内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置
【課題】
表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置を提供する。
【解決手段】
クランプ具450は基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置と両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられている。基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置から待避位置へ移動する際に、クランプ具450により把持されるとともにヒータにより加熱された表皮Hはクランプ具450により延伸された後、真空成形される。
表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置を提供する。
【解決手段】
クランプ具450は基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置と両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられている。基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置から待避位置へ移動する際に、クランプ具450により把持されるとともにヒータにより加熱された表皮Hはクランプ具450により延伸された後、真空成形される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用内装部品等の内装品の真空成形装置では、表皮側真空吸引型で表皮を吸引してその表面形状を成形し、さらに基材側真空吸引型により基材の通気路を介してこの表皮を吸引して、表皮を基材の表面に密着させることが行われている。
【0003】
例えば、自動車用内装部品の一つであるインストルメントパネルは、車幅方向を長手方向として、自動車のフロントガラスに沿い、運転席及び助手席に対向する位置に取付けられている。前記インストルメントパネルは、基材の一部に、その表面に沿って表皮が貼着されて、真空成形法により、基材側真空吸引型及び表皮側真空吸引型で基材と表皮とが挟着されて一体に成形されている。
【0004】
インストルメントパネルのうち、助手席側のグローブボックス周囲や、運転席側のコックピット周囲等の部分では、これらの部分を車幅方向から見ると、その形状が、自動車のフロント側から車内空間に向けて膨らんだ湾曲形状となっている。このような湾曲形状のパネル湾曲部では、この部分における基材の形状が、パネル湾曲部の形態にほぼ沿った形状となっている。前記インストルメントパネルは、例えば、特許文献1、或いは、特許文献2に開示された真空成形装置によって製造される。
【0005】
図10〜12を参照して、従来の特許文献1に記載の内装品の真空成形装置を説明する。
基材10は、パネル湾曲部の頂部を型開閉方向VL(図10中、上下方向)上方に向けた配置形態で、真空成形装置の基材側吸引型51に取付けられる。一方、表皮12は、クランプ具により水平に保持された状態で、基材側吸引型51(基材側真空吸引型)と表皮側吸引型52(表皮側真空吸引型)との間に配設されている。
【0006】
成形時には、図10において表皮12を水平な姿勢のまま、基材側吸引型51を上昇させて、表皮12の一部を基材10の一部に被覆する。次いで、図11に示すように表皮側吸引型52を下降させ、この残り表皮12の一部を、この基材10の残部に被覆した後、基材側吸引型51と表皮側吸引型52とが型締めされる。型締め後、基材側吸引型51と表皮側吸引型52との成形空間内で、表皮側吸引型52側からの表皮12の真空引きにより表皮12の表面形状を成形し、基材側吸引型51側から基材10の通気部を通じてこの表皮12を吸引することで、表皮12が基材10に接着される。この後、真空成形装置は、図12に示すように、型開きされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−160604号公報
【特許文献2】特開2009−78419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、コスト低減のために、前記表皮の原反の寸法短縮を行うことが実施されている。ところが、表皮の寸法を短縮すると、表皮を把持する把持手段が、表皮真空成形時に型に接触して干渉する虞があるため、表皮の原反の寸法短縮及び表皮のコスト低減には限界がある。
【0009】
この発明は、表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型の型開き時に前記基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持手段により把持し、前記把持手段に把持された前記表皮をヒータにより加熱し、前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置から前記両型に干渉しない待避位置へ移動させて、前記ヒータにより加熱された前記表皮を延伸させ、型締めにより、前記延伸した前記表皮を基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、前記表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させることを特徴とする内装品の真空成形方法を要旨としている。
【0011】
請求項2の発明は、基材側真空吸引型と、表皮側真空吸引型と、型開き時に前記基材側真空吸引型、前記表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持する把持手段を備える支持手段と、前記型開き時に前記把持手段に把持された前記表皮を加熱するヒータを備え、前記ヒータにて加熱された前記表皮を、型締めにより、基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させる内装品の真空成形装置において、前記支持手段は、前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置と前記両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられ、前記両型に干渉可能な位置から前記待避位置へ移動する際に、前記把持手段により把持されるとともに前記ヒータにより加熱された前記表皮が延伸されることを特徴とする内装品の真空成形装置を要旨としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形方法を提供できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】真空成形装置の表皮延伸装置の平面図。
【図2】本実施形態に係るインストルメントパネルの基材の概略平面図。
【図3】真空成形装置の概略断面図。
【図4】(a)は真空成形装置の概略断面図、(b)は図1のA−A線断面図、(c)は図1のB−B線断面図。
【図5】真空成形装置の型開き状態を示す説明図。
【図6】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図7】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図8】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図9】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図10】従来の内装品の真空成形装置の工程を説明する説明図。
【図11】従来の内装品の真空成形装置の工程を説明する説明図。
【図12】従来の内装品の真空成形装置の工程を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
以下に、この発明を具体化した内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置を、インストルメントパネルの真空成形方法及び真空成形装置に具体化した一実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
【0016】
図3に示す本実施形態の真空成形装置50は、予め所定形状に1次成形された基材Kとシート状の表皮Hを真空成形法により一体に密着させてインストルメントパネルP(図9参照)を成形する装置である。
【0017】
真空成形装置50は、車両の内装品を真空成形する装置であり、図3〜図9に示すように、型開閉方向VL(図3〜図9において、上下方向)に図示しない昇降機構により昇降可能に構成された基材側真空吸引型100と、基材側真空吸引型100に対向するとともに図示しない昇降機構により同じく型開閉方向VLに昇降可能に構成された表皮側真空吸引型200とを備えている。
【0018】
なお、図3〜9において、型開閉方向VLと直交する図の左右方向は短手方向PWといい、短手方向PWとは直交する方向(すなわち、図面と直交する方向)を長手方向PL(図1参照)という。長手方向PLは、インストルメントパネルPの長手方向と一致させている。
【0019】
図3に示すように、基材側真空吸引型100は、図示しない通気部を備えた通気可能な型であり、予め1次成形された基材Kをセットして内側から支持する凸型形状に形成された支持面101を備えている。基材側真空吸引型100には、図3に示すように、支持面101を囲んで型締め面102が形成されている。基材側真空吸引型100は、図示しない吸引装置に接続されており、前記吸引装置が駆動することにより支持面101から気体を吸引できるように構成されている。
【0020】
表皮側真空吸引型200は、表皮Hの表面形状を成形するための通気可能な型であって、基材Kの表面のうちで表皮Hが接着される部分を覆うことができるように構成されている。表皮側真空吸引型200は、前記図示しない昇降機構に装着されており、図3に示す型開き位置と図8に示す型締め位置との間で上下動可能に構成されている。基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とが型締めされたとき、基材側真空吸引型100及び表皮側真空吸引型200の内部には、基材Kと表皮Hとを収容する成形空間Sが形成される(図8参照)。
【0021】
また、表皮側真空吸引型200の下側、すなわち、内面には、表皮Hを成形するための成形面201が形成されている。さらに、表皮側真空吸引型200の下側には、その成形面201を囲んで、基材側真空吸引型100の型締め面102に合わせられる型締め面202が形成されている。表皮側真空吸引型200は、図示しない吸引装置に接続されており、前記吸引装置が駆動することにより成形面201から気体を吸引可能に構成されている。
【0022】
(表皮クランプ装置400)
基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200との間には表皮クランプ装置400が配置されている。図1に示すように、表皮クランプ装置400は、短手方向PWに沿って配置された一対の梁材402,403に対して傾動自在に支持された長四角形状の外枠体404が設けられている。外枠体404は、長手方向PLに沿って配置された一対の枠材405,406と、枠材405,406の各端部間を連結するとともに短手方向PWに沿って配置された枠材407,408とにより構成されている。枠材405,406,407,408は断面コ字状に形成されている(図4(b)参照)。
【0023】
枠材407,408は、それぞれ梁材402,403の軸受402a,403aに支持された軸402b,403bを介して傾動自在に支持されている。軸402b,403bは同軸の軸心O(図4参照)を有するとともに、ともに図示しない駆動モータに伝動機構を介して作動連結されている。
【0024】
外枠体404の枠材407,408間には、短手方向PWに移動自在に配置された一対の枠材410,411が架け渡されている。枠材410,411のそれぞれの両端には、それぞれ枠材407、408上に短手方向PWに沿って固定されたガイド棒412,413,414,415が挿入されており、このガイド棒412,413,414,415により、同一平面上を互いに平行に移動可能である。
【0025】
また、枠材410,411のそれぞれの両端には、それぞれ枠材407、408上において短手方向PWに沿って配置されて固定されたネジ棒416(図1参照)、及びネジ棒417(図4(c)参照)が挿入されている。
【0026】
ネジ棒416,417は、枠材410、411のそれぞれの端部に内蔵された図示しなしナット体とそれぞれ螺合されている。又、ネジ棒416,417のネジ部において、枠材410が移動する範囲は、枠材411が移動する範囲と同ピッチであって反対方向のネジが切られている。このことによって、ネジ棒416,417が一方向に回転した際に、枠材410,411が互いに接近するように移動し、前記一方向とは反対方向に回転した際には互いに離間するように移動する。
【0027】
図1に示すようにネジ棒416の一端は枠材405の外側面に固定されたモータM1の出力軸に対して歯車機構420を介して作動連結されている。又、ネジ棒416の前記一端は、図4(b)に示すように歯車機構421を介して枠材405内に長手方向PLに沿って回転自在に支持された伝動軸422の一端に作動連結されている。伝動軸422の他端は、枠材408上に位置するように延出されるとともに図示はしない歯車機構を介して、前記ネジ棒417に作動連結されている。従って、モータM1の正逆回転により、枠材410,411の接近離間駆動が可能となっている。
【0028】
一方、外枠体404の枠材405,406間には、一対の枠材430,431が架け渡されている。枠材430,431は、長手方向PLに移動自在に、かつ、枠材410,411よりも上方に位置するように配置されている。そして、表皮クランプ装置400を平面視した状態では、図1に示すように、枠材410,411,430,431は井桁となるように配置されている。枠材430,431は、それぞれの両端に対してそれぞれ枠材405、406上に長手方向PLに沿って固定されたガイド棒432,433,434,435が挿入されており、このガイド棒432,433,434,435により、同一平面上を互いに平行に移動可能である。枠材410,411,430,431は支持手段に相当する。
【0029】
また、枠材430,431のそれぞれの両端には、それぞれ枠材405、406上において長手方向PLに沿って配置されて固定されたネジ棒436(図1参照)、及びネジ棒437(図1、図4(b)参照)が挿入されている。
【0030】
ネジ棒436,437は、枠材430、431のそれぞれの端部に内蔵された図示しないボールねじナットとそれぞれ螺合されている。又、ネジ棒436,437のネジ部において、枠材430が移動する範囲は、枠材431が移動する範囲と同ピッチであって反対方向のネジが切られている。このことによって、ネジ棒436,437が一方向に回転した際に、枠材430,431が互いに接近するように移動し、前記一方向とは反対方向に回転した際には互いに離間するように移動する。
【0031】
枠材408上には、短手方向PWに沿って伝動軸442が配置されている。伝動軸442の一端は、枠材406の外側面に固定されたモータM2の出力軸に対して歯車機構440を介して作動連結されている。前記ネジ棒437の一端は、伝動軸442に対して歯車機構441を介して作動連結されている。
【0032】
また、ネジ棒436の一端は、図4(b)に示すように歯車機構443を介して伝動軸442の他端に作動連結されている。従って、モータM2の正逆回転により、枠材430,431の接近離間駆動が可能となっている。
【0033】
枠材410、411、430、431には、図1に示すように複数のクランプ具450がそれぞれ取付けられ、各クランプ具450により、表皮Hの周縁部を把持可能となっている。クランプ具450の配置及び個数は、表皮H全体を平面状にテンションを掛けた状態で張ることが可能な配置及び個数でよい。クランプ具450は、把持手段に相当する。
【0034】
また、真空成形装置50には、前記クランプ具450により平面状に保持された表皮Hを表裏両面から加熱して軟化させるためヒータ300(図3参照)を備えている。ヒータ300は、表皮側真空吸引型200等の上下移動と干渉しない待機位置(図示省略)と、図3に示す表皮加熱位置との間を水平移動可能に構成されている。
【0035】
(インストルメントパネルPについて)
真空成形装置50により成形されるインストルメントパネルPは、図2に示すように、図示しない自動車のフロントガラスより車内側で、長手方向PLを車幅方向にして、短手方向PWを車両前後方向にそれぞれ沿って、運転席及び助手席に対向する位置に取付けられる。図2において、左方が助手席側となり、右方が運転席側となる。インストルメントパネルPは、後述する基材K及び表皮Hから構成されている。なお、図2において、インストルメントパネルPの外形形状と基材Kの外形形状は、厳密には、表面が表皮Hに覆われる部分が、表皮Hの厚み分膨らむが、図2で図示されている縮尺では、その厚み分は無視できるため、説明の便宜上、図2ではインストルメントパネルPと基材Kの外形形状は、同じとして、符号P,Kを同一形状に対して付している。
【0036】
(基材K及び表皮Hについて)
基材Kは、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂を射出成形して得られた板状部材である。基材Kの一部は、当該基材Kの厚み方向に湾曲した湾曲部Ka(図3参照)を有する。また、基材Kは、微小径で、厚み方向に貫通する微小通気路(図示せず)を複数備えている。湾曲部Kaには、その表面のうち、一部に表皮Hを被覆する表皮被覆予定部Kbを有する。
【0037】
表皮Hは、例えば、サーモプラスチックオレフィン(TPO)製の薄膜にポリプロピレン発泡体(PPフォーム)製の発泡層を接合させたものであり、前記薄膜側(表面側)が表皮側真空吸引型200によって真空成形される。また、表皮Hの裏面側(発泡層側)には、例えば、熱溶融性のオレフィン系接着剤が塗布されている。
【0038】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された真空成形装置50の作用を説明する。
予め所定形状に1次整形された基材Kを図3に示すように、その湾曲部Kaの一端側部位を湾曲部Kaの他端側部位よりも低位となる配置形態で、基材Kの裏面を基材側真空吸引型100の支持面上に載置し、基材側真空吸引型100にセットする。
【0039】
一方、表皮Hの長手方向PL及び短手方向PWのサイズは、型の同方向のサイズよりも小さく裁断されている。図3では表皮Hの短手方向PWのサイズが真空成形装置50の型サイズよりも短くされていることが図示されている。
【0040】
又、表皮Hは、図2の実線枠で示すように、長手方向PL及び短手方向PWが、基材Kの同方向の長さよりも短いサイズとなっている。
この表皮Hを、図3に示すように、その裏面を基材Kの湾曲部Kaに、表面を表皮側真空吸引型200に向けて表皮クランプ装置400のクランプ具450で把持し固定する。このときのクランプ具450の位置は、基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置である。
【0041】
次に、表皮Hの表面及び裏面を、表皮加熱位置に位置させたヒータ300で加熱し、表皮Hが軟化した状態になったら、表皮クランプ装置400の各モータM1,M2を駆動して、図1に示すように、枠材410と枠材411、及び枠材430と枠材431とを互いに離反する方向に移動させて、表皮Hを延伸させる。
【0042】
又、ヒータ300を待機位置へ移動させた後、図4に示すように、図示しないモータを作動させて外枠体404を軸402b,403bの軸心Oで回転させ、水平方向に平行な型締め基準線FXと、表皮Hの表面との角度が傾斜角θとなるまで、表皮Hを傾斜させる。このとき、軟化した表皮Hをクランプ具450により延伸を継続して、図5に示すようにクランプ具450を型サイズに干渉しない位置、すなわち、待避位置まで移動させる。
【0043】
なお、表皮Hを傾斜角θに傾斜させるのにあたり、基材側真空吸引型100を上昇させ、基材Kの湾曲部Kaの表皮被覆予定部Kbに表皮Hを覆う範囲において、湾曲部Kaの表面の所定位置にある当接基準点T(図4参照)を決定しておく。前記当接基準点Tの位置は、湾曲部Kaの表面形状を考慮した上で決定されるが、本実施形態では、湾曲部Kaの頂部付近に位置するように設定している。
【0044】
前述のように、外枠体404の傾動によって、前記表皮Hは、当接基準点Tにおける接線SXと平行となるように、すなわち接線SXと型締め基準線FXとは傾斜角θとなるように傾斜する。
【0045】
次に、図6に示すように、基材側真空吸引型100を上昇させ、基材Kの湾曲部Kaにおける表皮被覆予定部Kbの頂部側を、傾斜した表皮Hに当接させる。
すなわち、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200との型開閉方向VLに対し、基材Kの表皮被覆予定部Kbの中央付近で交差し、表皮被覆予定部Kbを横切る水平な軸線を型締め基準線FXとしたとき、この工程では、基材側真空吸引型100が型締め基準線FXまで移動することにより、図7に示すように、表皮被覆予定部Kbのうち、型締め基準線FXよりも表皮側真空吸引型200側にある頂部側被覆予定部Kb1に、表皮Hの一部を被覆する。
【0046】
本実施形態では、基材Kの形状に合わせて、基材Kの湾曲部Kaにおける型開閉方向VLの高さを湾曲部高さBとし、湾曲部高さBのほぼ中間位置(図7において、約B/2)を型締め基準線FXと平行に横切る湾曲予定部中間線WXとしたとき、表皮被覆予定部Kbのうち、湾曲予定部中間線WXと表皮被覆予定部Kbと交差する部位よりも上方に位置する部位が、表皮Hに被覆される。
【0047】
すなわち、この被覆工程では、基材側真空吸引型100を型締め基準線FXまで移動させ、基材側真空吸引型100を表皮Hの一部に当接させながらこれらを上昇させると、基材側真空吸引型100が当接した表皮Hの一部が、基材側真空吸引型100による押圧で、基材側真空吸引型100の型形状に沿って変形する。これにより、この表皮Hの一部は、表皮被覆予定部Kbのうち、表皮被覆予定部Kbの頂部側被覆予定部Kb1を被覆することとなる。
【0048】
前記被覆工程に続き、さらに以下の被覆工程を行う。
図8に示すように、表皮側真空吸引型200を下降させ、湾曲部Kaにおける表皮被覆予定部Kbの底部側を、頂部側を被覆した表皮Hの残部に当接させる。すなわち、図7及び図8に示すように、この被覆工程では、表皮側真空吸引型200が型締め基準線FXまで移動することにより、表皮被覆予定部Kbのうち、頂部側被覆予定部Kb1を除く残部側被覆予定部Kb2に、表皮Hの残部を被覆する。
【0049】
具体的には、図7及び図8に示すように、表皮側真空吸引型200を型締め基準線FXまで下降させると、残りの表皮Hの一部が、表皮側真空吸引型200による押圧で、表皮側真空吸引型200と当接しながらこの表皮側真空吸引型200の型形状に沿って変形する。この結果、残りの表皮Hの一部は、表皮被覆予定部Kbのうち、頂部側被覆予定部Kb1を除く残部側被覆予定部Kb2を被覆する。
【0050】
次いで、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型締めする。本実施形態では、型締めにあたり、表皮Hは、型締め基準線FXに対し傾斜角θで傾斜させて保持され、基材側真空吸引型100及び表皮側真空吸引型200をそれぞれ型締め基準線FXまで移動させ、この型締め基準線FXで基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型合わせしている。
【0051】
すなわち、本実施形態に係る内装品の真空成形では、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200との型締め時に、表皮Hの両真空吸引型100,200との干渉量が少なく、かつその干渉量がインストルメントパネルPの短手方向PWでバランスする角度に表皮Hを傾斜保持させている。
【0052】
次いで、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型締めすると、成形空間S内で表皮Hの裏面が基材Kの湾曲部Kaの表皮被覆予定部Kbに挟着する。
次に、図示しない吸引装置を駆動させて、表皮Hを、その表面側から表皮側真空吸引型200の通気孔(図示しない)を通じて、所定の時間、所定の真空圧力値で吸引する。この結果、成形空間S内が負圧になり、表皮Hの表面が成形面201に吸着されて、表皮Hが所定の表面形状(シボ転写、細部形状等)に成形される。
【0053】
前記吸引装置によるこの表皮側真空吸引型200からの吸引を完全に停止した後、表皮Hを、その裏面側から基材側真空吸引型100の通気孔及び基材Kの微小通気路(いずれも図示せず)を通じて、図示しない吸引装置を駆動させて、所定の時間、所定の真空圧力値で吸引する。この結果、表皮Hの裏面が基材Kの湾曲部Kaの表皮被覆予定部Kbの表面に吸着されて、裏面側に塗布された接着剤により、表皮Hと基材Kとが接着する。
【0054】
接着後、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型開きして、表皮Hと基材Kとが一体に密着したインストルメントパネルPを、基材側真空吸引型100から取り外す。
【0055】
この後、表皮Hのうち、基材Kに被覆しない不要な部分をトリミングする。上記のようにして、基材Kと表皮Hとを一体に成形したインストルメントパネルPが得られる。
従って、この実施形態によれば、以下のような特徴がある。
【0056】
(1) 本実施形態の真空成形方法によれば、基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200の型開き時に基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200間に配置される表皮Hが平面状になるようにその周縁部をクランプ具450(把持手段)により把持する。そして、クランプ具450に把持された表皮Hをヒータ300により加熱し、クランプ具450を基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置から基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200に干渉しない待避位置へ移動させて、ヒータ300により加熱された表皮Hを延伸させる。
【0057】
型締めにより、延伸した表皮Hを基材側真空吸引型100に予めセットされた基材Kに接触させると共に、表皮側真空吸引型200の成形面201(内面)に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型200により表皮Hを真空吸引して成形する。さらに、表皮側真空吸引型200による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型100により基材側真空吸引型100の通気部を介して表皮Hを基材K側に真空吸引して表皮Hを基材Kに接着させる。
【0058】
この結果、本実施形態の方法によれば、表皮Hの原反の寸法短縮をしても、クランプ具450が基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200と接触する虞がない。又、表皮Hの原反の寸法短縮ができるため、表皮のコスト低減を行うことができる。
【0059】
(2) 本実施形態の真空成形装置50は、基材側真空吸引型100と、表皮側真空吸引型200と、型開き時に基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200間に配置される表皮Hが平面状になるようにその周縁部を把持するクランプ具450(把持手段)を備える枠材410,411,430,431(支持手段)と、型開き時にクランプ具450に把持された表皮Hを加熱するヒータ300を備える。そして、ヒータ300にて加熱された表皮Hを、型締めにより、基材側真空吸引型100に予めセットされた基材Kに接触させると共に、表皮側真空吸引型200の成形面201(内面)に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型200により表皮Hを真空吸引して成形し、表皮側真空吸引型200による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型100により基材側真空吸引型100の通気部を介して表皮Hを基材K側に真空吸引して表皮Hを基材Kに接着させる。
【0060】
さらに、枠材410,411,430,431(支持手段)は、クランプ具450を基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置と両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられている。そして、基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置から待避位置へ移動する際に、クランプ具450により把持されるとともにヒータ300により加熱された表皮Hが延伸される。
【0061】
この結果、本実施形態の真空成形装置50では、表皮Hの原反の寸法短縮をしても、クランプ具450が基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200と接触する虞がない。さらに、表皮Hの原反の寸法短縮ができるため、表皮Hのコスト低減を行うことができる。
【0062】
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態では、内装品は、自動車の内装品であるインストルメントパネルとしたが、インストルメント以外の内装品であってもよい。又、内装品は、自動車の内装品に限定するものではない。
【0063】
・ 前記実施形態では、表皮クランプ装置400の外枠体404は、軸心Oを中心にして傾動するようにしたが、型開き、型締めのいずれの状態でも外枠体404を常時水平状態にした構成としてもよい。
【0064】
・ 前記実施形態では、表皮クランプ装置400のネジ棒416、417により、枠材410,411をそれぞれ反対方向に移動できるように構成した。この構成に代えて、枠材410、411のそれぞれを専用のネジ棒と作動連結して、枠材410、411を個別に反対方向に移動できるようにしてもよい。
【0065】
・ 前記実施形態では、表皮クランプ装置400のネジ棒436、437により、枠材430,431をそれぞれ反対方向に移動できるように構成した。この構成に代えて、枠材430、431のそれぞれを専用のネジ棒と作動連結して、枠材430、431を個別に反対方向に移動できるようにしてもよい。
【0066】
・ 又、枠材毎にモータを減速機構を介して作動連結して、相対する各枠材を互いに反対方向に移動できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
50…真空成形装置、
100…基材側真空吸引型、200…表皮側真空吸引型、
300…ヒータ、400…表皮クランプ装置、
410,411,430,431…枠材(支持手段)、
450…クランプ具(把持手段)、
H…表皮、K…基材。
【技術分野】
【0001】
この発明は、内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用内装部品等の内装品の真空成形装置では、表皮側真空吸引型で表皮を吸引してその表面形状を成形し、さらに基材側真空吸引型により基材の通気路を介してこの表皮を吸引して、表皮を基材の表面に密着させることが行われている。
【0003】
例えば、自動車用内装部品の一つであるインストルメントパネルは、車幅方向を長手方向として、自動車のフロントガラスに沿い、運転席及び助手席に対向する位置に取付けられている。前記インストルメントパネルは、基材の一部に、その表面に沿って表皮が貼着されて、真空成形法により、基材側真空吸引型及び表皮側真空吸引型で基材と表皮とが挟着されて一体に成形されている。
【0004】
インストルメントパネルのうち、助手席側のグローブボックス周囲や、運転席側のコックピット周囲等の部分では、これらの部分を車幅方向から見ると、その形状が、自動車のフロント側から車内空間に向けて膨らんだ湾曲形状となっている。このような湾曲形状のパネル湾曲部では、この部分における基材の形状が、パネル湾曲部の形態にほぼ沿った形状となっている。前記インストルメントパネルは、例えば、特許文献1、或いは、特許文献2に開示された真空成形装置によって製造される。
【0005】
図10〜12を参照して、従来の特許文献1に記載の内装品の真空成形装置を説明する。
基材10は、パネル湾曲部の頂部を型開閉方向VL(図10中、上下方向)上方に向けた配置形態で、真空成形装置の基材側吸引型51に取付けられる。一方、表皮12は、クランプ具により水平に保持された状態で、基材側吸引型51(基材側真空吸引型)と表皮側吸引型52(表皮側真空吸引型)との間に配設されている。
【0006】
成形時には、図10において表皮12を水平な姿勢のまま、基材側吸引型51を上昇させて、表皮12の一部を基材10の一部に被覆する。次いで、図11に示すように表皮側吸引型52を下降させ、この残り表皮12の一部を、この基材10の残部に被覆した後、基材側吸引型51と表皮側吸引型52とが型締めされる。型締め後、基材側吸引型51と表皮側吸引型52との成形空間内で、表皮側吸引型52側からの表皮12の真空引きにより表皮12の表面形状を成形し、基材側吸引型51側から基材10の通気部を通じてこの表皮12を吸引することで、表皮12が基材10に接着される。この後、真空成形装置は、図12に示すように、型開きされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−160604号公報
【特許文献2】特開2009−78419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、コスト低減のために、前記表皮の原反の寸法短縮を行うことが実施されている。ところが、表皮の寸法を短縮すると、表皮を把持する把持手段が、表皮真空成形時に型に接触して干渉する虞があるため、表皮の原反の寸法短縮及び表皮のコスト低減には限界がある。
【0009】
この発明は、表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型の型開き時に前記基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持手段により把持し、前記把持手段に把持された前記表皮をヒータにより加熱し、前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置から前記両型に干渉しない待避位置へ移動させて、前記ヒータにより加熱された前記表皮を延伸させ、型締めにより、前記延伸した前記表皮を基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、前記表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させることを特徴とする内装品の真空成形方法を要旨としている。
【0011】
請求項2の発明は、基材側真空吸引型と、表皮側真空吸引型と、型開き時に前記基材側真空吸引型、前記表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持する把持手段を備える支持手段と、前記型開き時に前記把持手段に把持された前記表皮を加熱するヒータを備え、前記ヒータにて加熱された前記表皮を、型締めにより、基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させる内装品の真空成形装置において、前記支持手段は、前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置と前記両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられ、前記両型に干渉可能な位置から前記待避位置へ移動する際に、前記把持手段により把持されるとともに前記ヒータにより加熱された前記表皮が延伸されることを特徴とする内装品の真空成形装置を要旨としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形方法を提供できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、表皮の原反の寸法短縮をしても、把持手段が型と接触する虞がないとともに、表皮のコスト低減を行うことができる内装品の真空成形装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】真空成形装置の表皮延伸装置の平面図。
【図2】本実施形態に係るインストルメントパネルの基材の概略平面図。
【図3】真空成形装置の概略断面図。
【図4】(a)は真空成形装置の概略断面図、(b)は図1のA−A線断面図、(c)は図1のB−B線断面図。
【図5】真空成形装置の型開き状態を示す説明図。
【図6】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図7】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図8】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図9】インストルメントパネルの真空成形方法の工程を説明する説明図。
【図10】従来の内装品の真空成形装置の工程を説明する説明図。
【図11】従来の内装品の真空成形装置の工程を説明する説明図。
【図12】従来の内装品の真空成形装置の工程を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
以下に、この発明を具体化した内装品の真空成形方法及び内装品の真空成形装置を、インストルメントパネルの真空成形方法及び真空成形装置に具体化した一実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
【0016】
図3に示す本実施形態の真空成形装置50は、予め所定形状に1次成形された基材Kとシート状の表皮Hを真空成形法により一体に密着させてインストルメントパネルP(図9参照)を成形する装置である。
【0017】
真空成形装置50は、車両の内装品を真空成形する装置であり、図3〜図9に示すように、型開閉方向VL(図3〜図9において、上下方向)に図示しない昇降機構により昇降可能に構成された基材側真空吸引型100と、基材側真空吸引型100に対向するとともに図示しない昇降機構により同じく型開閉方向VLに昇降可能に構成された表皮側真空吸引型200とを備えている。
【0018】
なお、図3〜9において、型開閉方向VLと直交する図の左右方向は短手方向PWといい、短手方向PWとは直交する方向(すなわち、図面と直交する方向)を長手方向PL(図1参照)という。長手方向PLは、インストルメントパネルPの長手方向と一致させている。
【0019】
図3に示すように、基材側真空吸引型100は、図示しない通気部を備えた通気可能な型であり、予め1次成形された基材Kをセットして内側から支持する凸型形状に形成された支持面101を備えている。基材側真空吸引型100には、図3に示すように、支持面101を囲んで型締め面102が形成されている。基材側真空吸引型100は、図示しない吸引装置に接続されており、前記吸引装置が駆動することにより支持面101から気体を吸引できるように構成されている。
【0020】
表皮側真空吸引型200は、表皮Hの表面形状を成形するための通気可能な型であって、基材Kの表面のうちで表皮Hが接着される部分を覆うことができるように構成されている。表皮側真空吸引型200は、前記図示しない昇降機構に装着されており、図3に示す型開き位置と図8に示す型締め位置との間で上下動可能に構成されている。基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とが型締めされたとき、基材側真空吸引型100及び表皮側真空吸引型200の内部には、基材Kと表皮Hとを収容する成形空間Sが形成される(図8参照)。
【0021】
また、表皮側真空吸引型200の下側、すなわち、内面には、表皮Hを成形するための成形面201が形成されている。さらに、表皮側真空吸引型200の下側には、その成形面201を囲んで、基材側真空吸引型100の型締め面102に合わせられる型締め面202が形成されている。表皮側真空吸引型200は、図示しない吸引装置に接続されており、前記吸引装置が駆動することにより成形面201から気体を吸引可能に構成されている。
【0022】
(表皮クランプ装置400)
基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200との間には表皮クランプ装置400が配置されている。図1に示すように、表皮クランプ装置400は、短手方向PWに沿って配置された一対の梁材402,403に対して傾動自在に支持された長四角形状の外枠体404が設けられている。外枠体404は、長手方向PLに沿って配置された一対の枠材405,406と、枠材405,406の各端部間を連結するとともに短手方向PWに沿って配置された枠材407,408とにより構成されている。枠材405,406,407,408は断面コ字状に形成されている(図4(b)参照)。
【0023】
枠材407,408は、それぞれ梁材402,403の軸受402a,403aに支持された軸402b,403bを介して傾動自在に支持されている。軸402b,403bは同軸の軸心O(図4参照)を有するとともに、ともに図示しない駆動モータに伝動機構を介して作動連結されている。
【0024】
外枠体404の枠材407,408間には、短手方向PWに移動自在に配置された一対の枠材410,411が架け渡されている。枠材410,411のそれぞれの両端には、それぞれ枠材407、408上に短手方向PWに沿って固定されたガイド棒412,413,414,415が挿入されており、このガイド棒412,413,414,415により、同一平面上を互いに平行に移動可能である。
【0025】
また、枠材410,411のそれぞれの両端には、それぞれ枠材407、408上において短手方向PWに沿って配置されて固定されたネジ棒416(図1参照)、及びネジ棒417(図4(c)参照)が挿入されている。
【0026】
ネジ棒416,417は、枠材410、411のそれぞれの端部に内蔵された図示しなしナット体とそれぞれ螺合されている。又、ネジ棒416,417のネジ部において、枠材410が移動する範囲は、枠材411が移動する範囲と同ピッチであって反対方向のネジが切られている。このことによって、ネジ棒416,417が一方向に回転した際に、枠材410,411が互いに接近するように移動し、前記一方向とは反対方向に回転した際には互いに離間するように移動する。
【0027】
図1に示すようにネジ棒416の一端は枠材405の外側面に固定されたモータM1の出力軸に対して歯車機構420を介して作動連結されている。又、ネジ棒416の前記一端は、図4(b)に示すように歯車機構421を介して枠材405内に長手方向PLに沿って回転自在に支持された伝動軸422の一端に作動連結されている。伝動軸422の他端は、枠材408上に位置するように延出されるとともに図示はしない歯車機構を介して、前記ネジ棒417に作動連結されている。従って、モータM1の正逆回転により、枠材410,411の接近離間駆動が可能となっている。
【0028】
一方、外枠体404の枠材405,406間には、一対の枠材430,431が架け渡されている。枠材430,431は、長手方向PLに移動自在に、かつ、枠材410,411よりも上方に位置するように配置されている。そして、表皮クランプ装置400を平面視した状態では、図1に示すように、枠材410,411,430,431は井桁となるように配置されている。枠材430,431は、それぞれの両端に対してそれぞれ枠材405、406上に長手方向PLに沿って固定されたガイド棒432,433,434,435が挿入されており、このガイド棒432,433,434,435により、同一平面上を互いに平行に移動可能である。枠材410,411,430,431は支持手段に相当する。
【0029】
また、枠材430,431のそれぞれの両端には、それぞれ枠材405、406上において長手方向PLに沿って配置されて固定されたネジ棒436(図1参照)、及びネジ棒437(図1、図4(b)参照)が挿入されている。
【0030】
ネジ棒436,437は、枠材430、431のそれぞれの端部に内蔵された図示しないボールねじナットとそれぞれ螺合されている。又、ネジ棒436,437のネジ部において、枠材430が移動する範囲は、枠材431が移動する範囲と同ピッチであって反対方向のネジが切られている。このことによって、ネジ棒436,437が一方向に回転した際に、枠材430,431が互いに接近するように移動し、前記一方向とは反対方向に回転した際には互いに離間するように移動する。
【0031】
枠材408上には、短手方向PWに沿って伝動軸442が配置されている。伝動軸442の一端は、枠材406の外側面に固定されたモータM2の出力軸に対して歯車機構440を介して作動連結されている。前記ネジ棒437の一端は、伝動軸442に対して歯車機構441を介して作動連結されている。
【0032】
また、ネジ棒436の一端は、図4(b)に示すように歯車機構443を介して伝動軸442の他端に作動連結されている。従って、モータM2の正逆回転により、枠材430,431の接近離間駆動が可能となっている。
【0033】
枠材410、411、430、431には、図1に示すように複数のクランプ具450がそれぞれ取付けられ、各クランプ具450により、表皮Hの周縁部を把持可能となっている。クランプ具450の配置及び個数は、表皮H全体を平面状にテンションを掛けた状態で張ることが可能な配置及び個数でよい。クランプ具450は、把持手段に相当する。
【0034】
また、真空成形装置50には、前記クランプ具450により平面状に保持された表皮Hを表裏両面から加熱して軟化させるためヒータ300(図3参照)を備えている。ヒータ300は、表皮側真空吸引型200等の上下移動と干渉しない待機位置(図示省略)と、図3に示す表皮加熱位置との間を水平移動可能に構成されている。
【0035】
(インストルメントパネルPについて)
真空成形装置50により成形されるインストルメントパネルPは、図2に示すように、図示しない自動車のフロントガラスより車内側で、長手方向PLを車幅方向にして、短手方向PWを車両前後方向にそれぞれ沿って、運転席及び助手席に対向する位置に取付けられる。図2において、左方が助手席側となり、右方が運転席側となる。インストルメントパネルPは、後述する基材K及び表皮Hから構成されている。なお、図2において、インストルメントパネルPの外形形状と基材Kの外形形状は、厳密には、表面が表皮Hに覆われる部分が、表皮Hの厚み分膨らむが、図2で図示されている縮尺では、その厚み分は無視できるため、説明の便宜上、図2ではインストルメントパネルPと基材Kの外形形状は、同じとして、符号P,Kを同一形状に対して付している。
【0036】
(基材K及び表皮Hについて)
基材Kは、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂を射出成形して得られた板状部材である。基材Kの一部は、当該基材Kの厚み方向に湾曲した湾曲部Ka(図3参照)を有する。また、基材Kは、微小径で、厚み方向に貫通する微小通気路(図示せず)を複数備えている。湾曲部Kaには、その表面のうち、一部に表皮Hを被覆する表皮被覆予定部Kbを有する。
【0037】
表皮Hは、例えば、サーモプラスチックオレフィン(TPO)製の薄膜にポリプロピレン発泡体(PPフォーム)製の発泡層を接合させたものであり、前記薄膜側(表面側)が表皮側真空吸引型200によって真空成形される。また、表皮Hの裏面側(発泡層側)には、例えば、熱溶融性のオレフィン系接着剤が塗布されている。
【0038】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された真空成形装置50の作用を説明する。
予め所定形状に1次整形された基材Kを図3に示すように、その湾曲部Kaの一端側部位を湾曲部Kaの他端側部位よりも低位となる配置形態で、基材Kの裏面を基材側真空吸引型100の支持面上に載置し、基材側真空吸引型100にセットする。
【0039】
一方、表皮Hの長手方向PL及び短手方向PWのサイズは、型の同方向のサイズよりも小さく裁断されている。図3では表皮Hの短手方向PWのサイズが真空成形装置50の型サイズよりも短くされていることが図示されている。
【0040】
又、表皮Hは、図2の実線枠で示すように、長手方向PL及び短手方向PWが、基材Kの同方向の長さよりも短いサイズとなっている。
この表皮Hを、図3に示すように、その裏面を基材Kの湾曲部Kaに、表面を表皮側真空吸引型200に向けて表皮クランプ装置400のクランプ具450で把持し固定する。このときのクランプ具450の位置は、基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置である。
【0041】
次に、表皮Hの表面及び裏面を、表皮加熱位置に位置させたヒータ300で加熱し、表皮Hが軟化した状態になったら、表皮クランプ装置400の各モータM1,M2を駆動して、図1に示すように、枠材410と枠材411、及び枠材430と枠材431とを互いに離反する方向に移動させて、表皮Hを延伸させる。
【0042】
又、ヒータ300を待機位置へ移動させた後、図4に示すように、図示しないモータを作動させて外枠体404を軸402b,403bの軸心Oで回転させ、水平方向に平行な型締め基準線FXと、表皮Hの表面との角度が傾斜角θとなるまで、表皮Hを傾斜させる。このとき、軟化した表皮Hをクランプ具450により延伸を継続して、図5に示すようにクランプ具450を型サイズに干渉しない位置、すなわち、待避位置まで移動させる。
【0043】
なお、表皮Hを傾斜角θに傾斜させるのにあたり、基材側真空吸引型100を上昇させ、基材Kの湾曲部Kaの表皮被覆予定部Kbに表皮Hを覆う範囲において、湾曲部Kaの表面の所定位置にある当接基準点T(図4参照)を決定しておく。前記当接基準点Tの位置は、湾曲部Kaの表面形状を考慮した上で決定されるが、本実施形態では、湾曲部Kaの頂部付近に位置するように設定している。
【0044】
前述のように、外枠体404の傾動によって、前記表皮Hは、当接基準点Tにおける接線SXと平行となるように、すなわち接線SXと型締め基準線FXとは傾斜角θとなるように傾斜する。
【0045】
次に、図6に示すように、基材側真空吸引型100を上昇させ、基材Kの湾曲部Kaにおける表皮被覆予定部Kbの頂部側を、傾斜した表皮Hに当接させる。
すなわち、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200との型開閉方向VLに対し、基材Kの表皮被覆予定部Kbの中央付近で交差し、表皮被覆予定部Kbを横切る水平な軸線を型締め基準線FXとしたとき、この工程では、基材側真空吸引型100が型締め基準線FXまで移動することにより、図7に示すように、表皮被覆予定部Kbのうち、型締め基準線FXよりも表皮側真空吸引型200側にある頂部側被覆予定部Kb1に、表皮Hの一部を被覆する。
【0046】
本実施形態では、基材Kの形状に合わせて、基材Kの湾曲部Kaにおける型開閉方向VLの高さを湾曲部高さBとし、湾曲部高さBのほぼ中間位置(図7において、約B/2)を型締め基準線FXと平行に横切る湾曲予定部中間線WXとしたとき、表皮被覆予定部Kbのうち、湾曲予定部中間線WXと表皮被覆予定部Kbと交差する部位よりも上方に位置する部位が、表皮Hに被覆される。
【0047】
すなわち、この被覆工程では、基材側真空吸引型100を型締め基準線FXまで移動させ、基材側真空吸引型100を表皮Hの一部に当接させながらこれらを上昇させると、基材側真空吸引型100が当接した表皮Hの一部が、基材側真空吸引型100による押圧で、基材側真空吸引型100の型形状に沿って変形する。これにより、この表皮Hの一部は、表皮被覆予定部Kbのうち、表皮被覆予定部Kbの頂部側被覆予定部Kb1を被覆することとなる。
【0048】
前記被覆工程に続き、さらに以下の被覆工程を行う。
図8に示すように、表皮側真空吸引型200を下降させ、湾曲部Kaにおける表皮被覆予定部Kbの底部側を、頂部側を被覆した表皮Hの残部に当接させる。すなわち、図7及び図8に示すように、この被覆工程では、表皮側真空吸引型200が型締め基準線FXまで移動することにより、表皮被覆予定部Kbのうち、頂部側被覆予定部Kb1を除く残部側被覆予定部Kb2に、表皮Hの残部を被覆する。
【0049】
具体的には、図7及び図8に示すように、表皮側真空吸引型200を型締め基準線FXまで下降させると、残りの表皮Hの一部が、表皮側真空吸引型200による押圧で、表皮側真空吸引型200と当接しながらこの表皮側真空吸引型200の型形状に沿って変形する。この結果、残りの表皮Hの一部は、表皮被覆予定部Kbのうち、頂部側被覆予定部Kb1を除く残部側被覆予定部Kb2を被覆する。
【0050】
次いで、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型締めする。本実施形態では、型締めにあたり、表皮Hは、型締め基準線FXに対し傾斜角θで傾斜させて保持され、基材側真空吸引型100及び表皮側真空吸引型200をそれぞれ型締め基準線FXまで移動させ、この型締め基準線FXで基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型合わせしている。
【0051】
すなわち、本実施形態に係る内装品の真空成形では、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200との型締め時に、表皮Hの両真空吸引型100,200との干渉量が少なく、かつその干渉量がインストルメントパネルPの短手方向PWでバランスする角度に表皮Hを傾斜保持させている。
【0052】
次いで、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型締めすると、成形空間S内で表皮Hの裏面が基材Kの湾曲部Kaの表皮被覆予定部Kbに挟着する。
次に、図示しない吸引装置を駆動させて、表皮Hを、その表面側から表皮側真空吸引型200の通気孔(図示しない)を通じて、所定の時間、所定の真空圧力値で吸引する。この結果、成形空間S内が負圧になり、表皮Hの表面が成形面201に吸着されて、表皮Hが所定の表面形状(シボ転写、細部形状等)に成形される。
【0053】
前記吸引装置によるこの表皮側真空吸引型200からの吸引を完全に停止した後、表皮Hを、その裏面側から基材側真空吸引型100の通気孔及び基材Kの微小通気路(いずれも図示せず)を通じて、図示しない吸引装置を駆動させて、所定の時間、所定の真空圧力値で吸引する。この結果、表皮Hの裏面が基材Kの湾曲部Kaの表皮被覆予定部Kbの表面に吸着されて、裏面側に塗布された接着剤により、表皮Hと基材Kとが接着する。
【0054】
接着後、基材側真空吸引型100と表皮側真空吸引型200とを型開きして、表皮Hと基材Kとが一体に密着したインストルメントパネルPを、基材側真空吸引型100から取り外す。
【0055】
この後、表皮Hのうち、基材Kに被覆しない不要な部分をトリミングする。上記のようにして、基材Kと表皮Hとを一体に成形したインストルメントパネルPが得られる。
従って、この実施形態によれば、以下のような特徴がある。
【0056】
(1) 本実施形態の真空成形方法によれば、基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200の型開き時に基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200間に配置される表皮Hが平面状になるようにその周縁部をクランプ具450(把持手段)により把持する。そして、クランプ具450に把持された表皮Hをヒータ300により加熱し、クランプ具450を基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置から基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200に干渉しない待避位置へ移動させて、ヒータ300により加熱された表皮Hを延伸させる。
【0057】
型締めにより、延伸した表皮Hを基材側真空吸引型100に予めセットされた基材Kに接触させると共に、表皮側真空吸引型200の成形面201(内面)に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型200により表皮Hを真空吸引して成形する。さらに、表皮側真空吸引型200による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型100により基材側真空吸引型100の通気部を介して表皮Hを基材K側に真空吸引して表皮Hを基材Kに接着させる。
【0058】
この結果、本実施形態の方法によれば、表皮Hの原反の寸法短縮をしても、クランプ具450が基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200と接触する虞がない。又、表皮Hの原反の寸法短縮ができるため、表皮のコスト低減を行うことができる。
【0059】
(2) 本実施形態の真空成形装置50は、基材側真空吸引型100と、表皮側真空吸引型200と、型開き時に基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200間に配置される表皮Hが平面状になるようにその周縁部を把持するクランプ具450(把持手段)を備える枠材410,411,430,431(支持手段)と、型開き時にクランプ具450に把持された表皮Hを加熱するヒータ300を備える。そして、ヒータ300にて加熱された表皮Hを、型締めにより、基材側真空吸引型100に予めセットされた基材Kに接触させると共に、表皮側真空吸引型200の成形面201(内面)に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型200により表皮Hを真空吸引して成形し、表皮側真空吸引型200による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型100により基材側真空吸引型100の通気部を介して表皮Hを基材K側に真空吸引して表皮Hを基材Kに接着させる。
【0060】
さらに、枠材410,411,430,431(支持手段)は、クランプ具450を基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置と両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられている。そして、基材側真空吸引型100、表皮側真空吸引型200に干渉可能な位置から待避位置へ移動する際に、クランプ具450により把持されるとともにヒータ300により加熱された表皮Hが延伸される。
【0061】
この結果、本実施形態の真空成形装置50では、表皮Hの原反の寸法短縮をしても、クランプ具450が基材側真空吸引型100,表皮側真空吸引型200と接触する虞がない。さらに、表皮Hの原反の寸法短縮ができるため、表皮Hのコスト低減を行うことができる。
【0062】
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態では、内装品は、自動車の内装品であるインストルメントパネルとしたが、インストルメント以外の内装品であってもよい。又、内装品は、自動車の内装品に限定するものではない。
【0063】
・ 前記実施形態では、表皮クランプ装置400の外枠体404は、軸心Oを中心にして傾動するようにしたが、型開き、型締めのいずれの状態でも外枠体404を常時水平状態にした構成としてもよい。
【0064】
・ 前記実施形態では、表皮クランプ装置400のネジ棒416、417により、枠材410,411をそれぞれ反対方向に移動できるように構成した。この構成に代えて、枠材410、411のそれぞれを専用のネジ棒と作動連結して、枠材410、411を個別に反対方向に移動できるようにしてもよい。
【0065】
・ 前記実施形態では、表皮クランプ装置400のネジ棒436、437により、枠材430,431をそれぞれ反対方向に移動できるように構成した。この構成に代えて、枠材430、431のそれぞれを専用のネジ棒と作動連結して、枠材430、431を個別に反対方向に移動できるようにしてもよい。
【0066】
・ 又、枠材毎にモータを減速機構を介して作動連結して、相対する各枠材を互いに反対方向に移動できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
50…真空成形装置、
100…基材側真空吸引型、200…表皮側真空吸引型、
300…ヒータ、400…表皮クランプ装置、
410,411,430,431…枠材(支持手段)、
450…クランプ具(把持手段)、
H…表皮、K…基材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型の型開き時に前記基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持手段により把持し、
前記把持手段に把持された前記表皮をヒータにより加熱し、
前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置から前記両型に干渉しない待避位置へ移動させて、前記ヒータにより加熱された前記表皮を延伸させ、
型締めにより、前記延伸した前記表皮を基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、
前記表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させることを特徴とする内装品の真空成形方法。
【請求項2】
基材側真空吸引型と、表皮側真空吸引型と、型開き時に前記基材側真空吸引型、前記表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持する把持手段を備える支持手段と、前記型開き時に前記把持手段に把持された前記表皮を加熱するヒータを備え、前記ヒータにて加熱された前記表皮を、型締めにより、基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させる内装品の真空成形装置において、前記支持手段は、前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置と前記両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられ、前記両型に干渉可能な位置から前記待避位置へ移動する際に、前記把持手段により把持されるとともに前記ヒータにより加熱された前記表皮が延伸されることを特徴とする内装品の真空成形装置。
【請求項1】
基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型の型開き時に前記基材側真空吸引型、表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持手段により把持し、
前記把持手段に把持された前記表皮をヒータにより加熱し、
前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置から前記両型に干渉しない待避位置へ移動させて、前記ヒータにより加熱された前記表皮を延伸させ、
型締めにより、前記延伸した前記表皮を基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、
前記表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させることを特徴とする内装品の真空成形方法。
【請求項2】
基材側真空吸引型と、表皮側真空吸引型と、型開き時に前記基材側真空吸引型、前記表皮側真空吸引型間に配置される表皮が平面状になるようにその周縁部を把持する把持手段を備える支持手段と、前記型開き時に前記把持手段に把持された前記表皮を加熱するヒータを備え、前記ヒータにて加熱された前記表皮を、型締めにより、基材側真空吸引型に予めセットされた基材に接触させると共に、前記表皮側真空吸引型の内面に沿わせ、この状態で表皮側真空吸引型により前記表皮を真空吸引して成形し、表皮側真空吸引型による真空吸引を停止した後、基材側真空吸引型により前記基材の通気部を介して前記表皮を基材側に真空吸引して表皮を基材に接着させる内装品の真空成形装置において、前記支持手段は、前記把持手段を前記両型に干渉可能な位置と前記両型に干渉しない待避位置間を移動可能に自在に設けられ、前記両型に干渉可能な位置から前記待避位置へ移動する際に、前記把持手段により把持されるとともに前記ヒータにより加熱された前記表皮が延伸されることを特徴とする内装品の真空成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−35249(P2013−35249A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175196(P2011−175196)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
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