説明

共役ジエン重合体の製造方法

【課題】イットリウム化合物を含有する触媒を用いて、溶液粘度が非常に低く加工性が改善された、分岐度が高く、シス−1,4構造含有率が高い共役ジエン重合体を提供する。
【解決手段】イットリウム化合物、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物、および有機アルミニウム化合物から得られる触媒の存在下、30〜120℃で共役ジエンを重合することを特徴とする、式(I)の範囲を満足する共役ジエン重合体の製造方法である。
【数1】


(但し、xは25℃における5重量%トルエン溶液の粘度Tcpと、100℃におけるムーニー粘度ML1+4との比、Tcp/ML1+4であり、yはシス−1,4構造含有率である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシス−1,4構造含有率が高く、分岐度が高い共役ジエン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シス−1,4構造含有率が高い共役ジエン重合体を製造する方法は数多く知られており、特にチタン、コバルト、ニッケル、ネオジム等の遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物を組み合わせた系がよく用いられる。また、国際公開第06/049016号パンフレット(特許文献1)には嵩高い配位子を有するイットリウム化合物を用いた触媒により、シス−1,4構造含有率が高い共役ジエン重合体を製造する方法が開示されている。通常、これらの触媒系では線状で分岐が少ない共役ジエン重合体が得られる。
【0003】
しかし、このような分岐が少ない共役ジエン重合体は溶液粘度および溶融粘度が高く、用途によっては加工性が問題になる場合がある。この問題に対して、重合体中に分岐構造を導入することによる改善が検討されてきた。
【0004】
例えば特開平7−2959号公報(特許文献2)には、有機リチウムを開始剤として共役ジエンを重合したリビング重合体に、カップリング剤としてアルコキシシランを反応させ、分岐状共役ジエン重合体を製造する方法が開示されている。
【0005】
特開平2−45508号公報(特許文献3)には、コバルト系触媒を用いたポリブタジエンの製造において、水および連鎖移動剤の使用量を調節することにより、シス−1,4構造含有率が高いまま溶液粘度を低減する方法が開示されている。
【0006】
また、特開2004−204229号公報(特許文献4)には、ランタニド化合物を含む触媒を用いて70〜140℃で共役ジエンを重合する、シス−1,4構造含有率が高く溶液粘度が低い、分岐した共役ジエン重合体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第06/049016号パンフレット
【特許文献2】特開平7−2959号公報
【特許文献3】特開平2−45508号公報
【特許文献4】特開2004−204229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、イットリウム化合物を含有する触媒を用いて、溶液粘度が非常に低く加工性が改善された、分岐度が高く、シス−1,4構造含有率が高い共役ジエン重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、イットリウム化合物を含有する触媒を用いて、比較的高い重合温度で共役ジエン化合物を重合させることにより、比較的高いシス−1,4構造含有率を保ったまま、分岐度が高く、溶液粘度が非常に低い共役ジエン重合体が得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、イットリウム化合物、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物、および有機アルミニウム化合物から得られる触媒の存在下、30〜120℃で共役ジエンを重合することを特徴とする、式(I)の範囲を満足する共役ジエン重合体の製造方法である。
【数1】

(但し、xは25℃における5重量%トルエン溶液の粘度Tcpと、100℃におけるムーニー粘度ML1+4との比、Tcp/ML1+4であり、yはシス−1,4構造含有率である。)
【0011】
また、本発明は、イットリウム化合物が下記一般式(1)で表されるイットリウム化合物である上記の共役ジエン重合体の製造方法である。
【化1】

(R1、R2、R3は水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明により得られる分岐状共役ジエン重合体はシス−1,4構造含有率が比較的高く、かつ分岐度が非常に高いため、優れたゴム物性と加工性能を有し、これらの特徴を生かす各種用途、例えばタイヤ部材などの原料ゴムとしてとして用いることができる。また、溶液粘度が低いため耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)やABS樹脂等における改良剤としても利用できる。さらに、カップリング剤を用いていないため、貯蔵安定性や熱安定性に優れる。特に、この重合体を用いたゴム組成物は補強剤の分散性が良好であり、耐摩耗性、低ロス性に優れたタイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
触媒系の(A)成分であるイットリウム化合物の例として、三塩化イットリウム、三臭化イットリウム、三ヨウ化イットリウム、硝酸イットリウム、硫酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、酢酸イットリウム、トリフルオロ酢酸イットリウム、マロン酸イットリウム、オクチル酸(エチルヘキサン酸)イットリウム、ナフテン酸イットリウム、バーサチック酸イットリウム、ネオデカン酸イットリウム等のイットリウム塩や、イットリウムトリメトキシド、イットリウムトリエトキシド、イットリウムトリイソプロポキシド、イットリウムトリブトキシド、イットリウムトリフェノキシドなどのアルコキシド、トリスアセチルアセトナトイットリウム、トリス(ヘキサンジオナト)イットリウム、トリス(ヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ジメチルヘプタンジオ
ナト)イットリウム、トリス(テトラメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリスアセトアセタトイットリウム、シクロペンタジエニルイットリウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルイットリウムクロライド、トリシクロペンタジエニルイットリウムなどの有機イットリウム化合物、イットリウム塩ピリジン錯体、イットリウム塩ピコリン錯体等の有機塩基錯体、イットリウム塩水和物、イットリウム塩アルコール錯体などを挙げることができる。
【0014】
特に下記の一般式(1)で表されるイットリウム錯体が好ましい。
【化2】

(R1、R2、R3は水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。)
【0015】
上記の炭素数1〜12の置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−プロペニル基、アリル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、フェネチル基などが挙げられる。さらに、それらにヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、フェノキシ基などが任意の位置に置換されているものも含まれる。中でも、炭素数1〜6の飽和炭化水素基が好ましい。
【0016】
上記一般式で表されるイットリウム化合物の例として、トリス(アセチルアセトナト)イットリウム、トリス(ヘキサンジオナト)イットリウム、トリス(ヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ジメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(トリメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(テトラメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ペンタメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ジベンゾイルメタネート)イットリウム、トリス(1,3−ビス(4−メチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(4,4−ジメチル−1−フェニルペンタン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,4,6−トリエチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,4,6−トリn−プロピルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,4,6−トリn−ブチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,4,6−トリイソブチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(4−(t−ブチル)−2,6−ジメチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−メチルプロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(3−フェニル(2,4,6−トリメチルフェニル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(1−アダマンチル)−1,3−プロパンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−1,3−ブタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−4−メチル−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−3−フェニル−1,3−プロパンジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(アダマンチル)−2−メチル−1,3−プロパンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム、トリスアセトアセタトイットリウムなどを挙げることができる。
【0017】
触媒系の(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物は、公知の非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを用いることができる。
【0018】
非配位性アニオンの例として、テトラ(フェニル)ボレ−ト、テトラ(フルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラ(トルイル)ボレ−ト、テトラ(キシリル)ボレ−ト、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレ−ト、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレ−ト、テトラフルオロボレ−ト、ヘキサフルオロホスフェ−トなどを挙げることができる。
【0019】
一方、カチオンの例として、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、フェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
【0020】
カルボニウムカチオンの具体例として、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。また、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例として、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどを挙げることができる。
【0021】
アンモニウムカチオンの具体例として、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
【0022】
ホスホニウムカチオンの具体例として、トリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのアリ−ルホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0023】
好ましい非配位性アニオンとカチオンの組み合わせは、ホウ素含有化合物とカルボカチオンであり、イオン性化合物の具体例として、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレ−ト、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トなどを挙げることができる。これらイオン性化合物は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
また、(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物の代わりにアルミノキサンを用いることもできる。アルミノキサンは有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R')O−) nで示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンを挙げることができる。(R' は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R' として、メチル、エチル、プロピル、イソブチル基などが挙げられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
【0025】
それらの中でも、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルミノキサンンを好適に用いることができる。
【0026】
上記の縮合剤の典型的なものとしては水が挙げられるが、この他にもトリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば、無機物などの吸着水やジオールなどが挙げられる。
【0027】
触媒系の(C)成分である有機アルミニウム化合物の例として、トリアルキルアルミニウムのほか、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジアルキルアルミニウムハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物などを挙げることができる。
【0028】
トリアルキルアルミニウムの具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0029】
有機アルミニウムハロゲン化合物の具体例として、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどを、また、水素化有機アルミニウム化合物の具体例として、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキハイドライドなどを挙げることができる。
【0030】
これらの有機アルミニウム化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
触媒成分(A)〜(C)の量およびこれら相互の比は、得られる重合体が目的とする物性を有するよう必要に応じて調整する。通常、(A)成分の量は共役ジエンモノマー100gに対し0.0001〜0.5mmolが好ましく、0.0005〜0.1が特に好ましい。(A)成分と(B)成分のモル比(A)/(B)は1/1.0〜1/5.0が好ましく、1/1.0〜1/3.0が特に好ましい。(A)成分と(C)成分のモル比(A)/(C)は1/1〜1/5000が好ましく、1/10〜1/2000が特に好ましい。
【0032】
各触媒成分の混合は、重合しようとする共役ジエンの存在下または不存在下のいずれにおいても行うことができる。混合方法にも特に制限はないが、例えば次のように行うことができる。
(1)不活性有機溶媒に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
(2)不活性有機溶媒に(C)成分を添加し、上述した分子量調節剤を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
(3)不活性有機溶媒に(A)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(B)成分を添加する。
(4)不活性有機溶媒中に(B)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(A)成分を添加する。
(5)不活性有機溶媒中に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加した後、上述した分子量調節剤を添加する。
【0033】
また、成分の一部をあらかじめ混合、熟成してもよい。中でも、(A)成分と(C)成分をあらかじめ混合、熟成することが好ましい。
【0034】
熟成温度は−50〜80℃、好ましくは−10〜50℃であり、熟成時間は0〜24時間、好ましくは0〜5時間、特に好ましくは0〜1時間である。
【0035】
上述のようにして得られる触媒は、無機化合物または有機高分子化合物などに担持して用いることもできる。
【0036】
重合溶媒に制限はなく、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素等を用いることができる。特にベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好ましい。また、モノマーそのものを重合溶媒とする塊状重合(バルク重合)を行うこともできる。
【0037】
溶液重合における共役ジエンモノマーの濃度は5〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が特に好ましい。
【0038】
本発明における重合温度は30〜120℃の範囲であり、40〜110℃がより好ましく、50〜100℃が特に好ましい。50℃以下では重合体の分岐度が小さく、120℃以上ではゲル分が多くなる。また、重合時間は1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間が特に好ましい。重合温度および重合時間は、得られる重合体が目的とする物性を有するよう必要に応じて調整する。
【0039】
重合することができる共役ジエンの例として、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて共重合体を得ることもできる。好ましくは1,3−ブタジエンまたはイソプレンである。
【0040】
共役ジエンを重合する際、水素、水素化金属化合物、または水素化有機金属化合物を分子量調節剤として用いることができるが、特に水素を用いて分子量を調節することが好ましい。
【0041】
重合体のム−ニ−粘度(ML1+4)は10〜80が好ましく、20〜70が特に好ましい。ム−ニ−粘度(ML1+4)が低すぎると物性に劣り、高すぎると加工性が悪くなる。
【0042】
本発明の製造方法によって得られる共役ジエン重合体は、重合体の5重量%トルエン溶液の粘度Tcpと、100℃におけるムーニー粘度ML1+4との比、Tcp/ML1+4と、シス−1,4構造含有率の関係において、下式(I)を満たすのが好ましい。
【数2】

(但し、xは25℃における5重量%トルエン溶液の粘度Tcpと、100℃におけるムーニー粘度ML1+4との比、Tcp/ML1+4であり、yはシス−1,4構造含有率である。)
特に、下式(II)を満たすのが好ましい。
【数3】

(但し、xは25℃における5重量%トルエン溶液の粘度Tcpと、100℃におけるムーニー粘度ML1+4との比、Tcp/ML1+4であり、yはシス−1,4構造含有率である。)
【実施例】
【0043】
以下に本発明に基づく実施例について具体的に記載する。測定方法は次に示した通りである。
(1)ムーニー粘度(ML1+4):JIS K 6300に準じて100℃で測定した。
(2)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp):25℃における5重量%トルエン溶液の粘度を測定した。
(3)ミクロ構造:赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
(4)固有粘度([η]):トルエン溶液を使用して30℃で測定した。
(5)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn):40℃でテトラヒドロフランを溶媒としたGPC(カラム:Shodex KF−805L×2本)により測定した重合体の溶出曲線より、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
(7)貯蔵弾性率(G’)のひずみ依存性(ペイン効果):アルファーテクノロジー社製のゴム加工性解析装置RPA−2000を使い、120℃、1Hzの周波数の条件で動的ひずみ分析を行った。ペイン効果は、ひずみ0.5%時のG’とひずみ10%時のG’との差ΔG’を、比較例3(BR150L)を100とした指数で表示した。ΔG’が小さいほど、補強剤の分散性が良好であることを示す。
(8)硬度:JIS K 6253に規定されている測定法に従って測定した。
(9)引張強度:JIS K 6251に規定されている測定法に従って測定した。同時に100%および300%伸長時の引張応力(M100およびM300)も測定した。
(10)ダイ・スウェル;加工性測定装置(モンサント社、MPT)を用いて配合物の押出加工性の目安として100℃、100sec-1のせん断速度で押出時の配合物の径とダイオリフィス径(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定し、比較例3(BR150L)を100とした指数で表示した。数値が小さいほど加工性が良好であることを示す。
(11)屈曲亀裂成長性:JIS−K6260に準拠し、ディマーチャ屈曲試験機(上島製作所製)を用いて、試験片つかみ具の運動距離を30mmで1万回屈曲したときの亀裂長さを測定した。比較例3(BR150L)を100とした指数で表示した。数値が小さいほど耐屈曲亀裂成長性が良好なことを示す。
【0044】
(実施例1)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン650ml及びブタジエン350mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.01MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)3.75mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.64mlを添加した。その後、即座にトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.06mlを添加し、60℃まで昇温した。60℃で15分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0045】
(実施例2)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.035MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.38mlを添加した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.80mlを添加し、70℃まで昇温した。70℃で15分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0046】
(実施例3)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.035MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.38mlを添加した。30分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.80mlを添加し、80℃まで昇温した。80℃で15分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0047】
(実施例4)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.04MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.38mlを添加した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.80mlを添加し、90℃まで昇温した。90℃で15分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0048】
(実施例5)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、キシレン650ml及びブタジエン350mlからなる溶液を仕込んだ。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)2.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)5.10mlを添加した。その後、即座にトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.47mlを添加し、40℃まで昇温した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0049】
(実施例6)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、キシレン650ml及びブタジエン350mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.01MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)2.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)5.10mlを添加した。30分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.47mlを添加し、40℃まで昇温した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0050】
(実施例7)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、キシレン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.01MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)1.5mlを添加した。その後、即座にトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.14mlを添加し、50℃まで昇温した。50℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0051】
(実施例8)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、キシレン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.01MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.76mlを添加した。その後、即座にトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)7.6mlを添加し、60℃まで昇温した。60℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0052】
(実施例9)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、キシレン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ。次いで水素ガス0.01MPa/cm2を添加した。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.76mlを添加した。その後、即座にトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)7.6mlを添加し、70℃まで昇温した。70℃で15分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0053】
(実施例10)
重合温度を80℃としたほかは、実施例9と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0054】
(実施例11)
溶媒をo-キシレンとしたほかは、実施例6と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0055】
(実施例12)
溶媒をo-キシレンとしたほかは、実施例7と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0056】
(実施例13)
溶媒をo-キシレンとしたほかは、実施例8と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0057】
(実施例14)
溶媒をo-キシレンとしたほかは、実施例9と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0058】
(実施例15)
溶媒をo-キシレンとしたほかは、実施例10と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0059】
(実施例16)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、クロロベンゼン360ml及びブタジエン240mlからなる溶液を仕込んだ。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)4.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.76mlを添加した。3分撹拌した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)7.6mlを添加し、60℃まで昇温した。60℃で15分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0060】
(実施例17)
重合温度を70℃としたほかは、実施例16と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0061】
(実施例18)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、クロロベンゼン360ml及びブタジエン240mlからなる溶液を仕込んだ。溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)3.0mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(0.02mol/L)0.38mlを添加した。3分撹拌した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.8mlを添加し、80℃まで昇温した。80℃で15分重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1および2に示した。
【0062】
(実施例19)
TEAのトルエン溶液を4.5mlとしたほかは、実施例18と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0063】
(実施例20)
重合温度を80℃としたほかは、実施例16と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0064】
(実施例21)
TEAのトルエン溶液を5.25mlとしたほかは、実施例20と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0065】
(実施例22)
TEAのトルエン溶液を6.0mlとしたほかは、実施例20と同様に重合を行った。重合結果を表1および2に示した。
【0066】
(比較例1)
宇部興産株式会社製ポリブタジエンゴム BR150L(コバルト触媒を使用)について、測定結果を表4および5に示した。
【0067】
(比較例2)
宇部興産株式会社製ポリブタジエンゴム BR150B(コバルト触媒を使用)について、測定結果を表4および5に示した。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イットリウム化合物、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物、および有機アルミニウム化合物から得られる触媒の存在下、30〜120℃で共役ジエンを重合することを特徴とする、式(I)の範囲を満足する共役ジエン重合体の製造方法。
【数1】

(但し、xは25℃における5重量%トルエン溶液の粘度Tcpと、100℃におけるムーニー粘度ML1+4の比、Tcp/ML1+4であり、yはシス−1,4構造含有率である。)
【請求項2】
イットリウム化合物が下記一般式(1)で表されるイットリウム化合物である請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
【化1】

(R1、R2、R3は水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。)
【請求項3】
共役ジエンが1,3−ブタジエンであることを特徴とする請求項1または2に記載の共役ジエン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2012−107111(P2012−107111A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256496(P2010−256496)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】