力時に少なくとも1回のダミー入力が行われることを実現するための規則である。つまり、利用者が認証コードに対応する入力コードを入力しても、入力装置1は、入力規則により当該入力コードを認証コードとして受け付けない場合がある。入力コードが受け付けられたか否かについては、利用者のみが、呈示される触感により認識できる。他人(利用者以外の第3者)は、覗き見や盗撮により触感を認識することはできないため、ダミー入力に気付くことができない。そのため、利用者による認証コードの入力時に、ダミー入力が存在すると、他人は、認証コードを特定することは不可能となる。よって、認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる。
【0034】
また、制御部6は、タッチセンサ3により入力コードに対する入力が検出された際に、第1の入力規則の場合は、入力コードを認証コードとして受け付けずに、タッチセンサ3のタッチ面を押圧している押圧物に対して触感を呈示するように触感呈示部4を制御し、第2の入力規則の場合は、入力コードを認証コードとして受け付けるように制御する。入力コードを認証コードとして受け付けない場合にのみ、触感呈示部4は振動を発生させるため、触感呈示部4は、1種類の振動のみを発生させる簡易な構成とすることができる。また、利用者は2種類の触感を感じ分ける必要が無く、操作性が向上する。
【0035】
また、制御部6は、タッチセンサ3により入力コードに対する入力が検出された際に、第1の入力規則の場合は、入力コードを認証コードとして受け付けないように制御し、第2の入力規則の場合は、入力コードを認証コードとして受け付け、タッチセンサ3のタッチ面を押圧している押圧物に対して触感を呈示するように触感呈示部4を制御する。入力コードを認証コードとして受け付ける場合にのみ、触感呈示部4は振動を発生させるため、触感呈示部4は、1種類の振動のみを発生させる簡易な構成とすることができる。また、利用者は2種類の触感を感じ分ける必要が無く、操作性が向上する。
【0036】
また、本実施形態では、入力コードが認証コードとして受け付けられた場合に触感呈示部4により、単なる振動ではなく、よりユーザの操作感を高めるため、機械的なキーを押した際に感じられるカチッとした硬質的な触感(リアルなクリック感)を押圧物に呈示することができる。タッチセンサ3自体は、タッチ面が押圧されても機械的なキーのように物理的に変位しないが、上記のような触感を押圧物に呈示することにより、利用者は、機械的なキーを操作した場合と同様のリアルなクリック感を得ることができる。これにより、利用者は、押圧によるフィードバックが本来ないタッチセンサ3への入力操作を違和感なく行うことが可能となる。
【0037】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0038】
例えば、本発明に係る入力装置の制御部は、触感呈示部が呈示する振動パターンを制御することにより、利用者が意図的に誤った入力(誤った入力コードに対する入力)をするように促す触感を利用者に呈示することも考えられる。具体的には、図3のステップS104及びステップS106において制御部6が触感呈示部4を制御して利用者に触感を呈示する際に、利用者が誤った入力をするように促す、第3の振動パターンによる第3の触感も呈示する。そして、第3の触感が呈示された次の入力での入力コードは認証コードとして受け付けられないようにする。これにより、利用者は、次回の入力で意図的にダミー入力を行うことができ、認証コードの漏えい防止を確固たるものとすることができる。なお、意図的なダミー入力は、認証コードを構成しない入力コードに対する入力でなければならないといった条件を設けると、認証コードとは全く関連性のない入力コードに対する入力が行われることになり、より一層認証コードが他人に特定されにくくなる。
【0039】
また、例えば、上記の実施の形態においては、制御部は、入力コードを認証コードとして受け付けた場合に、押圧物に対して第2の触感を呈示するように触感呈示部を制御するが、認証コードの何桁目の入力コードを受け付けたかに応じて触感の呈示回数を変化させることもできる。例えば、1桁目であれば第2の触感を1回、2桁目であれば第2の触感を2回と、呈示する触感の回数の違いにより、制御部は、現在認証コードの何桁目の入力コードが受け付けられたかを利用者に認識させることができる。又は、認証コードの桁ごとに全く異なる触感を与えることもできる。これにより利用者は、現在認証コードの何桁目を入力すべきかを容易に把握することができ、操作性が向上する。認証コードの入力時にダミー入力が行われるために、利用者が、現在認証コードの何桁目の入力コードを入力すべきかを忘れる場合が考えられる。この場合特に、認証コードの桁ごとに触感を変化させることは有効となる。
【0040】
また、例えば、上記の実施の形態においては、タッチセンサを有する入力装置を想定して説明したが、本発明は、タッチセンサを有する入力装置に限定されるものでもない。本発明は、タッチセンサの代わりに利用者による入力を検出するキー(あるいは押しボタン)などの機械的なスイッチと、利用者に認証コードの入力を要求する表示を表示するためのディスプレイを備える任意の入力装置に適用することができる。例えば、図4に示すような携帯電話に適用すると、本発明の表示部は携帯電話のディスプレイ10に、本発明のタッチセンサは携帯電話の機械的なキー11にそれぞれ対応する。本発明の触感呈示部はキー11の下部に配置される。
【符号の説明】
【0041】
1 入力装置
2 表示部
3 タッチセンサ
4 触感呈示部
5 記憶部
6 制御部
10 ディスプレイ
11 キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証コードを入力する入力装置であって、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対する入力が検出された際に、
第1の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けずに、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して第1の触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
第2の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けて、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して前記第1の触感とは異なる第2の触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、を備える入力装置。
【請求項2】
認証コードを入力する入力装置であって、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対する入力が検出された際に、
第1の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けずに、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
第2の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けるように制御する制御部と、を備える入力装置。
【請求項3】
認証コードを入力する入力装置であって、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対する入力が検出された際に、
第1の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けないように制御し、
第2の入力規則の場合は、該入力コードを認証コードとして受け付けて、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、を備える入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−48689(P2011−48689A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197368(P2009−197368)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】