内燃機関
【課題】内燃機関を提供することである。
【解決手段】本発明による内燃機関は、エンジンオイル循環システムと、エンジン電子制御装置と、該エンジン制御装置と連通しているエンジンオイル分析システムとを有し、エンジンオイル分析システムが、エンジンに取り付けられ、前記エンジンオイル循環システムと液体連通している測定チャンバーを備えるハウジングと、前記ハウジング内に配置された容量性センサーとを有し、該センサーが、誘電体として機能するエンジンオイルを収容するための空間を、間に有する少なくとも二つの伝導要素を特徴とし、前記センサーに電力を供給し、前記センサーの周波数感応を測定し、前記センサーの周波数感応の時間による変化を分析するための、前記センサーと連通しているメモリーを含む制御論理を有する、ことを特徴とする。
【解決手段】本発明による内燃機関は、エンジンオイル循環システムと、エンジン電子制御装置と、該エンジン制御装置と連通しているエンジンオイル分析システムとを有し、エンジンオイル分析システムが、エンジンに取り付けられ、前記エンジンオイル循環システムと液体連通している測定チャンバーを備えるハウジングと、前記ハウジング内に配置された容量性センサーとを有し、該センサーが、誘電体として機能するエンジンオイルを収容するための空間を、間に有する少なくとも二つの伝導要素を特徴とし、前記センサーに電力を供給し、前記センサーの周波数感応を測定し、前記センサーの周波数感応の時間による変化を分析するための、前記センサーと連通しているメモリーを含む制御論理を有する、ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油の劣化度を検出するための装置および方法に関し、特に、酸化、窒化、酸の形成などの条件によって生じる腐食性生成物、煤、水、グリコール冷媒などの汚染物質、およびシステムの磨耗によって生じる強磁性および非鉄金属粒子の存在による劣化を検出するための装置および方法、及び、これらを大型ディーゼルエンジン用内蔵オイル・アナライザーの使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油内に腐食性生成物、汚染物質、及び、又は、強磁性粒子または非鉄金属粒子が存在すると、劣化成分を交換または補修するか、或いは、オイルを迅速に交換しないと、潤滑油が用いられるシステムが損傷を受け、或いは、受けるおそれが生じるため、システムにとって危険な兆候となる。
【0003】
オイルの汚染又は劣化を検出するために、既に多くの方法及び装置が開発されている。この種の装置の一つとして、ヤスハラの特許第4646070号は、絶縁材料でコーティングされて潤滑油内に配置された一対のキャパシタ電極を含む潤滑油劣化検出装置を開示している。該装置は、オイルをセンサーの間の誘電体として使用し、センサー・キャパシタを通る周期的電圧信号を引き出してオイルの劣化を示す誘電率の変化を求めるものである。この装置および他の類似の装置の大きな欠点は、システム内の劣化の種類あるいは大きさ(例、汚染または磨耗)を示さないことである。
【0004】
A・D・ディカート等のアメリカ合衆国特許第5262732号は、潤滑油内の腐食性生成物、汚染、強磁性粒子、並びに、非鉄磨耗粒子のテストを同時に行ない、これらを識別するための方法及び装置を開示している。該装置は、オイル内に存在する生成物の種類を検出するため、ユーザーは、オイルの劣化を起こしている条件をより詳細に判別することができる。ディカート等の計器は、容量性表面に抗して鉄を含む粒子を引き付け、配向し、保持するために、永久磁石と電磁石を組み合わせて使用するものである。ディカート等の計器は、テスト期間中テスト・サンプルを消費しないため、同じオイル・サンプルを用いて多数のテストを行なうことができる。
【0005】
本発明の発明者らは、以下に付加的に述べる背景を考慮すれば、この種の装置を車両のとくに大型ディーゼルエンジンのエンジン・オイルの車内での連続リアルタイム分析に適用して使用することは、きわめて有用な場合があると考える。
【0006】
公知のように、劣化した潤滑油でエンジンなどの機械を長期作動させると、機械の寿命が大きく短縮される。一般に、エンジン・メーカーは、あらかじめ定められた日数、エンジンの走行時間、またはエンジンを用いた車両の走行距離のいずれかでのぞましいエンジン・オイルの交換間隔を指定している。このサービス間隔は、通常、同様な用途で得られた経験にもとづいて決められている。潤滑油の分析は、オイルの排出に対する注意をうながすのに役立つが、費用がかさみ、しかも結果がわかったときには遅すぎて有効な対策がとれない場合が多い。したがって、あらかじめ定められたのぞましいスケジュールにもとづいてオイル交換を行なう方法では、まだ悪影響がでるほど劣化していないオイルを交換する可能性がある。逆に、この方法では、きわめて劣化した潤滑油でエンジンを作動させる場合も生じる。この方法がとられている例はまだ多いが、少なくともその理由の一つとして、オイルの質または状態を正確に評価するための基準を確立することが困難なことがあげられる。あらかじめ定められたオイル交換のスケジュールを用いる方法は、用途によっては十分効果があるが、エンジンの作動条件がさまざまに異なるため、多くの車両では受け入れがたいものとなっている。例えば、あらかじめ定められたスケジュールでは、例えば硫黄含有量の多い燃料を用いて周囲の気温が低いときに長時間エンジンを空ぶかしするなど散発的に発生する苛酷な作動条件を予期することはできない。
【0007】
さらに、極端な作動温度、負荷条件、汚染物質、および機械的故障などが単独または組み合わされて生じると、オイルの劣化が加速される。この種の劣化は、オイルの色の変化、粘性の変化、および/または煤の塊、水および磨耗粒子の増加などの形であらわれる。オイルの質の分析は、自動車技術者協会1987年刊、シャーリー・E・スウォーツおよびドナリー・J・スモレンスキー「自動エンジン・オイル交換インジケーター・システムの開発」(“Development of an Automatic Engine Oil-Change Indicator System”; by Shirley E.Swartz and Donaly J.Smolenski, published by Society of Automotive Engineers,1987)に詳述されている。該論文は、参考資料として本出願に添付されている。スウォーツおよびスモレンスキーは、オイルの状態を直接検出するのではなくエンジンの作動時間、外気温度、エンジン・オイル温度などのエンジン作動のパラメーターの現在値を測定し、それらにもとづいた経験的数学モデルを用いるアプローチを示している。
【0008】
新鮮な石油ベースの潤滑油は、主として真の電荷がなく有極電荷分布が弱いまたは有極電荷分布をもたない炭化水素分子で構成されている。新鮮な鉱物油は、きわめて高い電気抵抗と比較的低い誘電率(比誘電率)をもつことを特徴とするといえる。これらの電気的性質は、オイルが劣化し汚染されるにしたがって変化する。具体的には、不溶性内容物の増加、水分および酸の存在、または導電性金属または非金属の粒子の存在によってオイルの誘電率が増大しまたはその抵抗が低下するかあるいはその両方が起こる。
【0009】
誘電率と抵抗は、ある量のオイルで隔てられた二枚の板の間の交流インピーダンスまたは有効キャパシタンスを測定することによってともに測定することができる。このシステムに関する近似モデルは、主として誘電率に影響される理想的なキャパシタで、並列抵抗は、主としてイオン伝導に影響される。誘電流体中の電荷の移動度は、導電粒子を含まないが流体内の電荷粒子またはダイポール粒子を含む。したがって、システム・インピーダンスは、流体内を移動する粒子の流体力学的特性を示すパラメーターに関係する。これらのパラメーターには、オイルの粘性、加えられる電気的および磁気的力、粒子の大きさ、および粒子の形状が含まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その一側面にあっては、動作原理として例えは500秒の標準テスト期間中に経時的に変化する磁場および電場の存在下で有効キャパシタンスの時間変化率を測定することを含むものである。よどんだオイルのサンプルでは、これらの加えられる場が、重力とともに、強磁性粒子、有極不溶物、および導電性金属粒子を可変キャパシタンス感知素子へ引き付ける作用をする。その結果、時間変化率の値は、一般的なバルク・オイルの性質ならびに具体的にオイルから抽出される汚染物質の量および種類に関係づけることができる。オイルのサンプルが感知素子を上を流れるとき、本発明の電磁石がオンにされて鉄を含む粒子を収集し、オフにされてそれらを離し、あるいは切り換えられて感知素子上で粒子の角配向を制御する。
【0011】
本発明は、独特な方法で多数の磁石状態の有効キャパシタンスの時間変化率を比較して強磁性粒子と他の粒子を差別するものである。さらに、センサーは、テストの開始時に絶対有効キャパシタンスを求め、新鮮なオイルの校正テストの結果がたくわえられたときに該キャパシタンスを基準に用いてテストするオイルを新鮮なバルク・オイルのサンプルと比較する。この比較によって、バルク・オイルの化学的性質の変化が比特異的に示される。校正サンプルが存在しない場合には、この値をさらに時間をかけてモニターして、バルク・オイルの化学的性質の突然の変化を検出する必要があるが、この突然の変化は、通常、添加物の枯渇(例、オイル溜めへの新しいオイルの追加)あるいは全体的汚染(すなわち、機械的部品の故障による)をともなうものである。
【0012】
本発明は、オイル中の腐食性生成物、水の侵入などの汚染、および強磁性および非鉄金属粒子の存在の可能性を明らかにするために作動中の機械の中を循環する潤滑油の状態をモニターするための装置を含む。その限りにおいて、本発明は、制御されたオイル・サンプル量を該サンプル内の一定の汚染物質を識別することのできるセンサーに提示するためのチャンバーを含むものである。磁気的に感応性のある汚染物質の粒子をオイル・サンプル量内で懸濁液からセンサーの感知面へ引き付けまた/または配向する電磁装置が提供される。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態にあっては、少なくとも二つの電磁石が同軸状の有効磁束場が生じるように配置される。各電磁石の力および/または極性を選択的に変化させるために、電磁石への電力の供給はマイクロプロセッサによって制御される。通常、サンプル・チャンバー内には永久磁石または残留磁場が加えられたりあるいは設定されることはない。その結果、すべての電磁石への電力の供給がとまると、サンプル・チャンバー内および感知面上の通常のオイルの循環によって、蓄積されたすべての粒子が感知面から流し去られ、その後のテストの準備が整うことになる。
【0014】
作動時には、電磁石は、オイル内のすべての強磁性粒子を感知面へ引き付けるように順次可変場磁束パターンで潤滑油に対応する磁場を加える。さらに、好まし一実施形態にあっては、電磁石の磁場は、粒子をセンサーから追い払うことなく電磁束の配向を変化させることによって強磁性粒子を振動させまた再配向するように周期的に切り換えられる。
【0015】
センサーは、好ましくは、センサー素子、該センサー素子の出力をモニターするための手段、およびセンサーの出力を処理するための手段を含む。装置は、循環するオイルがセンサー素子に対向する構成とされる。該センサー素子は、絶縁性誘電媒体として機能する該オイル内に浸された少なくとも二つの導体を含む。
【0016】
オイルには潤滑油循環システムに関連する機械が作動している間磁場が加えられるが、センサー素子と潤滑油のこのような関係によって、その間に該オイルのさまざまな性質を判別することができる。
【0017】
好ましい一実施形態にあっては、プログラムされたマイクロプロセッサの制御のもとで作動する制御論理は、測定時間中のセンサーのキャパシタンスの各種変化を比較して、オイルの劣化の程度と種類を判別する。循環する機械オイルのキャパシタンスが(校正オイルに比して)高く、それが長時間にわたって比較的一定に保たれる場合、それは、腐食性生成物の存在を示している。循環する機械オイルに対向している間長時間にわたってセンサーのキャパシタンスが着実に増大する場合、それは、汚染または潤滑の劣化の存在を示している。センサーが循環するオイルに対向している間センサーのキャパシタンスがセンサーの磁性の状態に対応して変化する場合、それは、オイル中に強磁性粒子が存在することを示している。電磁石の極性の変化は、強磁性粒子の再配向を生じ、その結果、センサーのキャパシタンスが変動する。
【0018】
本発明は、各種の潤滑油と特徴的な汚染物質の間の特性の差を利用するものである。例えば、鉱物油は、水を含む各種の汚染物質より密度が低い。そのため、流れのない期間中、汚染物質は、重力によってセンサーのグリッドへ引き付けられやすい。また、大部分の汚染物質は、オイルとは大きく異なる電気的特性をもっている。さらに、エンジンの構成部品の磨耗を加速する多くの固体汚染物質は、磁性的感応性を示す。しかし、オイルは、通常、磁性的感応性をもたない。本発明にあっては、このような差によってオイルとほぼすべての発生し得る汚染物質を区別することが可能となる。
【0019】
従って、本発明の一つの目的は、改良された内蔵式オイル品質センサーおよび該センサーを使用する方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の一つの目的は、通常のまた非通常のパラメーターを利用してオイルの排出間隔を識別しまたエンジンの故障または初期の障害を検出することができる内蔵式オイル品質センサーを提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の一つの目的は、大型ディーゼルエンジン駆動車両などのオイル潤滑システムの車内内蔵式オイル品質センサーにおいて、少なくとも、エンジン・サイクルおよび状態、当初のオイル品質、および直接リアルタイムのオイルの性質の測定にもとづいて最適のエンジン・オイル排出間隔を識別することのできるセンサーを提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の一つの目的は、少なくとも、燃料の希薄化、冷媒の希薄化、過度の磨耗、および異常に高い煤の負荷にもとづいてエンジンの障害のモードを識別することのできる車内内蔵式オイル品質センサーを提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の一つの目的は、オペレーターおよび機械技術者に警告およびのぞましい対策を通報し、乱用の経過および/または条件を示す過誤コードを記録することのできる車内内蔵式オイル品質アナライザーを提供することである。
【0024】
本発明のさらに他の一つの目的は、特定のエンジンのために典型的なオイル劣化パターンを学習しまたこれらのエンジンに固有のオイル排出歴を用いてその後のオイル排出間隔を最適化することのできる「利口なセンサー・システム」を提供することである。
本発明は、また、鉄を含む磨耗金属濃度、非鉄磨耗金属濃度、冷媒の汚染、過度の煤濃度、および燃料の希薄化に関してオイルを分析することによってエンジンの故障およびまたは初期の障害を検出することをその目的とするものである。
【0025】
さらに、本発明は、一つの形態にあっては、高オイル・レベル、低オイル・レベル、および例えば補給オイルの追加によって生じるオイル・レベルの変化を含むオイル・レベルの連続検出をその目的とするものである。
【0026】
換言すれば、本発明の一つの目的は、(i)エンジン・サイクル、エンジン状態、オイル品質、および直接リアルタイムのオイルの性質の測定にもとづく最適なエンジン・オイルの排出間隔の識別、(ii)燃料の希薄化、冷媒の希薄化、過度の磨耗、および異常に高い煤の負荷にもとづくエンジンの障害モードの識別、(iii)オペレーターおよび機械技術者への警告およびのぞましい対策を通報、および(iv)乱用の経過および/または条件を示す過誤コードの記録が可能で、耐久性があり、低コストの車内オイル品質センサーを提供することである。
【0027】
本発明の上記の目的および他の目的ならびに特徴を実施するにあたっては、また、大型ディーゼルエンジンの潤滑油の品質をモニターするための方法が提供される。該方法は、容量性センサーのキャパシタンスを連続的にモニターしてエンジン潤滑油の有電率の変化を検出し、キャパシタンスをあらわす値をメモリーに保存し、保存された値の傾向分析を行なって保存された値の変動の特徴を示し、傾向分析の少なくとも一つにもとづいてのぞましいオイル交換間隔を推定することを含むものである。傾向分析を行なうことは、前回のオイル交換、エンジンの全作動時間、またはエンジンの全作動時間のあらかじめ定められた部分を通じてのあるオイル・パラメーターの変動の検査を含む場合がある。一つの実施形態にあっては、傾向分析は、現在のエンジン・オイルの測定値と変化率を前に保存した値と比較して、潤滑システムに加えられたエンジン・オイルの種類を判別することを含む。他の一つの実施形態にあっては、該方法は、エンジン・オイルの粘性の変化をモニターして、粘性の変化およびオイル・センサーのキャパシタンスの変化にもとづいてのぞましいオイル交換間隔を判別することを含む。
【0028】
本発明の他の一つの実施形態にあっては、該方法は、燃料の希薄化または冷媒の汚染が存在するかを判別し、それに応じてオペレーターに警告することを含む。さらに他の一つの実施形態にあっては、本発明の方法は、オイルの品質の改善とオイル・レベルの変化をともに検出することによって、潤滑システムに潤滑油が追加されたか否かを判別する。オイルの追加が検出されれば、保存されている校正データが修正されて、のぞましいオイル交換間隔のその後の計算を調整する。該方法は、また、少なくとも一つのオイル・パラメーターの測定値の有意の変化を検出してオイル交換を自動検出することを含む。
【0029】
当業者には、添付の図面を参照して以下に行なう本発明の実施の最良の形態に関する詳細な説明から、本発明の上記の目的および他の目的、特徴、および効果が容易に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図面では、異なる図を通して同じ参照符号は同じまたは同様な要素を示す。図1は、本発明の一実施形態の基本要素を示す概要図である。
【0031】
この構成のセンサー素子20は、非導電性ベース(図示せず)に接着された二つの導体42および44の開いたグリッドを有する。各導体は、同心の半円形の弧に形成された平行な回路延長部を有する。本発明にもとづいて静的バッチまたは作動循環経路によってテストされるオイルのサンプリングは、オイルが、センサー素子20の表面を濡らし、胴体の延長部の間の横方向の空間を占有するようにすることによって行なわれる。同心の半円形導体の間に存在するオイルは、絶縁性誘電体として機能する。したがって、導体42と44の間に電位差が存在すると、該導体は、あるキャパシタンスを有するキャパシタ板として機能し、該キャパシタンスは、隣接する導体の表面積、隣接する導体の間の距離、およびその間に介在するオイルの絶縁耐力の関数として式1であらわされる。
C=k・E (A/d) (式1)
ここで、Cはセンサーのキャパシタンス、
kはオイルの誘電率、
Eは電位、
Aはセンサーの表面積、
dは導体の間の距離である。
【0032】
オイルの絶縁耐力は、汚染のためまたしばしば温度の上昇のために幾何の使用中に変化し、したがって、センサー素子20の容量性特性が変化する。絶縁体力の増大によってキャパシタンスが増大すると、オッシレータ50が示す周波数が全体的に減少する。オイル中に有極酸化物が存在しても、誘電率は増大する。さらに、水の誘電率はオイルのそれより大きいため、オイル中に水が存在すると、溝がセンサー素子20の近くに沈殿するためセンサーの有効誘電率が増大する。
【0033】
導電性汚染物質が導体42と44の間に蓄積すると、センサー20のキャパシタンスが減少して測定が困難になる。センサー素子20上にかなりの量の水が蓄積すると、導体42と44の間が電気的にショートするおそれがある。キャパシタンスが減少して導電率が増大すると、キャパシタンスがゼロに近づくため、キャパシタンスの変化より導電率の変化のほうが測定結果に大きい影響をあたえることになる。すなわち、以下に説明するように、キャパシタンスの変化と同様に導電率の変化を分析することができる。オイルの品質の変化を示すこのようなキャパシタンスおよび/または導電率の特性の変化が、本発明の基本的な動作原理である。
【0034】
有効誘電率の変化は、また、温度の変動によっても生じるが、広い動作域にわたってこのような変化を補償するために利用することのできる多くの方法が存在する。補償の方法の一つは、比較用流体に対向した比較基準センサーを設定するものである。他の一つの方法は、新鮮なオイルの場合の様々な温度に対応するキャパシタンス値を記録し、作動オイル温度を測定し、作動時のオイルのキャパシタンス値を対応する温度での記録値と比較することを含むものである。もちろん、キャパシタンス値ではなくて誘電率または他の同様なパラメーターを判別し記録することによっても同様な結果が得られる。
【0035】
特定の用途に応じてセンサー素子に適した構造体としてのパラメーターは広範に存在する。直径約1インチのオーバーオール型センサー素子20を用い、この種パラメーターを組み合わせて好ましい成果を挙げることもできる。導体42および44は、直径約250ミクロンのワイヤで、約250ミクロンの距離で互いに隔てられている。これらの物理的パラメーターを有するセンサー素子20は、約30ピコファラッドの名目空中キャパシタンス(すなわち流体に浸されていない)を有する。溶媒および高温などの苛酷な環境中で連続作動するものとして構成される場合には、導体の基板の構造体としてアルミニウム・セラミックなどの無機材料を考慮すべきである。
【0036】
やはり図1を参照して、センサー素子20は、単安定マルチバイブレーターを用いて導体42および44を介してオッシレータ回路50に接続され、センサー素子のキャパシタンスに対応する周波数で出力信号を生成する。この可変周波数出力信号は、制御論理52へ送られる。この論理は、本発明の精神または範囲を逸脱することなく多数の処理方法の中から任意のものを用いて実現することができる。設計コスト、生産量、計算要件を含む特定の用途の設計パラメーターに応じて、制御論理52は、ハードウエア、ソフトウエア、または両者の組み合わせで実施することができる。
【0037】
好ましい一実施形態にあっては、制御論理52は、消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリー(EPROM)を備えたHCMossユニット・モデルMC68HC705C8などのプログラムされたマイクロプロセッサを用いて実施される。制御論理52は、周波数変動パターンのアレーに感応して潤滑油内に認められる腐食性生成物、汚染物質、強磁性粒子、および非鉄金属粒子の存在および規模を判別する。これらの判別の結果は、通常はセンサー素子から離れているオペレーターがモニターするために適当な位置に配置される適当な表示コンソールに表示されあるいは報告される。例えば、車両が用途である場合、表示装置54は、車両の内部に配置されるであろうし、船舶が用途である場合、表示装置54は、船長用計器パネルの一部として一体構成されるであろう。
【0038】
電源スイッチ・ユニット56および58は、制御論理52に接続されており、該制御論理は、これらユニットの動作を統合し、コイル26および28を介して電磁石24の制御を行なう。導体45および46は、外側巻き線26を電源56に接続し、導体47および48は、内側巻き線28を対応する電源58に接続する。
【0039】
図2乃至図11を参照して、本発明の好ましい一実施形態は、同心二重コイル構成の電磁石24を使用し、該電磁石の内側コイル28は、フェライト棒のコア32の周囲に巻かれている。中間フェライト・シリンダー・コア34は、内側コイル28を取り囲んでいる。外側コイル26は、この中間シリンダー・コア34を同心状に取り囲んでおり、やはりフェライトの外側囲い36が、外側コイル36を同心状に取り囲んでいる。好ましくは、電磁石のこれらの要素は、すべて電気的に絶縁され、非伝導性つぼを形成する化合物でともに密閉され、単一の一体式ユニットを形成する。
【0040】
本発明のこの好ましい実施形態は、径方向に同心状の二重コイル式電磁石を用いるものであるが、三またはそれ以上の同心状のコイルを使用する構成も可能なことは理解されよう。また、共通のフェライト棒のコアの周囲に軸方向に分離されて巻かれたコイルを使用することもできる。図12は、この構成を示すもので、共通のフェライト棒のコア66の周囲に軸方向に分離されたコイル64および65が巻かれている。
【0041】
図2は、容器70内に拘束された固定または既知の量のオイル・サンプルに静的テストを行なう場合にとくに好適な本発明の一実施形態を示す概要図である。センサー素子20および電磁石24は、容器70に取りはずし自在に密閉され、テスト中一体式分析ユニットを形成する構成となっている。該テスト・ユニットは、オイル・サンプルをセンサー素子20の感知面と直接濡れ接触するように構成され取り付けられている。この状態で、電磁石24は、容器70によって囲われたオイル・サンプル内に磁束場60を生成するように制御される。磁気的に感応性のある粒子62がオイル・サンプル内に存在すれば、それらがセンサー素子20の濡れた表面に引き付けられる。このような磁気的に感応性のある粒子がセンサー素子20上に蓄積すると、式1にしたがってキャパシタンスが増大する。
【0042】
先行技術の固定量静的テストのパターンと同様に、センサー素子20がオイル・サンプルに浸された状態でプログラムされたテストの1サイクルが終了する。
【0043】
1サイクルが完了した時点で、注意深く容器70の中のものを排出してセンサー素子20から除去し、磁気的に感応性のある粒子62をその後のテストのために目に見える状態にする。電源スイッチ・ユニット56を介して制御論理によって磁気的に感応性のある粒子62を操作することで、サンプルの可視テストを容易に行なうことが可能となる。
【0044】
図3に示す本発明の実施形態は、図2に示すものと同様であるが、オイル・サンプル・チャンバー71は、ポンプ74によって駆動される一次機械潤滑システム72から引き出された循環分路76/77を介して操作される。分回路76/77には弁78が配置され、センサー素子20上に蓄積した粒子堆積物を視覚検査するためにチャンバー71の中のものを容易に除去できる構成となっている。図3の実施形態では、チャンバー71は、電磁石24によって生成される磁束場が作用する標準的な静的テスト・サンプル量を収容するように構成されている。したがって、多数の機械的循環システム72からのテスト・サンプルを中央分析ユニットで分析することができる。
【0045】
あるいは、図3の弁78を、ポンプ74の吸い込み導管と排出導管の間の圧力差によって駆動される分路76/77を通る流量をあらかじめ定められた値に保持するスロットル弁とすることもできる。この方式では、センサー素子20は、測定された期間内に既知の量のオイル流から磁場によって抽出された汚染磁気物質の量を容量的に測定することになる。測定期間が終わると、電磁石が完全に非励起状態にされ、センサー素子が補足した物質を解放する。
【0046】
図3の実施形態のさらに他の作動方式にあっては、弁78は、制御論理52によって制御されて二つの循環流量を生成する。チャンバー71を通る低い流量は、循環システム内で認められる汚損濃度を測定するためのものであり、高い流量は、前の測定期間中に蓄積した磁気的に感応性のある物質をセンサーから洗い流すためのものである。通常、実施形態の非励起化は、洗い流しサイクルの効果を高めるように高い流量と組み合わせて実施される。
【0047】
図4乃至図7を参照して本発明のさらに他の実施形態を説明する。同図は、潤滑油の流れの導管12および14を備え、その間にチャンバー16が形成された非鉄製のハウジング10を示している。この実施形態は、機械の上に永久的に設置された器具の形をとることもできる。センサー素子20は、垂直のチャンバー16から電磁石24の同心状巻き線コイル26および28の面へオイルが漏れるのを防ぐ密閉装置内のチャンバー16に下にある口18の下方に直接配置されている。
【0048】
ハウジング10内の内側にネジ溝をきられたソケット30は、電磁石24のコイル・ヘッドを受け、磁石のコア32とチャンバー16の垂直軸を軸方向に心合わせする。ハウジング10に添って、オッシレータ50、制御論理52、およびスイッチ・ユニット56および58を保護するための電子制御部品用ハウジング40が一体鋳造されている。
【0049】
図4乃至図7に示す実施形態は、通常、センサー素子20の表面の粒子の蓄積を視覚検査するために分解されることはない。したがって、テストを周期的に繰り返し行なうのを容易にするためには、機械潤滑システムの通常の作動時にセンサー素子が自動洗浄されることが重要である。この要件を満たすためには、スイッチ・ユニット56および58を操作して、センサー素子20の近辺からすべての磁束を除去し、各テスト・サイクルで蓄積された粒子を解放して潤滑油の流れの中に戻してやることが好ましい。
【0050】
各スイッチ・ユニット56および58は、制御論理52によって制御されるさまざまな機能状態をもつが、これらは、(1)「オフ」すなわち非励起状態、(2)「オン」で正の極性を示す状態、および(3)「オン」で負の極性を示す状態を含むものとすることができる。さらに、「オン」状態は、以下に詳細に説明するように汚染物質の特性の確認に役立つようにさまざまな電力レベルを含むものとすることもできる。図8乃至図11は、これらの機能状態が電磁石24によって生成される磁束線に及ぼす効果を示す図である。下の表1−表4は、図8乃至図11に示す機能状態に対応するデータを示す。
【0051】
図8の磁束パターン60は、表1のデータに示す(ガウスであらわした)磁場の強さおよび極性に対応するものである。外側コイル26に正の12ボルトの電荷をあたえ、内側コイル28を非励起状態にすると、磁気的に感応性のある粒子62ではセンサー素子20面に対して約90°の最大感応角が得られる。コイルの励起状態を反転させて、外側コイル26を非励起状態にし、内側コイル28に負の12ボルトの電荷をあたえると、図9に60’で示す磁束パターンが得られ、磁気的に感応性のある粒子62は、センサー素子20の面に対して約40°の角度に置かれる。この機能状態から得られるデータを下の表2に示す。
【0052】
表3のデータは、図10の磁束パターン60”に対応するものであるが、ここでは、外側コイルに正の12ボルトの電荷をあたえ、内側コイルには負の12ボルトの電荷をあたえることによって、磁気的に感応性のある粒子62は、センサー素子20に対して平行な状態に置かれる。
【0053】
第4表のデータは、内側と外側の量コイルに正の12ボルトの電荷をあたえる機能状態に対応するもので、これによって図11に示す磁束パターン60'''が生成される。図示のように、磁気的に感応性のある粒子62は、センサー素子20の面に対して約80°の角度でセンサー素子20に引き付けられる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
制御論理52によって行なった選択的切り換えテストにおいて、オイルに含まれる磁気的に感応性のある粒子は、センサー素子20に引き付けられ、その位置が粒子の大きさおよび形状によって異なる特徴的パターンで変動した。
【0059】
潤滑油内の磨耗粒子のほとんどは、粘着性磨耗、研削性磨耗、および金属疲労の三つの基本的原因によって生じる。粘着性磨耗は、表面どうしの滑り、スカッフ、または擦れによって生じる。滑り型の粘着性磨耗は、ほとんどの用途で発生する一般的できわめて正常な磨耗である。スカッフおよび擦れ接触は、通常、構成部品または潤滑の障害によって生じ、したがって正常な磨耗ではない。正常な粘着性磨耗では、滑動係合している構成部品の目立つ場所が剪断変形すると、きわめて小さい(0.1ないし5ミクロンの)磨耗粒子が生成される。(スカッフまたは擦れによって生じる)異常な粘着性磨耗では、大きい粒子が生成される場合がある。
【0060】
研削性磨耗は、通常、ときにはカールしている比較的長い帯状の金属がえぐられて生じる(十ないし数百ミクロンの)堅い粒子が起こす切断動作である。砂または金属磨耗粒子が研削性磨耗の原因となる場合も多い。研削性磨耗粒子は、最終的には、さまざまな接触する機械構成部品の作用で破壊されて小さい粒子となる。
【0061】
金属疲労(「高周期疲労」とも呼ばれる)は、金属構成部品が繰り返される周期的負荷によって障害を起こしたときに発生する。これは、多くの各種工業および商業分野で利用されている歯車の歯、ローラー素子のベアリングなど各種機械構成部品の一般的な障害の形である。疲労粒子は、平行六面体または球形の形状を有する比較的大きい(10ないし20ミクロンの)ものの場合が多い。球形粒子が存在すると、通常は、とくに疲労障害があることを示す。これらの粒子は、表面下のクラックによって材料の一部分が壊れて解放されると発生するものである。表面につながるクラックが合わさって平行六面体の表面粒子を生成すると、表面下の球形粒子も解放される。
【0062】
本発明は、各種の磨耗粒子を捕捉することによって、システムの障害に先立って行なわれる診断および適当な修理の効率を改善するものである。本発明のセンサー素子によって磨耗粒子が捕捉されると、粒子の量および特性が注意深く検査され、それらの発生源が解明される。それによって、保守および操作要員は、適切な処理を行ないまた対策をとることができる。例えば、機械で研削磨耗粒子が検出されれば、オイルおよびフィルターの交換が必要となる。シールおよびエア・フィルターを検査して、砂および埃が潤滑システム内に入り込んでいるかどうかを判別する必要が生じる。他の種類の磨耗粒子が検出された場合には、他の適当な診断および補正行動がとられることになろう。
【0063】
やはり図9乃至図11を参照して、電磁石コア32と中間シリンダー・コア34の極性を同極性(例、N−NまたはS−S)から対向極性(例、N−SまたはS−N)へ切り換えることによって、鉄を含む粒子62の位置の変動あるいは回転させることができる。センサー上方のオイル・サンプル内の鉄を含む粒子は、電磁石コア32の外径部から出るように描かれる円の周囲の磁束線が集中しているところに自然に集まる。電磁石コア32および中間シリンダー・コア34が同じ極性を有する場合には(図8乃至図11)、電磁石コア32を通る磁束線は、中間シリンダー・コア34が生成する磁束線を避けて軸方向の高い軌道を描く。
【0064】
電磁石コア32と中間シリンダー・コア34が対向する極性を有する場合には(図9及び図10)、電磁石コア32を通る磁束線は、中間シリンダー・コア34が生成する磁束線へ引き付けられて低い軌道を描く。
【0065】
電磁石のさまざまな電荷条件に周期性をあたえることによって、鉄を含む粒子62の配向を振動させることができる。表1−表4のデータから明らかなように、本発明によって、異なる他の装置および方法を用いたA・D・ディカート等のアメリカ合衆国特許第5262737号が示す結果と同様な結果が得られる。ディカート等が開示したいくつかのテスト法およびアルゴリズムは、本発明に直接適用できるものとして本発明に採用されており、参考資料として本出願に添付されている。例えば、N−NからS−Nへの極性の反転は、外側および内側コイルの間での切り換えによって行なわれる(第1および2表)。他の例としては、N−NからS−Nへ、またさらにN−Nへ同の極性の変化は、外側コイルの電力を上げ、内側コイルの三つの状態(オフ、−12V、+12V等)を切り換えることによって行なわれる。
【0066】
本発明の二重巻き線電磁石の構成は、ディカート等が開示した電磁石プラス永久磁石の構成の代わりとして直接使用することができるため、ディカート等が開示した計算上の指数類は、すべて本発明にも等しく適用することができる。そのような指数としては、腐食指数、汚染物質指数、含鉄指数、オイル寿命指数、および大型汚染物質示度が含まれる。本発明は、ディカート等が開示したと同様な方法で、よどんだオイルのサンプルから得られる同様な測定値を提供するものである。ただし、潤滑油がセンサーの上を流れている間にさらに多数の付加的測定値および示度を得ることができる。したがって、本発明は、ディカート等の開示によって得られるすべての効果に加えて、流れるシステム内で鉄を含んだ粒子を選択的に収集し解放するという他の効果を有するものである。
【0067】
例えば、機械潤滑システムに置いて、オイルが流れておりしかも電磁石の巻き線がともに「オフ」であるときにセンサー20が採取した測定値は、ディカート等の開示のよどんだオイルのサンプルをよく振った後最初の数秒間に得られたデータに直接関係するものである。それは、オイルが潤滑システム内を流れているときには、オイルがよく混ぜ合わされて汚染物質が分散しているからである。したがって、インライン・センサーでは、オイルの流れが止った直後に測定することに加えてオイルが流れている間に連続的に測定して腐食指数を求めることができる。
【0068】
他の例では、本発明の電磁石の巻き線は、センサー・グリッド上で磨耗粒子を収集するための流れるシステムの中で使用することができる。この場合に重要なのは、汚染物質を懸濁状態に保つ傾向のあるオイルの粘性流体剪断力にうち克つために磁力を使用することである。電磁石によってセンサー・グリッド20上に磨耗粒子が採取されれば、ディカート等の開示している含鉄指数および大型汚染物質示度と同様に、角配向によって振動させて濃度と大きさを定量することができる。粒子の視覚分析は、これらの結論を得るために不可欠なものではない。
【0069】
荷電粒子およびイオン種は、金属粒子ほど粘性剪断力を受けやすくない。したがって、添加物が分散した煤粒子、水、グリコール冷媒、および他の汚染物質は、よどんだサンプルに関してディカート等が記載しているのと類似の方法で、オイルが流れているときに容量性センサー20を用いて検出し定量することができる。正および負の電荷があたえられた汚染物質は、容量性センサーの極性を反転することによって区別することができる。この機能を電磁石の切り換えと論理的に組み合わせることによって、オイルがセンサーの上を流れている間に多くの汚染物質をモニターすることができる。さらに、センサー・グリッドおよび電磁石への電源を定期的に遮断することによって、グリッドを自動洗浄することができる。
【0070】
テストの完了時には、図2及び図3に示す本発明の実施形態を用いて蓄積された粒子および磨耗粒子を直接見ることにより、汚染物質の種類および発生源を分析し直接判定することができる。他方、図4乃至図7に示す本発明の実施形態は、電磁石によって生成され、従って、永久磁場をもたない磁束を非活性化し、蓄積されたすべての汚染物質をオイル循環システム内に解放し、それによってセンサー素子を洗浄して次のテストに備える。電磁石の極性は、周期的に反転するため、残存磁場は、ほぼすべて除去される。
【0071】
図13は、汚染されていない循環する潤滑油の中に浸されたセンサーのベースライン周波数感応性を示す。好ましくは、センサーは、4.4kHzの名目テスト周波数で励起させる。すなわち、図13のグラフは、最初の700秒間で、名目周波数すなわち4.4Hzが0.1%より少なく低下することを示している。このベースライン周波数感応性は、特定の種類の潤滑油およびシステムの動態に特徴的なものである。したがって、各オイル交換の後で同様な情報が得られるし、あるいは、作動中に基準流体を用いてシステム野中のオイルの種類を判別しまたその後に得られたオイルの品質の測定値を校正することができる。
【0072】
断続的に作動させる機械は、二つの過渡相と二つの定常相を有するデューティ・サイクルを特徴とする場合が多い。図15は、断続的に作動される機械の代表的なデューティ・サイクルのための容量性センサーの周波数感応性を示す。低温の始動過渡相は、(重力による)センサー20グリッド上への固体の汚染物質の蓄積によって特徴づけられる。この相の間に、水および他の低蒸気圧流体は、センサー表面から蒸発または移動する。その結果、比較的低周波数感応性が得られるが、それが、システムが稼働状態に入り温度が定常状態の値まで上昇してセンサー表面から蓄積物が流し去られると、定常状態の値まで増大する。閉止または停止過渡相の間の感応周波数の低下は、高温の潤滑流体がおそらくは水、グリコール、または他の冷媒と混ざり合って突然機能停止する結果生じるものである。
【0073】
図15の第一の定常状態は、稼働期間が長く、高温でほぼ一定温度の潤滑流体が連続的に循環しており、その間、多数のキャパシタンス測定値によってオイルのバルク誘電値の追跡が行なわれることを特徴とする。例えば、10秒間隔で得られる500のキャパシタンス測定値の中間値は、ほぼ一定に留まるであろう。長時間の間に、潤滑油が煤、水、グリコール、および他の汚染物質を蓄積するため、この値は減少する。もう一つの定常状態相である静止相は、冷却した潤滑油がその最低温度に達し、循環できなくなることを特徴とする。
【0074】
オイルの潤滑の間、煤、金属、および他の汚染粒子は、潤滑油の流れからセンサーおよび電磁石によって抽出される。電磁石の引き付ける磁力は、粒子をセンサー表面から流しさろうとする流体の剪断力に打ち克たなければならない。(磁気的にではなく)静電的に有極およびイオン性粒子をセンサー表面に引き付けて保持して検出および測定を行なうために、制御論理52は、リード線42および44に約3ボルトの低直流電圧差で電荷をあたえる。この電荷を周期的に交番させることによって、磁気的感応性粒子の場合と同様に、非鉄電荷粒子の振動とキャパシタンス値の変動が刺激される。磁性および非磁性の電荷粒子を引き付けるための本発明のこれら二つの方法は、機能的には互いに独立したものであり、それらを単独で、合わせて、あるいは交互に用い、データの差および付加的組み合わせを求めることによって特定の汚染物質を識別し濃度を分析することができる点に留意されたい。
【0075】
この分析のアプローチを用いて集められたデータは、図14の(秒であらわした)時間の関数としてのテスト周波数のパーセントを曲線A、B、およびCで示してある。テストの流体の媒体は、4ないし6ミクロンの鉄の粒子を含む新鮮なオイルであった。粒子の配向は、電磁石24を用いて操作した。グラフの曲線Aは、鉄の粒子を約90°で垂直に立たせるように電磁石を励起したときに得られたものである。グラフの曲線Bは、中間の粒子角で得られたものであり、曲線Cは、粒子をセンサー面に対して約0°でねかせたときに得られたものである。
【0076】
次に、図16を参照して、図は、大型ディーゼルエンジンの斜視図であり、全体を参照番号90で示す。通常、大型トラックあるいはトラクターとセミトレーラーの組み合わせなどの車両は、この種のエンジンで駆動される。ただし、本発明は、固定した発電所や船舶などを含む多くの他の用途に適用することができる。エンジンは、全体を参照番号92で示すフライホィール・ハウジングを含み、該ハウジングは、とくに図示しないトランスミッションと組み合わされている。公知のように、エンジン90は、クランクシャフト、カム、エンジン・シリンダーなど、簡明さのため3にとくに図示しない複数の内部の可動部品を含むものである。エンジン90は、また、エンジン・オイルまたはその等価物など、これらの可動部品の間の摩擦を低減するための潤滑剤を含み、潤滑剤は、また、エンジンの作動中、可動部品を冷却し磨耗粒子を除去する機能も果たす。
【0077】
図16に示すように、エンジン90は、エンジン作動中にオイルを濾過するための一対のエンジンオイル・フィルター94および96を含む。好ましくは、オイル・フィルター94は、フィルターのオイルが入る端部すぐ近くに配置された全体を参照番号100で示すオイル品質分析センサー装置と共働する。最も好ましくは、オイル・フィルター94およびオイル品質分析センサー装置100は、オイルが濾過される前に品質分析用センサーを通過するように構成される。この構成によって、以下の説明によって理解される効果が得られる。
【0078】
次に、図17を参照して、図は、エンジン90と共働して本発明のオイル品質分析の方法を実行するための制御システムを示すブロック線図である。図示のように、この制御システムは、マイクロプロセッサ106およびメモリー108を有する電子制御モジュール(ECM)104を含む。メモリー108は、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)および読み取り専用メモリー(ROM)などの揮発性および不揮発性メモリーの両方を含むことを理解されたい。また、当業者には、ROMは、任意の不揮発性メモリーでよくまた多くの形をとることができることが理解されよう。例えば、ROMは、EPROMまたはEEPROMとすることができ、また、本発明の方法を遂行するように実行される制御論理を含むものである。同様に、ECM104も、図43乃至図48に示し以下に説明する制御論理を実装するもので、特定の用途の要件に応じてハードウエアおよびソフトウエアを任意に組み合わせて実現することができる。
【0079】
この好ましい実施形態にあっては、制御システムは、ECM104と双方向で通信するデータ・ハブ制御ユニット110を含む。図2に示すようにデータ・ハブ110は、マイクロプロセッサ112およびROMおよびRAMメモリーをともに含むメモリー114を含む。メモリー114は、データ・ハブ・マイクロプロセッサ112が使用するメモリー116とオイル品質センサー(OQS)120のマイクロプロセッサ122が使用するメモリー118に分割することもできる。図17に示すように、OQS120は、それぞれの対応するマイクロプロセッサ106、112、および122を介してメモリー108、114、および126へデータを供給する。
【0080】
さらに、図17を参照して、データ・ハブ制御ユニット110も、好ましくは、それぞれ全体を参照番号136および138で示すドライバー・インターフェースおよびフリート・インターフェースを含む。ドライバー・インターフェース136は、車両のオペレーターと制御システムの間で情報を交換する手段となるものである。この機能を果たすため、ドライバー・インターフェースは136は、液晶表示装置などの視覚的表示装置ならびに情報の交換を容易にするための入力キーまたはボタンなどの入力手段を含むものとすることができる。同様に、フリート・インターフェース138は、以下に詳細に説明するようにフリート・オペレーターがデータ・ハブを介して制御システムのいくつかの機能をプログラムできるようにするものである。
【0081】
次に、図18乃至図21を参照して、これらの図には、単一のグリッド式オイル品質分析センサー装置100が示されている。このオイル品質分析センサー装置100は、フィルター・リング154を含み、該フィルター・リングは、図16に最もよく示されるように、オイル・フィルターの一つ(例、フィルター94)とうまく組み合わされる大きさとされる。図18乃至図19に示すように、フィルター・リング154は、複数の通路156を含み、エンジン・オイルがこれらの通路を通ってオイル・フィルターに達するようにオイルの流れを分路してO−リング157にかかる圧力を低減し、それによってシールに完全さを確保する。
【0082】
第18−21を組み合わせて参照して、装置100は、フィルター・リング部分154と流体連通するネック部分159を含む。センサー・ハウジング部分160も、フィルター・リング部分154と流体連通している。好ましくは、ネック部分158は、その中に配置された少なくとも二つの流体通路を含む。通路162は、エンジンからセンサー・ハウジングへオイルを供給するためのものであり、通路164は、本発明にもとづいてオイル品質分析を行なった後にオイルをフィルター94へ戻すためのものである。センサー・ハウジング部分内には、オイル・センサー・グリッド166、および、フランジ169、ブラケット171、およびボルト173によってハウジングに固定されている電磁石168が配置されている。オプションとして、この場所に粘性センサーを配置し、とくに図38を参照して後に詳細に説明する方法でこれを使用することもできる。
【0083】
図22及び図23は、オイル・センサー・グリッド166を示す。好ましくは、センサー・グリッド166は、セラミック基板172で形成され、複数の同心状3層導電性金属トレース170を含むものとする。該トレースは、耐腐食性のために金の上端層を有する。センサー・グリッド166は、トレース(金の層)が通路162から通路164間のエンジン・オイルの流れに対向するようにセンサー・ハウジング160内に配置される。O−リング190は、エンジン・オイルを拘束し、オイルがセンサー・ハウジングの他のチャンバー内に漏れ出すのを防ぐ。
【0084】
図20に示すように、センサー・グリッド166は、回路盤174に電気的に接続されており、該回路盤は、センサー・グリッドに適当な信号をあたえて本発明にもとづくエンジン・オイル品質分析を行なえるようにする波形発生装置を含む。わけいは、電磁石168の励起に合わせてセンサー・グリッド166にあたえられる。該電磁石は、(エンジン上に設置される場合)センサー・グリッド166下方のセンサー・ハウジング内に配置されている。電磁石168は、一対の入れ子式コイルを含むが、これらは、図9乃至図12に示して説明したように内側コイルと外側コイルである。一実施形態にあっては、センサー・グリッドにあたえられる波形は、方形波または切りつめた正弦波である。このような波形がグリッドにあたえられると、内側および外側コイルが交番で励起される。
【0085】
図24は、センサー・ハウジングのオイル入口通路162、測定チャンバー165、オイル出口通路164、およびセンサー・グリッド166を含む部分を示す。図は、数種類の汚染物質がセンサー・グリッド上に収集されその他の汚染物質はオイルの流れの中に存在するような典型的な用途で使用されているオイル・センサーを示す。汚染物質は、煤の蓄積物、含鉄および非鉄磨耗粒子194、水196などを含む場合がある。図示の例では、磨耗粒子と水は、測定チャンバーの底に沈殿してセンサー・グリッド上にのっている。同じく検出される他の汚染物質には、燃料、グリコール(冷媒)、ナトリウム、ケイ素、スズ、鉛、銅、鉄、クロム、およびアルミニウムを含まれる場合がある。この蓄積期間中、電磁石励振装置198には電荷があたえられていない。あらかじめ定められた規定の時間が経過した後、電磁石励振装置には図示の制御論理で求められる適当な周波数で正の電荷と負の電荷が交番であたえられる。このことに関しては、図43乃至図48を参照して詳細に説明する。
【0086】
誘電媒体であるオイルとセンサー・グリッドによる影響を受けた有効周波数感応性は、以下に説明する本発明の方法にもとづく分析を受けるために制御論理に伝えられる。同時に、センサー・グリッド内で誘起された交番する電荷が作用してセンサー・グリッドの面に磨耗粒子および水の分子の蓄積を防ぎ、その結果、オイルが測定チャンバーを通って連続して流れ、またグリッドが掃引されて清浄化される。図示のセンサー・ハウジングの具体的構造に応じてある期間が経過した後、これらの蓄積物がセンサー・グリッド上に恒常的にたまってオイルの流れがグリッドを洗浄するのに不十分となった場合には、そのような状態が検出されてセンサー・グリッドが交換される。
【0087】
図31乃至図35を参照して以下に説明する他の構造のセンサー・ハウジングにあっては、測定チャンバーを通るオイルの流れの動態が変えられ、センサー・グリッド上の水、磨耗粒子、または煤の恒常的蓄積を確実に防ぐ他の方法が用いられる。
【0088】
今までに説明した実施形態にあっては、センサーは、単一のセンサー・ハウジングと制御論理によって励起される単一のセンサー・グリッドを有する構成であった。これと同じ基本構成を他のグリッド型センサーまたは一対のグリッド型センサーと組み合わせて用いれば、エンジン・オイルを比較分析する方法を採用することができる。図25乃至図30は、比較分析法に用いるオイル分析センサーの例を示す。これらの中で、第27−29に示すものは、単一の付加的センサー・グリッドを用いるものであり、図25及び図30に示すものは、一対の付加的センサーを用いるものである。
【0089】
図25は、すでに説明した種類の三つの個別のグリッド・センサー200、202、および204を含む比較式オイル品質センサー構成を示す。この特定の実施形態にあっては、オイル・フィルター素子206は、円筒状で、ハウジング208内に取り付けられている。円筒状のフィルター素子206は、穴の開いた内側の中空のスリーブ218を含む。これによって、フィルター・ハウジング、フィルター206、そして穴の開いたスリーブ218を矢印220のように通るオイルの連続する流れが生じ、その流れは、矢印222の方向に出ていく。図示のハウジングは、その下端部に三つの個別の口210、212、および214を有する。すでに説明した三つの個別のセンサー・グリッド200、202、および204は、その各々が対応するそれぞれの口の下に配置されている。これによって、一つの大きいフロー・チャンバー224の内部に三つの個別のチャンバーが形成される。大きいフロー・チャンバー224は、一対の垂直方向に配向されたバッフルまたは案内部材226を含み、これらの部材は、オイルの流れを効果的にそれぞれのセンサー・グリッドの上方にある三つの個別の流路へ案内する。
【0090】
案内部材226は、外側センサー・グリッド200および204上のオイルの流量をほぼ等しくし、中央のセンサー・グリッド202上を通るオイルの流量をそれとはかなり異なるものとするように配置されている。すなわち、汚染物質が異なる割合で蓄積されるようにオイル・フロー特性が設定されている。外側センサー・グリッドの一方にはさらに永久磁石を配設し、オイル中の含鉄粒子と非鉄粒子を区別する手段とする構成も可能である。さらに、中央のセンサー202にも永久磁石を配設して、オイル中の含鉄粒子および非鉄粒子の銅殿変化率を比較することも可能である。
【0091】
構成のオプションとして、センサー・グリッド200、202、および204は、使い捨てセンサー・グリッドとしてフィルターハウジングの底壁に恒常的に実装し、フィルター・ハウジング自身を使い捨て式とすることも可能である。センサー・グリッドの構造は、特定の用途で予想されるオイル排出の最大期限までより少なくともわずかに長い寿命を示すように設定される。
【0092】
次に、図26を参照して、矢印228は、オイルののぞましい排出基準を示す。すべてのセンサー・グリッドは、ひとたび機能不全状態におちいると特定の周波数に達するように設計されている。例えば、図26に示す周波数特性を有するセンサーでは、機能不全状態に対応する周波数は、毎秒約23000サイクル(Hz)である。グリッド200および204の周波数感応性は、約10000マイルでずれ始めることがわかる。この変動は、該二つのセンサー・グリッドでの意図的な流れと電荷の差によって生じるものである。比較測定を行なうことによって、煤の効果を他の汚染物質の効果およびオイルの劣化の影響から分離することが可能となる。また、図15を参照して説明したと同様な始動時および停止時の測定によって、水の汚染効果を定量することができる。
【0093】
さらに、グリッド・200および204からの信号を比較して、累積磨耗および磨耗率の傾向を推定することもできる。捕捉された磨耗粒子の累積効果は、センサー周波数を十分に大きくシフトさせるため、上に述べた目的を達成することができる。図26から、センサー・グリッド204では、周波数の突然の低下が約4000マイルで発生することが理解されよう。これは、おそらくは鉄を含む構成部品の磨耗によって生じる含鉄粒子の汚染物質の生成を増大させる一回だけのできごとであることを示している。センサー・グリッド204の感応周波数のその後の傾向は、オイル排出期間を通じて磨耗が続いているが、その後に目立ったできごとは生じていないことを示している。
【0094】
図27及び図28は、比較式オイル品質センサーの他の実施形態を示している。このシステムは、図18乃至図21に示したシステムに比して、温度および圧力依存性を知ることができる効果を有する。好ましくは一次測定グリッド230と同じ基板上に配置された第二の「基準」センサー・グリッド232によって基準信号が供給される。図示のように、基準センサー232は、膜238によって隔離された環状ハウジング236内に基準流体234を収容している。該膜は、好ましは基準流体とサンプル流体の間の圧力差に対応できるように可撓性の材料でつくられる。したがって、基準周波数感応性には感圧性が含まれる。
【0095】
理想的には、基準流体は、テスト流体とほぼ同様な温度特性を有し、汚染されていないまた劣化していない溜まり流体と同じ流体とすることができる。すなわち、基準流体すなわちオイルは、サンプル流体と同じ温度依存特性を示す。この特定の分析方法では、予想されるオイル排出の最大期限までの間、基準オイルが安定した状態にとどまることを仮定している。実際には、基準オイルは、高温にさらされると劣化するであろう。合成オイルは、高温のさらされてもそれほど劣化しやすくないので、各オイル交換ごとに新しい基準オイルを再実装するよりは、基準オイルとして合成オイルを使用するほうが好ましいかもしれない。
【0096】
やはり図27及び図28を参照して、センサー・グリッド板240は、すでに説明した方法など多数の方法から任意の方法を選んでハウジング242に固定することができる。グリッド装置の他の構造上の特徴は、すでに説明したものと同様である。
【0097】
オイル品質分析法に関しては、基準センサー232は、サンプル・センサー230と同じ温度、圧力、および他の外部的環境条件への応答特性を示す。測定チャンバーの条件が変化すると、基準材料および基準測定システム(センサー)の感応性もそれに応じて変化する。基準センサーおよびサンプル・センサーは、環境の影響に同じように感応すると仮定することができる。基準材料は、制御できる量以内の量でハウジング236に収容されてオイル・サンプルおよびサンプル・センサーと熱平衡状態に保持された安定したオイル、例えば上に述べたような合成オイルまたは他の材料(必ずしも液体でなくともよい)でなければならない。のぞましくない環境の影響がどのように複雑であっても、サンプル・センサー周波数と基準センサー周波数の比を適当に設定することによって、その影響を排除することができる。この方法は、図18乃至図21の単一センサー構成の精度を高めるために用いられるサーミスタおよび非線形補償論理の使用を排除することができる。
【0098】
図29は、二重センサー比較式オイル品質感知システムの他の例を示す。図示のように、全体を250で示すハウジングは、任意の適当な方法でエンジン・ブロックに取り付けるように配設されている。オイル充填装置のネック部252から、収集エルボ254を通り、さらに通路256を通ってオイルの溜まりまで流体連通が確保されている。収集エルボ254の基部にある口260は、オイル・サンプル検査チャンバー262と連通している。検査チャンバー262の高さは、収集エルボ254の高さより小さく、通路256より下方にある。検査チャンバー262の基部には、すでに説明した種類のセンサー・グリッド272が配設されている。同じハウジング250内には、検査チャンバー262に隣接して第二の検査チャンバー264および例えば図18乃至図21を参照して説明したと同様なセンサー・グリッド274が配設されている。換言すれば、第二の検査チャンバー264内では、使用エンジン・オイルが、常時、入り口266から、センサー・グリッドを通りまた出口通路268およびすでに述べたようなすなわちオイル・フィルター94のような公知のフィルター構成を通って循環している。
【0099】
この方法を用いることによって、収集エルボ254は、オイル充填装置のネック部252から新しいオイルを収集する。収集されたサンプルは、基準オイルとして役立ち、また収集エルボの構成によって、起こり得ないと思われる補給オイルの追加分を補償するオイル混合物を保持することができる。
【0100】
図30に示す他の実施形態にあっては、エンジン停止分析の間に汚染物質検出感度が高められる。この構成では、三つのセンサー・グリッド280、282、および284が使用される。センサー・グリッド280および282は、濾過されてないオイル通路286内に配置され、センサー284は濾過されたオイル内に配置される。センサー・グリッド280は、センサー・グリッド282の上に逆転して配置される。比較的小さい磨耗粒子は、比較的大きい磨耗粒子より長い時間懸濁液中にとどまり、センサー・グリッド280によって検出されると考えられる。懸濁し乳化した汚染物質がオイル・サンプルから沈殿し始めると、センサー・グリッド282が汚染物質の蓄積を測定する。比較的大きい粒子がセンサー・グリッド282へ落下した後でも、比較的小さい粒子はセンサー・グリッド280によって検出されるであろう。付加的なキャパシタ板として作用する部分的に荷電した粒子のために、センサー・グリッド280によって検出されるキャパシタンスは増大する。しかし、センサー・グリッド282へ向かう粒子の移動は、最終的にはセンサー・グリッド280の周波数感応性にも影響する。荷電粒子がオイルと通って沈降するために、最終的にはセンサー・グリッド282でも相補効果が観察されるであろう。
【0101】
グリッドの感応性の間の時間の遅れは、定量してさまざまなセンサー測定分析アルゴリズムに使用することができる。両センサー・グリッド280および282の測定値を比較することによって、オイルに含まれる汚染物質に関するユニークな情報が得られる。この方法を用いれば、粘性の影響も観察できるであろう。
【0102】
オイルの粘性が増大すると、二つのグリッドの感応性の間のリード時間の遅れが増大する。センサー・グリッド284は、濾過された(汚染物質のない)オイル内に配置されており、基準信号を供給する。センサー・グリッド284の測定値をセンサー・グリッド280および282の測定値と比較すれば、オイルの全体的な劣化から汚染物質の作用を取り出すことができる。
【0103】
図31は、図18に示したセンサー・グリッド・ハウジングのオイル・フロー・チャンバーを立体的に示したものである。これは、ハウジング内でオイル・フロー・チャンバーを鋳造するために必要な成型コアの概要を示す図でもある。すなわち、入り口通路300、出口通路302、ほぼ垂直に配向した検査チャンバー304、および、オイル・センサーおよびグリッド装置を収容する点線で示したハウジングの中ぐり306が立体的に描かれている。通常の作動時には、循環するオイルは、検査チャンバー304の側を通り、センサー・グリッドの表面を横切って流れる。流れが十分に減少しまたは停止すると、検査チャンバー304は、付加的なオイル量を供給する「静的ジャンプ」として作用し、この付加的なオイル量は、(センサーの面を横切るように流れて汚染物質を洗い去るのではなく)センサー・グリッドの上に直接下りて測定感度を高める。
【0104】
図32は、図31と同様であるが、静的ジャンプを提供するためのチャンバーのないハウジング構成の他の実施形態を示す。したがって、検査チャンバー310の中には、入り口312から検査チャンバー310を通り、中ぐり314内に配置されたセンサー・グリッドを横切って出口通路316から出る連続した流体の流れが存在する。好ましくは、第31および32図のオイル・フロー・チャンバーは、かなり薄い層状のオイルの流れを生成するように構成される。
【0105】
図33及び図34は、ハウジング・コアの型状の構成の他の実施形態を示す。したがって、これらは、センサー・ハウジング330の異なる実施形態である。図33では、ハウジングは、332で示す複数の適当に配向した羽根を含み、ヴェンチュリの流れのパターンを生成する構成となっている。これによって、全体を334で示す主オイル・フロー・チャンバーが複数のコンパートメントに分割され、フロー・コンパートメント336は、外側通路340と連通する。その結果、外側通路でのオイルの流量が増大し、センサー・グリッドを通って流れる流体の全圧力低下が増大する。その結果、流れが増大し、センサー・グリッドからの粒子の洗浄が容易となる。
【0106】
図34では、コアの型が複数の垂直に向けられた羽根352を備え、これらがハウジングを複数のフロー・コンパートメント356に分割している。これまでの構成とは異なり、センサー・グリッドへの入り口通路は、平行な通路360および362に分割され、これらは、センサー・グリッドの近くで合体する。これによって、センサー・グリッドの上方に垂直なオイルの柱が形成され、センサー・グリッドのオイル流量は、フロー・コンパートメント356のそれよりかなり低くなる。ただし、この柱の上端近くには小さなオリフィス364が配設されて、小さなオイルの循環が確保される。垂直なオイルの柱は、拡大された検査チャンバーとして機能し、より多くの汚染物質がセンサー・グリッドの上に蓄積することができ、したがって測定感度が高まる。
【0107】
図35は、図31乃至図34に示すコアの型と同様であるが、オイルの流れを配向する複数のらせん状羽根370を有するさらに他の実施形態を示す。もちろん、特定の用途に応じて、図31乃至図35に示す流れのパターンを組み合わせて使用することができる。
【0108】
本発明の他の側面にもとづけば、図36に示すように、センサー・グリッド380を回路盤382に取り付ける方法が提供される。例えば図22に示すようなセンサー・グリッドには、複数の剛性の接続ピン384が配設され、それらは、各々が対応するコンタクト・パッド386に導電接続され、またセラミック基板388を通ってそれに結合されている。セラミック基板388は、さらに、下方接地面として機能する導電性金属相390を有するファイバーグラス・ラミネートなどの盤に結合されている。つなぎひも292は、その一端が下方接地面に取り付けられ、他端が回路盤382に取り付けられている。回路盤は、さらに、各剛性の接続ピン384に対応して盤に取り付けられたピン394を有する。
【0109】
剛性のコネクタ(ジャンパー)は、盤に取り付けられたピン394とセンサー接続 ピン384の上を滑動するように配設され、センサー・グリッド・ピンが穴398を通って回路盤に挿入されたときに該両方のピンを電気的に接続する。
【0110】
図37に示すように、電磁石、センサー・グリッド、およびセンサー・ボード/カードは、単一で一体の構成部品400として配設することができる。したがって、図20を参照して、電磁石をハウジング内の所定の位置に保持するために用いられている同じ取り付けフランジ169を用いて一体の装置400全体をハウジングに保持し、側部取り付け式のセンサー・ボード174、センサー・グリッド166、およびカバー176を除去することもできる。
【0111】
図38に示す本発明の他の実施形態にあっては、図18乃至図21に示すセンサー・グリッド・ハウジングに、回路盤カバー412と一体形成の一連の冷却フィン410が配設されている。これらは、センサーを通って循環するオイルから発生する熱を発散させる作用を果たす。これによって、好ましい実施形態にあってはマイクロプロセッサを用いて実装されている制御論理を含む回路盤の構成部品の性能に悪影響をあたえるような高温が生じる可能性が少なくなる。図示のように、センサー制御論理は、電子制御モジュール414の制御論理に機能的に接続されている。また、別個の粘性センサー416は、電子制御モジュールに接続されている。図38に示す構成部品は、図17を参照して説明したものと同様である。
【0112】
本発明にもとづけば、エンジン・ブロックとオイル・フィルターの間にオイル・センサー・ハウジングを配置する必要はない。図39及び図40に示すような他のオプションも利用可能である。
【0113】
例えば、図39に示すように、オイル・センサー・ハウジング420をエンジン・ブロック422とオイル・クーラー424の間に配置することもできる。
【0114】
これまでの実施形態と同様に、オイル・パンまたは溜まり428からのオイルを搬送するポンプ426からくる濾過されないオイルは、オイル・センサーを通って循環する。この濾過されないオイルは、センサーを通り過ぎた後、公知のオイル・クーラー424へ送られ、該オイル・クーラー装置と一体構成とすることのできるオイル・フィルター430を通るように循環する。濾過されたオイルは、次に、オイル・クーラーの熱交換部分を通過し、さらにライン43を通ってエンジン・ブロックへ送られる。図40に示されるように、のぞむ場合には、センサー・ハウジングとオイル・クーラーは、単一のハウジング434内で一体化させることができる。
【0115】
図41は、異なる補給オイルを追加するために補正するベースライン曲線を校正するための方法あるいはシステムを示す。換言すれば、ベースライン曲線の校正は、溜まり450へ追加される品質、ブランド、粘性等の異なるオイルに対応するためのものである。このシステムは、オイル・フィルター454と流体連通している補給オイル貯蔵部452を含む。もちろん、オイル・フィルター454は、オプションである。補給オイルは、該オイル・フィルターから通常は閉じられておりフロートまたはそれと同様なセンサー458からの信号にもとづいて開位置へ動かされる制御弁456へ供給される。制御弁456は、溜まりのオイル・レベルがあらかじめ定められたレベルを下回ると開く。したがって、制御弁が開くと、補給オイルが貯蔵部452から流量計460を通りオイル品質センサー462へ流れる。好ましくは、オイル品質センサー462は、潤滑システム内の他のオイル・センサーに加えて配設される。オイル品質センサー462の機能は、貯蔵部から追加される補給オイルの品質および/または種類を判別してこの情報を制御論理へ供給することである。これによって、制御論理は、ベースライン校正曲線およびそれに続いて行なわれる計算を更新して最適のオイル排出間隔を示す。
【0116】
図18乃至図41を参照して上に述べた各種の構成は、さまざまな取り付けオプションを示す図42にその概要が示されている。チャンバー468として示されるのは、図30に概要を示す互いに重ね合わせて配置された二重センサー構成を用い、オイル内の汚染物質に対する重力の効果を測定するオイル品質センサーである。単独で使用する場合には(すなわち、センサー配置の他の説明を無視する場合には)、このセンサーは、ポンプ470からの濾過されないオイルを処理し、オイル・フィルター472を通過する前にすでに詳細に説明した方法でその分析を行なう。チャンバー474として示されるのは、基準流体とチャンバー468を通る濾過されていないオイルの比較を行なうために内部に適当な基準流体を入れたオプションの基準センサーである。この一般的な構成は、図27を参照してすでに説明したものであり、チャンバー474は、基準チャンバー、流体、およびセンサー232−238に対応する。
【0117】
さらに図42を参照して、センサーは、図30に示す実施形態に関連して説明したように互いに重ね合わされた二つのセンサー・グリッドが配設されたものとすることができる。また、センサーは、図25に示す実施形態に関連してすでに述べたように、オイル内に存在する含鉄および非鉄磁性汚染物質を区別できるように永久磁石を備えたものとすることができる。図42のチャンバー478および480で示すように、濾過されないオイルは、分岐されたオイル流路482および484に添って分割することができる。これらの流路は、それぞれ関連する流量M2およびM3を示し、図25に示す実施形態に関連してすでに説明したような複数のセンサーの上を通る濾過されないオイルの異なる流量の効果の検査に対応することができる。さらに、チャンバー486で示されるのは、図30の実施形態に関連してすでに述べたようにオイル・フィルター472の濾過されたオイル側に配設することのできる基準センサーである。最後に、チャンバー490で示されるのは、オイル充填装置のネック部492のエルボに配設することのできるオイル品質センサー・グリッドである。これによって、図29の実施形態に関連してすでに述べたように、オイル品質を分析するとき、制御論理が溜まりのオイルへ追加される補給オイルの効果を考慮することが可能となる。
【0118】
全体を494で示すハウジングによって仕切られた状態で示してあるセンサー・グリッドの位置は、図40に関連して説明したように、オイル・クーラー・ハウジング内とすることができる。あるいは、センサーは、図18乃至図22の実施形態に関連して説明したようにエンジン・ブロックとオイル・フィルターの間に配置される中間ハウジング内に配置することもできるし、あるいは、図38の実施形態に関連して説明したようにエンジン・ブロックとオイル・クーラーの間に配置することもできる。
【0119】
次に、図43乃至図51を全体として参照して、これらの図は、好ましくは、図1の制御論理52のような制御論理または図17のECM104、データ・ハブ110、またはOQS120によって行なわれるオイル品質分析を実施するための方法を示す。図15に示すように、大型ディーゼル・エンジンなどの通常の機械は、その作動および休止サイクル中の特定の時点に応じて特徴的なオイル品質測定値を示す。したがって、サイクルの各部分、すなわち、始動時、走行時、および停止時での多数の測定値を得ることがのぞましい。
【0120】
好ましい一実施形態にあっては、使用の各段階での分析方法は、残存オイル寿命見積りプログラム(ROLE)の計算を使用することによって予示される。ROLEは、相対的なオイルの寿命を示すものである。ROLEの最大値は、例えば100など任意のあらかじめ定められた値に設定され、理想的な条件のもとで使用されるエンジンでオイル交換直後に利用可能な最良の潤滑油(例えば、合成油)をあらわすものとされる。負のROLEの値は、のぞましいオイル排出間隔に違反したことを示す。このような違反は、サービス要員が後に検索できるように記録される。さらに、車両のオペレーターには、計器盤のライトなどで警告をあたえる構成とすることもできる。
【0121】
ROLEは、のぞましいオイル交換間隔を示すために用いられる。したがって、ROLEが例えば10などのあるあらかじめ定められた値に達したとき、オイルの排出が指示される。しかし、のぞましいオイル交換を示すROLEの値は、オイルの劣化の速度にもとづいて使用中に変更されることが好ましい。もちろん、本発明の精神または範囲を逸脱することなく他の方法を採用することも可能である。
【0122】
ディーゼル・エンジンに用いられる場合には、始動時の分析は、好ましくはエンジンの点火時に開始される。エンジンの使用時間、車両の走行距離、前回のROLE計算から経過した時間など多数のパラメーターにもとづいてROLEを計算するために、エンジンのウォームアップ中に連続測定が行なわれる。休止期間が長ければ、センサー・グリッド上により多くの粒子が蓄積するため、休止期間の長さも、始動時のオイル品質センサーの測定、グリッドの詰まりおよび洗い流し分析に関係する。
【0123】
始動したら、オイル品質センサー(OQS)は、休止期間中にオイルの排出が行なわれたか否かを判別しなければならない。サービス要員がシステムにオイル交換を指示し、その結果、フラッグがセットされてセンサー・グリッドへ送られる場合もある。しかし、この情報が誤っている場合や事故で省かれる場合もあり得る。したがって、制御論理は、自動的にオイル交換を検出し、前回のベースライン校正を置換する前にこの信号を確認する。多くのオイル品質パラメーターは、新しいオイルが劣化したオイルにとって代わったとき顕著に改善されるため、オイル交換は、これらのパラメーターによって示される。本発明によって行なわれる適当な温度補償によって、キャパシタンスにもとづく測定値は、オイル交換の適当な指標となる。ただし、オイル交換の検出の信頼性は、粘性および汚染物質のレベルの変化を検出することによっても高めることができる。もちろん、オイル交換の表示の信頼性を高めるために他の多くの測定値を用いることもできる。
【0124】
ROLE判別の不正確さから生じる構成部品の磨耗または損傷の増大の可能性を少なくするためには、特定の用途および予想される使用条件にもとづいてあらかじめ定められた安全限度を設定することもできる。例えば、30000マイルまたは1500エンジン使用時間などの安全限度を設定して、現在のROLEの判別結果のいかんにかかわらず、これらの安全限度に達したときにオイル交換を指示することもできる。同様に、使用する潤滑油の種類に応じて省略時のオイル排出間隔を設定することもできる。例えば、効果的な濾過処置を維持すれば、ほとんどの合成油は、ほとんどの鉱物油より長い排出間隔で安全に使用することができる。したがって、合成油には鉱物油より長い省略時排出間隔を割り当てて、不必要なオイル交換をなくすようにすることが好ましい。この省略時オイル排出間隔は、高い初期ROLE値に対応するものである。本発明にもとづくオイル品質分析システムによって得られる付加的な測定値を用いれば、省略時または安全排出間隔を現在のぞましいとされるものよりはるかに長く伸ばすことが可能となる。
【0125】
このようにして、初期の始動期間中に、温度の関数としての特徴的な周波数感応性にもとづいてオイルの種類を推定することができる。温度の関数としての粘性の変化を利用して、特定のオイルの種類の確認に役立てることもできる。オイルの種類が識別されれば、適当なROLEを初期設定することができる。この値は、ユーザーが選択できる安全係数を用いて修正することもできる。例えば、ユーザーが選んだ安全係数が10であるとすると、ROLEの初期設定値が10パーセント低減され、検出された特定のオイルの種類に関する省略時の値より早くオイルの排出が指示されることになろう。
【0126】
前に述べたように、オイル品質センサーおよびオプションの粘性センサーを用いて、エンジンの通常の使用時にデータを収集することがのぞましい。すでに説明した実施形態の電磁石を励起すれば、エンジン使用中に付加的な含鉄磨耗粒子や有極分子を引き付け、センサー・グリッドの遠隔洗浄のために電磁石を周期的に反転させることができる。洗浄工程中に得られた測定値を用いれば、すでに測定した含鉄粒子の濃度を確認することができる。エンジン速度(したがってオイル流量)の関数としての含鉄粒子蓄積速度の差を用いて、汚染物質の粒子の大きさに関する情報を得ることもできる。
【0127】
エンジン使用中のデータ収集によって、多くの目的を達成することができる。
【0128】
センサーの電磁石を断続的に励起する方法を用いて荷電/放電の頻度を測定し、オイルの誘電値を示すこともできる。走行中の測定によって、酸化/窒化、オイルの種類、水分含有量、煤、および他の非金属汚染物質を示す値を得ることができる。エンジン使用中、エンジン停止の事故なしにあらかじめ定められた時間間隔が経過した場合には、測定データは、制御論理によって受け取られる。以下により詳細に説明するように、データを用いて、誘電性の傾きを測定し、傾向分析、悪いサイクル条件によって生じる突然の変化の検出、および測定値の信頼性を高める目的で煤のレベルと比較するための粘性の変化の傾向の検出などを行なうことができる。エンジン使用中に収集されたデータは、また、洗い流し/洗浄効率およびセンサー・グリッドの詰まりを示すために用いることもできる。この種の分析の準備のためには、エンジン速度、オイルの粘性、およびオイルの温度に関する情報を収集することが好ましい。
【0129】
本発明の好ましい一実施形態にあっては、エンジン停止分析は、エンジンが停止する度ごとに行なわれる。エンジンの停止後、好ましくは10分を限度としてあらかじめ定められた期間、センサーへの電力の供給が維持される。また、この期間中、センサー・グリッドの上の静止したオイルの柱が保持されて、オイル中の粒子がセンサー・グリッド上に沈殿できるようにすることが好ましい。時間に依存するセンサー周波数の傾向を検査すれば、汚染物質の量および性質を識別することができる。すでに説明したように、磁場束パターンを操作して含鉄粒子を配向し、検出感度を高めることができる。停止測定中にオイル温度は低下するため、グリッドに取り付けたサーミスタが現在のオイル温度を示すようにし、それを用いてセンサーの周波数感応性を補償し、問題の温度域での正確な比較が行なえるようにする。
【0130】
オイルの粘性は、汚染物質がセンサー・グリッド上に沈殿する速度に影響するため、停止データを分析するときには、(温度補償後の)前回の走行サイクルでの有意の粘性の移動を考慮する必要がある。例えば、大きな煤の蓄積を誘起したエンジンの停止に先立つ長い使用期間では、(全温度域で)オイルの粘性が大きく増大するものと思われる。したがって、停止分析中の汚染物質の沈降時間は延長される。粘性情報を考慮しないと、停止分析中に汚染物質の相対的な減少が検出される。逆に、燃料の希薄化は、オイルの粘性を低下させ、汚染物質の沈降時間を減少させる可能性がある。いずれの状態も、誤ったオイル交換の指示あるいはのぞましいオイル排出間隔の不適当な引き伸ばしを招くおそれがある。長い期間停止測定を行なうことによって、また、粘性の効果を示すことができる。
【0131】
次に、図43a及び図43bを参照して、これらの図は、エンジン潤滑システムで基本的な連続オイル品質分析を行なうための本発明の一つの方法を示すフローチャートである。このフローチャートおよび図43乃至図48に示すフローチャートは、この方法のステップの順次処理を示すものであるが、本発明の精神あるいは範囲を逸脱することなく多くの処理方法の中からいずれかを選んで利用できることを理解されたい。例えば、制御論理がハードウエアで実装される場合には、この方法のステップの多くは同時にまたはほぼ同時に実行できるであろう。
【0132】
同様に、本発明の目的を達成しその効果を挙げるために、割り込み駆動処理を利用することもできる。ニュートラルネットワークまたはファジー論理を利用した適応処理などを用いる平行処理技術を用いて本発明の方法を実施することもできる。
【0133】
図43aのステップ500、502、および504は、対応するサブルーチンを用いてオイル品質分析に関係するほぼ同時に得られるさまざまなエンジン・データを分析するステップである。制御論理は、図示のように主プログラムといくつかのサブルーチンをもつトップダウン構造を有することが好ましい。ただし、当業者には公知のように、サブルーチンで実行される制御論理を主プログラムに組み込むことも容易である。同時に得られるエンジン情報を用い、ステップ510ないし516で行なわれる個々の分析に対応して具体的なメッセージを車両のオペレーターに提供することもできる。この情報は、また、ステップ526で示す全体の共働作用的分析に利用される。ステップ500では、アーム使用時間を示す値が検査されて、妥当なオイル品質パラメーターの予想が行なわれる。システム・パラメーターは、エンジン時間数にもとづくさまざまなオイル交換スケジュールに対応するように調節することができる。例えば、あらかじめ定められたまたは適応自在の試運転期間中の新しいエンジンのためには、比較的短いオイル排出間隔を指示することもできよう。同様に、古いエンジンで生じた構成部品の磨耗に対応するために、のぞましいオイル排出間隔を短縮することもできる。
【0134】
次にステップ502では、最後のオイル排出以降のエンジン時間数が判別される。
【0135】
図43aのステップ504では、サイクル分析が行なわれて、エンジン使用サイクルの相対的苛酷さが判別される。ひどいオイルまたはエンジンの劣化を生じるおそれのあるエンジン使用の諸側面を識別した後は、相対苛酷度を1から10までの間の値であらわすことが好ましい。このサイクル苛酷度は、ROLE計算を適当に調整するために用いられる。例えば、イオウ濃度の高い燃料を用いて極端な使用温度でエンジンを過度にアイドリングさせれば、苛酷な使用条件が表示されることになる。それに対応してサイクル苛酷度5の値が示され、ROLE計算では通常の使用サイクルのROLEに比して50%の減少が生じることになる。
【0136】
さらに図43aを参照して、ステップ506では、長い期間にわたって測定されたエンジンおよびオイル・センサーのデータを用いた傾向分析が行なわれる。この傾向分析は、適当な統計を用いてエンジン使用サイクル、エンジン・オイル品質測定値、およびエンジン・パラメーター・データの傾向を検出するものである。好ましい一実施形態にあっては、オイル排出間隔の後半にわたって各パラメーター曲線の傾きと標準偏差がモニターされ、オイルの徐々の劣化を示す傾向が検出される。さらに、オイル排出間隔の最後の10%の期間にわたって傾きと標準偏差が検査され、突然の磨耗、汚染物質の侵入、または新しいオイルが追加されたことを示す比較的突然の変化が検出される。
【0137】
ステップ508では、上に説明した使用条件の指標にもとづいてオイル分析計算を行なう頻度が判別される。苛酷なサイクルが検出された場合には、通常の使用サイクルの場合より頻繁にオイル分析が行なわれる。すでに説明したように、オイル分析は、エンジンの自動または停止のすぐ後に行なうことが好ましい。オイル分析は、他のさまざまなエンジン条件が発生したときにも行なわれる場合がある。ステップ508で、現時点ではオイル分析が指示されないことが判別された場合には、方法がステップ524へ進む。オイル分析が指示された場合には、方法はステップ510へ進み、粘性分析が行なわれる。この粘性分析は、粘性を測定し、以下に詳細に説明するようになんらかの問題が検出されればそれを示すように適当なフラッグをセットするものである。粘性分析は、サイクル傾向分析、粘性傾向分析、および現在のエンジン使用パラメーターにもとづいて行なわれる。粘性分析サブルーチンは、図44a及び図44bを参照して詳細に説明する。
【0138】
同じく図43aに示すように、ステップ512ではオイルビュー分析が行なわれる。冒頭に言及して参考資料として本出願に添付したアメリカ合衆国特許第5262732号に開示されているように、この分析は、腐食指数、汚染指数、強磁性粒子指数、および累積強磁性粒子パラメーターを含む多くの有用なオイル品質指数を提供するものである。次に、ステップ514では、オイルに関する全ベース数TBNが判別される。エンジン・オイルに関するこのTBNの値は、オイルに入る酸性燃焼生成物のために低下する。一般に、TBNの値は、オイルの腐食の可能性を示すが、上で判別された腐食指数とは必ずしも相関しない。すなわち、ステップ514では、サイクルの苛酷さ、エンジン時間、TBNの傾向等に関してTBNの分析が行なわれる。許容できないTBN値を示すために適当な状況フラッグがセットされる場合がある。
【0139】
図43aのステップ516では、エンジン時間、オイル時間、および経時的傾向の面から含鉄および非鉄磨耗粒子の分析が行なわれる。通常、この分析は、エンジンの停止後に比較的よどんだオイル・サンプルを用いて行なわれる。磁場をあたえた場合とあたえない場合で、センサー周波数感応性が測定される。次に、測定値が、含鉄および非鉄粒子の濃度を示す校正ファイルと比較される。すでに述べたように、異常な状態が検出されれば、オペレーターに具体的な勧告が出されるか、あるいは単にステップ526で行なわれる共働作用分析へデータが送られる。
【0140】
図43aのステップ518では、水またはグリコール冷媒およびシリコン粒子など各種の汚染物質の質および性質が判別される。水とオイルの誘電性は有意に異なるため、センサー・グリッドは、水の汚染にきわめて敏感である。水の濃度が増大すると、センサー周波数は減少する。しかし、大型エンジンのオイルは、通常、少量の水を分散させる添加剤を含んでいる。これが、水の濃度が低い場合には水を検出するセンサー・グリッド能力に影響し、また水の量が増加した場合の検出特性にも影響する。水の含有量が過度になると、オイル中の添加剤が有効に機能することができなくなり、濃い乳化液が形成されるおそれがある。この現象は、低温の外気条件で使用されるメタノール・エンジンおよびガソリン・エンジンでより頻繁に起こる。
【0141】
水は、燃焼の通常の副産物であり、燃焼室から逃げ出して他の燃焼がストとともにクランクケースに入り込む。さらに、水は、エンジンとオイルが冷却されるにしたがってオイルの溜めの中で濃縮される。水は、通常、水とグリコールの50:50の混合物である冷媒とともにクランクケース内に入り込むおそれもある。エンジン・サービス(すなわち、シリンダー・ヘッドの取り外し)の後でオイルが排出され交換されない場合あるいは冷媒の漏れが発生した場合、冷媒の汚染が発生する。後者は、一般的な障害の形ではないが、それによって溜めの中に大量の冷媒が入り込むおそれがある。水は、エンジンの磨耗に悪影響をあたえ、オイル中の添加剤を枯渇させる。オイル中の水は、イオンの流動性を高め、それに続いてエンジン構成部品の腐食を招く。その結果生じる酸化物の層が、エンジンが始動したときにより迅速な磨耗を起こす。大量の水は、オイルと十分に混ぜ合わされると濃い乳化液を形成する。乳化されたオイル/水の混合物は、オイルの流れを制限し、正規の潤滑を生じさせない。乳化されたオイル/水の混合物は、また、粘性測定値を変化させるおそれがある。
【0142】
さらに、多くの燃焼副産物は、水の存在下で強酸を形成する。ただし、水の沸点温度は、標準圧力では通常のエンジン使用温度より低いため、クランクケースの中の水は、通常の使用中に沸騰して放出されてしまう。したがって、溜めのオイルの温度が100℃を越える状態で、長い使用期間の後に水が検出された場合には、ひどい冷媒の漏れがあることを示している。水の蒸発効果は、誘電率の低下によってセンサー感応周波数が徐々に上昇する形であらわれる。センサー・データ分析法は、この現象を用いて水の汚染を検出するものである。
【0143】
さらに続けて図43aを参照して、ステップ520では、傾向分析を行なっている間にサイクルの苛酷さとオイル時間との関係で煤が測定される。水の汚染の場合と同様に、煤の汚染も、センサー感応周波数を有意に低下させる。オイル中の煤の濃度は、温度に関係ないが使用条件、濾過、およびオイル交換に依存するため、エンジン・ウォームアップ・サイクル中のすべての温度補償された周波数の変化は、水の蒸発が原因となる。煤は、エンジンの使用中に徐々に起こるオイルの濃化(すなわち、粘性の増大)を招く。これに反して、水は、添加分散剤の容量を超過して乳化液が形成されない限り粘性には影響しない。したがって、ウォームアップ中のキャパシタンスの変化が粘性の経時的変化と組み合された場合、それは、煤の濃度が高いことを確認する現象である。
【0144】
ステップ522では、窒化と酸化のレベルが判別される。酸化および窒化反応は、ともにオイルの濃化を招き、センサー感応周波数を徐々に低下させる。ステップ524では、不揮発性メモリーから潤滑油の限度値が読み出される。これらの限度値は、応答あるいは警告を開始するまでの許容される潤滑油の劣化レベルを設定するあらかじめ定められた一組のパラメーターを含む。これらの限度値は、乗数として用いられ、ベースライン校正限度値を調整する。これらのパラメーターの値は、特定の用途に対応するためにユーザーが調整することもできる。その後エンジンが売りに出される場合、買い手は、これらの値を見てそれまでのエンジン使用の苛酷さを推定することができる。例えば、積極的に校正を行なえば、ROLEの計算値および関連する限度値をベースラインまたは標準校正値から25%も増大させることができるのに対して、控えめの校正を行なえば、ROLEの計算値および関連する限度値を25%も減少させることができる。
【0145】
図43aのステップ526では、他のさまざまな分析で求められた情報および現在のエンジンの情報を用いて共働作用分析が行なわれる。この共働作用分析は、図46を参照して詳細に説明する。図43aのステップ528では、ステップ526の共働作用分析にもとづいて、オイルの状態が許容できるか否かが判別される。オイルの品質が許容できないと判別された場合には、ステップ530で、サービスまたは保守要員による将来のアクセスのために、メモリーに警告障害が記憶される。ステップ532では、ライトを点灯するかまたはそれと等価の表示を行なうことによってオペレーターに警告障害の警報が出される。ステップ534でオイルの状態がエンジンの継続使用にとって危険であると判別された場合には、ステップ536で該当する緊急障害がメモリーに記録され、ステップ538で緊急警報ライトなどによってオペレーターに警報が出される。あるいは、またはそれに加えて、データ・ハブ・ドライバ・インターフェースが、オペレーターへの警告の詳細な説明を行なう。そこで、制御がステップ542へ戻る。
【0146】
続けて図第43bを参照して、ステップ528でオイルの状態が許容できると判別された場合には、ステップ540でそれまで点灯されたすべての警告ライトまたは緊急警報ライトが消される。ステップ542でオイルの状態の改善が検出されなければ、制御は、ステップ550をパスし、ステップ518へ戻って再び処理を最初から始める。もちろん、他の「主」プログラムを平行的に実行してもよいし、制御がステップ518へ戻る前にステップ550から他のプログラムへ進んでもよい。ステップ542でオイルの状態が改善されていると判別された場合には、ステップ544で、オイル交換が行なわれたか否かが判別される。
【0147】
ステップ544でオイルの状態の改善がオイルの交換を示すほど有意なものでないと判別された場合には、ステップ546で、補給オイルが追加されて図29及び図41を参照して詳細に説明したように適当に感応するか否かが判別され、制御がステップ55へ進む。そうでない場合には、オイル交換が示され、ステップ548で、現在のエンジン時間を記録する、車両のオペレーターに警報を出す、測定頻度を変更するなどの適当な行動がとられる。
【0148】
次に、図44a及び図44bを参照すると、これらの図は、本発明にもとづいてエンジン・オイルの粘性を分析するための一つの方法を示す。ステップ570では、適当なセンサー・グリッドから現在のオイル温度(GOT)、オイル圧力(GOP)、およびエンジンのRPMが求められる。好ましい一実施形態にあっては、ステップ572で、エマートのアメリカ合衆国特許第4721874号に開示されているような粘性センサー・グリッドによって示されるオイルの粘性(ν)が判別される。もちろん、当業者に公知の他の多くの方法のいずれかを用いて粘性の測定値または推定値を得ることもできる。ステップ574では、オイル温度が約40℃であるか否か、あるいは傾向モニターおよび分析のために設定された他のあらかじめ定められた温度であるか否かが判別される。次に、ステップ576で、現在の粘性νが一時的変数ν40にセットされ、ステップ548では、これが経過したエンジン時間の関数として不揮発性メモリーに記憶される。次に、ステップ580、582、および584では、粘性の変化が、同様な方法で、例えば100℃など第二のあらかじめ定められた温度でのエンジン時間の関数としてモニターされる。
【0149】
図44aのステップ586では、両方の粘性測定値がゼロの値をとって、いずれの使用温度でも現在測定値が現在利用可能でないこと、すなわち、エンジンがその名目使用温度に達していないことを示しているか否かが判別される。次に、制御はステップ戻り、両方の測定値が得られるまでこのループが繰り返される。
【0150】
ステップ588では、粘性測定値に従来の統計的分析が適用され、両方のあらかじめ定められた温度(好ましい一実施形態にあっては40℃および100℃)に関する粘性の変化の傾向が識別される。前回のオイル排出以降および現在のオイル排出間隔の最新の10%および50%の期間で得られた測定値を用いて、エンジン時間に関する標準偏差(σ)および第一導関数が計算される。もちろん、特定の用途に応じて他の間隔を用いることも可能である。
【0151】
ステップ590、602、および608では、現在の粘性測定値または粘性の傾向にもとづいて、その後の適当な動作が判別される。ステップ589で40℃で得られた粘性測定値が対応する下限値より低く緊急事態に入っていると判別された場合には、ステップ592でフラッグがセットされ、燃料の希薄化が存在するか否かが判別される。燃料の希薄化を判別する方法は、第45を参照して詳細に説明する。燃料の希薄化が示された場合には、適当なフラッグ(FD)がセットされ、制御は、ステップ594を越えてステップ596へ向かう(図44b)。
【0152】
そうでない場合には、制御は、主プログラムへ戻る。
【0153】
図44bに示すように、ステップ596では、保守またはサービス要員による将来のアクセスのために、粘性障害が不揮発性メモリーに記録される。ステップ598では、ライトの点灯または他の適当な手段によってオイルの緊急事態を示す警報がオペレーターにあたえられる。次に、ステップ600で、制御が主プログラムへ戻る前に、この情報が、データ・ハブ、ECM、および/またはドライバ・インターフェースへ伝えられる。ステップ602では、同様にして100℃での粘性測定値が対応するあらかじめ定められた限度値を下回るか否かが判別される。下回る場合には、上に述べたと同様にして、制御が、ステップ604、606、596、598、および600へ進む。また同様に、ステップ608でオイル交換間隔の最新の10%の期間で得られた粘性の傾向があらかじめ定められた限度値を下回るとはbされた場合には、ステップ604、606、596、598、および600で適当な動作がとられる。しかし、ステップ608で最新の傾向があらかじめ定められた限度値を下回らないと判別された場合には、ステップ610で、両粘性測定値のいずれかが対応する上限値を上回るか否かが判別される。いずれかの上限値を上回って(オイルの「濃化」を示して)いる場合には、ステップ612で、メモリーに適当なフラッグがセットされ、すでに説明した煤の分析が行なわれる。次に、制御が主プログラムへ戻る前に、ステップ614で、オイルの酸化および/または窒化レベルが判別される。
【0154】
次に、図45を参照して、図は、本発明にもとづく燃料希薄化の検出方法を示す。ステップ630では、両粘性測定値(ν40およびν100)が、対応する下限値にそれぞれの対応する安全余裕値を見込んだ値を下回っているか否かが判別される。ステップ630の結果、下回っていないと判別された場合には、燃料の希薄化が示されず、制御は、ステップ642で発呼プログラムに戻る。それ以外の場合には、ステップ632でオイル・レベル・センサーによって生成された信号で現在のオイル量が検出される。燃料がオイル溜め634内に入り込んでいる場合には、ステップ634で過度に多いオイル量が検出され、ステップ636で適当なフラッグがセットされて燃料の希薄化が示される。それ以外の場合には、ステップ634で制御がステップ642を経て発呼プログラムに戻る。ステップ638では、ライトを点灯するか他の適当な標識を用いることによってオペレーターにオイルの緊急事態の警報が出される。ステップ640では、オプションのデータ・ハブ表示装置などによってオペレーターに適当なメッセージが伝えられ、ステップ642で制御が発呼プログラムに戻る。
【0155】
次に、図46を参照して、図は、本発明にもとづく共働作用的オイル品質分析の方法を示す。ステップ650では、なんらかのフラッグがセットされて低粘性が示されているか否かが判別される。ステップ650の判別の結果、低粘性が示されている場合には、ステップ652で燃料希薄化フラッグに関するテストが行なわれる。燃料希薄化のフラッグがセットされていない場合には、制御はステップ672へ進む。燃料希薄化が示されている場合には、共働作用的分析によって、ユーザーがオイル交換を行ないただちにサービスを依頼する必要があることが示される。次に、制御がステップ656で発呼プログラムに戻る。共働作用的分析の結果生成される例えばステップ654、666、および688で示されたような各種のメッセージは、多数の公知の方法のいずれかを用いてユーザーへ伝えることができる。好ましい一実施形態にあっては、適当なメッセージがオプションのデータ・ハブ表示装置でユーザーまたはオペレーターに提示される。検出された障害、警告、他の問題な状態に対応するエラーまたは障害コードも、保存して、ユーザーまたは他の車両システムおよびサブシステムへ伝えることができる。プログラム・サブルーチンから生じるさまざまな結果を用いて他の結論を確認することができる。
【0156】
図46のステップ658では、状況フラッグが検査されて高い粘性が示されているか否かが判別される。示されている場合には、ステップ658からステップ660へ進み、状況フラッグが検査されて高い煤濃度が検出されたか否かが判別される。検出された場合には、ステップ662でオイルを交換する適当な勧告が生成される。ステップ664で苛酷なデューティ・サイクルが検出された場合には、ステップ666でより良いオイルの使用を勧告するメッセージが生成され、ステップ656で処理が発呼プログラムへ戻る。苛酷なデューティ・サイクルが検出されない場合には、ステップ668および670でそのデューティ・サイクルでの異常に高い煤の負荷をユーザーに警告してより広範なオイル分析を勧告するメッセージが生成される。
【0157】
つづけて図46を参照して、ステップ650および658でそれぞれ低い粘性を示すフラッグも高い粘性を示すフラッグもセットされなかった場合には、ステップ672で粘性傾向状況フラッグが検査される。粘性傾向フラッグがセットされていない場合には、制御がステップ656で発呼プログラムへ戻る。その他の場合には、ステップ674で粘性の読み取り値が現在のデューティ・サイクルおよびエンジン時間にもとづく限界域内にあるか否かが判別される。判別の結果が否の場合には、ステップ670でより包括的なオイル分析を行ないサービスを求めることが勧告される。粘性の測定値が無理のない範囲にある(がしかしステップ672で許容できない傾向を示していることが判別された)場合には、ステップ676でオイル剪断の結果としてROLEで計算された残余の距離を修正して近い将来オイル交換を行なうことが勧告される。
【0158】
ステップ660で煤のフラッグがセットされていないことが判別された場合には、ステップ678でフラッグが検査されて高いレベルの酸化または窒化が存在するか否かが判別される。次に、ステップ680で腐食フラッグおよびTBNフラッグが検査される。ステップ678および680の結果、フラッグがセットされていれば、ステップ682でオイル添加剤のパッケージの枯渇が示されまたオイル交換が勧告される。そうでない場合には、制御がステップ656で発呼プログラムへ戻る。次に、ステップ684でオイル時間数を用いたサイクル分析が行なわれてオイルの相対的な品質が判別される。ステップ686で判別された最近の使用条件をベースにしてオイル時間数が比較的少ない場合には、ステップ688でオペレーターに適当なメッセージが伝えられる。そうでない場合には、オイルの寿命が現在の条件に対して妥当なものであるため、メッセージが生成されることなく制御がステップ656で発呼プログラムへ戻る。
【0159】
図4乃至図7は、オイルの排出が明示的に示されたかまたはシステムによって自動的に検出された後の情報の記録に関係するステップを示す。ステップ700では、現在のエンジン走行経過時間に対するオイル排出のための値がセットされる。
【0160】
ステップ702では、不揮発性メモリー内にオイル排出時間が記憶される。ステップ704では、将来の経時的分析で使用するためにオイル分析統計が不揮発性メモリー内に記録される。この情報は、また、サービス要員が、エンジン制御論理またはデータ・ハブを介してシステムとインターフェースするサービス・ツールを用いてアクセスすることができる。
【0161】
図48は、本発明にもとづいて補給オイルの追加を検出し対応するためのステップを示す。ステップ710では、各種のオイル品質統計値すなわち品質測定値の変化や標準偏差などの傾向が分析され、最近のエンジン使用中にこれらの測定値が改善されたか否かが判別される。ステップ712では、適当なセンサーからの溜めオイルに関する現在のオイル・レベル測定値が得られる。ステップ714では、オイル・レベル・センサーから得られた測定値の変化にもとづいて追加されたオイルの量が計算され、オイル品質測定値の変化にもとづいて追加されたオイルの質が計算される。次に、ステップ716では、溜めに追加されたオイルの量および品質にもとづいてベースライン校正曲線が補正される。この修正された校正曲線が、ステップ718で不揮発性メモリーに保存され、ステップ720では、現在のエンジン使用経過時間およびオイル追加量が不揮発性メモリーに保存される。次に、ステップ722で制御が発呼プログラムへ戻る。
【0162】
以上、好ましい実施形態を説明したが、本発明では、多くの変更、再構成、および部品の置換が可能なことが理解されよう。例えば、オイル中の特定の汚染物質は、センサー20入力信号の周波数を漸増または掃引変動させることによって識別できるかなりユニークで周波数依存的な誘電特性をもっている。また、マイクロは周波数域でのセンサー20信号の位相の変化を測定することによっても有用なデータを獲得することができる。以上の説明で使用した用語は、限定的でなく記述的なものであること、また特許請求の範囲に記載の本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更を行なうことが可能なことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明にもとづいて構成されたシステムのブロック線図である。
【図2】本発明の一実施形態の概要図である。
【図3】本発明の第二の実施形態の概要図である。
【図4】本発明の第三の実施形態の端部を示す立面図である。
【図5】図4に示す実施形態の側面図である。
【図6】図4の実施形態の切断面6−6における断面図である。
【図7】切断面7−7に沿って見たときの、図4及び図5の実施形態の断面図である。
【図8】90°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図9】40°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図10】0°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図11】80°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図12】本発明による電磁石の他の実施形態の断面図である。
【図13】汚染されていない循環潤滑油を用いて得られたベースライン・データを示す、時間の関数としてのテスト周波数のパーセントのグラフである。
【図14】三つの異なるエネルギー状態での、散らばった鉄のやすり屑のみによって汚染された潤滑油を用いて得られたデータを示す、時間の関数としてのテスト周波数のパーセントのグラフである。
【図15】断続的に作動された機械の中の汚染された潤滑油を用いて得られたデータを示す、時間の関数としてのデューティ・サイクルの周波数のグラフである。
【図16】本発明によるオイル品質分析システムを有する大型ディーゼルエンジンの斜視図である。
【図17】本発明による大型ディーゼルエンジンのオイルの品質分析をモニターする方法を実施するためのシステムのブロック線図である。
【図18】本発明によるオイル・センサーのハウジングの断面図である。
【図19】図18のオイル・センサーのハウジング100の平面図である。
【図20】図18及び図19のセンサーのハウジングの下端から見た分解斜視図である。
【図21】図18−図20に示すセンサーのハウジングの組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図22】本発明によるセンサーのグリッドの詳細を示す平面図である。
【図23】図22のセンサー・グリッドの切断面23−23における拡大断面図である。
【図24】連続エンジン作動中充填されるやもしれないかのごとく充填される、汚れた状態で分析されるオイル及び汚染物質を示す、測定チャンバーの拡大図である。
【図25】フィルター・ハウジングと、フィルター・ハウジングを通る異なるオイル流路に採用され、配置された複数のセンサー・グリッドとを有する、本発明によるエンジン・オイル分析の比較法を行なうためのオイル分析センサーの第二の実施形態を示す。
【図26】実装されたエンジンに関する車両の走行距離の関数としての、センサー周波数の典型的な変化を示すグラフである。
【図27】単一の基板上で二つのセンサー・グリッドを用い、その一つが基準サンプルに対向している本発明の第三の実施形態の部分断面図である。
【図28】図27に示す本発明による基準センサーの構成を示す平面図である。
【図29】二つのセンサー・グリッドを用いた構成の基準センサーの他の形態およびベースラインとしての未使用オイルのサンプルを示す本発明の第四の実施形態を示す図である。
【図30】三つのセンサー・グリッドを備える、汚染物質検出機能が改善された、更に別の形態の基準センサーを示す、本発明の第五の実施形態を示し、センサー・グリッド280、282は、オイルがオイル・フィルターの上流にあり、濾過されないオイルを示す箇所において、それぞれ上端、下端で、共通の測定、あるいは、分析チャンバーに配置され、第三のセンサー・グリッド284は、オイル・フィルターの下流の別個の分析チャンバー内に配置される。
【図31】静的ジャンプ・チャンネルを備える、図18に示されるセンサー・ハウジングのオイルフロー・チャンバーを、モールディングのコアに用いるような固形形態で示す斜視図である。
【図32】垂直方向に差し向けられた静的ジャンプ・チャンネルのない、本発明によるセンサー・ハウジングの他の実施形態を示す、図31と同様な図である。
【図33】図31図と同様な図であって、図31に示すような検査チャンバーを有する単一のセンサー・グリッド設計に差し向けられた本発明による他の実施形態を示し、センサー・グリッドを通る流れはフィルター・ハウジングのオイル流路のヴェンチュリ設計によって促進される。
【図34】図31図と同様で図であり、単一のセンサー・グリッドの連続流れオイル分析装置に差し向けられた本発明の他の実施形態を示す図であり、フィルター・ハウジングがハウジング内に垂直方向に差し向けられた羽根が設けることによって区画され、オイルが、垂直方向に伸びる検査チャンバーの周囲に亘って延びる二つの個別の通路に添ってグリッド・センサーに供給される。
【図35】図31と同様な斜視図であり、オイルの流れをセンサー・グリッドに差し向けるらせん状の流れの羽根を用いる、他の実施形態を示す。
【図36】本発明による回路盤へセンサー・グリッドを取り付ける方法を示す部分断面図である。
【図37】本発明による、一体構成の、電磁石センサー・グリッドと回路盤を示す斜視図である。
【図38】冷却フィンと粘度センサーを組み合わせて用いるオイル品質センサーを示す本発明の第十の実施形態を示す図である。
【図39】センサー・ハウジングがエンジンとオイル・クーラーの間に介在されている、本発明の他の実施形態を示す図である。
【図40】センサー・ハウジングがオイル・クーラーと一体である、本発明の他の実施形態を示す図である。
【図41】本発明による、起こり得ないと思われる補給オイルの追加分も考慮するようにベースライン校正曲線の補正を行なうためのシステムの概要図である。
【図42】本発明による、各種の実施形態に関するオイル品質センサーの取り付け選択肢を示す概要図である。
【図43a】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図43b】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図44a】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図44b】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図45】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図46】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図47】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図48】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油の劣化度を検出するための装置および方法に関し、特に、酸化、窒化、酸の形成などの条件によって生じる腐食性生成物、煤、水、グリコール冷媒などの汚染物質、およびシステムの磨耗によって生じる強磁性および非鉄金属粒子の存在による劣化を検出するための装置および方法、及び、これらを大型ディーゼルエンジン用内蔵オイル・アナライザーの使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油内に腐食性生成物、汚染物質、及び、又は、強磁性粒子または非鉄金属粒子が存在すると、劣化成分を交換または補修するか、或いは、オイルを迅速に交換しないと、潤滑油が用いられるシステムが損傷を受け、或いは、受けるおそれが生じるため、システムにとって危険な兆候となる。
【0003】
オイルの汚染又は劣化を検出するために、既に多くの方法及び装置が開発されている。この種の装置の一つとして、ヤスハラの特許第4646070号は、絶縁材料でコーティングされて潤滑油内に配置された一対のキャパシタ電極を含む潤滑油劣化検出装置を開示している。該装置は、オイルをセンサーの間の誘電体として使用し、センサー・キャパシタを通る周期的電圧信号を引き出してオイルの劣化を示す誘電率の変化を求めるものである。この装置および他の類似の装置の大きな欠点は、システム内の劣化の種類あるいは大きさ(例、汚染または磨耗)を示さないことである。
【0004】
A・D・ディカート等のアメリカ合衆国特許第5262732号は、潤滑油内の腐食性生成物、汚染、強磁性粒子、並びに、非鉄磨耗粒子のテストを同時に行ない、これらを識別するための方法及び装置を開示している。該装置は、オイル内に存在する生成物の種類を検出するため、ユーザーは、オイルの劣化を起こしている条件をより詳細に判別することができる。ディカート等の計器は、容量性表面に抗して鉄を含む粒子を引き付け、配向し、保持するために、永久磁石と電磁石を組み合わせて使用するものである。ディカート等の計器は、テスト期間中テスト・サンプルを消費しないため、同じオイル・サンプルを用いて多数のテストを行なうことができる。
【0005】
本発明の発明者らは、以下に付加的に述べる背景を考慮すれば、この種の装置を車両のとくに大型ディーゼルエンジンのエンジン・オイルの車内での連続リアルタイム分析に適用して使用することは、きわめて有用な場合があると考える。
【0006】
公知のように、劣化した潤滑油でエンジンなどの機械を長期作動させると、機械の寿命が大きく短縮される。一般に、エンジン・メーカーは、あらかじめ定められた日数、エンジンの走行時間、またはエンジンを用いた車両の走行距離のいずれかでのぞましいエンジン・オイルの交換間隔を指定している。このサービス間隔は、通常、同様な用途で得られた経験にもとづいて決められている。潤滑油の分析は、オイルの排出に対する注意をうながすのに役立つが、費用がかさみ、しかも結果がわかったときには遅すぎて有効な対策がとれない場合が多い。したがって、あらかじめ定められたのぞましいスケジュールにもとづいてオイル交換を行なう方法では、まだ悪影響がでるほど劣化していないオイルを交換する可能性がある。逆に、この方法では、きわめて劣化した潤滑油でエンジンを作動させる場合も生じる。この方法がとられている例はまだ多いが、少なくともその理由の一つとして、オイルの質または状態を正確に評価するための基準を確立することが困難なことがあげられる。あらかじめ定められたオイル交換のスケジュールを用いる方法は、用途によっては十分効果があるが、エンジンの作動条件がさまざまに異なるため、多くの車両では受け入れがたいものとなっている。例えば、あらかじめ定められたスケジュールでは、例えば硫黄含有量の多い燃料を用いて周囲の気温が低いときに長時間エンジンを空ぶかしするなど散発的に発生する苛酷な作動条件を予期することはできない。
【0007】
さらに、極端な作動温度、負荷条件、汚染物質、および機械的故障などが単独または組み合わされて生じると、オイルの劣化が加速される。この種の劣化は、オイルの色の変化、粘性の変化、および/または煤の塊、水および磨耗粒子の増加などの形であらわれる。オイルの質の分析は、自動車技術者協会1987年刊、シャーリー・E・スウォーツおよびドナリー・J・スモレンスキー「自動エンジン・オイル交換インジケーター・システムの開発」(“Development of an Automatic Engine Oil-Change Indicator System”; by Shirley E.Swartz and Donaly J.Smolenski, published by Society of Automotive Engineers,1987)に詳述されている。該論文は、参考資料として本出願に添付されている。スウォーツおよびスモレンスキーは、オイルの状態を直接検出するのではなくエンジンの作動時間、外気温度、エンジン・オイル温度などのエンジン作動のパラメーターの現在値を測定し、それらにもとづいた経験的数学モデルを用いるアプローチを示している。
【0008】
新鮮な石油ベースの潤滑油は、主として真の電荷がなく有極電荷分布が弱いまたは有極電荷分布をもたない炭化水素分子で構成されている。新鮮な鉱物油は、きわめて高い電気抵抗と比較的低い誘電率(比誘電率)をもつことを特徴とするといえる。これらの電気的性質は、オイルが劣化し汚染されるにしたがって変化する。具体的には、不溶性内容物の増加、水分および酸の存在、または導電性金属または非金属の粒子の存在によってオイルの誘電率が増大しまたはその抵抗が低下するかあるいはその両方が起こる。
【0009】
誘電率と抵抗は、ある量のオイルで隔てられた二枚の板の間の交流インピーダンスまたは有効キャパシタンスを測定することによってともに測定することができる。このシステムに関する近似モデルは、主として誘電率に影響される理想的なキャパシタで、並列抵抗は、主としてイオン伝導に影響される。誘電流体中の電荷の移動度は、導電粒子を含まないが流体内の電荷粒子またはダイポール粒子を含む。したがって、システム・インピーダンスは、流体内を移動する粒子の流体力学的特性を示すパラメーターに関係する。これらのパラメーターには、オイルの粘性、加えられる電気的および磁気的力、粒子の大きさ、および粒子の形状が含まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その一側面にあっては、動作原理として例えは500秒の標準テスト期間中に経時的に変化する磁場および電場の存在下で有効キャパシタンスの時間変化率を測定することを含むものである。よどんだオイルのサンプルでは、これらの加えられる場が、重力とともに、強磁性粒子、有極不溶物、および導電性金属粒子を可変キャパシタンス感知素子へ引き付ける作用をする。その結果、時間変化率の値は、一般的なバルク・オイルの性質ならびに具体的にオイルから抽出される汚染物質の量および種類に関係づけることができる。オイルのサンプルが感知素子を上を流れるとき、本発明の電磁石がオンにされて鉄を含む粒子を収集し、オフにされてそれらを離し、あるいは切り換えられて感知素子上で粒子の角配向を制御する。
【0011】
本発明は、独特な方法で多数の磁石状態の有効キャパシタンスの時間変化率を比較して強磁性粒子と他の粒子を差別するものである。さらに、センサーは、テストの開始時に絶対有効キャパシタンスを求め、新鮮なオイルの校正テストの結果がたくわえられたときに該キャパシタンスを基準に用いてテストするオイルを新鮮なバルク・オイルのサンプルと比較する。この比較によって、バルク・オイルの化学的性質の変化が比特異的に示される。校正サンプルが存在しない場合には、この値をさらに時間をかけてモニターして、バルク・オイルの化学的性質の突然の変化を検出する必要があるが、この突然の変化は、通常、添加物の枯渇(例、オイル溜めへの新しいオイルの追加)あるいは全体的汚染(すなわち、機械的部品の故障による)をともなうものである。
【0012】
本発明は、オイル中の腐食性生成物、水の侵入などの汚染、および強磁性および非鉄金属粒子の存在の可能性を明らかにするために作動中の機械の中を循環する潤滑油の状態をモニターするための装置を含む。その限りにおいて、本発明は、制御されたオイル・サンプル量を該サンプル内の一定の汚染物質を識別することのできるセンサーに提示するためのチャンバーを含むものである。磁気的に感応性のある汚染物質の粒子をオイル・サンプル量内で懸濁液からセンサーの感知面へ引き付けまた/または配向する電磁装置が提供される。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態にあっては、少なくとも二つの電磁石が同軸状の有効磁束場が生じるように配置される。各電磁石の力および/または極性を選択的に変化させるために、電磁石への電力の供給はマイクロプロセッサによって制御される。通常、サンプル・チャンバー内には永久磁石または残留磁場が加えられたりあるいは設定されることはない。その結果、すべての電磁石への電力の供給がとまると、サンプル・チャンバー内および感知面上の通常のオイルの循環によって、蓄積されたすべての粒子が感知面から流し去られ、その後のテストの準備が整うことになる。
【0014】
作動時には、電磁石は、オイル内のすべての強磁性粒子を感知面へ引き付けるように順次可変場磁束パターンで潤滑油に対応する磁場を加える。さらに、好まし一実施形態にあっては、電磁石の磁場は、粒子をセンサーから追い払うことなく電磁束の配向を変化させることによって強磁性粒子を振動させまた再配向するように周期的に切り換えられる。
【0015】
センサーは、好ましくは、センサー素子、該センサー素子の出力をモニターするための手段、およびセンサーの出力を処理するための手段を含む。装置は、循環するオイルがセンサー素子に対向する構成とされる。該センサー素子は、絶縁性誘電媒体として機能する該オイル内に浸された少なくとも二つの導体を含む。
【0016】
オイルには潤滑油循環システムに関連する機械が作動している間磁場が加えられるが、センサー素子と潤滑油のこのような関係によって、その間に該オイルのさまざまな性質を判別することができる。
【0017】
好ましい一実施形態にあっては、プログラムされたマイクロプロセッサの制御のもとで作動する制御論理は、測定時間中のセンサーのキャパシタンスの各種変化を比較して、オイルの劣化の程度と種類を判別する。循環する機械オイルのキャパシタンスが(校正オイルに比して)高く、それが長時間にわたって比較的一定に保たれる場合、それは、腐食性生成物の存在を示している。循環する機械オイルに対向している間長時間にわたってセンサーのキャパシタンスが着実に増大する場合、それは、汚染または潤滑の劣化の存在を示している。センサーが循環するオイルに対向している間センサーのキャパシタンスがセンサーの磁性の状態に対応して変化する場合、それは、オイル中に強磁性粒子が存在することを示している。電磁石の極性の変化は、強磁性粒子の再配向を生じ、その結果、センサーのキャパシタンスが変動する。
【0018】
本発明は、各種の潤滑油と特徴的な汚染物質の間の特性の差を利用するものである。例えば、鉱物油は、水を含む各種の汚染物質より密度が低い。そのため、流れのない期間中、汚染物質は、重力によってセンサーのグリッドへ引き付けられやすい。また、大部分の汚染物質は、オイルとは大きく異なる電気的特性をもっている。さらに、エンジンの構成部品の磨耗を加速する多くの固体汚染物質は、磁性的感応性を示す。しかし、オイルは、通常、磁性的感応性をもたない。本発明にあっては、このような差によってオイルとほぼすべての発生し得る汚染物質を区別することが可能となる。
【0019】
従って、本発明の一つの目的は、改良された内蔵式オイル品質センサーおよび該センサーを使用する方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の一つの目的は、通常のまた非通常のパラメーターを利用してオイルの排出間隔を識別しまたエンジンの故障または初期の障害を検出することができる内蔵式オイル品質センサーを提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の一つの目的は、大型ディーゼルエンジン駆動車両などのオイル潤滑システムの車内内蔵式オイル品質センサーにおいて、少なくとも、エンジン・サイクルおよび状態、当初のオイル品質、および直接リアルタイムのオイルの性質の測定にもとづいて最適のエンジン・オイル排出間隔を識別することのできるセンサーを提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の一つの目的は、少なくとも、燃料の希薄化、冷媒の希薄化、過度の磨耗、および異常に高い煤の負荷にもとづいてエンジンの障害のモードを識別することのできる車内内蔵式オイル品質センサーを提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の一つの目的は、オペレーターおよび機械技術者に警告およびのぞましい対策を通報し、乱用の経過および/または条件を示す過誤コードを記録することのできる車内内蔵式オイル品質アナライザーを提供することである。
【0024】
本発明のさらに他の一つの目的は、特定のエンジンのために典型的なオイル劣化パターンを学習しまたこれらのエンジンに固有のオイル排出歴を用いてその後のオイル排出間隔を最適化することのできる「利口なセンサー・システム」を提供することである。
本発明は、また、鉄を含む磨耗金属濃度、非鉄磨耗金属濃度、冷媒の汚染、過度の煤濃度、および燃料の希薄化に関してオイルを分析することによってエンジンの故障およびまたは初期の障害を検出することをその目的とするものである。
【0025】
さらに、本発明は、一つの形態にあっては、高オイル・レベル、低オイル・レベル、および例えば補給オイルの追加によって生じるオイル・レベルの変化を含むオイル・レベルの連続検出をその目的とするものである。
【0026】
換言すれば、本発明の一つの目的は、(i)エンジン・サイクル、エンジン状態、オイル品質、および直接リアルタイムのオイルの性質の測定にもとづく最適なエンジン・オイルの排出間隔の識別、(ii)燃料の希薄化、冷媒の希薄化、過度の磨耗、および異常に高い煤の負荷にもとづくエンジンの障害モードの識別、(iii)オペレーターおよび機械技術者への警告およびのぞましい対策を通報、および(iv)乱用の経過および/または条件を示す過誤コードの記録が可能で、耐久性があり、低コストの車内オイル品質センサーを提供することである。
【0027】
本発明の上記の目的および他の目的ならびに特徴を実施するにあたっては、また、大型ディーゼルエンジンの潤滑油の品質をモニターするための方法が提供される。該方法は、容量性センサーのキャパシタンスを連続的にモニターしてエンジン潤滑油の有電率の変化を検出し、キャパシタンスをあらわす値をメモリーに保存し、保存された値の傾向分析を行なって保存された値の変動の特徴を示し、傾向分析の少なくとも一つにもとづいてのぞましいオイル交換間隔を推定することを含むものである。傾向分析を行なうことは、前回のオイル交換、エンジンの全作動時間、またはエンジンの全作動時間のあらかじめ定められた部分を通じてのあるオイル・パラメーターの変動の検査を含む場合がある。一つの実施形態にあっては、傾向分析は、現在のエンジン・オイルの測定値と変化率を前に保存した値と比較して、潤滑システムに加えられたエンジン・オイルの種類を判別することを含む。他の一つの実施形態にあっては、該方法は、エンジン・オイルの粘性の変化をモニターして、粘性の変化およびオイル・センサーのキャパシタンスの変化にもとづいてのぞましいオイル交換間隔を判別することを含む。
【0028】
本発明の他の一つの実施形態にあっては、該方法は、燃料の希薄化または冷媒の汚染が存在するかを判別し、それに応じてオペレーターに警告することを含む。さらに他の一つの実施形態にあっては、本発明の方法は、オイルの品質の改善とオイル・レベルの変化をともに検出することによって、潤滑システムに潤滑油が追加されたか否かを判別する。オイルの追加が検出されれば、保存されている校正データが修正されて、のぞましいオイル交換間隔のその後の計算を調整する。該方法は、また、少なくとも一つのオイル・パラメーターの測定値の有意の変化を検出してオイル交換を自動検出することを含む。
【0029】
当業者には、添付の図面を参照して以下に行なう本発明の実施の最良の形態に関する詳細な説明から、本発明の上記の目的および他の目的、特徴、および効果が容易に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図面では、異なる図を通して同じ参照符号は同じまたは同様な要素を示す。図1は、本発明の一実施形態の基本要素を示す概要図である。
【0031】
この構成のセンサー素子20は、非導電性ベース(図示せず)に接着された二つの導体42および44の開いたグリッドを有する。各導体は、同心の半円形の弧に形成された平行な回路延長部を有する。本発明にもとづいて静的バッチまたは作動循環経路によってテストされるオイルのサンプリングは、オイルが、センサー素子20の表面を濡らし、胴体の延長部の間の横方向の空間を占有するようにすることによって行なわれる。同心の半円形導体の間に存在するオイルは、絶縁性誘電体として機能する。したがって、導体42と44の間に電位差が存在すると、該導体は、あるキャパシタンスを有するキャパシタ板として機能し、該キャパシタンスは、隣接する導体の表面積、隣接する導体の間の距離、およびその間に介在するオイルの絶縁耐力の関数として式1であらわされる。
C=k・E (A/d) (式1)
ここで、Cはセンサーのキャパシタンス、
kはオイルの誘電率、
Eは電位、
Aはセンサーの表面積、
dは導体の間の距離である。
【0032】
オイルの絶縁耐力は、汚染のためまたしばしば温度の上昇のために幾何の使用中に変化し、したがって、センサー素子20の容量性特性が変化する。絶縁体力の増大によってキャパシタンスが増大すると、オッシレータ50が示す周波数が全体的に減少する。オイル中に有極酸化物が存在しても、誘電率は増大する。さらに、水の誘電率はオイルのそれより大きいため、オイル中に水が存在すると、溝がセンサー素子20の近くに沈殿するためセンサーの有効誘電率が増大する。
【0033】
導電性汚染物質が導体42と44の間に蓄積すると、センサー20のキャパシタンスが減少して測定が困難になる。センサー素子20上にかなりの量の水が蓄積すると、導体42と44の間が電気的にショートするおそれがある。キャパシタンスが減少して導電率が増大すると、キャパシタンスがゼロに近づくため、キャパシタンスの変化より導電率の変化のほうが測定結果に大きい影響をあたえることになる。すなわち、以下に説明するように、キャパシタンスの変化と同様に導電率の変化を分析することができる。オイルの品質の変化を示すこのようなキャパシタンスおよび/または導電率の特性の変化が、本発明の基本的な動作原理である。
【0034】
有効誘電率の変化は、また、温度の変動によっても生じるが、広い動作域にわたってこのような変化を補償するために利用することのできる多くの方法が存在する。補償の方法の一つは、比較用流体に対向した比較基準センサーを設定するものである。他の一つの方法は、新鮮なオイルの場合の様々な温度に対応するキャパシタンス値を記録し、作動オイル温度を測定し、作動時のオイルのキャパシタンス値を対応する温度での記録値と比較することを含むものである。もちろん、キャパシタンス値ではなくて誘電率または他の同様なパラメーターを判別し記録することによっても同様な結果が得られる。
【0035】
特定の用途に応じてセンサー素子に適した構造体としてのパラメーターは広範に存在する。直径約1インチのオーバーオール型センサー素子20を用い、この種パラメーターを組み合わせて好ましい成果を挙げることもできる。導体42および44は、直径約250ミクロンのワイヤで、約250ミクロンの距離で互いに隔てられている。これらの物理的パラメーターを有するセンサー素子20は、約30ピコファラッドの名目空中キャパシタンス(すなわち流体に浸されていない)を有する。溶媒および高温などの苛酷な環境中で連続作動するものとして構成される場合には、導体の基板の構造体としてアルミニウム・セラミックなどの無機材料を考慮すべきである。
【0036】
やはり図1を参照して、センサー素子20は、単安定マルチバイブレーターを用いて導体42および44を介してオッシレータ回路50に接続され、センサー素子のキャパシタンスに対応する周波数で出力信号を生成する。この可変周波数出力信号は、制御論理52へ送られる。この論理は、本発明の精神または範囲を逸脱することなく多数の処理方法の中から任意のものを用いて実現することができる。設計コスト、生産量、計算要件を含む特定の用途の設計パラメーターに応じて、制御論理52は、ハードウエア、ソフトウエア、または両者の組み合わせで実施することができる。
【0037】
好ましい一実施形態にあっては、制御論理52は、消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリー(EPROM)を備えたHCMossユニット・モデルMC68HC705C8などのプログラムされたマイクロプロセッサを用いて実施される。制御論理52は、周波数変動パターンのアレーに感応して潤滑油内に認められる腐食性生成物、汚染物質、強磁性粒子、および非鉄金属粒子の存在および規模を判別する。これらの判別の結果は、通常はセンサー素子から離れているオペレーターがモニターするために適当な位置に配置される適当な表示コンソールに表示されあるいは報告される。例えば、車両が用途である場合、表示装置54は、車両の内部に配置されるであろうし、船舶が用途である場合、表示装置54は、船長用計器パネルの一部として一体構成されるであろう。
【0038】
電源スイッチ・ユニット56および58は、制御論理52に接続されており、該制御論理は、これらユニットの動作を統合し、コイル26および28を介して電磁石24の制御を行なう。導体45および46は、外側巻き線26を電源56に接続し、導体47および48は、内側巻き線28を対応する電源58に接続する。
【0039】
図2乃至図11を参照して、本発明の好ましい一実施形態は、同心二重コイル構成の電磁石24を使用し、該電磁石の内側コイル28は、フェライト棒のコア32の周囲に巻かれている。中間フェライト・シリンダー・コア34は、内側コイル28を取り囲んでいる。外側コイル26は、この中間シリンダー・コア34を同心状に取り囲んでおり、やはりフェライトの外側囲い36が、外側コイル36を同心状に取り囲んでいる。好ましくは、電磁石のこれらの要素は、すべて電気的に絶縁され、非伝導性つぼを形成する化合物でともに密閉され、単一の一体式ユニットを形成する。
【0040】
本発明のこの好ましい実施形態は、径方向に同心状の二重コイル式電磁石を用いるものであるが、三またはそれ以上の同心状のコイルを使用する構成も可能なことは理解されよう。また、共通のフェライト棒のコアの周囲に軸方向に分離されて巻かれたコイルを使用することもできる。図12は、この構成を示すもので、共通のフェライト棒のコア66の周囲に軸方向に分離されたコイル64および65が巻かれている。
【0041】
図2は、容器70内に拘束された固定または既知の量のオイル・サンプルに静的テストを行なう場合にとくに好適な本発明の一実施形態を示す概要図である。センサー素子20および電磁石24は、容器70に取りはずし自在に密閉され、テスト中一体式分析ユニットを形成する構成となっている。該テスト・ユニットは、オイル・サンプルをセンサー素子20の感知面と直接濡れ接触するように構成され取り付けられている。この状態で、電磁石24は、容器70によって囲われたオイル・サンプル内に磁束場60を生成するように制御される。磁気的に感応性のある粒子62がオイル・サンプル内に存在すれば、それらがセンサー素子20の濡れた表面に引き付けられる。このような磁気的に感応性のある粒子がセンサー素子20上に蓄積すると、式1にしたがってキャパシタンスが増大する。
【0042】
先行技術の固定量静的テストのパターンと同様に、センサー素子20がオイル・サンプルに浸された状態でプログラムされたテストの1サイクルが終了する。
【0043】
1サイクルが完了した時点で、注意深く容器70の中のものを排出してセンサー素子20から除去し、磁気的に感応性のある粒子62をその後のテストのために目に見える状態にする。電源スイッチ・ユニット56を介して制御論理によって磁気的に感応性のある粒子62を操作することで、サンプルの可視テストを容易に行なうことが可能となる。
【0044】
図3に示す本発明の実施形態は、図2に示すものと同様であるが、オイル・サンプル・チャンバー71は、ポンプ74によって駆動される一次機械潤滑システム72から引き出された循環分路76/77を介して操作される。分回路76/77には弁78が配置され、センサー素子20上に蓄積した粒子堆積物を視覚検査するためにチャンバー71の中のものを容易に除去できる構成となっている。図3の実施形態では、チャンバー71は、電磁石24によって生成される磁束場が作用する標準的な静的テスト・サンプル量を収容するように構成されている。したがって、多数の機械的循環システム72からのテスト・サンプルを中央分析ユニットで分析することができる。
【0045】
あるいは、図3の弁78を、ポンプ74の吸い込み導管と排出導管の間の圧力差によって駆動される分路76/77を通る流量をあらかじめ定められた値に保持するスロットル弁とすることもできる。この方式では、センサー素子20は、測定された期間内に既知の量のオイル流から磁場によって抽出された汚染磁気物質の量を容量的に測定することになる。測定期間が終わると、電磁石が完全に非励起状態にされ、センサー素子が補足した物質を解放する。
【0046】
図3の実施形態のさらに他の作動方式にあっては、弁78は、制御論理52によって制御されて二つの循環流量を生成する。チャンバー71を通る低い流量は、循環システム内で認められる汚損濃度を測定するためのものであり、高い流量は、前の測定期間中に蓄積した磁気的に感応性のある物質をセンサーから洗い流すためのものである。通常、実施形態の非励起化は、洗い流しサイクルの効果を高めるように高い流量と組み合わせて実施される。
【0047】
図4乃至図7を参照して本発明のさらに他の実施形態を説明する。同図は、潤滑油の流れの導管12および14を備え、その間にチャンバー16が形成された非鉄製のハウジング10を示している。この実施形態は、機械の上に永久的に設置された器具の形をとることもできる。センサー素子20は、垂直のチャンバー16から電磁石24の同心状巻き線コイル26および28の面へオイルが漏れるのを防ぐ密閉装置内のチャンバー16に下にある口18の下方に直接配置されている。
【0048】
ハウジング10内の内側にネジ溝をきられたソケット30は、電磁石24のコイル・ヘッドを受け、磁石のコア32とチャンバー16の垂直軸を軸方向に心合わせする。ハウジング10に添って、オッシレータ50、制御論理52、およびスイッチ・ユニット56および58を保護するための電子制御部品用ハウジング40が一体鋳造されている。
【0049】
図4乃至図7に示す実施形態は、通常、センサー素子20の表面の粒子の蓄積を視覚検査するために分解されることはない。したがって、テストを周期的に繰り返し行なうのを容易にするためには、機械潤滑システムの通常の作動時にセンサー素子が自動洗浄されることが重要である。この要件を満たすためには、スイッチ・ユニット56および58を操作して、センサー素子20の近辺からすべての磁束を除去し、各テスト・サイクルで蓄積された粒子を解放して潤滑油の流れの中に戻してやることが好ましい。
【0050】
各スイッチ・ユニット56および58は、制御論理52によって制御されるさまざまな機能状態をもつが、これらは、(1)「オフ」すなわち非励起状態、(2)「オン」で正の極性を示す状態、および(3)「オン」で負の極性を示す状態を含むものとすることができる。さらに、「オン」状態は、以下に詳細に説明するように汚染物質の特性の確認に役立つようにさまざまな電力レベルを含むものとすることもできる。図8乃至図11は、これらの機能状態が電磁石24によって生成される磁束線に及ぼす効果を示す図である。下の表1−表4は、図8乃至図11に示す機能状態に対応するデータを示す。
【0051】
図8の磁束パターン60は、表1のデータに示す(ガウスであらわした)磁場の強さおよび極性に対応するものである。外側コイル26に正の12ボルトの電荷をあたえ、内側コイル28を非励起状態にすると、磁気的に感応性のある粒子62ではセンサー素子20面に対して約90°の最大感応角が得られる。コイルの励起状態を反転させて、外側コイル26を非励起状態にし、内側コイル28に負の12ボルトの電荷をあたえると、図9に60’で示す磁束パターンが得られ、磁気的に感応性のある粒子62は、センサー素子20の面に対して約40°の角度に置かれる。この機能状態から得られるデータを下の表2に示す。
【0052】
表3のデータは、図10の磁束パターン60”に対応するものであるが、ここでは、外側コイルに正の12ボルトの電荷をあたえ、内側コイルには負の12ボルトの電荷をあたえることによって、磁気的に感応性のある粒子62は、センサー素子20に対して平行な状態に置かれる。
【0053】
第4表のデータは、内側と外側の量コイルに正の12ボルトの電荷をあたえる機能状態に対応するもので、これによって図11に示す磁束パターン60'''が生成される。図示のように、磁気的に感応性のある粒子62は、センサー素子20の面に対して約80°の角度でセンサー素子20に引き付けられる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
制御論理52によって行なった選択的切り換えテストにおいて、オイルに含まれる磁気的に感応性のある粒子は、センサー素子20に引き付けられ、その位置が粒子の大きさおよび形状によって異なる特徴的パターンで変動した。
【0059】
潤滑油内の磨耗粒子のほとんどは、粘着性磨耗、研削性磨耗、および金属疲労の三つの基本的原因によって生じる。粘着性磨耗は、表面どうしの滑り、スカッフ、または擦れによって生じる。滑り型の粘着性磨耗は、ほとんどの用途で発生する一般的できわめて正常な磨耗である。スカッフおよび擦れ接触は、通常、構成部品または潤滑の障害によって生じ、したがって正常な磨耗ではない。正常な粘着性磨耗では、滑動係合している構成部品の目立つ場所が剪断変形すると、きわめて小さい(0.1ないし5ミクロンの)磨耗粒子が生成される。(スカッフまたは擦れによって生じる)異常な粘着性磨耗では、大きい粒子が生成される場合がある。
【0060】
研削性磨耗は、通常、ときにはカールしている比較的長い帯状の金属がえぐられて生じる(十ないし数百ミクロンの)堅い粒子が起こす切断動作である。砂または金属磨耗粒子が研削性磨耗の原因となる場合も多い。研削性磨耗粒子は、最終的には、さまざまな接触する機械構成部品の作用で破壊されて小さい粒子となる。
【0061】
金属疲労(「高周期疲労」とも呼ばれる)は、金属構成部品が繰り返される周期的負荷によって障害を起こしたときに発生する。これは、多くの各種工業および商業分野で利用されている歯車の歯、ローラー素子のベアリングなど各種機械構成部品の一般的な障害の形である。疲労粒子は、平行六面体または球形の形状を有する比較的大きい(10ないし20ミクロンの)ものの場合が多い。球形粒子が存在すると、通常は、とくに疲労障害があることを示す。これらの粒子は、表面下のクラックによって材料の一部分が壊れて解放されると発生するものである。表面につながるクラックが合わさって平行六面体の表面粒子を生成すると、表面下の球形粒子も解放される。
【0062】
本発明は、各種の磨耗粒子を捕捉することによって、システムの障害に先立って行なわれる診断および適当な修理の効率を改善するものである。本発明のセンサー素子によって磨耗粒子が捕捉されると、粒子の量および特性が注意深く検査され、それらの発生源が解明される。それによって、保守および操作要員は、適切な処理を行ないまた対策をとることができる。例えば、機械で研削磨耗粒子が検出されれば、オイルおよびフィルターの交換が必要となる。シールおよびエア・フィルターを検査して、砂および埃が潤滑システム内に入り込んでいるかどうかを判別する必要が生じる。他の種類の磨耗粒子が検出された場合には、他の適当な診断および補正行動がとられることになろう。
【0063】
やはり図9乃至図11を参照して、電磁石コア32と中間シリンダー・コア34の極性を同極性(例、N−NまたはS−S)から対向極性(例、N−SまたはS−N)へ切り換えることによって、鉄を含む粒子62の位置の変動あるいは回転させることができる。センサー上方のオイル・サンプル内の鉄を含む粒子は、電磁石コア32の外径部から出るように描かれる円の周囲の磁束線が集中しているところに自然に集まる。電磁石コア32および中間シリンダー・コア34が同じ極性を有する場合には(図8乃至図11)、電磁石コア32を通る磁束線は、中間シリンダー・コア34が生成する磁束線を避けて軸方向の高い軌道を描く。
【0064】
電磁石コア32と中間シリンダー・コア34が対向する極性を有する場合には(図9及び図10)、電磁石コア32を通る磁束線は、中間シリンダー・コア34が生成する磁束線へ引き付けられて低い軌道を描く。
【0065】
電磁石のさまざまな電荷条件に周期性をあたえることによって、鉄を含む粒子62の配向を振動させることができる。表1−表4のデータから明らかなように、本発明によって、異なる他の装置および方法を用いたA・D・ディカート等のアメリカ合衆国特許第5262737号が示す結果と同様な結果が得られる。ディカート等が開示したいくつかのテスト法およびアルゴリズムは、本発明に直接適用できるものとして本発明に採用されており、参考資料として本出願に添付されている。例えば、N−NからS−Nへの極性の反転は、外側および内側コイルの間での切り換えによって行なわれる(第1および2表)。他の例としては、N−NからS−Nへ、またさらにN−Nへ同の極性の変化は、外側コイルの電力を上げ、内側コイルの三つの状態(オフ、−12V、+12V等)を切り換えることによって行なわれる。
【0066】
本発明の二重巻き線電磁石の構成は、ディカート等が開示した電磁石プラス永久磁石の構成の代わりとして直接使用することができるため、ディカート等が開示した計算上の指数類は、すべて本発明にも等しく適用することができる。そのような指数としては、腐食指数、汚染物質指数、含鉄指数、オイル寿命指数、および大型汚染物質示度が含まれる。本発明は、ディカート等が開示したと同様な方法で、よどんだオイルのサンプルから得られる同様な測定値を提供するものである。ただし、潤滑油がセンサーの上を流れている間にさらに多数の付加的測定値および示度を得ることができる。したがって、本発明は、ディカート等の開示によって得られるすべての効果に加えて、流れるシステム内で鉄を含んだ粒子を選択的に収集し解放するという他の効果を有するものである。
【0067】
例えば、機械潤滑システムに置いて、オイルが流れておりしかも電磁石の巻き線がともに「オフ」であるときにセンサー20が採取した測定値は、ディカート等の開示のよどんだオイルのサンプルをよく振った後最初の数秒間に得られたデータに直接関係するものである。それは、オイルが潤滑システム内を流れているときには、オイルがよく混ぜ合わされて汚染物質が分散しているからである。したがって、インライン・センサーでは、オイルの流れが止った直後に測定することに加えてオイルが流れている間に連続的に測定して腐食指数を求めることができる。
【0068】
他の例では、本発明の電磁石の巻き線は、センサー・グリッド上で磨耗粒子を収集するための流れるシステムの中で使用することができる。この場合に重要なのは、汚染物質を懸濁状態に保つ傾向のあるオイルの粘性流体剪断力にうち克つために磁力を使用することである。電磁石によってセンサー・グリッド20上に磨耗粒子が採取されれば、ディカート等の開示している含鉄指数および大型汚染物質示度と同様に、角配向によって振動させて濃度と大きさを定量することができる。粒子の視覚分析は、これらの結論を得るために不可欠なものではない。
【0069】
荷電粒子およびイオン種は、金属粒子ほど粘性剪断力を受けやすくない。したがって、添加物が分散した煤粒子、水、グリコール冷媒、および他の汚染物質は、よどんだサンプルに関してディカート等が記載しているのと類似の方法で、オイルが流れているときに容量性センサー20を用いて検出し定量することができる。正および負の電荷があたえられた汚染物質は、容量性センサーの極性を反転することによって区別することができる。この機能を電磁石の切り換えと論理的に組み合わせることによって、オイルがセンサーの上を流れている間に多くの汚染物質をモニターすることができる。さらに、センサー・グリッドおよび電磁石への電源を定期的に遮断することによって、グリッドを自動洗浄することができる。
【0070】
テストの完了時には、図2及び図3に示す本発明の実施形態を用いて蓄積された粒子および磨耗粒子を直接見ることにより、汚染物質の種類および発生源を分析し直接判定することができる。他方、図4乃至図7に示す本発明の実施形態は、電磁石によって生成され、従って、永久磁場をもたない磁束を非活性化し、蓄積されたすべての汚染物質をオイル循環システム内に解放し、それによってセンサー素子を洗浄して次のテストに備える。電磁石の極性は、周期的に反転するため、残存磁場は、ほぼすべて除去される。
【0071】
図13は、汚染されていない循環する潤滑油の中に浸されたセンサーのベースライン周波数感応性を示す。好ましくは、センサーは、4.4kHzの名目テスト周波数で励起させる。すなわち、図13のグラフは、最初の700秒間で、名目周波数すなわち4.4Hzが0.1%より少なく低下することを示している。このベースライン周波数感応性は、特定の種類の潤滑油およびシステムの動態に特徴的なものである。したがって、各オイル交換の後で同様な情報が得られるし、あるいは、作動中に基準流体を用いてシステム野中のオイルの種類を判別しまたその後に得られたオイルの品質の測定値を校正することができる。
【0072】
断続的に作動させる機械は、二つの過渡相と二つの定常相を有するデューティ・サイクルを特徴とする場合が多い。図15は、断続的に作動される機械の代表的なデューティ・サイクルのための容量性センサーの周波数感応性を示す。低温の始動過渡相は、(重力による)センサー20グリッド上への固体の汚染物質の蓄積によって特徴づけられる。この相の間に、水および他の低蒸気圧流体は、センサー表面から蒸発または移動する。その結果、比較的低周波数感応性が得られるが、それが、システムが稼働状態に入り温度が定常状態の値まで上昇してセンサー表面から蓄積物が流し去られると、定常状態の値まで増大する。閉止または停止過渡相の間の感応周波数の低下は、高温の潤滑流体がおそらくは水、グリコール、または他の冷媒と混ざり合って突然機能停止する結果生じるものである。
【0073】
図15の第一の定常状態は、稼働期間が長く、高温でほぼ一定温度の潤滑流体が連続的に循環しており、その間、多数のキャパシタンス測定値によってオイルのバルク誘電値の追跡が行なわれることを特徴とする。例えば、10秒間隔で得られる500のキャパシタンス測定値の中間値は、ほぼ一定に留まるであろう。長時間の間に、潤滑油が煤、水、グリコール、および他の汚染物質を蓄積するため、この値は減少する。もう一つの定常状態相である静止相は、冷却した潤滑油がその最低温度に達し、循環できなくなることを特徴とする。
【0074】
オイルの潤滑の間、煤、金属、および他の汚染粒子は、潤滑油の流れからセンサーおよび電磁石によって抽出される。電磁石の引き付ける磁力は、粒子をセンサー表面から流しさろうとする流体の剪断力に打ち克たなければならない。(磁気的にではなく)静電的に有極およびイオン性粒子をセンサー表面に引き付けて保持して検出および測定を行なうために、制御論理52は、リード線42および44に約3ボルトの低直流電圧差で電荷をあたえる。この電荷を周期的に交番させることによって、磁気的感応性粒子の場合と同様に、非鉄電荷粒子の振動とキャパシタンス値の変動が刺激される。磁性および非磁性の電荷粒子を引き付けるための本発明のこれら二つの方法は、機能的には互いに独立したものであり、それらを単独で、合わせて、あるいは交互に用い、データの差および付加的組み合わせを求めることによって特定の汚染物質を識別し濃度を分析することができる点に留意されたい。
【0075】
この分析のアプローチを用いて集められたデータは、図14の(秒であらわした)時間の関数としてのテスト周波数のパーセントを曲線A、B、およびCで示してある。テストの流体の媒体は、4ないし6ミクロンの鉄の粒子を含む新鮮なオイルであった。粒子の配向は、電磁石24を用いて操作した。グラフの曲線Aは、鉄の粒子を約90°で垂直に立たせるように電磁石を励起したときに得られたものである。グラフの曲線Bは、中間の粒子角で得られたものであり、曲線Cは、粒子をセンサー面に対して約0°でねかせたときに得られたものである。
【0076】
次に、図16を参照して、図は、大型ディーゼルエンジンの斜視図であり、全体を参照番号90で示す。通常、大型トラックあるいはトラクターとセミトレーラーの組み合わせなどの車両は、この種のエンジンで駆動される。ただし、本発明は、固定した発電所や船舶などを含む多くの他の用途に適用することができる。エンジンは、全体を参照番号92で示すフライホィール・ハウジングを含み、該ハウジングは、とくに図示しないトランスミッションと組み合わされている。公知のように、エンジン90は、クランクシャフト、カム、エンジン・シリンダーなど、簡明さのため3にとくに図示しない複数の内部の可動部品を含むものである。エンジン90は、また、エンジン・オイルまたはその等価物など、これらの可動部品の間の摩擦を低減するための潤滑剤を含み、潤滑剤は、また、エンジンの作動中、可動部品を冷却し磨耗粒子を除去する機能も果たす。
【0077】
図16に示すように、エンジン90は、エンジン作動中にオイルを濾過するための一対のエンジンオイル・フィルター94および96を含む。好ましくは、オイル・フィルター94は、フィルターのオイルが入る端部すぐ近くに配置された全体を参照番号100で示すオイル品質分析センサー装置と共働する。最も好ましくは、オイル・フィルター94およびオイル品質分析センサー装置100は、オイルが濾過される前に品質分析用センサーを通過するように構成される。この構成によって、以下の説明によって理解される効果が得られる。
【0078】
次に、図17を参照して、図は、エンジン90と共働して本発明のオイル品質分析の方法を実行するための制御システムを示すブロック線図である。図示のように、この制御システムは、マイクロプロセッサ106およびメモリー108を有する電子制御モジュール(ECM)104を含む。メモリー108は、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)および読み取り専用メモリー(ROM)などの揮発性および不揮発性メモリーの両方を含むことを理解されたい。また、当業者には、ROMは、任意の不揮発性メモリーでよくまた多くの形をとることができることが理解されよう。例えば、ROMは、EPROMまたはEEPROMとすることができ、また、本発明の方法を遂行するように実行される制御論理を含むものである。同様に、ECM104も、図43乃至図48に示し以下に説明する制御論理を実装するもので、特定の用途の要件に応じてハードウエアおよびソフトウエアを任意に組み合わせて実現することができる。
【0079】
この好ましい実施形態にあっては、制御システムは、ECM104と双方向で通信するデータ・ハブ制御ユニット110を含む。図2に示すようにデータ・ハブ110は、マイクロプロセッサ112およびROMおよびRAMメモリーをともに含むメモリー114を含む。メモリー114は、データ・ハブ・マイクロプロセッサ112が使用するメモリー116とオイル品質センサー(OQS)120のマイクロプロセッサ122が使用するメモリー118に分割することもできる。図17に示すように、OQS120は、それぞれの対応するマイクロプロセッサ106、112、および122を介してメモリー108、114、および126へデータを供給する。
【0080】
さらに、図17を参照して、データ・ハブ制御ユニット110も、好ましくは、それぞれ全体を参照番号136および138で示すドライバー・インターフェースおよびフリート・インターフェースを含む。ドライバー・インターフェース136は、車両のオペレーターと制御システムの間で情報を交換する手段となるものである。この機能を果たすため、ドライバー・インターフェースは136は、液晶表示装置などの視覚的表示装置ならびに情報の交換を容易にするための入力キーまたはボタンなどの入力手段を含むものとすることができる。同様に、フリート・インターフェース138は、以下に詳細に説明するようにフリート・オペレーターがデータ・ハブを介して制御システムのいくつかの機能をプログラムできるようにするものである。
【0081】
次に、図18乃至図21を参照して、これらの図には、単一のグリッド式オイル品質分析センサー装置100が示されている。このオイル品質分析センサー装置100は、フィルター・リング154を含み、該フィルター・リングは、図16に最もよく示されるように、オイル・フィルターの一つ(例、フィルター94)とうまく組み合わされる大きさとされる。図18乃至図19に示すように、フィルター・リング154は、複数の通路156を含み、エンジン・オイルがこれらの通路を通ってオイル・フィルターに達するようにオイルの流れを分路してO−リング157にかかる圧力を低減し、それによってシールに完全さを確保する。
【0082】
第18−21を組み合わせて参照して、装置100は、フィルター・リング部分154と流体連通するネック部分159を含む。センサー・ハウジング部分160も、フィルター・リング部分154と流体連通している。好ましくは、ネック部分158は、その中に配置された少なくとも二つの流体通路を含む。通路162は、エンジンからセンサー・ハウジングへオイルを供給するためのものであり、通路164は、本発明にもとづいてオイル品質分析を行なった後にオイルをフィルター94へ戻すためのものである。センサー・ハウジング部分内には、オイル・センサー・グリッド166、および、フランジ169、ブラケット171、およびボルト173によってハウジングに固定されている電磁石168が配置されている。オプションとして、この場所に粘性センサーを配置し、とくに図38を参照して後に詳細に説明する方法でこれを使用することもできる。
【0083】
図22及び図23は、オイル・センサー・グリッド166を示す。好ましくは、センサー・グリッド166は、セラミック基板172で形成され、複数の同心状3層導電性金属トレース170を含むものとする。該トレースは、耐腐食性のために金の上端層を有する。センサー・グリッド166は、トレース(金の層)が通路162から通路164間のエンジン・オイルの流れに対向するようにセンサー・ハウジング160内に配置される。O−リング190は、エンジン・オイルを拘束し、オイルがセンサー・ハウジングの他のチャンバー内に漏れ出すのを防ぐ。
【0084】
図20に示すように、センサー・グリッド166は、回路盤174に電気的に接続されており、該回路盤は、センサー・グリッドに適当な信号をあたえて本発明にもとづくエンジン・オイル品質分析を行なえるようにする波形発生装置を含む。わけいは、電磁石168の励起に合わせてセンサー・グリッド166にあたえられる。該電磁石は、(エンジン上に設置される場合)センサー・グリッド166下方のセンサー・ハウジング内に配置されている。電磁石168は、一対の入れ子式コイルを含むが、これらは、図9乃至図12に示して説明したように内側コイルと外側コイルである。一実施形態にあっては、センサー・グリッドにあたえられる波形は、方形波または切りつめた正弦波である。このような波形がグリッドにあたえられると、内側および外側コイルが交番で励起される。
【0085】
図24は、センサー・ハウジングのオイル入口通路162、測定チャンバー165、オイル出口通路164、およびセンサー・グリッド166を含む部分を示す。図は、数種類の汚染物質がセンサー・グリッド上に収集されその他の汚染物質はオイルの流れの中に存在するような典型的な用途で使用されているオイル・センサーを示す。汚染物質は、煤の蓄積物、含鉄および非鉄磨耗粒子194、水196などを含む場合がある。図示の例では、磨耗粒子と水は、測定チャンバーの底に沈殿してセンサー・グリッド上にのっている。同じく検出される他の汚染物質には、燃料、グリコール(冷媒)、ナトリウム、ケイ素、スズ、鉛、銅、鉄、クロム、およびアルミニウムを含まれる場合がある。この蓄積期間中、電磁石励振装置198には電荷があたえられていない。あらかじめ定められた規定の時間が経過した後、電磁石励振装置には図示の制御論理で求められる適当な周波数で正の電荷と負の電荷が交番であたえられる。このことに関しては、図43乃至図48を参照して詳細に説明する。
【0086】
誘電媒体であるオイルとセンサー・グリッドによる影響を受けた有効周波数感応性は、以下に説明する本発明の方法にもとづく分析を受けるために制御論理に伝えられる。同時に、センサー・グリッド内で誘起された交番する電荷が作用してセンサー・グリッドの面に磨耗粒子および水の分子の蓄積を防ぎ、その結果、オイルが測定チャンバーを通って連続して流れ、またグリッドが掃引されて清浄化される。図示のセンサー・ハウジングの具体的構造に応じてある期間が経過した後、これらの蓄積物がセンサー・グリッド上に恒常的にたまってオイルの流れがグリッドを洗浄するのに不十分となった場合には、そのような状態が検出されてセンサー・グリッドが交換される。
【0087】
図31乃至図35を参照して以下に説明する他の構造のセンサー・ハウジングにあっては、測定チャンバーを通るオイルの流れの動態が変えられ、センサー・グリッド上の水、磨耗粒子、または煤の恒常的蓄積を確実に防ぐ他の方法が用いられる。
【0088】
今までに説明した実施形態にあっては、センサーは、単一のセンサー・ハウジングと制御論理によって励起される単一のセンサー・グリッドを有する構成であった。これと同じ基本構成を他のグリッド型センサーまたは一対のグリッド型センサーと組み合わせて用いれば、エンジン・オイルを比較分析する方法を採用することができる。図25乃至図30は、比較分析法に用いるオイル分析センサーの例を示す。これらの中で、第27−29に示すものは、単一の付加的センサー・グリッドを用いるものであり、図25及び図30に示すものは、一対の付加的センサーを用いるものである。
【0089】
図25は、すでに説明した種類の三つの個別のグリッド・センサー200、202、および204を含む比較式オイル品質センサー構成を示す。この特定の実施形態にあっては、オイル・フィルター素子206は、円筒状で、ハウジング208内に取り付けられている。円筒状のフィルター素子206は、穴の開いた内側の中空のスリーブ218を含む。これによって、フィルター・ハウジング、フィルター206、そして穴の開いたスリーブ218を矢印220のように通るオイルの連続する流れが生じ、その流れは、矢印222の方向に出ていく。図示のハウジングは、その下端部に三つの個別の口210、212、および214を有する。すでに説明した三つの個別のセンサー・グリッド200、202、および204は、その各々が対応するそれぞれの口の下に配置されている。これによって、一つの大きいフロー・チャンバー224の内部に三つの個別のチャンバーが形成される。大きいフロー・チャンバー224は、一対の垂直方向に配向されたバッフルまたは案内部材226を含み、これらの部材は、オイルの流れを効果的にそれぞれのセンサー・グリッドの上方にある三つの個別の流路へ案内する。
【0090】
案内部材226は、外側センサー・グリッド200および204上のオイルの流量をほぼ等しくし、中央のセンサー・グリッド202上を通るオイルの流量をそれとはかなり異なるものとするように配置されている。すなわち、汚染物質が異なる割合で蓄積されるようにオイル・フロー特性が設定されている。外側センサー・グリッドの一方にはさらに永久磁石を配設し、オイル中の含鉄粒子と非鉄粒子を区別する手段とする構成も可能である。さらに、中央のセンサー202にも永久磁石を配設して、オイル中の含鉄粒子および非鉄粒子の銅殿変化率を比較することも可能である。
【0091】
構成のオプションとして、センサー・グリッド200、202、および204は、使い捨てセンサー・グリッドとしてフィルターハウジングの底壁に恒常的に実装し、フィルター・ハウジング自身を使い捨て式とすることも可能である。センサー・グリッドの構造は、特定の用途で予想されるオイル排出の最大期限までより少なくともわずかに長い寿命を示すように設定される。
【0092】
次に、図26を参照して、矢印228は、オイルののぞましい排出基準を示す。すべてのセンサー・グリッドは、ひとたび機能不全状態におちいると特定の周波数に達するように設計されている。例えば、図26に示す周波数特性を有するセンサーでは、機能不全状態に対応する周波数は、毎秒約23000サイクル(Hz)である。グリッド200および204の周波数感応性は、約10000マイルでずれ始めることがわかる。この変動は、該二つのセンサー・グリッドでの意図的な流れと電荷の差によって生じるものである。比較測定を行なうことによって、煤の効果を他の汚染物質の効果およびオイルの劣化の影響から分離することが可能となる。また、図15を参照して説明したと同様な始動時および停止時の測定によって、水の汚染効果を定量することができる。
【0093】
さらに、グリッド・200および204からの信号を比較して、累積磨耗および磨耗率の傾向を推定することもできる。捕捉された磨耗粒子の累積効果は、センサー周波数を十分に大きくシフトさせるため、上に述べた目的を達成することができる。図26から、センサー・グリッド204では、周波数の突然の低下が約4000マイルで発生することが理解されよう。これは、おそらくは鉄を含む構成部品の磨耗によって生じる含鉄粒子の汚染物質の生成を増大させる一回だけのできごとであることを示している。センサー・グリッド204の感応周波数のその後の傾向は、オイル排出期間を通じて磨耗が続いているが、その後に目立ったできごとは生じていないことを示している。
【0094】
図27及び図28は、比較式オイル品質センサーの他の実施形態を示している。このシステムは、図18乃至図21に示したシステムに比して、温度および圧力依存性を知ることができる効果を有する。好ましくは一次測定グリッド230と同じ基板上に配置された第二の「基準」センサー・グリッド232によって基準信号が供給される。図示のように、基準センサー232は、膜238によって隔離された環状ハウジング236内に基準流体234を収容している。該膜は、好ましは基準流体とサンプル流体の間の圧力差に対応できるように可撓性の材料でつくられる。したがって、基準周波数感応性には感圧性が含まれる。
【0095】
理想的には、基準流体は、テスト流体とほぼ同様な温度特性を有し、汚染されていないまた劣化していない溜まり流体と同じ流体とすることができる。すなわち、基準流体すなわちオイルは、サンプル流体と同じ温度依存特性を示す。この特定の分析方法では、予想されるオイル排出の最大期限までの間、基準オイルが安定した状態にとどまることを仮定している。実際には、基準オイルは、高温にさらされると劣化するであろう。合成オイルは、高温のさらされてもそれほど劣化しやすくないので、各オイル交換ごとに新しい基準オイルを再実装するよりは、基準オイルとして合成オイルを使用するほうが好ましいかもしれない。
【0096】
やはり図27及び図28を参照して、センサー・グリッド板240は、すでに説明した方法など多数の方法から任意の方法を選んでハウジング242に固定することができる。グリッド装置の他の構造上の特徴は、すでに説明したものと同様である。
【0097】
オイル品質分析法に関しては、基準センサー232は、サンプル・センサー230と同じ温度、圧力、および他の外部的環境条件への応答特性を示す。測定チャンバーの条件が変化すると、基準材料および基準測定システム(センサー)の感応性もそれに応じて変化する。基準センサーおよびサンプル・センサーは、環境の影響に同じように感応すると仮定することができる。基準材料は、制御できる量以内の量でハウジング236に収容されてオイル・サンプルおよびサンプル・センサーと熱平衡状態に保持された安定したオイル、例えば上に述べたような合成オイルまたは他の材料(必ずしも液体でなくともよい)でなければならない。のぞましくない環境の影響がどのように複雑であっても、サンプル・センサー周波数と基準センサー周波数の比を適当に設定することによって、その影響を排除することができる。この方法は、図18乃至図21の単一センサー構成の精度を高めるために用いられるサーミスタおよび非線形補償論理の使用を排除することができる。
【0098】
図29は、二重センサー比較式オイル品質感知システムの他の例を示す。図示のように、全体を250で示すハウジングは、任意の適当な方法でエンジン・ブロックに取り付けるように配設されている。オイル充填装置のネック部252から、収集エルボ254を通り、さらに通路256を通ってオイルの溜まりまで流体連通が確保されている。収集エルボ254の基部にある口260は、オイル・サンプル検査チャンバー262と連通している。検査チャンバー262の高さは、収集エルボ254の高さより小さく、通路256より下方にある。検査チャンバー262の基部には、すでに説明した種類のセンサー・グリッド272が配設されている。同じハウジング250内には、検査チャンバー262に隣接して第二の検査チャンバー264および例えば図18乃至図21を参照して説明したと同様なセンサー・グリッド274が配設されている。換言すれば、第二の検査チャンバー264内では、使用エンジン・オイルが、常時、入り口266から、センサー・グリッドを通りまた出口通路268およびすでに述べたようなすなわちオイル・フィルター94のような公知のフィルター構成を通って循環している。
【0099】
この方法を用いることによって、収集エルボ254は、オイル充填装置のネック部252から新しいオイルを収集する。収集されたサンプルは、基準オイルとして役立ち、また収集エルボの構成によって、起こり得ないと思われる補給オイルの追加分を補償するオイル混合物を保持することができる。
【0100】
図30に示す他の実施形態にあっては、エンジン停止分析の間に汚染物質検出感度が高められる。この構成では、三つのセンサー・グリッド280、282、および284が使用される。センサー・グリッド280および282は、濾過されてないオイル通路286内に配置され、センサー284は濾過されたオイル内に配置される。センサー・グリッド280は、センサー・グリッド282の上に逆転して配置される。比較的小さい磨耗粒子は、比較的大きい磨耗粒子より長い時間懸濁液中にとどまり、センサー・グリッド280によって検出されると考えられる。懸濁し乳化した汚染物質がオイル・サンプルから沈殿し始めると、センサー・グリッド282が汚染物質の蓄積を測定する。比較的大きい粒子がセンサー・グリッド282へ落下した後でも、比較的小さい粒子はセンサー・グリッド280によって検出されるであろう。付加的なキャパシタ板として作用する部分的に荷電した粒子のために、センサー・グリッド280によって検出されるキャパシタンスは増大する。しかし、センサー・グリッド282へ向かう粒子の移動は、最終的にはセンサー・グリッド280の周波数感応性にも影響する。荷電粒子がオイルと通って沈降するために、最終的にはセンサー・グリッド282でも相補効果が観察されるであろう。
【0101】
グリッドの感応性の間の時間の遅れは、定量してさまざまなセンサー測定分析アルゴリズムに使用することができる。両センサー・グリッド280および282の測定値を比較することによって、オイルに含まれる汚染物質に関するユニークな情報が得られる。この方法を用いれば、粘性の影響も観察できるであろう。
【0102】
オイルの粘性が増大すると、二つのグリッドの感応性の間のリード時間の遅れが増大する。センサー・グリッド284は、濾過された(汚染物質のない)オイル内に配置されており、基準信号を供給する。センサー・グリッド284の測定値をセンサー・グリッド280および282の測定値と比較すれば、オイルの全体的な劣化から汚染物質の作用を取り出すことができる。
【0103】
図31は、図18に示したセンサー・グリッド・ハウジングのオイル・フロー・チャンバーを立体的に示したものである。これは、ハウジング内でオイル・フロー・チャンバーを鋳造するために必要な成型コアの概要を示す図でもある。すなわち、入り口通路300、出口通路302、ほぼ垂直に配向した検査チャンバー304、および、オイル・センサーおよびグリッド装置を収容する点線で示したハウジングの中ぐり306が立体的に描かれている。通常の作動時には、循環するオイルは、検査チャンバー304の側を通り、センサー・グリッドの表面を横切って流れる。流れが十分に減少しまたは停止すると、検査チャンバー304は、付加的なオイル量を供給する「静的ジャンプ」として作用し、この付加的なオイル量は、(センサーの面を横切るように流れて汚染物質を洗い去るのではなく)センサー・グリッドの上に直接下りて測定感度を高める。
【0104】
図32は、図31と同様であるが、静的ジャンプを提供するためのチャンバーのないハウジング構成の他の実施形態を示す。したがって、検査チャンバー310の中には、入り口312から検査チャンバー310を通り、中ぐり314内に配置されたセンサー・グリッドを横切って出口通路316から出る連続した流体の流れが存在する。好ましくは、第31および32図のオイル・フロー・チャンバーは、かなり薄い層状のオイルの流れを生成するように構成される。
【0105】
図33及び図34は、ハウジング・コアの型状の構成の他の実施形態を示す。したがって、これらは、センサー・ハウジング330の異なる実施形態である。図33では、ハウジングは、332で示す複数の適当に配向した羽根を含み、ヴェンチュリの流れのパターンを生成する構成となっている。これによって、全体を334で示す主オイル・フロー・チャンバーが複数のコンパートメントに分割され、フロー・コンパートメント336は、外側通路340と連通する。その結果、外側通路でのオイルの流量が増大し、センサー・グリッドを通って流れる流体の全圧力低下が増大する。その結果、流れが増大し、センサー・グリッドからの粒子の洗浄が容易となる。
【0106】
図34では、コアの型が複数の垂直に向けられた羽根352を備え、これらがハウジングを複数のフロー・コンパートメント356に分割している。これまでの構成とは異なり、センサー・グリッドへの入り口通路は、平行な通路360および362に分割され、これらは、センサー・グリッドの近くで合体する。これによって、センサー・グリッドの上方に垂直なオイルの柱が形成され、センサー・グリッドのオイル流量は、フロー・コンパートメント356のそれよりかなり低くなる。ただし、この柱の上端近くには小さなオリフィス364が配設されて、小さなオイルの循環が確保される。垂直なオイルの柱は、拡大された検査チャンバーとして機能し、より多くの汚染物質がセンサー・グリッドの上に蓄積することができ、したがって測定感度が高まる。
【0107】
図35は、図31乃至図34に示すコアの型と同様であるが、オイルの流れを配向する複数のらせん状羽根370を有するさらに他の実施形態を示す。もちろん、特定の用途に応じて、図31乃至図35に示す流れのパターンを組み合わせて使用することができる。
【0108】
本発明の他の側面にもとづけば、図36に示すように、センサー・グリッド380を回路盤382に取り付ける方法が提供される。例えば図22に示すようなセンサー・グリッドには、複数の剛性の接続ピン384が配設され、それらは、各々が対応するコンタクト・パッド386に導電接続され、またセラミック基板388を通ってそれに結合されている。セラミック基板388は、さらに、下方接地面として機能する導電性金属相390を有するファイバーグラス・ラミネートなどの盤に結合されている。つなぎひも292は、その一端が下方接地面に取り付けられ、他端が回路盤382に取り付けられている。回路盤は、さらに、各剛性の接続ピン384に対応して盤に取り付けられたピン394を有する。
【0109】
剛性のコネクタ(ジャンパー)は、盤に取り付けられたピン394とセンサー接続 ピン384の上を滑動するように配設され、センサー・グリッド・ピンが穴398を通って回路盤に挿入されたときに該両方のピンを電気的に接続する。
【0110】
図37に示すように、電磁石、センサー・グリッド、およびセンサー・ボード/カードは、単一で一体の構成部品400として配設することができる。したがって、図20を参照して、電磁石をハウジング内の所定の位置に保持するために用いられている同じ取り付けフランジ169を用いて一体の装置400全体をハウジングに保持し、側部取り付け式のセンサー・ボード174、センサー・グリッド166、およびカバー176を除去することもできる。
【0111】
図38に示す本発明の他の実施形態にあっては、図18乃至図21に示すセンサー・グリッド・ハウジングに、回路盤カバー412と一体形成の一連の冷却フィン410が配設されている。これらは、センサーを通って循環するオイルから発生する熱を発散させる作用を果たす。これによって、好ましい実施形態にあってはマイクロプロセッサを用いて実装されている制御論理を含む回路盤の構成部品の性能に悪影響をあたえるような高温が生じる可能性が少なくなる。図示のように、センサー制御論理は、電子制御モジュール414の制御論理に機能的に接続されている。また、別個の粘性センサー416は、電子制御モジュールに接続されている。図38に示す構成部品は、図17を参照して説明したものと同様である。
【0112】
本発明にもとづけば、エンジン・ブロックとオイル・フィルターの間にオイル・センサー・ハウジングを配置する必要はない。図39及び図40に示すような他のオプションも利用可能である。
【0113】
例えば、図39に示すように、オイル・センサー・ハウジング420をエンジン・ブロック422とオイル・クーラー424の間に配置することもできる。
【0114】
これまでの実施形態と同様に、オイル・パンまたは溜まり428からのオイルを搬送するポンプ426からくる濾過されないオイルは、オイル・センサーを通って循環する。この濾過されないオイルは、センサーを通り過ぎた後、公知のオイル・クーラー424へ送られ、該オイル・クーラー装置と一体構成とすることのできるオイル・フィルター430を通るように循環する。濾過されたオイルは、次に、オイル・クーラーの熱交換部分を通過し、さらにライン43を通ってエンジン・ブロックへ送られる。図40に示されるように、のぞむ場合には、センサー・ハウジングとオイル・クーラーは、単一のハウジング434内で一体化させることができる。
【0115】
図41は、異なる補給オイルを追加するために補正するベースライン曲線を校正するための方法あるいはシステムを示す。換言すれば、ベースライン曲線の校正は、溜まり450へ追加される品質、ブランド、粘性等の異なるオイルに対応するためのものである。このシステムは、オイル・フィルター454と流体連通している補給オイル貯蔵部452を含む。もちろん、オイル・フィルター454は、オプションである。補給オイルは、該オイル・フィルターから通常は閉じられておりフロートまたはそれと同様なセンサー458からの信号にもとづいて開位置へ動かされる制御弁456へ供給される。制御弁456は、溜まりのオイル・レベルがあらかじめ定められたレベルを下回ると開く。したがって、制御弁が開くと、補給オイルが貯蔵部452から流量計460を通りオイル品質センサー462へ流れる。好ましくは、オイル品質センサー462は、潤滑システム内の他のオイル・センサーに加えて配設される。オイル品質センサー462の機能は、貯蔵部から追加される補給オイルの品質および/または種類を判別してこの情報を制御論理へ供給することである。これによって、制御論理は、ベースライン校正曲線およびそれに続いて行なわれる計算を更新して最適のオイル排出間隔を示す。
【0116】
図18乃至図41を参照して上に述べた各種の構成は、さまざまな取り付けオプションを示す図42にその概要が示されている。チャンバー468として示されるのは、図30に概要を示す互いに重ね合わせて配置された二重センサー構成を用い、オイル内の汚染物質に対する重力の効果を測定するオイル品質センサーである。単独で使用する場合には(すなわち、センサー配置の他の説明を無視する場合には)、このセンサーは、ポンプ470からの濾過されないオイルを処理し、オイル・フィルター472を通過する前にすでに詳細に説明した方法でその分析を行なう。チャンバー474として示されるのは、基準流体とチャンバー468を通る濾過されていないオイルの比較を行なうために内部に適当な基準流体を入れたオプションの基準センサーである。この一般的な構成は、図27を参照してすでに説明したものであり、チャンバー474は、基準チャンバー、流体、およびセンサー232−238に対応する。
【0117】
さらに図42を参照して、センサーは、図30に示す実施形態に関連して説明したように互いに重ね合わされた二つのセンサー・グリッドが配設されたものとすることができる。また、センサーは、図25に示す実施形態に関連してすでに述べたように、オイル内に存在する含鉄および非鉄磁性汚染物質を区別できるように永久磁石を備えたものとすることができる。図42のチャンバー478および480で示すように、濾過されないオイルは、分岐されたオイル流路482および484に添って分割することができる。これらの流路は、それぞれ関連する流量M2およびM3を示し、図25に示す実施形態に関連してすでに説明したような複数のセンサーの上を通る濾過されないオイルの異なる流量の効果の検査に対応することができる。さらに、チャンバー486で示されるのは、図30の実施形態に関連してすでに述べたようにオイル・フィルター472の濾過されたオイル側に配設することのできる基準センサーである。最後に、チャンバー490で示されるのは、オイル充填装置のネック部492のエルボに配設することのできるオイル品質センサー・グリッドである。これによって、図29の実施形態に関連してすでに述べたように、オイル品質を分析するとき、制御論理が溜まりのオイルへ追加される補給オイルの効果を考慮することが可能となる。
【0118】
全体を494で示すハウジングによって仕切られた状態で示してあるセンサー・グリッドの位置は、図40に関連して説明したように、オイル・クーラー・ハウジング内とすることができる。あるいは、センサーは、図18乃至図22の実施形態に関連して説明したようにエンジン・ブロックとオイル・フィルターの間に配置される中間ハウジング内に配置することもできるし、あるいは、図38の実施形態に関連して説明したようにエンジン・ブロックとオイル・クーラーの間に配置することもできる。
【0119】
次に、図43乃至図51を全体として参照して、これらの図は、好ましくは、図1の制御論理52のような制御論理または図17のECM104、データ・ハブ110、またはOQS120によって行なわれるオイル品質分析を実施するための方法を示す。図15に示すように、大型ディーゼル・エンジンなどの通常の機械は、その作動および休止サイクル中の特定の時点に応じて特徴的なオイル品質測定値を示す。したがって、サイクルの各部分、すなわち、始動時、走行時、および停止時での多数の測定値を得ることがのぞましい。
【0120】
好ましい一実施形態にあっては、使用の各段階での分析方法は、残存オイル寿命見積りプログラム(ROLE)の計算を使用することによって予示される。ROLEは、相対的なオイルの寿命を示すものである。ROLEの最大値は、例えば100など任意のあらかじめ定められた値に設定され、理想的な条件のもとで使用されるエンジンでオイル交換直後に利用可能な最良の潤滑油(例えば、合成油)をあらわすものとされる。負のROLEの値は、のぞましいオイル排出間隔に違反したことを示す。このような違反は、サービス要員が後に検索できるように記録される。さらに、車両のオペレーターには、計器盤のライトなどで警告をあたえる構成とすることもできる。
【0121】
ROLEは、のぞましいオイル交換間隔を示すために用いられる。したがって、ROLEが例えば10などのあるあらかじめ定められた値に達したとき、オイルの排出が指示される。しかし、のぞましいオイル交換を示すROLEの値は、オイルの劣化の速度にもとづいて使用中に変更されることが好ましい。もちろん、本発明の精神または範囲を逸脱することなく他の方法を採用することも可能である。
【0122】
ディーゼル・エンジンに用いられる場合には、始動時の分析は、好ましくはエンジンの点火時に開始される。エンジンの使用時間、車両の走行距離、前回のROLE計算から経過した時間など多数のパラメーターにもとづいてROLEを計算するために、エンジンのウォームアップ中に連続測定が行なわれる。休止期間が長ければ、センサー・グリッド上により多くの粒子が蓄積するため、休止期間の長さも、始動時のオイル品質センサーの測定、グリッドの詰まりおよび洗い流し分析に関係する。
【0123】
始動したら、オイル品質センサー(OQS)は、休止期間中にオイルの排出が行なわれたか否かを判別しなければならない。サービス要員がシステムにオイル交換を指示し、その結果、フラッグがセットされてセンサー・グリッドへ送られる場合もある。しかし、この情報が誤っている場合や事故で省かれる場合もあり得る。したがって、制御論理は、自動的にオイル交換を検出し、前回のベースライン校正を置換する前にこの信号を確認する。多くのオイル品質パラメーターは、新しいオイルが劣化したオイルにとって代わったとき顕著に改善されるため、オイル交換は、これらのパラメーターによって示される。本発明によって行なわれる適当な温度補償によって、キャパシタンスにもとづく測定値は、オイル交換の適当な指標となる。ただし、オイル交換の検出の信頼性は、粘性および汚染物質のレベルの変化を検出することによっても高めることができる。もちろん、オイル交換の表示の信頼性を高めるために他の多くの測定値を用いることもできる。
【0124】
ROLE判別の不正確さから生じる構成部品の磨耗または損傷の増大の可能性を少なくするためには、特定の用途および予想される使用条件にもとづいてあらかじめ定められた安全限度を設定することもできる。例えば、30000マイルまたは1500エンジン使用時間などの安全限度を設定して、現在のROLEの判別結果のいかんにかかわらず、これらの安全限度に達したときにオイル交換を指示することもできる。同様に、使用する潤滑油の種類に応じて省略時のオイル排出間隔を設定することもできる。例えば、効果的な濾過処置を維持すれば、ほとんどの合成油は、ほとんどの鉱物油より長い排出間隔で安全に使用することができる。したがって、合成油には鉱物油より長い省略時排出間隔を割り当てて、不必要なオイル交換をなくすようにすることが好ましい。この省略時オイル排出間隔は、高い初期ROLE値に対応するものである。本発明にもとづくオイル品質分析システムによって得られる付加的な測定値を用いれば、省略時または安全排出間隔を現在のぞましいとされるものよりはるかに長く伸ばすことが可能となる。
【0125】
このようにして、初期の始動期間中に、温度の関数としての特徴的な周波数感応性にもとづいてオイルの種類を推定することができる。温度の関数としての粘性の変化を利用して、特定のオイルの種類の確認に役立てることもできる。オイルの種類が識別されれば、適当なROLEを初期設定することができる。この値は、ユーザーが選択できる安全係数を用いて修正することもできる。例えば、ユーザーが選んだ安全係数が10であるとすると、ROLEの初期設定値が10パーセント低減され、検出された特定のオイルの種類に関する省略時の値より早くオイルの排出が指示されることになろう。
【0126】
前に述べたように、オイル品質センサーおよびオプションの粘性センサーを用いて、エンジンの通常の使用時にデータを収集することがのぞましい。すでに説明した実施形態の電磁石を励起すれば、エンジン使用中に付加的な含鉄磨耗粒子や有極分子を引き付け、センサー・グリッドの遠隔洗浄のために電磁石を周期的に反転させることができる。洗浄工程中に得られた測定値を用いれば、すでに測定した含鉄粒子の濃度を確認することができる。エンジン速度(したがってオイル流量)の関数としての含鉄粒子蓄積速度の差を用いて、汚染物質の粒子の大きさに関する情報を得ることもできる。
【0127】
エンジン使用中のデータ収集によって、多くの目的を達成することができる。
【0128】
センサーの電磁石を断続的に励起する方法を用いて荷電/放電の頻度を測定し、オイルの誘電値を示すこともできる。走行中の測定によって、酸化/窒化、オイルの種類、水分含有量、煤、および他の非金属汚染物質を示す値を得ることができる。エンジン使用中、エンジン停止の事故なしにあらかじめ定められた時間間隔が経過した場合には、測定データは、制御論理によって受け取られる。以下により詳細に説明するように、データを用いて、誘電性の傾きを測定し、傾向分析、悪いサイクル条件によって生じる突然の変化の検出、および測定値の信頼性を高める目的で煤のレベルと比較するための粘性の変化の傾向の検出などを行なうことができる。エンジン使用中に収集されたデータは、また、洗い流し/洗浄効率およびセンサー・グリッドの詰まりを示すために用いることもできる。この種の分析の準備のためには、エンジン速度、オイルの粘性、およびオイルの温度に関する情報を収集することが好ましい。
【0129】
本発明の好ましい一実施形態にあっては、エンジン停止分析は、エンジンが停止する度ごとに行なわれる。エンジンの停止後、好ましくは10分を限度としてあらかじめ定められた期間、センサーへの電力の供給が維持される。また、この期間中、センサー・グリッドの上の静止したオイルの柱が保持されて、オイル中の粒子がセンサー・グリッド上に沈殿できるようにすることが好ましい。時間に依存するセンサー周波数の傾向を検査すれば、汚染物質の量および性質を識別することができる。すでに説明したように、磁場束パターンを操作して含鉄粒子を配向し、検出感度を高めることができる。停止測定中にオイル温度は低下するため、グリッドに取り付けたサーミスタが現在のオイル温度を示すようにし、それを用いてセンサーの周波数感応性を補償し、問題の温度域での正確な比較が行なえるようにする。
【0130】
オイルの粘性は、汚染物質がセンサー・グリッド上に沈殿する速度に影響するため、停止データを分析するときには、(温度補償後の)前回の走行サイクルでの有意の粘性の移動を考慮する必要がある。例えば、大きな煤の蓄積を誘起したエンジンの停止に先立つ長い使用期間では、(全温度域で)オイルの粘性が大きく増大するものと思われる。したがって、停止分析中の汚染物質の沈降時間は延長される。粘性情報を考慮しないと、停止分析中に汚染物質の相対的な減少が検出される。逆に、燃料の希薄化は、オイルの粘性を低下させ、汚染物質の沈降時間を減少させる可能性がある。いずれの状態も、誤ったオイル交換の指示あるいはのぞましいオイル排出間隔の不適当な引き伸ばしを招くおそれがある。長い期間停止測定を行なうことによって、また、粘性の効果を示すことができる。
【0131】
次に、図43a及び図43bを参照して、これらの図は、エンジン潤滑システムで基本的な連続オイル品質分析を行なうための本発明の一つの方法を示すフローチャートである。このフローチャートおよび図43乃至図48に示すフローチャートは、この方法のステップの順次処理を示すものであるが、本発明の精神あるいは範囲を逸脱することなく多くの処理方法の中からいずれかを選んで利用できることを理解されたい。例えば、制御論理がハードウエアで実装される場合には、この方法のステップの多くは同時にまたはほぼ同時に実行できるであろう。
【0132】
同様に、本発明の目的を達成しその効果を挙げるために、割り込み駆動処理を利用することもできる。ニュートラルネットワークまたはファジー論理を利用した適応処理などを用いる平行処理技術を用いて本発明の方法を実施することもできる。
【0133】
図43aのステップ500、502、および504は、対応するサブルーチンを用いてオイル品質分析に関係するほぼ同時に得られるさまざまなエンジン・データを分析するステップである。制御論理は、図示のように主プログラムといくつかのサブルーチンをもつトップダウン構造を有することが好ましい。ただし、当業者には公知のように、サブルーチンで実行される制御論理を主プログラムに組み込むことも容易である。同時に得られるエンジン情報を用い、ステップ510ないし516で行なわれる個々の分析に対応して具体的なメッセージを車両のオペレーターに提供することもできる。この情報は、また、ステップ526で示す全体の共働作用的分析に利用される。ステップ500では、アーム使用時間を示す値が検査されて、妥当なオイル品質パラメーターの予想が行なわれる。システム・パラメーターは、エンジン時間数にもとづくさまざまなオイル交換スケジュールに対応するように調節することができる。例えば、あらかじめ定められたまたは適応自在の試運転期間中の新しいエンジンのためには、比較的短いオイル排出間隔を指示することもできよう。同様に、古いエンジンで生じた構成部品の磨耗に対応するために、のぞましいオイル排出間隔を短縮することもできる。
【0134】
次にステップ502では、最後のオイル排出以降のエンジン時間数が判別される。
【0135】
図43aのステップ504では、サイクル分析が行なわれて、エンジン使用サイクルの相対的苛酷さが判別される。ひどいオイルまたはエンジンの劣化を生じるおそれのあるエンジン使用の諸側面を識別した後は、相対苛酷度を1から10までの間の値であらわすことが好ましい。このサイクル苛酷度は、ROLE計算を適当に調整するために用いられる。例えば、イオウ濃度の高い燃料を用いて極端な使用温度でエンジンを過度にアイドリングさせれば、苛酷な使用条件が表示されることになる。それに対応してサイクル苛酷度5の値が示され、ROLE計算では通常の使用サイクルのROLEに比して50%の減少が生じることになる。
【0136】
さらに図43aを参照して、ステップ506では、長い期間にわたって測定されたエンジンおよびオイル・センサーのデータを用いた傾向分析が行なわれる。この傾向分析は、適当な統計を用いてエンジン使用サイクル、エンジン・オイル品質測定値、およびエンジン・パラメーター・データの傾向を検出するものである。好ましい一実施形態にあっては、オイル排出間隔の後半にわたって各パラメーター曲線の傾きと標準偏差がモニターされ、オイルの徐々の劣化を示す傾向が検出される。さらに、オイル排出間隔の最後の10%の期間にわたって傾きと標準偏差が検査され、突然の磨耗、汚染物質の侵入、または新しいオイルが追加されたことを示す比較的突然の変化が検出される。
【0137】
ステップ508では、上に説明した使用条件の指標にもとづいてオイル分析計算を行なう頻度が判別される。苛酷なサイクルが検出された場合には、通常の使用サイクルの場合より頻繁にオイル分析が行なわれる。すでに説明したように、オイル分析は、エンジンの自動または停止のすぐ後に行なうことが好ましい。オイル分析は、他のさまざまなエンジン条件が発生したときにも行なわれる場合がある。ステップ508で、現時点ではオイル分析が指示されないことが判別された場合には、方法がステップ524へ進む。オイル分析が指示された場合には、方法はステップ510へ進み、粘性分析が行なわれる。この粘性分析は、粘性を測定し、以下に詳細に説明するようになんらかの問題が検出されればそれを示すように適当なフラッグをセットするものである。粘性分析は、サイクル傾向分析、粘性傾向分析、および現在のエンジン使用パラメーターにもとづいて行なわれる。粘性分析サブルーチンは、図44a及び図44bを参照して詳細に説明する。
【0138】
同じく図43aに示すように、ステップ512ではオイルビュー分析が行なわれる。冒頭に言及して参考資料として本出願に添付したアメリカ合衆国特許第5262732号に開示されているように、この分析は、腐食指数、汚染指数、強磁性粒子指数、および累積強磁性粒子パラメーターを含む多くの有用なオイル品質指数を提供するものである。次に、ステップ514では、オイルに関する全ベース数TBNが判別される。エンジン・オイルに関するこのTBNの値は、オイルに入る酸性燃焼生成物のために低下する。一般に、TBNの値は、オイルの腐食の可能性を示すが、上で判別された腐食指数とは必ずしも相関しない。すなわち、ステップ514では、サイクルの苛酷さ、エンジン時間、TBNの傾向等に関してTBNの分析が行なわれる。許容できないTBN値を示すために適当な状況フラッグがセットされる場合がある。
【0139】
図43aのステップ516では、エンジン時間、オイル時間、および経時的傾向の面から含鉄および非鉄磨耗粒子の分析が行なわれる。通常、この分析は、エンジンの停止後に比較的よどんだオイル・サンプルを用いて行なわれる。磁場をあたえた場合とあたえない場合で、センサー周波数感応性が測定される。次に、測定値が、含鉄および非鉄粒子の濃度を示す校正ファイルと比較される。すでに述べたように、異常な状態が検出されれば、オペレーターに具体的な勧告が出されるか、あるいは単にステップ526で行なわれる共働作用分析へデータが送られる。
【0140】
図43aのステップ518では、水またはグリコール冷媒およびシリコン粒子など各種の汚染物質の質および性質が判別される。水とオイルの誘電性は有意に異なるため、センサー・グリッドは、水の汚染にきわめて敏感である。水の濃度が増大すると、センサー周波数は減少する。しかし、大型エンジンのオイルは、通常、少量の水を分散させる添加剤を含んでいる。これが、水の濃度が低い場合には水を検出するセンサー・グリッド能力に影響し、また水の量が増加した場合の検出特性にも影響する。水の含有量が過度になると、オイル中の添加剤が有効に機能することができなくなり、濃い乳化液が形成されるおそれがある。この現象は、低温の外気条件で使用されるメタノール・エンジンおよびガソリン・エンジンでより頻繁に起こる。
【0141】
水は、燃焼の通常の副産物であり、燃焼室から逃げ出して他の燃焼がストとともにクランクケースに入り込む。さらに、水は、エンジンとオイルが冷却されるにしたがってオイルの溜めの中で濃縮される。水は、通常、水とグリコールの50:50の混合物である冷媒とともにクランクケース内に入り込むおそれもある。エンジン・サービス(すなわち、シリンダー・ヘッドの取り外し)の後でオイルが排出され交換されない場合あるいは冷媒の漏れが発生した場合、冷媒の汚染が発生する。後者は、一般的な障害の形ではないが、それによって溜めの中に大量の冷媒が入り込むおそれがある。水は、エンジンの磨耗に悪影響をあたえ、オイル中の添加剤を枯渇させる。オイル中の水は、イオンの流動性を高め、それに続いてエンジン構成部品の腐食を招く。その結果生じる酸化物の層が、エンジンが始動したときにより迅速な磨耗を起こす。大量の水は、オイルと十分に混ぜ合わされると濃い乳化液を形成する。乳化されたオイル/水の混合物は、オイルの流れを制限し、正規の潤滑を生じさせない。乳化されたオイル/水の混合物は、また、粘性測定値を変化させるおそれがある。
【0142】
さらに、多くの燃焼副産物は、水の存在下で強酸を形成する。ただし、水の沸点温度は、標準圧力では通常のエンジン使用温度より低いため、クランクケースの中の水は、通常の使用中に沸騰して放出されてしまう。したがって、溜めのオイルの温度が100℃を越える状態で、長い使用期間の後に水が検出された場合には、ひどい冷媒の漏れがあることを示している。水の蒸発効果は、誘電率の低下によってセンサー感応周波数が徐々に上昇する形であらわれる。センサー・データ分析法は、この現象を用いて水の汚染を検出するものである。
【0143】
さらに続けて図43aを参照して、ステップ520では、傾向分析を行なっている間にサイクルの苛酷さとオイル時間との関係で煤が測定される。水の汚染の場合と同様に、煤の汚染も、センサー感応周波数を有意に低下させる。オイル中の煤の濃度は、温度に関係ないが使用条件、濾過、およびオイル交換に依存するため、エンジン・ウォームアップ・サイクル中のすべての温度補償された周波数の変化は、水の蒸発が原因となる。煤は、エンジンの使用中に徐々に起こるオイルの濃化(すなわち、粘性の増大)を招く。これに反して、水は、添加分散剤の容量を超過して乳化液が形成されない限り粘性には影響しない。したがって、ウォームアップ中のキャパシタンスの変化が粘性の経時的変化と組み合された場合、それは、煤の濃度が高いことを確認する現象である。
【0144】
ステップ522では、窒化と酸化のレベルが判別される。酸化および窒化反応は、ともにオイルの濃化を招き、センサー感応周波数を徐々に低下させる。ステップ524では、不揮発性メモリーから潤滑油の限度値が読み出される。これらの限度値は、応答あるいは警告を開始するまでの許容される潤滑油の劣化レベルを設定するあらかじめ定められた一組のパラメーターを含む。これらの限度値は、乗数として用いられ、ベースライン校正限度値を調整する。これらのパラメーターの値は、特定の用途に対応するためにユーザーが調整することもできる。その後エンジンが売りに出される場合、買い手は、これらの値を見てそれまでのエンジン使用の苛酷さを推定することができる。例えば、積極的に校正を行なえば、ROLEの計算値および関連する限度値をベースラインまたは標準校正値から25%も増大させることができるのに対して、控えめの校正を行なえば、ROLEの計算値および関連する限度値を25%も減少させることができる。
【0145】
図43aのステップ526では、他のさまざまな分析で求められた情報および現在のエンジンの情報を用いて共働作用分析が行なわれる。この共働作用分析は、図46を参照して詳細に説明する。図43aのステップ528では、ステップ526の共働作用分析にもとづいて、オイルの状態が許容できるか否かが判別される。オイルの品質が許容できないと判別された場合には、ステップ530で、サービスまたは保守要員による将来のアクセスのために、メモリーに警告障害が記憶される。ステップ532では、ライトを点灯するかまたはそれと等価の表示を行なうことによってオペレーターに警告障害の警報が出される。ステップ534でオイルの状態がエンジンの継続使用にとって危険であると判別された場合には、ステップ536で該当する緊急障害がメモリーに記録され、ステップ538で緊急警報ライトなどによってオペレーターに警報が出される。あるいは、またはそれに加えて、データ・ハブ・ドライバ・インターフェースが、オペレーターへの警告の詳細な説明を行なう。そこで、制御がステップ542へ戻る。
【0146】
続けて図第43bを参照して、ステップ528でオイルの状態が許容できると判別された場合には、ステップ540でそれまで点灯されたすべての警告ライトまたは緊急警報ライトが消される。ステップ542でオイルの状態の改善が検出されなければ、制御は、ステップ550をパスし、ステップ518へ戻って再び処理を最初から始める。もちろん、他の「主」プログラムを平行的に実行してもよいし、制御がステップ518へ戻る前にステップ550から他のプログラムへ進んでもよい。ステップ542でオイルの状態が改善されていると判別された場合には、ステップ544で、オイル交換が行なわれたか否かが判別される。
【0147】
ステップ544でオイルの状態の改善がオイルの交換を示すほど有意なものでないと判別された場合には、ステップ546で、補給オイルが追加されて図29及び図41を参照して詳細に説明したように適当に感応するか否かが判別され、制御がステップ55へ進む。そうでない場合には、オイル交換が示され、ステップ548で、現在のエンジン時間を記録する、車両のオペレーターに警報を出す、測定頻度を変更するなどの適当な行動がとられる。
【0148】
次に、図44a及び図44bを参照すると、これらの図は、本発明にもとづいてエンジン・オイルの粘性を分析するための一つの方法を示す。ステップ570では、適当なセンサー・グリッドから現在のオイル温度(GOT)、オイル圧力(GOP)、およびエンジンのRPMが求められる。好ましい一実施形態にあっては、ステップ572で、エマートのアメリカ合衆国特許第4721874号に開示されているような粘性センサー・グリッドによって示されるオイルの粘性(ν)が判別される。もちろん、当業者に公知の他の多くの方法のいずれかを用いて粘性の測定値または推定値を得ることもできる。ステップ574では、オイル温度が約40℃であるか否か、あるいは傾向モニターおよび分析のために設定された他のあらかじめ定められた温度であるか否かが判別される。次に、ステップ576で、現在の粘性νが一時的変数ν40にセットされ、ステップ548では、これが経過したエンジン時間の関数として不揮発性メモリーに記憶される。次に、ステップ580、582、および584では、粘性の変化が、同様な方法で、例えば100℃など第二のあらかじめ定められた温度でのエンジン時間の関数としてモニターされる。
【0149】
図44aのステップ586では、両方の粘性測定値がゼロの値をとって、いずれの使用温度でも現在測定値が現在利用可能でないこと、すなわち、エンジンがその名目使用温度に達していないことを示しているか否かが判別される。次に、制御はステップ戻り、両方の測定値が得られるまでこのループが繰り返される。
【0150】
ステップ588では、粘性測定値に従来の統計的分析が適用され、両方のあらかじめ定められた温度(好ましい一実施形態にあっては40℃および100℃)に関する粘性の変化の傾向が識別される。前回のオイル排出以降および現在のオイル排出間隔の最新の10%および50%の期間で得られた測定値を用いて、エンジン時間に関する標準偏差(σ)および第一導関数が計算される。もちろん、特定の用途に応じて他の間隔を用いることも可能である。
【0151】
ステップ590、602、および608では、現在の粘性測定値または粘性の傾向にもとづいて、その後の適当な動作が判別される。ステップ589で40℃で得られた粘性測定値が対応する下限値より低く緊急事態に入っていると判別された場合には、ステップ592でフラッグがセットされ、燃料の希薄化が存在するか否かが判別される。燃料の希薄化を判別する方法は、第45を参照して詳細に説明する。燃料の希薄化が示された場合には、適当なフラッグ(FD)がセットされ、制御は、ステップ594を越えてステップ596へ向かう(図44b)。
【0152】
そうでない場合には、制御は、主プログラムへ戻る。
【0153】
図44bに示すように、ステップ596では、保守またはサービス要員による将来のアクセスのために、粘性障害が不揮発性メモリーに記録される。ステップ598では、ライトの点灯または他の適当な手段によってオイルの緊急事態を示す警報がオペレーターにあたえられる。次に、ステップ600で、制御が主プログラムへ戻る前に、この情報が、データ・ハブ、ECM、および/またはドライバ・インターフェースへ伝えられる。ステップ602では、同様にして100℃での粘性測定値が対応するあらかじめ定められた限度値を下回るか否かが判別される。下回る場合には、上に述べたと同様にして、制御が、ステップ604、606、596、598、および600へ進む。また同様に、ステップ608でオイル交換間隔の最新の10%の期間で得られた粘性の傾向があらかじめ定められた限度値を下回るとはbされた場合には、ステップ604、606、596、598、および600で適当な動作がとられる。しかし、ステップ608で最新の傾向があらかじめ定められた限度値を下回らないと判別された場合には、ステップ610で、両粘性測定値のいずれかが対応する上限値を上回るか否かが判別される。いずれかの上限値を上回って(オイルの「濃化」を示して)いる場合には、ステップ612で、メモリーに適当なフラッグがセットされ、すでに説明した煤の分析が行なわれる。次に、制御が主プログラムへ戻る前に、ステップ614で、オイルの酸化および/または窒化レベルが判別される。
【0154】
次に、図45を参照して、図は、本発明にもとづく燃料希薄化の検出方法を示す。ステップ630では、両粘性測定値(ν40およびν100)が、対応する下限値にそれぞれの対応する安全余裕値を見込んだ値を下回っているか否かが判別される。ステップ630の結果、下回っていないと判別された場合には、燃料の希薄化が示されず、制御は、ステップ642で発呼プログラムに戻る。それ以外の場合には、ステップ632でオイル・レベル・センサーによって生成された信号で現在のオイル量が検出される。燃料がオイル溜め634内に入り込んでいる場合には、ステップ634で過度に多いオイル量が検出され、ステップ636で適当なフラッグがセットされて燃料の希薄化が示される。それ以外の場合には、ステップ634で制御がステップ642を経て発呼プログラムに戻る。ステップ638では、ライトを点灯するか他の適当な標識を用いることによってオペレーターにオイルの緊急事態の警報が出される。ステップ640では、オプションのデータ・ハブ表示装置などによってオペレーターに適当なメッセージが伝えられ、ステップ642で制御が発呼プログラムに戻る。
【0155】
次に、図46を参照して、図は、本発明にもとづく共働作用的オイル品質分析の方法を示す。ステップ650では、なんらかのフラッグがセットされて低粘性が示されているか否かが判別される。ステップ650の判別の結果、低粘性が示されている場合には、ステップ652で燃料希薄化フラッグに関するテストが行なわれる。燃料希薄化のフラッグがセットされていない場合には、制御はステップ672へ進む。燃料希薄化が示されている場合には、共働作用的分析によって、ユーザーがオイル交換を行ないただちにサービスを依頼する必要があることが示される。次に、制御がステップ656で発呼プログラムに戻る。共働作用的分析の結果生成される例えばステップ654、666、および688で示されたような各種のメッセージは、多数の公知の方法のいずれかを用いてユーザーへ伝えることができる。好ましい一実施形態にあっては、適当なメッセージがオプションのデータ・ハブ表示装置でユーザーまたはオペレーターに提示される。検出された障害、警告、他の問題な状態に対応するエラーまたは障害コードも、保存して、ユーザーまたは他の車両システムおよびサブシステムへ伝えることができる。プログラム・サブルーチンから生じるさまざまな結果を用いて他の結論を確認することができる。
【0156】
図46のステップ658では、状況フラッグが検査されて高い粘性が示されているか否かが判別される。示されている場合には、ステップ658からステップ660へ進み、状況フラッグが検査されて高い煤濃度が検出されたか否かが判別される。検出された場合には、ステップ662でオイルを交換する適当な勧告が生成される。ステップ664で苛酷なデューティ・サイクルが検出された場合には、ステップ666でより良いオイルの使用を勧告するメッセージが生成され、ステップ656で処理が発呼プログラムへ戻る。苛酷なデューティ・サイクルが検出されない場合には、ステップ668および670でそのデューティ・サイクルでの異常に高い煤の負荷をユーザーに警告してより広範なオイル分析を勧告するメッセージが生成される。
【0157】
つづけて図46を参照して、ステップ650および658でそれぞれ低い粘性を示すフラッグも高い粘性を示すフラッグもセットされなかった場合には、ステップ672で粘性傾向状況フラッグが検査される。粘性傾向フラッグがセットされていない場合には、制御がステップ656で発呼プログラムへ戻る。その他の場合には、ステップ674で粘性の読み取り値が現在のデューティ・サイクルおよびエンジン時間にもとづく限界域内にあるか否かが判別される。判別の結果が否の場合には、ステップ670でより包括的なオイル分析を行ないサービスを求めることが勧告される。粘性の測定値が無理のない範囲にある(がしかしステップ672で許容できない傾向を示していることが判別された)場合には、ステップ676でオイル剪断の結果としてROLEで計算された残余の距離を修正して近い将来オイル交換を行なうことが勧告される。
【0158】
ステップ660で煤のフラッグがセットされていないことが判別された場合には、ステップ678でフラッグが検査されて高いレベルの酸化または窒化が存在するか否かが判別される。次に、ステップ680で腐食フラッグおよびTBNフラッグが検査される。ステップ678および680の結果、フラッグがセットされていれば、ステップ682でオイル添加剤のパッケージの枯渇が示されまたオイル交換が勧告される。そうでない場合には、制御がステップ656で発呼プログラムへ戻る。次に、ステップ684でオイル時間数を用いたサイクル分析が行なわれてオイルの相対的な品質が判別される。ステップ686で判別された最近の使用条件をベースにしてオイル時間数が比較的少ない場合には、ステップ688でオペレーターに適当なメッセージが伝えられる。そうでない場合には、オイルの寿命が現在の条件に対して妥当なものであるため、メッセージが生成されることなく制御がステップ656で発呼プログラムへ戻る。
【0159】
図4乃至図7は、オイルの排出が明示的に示されたかまたはシステムによって自動的に検出された後の情報の記録に関係するステップを示す。ステップ700では、現在のエンジン走行経過時間に対するオイル排出のための値がセットされる。
【0160】
ステップ702では、不揮発性メモリー内にオイル排出時間が記憶される。ステップ704では、将来の経時的分析で使用するためにオイル分析統計が不揮発性メモリー内に記録される。この情報は、また、サービス要員が、エンジン制御論理またはデータ・ハブを介してシステムとインターフェースするサービス・ツールを用いてアクセスすることができる。
【0161】
図48は、本発明にもとづいて補給オイルの追加を検出し対応するためのステップを示す。ステップ710では、各種のオイル品質統計値すなわち品質測定値の変化や標準偏差などの傾向が分析され、最近のエンジン使用中にこれらの測定値が改善されたか否かが判別される。ステップ712では、適当なセンサーからの溜めオイルに関する現在のオイル・レベル測定値が得られる。ステップ714では、オイル・レベル・センサーから得られた測定値の変化にもとづいて追加されたオイルの量が計算され、オイル品質測定値の変化にもとづいて追加されたオイルの質が計算される。次に、ステップ716では、溜めに追加されたオイルの量および品質にもとづいてベースライン校正曲線が補正される。この修正された校正曲線が、ステップ718で不揮発性メモリーに保存され、ステップ720では、現在のエンジン使用経過時間およびオイル追加量が不揮発性メモリーに保存される。次に、ステップ722で制御が発呼プログラムへ戻る。
【0162】
以上、好ましい実施形態を説明したが、本発明では、多くの変更、再構成、および部品の置換が可能なことが理解されよう。例えば、オイル中の特定の汚染物質は、センサー20入力信号の周波数を漸増または掃引変動させることによって識別できるかなりユニークで周波数依存的な誘電特性をもっている。また、マイクロは周波数域でのセンサー20信号の位相の変化を測定することによっても有用なデータを獲得することができる。以上の説明で使用した用語は、限定的でなく記述的なものであること、また特許請求の範囲に記載の本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更を行なうことが可能なことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明にもとづいて構成されたシステムのブロック線図である。
【図2】本発明の一実施形態の概要図である。
【図3】本発明の第二の実施形態の概要図である。
【図4】本発明の第三の実施形態の端部を示す立面図である。
【図5】図4に示す実施形態の側面図である。
【図6】図4の実施形態の切断面6−6における断面図である。
【図7】切断面7−7に沿って見たときの、図4及び図5の実施形態の断面図である。
【図8】90°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図9】40°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図10】0°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図11】80°の粒子磁束パターンを示す、本発明による電磁石の断面図である。
【図12】本発明による電磁石の他の実施形態の断面図である。
【図13】汚染されていない循環潤滑油を用いて得られたベースライン・データを示す、時間の関数としてのテスト周波数のパーセントのグラフである。
【図14】三つの異なるエネルギー状態での、散らばった鉄のやすり屑のみによって汚染された潤滑油を用いて得られたデータを示す、時間の関数としてのテスト周波数のパーセントのグラフである。
【図15】断続的に作動された機械の中の汚染された潤滑油を用いて得られたデータを示す、時間の関数としてのデューティ・サイクルの周波数のグラフである。
【図16】本発明によるオイル品質分析システムを有する大型ディーゼルエンジンの斜視図である。
【図17】本発明による大型ディーゼルエンジンのオイルの品質分析をモニターする方法を実施するためのシステムのブロック線図である。
【図18】本発明によるオイル・センサーのハウジングの断面図である。
【図19】図18のオイル・センサーのハウジング100の平面図である。
【図20】図18及び図19のセンサーのハウジングの下端から見た分解斜視図である。
【図21】図18−図20に示すセンサーのハウジングの組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図22】本発明によるセンサーのグリッドの詳細を示す平面図である。
【図23】図22のセンサー・グリッドの切断面23−23における拡大断面図である。
【図24】連続エンジン作動中充填されるやもしれないかのごとく充填される、汚れた状態で分析されるオイル及び汚染物質を示す、測定チャンバーの拡大図である。
【図25】フィルター・ハウジングと、フィルター・ハウジングを通る異なるオイル流路に採用され、配置された複数のセンサー・グリッドとを有する、本発明によるエンジン・オイル分析の比較法を行なうためのオイル分析センサーの第二の実施形態を示す。
【図26】実装されたエンジンに関する車両の走行距離の関数としての、センサー周波数の典型的な変化を示すグラフである。
【図27】単一の基板上で二つのセンサー・グリッドを用い、その一つが基準サンプルに対向している本発明の第三の実施形態の部分断面図である。
【図28】図27に示す本発明による基準センサーの構成を示す平面図である。
【図29】二つのセンサー・グリッドを用いた構成の基準センサーの他の形態およびベースラインとしての未使用オイルのサンプルを示す本発明の第四の実施形態を示す図である。
【図30】三つのセンサー・グリッドを備える、汚染物質検出機能が改善された、更に別の形態の基準センサーを示す、本発明の第五の実施形態を示し、センサー・グリッド280、282は、オイルがオイル・フィルターの上流にあり、濾過されないオイルを示す箇所において、それぞれ上端、下端で、共通の測定、あるいは、分析チャンバーに配置され、第三のセンサー・グリッド284は、オイル・フィルターの下流の別個の分析チャンバー内に配置される。
【図31】静的ジャンプ・チャンネルを備える、図18に示されるセンサー・ハウジングのオイルフロー・チャンバーを、モールディングのコアに用いるような固形形態で示す斜視図である。
【図32】垂直方向に差し向けられた静的ジャンプ・チャンネルのない、本発明によるセンサー・ハウジングの他の実施形態を示す、図31と同様な図である。
【図33】図31図と同様な図であって、図31に示すような検査チャンバーを有する単一のセンサー・グリッド設計に差し向けられた本発明による他の実施形態を示し、センサー・グリッドを通る流れはフィルター・ハウジングのオイル流路のヴェンチュリ設計によって促進される。
【図34】図31図と同様で図であり、単一のセンサー・グリッドの連続流れオイル分析装置に差し向けられた本発明の他の実施形態を示す図であり、フィルター・ハウジングがハウジング内に垂直方向に差し向けられた羽根が設けることによって区画され、オイルが、垂直方向に伸びる検査チャンバーの周囲に亘って延びる二つの個別の通路に添ってグリッド・センサーに供給される。
【図35】図31と同様な斜視図であり、オイルの流れをセンサー・グリッドに差し向けるらせん状の流れの羽根を用いる、他の実施形態を示す。
【図36】本発明による回路盤へセンサー・グリッドを取り付ける方法を示す部分断面図である。
【図37】本発明による、一体構成の、電磁石センサー・グリッドと回路盤を示す斜視図である。
【図38】冷却フィンと粘度センサーを組み合わせて用いるオイル品質センサーを示す本発明の第十の実施形態を示す図である。
【図39】センサー・ハウジングがエンジンとオイル・クーラーの間に介在されている、本発明の他の実施形態を示す図である。
【図40】センサー・ハウジングがオイル・クーラーと一体である、本発明の他の実施形態を示す図である。
【図41】本発明による、起こり得ないと思われる補給オイルの追加分も考慮するようにベースライン校正曲線の補正を行なうためのシステムの概要図である。
【図42】本発明による、各種の実施形態に関するオイル品質センサーの取り付け選択肢を示す概要図である。
【図43a】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図43b】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図44a】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図44b】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図45】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図46】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図47】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【図48】本発明による連続エンジン・オイル分析を行なうための種々の方法の制御論理で行うことができる、オイル品質を分析する方法を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンオイル循環システムと、エンジン電子制御装置と、該エンジン制御装置と連通しているエンジンオイル分析システムとを有する内燃機関であって、エンジンオイル分析システムが、
エンジンに取り付けられ、前記エンジンオイル循環システムと液体連通している測定チャンバーを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に配置された容量性センサーとを有し、該センサーが、誘電体として機能するエンジンオイルを収容するための空間を、間に有する少なくとも二つの伝導要素を特徴とし、
前記センサーに電力を供給し、前記センサーの周波数感応を測定し、前記センサーの周波数感応の時間による変化を分析するための、前記センサーと連通しているメモリーを含む制御論理を有する、
内燃機関。
【請求項1】
エンジンオイル循環システムと、エンジン電子制御装置と、該エンジン制御装置と連通しているエンジンオイル分析システムとを有する内燃機関であって、エンジンオイル分析システムが、
エンジンに取り付けられ、前記エンジンオイル循環システムと液体連通している測定チャンバーを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に配置された容量性センサーとを有し、該センサーが、誘電体として機能するエンジンオイルを収容するための空間を、間に有する少なくとも二つの伝導要素を特徴とし、
前記センサーに電力を供給し、前記センサーの周波数感応を測定し、前記センサーの周波数感応の時間による変化を分析するための、前記センサーと連通しているメモリーを含む制御論理を有する、
内燃機関。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43a】
【図43b】
【図44a】
【図44b】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43a】
【図43b】
【図44a】
【図44b】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【公開番号】特開2006−177974(P2006−177974A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57808(P2006−57808)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【分割の表示】特願平8−527702の分割
【原出願日】平成8年3月6日(1996.3.6)
【出願人】(597060128)デトロイト・ディーゼル・コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【分割の表示】特願平8−527702の分割
【原出願日】平成8年3月6日(1996.3.6)
【出願人】(597060128)デトロイト・ディーゼル・コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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