説明

内装材の製造法

【課題】 高温下での使用による変形、自重による垂れ下がりを防止し、さらに、表皮材及び異音防止材が基材に安定且つ接着強度が高く、安価に積層された内装材の製造方法を提供する。
【解決手段】 耐熱性樹脂を基材とする非発泡層の両面に積層された熱可塑性樹脂からなる非発泡層に、ラテックス接着剤層としてのレジンラテックスとバインダーラテックスの混合ラテックスを介して、表皮材及び異音防止材を積層することにより、ラテックス接着剤層の初期接着強度と耐熱性との両立化および、機械安定性の向上によるラテックス接着剤の取扱い性の改善が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は意匠面に表皮材が、反意匠面に異音防止材が積層された発泡積層シートからなる内装材の製造方法に関し、更に詳しくは、高温下の使用における表皮材及び異音防止材の剥離を防止し、耐熱性、軽量性、リサイクル性に優れた発泡積層シートからなる内装材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車内装材として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン酸共重合体の発泡層の両面にスチレン−無水マレイン酸共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状に成形したものが広く用いられている。それらの自動車内装材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性がすぐれているという特徴がある。
【0003】
しかしがら、上記のような従来の自動車内装材は、高温に長時間さらされると、耐熱性が不十分であるため、自重で垂れ下がったり(ヒートサグ)、変形を生じるなどの問題を発生することがあった。例えば、自動車天井材の場合、フロント部分は直接太陽光が当たるため100℃前後まで温度が上がり、天井材の変形量が大きくなるという問題が発生している。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために、無機質のガラス繊維とプラスチックとの複合材料をベースとした自動車天井材が使用されるようになってきた。しかし、この複合材料では、耐熱性という品質は維持できるものの、軽量化が図れない上に、ガラス繊維を使用しているため、リサイクル性が悪く、またコスト高になるという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、軽量で耐熱性のある変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下「変性PPE系樹脂」と記す。)発泡層の両面に、変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートを用いた自動車天井材用発泡積層シートが提案されている(特許文献1参照)。この変性PPE系樹脂を用いた自動車天井材用発泡積層シートは、耐熱性に優れ、軽量であるため、高温下での変形や自重による垂れ下がり等を改善することができるとしている。
【0006】
自動車内装材において、意匠面に不織布、ニット、ニットと発泡ウレタンの積層体、ニットと不織布の積層体等からなる表皮材が使用されている。
従来、これら表皮材と自動車内装用基材との接着には、使用が簡便で耐熱性が適度にある接着剤としてポリオレフィン系ホットメルト接着剤が多用されている(特許文献2参照)。種々の表皮材と自動車内装用基材との接着性については、このポリオレフィンのホットメルト接着剤の作用により接着性を維持させている。さらに、自動車内装用基材に対してはアミド系またはエステル系の添加剤により接着性を維持させている。しかし、100℃程度の高温に耐えうる表皮材と自動車内装用基材との接着性が得られていないのが現状である。
【0007】
一方で、自動車内装材には、自動車のボディーと接する面にはボディーと自動車内装材との擦れ音として発生する異音を防止するため異音防止用の積層物が配置されており、異音防止材としては、不織布、ポリオレフィン系フィルム等の素材が使用されている。
従来、これら異音防止材と自動車内装用基材との積層には、使用が簡便で耐熱性が適度にある積層方法として、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤を介して積層する方法、自動車内装用基材の非発泡層の基材樹脂を溶融させ、溶融した基材樹脂と異音防止材を接触させ、挟み込み圧着する異音防止材のアンカー効果により積層する方法が用いられている(特許文献3参照)。しかし、ポリオレフィン系接着剤を用いる場合はコスト高になり、異音防止材のアンカー効果のみでは、モジュール化に必要な部品の強固な接着性を有するまでは到っていないのが実情である。
【0008】
本発明者らは、耐熱性樹脂を基材とする非発泡層の両面に積層されたポリスチレン系樹脂または耐熱ポリスチレン系樹脂または変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる非発泡層を積層した発泡積層シート一方の非発泡層に、該非発泡層と相溶性を有するスチレン系樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂またはカルボキシル化変性スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂を構成樹脂とするラテックスおよびその混合物を塗布し、表皮材および/または異音防止材を積層した状態で乾燥させ、加熱プレスすることにより、上記課題を解決することを見出した(特許文献4参照)。ただし、製造工程内の乾燥処理条件に依存しない強固な初期接着強度とラテックス接着剤層の耐熱性との両立、および製造工程でのラテックス接着剤の取扱い性(機械的操作を受けてもゲルの発生が抑えられるラテックスの機械安定性)の点に改善の余地が残されていた。
【特許文献1】実開平4−11162号公報
【特許文献2】特開2002−12840号公報
【特許文献3】特開2001−105518号公報(1頁−8頁)
【特許文献4】特開2004−175111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の如き実状を鑑み、耐熱性樹脂を構成樹脂とする発泡積層シートを用いることにより、軽量化と耐熱性を保持し、リサイクル性に優れ、安価かつ容易に製造が可能で、加熱プレス前の初期接着強度が乾燥処理条件に依存せず強固であり、内装材において高温下における表皮材の剥離等が防止でき、さらに内装材をモジュール化する場合、内装材の反意匠面である異音防止材を積層した面に付属する部品の強固でかつ安定的な接着を保持させるための、また、ラテックスの機械安定性の向上により製造工程でのラテックス接着剤の取扱い性が改善される内装材の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、内装材の実用特性、生産性の観点から上記発明を改良したものであり、鋭意検討の結果、以下のことを見出した。
【0011】
1)ポリスチレン系樹脂(PS系樹脂)を構成樹脂とするラテックスをカルボキシル化変性アクリロニトリル・スチレン系樹脂(AS系樹脂)に変更することにより、接着剤層の耐候性、対薬品性、耐熱性、強度が改善されると共に、ラテックスの機械安定性が向上し、機械的操作を受けてもゲルの発生が抑えられるため、製造工程での取扱いが簡便となることを見出した。
【0012】
2)ラテックス接着剤を用いた接着に関し、ラテックス接着剤が乾燥処理された際、連続フィルムが形成されなければ充分な接着強度は発現しない。一般に、ラテックス接着剤が乾燥処理によって連続フィルムを形成するかどうかは、ラテックス接着剤の最低成膜温度(minimum film−forming tenmperature: MFT)と乾燥温度の関係に依存し、乾燥温度がラテックス接着剤の最低成膜温度よりも高ければ、乾燥の進行とともにラテックス粒子は変形・融着して連続フィルムを形成する。ここで、単一の構成樹脂からなるラテックス接着剤の最低成膜温度は、ほぼ構成樹脂のガラス転移温度に一致すると言われている。
前述のように、ラテックス接着剤が乾燥処理によって連続フィルムを形成するかどうかは乾燥処理条件に依存するが、内装材の連続生産等においては、乾燥時間に制約が有るため、工程内でラテックス接着剤の乾燥を完了させることは困難な場合がある。そこで、乾燥工程でラテックス接着剤の乾燥が完了しなくても室温(約20℃)に放置した際、自然乾燥により連続フィルムが形成されるようラテックス接着剤の最低成膜温度は20℃以下に設定することが望ましい。
しかしながら、高温下での接着性維持するためには、ラテックス接着剤の耐熱性をあげる必要が有るため、結果的にラテックス接着剤構成樹脂のガラス転移温度が上がり、ラテックス接着剤の最低成膜温度を20℃以下に設定することは困難となる。
上記、ラテックス接着剤に関して最低成膜温度20℃以下の確保および高耐熱性というに相反する要求特性を両立するため、最低成膜温度が20℃以下の成膜性が良好なラテックスをバインダーラテックスとして使用し、耐熱性の高いラテックスをレジンラテックスとして使用して、バインダーラテックスが連続相を形成する混合比でバインダーラテックスとレジンラテックスを混合することにより、最低成膜温度20℃以下の確保および高耐熱性が発現することを見出した。
【0013】
3)内装用基材の構成樹脂としてPS系樹脂および変性PPE系樹脂を使用し、更に接着剤としてカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックスを使用することにより、従来多用されているポリオレフィン系接着剤を使用しないためリサイクルが更に容易となる。これは、内装用基材の構成樹脂であるPS系樹脂および変性PPE系樹脂と接着剤としてのポリオレフィン系樹脂の相溶性が良くないため、内装材をリサイクルする際、回収樹脂中にポリオレフィン系樹脂を含有してしまうが、この状態で樹脂の再生を行った場合、相分離が発生し得られる樹脂の物性が脆く、耐衝撃性に劣るのを防止できることを意味する。
【0014】
以上の検討内容の結果、軽量化と耐熱性を保持した上で、リサイクル性に優れ、安価かつ容易に製造が可能で、高温化における表皮材及び異音防止材の剥離等が防止できる内装材およびその製造方法を見出した。
【0015】
すなわち、本発明は、
耐熱性樹脂を構成樹脂とする発泡層の両面に、ポリスチレン系樹脂、耐熱性ポリスチレン系樹脂または変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる非発泡層を積層した発泡積層シートの少なくとも一方の非発泡層面に、ラテックス接着剤を塗布し、発泡積層シ−トと表皮材及び/又は異音防止材を積層した状態で乾燥させ、加熱プレスする内装材の製造方法であって、
ラテックス接着剤が、カルボキシル化変性スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂を構成樹脂とするバインダーラテックスおよびカルボキシル化変性アクリロニトリル・スチレン系共重合体樹脂を構成樹脂とするレジンラテックスからなるラテックス混合物であることを特徴とする内装材の製造方法(請求項1)、
バインダーラテックスが、最低成膜温度20℃以下のカルボキシル化変性スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂を構成樹脂とするラテックスであることを特徴とする請求項1に記載の内装材の製造方法(請求項2)、
ラテックス混合物中でのレジンラテックスの混合割合が20〜80重量%であり、かつ、ラテックス混合物の最低成膜温度が20℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の内装材の製造方法(請求項3)、および
ラテックス混合物中でのレジンラテックスの混合割合が30〜70重量%であることを特徴とする請求項3に記載の内装材の製造方法(請求項4)
に関する。
【発明の効果】
【0016】
耐熱性樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に積層された熱可塑性樹脂、特にスチレン系樹脂または変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる非発泡層に、カルボキシル化変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体樹脂ラテックスおよびカルボキシル化変性スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂ラテックスとのラテックス混合物を介して、表皮材及び/又は異音防止材を積層することによって、製造工程内の乾燥処理条件に依存しない安定強固な初期接着強度の発現とラテックス接着剤層の耐熱性を両立すること、および、ラテックスの機械安定性の向上により製造工程でのラテックスの取扱い性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の1実施形態である内装材を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の1実施形態に係る内装材の構成を示すものであり、耐熱性樹脂を構成樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(12および14)が形成され、片方の非発泡層12にラテックス接着剤層16を介して表皮材20が積層されてなるものである。
【0019】
また、図2は、図1に示す構成の自動車用内装材に、もう一方の非発泡層14にラテックス接着剤層18を介して異音防止材22が積層されてなるものである。
【0020】
本発明の発泡層10の構成樹脂として使用される耐熱性樹脂は、耐熱性を有するとして当業者に知られるいずれの樹脂をも用いることができる。例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体等の耐熱ポリスチレン系樹脂;ポリスチレンあるいは耐熱ポリスチレンとポリフェニレンエーテル(PPE)とのブレンド体、PPEへのスチレングラフト重合物などのスチレン・フェニレンエーテル共重合体、等の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性PPE系樹脂);ポリカーボネート樹脂;およびポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートで例示されるポリエステル樹脂などが使用される。これらの樹脂は、2種以上を用いることもできる。発泡シートは2種以上の発泡層を積層してシート状にしたものであってもよい。
【0021】
この中でも、変性PPE系樹脂を発泡層の構成樹脂として使用することは、耐熱性および剛性等の品質に優れているうえに、加工性および製造が容易である点で好ましい。
【0022】
変性PPE系樹脂に使われるPPEとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレンー1,4−エーテル)、 ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0023】
変性PPE系樹脂中、PPE系樹脂と混合樹脂を形成するポリスチレン系樹脂(PS系樹脂)はスチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等を主成分とする樹脂である。したがって、PS系樹脂はスチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず他の単量体と共重合することによって作られた共重合体であってもよい。
【0024】
また、前記PPE系樹脂に重合、好ましくはグラフト重合させるスチレン系単量体の具体例としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。これらのうちではスチレンが、汎用性、コストの点から好ましい。
【0025】
本発明の発泡層10に使用される構成樹脂として、変性PPE系樹脂を使用する場合は、フェニレンエーテル成分として、通常35〜75重量部、スチレン成分として65〜25重量部が好ましく、更に好ましくは、フェニレンエーテル成分として35〜60重量部、スチレン成分として65〜40重量部、特に好ましくは、フェニレンエーテル成分として38〜58重量部、スチレン成分として62〜42重量部がよい。変性PPE系樹脂中のフェニレンエーテル成分が少ないと、耐熱性が劣る傾向にあり、フェニレンエーテル成分が多いと、加熱流動時の粘度が上昇し発泡成形が困難になる傾向がある。
【0026】
発泡層10を形成する1次発泡層としては、層の厚みが1〜5mm、更には1.5〜3.5mm、発泡倍率が3〜20倍、更には5〜15倍、セル径が0. 05〜0. 9mm、更には0.1〜0.7mm、独立気泡率が70%以上、更には80%以上であるのが好ましい。1次発泡層の厚さが1mm未満であると、強度および断熱性に劣り内装材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。一方、5mmを超える場合、成形加熱時に熱が発泡層10の厚み方向の中心部まで伝わり難く、そのため充分な加熱が行えず、成形性が悪くなる場合がある。 また、充分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルに破泡等が生じ、製品として許容できるものが得られ難くなる場合がある。また、1次発泡倍率が3倍未満の場合、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易く、また軽量化の効果が少ない。1次発泡倍率が20倍を超える場合、強度が低下し、中心部まで加熱しにくいことにより成形性が低下する傾向がある。
【0027】
更に、セル径が0.05mm以下の場合、充分な強度が得られ難く、0.9mm以上の場合、断熱性に劣る傾向がある。また、独立気泡率が70%以下の場合、断熱性、剛性に劣るとともに、成形加熱によって目的とする2次発泡倍率を得ることが困難となり、成形性に劣る傾向がある。
【0028】
また、発泡層10を形成する1次発泡層中の残存揮発成分の量は発泡層全重量に対して1〜5重量%、更には2〜4重量%が好ましい。残存揮発成分が1重量%を下回る場合は2次発泡倍率が低くなりすぎ、良好に成形できない場合がある。また、残存揮発成分が5重量%を超える場合は非発泡層との間に空気だまりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くなる場合がある。なお、残存揮発成分の量は、ガスクロマトグラフィーにより測定しても良いが、通常、発泡層サンプルを変性PPE系樹脂が軟化しはじめる温度以上で分解温度以下の温度範囲で加熱して揮発成分を充分に揮発させ、加熱前後の重量差により測定する。
【0029】
本発明において使用される発泡層10の構成樹脂には、必要に応じて気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を添加してもよい。
【0030】
本発明に係る内装材用積層発泡シートは、耐熱性樹脂を構成樹脂とする発泡層10の両面に熱可塑性樹脂を構成樹脂とする非発泡層12および14が積層される。
【0031】
発泡層10の両面への非発泡層12および14の積層により、発泡層の動きが非発泡層により制御され、積層シートの高温下での変形制御および成形時の成形体形状の安定が図られ、さらに曲げ剛性を向上させハンドリング性が改善される。
【0032】
非発泡層12または14に用いられる熱可塑性樹脂としては、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE系樹脂などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いられるが、発泡層10として変性PPE系樹脂を使用する場合は、該樹脂層との接着性の観点から、変性PPE系樹脂、耐熱PS系樹脂が好ましく使用される。
【0033】
非発泡層12または14として変性PPE系樹脂を使う場合は、上述の発泡層10の場合と同様に、PPE系樹脂にスチレン系化合物を主体とする単量体またはその重合体で重合または混合による変性を行ったものであり、例えば、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂、PPE系樹脂にスチレン系単量体を重合させたPPE−スチレン共重合体、この共重合体とPS系樹脂またはPPE系樹脂との混合物、その共重合体とPPE系樹脂とPS系樹脂との混合物などが挙げられる。 これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂が、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0034】
これらPPE系樹脂、PS系樹脂またはスチレン系単量体の具体例や好ましいものの例示や、PS系樹脂やスチレン単量体と重合可能な単量体の具体例、それを使用する理由などは、発泡層10において説明した場合と同様である。ただし、PS系樹脂の好ましい具体例として、ハイインパクトポリスチレン(以下、「HIPS」と記す。)で代表されるスチレン−ブタジエン共重合体が、非発泡層12および14の耐衝撃性改善効果が大きいという点から好ましい。
【0035】
本発明における非発泡層12または14に使用される構成樹脂として変性PPE系樹脂を使用する場合、耐熱性評価温度以上のビカット軟化温度を有するものが好ましい。その理由としては、非発泡層12または14が耐熱性評価温度において軟化してしまうと発泡層10のセルの動きを制御する働きを担えなくなることによる。
【0036】
本発明における非発泡層12または14の構成樹脂として耐熱PS系樹脂を使用する場合、変性PPE系樹脂を使用する場合と同様に、耐熱性評価温度以上のビカット軟化温度を有するものが好ましい。
【0037】
本発明における非発泡層12または14に使用される耐熱PS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体と他の単量体との共重合体であり、耐熱性の改善効果を有するものである。スチレンまたはその誘導体と共重合可能な単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、またはその誘導体およびその酸無水物、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル化合物またはその誘導体等があげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
また、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させたものとマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体およびその酸無水物、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル化合物との共重合体であってもよい。
【0039】
これらのうちでは、スチレン−無水マレイン酸系共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体がその耐熱性改善効果、汎用性、コストの面から好ましい。
【0040】
また、耐熱PS系樹脂は他の熱可塑性樹脂とブレンドして用いてもよく、ブレンドする熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、HIPS、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミドやそれらの共重合体などがあげられる。これらのうちでは、汎用性、均一分散が可能であること、非発泡層の耐衝撃性改善効果が大きいこと、コストの面等から、HIPSが好ましい。HIPSとしては公知のものが使用でき、ゴム成分の含有量は通常1〜15重量%である。
【0041】
本発明における非発泡層12または14の厚みは、50〜300μmが好ましく、75〜200μmがより好ましい。非発泡層の厚さが50μmより薄い場合には、強度、剛性、耐熱性などが低下する傾向があり、300μmより厚い場合には、発泡積層シートの成形性が劣る傾向にある。
【0042】
本発明における非発泡層12または14の構成樹脂には、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0043】
耐衝撃性改良剤は、非発泡層12または14を発泡層10に積層し、2次発泡させた積層シートを内装材として成形する際のパンチング加工や、積層シートや成形体を輸送する際に、非発泡層12または14の割れなどを防止するのに有効である。
【0044】
耐衝撃性改良剤としては、構成樹脂に混合することによってその効果を発揮するものであれば特に限定なく使用し得る。耐衝撃性改良剤は、重合による変性で熱可塑性樹脂に導入した耐衝撃性改良効果を発揮し得る成分であってもよく、例えばHIPSなどのように耐衝撃性改良成分を含むものを混合して非発泡層に使用する場合も、非発泡層12および14に耐衝撃性を付与することができる。
【0045】
本発明の内装材は、図1に示すように、非発泡層12の表面にラテックス接着剤層16を介して表皮材20が積層されている。
【0046】
本発明における表皮材20の構成としては、不織布、不織布とニットの積層体、不織布とパッド材とニットの積層体、パッド材とニットの積層体等、内装材に使用されているものであれば何れも用いることが出来る。
【0047】
本発明における表皮材20に使用される不織布としては、原料繊維を接着剤、溶融繊維、あるいは機械的方法により接合させた布状物であればいずれの種類でも用いられ得る。原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維のいずれをも用いることができる。具体的には、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や、羊毛、木綿、セルロース等の天然繊維を使用することができるが、中でもポリエステル繊維が好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
【0048】
不織布の種類として、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンポンド布、スプレファイバー布、あるいはステッチボンド布等が挙げられ、いずれの不織布も用いることができる。
【0049】
本発明における表皮材20に使用されるパッド材は、表皮材の触感(高級感)を向上させる目的に使用され、緩衝材としての性質を有するフォームが使用される。
【0050】
パッド材として使用されるフォームの種類としては、ポリウレタンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリブタジエンフォーム等が使用可能である。
【0051】
本発明における表皮材20に使用されるニットは、トリコット、ダブルラッセル、ビロード等、内装材に使用されるものであればいずれも用いることができる。
【0052】
本発明における表皮材20に使用される不織布は、品質およびコストを考慮すると、100〜300g/m2の目付けを有していることが好ましく、更には120〜200g/m2の目付けを有していることが好ましい。100g/m2未満の目付けでは、内装材としての充分な感触を得ることができないことがある。一方、300g/m2より大の目付けでは、表皮材の成形歪みが熱変形に影響を与えることがある。
【0053】
さらに、本発明の内装材は、図2に示すように、非発泡層14の表面にラテックス接着剤層18を介して異音防止材22が積層されている。
【0054】
本発明における異音防止材22の構成としては、不織布系、織布系の繊維素材であれば何れも用いることが出来る。
【0055】
本発明における異音防止材22に使用される不織布としては、原料繊維を接着剤、溶融繊維、あるいは機械的方法により接合させた布状物であればいずれの種類でも用いられ得る。原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維のいずれをも用いることができる。具体的には、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や、羊毛、木綿、セルロース等の天然繊維を使用することができるが、中でもポリエステル繊維が好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
【0056】
不織布の種類として、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンポンド布、スプレファイバー布、ウォーターニードル布あるいはステッチボンド布等が挙げられ、いずれの不織布も用いることができる。
【0057】
本発明におけるラテックス接着剤層16または18は、各々非発泡層12または14と相溶性を有し、低温成膜性の良好なバインダーラテックスおよび耐熱性が高いレジンラテックスとの混合物が使用される。
【0058】
ラテックス接着剤として、低温成膜性の良好なバインダーラテックスおよび耐熱性が高いレジンラテックスとの混合物を使用することにより、製造工程内の乾燥処理条件に依存しない安定で強固な初期接着強度とラテックス接着剤層の耐熱性を両立することができ、また、機械安定性の向上により製造工程でのラテックス混合物の取扱い性を改善することができる。
【0059】
本発明におけるバインダーラテックスとしては、カルボキシル化変性スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂ラテックス(以下、「カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス」と記す。)が、機械安定性が良好な点および、非発泡層12または14と相溶性を有する点から好ましい。
【0060】
本発明におけるカルボキシル化変性SB系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、ブタジエン系単量体および不飽和カルボン酸単量体からなる共重合体である。使用される不飽和カルボン酸の単量体としては、一塩基酸および二塩基酸のいずれを使用することも可能で、例えばマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等があげられる。導入されるカルボキシル基含有単量体の組成比は、強度、熱および光安定性の点から、樹脂全体を100%とした場合、1〜10重量%が好ましい。
【0061】
本発明においては、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックスのなかでも、乾燥後ラテックス粒子が融着し連続層を形成する温度である最低成膜温度が20℃以下のものが好ましく、0℃以下のものがより好ましい。SB系樹脂ラテックスの最低成膜温度が20℃を超える場合、乾燥工程で乾燥不良が発生した際、室温での乾燥によりフィルムの形成が起こらず接着不良が発生する可能性がある。
ただし、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックスの最低成膜温度は、SB系樹脂ラテックスのスチレン成分とブタジエン成分の比率にほぼ依存し、最低成膜温度が低いほどブタジエン成分の比率が高くなる結果、スチレン系樹脂からなる非発泡層12および14との相溶性が悪化するため、最低成膜温度は、計算上[計算式:最低成膜温度=2.9×(スチレン成分(重量%))−175]、スチレン成分が50重量%以上となる−30℃以上が好ましい。
【0062】
本発明におけるレジンラテックスとしては、非発泡層12または14と相溶性を有するカルボキシル化変性アクリロニトリル・スチレン系共重合体樹脂ラテックス(以下、「カルボキル化変性AS系樹脂ラテックス」と記す。)が、機械安定性が良好な点および非発泡層12または14と相溶性を有する点から好ましい。
【0063】
本発明におけるカルボキシル化変性AS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、アクリロニトリル系単量体およびカルボキシル基含有単量体の共重合体である。導入されるアクリロニトリル系単量体およびカルボキシル基含有単量体の組成比は、強度、熱および光安定性の点から、樹脂全体を100%とした場合、1〜10重量%が好ましい。
【0064】
本発明におけるラテックス混合物中でのレジンラテックスの混合割合は、20〜50重量%が好ましく、30〜50重量%がさらに好ましい。レジンラテックスの混合割合が20重量%未満では、接着剤層の耐熱性が低下し、内装材の実用特性として要求されるレベルに達しない場合があり、50重量%を超えると、バインダーラテックスが連続相とならず、ラテックス混合物の最低成膜温度が20℃以上となり、室温での乾燥によりフィルムの形成が起こらず接着不良が発生する可能性がある。
【0065】
本発明におけるラテックス混合物の最低成膜温度は、20℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。ラテックス混合物の最低成膜温度が20℃を超えると、室温での乾燥によりフィルムの形成が起こらず、接着不良が発生する場合がある。
【0066】
本発明におけるラテックス混合物からなる接着剤層16による非発泡層12と表皮材20の接着方法としては、イ)ラテックス混合物を非発泡層12表面に塗布し、未乾燥状態の塗布面に表皮材20を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることで接着させる方法、ロ)表皮材20に予め接着樹脂希釈溶液を塗布し、未乾燥状態の塗布面に非発泡層12が接する様に基材18を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることで接着させる方法が好ましい。ラテックス混合物を塗布し、未乾燥状態で非発泡層12および表皮材20を積層させることにより、変性PPE系樹脂発泡シート等を使用した場合、発泡シートの破泡が起こらない加熱温度での加熱プレスによっても、要求される接着性が安定的に発現される。
【0067】
本発明における熱可塑性樹脂からなる接着剤層18による非発泡層14と異音防止材22の接着方法としては、表皮材20の場合と同様な方法があげられる。
【0068】
本発明におけるラテックスとしては、カーペットバッキング用、塗工紙用、不織布繊維処理用として当業者に知られるいずれのラテックスを使用することが可能である。
【0069】
ラテックス原液中の固形分濃度としては、通常40重量%以上であるが、塗布量および塗布方法にあわせ、任意に水で希釈した後使用することが可能である。但し、ラテックス水希釈溶液の固形分濃度が低すぎると、工程内での乾燥が不十分となり、接着不良を引き起こす可能性があるため20重量%以上が好ましい。
【0070】
本発明において使用するバインダーラテックスおよびレジンラテックスは、製造工程でポンプ輸送、配合の際の攪拌、コーティングの際のロールコーターによる剪断等間断なく機械的操作を受けるため機械安定性が良好なラテックスが好ましい。
【0071】
機械安定性を改善する方策としては、乳化剤の添加量を増加させる、pHをアルカリ側に調整する、ラテックスをカルボキシル化変性する等があげられるが、カルボキシル化変性が最も有効であるため、カルボキシル化変性のラテックスの使用が好ましい。
【0072】
本発明におけるラテックスの塗布方法としては、各種ロールコーター法、スプレー法、泡噴霧法等の方法が挙げられ、塗布量、塗布面の形状により選択される。
【0073】
本発明におけるラテックスは、配合添加剤として、必要に応じて、安定剤、老化防止剤、加硫促進剤、分散剤、充填剤、増粘剤、着色剤、消泡剤、ゲル化剤、凍結防止剤、軟化剤、増粘樹脂等を含有してもよい。
【0074】
本発明におけるラテックス接着剤層16または18の構成樹脂塗布量は、使用する熱可塑性樹脂の種類、必要とされる表皮材20および/または異音防止材22との接着強度により任意に選択されるが、一般的に、混合ラテックス中の固形分として、1m2あたり0.5〜20.0gが好ましく、5.0〜10.0gがより好ましい。ラテックス接着剤層16、18の構成樹脂塗布量が0.5g未満の場合は、接着性の改善効果が発現されない可能性が有り、20.0gを超える場合は、成形時に表皮材20及び異音防止材22よりラテックス接着剤層16、18が染み出し金型を汚染する可能性があり、特に、異音防止材22の場合、染み出したラテックス接着剤層18により当該層の異音を防止する機能を損ねてしまう可能性がある。
【0075】
次に、本発明の内装材の製造法について説明する。本発明において使用される発泡層10(1次発泡層)は、各種の添加材を加えた耐熱性構成樹脂を押出機により150℃〜300℃で溶融・混練し、ついで150〜300℃、3〜50MPaの高温高圧下で樹脂100部に対して発泡剤1〜15部を圧入し発泡最適温度(150〜300℃)に調節して、サーキュラーダイなどを使い低圧帯(通常は大気中)に押出した後、マンドレルなどに接触させて、例えば0.5〜40m/分の速度で引き取りながらシート状に成形し、カット後、巻き取るなどの方法により製造することができる。
【0076】
本発明における発泡層10を製造する際に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペンタンなどの炭化水素系発泡剤があげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0077】
本発明における1次発泡シートの発泡倍率は、3〜20倍が好ましく、5〜15倍がより好ましく、厚みは、1〜5mmが好ましく、1.5〜3.5mmがより好ましい。
【0078】
本発明において発泡層10に非発泡層12または14を積層する方法としては、予め発泡成形して、供給される発泡層10の上面または下面に押出機から供給した溶融状態の非発泡層12、14の構成樹脂を発泡層10の表面に層状に積層し、冷却ロールなどによって圧着する方法が好ましい。なかでも、発泡層10の押出発泡シート成形と非発泡層12または14の押出をインラインで行って積層する方法は、製造工程が簡略化できる点で好ましい。
【0079】
本発明において、得られた1次発泡積層シートから内装材である成形した2次発泡積層成形体を成形する方法としては、上下にヒーターを持つ加熱炉の中央に発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度(例えば、130〜200℃)に加熱して2次発泡させた後、温度調節した金型にて成形される。本発明においては、上記加熱成形のことを「加熱プレス」と称している。
【0080】
成形方法の例としては、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法が挙げられる。
【0081】
ここで、一次発泡シートを加熱により2次発泡させる際には、1次発泡シートに対して、通常1.2〜4倍に2次発泡させることが好ましく、さらには1.5〜3倍に2次発泡させるのが好ましい。すなわち、2次発泡後シートの発泡倍率は、3.6〜80倍が好ましく、7.5〜45倍がより好ましく、10〜40倍がさらに好ましい。2次発泡後シートの厚さは、1.2〜20.0mmが好ましく、2.25〜10.5mmがより好ましく、3.0〜7.0mmがさらに好ましい。
【0082】
なお、得られた1次発泡積層シートは、表皮材20または異音防止材22を、非発泡層12または14に対し相溶性を有するラテックス接着剤層16または18を介して積層された発泡積層シートの形態で、住宅用のパネルや自動車内装材のうち荷室のバックドアパネルとして、2次発泡積層成形体とすることなく、そのまま使用することもできる。
【0083】
以上、本発明に係る内装材用積層発泡シートの実施態様を種々説明したが、本発明は上述の態様に限定されるものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
【実施例】
【0084】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。実施例および比較例に用いた樹脂、表皮材、異音防止材を表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
なお、表1に示した樹脂に関する各符号は次の通りである。
変性PPE :変性ポリフェニレンエ−テル樹脂
PS :ポリスチレン樹脂
HIPS :ハイインパクトポリスチレン樹脂
SMAA :スチレン−メタクリル酸共重合体
カルボキシル化変性SB:カルボキシル化変性スチレン・ブタジエン共重合体樹脂
カルボキシル化変性AS:カルボキシル化変性アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂
【0087】
実施例および比較例で行った評価方法を以下に示す。
【0088】
(発泡層および成形体の厚さ)
1次発泡シート、成形体の幅方向に20ヶ所の厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
【0089】
(発泡倍率)
1次発泡シートの密度dfをJIS K 7222に準じて測定し、変性PPE系樹脂の密度dpを JIS K 7112に準じて測定し、次式より求めた。
発泡倍率=dp/df
【0090】
(独立気泡率)
マルチピクノメーター(ベックマン社製)を用いて、ASTMD−2859に準じて測定した。
【0091】
(セル径)
発泡層の断面を光学顕微鏡で観察し、20個のセル径を測定し、その測定値の平均値を算出した。
【0092】
(目付)
1次発泡シートについては、1次発泡シートの押し出し方向の5ヶ所より、100mm×100mmの大きさの試験片を切り出し、それらの重量を測定した後、平均値を算出した。
【0093】
(ラテックスの最低成膜温度)
ラテックス混合物の最低成膜温度は、RhopointInstrumentation社製最低造膜温度測定装置を用い、ASTM D2354の試験法に準拠して測定した。
【0094】
(ラテックスの機械安定性)
ラテックス混合物の機械安定性は、テスター産業社製マロン式機械的安定度試験機を用い、液量50g、液温40℃、回転数2000rpmおよび荷重10N/cm2の条件下で10分後に発生したゲルを200メッシュの金網で濾過し、混合ラテックスの固形分量に対するゲル発生量の比率を算出し、下記の基準により評価した。
○・・ゲル発生比率 0.1%未満
△・・ゲル発生比率 0.1%以上0.3%未満
×・・ゲル発生比率 0.3%以上
【0095】
(ラテックス塗布量)
ラテックスの塗布量について、塗布前後の表皮材及び異音防止材を長手方向より100mm×100mmの大きさの試験片を切り出し、その重量差を測定した後、平均値を算出した。
【0096】
(表皮材常温剥離試験)
得られた表皮材積層発泡積層シートから150mm×25mmの試験片を採取し、積層された表皮材を短辺に平行に適当量引き剥がし、引き剥がされた表皮材および内装用基材を引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフDSS−2000)のつかみに取り付け、180°方向に引張速度200mm/minで引き剥がし剥離強さを求めた。
判定の基準としては内装材としての実用性を考慮して、以下の基準を用いた。
○・・ 4.9N/25mm以上
×・・ 4.9N/25mm未満
【0097】
(表皮材耐熱クリープ剥離試験)
得られた表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ、表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。
得られた内装材の一般部より150mm×25mmの試験片を採取し、積層された表皮材を短辺に平行に適当量引き剥がし、引き剥がした部分の端部をマーキングする。
内装材を固定した状態で、引き剥がされた表皮材に100gの錘を吊し、100℃恒温槽中に24時間放置し、マーキング部分からの剥離長を測定した。
判定の基準としては内装材としての実用性を考慮して、以下の基準を用いた。
○・・ 10mm未満
×・・ 10mm以上
【0098】
(異音防止材の常温剥離試験)
得られた異音防止材/表皮材積層発泡積層シートから150mm×25mmの試験片を採取し、積層された異音防止材を短辺に平行に適当量引き剥がし、引き剥がされた異音防止材および内装用基材を引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフDSS−2000)のつかみにとりつけ、180°方向に引張速度200mm/minで引き剥がし、剥離強さを求めた。
その判定の基準としては内装材としての実用性を考慮して、以下の基準を用いた。
○・・剥離強さが4.9N/25mm以上である
×・・剥離強さが4.9N/25mm未満である
【0099】
(耐熱変形試験)
得られた表皮材積層発泡積層シート、または異音防止材/表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ、表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。
得られた内装材の一般部より150mm×25mmの試験片を採取し、表皮材側を上にして片側短辺端部を固定した状態で、固定した短辺と反対側端部の高さ(h0)を測定した。この状態で100℃±2℃に設定した恒温槽中に24時間保持し、常温に戻した後、再度端部の高さ(h1)を測定した。初期の高さと耐熱後の高さの差(h0―h1)より耐熱変形量を求めた。
その判定の基準としては、内装材としての実用性を考慮して、以下の基準を用いた。
○・・耐熱変形量が±3.0mm未満である
△・・耐熱変形量が−10.0〜−3.0mm、または3.0mm〜10.0mmである
×・・耐熱変形量が±10.0mm以上である
【0100】
(実施例1)
PPE樹脂成分40重量%およびPS樹脂成分60重量%となるように変性PPE樹脂(A)57.1部およびPS樹脂(B)42.9部とを混合した混合樹脂100重量部に対してiso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)3.4重量部及びタルク0.32重量部を押出機により混練した。サーキュラーダイスにより押出し、引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻取り、一次厚み2.2mm、一次発泡倍率12倍、独立気泡率90%、セル径0.19mm、目付け180g/m2の発泡シートを得た。得られたシートはロール状に巻き取った。
【0101】
得られた発泡シートをロールより繰出しながら、PPE系樹脂成分20重量%、PS系樹脂成分76.8重量%およびゴム成分3.2重量%となるように変性PPE樹脂(A)28.6部、PS樹脂(B)41.4部およびHIPS樹脂(C)30.0部を混合した混合樹脂を樹脂温度が260℃となるように押出機で溶融・混錬し、Tダイを用いて120μmの室外側非発泡層が形成できるようにフィルム状に押出し冷却ロールにて圧着することで片面に非発泡層が積層された発泡積層シートを得た。
上記積層シートを繰出し、PPE系樹脂成分20重量%およびPS系樹脂成分80重量%になるように変性PPE樹脂(A)28.6部およびPS樹脂(B)71.4部を混合した混合樹脂を樹脂温度が265℃となるように押出機で溶融・混錬し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、発泡積層シートの残された発泡層上に厚さ120μmの室内側非発泡層が形成できるようにフィルム状に押出し両面に非発泡層が積層された発泡積層シートを得た。
【0102】
両面に非発泡層が積層された発泡積層シートの室内側非発泡層上に、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)80%およびカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)20%となるように混合したラテックス混合物(固形分濃度が40wt%になるように水で希釈調整したラテックス)をスプレーにて1平方メートル当たり20g塗布(表面付着樹脂濃度8.0g/m2)した後、塗布面に表皮材(I)を貼り付け、ロールにて押圧2kg/cm2圧着した後、室温で24時間自然乾燥させ、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0103】
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0104】
(実施例2)
ラテックス混合物を、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)70%およびカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)30%からなるラテックス混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0105】
(実施例3)
ラテックス混合物を、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)60%およびカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)40%からなるラテックス混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0106】
(実施例4)
ラテックス混合物を、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)40%およびカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)60%からなるラテックス混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0107】
(実施例5)
実施例1と同様にして、発泡シートを得た。
得られた発泡シートをロールより繰出しながら、SMAA樹脂(D)50部およびHIPS樹脂(C)50部を混合した混合樹脂を樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融・混錬し、Tダイを用いて150μmの室外側非発泡層が形成できるようにフィルム状に押出し冷却ロールにて圧着することで片面に非発泡層が積層された発泡積層シートを得た。
上記積層シートを繰出し、SMAA樹脂(D)50部およびHIPS樹脂(C)50部を混合した混合樹脂を樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融・混錬し、Tダイを用いて発泡積層シートの残された発泡層上に厚さ120μmの室内側非発泡層が形成できるようにフィルム状に押出し冷却ロールにて圧着することで両面に非発泡層が積層された発泡積層シートを得た。
両面に非発泡層が積層された発泡積層シートの室内側非発泡層上にカルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)70%とカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)30%となるように混合したラテックス混合溶液(固形分濃度が40wt%になるように水で希釈調整したラテックス)をスプレーにて1平方メートル当たり20g塗布(表面付着樹脂濃度8.0g/m2)した後、塗布面に表皮材(I)を貼り付け、ロールにて押圧2kg/cm2圧着した後、室温で24時間自然乾燥させ、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0108】
(比較例1)
ラテックス混合物を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして、表皮材が積層された発泡積層シートを得ようとしたが、表皮材は容易に剥離し、接着されなかった。
表皮材(I)を室内側非発泡層上に置き、四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材常温剥離試験、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0109】
(比較例2)
ラテックス混合物を、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)70%およびPS系樹脂ラテックス(G)30%からなるラテックス混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0110】
(比較例3)
ラテックス混合物を、SB系樹脂ラテックス(H)70%およびカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)30%からなるラテックス混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0111】
(比較例4)
ラテックス混合物を、SB系樹脂ラテックス(H)70%およびPS系樹脂ラテックス(G)30%からなるラテックス混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
得られた表皮材積層発泡積層シートを用いて、表皮材常温剥離試験を実施した。また、使用したラテックス混合物の最低成膜温度、および機械安定性を評価した。得られた結果を表2に示す。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0112】
(実施例6)
実施例1と同様な方法にて、両面に非発泡層が積層された発泡積層シートを得た。
両面に非発泡層が積層された発泡積層シートの室内側非発泡層上にカルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)70%およびカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)30%となるように混合したラテックス混合溶液(固形分濃度が40wt%になるように水で希釈調整したラテックス)をスプレーにて1平方メートル当たり20g塗布(表面付着樹脂濃度8.0g/m2)した後、塗布面に表皮材(I)を貼り付け、ロールにて押圧2kg/cm2で圧着した。
さらに、室外側非発泡層上にカルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス(E)70%およびカルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス(F)30%となるように混合したラテックス混合溶液(固形分濃度が40wt%になるように水で希釈調整したラテックス)をスプレーにて1平方メートル当たり8.3g塗布(表面付着樹脂濃度4.0g/m2)した後、塗布面に異音防止材(J)を貼り付け、ロールにて押圧2kg/cm2で圧着した後、室温で24時間自然乾燥させ、異音防止材、表皮材が積層された発泡積層シートを得た。
また、上記表皮材積層発泡積層シートの四方をクランプし加熱炉に入れ表面温度150℃まで加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し内装材を得た。得られた内装材のよりサンプルを切出し、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0113】
(比較例5)
ラテックス混合物を塗布しなかった以外は、実施例6と同様な方法にて内装材を得た。
得られた内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材常温剥離試験、表皮材耐熱クリープ剥離試験、耐熱変形試験および異音防止材常温剥離試験を実施した。試験結果を表2に示す。
【0114】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、本発明に係る内装材用発泡積層シートの要部拡大断面説明図である。
【図2】図2は、本発明に係る内装材用発泡積層シートの要部拡大断面説明図である。
【符号の説明】
【0116】
1 :基材
10:発泡層
12、14:非発泡層
16、18:ラテックス接着剤層
20:表皮材
22:異音防止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性樹脂を構成樹脂とする発泡層の両面に、ポリスチレン系樹脂、耐熱性ポリスチレン系樹脂または変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる非発泡層を積層した発泡積層シートの少なくとも一方の非発泡層面に、ラテックス接着剤を塗布し、発泡積層シ−トと表皮材及び/又は異音防止材を積層した状態で乾燥させ、加熱プレスする内装材の製造方法であって、
ラテックス接着剤が、カルボキシル化変性スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂を構成樹脂とするバインダーラテックスおよびカルボキシル化変性アクリロニトリル・スチレン系共重合体樹脂を構成樹脂とするレジンラテックスからなるラテックス混合物であることを特徴とする内装材の製造方法。
【請求項2】
バインダーラテックスが、最低成膜温度20℃以下のカルボキシル化変性スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂を構成樹脂とするラテックスであることを特徴とする請求項1に記載の内装材の製造方法。
【請求項3】
ラテックス混合物中でのレジンラテックスの混合割合が20〜50重量%であり、かつ、ラテックス混合物の最低成膜温度が20℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の内装材の製造方法。
【請求項4】
ラテックス混合物中に含まれるレジンラテックスの混合割合が30〜50重量%であることを特徴とする請求項3に記載の内装材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−137031(P2006−137031A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326749(P2004−326749)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】