説明

内燃機関の状態監視方法及び装置

【課題】 吸気弁の吹抜け及び/または排気弁の吹抜けの識別及び/またはシリンダにカーボンが付着していることの識別が可能な内燃機関の状態監視方法を提供する。
【解決手段】 シリンダ1乃至16の爆発のタイミングにおける観測信号波形と、爆発のタイミングにおける基準信号波形との対比に基づいてシリンダの吸気弁SVの状態を監視する。爆発のタイミング、排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミングにおける観測信号波形と、各タイミングにおける基準信号波形との対比に基づいて排気弁DVの状態を監視する。シリンダの爆発のタイミングにおける観測信号波形とシリンダの爆発のタイミングにおける基準信号波形とを対比してシリンダのカーボン付着状態を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、複数台のシリンダの吸気弁及び/または排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の内燃機関の吸・排気弁吹抜けに関する状態監視の方法では、主に排気ガス温度の状態(上昇傾向)の監視や、シリンダ内の爆発圧力計測などにより状態の監視が行われている。
【0003】
従来の内燃機関の状態監視方法のうち、排気ガス温度の状態を監視する方法では、排気ガス温度が相当高い場合、具体的には、対象シリンダの通常時または他のシリンダの排気温度平均値に比べて、排気ガス温度との間に顕著な差がある場合に、内燃機関の状態変化を捉えている。しかしながら吸・排気弁吹抜け異常については、欠損部(吹抜け部)の面積がかなり大きく、内燃機関を継続して運転することが困難なほどに損傷の程度が進んでいることが多い。また、複数のシリンダから故障シリンダの識別、吸気弁吹抜けと排気弁吹抜けの識別は大変困難である。
【0004】
またシリンダ内の爆発圧力計測を用いた方法においては、個別シリンダ内の圧力を直接計測するため、故障シリンダの識別は可能であるものの、センサの耐久性に課題があり、実用性に欠ける。また、吸気弁吹抜けと排気弁吹抜けの識別は不可能である。
【0005】
また従来の方法では、異常発生を初期の段階で検知することが困難であり、故障シリンダ、故障形態の識別が難しいという課題があった。また、内燃機関にセンサを直接接触させる方法では、状態監視システムの耐久性に課題があった。
【0006】
これに対して、発明者等が先に提案した「動作部の異常診断方法及び圧縮機のバルブ異常診断方法」(特開2002−041143号公報:特許文献1)では、内燃機関から発生する音響信号に基づいて、内燃機関の異常状態を検知することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−041143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
内燃機関は、機関を構成する要素の数が極めて多く、故障形態も多種多様であり、その中で比較的トラブル頻度が高い吸気弁・排気弁の吹抜けについては、実用的な状態監視法方法が期待されている。しかしながら特許文献1に記載の方法では、吸気弁の吹抜け(破損による気体の漏れの発生)と排気弁の吹抜けの識別は困難である。また従来は、シリンダにカーボンが付着していることを識別することも困難であった。
【0009】
本発明の目的は、吸気弁の吹抜け及び/または排気弁の吹抜けの識別及び/またはシリンダにカーボンが付着していることの識別が可能な内燃機関の状態監視方法及び装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、内燃機関に非接触で計測可能な音響センサを用いて、機器運転中の音響計測により得られた音響信号に基づいて、燃焼関連部位の状態を監視し、吸・排気弁吹抜け異常の発生を従来方法よりも早期に検出し、且つ故障シリンダの識別や吸・排気弁吹抜けの識別が可能な方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視方法を対象とする。本発明の方法では、内燃機関が正常なときに、非接触の音響センサを用いて取得した音響信号を第1乃至第3のフィルタを用いてフィルタ処理する。第1のフィルタは、吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持っており、第1のフィルタからは音響信号をフィルタ処理して第1の基準信号を取得する。第2のフィルタは、排気弁において異常が発生したときに排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持っており、第2のフィルタからは音響信号をフィルタ処理して第2の基準信号を取得する。第3のフィルタは、シリンダにおいてカーボン付着の異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持っており、第3のフィルタからは音響信号をフィルタ処理して第3の基準信号を取得する。
【0012】
次ぎに、監視時において、非接触の音響センサを用いて得た内燃機関が発生する音響信号を第1のフィルタを用いてフィルタ処理して第1の観測信号を取得し、音響信号を第2のフィルタによりフィルタ処理して第2の観測信号を取得し、音響信号を第3のフィルタによりフィルタ処理して第3の観測信号を取得する。
【0013】
そして複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第1の観測信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、第1の基準信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して複数のシリンダの吸気弁の状態を監視する。また複数のシリンダのそれぞれの排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第2の観測信号に含まれる複数のシリンダの排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形と、第2の基準信号に含まれる複数のシリンダの排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミング複数の基準信号波形とを対比して複数のシリンダの排気弁の状態を監視する。さらに複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第3の観測信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、第3の基準信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して複数のシリンダのカーボン付着状態を監視する。
【0014】
発明者は、吸気弁の吹抜けが、状態監視対象のシリンダの燃焼(爆発)のタイミングにおいて音響波形が変化する(音圧レベルが増大するなど)音響パターンとして現れること、排気弁の吹抜けが、状態監視対象のシリンダの排気弁が閉まるタイミングと吸気弁が閉まるタイミングとにおいて音響波形が変化する(音圧レベルが増大するなど)音響パターンとして現れること、及びシリンダにおけるカーボンの付着が状態監視対象のシリンダの燃焼(爆発)のタイミングにおいて音響波形が変化する(音圧レベルが増大するなど)音響パターンとして現れることを見出した。なお排気弁の吹抜けにおいては、最終的には爆発のタイミングにおいても音響波形が変化する。すなわち発明者は、各シリンダの吸気弁及び/または排気弁における状態を監視する場合に、吸気弁及び/または排気弁から発生する音響信号のうち、特定の作動タイミングで発生する音響信号の変化に着目することにより、吸気弁及び/または排気弁において、吹抜けが発生していること及びシリンダにカーボンが付着していることが分かることを発見した。そこで本発明においては、吸気弁については爆発のタイミングにおける第1の観測信号中に含まれる観測信号波形の基準信号波形に対する変化に基づいて吸気弁の状態を判断する。また排気弁については、排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミングにおける第2の観測信号に含まれる観測信号波形の基準信号波形に対する変化が大きくなると排気弁に吹抜けが発生する可能性が高くなっている(予兆が発生している)ものと判断する。そして、排気弁については、爆発のタイミング、排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミングにおける第2の観測信号に含まれる観測信号波形の基準信号波形に対する変化がすべて大きくなると、排気弁に完全に吹抜けが発生しているものと判断する。さらにシリンダについては、爆発のタイミングにおける第3の観測信号中に含まれる観測信号波形の基準信号波形に対する変化に基づいてシリンダへのカーボンの付着状態を判断する。この判断方法に従うと、シリンダを特定した上で、従来の方法と比べて、異常(吹き抜け)の発生の予兆を検出して、早期に異常(吹き抜け)の発生を診断することができ、またシリンダへのカーボンの付着の有無を診断することができる。
【0015】
なお観測信号波形(音響信号)の変化は、音響波形のピーク値や平均値、波形密度など、基準音響波形に対する違いとして現れる。よってこれらの少なくとも一つの変化に着目して、吸気弁及び排気弁の吹抜け並びにシリンダへのカーボン付着の有無を判断することができる。
【0016】
なお本発明では、吸気弁及び排気弁の状態を同時または連続して判断してもよいが、それぞれの状態を個別に判断してもよいのは勿論である。
【0017】
また複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、排気弁が閉まるタイミング、吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第1の観測信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、第1の基準信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比してシリンダの吸気弁の状態を監視してもよい。さらに複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、排気弁が閉まるタイミング、吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第2の観測信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンに対する、第2の基準信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比してシリンダの排気弁の状態を監視してもよい。このような変化パターンに基づく判断手法を採用すると、各シリンダの動作状態を監視しながら、各シリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視することができる。
【0018】
なお変化パターンに基づいて監視する場合には、第1の観測信号に含まれる爆発のタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じ、第1の観測信号に含まれる排気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形及び吸気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じていない変化パターンが発生しているときに、該当するシリンダの吸気弁に吹抜けが発生しているものと判断すればよい。また第2の観測信号に含まれる爆発のタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じておらず、第2の観測信号に含まれる排気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形及び吸気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じている変化パターンが発生しているときに、該当するシリンダの排気弁に吹抜けが発生する可能性が高まっている(予兆が発生している)ものと判断すればよい。さらに第2の観測信号に含まれる爆発のタイミングに対応する観測信号波形、排気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形及び吸気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形の全てに大きな変化が生じている変化パターンが発生しているときに、該当するシリンダの排気弁に吹抜けが発生しているものと判断すればよい。さらに複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第3の観測信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミング、排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、第3の基準信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミング、排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して複数のシリンダのカーボン付着状態を監視する。そして第3の観測信号に含まれる爆発のタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じ、第3の観測信号に含まれる排気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形及び吸気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じていない変化パターンが発生しているときに、シリンダの内部にカーボン付着が発生しているものと判断すればよい。
【0019】
各シリンダの動作タイミングは、どのように決定してもよい。例えば、複数のシリンダの一つの爆発のタイミングを定めるパルサ信号(点火信号の発生に関係する信号)に基づいて、すべてのシリンダの爆発のタイミング、排気弁が閉まるタイミング、吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報を得るようにしてもよい。
【0020】
なお本発明では、吸気弁における吹抜けの発生の監視、排気弁における吹抜けの発生の監視及びシリンダにおけるカーボンの付着の監視をそれぞれ個別に行ってもよいのは勿論である。
【0021】
本発明は、複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視装置としても把握できる。本発明の内燃機関の状態監視装置は、内燃機関から音響信号を取得する非接触の音響センサと、吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持った第1のフィルタと、排気弁において異常が発生したときに排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持った第2のフィルタと、シリンダにおいてカーボン付着の異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持った第3のフィルタと、記憶装置と監視部とを有する。記憶装置は、内燃機関が正常なときに非接触の音響センサを用いて得た音響信号を第1乃至第3のフィルタでそれぞれフィルタ処理して得た第1乃至第3の基準信号を記憶し、監視時において、非接触の音響センサを用いて得た内燃機関が発生する音響信号を第1乃至第3のフィルタによりそれぞれフィルタ処理して得た第1乃至第3の観測信号を取得して記憶する。監視部は、記憶装置に記憶された第1乃至第3の基準信号と第1乃至第3の観測信号に基づいて複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する。そして本発明では、監視部が、複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第1の観測信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、第1の基準信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して複数のシリンダの吸気弁の状態を監視し、複数のシリンダのそれぞれの排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第2の観測信号に含まれる複数のシリンダの排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形と、第2の基準信号に含まれる複数のシリンダの排気弁が閉まるタイミング及び吸気弁が閉まるタイミング複数の基準信号波形とを対比して複数のシリンダの排気弁の状態を監視し、複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第3の観測信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、第3の基準信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して複数のシリンダのカーボン付着状態を監視するように構成されている。
【0022】
なお本発明では、吸気弁における吹抜けの発生の監視、排気弁における吹抜けの発生の監視及びシリンダにおけるカーボンの付着の監視をそれぞれ個別に行うように内燃機関の状態監視装置を構成してもよいのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の方法の実施の形態の一例を実施するために用いる本発明の内燃機関の状態監視装置の構成を概略的に示した図である。
【図2】同時に3つのシリンダの3個の吸気弁と3個の排気弁から発生する音を集音した音響信号をフーリエ変換して周波数軸上のパワースペクトル(音圧スペクトル)として示した図である。
【図3】(A)は動作タイミングを示す図であり、(B)乃至(E)はそれぞれ診断方法を説明するために用いる波形図である。
【図4】内燃機関の作動タイミングと、シリンダにおける動作状態の関係を示す図である。
【図5】(A)は動作タイミングを示す図であり、(B)乃至(D)はそれぞれ診断方法を説明するために用いる波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して本発明の内燃機関の状態監視方法の一実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の方法の実施の形態の一例を実施するために用いる本発明の内燃機関の状態監視装置の実施の形態の構成を概略的に示した図である。本実施の形態では、発電機を駆動するための16気筒の内燃機関のシリンダ1乃至16の吸気弁SV及び排気弁DVの異常を、音響信号を用いて診断する。シリンダ1乃至3が位置する内燃機関の部分から発生する音を音響信号に変換する音響センサAとしてマイクロフォンを用いる。本実施の形態では、6の音響センサを用いて16気筒のシリンダ1乃至16から音響信号を取得している。音響センサAは、3台のシリンダ1乃至3の吸気弁SV及び排気弁DVが位置する内任機関の部分から発生する音響信号を収集できる位置に、機関とは非接触状態で配置される。なお音響センサAは、他のシリンダから発生する音も収集することになる。
【0025】
またこの例では、内燃機関の作動タイミング(爆発のタイミング、吸気弁が閉じるタイミング、排気弁が閉じるタイミング等)を測定するために、内燃機関によって回転駆動される回転子に対して設けたパルサ(回転検出器)の出力を利用する。パルサ(回転検出器)は、回転子の回転位置に基づいて、シリンダ1乃至16の一つのシリンダにおける上死点でパルス信号を出力する。その他のシリンダの上死点位置は、パルサの出力に基づいて計算により求められる。そして作動タイミング検出部OTDは、パルサの出力に基づいて、すべてのシリンダ1乃至16の爆発のタイミング、吸気弁が閉じるタイミング、排気弁が閉じるタイミング等のタイミングを決定する。音響センサAの出力は、作動タイミング検出部OTDによって検出された作動タイミングの情報と一緒にレコーダRに記録される。音響センサ及びレコーダRは、可搬式のものであれば、作業員が測定現場まで持参する。なおこのレコーダRは、アナログまたはデジタルのいずれにより、データを記録してもよい。データ分析部DAは、診断の対象とするデータ(音響信号データと動作タイミング・データ)を分析して取得する。
【0026】
フィルタ装置は第1のフィルタF1と、第2のフィルタF2と第3のフィルタF3とを備えている。第1のフィルタF1は、吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持っており、第1のフィルタF1からは音響信号をフィルタ処理して第1の基準信号を取得する。中心周波数は、内燃機関の種類によって異なるが、例えば3〜7kHzの周波数を用いることができる。また第2のフィルタF2は、排気弁において異常が発生したときに排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持っており、第2のフィルタF2からは音響信号をフィルタ処理して第2の基準信号を取得する。中心周波数は、内燃機関の種類によって異なるが、例えば23〜27kHzの周波数を用いることができる。フィルタ装置Fは、データ分析部DAが選択した音響信号をそれぞれフィルタ処理して出力する。図2は例えば、シリンダ3乃至5が位置する部分に対して音響センサ(マイクロフォン)を設置して同時に3つのシリンダの3個の吸気弁SVと3個の排気弁DVから発生する音を含む音響信号をフーリエ変換して周波数軸上のパワースペクトル(音圧スペクトル)として示した図の一例である。この図の縦軸は音圧である。第3のフィルタF3は、シリンダにおいてカーボン付着の異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持っており、第3のフィルタF3からは音響信号をフィルタ処理して第3の基準信号を取得する。中心周波数は、内燃機関の種類によって異なるが、例えば23〜27kHzの周波数を用いることができる。
【0027】
また図3(A)は、内燃機関の作動タイミングを示す図である。図3(A)において、例えば「燃4」の文字は、「シリンダ4の爆発のタイミング」を示し、「排9」は「シリンダ9の排気弁が閉じるタイミング」を示しており、「吸6」は「シリンダ6の吸気弁が閉じるタイミング」を示している。また図3(A)の0Vラインを基準に並ぶパルス信号は、前述のパルサの信号の例を示している。
【0028】
図3(B)は、内燃機関が正常なときに非接触の音響センサにより取得した監視対象シリンダ3乃至5廻りからの音響信号を第1のフィルタF1によりフィルタ処理して得た、第1の基準信号である。第1の基準信号には、吸気弁の状況の情報が含まれる。図3(B)に見られるように、正常時には、爆発のタイミングP1、排気弁が閉じるタイミングP2及び吸気弁が閉じるタイミングP3のいずれにおいても、フィルタ処理された第1の基準信号中には大きな変化はない。また図3(D)は、内燃機関が正常なときに非接触の音響センサにより取得した監視対象シリンダ3乃至5廻りからの音響信号を第2のフィルタF2を用いてフィルタ処理して得た第2の基準信号である。第2の基準信号には、排気弁の状況の情報が含まれる。図3(D)に見られるように、正常時には、爆発のタイミングP1、排気弁が閉じるタイミングP2及び吸気弁が閉じるタイミングP3のいずれにおいても、フィルタ処理された第2の基準信号中に明確な基準信号波形の存在が見られる。図3(C)は、監視のために非接触の音響センサにより取得した監視対象シリンダ3乃至5廻りからの音響信号を第1のフィルタF1によりフィルタ処理して得た第1の観測信号である。なおこの例では、シリンダ4の吸気弁SVに吹抜けが発生している場合を示している。また図3(E)は、監視のために非接触の音響センサにより取得した監視対象シリンダ3乃至5廻りからの音響信号を第2のフィルタF2を用いてフィルタ処理して得た、第2の観測信号である。なおこの例では、シリンダ4の排気弁DVに吹抜けが発生している場合を示している。図3(B)乃至(E)においては、それぞれ所定の周波数帯域成分をフィルタ処理により時間軸上の音響波形として顕在化している。
【0029】
また図5(A)は、内燃機関の作動タイミングを示す図であり、図5(A)における表示は図3(A)の表示と同じである。また図5(A)の0Vラインを基準に並ぶパルス信号は、前述のパルサの信号の例を示している。図5(B)は、内燃機関が正常なときに非接触の音響センサにより取得した監視対象シリンダ6廻りからの音響信号を第3のフィルタF3によりフィルタ処理して得た、第3の基準信号である。第3の基準信号には、シリンダ内へのカーボン付着の情報が含まれる。図5(B)に見られるように、正常時には、爆発のタイミング「燃6」において、フィルタ処理された第3の基準信号中に異常と思われるような大きな変化はない。また図5(C)は、図5(B)よりも約1年後に内燃機関が正常なときに非接触の音響センサにより取得した監視対象シリンダ6廻りからの音響信号を第3のフィルタF3を用いてフィルタ処理して得た第3の観測信号である。図5(C)と図5(B)とを比較してみると、両者の爆発のタイミングにおける観測信号波形に大きな相違はない。図5(D)は、さらに約1年後に監視のために非接触の音響センサにより取得した監視対象シリンダ6廻りからの音響信号を第3のフィルタF3によりフィルタ処理して得た第3の観測信号である。なおこの例では、シリンダ6にカーボンの付着が発生していた。図5(C)と図5(D)とを比較してみると、両者の爆発のタイミングにおける観測信号波形に大きな相違がある。すなわちシリンダ6にカーボンが付着している状態では、爆発のタイミングにおける観測信号波形は時間軸方向に波形の大きな広がりが見られる。図5(B)乃至(D)においては、それぞれ所定の周波数帯域成分をフィルタ処理により時間軸上の音響波形として顕在化している。
【0030】
第1乃至第3のフィルタF1乃至F3で使用するフィルタの帯域幅は、診断の対象となる弁の種類及び数に応じて異なってくる。このフィルタの帯域幅の設定については、帯域の変更が可能なフィルタ装置を用いて、適切に設定しておけばよい。
【0031】
第1のフィルタF1によってフィルタ処理された第1の基準信号Sr1は、記憶装置Mの第1の基準信号記憶部M1に記憶され、第1のフィルタF1によってフィルタ処理された第1の観測信号So1は、記憶装置Mの第1の観測信号記憶部M2に記憶される。また第2のフィルタによってフィルタ処理された第2の基準信号Sr2は、記憶装置Mの第2の基準信号記憶部M3に記憶され、第2のフィルタF2によってフィルタ処理された第2の観測信号So2は、記憶装置Mの第2の観測信号記憶部M4に記憶される。さらに第3のフィルタによってフィルタ処理された第3の基準信号Sr3は、記憶装置Mの第3の基準信号記憶部M5に記憶され、第3のフィルタF2によってフィルタ処理された第3の観測信号So3は、記憶装置Mの第3の観測信号記憶部M6に記憶される。
【0032】
監視部MTは、図3(A)に示されるような3つのシリンダ3乃至5のそれぞれの爆発のタイミング「燃3」「燃4」「燃5」についてのタイミング情報に基づいて、図3(C)に示す第1の観測信号So1に含まれる3つのシリンダ3乃至5の爆発のタイミングにおける3つの観測信号波形W13乃至W15と、第1の基準信号Sr1に含まれ3つのシリンダ3乃至5の爆発のタイミング「燃3」「燃4」「燃5」における3つ基準信号波形W3乃至W5との対比に基づいて複数のシリンダの吸気弁SVの状態を監視する。図3(B)と図3(C)とを対比すると、シリンダ4の爆発のタイミングにおいて、観測信号波形W14の振幅及び周期に大きな変化が現れている。これに対してシリンダ3及び5の爆発のタイミングにおいて、観測信号波形W13及びW15には、特に変化は現れていない。またシリンダ4の、排気弁DVが閉じるタイミング「排4」と吸気弁SVが閉じるタイミング「吸4」に対応する領域P2及びP3に現れる基準信号波形及び観測信号波形にも、変化は現れていない。このことからシリンダの吸気弁SVにおける異常の発生(吹抜け)は、複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第1の観測信号So1に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形(例えばW13〜W15)と、第1の基準信号Sr1に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形(例えばW3〜W5)とを対比することにより複数のシリンダの吸気弁の状態を診断することができることが判った。
【0033】
また監視部MTは、図3の波形の例で説明すると、図3(A)に示されるような3つのシリンダ3乃至5のそれぞれの爆発のタイミング「燃3」「燃4」「燃5」についてのタイミング情報に基づいて、図3(D)に示す第2の観測信号So2に含まれる3つのシリンダ3乃至5の爆発のタイミングにおける3つの観測信号波形W13乃至W15と、第1の基準信号Sr1に含まれ3つのシリンダ3乃至5の爆発のタイミング「燃3」「燃4」「燃5」における3つ基準信号波形W3′乃至W5′との対比に基づいて複数のシリンダの排気弁SVの状態を監視する。図3(D)と図3(E)とを対比すると、シリンダ4の爆発のタイミングにおいて、観測信号波形W14′と基準信号波形W4′の振幅及び周期には、殆ど変化が見られない。また図3(E)に示されるように、シリンダ4の排気弁SVが閉じるタイミング「排4」と吸気弁SVが閉じるタイミング「吸4」に対応する領域P2及びP3に現れる観測信号波形(W41′,W42′)には、図3(D)に示された第2の基準信号Sr2のシリンダ4の排気弁SVが閉じるタイミング「排4」と吸気弁SVが閉じるタイミング「吸4」に対応する領域P2及びP3に現れる基準信号波形(W41,W42)とを比べると、振幅及び周期に明確な変化が現れている。なおさらに吹き抜けが進行すると、爆発のタイミングにおける観測信号波形W14′にも基準信号波形W4′と比べて大きな変化が現れる。このことからシリンダの排気弁DVにおける異常の発生(吹抜け)の予兆として、複数のシリンダの爆発のタイミングと、複数のシリンダのそれぞれの排気弁DVが閉じるタイミングと、吸気弁SVが閉じるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第2の観測信号So2に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形(W14′等)、複数のシリンダの排気弁DVが閉じるタイミング及び吸気弁SVが閉じるタイミングにおける複数の観測信号波形(例えばW41′,W42′)と、第1の基準信号Sr1に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の基準信号波形(例えばW41,W42)との対比に基づいて、複数のシリンダの排気弁DVの状態を診断することができることが判った。
【0034】
なお、図3(E)において、第2の基準信号波形Sr2及び第2の観測信号波形So2には、排気弁DVが閉じるタイミング及び吸気弁SVが閉じるタイミング以外のその他のタイミングで比較的大きな波形が現れているが、これらは周囲の他の音源からのノイズ信号である。本実施の形態では、タイミング情報に基づいて波形の対比をするためのノイズ信号の影響を受けることはない。
【0035】
また監視部は、図5の波形の例で説明すると、複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第3の観測信号So3に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミング、排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、第3の基準信号Sr3に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミング、排気弁が閉じるタイミング及び吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して複数のシリンダのカーボン付着状態を監視する。
【0036】
上記の吹抜けが発生しているか否か、カーボンが付着しているか否かの判断基準を音響の変化パターンとして表現すると、下記の表1のとおりになる。
【表1】

【0037】
上記パターンを利用すると、複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、排気弁が閉まるタイミング、吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第1の観測信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の観測信号波形に対する、第1の基準信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンに基づいてシリンダの吸気弁の状態を監視することができる。また複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、排気弁が閉まるタイミング、吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第2の観測信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の観測信号波形に対する、第2の基準信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンに基づいてシリンダの排気弁の状態を監視することができる。また複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、第3の観測信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、第3の基準信号に含まれる複数のシリンダの各タイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して複数のシリンダのカーボン付着状態を監視することができる。
【0038】
このような変化パターンに基づく判断手法を採用すると、各シリンダの動作状態を監視しながら、各シリンダの吸気弁及び排気弁の状態と複数のシリンダのカーボン付着状態を監視することができる。
【0039】
なおこの変化パターンに基づいて監視する場合には、第1の観測信号に含まれる爆発のタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じ、第1の観測信号に含まれる排気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形及び吸気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じていない変化パターンが発生しているときに、シリンダの吸気弁に吹抜けが発生しているものと判断すればよい。また第2の観測信号に含まれる爆発のタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じておらず、第2の観測信号に含まれる排気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形及び吸気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じている変化パターンが発生しているときに、シリンダの排気弁に吹抜けが発生する可能性がある(予兆がある)とものと判断すればよい。そして第2の観測信号に含まれる爆発のタイミングに対応する観測信号波形、第2の観測信号に含まれる排気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形及び吸気弁が閉まるタイミングに対応する観測信号波形の全てに大きな変化が生じている変化パターンが発生しているときに、シリンダの排気弁に吹抜けが発生していると判断すればよい。さらに第3の観測信号に含まれる複数のシリンダの爆発のタイミングに対応する観測信号波形に大きな変化が生じている変化パターンが発生しているときに、シリンダにカーボンが付着している状態が発生していると判断すればよい。
【0040】
排気弁の損傷過程を音響の変化パターンにより状態監視するイメージを図4に示す。図4のイメージから、「吸・排気弁の強い着座」、「異物の食い込みによる弁座の欠損」、「吹抜け部より排気ガスの噴出」、「吹抜け部の拡大」を、観測信号波形の変化の程度から判定することができる。図4に示すように、本発明によれば、聴感による検知や、排気ガスの温度異常による検知と比べて、早期に異常の発生を検知することができる。
【0041】
本発明では、内燃機関運転中に計測した音響信号(音響時刻歴データ)について、内燃機関の作動工程(サイクル)の時間長さで切り出し、燃焼関連部位の作動タイミングとの関連付けを施した音響波形により、状態監視対象となるシリンダの状態を診断する。正常状態を示す基準信号の基準信号波形に対して計測された音響信号(観測信号)の波形(観測信号波形)を比較することにより、音響パターン(または音響波形)の違いから、吸・排気弁の吹抜けを診断することができる。
【0042】
上記実施の形態によれば、状態監視対象のシリンダの燃焼(爆発)のタイミング、排気弁が閉まるタイミング、吸気弁が閉まるタイミングにおける音響信号の変化(音響波形のピーク値や平均値、波形密度などの変化や基準音響波形に対する違い)に基づき、吸・排気弁の吹抜けを診断することができる。また本実施の形態によれば、シリンダにおけるカーボンの付着が状態監視対象のシリンダの燃焼(爆発)のタイミングにおいて音響波形が変化する(音圧レベルが増大するなど)音響パターンとして現れることに基づいて、シリンダへのカーボンの付着を診断することができる。特に、正常運転状態時の基準音響波形に対して状態監視時の音響波形を比較することにより、吸・排気弁吹抜けの初期状態より異常を検出するので、排気ガス温度の変化が従来の監理値(30℃程度)に至る以前の状態から異常を早期に検出することができる。また本実施の形態では、内燃機関に対して非接触の音響センサを用いるので、高温で且つ振動の大きい環境においても状態監視が可能である。また本実施の形態によれば、シリンダ内爆発圧力計測用のセンサと比較して、状態監視システムの耐久性や実用性を高めることができる。
【0043】
上記の実施の形態では、吸気弁における吹抜けの発生の監視、排気弁における吹抜けの発生の監視及びシリンダにおけるカーボンの付着の監視を同時に行っているが、吸気弁における吹抜けの発生の監視、排気弁における吹抜けの発生の監視及びシリンダにおけるカーボンの付着の監視をそれぞれ個別に行ってもよく、またこれらを個別に行うように内燃機関の状態監視装置を構成してもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、音響法を用いて内燃機関の状態監視をすることができ、音響信号の変化パターン(または音響波形)を用いて故障シリンダ及び故障形態の識別が可能になる。さらに従来と比べて、異常の発生を早期に検知することが可能になる。また本発明によれば、異常早期検知、故障シリンダ・故障形態の識別、状態監視システムの耐久性の観点において、従来方法に比べて優れており、内燃機関の設備管理の高度化を実現することができる。
【符号の説明】
【0045】
SV 吸気弁
DV 排気弁
1乃至14 シリンダ
A 音響センサ
R レコーダ
OTD 作動タイミング検出部
DA データ分析器
F フィルタ装置
M 記憶装置
MT 監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視方法であって、
非接触の音響センサを用いて、前記内燃機関が正常なときに前記音響信号を取得し、
前記吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持った第1のフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して第1の基準信号を取得し、
前記排気弁において異常が発生したときに前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持った第2のフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して第2の基準信号を取得し、
前記シリンダにおいてカーボン付着の異常が発生したときに前記爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持った第3のフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して第3の基準信号を取得し、
監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記第1のフィルタによりフィルタ処理して第1の観測信号を取得し、前記音響信号を前記第2のフィルタによりフィルタ処理して第2の観測信号を取得し、前記音響信号を前記第3のフィルタによりフィルタ処理して第3の観測信号を取得し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第1の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第1の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記吸気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第2の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第2の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミング複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記排気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第3の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第3の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記シリンダのカーボン付着状態を監視することを特徴とする内燃機関の状態監視方法。
【請求項2】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視方法であって、
非接触の音響センサを用いて、前記内燃機関が正常なときに前記音響信号を取得し、
前記吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持ったフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して基準信号を取得し、
監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記フィルタによりフィルタ処理して観測信号を取得し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記吸気弁の状態を監視することを特徴とする内燃機関の状態監視方法。
【請求項3】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視方法であって、
非接触の音響センサを用いて、前記内燃機関が正常なときに前記音響信号を取得し、
前記排気弁において異常が発生したときに前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持ったフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して基準信号を取得し、
監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記フィルタによりフィルタ処理して観測信号を取得し、
前記複数のシリンダのそれぞれの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記排気弁の状態を監視することを特徴とする内燃機関の状態監視方法。
【請求項4】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視方法であって、
非接触の音響センサを用いて、前記内燃機関が正常なときに前記音響信号を取得し、
前記シリンダにおいてカーボン付着異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持ったフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して基準信号を取得し、
監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記フィルタによりフィルタ処理して観測信号を取得し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記シリンダのカーボン付着状態を監視することを特徴とする内燃機関の状態監視方法。
【請求項5】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視方法であって、
非接触の音響センサを用いて、前記内燃機関が正常なときに前記音響信号を取得し、
前記吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持った第1のフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して第1の基準信号を取得し、
前記排気弁において異常が発生したときに前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持った第2のフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して第2の基準信号を取得し、
前記シリンダにおいてカーボン付着の異常が発生したときに前記爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる中心周波数を持った第3のフィルタで前記音響信号をフィルタ処理して第3の基準信号を取得し、
監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記第1のフィルタによりフィルタ処理して第1の観測信号を取得し、前記音響信号を前記第2のフィルタによりフィルタ処理して第2の観測信号を取得し、前記音響信号を前記第3のフィルタによりフィルタ処理して第3の観測信号を取得し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第1の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、前記第1の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して前記複数のシリンダの前記吸気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第2の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、前記第2の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミング複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して前記複数のシリンダの前記排気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第3の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、前記第3の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して前記複数のシリンダの前記シリンダのカーボン付着状態を監視することを特徴とする内燃機関の状態監視方法。
【請求項6】
前記第1の観測信号に含まれる前記爆発のタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じ、前記第1の観測信号に含まれる前記排気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形及び前記吸気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じていない前記変化パターンが発生しているときに、前記シリンダの前記吸気弁に吹抜けが発生しているものと判断し、
前記第2の観測信号に含まれる前記爆発のタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じておらず、前記第2の観測信号に含まれる前記排気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形及び前記吸気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じている前記変化パターンが発生しているときに、前記シリンダの前記排気弁に吹抜けが発生する可能性が高くなっているものと判断し、
前記第3の観測信号に含まれる前記爆発のタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じ、前記第3の観測信号に含まれる前記排気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形及び前記吸気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じていない前記変化パターンが発生しているときに、前記シリンダの前記シリンダにカーボン付着が発生しているものと判断することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の状態監視方法。
【請求項7】
前記複数のシリンダの一つの前記爆発のタイミングを定める信号に基づいて、すべてのシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉まるタイミング、前記吸気弁が閉まるタイミングについての前記タイミング情報を得る請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関の状態監視方法。
【請求項8】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視装置であって、
前記内燃機関から前記音響信号を取得する非接触の音響センサと、
前記吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持った第1のフィルタと、
前記排気弁において異常が発生したときに前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持った第2のフィルタと、
前記シリンダにおいてカーボン付着の異常が発生したときに前記爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持った第3のフィルタと、
前記内燃機関が正常なときに前記非接触の音響センサを用いて得た前記音響信号を前記第1乃至第3のフィルタでそれぞれフィルタ処理して得た前記第1乃至第3の基準信号を記憶し、監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記第1乃至第3のフィルタによりそれぞれフィルタ処理して得た第1乃至第3の観測信号を取得して記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記第1乃至第3の基準信号と前記第1乃至第3の観測信号に基づいて前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する監視部とを備え、
前記監視部が、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第1の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第1の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記吸気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第2の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第2の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミング複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記排気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第3の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第3の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記シリンダのカーボン付着状態を監視するように構成されていることを特徴とする内燃機関の状態監視装置。
【請求項9】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視装置であって、
前記内燃機関から前記音響信号を取得する非接触の音響センサと、
前記吸気弁において異常が発生したときに爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持ったフィルタと、
前記内燃機関が正常なときに前記非接触の音響センサを用いて得た前記音響信号を前記フィルタでフィルタ処理して得た前記基準信号を記憶し、監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記フィルタによりフィルタ処理して得た観測信号を取得して記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記基準信号と前記観測信号に基づいて前記複数のシリンダの吸気弁の状態を監視する監視部とを備え、
前記監視部が、前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記吸気弁の状態を監視するように構成されていることを特徴とする内燃機関の状態監視装置。
【請求項10】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視装置であって、
前記内燃機関から前記音響信号を取得する非接触の音響センサと、
前記排気弁において異常が発生したときに前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持ったフィルタと、
前記内燃機関が正常なときに前記非接触の音響センサを用いて得た前記音響信号を前記フィルタでフィルタ処理して得た前記基準信号を記憶し、監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記フィルタによりそれぞれフィルタ処理して得た観測信号を取得して記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記基準信号と前記観測信号に基づいて前記複数のシリンダの排気弁の状態を監視する監視部とを備え、
前記監視部が、前記複数のシリンダのそれぞれの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記第基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミング複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記排気弁の状態を監視するように構成されていることを特徴とする内燃機関の状態監視装置。
【請求項11】
複数のシリンダを有する内燃機関から発生する音響信号に基づいて、前記複数のシリンダの吸気弁及び排気弁の状態を監視する内燃機関の状態監視装置であって、
前記内燃機関から前記音響信号を取得する非接触の音響センサと、
前記シリンダにおいてカーボン付着の異常が発生したときに前記爆発のタイミングにおいて大きな信号の変化が現れる信号を取得できる中心周波数を持ったフィルタと、
前記内燃機関が正常なときに前記非接触の音響センサを用いて得た前記音響信号を前記フィルタでそれぞれフィルタ処理して得た前記基準信号を記憶し、監視時において、前記非接触の音響センサを用いて得た前記内燃機関が発生する音響信号を前記フィルタによりフィルタ処理して得た観測信号を取得して記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記基準信号と前記観測信号に基づいて前記複数のシリンダの排気弁の状態を監視する監視部とを備え、
前記監視部が、前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の観測信号波形と、前記基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミングにおける複数の基準信号波形とを対比して前記複数のシリンダの前記シリンダのカーボン付着状態を監視するように構成されていることを特徴とする内燃機関の状態監視装置。
【請求項12】
前記監視部は、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第1の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、前記第1の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して前記複数のシリンダの前記吸気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第2の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、前記第2の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉まるタイミング及び前記吸気弁が閉まるタイミング複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して前記複数のシリンダの前記排気弁の状態を監視し、
前記複数のシリンダのそれぞれの爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングについてのタイミング情報に基づいて、前記第3の観測信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の観測信号波形の変化パターンと、前記第3の基準信号に含まれる前記複数のシリンダの前記爆発のタイミング、前記排気弁が閉じるタイミング及び前記吸気弁が閉じるタイミングにおける複数の基準信号波形の変化パターンとを対比して前記複数のシリンダの前記シリンダのカーボン付着状態を監視するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の状態監視装置。
【請求項13】
前記監視部は、
前記第1の観測信号に含まれる前記爆発のタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じ、前記第1の観測信号に含まれる前記排気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形及び前記吸気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じていない前記変化パターンが発生しているときに、前記シリンダの前記吸気弁に吹抜けが発生しているものと判断し、
前記第2の観測信号に含まれる前記爆発のタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じておらず、前記第2の観測信号に含まれる前記排気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形及び前記吸気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じている前記変化パターンが発生しているときに、前記シリンダの前記排気弁に吹抜けが発生する可能性が高くなっているものと判断し、
前記第3の観測信号に含まれる前記爆発のタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じ、前記第3の観測信号に含まれる前記排気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形及び前記吸気弁が閉まるタイミングに対応する前記観測信号波形に大きな変化が生じていない前記変化パターンが発生しているときに、前記シリンダの前記シリンダにカーボン付着が発生しているものと判断することを特徴とする請求項12に記載の内燃機関の状態監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−256833(P2011−256833A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134192(P2010−134192)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】