説明

内燃機関のブローバイガス還元装置

【課題】分割された分割クランク室内の圧力を一方向弁でもって累積して高め、ブローバイガスの換気性能を向上させることを課題としている。
【解決手段】クランク室8内のブローバイガスを吸気系吸気マニホールド12、吸気管13、サージタンク14、通路15、エアクリーナ16に導くブローバイガス通路22が設けられた内燃機関1において、前記クランク室8は複数の気筒5に対応して複数の分割クランク室ブローバイガス滞留空間9a、ブローバイガス滞留空間9b、ブローバイガス滞留空間9c、ブローバイガス滞留空間9dに分割され、該分割クランクブローバイガス滞留空間9a、ブローバイガス滞留空間9b、ブローバイガス滞留空間9c、ブローバイガス滞留空間9d室を相互に連通する連通路に一方向弁20、21が介装された内燃機関のブローバイガス還元装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランク室内のブローバイガスを吸気系に導くブローバイガス還元装置に関し、特に絞り弁を具備しない可変動弁付き4ストロークサイクル内燃機関のブローバイガス還元装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クランク室のブローバイガス中の液状物を分離するための気液分離室がクランク室に隣接して設けられ、気液分離室とクランク室底部とを連通するブローバイガス導入通路が設けられ、前記気液分離室で分離されたオイルをクランク室に戻すために、これと並列に気液分離室底部と、気筒に近いクランク室上部を仕切る隔壁の通気孔とを連通する連通路が設けられた内燃機関があった(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平2006−9647号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1記載の内燃機関では、隣接する複数の気筒に対応して隔壁でもって分割された分割クランク室は、隔壁に設けられた通気孔でもって連通されているため、隣接する分割クランク室の空気が出入し、大気圧に対するクランク室内の圧力差が充分に確保されない結果、クランク室内のブローバイガス換気能力が低かった。
【0005】
本発明は、このような難点を克服したブローバイガス還元装置の改良に係り、請求項1ないし請求項4記載の発明は、分割された分割クランク室内の圧力を一方向弁でもって累積して高め、ブローバイガスの換気性能を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、クランク室内のブローバイガスを吸気系に導くブローバイガス通路が設けられた内燃機関において、前記クランク室は複数の気筒に対応して複数の分割クランク室に分割され、該分割クランク室を相互に連通する連通路に一方向弁が介装されたことを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元装置に関するものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記分割クランク室が、隣接する気筒に対応して隔壁により仕切られ、前記隣接する分割クランク室を相互に連通する連通路が前記隔壁に設けられたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のブローバイガス還元装置に関するものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、気筒が直列に配置され、両端に位置した気筒の内、一端側の第1気筒に対応して形成された第1クランク室と、他端側の第2気筒に対応して形成された第2クランク室と、該第1クランク室および第2クランク室間に位置する第3クランク室を具備し、該各クランク室間を仕切る隔壁に前記クランク室間を相互に連通する連通路が設けられた直列多気筒内燃機関であって、前記各連通路にそれぞれ一方向弁が介装されるとともに前記第1クランク室および第2クランク室にそれぞれ設けられた連通路に、該第1クランク室および第2クランク室にそれぞれ向う一方向弁を介して新気導入通路が連通され、かつ前記第3クランク室に設けられた連通路に前記ブローバイガス通路に向う一方向弁を介してブローバイガス通路が連通されたことを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元装置に関するものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、直列4気筒内燃機関において、両端に位置した気筒に対応し、隔壁でもって両端クランク室がそれぞれ形成されるとともに、該両端の気筒に対応した両端クランク室の中間には、中央の両気筒に対応した1個の中央クランク室が形成され、前記両端クランク室には、該両端クランク室に新気を導入する一方向弁が設けられるとともに、前記中央クランク室には、該中央クランク室から吸気系にブローバイガスを導入する一方向弁が設けられたことを特徴とする直列4気筒内燃機関のブローバイガス還元装置に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ピストンの往復動に伴うクランク室内の圧力変動に対応して、前記一方向弁が開閉し、該クランク室内のブローバイガスが加圧されて、次のクランク室にブローバイガスが次々と導かれ、クランク室をブローバイガスが通過する毎に、ブローバイガスが累積して加圧されて、吸気系に確実に送れられるため、クランク室内のブローバイガスの換気性能が頗る高い。
【0011】
請求項2の発明によれば、複数の気筒を有する内燃機関のクランク室が気筒に対応して隔壁でもって仕切られて分割クランク室が構成され、この隣接する分割クランク室を仕切る隔壁に連通路が設けられ、この連通路に一方向弁が介装されているので、ブローバイガス流路が著しく単純化されて、軽量化とコストダウンが可能となる。
【0012】
そして、前記一方向弁はクランク室内を仕切る隔壁に設けられているため、外気による一方向弁の冷却が阻止されて、該一方向弁内に結露が生じることが避けられる。
【0013】
請求項3の発明によれば、前記新気導入通路内の新気は、前記連通路に介装された一方向弁を介して前記第1クランク室および第2クランク室に導入され、該第1クランク室および第2クランク室内のブローバイガスと混同されるとともに第3クランク室に向う一方向弁を介して該第3クランク室に送られてさらに一段と加圧された後、該第3クランク室内のブローバイガスはブローバイガス通路に向う一方向弁を介して該ブローバイガス通路に送られるので、高い圧力差でもって吸気系に確実にブローバイガスが導入され、換気性能が高い。
【0014】
請求項4の発明によれば、4気筒の内、中央の隣接2気筒に対応した中央クランク室には、隔壁を必要としないため、内燃機関の軽量化が可能となるとともに、これに対応して中央クランク室には一方向弁も不要となってコストダウンも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1に図示された請求項1ないし請求項4に係る発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1に図示の実施形態では、内燃機関1は、吸入空気量を制御する絞り弁を具備しない火花点火式直列4気筒4ストロークサイクル内燃機関であって、内燃機関1のクランク軸7が車幅方向に指向して図示されない自動車に搭載されている。
【0017】
内燃機関1の本体部分は、4気筒が車幅方向に配列された一体成形のシリンダブロック2と、シリンダブロック2の下端部にクランク軸7を挟んで一体に結合されたクランクケース3(このクランクケース3の下方に図示されないオイルパンが一体に付設されている)と、シリンダブロック2の上端部に一体に図示されないシリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーとから構成されている。
【0018】
シリンダブロック2には、4個のシリンダ4a、4b、4c、4dが車幅方向へ直列に配列され、各シリンダ4a、4b、4c、4dにはピストン5a、5b、5c、5dがそれぞれ往復動可能に嵌合され、4個のピストン5a、5b、5c、5dの内、両端の第1シリンダ4aと第4シリンダ4dとは、相互に同一位相で、かつ中央の第2シリンダ4b、第3シリンダ4cに対し180°のクランク位相差でもって、コネクティングロッド6を介しクランク軸7に連結され、クランク軸7は、図示されないベアリングを介してシリンダブロック2とクランクケース3の合わせ面部で回転自在に枢支されている。
【0019】
また、クランクケース3と図示されないオイルパンにて囲まれたクランク室8は、シリンダ4a、4b、4c、4dに対応して隔壁10でもって4個の分割クランク室に分割され、分割クランク室にはオイルが充填されて、その上方にブローバイガス滞留空間9a、9b、9c、9dが形成されている(中央のブローバイガス滞留空間9b、9cは、これを仕切る隔壁10を除去して、共通の中央ブローバイガス滞留空間を形成してもよい)。
【0020】
さらに、図示されないシリンダヘッドには、シリンダ4a、4b、4c、4d毎に、シリンダブロック2との合わせ面に位置してピストン5に相対して燃焼室11が形成され、各燃焼室11に開口する図示されない吸気ポートと排気ポートが形成され、各吸気ポートおよび排気ポートの燃焼室11との開口に図示されない吸気弁と排気弁が設けられ、図示されない電子制御ユニットからの制御信号でもって動作する可変動弁装置によって、前記吸気弁および排気弁は開閉駆動されるようになっている。従って、内燃機関1の運転状況や、ドライバーの運転指示状況に対応して動作する前記電子制御ユニットにより、燃焼室11に燃料を噴射する図示されない燃料噴射弁の燃料噴射量に対応して、所要の空燃比を維持する吸入空気量となるように、前記吸気弁および排気弁の開弁期間が制御される。
【0021】
そして、吸気弁により流量制御された空気と図示されない燃料噴射弁から所定量の燃料とが燃焼室11内にて所要の空燃比にて混合された混合気は、図示されない点火栓により点火燃焼され、この燃焼ガスによりピストン5が往復駆動されて、クランク軸7は回転駆動されるようになっている。
【0022】
前記シリンダヘッドに設けられた各吸気ポートの上流端に吸気マニホールド12の下流端が接続され、吸気マニホールド12の上流端は吸気管13を介してサージタンク14に接続され、さらにサージタンク14に通路15を介してエアクリーナ16が接続されている。
【0023】
また、内燃機関1に設けられた新気受け入れ通路17は、新気導入管18を介して通路15に連通され、新気受け入れ通路17と新気導入管18との連通部分には、新気導入管18から新気受け入れ通路17へのみ新気を送る一方向弁19が介装されている。
【0024】
さらに、クランク室8の第1ブローバイガス滞留空間9aと新気受け入れ通路17との連通部分には、新気受け入れ通路17から第1ブローバイガス滞留空間9aへ新気を導く一方向弁20が介装されるとともに、第4ブローバイガス滞留空間9dと新気受け入れ通路17との連通部分には、新気受け入れ通路17から第4ブローバイガス滞留空間9dへ新気を導く一方向弁20が介装され、また、第1ブローバイガス滞留空間9aと第2ブローバイガス滞留空間9bとを仕切る隔壁10には、前記一方向弁20と同じレベルで第1ブローバイガス滞留空間9aから第2ブローバイガス滞留空間9bへブローバイガスを導く一方向弁21が介装されるとともに、第3ブローバイガス滞留空間9cと第4ブローバイガス滞留空間9dとを仕切る隔壁10には、第4ブローバイガス滞留空間9dから第3ブローバイガス滞留空間9cへブローバイガスを導く一方向弁21が介装されている。
【0025】
さらに、第2ブローバイガス滞留空間9bおよび第3ブローバイガス滞留空間9cとサージタンク14とはブローバイガス還流管22でもって連通され(図1ではこの連通部分はクランク室8の底壁に位置するように図示されているが、クランク室8の手前壁または奥側壁に位置した一方向弁20、一方向弁21と同じレベルである)、この連通部分には、第2ブローバイガス滞留空間9bおよび第3ブローバイガス滞留空間9cからブローバイガス還流管22へブローバイガスを導く一方向弁23が介装されている。
【0026】
図1に図示された実施形態では、前述した構成により、下記のような作用および効果を奏することができる。
【0027】
内燃機関1が運転を開始すると、ピストン5が上下に往復動して、ブローバイガス滞留空間9の容積が増減する結果、ブローバイガス滞留空間9の圧力が変動するため、第1ブローバイガス滞留空間9aと第4ブローバイガス滞留空間9dとは、第1ピストン5aと第4ピストン5dの上昇行程時に、圧力が低下して新気受け入れ通路17から一方向弁20を介してそれぞれ第1ブローバイガス滞留空間9a、第4ブローバイガス滞留空間9dに新気が導入され、燃焼室11から漏れた第1ブローバイガス滞留空間9aおよび第4ブローバイガス滞留空間9dのブローバイガスは希釈される。これに伴って新気受け入れ通路17内の圧力が低下するために、通路15、新気導入管18および一方向弁19を介してエアクリーナ16から新気受け入れ通路17に新気が供給される。
【0028】
第1ピストン5a、第4ピストン5dと、第2ピストン5b、第3ピストン5cとに、180°のクランク位相差があるため、第1ピストン5a、第4ピストン5dが下降行程に移行すると、第2ピストン5b、第3ピストン5cは上昇行程に移行し、第1ブローバイガス滞留空間9a、第4ブローバイガス滞留空間9dの圧力が上昇するとともに、第2ブローバイガス滞留空間9b、第3ブローバイガス滞留空間9cの圧力が低下し、新気で希釈された第1ブローバイガス滞留空間9a、第4ブローバイガス滞留空間9dの加圧ブローバイガスが一方向弁21を介してそれぞれ第2ブローバイガス滞留空間9b、第3ブローバイガス滞留空間9cに送られ、第2ピストン5b、第3ピストン5cが下降行程に移行すると、燃焼室11から漏れた該第2ブローバイガス滞留空間9b、第3ブローバイガス滞留空間9cのブローバイガスは、第1ブローバイガス滞留空間9a、第4ブローバイガス滞留空間9d内の希釈ブローバイガスと混合されるとともに、さらに一段と加圧される。
【0029】
第2ピストン5bと第3ピストン5cとは、同一のクランク位相であるため、第2ブローバイガス滞留空間9b、第3ブローバイガス滞留空間9cに圧力差が殆んどなく、第2ピストン5b、第3ピストン5cの下降行程時に、第2ブローバイガス滞留空間9b、第3ブローバイガス滞留空間9cのブローバイガスは一方向弁23、ブローバイガス還流管22を介してサージタンク14内に供給され、サージタンク14内にて、エアクリーナ16が吸入された新気と共に吸気管13および吸気マニホールド12を介し図示されない吸入ポート、吸気弁を介して燃焼室11内に供給される。
【0030】
絞り弁によるポンピングロス低減のために、可変動弁装置によって適正な開弁期間で吸気弁を開閉駆動させ、吸気マニホールド12、吸気管13、サージタンク14、通路15およびエアクリーナ16よりなる吸気系に負圧を発生させないようにした内燃機関1において、第1ピストン5a、第4ピストン5dと、第2ピストン5b、第3ピストン5cとによる2段階の第1ブローバイガス滞留空間9a、第4ブローバイガス滞留空間9dと、第2ブローバイガス滞留空間9b、第3ブローバイガス滞留空間9cの脈動を利用してブローバイガスを吸気系に確実に還元することができる。
【0031】
また、新気を積局的にブローバイガス滞留空間9に供給するようになっているため、ブローバイガス滞留空間9を満遍なく換気することができる。
【0032】
さらに、一方向弁19、20、21、23の特性を変更することにより、各一方向弁19、20、21、23を通過するガスの流量を適宜調整することができる。
【0033】
図2に図示の実施形態の火花点火式直列多気筒4ストロークサイクルの内燃機関30は、図1に図示の実施形態における内燃機関1のシリンダ4を車体前方へ傾斜させたものであって、内燃機関30のシリンダブロック31の上端にシリンダヘッド32が一体に結合され、シリンダブロック31の下端にはクランクケース33およびオイルパン34が一体に結合されている。
【0034】
各ピストン41の上方において燃焼室35を構成するシリンダヘッド32には、この燃焼室35に連通する車体後方の吸気ポート36および車体前方の排気ポート37が形成され、この吸気ポート36および排気ポート37の燃焼室35への開口を開閉する吸気弁38および排気弁39が設けられ、この吸気弁38および排気弁39は、図示されない可変動弁により機関運転状況やドライバー運転指示状況に対応して所要の開弁期間、吸気弁38および排気弁39は開弁されるようになっている。
【0035】
また、シリンダブロック31のシリンダ40にピストン41が往復動可能に嵌合され、コネクティングロッド42を介してクランク軸43に連結され、クランク軸43は、図示されないベアリングを介してシリンダブロック31とシリンダヘッド32の合わせ面に図2において時計方向へ回転可能に枢支されている。
【0036】
さらに、シリンダ40に対応して隔壁46によりクランク軸43の軸方向に亘ってクランク室45が分割され、図2において、クランク軸43から上方寄りでかつクランク軸43の回転方向側にずれた位置において、隔壁46に連通孔が設けられ、この連通孔に一方向弁47が嵌着されており、この一方向弁47は、隔壁46で仕切られた手前側のクランク室45から奥側のクランク室に向ってブローバイガスを流す方向に設けられている。
【0037】
この一方向弁47の手前側にオイル仕切板48が隔壁46およびシリンダブロック31の周壁に一体に接合され、このオイル仕切板48は、図2のIII-III線で切断された図3に図示されるように、断面逆L字状に形成されるとともに、図2のIV-IV線で切断された図4に図示されるように、オイル仕切板48の底板49の内端縁と、オイル仕切板48の端板50の内端縁が、隔壁46の側面に一体に接合されるとともに、オイル仕切板48の端板50および側板51の上端縁がシリンダブロック31におけるクランク室45を構成する下面に一体に接合されて、オイル分離チャンバー52が形成され、オイル分離チャンバー52の奥側(図2において左側)に一方向弁47が配置されている。
【0038】
また、オイル分離チャンバー52内において、図4に図示されるように、隔壁46と側板51とに迷路形成板53の端縁が交互に接合して、オイル分離チャンバー52内に千鳥状迷路が形成されている。
【0039】
図2に図示の実施形態における内燃機関30では、クランク軸43が時計方向に回転し、クランク室45内のオイルがクランクウェブ44によって時計方向へ掻き上げられても、一方向弁47がクランク軸43の上方でかつ時計方向寄りの高い位置に配置され、かつ時計方向側のみオイル分離チャンバー52が開放され、しかもオイル分離チャンバー52内に千鳥状迷路が形成されているため、オイル分離チャンバー52を介して一方向弁47へオイルが侵入することを充分に抑制することができる。
【0040】
また、オイル分離チャンバー52内で分離されたオイルは、下方へ傾斜した底板49上を蛇行しながら確実にクランク室45内に戻ることができる。
【0041】
さらに、クランク室45内にクランクウェブ44を避けてコンパクトにオイル分離チャンバー52を設置することができるので、他部品との干渉が防止され、内燃機関30の大型化を抑制することができる。
【0042】
さらにまた、一方向弁47およびオイル分離チャンバー52は吸気弁38寄りに設置されるため、排気熱の影響を受けることを回避できる。
【0043】
図1に図示された実施形態の内燃機関1は、直列4気筒内燃機関であったが、図5に図示のように、クランク角が120°の位相差を有する直列3気筒内燃機関60にも、請求項1ないし請求項3記載の内燃機関にも適用することができる。
【0044】
図5に図示された直列3気筒4ストロークサイクル内燃機関60には、図1に図示された内燃機関1と同一構成部分には、同一の符号が符されている。
【0045】
また、図1に図示された実施形態の構成部分と同一の構成部分を有する図6に図示の実施形態の直列2気筒4ストロークサイクル内燃機関70にも、請求項1および請求項2記載の内燃機関を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本願の第1実施形態の概略図である。
【図2】他の実施形態の概略図である。
【図3】図2のIII-III線に沿って切断した断面図である。
【図4】図2のIV-IV線に沿って切断した断面図である。
【図5】本願の第3実施形態の概略図である。
【図6】本願の第4実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0047】
1…内燃機関、2…シリンダブロック、3…クランクケース、4…シリンダ、5…ピストン、6…コネクティングロッド、7…クランク軸、8…クランク室、9…ブローバイガス滞留空間、10…隔壁、11…燃焼室、12…吸気マニホールド、13…吸気管、14…サージタンク、15…通路、16…エアクリーナ、17…新気受け入れ通路、18…新気導入管、19…一方向弁、20…一方向弁、21…一方向弁、22…ブローバイガス還流管、23…一方向弁、30…内燃機関、31…シリンダブロック、32…シリンダヘッド、33…クランクケース、34…オイルパン、35…燃焼室、36…吸気ポート、37…排気ポート、38…吸気弁、39…排気弁、40…シリンダ、41…ピストン、42…コネクティングロッド、43…クランク軸、44…クランクウェブ、45…クランク室、46…隔壁、47…一方向弁、48…オイル仕切板、49…底板、50…端板、51…側板、52…オイル分離チャンバー、53…迷路形成板、60…直列3気筒4ストロークサイクル内燃機関、70…直列2気筒4ストロークサイクル内燃機関

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク室内のブローバイガスを吸気系に導くブローバイガス通路が設けられた内燃機関において、
前記クランク室は複数の気筒に対応して複数の分割クランク室に分割され、該分割クランク室を相互に連通する連通路に一方向弁が介装されたことを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元装置。
【請求項2】
前記分割クランク室が、隣接する気筒に対応して隔壁により仕切られ、前記隣接する分割クランク室を相互に連通する連通路が前記隔壁に設けられたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のブローバイガス還元装置。
【請求項3】
気筒が直列に配置され、両端に位置した気筒の内、一端側の第1気筒に対応して形成された第1クランク室と、他端側の第2気筒に対応して形成された第2クランク室と、該第1クランク室および第2クランク室間に位置する第3クランク室を具備し、該各クランク室間を仕切る隔壁に前記クランク室間を相互に連通する連通路が設けられた直列多気筒内燃機関であって、
前記各連通路にそれぞれ一方向弁が介装されるとともに前記第1クランク室および第2クランク室にそれぞれ設けられた連通路に、該第1クランク室および第2クランク室にそれぞれ向う一方向弁を介して新気導入通路が連通され、かつ前記第3クランク室に設けられた連通路に前記ブローバイガス通路に向う一方向弁を介してブローバイガス通路が連通されたことを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元装置。
【請求項4】
直列4気筒内燃機関において、
両端に位置した気筒に対応し、隔壁でもって両端クランク室がそれぞれ形成されるとともに、該両端の気筒に対応した両端クランク室の中間には、中央の両気筒に対応した1個の中央クランク室が形成され、前記両端クランク室には、該両端クランク室に新気を導入する一方向弁が設けられるとともに、前記中央クランク室には、該中央クランク室から吸気系にブローバイガスを導入する一方向弁が設けられたことを特徴とする直列4気筒内燃機関のブローバイガス還元装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−297941(P2007−297941A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125111(P2006−125111)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】