説明

内服用組成物

【課題】 ジメチルスルホンの苦味を改善した内服用組成物および苦味を改善する方法を提供する。
【解決手段】 ジメチルスルホンに、バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上を併用することによって、苦味が顕著に改善する。これにより苦味による服用時の抵抗感を消散することができるため、硫黄成分の供給によって健康維持に必要な化合物の生合成に有効利用されることが期待できる。中でも、散剤、顆粒剤、咀嚼可能な錠剤及びドリンク剤など、製剤が口腔内に広がりしばらく滞留する剤型のものに対して特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジメチルスルホンの苦味を改善した内服用組成物、および苦味を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジメチルスルホンは牛乳、お茶、コーヒー、緑色野菜などの多くの食品中に微量存在する有機硫黄化合物であり、結合組織の形成など健康維持に必要な化合物の生合成に用いられる硫黄成分の供給に役立つことが知られている。特にアメリカでは抗炎症・鎮痛作用を有する素材として、関節症やスポーツ傷害などを対象とした錠剤、カプセルなどのサプリメントや、ジェル、クリームなどの外用剤や化粧品に使用されている(非特許文献1)。しかし、ジメチルスルホンは強い苦味を呈するため、液剤などの口腔内に滞留する剤型に配合しようとすると、その特有の苦味のため極めて服用し難いものとなる。このため、咀嚼可能錠や液剤はTri-Flex Soft Chewables(商品名)やツートップ液(商品名:大昭製薬製)、リバグロンMSM・グルコサミン液(商品名:田村薬品工業製)などの他にはほとんど知られておらず、またジメチルスルホンの苦味を改善する方法についてはいまだ報告されていない。
一方、バニリンはバニラ実の主芳香成分で頻用されている香料であり、塩酸ブロムヘキシン(特許文献1)、硝酸カリウム(特許文献2)の苦味改善等が報告されているが、ジメチルスルホンとの関係については知られていない。
【非特許文献1】Food style 21,Vol.6,No.11,103-107(2002)
【特許文献1】特開2001-106639号公報
【特許文献2】特開2003-73282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ジメチルスルホンの苦味を改善した内服用組成物、および苦味を改善する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、ジメチルスルホンにバニリン、バニリン誘導体、ハチミツのいずれか1種または2種以上を併用すると、苦味が顕著に改善することを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、下記(1)〜(7)に掲げる内服用組成物である。
(1)バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上、ならびにジメチルスルホンを含有することを特徴とする内服用組成物。
(2)バニリンおよびバニリン誘導体からなる群より選択される1種または2種以上、ハチミツ、ならびにジメチルスルホンを含有することを特徴とする内服用組成物。
(3)さらに有機酸および有機酸塩を含有する(1)または(2)記載の内服用組成物。
(4)バニリンまたはバニリン誘導体の配合量が、0.001〜0.05重量%である(1)〜(3)のいずれかに記載の内服用組成物。
(5)ハチミツの配合量が、0.5〜20.0重量%である(1)〜(4)のいずれかに記載の内服用組成物。
(6)内服用組成物が、内服用液剤組成物である(1)〜(5)のいずれかに記載の内服用組成物。
(7)pHが2.0〜6.0である(6)記載の内服用組成物。
(8)糖度が1〜60である(6)または(7)記載の内服用組成物。
また、本発明は苦味の改善方法をも包含する。
(9)バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上、ならびにジメチルスルホンを併用することによる、ジメチルスルホンを含有する内服用組成物の苦味を改善する方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上とジメチルスルホンを併用することで、ジメチルスルホンを含有する内服用組成物の苦味を顕著に改善することができる。これにより苦味による服用時の抵抗感を消散することができるため、硫黄成分の供給によって健康維持に必要な化合物の生合成に有効利用されることが期待できる。中でも、散剤、顆粒剤、咀嚼可能な錠剤及びドリンク剤など、製剤が口腔内に広がりしばらく滞留する剤型のものに対して特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の内服用組成物は、バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上、ならびにジメチルスルホンを含有することで、ジメチルスルホンの苦味を改善することができる。
【0008】
本発明で用いられるジメチルスルホンは、医薬品、医薬部外品または食品分野において用いることができる化合物であり、天然由来のものでも、合成品であってもよい。
本発明で用いるジメチルスルホンの配合量は、本発明の効果を奏する量であれば特に制限されず、組成物全体の風味などを考慮して適宜選択して用いることができるが、内服用組成物に対して、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%であれば良く、内服用液剤組成物の場合は0.1〜10w/v%、好ましくは0.2〜5w/v%、特に好ましくは1.0〜4w/v%であれば良い。0.01重量%より少ないとジメチルスルホン本来の効果が十分ではなく、50重量%を超えると苦味改善効果が十分発揮できない傾向が強くなるため好ましくない。
【0009】
本発明で用いられるバニリン(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド)は、医薬品、医薬部外品または食品分野において添加物または香料として市販されているバニリンを用いることができる。また、本発明で用いられるバニリン誘導体は、バニリンのメトキシ基をアルコキシ基に置換したもの、ヒドロキシ基をエーテル化したもの(アルコキシ基)またはエステル化したもの、アルデヒドを酸化、アセタール化したもの、バニリンをハロゲン化したもの、ニトロ化したもの、バニリンの構造異性体などが挙げられ、医薬品、医薬部外品または食品分野において添加物または香料として用いられるものが好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基などが挙げられる。具体的には、メトキシ基をアルコキシ基に置換したものとしては、エチルバニリン、プロピルバニリン、イソプロピルバニリン、ブチルバニリン、イソブチルバニリン、tert-ブチルバニリンなどが挙げられる。ヒドロキシ基をエーテル化したものとしては、メチルバニリン(3,4-ジメトキシベンズアルデヒド)、4-エトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-プロポキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-イソプロポキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ブトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-イソブトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-tert-ブトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、グルコバニリン等が挙げられる。ヒドロキシ基をエステル化したものとしては、バニリンアセテート、バニリンプロピレート、バニリンイソプロピレート、バニリンブチレート、バニリンイソブチレート等が挙げられる。アルデヒドを酸化したものとしてはバニラ酸、アセタール化したものとしてはバニリンプロピレングリコールアセタール等が挙げられる。バニリンをハロゲン化またはニトロ化したものとしては、バニリンの2-クロロバニリン、5-クロロバニリン、6-クロロバニリン、2-ブロモバニリン、5-ブロモバニリン、6-ブロモバニリン、2-ヨードバニリン、5-ヨードバニリン、6-ヨードバニリン、2-ニトロバニリン、5-ニトロバニリン、6-ニトロバニリン等が挙げられる。バニリンの構造異性体としては、イソバニリン、o-バニリン等が挙げられ、その他のバニリン誘導体としては、デヒドロイソバニリン(アニスアルデヒド)、オイゲノール、バニリルアセトン(ジンゲロン)、ホモバニリン、ホモバニリン酸、アポシニン、カプサイシン、カプシエイト、バニラマンデル酸、Ethamivan、Metanephrine、Normetanephrineなどが挙げられる。中でもバニリン誘導体として好ましくは、エチルバニリン、プロピルバニリン、イソプロピルバニリン、ブチルバニリン、イソブチルバニリン、メチルバニリン、グルコバニリン、バニリンアセテート、バニリンプロピレート、バニリンイソプロピレート、バニリンブチレート、バニリンイソブチレート、イソバニリン、o-バニリン、デヒドロイソバニリン、オイゲノール、バニリルアセトン、ホモバニリン、カプサイシン、カプシエイトが挙げられ、特に好ましくは、エチルバニリン、グルコバニリン、バニリンアセテート、バニリンイソブチレート、イソバニリン、o-バニリン、デヒドロイソバニリン、オイゲノール、バニリルアセトン、カプサイシン、カプシエイトが挙げられる。
【0010】
本発明で用いるバニリンまたはバニリン誘導体の配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、組成物全体の風味などを考慮して適宜選択して用いることができるが、少量にて効果を発揮することができるため、特に優れているものである。具体的には、内服用組成物に対して、通常0.001〜0.5重量%、好ましくは0.003〜0.4重量%、特に好ましくは0.005〜0.3重量%であれば良く、内服用液剤組成物の場合は0.001〜0.1w/v%、好ましくは0.004〜0.05w/v%、特に好ましくは0.005〜0.03w/v%であれば良い。0.001重量%より少ないと苦味改善効果が十分発揮できず、0.3重量%を超えると製剤の風味や服用感が低下する傾向が強くなるため好ましくない。
【0011】
本発明の内服用組成物において、ジメチルスルホンおよびバニリンまたはバニリン誘導体の配合比は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、ジメチルスルホン1重量部に対し、バニリンまたはバニリン誘導体の総量として0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.2重量部、特に好ましくは0.005〜0.05重量部である。
【0012】
本発明で用いられるハチミツは、医薬品、医薬部外品または食品分野において市販されているものであれば、その種類、等級、産地を問わず使用することができ、例えば、中国産アカシア、レンゲ、雑蜜等が挙げられる。
本発明で用いるハチミツの配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、組成物全体の風味などを考慮して適宜選択して用いることができるが、内服用組成物に対して、通常0.2〜20重量%、好ましくは0.4〜15重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%であれば良く、内服用液剤組成物の場合は0.5〜20w/v%、好ましくは1〜10w/v%、特に好ましくは2〜6w/v%であれば良い。0.2重量%より少ないと苦味改善効果が十分発揮できず、20重量%を超えると製剤の風味や服用感が低下する傾向が強くなるため好ましくない。
【0013】
本発明の内服用組成物において、ジメチルスルホンおよびハチミツの配合比は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、ジメチルスルホン1重量部に対し、ハチミツが0.005〜4重量部、好ましくは0.03〜3重量部、特に好ましくは0.05〜2重量部である。
【0014】
本発明において、バニリン、バニリン誘導体またはハチミツはいずれか1種以上を含有していれば本発明の効果が得られるが、バニリン、バニリン誘導体のいずれか1種以上とハチミツを併用するとさらに顕著な効果が得られる。
【0015】
本発明の内服用組成物の剤形は特に限定されないが、内服用組成物の用途に応じて、医薬品、医薬部外品、食品に通常使用される剤形をとることができる。本発明の内服用組成物の剤形は、通常、固形剤、半固形剤または液剤であり、好ましくは固形剤または液剤である。具体的には、錠剤(素錠、糖衣錠、口腔内速崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤、フィルムコーティング錠などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(油性溶液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などを含む)、リポソーム剤、リモナーデ剤、エリキシル剤、ゼリー剤などの公知の形態をとることができる。中でも、製剤が口腔内に広がりしばらく滞留する剤型のものが好ましく、錠剤(口腔内速崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤など)、顆粒剤、細粒剤、散剤、ドライシロップ剤、液剤(油性溶液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などを含む)であり、特に好ましくは液剤である。
【0016】
本発明の内服用組成物は、さらに有機酸および有機酸塩を含有させることができる。本発明において、有機酸と有機酸塩を組み合わせて配合することを特徴とする。
本発明に用いることができる有機酸および有機酸塩は、医薬品または食品にて通常使用されているものであれば特に制限されないが、例えば酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、タンニン酸、フィチン酸等が挙げられる。また、塩としては、無機塩基との塩[例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等]や、有機塩基との塩[例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機塩基との塩]などが挙げられる。
有機酸および有機酸塩のうち、好ましくは酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、フマル酸ナトリウム、フマル酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムである。
【0017】
本発明で用いる有機酸およびそれらの塩の配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、組成物全体の風味などを考慮して適宜選択して用いることができるが、内服用組成物に対して、通常0.001〜0.05重量%、好ましくは0.003〜0.04重量%、特に好ましくは0.005〜0.03重量%であれば良く、内服用液剤組成物の場合は0.001〜0.5w/v%、好ましくは0.005〜0.3w/v%、特に好ましくは0.01〜0.1w/v%であれば良い。
【0018】
本発明の内服用組成物において、ジメチルスルホンと有機酸およびそれらの塩の配合比は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、ジメチルスルホン1重量部に対し、有機酸およびそれらの塩の総量として0.01〜20重量部、好ましくは0.03〜10重量部、特に好ましくは0.05〜1重量部である。
【0019】
本発明の内服用組成物が液剤である場合、服用指向性の改善効果を高めるために液のpHを調整することが好ましく、そのpHは通常2.0〜6.0、好ましくは3.0〜5.0、特に好ましくは3.5〜4.5程度である。pH調整は、前記有機酸およびそれらの塩等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
【0020】
本発明の内服用組成物が液剤である場合、服用指向性の改善効果を高めるために内服用組成物の糖度を調整することが好ましく、その糖度はブリックス屈折糖度計で1〜60、好ましくは10〜50、さらに好ましくは15〜30である。
本発明において糖度とは、国際砂糖分析法統一委員会が推奨する屈折率と糖度との関係式を基準とするブリックス屈折糖度計によって示される値をいう。ブリックス屈折糖度計の値は、20℃におけるショ糖水溶液100g中に含まれるショ糖のグラム数に相当するが、本発明の内服用組成物は各種の糖類や有機酸など屈折率を変動させる成分が存在する混合物であるため、糖度は内服用組成物中のショ糖値とは一致しない。
【0021】
本発明の内服用組成物は、必要に応じて種々の薬効成分を組み合わせることができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、解熱鎮痛成分、抗炎症成分、細胞賦活成分、生薬成分、アミノ糖、グリコサミノグリカン類、アミノ酸、カフェイン類などが例示できる。本発明において好適な成分としては例えば、次のような成分が例示できる。
【0022】
解熱鎮痛成分:例えば、サリチル酸誘導体(アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニルなど)、プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、ナプロキセンなど)、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリン、フェニルブタゾン、インドメタシン、メフェナム酸、フェナセチン、ジクロフェナクナトリウム、プラノプロフェン、ラクチルフェネチジンなど。
【0023】
抗炎症成分:例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカム、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、グリチルリチン酸、リゾチーム、アラントイン、アズレン、ブロメライン、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼおよび薬理学的に許容される塩(例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、塩化リゾチームなど)など。
【0024】
細胞賦活成分:レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンなどのビタミンA類、ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、ベンフォチアミン、プロスルチアミン、フルスルチアミン、ビスベンチアミン、シコチアミン、オクトチアミン、アリチアミン、チアミンプロピルジスルフィド、チアミンテトラヒドロフルフリルジスルフィド、ジセチアミン、ビスブチアミン、ビスイブチアミン、チアミンモノホスフェートジスルフィド、チアミンピロリン酸、シコチアミン、チアミンエチルジスルフィド、チアミンプロピルジスルフィド、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールなどのビタミンB類、アスコルビン酸、エリソルビン酸などのビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールなどのビタミンD類、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体などのビタミンE類、フィトナジオン、メナキノン、メナジオン、メナジオール、納豆抽出物、納豆菌抽出物などのビタミンK類、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジンなどのその他のビタミン類またはこれらの薬学上許容される塩など、タウリン、アスパラギン酸またはこれらの薬学上許容される塩など。
【0025】
生薬成分:カミツレ、ケイヒ、葛根湯、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、カンゾウ、キョウニン、シャゼンジ、シャゼンソウ、セキサン、セネガ、トコン、バイモ、アセンヤク、ウイキョウ、オウゴン、カロニン、ケイヒ、ゴオウ、ゴミン、サイシン、シオン、ジャコウ、シャジン、ショウキョウ、ソウハクヒ、ソヨウ、チクセツニンジン、チンピ、ニンジン、バクモンドウ、ハンゲなど。
【0026】
アミノ糖:グルコサミン、ガラクトサミン、フコサミン、ミコサミン、フルクトサミン、キシロサミン、シアル酸、ムラミン酸、ノイラミン酸など。
【0027】
グリコサミノグリカン類:ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸A(コンドロイチン4−硫酸)、コンドロイチン硫酸B(デルマタン硫酸)、コンドロイチン硫酸C(コンドロイチン6−硫酸)、コンドロイチン硫酸Aナトリウム、コンドロイチン硫酸Bナトリウム、コンドロイチン硫酸Cナトリウム、ヘパラン、ヘパラン硫酸、ケラタン、ケラタン硫酸I、ケラタン硫酸IIなど。
【0028】
アミノ酸:アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、テアニン、アミノエチルスルホン酸、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸など。
カフェイン類:カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンなど。
【0029】
本発明の内服用組成物の用途は、本発明の効果を奏すれば特に限定されないが、医薬品、医薬部外品、食品など広く利用することができる。具体的には、医薬製剤(例えば、関節痛、関節炎などの関節障害の予防および治療、筋肉痛の治療などに有効な医薬製剤)として使用できるとともに、硫黄成分の補給を目的として、特に硫黄成分が多く含まれているとされる髪、爪、皮膚、関節軟骨を維持するための特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、機能性食品、健康補助食品(サプリメント)、製菓錠剤などとしても利用できる。
【0030】
本発明の組成物は、上記成分の他に、組成物の用途あるいは剤形に応じて、食品、医薬部外品、医薬品に通常使用される成分を適宜配合しても良い。配合できる成分としては、特に制限されないが、例えば、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、結合剤、防腐・抗菌剤、pH調整剤、キレート剤、抗酸化剤、清涼化剤の他、コーティング剤、可溶化剤又は溶解補助剤、崩壊補助剤、安定化剤、懸濁化剤、流動化剤、乳化剤、増粘剤、粘稠化剤、緩衝剤、消泡剤、発泡剤、溶剤、等張化剤、香料、着色剤、分散剤、吸着剤、湿潤剤、防湿剤、帯電防止剤などが挙げられる。
【0031】
以下に任意に配合できる成分を具体的に例示するが、これらの成分に限定されるものではない。
【0032】
賦形剤:例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、砂糖、ショ糖、乳糖、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロースなど。
【0033】
滑沢剤:例えば、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール、硬化ヒマシ油、タルクなど。
【0034】
崩壊剤:例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、架橋化ポリビニルピロリドンなど。
【0035】
結合剤:例えば、デンプン、α−デンプン、ショ糖、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、結晶セルロース、エチルセルロース、セルロース高分子、アクリル酸系高分子、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、マクロゴール、プルランなど。
【0036】
防腐・抗菌剤:例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、アクリノール、塩化メチルロザニリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セチルピリジニウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、クロロブタノール、イソプロパノール、エタノール、フェノキシエタノール、イオウ、リン酸ジルコニウムの銀、亜鉛、酸化亜鉛などの担持体、銀亜鉛アルミノケイ酸塩、マーキュロクロム、チメロサール、ポビドンヨード、デヒドロ酢酸、クロルキシレノール、クレゾール、クロロフェン、フェノール、レゾルシン、オルトフェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヒノキチオール、スルファミン、リゾチーム、ラクトフェリン、トリクロサン、8−ヒドロキシキノリン、ウンデシレン酸、カプリル酸、プロピオン酸、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、トリクロカルバン、ハロカルバン、チアベンダゾール、ポリミキシンB、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ポリリジン、過酸化水素、オルトフタルアルデヒドなど、およびその薬学上許容される塩など。
【0037】
pH調整剤:例えば、塩酸、硫酸、シュウ酸、グルコン酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、イプシロンアミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン、ホウ砂など、およびその薬学上許容される塩など。
【0038】
キレート剤:例えば、エデト酸、ポリリン酸、メタリン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸など、およびその薬学上許容される塩など。
【0039】
抗酸化剤:例えば、トコフェロールおよびその誘導体、カロチン、リコピン、グルタチオン、没食子酸プロピル、タンニン酸、エピガロカテキンなどのカテキン類、アントシアニンなどのポリフェノール類、ノルヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ヒドロキシシチロソール、p−ヒドロキシアニソールなど、およびその薬学上許容される塩など。
【0040】
清涼化剤:例えば、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、ペパーミント油などの精油や精油成分など。
【0041】
これらの製剤の製造においては、当該技術分野で慣用の方法をそのまま、又は適宜応用して用いればよい。例えば、錠剤は、当該技術分野で慣用の造粒法(例えば、押し出し造粒法、粉砕造粒法、乾式圧密造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、高速攪拌造粒法など)、打錠法(例えば、湿式打錠法、直接打錠法など)などを目的に応じて適宜組み合わせて製造できる。また、液剤は、例えば、水(精製水など)や植物油(オリーブ油、大豆油、ごま油、綿実油など)などの基剤および界面活性剤などの添加剤を用いて、前記成分を溶解又は懸濁させ、当該技術分野で慣用の方法により製造できる。
【0042】
また本発明は、バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上、ならびにジメチルスルホンを併用することによる、ジメチルスルホンを含有する内服用組成物の苦味を改善する方法も包含する。本発明の方法において、ジメチルスルホンを含有する内服用組成物の苦味の改善は、バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上を併用することによって達成できる。
本発明の方法におけるバニリン、バニリン誘導体、ハチミツおよびその配合量などは、前記組成物で用いたものと同様である。また、ジメチルスルホンとバニリン、バニリン誘導体またはハチミツを併用する方法については、同一製剤中に含有させても良いが、別製剤中に含有しているものをほぼ同時に服用することでも達成することができ、該組成物の製剤形態に応じて、1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている方法を用いることができる。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0044】
試験例1 苦味の改善に関する官能試験
表1に示す比較例1〜2および実施例1〜5について、日本薬局方 製剤総則「液剤」に準じて試験液剤を調製した。10名(男性5名、女性5名)を対象にして、各試験液剤を口中に約2秒間含んだ後、「比較例1の苦味」を10、「苦味を感じない」を1として、苦味の度合いを整数で出してもらい、その平均値より評価した。
結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
ハチミツ、バニリンまたはエチルバニリンを配合した実施例1〜3は、比較例1の苦味を半分程度に低減させることが確認された。また、ハチミツと、バニリンまたはエチルバニリンを配合した実施例4、5は、わずかに苦味を感じる程度にまで大幅に改善されており、本発明の効果が顕著に表れていることがわかった。
一方、ショ糖を配合した比較例2は苦味改善効果が十分ではなく、甘味剤全てに同程度の効果があるわけではないことを示している。
【0047】
このように、バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上、ならびにジメチルスルホンを含有した本発明の内服用組成物は、ジメチルスルホンの苦味を効果的に改善していることが確認された。特に、バニリン、バニリン誘導体のいずれか1種以上とハチミツを併用するとさらに顕著な効果が得られることがわかった。
これにより苦味による服用時の抵抗感を消散することができるため、硫黄成分の供給によって健康維持に必要な化合物の生合成に有効利用されることが期待できる。中でも、散剤、顆粒剤、咀嚼可能な錠剤及びドリンク剤など、製剤が口腔内に広がりしばらく滞留する剤型のものに対して特に有用である。
【0048】
以下に製剤実施例を挙げる。
【0049】
実施例6
以下の処方の錠剤(チュアブル錠)を常法に従い、製造した。

【0050】
実施例7
以下の処方の散剤を常法に従い、製造した。

【0051】
実施例8
以下の処方の顆粒剤を常法に従い、製造した。

【0052】
実施例9
以下の処方のドリンク剤を常法に従い、製造した。

【0053】
実施例10
以下の処方のドリンク剤を常法に従い、製造した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上、ならびにジメチルスルホンを含有することを特徴とする内服用組成物。
【請求項2】
さらに有機酸および有機酸塩を含有する請求項1記載の内服用組成物。
【請求項3】
バニリン、バニリン誘導体およびハチミツからなる群より選択される1種または2種以上、ならびにジメチルスルホンを併用することによる、ジメチルスルホンを含有する内服用組成物の苦味を改善する方法。

【公開番号】特開2006−76930(P2006−76930A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263180(P2004−263180)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】