説明

入場検出システム及びその制御方法

【課題】低コストで実現可能な所与のエリアへの入場検出システム及びその制御方法を提供すること。
【解決手段】本入場検出システムは、所与のエリアへの通過ポイントに設けられた振動センサ12の検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの移動体の通過検出を行う通過検出部14,16と、移動体の通過検出結果に基づき、所与のエリアに設けられた告知ポイントに設置された告知出力媒体32を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行う告知出力制御部30と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入場検出システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の駐車スペースを有する駐車場に自動車を駐車する場合には、たいていの場合、運転者はたとえばゲートのある入口より入場し、自動車が未だ駐車していない空車場所を自分で探して自動車を駐車させるという手順で駐車を行う。駐車場によっては、車輌誘導員が配置されており、この誘導員の指示により空車場所に誘導される場合がある。また、立体駐車場や広大な駐車場においては、各フロアや各エリアごとに、「空車」、「満車」を示す情報パネルが設けられている場合もある。
【特許文献1】特許3073812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記公報には、各駐車スペースに設置する発光ユニットにアドレスを割り付け、各駐車スペースの空きを検出して中央で管理し、空き駐車スペースの発効ユニットを点灯させる車両誘導装置が開示されている。
【0004】
しかし、空き駐車スペースの発光ユニットを常時点灯させていては、消費電力の増大や発光ユニットの早期消耗を招き、駐車場システムのコストが増大する。従って車両が進入してから誘導を開始することが好ましい。ところが車両等の侵入を検出するためには、機械的なスイッチを設けたり、赤外線センサを設けたり等が必要になるが、これらは、光学な初期投資や、雨水等による破損に対するメンテナンスのコスト等がかかるという問題点がある。
【0005】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストで実現可能な所与のエリアへの入場検出システム及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、
入場検出システムであって、
所与のエリアへの通過ポイントに設けられた振動センサの検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの移動体の通過検出を行う通過検出部と、
移動体の通過検出結果に基づき、所与のエリアに設けられた告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行う告知出力制御部と、
を含むことを特徴とする。
【0007】
ここで所与のエリアは例えば駐車場や物品置き場や部屋やトイレやスペースや椅子等が複数配置されたエリアでもよい。また通過ポイントとは所与のエリアへ侵入する際に通過する場所等であり、例えば所与のエリアへの入り口等でもよい。
【0008】
移動体とは、例えば車両や人等である。
【0009】
告知ポイントは所与のエリア内に1又は複数設けられ、移動体に対して所与の事項の告知がなされるポイントである。告知出力媒体は例えばLED、ランプやディスプレイ等のように告知事項を可視的に出力可能な媒体でも良いし、スピーカ等のように告知事項を可聴的に出力可能な媒体でも良い。例えばLED、ランプの場合には第1の状態を点灯状態とし、第2の状態を非点灯状態としてもよい。
【0010】
本発明によれば、通過ポイントにおける移動体の通過が検出された場合に、告知出力媒体を第1の状態又は第2の状態と少なくとも2つの状態のいずれかの状態にすることで、有無、許可や非許可、使用中や非使用中、OKやNG等の告知を行うことができる。
【0011】
従って告知出力媒体を用いて常時告知出力を行う場合に比べて低コスト、低消費電力で運営を行うことができる。
【0012】
(2)本発明の入場検出システムは、
所与のエリアに設けられた複数の配置スペースに物体が配置されているか否かを検出する配置有無検出部をさらに含み、
前記告知出力制御部は、
移動体の通過検出結果及び少なくとも1つの配置スペースの配置有無の検出結果に基づき、所与のエリアに設けられた複数の告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする。
【0013】
ここで配置スペースとは、例えば駐車場における駐車スペースでもよいし、倉庫等における物品置き場でもよいし、レンタルルームやホテルや喫茶室やレストランや遊技場や劇場や映画館やスポーツ施設における部屋やトイレやスペースや椅子等でもよい。
【0014】
本発明によれば、通過ポイントにおける移動体の通過が検出された場合に少なくとも1つの配置スペースの配置スペースに空きがあれば、告知出力媒体を第1の状態又は第2の状態と少なくとも2つの状態のいずれかの状態にすることで、配置スペースの有無、許可や非許可、使用中や非使用中、OKやNG等の告知を行うことができる。
【0015】
(3)本発明の入場検出システムは、
前記通過検出部は、
駐車場の車両移動通路の所定の通過ポイントに設けられた振動センサの検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの車両の通過を検出し、
前記告知出力制御部は、
車両の通過の検出結果に基づき、駐車場の複数の告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2導状態にする制御を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、駐車場の所定の塚ポイントの車両の通過が検出された場合に、告知出力媒体を第1の状態又は第2の状態と少なくとも2つの状態のいずれかの状態にすることで、駐車スペースの有無の告知を行うことができる。
【0017】
本発明によれば車両が進入してきた場合のみに駐車スペースの有無の告知を行うことができるので、告知出力媒体を用いて常時告知出力を行う場合に比べて低コスト、低消費電力で駐車場の運営を行うことができる。
【0018】
(4)本発明の入場検出システムは、
前記配置有無検出部は、
駐車場の各駐車スペースに車両が配置されているか否かを検出し、
前記告知出力制御部は、
車両の通過検出結果及び駐車スペースへの車両の配置有無の検出結果に基づき、駐車場の複数の告知ポイントに設置された複数の告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする。
【0019】
駐車スペースと告知ポイントは1対1に対応させてもよいし、多対1に対応させてもよい。
【0020】
駐車スペースと告知ポイントが1対1に対応している場合には、告知出力制御部は、車両が所定の通過ポイントを通過したことを検出した場合に、告知ポイントに対応付けられた駐車スペースに空きがある場合に、告知ポイントに設置された告知出力媒体を第1の状態(点灯)にしてもよい。
【0021】
また駐車スペースと告知ポイントが多対1に対応している場合には、告知出力制御部は、車両が所定の通過ポイントを通過したことを検出した場合に、当該告知ポイントに対応付けられているいずれかの駐車スペースに空きがある場合に、告知ポイントに設置された告知出力媒体を第1の状態(点灯)にしてもよい。
【0022】
(5)本発明の入場検出システムは、
前記配置有無検出部は、
各配置スペースの物体配置予定位置に対応して設置された光センサの検出結果に基づいて、当該配置スペースに物体が配置されているか否かを判断することを特徴とする。
【0023】
例えば光センサの検出結果に基づき遮光の度合いを判定し、遮光の度合いが所定の値に達したら当該配置スペースに物体が配置されていると判断してもよい。
【0024】
例えば各駐車スペースの車両駐車予定位置に対応して設置された光センサの検出結果に基づいて、当該駐車スペースに車両が配置されているか否かを判断するようにしてもよい。
【0025】
(6)本発明の入場検出システムは、
前記告知出力制御部は、
各駐車スペースに1体1に対応した告知出力媒体を、車両の通過の検出結果及び当該告知出力媒体に対応付けられた駐車スペースの駐車有無の検出結果に基づき、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする。
【0026】
各駐車スペースに1対1に対応した告知出力媒体は、各駐車スペースの近くの運転者から見えやすい場所に設けられ、運転者に各駐車スペースの空きを通知するようにしてもよい。
【0027】
(7)本発明の入場検出システムは、
前記告知出力制御部は、
複数の駐車スペースに対応した告知出力媒体を、車両の通過の検出結果及び当該告知出力媒体に対応付けられた複数の駐車スペースの駐車有無の検出結果に基づき、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする。
【0028】
複数の駐車スペースに多対1に対応した告知出力媒体は、複数の駐車スペースへの通行路にそって運転者から見えやすい場所に設けられ、運転者に複数の駐車スペースの方向への誘導通知を行うようにしてもよい。
【0029】
(8)本発明は、
入場検出システムの制御方法であって、
所与のエリアへの通過ポイントに設けられた振動センサの検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの移動体の通過検出を行うステップと、
移動体の通過検出結果に基づき、所与のエリアに設けられた告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うステップと、
を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0031】
図1は、本実施の形態の入場検出システムについて説明するための図である。
【0032】
所与のエリアのとして駐車場1を例にとり説明する。駐車場1は、複数の駐車スペース22(車両1台分の駐車スペースが、A、B、C、D各列に11個並列に並んでいる)と、各駐車スペース22への移動路4とを含む所与のエリア2と、当該エリア2への入場口6、退場口8を含んで構成してもよい。なお立体駐車場として構成する場合には、各階毎にかかる構成の駐車場1を設けるようにしても良い。
【0033】
本実施の形態の入場検出システムは、駐車場1の車両移動通路2の所定の通過ポイント(図1では入場口6)に設けられた振動センサ12−1の検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの車両の通過を検出する通過検出部10−1を含む。振動センサ12−1は、例えばジャイロセンサを用いても良いし、加速度センサを用いても良い。振動センサ12−1は、車両通行面(路面や床)に埋め込む形式で設置してもよいし、車両通行面(値面や床)に空洞を設け、空洞部をかぶせた蓋の裏面(空洞部に面した方)に設置するようにしてもよい。
【0034】
本実施の形態の入場検出システムは、駐車場の各駐車スペース22に車両が位置するか否かを検出する配置有無検出部20を含む。配置有無検出部20は、各駐車スペース22の駐車予定位置に関連づけて設置された光センサの検出結果に基づいて、当該駐車スペースに車両が配置されているか否かを判断するようにしてもよい。光センサは、たとえば駐車スペースに車両が駐車された場合に、駐車によって光が遮られる位置に設置し、光センサの受光量と所定の閾値(固定値でもよいし可変値でもよい)を比較して、所定の閾値以下(または未満)であれば駐車スペース22に車両が配置されたと判断してもよい。
【0035】
なお光センサを用いる構成に限られず、例えば超音波センサや赤外線センサを用いて判断する構成でもよいし、スイッチ(車両が駐車したらオンになる)を用いて判断する構成でもよい。
【0036】
本実施の形態の入場検出システムは、駐車場の複数の告知ポイント(各駐車スペースの近く又は複数の駐車スペースのグループの近く)に設けられた各告知出力媒体32(LED、ランプ等)を、車両の通過の検出結果及び各告知ポイントに対応付けられた駐車スペース22の駐車有無の検出結果に基づき、第1の状態(誘導状態、例えば点灯状態)又は第2の状態(非誘導状態、例えば非点灯状態)に制御する告知出力制御部30を含む。
【0037】
例えば通過検出信号がオンになってから所定期間の間、告知出力媒体32を誘導状態(点灯)にし、その後所定期間経過後に非誘導状態(非点灯)に制御するようにしてもよい。
【0038】
前記告知出力制御部30は、各駐車スペース22に1体1に対応した告知出力媒体32を、車両の通過の検出結果及び当該告知出力媒体に対応付けられた駐車スペースの駐車有無の検出結果に基づき、第1の状態又は第2の状態にする制御を行ってもよい。すなわち、各駐車スペース22に1対1に対応した告知出力媒体32は、各駐車スペースの近くに設けられ(車両の運転手が確認しやすい位置に設けることが好ましい)、各駐車スペースの空きを通知するようにしてもよい。
【0039】
また前記告知出力制御部30は、複数の駐車スペースに対応した告知出力媒体を、車両の通過の検出結果及び当該告知出力媒体に対応付けられた複数の駐車スペースの駐車有無の検出結果に基づき、第1の状態又は第2の状態にする制御を行ってもよい。すなわち、複数の駐車スペース22に多対1に対応した告知出力媒体32は、例えば複数の駐車スペースへの進行方向を誘導可能な位置に設けられ(車両の運転手が確認しやすい位置に設けることが好ましい)、複数の駐車スペースへの誘導表示を行うようにしてもよい。
【0040】
図2、図3は、本実施の形態の入場検出システムの構成について説明するための図である。
【0041】
本実施の形態の入場検出システムは通過検出部10を含む。通過検出部10は、例えば振動センサ12と、アナログ処理回路14と、通過信号生成部16を含み、振動センサ12の出力をアナログ処理回路14で処理してデジタル信号に変換し、デジタル信号に基づき、通過信号生成部16で、車両の通過の有無を判断し、車両の通過有りの場合には通過信号18を生成して送信する。
【0042】
通過信号18は、例えば各駐車スペース毎に設けられたユニット100への入力となる。なお、通過信号生成部16と各ユニット100は有線で接続され、通過信号生成部16から各ユニット100に通過信号を送信する構成でもよいし、無線で送信する構成でもよい。
【0043】
振動センサ12は、対象物(床、路面等)の振動を検出することが可能ないずれかのセンサを利用することができる。例えば、振動センサ12として、角速度センサ(ジャイロセンサ)を利用してもよい。ここで、角速度センサとは、ある一定の回転軸を中心とした回転運動に対する回転の速さ(回転角速度)を計測するセンサであり、回転角速度に応じたアナログ電圧値を出力するように構成されていてもよい。ジャイロセンサは、例えば圧電効果を利用して振動する振動ジャイロスコープであってもよい。このタイプのセンサでは、ジャイロ素子(水晶等の振動体)に交流電圧を加えることでジャイロ素子の少なくとも一部を振動させ、コリオリ力を利用して、回転率や角速度に応じた電流(電圧)を発生させる。この電流(電圧)信号を内部で増幅し、角速度に比例した電圧を出力することで、振動に応じた電気信号を出力することが可能になる。なおジャイロの種類は任意であり、例えばMEMS(micro electro mechanical system)技術を応用したジャイロセンサでもよい。振動センサ12は、所定の1軸方向のみの振動を検出する構成であってもよく、互いに直交する2軸又は3軸それぞれに対して検出する構成でもよい。
【0044】
ただし、本発明に適用可能な振動センサ12はジャイロセンサに限られるものではない。例えば、振動センサ12として、加速度を検出する加速度センサを利用してもよい。これによっても、建造物等の振動を検出することができる。
【0045】
アナログ処理回路14は、ローパスフィルタ/オペアンプ、A/Dコンバータ等を含み、振動センサ12が出力するアナログ信号13の入力を受け付け、対応するデジタル信号15を生成するように構成されていてもよい。
【0046】
通過信号生成部16は、デジタル信号15を入力し、車両の通過を通知するための通過信号を生成する。通過信号18は、例えば通過の有無をオン/OFFで示す信号でもよいし、通過時に所定期間ON(’1’)になり、通過時以外はOFF(’0’)になる信号でもよい。
【0047】
通過信号生成部16は、振動センサ12の出力信号に基づいて、通過信号18を生成する。本実施の形態では、通過信号生成部16は、振動センサ12の出力信号が所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該出力信号が所定の条件を満たしている場合に、通過信号18を生成するように構成されている。
【0048】
通過信号生成部16は、例えばCPUやCPUを含むマイクロコンピュータ等で実現することができる。
【0049】
通過検出部10の各機能は、半導体集積回路装置(IC)によって実現してもよい。また、振動センサ12は、振動検出素子とその動作を制御する制御回路とを含むMEMSとして構成されていてもよい。なお、アナログ処理回路14は、本実施の形態に係る通過信号生成部16を実現するための半導体集積回路装置に搭載されていてもよく、別の半導体集積回路装置や電子部品として実現してもよい。
【0050】
本実施の形態の入場検出システムは配置有無検出部20、告知出力制御部30を含む
配置有無検出部20、告知出力制御部30は各駐車スペース毎に設けられた各ユニット100として一体的に構成してもよい。
【0051】
配置有無検出部20は、光センサ22と、光センサ20からの検出値を受け取り光量に応じて配置有無検出信号26を出力する調光IC24を含む。
【0052】
光センサ22は、図3(A)に示すように駐車スペースに車両が駐車されていない場合には、車両に遮光されずに光120を受光するが、図3(B)に示すように駐車スペースに車両110が駐車されている場合には、車両100に遮光されて、車両100が駐車されていない場合に比べて光120の受光量が減少する。
【0053】
調光IC24は光の受光量又はその変化に基づき、駐車の有無を判断し、配置有無検出信号26を出力する。駐車の有無の判断は、たとえば屋内駐車場のように昼夜の別や天候等の周囲の状況による受光量の差が少ない場合には、受光量自体を所定の閾値と比較して、駐車の有無を判断するようにしても良い。また野外の駐車場のように昼夜の別や天候等の周囲の状況による受光量の差が大きい場合には、受光量の変化と所定の閾値とを比較して、駐車の有無を判断するようにしても良い。
【0054】
配置有無検出信号26は例えば配置有りの場合にON(’1’)配置無しの場合にOFF(’0’)となるような信号でもよい。
【0055】
告知出力制御部30は、配置有無検出信号26及び通過信号18を入力し、これらの信号に基づきLEDを第1の状態(点灯状態)又は第2の状態(非点灯状態)にする制御を行うための制御信号31を生成する。例えば告知出力制御部30は、配置有無検出信号26及び通過信号18を入力し、両方がONの場合にのみONを出力するAND回路として構成してもよい。
【0056】
LEDは例えば制御信号がONの場合に点灯状態になり、OFFの場合に非点灯状態になる。
【0057】
次に振動センサ12としてジャイロセンサを利用した場合を例にとって、通過信号生成部16が車両の通過を検出する手順の一例について説明する。
【0058】
図4(A)(B)は、ジャイロセンサを用いた振動検出の一例について説明する図である。図4(A)は、車両通過時の振動センサ12(床や通路等)の出力信号360の一例を示す図である。すなわち、振動センサ12が設置された床や通路等が車両通過により振動すると、振動センサ12からは、図4(A)に示すアナログ信号(アナログ電圧信号)360が出力される。
【0059】
車両の通過により振動センサは右回転及び左回転を行うと(例えばタイヤの前輪及び後輪の通過により右回転及び左回転を1サイクルとする回転を2サイクルとその余波により生じる回転等が生じる)、区間310に示すように右回転では電圧値が+と左回転では電圧値が−にふれる。
【0060】
これをアナログ処理回路14で処理すると、図4(B)に示すデジタル信号360’が生成される。すなわち、図4(B)は、振動センサ12が出力したアナログ電圧値をデジタル変換した結果を示している。
【0061】
車両の通過と振動センサ12の出力の関係を予め調べておいて、車両通過の検出の目安とする閾値350を設定し、振動センサ12の検出値が閾値を超えた場合に車両の通過があったと判断するようにしてもよい。
【0062】
例えば図4(A)(B)では362、362’で振動センサ12の出力360又は振動センサの出力をデジタル変換した値360’が閾値350、350’をこえているので、車両の通過があったとして、所定期間310の間、通過信号18が通過状態(オン状態)となるように制御してもよい。そしてその後振動センサ12の出力360又は振動センサの出力をデジタル変換した値360’が閾値350、350’をこえているまでの間(320、320’)、通過信号18が非通過状態(オフ状態)となるように制御してもよい。
【0063】
図5(A)(B)は、本実施の形態の通過検出部の実装例について説明するための図である。本実施の形態に係る通過検出部10は、図5(A)に示すように、少なくとも振動センサ12が実装される基板150を有する。基板150には、通過検出部10の機能を実現するための半導体集積回路装置が実装されていてもよい。また、基板150には、電源装置や、外部に通過信号を送信するための発信装置が実装されていてもよい。基板150の材料や構造は特に限定されるものではない。
【0064】
本実施の形態に係る通過検出部10は、図5(B)に示すように、少なくとも振動センサ12が内部に配置される、筐体152含む通過検出ユニット240として構成してもよい。そして、基板150は、筐体152の一部を構成していてもよい。このとき、筐体152の内面を基板150の回路面として利用することで、基板150の回路面(実装面)及び集積回路装置(IC)を、筐体152内部に配置することができる。 筐体152は、防水性の筐体であってもよい。これによると、基板150の回路面や集積回路装置が水分と接触することを防止することができるため、水周りや屋外で安全に利用することが可能な通過検出部10を提供することができる。
【0065】
また、筐体152は、気密性の筐体であってもよい。これにより、火気厳禁の環境下で安全に利用することが可能な通過検出部10を提供することができる。
【0066】
図6(A)及び図6(B)は、通過検出部10の設置例を示す図である。図6(A)の200に示すように、車両の通過する床または路面である車両通行面210に設定してもよい。例えば、車両通行面210に空洞部212と、空洞部212を覆う蓋として保持部材230をもうけ、図6(B)に示すように、保持部材230の裏面に(空洞部に面した方)に
図5(B)に示すような通過検出ユニット240をとりつけてもよい。
【0067】
通過検出ユニット240は、図6(B)に示すように、支持部材242によって支持されていてもよい。支持部材242は、一点又は複数点で、車両通過検出ユニット240を支持していてもよい。これによると、保持部材230の振動が効率よく通過検出部10(振動センサ12)に伝わるため、精度の高い通過検出を行うことができる。
【0068】
通過検出ユニット240は、樹脂材料によって保持部材230に保持されていてもよい。なお、硬質の樹脂材料を介して車両通過検出ユニット240を保持部材230に取り付けることで、保持部材230の振動を正確に車両通過検出ユニット240に伝えることが可能になる。
【0069】
また通過検出ユニット240は、保持部材230に接触するように保持されていてもよい。あるいは、振動センサ12を、保持部材230に接触させてもよい。
【0070】
図7は、本実施の形態の入場検出システムの他の実施例について説明するための図である。
【0071】
駐車場1’は、複数の駐車スペース22(車両1台分の駐車スペースが、A〜Hの各列に11個並列に並んでいる)と、各駐車スペース22への移動路4とを含むエリア2と、当該エリア2への入場口6、退場口8を含んで構成してもよい。
【0072】
方向指示表示(例えばLEDで縁取りされた矢印でもよいし、矢印型のランプでもよい)30−1〜30−7は、複数の駐車スペースに多対1に対応した告知出力媒体である。例えば、矢印30−4はA列の駐車スペースに対応して設けられ、矢印30−5はB、C列の駐車スペースに対応して設けられ、矢印30−2はD、E列の駐車スペースに対応して設けられ、矢印30−6はF、J列の駐車スペースに対応して設けられ、矢印30−7はH列の駐車スペースに対応して設けられている。また矢印30−1はA,B,C列の駐車スペースに対応して設けられ、また矢印30−3はF、J、H列の駐車スペースに対応して設けられている。
【0073】
本システムでは駐車場への入場口6、移動路4−1〜4−5への各入り口にそれぞれ通過検出部10−1、10−2〜10−6が設けられている。
【0074】
車両が入場口6を通過したことを通過検出部10−1が検出すると、通過信号は告知出力媒体(矢印30−1〜30−7)に対応した告知出力制御部に送られる。告知出力媒体(矢印30−1〜30−7)に対応した告知出力制御部は、通過信号が通過状態(オン)になると、各告知出力媒体(矢印30−1〜30−7)に対応付けられた駐車スペースからの配置有無検出信号を受信して、1つでも空きがあると、当該告知出力媒体(矢印30−1〜30−7)を点灯状態にする。
【0075】
また移動路4−1〜4−5への各入り口を車両が通過したことを通過検出部10−2〜10−6検出すると、通過信号は各通過検出部10−2〜10−6に対応した各駐車スペースの告知出力制御部に送られる。例えば通過検出部10−2はA列の駐車スペースに対応しており、通過検出部10−3はB、C列の駐車スペースに対応しており、通過検出部10−4はD、E列の駐車スペースに対応しており、通過検出部10−5はF、D列の駐車スペースに対応しており、通過検出部10−6はH列の駐車スペースに対応している。
【0076】
従って例えば入り口を通過した車両が通過検出部10−3を通過すると、B、Cの駐車スペースのうち空きがある所の告知出力媒体が点灯状態になる。このようにすると、車両がいずれかの移動路4−1〜4−5に侵入するまでは、たとえ空きがあっても駐車スペースの告知出力媒体は点灯状態にならないので、消費電力や告知出力媒体の消耗を抑制することができる。
【0077】
図8は、本実施の形態の通過検出部の通過検出処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
【0078】
まずジャイロセンサ(振動検出センサ10)で回転角速度を検出する(ステップS10)。
【0079】
次にジャイロセンサが出力するアナログ電圧値をデジタル信号に変換する(ステップS20)。
【0080】
次に回転角速度値(デジタル信号)を入力して、所定の閾値と比較する(ステップS30)。
【0081】
所定の閾値を超えたか場合には(ステップS40)、通過信号を所定期間オン状態にする(ステップS50)。
【0082】
図9は、本実施の形態の告知出力制御部の告知出力処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
【0083】
通過信号がON状態で(ステップS110)、制御対象の告知出力媒体に対応付けられた複数の駐車スペースの配置有無信号のいずれかがON状態であれば(ステップS120)、制御対象の告知出力媒体を第1の状態(点灯状態)にするための制御信号を出力する(ステップS130)。
【0084】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0085】
例えば上記実施の形態では所与のエリアが駐車場である場合を例に取り説明したがこれに限られない。所与のエリアは例えば物品置き場や部屋やトイレやスペースや椅子等が複数配置されたエリアでもよい。また配置スペースは、倉庫等における物品置き場でもよいし、レンタルルームやホテルや喫茶室やレストランや遊技場や劇場や映画館やスポーツ施設における部屋やトイレやスペースや椅子等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施の形態の入場検出システムについて説明するための図。
【図2】本実施の形態の入場検出システムの構成について説明するための図。
【図3】本実施の形態の入場検出システムの構成について説明するための図。
【図4】図4(A)(B)は、ジャイロセンサを用いた振動検出の一例について説明する図。
【図5】図5(A)(B)は、本実施の形態の通過検出部の実装例について説明するための図。
【図6】図6(A)(B)は、通過検出部の設置例を示す図。
【図7】本実施の形態の入場検出システムの他の実施例について説明するための図。
【図8】本実施の形態の通過検出部の通過検出処理の流れについて説明するためのフローチャート。
【図9】本実施の形態の告知出力制御部の告知出力処理の流れについて説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0087】
1 通過検出部、12 振動センサ、14 アナログ処理回路16 通過信号生成部、18 通過信号、20 配置有無検出部、22 駐車スペース、26 配置有無制御信号、30 告知出力制御部、32 告知出力媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入場検出システムであって、
所与のエリアへの通過ポイントに設けられた振動センサの検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの移動体の通過検出を行う通過検出部と、
移動体の通過検出結果に基づき、所与のエリアに設けられた告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行う告知出力制御部と、
を含むことを特徴とする入場検出システム。
【請求項2】
請求項1において、
所与のエリアに設けられた複数の配置スペースに物体が配置されているか否かを検出する配置有無検出部をさらに含み、
前記告知出力制御部は、
移動体の通過検出結果及び少なくとも1つの配置スペースの配置有無の検出結果に基づき、所与のエリアに設けられた複数の告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする入場検出システム。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかにおいて、
前記通過検出部は、
駐車場の車両移動通路の所定の通過ポイントに設けられた振動センサの検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの車両の通過を検出し、
前記告知出力制御部は、
車両の通過の検出結果に基づき、駐車場の複数の告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2導状態にする制御を行うことを特徴とする入場検出システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記配置有無検出部は、
駐車場の各駐車スペースに車両が配置されているか否かを検出し、
前記告知出力制御部は、
車両の通過検出結果及び駐車スペースへの車両の配置有無の検出結果に基づき、駐車場の複数の告知ポイントに設置された複数の告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする入場検出システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記配置有無検出部は、
各配置スペースの物体配置予定位置に対応して設置された光センサの検出結果に基づいて、当該配置スペースに物体が配置されているか否かを判断することを特徴とする入場検出システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記告知出力制御部は、
各駐車スペースに1体1に対応した告知出力媒体を、車両の通過の検出結果及び当該告知出力媒体に対応付けられた駐車スペースの駐車有無の検出結果に基づき、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする入場検出システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記告知出力制御部は、
複数の駐車スペースに対応した告知出力媒体を、車両の通過の検出結果及び当該告知出力媒体に対応付けられた複数の駐車スペースの駐車有無の検出結果に基づき、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うことを特徴とする入場検出システム。
【請求項8】
入場検出システムの制御方法であって、
所与のエリアへの通過ポイントに設けられた振動センサの検出結果に基づいて、当該所定の通過ポイントの移動体の通過検出を行うステップと、
移動体の通過検出結果に基づき、所与のエリアに設けられた告知ポイントに設置された告知出力媒体を、第1の状態又は第2の状態にする制御を行うステップと、
を含むことを特徴とする入場検出システムの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−70336(P2009−70336A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241001(P2007−241001)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】