説明

全固体型電池

【課題】 高電圧下での高分子固体電解質の酸化分解を抑制してサイクル特性を向上させるとともに、高エネルギー密度化を達成することができる全固体型電池を提供する。
【解決手段】 正極材2と負極材4との間に高分子固体電解質を介在させた全固体型電池10において、正極を構成する正極活物質粒子8の表面の少なくとも一部に、該正極活物質より酸素を供給されても容易に酸化することのない無機酸化物14を付着させる。ここで前記無機酸化物は、金属元素および酸素のみから構成され、好ましくはAlとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極材と負極材との間に高分子固体電解質を介在させた全固体型電池関し、より詳細には、サイクル特性や保存特性を改善し、高エネルギー密度化を達成した全固体型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電力貯蔵用や移動体機器の電源用に使用される二次電池は、一回の充電による長時間使用(高エネルギー密度化)と充放電繰り返し可能回数の増加(長寿命化)と、故障および発火に対する高い信頼性とが求められる。従来の全固体型電池では、単電池あたりの放電時、電圧の平坦部は最も高いもので4.1Vであったが、この電圧においてもそのサイクル特性や保存特性は充分とは言い難かった。また、更なる高エネルギー密度化には、単電池あたりの電圧上昇が有効であるが、このような高電圧で充分に安定に動作する全固体型電池は現在報告されていない。
【0003】
放電電圧を更に上げる手法としては、以下のものが提案されている。すなわち、スピネル型と称される結晶形態をもつ正極活物質の化合物、例えば、LiMxMn(2−x)Oにおいて、金属MにNi、Co、Fe等を用い、構成比x=0.5とした材料については、充放電時の電圧平坦部が4.7V以上を示す正極材料が合成されることが知られている。これは、金属Mイオンの価数が合成時の状態により他の価数に変化することにより高い電圧が発現するからであると考えられている。
【0004】
しかしながら従来の全固体型電池では、4V程度以上の高電圧下においては、有機物の酸化分解が不可避とされており、充放電を繰り返し行うに従い、電解質に用いられる有機物の酸化分解により正極/電解質界面に副生成物が堆積し、結果として電池性能を低下させることが懸念されていた。
また一方、正極自体が高電圧下では、本来反応すべき金属イオンの価数変化のほかに、酸素の脱離による不可逆な電荷補償が懸念されており、これらを抑制することが高電圧正極を有効に機能させるために必要とされていた。
【0005】
そこで本願出願人は、高分子固体電解質の酸化分解を抑制すると共に、正極活物質からの酸素の脱離を抑制できる二次電池を提供することを目的として、特許文献1の「二次電池」で、正極材と負極材との間に高分子固体電解質を介在させた二次電池において、正極材と高分子固体電解質との間にあらかじめ無機固体電解質の膜を形成したことを特徴とする二次電池を発案している。
かかる発明によれば、充電時に酸化剤となる二次電池の正極材による高分子固体電解質の酸化分解を、正極材と高分子固体電解質との間に形成した無機固体電解質の膜によって抑制すると共に、正極材からの酸素の離脱を抑制することができる。そのため、高分子固体電解質の劣化反応を抑えることができ、放充電を繰り返しても放電時の高電圧を長時間にわたり維持することが可能となった。
【0006】
参考として特許文献1に記載の二次電池の製造手順を図9に概略的に示した。
この二次電池の正極シートは、正極活物質バインダを静電噴霧析出装置を使用して静電噴霧析出(ESD)法により金属電極基板上に塗布した後に、金属電極基板を加熱して溶媒を揮発させることによって製造される。そして、この正極シート上に10nm程度の無機固体電解質の膜と、高分子固体電解質の膜を形成し、負極材と圧着することによって、二次電池が組み上げられる。
【特許文献1】特開2003−338321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の特許文献1に記載の二次電池の場合、正極において金属電極基板から正極活物質に電子を移動させるために、正極活物質は電極基板上に非常に薄い膜で形成される必要があり、そのため容量の大きな高エネルギー密度の二次電池を作成することが困難であるといった問題があった。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、高電圧下での高分子固体電解質の酸化分解を抑制してサイクル特性を飛躍的に向上させるとともに、高エネルギー密度化を達成することができる全固体型電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、正極材と負極材との間に高分子固体電解質を介在させた全固体型電池において、正極を構成する正極活物質粒子の表面の少なくとも一部に、該正極活物質より酸素を供給されても容易に酸化することのない無機酸化物を付着させた、ことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、エネルギー密度を高めるために正極に正極活物質の粒子を使用した場合にも、充電時に酸化剤となる正極活物質粒子の表面の全部または一部と接触する無機酸化物からなる付着物が、高分子固体電解質の酸化分解を抑制すると共に、正極活物質粒子からの酸素の離脱を抑制するため、高分子固体電解質の劣化反応を抑えることができ、これにより放充電を繰り返しても放電時の電圧を長時間にわたり一定に維持できる全固体型電池が提供される。
なお、正極活物質粒子の表面は無機酸化物と少なくともその一部が接触していればよい。これは耐酸化性を有する無機酸化物が部分的に存在することにより、正極活物質と高分子固体電解質とが直接接触する割合を低減させ、この部分での高分子固体電解質の酸化分解を抑制できる一方、無機酸化物が付着していない正極活物質粒子の表面部分は金属イオンが高分子固体電解質に抜け出るためのゲートウェイとならないため、この部分の正極活物質粒子/高分子固体電解質界面に副生成物が堆積したとしても電池性能を大きく低下させる要因にはならないからであると考えられる。
【0011】
ここで全固体型電池の正極シートは、請求項2の記載のように、粒子性の無機酸化物を正極活物質に機械的に混合することによりその表面に付着させ、これを電子伝導性を有する導電材の微粒子とともにシート化したものとするか、請求項3の記載のように、前駆体を溶液状態で正極材に噴霧したのち、焼成することにより無機酸化物を正極活物質粒子の表面に付着させ、これを電子伝導性を有する導電材の微粒子とともにシート化したものとする。
【0012】
この場合、前記無機酸化物は、請求項4に記載のように、金属元素および酸素のみから構成され、具体的には、請求項5に記載したように、Alであることが好ましい。
また前記導電材の微粒子は、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等の電子電導性炭素素材や、金属微粒子、金属ファイバー等の金属素材、電子電導性セラミック素材のいずれか、又はこれらの混合物が用いられる、ものとする。
【0013】
なお請求項6に記載したように、前記正極活物質に対して混合される無機酸化物の重量パーセント濃度が0.1%〜20%、前記正極活物質に対して混合される導電材の重量パーセント濃度が0.05%〜10%である、ことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1に、本発明を適用した全固体型電池の実施形態の一例を概念的に示す。全固体型電池10は、正極材2と負極材4との間に高分子固体電解質6を介在させたものであって、正極を構成する正極活物質粒子8の表面には、無機酸化物14および電子電導性を有する導電材16の微粒子が付着している。
本実施形態の全固体型電池は、例えばコンポジット全固体型二次電池である。
【0016】
正極材2は、例えば電極材料基板としての金属電極基板18と、金属電極基板上に無機酸化物14および電子電導性を有する導電材16の微粒子を付着させた正極活物質粒子8、および高分子固体電解質層6と良好なイオンの授受を行い、かつ正極活物質粒子8を金属電極基板に固定するための高分子固体電解質兼バインダより構成されている。正極活物質粒子8は、ドクターブレード法、シルクスクリーン法等により金属電極基板上に塗布されている。
金属電極基板18には、例えばアルミニウムが用いられるが、これに限るものではなく、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等でも良い。
【0017】
正極活物質粒子8としては、例えばLiMnやLiCoO、LiNiO、およびこれらの混合物、固溶体からなる組成のものが用いられるが、これに限定されるものではない。原料としては、例えばリチウム化合物塩と遷移金属酸化物、具体的には、例えば炭酸リチウム(LiCO)と酸化コバルト(Co)等の組み合わせである。正極活物質粒子の粒径は、好ましくは50ミクロン以下、より好ましくは20ミクロン以下のものを用いる。
【0018】
無機酸化物14は、正極活物質粒子より酸素供給をされても容易に酸化しない材料、例えばAlである。無機酸化物は薄膜、あるいは微粒子であることが望ましい。ここで薄膜の場合の膜厚は好ましくは1μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。また微粒子の場合、その粒径は、正極活物質粒子の粒径の3分の1程度以下のものを用いることが好ましい。ここで正極活物質に対して混合する無機酸化物の重量パーセント濃度は0.1%〜20%とすることができるが、好ましくは0.1%〜5%程度である。
【0019】
導電材16の微粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等の電子電導性炭素素材や、金属微粒子、金属ファイバー等の金属素材、電子電導性セラミック素材のいずれか、又はこれらの混合物を用いるものとする。導電材の微粒子の粒径は、正極活物質粒子の粒径の100分の1程度以下のものを用いることが好ましい。ここで正極活物質に対して混合される導電材の重量パーセント濃度は一般に0.05%〜10%とすることができるが、好ましくは0.5%〜5%程度である。
【0020】
正極を構成する正極活物質粒子8の表面への無機酸化物14及び電子電導性を有する導電材16の付着状態には、
(a)正極活物質粒子の表面に無機酸化物の粒子及び導電材の粒子を付着させたもの
(b)正極活物質粒子の表面に無機酸化物層を被覆したのち、導電材の粒子を付着させたもの
の2つがある。
【0021】
これらの正極活物質への無機酸化物等の付着状態(の正極シート)は以下の手順で作られる。
上記(a)のものでは、正極活物質粒子に、無機酸化物の粒子を混合して乾式で圧縮・せん断エネルギーを加えることにより粒子表面をコーティングする表面被覆装置で軽く攪拌(2000rpmで10分間攪拌)してから、導電材の粒子を加えてさらに、表面被覆装置で攪拌(2000rpmで80分間攪拌)した混合物を、バインダを兼ねる高分子固体電解質及び溶剤と混練して正極集電体に塗布した後にプレス成型する(図2参照)か、正極活物質粒子、無機酸化物、導電材、バインダを兼ねる高分子固体電解質及び溶剤を同時にホモジナイザー等により混合したのち、正極集電体に塗布した後にプレス成型する(図3参照)。
上記(b)のものでは、転動流動状態に保持された正極活物質粒子に、アルミナの前駆体となり得るゾル溶液を30℃以上の温風送風下で噴霧することにより、正極活物質粒子表面にアルミナ前駆体皮膜を形成したのち、焼成処理(550℃、10時間以上)により得たアルミナ被覆した混合物と、導電材の粒子、バインダを兼ねる高分子固体電解質及び溶剤と混練して正極集電体に塗布した後にプレス成型する(図4参照)。
【0022】
図5は、用いた正極活物質粒子の無機酸化物等による被覆前の表面状態を表した電子顕微鏡写真である。
図6は、上記(a)の正極活物質粒子への無機酸化物の付着状態を表した電子顕微鏡写真である。写真から分かるように無機酸化物は正極活物質粒子表面に部分的に付着している。
図7は、上記(b)の正極活物質粒子への無機酸化物の付着状態を表した電子顕微鏡写真である。写真から分かるように、無機酸化物は正極活物質粒子のほぼ全面にべったりと付着している。この付着物により正極活物質粒子の表面に耐酸化性を有する層が形成される。
【0023】
正極活物質等の金属電極基板への形成は、例えばドクターブレード法により行われる。
ドクターブレード法では、正極活物質粒子等を有機溶剤に分散してスラリー状にし、金属電極基板に塗布した後、所定のスリット幅を有するブレードにより適切な厚さで均一化する。電極は塗布後、余分な有機溶剤を除去するため、例えば80℃真空状態で乾燥する。乾燥後の電極はこれを図示しないプレス装置によってプレス成型することで正極シートが製造される。
【0024】
その後、正極活物質等を含まない高分子固体電解質を貼り付け、更に例えばリチウム等の負極シートを重ね合わせ、全固体型電池が製造される。
【実施例1】
【0025】
高エネルギー密度と高安全性を兼備し、かつ組電池個数を低減できる高電圧正極を適用したコンポジット全固体型電池の実現可能性を確認するために、以下のように全固体型リチウム二次電池(リチウムポリマー電池、LPB(lithium polymer battery))を試作した。
【0026】
[実験](上記(b)の表面状態の正極活物質を用いた正極材の作成)
高分子固体電解質(有機電解質、SPE(solid polymer electrolyte)に用いられるマトリックスポリマーには、ダイソー(株)のP(EO/MEEGE/AGE)=82/18/1.7を用いた。電解質塩として用いられるポリマー中のLiTFSI(LiN(SOCF)2)の割合は、[Li]/[either oxygen]=0.06とした。
【0027】
試料調製は市販のLiCoO(平均粒径10.3μm,比表面積0.6m2/g)を原料とし,転動流動層装置を用いて以下のように行った。LiCoO1kgを秤取り,転動流動層装置を吸気量18m3/h,吸気温度80℃,ローター回転数300rpmの条件で運転し,流動層を形成させた後、5wt%アルミナゾル溶液を5g/minの速度で噴霧しLiCoO粒子にコーティングを行った。噴霧終了後、十分乾燥させコーティング粒子を取り出し,酸素気流中550℃15時間焼成を行った。
正極シートには処理後のLiCoO2、導電助材のアセチレンブラック、導電性バインダのP(EO/MEEGE)-LiBETI(LiN(SO2CF2CF3)2)([Li]/[O]=0.06)を用いた。重量比を正極活物質/導電助剤/バインダ=82/5/13とし、これらの正極材料をアセトニトリル中に導入、ホモジナイザーにより攪拌した後、オートマチックアプリケーター・ドクターブレードを用いてアルミニウム集電体上に塗布した。アセトニトリルを乾燥させた後、プレス機により電極を圧着しこれを用いた。作製した正極シートを80℃にて一晩以上真空乾燥を行った後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中で常に保存した。
電池化時には、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中にて正極シート、SPEシート、Li負極をそれぞれ所定の半径にポンチで打ち抜きこれらを貼り合わせた後、2032タイプのコインセルに封入して電池を試作した。
【0028】
[実験結果]
上記電池について、3.0−4.4V、電流密度0.05mAcm−2、60℃の条件下で充放電試験を行った。図8に充放電繰り返しサイクル経過時における放電容量の変化を示す。Alをコートした電池(実施例1;Al被覆)は初期容量約170mAhg-1が得られ、その後も良好な充放電可逆性を示し、25サイクル経過時にも約150mAhg-1の放電容量を維持した。
一方、コート処理を行っていない電池(比較例;未被覆)は、初期容量はコート電池とほぼ同等の170mAhg-1を示したが、サイクル経過時の容量低下が著しく、10サイクル経過時には約100mAhg-1にまで劣化した。
【0029】
以上説明したように本発明の全固体型電池によれば、正極に正極活物質の粒子を使用した場合にも、充電時に酸化剤となる正極活物質粒子の表面の全部または一部を被覆し又はこれに付着する耐酸化性に優れた無機酸化物および電子電導性を有する付着物が、高分子固体電解質の酸化分解を抑制すると共に、正極材からの酸素の離脱を抑制する。
このため、本発明によれば高分子固体電解質の劣化反応を抑えることができると同時に高エネルギー密度化が図られ、放電時の高電圧を長時間にわたり維持することができる良好なサイクル特性の全固体型電池が提供される。
また、高分子固体電解質は大面積化、大型化が容易な材料系であり、かつ高安全性を兼備するものであることから、高電圧全固体型二次電池を大型化、大容量化することができる。
【0030】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な形態の一例ではあるが本発明はこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように本発明によれば、高エネルギー密度のサイクル特性に優れた有機電解質電池が提供される。
なお上述の説明では二次電池としてポリマーリチウム電池を例にしていたが、ポリマーリチウム電池以外にも本発明を適用することができるのは勿論である。つまり、例えばポリマーナトリウム二次電池にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を適用した全固体型電池の断面構成図である。
【図2】正極活物質と無機酸化物、及び導電材を順次混合して電極を作製する電極製造フロー図である。
【図3】正極活物質に溶液前駆体を噴霧・焼成することにより得られた無機酸化物被覆し、これを用いて電極を作製する電極製造フロー図である。
【図4】正極活物質、無機固体電解質、導電材、バインダおよび溶剤を同時に混練して電極を作製する電極製造フロー図である。
【図5】被覆処理を行っていない正極活物質(LiCoO2)の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】溶液前駆体を噴霧・焼成することにより無機酸化物(Al2O3)で表面を被覆した正極活物質(LiCoO2)の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】正極活物質、無機酸化物(Al2O3)粉末を混合して正極活物質上にAl2O3粉末を付着させた正極活物質(LiCoO2)の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図8】溶液前駆体を噴霧・焼成することにより無機酸化物(Al2O3)で表面を被覆した正極活物質(LiCoO2)、および被覆していないLiCoO2を用いた全固体型電池の充放電サイクル特性である。
【図9】特許文献1に記載の二次電池の製造手順である。
【符号の説明】
【0033】
2 正極材
3 正極活物質の膜
4 負極材
5 高分子固体電解質の膜
6 高分子固体電解質
7 無機酸化物の膜
8 正極活物質粒子
10 全固体型電池
14 無機酸化物
16 導電材
18 正極集電体(金属電極基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極材と負極材との間に高分子固体電解質を介在させた全固体型電池において、
正極を構成する正極活物質粒子の表面の少なくとも一部に、該正極活物質より酸素を供給されても容易に酸化することのない無機酸化物を付着させた、ことを特徴とする全固体型電池。
【請求項2】
粒子性の無機酸化物を正極活物質に機械的に混合することによりその表面に付着させ、これを電子伝導性を有する導電材の微粒子とともにシート化した正極シートを用いた、ことを特徴とする請求項1に記載の全固体型電池。
【請求項3】
前駆体を溶液状態で正極材に噴霧したのち、焼成することにより無機酸化物を正極活物質粒子の表面に付着させ、これを電子伝導性を有する導電材の微粒子とともにシート化した正極シートを用いた、ことを特徴とする請求項1に記載の全固体型電池。
【請求項4】
前記無機酸化物は、金属元素および酸素のみから構成される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の全固体型電池。
【請求項5】
前記無機酸化物はAlであり、
前記導電材の微粒子は、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等の電子電導性炭素素材や、金属微粒子、金属ファイバー等の金属素材、電子電導性セラミック素材のいずれか、又はこれらの混合物である、ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の全固体型電池。
【請求項6】
前記正極活物質に対して混合される無機酸化物の重量パーセント濃度が0.1%〜20%、前記正極活物質に対して混合される導電材の重量パーセント濃度が0.05%〜10%である、ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の全固体型電池。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−155979(P2006−155979A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341596(P2004−341596)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】