説明

入場システム

【課題】勘違いにより予期しない来訪者に不要な入場証を発行することを防止する入場システムを提供する。
【解決手段】入場システム50は、来訪者と当該システムを操作する管理者との間で通話を行なうインターホン(通話手段)2、14と、複数のゲートを開放するための入場証20を印刷するプリンタ(印刷手段)16と、入場証20に印刷されている情報を読み取るリーダ(読取手段)8、11、15と、ゲートの開閉を制御するゲート駆動部(ゲート制御手段)6、9、12と、プリンタ16、リーダ8、11、15、ゲート駆動部6、9、12を制御する入場制御装置(制御手段)5と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入場システムに関し、さらに詳しくは、各種施設への入場時に印刷出力した入場証により来訪者の入場を許容する場合の認証技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オートロック付自動ドア、電気錠、フラッパーゲート等のゲートにより来訪者の入場を制限、或いは許可する入場システムでは、予め入場を許可された人は、鍵やIDカードなどでゲートを開けて自由に入場することができるが、一般の来訪者は、入居者とインターホンにより通話して、入居者にゲートを開けてもらい入場する方式が一般的である。しかし、この方式では、研究施設のように、敷地内に複数の建屋が分散して、各建屋ごとにゲートが存在する場合、来訪者は入場しようとする建屋ごとにインターホンによるやり取りを行う必要があり、煩わしいといった問題がある。そこで、各ゲート付近に設置するプリンタから一時的な鍵として二次元コードを印刷した入場証(カード)を発行してもらい、この入場証に印刷された二次元コードを鍵として、各建屋のゲートを来訪者自らが開けることができる二次元コード入場システムが既にある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−175904公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の二次元コード入場システムでは、例えば、来訪者と入居者が予めアポイントメントを取っておき、来訪時間が決められている場合、たまたま、その時間帯に他の来訪者が来たときに、入居者は来訪者の声をよく確認しないまま、入場証を発行してしまうといったことが良く起こる。この原因は、入居者が先入観により来訪者と勘違いする点にある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、複数の入場ゲートを入場するために一時的に発行する入場証に、入場ゲートを開放するためのゲート開放情報と入場証を特定するID情報を印刷し、該ID情報を来訪者に読み上げてもらうことにより、来訪者の音声を再確認して正規の来訪者であることを認証した場合のみゲート開放情報を有効とすることにより、予期しない、或いは歓迎しない来訪者に不要な入場証を誤って発行することを防止する入場システムを提供することを目的とする。
また、他の目的は、入場証のID情報に基づいて、来訪者の行動を管理することである。
また、他の目的は、入場証に有効時間を設けて、所定の時間が超過した場合は当該入場証を無効とすることにより、来訪者による入場ゲートの開放回数を最小限にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、複数の入場ゲートの開閉を一度の認証動作により制御する入場システムであって、来訪者と当該システムを操作する操作者との間で通話を行なう通話手段と、前記複数の入場ゲートを開放するための入場証を印刷する印刷手段と、前記入場証に印刷されている情報を読み取る読取手段と、前記操作者側に設置され各種指示信号を送信する指示信号送信手段と、前記入場ゲートの開閉を制御するゲート制御手段と、前記印刷手段、前記読取手段、及び前記ゲート制御手段を制御する入場制御装置と、を備え、前記入場証には少なくとも該入場証を特定するID情報と該ID情報とを関連づけされたゲート開放情報が印刷され、前記入場制御装置は、前記指示信号送信手段から送信された前記各種指示信号に基づいて、前記ゲート開放情報を有効とするか無効とするかを決定することを特徴とする。
本発明の入場システムは、複数の入場ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)の開閉を一度の認証動作により制御する入場システムであって、例えば、特定のゲートには、来訪者と操作者がインターホン等により通話を行う通話手段が備えられ、通話により来訪者であることが確認されると、印刷手段により入場証が印刷される。操作者は来訪者を再確認するために、入場証に印刷されているID情報を読み上げてもらい、確かに正規の来訪者であると確認すると、今、発行した入場証に印刷されているゲート開放情報を有効とする。それ以後は、来訪者は発行された入場証により他の建屋のゲートを開放することができる。これにより、勘違いにより予期しない来訪者に不要な入場証を発行することを極力防止すると共に、ゲートを通過するたびに、管理者と通話を交わす手間が省けて煩わしさを解消することができる。
【0005】
請求項2は、前記入場制御装置は、前記指示信号送信手段から印刷開始を指示する印刷指示信号を受信すると前記ゲート開放情報及び前記ID情報を含む入場証を印刷するように前記印刷手段を制御し、前記指示信号送信手段からID認証信号を受信することにより、前記入場証に印刷されたゲート開放情報を有効とし、該ゲート開放情報が前記読取手段により読み取られると、前記入場ゲートを開放するように前記ゲート制御手段を制御することを特徴とする。
入場制御装置の具体的な動作としては、操作者が来訪者を確認して指示信号送信手段から印刷指示信号を受信することから始まる。即ち、その信号を受信するということは、操作者は来訪者と通話して、例えば事前にアポイントメントがある来訪者であること、或いは、来訪先に確認がとれた来訪者であると認めたことになる。そして来訪者に印刷手段により入場証を発行する。ここで操作者は、ゲート開放情報を有効とするか無効とするかを決定するために、来訪者にID情報を読み上げてもらい、再度、音声を確認する。操作者はID情報が、発行した入場証のID情報と同じであると確認すると、入場証に印刷されているゲート開放情報を有効とする。これにより、来訪者は、その入場証を読取手段に読み取らせてゲートを開放することができる。これにより、通話による確認と、ID情報を確認することにより二重に来訪者を確認することができると共に、その来訪者特有の入場証として機能させることができる。
【0006】
請求項3は、前記入場制御装置は、前記読取手段により前記ゲート開放情報が読み取られ、且つ前記ゲートを開放した後に所定時間を超過した場合、該入場証に印刷されているゲート開放情報を無効とすることを特徴とする。
来訪者は、所定の時間まで来訪先に留まって、その時間になると退出するのが一般的なパターンである。ところが、所定時間が超過しても退出しない場合は、不正に他の場所に入場している虞があるので、そのような場合は、入場証に印刷されているゲート開放情報を無効として、退場を許可しないようにする。これにより、不正者の外部への退場を阻むことができる。
【0007】
請求項4は、前記入場制御装置は、前記指示信号送信手段から特定のID情報に係るゲート開放情報を無効とする無効指示信号を受信した場合、該ゲート開放情報を無効とすることを特徴とする。
管理者は予めアポイントメントがあるか、或いは来訪先に確認してから入場証を発行する。しかし、故意に不正を働こうとする来訪者までを完全に見分けることは困難である。そのような場合、一旦入場証を発行した来訪者に対して、後で、不正者であることが確認された場合は、そのID情報に係るゲート開放情報を無効とするように操作ができる。これにより、不正者が所持する入場証を即座に無効として、被害を最小限に抑えることができる。
【0008】
請求項5は、前記指示信号送信手段は、前記印刷手段により前記入場証に印刷されたID情報を表示する表示部を備え、前記通話手段により通報されたID情報と前記表示部に表示されたID情報が一致した場合に前記ID認証信号を前記入場制御装置に送信する認証ボタン有すること特徴とする。
管理者は、来訪者と通報して入場証を発行した場合、その入場証に印刷されたID情報を通話により確認する必要がある。そこで本発明では、指示信号送信手段に表示部を備え、入場証を発行したときにそのID情報を表示部に表示する。そして、来訪者からID情報を聞いて、表示されているID情報と一致した場合に、認証ボタンを押してID認証信号を送信する。これにより、来訪者が読み上げるID情報を正確に確認することができる。
【0009】
請求項6は、前記指示信号送信手段は、前記ID情報を入力する入力手段を備え、前記通話手段により通報されたID情報を前記入力手段により入力し、該入力した結果が該ID情報と一致した場合に、前記ID認証信号を前記入場制御装置に自動的に送信すること特徴とする。
来訪者からのID情報を聞き取って、表示部に表示されたID情報と一致性を確認する際、誤認する可能性がないとはいえない。そこで本発明では、キーボード等の入力手段を備え、来訪者から通報されたID情報を入力手段から入力して、そのデータが正しければ、自動的にID認証信号を送信する。これにより、ID情報の誤認によるゲート開放を防ぐことができる。
【0010】
請求項7は、前記入場制御装置は、来訪者がどの入場ゲートを通過したかの履歴情報を前記ID情報ごとに記憶することを特徴とする。
入場証には、その入場証特有のID情報が印刷されている。従って、そのID情報は来訪者と見做すことができる。そこで本発明では、ID情報、即ち来訪者がゲートを通過するたびに記憶しておくことにより、来訪者の行動履歴を記憶することができる。これにより、事故或いは事件が発生したときに、証拠データとして確認することができる。
【0011】
請求項8は、前記入場制御装置は、予め入場を許可した入場ゲート以外の入場ゲートの開放を停止することを特徴とする。
セキュリティを厳しくするには、予め来訪者毎に入場できるゲートと入場できないゲートを決めておき、来訪者が許可されたゲート以外のゲートに入場しようとした場合、ゲートを開放しないようにする。これにより、不必要なゲートへの立ち入りを防止することができる。
【0012】
請求項9は、前記ゲート開放情報は、バーコード又は二次元バーコードであることを特徴とする。
ID情報を記憶したゲート開放情報は、リーダにより容易に、且つ正確に読み取られることが重要である。その意味では、従来から使用されているバーコード又は、二次元バーコードが優れている。また、これらのコードは印刷により簡単に作成することができる。これにより、印刷手段による印刷が容易であると共に、読取手段で正確にコードを読み取ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、勘違いにより予期しない来訪者に不要な入場証を発行することを防止すると共に、ゲート通過のたびに、管理者と通話を交わす手間が省けて煩わしさを解消することができる。
また、通話による確認と、ID情報を確認することにより二重に確認することができると共に、その来訪者特有の入場証として機能させることができる。
また、最初のゲートを退場すると、その入場証を無効とすることにより、同じ入場証を他人が不正に使用することを防止することができる。
また、必要以上に長い時間滞在した場合は、その入場証を無効とすることにより、不正者の外部への退場を阻むことができる。
また、管理者が任意に特定の入場証を無効とすることにより、被害を最小限に抑えることができる。
また、入力データの一致性をみることにより、ID情報の誤認によるゲート開放を防ぐことができる。
また、来訪者の行動履歴を記憶することにより、事故或いは事件が発生したときに、証拠データとして確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係る入場システムのブロック図である。この入場システム50は、複数のゲートA〜Cの開閉を一度の認証動作により制御する入場システムであって、例えば、最初に入場するゲートA13のみにインターホン14と入場証20を発行するプリンタ16を備え、来訪者はプリンタ16により印刷された入場証20が認証された場合に、その入場証により他のゲートB10、C7に入場が可能なシステムとして説明する。
入場システム50は、来訪者と当該システムを操作する管理者との間で通話を行なうインターホン(通話手段)2、14と、複数のゲートを開放するための入場証20を印刷するプリンタ(印刷手段)16と、入場証20に印刷されている情報を読み取るリーダ(読取手段)8、11、15と、ゲートの開閉を制御するゲート駆動部(ゲート制御手段)6、9、12と、プリンタ16、リーダ8、11、15、ゲート駆動部6、9、12を制御する入場制御装置(制御手段)5と、を備えて構成されている。尚、入場制御装置5には、各種指示信号を送信するためにデータを入力する入力手段4と、結果を表示する表示部3が接続されており、これらで指示信号送信手段を構成する。また、インターホン2、表示部3、入力手段4及び入場制御装置5は、管理室1内に設置されているものとする。また、リーダ8はゲートC7の入口側に設置され、リーダ11はゲートB10の入口側に設置され、リーダ15はゲートA13の入口側に設置されている。
【0016】
次に、入場システム50の概略動作について説明する。図示しない来訪者は、インターホン14により、管理室1内に設置されたインターホン2を介して管理者と通話を交わし来訪者であることを告げる。管理者は事前にアポイントメントを取った来訪者か否かを確認して、アポイントメントがある来訪者であれば、入力手段4により入場証20(図2参照)を印刷する指示を入場制御装置5に入力する。或いは、表示部3がタッチパネル構造であれば、表示された部分を押下する。これにより、入場制御装置5はプリンタ16に対して入場証20を印刷するためのデータを送信する。プリンタ16はそのデータに基づいて入場証20を印刷する。来訪者は、プリンタ16から発行された入場証20を受け取る。更に、本発明では、入場証20には、QRコード(登録商標)21とID情報22が併せて印刷されているので、管理者はインターホン2により、ゲートA13に設置されたインターホン14を介して来訪者と通話を交わし、入場証20に印刷されているID情報を読み上げてもらう。このとき、表示部3にはID情報22が表示されているので、管理者は読み上げたID情報と一致するかを確認する。一致すれば、入場証20に印刷されているQRコードを有効とする。これにより、来訪者は発行された入場証をリーダ15にかざすと、そのデータが入場制御装置5に入力され、認証されたQRコードであることを確認すると、ゲート駆動部12を制御して、ゲートA13を開放する。これ以降は、来訪者は、入場証20をリーダ11にかざすことによりゲートB10が開放され、入場証20をリーダ8にかざすことによりゲートC7が開放される。
【0017】
即ち、本発明の入場システム50は、複数のゲートA13、B10、C7の開閉を一度の認証動作により制御する入場システムであって、例えば、ゲートA13には、来訪者と管理者がインターホン2、14により通話を行う通話手段が備えられ、通話により来訪者であることが確認されると、プリンタ16により入場証20が印刷される。管理者は来訪者を再確認するために、入場証20に印刷されているID情報22を読み上げてもらい、確かに正規の来訪者であると確認すると、今、発行した入場証20に印刷されているQRコード21を有効とする。それ以後は、来訪者は発行された入場証20により他の建屋のゲートを開放することができる。これにより、勘違いにより予期しない来訪者に不要な入場証を発行することを極力防止すると共に、ゲートを通過するたびに、管理者と通話を交わす手間が省けて煩わしさを解消することができる。
【0018】
図2は本発明の入場証の一例を示す図である。この入場証20は、紙面に二次元バーコード(例えば、QRコード)21と、その下にQRコード21を特定するID情報「12ABC」22が印刷されている。即ち、ID情報22を表すゲート開放情報は、リーダにより容易に、且つ正確に読み取られることが重要である。その意味では、従来から使用されているバーコード又は、二次元バーコードが優れている。また、印刷により簡単に作成することができる。これにより、プリンタ16による印刷が容易であると共に、リーダで正確にコードを読み取ることができる。
【0019】
図3は本発明の実施形態に係る入場システムでの入場証発行から認証までの動作を説明するフローチャートである。図示しない来訪者は、インターホン14により、管理室1内に設置されたインターホン2を介して管理者と通話を交わし来訪者であることを告げる(S1)。管理者は事前にアポイントメントを取った来訪者か否かを確認して、アポイントメントがある来訪者であれば、入力手段4により入場証20(図2参照)を印刷する指示を入場制御装置5に入力する。或いは、表示部3がタッチパネル構造であれば、表示された部分を押下する(S2でYES)。一方、来訪者がアポイントメントもなく、入場する先も不明な来訪者に対しては、インターホン2により入場を断る(S2でNO)。
【0020】
管理者が入場を認めると、入場制御装置5はプリンタ16に対して入場証20を印刷するためのデータを送信するように表示部3の印刷ボタンを押す(S3)。プリンタ16はそのデータに基づいて入場証20を印刷する(S4)。来訪者は、プリンタ16から発行された入場証20を受け取る。更に、本発明では、入場証20には、QRコード21とID情報22が併せて印刷されているので、管理者はインターホン2により、ゲートAに設置されたインターホン14を介して来訪者と通話を交わし、入場証20に印刷されているID情報を読み上げてもらう(S5)。このとき、表示部3にはID情報22が表示されているので、管理者は読み上げたID情報と一致するかを確認する(S6)。一致すれば(S6でYES)、管理者は認証ボタンを押す(S7)。これにより、入場制御装置5は入場証20に印刷されているQRコード21を有効とする。これにより、来訪者は発行された入場証をリーダ15にかざすと(S8)、そのQRコードデータが入場制御装置5に入力され、認証されたQRコードであることを確認すると(S9でYES)、ゲート駆動部12を制御して、ゲートAを開放する(S10)。これ以降は、来訪者は、入場証20をリーダ11にかざすことによりゲートBが開放され、入場証20をリーダ8にかざすことによりゲートCが開放される。
【0021】
図4は入場証が認証された後の動作を説明するフローチャートである。入場証が認証された来訪者は、その入場証により他のゲート(ゲートB、C)を通過することができる。例えば、来訪者がゲートBを通過するために、リーダ11に入場証をかざすと(S21)、そのQRコードデータが入場制御装置5に入力され、認証されたQRコードであることを確認すると(S22でYES)、入場制御装置5は来訪者のQRコードからID情報を認識して来訪者を特定する。それにより、この来訪者がゲートAを通過してからどの位の時間が経過したかを検索して、予め定めた経過時間を超過しているか否かをチェックする(S23)。もし、超過していなければ(S23でNO)、ゲートBを開放する(S24)。一方、ステップS22で認証されたQRコードでない場合(S22でNO)や、ステップS23で所定時間が超過している場合(S23でYES)は、ゲートBを開放しないで、その旨を来訪者に報知する。尚、図1の構成では、入場時に入場証をリーダにかざして入場し、退場するときは自動的にゲートが開放する構成であるが、ゲートAのみに退場するときにも入場証をかざさなければ退場できないようにリーダを備える構成にしてもよい。
即ち、来訪者は、所定の時間来訪先に留まって、その時間になると退場するのが一般的なパターンである。ところが、所定時間が超過しても退場しない場合は、不正に他の場所に入場している虞があるので、そのような場合は、入場証に印刷されているQRコード21を無効として、退場を許可しないようにする。これにより、不正者の外部への退場を阻むことができる。
【0022】
図5は入場証が認証された後の動作を説明するフローチャートである。入場証が認証された来訪者は、その入場証により他のゲート(ゲートB、C)を通過することができる。例えば、来訪者がゲートBを通過するために、リーダ11に入場証をかざすと(S25)、そのQRコードデータが入場制御装置5に入力され、認証されたQRコードであることを確認すると(S26でYES)、入場制御装置5は来訪者のQRコードからID情報を認識して来訪者を特定し、この来訪者に対して無効ボタンが押されているか否かをチェックする(S27)。もし、無効ボタンが押されていなければ(S27でNO)、ゲートBを開放する(S28)。一方、ステップS26で認証されたQRコードでない場合(S26でNO)や、ステップS27で無効ボタンが押されている場合(S27でYES)は、ゲートBを開放しないで、その旨を来訪者に報知する。
即ち、管理者は予めアポイントメントがあるか、或いは来訪先に確認してから入場証を発行する。しかし、故意に不正を働こうとする来訪者までを完全に見分けることは困難である。そのような場合、一旦入場証を発行した来訪者に対して、後で、不正者であることが確認された場合は、そのID情報に係るQRコードを無効とするように操作ができる。これにより、即座に不正者が所持する入場証を無効として、被害を最小限に抑えることができる。
【0023】
図6は通話による認証動作を説明するための表示部(タッチパネル)の図である。図6(a)は待機状態の画面を表し、ID情報を表示するエリア30と、入場証20の印刷を開始する「入場証印刷」ボタン31と、が表示されている。そして、管理者が来訪者とインターホンにより通話を行い、入場証の発行を認証すると、「入場証印刷」ボタン31を押下する。それにより、図6(b)のように、エリア30内に発行した入場証を特定するID情報、例えば、「12ABC」が表示され、その下に「認証ボタンを押してください。」と表示してボタンの押下を促す。ここで、管理者はインターホンにより、来訪者と通話を交わして、入場証に印刷されているID情報を読み上げてもらう。管理者はエリア30に表示されているID情報と、来訪者が読み上げるID情報が一致しているかを確認して一致していれば、「認証」ボタン32を押下する。それにより、図6(c)のようにエリア30に表示されているID情報が反転表示され、その下に「認証されました。」と表示する。この結果、入場証20に印刷されているQRコード21が認証されることになる。そして、管理者は「戻る」ボタン33を押下して、待機状態の画面図6(a)に戻す。
【0024】
図7は通話による認証動作を説明するための表示部(タッチパネル)の図である。同じ構成要素には図6と同じ参照番号を付して説明する。図7(a)は待機状態の画面を表し、ID情報を表示するエリア30と、入場証20の印刷を開始する「入場証印刷」ボタン31と、が表示されている。そして、管理者が来訪者とインターホンにより通話を行い、入場証の発行を認証すると、「入場証印刷」ボタン31を押下する。それにより、図7(b)のように、エリア30内に発行した入場証を特定するID情報が隠し数字「*****」で表示され、その下に「IDを入力してください。」と表示してID入力を促す。ここで、管理者はインターホンにより、来訪者と通話を交わして、入場証に印刷されているID情報を読み上げてもらう。管理者はそのID情報を聞きながら例えば、キーボード等でID情報を入力する。入力したID情報と、来訪者が読み上げるID情報が一致していれば、自動的に図7(c)のようにエリア30に表示されているID情報が反転表示され、その下に「認証されました。」と表示する。この結果、入場証20に印刷されているQRコード21が認証されたことになる。そして、管理者は「戻る」ボタン34を押下して、待機状態の画面図7(a)に戻す。一方、図7(b)で入力したID情報が間違っていると、図7(d)のように、「IDが間違っています。」と表示して、管理者は再度ID情報を入力するために「戻る」ボタン35を押下して、図7(b)からやり直す。
【0025】
図8はQRコードを無効にする動作を説明するための表示部(タッチパネル)の図である。まず、図示を省略するが、キーボード等によりQRコードを無効とするモードに設定する。それにより、表示部3には、図8(a)のような画面が表示される。即ち、「無効にするIDを入力して下さい。」と表示し、エリア36に無効とするIDを入力することを促す。そして、無効とするID情報を入力して確定させると、画面が図8(b)のように替わり、入力したID情報がエリア37に表示され、再確認するために「このIDを無効にしますか。」と表示する。更に、その下に、無効とする場合に押下する「無効」ボタン38と、ID情報が間違った場合に取り消すための「取消」ボタン39が表示される。ここで「無効」ボタン38が押下されると、画面が図8(c)のように替わり、エリア40のID情報が反転表示されて、その下に「このIDは無効となりました。」と表示される。そして、管理者は「戻る」ボタン41を押下して、待機状態の画面図8(d)に戻す。一方、図8(b)で「取消」ボタン39が押下されると、待機状態の画面図8(d)に戻る。
【0026】
図9はゲート履歴情報を記憶したメモリの状態を表す図である。このメモリには、IDに対応してゲート履歴が記憶される。例えば、IDが「12ABC」の来訪者は、最初にゲートAを通過し、次にゲートC、Bと通過し、最後にゲートAから退出したことが分かる。同様に、IDが「20XYZ」の来訪者は、ゲートA−B−A、 IDが「18CDB」の来訪者は、ゲートA−B−C−A、 IDが「51SPT」の来訪者は、ゲートA−C−Aと記憶される。
即ち、入場証20には、その入場証特有のID情報22が印刷されている。従って、そのID情報22は来訪者と見做すことができる。そこで本発明では、ID情報22、即ち来訪者がゲートを通過するたびに記憶しておくことにより、来訪者の行動履歴を記憶することができる。これにより、事故或いは事件が発生したときに、証拠データとして確認することができる。
【0027】
以上の説明では、入場システムとして専用に構成したものとして説明したが、例えば、ネットワークを介して入場制御装置5が各部屋のPCと接続され、来訪者が来訪したときにWeb上で入場証の印刷及び認証動作を入場制御装置5に指示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る入場システムのブロック図である。
【図2】本発明の入場証の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る入場システムでの入場証発行から認証までの動作を説明するフローチャートである。
【図4】入場証が認証された後の動作を説明するフローチャートである。
【図5】入場証が認証された後の動作を説明するフローチャートである。
【図6】通話による認証動作を説明するための表示部(タッチパネル)の図である。
【図7】通話による認証動作を説明するための表示部(タッチパネル)の図である。
【図8】QRコードを無効にする動作を説明するための表示部(タッチパネル)の図である。
【図9】ゲート履歴情報を記憶したメモリの状態を表す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 管理室、2、14 インターホン、3 表示部、4 入力手段、5 入場制御装置、6、9、12 ゲート駆動部、7 ゲートC、8、11、15 リーダ、10 ゲートB、13 ゲートA、16 プリンタ、20 入場証、21 QRコード、22 ID情報、50 入場システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入場ゲートの開閉を一度の認証動作により制御する入場システムであって、
来訪者と当該システムを操作する操作者との間で通話を行なう通話手段と、前記複数の入場ゲートを開放するための入場証を印刷する印刷手段と、前記入場証に印刷されている情報を読み取る読取手段と、前記操作者側に設置され各種指示信号を送信する指示信号送信手段と、前記入場ゲートの開閉を制御するゲート制御手段と、前記印刷手段、前記読取手段、及び前記ゲート制御手段を制御する入場制御装置と、を備え、
前記入場証には少なくとも該入場証を特定するID情報と該ID情報と関連づけされたゲート開放情報が印刷され、前記入場制御装置は、前記指示信号送信手段から送信された前記各種指示信号に基づいて、前記ゲート開放情報を有効とするか無効とするかを決定することを特徴とする入場システム。
【請求項2】
前記入場制御装置は、前記指示信号送信手段から印刷開始を指示する印刷指示信号を受信すると前記ゲート開放情報及び前記ID情報を含む入場証を印刷するように前記印刷手段を制御し、前記指示信号送信手段からID認証信号を受信することにより、前記入場証に印刷されたゲート開放情報を有効とし、該ゲート開放情報が前記読取手段により読み取られると、前記入場ゲートを開放するように前記ゲート制御手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の入場システム。
【請求項3】
前記入場制御装置は、前記読取手段により前記ゲート開放情報が読み取られ、且つ前記入場ゲートを開放した後に所定時間が超過した場合、該入場証に印刷されているゲート開放情報を無効とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の入場システム。
【請求項4】
前記入場制御装置は、前記指示信号送信手段から特定のID情報に係るゲート開放情報を無効とする無効指示信号を受信した場合、該ゲート開放情報を無効とすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の入場システム。
【請求項5】
前記指示信号送信手段は、前記印刷手段により前記入場証に印刷されたID情報を表示する表示部を備え、前記通話手段により通報されたID情報と前記表示部に表示されたID情報が一致した場合に前記ID認証信号を前記入場制御装置に送信する認証ボタン有すること特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の入場システム。
【請求項6】
前記指示信号送信手段は、前記ID情報を入力する入力手段を備え、前記通話手段により通報されたID情報を前記入力手段により入力し、該入力した結果が該ID情報と一致した場合に、前記ID認証信号を前記入場制御装置に自動的に送信すること特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の入場システム。
【請求項7】
前記入場制御装置は、来訪者がどの入場ゲートを通過したかの履歴情報を前記ID情報ごとに記憶することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の入場システム。
【請求項8】
前記入場制御装置は、予め入場を許可した入場ゲート以外の入場ゲートの開放を停止することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の入場システム。
【請求項9】
前記ゲート開放情報は、バーコード又は二次元バーコードであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の入場システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−25883(P2009−25883A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185762(P2007−185762)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】