説明

内燃機関のマフラー

【課題】排ガスの抜き取り検査を円滑に行うことを可能とし、デザイン上の要請を満足しつつ、笛吹き音等の異音の発生を十分に抑制することが可能な内燃機関のマフラーを提供する。
【解決手段】本発明は、内燃機関の排気管の後端に接続されるマフラー本体18と、マフラー本体18の後端面20から延出するテールパイプ21と、テールパイプ21の外周を覆うテールカバー22と、を備えた内燃機関のマフラー16であって、テールパイプ21とテールカバー22の間に形成される空間23を少なくとも二以上の空間34、35に仕切る隔壁24を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車、自動車等の車両に用いられる内燃機関のマフラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車や自動車等の車両では、内燃機関からの排ガスを、マフラーを介して車両の後方に排出している。上記したマフラーは、通常、一又は複数の消音室を形成するマフラー本体と、このマフラー本体の後端面から延出するテールパイプと、を備えている。そして、内燃機関からの排ガスが、マフラー本体の消音室を通過した後にテールパイプから排出されるように構成されている。
【0003】
上記のような構成のマフラーにおいて、マフラー本体の後端面からテールパイプを露出させておくのは、車両のデザイン上好ましくない。そこで、マフラー本体には、テールパイプの外周を覆うようにしてテールカバーが一体形成される。また、テールパイプとテールカバーの間の空間には、排ガスの抜き取り検査の際にチューブを差し込むための円環状の隙間が形成される。
【0004】
このような構成のマフラーで排気を行うと、上記した隙間に圧力変動が生じ、これに伴って上記した隙間と連通する空間内の空気が振動して、「笛吹き音」と呼ばれる異音が発生することがある。このような異音の発生を抑制するため、特許文献1には、テールパイプの排出口端部を、外方に向けて内径が漸次若しくは段階的に拡径されるように形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−182522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、テールパイプに上記のような加工を施すだけでは、テールパイプとテールカバーの間の空間で生じる空気の振動を十分に抑制することは困難であり、異音発生の抑制効果は限定的であった。
【0007】
なお、テールカバーとテールパイプの間の隙間を狭くすれば、異音の発生を防止することが可能となるが、この場合には、排ガスの抜き取り検査の際に、上記した隙間にチューブを差し込みにくくなり、排ガスの抜き取り検査が面倒になる。また、テールパイプをテールカバーよりも後方に延ばせば、同様に異音の発生を防止することが可能となるが、この場合には、テールパイプの後端部がテールカバーから露出することになり、デザイン上の要請を満足することができない。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、排ガスの抜き取り検査を円滑に行うことを可能とし、デザイン上の要請を満足しつつ、笛吹き音等の異音の発生を十分に抑制することが可能な内燃機関のマフラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内燃機関の排気管の後端に接続されるマフラー本体と、該マフラー本体の後端面から延出するテールパイプと、該テールパイプの外周を覆うテールカバーと、を備えた内燃機関のマフラーであって、前記テールパイプと前記テールカバーの間に形成される空間を少なくとも二以上の空間に仕切る隔壁を備えていることを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することにより、排気時に圧力変動の影響を受ける空間の容積を小さくすることが可能となり、これに伴って、笛吹き音等の異音の発生を抑制することが可能となる。
【0011】
また、前記テールパイプの後縁部は、前記テールカバーの後縁部よりも前方に位置していても良い。
【0012】
このような構成を採用することにより、テールパイプの後縁部がテールカバーから露出するのを防止することが可能となり、マフラーのデザインの向上を図ることが可能となる。一方で、このような構成を採用すると、結果としてテールパイプの後縁部をテールカバーの後縁部に接近させることになり、これに伴って排気時の圧力変動が大きくなる虞がある。しかしながら、本発明では、排気時に圧力変動の影響を受ける空間の容積を隔壁によって小さくしているため、たとえ圧力変動が大きくなっても、この圧力変動による影響を低減させ、異音の発生を抑制することができる。このように、本発明は、テールパイプの後縁部をテールカバーの後縁部よりも前方に配置する構成に効果的に適用される。
【0013】
また、前記隔壁の一端部は、前記マフラー本体と前記テールパイプと前記テールカバーのうちのいずれか一つに片持ち状態に支持され、前記隔壁の他端部側には、前記二以上の空間を連通する空間連通部が形成されても良い。
【0014】
このような構成を採用することにより、マフラー本体、テールパイプ又はテールカバーに隔壁の他端部を固定する必要が無くなり、これに伴って、上記各部材と隔壁の他端部との精密な位置合わせや溶接が不要となる。そのため、マフラーの製造工程の簡易化及び製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0015】
また、前記隔壁は、前記マフラー本体と前記テールパイプと前記テールカバーとは別の部材により形成されても良い。
【0016】
このような構成を採用することにより、隔壁の形状自由度を大きくすることが可能となる。
【0017】
また、前記隔壁は、前記テールパイプを囲繞する内側空間と該内側空間を囲繞する外側空間とに前記空間を仕切るパイプ状の部材であっても良い。
【0018】
このように隔壁をパイプ状の部材とすることで、隔壁の材料を容易に入手することが可能となるとともに、マフラー本体、テールパイプ又はテールカバーに隔壁を容易に溶接することが可能となる。
【0019】
また、前記テールカバーは、前記テールパイプの外周を覆う周壁部と、該周壁部の後端から内側に向かって延出する後壁部と、該後壁部から前方に折り返される折返部と、を備え、該折返部は、前記隔壁と重なるように、前記テールパイプと前記隔壁の間に挿入された状態で設けられても良い。
【0020】
このように折返部と隔壁を重ねることで、外側空間内の空気が圧力変動の影響を直接受けるのを防止することが可能となり、異音の発生を防止する効果を高めることが可能となる。
【0021】
また、前記テールパイプと前記折返部の間には、前記内側空間と外部を連通させる外部連通部が設けられ、前記折返部と前記隔壁の間には、前記内側空間と前記外側空間を連通させる空間連通部が設けられ、該空間連通部の開口面積が、前記外部連通部の開口面積よりも小さくても良い。
【0022】
このような構成を採用することにより、外側空間内の空気が圧力変動の影響を受けるのを、一層効果的に抑制することが可能となり、異音の発生を防止する効果を一層高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、排ガスの抜き取り検査を円滑に行うことを可能とし、デザイン上の要請を満足しつつ、笛吹き音等の異音の発生を十分に抑制することが可能な内燃機関のマフラーを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る自動二輪車を示す右側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る自動二輪車において、マフラー後部の内部構造を示す断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る自動二輪車において、マフラー後部の内部構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る自動二輪車において、マフラー後部の内部構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき、本発明の第1〜第3の実施形態について説明する。以下、各実施形態では、本発明の構成を、オンロードタイプの自動二輪車1に適用する場合について説明する。なお、上下、左右、前後の方向は、自動二輪車1に乗車する運転者から見た方向を基準とする。
【0026】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。まず、図1を用いて、自動二輪車1の全体の構成について説明する。
【0027】
自動二輪車1には、骨組を構成する車体フレーム2が設けられている。車体フレーム2は、例えばツインチューブ型であり、車体フレーム2の前部上端に配置されたヘッドパイプ(図示せず)と、ヘッドパイプから後下方に向かって延設された左右一対のメインフレーム5と、メインフレーム5の後部から後上方に向かって延設された左右一対のシートレール6と、を主体として構成されている。
【0028】
ヘッドパイプには、左右一対のフロントフォーク7が左右に回転可能に支持されている。フロントフォーク7の下端には前輪8が軸支され、フロントフォーク7の上端にはハンドルバー9が支持されている。
【0029】
左右一対のメインフレーム5の間には燃料タンク10が設けられ、燃料タンク10の後方には、シートレール6の上方に運転者シート11が設けられ、燃料タンク10の下方に内燃機関(エンジン)12が搭載されている。左右一対のメインフレーム5の後下部にはピボット軸13が架設され、ピボット軸13にはスイングアーム14の前端部が上下方向揺動可能に支持されている。スイングアーム14の後端部には後輪15が軸支され、後輪15の右上方にはマフラー16が設けられている。マフラー16は、内燃機関12の排気管17に接続されており、内燃機関12からの排ガスが、排気管17を介してマフラー16に流入するように構成されている。
【0030】
次に、図1〜図3を用いて、マフラー16の詳細について説明する。なお、図2では、図面上左側が車体前方、右側が車体後方である。
【0031】
マフラー16は、排気管17の後端に接続されるマフラー本体18と、マフラー本体18の後端面20から延出するテールパイプ21と、テールパイプ21の外周を覆うテールカバー22と、テールパイプ21とテールカバー22の間に形成される空間23に配置される隔壁24と、を備えている。
【0032】
マフラー本体18は、前後方向に長い形状を成しており、後方に向かって僅かに上方に傾斜する姿勢で設けられている(図1参照)。マフラー本体18の内部は、仕切壁(図示せず)によって複数の消音室25に分割されており、複数の消音室25は、連通パイプ(図示せず)によって連通されている。なお、図2では、複数の消音室25のうち、後端に設けられた消音室25のみを表示している。マフラー本体18の後端面20の中央には、挿通穴26が穿設されている。
【0033】
テールパイプ21は、前後方向に長い形状を成している(図1参照)。図2に示されるように、テールパイプ21は、マフラー本体18の挿通穴26を貫挿している。テールパイプ21の前端部は、複数の消音室25のうちのいずれか一つ(例えば、後ろから2番目の消音室25)と連通されており、テールパイプ21の後端部は、マフラー16の外部(後方)に向かって開口されている。そして、内燃機関12の排気管17からマフラー本体18内に流入した排ガスが、複数の消音室25を順次通過した後、テールパイプ21を介してマフラー16の後方に排出されるように構成されている。テールパイプ21の後縁部27は、下方に向かって僅かに前方に傾斜するように設けられている。
【0034】
テールカバー22は、テールパイプ21の外周を覆う周壁部28と、周壁部28の後端から内側に向かって延出する後壁部30と、後壁部30の上部から前方に折り返される折返部31と、を備えている。周壁部28は円筒状を成しており、マフラー本体18の後端部から後下方に向かって突出している。周壁部28の前端部は、マフラー本体18の後端部に接続されている。
【0035】
周壁部28と後壁部30の境界付近には、テールカバー22の後縁部32がテールパイプ21の後縁部27と略平行に形成されている。本実施形態では、テールカバー22の後縁部32よりもテールパイプ21の後縁部27が前方に位置するように、各部材の配置が調整されている。
【0036】
折返部31は円筒状を成しており、テールパイプ21の後端部と所定の間隔を介して対向している。折返部31とテールパイプ21の後端部の間には、円環状の外部連通部33が形成されており、排ガスの抜き取り検査の際には、この外部連通部33にチューブが差し込まれるようになっている。
【0037】
隔壁24は、マフラー本体18、テールパイプ21及びテールカバー22とは別の部材により形成されている。隔壁24は、テールパイプ21を囲繞する内側空間34と内側空間34を囲繞する外側空間35とに空間23を仕切るパイプ状の部材であり、テールパイプ21と隔壁24は2重パイプ状を成している(図3参照)。
【0038】
隔壁24の前端部は、マフラー本体18の後端面20に溶接されており、これにより、隔壁24がマフラー本体18に片持ち状態で支持されている。隔壁24は、内側空間34の容積が外側空間35の容積よりも小さくなるように、テールパイプ21に近接して設けられている。
【0039】
隔壁24の後端部には、内側に向かって屈曲部36が設けられ、この屈曲部36と折返部31の間には円環状の空間連通部37が形成され、この空間連通部37を介して、内側空間34と外側空間35が連通している。図3に示されるように、本実施形態では、空間連通部37の開口面積(円環状部分の面積)が外部連通部33の開口面積(円環状部分の面積)よりも小さくなっている。
【0040】
隔壁24の後端部は、テールパイプ21の長手方向Xと直交する方向Y(図2参照)において、折返部31と重なるように配置されている。つまり、折返部31は、テールパイプ21の後端部と隔壁24の後端部の間に挿入された状態で設けられている。
【0041】
上記のように構成されたものにおいて、内燃機関12が駆動すると、排気管17からの排ガスがマフラー本体18に流入し、各消音室25内を通過した後、テールパイプ21から外部に排出される。そして、この排気に伴う圧力で、外部連通部33付近に圧力変動が生じる。しかしながら、本実施形態では、空間23を隔壁24により内側空間34と外側空間35に仕切っているため、上記した圧力変動の影響を受ける空間の容積を小さくすることが可能となる。これに伴って、笛吹き音等の異音の発生を防止することが可能となる。
【0042】
また、このように空間23に隔壁24を設けることで異音の発生を防止しており、異音の発生を防止するために外部連通部33の幅を狭くする必要がない。そのため、排ガスの抜き取り検査の際、外部連通部33の幅が狭すぎて外部連通部33にチューブを差し込みにくくなるといった不具合が生じるのを防止することができ、排ガスの抜き取り検査を円滑に行うことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、テールカバー22の後縁部32よりもテールパイプ21の後縁部27が前方に位置しているため、テールパイプ21の後縁部27がテールカバー22から露出するのを防止することが可能となり、マフラー16のデザインの向上を図ることが可能となる。
【0044】
一方で、このような構成を採用すると、結果としてテールパイプ21の後縁部27をテールカバー22の後縁部32に接近させることになり、これに伴って、排気時に外部連通部33付近に生じる圧力変動が大きくなる虞がある。しかしながら、本実施形態では、排気時に圧力変動の影響を受ける空間の容積を隔壁24によって小さくしているため、たとえ外部連通部33付近に生じる圧力変動が大きくなっても、この圧力変動による影響を低減させ、異音の発生を抑制することができる。このように、本発明は、テールパイプ21の後縁部27をテールカバー22の後縁部32よりも前方に配置する構成に効果的に適用される。
【0045】
また、本実施形態では、マフラー本体18の後端面20に隔壁24の前端部が片持ち状態に支持されているため、隔壁24の後端部を、マフラー本体18、テールパイプ21又はテールカバー22に固定する必要が無くなる。これに伴って、上記各部材と隔壁24の後端部との精密な位置合わせや溶接が不要となる。そのため、マフラー16の製造工程の簡易化及び製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0046】
一方で、マフラー本体18に隔壁24が片持ち状態に支持されると、隔壁24の後端部は自由端となり、隔壁24の後端部側に前側空間34と後側空間35の空間連通部37が形成される。そのため、前側空間23内の空気だけでなく、後側空間23内の空気も、外部連通部33付近における圧力変動の影響を僅かに受けることになる。しかしながら、本実施形態では、圧力変動の影響を受けやすい内側空間34の容積が、圧力変動を受けにくい外側空間35の容積よりも小さくなるように、隔壁24がテールパイプ21に近接して設けられている。そのため、空間連通部37が形成されるとしても、圧力変動による影響を低減させることができ、異音発生の抑制効果を高めることが可能となる。
【0047】
また、隔壁24は、マフラー本体18、テールパイプ21及びテールカバー22とは別の部材により形成されているため、隔壁24の形状自由度を大きくすることが可能となる。更に、隔壁24はパイプ状の部材であるため、隔壁24の材料を容易に入手することが可能となるとともに、マフラー本体18に隔壁24を容易に溶接することが可能となる。
【0048】
また、隔壁24は、テールパイプ21の長手方向Xと直交する方向Yにおいて、折返部31と重なるように配置されているため、外側空間35内の空気が外部連通部33付近における圧力変動の影響を直接受けるのを防止することが可能となり、異音の発生を防止する効果を高めることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、空間連通部37の開口面積が、外部連通部33の開口面積よりも小さいため、外側空間35内の空気が外部連通部33付近における圧力変動の影響を受けるのを、一層効果的に抑制することが可能となり、異音の発生を防止する効果を一層高めることが可能となる。
【0050】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を用いて説明する。なお、テールカバー22及び隔壁24を除く部材の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
テールカバー22は、テールパイプ21の外周を覆う周壁部28と、周壁部28の後端から内側に向かって延出する後壁部30と、後壁部30の上部から前方に折り返される折返部31と、を備えており、この折返部31から前方に向かって延出するように、隔壁24が折返部31と一体に形成されている。隔壁24の前端部とマフラー本体18の後端面20の間には、内側空間34と外側空間35を連通させる空間連通部37が設けられている。
【0052】
本実施形態ではこのように、隔壁24をテールカバー22と一体に形成しているため、第1の実施形態のように隔壁24をテールカバー22と別体に形成する場合と比較して、部品点数を減少させることが可能となる。これに伴って、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0053】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について、図5を用いて説明する。なお、隔壁24を除く部材の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
隔壁24は、中央に貫通穴40が穿設されて円環状を成す取付板41と、この取付板41の外周から後方に向かって突設されたフランジ42と、を備えている。取付板41の貫挿穴40の内周部分は、テールパイプ21の外周面に溶接されている。フランジ42は、テールパイプ21の長手方向Xと直交する方向Yにおいて、折返部31と重なるように配置されている。換言すると、折返部31は、テールパイプ21とフランジ42の間に挿入された状態で設けられている。
【0055】
上記のように、テールパイプ21の外周面に隔壁24の取付板41を溶接することで、第1の実施形態のようにマフラー本体18の後端面20に隔壁24を溶接する場合と比較して、圧力変動の影響を受けやすい内側空間34の容積を更に小さくすることが可能となる。これに伴って、異音の抑制効果を一層高めることが可能となる。
【0056】
第1〜第3の実施形態では、内側空間34と外側空間35の間に空間連通部37が形成される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、空間連通部37を設けることなく、内側空間34と外側空間35を完全に仕切っても良い。この場合には、溶接工程が増加したり位置合わせが煩雑化したりする虞がある一方、外側空間35が外部連通部33付近の圧力変動の影響を受けるのを確実に防止して、異音の発生を防止する効果を更に高めることが可能となる。
【0057】
第1〜第3の実施形態では、空間23を内側空間34と外側空間35に仕切る場合について説明したが、空間23の仕切り方はこれには限定されない。例えば、他の異なる実施形態では、テールカバー22の周壁部28の内面から、テールパイプ21の長手方向Xと垂直な方向Y(図2参照)と平行に隔壁24を突出させることで、空間23を前側空間と後側空間に仕切っても良い。
【0058】
第1〜第3の実施形態では、空間23を内側空間34と外側空間35という2個の空間に仕切る場合について説明したが、他の異なる実施形態では、隔壁24を複数設けることで、空間23を3個以上の空間に仕切っても良い。
【0059】
第1〜第3の実施形態では、周壁部28の後端部から内側に後壁部30が延出する構成のテールカバー22を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、後壁部30が無く、周壁部28の後面の全体が開口された円筒状のテールカバー22に本発明を適用しても良い。
【0060】
第1〜第3の実施形態では、オンロードタイプの自動二輪車1に本発明を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、オフロードタイプ、スクータ等の他の異なるタイプの自動二輪車1に本発明を適用しても良い。また、他の異なる実施形態では、例えば自動車等の自動二輪車1以外の車両に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0061】
12 内燃機関
16 マフラー
17 排気管
18 マフラー本体
20 後端面
21 テールパイプ
22 テールカバー
23 空間
24 隔壁
27 後縁部(テールパイプ)
28 周壁部
30 後壁部
31 折返部
32 後縁部(テールカバー)
33 外部連通部
34 内側空間
35 外側空間
37 空間連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気管の後端に接続されるマフラー本体と、該マフラー本体の後端面から延出するテールパイプと、該テールパイプの外周を覆うテールカバーと、を備えた内燃機関のマフラーであって、
前記テールパイプと前記テールカバーの間に形成される空間を少なくとも二以上の空間に仕切る隔壁を備えていることを特徴とする内燃機関のマフラー。
【請求項2】
前記テールパイプの後縁部は、前記テールカバーの後縁部よりも前方に位置することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のマフラー。
【請求項3】
前記隔壁の一端部は、前記マフラー本体と前記テールパイプと前記テールカバーのうちのいずれか一つに片持ち状態に支持され、
前記隔壁の他端部側には、前記二以上の空間を連通する空間連通部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のマフラー。
【請求項4】
前記隔壁は、前記マフラー本体と前記テールパイプと前記テールカバーとは別の部材により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関のマフラー。
【請求項5】
前記隔壁は、前記テールパイプを囲繞する内側空間と該内側空間を囲繞する外側空間とに前記空間を仕切るパイプ状の部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関のマフラー。
【請求項6】
前記テールカバーは、前記テールパイプの外周を覆う周壁部と、該周壁部の後端から内側に向かって延出する後壁部と、該後壁部から前方に折り返される折返部と、を備え、
該折返部は、前記隔壁と重なるように、前記テールパイプと前記隔壁の間に挿入された状態で設けられることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関のマフラー。
【請求項7】
前記テールパイプと前記折返部の間には、前記内側空間と外部を連通させる外部連通部が設けられ、
前記折返部と前記隔壁の間には、前記内側空間と前記外側空間を連通させる空間連通部が設けられ、
該空間連通部の開口面積が、前記外部連通部の開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関のマフラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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