説明

入退室管理装置

【課題】フロア内の扉が長時間開放されることを未然に防止しつつ、必要に応じて扉を意図的に長時間開放状態とすることが容易にできる入退室管理装置を提供する。
【解決手段】施設内において仕切られて入退出制限の課されたフロア1aに設けられた扉2a、2bと、扉に設けられ平時に扉を施錠し認証成功時に解錠する電気錠と、扉の開放時間が所定の長時間開放時間以上となった場合に警報を発する制御手段5と、を有する入退室管理装置において、操作者が所定のモード切換え操作を行うモード切換え操作手段3aを備え、制御手段は、モード切換え操作により、扉の開放時間が長時間開放時間以上となった場合において警報を発する通常モードと、扉の開放時間が長時間開放時間以上となった場合においても警報を発しない換気モードと、を切換可能である構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入退室管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における入退室管理装置においては、通行者の通行可否を判定する通行可否判定手段により通行可と判定されたときのみ扉の電気錠を解錠し、通行者により扉が閉められたときに電気錠を施錠する際に扉が開放されてから閉じるまでの扉開放時間を計測する扉開放時間計測部を備え、この扉開放時間計測部による扉開放時間が設定された長時間扉開放時間以上となったときに警報を発するようにしたものや、このような入退室管理装置において、扉開放時間計測部による通行毎の扉開放時間を記憶する記憶部と、扉開放時間のデータ収集期間を設定する期間設定入力部と、この期間設定入力部による設定期間の間、記憶部に記憶された通行毎の扉開放時間の内最大値を得る演算処理部と、この演算処理部により得られた扉開放時間を長時間扉開放時間として設定入力する時間入力部と、をさらに備えることにより長時間扉開放時間の設定を容易に行うことができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−034740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示された従来における入退室管理装置においては、通常時において、一定時間(長時間扉開放時間)の間、扉を開放していると警報を発するように構成されているため、扉が設けられたフロア内において長時間扉開放の許可、不許可を切換えることができない。従って、例えば当該扉が設けられた部屋内の換気等を目的として意図的に当該扉を開放することが困難であるという課題がある。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、フロア内の扉が長時間開放されることを未然に防止しつつ、必要に応じて扉を意図的に長時間開放状態とすることが容易にできる入退室管理装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る入退室管理装置においては、施設内において仕切られて入退出制限の課された区画である1以上のフロアに設けられた1以上の扉と、前記扉に設けられ平時に前記扉を施錠し認証成功時に解錠する電気錠と、前記扉の開放時間が所定の長時間開放時間以上となった場合に警報を発する制御手段と、を有する入退室管理装置であって、操作者が所定のモード切換え操作を行うためのモード切換え操作手段を備え、前記制御手段は、前記モード切換え操作手段に対する前記モード切換え操作により、前記扉の開放時間が前記長時間開放時間以上となった場合において警報を発する通常モードと、前記扉の開放時間が前記長時間開放時間以上となった場合においても警報を発しない換気モードと、を切換可能である構成とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る入退室管理装置においては、フロア内の扉が長時間開放されることを未然に防止しつつ、必要に応じて扉を意図的に長時間開放状態とすることが容易にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る入退室管理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る入退室管理装置の扉情報設定について模式的に示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る入退室管理装置のフロア情報設定について模式的に示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る入退室管理装置のカード情報設定について模式的に示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る入退室管理装置のカードリーダ(CR)の状態遷移図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る入退室管理装置のフロアの状態遷移図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る入退室管理装置の動作の流れ示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1から図7は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は入退室管理装置の全体構成を模式的に示す図、図2は入退室管理装置の扉情報設定について模式的に示す図、図3は入退室管理装置のフロア情報設定について模式的に示す図、図4は入退室管理装置のカード情報設定について模式的に示す図、図5は入退室管理装置のカードリーダ(CR)の状態遷移図、図6は入退室管理装置のフロアの状態遷移図、図7は入退室管理装置の動作の流れを示すフロー図である。
【0011】
図において1は当該入退出管理装置が設置された工場やオフィス等の施設内において、仕切られて入退出制限の課されたいくつかの区画の1つであるフロアA1aである。
そして、このフロアA1aには、利用者がこのフロアA1a内に出入りするための出入口が、ここでは例えば2つ設けられており、これらの出入口には図示しない電気錠により施錠可能である扉A2a及び扉B2bが開閉自在に設けられている。
【0012】
扉A2aにより開閉される出入口の出口側(すなわち内側)の近傍には、利用者が携帯する社員証やセキュリティ用カード等のカード4の記録内容である認証情報を読取るための退室用カードリーダ3a(退室用CR)が設置されている。
また、扉A2aにより開閉される出入口の入口側(すなわち外側)の近傍には、同じく利用者が携帯するカード4の記録内容を読取るための入室用カードリーダ3b(入室用CR)が設置されている。
これらの退室用カードリーダ3a及び入室用カードリーダ3bには、利用者による認証操作においてパスワードを入力するためのテンキーが備えられている。
【0013】
退室用カードリーダ3a及び入室用カードリーダ3bや扉A2a及び扉B2bの電気錠における認証時等の各種動作は、制御手段であるコントローラ5により制御されており、このコントローラ5には、利用者毎のフロアA1aへの入退室権限やパスワード等が予め記憶されている。この利用者毎の入退室権限は、例えば、コントローラ5に備えられたカード情報6に、入退室許可利用者(のID)として予め記憶されている。
扉A2a及び扉B2bは平時において電気錠により施錠され、フロアA1aに対して入退室権限を持たない利用者が当該フロアA1aに入退出することが物理的に阻止されている。
【0014】
カード4にはこれを携帯する利用者を識別するため、各利用者毎に固有のIDが記録されており、利用者が自身の携帯するカード4を入室用カードリーダ3bや退室用カードリーダ3aにかざす等の操作をして、当該カード4に記録されたIDを読取らせると、コントローラ5により、読取られた当該IDと記憶された入退室権限との照合による認証が行われる。また、この際、必要に応じてカードリーダのテンキー操作によるパスワードによる認証も併せて行われる。
【0015】
この認証において、読取られた当該IDに対応する利用者がフロアA1aへの入退室権限を有しており認証成功となると、コントローラ5による制御の下、操作したカードリーダに対応する扉A2aの電気錠が解錠され利用者はフロアA1aに対する入退出が可能となる。一方、認証不成功である場合には、当該電気錠の施錠状態は維持され入退出が阻止される。
なお、この場合におけるIDカードの記録内容の読取方式としては、接触型及び非接触型のいずれも用いることができる。
【0016】
そして、認証成功となって電気錠が解錠されてから(すなわち扉A2aが開放されてから)の経過時間である開放時間を計測し、この開放時間が所定の長時間開放時間以上となると、コントローラ5は警報を発して扉A2aの閉め忘れに対する注意喚起を行う。
【0017】
本願に係る入退室管理装置は、以上のような通常モードの他に、換気モードに切換えることができる。
通常、フロア内の換気は、換気扇や換気口等の換気装置が設けられている場合にはこれらの換気装置を用いることにより、窓が複数設けられている場合にはこれらの窓を開放することにより、行われる。
【0018】
しかし、フロアに換気装置や窓がない場合、窓が1つしかない若しくは壁の一面にしかない場合、又は、一時的に入退室が自由に許されるようになっても構わない場所(例えば来客専用フロア等)に設置された通行扉を用いて換気を行う場合等においては、フロアに設けられた扉を開放することによって、当該フロア内の換気が行われる。
本願に係る入退室管理装置の換気モードとは、扉の開放時間が長時間開放時間以上となっても警報が動作しないようにするモードである。
【0019】
この換気モードの実現にあたり、コントローラ5には、カード情報6の他に、扉情報7及びフロア情報8の各情報が記憶されている。
扉情報7は、当該入退室管理装置に係るある対象フロアが換気モードである場合において、当該対象フロアに所属する扉毎に換気を許可するか否か(すなわち開放時間が長時間開放時間以上となった場合の警報を無効とするか否か)についての情報である。
【0020】
このコントローラ5内の扉情報7の設定や更新は、図2に示すように、管理用パソコン9(PC)をコントローラ5に接続し、この管理用パソコン9を操作することにより行われる。
すなわち、当該入退室管理装置の管理者は、管理用パソコン9をコントローラ5に接続して、扉A2a及び扉B2bのそれぞれについて、換気を許可するか不許可とするかについて設定を行う。ここでは、例えば、フロアA1aの扉A2aについては換気を許可し、扉B2bについては換気を不許可とした場合について説明する。この設定情報は、コントローラ5の扉情報7に記憶される。
【0021】
このように設定された状態において、当該入退室管理装置に係るフロアA1aが通常モードである場合には、扉A2a及び扉B2bの双方とも、開放時間が長時間開放時間以上となった場合には警報が発せられ注意喚起が行われる。
そして、後述する所定のモード切換え操作により、当該入退室管理装置に係るフロアA1aが通常モードから換気モードへと切換えられると、扉A2aは換気許可に設定されているため開放時間が長時間開放時間以上となっても警報は動作しない。一方、扉B2bは換気不許可に設定されているため開放時間が長時間開放時間以上となると警報が動作する。すなわち、扉A2aにおいては換気モードの場合には開放時間が長時間開放時間以上となっても警報が動作しないのに対し、扉B2bにおいてはモードに関わらず常時、開放時間が長時間開放時間以上となると警報が動作することになる。
【0022】
フロア情報8は、複数のフロアそれぞれに対して所属する扉についての情報である。ここでは、例えば図3に示すように、互いに隣接するフロアA1a及びフロアB1bが設けられており、フロアA1aには扉A2a及び扉B2bが、フロアB1bには扉C2c及び扉D2dが、それぞれ所属しているとした場合について説明する。
当該入退室管理装置の管理者は、管理用パソコン9をコントローラ5に接続して、フロアA1aについては扉A2a及び扉B2bが所属しており、フロアB1bについては扉C2c及び扉D2dが所属していると設定を行う。この設定情報は、コントローラ5のフロア情報8に記憶される。
【0023】
このように設定された状態において、当該入退室管理装置に係るフロアA1a及びフロアB1bの通常モード及び換気モード間の切換えは、後述する所定のモード切換え操作により行われる。そして、この際、このモード切換えは、フロア情報8に基づいて各フロア毎に、各フロアを単位として各フロアに所属する扉を一括して、行うことができる。
すなわち、所定のモード切換え操作によりフロアA1a(に属する扉A2a及び扉B2b)及びフロアB1b(に属する扉C2c及び扉D2d)を同時に通常モードや換気モードに切換えることはもちろん、フロアA1aを換気モードとしフロアB1bを通常モードとしたり、又はこの逆にフロアA1aを通常モードとしフロアB1bを換気モードとしたりすることが可能である。
【0024】
カード情報6は、前述の入退室権限を有する利用者のカード4についての情報の他、当該入退室管理装置に係るある対象フロアに対して換気モードへの切換えを許可するカード4についての情報も含まれており、すなわち、カード4を所持する利用者毎に換気モードへの切換え権限も設定される。従って、このカード情報6は、操作者毎に通常モードから換気モードへの切換え権限を有するか否かを予め記憶する切換え権限情報を構成している。
ここでは、例えば図4に示すように、操作者A10aについては換気モードへの切換えが許可されており、操作者B10bについては換気モードへの切換えが許可されていない場合について説明する。
【0025】
当該入退室管理装置の管理者は、管理用パソコン9をコントローラ5に接続して換気モードへの切換えが許可されている操作者の登録を行う。すなわち、操作者A10aの所持するカード4に記録されたIDを換気モード切換えが許可された利用者のIDであるとカード情報6へと登録することにより、操作者A10aは換気モードへの切換えが許可されている旨の設定を行う。
また、コントローラ5のフロア情報8には、各フロア毎にモード切換えのパスワードが予め記憶されている。
【0026】
このように設定された状態において、当該入退室管理装置に係るある対象フロアの通常モード及び換気モード間の切換えは、所定のモード切換え操作により行われる。
この所定のモード切換え操作について、まず、通常モードから換気モードへの切換え操作について説明する。
【0027】
すなわち、換気モードへの切換えが許可されている操作者A10aが、フロアA1aのモードを通常モードから換気モードへと切換えるために、フロアA1aの内側に設けられた退室用カードリーダ3aに対して所定の認証変更操作を行うことにより、退室用カードリーダ3aは通常の入退室認証待ち状態からモード切換え認証待ち状態へと遷移する。この所定の認証変更操作は、例えば、退室用カードリーダ3aのテンキーの「#」キーを長押しすること等により行われる。
なお、この場合、退室用カードリーダ3aは、操作者が所定のモード切換え操作を行うためのモード切換え操作手段を構成している。
【0028】
次に、操作者A10aは、退室用カードリーダ3aのテンキーを操作してフロアA1aのモード切換えパスワードを入力し、退室用カードリーダ3aにカード4をかざす等のカード操作を行う。コントローラ5は、入力されたモード切換えパスワードをフロア情報8に記憶されたものと照合するとともに、読取ったカード4のIDをカード情報6に登録されたものと照合を行う。
【0029】
この照合において、入力されたモード切換えパスワードがフロア情報8に記憶されたモード切換えパスワードと一致し、かつ、読取ったカード4のIDがカード情報6に記憶されたモード切換えが許可されたIDと一致した場合には、フロアA1aのモード切換えが許可され、通常モードから換気モードへと切換わる。
一方、この照合において、入力されたモード切換えパスワードがフロア情報8に記憶されたモード切換えパスワードと一致せず、又は、読取ったカード4のIDがカード情報6に記憶されたモード切換えが許可されたIDと一致しなかった場合には、フロアA1aのモード切換えは許可されず、通常モードが継続される。
【0030】
なお、このモード切換え認証は、退室用カードリーダ3aにおいてのみ行うことが可能で、入室用カードリーダ3bにおいては行うことはできない。すなわち、フロアA1a内においてのみ所定のモード切換え操作を行うことが可能であり、換言すれば、フロアA1aに対する入退室が許可された利用者のみ所定のモード切換え操作を行うことができる。
【0031】
次に、所定のモード切換え操作について、換気モードから通常モードへの切換え操作について説明する。
前述した通常モードから換気モードへの切換えにおいては、フロアA1aに対する入退室が許可され、かつ、換気モードへの切換えが許可されている操作者、つまり、操作者A10aのみが、当該切換え操作を行うことができたが、ここで説明する通常モードから換気モードへの切換え(復帰)においては、フロアA1aに対する入退室が許可された操作者であれば、つまり、図1から図4の例では操作者A10a及び操作者B10bの双方が、当該切換え操作を行うことができる。
【0032】
すなわち、操作者A10a又は操作者B10bが、フロアA1aのモードを換気モードから通常モードへと切換えるために、フロアA1aの内側に設けられた退室用カードリーダ3aに対して所定の認証変更操作を行うことにより、退室用カードリーダ3aは通常の入退室認証待ち状態からモード切換え認証待ち状態へと遷移する。この所定の認証変更操作は、例えば、退室用カードリーダ3aのテンキーの「#」キーを長押しすること等により行われる。
【0033】
次に、操作者A10a又は操作者B10bは、退室用カードリーダ3aのテンキーを操作してフロアA1aのモード切換えパスワードを入力し、退室用カードリーダ3aにカード4をかざす等のカード操作を行う。コントローラ5は、入力されたモード切換えパスワードをフロア情報8に記憶されたものと照合するとともに、読取ったカード4のIDをカード情報6に登録されたものと照合を行う。
【0034】
この照合において、入力されたモード切換えパスワードがフロア情報8に記憶されたモード切換えパスワードと一致し、かつ、読取ったカード4のIDがカード情報6に記憶されたフロアA1aへの入退室が許可されたIDと一致した場合には、フロアA1aのモード切換えが許可され、換気モードから通常モードへと切換わる。
一方、この照合において、入力されたモード切換えパスワードがフロア情報8に記憶されたモード切換えパスワードと一致せず、又は、読取ったカード4のIDがカード情報6に記憶されたフロアA1aへの入退室が許可されたIDと一致しなかった場合には、フロアA1aのモード切換えは許可されず、換気モードが継続される。
【0035】
なお、先ほどの通常モードから換気モードへの場合と同様、このモード切換え認証は、退室用カードリーダ3aにおいてのみ行うことが可能で、入室用カードリーダ3bにおいては行うことはできない。すなわち、フロアA1a内においてのみ所定のモード切換え操作を行うことが可能であり、換言すれば、フロアA1aに対する入退室が許可された利用者のみ所定のモード切換え操作を行うことができる。
【0036】
次に、フロアA1a内に空調手段であるエアコンディショナー、エアコン11が設置されている場合について説明する。
コントローラ5は、このエアコン11の作動状態を監視しており、前述した通常モードから換気モードへのモード切換え操作が行われた場合に、エアコン11の作動状態を確認し、エアコン11が作動していないときのみ換気モードへの切換えを許可し、エアコン11が作動しているときには換気モードへの切換えを不許可として通常モードを継続する。
また、コントローラ5は、入退室管理装置に係るある対象フロアが換気モードであるときにエアコン11の作動を検出すると、自動的に換気モードから通常モードへと切換える。
【0037】
本願に係る入退室管理装置においては、退室用カードリーダ3aは、図5に示すように状態遷移する。
すなわち、通常の入退室認証待ち状態である通常認証待ち状態20にあるときに、利用者によりテンキー操作によるパスワードの入力やカード4をかざす等のカード操作がなされると、通常認証処理中状態21へと遷移する。そして、通常の入退室認証処理が終了すると、通常認証待ち状態20へと戻る。
【0038】
また、通常認証待ち状態20にあるときに、例えばテンキーの「#」キーを長押しする等の所定の認証変更操作が行われると、退室用カードリーダ3aはモード切換え認証待ち状態22へと遷移する。
そして、このモード切換え認証待ち状態22においては、対象フロアが通常モードと換気モードのいずれのモードにあるかに応じて、これから行われるモード切換え認証処理が、通常モードから換気モードへのモード切換えに対するものであるのか、又は、換気モードから通常モードへのモード切換えに対するものであるのかを認知、決定する。すなわち、現在通常モードであれば換気モードへの切換えであり、現在換気モードであれば通常モードへの切換えであると認知する。
【0039】
これにより、いずれのモードへの切換え操作であっても、次に述べる認証操作であるテンキー操作やカード操作は同一の操作とすることができる。
そして、利用者によりテンキー操作によるパスワードの入力やカード4をかざす等のカード操作がなされると、モード切換え認証処理中状態23へと遷移する。
このモード切換え認証処理中状態23において、前述したようなモード切換え認証処理が終了すると、この認証が成功及び不成功のいずれに関わらず、退室用カードリーダ3aは通常認証待ち状態20へと戻る。
【0040】
本願に係る入退室管理装置においては、対象フロア(フロアA1aやフロアB1b)は、図6に示すように状態遷移する。
すなわち、当該対象フロアに所属する扉の開放時間が所定の長時間開放時間以上になると警報が動作する通常モード状態30において、前述した所定のモード切換え操作が行われると、換気モード状態31へと遷移する。
この換気モード状態31においては、当該対象フロアに所属する扉のうち、換気許可に設定された扉については、開放時間が長時間開放時間以上となっても警報が動作しない。
そして、換気モード状態31において、前述した所定のモード切換え操作が行われるか、又は、対象フロアのエアコン11が運転を開始したことが検出されると、当該対象フロアは通常モード状態30へと遷移する。
【0041】
この実施の形態にあっては、入退室管理装置は、図7に示す一連のフローに従って動作する。
まず、対象フロア(フロアA1a)の退室用カードリーダ3a(CR)において所定のモード切換え操作が開始されると、すなわち、退室用カードリーダ3aに対して所定の認証変更操作がなされモード切換え認証待ち状態22となり、操作者が退室用カードリーダ3aのテンキーによりモード切換えパスワードを入力し、さらに退室用カードリーダ3aに対してカード4をかざす等のカード操作を行うと(ステップS1)、コントローラ5は、対象フロアの現在のモードが通常モードであるのか換気モードであるのかを確認する(ステップS2)。
【0042】
このステップS2の確認において、対象フロアの現在のモードが通常モードであることが確認された場合には、ステップS3へと移行し、コントローラ5は、ステップS1で退室用カードリーダ3aのテンキーから入力された切換えパスワードがフロア情報8に記憶された当該対象フロアのモード切換えパスワードと一致するか否かについて確認を行い、入力された切換えパスワードがフロア情報8に記憶された当該対象フロアのモード切換えパスワードと一致することが確認された場合には、ステップS4へと進む。
【0043】
ステップS4においては、コントローラ5は、退室用カードリーダ3aにより読取ったカード4(操作カード)のIDが、カード情報6に当該対象エリアへの入退室が許可されたIDとして記憶されているか(存在しているか)については確認を行い、読取ったカード4のIDが、カード情報6に当該対象エリアへの入退室が許可されたIDとして記憶されている場合には、ステップS5へと移る。
【0044】
このステップS5においては、コントローラ5は、退室用カードリーダ3aにより読取ったカード4(操作カード)のIDが、カード情報6に換気モードへの切換えが許可されたIDとして記憶されているかについては確認を行い、読取ったカード4のIDが、カード情報6に換気モードへの切換えが許可されたIDとして記憶されている場合には、ステップS6へと進む。
【0045】
そして、ステップS6において、コントローラ5は、当該対象エリアに設置されたエアコン11が運転されており使用されているか否かについて確認を行い、当該対象エリアに設置されたエアコン11が使用されていないことが確認された場合には認証成功となりステップS7へと移り、コントローラ5は、当該対象エリア(フロアA1a)を換気モードへと切換えた後、ステップS11へと移行する。
【0046】
このステップS11においては、コントローラ5は、退室用カードリーダ3aをモード切換え認証処理中状態23から通常認証待ち状態20へと復帰させる。そして、続くステップS12へと至り、退室用カードリーダ3aにおけるモード切換え操作は終了する。
なお、ステップS3において入力された切換えパスワードがフロア情報8に記憶された当該対象フロアのモード切換えパスワードと一致しない場合、ステップS4において読取ったカード4のIDが、カード情報6に当該対象エリアへの入退室が許可されたIDとして記憶されていない場合、ステップS5において読取ったカード4のIDが、カード情報6に換気モードへの切換えが許可されたIDとして記憶されていない場合、及び、ステップS6において当該対象エリアに設置されたエアコン11が使用されていることが確認された場合には、認証不成功となり、これらのステップから直接ステップS11へと移り、モード切換えはなされない。
【0047】
一方、ステップS2の確認において、対象フロアの現在のモードが換気モードであることが確認された場合には、ステップS8へと移行し、コントローラ5は、ステップS1で退室用カードリーダ3aのテンキーから入力された切換えパスワードがフロア情報8に記憶された当該対象フロアのモード切換えパスワードと一致するか否かについて確認を行い、入力された切換えパスワードがフロア情報8に記憶された当該対象フロアのモード切換えパスワードと一致することが確認された場合には、ステップS9へと進む。
【0048】
ステップS9においては、コントローラ5は、退室用カードリーダ3aにより読取ったカード4(操作カード)のIDが、カード情報6に当該対象エリアへの入退室が許可されたIDとして記憶されているか(存在しているか)については確認を行い、読取ったカード4のIDが、カード情報6に当該対象エリアへの入退室が許可されたIDとして記憶されている場合には認証成功となりステップS10へと移り、コントローラ5は、当該対象エリア(フロアA1a)を通常モードへと切換えた後、ステップS11へと移行する。
そしてステップS11において退室用カードリーダ3aをモード切換え認証処理中状態23から通常認証待ち状態20へと復帰させた後、ステップS12へと至り退室用カードリーダ3aにおけるモード切換え操作は終了する。
【0049】
なお、ステップS8において入力された切換えパスワードがフロア情報8に記憶された当該対象フロアのモード切換えパスワードと一致しない場合、及び、ステップS9において読取ったカード4のIDが、カード情報6に当該対象エリアへの入退室が許可されたIDとして記憶されていない場合には、認証不成功となり、これらのステップから直接ステップS11へと移り、モード切換えはなされない。
【0050】
なお、以上においては、モード切換え操作手段として退室用カードリーダを用いた例について説明したが、コントローラに接続した管理用パソコンをモード切換え操作手段として、この管理用パソコンを操作することにより通常モードと換気モードとの間の切換えを行うことも可能である。
【0051】
以上のように構成された入退室管理装置は、施設内において仕切られて入退出制限の課された区画である1以上のフロアに設けられた1以上の扉と、扉に設けられ平時に扉を施錠し認証成功時に解錠する電気錠と、扉の開放時間が所定の長時間開放時間以上となった場合に警報を発する制御手段と、を有する入退室管理装置であって、操作者が所定のモード切換え操作を行うためのモード切換え操作手段を備え、制御手段は、モード切換え操作手段に対するモード切換え操作により、扉の開放時間が長時間開放時間以上となった場合において警報を発する通常モードと、扉の開放時間が長時間開放時間以上となった場合においても警報を発しない換気モードと、を切換可能であるものである。
【0052】
このため、フロア内の扉が長時間開放されることを未然に防止しつつ、必要に応じて扉を意図的に長時間開放状態とすることが容易にでき、従って、フロアに換気装置や窓がない場合等に、換気装置や空調手段を用いることなくフロアに設けられた扉を開放することによって当該フロア内の換気を行うことができ、エネルギー消費量の削減を図ることも可能である。
【0053】
また、フロアのそれぞれに所属する扉を予め記憶するフロア情報をさらに備え、制御手段は、フロア情報に基づいて、フロア毎に通常モードと換気モードとを切換可能であるため、フロア毎に一括して対象フロアに所属する扉のモードを切換ることが可能である。
さらにまた、扉毎に換気許可か換気不許可かを予め記憶する扉情報をさらに備え、制御手段は、扉情報に基づいて、換気モードにおいて、換気許可の扉の開放時間が長時間開放時間以上となった場合には警報を発せず、換気不許可の扉の開放時間が長時間開放時間以上となった場合には警報を発するため、扉毎にセキュリティに応じて長時間開放を許可するか否かを細かく設定することができる。
【0054】
そして、制御手段はモード切換え操作において操作者がモード切換えの対象であるフロアに対する入退室権限を有している場合にモード切換えを行うとともに、モード切換え操作手段はフロアの内側に配設されていることにより、扉が設けられたフロア内において、当該扉の長時間扉開放の許可、不許可を切換えることが可能である。
【0055】
また、この際、操作者毎に通常モードから換気モードへの切換え権限を有するか否かを予め記憶する切換え権限情報をさらに備え、制御手段は、通常モードから換気モードへのモード切換え操作において、切換え権限情報に基づいて、操作者が通常モードから換気モードへの切換え権限を有している場合にモード切換えを行うようにすることで、長時間開放が許可される換気モードへの切換えは当該モード切換え権限を有する操作者のみ可能なのに対して、通常モードへの復帰はフロア内の操作者であればできるようにし、当該モード切換え権限を有する操作者が退室した後においてもフロア内の者だけで通常モードへと復帰させることが可能である。
【0056】
加えて、フロア内に設けられた空調手段を備え、制御手段は、空調手段が作動している場合には、空調手段が設けられたフロアを換気モードにせずに通常モードにすることで、空調使用時における扉の長期時間開放を防止し、空調効率を向上させて省エネルギーを図ることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1a フロアA
1b フロアB
2a 扉A
2b 扉B
2c 扉C
2d 扉D
3a 退室用カードリーダ
3b 入室用カードリーダ
4 カード
5 コントローラ
6 カード情報
7 扉情報
8 フロア情報
9 管理用パソコン
10a 操作者A
10b 操作者B
11 エアコン
20 通常認証待ち状態
21 通常認証処理中状態
22 モード切換え認証待ち状態
23 モード切換え認証処理中状態
30 通常モード状態
31 換気モード状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内において仕切られて入退出制限の課された区画である1以上のフロアに設けられた1以上の扉と、前記扉に設けられ平時に前記扉を施錠し認証成功時に解錠する電気錠と、前記扉の開放時間が所定の長時間開放時間以上となった場合に警報を発する制御手段と、を有する入退室管理装置であって、
操作者が所定のモード切換え操作を行うためのモード切換え操作手段を備え、
前記制御手段は、前記モード切換え操作手段に対する前記モード切換え操作により、前記扉の開放時間が前記長時間開放時間以上となった場合において警報を発する通常モードと、前記扉の開放時間が前記長時間開放時間以上となった場合においても警報を発しない換気モードと、を切換可能であることを特徴とする入退室管理装置。
【請求項2】
前記フロアのそれぞれに所属する前記扉を予め記憶するフロア情報をさらに備え、
前記制御手段は、前記フロア情報に基づいて、前記フロア毎に通常モードと換気モードとを切換可能であることを特徴とする請求項1に記載の入退室管理装置。
【請求項3】
前記フロア情報は、前記フロア毎に所定のモード切換えパスワードを予め記憶し、
前記制御手段は、前記モード切換え操作において操作者が入力したパスワードと前記フロア情報の前記モード切換えパスワードとの照合を行い、両者が一致した場合にモード切換えを行うことを特徴とする請求項2に記載の入退室管理装置。
【請求項4】
前記扉毎に換気許可か換気不許可かを予め記憶する扉情報をさらに備え、
前記制御手段は、前記扉情報に基づいて、換気モードにおいて、換気許可の前記扉の開放時間が前記長時間開放時間以上となった場合には警報を発せず、換気不許可の前記扉の開放時間が前記長時間開放時間以上となった場合には警報を発することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の入退室管理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記モード切換え操作において、操作者がモード切換えの対象である前記フロアに対する入退室権限を有している場合にモード切換えを行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の入退室管理装置。
【請求項6】
前記モード切換え操作手段は、前記フロアの内側に配設されていることを特徴とする請求項5に記載の入退室管理装置。
【請求項7】
操作者毎に通常モードから換気モードへの切換え権限を有するか否かを予め記憶する切換え権限情報をさらに備え、
前記制御手段は、通常モードから換気モードへの前記モード切換え操作において、前記切換え権限情報に基づいて、操作者が通常モードから換気モードへの切換え権限を有している場合にモード切換えを行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の入退室管理装置。
【請求項8】
前記フロア内に設けられた空調手段を備え、
前記制御手段は、前記空調手段が作動している場合には、前記空調手段が設けられた前記フロアを換気モードにせずに通常モードにすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の入退室管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−128869(P2011−128869A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286474(P2009−286474)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】