説明

内燃機関の吸気制御装置

【課題】吸気通路に設けた吸気流制御系に異常が発生した場合でも、吸気流を制御して内燃機関の安定駆動させることができる吸気制御装置を提供する。
【解決手段】吸気通路7内のスロットルバルブ8より下流に、吸気流ARを制御するための吸気流制御系20、25が配備してある内燃機関1の吸気制御装置であって、前記吸気流制御系に異常が発生した場合に、前記スロットルバルブ8を制御して吸気量を制限する制御手段30を備えている。制御手段30が吸気流制御系に異常が発生した場合に吸気量を制限するので燃焼室内に過度に強い吸気流が発生することを予防して、内燃機関を安定駆動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気通路内を流れる吸気流を制御する吸気制御装置に関し、特に吸気流を制御するための構成に異常が発生した場合のフェールセーフ機能を備えた吸気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃焼室へ吸気を供給する吸気通路内に、タンブル流(縦渦流)やスワール流(横渦流)などを形成する吸気流制御弁を配置して、吸気流を制御する吸気制御装置が従来から複数提案されている。燃焼室で適度なタンブル流やスワール流を形成することにより内燃機関の燃焼効率や出力の向上を図ることができる。
【0003】
しかし、吸気流制御弁に故障が発生してしまった様な場合には、設計したように吸気流を制御できなくなり燃焼効率や出力が悪化してしまう。そこで、例えば特許文献1は吸気流制御弁(吸気バルブ)の開異常を確認して対処するようにした内燃機関の吸気制御装置を提案している。この吸気制御装置は、吸気流制御弁の開度を検出する開度センサを備えており、閉止制御要求時に開故障が検出された場合には吸気量を増量する方向へ制御することで燃焼の安定化を図るようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−322934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の吸気制御装置は吸気流制御弁が開側で固着したときの故障を主に想定しており、吸気を増量されることで故障に対する適切な対処(フェールセーフ)を実現しようとしている。すなわち、特許文献1は特に吸気流制御弁が開固着した場合の対策を提案するものであるから、このような対処でよい。
【0006】
しかしながら、吸気流制御弁は閉側で固着する場合もある。このような場合に高負荷運転の要求に応じてスロットルバルブが開かれて吸気量が増加されると燃焼室内に形成されるタンブル流などの渦流が強くなり過ぎてしまう。その結果、燃焼状態が悪化してノッキングなどが発生する場合がある。また、この悪化に伴って排気ガスの温度が上昇して排気通路に配備した触媒まで劣化させてしまう場合もある。
【0007】
また、吸気流制御弁の開度を検出する開度センサが故障してしまう場合もある。この場合には吸気流制御弁の開度を検出できず、内燃機関の状態に応じて吸気流制御弁を制御することが困難となる。更には、吸気流制御弁及びその開度センサが同時に故障する2重の異常状態になる可能性も否定できない。
【0008】
以上の指摘からも明らかなように、吸気流の制御が困難となる異常事態には種々の形態があるが、従来にあっては、これらに適切に対処するフェールセーフ制御について十分な検討がなされていないのが実情である。
【0009】
従って、本発明の目的は、吸気通路に設けた吸気流制御系に異常が発生した場合でも、吸気流を制御して内燃機関の安定駆動させることができる吸気制御装置を提供することである。
なお、前述から明らかなように、吸気流制御弁及びその開度を検出する弁開度検出手段のいずれが故障した場合でも、吸気流の制御に影響がある。そこで、本明細書ではこれらを含む概念を吸気流制御系と称し、この吸気流制御系に係る故障に対処する発明を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、吸気通路内のスロットルバルブより下流に、吸気流を制御するための吸気流制御系が配備してある内燃機関の吸気制御装置であって、前記吸気流制御系に異常が発生した場合に、前記スロットルバルブを制御して吸気量を制限する制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置によって達成できる。
【0011】
本発明によると、制御手段が吸気流制御系に異常が発生した場合にスロットルバルブを制御して吸気量を制限するので、内燃機関の燃焼室内に過度に強い吸気流が発生することを予防して、内燃機関を安定駆動させることができる。
【0012】
そして、前記吸気流制御系には吸気流制御弁及び当該吸気流制御弁の開度を検出する弁開度検出手段が含まれ、前記制御手段は、前記弁開度検出手段により前記吸気流制御弁が閉状態で故障していることを確認した場合に、前記スロットルバルブの開度を所定値以下に制限する開度制限制御を実行するようにしてもよい。
【0013】
また、前記吸気流制御系には吸気流制御弁及び当該吸気流制御弁の開度を検出する弁開度検出手段が含まれ、前記制御手段は、前記弁開度検出手段が故障した場合に、前記スロットルバルブの開度を所定値以下に制限する開度制限制御を実行するようにしてもよい。ここで前記制御手段は、前記吸気流制御弁を開く開制御を実行した後に、前記スロットルバルブへの開度制限制御を実行するのがより好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、吸気通路に設けた吸気流制御系に異常が発生した場合でも、吸気流を制御して内燃機関の安定駆動させることができる吸気制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る内燃機関の吸気制御装置について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置が適用されている内燃機関について示した概略ブロック図である。内燃機関1は、シリンダブロック2内にピストン3が往復移動可能に配置されている。ピストン3の上部に形成される燃焼室4の内部で燃料(例えばガソリン)および空気の混合気を燃焼させてピストン3を往復移動させることにより動力を発生させる。なお、図1には1気筒のみが示されるが、内燃機関1は多気筒エンジンとして構成されるのが好ましく、本実施形態の内燃機関1は、例えば4気筒エンジンとして形成される。
【0017】
各燃焼室4はシリンダヘッド5に形成した各吸気ポート6を介して、吸気通路7に接続されている。この吸気通路7には上流側から図示しないエアクリーナ、電子式のスロットルバルブ8及びサージタンク9などが配置してある。そして、サージタンク9より下流の吸気通路7は分枝されたインテークマニホールドに対応しており、インジェクタ10が各吸気ポート6内に臨むように配設されてガソリン等の燃料を噴射する。また、内燃機関1のシリンダヘッド5には、吸気ポートを開閉する吸気弁11が燃焼室4ごとに配設されている。更に、内燃機関1は、気筒数に応じた数の点火プラグ12を備えている。
【0018】
燃焼室4内で発生する排気ガスを排出する側について説明する。シリンダヘッド5に形成した排気ポート13は排気マニホールドを含む排気通路14に接続されている。排気ポート13には開閉する排気弁15が燃焼室4ごとに配設されている。そして、排気通路14の下流側には例えば三元触媒を含む排気浄化装置16が配置してあり、排気ガスを浄化してから機外へ排出するようになっている。
【0019】
そして、この内燃機関1は、サージタンク9とインジェクタ10との間に吸気流制御弁としてタンブル流制御弁20が配置されている。このようにタンブル流制御弁20を更に配備しておくと、必要に応じて各燃焼室4内にタンブル流(縦渦流)を形成して出力や燃費の向上を図ることができる。ここで例示的に示しているタンブル流制御弁20は、板状の弁体21が支軸22を中心に回動するように形成してある。支軸22にはアクチュエータとしてモータ23が配置されており、モータ23によって弁体21の開度が変更される。図1では、弁体21が吸気通路7内を塞ぐように立ち上がったときの様子を示している。このように弁体21が立ち上り、流路を絞る(流路面積を小さくする)形態を閉状態と称する。このような閉状態のときには、片側の内壁(図1の場合は上壁)に吸気流ARが偏倚されて流される。これにより燃焼室4内にタンブル流を形成できる。なお、弁体21を立上りの姿勢とし、吸気流ARを最も絞った状態を「全閉状態」と称する。すなわち、全閉状態は吸気通路7内の吸気流を塞ぐ状態でなく、通路面積を最も絞って最も強いタンブル流を形成させるときのタンブル流制御弁の状態である。
【0020】
そして、タンブル流制御弁20には弁開度検出手段として弁開度センサ25が設けられている。弁開度センサ25は弁体21の開度位置を検出する。なお、前述したスロットルバルブ8にも開度を検出するスロットル開度センサ27が配備してある。上記2つの開度センサ25、27の出力は、以下で説明するECUに供給されている。
【0021】
内燃機関1は、制御装置として全体的に駆動する電子制御装置30(Electronic Control Unit、以下、ECU30と称する)を備えている。ECU30は、何れも図示されないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート等を含むものである。このECU30には、ここでは図示しない各種のセンサ並びに、上記弁開度センサ25及びスロットル開度センサ27が接続されている。ECU30は、センサの出力に基づいて、前述したインジェクタ10、吸気弁11、点火プラグ12及び排気弁15などの駆動を全体的に制御して、内燃機関1の安定駆動を図る。そして、本実施例におけるECU30は、内燃機関の運転状態に応じてタンブル流制御弁20の開度を変更して燃焼室4内での燃焼を促進する。その際に、ECU30は弁開度センサ25からの出力を確認して、タンブル流制御弁20の開度が内燃機関の運転状態に対応するように変更する。
【0022】
上記のようにタンブル流制御弁20は、吸気通路7の吸気流ARを規制して燃焼室4内に所望のタンブル流を形成させる。そして、弁開度センサ25は弁体21の開度を一定の精度を持って検出する。よって、ECU30が内燃機関の運転に応じて適切な吸気流制御を実行できる。弁開度センサ25が故障した場合には、適切な吸気流制御を行うことが困難である。更に、タンブル流制御弁20も同時に故障していることまで想定して、フェールセーフ制御を実行することがより好ましい。
【0023】
本実施例のECU30は制御手段として機能して、上記フェールセーフ制御を実行する。ECU30は、弁開度センサ25が故障した場合に、タンブル流制御弁20も含んだ吸気流制御系の故障であった場合にも対処できるような吸気制御を実行して、内燃機関を安全に駆動制御する。実施例の場合には、上記ECU30は弁開度センサ25が故障したときに、スロットルバルブ8の開度を制限する制御(開度制限制御)を実行して吸気量が所定値以下となるように制限する。この点についてより詳細に説明する。
【0024】
従来にあっては、前述した特許文献1のように、タンブル流制御弁などが故障した場合には、上流側のスロットルバルブを開側に制御して吸気流量を確保する技術を提案するものがある。しかし、図1で示した構造で、仮に弁開度センサ25が故障したとすると、タンブル流制御弁20の開度を確認できない。また、弁開度センサ25と共にタンブル流制御弁20が故障する2重異常の状態も考えられる。
【0025】
そして、タンブル流制御弁20が故障する形態には、弁体21が吸気通路7内の流路を絞る状態(閉状態)で固着する場合もある。特に流路を最も絞った全閉状態で固着して、故障した場合に上流側のスロットルバルブ8を大きく開くと、多量の吸気流によって形成された強いタンブル流が燃焼室4内に発生する。このような状態が燃焼室内に形成されてしまうとノッキングが発生し、より深刻な場合には失火してしまう可能性がある。更に、このような状態になると排気ガス温が上昇して排気浄化装置16内の触媒も劣化させてしまうことがある。
【0026】
そこで、本実施例1のECU30は開度センサ25の異常を確認した場合に、スロットルバルブ8の開度を一定値以下に制限することとし、これにより仮にタンブル流制御弁20が全閉状態で固着していた場合でも内燃機関及びその周辺に深刻なダメージが発生しないようフェールセーフ制御する。ECU30が実行するフェールセーフの制御内容を詳細に説明する。
【0027】
図2は、実施例1に係る吸気制御装置のECU30が、弁開度センサの異常を確認したときに実行するルーチンの一例を示したフローチャートである。ECU30は、例えば内燃機関1のイグニッションがオンされたときに、このルーチンによる処理を開始してタンブル流制御弁20の開度を検出する弁開度センサ25が故障(フェール)していないか否かを確認する(S101)。このステップS101で弁開度センサ25の故障が確認されない場合には、ECU30は内燃機関1を通常の通りに制御して監視を繰返す。
【0028】
一方、上記ステップS101で弁開度センサ25に故障が確認された場合、ECU30はタンブル流制御弁20へ開要求の出力信号を供給する。弁開度センサ25が故障したので、タンブル流制御弁20の開度状態を確認できなくなってはいるが、ECU30は先ずタンブル流制御弁20のモータ23に開駆動の信号を供給して弁体21を開くようにしている(S102)。弁開度センサ25だけが故障して、タンブル流制御弁20が正常であった場合には吸気通路7内の流路を大きく確保されることになる。これにより、前述したように強いタンブル流が燃焼室内に形成されてノッキングなどが発生する事態が発生するのを予防できる。
【0029】
ここで、仮にタンブル流制御弁20側も故障して弁体21が固着していたような場合に、モータ23へ通常の出力要求を出し続けると焼付きなどの原因となる。そこで、ECU30は低デューティに切り替えてモータ23への開制御要求を継続するようにしている(S103)。例えば、ECU30は通常よりも制御信号の間隔を長くして、或いはモータ23へ供給する駆動電力を通常より低減することで、開度要求を継続してもモータ23が破損することがないようにゆっくりと作動させる。このステップS103を組込むことで、タンブル流制御弁20の固着していた弁体21が回動を開始することも期待できる。なお、ECU30によるモータ23の保護に係るプログラムやこれに関連するデータはROM内に予め格納されており、適宜に読み出しできるように設定されている。
【0030】
上記のように弁開度センサ25の故障を確認したときに、ECU30は先ずステップS102、S103のフェール制御を実行するので、タンブル流制御弁20が駆動可能な場合には吸気通路7内の流路を広く確保できる。しかし、タンブル流制御弁20の弁体21が全閉状態で固着していた場合には上記テップS102、S103による効果は期待でいない。そして、ここでスロットルバルブ8を高負荷運転要求などに応じて大きく開いてしまうと、強いタンブル流が燃焼室に発生して前述したような不都合を招来する。
【0031】
そこで、ECU30は上記ステップS102、S103による処理を第1のフェールセーフ処理として、更にステップS104以降で第2のフェールセーフ処理を実行する。ECU30は、スロットル開度センサ27の出力を確認してスロットルバルブ8の目標スロットル開度を予め定めた所定開度α1に制限することで、吸気通路7内を流れる吸気流量を制限する。所定開度α1は、例えば内燃機関が高負荷運転されたときのスロットル開度値を基準とし、これよりも小さい値に設定する。所定開度α1を上記のように設定することで、燃焼室に過度に強いタンブル流が発生することを予防できる。
【0032】
上記のようにECU30は、ステップS102、S103の後、更に内燃機関の運転状態によって定まる目標スロットル開度が所定開度α1以上であるか否かを確認する(S104)。目標スロットル開度が所定開度α1を超える場合には、燃焼室4内に強いタンブル流が形成されて、上記問題が発生する可能性がある。そこで、ECU30は目標スロットル開度を新たに所定開度α1としてスロットルバルブ8が開き過ぎないように制御して(S105)、このルーチンによる処理を継続する。
【0033】
以上のように、本実施例の吸気制御装置を適用した内燃機関1は、開度センサ25の故障が発生しても、ECU30がタンブル流制御弁20の故障をも想定してフェールセーフ制御を実行する。よって、本実施例の吸気制御装置を適用した内燃機関1は安定に駆動させることができる。
【0034】
なお、図2はより好ましいECU30によるフェールセーフ制御のフローチャートを例示している。すなわち、先ずステップS102、S103でタンブル流制御弁20を開く開制御(第1のフェールセーフ制御)を実行し、その後にスロットルバルブ8の開度制御(第2のフェールセーフ制御)を実行しているが、後半のスロットルバルブ8の開度制御だけを実行するようにしもよい。
【0035】
(変形例)
図を参照して上記実施例1に係る変形例を更に説明する。この変形例の吸気制御装置は、図1で示した実施例1の装置とハード構成は同様であり、ECUによって実行されるフェールセーフ制御の内容が図2で示したものと一部異なるだけである。よって、ここでの変形例の説明は、図1で示す符号を流用することで重複する説明を省くこととし、また、フェールセーフ制御の異なる部分を中心にして説明する。
【0036】
図3は、実施例1の変形例に係る吸気制御装置のECU30が弁開度センサの異常を確認したときに実行するルーチンの一例を示したフローチャートである。図3で示すフローチャートでは、ステップS204でECU30が内燃機関1の運転状態に応じて上限となるスロットルバルブの開度α2を算出する点が実施例1と異なっている。図2で示す実施例1のフローチャートでは、所定開度α1は予め定めた一定値であったので、内燃機関1の運転状態が変化しても異常事態とならないように余裕を持ってα1を設定する必要がある。これに対してこの変形例では、例えば内燃機関の回転数NEに応じた所定開度値として上限のスロットル開度α2を算出している。このようにすれば内燃機関の状態に応じてより適切な上限値を設定して、内燃機関の安定駆動を図ることができる。なお、ECU30のROMには例えば図4で示すような内燃機関の回転数NEとスロットルバルブの上限開度α2との所定の関係をまとめデータを予め記憶して、回転数NEに応じた上限開度α2を算出できるようにしておけばよい。
【0037】
上記変形例の吸気制御装置を適用した内燃機関1の場合も、開度センサ25の故障が発生しても、ECU30がタンブル流制御弁20の故障をも想定してフェールセーフ制御を実行する。よって、本実施例の吸気制御装置を適用した内燃機関1が安定に駆動させることができる。特に、この変形例の場合は上限とするスロットルバルブの所定開度α2が内燃機関の運転状態に応じて設定されるので故障が発生してもより効率良く内燃機関の駆動を維持できる。なお、上記変形例では、内燃機関の回転数NEに基づいてロットルバルブの上限開度α2を算出するようにしているがこれに限らない。例えば、アクセルペダルの開度に基づいて上限開度α2を算出するようにしてもよい。
【実施例2】
【0038】
上述した実施例1及び変形例は、吸気流制御系で特に弁開度センサ25が故障した場合に、更にタンブル流制御弁20の故障も考慮して、ECUがフェールセーフ制御を実行するものであった。以下で示す実施例2は、弁開度センサの正常とタンブル流制御弁の閉異常(閉状態で固着)を確認したときのフェールセーフ制御に係るものである。
【0039】
この実施例2の吸気制御装置の場合も、図1で示した実施例1の装置とハード構成は同様であり、ECUによって実行されるフェールセーフ制御の内容が図2で示したものと一部異なるだけである。よって、上記変形例に係る説明の場合と同様に、図1で示す符号を流用することで重複する説明を省くこととし、また、フェールセーフ制御の異なる部分を中心にして説明する。
【0040】
図5は、実施例2に係る吸気制御装置のECU30が、弁開度センサの正常とタンブル流制御弁の閉異常を確認したときに実行するルーチンの一例を示したフローチャートである。
【0041】
図5のフローチャートでは、弁開度センサ25に故障(フェール)がなく正常であると判断された場合(S301)、更にECU30はタンブル流制御弁20が閉異常(閉側に固着した状態で故障)しているか否かを確認する(S307)。このステップS307で、タンブル流制御弁20も正常である場合、ECU30は内燃機関の駆動を通常の通りに制御して監視を繰返す。
【0042】
一方、ECU30はタンブル流制御弁20に閉異常があることを確認すると(S307)、内燃機関の状態に応じてスロットル開度の所定開度α2を算出して、スロットルバルブの開度を一定に制限する。以下における制御は、変形例の場合と同様である。このようなフェールセーフ制御によって、タンブル流制御弁20が閉固着で故障が発生したときに、燃焼室内に過度に強いタンブル流が発生するのを予防して内燃機関の安定駆動を図ることができる。なお、図5はステップS307以外の処理は、図3の変形例の場合と同様であり内燃機関の状態に応じて所定開度α2を算出してスロットルバルブの開度を制限しているが、図2で示すフローチャートと同様に予め設定した所定開度α1を用いて開度制限してもよい。
【0043】
上述した実施例は、吸気通路に配備する吸気流制御弁として縦渦流を形成するタンブル流制御弁を採用した場合について説明しているが、横渦流を形成するスワール流制御弁の場合も同様である。
【0044】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1に係る吸気制御装置が適用されている内燃機関について示した概略ブロック図である。
【図2】実施例1に係る吸気制御装置のECUが、弁開度センサの異常を確認したときに実行するルーチンの一例を示したフローチャートである。
【図3】実施例1の変形例に係る吸気制御装置のECUが弁開度センサの異常を確認したときに実行するルーチンの一例を示したフローチャートである。
【図4】内燃機関の回転数とスロットルバルブの上限開度との関係を例示している図である。
【図5】実施例2に係る吸気制御装置のECUが弁開度センサの正常とタンブル流制御弁の閉異常を確認したときに実行するルーチンの一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 内燃機関
4 燃焼室
6 吸気ポート
7 吸気通路
8 スロットルバルブ
13 排気ポート
14 排気通路
16 排気浄化装置
20 タンブル流制御弁(吸気流制御系)
21 弁体
25 弁開度センサ(弁開度検出手段)
30 ECU(制御手段)
AR 吸気流
α1、α2 スロットルバルブの開度の所定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路内のスロットルバルブより下流に、吸気流を制御するための吸気流制御系が配備してある内燃機関の吸気制御装置であって、
前記吸気流制御系に異常が発生した場合に、前記スロットルバルブを制御して吸気量を制限する制御手段を備えている、ことを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項2】
前記吸気流制御系には吸気流制御弁及び当該吸気流制御弁の開度を検出する弁開度検出手段が含まれ、
前記制御手段は、前記弁開度検出手段により前記吸気流制御弁が閉状態で故障していることを確認した場合に、前記スロットルバルブの開度を所定値以下に制限する開度制限制御を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
【請求項3】
前記吸気流制御系には吸気流制御弁及び当該吸気流制御弁の開度を検出する弁開度検出手段が含まれ、
前記制御手段は、前記弁開度検出手段が故障した場合に、前記スロットルバルブの開度を所定値以下に制限する開度制限制御を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記吸気流制御弁を開く開制御を実行した後に、前記スロットルバルブへの開度制限制御を実行する、ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の吸気制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−144634(P2008−144634A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330966(P2006−330966)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】