説明

内燃機関の制御装置

【課題】ノズルボディの旋回溝におけるデポジットの存在を検出することができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の制御装置(60)は、ノズルボディ(23)の噴孔(27)に燃料を導く燃料通路(30)がノズルボディとニードル(24)とによって区画され、燃料通路の燃料をニードルの周りに旋回させる旋回溝(31)がノズルボディに設けられた燃料噴射装置(20)の旋回溝におけるデポジットの存在を検出する検出部を備え、ニードルの燃料通路に対向する部分には凸部(33)が設けられ、ニードルは旋回溝によって旋回させられた旋回燃料が凸部に当接した際に凸部が旋回燃料から受ける力によって回転できるように軸支され、燃料噴射装置はニードルの回転速度に応じて起電力を発生するソレノイド(21)を備え、検出部は、ソレノイドが発生した起電力に基づいてデポジットの存在を検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の燃料噴射装置は、燃料を噴射する噴孔を有するノズルボディと、ノズルボディ内に配置されて噴孔からの燃料の噴射を制御するニードルとを備えた燃料噴射弁を有している。このような燃料噴射弁にデポジットが発生した場合、燃料を適切に噴射することが困難になるおそれがある。そこで燃料噴射弁におけるデポジットの存在を検出する手法が考案されている。例えば特許文献1には、燃料噴射前後における空燃比の変化に基づいて噴孔またはニードルにデポジットが存在するか否かを検出する手法が開示されている。
【0003】
ところで、燃料の燃焼性向上の観点から、噴孔から噴射される燃料は微細であることが好ましい。そこで噴孔から噴射される燃料の微細化を図る技術が考案されている。例えば特許文献2には、燃料がニードルの周りを旋回するように燃料に旋回力を付与する溝(以下、旋回溝と称する)をノズルボディの内壁に設けることで、噴孔から噴射される燃料に遠心力を与える技術が開示されている。この技術によれば、噴孔から噴射される燃料は遠心力によって広がりながら飛散する。それにより、噴孔から噴射される燃料の微細化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−159690号公報
【特許文献2】特開平7−63138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノズルボディの旋回溝にデポジットが発生した場合、燃料に十分な旋回力を付与することが困難になるおそれがある。その結果、噴孔から噴射される燃料の微細化を適切に図ることが困難になるおそれがある。旋回溝にデポジットが発生した場合の対策を講じるためには、まずは旋回溝にデポジットが存在することを検出することが必要とされる。しかしながら特許文献1に係る技術を応用してノズルボディの旋回溝におけるデポジットの存在を検出しようとしても、噴孔またはニードルにデポジットが存在する場合と旋回溝にデポジットが存在する場合との間で燃料噴射前後における空燃比の変化を区別することは困難である。したがって、特許文献1に係る技術を応用しても旋回溝におけるデポジットの存在を検出することは困難である。
【0006】
本発明は、ノズルボディの旋回溝におけるデポジットの存在を検出することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内燃機関の制御装置は、内燃機関に燃料を噴射する噴孔を有するノズルボディの前記噴孔に前記燃料を導く燃料通路が、前記ノズルボディと前記ノズルボディの内部に配置されて燃料噴射時にリフトすることで前記燃料通路の前記燃料の前記噴孔への到達を可能にするニードルとによって区画され、前記燃料通路の前記燃料を前記ニードルの周りに旋回させる旋回溝が前記ノズルボディに設けられた燃料噴射装置の前記旋回溝におけるデポジットの存在を検出する検出部を備え、前記ニードルの前記燃料通路に対向する部分には凸部が設けられ、前記ニードルは前記旋回溝によって旋回させられた前記燃料である旋回燃料が前記凸部に当接した際に前記凸部が前記旋回燃料から受ける力によって回転できるように軸支され、前記燃料噴射装置は前記ニードルの回転速度に応じて起電力を発生するソレノイドを備え、前記検出部は、前記ソレノイドが発生した前記起電力に基づいて前記デポジットの存在を検出することを特徴とする。
【0008】
旋回溝にデポジットが存在すると、デポジットが旋回溝の燃料の流動抵抗となることから、旋回燃料の流速は減少する。旋回燃料の流速が減少すると、旋回燃料が凸部に与える力も減少することから、ニードルの回転速度は減少する。ニードルの回転速度が減少すると、ソレノイドが発生する起電力も減少する。このように、旋回溝におけるデポジットの存在とソレノイドが発生する起電力とは相関を有している。したがって、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、ソレノイドが発生した起電力に基づいて旋回溝におけるデポジットの存在を検出することができる。
【0009】
上記構成は、前記検出部による前記デポジットの存在の検出を禁止する所定の条件が満たされた場合、前記ニードルのリフト量を前記旋回燃料が前記凸部に当接しないリフト量に制御し、前記所定の条件が満たされない場合、前記ニードルのリフト量を前記旋回燃料が前記凸部に当接するリフト量に制御する制御部を備えていてもよい。
【0010】
この構成によれば、検出部によるデポジットの存在の検出を禁止する所定の条件が満たされた場合には旋回燃料を凸部に当接させないようにすることができる。その結果、凸部が旋回燃料の流動抵抗となることを抑制することができる。また、所定の条件が満たされない場合には、旋回燃料を凸部に当接させることができる。この場合、検出部によって旋回溝におけるデポジットの存在を検出することができる。
【0011】
上記構成において、前記所定の条件が満たされた場合は、前記噴孔から噴射される前記燃料の噴射量が所定値以下の場合であってもよい。ここで、仮に燃料の噴射量が比較的少ない場合に旋回燃料を凸部に当接させた場合、凸部が旋回燃料の流動抵抗となる結果、旋回燃料の流速が減少して、燃料の微細化が不十分になるおそれがある。これに対して本構成によれば、燃料の噴射量が所定値以下の場合には旋回燃料を凸部に当接させないようにすることができることから、燃料の噴射量が所定値以下の場合に凸部が旋回燃料の流動抵抗となることを抑制することができる。それにより、燃料の噴射量が所定値以下の場合であっても燃料の微細化を十分に図ることができる。
【0012】
上記構成において、前記凸部は、前記ニードルのリフト量が第1の値の場合よりも、前記第1の値よりも大きい第2の値の場合の方が前記旋回燃料に当接しない前記凸部の数が多くなるように、前記ニードルに複数設けられており、上記構成は、前記噴孔から噴射される前記燃料の噴射量に基づいて前記ニードルのリフト量を前記第2の値に制御する制御部を備えていてもよい。
【0013】
この構成によれば、凸部がニードルに複数設けられていることから、凸部がニードルに一つ設けられている場合に比較して、燃料の噴射量が少ない場合であってもニードルを回転させて旋回溝におけるデポジットの検出を行うことができる。したがって本構成によれば、凸部がニードルに一つ設けられている場合に比較して、旋回溝におけるデポジットの検出を行える燃料の噴射量の範囲を広げることができる。また、凸部をニードルに複数設けた場合、旋回燃料の流動抵抗となる凸部の数も増えることになるが、本構成によれば、燃料の噴射量に基づいてニードルのリフト量が、旋回燃料に当接しない凸部の数が第1の値よりも大きい第2の値に制御されることから、燃料の噴射量に応じて旋回燃料の流動抵抗となる凸部の数を減少させることができる。
【0014】
上記構成において、前記燃料噴射装置は、前記旋回燃料が前記凸部に当接した際の前記ニードルの回転方向と同じ方向に前記ニードルを回転させるアクチュエータをさらに備え、上記構成は、前記検出部による前記デポジットの存在の検出結果に基づいて前記アクチュエータを始動させる制御部を備えていてもよい。
【0015】
この構成によれば、検出部によって旋回溝におけるデポジットの存在が検出された場合にアクチュエータを始動させてニードルの回転速度を増大させることができる。ニードルの回転速度が増大すると、凸部の回転速度も増大する。その結果、回転する凸部によって旋回燃料の流速を増大させることができる。それにより、旋回溝のデポジットを旋回燃料によって効果的に除去することができる。その結果、噴孔から噴射される燃料の微細化を促進することができる。
【0016】
上記構成は、前記検出部によって前記デポジットの存在が検出された場合に、前記デポジットの存在が検出される前に比較して前記燃料通路の前記燃料の圧力が上昇するように前記燃料通路の前記燃料の圧力を制御する制御部を備えていてもよい。
【0017】
この構成によれば、旋回溝におけるデポジットの存在が検出された場合に旋回燃料の流速を増大させることができる。それにより、旋回溝にデポジットが存在することに起因する旋回燃料の流速の減少を抑制することができる。その結果、旋回溝にデポジットが存在する場合であっても、燃料の微細化を適切に図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノズルボディの旋回溝におけるデポジットの存在を検出することができる内燃機関の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施例1に係る内燃機関システムの模式図である。
【図2】図2(a)は、実施例1に係る燃料噴射装置の詳細を説明するための図である。図2(b)は、旋回燃料の主流を模式的に示す図である。図2(c)は、シート部がシート面に着座した状態を示す図である。図2(d)は、ソレノイドの構成を説明するための図である。
【図3】図3(a)は、旋回溝にデポジットが発生した状態の一例を示す模式図である。図3(b)は、旋回溝にデポジットが存在していない場合における電圧センサの検出結果と時間との関係を示す図である。図3(c)は、旋回溝にデポジットが存在した場合における電圧センサの検出結果と時間との関係を示す図である。
【図4】図4は、実施例1に係る制御装置の検出部が検出処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、凸部の幅と旋回溝の幅との間の好適な関係を説明するための図である。
【図6】図6(a)は実施例2に係る第1制御処理が実行された状態を示す模式図である。図6(b)は実施例2に係る第2制御処理が実行された状態を示す模式図である。
【図7】図7は、実施例2に係る制御装置の制御部が第1制御処理および第2制御処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。
【図8】図8(a)および図8(b)は、実施例3に係る制御装置が適用さる燃料噴射弁を示す模式図である。
【図9】図9は、実施例3に係る制御装置の制御部が第3制御処理および第4制御処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。
【図10】図10は、実施例4に係る制御装置および実施例4に係る制御装置が適用される燃料噴射装置を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例4に係る制御装置のフローチャートの一例を示す図である。
【図12】図12(a)は、実施例5に係る旋回溝にデポジットが存在している状態を示す模式図である。図12(b)は、図12(a)のようにデポジットが旋回溝に偏在するように発生した場合における電圧センサの検出結果と時間との関係を示す図である。
【図13】図13は、実施例5に係る制御装置の検出部が検出処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。
【図14】図14(a)〜図14(f)は、実施例6に係る制御装置の検出部による検出処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1に係る内燃機関の制御装置60について説明する。制御装置60は内燃機関10に用いられる制御装置である。まず、制御装置60および内燃機関10を備える内燃機関システム5の全体構成について説明し、次いで制御装置60の詳細について説明する。図1は、内燃機関システム5の模式図である。内燃機関システム5は、内燃機関10と燃料噴射装置20と燃料タンク40とポンプ50と制御装置60と各種センサとを備えている。
【0022】
内燃機関10は、燃料噴射装置20から噴射される燃料を用いて作動する。燃料としては、内燃機関10がガソリンエンジンの場合にはガソリンを用い、内燃機関10がディーゼルエンジンの場合には軽油を用いる。内燃機関10は、シリンダブロック11と、シリンダブロック11の上方に配置されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11内に配置されたピストン13とを備えている。
【0023】
シリンダブロック11とシリンダヘッド12とピストン13とによって囲まれた領域に、燃焼室14が形成されている。シリンダヘッド12には、空気を燃焼室14に導く吸気通路15と燃焼室14から排気を排出する排気通路16とが設けられている。なお、本実施例に係る上方および下方は、必ずしも重力方向における上方および下方と一致している必要はない。例えば、本実施例に係る上方および下方は水平方向であってもよい。
【0024】
燃料噴射装置20は燃料を噴射する装置である。燃料噴射装置20の動作は制御装置60が制御する。燃料噴射装置20はソレノイド21および燃料噴射弁22を備えている。ソレノイド21は燃料噴射弁22を駆動する装置である。ソレノイド21の動作は、制御装置60が制御する。燃料噴射弁22は燃料を噴射する弁である。本実施例に係る燃料噴射弁22は、内燃機関10の燃焼室14に燃料を直接噴射する。この場合、燃料噴射弁22は、燃料を噴射するための噴孔が燃焼室14に露出するように内燃機関10に配置されている。なお制御装置60が適用される燃料噴射弁22は、本実施例のように燃焼室14に燃料を直接噴射する燃料噴射弁に限定されるものではない。例えば制御装置60が適用される燃料噴射弁22は、吸気通路15に燃料を直接噴射するように吸気通路15に配置された燃料噴射弁であってもよい。燃料噴射装置20の詳細な構成は後述する。
【0025】
燃料タンク40は、内燃機関10の燃料を貯留するタンクである。燃料タンク40と燃料噴射弁22とは、外部燃料通路45によって連通されている。外部燃料通路45は、燃料タンク40の燃料を燃料噴射弁22に導く通路である。ポンプ50は、外部燃料通路45に配置されている。ポンプ50は外部燃料通路45の燃料を圧送して燃料噴射弁22に供給する装置である。ポンプ50の動作は、制御装置60が制御する。ポンプ50が作動すると、燃料タンク40の燃料は外部燃料通路45を通過して燃料噴射弁22に供給される。
【0026】
制御装置60は、燃料噴射装置20およびポンプ50を制御する制御処理を実行する制御部を備えている。また制御装置60は、燃料噴射装置20の後述する旋回溝におけるデポジットの存在を検出する検出処理を実行する検出部も備えている。さらに制御装置60は、制御部および検出部の動作に必要なデータ等を記憶部する記憶部を備えている。
【0027】
制御装置60として、電子制御装置(Electronic Control Unit)を用いることができる。本実施例においては、制御装置60の一例として、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62およびRAM(Random Access Memory)63を備える電子制御装置を用いる。制御部の機能および検出部の機能は、CPU61によって実現される。記憶部の機能は、ROM62およびRAM63によって実現される。
【0028】
各種センサは、制御装置60の動作に必要な情報を検出するためのセンサである。図1においては各種センサの一例として、電圧センサ70、圧力センサ71、クランクポジションセンサ72およびアクセルポジションセンサ73が図示されている。電圧センサ70は、燃料噴射装置20のソレノイド21の電圧を検出し、検出結果を制御装置60に伝える。圧力センサ71は、燃料噴射弁22に供給される燃料の圧力を検出し、検出結果を制御装置60に伝える。具体的には圧力センサ71は、燃料噴射弁22に供給される燃料の圧力として、外部燃料通路45のポンプ50と燃料噴射装置20との間の部分における燃料の圧力を検出している。
【0029】
クランクポジションセンサ72は、内燃機関10のクランク軸の位置を検出し、検出結果を制御装置60に伝える。制御装置60は、クランクポジションセンサ72の検出結果に基づいて内燃機関10のクランク角を取得する。制御装置60は、クランク角に基づいて燃料噴射装置20からの燃料噴射時期を取得する。アクセルポジションセンサ73は、内燃機関システム5が搭載された車両のアクセル80の開度を検出し、検出結果を制御装置60に伝える。制御装置60は、アクセルポジションセンサ73の検出結果に基づいて内燃機関10の負荷を取得する。すなわち、アクセルポジションセンサ73は、制御装置60が内燃機関10の負荷を取得するための情報を検出するセンサとしての機能を有している。但し、内燃機関10の負荷を取得するための情報を検出するセンサは、アクセルポジションセンサ73に限定されるものではなく、例えばスロットルポジションセンサ、エアフロメータ等であってもよい。あるいは制御装置60は、内燃機関10の回転数に基づいて内燃機関10の負荷を取得してもよい。なお、内燃機関10の負荷は内燃機関10の運転状態を示す指標の一つでもある。また内燃機関10の回転数は、クランクポジションセンサ72の検出結果に基づいて取得することができる。
【0030】
続いて燃料噴射装置20の詳細について説明する。図2(a)は、燃料噴射装置20の詳細を説明するための図である。燃料噴射弁22は、ノズルボディ23と、ノズルボディ23の内部に配置されたニードル24とを備えている。ノズルボディ23の軸線とニードル24の軸線とは一致している。図2(a)においては、ノズルボディ23の軸線およびニードル24の軸線が軸線25によって図示されている。ニードル24はソレノイド21によって駆動されることで、軸線25の延伸方向(以下、軸線25の方向と称する場合がある)に沿って先端側および基端側に移動する。なお、基端側とはニードル24の先端側(噴孔がある側)とは反対の側をいい、図2(a)において基端側は上方側であり、先端側は下方側である。
【0031】
ノズルボディ23は、シート面26を先端部に備えている。シート面26は、後述するニードル24のシート部32が着座するノズルボディ23の部位である。シート面26の形状は特に限定されるものではない。一例として本実施例に係るシート面26は、ノズルボディ23の基端側から先端側にかけて徐々に縮径する形状を有している。具体的にはシート面26は、ノズルボディ23の軸線25を中心軸とした円錐形状を有している。
【0032】
シート面26には燃料を噴射する孔である噴孔27が開口している。本実施例に係る噴孔27は、ノズルボディ23の軸線25を噴孔27の中心としている。また噴孔27は、シート面26に開口した孔の部分から、さらにノズルボディ23の先端側に突出している。その結果、ノズルボディ23の先端部の断面はノズル形状になっている。本実施例においては、シート面26に開口した孔の部分からノズルボディ23のさらに先端側に突出した部分までを噴孔27と称する。但し、噴孔27の構成はこれに限定されるものではない。例えば噴孔27の中心は軸線25に一致していなくてもよい。また噴孔27は、シート面26に開口した孔の部分だけを有していてもよく、この孔からノズルボディ23の先端側に突出した部分を有していなくてもよい。
【0033】
ノズルボディ23の内壁28とニードル24の外壁29との間には、噴孔27に燃料を導くための通路である燃料通路30が形成されている。すなわち燃料通路30は、ノズルボディ23の内壁28とニードル24の外壁29とによって区画されている。燃料通路30の燃料流動方向上流側の端部は、外部燃料通路45(図1)に接続している。
【0034】
ノズルボディ23の内壁28には、旋回溝31が設けられている。本実施例において旋回溝31は、ノズルボディ23の軸線25を螺旋の中心とした螺旋溝である。燃料噴射時において燃料通路30を流動する燃料は、旋回溝31を通過することでニードル24の周りを旋回する。すなわち旋回溝31は、燃料噴射時において燃料通路30の燃料をニードル24の周りに旋回させる機能を有している。以下、旋回溝31によって旋回させられた燃料を旋回燃料と称する場合がある。図2(b)には、旋回燃料の主流Fが模式的に図示されている。
【0035】
このように燃料通路30の燃料がニードル24の周りを旋回することで、噴孔27から噴射される燃料に遠心力を与えることができる。その結果、噴孔27から噴射される燃料は広がりながら飛散する。それにより、噴孔27から噴射される燃料の微粒化を図ることができる。また、燃料通路30の燃料がニードル24の周りを旋回することで、噴孔27から噴射される燃料に微細な気泡(ナノバルブ)を混入させることもできる。それにより、噴孔27から噴射される燃料の微細化を促進させることができる。噴孔27から噴射される燃料の微細化によって、燃料の燃焼性を向上させることができる。
【0036】
図2(a)を参照して、本実施例に係る旋回溝31の断面は矩形である。また旋回溝31は、ノズルボディ23の内壁28のうち、シート面26よりも所定の距離だけ基端側に位置した部分から形成され、この部分からさらに所定の距離、基端側に位置した部分に至るまで螺旋状に形成されている。また旋回溝31は、ノズルボディ23の内壁28を2周半、周回するように形成されている。但し、燃料通路30の燃料をニードル24の周りに旋回させることができるものであれば、旋回溝31の形状、ノズルボディ23の内壁28における旋回溝31が形成されている範囲の大きさ、旋回溝31の巻き数等は上記構成に限定されるものではない。
【0037】
ニードル24は、噴孔27からの燃料噴射を制御する弁体である。ニードル24は、ノズルボディ23の内部にリフト可能に配置されている。なお、リフトとは、ニードル24が噴孔27から離れる方向へ移動することをいう。ニードル24の先端部には、シート部32が設けられている。シート部32は、噴孔27からの燃料噴射停止時においてノズルボディ23のシート面26に着座するニードル24の部位である。シート部32の形状は特に限定されるものではないが、本実施例に係るシート部32は一例として、ニードル24の基端側から先端側にかけて徐々に縮径する形状を有している。具体的にはシート部32は、軸線25を中心とした円錐形状を有している。
【0038】
図2(c)は、シート部32がシート面26に着座した状態を示す図である。シート部32がシート面26に着座することで、燃料通路30と噴孔27とは遮断状態となる。それにより、燃料通路30から噴孔27への燃料の到達が停止されて、噴孔27からの燃料噴射は停止される。図2(a)を参照して、シート部32がリフトすることでシート面26から離座した場合、燃料通路30と噴孔27とは連通状態になり、燃料通路30から噴孔27への燃料の到達が可能になる。それにより、噴孔27からの燃料噴射は開始される。すなわちニードル24は、燃料噴射時に噴孔27から離れる方向へリフトすることで燃料通路30の燃料の噴孔27への到達を可能にしているとともに噴孔27からの燃料噴射も可能にしている。
【0039】
図2(a)を参照して、ニードル24の燃料通路30に対向する部分には凸部33が設けられている。凸部33は、ニードル24の外壁29の燃料通路30に対向する部分から燃料通路30およびノズルボディ23の内壁28に向けて突出している。その結果、燃料噴射時において旋回燃料は凸部33に当接する。
【0040】
燃料噴射装置20は、ニードル24を軸支する支持部材34を備えている。支持部材34は、旋回燃料が凸部33に当接した際に凸部33が旋回燃料から受ける力によってニードル24がニードル24の軸線25の周りに回転できるように、ニードル24を軸支する部材である。このようにニードル24を軸支できるものであれば、支持部材34の具体的構成は特に限定されるものではない。
【0041】
本実施例に係る支持部材34は、一例として、ニードル24の外壁29に接触しながらニードル24を軸支している。具体的には図2(a)において支持部材34は、ニードル24の旋回溝31に対向する部分とソレノイド21との間の部分における外壁29に接触しながらニードル24を軸支している。支持部材34がニードル24の外壁29に接触しながらニードル24を軸支する結果、ニードル24は支持部材34に軸支されつつ支持部材34に摺動しながら回転することができる。すなわち、支持部材34はニードル24の回転を阻止しないようにニードル24を軸支している。このように支持部材34によって軸支されることで、ニードル24は、凸部33が旋回燃料から受ける力による回転モーメントによって軸線25を回転中心軸として回転することができる。
【0042】
なお、本実施例に係る支持部材34は、ノズルボディ23とは別体の部材である。但し、支持部材34の構成はこれに限定されるものではなく、支持部材34はノズルボディ23の旋回溝31よりも基端側の一部分によって構成されていてもよい。すなわち支持部材34は、ノズルボディ23と一体化した部材であってもよい。また、支持部材34がニードル24を軸支するニードル24の部位は、図2(a)の部位に限定されるものではない。また支持部材34は、ニードル24の外壁29に直接接触していなくてもよい。例えば支持部材34が流体軸受構造を有する場合、支持部材34は、流体を介してニードル24を軸支することになる。この場合にも、ニードル24の回転は支持部材34によって阻止されないことから、ニードル24は凸部33が旋回燃料から力を受けた場合に回転することができる。
【0043】
図2(d)は、ソレノイド21の構成を説明するための図である。ソレノイド21は、電気エネルギを機械的な直線運動に変換する電磁機能部品である。ソレノイド21は、ニードル24がリフト移動するようにニードル24を駆動させる駆動装置としての機能を有している。本実施例に係るソレノイド21は、一例として、コイル35とプランジャ36とを備えている。
【0044】
コイル35は、プランジャ36の周りに螺旋状に巻かれている。プランジャ36の先端側の端部は、ニードル24に接続されている。なおプランジャ36とニードル24とは、接続部材を介して間接的に接続されていてもよい。またプランジャ36は、バネ等の弾性部材(図示せず)によって先端側に付勢されている。なおプランジャ36は、バネ等の弾性部材に代えてまたはこれと共に、燃料の圧力によって先端側に付勢されていてもよい。
【0045】
コイル35に電気が流れた場合(通電された場合)、プランジャ36はコイル35の磁界内に引き込まれる。その結果、ニードル24はリフトする。それにより、噴孔27からの燃料噴射が開始する。コイル35への通電が停止された場合、プランジャ36は元の位置に戻る。その結果、ニードル24もリフト前の状態に戻り、燃料噴射は停止する。またコイル35への通電量に応じて、プランジャ36のコイル35への引き込まれ量は変化する。その結果、コイル35への通電量を制御することで、ニードル24のリフト量を制御することができる。
【0046】
ここで、本実施例に係るソレノイド21は、旋回燃料が凸部33に当接することによってニードル24が回転した場合、起電力を発生する。具体的には、ニードル24が回転するとニードル24に接続したプランジャ36も回転する。プランジャ36が回転するとソレノイド21は、プランジャ36の回転速度に応じた起電力を発生する。したがって、ソレノイド21が発生する起電力の値は、ニードル24の回転速度と相関を有している。
【0047】
すなわち本実施例に係るソレノイド21は、ニードル24を駆動するソレノイドとしての機能の他に、ニードル24の回転速度に応じて起電力を発生するソレノイドとしての機能も有している。このような機能を有するものであれば、ソレノイド21の構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えばソレノイド21はプランジャ36を備えていなくてもよい。この場合、コイル35はニードル24の周りに螺旋状に巻かれることになる。これ以降、ニードル24が回転することによって生じるソレノイド21の起電力を、ニードル24をリフトさせるために必要な起電力と区別するために、逆起電力と称する場合がある。
【0048】
続いて制御装置60の詳細について説明する。まず制御装置60の制御部は、内燃機関10の運転状態に基づいて燃料噴射装置20を制御する。具体的には制御部は、内燃機関10の運転状態を示す指標(例えば内燃機関10の負荷)に基づいて、ソレノイド21への通電の開始、通電の停止および通電量の制御を行うことで、ニードル24のリフト量を制御する。ニードル24のリフト量を制御することで、制御部は、噴孔27からの燃料の噴射の開始および噴射の停止を制御する。なおニードル24のリフト量とは、シート部32がシート面26に着座した状態からのニードル24の基端側への移動距離(上昇距離)をいう。このリフト量は、燃料噴射停止時におけるニードル24の位置からのニードル24の基端側への移動距離でもある。
【0049】
また制御部は、内燃機関10の運転状態を示す指標に基づいてポンプ50の出力を制御することで、燃料噴射弁22に供給される燃料の圧力および燃料噴射弁22に供給される燃料の単位時間当たりの量を制御する。燃料噴射弁22に供給される燃料の圧力が制御されることで、燃料通路30の燃料の圧力も制御され、噴孔27から噴射される燃料の圧力も制御される(以下、燃料噴射弁22に供給される燃料の圧力、燃料通路30の燃料の圧力および噴孔27から噴射される燃料の圧力を総称して、燃圧と称する場合がある)。燃料噴射弁22に供給される燃料の単位時間当たりの量が制御されることで、噴孔27から噴射される燃料の単位時間当たりの量(以下、燃料噴射量と称する)も制御される。但し、制御部による燃圧の制御手法および燃料噴射量の制御手法は、これに限定されるものではない。例えば内燃機関システム5は外部燃料通路45に、燃料流量を調整するための流量調整弁等を備え、制御部は流量調整弁を制御することで燃圧および燃料噴射量を制御してもよい。
【0050】
制御装置60の検出部は、旋回溝31におけるデポジットの存在を検出する処理(以下、検出処理と称する)を実行する。まず、本実施例に係る検出処理のメカ二ズムについて説明する。図3(a)は、旋回溝31にデポジット100が発生した状態の一例を示す模式図である。図3(a)においてデポジット100は、旋回溝31の全体に亘って存在している。
【0051】
図3(b)は、旋回溝31にデポジット100が存在していない場合における電圧センサ70の検出結果と時間との関係を示す図である。縦軸は、電圧センサ70の検出結果を示している。この電圧センサ70の検出結果は、制御装置60の制御部がニードル24をリフトさせる際にソレノイド21に印加される電圧を示しているとともに、ニードル24が回転する際にソレノイド21が発生する逆起電力によって生じる電圧も示している。横軸は、時間を示している。具体的には横軸は、ニードル24のリフトを開始させるためにソレノイド21に電圧を印加することを開始してからの経過時間、すなわち燃料噴射開始からの経過時間を示している。
【0052】
制御部がソレノイド21への電圧印加を開始してから所定時間経過すると、電圧は電圧Vaになる。この電圧Vaの値は、ニードル24のリフト量に応じて変化する。具体的にはニードル24のリフト量が大きいほど、電圧Vaの値も大きくなる。
【0053】
旋回燃料が凸部33に当接することでニードル24が回転した場合、ソレノイド21は逆起電力を発生する。その結果、電圧Vaの値は、逆起電力によって一時的に低下する。それにより、電圧ディップ110が生じる。図3(b)において電圧ディップ110の値は符号hで図示されている。
【0054】
図3(c)は、旋回溝31にデポジット100が存在した場合における電圧センサ70の検出結果と時間との関係を示す図である。旋回溝31にデポジット100が存在した場合、デポジット100は旋回溝31の燃料の流動抵抗となる。その結果、旋回燃料の流速は減少する。旋回燃料の流速が減少すると、旋回燃料が凸部33に与える力も減少することから、ニードル24の回転速度も減少する。ニードル24の回転速度が減少すると、ソレノイド21が発生する逆起電力も減少する。その結果、図3(c)に示すように、電圧ディップ110の値(符号hで図示されている)は旋回溝31にデポジット100が存在しない場合に比較して減少する。
【0055】
以上のことから、旋回溝31におけるデポジット100の存在とソレノイド21が発生する逆起電力とは相関を有していることが分る。したがって、ソレノイド21が発生する逆起電力に基づいて、旋回溝31におけるデポジット100の有無を検出することができる。制御装置60の検出部は、このメカ二ズムに基づいて検出処理を実行する。
【0056】
具体的には検出部は、ソレノイド21が発生した逆起電力に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。より具体的には検出部は、ソレノイド21が発生した逆起電力と、旋回溝31にデポジット100が存在していない状態におけるソレノイド21が発生する逆起電力と、の比較結果に基づいて、旋回溝31におけるデポジットの存在を検出する。
【0057】
具体的には検出部は、ソレノイド21が発生した逆起電力の値が、旋回溝31にデポジット100が存在していない状態におけるソレノイド21が発生する逆起電力の値(基準値)に比較して減少したか否かを判定する。その結果、減少したと判定された場合、検出部は旋回溝31にデポジット100が存在していると判定する。このようにして、検出部はソレノイド21が発生した逆起電力に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。
【0058】
図4は、制御装置60の検出部が検出処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。検出部は、図4のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。まず、検出部は、電圧センサ70の検出結果に基づいてソレノイド21が発生した逆起電力の値を取得し、取得された逆起電力の値が基準値よりも小さいか否かを判定する(ステップS10)。基準値は、旋回溝31にデポジット100が存在していない状態におけるソレノイド21が発生する逆起電力の値である。この基準値はROM62等の記憶部が記憶しておく。
【0059】
ステップS10の判定処理内容をより具体的に説明すると、検出部はソレノイド21が発生した逆起電力の値の一例として、図3(c)で説明した電圧ディップ110の値hを用いる。また検出部は基準値の一例として、図3(b)で説明した旋回溝31にデポジット100が存在していない状態における電圧ディップ110の値hを用いる。検出部は、ステップS10において、電圧センサ70の検出結果に基づいて電圧ディップ110の値hを取得し、取得された電圧ディップ110の値hが基準値(旋回溝31にデポジット100が存在していない状態における電圧ディップ110の値h)よりも小さいか否かを判定する。
【0060】
ステップS10において逆起電力の値が基準値よりも小さいと判定されなかった場合、検出部はフローチャートの実行を終了する。ステップS10において逆起電力の値が基準値よりも小さいと判定された場合、検出部は旋回溝31にデポジット100が存在していると判定する(ステップS11)。すなわち検出部は、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。次いで検出部はフローチャートの実行を終了する。
【0061】
以上のように、本実施例に係る制御装置60によれば、ソレノイド21が発生した逆起電力に基づいて旋回溝31におけるデポジットの存在を検出することができる。
【0062】
なお、旋回溝31におけるデポジット100の存在量(堆積量)が多いほど、ニードル24の回転速度の減少度合いは大きくなり、ソレノイド21が発生する逆起電力の値は小さくなる。したがって、旋回溝31におけるデポジット100の存在量とソレノイド21が発生する逆起電力の値とは相関を有している。そこで検出部は、ソレノイド21が発生する逆起電力の値に基づいて、旋回溝31におけるデポジット100の存在量を推定してもよい。
【0063】
具体的には検出部は、ソレノイド21が発生する逆起電力の値の一例として、電圧ディップ110の値を用いることができる。この場合、記憶部は例えば図3(b)の電圧ディップ110の値hを基準値として記憶しておき、検出部は電圧センサ70の検出結果に基づいて取得した電圧ディップ110の値hと記憶部に記憶された電圧ディップ110の基準値との差を算出し、算出された差に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在量を推定する。より具体的には検出部は、算出された差の値または算出された差の値に所定の係数を掛けたものを、旋回溝31におけるデポジット100の存在量とする。あるいは検出部は、算出された差の値が大きいほど旋回溝31におけるデポジット100の存在量が多いと判定し、算出された差の値が小さいほど旋回溝31におけるデポジット100の存在量が少ないと判定することで、旋回溝31におけるデポジット100の存在量の大小を推定してもよい。
【0064】
また旋回溝31にデポジット100が存在する場合、噴孔27から噴射される燃料に旋回力を与えることが困難になるおそれがある。この場合、噴孔27から噴射される燃料の微粒化を適切に図ることが困難になるおそれがある。そこで、制御装置60の制御部は、検出部による旋回溝31におけるデポジット100の存在の検出結果に基づいて、燃料通路30の燃料の圧力を所定期間、上昇させる制御処理を実行してもよい(以下、この制御処理を圧力上昇処理と称する)。
【0065】
圧力上昇処理は、例えば以下のように実行される。まず、検出部が旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出した場合、制御部はデポジット100の存在が検出される前に比較して燃料通路30の燃料の圧力を所定期間上昇させる。制御部は、例えばポンプ50の出力を所定期間上昇させることで、燃料通路30の燃料の圧力を所定期間上昇させることができる。制御部は、燃料通路30の燃料の圧力を所定期間上昇させた後、燃料の圧力を上昇前の値に戻す。
【0066】
旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合に圧力上昇処理が実行されることで、旋回燃料の流速を所定期間増大させることができる。それにより、旋回溝31にデポジットが存在することに起因する旋回燃料の流速の減少を抑制することができる。その結果、旋回溝31にデポジット100が存在する場合であっても、燃料の微細化を適切に図ることができる。
【0067】
また、旋回燃料はデポジット100を旋回溝31から除去する作用効果(デポジット100を洗い流す作用効果)も有しているため、圧力上昇処理が実行されることで旋回燃料の流速が増大した結果、旋回燃料によってデポジット100を効果的に除去することもできる。それにより、噴孔27から噴射される燃料の微細化を促進することができる。そこで制御部は、旋回溝31のデポジット100が除去されて旋回溝31に存在しなくなった場合(例えばステップS10で否定判定された場合)、燃料通路30の燃料の圧力を上昇させてから所定期間経過していない段階であっても、圧力上昇処理の実行を終了して、燃料通路30の燃料の圧力を上昇前の値に戻してもよい。
【0068】
なお凸部33は、旋回燃料が当接した際に旋回燃料から付与される力を受けてニードル24を回転させる機能を発揮できるものであれば、その形状、数、大きさ(断面積)等は特に限定されるものではない。例えば図2(a)において凸部33の断面形状は矩形であるが、これに限定されるものではない。また、図2(a)において凸部33の数は1であるが、凸部33の数は複数であってもよい。複数の凸部33のニードル24への配置態様は、特に限定されるものではない。例えば凸部33は、ニードル24の軸線25の方向に並ぶように複数配置されていてもよく、ニードル24の外周方向に並ぶように複数配置されていてもよい。
【0069】
また凸部33の大きさが小さ過ぎると、旋回燃料から十分な力を受けることが困難になるおそれがあり、その結果、ニードル24を好適に回転させることが困難になるおそれがある。凸部33の大きさが大き過ぎると、凸部33が旋回燃料の流動を阻害する要因となり易くなる。その結果、旋回燃料の流速が減少してしまい、ニードル24を好適に回転させることが困難となるおそれがある。したがって凸部33の大きさは、ニードル24を好適に回転させることが可能な大きさを適切に設定すればよい。また凸部33の高さ(突出量)は、凸部33がノズルボディ23の内壁28に接触しない高さであることが好ましい。凸部33がノズルボディ23の内壁28に接触すると、ニードル24の回転が阻害されるおそれがあるからである。
【0070】
また、凸部33の幅と旋回溝31の幅との間には、好適な関係がある。図5(a)〜図5(c)は、凸部33の幅と旋回溝31の幅との間の好適な関係を説明するための図である。図5(a)には、凸部33の幅(凸部33のニードル24の軸線25方向の長さ)lと、旋回溝31の幅(旋回溝31のノズルボディ23の軸線25方向の長さ)Lと、が図示されている。図5(b)は、凸部33の幅lと旋回溝31の幅Lとの関係を理解し易くするために、旋回溝31の中に凸部33を配置した状態を示す図である。図5(c)は、旋回溝31における旋回燃料の流速分布を模式的に示す図である。
【0071】
旋回燃料の流速は、旋回溝31の中央で最も早く、旋回溝31の壁面において最も遅くなる。したがって、旋回溝31の壁面近傍を流動する流速の遅い旋回燃料の影響を凸部33が受け難くするために、凸部33の幅lは、旋回溝31の幅Lよりも小さいことが好ましい。具体的な数値を挙げると、凸部33の幅lは旋回溝31の幅Lの80%が好ましい。この構成によれば、旋回溝31の壁面近傍を流動する流速の遅い旋回燃料の影響を凸部33が受け難くなるため、効率的にニードル24を回転させることができる。
【実施例2】
【0072】
続いて本発明の実施例2に係る制御装置(以下、制御装置60aと称する)について説明する。本実施例に係る説明において、他の実施例に係る部材と同じ部材には同じ符号を付すことで、重複する説明を省略する(この重複説明の省略は、実施例2以降の実施例についても同様である)。
【0073】
制御装置60aの制御部は、旋回溝31におけるデポジット100の存在の検出を禁止する所定の条件(以下、禁止条件と称する)が満たされた場合、ニードル24のリフト量を旋回燃料が凸部33に当接しないリフト量に制御する制御処理(以下、第1制御処理と称する)を実行し、禁止条件が満たされない場合、ニードル24のリフト量を旋回燃料が凸部33に当接するリフト量に制御する制御処理(以下、第2制御処理と称する)を実行する点において、実施例1に係る制御装置60の制御部と異なっている。制御装置60aが適用される燃料噴射装置20および内燃機関10の構成は実施例1と同様である。
【0074】
図6(a)は第1制御処理が実行された状態を示す模式図であり、図6(b)は第2制御処理が実行された状態を示す模式図である。第1制御処理において制御装置60aの制御部は、凸部33が旋回溝31の基端側の端部よりもさらに基端側に位置するようにニードル24のリフト量を制御することで、旋回燃料が凸部33に当接しないようにしている。第1制御処理が実行された場合、ニードル24は回転しなくなる。その結果、旋回溝31におけるデポジット100の存在の検出は行われなくなる。
【0075】
第2制御処理において制御部は、凸部33が旋回溝31の先端側の端部と基端側の端部との間の範囲に位置するようにニードル24のリフト量を制御することで、旋回燃料が凸部33に当接するようにしている。第2制御処理が実行された場合、ニードル24は回転する。その結果、旋回溝31におけるデポジット100の検出を行うことが可能となる。
【0076】
第1制御処理が実行されることで、旋回溝31におけるデポジット100の検出は行われないが、旋回燃料が凸部33に当接しないため、凸部33が旋回燃料の流動抵抗となることを抑制することができる。
【0077】
本実施例においては、禁止条件として燃料噴射量が所定値(以下、この所定値を第1所定値と称する)以下である場合を用いる。すなわち本実施例において禁止条件が満たされた場合は、燃料噴射量が第1所定値以下の場合である。この場合、制御部は、燃料噴射量が第1所定値以下の場合に第1制御処理を実行し、燃料噴射量が第1所定値以下でない場合に第2制御処理を実行する。第1所定値としては、特に限定されないが、例えば、燃料噴射量が第1所定値以下の場合に旋回燃料が凸部33に当接した場合に旋回燃料の流速が低下してしまい、燃料の微細化を図ることが困難になると考えられる値を用いることができる。
【0078】
図7は、制御装置60aの制御部が第1制御処理および第2制御処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。制御部は、図7のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。まず、制御部は、禁止条件を満たすか否かを判定する(ステップS20)。本実施例において制御部は、燃料噴射量が第1所定値以下であるか否かを判定することで、禁止条件を満たすか否か判定する。制御部による燃料噴射量の具体的な取得手法は、特に限定されるものではない。燃料噴射量は、内燃機関10の負荷、外部燃料通路45の燃料供給量、外部燃料通路45における燃料の圧力等と相関を有することから、制御部は内燃機関10の負荷、外部燃料通路45の燃料供給量、外部燃料通路45における燃料の圧力等に基づいて燃料噴射量を取得することができる。
【0079】
本実施例に係る制御部は、一例として内燃機関10の負荷に基づいて燃料噴射量を取得する。この場合、記憶部は燃料噴射量を内燃機関10の負荷に関連付けて規定したマップを記憶しておく。また記憶部は第1所定値も記憶しておく。制御部はアクセルポジションセンサ73の検出結果に基づいて内燃機関10の負荷を取得し、取得された負荷に対応する燃料噴射量をマップから抽出することで、燃料噴射量を取得する。制御部は取得された燃料噴射量と第1所定値とを比較することで、ステップS20を実行する。
【0080】
ステップS20において燃料噴射量が第1所定値以下であると判定されることで禁止条件を満たすと判定された場合、制御部は第1制御処理を実行する(ステップS21)。次いで制御部はフローチャートの実行を終了する。ステップS20において燃料噴射量が第1所定値以下であると判定されなかったことで禁止条件を満たすと判定されなかった場合、制御部は第2制御処理を実行する(ステップS22)。次いで制御部はフローチャートの実行を終了する。
【0081】
制御装置60aの検出部は、制御部がステップS22において第2制御処理を実行した後において、実施例1に係る検出処理を実行する。具体的には検出部は、ステップS22において第2制御処理が実行された後において、図4のフローチャートを実行する。それにより、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができる。また旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合、制御装置60aの制御部は、実施例1に係る圧力上昇処理を実行する。
【0082】
以上のように本実施例に係る制御装置60aによれば、禁止条件が満たされた場合に第1制御処理が実行されることから、禁止条件が満たされた場合に旋回燃料を凸部33に当接させないようにすることができる。その結果、凸部33が旋回燃料の流動抵抗となることを抑制することができる。また、禁止条件が満たされない場合には第2制御処理が実行されることから、旋回燃料を凸部33に当接させてニードル24を回転させることができる。この場合、検出部は旋回溝31におけるデポジットの存在を検出することができる。
【0083】
ここで、仮に燃料噴射量が比較的少ない場合に検出部によるデポジット100の存在の検出を行うために旋回燃料を凸部33に当接させた場合、凸部33が旋回燃料の流動抵抗となる結果、旋回燃料の流速が減少して、燃料の微細化が不十分になるおそれがある。したがって燃料噴射量が比較的少ない場合には、検出部によるデポジット100の存在の検出を禁止することが好ましいと考えられる。これに対して制御装置60aによれば、禁止条件が満たされた場合として燃料噴射量が第1所定値以下の場合が用いられていることから、燃料噴射量が第1所定値以下の場合に旋回燃料を凸部33に当接させないようにすることができる。それにより、燃料噴射量が第1所定値以下の場合に凸部33が旋回燃料の流動抵抗となることを抑制できることから、燃料噴射量が第1所定値以下の場合であっても燃料の微細化を十分に図ることができる。
【0084】
なお本実施例において凸部33の数は1個であるが、これに限定されるものではない。凸部33は複数設けられていてもよい。また制御装置60aの制御部は、禁止条件が満たされた場合として、燃料噴射量が第1所定値以下の場合以外の条件を用いてもよい。例えば制御部は、禁止条件が満たされた場合として、燃料通路30の燃料の圧力が所定値以下となる場合を用いてもよい。
【実施例3】
【0085】
続いて本発明の実施例3に係る制御装置(以下、制御装置60bと称する)について説明する。図8(a)および図8(b)は、制御装置60bが適用さる燃料噴射弁22bを示す模式図である。燃料噴射弁22bは、ニードル24に代えてニードル24bを備えている点において、実施例1に係る燃料噴射弁22と異なっている。燃料噴射弁22bの他の構成は、実施例1に係る燃料噴射弁22と同様である。また制御装置60bが適用される内燃機関10の構成は、実施例1と同様である。
【0086】
図8(a)は、ニードル24bのリフト量が第1の値の場合の一例を示している。図8(b)は、ニードル24bのリフト量が、第1の値よりも大きい第2の値の場合の一例を示している。ニードル24bは、凸部33が複数設けられている点において、図2(a)に示すニードル24と異なっている。具体的には凸部33は、ニードル24bのリフト量が第1の値の場合よりも、第2の値(>第1の値)の場合の方が旋回燃料に当接しない凸部33の数が多くなるように、ニードル24bの外壁29に複数設けられている。より具体的にはニードル24bの凸部33は、隣接する凸部33との間に空間を有しながら、ニードル24bの軸線25の方向に並んで複数設けられている。なお、図8(a)において、隣接する凸部33のピッチ(間隔)はピッチwで図示され、隣接する旋回溝31のピッチはピッチWで図示されている。
【0087】
凸部33の数は2以上であれば特に限定されるものではない。本実施例においては、凸部33の数の一例として2を用いる。ニードル24bのリフト量が第1の値の場合、2つの凸部33は旋回溝31の先端側の端部と基端側の端部との間に位置している。その結果、ニードル24bのリフト量が第1の値の場合、旋回燃料は2つの凸部33に当接する。
【0088】
ニードル24bのリフト量が第2の値の場合、2つの凸部33のうち、先端側にある凸部33のみが旋回溝31の先端側の端部と基端側の端部との間に位置し、基端側にある凸部33は旋回溝31の基端側の端部よりもさらに基端側に位置している。その結果、ニードル24bのリフト量が第2の値の場合、旋回燃料は2つの凸部33のうち先端側にある凸部33のみに当接する。ニードル24bのリフト量が第1の値の場合に比較して第2の値の場合の方が旋回燃料が当接する凸部33の数が少ないことから、旋回燃料の流動抵抗を小さくすることができる。
【0089】
制御装置60bの制御部は、燃料噴射量に基づいて、ニードル24bのリフト量を第1の値に制御する制御処理(以下、第3制御処理と称する)と、ニードル24bのリフト量を第2の値に制御する制御処理(以下、第4制御処理と称する)と、を切り替えて実行する点において、実施例1に係る制御装置60の制御部と異なっている。
【0090】
具体的には制御部は、燃料噴射量が所定値以上の場合(以下、この所定値を第2所定値と称する)に第4制御処理を実行してニードル24bのリフト量を第2の値にし、燃料噴射量が第2所定値より小さい場合に第3制御処理を実行してニードル24bのリフト量を第1の値にする。第2所定値としては、ニードル24bのリフト量が第2の値であってもニードル24bが回転してデポジット100の存在の検出が可能な燃料噴射量の値であれば、特に限定されるものではない。
【0091】
図9は、制御装置60bの制御部が第3制御処理および第4制御処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。制御部は、図9のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。まず、制御部は、燃料噴射量が第2所定値以上であるか否かを判定する(ステップS30)。第2所定値は記憶部が記憶しておく。
【0092】
ステップS30において燃料噴射量が第2所定値以上であると判定された場合、制御部は第4制御処理を実行する(ステップS31)。次いで制御部はフローチャートの実行を終了する。ステップS30において燃料噴射量が第2所定値以上であると判定されなかった場合、制御部は第3制御処理を実行する(ステップS32)。次いで制御部はフローチャートの実行を終了する。
【0093】
なお、制御装置60bの検出部は、制御部がフローチャートの実行を終了した後、実施例1に係る検出処理を実行する。それにより、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができる。また旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合、制御装置60bの制御部は実施例1に係る圧力上昇処理を実行する。
【0094】
本実施例に係る制御装置60bによれば、制御装置60bが適用される燃料噴射弁22bにおいて凸部33がニードル24bに複数設けられていることから、凸部33がニードル24bに一つ設けられている場合に比較して、燃料噴射量が少ない場合であってもニードル24bを回転させて旋回溝31におけるデポジット100の検出を行うことができる。すなわち制御装置60bによれば、凸部33がニードル24bに一つ設けられている場合に比較して、旋回溝31におけるデポジット100の検出を行える燃料噴射量の範囲を広げることができる。
【0095】
また、凸部33をニードル24bに複数設けた場合、旋回燃料の流動抵抗となる凸部33の数も増えることになるが、制御装置60bによれば、燃料噴射量に基づいてニードル24bのリフト量が第2の値に制御されることから、燃料噴射量に応じて旋回燃料の流動抵抗となる凸部33の数を減少させることができる。その結果、旋回燃料の流速の減少を抑制して噴孔27から噴射される燃料の微細化を確保しつつ旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができる。
【0096】
なお図8(a)を参照して、凸部33のピッチwは、旋回溝31のピッチWと等しいことが好ましい。この場合、凸部33のピッチwが旋回溝31のピッチWと等しくない場合に比較して、旋回燃料を効率的に凸部33に当接させることができる。それにより、例えば燃料噴射量が少ない場合であっても、ニードル24bを効率的に回転させて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができる。
【0097】
また制御装置60bの制御部は、燃料噴射量に基づいて第4制御処理および第3制御処理を実行しているが、制御部が第4制御処理および第3制御処理を実行するか否かを判断するための指標は、燃料噴射量に限定されるものではない。制御部は、旋回燃料の流量と相関を有する指標(燃料噴射量、燃圧等)に基づいて第4制御処理および第3制御処理を実行すればよい。燃圧に基づいて第4制御処理および第3制御処理を実行する場合、制御部は、燃圧が所定値以上の場合に第4制御処理を実行し、燃圧が所定値より小さい場合に第3制御処理を実行すればよい。
【0098】
また制御装置60bの制御部は、本実施例に係る燃料噴射弁22bを用いて、さらに実施例2に係る第1制御処理および第2制御処理を実行してもよい。この場合、制御装置60bの制御部は、一例として、実施例2に係る図7のステップS20において禁止条件を満たすと判定された場合、ステップS21の第1制御処理を実行することで、ニードル24bのリフト量を旋回燃料が全ての凸部33に当接しないリフト量に制御する。また制御部は、ステップS20において禁止条件を満たすと判定されなかった場合、ステップS22の第2制御処理を実行することで、ニードル24のリフト量を旋回燃料が少なくとも一つの凸部33に当接するリフト量に制御する。この構成によれば、実施例2に係る制御装置60aの効果と同様の効果を得ることができる。
【0099】
また制御装置60bの制御部が本実施例に係る第3制御処理および第4制御処理に加えて実施例2に係る第1制御処理および第2制御処理を実行する場合、本実施例に係る図9のステップS30の判定処理で用いられる第2所定値として、実施例2に係るステップS20の判定処理で用いられる第1所定値よりも大きい値を用いることが好ましい。またこの場合、制御装置60bは、実施例2に係る第2制御処理において、本実施例に係る第3制御処理または第4制御処理を実行してもよい。
【0100】
具体的にはこの場合、制御装置60bは、燃料噴射量が第1所定値以下か否かを判定することで禁止条件を満たすか否かを判定し(図7のステップS20)、禁止条件を満たすと判定された場合、第1制御処理を実行することでニードル24bのリフト量を旋回燃料が全ての凸部33に当接しないリフト量に制御し(ステップS21)、禁止条件を満たすと判定されなかった場合、燃料噴射量が第1所定値よりも大きい第2所定値以上であるか否かを判定し(図9のステップS30)、燃料噴射量が第2所定値以上であると判定された場合、第4制御処理を実行し(ステップS31)、燃料噴射量が第2所定値以上であると判定されなかった場合(この場合、燃料噴射量は第1所定値より大きく第2所定値より小さい値である)、第3制御処理(ステップS32)を実行する。
【実施例4】
【0101】
続いて本発明の実施例4に係る制御装置(以下、制御装置60cと称する)について説明する。図10は、制御装置60cおよび制御装置60cが適用される燃料噴射装置20cを説明するための図である。燃料噴射装置20cは、アクチュエータ37をさらに備えている点において、実施例1に係る燃料噴射装置20と異なっている。制御装置60cの制御部は、アクチュエータ37を制御する制御処理(以下、アクチュエータ制御処理と称する)をさらに実行する点において、実施例1に係る制御装置60の制御部と異なっている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0102】
アクチュエータ37は、旋回燃料が凸部33に当接した際のニードル24の回転方向と同じ方向(本実施例では、ニードル24の先端側からみて時計方向)に、ニードル24を回転させる装置である。すなわち、アクチュエータ37は、制御装置60cの制御部の指示を受けてニードル24を強制的に回転させる強制回転手段としての機能を有している。アクチュエータ37として、例えば電動モータを用いることができる。この場合、電動モータの出力軸は、プランジャ36(図2(d))のニードル24とは反対側の端部に、直接的または接続部材を介して間接的に接続されている。
【0103】
制御装置60cの検出部は、実施例1に係る検出処理によって旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。制御装置60cの制御部は、制御装置60cの検出部による旋回溝31におけるデポジット100の存在の検出結果に基づいて、アクチュエータ制御処理を実行する。具体的には制御部は、検出部による検出処理によって旋回溝31にデポジット100が存在していることが検出された場合、アクチュエータ37が始動するようにアクチュエータ37を制御する。
【0104】
この場合、ニードル24には、旋回燃料が凸部33に当接することによる回転力に加えて、アクチュエータ37による回転力も加わる。その結果、ニードル24の回転速度を増大させることができる。ニードル24の回転速度が増大すると、凸部33の回転速度も増大する。その結果、回転する凸部33によって旋回燃料の流速を効果的に増大させることができる。それにより、旋回溝31のデポジット100を旋回燃料によって効果的に除去することができる。
【0105】
一方、制御装置60cの制御部は、検出部による検出処理によって旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出されなかった場合、アクチュエータ37が停止するようにアクチュエータ37を制御する。なお、この場合であっても、ニードル24は、旋回燃料が凸部33に当接することによる回転力によって回転することができる。
【0106】
図11は、制御装置60cのフローチャートの一例を示す図である。制御装置60cは、図11のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。まず、制御装置60cの検出部は、実施例1に係る検出処理を実行することで、旋回溝31にデポジット100が有るか否かを判定する(ステップS40)。具体的には検出部は、ステップS40において、ソレノイド21が発生した逆起電力の値が基準値よりも小さいか否かを判定し、ソレノイド21が発生した逆起電力の値が基準値よりも小さいと判定された場合、旋回溝31にデポジット100が有ると判定する。
【0107】
ステップS40において旋回溝31にデポジット100が有ると判定された場合、制御部はアクチュエータ37を始動させる(ステップS41)。次いで制御装置60cはフローチャートの実行を終了する。ステップS40において旋回溝31にデポジット100が有ると判定されなかった場合、制御部はアクチュエータ37を停止させる(ステップS42)。次いで制御装置60cはフローチャートの実行を終了する。
【0108】
本実施例に係る制御装置60cによれば、旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合にアクチュエータ37を始動させてニードル24の回転速度を増大させることができる。それにより、凸部33の回転速度を増大させて、旋回燃料の流速を増大させることができることから、旋回溝31のデポジット100を旋回燃料によって効果的に除去することができる。それにより、噴孔27から噴射される燃料の微細化を促進することができる。
【0109】
なお制御装置60cの制御部は、実施例2に係る制御処理(第1制御処理および第2制御処理)をさらに実行してもよい。また制御装置60cの制御部は、実施例3に係る燃料噴射弁22bを用いて、実施例3に係る制御処理(第3制御処理および第4制御処理)をさらに実行してもよい。また旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合、制御装置60cの制御部は、さらに実施例1に係る圧力上昇処理を実行してもよい。この場合、噴孔27から噴射される燃料の微細化をさらに促進することができる。
【0110】
(変形例1)
なお本実施例において制御装置60cの検出部は、ソレノイド21が発生した起電力に代えて、アクチュエータ37に通電される電流(以下、通電電流と称する。)を用いて、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出してもよい。以下、本変形例に係るデポジット100の存在の検出手法について説明する。
【0111】
まず本変形例に係る制御装置60cの制御部は、旋回溝31におけるデポジット100の有無にかかわらず、アクチュエータ37を所定の回転速度で回転させる。それにより、ニードル24も所定の回転速度で回転する。ここで、旋回溝31にデポジット100が存在する場合、旋回溝31にデポジット100が存在しない場合に比較して、旋回燃料の流速が低減することから、ニードル24の回転数を所定の回転数に制御するのに必要なアクチュエータ37への通電電流の値は増加する。このように、アクチュエータ37への通電電流の値は、旋回溝31におけるデポジットの存在量と相関を有している。したがって、アクチュエータ37への通電電流に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができる。
【0112】
そこで本変形例に係る制御装置60cの検出部は、アクチュエータ37への通電電流に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。この場合、内燃機関システム5は、アクチュエータ37の通電電流を検出する電流センサを備えている。制御装置60cの検出部は、電流センサの検出結果に基づいてアクチュエータ37の通電電流を取得し、取得された通電電流の値が基準値以上であるか否かを判定し、通電電流の値が基準値以上であると判定した場合、旋回溝31にデポジット100が存在していると判定することで、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。
【0113】
ここで、ソレノイド21の逆起電力に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する手法の場合、仮に逆起電力の変化を判断する際のベース電圧(例えば図3(b)の電圧Va)にノイズが発生した場合には、逆起電力の変化を高い精度で検出することが困難となるおそれがある。特にベース電圧の値が高い場合には、ノイズが発生し易くなるため、逆起電力の変化を高い精度で検出することが困難になるおそれが高くなる。その結果、旋回溝31におけるデポジット100の存在の検出漏れが生じるおそれが生じる。
【0114】
これに対して本変形例に係る制御装置60cによれば、ソレノイド21の逆起電力に基づくことなく旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができる。それにより、旋回溝31におけるデポジット100の存在を高精度で検出することが容易になる。その結果、旋回溝31におけるデポジット100の存在の検出漏れを抑制することができる。
【0115】
なお本変形例に係る制御装置60cの検出部は、本変形例に係るアクチュエータ37への通電電流に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する検出処理と実施例1に係るソレノイド21の逆起電力に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する検出処理とを両方とも実施してもよい。この場合、旋回溝31におけるデポジット100の存在の検出漏れをより抑制することができる。
【0116】
(変形例2)
実施例4において制御装置60cの制御部は、旋回溝31におけるデポジット100の有無に関わらず、燃料噴射中においてアクチュエータ37を常時駆動させていてもよい。この場合、旋回溝31におけるデポジット100の有無に関わらず旋回燃料の流速を増大させることができる。その結果、燃料の微細化を促進させることができる。また、旋回溝31にデポジット100が存在する場合には、旋回燃料によってデポジット100を効果的に除去することができる。
【0117】
(変形例3)
実施例4において制御装置60cの制御部は、所定の条件が満たされた場合、ニードル24を上下方向にリフト移動させながら、アクチュエータ37を駆動させてもよい。この場合、凸部33は軸線25方向に上下動しながら軸線25の周りを回転することになる。その結果、旋回溝31におけるデポジット100を広範囲に亘って除去することが容易になる。なお、所定の条件は特に限定されるものではないが、一例として、旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合(例えば図11のステップS40で肯定判定された場合)を用いることができる。あるいは所定の条件として、燃料噴射量が所定量よりも低い場合や、アクチュエータ37への通電電流量が所定値よりも低い場合等を用いてもよい。
【実施例5】
【0118】
続いて本発明の実施例5に係る制御装置(以下、制御装置60dと称する)について説明する。制御装置60dは、検出部による検出処理の内容が実施例1に係る検出処理と異なっている。具体的には制御装置60dの検出部は、ソレノイド21が発生した逆起電力が基準値よりも小さいか否かに基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することに代えて、電圧ディップ110の発生周波数に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する点において、実施例1に係る検出部と異なっている。なお、制御装置60dが適用される燃料噴射装置20および内燃機関10の構成は実施例1と同様である。
【0119】
制御装置60dの検出部による検出処理のメカ二ズムを説明する。まず、旋回溝31にデポジット100が存在していない場合、実施例1の図3(b)において前述したような電圧ディップ110が発生する。この電圧ディップ110は、旋回溝31にデポジット100が存在しない状況下において、旋回燃料の流速および旋回溝31のピッチが一定の場合、一定の周期で発生する。そこで、制御装置60dは、図3(b)に示すような、旋回溝31にデポジット100が存在しない場合における電圧ディップ110の発生周波数を基準周波数として記憶部に記憶しておく。
【0120】
図12(a)は、旋回溝31にデポジット100が存在している状態を示す模式図である。図12(a)においてデポジット100は、旋回溝31に偏在している。図12(b)は、図12(a)のようにデポジット100が旋回溝31に偏在するように発生した場合における電圧センサ70の検出結果と時間との関係を示す図である。図12(b)を図3(b)と比較すると分るように、デポジット100が旋回溝31に偏在する場合、電圧ディップ110の発生周波数は、デポジット100が旋回溝31に存在しない場合に対して変化している。これは、旋回溝31に偏在したデポジット100の影響を受けて旋回燃料の流速が一様でなくなることに起因するものと考えられる。
【0121】
このように電圧ディップ110の発生周波数の変化は、旋回溝31におけるデポジット100の存在と相関を有している。具体的には電圧ディップ110の発生周波数の変化は、旋回溝31におけるデポジット100の偏在量と相関を有している。したがって、電圧ディップ110の発生周波数に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができるとともに、旋回溝31においてデポジット100が偏在して存在しているか否かも検出することができる。
【0122】
そこで、制御装置60dの検出部は、電圧ディップ110の発生周波数に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。具体的には検出部は、電圧センサ70の検出結果に基づいて電圧ディップ110の発生周波数を取得し、取得された発生周波数と記憶部に記憶された基準周波数とを比較し、この比較結果に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。
【0123】
より具体的には検出部は、電圧センサ70の検出結果に基づいて取得した電圧ディップ110の発生周波数が基準周波数よりも低いか否かを判定する。検出部は、電圧ディップ110の発生周波数が基準周波数よりも低いと判定された場合に旋回溝31にデポジット100が存在していると判定することで、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。
【0124】
図13は、制御装置60dの検出部が検出処理を実行する際のフローチャートの一例を示す図である。検出部は、図13のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。まず、検出部は、電圧センサ70の検出結果に基づいて取得した電圧ディップ110の発生周波数が基準周波数よりも低いか否かを判定する(ステップS50)。ステップS50において電圧ディップ110の発生周波数が基準周波数よりも低いと判定されなかった場合、検出部はフローチャートの実行を終了する。ステップS50において電圧ディップ110の発生周波数が基準周波数よりも低いと判定された場合、検出部は旋回溝31にデポジット100が存在していると判定する(ステップS51)。次いで制御装置60dはフローチャートの実行を終了する。なお制御装置60dは、本実施例に係るフローチャートの実行によって旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合、実施例1に係る圧力上昇処理を実行する。
【0125】
本実施例に係る制御装置60dによれば、電圧ディップ110の発生周波数に基づいて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出することができる。
【0126】
なお実施例2〜実施例4に係る制御装置の検出部は、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出するに当たり、実施例1に係る検出処理に代えて本実施例に係る検出処理を実行してもよい。また制御装置60dの検出部は、本実施例に係る検出処理と実施例1に係る検出処理の両方を実行してもよい。具体的には制御装置60dの検出部は、実施例1に係る図4のフローチャートおよび本実施例に係る図13のフローチャートの両方を実行してもよい。この場合、旋回溝31におけるデポジット100の存在をより高い精度で検出することができることから、デポジット100の検出漏れを抑制することができる。
【実施例6】
【0127】
続いて本発明の実施例6に係る制御装置(以下、制御装置60eと称する)について説明する。制御装置60eは、検出部による検出処理の内容が実施例1に係る検出処理と異なっている。具体的には制御装置60eの検出部は、ソレノイド21が発生した逆起電力が基準値よりも小さいか否かに基づいてデポジット100の存在を検出する際の基準値(例えば図4のステップS10の基準値)を、燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に応じて変更する点において、実施例1に係る制御装置60の検出部と異なっている。なお、制御装置60eが適用される燃料噴射装置20および内燃機関10の構成は実施例1と同様である。
【0128】
図14(a)〜図14(f)は、制御装置60eの検出部による検出処理を説明するための図である。図14(a)〜図14(c)には、燃料噴射時におけるニードル24の最大リフト量を変化させたときの燃料噴射弁22が図示されている。なお、図14(a)〜図14(c)においてデポジット100は存在していない。燃料噴射弁22のニードル24のリフト量は、図14(a)、図14(b)および図14(c)の順に大きくなっている。図14(d)は、ニードル24のリフト量が図14(a)の場合における電圧センサ70の検出結果と時間との関係を示す図であり、図14(e)は、ニードル24のリフト量が図14(b)の場合における電圧センサ70の検出結果と時間との関係を示す図であり、図14(f)は、ニードル24のリフト量が図14(c)の場合における電圧センサ70の検出結果と時間との関係を示す図である。図14(d)〜図14(f)において電圧Vaの値は、ニードル24のリフト量に応じて上昇している。
【0129】
ニードル24のリフト量が変化すると、旋回溝31に対する凸部33の相対位置も変化する。したがって、ニードル24が発生する逆起電力は、燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に応じて変化する。具体的には図14(d)〜図14(f)において、電圧ディップ110の値が燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に応じて大きくなっている。したがって、ソレノイド21が発生した逆起電力が基準値よりも小さいか否かに基づいてデポジット100の存在を検出する際の基準値(電圧ディップ110の値)は、燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に応じて適切に変更されることが好ましいといえる。
【0130】
そこで、制御装置60eの検出部は、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する際の判定処理に用いられる基準値を燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に応じて変更し、変更された基準値を用いてソレノイド21が発生した逆起電力が基準値よりも小さいか否かを判定する。具体的には制御装置60eの記憶部は、複数の基準値を燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に関連づけて規定したマップを記憶しておく。制御装置60eの検出部は、ニードル24の燃料噴射時におけるリフト量に対応した基準値をマップから抽出し、抽出された基準値を用いて図4のステップS10の判定処理を実行する。
【0131】
本実施例に係る制御装置60eによれば、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する際に用いられる判定処理の基準値を燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に応じて変更していることから、燃料噴射時におけるニードル24のリフト量に応じて適切な基準値を選択することができる。それにより、旋回溝31におけるデポジット100の存在をより高い精度で検出することができる。
【0132】
なお本実施例においても、制御装置60eの制御部は、旋回溝31におけるデポジット100の存在が検出された場合、実施例1に係る圧力上昇処理を実行する。それにより、旋回溝31にデポジット100が存在する場合であっても、噴孔27から噴射される燃料の微細化を適切に図ることができる。
【0133】
なお実施例2〜実施例4に係る制御装置の検出部は、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出するに当たり、実施例1に係る検出処理に代えて本実施例に係る検出処理を実行してもよい。
【0134】
また実施例1〜実施例6において、燃料噴射装置はニードル24を駆動するソレノイド21とは別に、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出するためのソレノイド(第2のソレノイド)を別途備えていてもよい。この第2のソレノイドの構成は、ニードル24の回転速度に応じて起電力を発生できるものであれば、特に限定されない。この場合、制御装置は、ソレノイド21に代えて第2のソレノイドを用いて、旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する。但し実施例1〜実施例6のようにニードル24を駆動するソレノイド21を用いて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する方が、第2のソレノイドを用いて旋回溝31におけるデポジット100の存在を検出する場合に比較して、第2のソレノイドが不要になる分、燃料噴射装置の構成をコンパクトにすることができる点で好ましい。
【0135】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
5 内燃機関システム
10 内燃機関
20 燃料噴射装置
21 ソレノイド
22 燃料噴射弁
23 ノズルボディ
24 ニードル
27 噴孔
30 燃料通路
31 旋回溝
33 凸部
37 アクチュエータ
50 ポンプ
60 制御装置
70 電圧センサ
71 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に燃料を噴射する噴孔を有するノズルボディの前記噴孔に前記燃料を導く燃料通路が、前記ノズルボディと前記ノズルボディの内部に配置されて燃料噴射時にリフトすることで前記燃料通路の前記燃料の前記噴孔への到達を可能にするニードルとによって区画され、前記燃料通路の前記燃料を前記ニードルの周りに旋回させる旋回溝が前記ノズルボディに設けられた燃料噴射装置の前記旋回溝におけるデポジットの存在を検出する検出部を備え、
前記ニードルの前記燃料通路に対向する部分には凸部が設けられ、前記ニードルは前記旋回溝によって旋回させられた前記燃料である旋回燃料が前記凸部に当接した際に前記凸部が前記旋回燃料から受ける力によって回転できるように軸支され、前記燃料噴射装置は前記ニードルの回転速度に応じて起電力を発生するソレノイドを備え、
前記検出部は、前記ソレノイドが発生した前記起電力に基づいて前記デポジットの存在を検出することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記検出部による前記デポジットの存在の検出を禁止する所定の条件が満たされた場合、前記ニードルのリフト量を前記旋回燃料が前記凸部に当接しないリフト量に制御し、前記所定の条件が満たされない場合、前記ニードルのリフト量を前記旋回燃料が前記凸部に当接するリフト量に制御する制御部を備える請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記所定の条件が満たされた場合は、前記噴孔から噴射される前記燃料の噴射量が所定値以下の場合である請求項2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記ニードルのリフト量が第1の値の場合よりも、前記第1の値よりも大きい第2の値の場合の方が前記旋回燃料に当接しない前記凸部の数が多くなるように、前記ニードルに複数設けられており、
前記噴孔から噴射される前記燃料の噴射量に基づいて前記ニードルのリフト量を前記第2の値に制御する制御部を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記燃料噴射装置は、前記旋回燃料が前記凸部に当接した際の前記ニードルの回転方向と同じ方向に前記ニードルを回転させるアクチュエータをさらに備え、
前記検出部による前記デポジットの存在の検出結果に基づいて前記アクチュエータを始動させる制御部を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記検出部によって前記デポジットの存在が検出された場合に、前記デポジットの存在が検出される前に比較して前記燃料通路の前記燃料の圧力が上昇するように前記燃料通路の前記燃料の圧力を制御する制御部を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−60832(P2013−60832A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198505(P2011−198505)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】