説明

内視鏡システム及びその故障検出方法

【課題】内視鏡挿入部の先端における故障の有無を容易に判別できるようにする。
【解決手段】固内視鏡挿入部の先端に内蔵され、固体撮像素子を有する撮像装置と、前記固体撮像素子から出力された撮像信号から内視鏡画像を生成してモニタに表示するプロセッサ装置と、を備えた内視鏡システムであって、前記撮像装置は、所定のテストパターン信号を発生するテストパターン発生手段を有し、前記プロセッサ装置は、前記撮像装置のテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示することを特徴とする内視鏡システムを提供することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部の先端に固体撮像素子を有する撮像装置が内蔵される内視鏡システム及びその故障検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、内視鏡、例えば電子内視鏡を利用した検査が広く普及している。電子内視鏡には、被検体内に挿入される挿入部の先端にCCDイメージセンサ等の固体撮像素子を有する。電子内視鏡は、コードやコネクタを介してプロセッサ装置(信号処理装置)に接続される。プロセッサ装置は、固体撮像素子から出力された撮像信号に対して各種処理を施し、診断に供する内視鏡画像を生成する。内視鏡画像は、プロセッサ装置に接続されたモニタに表示される。
【0003】
このような内視鏡システムでは、高画質化や高機能化に伴い、従来プロセッサ装置で行われていた処理の一部が電子内視鏡で行われるようになってきている。このため、内視鏡システムに故障が発生した場合に、故障箇所を容易に特定できるようにすることが必要とされている。
【0004】
例えば特許文献1では、電子内視鏡及びプロセッサ装置の両方にテストパターン発生部を設けて、各テストパターン発生部からそれぞれ出力されるテストパターン信号の出力の有無を検知することにより、故障箇所を特定するようにした内視鏡システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−226169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される従来の内視鏡システムでは、電子内視鏡のテストパターン発生部は操作部より基端側のコネクタ部に設けられているため、例えば内視鏡画像がモニタに正常に表示されない場合に、挿入部先端に内蔵される固体撮像素子に故障が生じているのか、挿入部に挿通されるケーブルに故障が生じているのか、故障箇所を特定することは困難である。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、内視鏡挿入部の先端における故障の有無を容易に判別可能な内視鏡システム及びその故障検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る内視鏡システムは、内視鏡挿入部の先端に内蔵され、固体撮像素子を有する撮像装置と、前記固体撮像素子から出力された撮像信号から内視鏡画像を生成してモニタに表示するプロセッサ装置と、を備えた内視鏡システムであって、前記撮像装置は、所定のテストパターン信号を発生するテストパターン発生手段を有し、前記プロセッサ装置は、前記撮像装置のテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、撮像装置で発生したテストパターン信号に基づく画像(テストパターン画像)がモニタに表示されるので、ユーザはモニタに表示されたテストパターン画像を確認することにより、内視鏡挿入部の先端における故障の有無を容易に判別することが可能となる。
【0010】
本発明において、前記プロセッサ装置は、所定のテストパターン信号を発生するテストパターン発生手段を有し、前記プロセッサ装置は、該プロセッサ装置のテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する態様が好ましい。本態様によれば、撮像装置とプロセッサ装置との故障切り分けが可能となる。
【0011】
また、前記プロセッサ装置は、前記撮像装置に電気的に接続される患者回路と、前記患者回路と絶縁分離される2次回路と、から構成され、前記患者回路及び前記2次回路は、それぞれ所定のテストパターン信号を発生するテストパターン発生手段を有し、前記プロセッサ装置は、前記患者回路及び前記2次回路のテストパターン発生手段でそれぞれ発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する態様がより好ましい。本態様によれば、プロセッサ装置を構成する患者回路と2次回路との故障切り分けが可能となる。
【0012】
また、前記プロセッサ装置は、前記2次回路、前記患者回路、前記撮像装置の順にそれぞれのテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに順次表示する態様が好ましい。本態様によれば、迅速な故障切り分けが可能となる。
【0013】
また、前記プロセッサ装置は、少なくとも2つのテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに同時表示する態様が好ましい。本態様によれば、モニタに同時表示された画像(テストパターン画像)を比較することにより、故障箇所を容易に特定することができる。
【0014】
また、前記撮像装置は、前記内視鏡挿入部の先端から取り外し可能に構成されている態様が好ましい。
【0015】
また、前記固体撮像素子は、CMOS型又はCCD型の固体撮像素子である態様が好ましい。
【0016】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る内視鏡システムの故障検出方法は、内視鏡挿入部の先端に内蔵され、固体撮像素子を有する撮像装置と、前記固体撮像素子から出力された撮像信号から内視鏡画像を生成してモニタに表示するプロセッサ装置と、を備えた内視鏡システムの故障検出方法であって、前記撮像装置で所定のテストパターン信号を発生させる工程と、前記撮像装置で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、撮像装置で発生したテストパターン信号に基づく画像(テストパターン画像)がモニタに表示されるので、ユーザはモニタに表示されたテストパターン画像を確認することにより、内視鏡挿入部の先端における故障の有無を容易に判別することが可能となる。
【0018】
本発明において、前記プロセッサ装置で所定のテストパターン信号を発生させる工程と、前記プロセッサ装置で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する工程と、を含む態様が好ましい。本態様によれば、撮像装置とプロセッサ装置との故障切り分けが可能となる。
【0019】
また、前記プロセッサ装置は、前記撮像装置に電気的に接続される患者回路と、前記患者回路と絶縁分離される2次回路と、から構成され、前記患者回路及び前記2次回路で所定のテストパターン信号をそれぞれ発生させる工程と、前記患者回路及び前記2次回路でそれぞれ発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する工程と、を含む態様が好ましい。本態様によれば、プロセッサ装置を構成する患者回路と2次回路との故障切り分けが可能となる。
【0020】
また、前記2次回路、前記患者回路、前記撮像装置の順にそれぞれから発生したテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに順次表示する工程を含む態様が好ましい。本態様によれば、迅速な故障切り分けが可能となる。
【0021】
また、少なくとも2つのテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに同時表示する工程を含む態様が好ましい。本態様によれば、モニタに同時表示された画像(テストパターン画像)を比較することにより、故障箇所を容易に特定することができる。
【0022】
また、前記固体撮像装置は、前記内視鏡挿入部の先端から取り外し可能に構成されている態様が好ましい。
【0023】
また、前記固体撮像素子は、CMOS型又はCCD型の固体撮像素子である態様が好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、撮像装置で発生したテストパターン信号に基づく画像(テストパターン画像)がモニタに表示されるので、ユーザはモニタに表示されたテストパターン画像を確認することにより、内視鏡挿入部の先端における故障の有無を容易に判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】内視鏡システムの概略構成を示した全体構成図
【図2】電子内視鏡の先端部を示した正面図
【図3】電子内視鏡の先端部を示した側面断面図
【図4】内視鏡システムの制御系を示したブロック図
【図5】故障検出モードの流れを示したフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本発明に係る内視鏡システム及びその故障検出方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの概略構成を示した全体構成図である。図1に示すように、本実施形態の内視鏡システム10は、電子内視鏡12、プロセッサ装置14、光源装置16などから構成される。電子内視鏡12は、患者(被検体)の体腔内に挿入される可撓性の挿入部20と、挿入部20の基端部分に連設された操作部22と、プロセッサ装置14及び光源装置16に接続されるユニバーサルコード24とを備えている。
【0028】
挿入部20の先端には、体腔内撮影用の撮像チップ(撮像装置)54(図3参照)などが内蔵された先端部26が連設されている。先端部26の後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部28が設けられている。湾曲部28は、操作部22に設けられたアングルノブ30が操作されて、挿入部20内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部26が体腔内の所望の方向に向けられる。
【0029】
ユニバーサルコード24の基端は、コネクタ36に連結されている。コネクタ36は、複合タイプのものであり、コネクタ36にはプロセッサ装置14が接続される他、光源装置16が接続される。
【0030】
プロセッサ装置14は、ユニバーサルコード24内に挿通されたケーブル68(図3参照)を介して電子内視鏡12に給電を行い、撮像チップ54の駆動を制御するとともに、撮像チップ54からケーブル68を介して伝送された撮像信号を受信し、受信した撮像信号に各種信号処理を施して画像データに変換する。プロセッサ装置14で変換された画像データは、プロセッサ装置14にケーブル接続されたモニタ38に内視鏡画像として表示される。また、プロセッサ装置14は、コネクタ36を介して光源装置16と電気的に接続され、内視鏡システム10の動作を統括的に制御する。
【0031】
図2は電子内視鏡12の先端部26を示した正面図である。図2に示すように、先端部26の先端面26aには、観察窓40、照明窓42、鉗子出口44、及び送気・送水用ノズル46が設けられている。観察窓40は、先端部26の片側中央に配置されている。照明窓42は、観察窓40に関して対称な位置に2個配され、体腔内の被観察部位に光源装置16からの照明光を照射する。鉗子出口44は、挿入部20内に配設された鉗子チャンネル70(図3参照)に接続され、操作部22に設けられた鉗子口34(図1参照)に連通している。鉗子口34には、注射針や高周波メスなどが先端に配された各種処置具が挿通され、各種処置具の先端が鉗子出口44から露呈される。送気・送水用ノズル46は、操作部22に設けられた送気・送水ボタン32(図1参照)の操作に応じて、光源装置16に内蔵された送気・送水装置から供給される洗浄水や空気を、観察窓40や体腔内に向けて噴射する。
【0032】
図3は電子内視鏡12の先端部26を示した側面断面図である。図3に示すように、観察窓40の奥には、体腔内の被観察部位の像光を取り込むための対物光学系50を保持する鏡筒52が配設されている。鏡筒52は、挿入部20の中心軸に対物光学系50の光軸が平行となるように取り付けられている。鏡筒52の後端には、対物光学系50を経由した被観察部位の像光を、略直角に曲げて撮像チップ54に向けて導光するプリズム56が接続されている。
【0033】
撮像チップ54は、CMOS型の固体撮像素子58と、固体撮像素子58の駆動及び信号の入出力を行う周辺回路60とが一体形成されたモノリシック半導体(いわゆるCMOSセンサチップ)であり、支持基板62上に実装されている。固体撮像素子58の撮像面58aは、プリズム56の出射面と対向するように配置されている。撮像面58a上には、矩形枠状のスペーサ63を介して矩形板状のカバーガラス64が取り付けられている。撮像チップ54、スペーサ63、及びカバーガラス64は、接着剤を介して組み付けられている。これにより、塵埃などの侵入から撮像面58aが保護されている。なお、本実施形態では、固体撮像素子58としてはCMOS型が用いられているが、これに限らず、CCD型を用いてもよい。
【0034】
挿入部20の後端に向けて延設された支持基板62の後端部には、複数の入出力端子62aが支持基板62の幅方向に並べて設けられている。入出力端子62aには、ユニバーサルコード24を介してプロセッサ装置14との各種信号の遣り取りを媒介するための信号線66が接合されており、入出力端子62aは、支持基板62に形成された配線やボンディングパッド等(図示せず)を介して撮像チップ54内の周辺回路60と電気的に接続されている。信号線66は、可撓性の管状のケーブル68内にまとめて挿通されている。ケーブル68は、挿入部20、操作部22、及びユニバーサルコード24の各内部を挿通し、コネクタ36に接続されている。
【0035】
また、図示は省略したが、照明窓42の奥には、照明部が設けられている。照明部には、光源装置16からの照明光を導くライトガイドの出射端が配されている。ライトガイドは、ケーブル68と同様に、挿入部20、操作部22、及びユニバーサルコード24の各内部を挿通し、コネクタ36に入射端が接続されている。
【0036】
図4は内視鏡システム10の制御系を示したブロック図である。図4に示すように、電子内視鏡12の先端部26には、固体撮像素子58と周辺回路60が一体形成された撮像チップ54が内蔵されており、周辺回路60には、アナログ信号処理回路(AFE)72、セレクタ82などが設けられている。
【0037】
AFE72は、相関二重サンプリング回路(CDS)74、自動ゲイン回路(AGC)76、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)78から構成されている。CDS74は、固体撮像素子58から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、固体撮像素子58で生じるリセット雑音およびアンプ雑音の除去を行う。AGC76は、CDS74によりノイズ除去が行われた撮像信号を、プロセッサ装置14から指定されるゲイン(増幅率)で増幅する。A/D78は、AGC76により増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタル信号に変換して出力する。A/D78でデジタル化されて出力された撮像信号(デジタル撮像信号)はセレクタ82に入力され、通常動作時にはセレクタ82から出力信号として出力される。セレクタ82から出力された出力信号は、ケーブル68及びコネクタ36を介して患者回路100に入力される。
【0038】
プロセッサ装置14は、患者回路100及びメイン回路(2次回路)102とからなり、患者回路100とメイン回路102はアイソレーションデバイス104(例えばフォトカプラやパルストランスなど)を介して接続されている。これにより、患者回路100とメイン回路102との間は絶縁分離されており、電子内視鏡12(スコープ)側の電気的安全性が確保されている。
患者回路100には、画像形成回路(DSP)106、タイミングジェネレータ(TG)108、サブCPU110、セレクタ114などが設けられている。
【0039】
サブCPU110は、患者回路100の各部(DSP106やTG108など)の動作制御を行うとともに、撮像チップ54の各部(固体撮像素子58やAFE72など)の動作制御を行う。サブCPU110は、後述するメインCPU118の指示に基づき、各種制御を行う。
【0040】
TG108は、各種タイミングパルス(クロック信号等)を生成する機能を有し、TG108で生成されたタイミングパルスは撮像チップ54、患者回路100、及びメイン回路102の各部に供給される。撮像チップ54、患者回路100、及びメイン回路102の各部は、TG108から供給されたタイミングパルスに同期して各種動作を実行する。
【0041】
DSP106は、セレクタ82から出力された出力信号(即ち、通常動作時にはA/D78から出力された撮像信号)に対して画像データを形成するための各種信号処理を行う。DSP106で施される信号処理としては、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等がある。DSP106では、TG106から出力されるタイミングパルスに同期して上記信号処理が施される。DSP106で形成された画像データはセレクタ114に入力され、通常動作時にはセレクタ114から出力信号として出力される。セレクタ114から出力された出力信号は、アイソレーションデバイス104を介してメイン回路102に入力される。
【0042】
メイン回路102には、画像処理回路116、表示回路128、電源回路120、メインCPU118、セレクタ124などが設けられている。
【0043】
メインCPU118は、プロセッサ装置14の各部を統括的に制御し、メイン回路102の各部(画像処理回路116や表示回路128など)の動作制御を行うとともに、患者回路100のサブCPU110を通じて患者回路100及び撮像チップ54の各部の動作制御を行う。
【0044】
電源回路120は、メイン回路102の各部に電力を供給するとともに、患者回路100及び撮像チップ54の各部に電力を供給する。
【0045】
画像処理回路116は、患者回路100のセレクタ114から出力された出力信号(即ち、通常動作モードのときには、DSP106から出力された画像データ)に対して各種画像処理を施す。画像処理回路116で施される画像処理としては、輪郭強調処理、或いは、特定の色や領域の強調処理、明度の調整処理などがある。画像処理回路116で画像処理が施された画像データはセレクタ124に入力され、通常動作時にはセレクタ124から出力信号として出力される。セレクタ124から出力された出力信号は表示回路128に入力される。
【0046】
表示回路128は、セレクタ124から出力された出力信号(即ち、通常動作時には画像処理回路116から出力された画像データ)に対してモニタ38の表示形式に応じた映像信号に変換する。表示回路128で変換された映像信号はモニタ38に入力され、モニタ38は画像表示を行う。
【0047】
上記のように構成された内視鏡システム10で体腔内を観察する際には、電子内視鏡12、プロセッサ装置14、光源装置16、及びモニタ38の電源をオンにして、電子内視鏡12の挿入部20を体腔内に挿入し、光源装置16からの照明光で体腔内を照明しながら、固体撮像素子58により撮像される体腔内の画像をモニタ38で観察する。
【0048】
固体撮像素子58から出力された撮像信号は、AFE回路72の各部72〜78で各種処理が施された後、セレクタ82を介してプロセッサ装置14のDSP106に入力される。DSP106では、入力された撮像信号に対して各種信号処理が施され、画像データが生成される。DSP106で生成された画像データは、セレクタ114を介して画像処理回路116に入力される。
【0049】
画像処理回路116では、入力された画像データに対して各種画像処理が施される。画像処理回路116で処理された画像データは、セレクタ124を介して表示回路128に入力される。表示回路128では、入力された画像データをモニタ38の表示形式に対応した変換処理が施され、映像信号が生成される。表示回路128で生成された映像信号はモニタ38へ出力される。これにより、画像データがモニタ38に内視鏡画像として表示される。
【0050】
本実施形態の内視鏡システム10は、上述した通常動作が行われる通常モードとは別に、故障発生時に故障箇所を特定するための故障検出モードを備えており、撮像チップ54、患者回路100、及びメイン回路102からそれぞれテストパターン信号が出力され、当該テストパターン信号に基づく画像がモニタ38に表示されるようになっている。ユーザは、モニタ38に表示されたテストパターン画像を確認することにより、故障箇所を特定することができる。
【0051】
図4に示すように、撮像チップ54、患者回路100、及びメイン回路102には、それぞれテストパターン発生部80、112、122が設けられている。各テストパターン発生部80、112、122は、それぞれ予め決められたテストパターン信号を生成する機能を有し、生成されたテストパターン信号はそれぞれ対応するセレクタ82、114、124に入力される。各セレクタ82、114、124は、入力信号切替部として、入力された2つの信号のうちいずれか一方を選択して出力信号として出力する。各セレクタ82、114、124の切替動作は、メインCPU118又はサブCPU110によって制御される。
【0052】
ここで、内視鏡システム10が故障検出モードに切り替えられたときの動作について、図5に示したフローチャートに従って説明する。なお、故障検出モードへの切り替えはユーザの操作により行われる。
【0053】
まず、故障検出モードが開始されると、メインCPU118は、セレクタ124にテストパターン信号を出力するように指示を行う(ステップS10)。これにより、セレクタ124からは、通常動作時に出力される信号(画像データ)に代えて、テストパターン発生部122で生成されたテストパターン信号が出力され、当該テストパターン信号に基づく画像がモニタ38に表示される。
【0054】
このとき、モニタ38にテストパターン画像が正常に表示されているか否かがユーザにより判断される(ステップS12)。テストパターン画像が正常に表示されていない場合には、故障箇所としてメイン回路102とモニタ38との間(厳密にはセレクタ124とモニタ38との間)が特定される(ステップS14)。この場合、ユーザの操作に従って故障検出モードは終了される。一方、テストパターン画像が正常に表示されていない場合には、ユーザの操作に従って、次のステップS16に進む。
【0055】
続いて、サブCPU110は、メインCPU118からの指示に基づき、セレクタ114にテストパターン信号を出力するように指示を行う(ステップS16)。これと同時に、メインCPU118は、セレクタ124に画像処理回路116から入力された信号を出力するように指示を行う。これにより、セレクタ114からは、通常動作時に出力される信号(画像データ)に代えて、テストパターン発生部112で生成されたテストパターン信号が出力され、当該テストパターン信号に基づく画像がモニタ38に表示される。
【0056】
このとき、モニタ38にテストパターン画像が正常に表示されているか否かがユーザにより判断される(ステップS18)。テストパターン画像が正常に表示されていない場合には、故障箇所として患者回路100とメイン回路102との間(厳密にはセレクタ114とセレクタ124との間)が特定される(ステップS20)。この場合、ユーザの操作に従って故障検出モードは終了される。一方、テストパターン画像が正常に表示されている場合には、ユーザの操作に従って、次のステップS22に進む。
【0057】
続いて、サブCPU110は、メインCPU118からの指示に基づき、セレクタ114にDSP106から入力された信号を出力するように指示するとともに、セレクタ82にテストパターン信号を出力するように指示を行う(ステップS22)。これにより、セレクタ82からは、通常動作時に出力される信号(撮像信号)に代えて、テストパターン発生部80で生成されたテストパターン信号が出力され、当該テストパターン信号に基づく画像がモニタ38に表示される。
【0058】
このとき、モニタ38にテストパターン画像が正常に表示されているか否かがユーザにより判断される(ステップS24)。テストパターン画像が正常に表示されていない場合には、故障箇所として撮像チップ54と患者回路100との間(厳密にはセレクタ82とセレクタ114との間)が特定される(ステップS26)。一方、テストパターン画像が正常に表示されている場合において、内視鏡システム10に異常が認められる場合には、故障箇所として撮像チップ54(厳密にはセレクタ82よりも前段側(固体撮像素子58側))が特定される(ステップS28)。故障箇所が特定されたら、ユーザの操作に従って、故障検出モードは終了される。
【0059】
このように故障検出モードでは、メインCPU118又はサブCPU110の指示に従って、各セレクタ82、114、124が所定の順序で切り替えられ、モニタ38には各セレクタ82、114、124からそれぞれ出力されるテストパターン信号に基づく画像が順次表示され、故障箇所の特定が行われる。
【0060】
本実施形態の内視鏡システム10によれば、撮像チップ54、患者回路100、及びメイン回路102の各ブロックからそれぞれテストパターン信号が出力され、当該テストパターン信号に基づく画像(テストパターン画像)がモニタ38に表示されるようにしたので、ユーザはテストパターン画像が正常に表示されているか否かを確認するだけで異常箇所を容易且つ迅速に特定することができる。
【0061】
特に、本実施形態の内視鏡システム10では、電子内視鏡12の先端部26に内蔵される撮像チップ54で発生したテストパターン信号に基づく画像(テストパターン画像)がモニタ38に表示されるので、ユーザはモニタに表示されたテストパターン画像を確認することにより、電子内視鏡12の先端部26における故障(例えば固体撮像素子58)の有無を容易に判別することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の内視鏡システム10では、モニタ38にテストパターン画像が表示される順序は、メイン回路102、患者回路100、撮像チップ54の順となっている。このようにモニタ38側のブロックから順にテストパターン画像を表示する態様によれば、無駄なステップを踏むことなく、故障箇所の特定を迅速且つ効率的に行うことができる。なお、本発明は上記順序に限定されず、例えば、撮像チップ54、患者回路100、メイン回路102の順序でもよい。
【0063】
また、本実施形態の内視鏡システム10では、モニタ38には各ブロックからのテストパターン画像が順次表示されるようになっているが、本発明はこれに限らず、各ブロックからのテストパターン画像のうち少なくとも2つのテストパターン画像をモニタ38に同時に表示できるようにしてもよい。この場合、モニタ38に表示された少なくとも2つのテストパターン画像を比較することによって故障切り分けを容易に行うことができる。
【0064】
また、本実施形態の内視鏡システム10では、図示は省略するが、撮像チップ54が電子内視鏡12の先端部26から取り外し可能(交換可能)に構成されていることが好ましい。故障検出モードによって撮像チップ54が故障箇所として特定された場合、代わりの電子内視鏡12を新たに用意することなく、撮像チップ54を新しいものに交換するだけで、内視鏡検査をすぐに行うことが可能となる。
【0065】
以上、本発明の内視鏡システム及びその故障検出方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0066】
10…内視鏡システム、12…電子内視鏡、14…プロセッサ装置、16…光源装置、20…挿入部、22…操作部、26…先端部、28…湾曲部、36…コネクタ、38…モニタ、54…撮像チップ、58…固体撮像素子、60…周辺回路、68…ケーブル、72…AFE、80…テストパターン発生部、82…セレクタ、100…患者回路、102…メイン回路、104…アイソレーションデバイス、106…DSP、108…TG、110…サブCPU、112…テストパターン発生部、114…セレクタ、116…画像処理回路、118…メインCPU、120…電源回路、122…テストパターン発生部、124…セレクタ、128…表示回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部の先端に内蔵され、固体撮像素子を有する撮像装置と、
前記固体撮像素子から出力された撮像信号から内視鏡画像を生成してモニタに表示するプロセッサ装置と、を備えた内視鏡システムであって、
前記撮像装置は、所定のテストパターン信号を発生するテストパターン発生手段を有し、
前記プロセッサ装置は、前記撮像装置のテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記プロセッサ装置は、所定のテストパターン信号を発生するテストパターン発生手段を有し、
前記プロセッサ装置は、該プロセッサ装置のテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記プロセッサ装置は、前記撮像装置に電気的に接続される患者回路と、前記患者回路と絶縁分離される2次回路と、から構成され、
前記患者回路及び前記2次回路は、それぞれ所定のテストパターン信号を発生するテストパターン発生手段を有し、
前記プロセッサ装置は、前記患者回路及び前記2次回路のテストパターン発生手段でそれぞれ発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記プロセッサ装置は、前記2次回路、前記患者回路、前記撮像装置の順にそれぞれのテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに順次表示することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記プロセッサ装置は、少なくとも2つのテストパターン発生手段で発生したテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに同時表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記内視鏡挿入部の先端から取り外し可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記固体撮像素子は、CMOS型の固体撮像素子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
内視鏡挿入部の先端に内蔵され、固体撮像素子を有する撮像装置と、
前記固体撮像素子から出力された撮像信号から内視鏡画像を生成してモニタに表示するプロセッサ装置と、を備えた内視鏡システムの故障検出方法であって、
前記撮像装置で所定のテストパターン信号を発生させる工程と、
前記撮像装置で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する工程と、
を含むことを特徴とする内視鏡システムの故障検出方法。
【請求項9】
前記プロセッサ装置で所定のテストパターン信号を発生させる工程と、
前記プロセッサ装置で発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の内視鏡システムの故障検出方法。
【請求項10】
前記プロセッサ装置は、前記撮像装置に電気的に接続される患者回路と、前記患者回路と絶縁分離される2次回路と、から構成され、
前記患者回路及び前記2次回路で所定のテストパターン信号をそれぞれ発生させる工程と、
前記患者回路及び前記2次回路でそれぞれ発生したテストパターン信号に基づく画像を生成して前記モニタに表示する工程と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の内視鏡システムの故障検出方法。
【請求項11】
前記2次回路、前記患者回路、前記撮像装置の順にそれぞれから発生したテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに順次表示する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の内視鏡システムの故障検出方法。
【請求項12】
少なくとも2つのテストパターン信号に基づく画像を前記モニタに同時表示する工程を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の内視鏡システムの故障検出方法。
【請求項13】
前記固体撮像装置は、前記内視鏡挿入部の先端から取り外し可能に構成されていることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の内視鏡システムの故障検出方法。
【請求項14】
前記固体撮像素子は、CMOS型の固体撮像素子であることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の内視鏡システムの故障検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−206185(P2011−206185A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75494(P2010−75494)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】