説明

内燃機関の軸受構造

【課題】油がフレーム外に漏れ出ることを防止できて、かつ、部品点数も低減できる内燃機関の軸受構造を提供すること。
【解決手段】主軸受キャップ2とフレーム1とを固定するキャップ固定用ボルト5と、サイドボルト挿通穴30に貫通されると共に、主軸受キャップ2に螺合するサイドボルト6とを使用する。サイドボルト挿通穴30は、キャップ固定用ボルト5側に行くにしたがって内径が徐々に小さくなるテーパ穴52と、テーパ穴52の小径側に位置するシール用穴53と、シール用穴53より小径のサイドボルト用穴54とを有する。サイドボルト6は、テーパ穴52の小径側に位置する鍔部70と、鍔部70からキャップ固定用ボルト5側に行くにしたがって外径が徐々に小さくなる外周面部71とを有する。シール用穴53と、外周面部71との間にOリング90を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのクランクシャフト支持用の主軸受を支持するための内燃機関の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンのクランクシャフト支持用の主軸受を支持するための内燃機関の軸受構造としては、特開平8−121459号公報(特許文献1)に記載されているものがある。この軸受構造は、フレームと、主軸受キャップと、主軸受キャップボルトと、サイドボルトとを備え、上記主軸受キャップボルトは、エンジンの高さ方向に延在して、上記主軸受キャップと、上記フレームとを固定している。また、上記サイドボルトは、クランクシャフトの延在方向と、上記主軸受キャップボルトの延在方向との両方に略垂直な方向に延在する一方、上記フレームを貫通すると共に、上記軸受キャップに螺合している。
【0003】
上記従来の軸受構造は、主軸受キャップボルトがフレームに主軸受キャップを固定していて、かつ、サイドボルトが軸受キャップに螺合しているから、上記フレームに対する上記軸受キャップの相対移動を抑制できる。
【0004】
しかしながら、上記従来の軸受構造では、燃焼室内での爆発力およびそれに伴う大きな上下方向の圧力で、さらにミスト圧による影響で各部材の間に潤滑油が浸入して、サイドボルトを伝って潤滑油が外部に流出する場合があり、運転やメンテナンスに支障を来すうえ、潤滑油の浪費につながるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−121459号公報(第10図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5は、上記サイドボルトを伝って油が流出する現象を抑制できる参考例の内燃機関の軸受構造を示す図である。尚、図5においては、主軸受キャップボルトの図示を省略している。
【0007】
この軸受構造では、サイドボルト400は、サイドボルト400の主軸受キャップとは反対側の端部に雄ねじ401を有し、この雄ねじ401にナット405の雌ねじを螺合して、フレーム408と主軸受キャップとを強固に締め付けるようになっている。
【0008】
また、上記軸受構造は、キャップ420を有し、このキャップ420は、雌ねじと、環状のOリング嵌入溝425とを有し、上記雌ねじは、キャップ420の内周面に存在する一方、上記Oリング嵌入溝425は、キャップ420の開口側の端面に存在している。
【0009】
この軸受構造は、キャップ420の雌ねじを、サイドボルト400の雄ねじに螺合して、キャップ420をフレーム408の上記端面410側に締め込むようになっている。そして、上記Oリング嵌入溝425に嵌入しているOリングで、キャップ420の端面と、フレーム408の端面410との間をシールして、サイドボルト400からの油漏れを防止するようになっている。
【0010】
しかしながら、この軸受構造は、フレーム408から漏れた油をキャップ420内に収容するようにしただけであって、油漏れ対策としては、十分でない。また、キャップ420は、金属製のサイドボルト400の雄ねじに螺合させる必要性と、Oリングの締め付けを行う必要性から金属製であることが不可欠になって、部品点数が増加してコストアップにつながるという問題に加えて、質量が大きくなるという問題もある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、油がフレーム外に漏れ出ることを防止できて、かつ、部品点数も低減できる内燃機関の軸受構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明の内燃機関の軸受構造は、
クランクシャフトを支持する主軸受を、フレームと、主軸受キャップとによって支持し、上記主軸受キャップをフレームに固定する主軸受キャップボルトとサイドボルトとで固定した内燃機関の軸受構造において、
上記主軸受キャップは、
上記主軸受キャップボルトが挿通される主軸受キャップボルト挿通穴と、
上記主軸受キャップボルト挿通穴に直交する方向に延びるねじ穴と
を有し、
上記フレームは、
上記ボルト挿通穴に直交する方向に延びると共に、上記ねじ穴と連なるサイドボルト用穴と、
上記サイドボルト用穴に対して段部を形成して、上記サイドボルト用穴よりも大径のシール用穴と
を有し、
上記サイドボルトは、
上記ねじ穴に螺合する先端ねじ部と、
外側ねじ部と、
上記外側ねじ部の近傍に設けられると共に、上記シール用穴に位置する上記サイドボルト用穴よりも大径の大径部と
を有し、
上記段部と、上記大径部との間に位置して、上記サイドボルトと上記シール用穴の内周面との間をシールするOリングと、
上記サイドボルトの上記外側ねじ部に螺合するナットと
を備え、
上記フレームは、上記シール用穴において、上記フレーム外に向かって内径が大きくなるテーパ穴を有し、
上記サイドボルトは、上記大径部から上記段部側に向かって、外径が徐々に小さくなる外周面部を有し、上記外周面部と、上記段部とで、上記Oリングを挟み込むことを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、油を、フレームのシール用穴の内周面と、上記サイドボルトの外周面との間に配置したOリングでシールするようになっているから、油がフレームのシール用穴内におけるOリングよりも外部側に漏れることを防止でき、油がフレーム外に漏れ出ることを防止できる。したがって、油漏れの問題を抜本的に解決できる。
【0014】
また、本発明によれば、参考例の軸受構造とは異なり、金属製のキャップを必要としないから、軸受構造の部品点数を少なくできると共に、軸受構造を軽量化できる。
【0015】
また、本発明によれば、フレームに、シール用穴の上記サイドボルト用穴側とは反対側の端部からシール用穴の上記サイドボルト用穴側とは反対側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ穴を形成すると共に、サイドボルトに、大径部の段部側の端部につながると共に、大径部側から段部側に行くにしたがって、外径が徐々に小さくなる外周面部を形成したから、サイドボルトの取付時において、Oリングをテーパ状の内周面部で外径が小さくなるように円滑かつ徐々に圧縮した際に、Oリングが上記外周面部の小径側に適宜移動することができて、上記Oリングがサイドボルトの大径部を乗り越えることの防止効果が非常に大きなものになる。したがって、上記Oリングを、フレームのシール用穴の内周面と、上記サイドボルトの外周面との間に嵌入する構成を、容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、油がフレーム外に漏れ出ることを抑制できて、かつ、部品点数も低減できる内燃機関の軸受構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の内燃機関の軸受構造の一実施形態であるディーゼル機関のクランクシャフト支持用の主軸受を支持するための軸受構造の概要を大局的に示す模式断面図である。
【図2】図1のサイドボルトの周辺を詳細に示す図である。
【図3】参考例の内燃機関の軸受構造の一部の模式図である。
【図4】参考例の内燃機関の軸受構造の一部の模式図である。
【図5】参考例の内燃機関の軸受構造の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の内燃機関の軸受構造の一実施形態であるディーゼル機関のクランクシャフト支持用の主軸受を支持するための軸受構造の概要を大局的に示す模式断面図である。尚、図1においては、サイドボルト6の据付構造の詳細については説明を省略し、それについては、図2〜4を用いて詳細に説明する。
【0020】
このディーゼル機関の軸受構造(以下、単に軸受構造という)は、フレーム(シリンダブロック)1と、主軸受キャップ2と、主軸受3と、主軸受キャップ2をフレーム1に固定するボルトである主軸受キャップ固定用ボルト5と、サイドボルト6とを備える。上記フレーム1は、一体の鋳鉄製モノブロック構造を有し、フレーム1は、その内部においてクランク室を形成し、主要部品を潤滑した潤滑油が落ちてきて、その下部の潤滑油サンプタンク等に回収される。
【0021】
上記主軸受3は、所謂吊りメタル方式によって形成されている。上記主軸受3は、上側軸受メタル20と、下側軸受メタル21とを有する。上記フレーム1のシリンダブロック隔壁15の下面には、断面半円弧状のメタル嵌入凹部が形成され、上側軸受メタル20は、このメタル嵌入凹部に嵌入されている。
【0022】
上記主軸受キャップ2は、フレーム1のシリンダブロック隔壁15の下面の下側に位置している。上記主軸受キャップ2の上面には、断面半円弧状のメタル嵌入凹部が形成され、下側軸受メタル21は、このメタル嵌入凹部に嵌入されている。
【0023】
上記主軸受キャップ2は、主軸受キャップ固定用ボルト5を挿通するための固定用ボルト挿通穴25を有し、フレーム1は、主軸受キャップ固定用ボルト5を締め込むための有底の固定用ボルトねじ穴26を有している。上記主軸受キャップ固定用ボルト5は、固定用ボルト挿通穴25に挿通されると共に、フレーム1のシリンダブロック隔壁15の固定用ボルトねじ穴26にねじ込まれて、主軸受キャップ2と、フレーム1のシリンダブロック隔壁15とを固定している。主軸受キャップ固定用ボルト5によって、主軸受キャップ2とフレームのシリンダブロック隔壁15とが固定されている状態で、フレーム1の半円弧状のメタル嵌入凹部と、主軸受キャップ2の半円弧状のメタル嵌入凹部とは、互いに相俟って断面円状のクランクシャフト挿通穴28を形成している。
【0024】
上記サイドボルト6は、主軸受キャップ固定用ボルト5の延在方向と、クランクシャフト挿通穴28の延在方向との両方に略垂直な方向に延在している。詳しくは、上記フレーム1は、サイドボルト挿通穴30を有し、主軸受キャップ2は、サイドボルト挿通用ねじ穴31を有している。上記主軸受キャップ2をフレーム1に固定している状態で、サイドボルト挿通穴30は、サイドボルト挿通用ねじ穴31と、一直線上に連通している。また、上記主軸受キャップ2のサイドボルト挿通用ねじ穴31は、主軸受キャップ2の固定用ボルト挿通穴25の延在方向に直交する方向に延在し、かつ、固定用ボルト挿通穴25に連通している。
【0025】
上記サイドボルト6は、フレーム1のサイドボルト挿通穴30に挿通されると共に、主軸受キャップ2のサイドボルト挿通用ねじ穴31に螺合している。また、上記サイドボルト6の先端は、主軸受キャップ固定用ボルト5の側面に当接して、主軸受キャップ2から反力を受けるようになっている。上記主軸受キャップ2は、主軸受キャップ固定用ボルト5およびサイドボルト6によって、フレーム1に強固に締め付けられるようになっている。
【0026】
上記フレーム1は、油穴8を有し、図示しない潤滑油ポンプから、油穴8を介して主軸受3に潤滑油が圧送されるようになっている。上記上側軸受メタル20と下側軸受メタル21とにより、真円の主軸受3を構成し、その内部でクランクシャフトを回動自在に支持するようになっている。上記主軸受キャップ2は、上下方向は主軸受キャップ固定用ボルト5でフレーム1に強固に固定され、水平方向はサイドボルト6でフレーム1に強固に固定されている。
【0027】
図2は、図1のサイドボルト6の周辺を詳細に示す図である。
【0028】
図2に示すように、上記フレーム1のサイドボルト挿通穴30は、大径円筒穴50と、テーパ穴52と、シール用穴53と、サイドボルト穴54とを有する。上記大径円筒穴50は、円筒面からなり、サイドボルト挿通穴30のサイドボルト6の挿通側の開口から主軸受キャップ2側に延在している。また、上記テーパ穴52は、円錐面からなって、大径円筒穴50の主軸受キャップ固定用ボルト5側の端部につながっている。上記テーパ穴52の内径は、大径円筒穴50の主軸受キャップ固定用ボルト5側の端部から主軸受キャップ2側に行くにしたがって徐々に小さくなっている。上記シール用穴53は、大径円筒穴50の内径よりも小さい内径を有する円筒面からなって、テーパ穴52の小径側の端部につながっている。上記シール用穴53は、テーパ穴52の小径側の端部から主軸受キャップ固定用ボルト5側に一定距離延在している。また、上記サイドボルト穴54は、シール用穴53の主軸受キャップ固定用ボルト5側の端部に段部55を介して連なっている。上記サイドボルト穴54は、シール用穴53の内径よりも小さい内径を有する円筒穴からなっている。上記サイドボルト穴54は、段部55の径方向の内径側の端部から主軸受キャップ固定用ボルト5側に一定距離延在している。
【0029】
図2に示すように、上記サイドボルト6は、大径部としての鍔部70と、外周面部71と、円筒外周面部72とを有し、鍔部70は、シール用穴53に径方向に重なる部分に存在している。上記鍔部70の外径は、シール用穴53の内径よりも小さくなっている。また、上記鍔部70の外径は、サイドボルト用穴54の内径よりも大きくなっている。上記外周面部71は、鍔部70の主軸受キャップ固定用ボルト5側の端部につながっている。上記外周面部71の内径は、鍔部70の主軸受キャップ固定用ボルト5側の端部から主軸受キャップ固定用ボルト5側に行くにしたがって徐々に小さくなっている。
【0030】
また、上記円筒外周面部72は、円筒面からなり、外周面部71の主軸受キャップ2側の端部につながっている。上記円筒外周面部72は、外周面部71からサイドボルト6の中央部よりもサイドボルト6の先端側まで延在している。上記サイドボルト6におけるサイドボルト挿通穴30に位置している部分において、鍔部70よりも主軸受キャップ固定用ボルト5側とは反対側に存在している部分の最大外径は、鍔部70の外径よりも小さくなっている。
【0031】
図2に示すように、この内燃機関の軸受構造は、Oリング90を備えている。上記Oリング90の軸受構造への据付前において、Oリング90の外径は、大径円筒穴50の内径よりも小さい一方、シール用穴の内径よりも若干大きくなっている。また、上記Oリング90の内径は、Oリング90の軸受構造への据付前、サイドボルト6の円筒外周面部72の外径よりも若干小さくなっている。上記Oリング90は、サイドボルト6の鍔部70と、サイドボルト挿通穴30の段部55との間に位置している。上記Oリング90は、サイドボルト挿通穴30のシール用穴53と、サイドボルト6の鍔部70につながる外周面部71との間に嵌入され、シール用穴53の内周面と、外周面部71との間をシールしている。
【0032】
図2に示すように、上記サイドボルト6の先端部は、先端ねじ部67を有する一方、サイドボルト6の頭部は、外側ねじ部68を有している。上記サイドボルト6の鍔部70よりもサイドボルト6の先端側の軸部にOリング90を係止した後、サイドボルト6を、サイドボルト6の先端側からサイドボルト挿通穴30に挿通し、サイドボルト6の先端部の先端ねじ部67を、主軸受キャップ2のサイドボルト取付用ねじ穴31に螺合させると共に、ナット85を、サイドボルト6の頭部の外側ねじ部68に螺合させるようになっている。このようにして、サイドボルト6を、フレーム1および主軸受キャップ2に固定するようになっている。
【0033】
このとき、上記サイドボルト6を挿入して、Oリング90が、テーパ穴52に到達し、さらに、サイドボルト6を挿入すると、Oリング90の外周面が、テーパ穴52で徐々に圧縮されるようになっている。そして、上記サイドボルト6の鍔部70が、シール用穴53に重なる位置まで挿入されたときに、Oリング90が、サイドボルト挿通穴30のシール用穴53と、サイドボルト6の外周面部71との間に嵌入されるようになっている。
【0034】
以上、この実施形態について簡潔にまとめると、この軸受構造は、主軸受キャップ2とフレーム1とを固定する主軸受キャップ固定用ボルト5と、サイドボルト挿通穴30に貫通されると共に、主軸受キャップ2に螺合し、サイドボルト6とを備える。サイドボルト挿通穴30は、サイドボルト6の挿入側の端部に軸受キャップボルト2側に行くにしたがって内径が徐々に小さくなるテーパ穴52を有する。サイドボルト6は、テーパ穴52よりも軸受キャップボルト2側に位置する鍔部70と、鍔部70から軸受キャップボルト2側に行くにしたがって、外径が徐々に小さくなる外周面部71とを有する。サイドボルト挿通穴30の内周面と、サイドボルト6の外周面部71との間にOリング90を配置する。
【0035】
上記実施形態の内燃機関の軸受構造によれば、潤滑油がサイドボルト6をつたってきても、フレーム1のサイドボルト挿通穴30の内周面と、サイドボルト6の鍔部70の先端側の外周面部71との間に嵌入されているOリング90で封止するようになっているから、油がフレーム1のサイドボルト挿通穴30内におけるOリング90よりも外部側に漏れることを防止でき、油がフレーム1外に漏れ出ることを防止できる。したがって、油漏れの問題を抜本的に解決できる。
【0036】
また、上記実施形態の内燃機関の軸受構造によれば、参考例の軸受構造と異なり、金属製のキャップを必要としないから、軸受構造の部品点数も少なくできて、コストアップを防ぐことができると共に、軸受構造を軽量化できる。
【0037】
また、上記実施形態の内燃機関の軸受構造によれば、フレーム1に、シール用穴53のサイドボルト用穴54側とは反対側の端部からシール用穴53のサイドボルト用穴54側とは反対側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ穴52を形成すると共に、サイドボルト6に、大径部である鍔部70の段部55側の端部につながると共に、鍔部70側から段部55側に行くにしたがって、外径が徐々に小さくなる外周面部71を形成したから、サイドボルト6の取付時において、Oリング90をテーパ穴52で外径が小さくなるように円滑かつ徐々に圧縮した際に、Oリング90が外周面部71の小径側に適宜移動することができて、Oリング90がサイドボルト6の鍔部70を乗り越えることの防止効果が非常に大きなものになる。したがって、上記Oリング90を、フレーム1のシール用穴53の内周面と、サイドボルト6の外周面との間に嵌入する構成を、容易に実現することができる。
【0038】
また、上記実施形態の内燃機関の軸受構造は、ナット85にOリング挿通用の環状溝を設ける構成でなく、また、サイドボルト6の軸部にOリング挿通用の環状溝を設ける構成でもないから、ナット85の複雑化、大型化を招くことがなく、サイドボルト6の強度が小さくなることもない。
【0039】
仮に、図3に示すように、ナット201の締結面202にOリング嵌入用の環状溝203を形成したとすると、ナット201の締結面202の面積を確保するためにナット201が大型化してしまう。また、仮に、図4に示すように、サイドボルト300の軸部にOリング嵌入用の溝301を形成すると、その溝301に応力が集中して、サイドボルト300が折損して、重大事故がおこる恐れがあるのである。
【0040】
なお、上記実施形態では、内燃機関の軸受構造が、ディーゼル機関に適用されたが、この発明の内燃機関の軸受構造は、吊り下げ構造の内燃機関であれば、ディーゼル機関以外の如何なる内燃機関に適用されても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 フレーム
2 主軸受キャップ
3 主軸受
5 主軸受キャップ固定用ボルト
6 サイドボルト
25 固定用ボルト挿通穴
26 固定用ボルトねじ穴
28 クランクシャフト挿通穴
30 サイドボルト挿通穴
31 サイドボルト挿通用ねじ穴
50 大径円筒穴
52 テーパ穴
53 シール用穴
54 サイドボルト用穴
55 段部
67 先端ねじ部
68 外側ねじ部
70 鍔部
71 外周面部
85 ナット
90 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトを支持する主軸受を、フレームと、主軸受キャップとによって支持し、上記主軸受キャップをフレームに固定する主軸受キャップボルトとサイドボルトとで固定した内燃機関の軸受構造において、
上記主軸受キャップは、
上記主軸受キャップボルトが挿通される主軸受キャップボルト挿通穴と、
上記主軸受キャップボルト挿通穴に直交する方向に延びるねじ穴と
を有し、
上記フレームは、
上記ボルト挿通穴に直交する方向に延びると共に、上記ねじ穴と連なるサイドボルト用穴と、
上記サイドボルト用穴に対して段部を形成して、上記サイドボルト用穴よりも大径のシール用穴と
を有し、
上記サイドボルトは、
上記ねじ穴に螺合する先端ねじ部と、
外側ねじ部と、
上記外側ねじ部の近傍に設けられると共に、上記シール用穴に位置する上記サイドボルト用穴よりも大径の大径部と
を有し、
上記段部と、上記大径部との間に位置して、上記サイドボルトと上記シール用穴の内周面との間をシールするOリングと、
上記サイドボルトの上記外側ねじ部に螺合するナットと
を備え、
上記フレームは、上記シール用穴において、上記フレーム外に向かって内径が大きくなるテーパ穴を有し、
上記サイドボルトは、上記大径部から上記段部側に向かって、外径が徐々に小さくなる外周面部を有し、上記外周面部と、上記段部とで、上記Oリングを挟み込むことを特徴とする内燃機関の軸受構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83313(P2013−83313A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223896(P2011−223896)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(390033042)ダイハツディーゼル株式会社 (43)
【Fターム(参考)】