説明

入室管理システム、携帯端末、ホスト装置及び入室管理方法

【課題】 本発明は、入室管理システム、携帯端末、ホスト装置及び入室管理方法に関し、例えば住宅の開錠の管理に適用して、指紋等の重要な個人情報を使用することなく、十分なセキュリティーを確保することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、位置情報により検出される管理対象への外部からの到来をトリガにして、現在位置の位置情報とユーザーの所望する被写体の撮像結果とにより鍵情報を生成してドアの開錠を要求し、この鍵情報を用いた照合により撮像結果と事前に登録した撮像結果とが一致した場合に開錠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入室管理システム、携帯端末、ホスト装置及び入室管理方法に関し、例えば住宅の開錠の管理に適用することができる。本発明は、位置情報により検出される管理対象のドアへの外部からの到来をトリガにして、現在位置の位置情報とユーザーの所望する被写体の撮像結果とにより鍵情報を生成してドアの開錠を要求し、この鍵情報を用いた照合により撮像結果と事前に登録した撮像結果とが一致した場合に開錠することにより、指紋等の重要な個人情報を使用することなく、十分なセキュリティーを確保することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅等のドアの開錠については、鍵を鍵穴に差し込んで操作するようになされている。しかしながらこのような鍵による開錠は、鍵の盗難等に対して十分なセキュリティーを確保することが困難な欠点があり、このため近年、種々の工夫が提案されている。
【0003】
これらのうち、生体認証による方法は、特開2003−281099号公報等に提案されており、指紋認証、静脈認証、顔認証等によりユーザー認証の処理を実行し、このユーザー認証結果により開錠するものである。またICカード、携帯電話等の端末装置を用いる方法は、ICカードの記録、携帯電話番号等による個人情報によりユーザー認証の処理を実行し、このユーザー認証結果により開錠するものである。
【0004】
しかしながら生体認証による方法は、重要な個人情報である指紋等の情報を、事前に登録しなければならない問題がある。これに対してICカードの記録、携帯電話番号等によるユーザー認証による方法にあっては、鍵の場合と同様に、ICカード、携帯電話等の盗難に対して十分なセキュリティーを確保することが困難な問題がある。
【特許文献1】特開2003−281099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、指紋等の重要な個人情報を使用することなく、十分なセキュリティーを確保することができる入室管理システム、携帯端末、ホスト装置及び入室管理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理システムに適用して、前記携帯端末は、ユーザーの所望する被写体を撮像して撮像結果を出力する撮像手段と、現在位置を検出して位置情報を出力する現在位置検出手段と、前記記憶手段に記録された前記位置情報を記録する記憶手段と、前記ホスト装置との通信手段とを有し、前記現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、前記撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出し、前記ホスト装置は、前記携帯端末より送出された前記鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、前記ユーザーの所望する被写体の撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠する。
【0007】
また請求項4の発明においては、ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記携帯端末からの前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理システムに適用される前記携帯端末に適用して、前記ホスト装置は、前記携帯端末より送出された鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、前記鍵情報により検出される撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠し、前記端末装置は、ユーザーの所望する被写体を撮像して撮像結果を出力する撮像手段と、現在位置を検出して位置情報を出力する現在位置検出手段と、前記記憶手段に記録された前記位置情報を記録する記憶手段と、前記ホスト装置との通信手段とを有し、前記現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、前記撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出する。
【0008】
また請求項5の発明においては、ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記携帯端末からの前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理システムに適用されるホスト装置に適用して、前記携帯端末は、現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出し、前記ホスト装置は、前記携帯端末より送出された前記鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、前記ユーザーの所望する被写体の撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠する。
【0009】
また請求項6の発明においては、ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記携帯端末からの前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理方法に適用して、前記携帯端末により、現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出し、前記ホスト装置により、前記携帯端末より送出された前記鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、前記ユーザーの所望する被写体の撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠する。
【0010】
請求項1の構成により、ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理システムに適用して、前記携帯端末は、ユーザーの所望する被写体を撮像して撮像結果を出力する撮像手段と、現在位置を検出して位置情報を出力する現在位置検出手段と、前記位置情報を記録する記憶手段と、前記ホスト装置との通信手段とを有し、前記現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記記憶手段に記録された前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、前記撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出し、前記ホスト装置は、前記携帯端末より送出された前記鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、前記ユーザーの所望する被写体の撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠すれば、ユーザー個人しか知り得ない所望する被写体の撮像結果と現在位置の位置情報により開錠することができ、また盗難された場合にも、第3者による開錠を防止することができる。これにより重要な個人情報である指紋等の個人情報を事前に登録しなくても、十分なセキュリティーを確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、指紋等の重要な個人情報を使用することなく、十分なセキュリティーを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0013】
(1)実施例の構成
図2は、本発明の実施例に係る入室管理システムを示すブロック図である。この入室管理システム1は、携帯端末2から送信される鍵情報D1をホスト装置3により認証し、その認証結果によりドアを開錠する。
【0014】
ここで携帯端末2は、現在位置検出機能、電子スチルカメラの機能、近距離の通信機能を有する情報端末装置であり、例えばこれらの機能を有する携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants )等であり、ユーザーの操作に応動して開錠に必要な鍵情報D1を送信する。
【0015】
すなわち携帯端末2において、表示部4は、例えば液晶表示パネルであり、この携帯端末2の操作に必要な各種の情報を表示し、表示ドライバ5は、制御部6の制御によりこの表示部4を駆動する。
【0016】
操作部8は、この携帯端末2の操作パネルに設けられた各種操作子により形成され、これら操作子の操作を図示しないインターフェースを介して制御部6に通知する。
【0017】
GPS部9は、現在位置の位置情報を検出する現在位置検出手段であり、GPS(Global Positioning System )により現在位置の位置情報を検出して制御部6に通知する。
【0018】
記憶部7は、制御部6の制御により、ログ情報を記録して保持し、またこの保持したログ情報を制御部6に出力する。ここでログ情報は、この携帯端末2より鍵情報D1を送出して開錠する開錠位置の位置情報と、この携帯端末2を携帯するユーザーの、開錠位置を中心とした一定範囲の移動の情報が記録される。なおここでこの移動の情報は、GPS部9により取得される一定の時間間隔による位置情報により形成され、また開錠位置の位置情報においては、GPS部9により取得される鍵情報D1を事前に登録した位置情報により形成される。
【0019】
ディジタルカメラ10は、制御部6の制御により、静止画による撮像結果を取得する。
【0020】
画像処理部11は、制御部6の制御により、このディジタルカメラ10により取得された静止画を取得して輪郭抽出の処理を実行する。また制御部6の制御により、輪郭抽出結果を形状認識処理し、これにより撮像結果の輪郭抽出結果から一部領域を抽出し、この抽出した領域による画像データを制御部6に出力する。なおここでこの一部領域の抽出にあっては、後述する鍵情報D1の登録時と、開錠に係る処理時とで、撮像結果における倍率の相違等を補正するために実行され、これにより例えば撮像結果における特徴ある部位を検出し、この部位を基準にして一定の領域を切り出すことにより実行される。
【0021】
無線通信部12は、例えばBluetooth等による近距離の無線通信手段であり、制御部6の制御によりアンテナ13を介して各種の情報を送出する。なおこの無線通信手段にあっては、赤外線等を使用することも可能である。
【0022】
制御部6は、演算処理手段であり、所定の処理プログラムの実行によりこの携帯端末2全体の動作を制御する。すなわち制御部6は、ユーザーによる操作部8の操作により、各種メニューを表示部4に表示し、メニューの選択を受け付ける。またこのメニューの選択によりユーザーが開錠箇所の登録メニューを選択すると、図3に示す登録処理手順を実行し、ホスト装置3に鍵情報D1を登録する。
【0023】
すなわち制御部6は、この処理手順を開始すると、ステップSP1からステップSP2に移り、GPS部9の制御により現在位置の位置情報を取得する。これにより制御部6は、例えばこの入室管理システム1を自宅のドアの開閉に適用して、このドアの開錠について鍵情報を登録する場合、この自宅の位置情報を取得する。
【0024】
続いて制御部6は、ステップSP3に移り、ここでディジタルカメラ10の動作を立ち上げ、鍵情報の生成基準となる画像の取得を促すメッセージを表示部4に表示する。またユーザーによる操作部8の操作に応動してディジタルカメラ10の動作を制御し、静止画による撮像結果を取得する。
【0025】
続いて制御部6は、ステップSP4に移り、画像処理部11の制御により、ステップSP3で取得した静止画による撮像結果を輪郭抽出処理する。また続くステップSP5において、同様の画像処理部11の制御により、輪郭抽出結果を形状認識処理し、撮像結果の輪郭抽出結果から鍵情報D1の生成に供する一部領域を抽出する。
【0026】
制御部6は、続くステップSP6において、この抽出した一部領域を、確認を促すメッセージと共に表示部4に表示し、続くステップSP7において、ユーザーによる操作部8の操作を判定してユーザーにより確認が得られたか否か判断する。
【0027】
ここでユーザーにより確認が得られない場合、制御部6は、ステップSP2に戻り、改めて位置情報の取得から処理を繰り返すのに対し、ユーザーにより確認が得られると、ステップSP7からステップSP8に移る。
【0028】
ここで制御部6は、ステップSP2で取得した現在位置情報と、ステップSP5における一部領域の抽出結果との組み合わせにより鍵情報D1を生成する。ここで制御部6は、この鍵情報D1の生成に供した撮像結果による一部領域が、後述する認証処理の際にこの携帯端末2により同様にして取得される撮像結果による一部領域と同一の被写体をほぼ同一の方向より撮影したものか否か判定できるように、すなわちこれら一部領域に係る撮像結果の同一性を判定できるように、ステップSP2で取得した現在位置情報と、ステップSP5における一部領域の抽出結果との組み合わせにより生成される。
【0029】
より具体的に、制御部6は、例えば指紋認証の手法を適用して、この撮像結果による一部領域から特徴点を検出し、この特徴点の座標情報と現在位置情報とによるデータ列を所定のビット単位で組み合わせた後、暗号化処理して鍵情報を形成する。なおこの場合に、例えばこの一部領域の画像データを符号化処理して現在位置情報と合成して鍵情報を形成する場合等、要は、一部領域に係る撮像結果の同一性を判定できるようにすれば良く、種々の手法を広く適用することができ、輪郭抽出結果の一部領域を使用する場合、又は輪郭抽出結果の一部領域に対応する撮像結果の一部領域に係る画像データを併せて利用することもでき、さらにはこの携帯端末2に固有の識別コード等を併せて利用することもできる。
【0030】
このようにして鍵情報D1の生成を開始して、制御部6は、続くステップSP9において、鍵情報D1を生成すると、続くステップSP10において、無線通信部12の制御によりこの生成した鍵情報D1をホスト装置3に送信し、鍵情報D1の登録を要求する。またこの要求により続くステップSP11で、ホスト装置3で鍵情報D1が登録されると、この鍵情報D1の生成に供した現在位置情報をログ情報として記憶部7に記録した後、ステップSP12に移ってこの処理手順を終了する。
【0031】
これらの処理により、この携帯端末2は、現在位置の位置情報とユーザーにより撮影された画像とにより鍵情報D1を生成して登録する。
【0032】
このようにして鍵情報D1を登録した場合、制御部6は、GPS部9の制御により現在位置情報を一定の時間間隔により取得して現在位置を監視する。またこの監視結果により、鍵情報D1の生成に供した場所を起点とした一定の範囲にこの携帯端末2が位置する場合、GPS部9を介して取得される現在位置の位置情報を取得して時間情報と共に記憶部7に記録し、これによりログ情報を記憶部7に記録する。
【0033】
またGPS部9より得られる位置情報により鍵情報D1を登録した場所を訪れると、鍵情報D1を生成してホスト装置3に開錠を要求する。図1は、この開錠の要求に係る制御部6の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
制御部6は、GPS部9より得られる位置情報を記憶部7に記録したログ情報により判定することにより、携帯端末2の現在位置が鍵情報D1を登録した位置となると、この処理手順を開始し、ステップSP21からステップSP22に移る。ここで制御部6は、記憶部7からログ情報を取得し、続くステップSP23において、このログ情報の判定により、鍵情報D1を登録した箇所を再び訪れた場合か否か判断する。これにより制御部6は、例えばこの入室管理システム1を自宅のドアの開閉に適用して、このドアの開錠について鍵情報D1を登録している場合、自宅に戻ってきた場合か否か判断する。
【0035】
ここで否定結果が得られると、この場合、この鍵情報D1を登録した場所を出発する場合であることにより、制御部6は、ステップSP23からステップSP24に移り、この処理手順を終了する。これに対してステップSP23で肯定結果が得られると、制御部6は、ステップSP23からステップSP25に移る。
【0036】
ここで制御部6は、この携帯端末2の電源を立ち上げ、さらにディジタルカメラ10の動作を立ち上げる。また鍵情報の生成基準となる画像の取得を促すメッセージを表示部4に表示し、ユーザーによる操作部8の操作に応動してディジタルカメラ10の動作を制御して静止画による撮像結果を取得する。
【0037】
続いて制御部6は、ステップSP26に移り、画像処理部11の制御により、ステップSP25で取得した静止画による撮像結果を輪郭抽出処理する。また続くステップSP27において、同様の画像処理部11の制御により、輪郭抽出結果を形状認識処理し、撮像結果の輪郭抽出結果から鍵情報D1の生成に供する一部領域を抽出する。
【0038】
制御部6は、続くステップSP28において、この抽出した一部領域を、確認を促すメッセージと共に表示部4に表示し、続くステップSP29において、ユーザーによる操作部8の操作を判定してユーザーにより確認が得られたか否か判断する。
【0039】
ここでユーザーにより確認が得られない場合、制御部6は、ステップSP25に戻り、改めて処理を繰り返すのに対し、ユーザーにより確認が得られると、ステップSP29からステップSP30に移る。
【0040】
ここで制御部6は、鍵情報D1の登録時に係るステップSP8と同一の処理により鍵情報D1を生成し、続くステップSP31において、無線通信部12の制御によりこの生成した鍵情報D1をホスト装置3に送信し、認証を要求する。またこの要求により続くステップSP32において、ホスト装置3で鍵情報D1が照合され、この照合結果によるホスト装置3からの通知により、ホスト装置3により確認が得られると、続くステップSP33において、ホスト装置3によりドアが開錠される。制御部6は、この開錠の通知により、ステップSP33からステップSP24に移ってこの処理手順を終了する。
【0041】
これに対して鍵情報D1の照合結果によりホスト装置3から確認が得られない場合、この場合、例えば鍵情報D1の生成基準である静止画像をユーザーが間違えて取得した場合等が考えられることにより、ステップSP32からステップSP22に移り、一連の処理手順を改めて繰り返す。なおこの場合に、一定回数以上処理を繰り返して、ホスト装置3から確認を得られない場合、制御部6は、ステップSP32からステップSP24に移ってこの処理手順を終了する。
【0042】
このような携帯端末2の構成に対応して、ホスト装置3は(図2)、携帯端末2からの鍵情報D1の登録要求により鍵情報D1を登録し、またこの登録した鍵情報D1により携帯端末2からの認証要求を処理して開錠の処理を実行する。
【0043】
すなわちホスト装置3において、無線通信部21は、携帯端末2の無線通信部12に対応する構成であり、制御部23の制御により、アンテナ22を介して携帯端末2との間で種々のデータを送受する。
【0044】
記憶部24は、制御部23の制御により、携帯端末2から登録要求のあった鍵情報D1のうち、登録を許可された鍵情報D1を記録して保持し、またこの保持した鍵情報D1を制御部23に出力する。
【0045】
開錠機構25は、入室管理システム1の管理対象であるドアが閉じられると、このドアを施錠し、また制御部23の制御によりこのドアを開錠する。
【0046】
制御部23は、演算処理手段であり、所定の処理プログラムの実行によりこのホスト装置3の動作を制御し、携帯端末2からの要求により鍵情報D1を記憶部24に登録し、またこの登録した鍵情報D1により端末2からの認証要求を処理する。
【0047】
すなわち制御部23は、無線通信部21を介して図3のステップSP11について上述した携帯端末2からの鍵情報D1の登録要求が入力されると、この鍵情報D1を記憶部24に登録する。なおこの場合に、制御部23は、図示しない表示部を介して登録の有無を確認するメッセージを表示し、このドアを管理するユーザーによる確認の操作により鍵情報D1を登録する。これにより制御部23は、悪意をもった第3者による鍵情報D1の登録を防止する。またこのようにして鍵情報D1を登録すると、携帯端末2に登録を通知する。
【0048】
これに対して無線通信部21を介して、図1のステップSP32について上述した携帯端末2からの鍵情報D1の認証が求められると、記憶部24に登録された鍵情報D1を検索し、この認証の求められた鍵情報D1が記憶部24に登録されているものか否か判断する。これにより制御部23は、事前の鍵情報D1の登録に係る撮像結果と、この認証に供する鍵情報D1に係る撮像結果とが、同一の被写体を同一の方向より撮影したものか否か判定する。ここで否定結果が得られると、制御部23は、正しく認証できなかった旨、携帯端末2に通知する。これに対して認証の求められた鍵情報D1が記憶部24に登録されているものの場合、正しく認証された旨、携帯端末2に応答を返し、その後、開錠機構25の駆動により開錠の処理を実行する。
【0049】
なおこの実施例において、これら携帯端末2及びホスト装置3の間における鍵情報D1の送受にあっては、事前の認証処理により設定した暗号化鍵を用いて暗号化して送受し、また記憶部24における鍵情報D1の保持にあっても、同様に暗号化して保持するようになされ、これにより十分なセキュリティーを確保するようになされている。
【0050】
(2)実施例の動作
以上の構成において、この入室管理システム1では、携帯端末2により生成された鍵情報D1がホスト装置3に登録され、この携帯端末2を携帯するユーザーがこのホスト装置3により管理されるドアより退出すると、ホスト装置3に設けられた開錠機構25によりこのドアが施錠される。またこのユーザーがこのドアが設けられた箇所に戻ってきて、携帯端末2の操作により鍵情報D1を送出すると、ホスト装置3におけるこの鍵情報D1の照合により、開錠機構25によりドアが開錠され、これによりこのドアからの入室が可能となる。
【0051】
これら一連の制御において、この入室管理システム1では、ユーザーによる操作によりユーザーの所望する被写体の撮像結果が携帯端末2により取得され、この撮像結果とGPS部9により検出されるこのドアが設けられている位置情報とにより鍵情報D1が生成され、この鍵情報D1がホスト装置3に登録される。また携帯端末2側においては、このドアが設けられている位置情報がGPS部9により取得されて記憶部7に記録されて保持される。
【0052】
このようにして登録した後において、携帯端末2では、ユーザーが携帯して変化する現在位置の位置情報がGPS部9により一定の時間間隔により検出され、この検出結果による位置情報のうち、ドアが設けられている箇所を中心とした一定範囲の位置情報が時間情報と共に記憶部7に記録される。これによりこの入室管理システム1では、携帯端末2においてユーザーの行動の履歴がログ情報として記憶部7に記憶される。
【0053】
また携帯端末2では、このドアが設けられた箇所にユーザーが到着すると、GPS部9による現在位置の位置情報により、制御部6でこの到着が検出され、記憶部7に記録されたログ情報との照合により、このドアより退室して戻って来た状況であることが検出されると、ディジタルカメラ10が起動され、ユーザーにより所望する撮像結果が取得される。また登録時と同様にして、この撮像結果とGPS部9により検出されるこのドアが設けられている位置情報とにより鍵情報D1が生成され、この鍵情報D1がホスト装置3により照合される。
【0054】
これによりこの実施例では、登録時にユーザーが撮影したと同一の被写体を同一の方向により撮影して初めてドアを開錠することができ、これにより指紋等の重要な個人情報を使用することなく、またこの携帯端末2が盗難等にあった場合にあっても、十分なセキュリティーを確保することができる。すなわちこのようにユーザーの所望する被写体の撮像結果により開錠する場合、ユーザーにおいては、第3者の知り得ない、ユーザー独自の被写体を設定することができ、これにより高いセキュリティーを確保することができる。またこのような開錠の基準である被写体にあっては、複数のユーザーにより共通化することにより、これら複数のユーザーで共通に開錠の処理を実行し得、これにより使い勝手を向上することができる。
【0055】
また現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報との組み合わせにより、例えば複数のドアを1つのホスト装置により管理する場合に、各ドアをそれぞれ確実に管理することができる。
【0056】
また携帯端末2においては、このようにして開錠の処理を実行する際に、位置情報の過去の記録から、外部からドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、鍵情報を作成することにより、例えば自宅を出発して自宅まで帰ってきた場合にのみ開錠することができ、これによってもセキュリティー性の高い鍵システムを構築することができる。
【0057】
またこのように外部からドアが設けられた場所への到着を検出した場合、携帯端末2では、撮像手段が自動的に起動され、これによりユーザーにおいては、煩雑な操作を簡略化することができる。
【0058】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、位置情報により検出される管理対象への外部からの到来をトリガにして、現在位置の位置情報とユーザーの所望する被写体の撮像結果とにより鍵情報を生成してドアの開錠を要求し、この鍵情報を用いた照合により撮像結果と事前に登録した撮像結果とが一致した場合に開錠することにより、指紋等の重要な個人情報を使用することなく、十分なセキュリティーを確保することができる。
【0059】
またこのときドアが設けられた場所への到着の検出により、撮像手段を起動することにより、ユーザーにおける煩雑な操作を簡略化して使い勝手を向上することができる。
【実施例2】
【0060】
なお上述の実施例においては、携帯電話、PDAによる携帯端末によりホスト装置をアクセスする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯電話、PDAによる携帯端末に代えて専用の携帯端末によりシステムを構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、入室管理システム、携帯端末、ホスト装置及び入室管理方法に関し、例えば住宅の開錠の管理に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例に係る入室管理システムにおける携帯端末の動作の説明に供するフローチャートである。
【図2】本発明の実施例に係る入室管理システムを示すブロック図である。
【図3】図2の入室管理システムにおける登録時の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1……入室管理システム、2……携帯端末、3……ホスト装置、6、23……制御部、7、24……記憶部、9……GPS部、10……ディジタルカメラ、11……画像処理部、12、21……無線通信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理システムにおいて、
前記携帯端末は、
ユーザーの所望する被写体を撮像して撮像結果を出力する撮像手段と、
現在位置を検出して位置情報を出力する現在位置検出手段と、
前記位置情報を記録する記憶手段と、
前記ホスト装置との通信手段とを有し、
前記現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記記憶手段に記録された前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、
前記撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出し、
前記ホスト装置は、
前記携帯端末より送出された前記鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、
前記ユーザーの所望する被写体の撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠する
ことを特徴とする入室管理システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
前記ドアが設けられた場所への到着の検出により、前記撮像手段を起動する
ことを特徴とする請求項1に記載の入室管理システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、
事前に、ユーザーによる操作子の操作に応動して、前記撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記事前の登録に係る情報を生成し、該生成した事前の登録に係る情報を前記ホスト装置に送出し、
前記ホスト装置は、
前記携帯端末から送出される前記事前の登録に係る情報を記憶手段に記録して保持し、前記鍵情報の照合に供する
ことを特徴とする請求項1に記載の入室管理システム。
【請求項4】
ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記携帯端末からの前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理システムに適用される前記携帯端末において、
前記ホスト装置は、
前記携帯端末より送出された鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、
前記鍵情報により検出される撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠し、
前記携帯端末は、
ユーザーの所望する被写体を撮像して撮像結果を出力する撮像手段と、
現在位置を検出して位置情報を出力する現在位置検出手段と、
前記位置情報を記録する記憶手段と、
前記ホスト装置との通信手段とを有し、
前記現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記記憶手段に記録された前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、
前記撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出する
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記携帯端末からの前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理システムに適用される前記ホスト装置において、
前記携帯端末は、
現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、
撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出し、
前記ホスト装置は、
前記携帯端末より送出された前記鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、前記ユーザーの所望する被写体の撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠する
ことを特徴とするホスト装置。
【請求項6】
ドアの開錠を要求する携帯端末と、前記携帯端末からの前記開錠の要求により前記ドアを開錠するホスト装置とによる入室管理方法において、
前記携帯端末により、
現在位置検出手段により検出される現在位置の位置情報と、前記位置情報の過去の記録とから、外部から前記ドアが設けられた場所への到着を検出した場合に、
撮像手段により取得したユーザーの所望する被写体の撮像結果と、前記現在位置の位置情報とを処理して前記ドアの開錠に供する鍵情報を生成し、該生成した鍵情報を前記ホスト装置に送出し、
前記ホスト装置により、
前記携帯端末より送出された前記鍵情報を事前の登録に係る情報と照合し、前記ユーザーの所望する被写体の撮像結果が、事前に登録された登録済みの撮像結果と一致した場合に前記ドアを開錠する
ことを特徴とする入室管理方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−193884(P2006−193884A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3326(P2005−3326)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】