説明

内燃機関

【課題】製造コストの増大を回避すると共に、オイルの冷却効率を高める。
【解決手段】シリンダヘッド3、ガスケット2、及び、シリンダブロック1を順次オイルが流下するエンジン100であって、シリンダブロック1が、オイルを流通可能に構成されたオイル通路11と、冷却水が流通可能に構成されたウォータジャケット12と、を備え、ガスケット2が、シリンダヘッド3から流入するオイルをオイル通路11へ流下させるオイル孔21を備える。また、ガスケット2のオイル孔21が、シリンダヘッド3のオイル通路31から流入するオイルを、シリンダブロック1のオイル通路11のウォータジャケット12側へ誘導して流下させるべく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダヘッド、ガスケット、及び、シリンダブロックを順次オイルが流下する内燃機関に関する。特に、車両等に搭載されるエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダヘッド、ガスケット、及び、シリンダブロックを順次オイルが流下する内燃機関が知られている。また、シリンダブロックに形成されたウォータジャケットを用いて、流下するオイルを冷却する種々の装置等が提案されている。
【0003】
例えば、オイルがシリンダブロックに形成されたウォータジャケット側の中間壁に沿って流れるように、第2戻り油路に案内部材が配置された内燃機関が開示されている(特許文献1参照)。この内燃機関では、案内部材によってウォータジャケット側の中間壁にオイルを確実に接触させることができるため、オイルの冷却効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−229831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の内燃機関では、案内部材を配設する必要があるため、製造コストが増大する虞がある。また、案内部材をシリンダブロックと一体成形する場合には、鋳造及び加工が困難になるため、製造コストが増大する虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、製造コストの増大を回避すると共に、オイルの冷却効率を高めることが可能な内燃機関を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る内燃機関は、以下のように構成されている。
【0008】
すなわち、本発明に係る内燃機関は、シリンダヘッド、ガスケット、及び、シリンダブロックを順次オイルが流下する内燃機関であって、前記シリンダブロックが、オイルを流通可能に構成されたオイル通路と、冷却水が流通可能に構成されたウォータジャケットと、を備え、前記ガスケットが、前記シリンダヘッドから流入するオイルを前記オイル通路へ流下させるオイル孔を備え、前記オイル孔が、前記シリンダヘッドから流入するオイルを、前記オイル通路の前記ウォータジャケット側へ誘導して流下させるべく形成されていることを特徴としている。
【0009】
かかる構成を備える内燃機関によれば、前記オイル孔が、前記シリンダヘッドから流入するオイルを、前記オイル通路の前記ウォータジャケット側へ誘導して流下させるべく形成されているため、製造コストの増大を回避すると共に、オイルの冷却効率を高めることができる。
【0010】
すなわち、本発明に係るオイル孔は、従来のオイル孔と比較して、その位置及び形状の少なくとも一方を変更することによって、前記シリンダヘッドから流入するオイルを、前記オイル通路の前記ウォータジャケット側へ誘導して流下させるべく形成されている。つまり、前記ウォータジャケットと反対側において、前記オイル孔の内周縁が、前記オイル通路の上端の内周面から突出して形成されており、この前記オイル孔の内周縁に前記シリンダヘッドから流下してきたオイルが衝突して、前記ウォータジャケット側へ誘導され、オイルの冷却効率を高めることができるのである。
【0011】
したがって、上記構成を備える内燃機関によれば、単に前記オイル孔の位置及び形状の少なくとも一方を変更すればよいので、オイルの冷却効率を高めるための製造コストの増大を回避することができるのである。
【0012】
また、本発明に係る内燃機関は、前記オイル孔の中心が、前記オイル通路上端の開口の中心に対して、前記ウォータジャケット側へオフセットされて形成されていることが好ましい。
【0013】
かかる構成を備える内燃機関によれば、前記オイル孔の中心が、前記オイル通路上端の開口の中心に対して、前記ウォータジャケット側へオフセットされて形成されているため、単に前記オイル孔の位置を変更すればよいので、オイルの冷却効率を高めるための製造コストの増大を回避することができる。
【0014】
また、本発明に係る内燃機関は、前記オイル孔が、当該オイル孔の開口面積が前記オイル通路上端の開口面積よりも小さく形成されると共に、当該オイル孔の中心が前記オイル通路上端の開口の中心に対して前記ウォータジャケット側へオフセットされて形成されていることが好ましい。
【0015】
かかる構成を備える内燃機関によれば、前記オイル孔が、当該オイル孔の開口面積が前記オイル通路上端の開口面積よりも小さく形成されると共に、当該オイル孔の中心が前記オイル通路上端の開口の中心に対して前記ウォータジャケット側へオフセットされて形成されているため、単に前記オイル孔の位置及び形状を変更すればよいので、オイルの冷却効率を高めるための製造コストの増大を回避することができる。
【0016】
また、本発明に係る内燃機関は、前記ウォータジャケット側における前記オイル孔の内周縁が、前記ウォータジャケット側における前記オイル通路上端の開口の内周面と略面一とするべく形成されていることが好ましい。
【0017】
かかる構成を備える内燃機関によれば、前記ウォータジャケット側における前記オイル孔の内周縁が、前記ウォータジャケット側における前記オイル通路上端の開口の内周面と略面一とするべく形成されているため、前記ウォータジャケット側においてオイルがスムーズに流下するので、オイルの冷却効率を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る内燃機関によれば、前記オイル孔が、前記シリンダヘッドから流入するオイルを、前記オイル通路の前記ウォータジャケット側へ誘導して流下させるべく形成されているため、製造コストの増大を回避すると共に、オイルの冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るエンジンの要部の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面の一例を示す断面図である。
【図3】図2のB−B矢視図の一例を示す図である。
【図4】図2のC−C矢視図の一例(第一実施形態)を示す図である。
【図5】図4に係るオイル落とし通路を示す断面図である。
【図6】図2のC−C矢視図の他の一例(第二実施形態)を示す図である。
【図7】図6に係るオイル落とし通路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
−エンジン1−
図1は、本発明に係るエンジン100の要部の一例を示す斜視図である。まず、図1を参照してエンジン100の全体構成について説明する。エンジン100は、例えば、4気筒(1番気筒〜4番気筒)のガソリンエンジンであって、シリンダブロック1、ガスケット2、及び、シリンダヘッド3を備えている。ここで、エンジン100は、特許請求の範囲に記載の「内燃機関」に相当する。また、図1には、便宜上、X軸、Y軸、Z軸からなる直交座標系を記載されている。
【0022】
シリンダブロック1は、ピストンが挿入され、燃焼室を形成する複数の(ここでは、4個の)円筒状の4つのシリンダボア13(131〜134:図3参照)が収容されるものであって、内部にウォータジャケット12及びオイル通路11が形成されている(図3参照)。
【0023】
ガスケット2は、シリンダブロック1とシリンダヘッド3の間に介設され、シール部材として機能するものである。具体的には、ガスケット2は、シリンダブロック1に配設されたシリンダボア13(図3参照)における内圧を外部と遮断する。また、ガスケット2は、シリンダブロック1に配設されたウォータジャケット12(図3参照)からシリンダボア13への冷却水の浸入を阻止すると共に、シリンダブロック1に配設されたオイル通路11(図3参照)からシリンダボア13へのエンジンオイルの浸入を阻止する。更に、ガスケット2には、シリンダヘッド3のオイル通路31から流下するオイルをシリンダブロック1のオイル通路11へ流通させるオイル孔21(図2参照)が形成されている。
【0024】
シリンダヘッド3は、燃焼室の一部を構成すると共に、図略の吸気バルブ、排気バルブ、点火プラグ等が配設されるものである。また、シリンダヘッド3には、内部にオイル通路31が形成されている(図2参照)。
【0025】
本実施形態では、エンジン100が、ガソリンエンジンである場合について説明するが、エンジン100が、ディーゼルエンジンである形態でもよい。
【0026】
−オイル落とし通路及びウォータジャケット12−
次に、図2及び図3を参照して、エンジン100の内部に形成されているオイル落とし通路及びウォータジャケット12について説明する。図2は、図1のA−A断面の一例を示す断面図である。ここで、A−A断面は、図1に示すY−Z平面と平行な平面での断面(縦断面)である。図3は、図2のB−B矢視図(シリンダブロック1の上面図)の一例を示す図である。
【0027】
まず、オイル落とし通路について説明する。まず、エンジンオイルは、シリンダヘッド3の上部に配設された図略の吸気バルブ及び排気バルブのカム、カムシャフト等からなる駆動機構等に供給され、シリンダヘッド3の上側の表面に滴下される。そして、エンジンオイルは、シリンダヘッド3の上側の表面を、オイル通路31の上端の開口位置に向けて流動して、オイル通路31に流入する。
【0028】
次いで、シリンダヘッド3のオイル通路31内を流下し、ガスケット2に形成されたオイル孔21を経由して、シリンダブロック1のオイル通路11へ流入する。そして、シリンダブロック1のオイル通路11を流下して、シリンダブロック1の下方に配設された図略のオイルパンに流入する。オイルパン内のエンジンオイルは、図略のオイルポンプによって、シリンダヘッド3の上部に配設された図略の吸気バルブ及び排気バルブのカム、カムシャフト等からなる駆動機構等に供給される。
【0029】
上述のように、エンジンオイルは、シリンダヘッド3のオイル通路31、ガスケット2のオイル孔21、及び、シリンダブロック1のオイル通路11からなるオイル落とし通路を順次流下する。また、図3に示すように、シリンダブロック1のオイル通路11は、3分割されて、それぞれ、ウォータジャケット12に沿って、X軸方向に直線状に延設されている。すなわち、3つのオイル通路11が、それぞれ、ウォータジャケット12に沿って、X軸方向に直線状に延設されて形成されている。次に、ウォータジャケット12について説明する。ウォータジャケット12は、冷却水によってシリンダボア13の壁面を冷却するものであって、図3に示すように、シリンダボア13(131〜134)の外周に沿って形成されている。また、ウォータジャケット12には、流入口121及び流出口122が形成されている。
【0030】
流入口121は、図略のウォータポンプから冷却水が供給可能に構成されている。流入口121から流入した冷却水は、シリンダボア131、132、133、134のそれぞれの外周に沿って順次矢印V1の向きに流れ、シリンダボア134の外周に形成された流出口122から排出される。流出口122から排出された冷却水は、図略のラジエータに送出可能に構成され、当該ラジエータにおいて、冷却水によって回収された熱が大気に放出される。
【0031】
−オイル孔21(第一実施形態)−
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第一実施形態に係るオイル孔21について説明する。図4は、図2のC−C矢視図(ガスケット2の上面図)の一例(第一実施形態)を示す図である。図5(a)は、従来のオイル落とし通路の一例を示すD−D断面であって、図5(b)は、図4に係るオイル落とし通路を示すD−D断面図である。
【0032】
図5(a)に示すように、従来のオイル落とし通路は、シリンダヘッド3のオイル通路31、ガスケット2Bのオイル孔21B、及び、シリンダブロック1のオイル通路11から構成されている。また、3つのオイル孔21Bのウォータジャケット12側の内周縁211Bは、それぞれ、オイル通路11のウォータジャケット12側の内周面111と面一に形成され、3つのオイル孔21Bのウォータジャケット12と反対側の内周縁212Bは、それぞれ、オイル通路11のウォータジャケット12と反対側の内周面112と面一に形成されている。したがって、矢印V2に示すように、シリンダヘッド3のオイル通路31の中を流下したオイルは、流れを遮られることなく、そのまま、3つのオイル孔21Bの中、及び、オイル通路11の中を流下する。
【0033】
これに対して、図5(b)に示すように、本発明の第一実施形態に係るオイル落とし通路は、シリンダヘッド3のオイル通路31、ガスケット2のオイル孔21、及び、シリンダブロック1のオイル通路11から構成されている。また、本発明の第一実施形態に係るオイル孔21は、シリンダヘッド3のオイル通路31から流入するオイルを、オイル通路のウォータジャケット12側へ誘導して流下させるべく形成されている。
【0034】
具体的には、3つのオイル孔21は、それぞれ、図4に示すように、オイル孔21の開口面積S2が、シリンダブロック1のオイル通路11上端の開口面積S1(図3参照)よりも小さく形成されると共に、3つのオイル孔21の中心が、それぞれ、シリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口の中心に対してウォータジャケット12側へオフセットされて形成されている。
【0035】
本実施形態においては、ウォータジャケット12側における各オイル孔21の内周縁211は、シリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口のウォータジャケット12側の内周面111と略面一とするべく形成されている。また、ウォータジャケット12と反対側における各オイル孔21の内周縁212は、シリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口のウォータジャケット12と反対側の内周面112から突出して形成されている。
【0036】
このようにして、3つのオイル孔21の内周縁212が、それぞれ、シリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口のウォータジャケット12と反対側の内周面112から突出して形成されているため、ウォータジャケット12と反対側におけるシリンダヘッド3のオイル通路31から流入するオイルは、ガスケット2のオイル孔21の内周面112によって流下が妨害され、図5(b)に矢印V3で示すように、ウォータジャケット12側へ誘導される。したがって、シリンダブロック1に形成された3つのオイル通路11において、ウォータジャケット12側のオイル流量が増加するため、オイルの冷却効率を高めることができる。
【0037】
また、上述のように、3つのオイル孔21について、それぞれ、オイル孔21の開口面積S2(図4参照)がオイル通路11上端の開口面積S1(図3参照)よりも小さく形成されると共に、オイル孔21の中心がオイル通路11上端の開口の中心に対してウォータジャケット12側へオフセットされて形成されている(図4、図5(b)参照)ため、単にオイル孔21の位置及び形状を変更すればよいので、オイルの冷却効率を高めるための製造コストの増大を回避することができる。
【0038】
更に、各オイル孔21のウォータジャケット12側の内周縁211が、それぞれ、オイル通路11上端の開口のウォータジャケット12側の内周面111と面一とするべく形成されている(図4、図5(b)参照)ため、ウォータジャケット12側においてオイルがスムーズに流下するので、オイルの冷却効率を更に高めることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、3つのオイル孔21のウォータジャケット12側に内周縁211が、それぞれ、シリンダヘッド3に形成されたオイル通路31下面の開口のウォータジャケット12側の内周面311とも面一とするべく形成されているため、ウォータジャケット12側においてオイルが更にスムーズに流下するので、オイルの冷却効率を更に高めることができる。
【0040】
−オイル孔21A(第二実施形態)−
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第二実施形態に係るオイル孔21Aについて説明する。図6は、図2のC−C矢視図(ガスケット2Aの上面図)の他の一例(第二実施形態)を示す図である。図7は、図6に係るオイル落とし通路を示すE−E断面図である。
【0041】
図7に示すように、本発明の第二実施形態に係るオイル落とし通路は、シリンダヘッド3のオイル通路31、ガスケット2Aのオイル孔21A、及び、シリンダブロック1のオイル通路11から構成されている。また、本発明の第二実施形態に係るオイル孔21Aは、シリンダヘッド3のオイル通路31から流入するオイルを、オイル通路のウォータジャケット12側へ誘導して流下させるべく形成されている。
【0042】
具体的には、図6に示すように、3つのオイル孔21Aの実線で示す開口部の中心は、それぞれ、オイル通路11上端の破線で示す開口部の中心に対して、ウォータジャケット12側へオフセットされて形成されている。本実施形態においては、ウォータジャケット12側における各オイル孔21Aの内周縁211Aは、それぞれ、ウォータジャケット12側におけるシリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口の内周面111よりウォータジャケット12側に形成されている。また、ウォータジャケット12と反対側における各オイル孔21Aの内周縁212Aは、それぞれ、ウォータジャケット12と反対側におけるシリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口の内周面112から突出して形成されている。
【0043】
このようにして、ガスケット2の3つのオイル孔21Aは、それぞれ、ウォータジャケット12と反対側におけるシリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口の内周面112から突出して形成されているため、ウォータジャケット12と反対側におけるシリンダヘッド3のオイル通路31から流入するオイルは、ガスケット2のオイル孔21Aの内周面112によって流下が妨害され、図7に矢印V4で示すように、ウォータジャケット12側へ誘導される。したがって、オイルの冷却効率を高めることができる。
【0044】
また、上述のように、各オイル孔21Aの開口部の中心は、それぞれ、オイル通路11上端の開口の中心に対して、ウォータジャケット12側へオフセットされて形成されている(図7参照)ため、単にオイル孔21Aの位置を変更すればよいので、オイルの冷却効率を高めるための製造コストの増大を回避することができる。
【0045】
−他の実施形態−
第一実施形態及び第二実施形態では、3つの21オイル孔(又は、オイル孔21A)の中心が、それぞれ、シリンダブロック1に形成されたオイル通路11上端の開口の中心に対してウォータジャケット12側へオフセットされて形成されている場合について説明したが、オイル孔が、シリンダヘッド3のオイル通路31から流入するオイルを、シリンダブロック1のオイル通路11のウォータジャケット12側へ誘導して流下させるべく形成されている形態であればよい。なお、このように形成されたオイル孔を、以下の説明では、便宜上、オイル孔Hという。
【0046】
すなわち、このようなオイル孔Hは、従来のオイル孔21B(図5(a)参照)と比較して、その位置及び形状の少なくとも一方を変更することによって、シリンダヘッド3のオイル通路31から流入するオイルを、シリンダブロック1のオイル通路11のウォータジャケット12側へ誘導して流下させるべく形成されている。つまり、ウォータジャケット12と反対側において、オイル孔Hの内周縁が、シリンダブロック1に形成されたオイル通路11の上端の内周面112から突出して形成されており、このオイル孔Hの内周縁にシリンダヘッド3のオイル通路31から流下してきたオイルが衝突して、ウォータジャケット12側へ誘導され、オイルの冷却効率を高めることができるのである。
【0047】
第一実施形態及び第二実施形態では、オイル孔21、21Aが、X軸方向に一定の幅に形成されている場合について説明するが、X軸方向にオイル孔の幅が変化する形態でもよい。例えば、ウォータジャケット12に近接するX軸方向の位置において、オイル孔の幅が広く、ウォータジャケット12から離間するX軸方向の位置において、オイル孔の幅が狭く形成されている形態が好ましい。この場合には、オイル孔のウォータジャケット12に近接するX軸方向の位置において、多量のオイルを流下させることができるため、オイルの冷却効率を更に高めることができる。
【0048】
第一実施形態及び第二実施形態では、シリンダブロック1のオイル通路11が、3分割されて、それぞれ、ウォータジャケット12に沿って、X軸方向に直線状に延設されている場合について説明するが、シリンダブロック1のオイル通路11が、ウォータジャケット12に沿って形成されていればよい。例えば、1つのオイル通路11が、ウォータジャケット12に沿って直線状にX軸方向に延設されている形態でもよいし、1つのオイル通路11が、ウォータジャケット12に沿って断面視略円弧状に形成されている形態でもよい。また、第一実施形態及び第二実施形態では、オイル通路11が、X軸方向に3分割されている場合について説明するが、X軸方向に複数(例えば、2つ、又は、4つ以上)に分割されている形態でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、シリンダヘッド、ガスケット、及び、シリンダブロックを順次オイルが流下する内燃機関に利用することができる。特に、車両等に搭載されるエンジンに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 エンジン(内燃機関)
1 シリンダブロック
11 オイル通路
12 ウォータジャケット
121 流入口
122 流出口
13(131〜134) シリンダボア
2、2A ガスケット
21、21A オイル孔
211、211A 内周縁
212、212A 内周縁
3 シリンダヘッド
31 オイル通路
311 内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッド、ガスケット、及び、シリンダブロックを順次オイルが流下する内燃機関であって、
前記シリンダブロックは、オイルを流通可能に構成されたオイル通路と、冷却水が流通可能に構成されたウォータジャケットと、を備え、
前記ガスケットは、前記シリンダヘッドから流入するオイルを前記オイル通路へ流下させるオイル孔を備え、
前記オイル孔は、前記シリンダヘッドから流入するオイルを、前記オイル通路の前記ウォータジャケット側へ誘導して流下させるべく形成されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関において、
前記オイル孔は、前記オイル通路上端の開口の中心に対して、前記ウォータジャケット側へオフセットされて形成されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項3】
請求項1に記載の内燃機関において、
前記オイル孔は、当該オイル孔の開口面積が前記オイル通路上端の開口面積よりも小さく形成されると共に、当該オイル孔の中心が前記オイル通路上端の開口の中心に対して前記ウォータジャケット側へオフセットされて形成されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関において、
前記ウォータジャケット側における前記オイル孔の内周縁は、前記ウォータジャケット側における前記オイル通路上端の開口の内周面と略面一とするべく形成されていることを特徴とする内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−68083(P2013−68083A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204951(P2011−204951)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】